(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】トランスファーニードル
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A61J1/20 316A
A61J1/20 316B
(21)【出願番号】P 2020141368
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 剛史
(72)【発明者】
【氏名】久保 朋彦
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-213585(JP,A)
【文献】特開平3-186271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に溶解される薬剤を収容する薬剤収容容器に接続可能な薬剤用部材と、
前記薬剤用部材の外側に接合されている封止フィルムとを備え、
前記薬剤用部材は、
基部と、
前記基部から突出して前記薬剤収容容器に穿刺可能な中空針と、
前記基部から見て前記中空針の反対側に位置する注出入部とを有し、
前記中空針は、
前記中空針の内部において液体が通流可能に形成され、前記注出入部と連通する、液体流路と、
前記中空針の内部において空気が通流可能に形成された空気路とを有し、
前記基部は、
前記空気路と連通し、前記基部の外側に開口するように形成された空気用連通路を有し、
前記封止フィルムは、前記薬剤用部材から剥離可能に前記空気用連通路を気密に塞
ぎ、
前記封止フィルムは、前記薬剤用部材に溶着接合された溶着接合部を有し、
前記封止フィルムは、前記薬剤用部材から剥離されたときに、前記溶着接合部の薬剤用部材側の一部、または全部が、残部として前記封止フィルムから分離して、前記薬剤用部材上に取り残されるように構成されている、トランスファーニードル。
【請求項2】
前記溶着接合部は、前記空気用連通路の開口端上に位置している、請求項1に記載のトランスファーニードル。
【請求項3】
前記薬剤用部材は、アクリロニトリルブタジエンスチレンを主成分として含む合成樹脂で形成されている、請求項
1または請求項2に記載のトランスファーニードル。
【請求項4】
前記封止フィルムは、ポリエチレン系樹脂で形成されている、請求項3に記載のトランスファーニードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスファーニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスファーニードルの構成を開示した先行文献として、特開2005-34457号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたトランスファーニードルにおいては、液体用部材に、径方向の連通路が形成されている。連通路の内側端部は、液体用中空針の空気路と連通している。連通路の外側端部は外部に開口している。連通路には、トランスファーニードル内部への雑菌の侵入を防止するフィルターが備えられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたトランスファーニードルにおいては、(空気用)連通路にフィルターが設けられているが、当該フィルタは空気が通過可能である。このため、(空気用)連通路に、空気中に含まれる雑菌が侵入する可能性がある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、空気用連通路内への雑菌の侵入を抑制することができる、トランスファーニードルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくトランスファーニードルは、薬剤用部材と、封止フィルムとを備えている。薬剤用部材は、液体に溶解される薬剤を収容する薬剤収容容器に接続可能である。薬剤用部材は、基部と、基部から突出して薬剤収容容器に穿刺可能な中空針と、基部から見て中空針の反対側に位置する注出入部とを有している。中空針は、液体流路と、空気路とを有している。液体流路は、中空針の内部において液体が通流可能に形成され、注出入部と連通している。空気路は、中空針の内部において空気が通流可能に形成されている。基部は、空気用連通路を有している。空気用連通路は、空気路と連通し、基部の外側に開口するように形成されている。封止フィルムは、薬剤用部材の外側に接合されている。封止フィルムは、薬剤用部材から剥離可能に空気用連通路を気密に塞ぐ。
【0007】
本発明の一形態においては、封止フィルムは、薬剤用部材に溶着接合された溶着接合部を有している。
【0008】
本発明の一形態においては、薬剤用部材は、アクリロニトリルブタジエンスチレンを主成分として含む合成樹脂で形成されている。
【0009】
本発明の一形態においては、封止フィルムは、ポリエチレン系樹脂で形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空気用連通路内への雑菌の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルを示す斜視図である。
【
図2】
図1のトランスファーニードルをII-II線矢印方向から見た断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルについて、薬剤用部材に薬剤収容容器を装着した状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルについて、薬剤用部材に装着された薬剤収容容器に液体を注入した状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルにおいて、封止フィルムを剥離して、液体用部材と薬剤用部材との接続を解除した状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルにおいて、薬剤用部材に装着した薬剤収容容器から、薬剤が溶解した液体を注出している状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルについて図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルを示す斜視図である。
図2は、
図1のトランスファーニードルをII-II線矢印方向から見た断面図である。
図1および
図2に示すように、本発明の一実施形態に係るトランスファーニードル1は、薬剤用部材100と、液体用部材200と、封止フィルム300とを備えている。
【0014】
図3は、本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルについて、薬剤用部材に薬剤収容容器を装着した状態を示す断面図である。
図3においては、
図1と同様の断面視にて図示している。
【0015】
図3に示すように、薬剤用部材100は、液体に溶解される薬剤を収容する薬剤収容容器2に接続可能である。薬剤収容容器2としては、バイアルが挙げられる。薬剤用部材100は、液体用部材200に対して着脱可能である。薬剤用部材100は、たとえば樹脂で形成されている。より具体的には、薬剤用部材100は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、または、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を主成分として含む合成樹脂で形成されている。
【0016】
薬剤用部材100は、基部110と、基部110から突出して薬剤収容容器2に穿刺可能な中空針120と、基部110から見て中空針120の反対側に位置する注出入部130とを有している。
【0017】
基部110は、中空針120を支持する部位である。基部110は、略円板状に形成されている。基部110は、基部110に対して中空針120が垂直となる姿勢で中空針120を支持している。
【0018】
基部110は、空気用連通路111と、液体用連通路112とを有している。空気用連通路111は、基部110の外側に開口するように形成されている。具体的には、空気用連通路111は、中空針120の突出方向から見て、基部110の外周縁側において開口するように形成されている。空気用連通路111の、上記開口側と反対側の部分は、中空針120の内部と連通している。
【0019】
液体用連通路112は、一方側において中空針120の内部と連通し、他方側において注出入部130と連通している。
【0020】
基部110は、空気用連通路111内に位置する第1フィルタ113をさらに有する。第1フィルタ113は、少なくとも空気が第1フィルタ113を通過可能に構成されている。第1フィルタ113は、空気用連通路111の開口側から中空針120の内部に異物が混入することを抑制する。
【0021】
基部110は、液体用連通路112の注出入部130側に位置する第2フィルタ114をさらに有する。第2フィルタ114は、少なくとも液体が第2フィルタ114を通過可能に構成されている。第2フィルタ114は、液体用連通路112の注出入部130側から中空針120の内部に異物が混入することを抑制する。
【0022】
中空針120は、液体流路121と、空気路122とを有している。液体流路121は、中空針120の内部において液体が通流可能に形成され、注出入部130と連通している。液体流路121は、基部110の液体用連通路112と連通しており、液体用連通路112を介して注出入部130と連通している。液体流路121は、中空針120の先端側(すなわち、基部110側とは反対側)において開口している。
【0023】
空気路122は、中空針120の内部において空気が通流可能に形成されている。空気路122は、空気用連通路111と連通している。空気路122は、中空針120の先端側(すなわち、基部110側とは反対側)において開口している。
【0024】
注出入部130には、液体用部材200が着脱可能に接続されている。注出入部130は、注出入部130に接続された液体用部材200から、中空針120の内部(液体流路121)を介して、中空針120が穿刺された薬剤収容容器2に液体を注入可能に構成されている。また、注出入部130は、液体用部材200との接続が解除された状態においては、シリンジ(図示略)と着脱可能に接続することができる。注出入部130は、中空針120が穿刺された薬剤収容容器2から、中空針120の(液体流路121)を介して、注出入部130に接続されたシリンジによって、薬剤が溶解した液体を注出可能に構成されている。
【0025】
注出入部130は、略円筒状の外形を有している。注出入部130は、内周面131と外周面132とを有している。内周面131は、基部110とは反対側に向かって次第に拡径するテーパ状に形成されている。外周面132上には、ねじ部132aが形成されている。ねじ部132aは、具体的には雄ねじ部である。注出入部130は、ねじ部132aにおいて、液体用部材200と接続されている(詳細は後述する)。また、注出入部130は、ねじ部132aにおいて、シリンジの注射針接続部にも螺合可能に構成されている。
【0026】
薬剤用部材100は、嵌合部140をさらに備える。嵌合部140は、薬剤収容容器2の口部に嵌合する部位である。嵌合部140は、基部110のうち中空針120が位置する側の面の縁部から、中空針120の突出方向に沿って延出している。嵌合部140は、円筒状に形成されている。嵌合部140が薬剤収容容器2の口部に嵌合することにより、中空針120は、薬剤収容容器2(バイアルのゴム栓部)に穿刺される。
【0027】
液体用部材200は、液体を収容する液体収容容器(図示略)に装着可能である。液体収容容器としては、バイアルが挙げられる。液体用部材200は、たとえば樹脂で形成されている。液体用部材200は、液体用中空針210と、液体側支持部220と、接続部230と、包囲筒240と、液体側嵌合部250と、周壁260とを有している。
【0028】
液体用中空針210は、液体収容容器(バイアルのゴム栓部)に穿刺することが可能である。
【0029】
液体側支持部220は、液体用中空針210を支持する部位である。液体側支持部220は、円板状に形成されている。液体側支持部220は、液体側支持部220に対して液体用中空針210が垂直になる姿勢で液体用中空針210を支持している。
【0030】
接続部230は、液体側支持部220のうち液体用中空針210が接続されている側とは反対側に接続されている。接続部230は、液体用中空針210内の流路215と連通する液体側流路235を有している。接続部230は、円筒状に形成されている。接続部230は、接続部230の軸方向が液体側支持部220と垂直になる姿勢で液体側支持部220に接続されている。液体用部材200が薬剤用部材100と接続している状態において、接続部230は、注出入部130の内部(注出入部130の内周面131側)に位置している。
【0031】
包囲筒240は、接続部230の周囲に設けられており、接続部230を包囲する筒状に形成されている。包囲筒240は、円筒状に形成されている。包囲筒240は、液体側支持部220に接続されている。
【0032】
包囲筒240の内周面には、ねじ部240aが形成されている。ねじ部240aは、具体的には雌ねじ部である。包囲筒240のねじ部240aは、注出入部130のねじ部132aと螺合している。包囲筒240のねじ部240aと注出入部130のねじ部132aとが互いに螺合している螺合状態において、注出入部130が、接続部230に接続しており、ひいては、薬剤用部材100が、液体用部材200に接続している。
【0033】
液体側嵌合部250は、液体収容容器の口部に嵌合する部位である。液体側嵌合部250は、液体側支持部220のうち液体用中空針210が接続されている側の面の縁部から液体用中空針210の軸方向と平行な方向に突出する形状を有している。液体側嵌合部250は、円筒状に形成されている。液体側嵌合部250が液体収容容器の口部に嵌合することにより、液体用中空針210は、液体収容容器(バイアルのゴム栓部)に穿刺される。
【0034】
周壁260は、液体側支持部220のうち接続部230が接続されている側の面の縁部から接続部230の軸方向と平行な方向に突出する形状を有している。周壁260は、円筒状に形成されている。周壁260の外周面は、液体側嵌合部250の外周面と連続的につながっている。
【0035】
図1から
図3に示すように、封止フィルム300は、薬剤用部材100の外側に接合されている。本実施形態において、封止フィルム300は、薬剤用部材100の外側に接合されており、液体用部材200の外側にも位置している。封止フィルム300は、中空針120の突出方向に沿って延びている。封止フィルム300は、基部110の外周面に沿って、その外周面の周方向に延びるように位置してもよい。封止フィルム300は、薬剤用部材100および液体用部材200が位置している側とは反対側に位置する印刷層を含んでいてもよい。印刷層には、文字または図形などが設けられていてもよい。
【0036】
封止フィルム300は、薬剤用部材100から剥離可能に空気用連通路111を気密に塞ぐ。封止フィルム300は、薬剤用部材100に溶着接合された溶着接合部310を有している。具体的には、溶着接合部310は、空気用連通路111の開口端111a上において開口端111aの全周にわたって位置している。溶着接合部310は、封止フィルム300の他の部分との境界が外側から視認可能に構成されている。
【0037】
本実施形態においては、封止フィルム300は、熱可塑性樹脂で形成されており、たとえばポリエチレン系樹脂などの鎖状ポリオレフィン系樹脂等で形成されている。薬剤用部材100がABSを主成分として含む合成樹脂で形成されている場合、封止フィルム300は、ポリエチレン系樹脂で形成されていることが好ましい。
【0038】
次に、トランスファーニードル1の使用方法について説明する。まず、
図3に示すように、螺合状態のトランスファーニードル1について、液体用部材200が液体収容容器(図示略)に装着された後、薬剤用部材100が薬剤収容容器2に装着される。このとき、薬剤用部材100が、液体用部材200の下側に位置するように、トランスファーニードル1を操作する。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルについて、薬剤用部材に装着された薬剤収容容器に液体を注入した状態を示す断面図である。
図4以降の図におけるトランスファーニードル1については、
図3と同様の断面視にて図示している。
【0040】
図3および
図4に示すように、液体用部材200に装着された液体収容容器(図示略)に収容された液体は、その自重により、流路215および液体側流路235を通過した後、注出入部130から、液体用連通路112および液体流路121を通って、薬剤用部材100に装着された薬剤収容容器2の内部に注入される。液体収容容器および薬剤収容容器2が装着された状態のトランスファーニードル1を揺動することで、薬剤収容容器2内において薬剤が液体に溶解される。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルにおいて、封止フィルムを剥離して、液体用部材と薬剤用部材との接続を解除した状態を示す断面図である。
図4および
図5に示すように、薬剤が溶解した液体(以下、「薬液」という場合がある)を収容した薬剤収容容器2が薬剤用部材100に装着された状態において、封止フィルム300を、薬剤用部材100から剥離する。このとき、溶着接合部310の薬剤用部材100側の一部、または全部が、残部320として封止フィルム300から分離して、開口端111a上に取り残される。これにより、トランスファーニードル1の使用者は、封止フィルム300が剥離された状態の薬剤用部材100を見たときに、空気用連通路111が封止フィルム300によって封止されていた薬剤用部材100であることを認識することができる。
【0042】
封止フィルム300を剥離した後、液体収容容器を装着した状態の液体用部材200を、薬剤用部材100から取り外す。なお、封止フィルム300を剥離する前に、液体収容容器を装着した状態の液体用部材200を、薬剤用部材100から取り外してもよい。そして、液体用部材200が取り外された薬剤用部材100は、注出入部130において、空のシリンジ(
図5において図示略)と接続される。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態に係るトランスファーニードルにおいて、薬剤用部材に装着した薬剤収容容器から、薬剤が溶解した液体を注出している状態を示す断面図である。
図5および
図6に示すように、薬液を収容した薬剤収容容器2を装着した状態の薬剤用部材100を、薬剤収容容器2に対して下方に位置させる。これとともに、注出入部130に接続されたシリンジ(図示略)の吸引により、液体流路121および液体用連通路11
2を通って、注出入部130から、薬剤収容容器2内の薬液が注出される。このとき、外部から、空気用連通路111および空気路122を通って、薬剤用部材100に装着された薬剤収容容器2内に空気が流入する。このため、薬剤用部材100に装着された薬剤収容容器2内の薬液の上方に位置する空間が負圧になることなく、容易に薬液を注出することができる。
【0044】
上述のように、一実施形態に係るトランスファーニードル1は、薬剤用部材100と、封止フィルム300とを備えている。薬剤用部材100は、液体に溶解される薬剤を収容する薬剤収容容器2に接続可能である。薬剤用部材100は、基部110と、基部110から突出して薬剤収容容器2に穿刺可能な中空針120と、基部110から見て中空針120の反対側に位置する注出入部130とを有している。中空針120は、液体流路121と、空気路122とを有している。液体流路121は、中空針120の内部において液体が通流可能に形成され、注出入部130と連通している。空気路122は、中空針120の内部において空気が通流可能に形成されている。基部110は、空気用連通路111を有している。空気用連通路111は、空気路122と連通し、基部110の外側に開口するように形成されている。封止フィルム300は、薬剤用部材100の外側に接合されている。封止フィルム300は、薬剤用部材100から剥離可能に空気用連通路111を気密に塞ぐ。
【0045】
これにより、トランスファーニードル1の使用前においては空気用連通路111内への雑菌侵入を抑制することができ、封止フィルム300を剥離することで、トランスファーニードル1の使用中においては空気用連通路111に空気を通流させることができる。
【0046】
本実施形態においては、封止フィルム300は、薬剤用部材100に溶着接合された溶着接合部310を有している。これにより、封止フィルム300が薬剤用部材100に接合された状態であることを容易に視認できるとともに、封止フィルム300が剥離された薬剤用部材100を見たときに、封止フィルム300の一部が分離して薬剤用部材100に上に残ることで、封止フィルム300によって空気用連通路111が塞がれていた薬剤用部材100であることを容易に視認できる。
【0047】
本実施形態においては、薬剤用部材100は、アクリロニトリルブタジエンスチレンを主成分として含む合成樹脂で形成されている。これにより、薬剤用部材100の機械的特性を向上できる。
【0048】
本実施形態においては、封止フィルム300は、ポリエチレン系樹脂で形成されている。これにより、薬剤用部材100がアクリロニトリルブタジエンスチレンを主成分として含む合成樹脂で形成されている場合に、封止フィルム300を薬剤用部材100に容易に溶着接合させることができる。
【0049】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
110 基部、111 空気用連通路、111a 開口端、112 液体用連通路、113 第1フィルタ、114 第2フィルタ、120 中空針、121 液体流路、122 空気路、130 注出入部、131 内周面、132 外周面、140 嵌合部、200 液体用部材、210 液体用中空針、215 流路、220 液体側支持部、230 接続部、235 液体側流路、240 包囲筒、250 液体側嵌合部、260 周壁、300 封止フィルム、310 溶着接合部、320 残部。