(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20240305BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B65G47/52 101A
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2020149187
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】江口 智彦
(72)【発明者】
【氏名】上村 文武
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-143364(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146276(WO,A1)
【文献】特開2020-049497(JP,A)
【文献】中国特許第107444814(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
B65G 47/52
B65G 21/20
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1荷物を搬送する第1搬送領域と、前記第1搬送領域と重複しており前記第1荷物より大きい第2荷物を搬送する第2搬送領域とを有しており、前記第1荷物及び前記第2荷物を第1方向に搬送する搬送部と、
前記第1搬送領域の近傍でありかつ前記第2搬送領域のうち前記第1搬送領域に重複しない位置において、前記第2搬送領域の荷物支持面から上方に突出して前記第1荷物をガイドすること及び前記荷物支持面から下方に退避することが可能なガイドと、を備え、
前記ガイドは、
水平面において第1方向と直交する第2方向に延在する第1回転軸の回りに回動する第1ガイドと、
前記第1回転軸に対して第1方向において異なる位置にあり、前記第1回転軸に対して平行な第2回転軸の回りに回動する第2ガイドと、 前記第1ガイド及び前記第2ガイドを前記荷物支持面から突出する側に弾性的に付勢する付勢部材と、を有しており、
前記第1ガイドは、前記第2荷物の底面が当接することで前記荷物支持面より下方に退避する第1接触部を有しており、
前記第2ガイドは、前記第2荷物の底面が当接することで前記荷物支持面より下方に退避する第2接触部を有しており、
前記ガイドは、前記第1接触部及び前記第2接触部の一方が前記第2荷物と当接することで前記荷物支持面より下方に退避する際に、前記第1接触部及び前記第2接触部の他方を前記荷物支持面より下方に退避させる伝達部を有している、
搬送装置。
【請求項2】
第1方向において、前記第1ガイドの前記第1回転軸、前記第1ガイドの前記第1接触部、前記第2ガイドの前記第2接触部、前記第2ガイドの前記第2回転軸が順番に並んでいる、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記伝達部は、前記第1ガイドに設けられている第1当接部と、前記第1ガイドに設けられている第1被当接部と、前記第2ガイドに設けられている第2当接部と、前記第2ガイドに設けられている第2被当接部と、を有しており、
前記第1当接部は前記第2被当接部を押し下げ可能に配置されており、
前記第2当接部は前記第1被当接部を押し下げ可能に配置されている、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記伝達部は、前記第1ガイド及び前記第2ガイドの一方が突出及び退避を行えば、他方も突出及び退避を行わせるように前記第1ガイドと前記第2ガイドを連結するリンク機構である、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2荷物は、第2方向に所定の幅であって第1方向に延びる溝を底面に有しており、
前記第1接触部及び前記第2接触部は、第2方向において前記第2荷物の前記溝の幅よりも広い幅を有している、請求項1~4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1ガイドは、前記第1荷物の側面に当接する第1ガイド面を有しており、
前記第2ガイドは、前記第1荷物の側面に当接する第2ガイド面を有しており、
前記第1ガイド面及び前記第2ガイド面は、平面視で第1方向に平行な一直線上に並んでいる、請求項1~5のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、特に、大きさが異なる荷物が移載される搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場等で物品搬送の自動化を図るために無人搬送車(AGV;Automated Guided Vehicle)や有軌道台車(RGV;Rail Guided Vehicle)といった搬送装置が用いられている。搬送装置は、物品を所定位置まで搬送し、次に移載装置によって搬送装置から所定の棚に物品を移載する。
移載装置としては、例えば、スライドフォーク、サイドアーム、リフタ、チェーンコンベヤ、ローラコンベヤがある。
搬送装置は異なる大きさの荷物を搬送及び移載することがある。例えば、大小の荷物を搬送する台車が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の無人搬送車1では、後部の物品ガイドレール3は、公知の作動装置6によって前部の物品ガイドレール3に対して近接・離隔するように移動させられる。
しかし、作動装置を制御することでガイドを移動させる技術は、部品点数が増えたり構造が複雑になったりして、好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、搬送装置において、簡単な構成によってガイドを進退させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る搬送装置は、搬送部と、ガイドと、を備えている。
搬送部は、第1荷物を搬送する第1搬送領域と、第1搬送領域と重複しており第1荷物より大きい第2荷物を搬送する第2搬送領域とを有しており、第1荷物及び第2荷物を第1方向に搬送する。
ガイドは、第1搬送領域の近傍でありかつ第2搬送領域のうち第1搬送領域に重複しない位置において、第2搬送領域の荷物支持面から上方に突出して第1荷物をガイドすること及び荷物支持面から下方に退避することが可能である。
ガイドは、第1ガイドと、第2ガイドと、付勢部材と、を有している。
第1ガイドは、水平面において第1方向と直交する第2方向に延在する第1回転軸の回りに回動する。
第2ガイドは、第1回転軸に対して第1方向において異なる位置にあり、第1回転軸対して平行な第2回転軸の回りに回動する。
付勢部材は、第1ガイド及び第2ガイドを荷物支持面から突出する側に弾性的に付勢する。
第1ガイドは、第2荷物の底面が当接することで荷物支持面より下方に退避する第1接触部を有している。
第2ガイドは、第2荷物の底面が当接することで荷物支持面より下方に退避する第2接触部を有している。
ガイドは、第1接触部及び第2接触部の一方が第2荷物と当接することで荷物支持面より下方に退避する際に、第1接触部及び第2接触部の他方を荷物支持面より下方に退避させる伝達部を有している。
【0008】
この装置では下記の動作が行われる。
第1荷物が搬送装置に移載される場合、第1荷物は、第2搬送領域の荷物支持面から上方に突出しているガイドによって案内される。
第2荷物が搬送装置に移載される場合、第2荷物が第1接触部及び第2接触部の一方に当接して荷物支持面より下方に退避させる。このとき、ガイドの伝達部が第1接触部及び第2接触部の他方を荷物支持面より下方に退避させる。したがって、第2荷物が第1方向のいずれの側から移載されても、第1ガイド及び第2ガイドのいずれもが第2荷物の移動を妨害しない。
【0009】
この結果、搬送装置において、第2荷物の進退にあわせて第1ガイド及び第2ガイドを進退させることができる。
なお、第2荷物が第1ガイド及び第2ガイドから離れると、付勢部材によって第1ガイド及び第2ガイドは荷物支持面から突出する。
【0010】
第1方向において、第1ガイドの第1回転軸、第1ガイドの第1接触部、第2ガイドの第2接触部、第2ガイドの第2回転軸が順番に並んでいてもよい。
この装置では、コンパクトな形状が実現される。
【0011】
伝達部は、第1ガイドに設けられている第1当接部と、第1ガイドに設けられている第1被当接部と、第2ガイドに設けられている第2当接部と、第2ガイドに設けられている第2被当接部と、を有していてもよい。
第1当接部は第2被当接部を押し下げ可能に配置されていてもよい。
第2当接部は第1被当接部を押し下げ可能に配置されていてもよい。
この装置では、第2荷物の移動により第1ガイドが押し下げられると、第1当接部が第2被当接部を押し下げることで、第2ガイドを押し下げて荷物支持面から下方に退避させる。また、第2荷物の移動により第2ガイドが押し下げられると、第2当接部が第1被当接部を押し下げることで、第1ガイドを押し下げて荷物支持面から下方に退避させる。したがって、伝達部はモータ等の駆動源が不要である。
【0012】
伝達部は、第1ガイド及び第2ガイドの一方が突出及び退避を行えば、他方も突出及び退避を行わせるように第1ガイドと第2ガイドを連結するリンク機構であってもよい。
この装置では、第2荷物の移動により第1ガイドが押し下げられると、リンク機構が第2ガイドを荷物支持面から下方に退避させる。また、第2荷物の移動により第2ガイドが押し下げられると、リンク機構が第1ガイドを荷物支持面から下方に退避させる。したがって、伝達部はモータ等の駆動源が不要になる。
【0013】
第2荷物は、第2方向に所定の幅であって第1方向に延びる溝を底面に有していてもよい。
第1接触部及び第2接触部は、第2方向において第2荷物の溝の幅よりも広い幅を有していてもよい。
この装置では、第2荷物の溝が第1接触部又は第2接触部に重なる位置に配置された場合でも、第1接触部又は第2接触部が溝に嵌まることがない。したがって、第2荷物が移載不可になる不具合が生じない。
【0014】
第1ガイドは、第1荷物の側面に当接する第1ガイド面を有していてもよい。
第2ガイドは、第1荷物の側面に当接する第2ガイド面を有していてもよい。
第1ガイド面及び第2ガイド面は、平面視で第1方向に平行な一直線上に並んでいてもよい。
この装置では、小荷物は搬送部においてスムーズに第1方向に移動する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る搬送装置では、簡単な構成によってガイドを進退させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)有軌道台車システムの全体構成
図1及び
図2を用いて、有軌道台車システム1を説明する。
図1は、第1実施形態の有軌道台車の模式的側面図である。
図2は、有軌道台車の模式的平面図である。
有軌道台車システム1は、小パレット25及び大パレット27を搬送するシステムである。なお、以下の文章で「小パレット25」及び「大パレット27」は、それらの上に他の物品が置かれている場合と置かれていない場合を含む。
【0018】
有軌道台車システム1は、走行レール3と、その上を走行する一又は複数の有軌道台車5とを有している。
図1及び
図2において、有軌道台車5における小パレット25及び大パレット27の移載方向が第1方向として矢印Xで示されており、有軌道台車5の走行方向が第2方向として矢印Yで示されており、鉛直方向が第3方向として矢印Zで示されている。各方向は互いに直交している。
【0019】
走行レール3は、有軌道台車5が走行する走行路を形成するための部材である。走行レール3は、フロア7に設けられており、一対の平行なレールからなる。
【0020】
有軌道台車5は、走行レール3に案内されて自走することで、小パレット25又は大パレット27を第2方向に搬送する。
有軌道台車5は、車体9を有している。
有軌道台車5は、車体9上に設置された移載装置11(搬送装置の一例)を有している。移載装置11は、小パレット25及び大パレット27を載置すると共に他の装置との間で移載するための装置である(後述)。
【0021】
有軌道台車5は、走行機構13を有している。走行機構13は、車体9を走行させる機構である。
走行機構13は、モータ(図示せず)、動力伝達機構(図示せず)、及び駆動車輪15を有している。駆動車輪15は、車体9に設けられ、走行レール3の上を転動する。
【0022】
(2)移載装置
移載装置11は、搬送部21と、小荷物ガイド23と、を備えている。
(2-1)搬送部
搬送部21は、小パレット25(第1荷物の一例)及び大パレット27(第2荷物の一例)を第1方向に搬送する。
搬送部21は、一対のチェーンコンベヤ21aを有している。一対のチェーンコンベヤ21aは、
図2に示すように、第2方向に互いに離れており、第1方向に長く延びている。ある。チェーンコンベヤ21aは、公知の技術であり、チェーン、駆動モータ、動力伝他装置を有している。なお、チェーンコンベヤ21aを含む仮想的な平面が、荷物支持面22である。
搬送部21は、平面視で見た場合の領域として、小パレット25を搬送する第1搬送領域31と、大パレット27を搬送する第2搬送領域33とを有している。
【0023】
第2搬送領域33は第1搬送領域31より大きく、第1搬送領域31は第2搬送領域33内に収まっている。このようにして、第1搬送領域31と第2搬送領域33は、互いに重複している。具体的には、
図2に示すように、第1搬送領域31は、第2方向に所定の幅を有しており、一対のチェーンコンベヤ21aの第2方向外側まで延びている。
第2搬送領域33は、第2方向に所定の幅を有しており、第1搬送領域31の第2方向外側縁からさらに外側まで延びている。つまり、第2搬送領域33は、第1搬送領域31に重複した領域と、第1搬送領域31に重複していない領域とを有している。後者は、一対の非重複領域37である。
小パレット25は、平面視で矩形であり、第1搬送領域31に対応する幅長さ(第1方向長さ)を有している。
大パレット27は、平面視で矩形であり、第2搬送領域33に対応する幅長さ(第1方向長さ)を有している。なお、搬送部21には、大パレット27用のガイド(図示せず)が固定して設けられている。
【0024】
(2-2)小荷物ガイド
図3~
図6を用いて、小荷物ガイド23を説明する。
図3は、小荷物ガイドのガイド状態を示す側面図である。
図4は、
図3の部分拡大図である。
図5は、小荷物ガイドの模式的平面図である。
図6は、
図5の部分拡大図である。
【0025】
(A)小荷物ガイドの基本構成
小荷物ガイド23は、
図2に示すように、非重複領域37において、第1搬送領域31の近傍に配置されている。小荷物ガイド23は、
図3に示すように、チェーンコンベヤ21aの荷物支持面22から上方に突出して小パレット25をガイドする。つまり、小パレット25は、搬送部21によって、小荷物ガイド23によって第2方向に支持された状態で第1方向に移動する。さらに、小荷物ガイド23は、荷物支持面22に対して出没可能である(後述)。
【0026】
小荷物ガイド23は、
図2に示すように、一対の非重複領域37のそれぞれに配置されており、小パレット25を第2方向にセンター基準で位置決めできる。また、各小荷物ガイド23は、搬送部21において、第1方向中間位置に配置されている。
【0027】
(B)小荷物ガイドの詳細構成
以下、一対の小荷物ガイド23のうち一方のみを、さらに具体的に説明する。
小荷物ガイド23は、第1ガイド41と、第2ガイド43と、付勢部材45A、45Bと、を有している。
第1ガイド41及び第2ガイド43は、第1方向に近接して並んで配置されている。第1ガイド41及び第2ガイド43は、薄い板状の部材である。第1ガイド41及び第2ガイド43は、主面として第2方向外側面と第2方向内側面を有しており、
図5に示すように、第2方向内側面が第1ガイド面41e及び第2ガイド面43eである。なお、第1ガイド41及び第2ガイド43は、第1方向において異なる位置にあればよく、第1方向に近接していなくてもよい。
【0028】
第1ガイド41は、大パレット27の底面27aが当接する第1接触部41aを有している。具体的には、第1接触部41aは、
図3に示すように、第2方向に見た場合に両側に傾斜面が形成され、上面が滑らかな山形状である。
なお、第1接触部41aの上面は直線部を含んでいてもよい。その場合は、回転した際に第1ガイド部41が沈む(退避する)量が大きくなることを防止できる。
また、第1接触部41aの傾斜面は、第1方向外側だけに形成されていてもよい。
なお、第1ガイド面41eは、第1ガイド41において、第1接触部41aを含みガイド位置(後述)において荷物支持面22より上側に出ている部分の第2方向内側面である。
第1ガイド41は、第2方向に延在する第1回転軸41bの回りに回転する。具体的には、第1回転軸41bは、
図3に示すように、第1ガイド41の第1方向第1側(第2ガイド43と反対側)に設けられている。したがって、
図7に示すように、第1接触部41aに大パレット27の底面27aが第1方向第1側から当接すると、第1ガイド41は第1回転軸41b回りに回転して(
図3において時計回りに回転して)、それにより第1接触部41aが荷物支持面22より下方に退避する。以上を言い換えると、第1ガイド41は、第1接触部41aが荷物支持面22より上側にあるガイド位置(
図3)と、第1接触部41aが荷物支持面22より下側にある退避位置(
図7)との間で移動する。
【0029】
第2ガイド43は、大パレット27の底面27aが当接する第2接触部43aを有している。具体的には、第2接触部43aは、
図3に示すように、第2方向に見た場合に両側に傾斜面が形成され、上面が滑らかな山形状である。なお、上面は直線部を含んでいてもよい。なお、第2ガイド面43eは、第2ガイド43において、第2接触部43aを含みガイド位置において荷物支持面22より上側に出ている部分の第2方向内側面である。
第2ガイド43は、第2方向に延在する第2回転軸43bの回りに回転する。具体的には、第2回転軸43bは、
図3に示すように、第2ガイド43の第1方向第2側(第1ガイド41と反対側)に設けられている。したがって、第2接触部43aに大パレット27の底面27aが第1方向第2側から当接すると、第2ガイド43は第2回転軸43b回りに回転して(
図3において反時計回りに回転して)、それにより第2接触部43aが荷物支持面22より下方に退避する。以上を言い換えると、第2ガイド43は、第2接触部43aが荷物支持面22より上側にあるガイド位置(
図3)と、第2接触部43aが荷物支持面22より下側にある退避位置(
図7)との間で移動する。
【0030】
図5に示すように、第1ガイド41の第1ガイド面41eと第2ガイド43の第2ガイド面43eは、平面視で第1方向に平行な一直線上に並んでおり、そのため小パレット25の側面に第1ガイド面41eと第2ガイド面43eの両方が当接できる。したがって、小パレット25は搬送部21においてスムーズに第1方向に移動する。
上記の構造では、
図3に示すように、第1方向において、第1ガイド41の第1回転軸41b、第1ガイド41の第1接触部41a、第2ガイド43の第2接触部43a、第2ガイド43の第2回転軸43bが順番に並んでいる。
したがって、コンパクトな構造が実現される。
【0031】
付勢部材45A、45Bは、第1ガイド41及び第2ガイド43が荷物支持面22から退避しているときは突出する側に弾性的に付勢する。
以下、付勢部材45A、45Bを詳細に説明する。付勢部材45A、45Bは、第1ガイド41と第2ガイド43それぞれに設けられている。
【0032】
付勢部材45Aは、大パレット27が搬送部21に載っており第1ガイド41が退避位置にある場合に、第1ガイド41がガイド位置に戻るように第1ガイド41を軸41b回りに回転する力を与える。さらに具体的には、付勢部材45Aは、引っ張りバネである。付勢部材45Aの一端は、第1ガイド41の第1方向第1側(第2ガイド43と反対側)から
図3真下に延びる第1脚部41fに固定されている。付勢部材45Aの他端は、車体9に固定されている。付勢部材45Aは、
図7のガイド退避状態において、第1ガイド41の第1脚部41fを第1方向第2側に付勢する。
付勢部材45Bは、大パレット27が搬送部21に載っており第2ガイド43がガイド位置になるように第2ガイド43を軸43b回りに回転する力を与える。さらに具体的には、付勢部材45Bは、引っ張りバネである。付勢部材45Bの一端は、第2ガイド43の第1方向第2側(第1ガイド41と反対側)から
図3真下に延びる第2脚部43fに固定されている。付勢部材45Bの他端は、車体9に固定されている。付勢部材45Bは、
図7のガイド退避状態において、第1ガイド41の第2脚部43fを第1方向第1側に付勢する。
なお、付勢部材は、軸43a、軸43bの第1方向外側に配置された圧縮バネでもよい。
【0033】
(3)伝達部
小荷物ガイド23は、伝達部47をさらに有している。伝達部47は、第1接触部41a及び第2接触部43aの一方が大パレット27と当接することで荷物支持面22より下方に退避する際に、第1接触部41a及び第2接触部43aの他方を荷物支持面22より下方に退避させる。
【0034】
伝達部47をさらに具体的に説明する。なお、伝達部47は、第1ガイド41及び第2ガイド43に装着された又は一体の部材からなる。したがって、以下、第1ガイド41及び第2ガイド43の構造をさらに説明する。
第1ガイド41は、第1当接部41cと第1被当接部41dとを有している。具体的には、第1当接部41c及び第1被当接部41dは、第1ガイド41の本体の第1方向第1側(第2ガイド43側)に設けられている。第1当接部41cは、
図4及び
図6に示すように、第1ガイド41の本体の第2方向第1側に設けられ第2ガイド43側に延びる突出部である。第1被当接部41dは、第1ガイド41の本体の第2方向第2側に設けられた突起である。具体的には、第1当接部41cは、先端側下面が傾斜面になっている。また、第1被当接部41dは、円柱部である。
【0035】
第2ガイド43は、第2当接部43cと第2被当接部43dとを有している。具体的には、第2当接部43c及び第2被当接部43dは、第2ガイド43の本体の第1方向第2側(第1ガイド41側)に設けられている。第2当接部43cは、
図4及び
図6に示すように、第2ガイド43の本体の第2方向第2側に設けられ第1ガイド41側に延びる突出部である。第2被当接部43dは、第2ガイド43の本体の第2方向第1側に設けられた突起である。具体的には、第2当接部43cは、先端側下面が傾斜面になっている。また、第2被当接部43dは、円柱部である。
【0036】
第1当接部41cは、第2被当接部43dを押し下げ可能に配置されている。具体的には、第1ガイド41及び第2ガイド43が
図3に示すようにガイド位置にあるときに、
図4及び
図6に示すように、第1当接部41cは、第2被当接部43dの上方に隙間を空けて配置されている。
第2当接部43cは、第1被当接部41dを押し下げ可能に配置されている。具体的には、
図4及び
図6に示すように、第2当接部43cは、第1被当接部41dの上方に隙間を空けて配置されている。
大パレット27が第1ガイド41の上に載っていない状態では、付勢部材45Aが第1ガイド41を第1回転軸41bの時計回りに回転する動きを制限している。また、第1ガイド41の第1脚部41fがストッパ49に対して図左側から当接又は近接している。したがって、この状態では、第1ガイド41の第1接触部41a及び第1ガイド面41eが、荷物支持面22より上側に配置されて維持されている。
なお、この実施形態では、伝達部47を構成する第1ガイド41及び第2ガイド43の部材は第1方向に対称であり、これら部材の動作も対称である。
【0037】
(4)移載動作
搬送部21は下記の動作を実行する。
(4-1)第1荷物を移載する動作
小パレット25が有軌道台車5に移載される場合(つまり、移載装置11の搬送部21によって小パレット25が搬送部21の上に積み込まれる場合)、
図3に示すように、小パレット25は、第2搬送領域33の荷物支持面22から上方に突出している小荷物ガイド23によって第1方向に案内される。より詳細には、第1ガイド41及び第2ガイド43の第1ガイド面41e及び第2ガイド面43eによって、小パレット25は第1方向に案内される。
【0038】
(4-2)第2荷物を移載する動作
図7及び
図8を用いて、第2荷物を移載する動作を説明する。
図7は、小荷物ガイドの退避動作を示す側面図である。
図8は、
図7の部分拡大図である。
大パレット27が有軌道台車5に移載される場合、大パレット27が第1接触部41a及び第2接触部43aの一方に当接して、それを荷物支持面22より下方に退避させる。このとき、小荷物ガイドの伝達部47が第1接触部41a及び第2接触部43aの他方を荷物支持面22より下方に退避させる。
【0039】
第1の具体例として、
図7に示すように大パレット27の移動により第1ガイド41が押し下げられると、
図8に示すように、第1当接部41cが第2被当接部43dを押し下げることで、第2ガイド43を荷物支持面22から下方に退避させる。この結果、
図7に示すように、第1ガイド41と第2ガイド43が同時に退避位置に移動する。
第2の具体例として、大パレット27の移動により第2ガイド43が押し下げられると、
図8に示すように、第2当接部43cが第1被当接部41dを押し下げることで、第1ガイド41を荷物支持面22から下方に退避させる。この結果、第1ガイド41と第2ガイド43が同時に退避位置に移動する。
【0040】
したがって、大パレット27が第1方向のいずれの側から移載されても、第1ガイド41及び第2ガイド43のいずれもが大パレット27の移動を妨害しない。
以上の構成によれば、伝達部47はモータ等の駆動源が不要である。
なお、本実施形態では、第1ガイド及び第2ガイドによって上記効果が実現されているが、いずれか一方だけでは下記の不都合がある。例えば、本実施形態とは異なり第1ガイド41だけの例であれば、第1ガイド41がガイド位置にある(例えば、
図3)ときに図右側から大パレット27が搬入されると、軸41bに対して第1ガイド41が反時計回りに回転して異常が生じる可能性がある。
【0041】
なお、大パレット27が第1ガイド41及び第2ガイド43から離れると、付勢部材45A及び付勢部材45Bによって、第1ガイド41及び第2ガイド43は荷物支持面22から突出する。つまり、第1ガイド41及び第2ガイド43は自動的に元の状態に復帰する。より詳細には、第1ガイド41及び第2ガイド43の第1ガイド面41e及び第2ガイド面43eが、荷物支持面22より高い位置に配置される。
【0042】
図5に示すように、大パレット27は、第2方向に所定の幅であって第1方向に延びる溝27bを底面27aに有している。
しかし、第1接触部41a及び第2接触部43aは、第2方向において大パレット27の溝27bの幅よりも広い幅を有している。
したがって、大パレット27の溝27bが第1接触部41a又は第2接触部43aに重なる位置に配置された場合でも、第1接触部41a又は第2接触部43aが溝27bに嵌まることがない。したがって、大パレット27が移載不可になる不具合が生じない。
【0043】
2.第2実施形態
第1実施形態では、伝達部は第1ガイドと第2ガイドが互いに押し下げあう構造であり、第1ガイドと第2ガイドによって構成されていた。しかし、伝達部は第1ガイド及び第2ガイドの一方が大パレットと当接することで荷物支持面より下方に退避する際に力を伝達することで他方を荷物支持面より下方に退避させることができれば十分であるので、他の構造でもよい。例えば、伝達部は第1ガイド及び第2ガイドとは別の機構であってもよい。
図9及び
図10を用いて、そのような他の構造を第2実施形態として説明する。
図9は、第2実施形態の有軌道台車の模式的側面図である。
図10は、小荷物ガイドの退避動作を示す側面図である。
なお、第2実施形態は第1実施形態と基本的な構造及び動作は同じであるので、以下は異なる点を説明する。
【0044】
小荷物ガイド23Aは、第1ガイド41A、第2ガイド43A、伝達部47Aを有している。
伝達部47Aは、第1ガイド41A及び第2ガイド43Aの一方が突出及び退避を行えば、他方もそれぞれ突出及び退避を行わせるように第1ガイド41Aと第2ガイド43Aを連結するリンク機構である。
具体的には、伝達部47Aは、第1リンク51と、第2リンク53と、第3リンク55を有している。第1リンク51は、第1ガイド41Aと第2ガイド43Aの第1方向中間に配置され、
図9に示すように第1ガイド41A及び第2ガイド43Aがガイド位置にあるときに、上下方向に延びている。第1リンク51は、上下方向中間部に回転軸51回りに回転できるように支持されている。第2リンク53は、第1端が第1ガイド41Aの第1脚部41fに回転可能に連結されており、第2端が第1リンク51の上端に回転可能に連結されている。第3リンク55は、第1端が第2ガイド43Aの第2脚部43fに回転可能に連結されており、第2端が第1リンク51の下端に回転可能に連結されている。上記の各回転部の軸方向は第2方向に延びている。
【0045】
第1の具体例として、大パレット27の移動により第1ガイド41Aが押し下げられると、
図10に示すように、伝達部47Aが第2ガイド43Aを荷物支持面33aから下方に退避させる。具体的には、第1ガイド41Aが回転して退避位置に移動するときに、第2リンク53が第1リンク51を回転させ、次に第1リンク51が第3リンク55を揺動させ、最後に第3リンク55が第2ガイド43Aを回転させて退避位置に移動する。
第2の具体例として、大パレット27の移動により第2ガイド43Aが押し下げられると、伝達部47Aが第1ガイド41Aを荷物支持面22から下方に退避させる。具体的には、第2ガイド43Aが回転して退避位置に移動するときに、第3リンク55が第1リンク51を回転させ、次に第1リンク51が第2リンク53を揺動させ、最後に第2リンク53が第1ガイド41Aを回転させて退避位置に移動する。
以上の構成によれば、伝達部47Aはモータ等の駆動源が不要になる。
なお、この実施形態では、付勢部材45Cは第1ガイド41Aのみを付勢している(第2ガイド43Aに付勢部材は連結されていない)。ただし、第1ガイド41Aと第2ガイド41Bのそれぞれに付勢部材が連結されていてもよい。
【0046】
3.実施形態の共通事項
第1実施形態と第2実施形態は下記の事項が共通である。
搬送装置(例えば、移載装置11)は、搬送部と、ガイドと、を備えている。
搬送部(例えば、搬送部21)は、第1荷物(例えば、小パレット25)を搬送する第1搬送領域(例えば、第1搬送領域31)と、第1搬送領域と重複しており第1荷物より大きい第2荷物(例えば、大パレット27)を搬送する第2搬送領域(例えば、第2搬送領域33)とを有しており、第1荷物及び第2荷物を第1方向に搬送する。
ガイド(例えば、小荷物ガイド23)は、第1搬送領域の近傍でありかつ第2搬送領域のうち第1搬送領域に重複しない位置において、第2搬送領域の荷物支持面(例えば、荷物支持面22)から上方に突出して第1荷物をガイドすること及び荷物支持面から下方に退避することが可能である。
【0047】
ガイドは、第1ガイドと、第2ガイドと、付勢部材と、を有している。
第1ガイド(例えば、第1ガイド41)は、水平面において第1方向と直交する第2方向に延在する第1回転軸(例えば、第1回転軸41b)の回りに回動する。
第2ガイド(例えば、第2ガイド43)は、第1回転軸に対して平行な第2回転軸(例えば、第2回転軸43b)の回りに回動する。
付勢部材(例えば、付勢部材45)は、第1ガイド及び第2ガイドの少なくも一方が荷物支持面から退避しているときは突出する側に弾性的に付勢する。
【0048】
第1ガイドは、第2荷物の底面(例えば、底面27a)が当接することで荷物支持面より下方に退避する第1接触部(例えば、第1接触部41a)を有している。
第2ガイドは、第2荷物の底面が当接することで荷物支持面より下方に退避する第2接触部(第2接触部43a)を有している。
ガイドは、第1接触部及び第2接触部の一方が第2荷物と当接することで荷物支持面より下方に退避する際に、第1接触部及び第2接触部の他方を荷物支持面より下方に退避させる伝達部(例えば、伝達部47、伝達部47A)を有している。
【0049】
この装置では下記の動作が行われる。
第1荷物が搬送装置に移載される場合、第1荷物は、第2搬送領域の荷物支持面から上方に突出しているガイドによって案内される。
第2荷物が搬送装置に移載される場合、第2荷物が第1接触部及び第2接触部の一方に当接して荷物支持面より下方に退避させる。このとき、ガイドの伝達部が第1接触部及び第2接触部の他方を荷物支持面より下方に退避させる。したがって、第2荷物が第1方向のいずれの側から移載されても、第1ガイド及び第2ガイドのいずれもが第2荷物の移動を妨害しない。
【0050】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(1)小荷物ガイドの変形例
小荷物ガイドの位置や数は特に限定されない。例えば、小荷物ガイドは、搬送部において第1方向に複数並んで配置されてもよい。
小荷物ガイドは、第2方向において固定ガイドに対応して1つだけ設けられていてもよい。
【0051】
小荷物ガイドの接触部は、第2荷物の底面の溝の幅より広くなるように、小荷物ガイドの他の部分に比べて幅が長くてもよい。
ガイドの形状も特に限定されない。
第1実施形態では、互いに作用する第1ガイドと第2ガイドは、第2方向の同じ側に配置されている。しかし、互いに作用する第1ガイドと第2ガイドは、第2方向の反対側に各々配置されて、リンク機構等によって連結されていてよい。
【0052】
(2)伝達部の変形例
当接部及び被当接部はスムーズに押し下げができればよいので、当接部及び被当接部の位置や形状は特に限定されない。
伝達部は、歯車機構やカム機構を採用してもよい。
(3)搬送装置の変形例
第1実施形態の搬送装置は有軌道台車であったが、搬送装置は、コンベヤを使用する移載装置を有していればよいので、無軌道搬送車でもよい。
搬送装置は地上側に固定されていてもよい。
【0053】
(4)移載装置の変形例
第1実施形態の移載装置はチェーンコンベヤであったが、移載装置は荷物の移載が可能であればよいので、ローラコンベヤでもよい。移載装置はサイドアーム式であってもよい。
(5)荷物の変形例
荷物の種類は2以上でもよい。
荷物はパレットに限定されない。
【0054】
(6)付勢部材の変形例
第1実施形態では、付勢部材は2つ設けられていたが、付勢部材の数は1つでもよい。例えば、第1ガイド41にのみ付勢部材を設け、第1ガイド41がガイド位置に戻るときに第1ガイド41が第2ガイド43をガイド位置に戻す機構を設ければよい。そのような機構の一例とし、第1ガイド41の第1当接部41cの代わりに上下内側面を有するコの字状の突起を設け、その上下方向間に第2ガイド43の第2被当接部43dを配置する。これにより、第2ガイド43をガイド位置に戻すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、大きさが異なる荷物が移載される搬送装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 :有軌道台車システム
3 :走行レール
5 :有軌道台車
7 :フロア
9 :車体
11 :移載装置
13 :走行機構
15 :駆動車輪
21 :搬送部
23 :小荷物ガイド
25 :小荷物
27 :大荷物
27a :底面
27b :溝
31 :第1搬送領域
33 :第2搬送領域
41 :第1ガイド
41A :第1ガイド
41a :第1接触部
41b :第1回転軸
41c :第1当接部
41d :第1被当接部
41e :第1ガイド面
41f :第1脚部
43 :第2ガイド
43A :第2ガイド
43a :第2接触部
43b :第2回転軸
43c :第2当接部
43d :第2被当接部
43e :第2ガイド面
43f :第2脚部
45 :付勢部材
47 :伝達部
47A :伝達部