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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】判別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240305BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20240305BHJP
   H01H 35/00 20060101ALI20240305BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G01N21/27 A
H01H36/00 J
H01H36/00 H
H01H35/00 X
G01J3/46 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021043899
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143410
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】恒川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】恩田 敬冶
(72)【発明者】
【氏名】日比野 康司
(72)【発明者】
【氏名】大沢 政明
(72)【発明者】
【氏名】和田 聡
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063616(JP,A)
【文献】特開2014-182700(JP,A)
【文献】特開2003-075135(JP,A)
【文献】特開2004-313459(JP,A)
【文献】特開2017-001940(JP,A)
【文献】特開2013-239010(JP,A)
【文献】特表2017-508485(JP,A)
【文献】特表2018-515830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/01
G01N21/17-G01N21/61
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
H01H35/00
H01H36/00-H01H36/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の手指に装着物が装着されているか否かを判別する判別装置であって、
底面及び前記底面を取り囲む環状の側面を含み、前記手指の挿入可能な凹部を有する本体と、
前記凹部の前記底面に設けられ、前記凹部の内部への前記手指の挿入動作を検知する静電容量方式または抵抗膜方式の第1センサと、
前記凹部の前記底面または前記側面に設けられ、色を検知する第2センサと、
前記第1センサにより前記手指の挿入動作が検知され、且つ前記第2センサにより前記装着物の外面の色が検知された場合に、前記手指に前記装着物が装着されていると判断する制御部と、を備える、
判別装置。
【請求項2】
前記第2センサは、前記凹部の前記側面に設けられている、
請求項1に記載の判別装置。
【請求項3】
前記凹部の前記側面において前記第2センサに対向する対向部は、前記装着物の外面とは異なる色を呈している、
請求項2に記載の判別装置。
【請求項4】
前記対向部の色は、前記装着物の外面の色と補色の関係である、
請求項3に記載の判別装置。
【請求項5】
前記側面は、前記底面に近づくほど先細な形状である、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の手指に装着物が装着されているか否かを判別する判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば食品加工工場においては、UVC殺菌装置を用いて、作業者の手の殺菌が行われる。UVCは、波長が200~280ナノメートルの紫外線であり、殺菌性能が高い。こうした紫外線が、ゴム手袋が装着されていない状態の手の皮膚に照射されると、人体に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0003】
そこで、作業者の安全性を確保するために、上記UVC殺菌装置において、作業者の手にゴム手袋が装着されているか否かを判別する判別装置を設けることが考えられる。この場合、判別装置によりゴム手袋が装着されていると判別された場合にのみ、紫外線の照射が許可される。
【0004】
特許文献1には、タッチパネルを使用する使用者の手を撮影するとともに、その撮影画像に基づいて、使用者の手が手袋装着状態と手袋非装着状態とのいずれの状態であるかを判断する装置が開示されている。同装置は、使用者の手の撮影画像と、当該撮影画像が取得されたときに使用者の手が手袋装着状態及び手袋非装着状態のいずれの状態であったかを示す手袋有無情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備えている。また、同装置は、同記憶手段に記憶された手袋有無情報を参照しつつ、手袋有無情報に対応づけられた撮影画像と、新たに取得された撮影画像とを比較することで、使用者の手が手袋装着状態と手袋非装着状態とのいずれの状態であるかを判断する判断手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-182700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記判別装置において特許文献1に記載の技術を採用する場合には、使用者の手を撮影するカメラの他、上記記憶手段及び上記判断手段が必要になる。そのため、判別装置の構成が複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための判別装置は、人の手指に装着物が装着されているか否かを判別する判別装置であって、底面及び前記底面を取り囲む環状の側面を含み、前記手指の挿入可能な凹部を有する本体と、前記凹部の前記底面に設けられ、前記凹部の内部への前記手指の挿入動作を検知する静電容量方式または抵抗膜方式の第1センサと、前記凹部の内部に設けられ、色を検知する第2センサと、前記第1センサにより前記手指の挿入動作が検知され、且つ前記第2センサにより前記装着物の外面の色が検知された場合に、前記手指に前記装着物が装着されていると判断する制御部と、を備える。
【0008】
同構成によれば、本体の凹部の内部に人の手指が挿入されると、この挿入動作が、凹部の底面に設けられた静電容量方式または抵抗膜方式の第1センサによって検知される。またこのとき、手指に装着物が装着されている場合には、第2センサにより、装着物の外面の色が検知される。
【0009】
上記構成によれば、第1センサにより手指の挿入動作が検知され、且つ第2センサにより装着物の外面の色が検知された場合に、制御部によって、手指に装着物が装着されていると判断される。
【0010】
したがって、人の手指に装着物が装着されているか否かを簡単な構成によって判別することができる。
上記判別装置において、前記第2センサは、前記凹部の前記側面に設けられていることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、第2センサから見た背景の色が、手指の挿入動作以外の要因によって変化しにくくなる。また、第2センサから背景までの距離が一定となる。このため、凹部の内部に手指が挿入されていない状態において、背景からの光の反射量の変動が小さくなる。これにより、背景からの光の反射量が変動することに起因した判別精度の低下を抑制できる。
【0012】
上記判別装置において、前記凹部の前記側面において前記第2センサに対向する対向部は、前記装着物の外面とは異なる色を呈していることが好ましい。
対向部の色が装着物の外面の色と同じである場合、第2センサが対向部の色と装着物の外面の色とを区別することが困難となりやすい。その結果、上記判別の精度が低下するおそれがある。
【0013】
この点、上記構成によれば、上述した不都合の発生が抑制されるため、手指に装着物が装着されているか否かを一層精度良く判別することができる。
上記判別装置において、前記対向部の色は、前記装着物の外面の色と補色の関係であることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、上述した不都合の発生が一層抑制される。このため、手指に装着物が装着されているか否かをより一層精度良く判別することができる。
上記判別装置において、前記側面は、前記底面に近づくほど先細な形状であることが好ましい。
【0015】
同構成によれば、凹部の側面によって、底面に設けられた第1センサに向かう手指の移動が円滑に案内されるようになる。これにより、第1センサが設けられた底面に対して手指を適切に近接または接触させることができるため、第1センサによって凹部の内部への手指の挿入動作を的確に検知できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、人の手指に装着物が装着されているか否かを簡単な構成によって判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】判別装置の一実施形態を示す平面図。
図2】同実施形態の判別装置を示す斜視図。
図3】静電容量方式の第1センサを示す断面図。
図4】抵抗膜方式の第1センサを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図4を参照して、判別装置の一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、判別装置10は、装着物としてのゴム手袋91が人の手指90に装着されているか否かを判別するものである。ゴム手袋91は、例えば食品加工工場などで用いられるものであり、青色を呈する外面を有する。
【0019】
判別装置10は、本体11、第1センサ20、第2センサ30、及び制御部40を備えている。
本体11は、手指90の挿入可能な凹部12を有している。
【0020】
凹部12は、底面13と、底面13を取り囲む環状の側面14とを有している。底面13は、例えば長円状である。側面14は、底面13に近づくほど先細な形状である。凹部12は、例えば人差し指の腹を含む末節部の一部が挿入可能な大きさを有している。
【0021】
<第1センサ20>
凹部12の底面13には、凹部12の内部への手指90の挿入動作を検知する第1センサ20が設けられている。第1センサ20は、静電容量方式または膜抵抗方式のタッチセンサである。
【0022】
<静電容量方式の第1センサ20>
図3に示すように、静電容量方式の第1センサ20は、絶縁体21と、絶縁体21の裏面に設けられた電極22とを備えている。絶縁体21は、例えば硬質合成樹脂製である。絶縁体21の表面によって、底面13が構成されている。
【0023】
絶縁体21へ手指90が近接すると、これに伴って絶縁体21の静電容量が増加する。第1センサ20は、絶縁体21の静電容量に基づいて凹部12の内部への手指90の挿入動作を検知する。
【0024】
<膜抵抗方式の第1センサ20>
図4に示すように、抵抗膜方式の第1センサ20は、絶縁基板(図示略)上に配置された第1電極膜23と、第1電極膜23と隙間Sを介して平行に配置された第2電極膜25と、第2電極膜25上に配置された絶縁膜26を備えている。第1電極膜23の外周部と第2電極膜25の外周部との間には、上記隙間Sを保持するための絶縁体24が設けられている。絶縁膜26の表面によって、底面13が構成されている。
【0025】
手指90によって絶縁膜26の表面が押されると、絶縁膜26及び第1電極膜23が撓むとともに、第1電極膜23と第2電極膜25とが接触することで導通する。これにより、第1電極膜23と第2電極膜25との間の電圧が変動する。
【0026】
第1センサ20は、第1電極膜23と第2電極膜25との間の電圧の変化量に基づいて凹部12の内部への手指90の挿入動作を検知する。
<第2センサ30>
凹部12の内部には、色を検知する第2センサ30が設けられている。第2センサ30は、カラーセンサであり、周知の3チャンネルのフォトダイオードにより構成されている。フォトダイオードは、R(Red )、G(Green )、B(Blue)の各々の光の波長に感度を有している。
【0027】
第2センサ30は、凹部12の側面14に設けられている。第2センサ30の受光部は、凹部12の軸線方向に直交する方向を指向している。
凹部12の側面14において第2センサ30に対向する対向部15は、ゴム手袋91の外面とは異なる色を呈している。対向部15の色は、ゴム手袋91の外面の色と補色の関係である。本実施形態では、ゴム手袋91の外面が青色を呈するため、対向部15は、黄色を呈している。また、本実施形態では、側面14全体が黄色を呈している。
【0028】
第1センサ20及び第2センサ30は、共に制御部40に電気的に接続されている。制御部40には、第1センサ20からの検出信号及び第2センサ30からの検出信号が入力される。
【0029】
制御部40は、第1センサ20により手指90の挿入動作が検知され、且つ第2センサ30によりゴム手袋91の外面の色が検知された場合に、手指90にゴム手袋91が装着されていると判断する。
【0030】
制御部40には、紫外線照射装置50が電気的に接続されている。
紫外線照射装置50は、制御部40から、手指90にゴム手袋91が装着されているとの判断結果の信号が入力されると、紫外線の照射を許可するように構成されている。
【0031】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本体11の凹部12の内部に人の手指90が挿入されると、この挿入動作が、凹部12の底面13に設けられた第1センサ20によって検知される。またこのとき、手指90にゴム手袋91が装着されている場合には、第2センサ30により、ゴム手袋91の外面の色が検知される。第1センサ20により手指90の挿入動作が検知され、且つ第2センサ30によりゴム手袋91の外面の色が検知された場合に、制御部40によって、手指90にゴム手袋91が装着されていると判断される。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)判別装置10は、手指90の挿入可能な凹部12を有する本体11と、凹部12の底面13に設けられ、凹部12の内部への手指90の挿入動作を検知する静電容量方式の第1センサ20と、凹部12の内部に設けられ、色を検知する第2センサ30と、制御部40とを備える。制御部40は、第1センサ20により手指90の挿入動作が検知され、且つ第2センサ30によりゴム手袋91の外面の色が検知された場合に、手指90にゴム手袋91が装着されていると判断する。
【0033】
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、人の手指90にゴム手袋91が装着されているか否かを簡単な構成によって判別することができる。
(2)第2センサ30は、凹部12の側面14に設けられている。
【0034】
こうした構成によれば、第2センサ30から見た背景の色が、手指90の挿入動作以外の要因によって変化しにくくなる。また、第2センサ30から背景までの距離が一定となる。このため、凹部12の内部に手指90が挿入されていない状態において、背景からの光の反射量の変動が小さくなる。これにより、背景からの光の反射量が変動することに起因した判別精度の低下を抑制できる。
【0035】
また、第1センサ20と第2センサ30とが凹部12の内部において互いに異なる部分に設けられるようになる。このため、第1センサ20及び第2センサ30の実装を容易に行うことができる。
【0036】
また、第2センサ30に対しては、手指90からの圧力が作用しにくくなる。このため、第2センサ30の信頼性及び耐久性を高めることができる。
(3)凹部12の側面14において第2センサ30に対向する対向部15は、ゴム手袋91の外面とは異なる色を呈している。
【0037】
対向部15の色がゴム手袋91の外面の色と同じである場合、制御部40は、第2センサ30の検出結果に基づいて対向部15の色とゴム手袋91の外面の色とを区別することが困難となりやすい。その結果、上記判別の精度が低下するおそれがある。
【0038】
この点、上記構成によれば、上述した不都合の発生が抑制されるため、手指90にゴム手袋91が装着されているか否かを一層精度良く判別することができる。
(4)対向部15の色は、ゴム手袋91の外面の色と補色の関係である。
【0039】
こうした構成によれば、上述した不都合の発生が一層抑制される。このため、手指90にゴム手袋91が装着されているか否かをより一層精度良く判別することができる。
(5)側面14は底面13に近づくほど先細な形状である。
【0040】
こうした構成によれば、凹部12の側面14によって、底面13に設けられた第1センサ20に向かう手指90の移動が円滑に案内されるようになる。これにより、第1センサ20が設けられた底面13に対して手指90を適切に近接または接触させることができるため、第1センサ20によって、凹部12の内部への手指90の挿入動作を的確に検知できる。
【0041】
(6)第1センサ20及び第2センサ30は、制御部40に電気的に接続されている。
こうした構成によれば、手指90にゴム手袋91が装着されているか否かを1つの制御部40によって判別することができる。したがって、判別装置10の構成が簡単となるため、コスト低減に寄与する。
【0042】
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・凹部12の側面14は、底面13に近づくほど先細な形状に限定されず、深さ方向において一定の断面形状を有するものであってもよい。
・対向部15の色は、黄色に限定されず、ゴム手袋91の外面の色と補色の関係でなくてもよい。
【0044】
・ゴム手袋91の外面は、青色を呈するものに限定されず、黄色や赤色など青色以外の色を呈するものであってもよい。
・装着物は、ゴム手袋91に限定されず、ビニール手袋など他の手袋や、指サックでもよい。
【0045】
・第2センサ30は、凹部12の側面14に設けられるものに限定されず、底面13に設けるようにしてもよい。この場合、底面13を、第1センサ20が設けられる部分と、第2センサ30が設けられる部分とに分割して構成することもできる。
【0046】
・凹部12の底面13は、長円形に限定されず、円形であってもよいし、四角形や六角形などの多角形であってもよい。
・判別装置10は、紫外線照射装置50に電気的に接続されるものに限定されない。例えば、判別装置10を、出入り口を自動開閉する装置に対して適用することもできる。この場合、手指90に装着物が装着されていることを、ドアの解錠条件として設定することもできる。
【符号の説明】
【0047】
10…判別装置
11…本体
12…凹部
13…底面
14…側面
15…対向部
20…第1センサ
21…絶縁体
22…電極
23…第1電極膜
24…絶縁体
25…第2電極膜
26…絶縁膜
30…第2センサ
40…制御部
50…紫外線照射装置
90…手指
91…ゴム手袋(装着物)
図1
図2
図3
図4