(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】VLANスイッチの制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
H04L12/46 V
(21)【出願番号】P 2020151487
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎一
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-293813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、VLAN(Virtual Local Area Network)スイッチに接続されている機器間のアクセス制御を行う制御装置において、
前記プロセッサは、
前記VLANスイッチが形成する第1のVLANに含まれる第1の機器からの、前記VLANスイッチが形成する第2のVLANに含まれる第2の機器へのアクセス権の付与要求に応じて、前記第1の機器と前記第2の機器との間の通信を可能とするよう前記VLANスイッチの設定を変更し、
前記第2の機器からの前記第1の機器へのアクセス要求に対してアクセスを許可する旨を前記第2の機器に返答し、
前記第2の機器から前記第1の機器へのアクセスを終了した旨を受信すると、前記VLANスイッチの設定を元に戻す、
ことを特徴とするVLANスイッチの制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記VLANスイッチがL3スイッチの場合、前記アクセス権の付与要求に応じて、前記第1のVLANと前記第2のVLANとの間でルーティングが可能となるよう前記VLANスイッチの設定を変更することを特徴とする請求項1に記載のVLANスイッチの制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記VLANスイッチがL2スイッチの場合、前記アクセス権の付与要求に応じて、前記第2の機器が前記第1のVLANに含まれるよう前記VLANスイッチの設定を変更することを特徴とする請求項1に記載のVLANスイッチの制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第2の機器から前記第1の機器へのアクセスを終了した旨を受信しなくても、前記アクセス権の付与要求を受信してから所定の時間経過した時点で前記VLANスイッチの設定を元に戻すことを特徴とする請求項1に記載のVLANスイッチの制御装置。
【請求項5】
VLANスイッチに接続されている機器間のアクセス制御を行うコンピュータに、
前記VLANスイッチが形成する第1のVLANに含まれる第1の機器からの、前記VLANスイッチが形成する第2のVLANに含まれる第2の機器へのアクセス権の付与要求に応じて、前記第1の機器と前記第2の機器との間の通信を可能とするよう前記VLANスイッチの設定を変更する機能、
前記第2の機器からの前記第1の機器へのアクセス要求に対してアクセスを許可する旨を前記第2の機器に返答する機能、
前記第2の機器から前記第1の機器へのアクセスを終了した旨を受信すると、前記VLANスイッチの設定を元に戻す機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VLANスイッチの制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
VLAN(Virtual Local Area Network)スイッチは、物理的に接続されている機器を仮想的なLAN、すなわちVLANに分けて構成する機能を有する装置である。VLANスイッチによって形成されたVLAN間では、通常、アクセスすることができない。従って、ブロードキャストドメインを分割でき、トラフィックの管理や各機器間のアクセス制御をしやすくすることができる。
【0003】
その一方、異なるVLANに属する機器間で、一時的にでもファイルを共有したいという要求もある。この場合、例えば、VLANスイッチにストレージデバイスを接続し、そのストレージデバイスに複数のVLANからアクセス可能な仮想ボリュームを作成し、その仮想ボリュームにファイルを一旦コピーしてから取り出すことでデータを共有するという技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なるVLANに含まれる機器間でのアクセスを可能とするために、制御装置が制御することにより実現することが想定される。
【0006】
しかしながら、アクセスのたびにVLANスイッチと制御装置との間で通信が発生することになり、VLANスイッチと制御装置の間のトラフィックの増大を招くおそれがある。
【0007】
本発明は、VLANスイッチと制御装置との間のトラフィックの増大を抑えつつ、VLANスイッチに接続され、異なるVLANに含まれる機器間でのアクセスの要求に応じて、当該アクセスをVLANスイッチが実施できるよう制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るVLANスイッチの制御装置は、プロセッサを備え、VLANスイッチに接続されている機器間のアクセス制御を行う制御装置において、前記プロセッサは、前記VLANスイッチが形成する第1のVLANに含まれる第1の機器からの、前記VLANスイッチが形成する第2のVLANに含まれる第2の機器へのアクセス権の付与要求に応じて、前記第1の機器と前記第2の機器との間の通信を可能とするよう前記VLANスイッチの設定を変更し、前記第2の機器からの前記第1の機器へのアクセス要求に対してアクセスを許可する旨を前記第2の機器に返答し、前記第2の機器から前記第1の機器へのアクセスを終了した旨を受信すると、前記VLANスイッチの設定を元に戻す、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記プロセッサは、前記VLANスイッチがL3スイッチの場合、前記アクセス権の付与要求に応じて、前記第1のVLANと前記第2のVLANとの間でルーティングが可能となるよう前記VLANスイッチの設定を変更することを特徴とする。
【0010】
また、前記プロセッサは、前記VLANスイッチがL2スイッチの場合、前記アクセス権の付与要求に応じて、前記第2の機器が前記第1のVLANに含まれるよう前記VLANスイッチの設定を変更することを特徴とする。
【0011】
また、前記プロセッサは、前記第2の機器から前記第1の機器へのアクセスを終了した旨を受信しなくても、前記アクセス権の付与要求を受信してから所定の時間経過した時点で前記VLANスイッチの設定を元に戻すことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプログラムは、VLANスイッチに接続されている機器間のアクセス制御を行うコンピュータに、前記VLANスイッチが形成する第1のVLANに含まれる第1の機器からの、前記VLANスイッチが形成する第2のVLANに含まれる第2の機器へのアクセス権の付与要求に応じて、前記第1の機器と前記第2の機器との間の通信を可能とするよう前記VLANスイッチの設定を変更する機能、前記第2の機器からの前記第1の機器へのアクセス要求に対してアクセスを許可する旨を前記第2の機器に返答する機能、前記第2の機器から前記第1の機器へのアクセスを終了した旨を受信すると、前記VLANスイッチの設定を元に戻す機能、を実現させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、VLANスイッチと制御装置との間のトラフィックの増大を抑えつつ、VLANスイッチに接続され、異なるVLANに含まれる機器間でのアクセスの要求に応じて、当該アクセスをVLANスイッチが実施できるよう制御することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、VLANスイッチがL3スイッチの場合に、異なるVLANに含まれる機器にアクセスさせることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、VLANスイッチがL2スイッチの場合でも、異なるVLANの機器にアクセスさせることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、第2の機器がアクセスを終了した旨を送信してこなくても、VLANスイッチにおけるVLANの構成を元に戻すことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、VLANスイッチと制御装置との間のトラフィックの増大を抑えつつ、VLANスイッチに接続され、異なるVLANに含まれる機器間でのアクセスの要求に応じて、当該アクセスをVLANスイッチが実施できるよう制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1における制御装置を含むVLANシステムの全体構成及び制御装置のブロック構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1におけるアクセス制御処理を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1において、VLANスイッチへの設定変更の内容を概念的に示すVLANシステムの全体構成図である。
【
図4】実施の形態2における制御装置を含むVLANシステムの全体構成及び制御装置のブロック構成を示す図である。
【
図5】実施の形態2において、VLANスイッチへの設定変更の内容を概念的に示すVLANシステムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0020】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る制御装置の一実施の形態を含むVLANシステムの全体構成及び制御装置のブロック構成を示す図である。
図1には、VLANスイッチ1と、VLANスイッチ1に接続されたPC(Personal Computer)2及び制御装置10が示されている。VLANスイッチ1は、物理的に接続されている機器を仮想的なLAN(すなわち、VLAN)に分けて構成する機能を有している。本実施の形態におけるVLANスイッチ1は、一般に「L3スイッチ」と呼ばれるレイヤ3スイッチである。L3スイッチは、コンピュータネットワークにおいて、ルーターとスイッチングハブの機能を併せ持つ機器であり、IP(Internet Protocol)アドレスを元にパケットの転送を行う。
【0021】
PC2は、VLANスイッチ1のアクセスポート1bに接続される。VLANスイッチ1は、
図1においては破線で示すように、PC2をVLAN#1~#3のセグメントに分けて構成する。PC11,PC12及びPC13はVLAN#1に含まれ、PC21はVLAN#2に含まれ、PC31及びPC32はVLAN#2に含まれる。なお、PCを個々に示す場合は「PC11」のようにVLANの識別番号と機器の識別番号との組合せで示し、総称する場合は「PC2」と記載する。なお、
図1では、6台のPC2をVLANスイッチ1に接続し、3つのVLANに分けた構成を示しているが、PC2の台数及びVLANの数は一例であって、これに限定するものではない。
【0022】
制御装置10は、VLANスイッチ1のトランクポート1cに接続される。制御装置10は、PC等汎用的なコンピュータで形成できる。従って、制御装置10は、プロセッサ、ROM、RAM、記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)、VLANスイッチ1を接続するネットワークインタフェース、マウスやキーボード等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を含むユーザインタフェースを内部バスに接続して構成される。
【0023】
図1に示すように、制御装置10は、通信処理部11、アクセス権設定処理部12、アクセス制御部13及びアクセス権設定情報記憶部14を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略している。
【0024】
通信処理部11は、VLANスイッチ1やVLANスイッチ1を介してPC2との間で通信を行う。アクセス権設定処理部12は、第1のVLANに含まれる第1の機器としてのPC2からの、第1のVLANスイッチとは異なる第2のVLANに含まれる第2の機器としてのPC2へのアクセス権の付与要求を受け付け、受け付けた付与要求に従いアクセス権の設定内容をアクセス権設定情報としてアクセス権設定情報記憶部14に登録する。また、アクセス権設定処理部12は、第2の機器が第1の機器へのアクセスが終了した旨の通知を受けると、アクセス権設定情報記憶部14に登録したアクセス権設定情報を削除する。
【0025】
アクセス制御部13は、第1の機器から第2の機器にアクセス権が付与された場合、当該アクセスができるようにVLANスイッチ1の設定を変更する。また、アクセス制御部13は、アクセス権が付与された第2の機器からの第1の機器へのアクセス要求に対してアクセスを許可する旨を第2の機器に返答する。更に、アクセス制御部13は、第2の機器が第1の機器へのアクセスが終了した旨の通知を受けると、VLANスイッチ1の設定を元に戻す。
【0026】
制御装置10における各構成要素11~13は、制御装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、アクセス権設定情報記憶部14は、制御装置10に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0027】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0028】
本実施の形態においては、アクセス対象のファイルを転送したり、共有化したりすることなく、制御装置10によるVLANスイッチ1の制御によって、異なるVLANに含まれているPC2間でアクセスを可能とすることを特徴としている。以下、本実施の形態における特徴的なPC2間のアクセス制御について、
図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0029】
VLANスイッチ1は、通常、すでに設定しているVLANに従って、PC2間でのアクセスを許容している。つまり、
図1に示すように、VLAN#1に含まれるPC11,PC12及びPC13は、その3台のPC間で相互にアクセスすることができ、異なるVLAN#2,#3に含まれるPC21,PC31,PC32にアクセスすることはできない。VLAN#2に含まれるPC21は、異なるVLAN#1,#3に含まれるいずれのPC11,PC12,PC13,PC31,PC32にアクセスすることはできない。そして、VLAN#3に含まれるPC31及びPC32は、その2台のPC間で相互にアクセスすることができ、異なるVLAN#2,#3に含まれるPC11,PC12,PC13及びPC21にアクセスすることはできない。
【0030】
ここで、VLAN#2に含まれる第1の機器としてのPC21が、異なるVLAN#1に含まれる第2の機器としてのPC11に、PC21の内部に保存しているファイルへのアクセスを一時的に許可したいとする。なお、厳密には、PC21のユーザがPC11のユーザに対してファイルにアクセスさせることを希望することになるが、説明の簡略化のために、上記のようにPC21がPC11に許可したいなどように、動作の主体をPC2とし、ユーザについての記載は適宜省略する。
【0031】
PC11にアクセスを許可したい場合、PC21は、ユーザ操作に応じて制御装置10に要求し、所定のアクセス権付与要求画面を画面に表示する。制御装置10は、PC21からの要求に応じてアクセス権付与要求画面(例えば、ウェブ画面)を送信することによってPC21の画面に表示させる。
【0032】
PC21のユーザは、アクセス権付与要求画面から、PC21の内部に保存しているファイルに対するアクセス権を付与する設定を行う。そして、ユーザは、例えばアクセス権付与要求画面上の付与要求ボタンを操作することでアクセス権の付与を制御装置10に要求する。
【0033】
制御装置10において、通信処理部11は、PC21から何らかの情報を受信するが(ステップ101)、それがアクセス権付与要求の場合(ステップ102でY)、アクセス権設定処理部12は、要求されたアクセス権に関する設定内容、ここでは、PC21が属するVLAN#2は、PC11が属するVLAN#1からのアクセスを許可するアクセス権を設定し、そのアクセス権の設定内容及び要求された日時を含むアクセス権設定情報をアクセス権設定情報記憶部14に登録する(ステップ103)。なお、この時点では、制御装置10がアクセス権の設定内容を内部に保持しているだけなので、PC11は、まだPC21のファイルにアクセスできない。
【0034】
その後、PC11がPC21に保存されているファイルにアクセスしたい旨を制御装置10に要求する。通信処理部11は、PC11から何らかの情報を受信するが(ステップ101)、それがPC21へのアクセス要求の場合(ステップ102でN,ステップ104でY)、アクセス制御部13は、アクセス権設定情報記憶部14への登録内容を参照することで、PC11からのPC21へのアクセスの可否を判定する(ステップ105)。アクセス可と判定した場合(ステップ106でY)、アクセス制御部13は、VLAN#1とVLAN#2との間でルーティングが可能となるようにVLANスイッチ1の設定を変更する(ステップ107)。ルーティング可能と設定されることで、VLAN#1とVLAN#2との間でファイルアクセスが可能となった状態になったことを
図3に示す。なお、VLANスイッチ1への設定変更に伴い、VLAN#1とVLAN#2との間では、双方向にアクセスすることが可能となり、アクセス要求に該当する、PC11からPC21へのアクセスに限定されない。
【0035】
VLANスイッチ1に対する設定が終了すると、アクセス制御部13は、PC11からの要求に対して、アクセス可能のレスポンスを返信する(ステップ108)。
【0036】
なお、仮にVLAN#3に含まれるPC31がPC21のファイルにアクセスしたい旨を要求しても、その要求を受け入れるアクセス権設定情報がアクセス権設定情報記憶部14に登録されていないので、アクセス制御部13は、PC31からPC21へのアクセスは不可と判定する(ステップ101,102でN、104でY、105)。この場合(ステップ106でN)、アクセス制御部13は、VLANスイッチ1の設定を変更することなく、PC31からの要求に対して、アクセス不可のレスポンスを返信する(ステップ108)。
【0037】
以上のように、PC11からのアクセス要求に応じてVLANスイッチ1の設定が変更されることによって、PC11は、PC21に対してアクセスすることができるようになる。
【0038】
その後、PC11は、PC21へのアクセスが終了すると、アクセスが終了した旨を制御装置10に通知する。これは、例えば、アクセス権付与要求画面を表示させる場合と同様に、PC11は、ユーザ操作に応じて制御装置10に要求し、制御装置10から受け取ったアクセス終了通知画面(例えば、ウェブ画面)を画面に表示するようにしてもよい。
【0039】
PC11のユーザは、アクセス終了通知定画面から、アクセスを終了させるPC21を選択し、例えばアクセス終了ボタンを操作することでアクセスを終了する旨を制御装置10に通知する。
【0040】
制御装置10において、通信処理部11は、PC21から何らかの情報を受信するが(ステップ101)、それがアクセス終了通知の場合(ステップ101,102でN、104でN,109でY)、アクセス権設定処理部12は、アクセスの終了に対応するアクセス権設定情報、具体的には、ステップ103において設定したVLAN#1からVLAN#2へのアクセスを許可するアクセス権を設定したアクセス権設定情報をアクセス権設定情報記憶部14から削除する(ステップ110)。また、アクセス制御部13は、VLAN#1とVLAN#2をルーティング不可にするようVLANスイッチ1の設定を元に戻す(ステップ111)。なお、ステップ110,111は、どちらが先でもよいし、同時並行して処理してもよい。
【0041】
本実施の形態によれば、VLANスイッチ1がL3スイッチの場合、アクセス権の付与要求に対し、ファイルアクセスを許可するVLAN#1,#2間でルーティングを可能とするようVLANスイッチ1の設定を変更するだけで、PC11がPC21にアクセスすることが可能となる。この際、制御装置10は、アクセスされるファイルを何ら中継することはしないので、VLANスイッチ1と制御装置10との間におけるトラフィックの増大を抑えることができる。
【0042】
ところで、上記説明においては、PC21からのアクセス権付与要求に対し、そのアクセス権の設定内容を内部に保持することに留め、PC11からのアクセス要求があってはじめてVLANスイッチ1の設定を変更するようにした。ただ、PC21からのアクセス権付与要求に対し、アクセス権の設定内容を内部に保持すると共に、VLANスイッチ1の設定変更を合わせて行うように処理してもよい。いずれのタイミングでVLANスイッチ1の設定を変更するにしても、アクセス権の付与要求に応じてVLANスイッチ1の設定を変更することになる。
【0043】
また、上記説明においては、PC2からアクセス終了の旨の通知を受けてはじめてVLANスイッチの設定を元に戻すようにしたが、PC2のユーザがアクセスの終了を通知してこない場合も想定しうる。この場合、VLANスイッチ1は、通常の設定とは異なる設定(つまり、ルーティングする設定)のままとなる。
【0044】
そこで、アクセス制御部13は、PC11からアクセスを終了した旨が通知されてこなくても、アクセス権の付与要求を受信してから所定の時間経過した時点でVLANスイッチ1の設定を元に戻すように制御してもよい。制御装置10が付与要求を受信した日時は、アクセス権設定情報に含まれているので、アクセス制御部13は、その日時と現在時刻とを比較することで、所定の時間経過したことを認識できる。
【0045】
なお、上記記載した変形例は、後述する実施の形態2においても適用可能である。
【0046】
実施の形態2.
図4は、本発明に係る制御装置の一実施の形態を含むVLANシステムの全体構成及び制御装置のブロック構成を示す図である。
図4は、実施の形態1における
図1に対応する図である。
図4において、
図1と同じ構成要素には同じ符号を付け、説明を適宜省略する。本実施の形態においては、VLANスイッチの種類が実施の形態1と異なるだけである。本実施の形態におけるVLANスイッチ4は、一般に「L2スイッチ」と呼ばれるレイヤ2スイッチである。L2スイッチは、L3スイッチと異なり、ルーティング機能を持っておらず、MAC(Media Access Control)アドレスを元にパケットの転送を行う。
【0047】
本実施の形態における制御装置10のブロック構成は、実施の形態1と同じでよく、アクセス制御部13におけるVLANスイッチ4への設定変更の内容が異なる。
【0048】
次に、本実施の形態におけるPC2間のアクセス制御について説明するが、この制御の処理ステップも実施の形態1において用いた
図2と同じでよい。ただ、
図2に示すステップ107の設定内容が異なる。なお、ここでは、VLAN#2に含まれる第1の機器としてのPC21が、異なるVLAN#1に含まれる第2の機器としてのPC13に、PC21の内部に保存しているファイルへのアクセスを一時的に許可したい場合を例にして説明する。
【0049】
まず、アクセス権設定情報をアクセス権設定情報記憶部14に設定するまでの処理は、実施の形態1と同じでよい(ステップ101,102でY,103)。
【0050】
続いて、PC13からのアクセス要求に対して、アクセス制御部13がアクセス可と判定するまでの処理も実施の形態1と同じでよい(ステップ101,102でN,104でY,105)。
【0051】
そして、アクセス可と判定した場合(ステップ106でY)、アクセス制御部13は、PC13を接続するアクセスポート4aを、VLAN#1からVLAN#2に属するようVLANスイッチ4の設定を変更する(ステップ107)。設定変更をした後のVLANの構成を
図5に示す。
図5に示すように、PC13は、PC21が属するVLAN#2に一時的に含まれることになる。
【0052】
これにより、PC13は、同じVLAN#2に含まれるPC21にアクセスすることが可能となる。ただ、その一方、PC13は、VLAN#2に含まれている間は、VLAN#1に含まれるPC11,PC12にアクセスすることはできない。
【0053】
PC13がPC21へのアクセスが終了すると、実施の形態1と同様にアクセス終了の旨を通知することによって(ステップ101,102でN、104でN,109でY)、アクセス権設定処理部12は、アクセスの終了に対応するアクセス権設定情報をアクセス権設定情報記憶部14から削除し(ステップ110)、アクセス制御部13は、PC13を接続するアクセスポート4aを、VLAN#2からVLAN#1に属するようVLANスイッチ4の設定を元に戻す(ステップ111)。
【0054】
本実施の形態によれば、VLANスイッチ4がL2スイッチの場合、アクセス権の付与要求に対し、ファイルアクセスを許可するPC13が属するVLANを変更するようVLANスイッチ4の設定を変更するだけで、PC13がPC21にアクセスすることが可能になる。この際、制御装置10は、アクセスされるファイルを何ら中継することはしないので、VLANスイッチ4と制御装置10との間におけるトラフィックの増大を抑えることができる。
【0055】
上記各実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0056】
また上記実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,4 VLANスイッチ、1b,4a アクセスポート、1c トランクポート、10 制御装置、11 通信処理部、12 アクセス権設定処理部、13 アクセス制御部、14 アクセス権設定情報記憶部。