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特許7447863非接触給電用のコイルアッセンブリーおよび給電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】非接触給電用のコイルアッセンブリーおよび給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20240305BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240305BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H01F38/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021074033
(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公開番号】P2022168513
(43)【公開日】2022-11-08
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英介
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 侑生
【審査官】大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0285016(US,A1)
【文献】特開2020-068575(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044450(WO,A1)
【文献】特開2011-130643(JP,A)
【文献】特開2019-012731(JP,A)
【文献】特表2020-530207(JP,A)
【文献】特開2002-274226(JP,A)
【文献】特許第5966038(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/40
H02J 50/12
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)であって、
複数の外部接続端子(TP,TN)と、
給電コイル(L1)と、
前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、
前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、
コア(43)と、を備え、
前記複数の外部接続端子は、前記コアの端部より内側に配置されている、コイルアッセンブリー。
【請求項2】
請求項に記載のコイルアッセンブリー(40)であって、
前記コアは、前記給電コイルと、前記母線との間に配置されている、コイルアッセンブリー。
【請求項3】
非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)であって、
複数の外部接続端子(TP,TN)と、
給電コイル(L1)と、
前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、
前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、
シールド(44)と、を備え、
前記複数の外部接続端子は、前記シールドの端部より内側に配置されている、コイルアッセンブリー。
【請求項4】
請求項に記載のコイルアッセンブリー(40)であって、
前記シールドは、前記給電コイルと、前記母線との間に配置されている、コイルアッセンブリー。
【請求項5】
非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)であって、
複数の外部接続端子(TP,TN)と、
給電コイル(L1)と、
前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、
前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、を備え、
前記複数の外部接続端子としての複数の第1外部接続端子(TP)と、
前記複数の外部接続端子としての複数の第2外部接続端子(TN)と、を有し、
前記複数の第1外部接続端子と前記複数の第2外部接続端子の数とはそれぞれ、3つ以上である、コイルアッセンブリー。
【請求項6】
非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)であって、
複数の外部接続端子(TP,TN)と、
給電コイル(L1)と、
前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、
前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、を備え、
前記複数の外部接続端子としての複数の第1外部接続端子(TP)と、
前記複数の外部接続端子としての複数の第2外部接続端子(TN)と、を有し、
前記複数の第1外部接続端子と前記複数の第2外部接続端子の数とはそれぞれ、2つであり、
前記複数の第1外部接続端子と接続する前記母線としての第1母線(LP)と、前記複数の第2外部接続端子と接続する前記母線としての第2母線(LN)とは、互いに隣接して配置され、
前記第1母線と、前記第2母線とは、前記給電コイルに隣接して配置されており、かつ、平面視において前記給電コイルの内側部分を除く範囲に配置されている、コイルアッセンブリー。
【請求項7】
非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)であって、
複数の外部接続端子(TP,TN)と、
給電コイル(L1)と、
前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、
前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、を備え、
前記複数の外部接続端子としての複数の第1外部接続端子(TP)と、
前記複数の外部接続端子としての複数の第2外部接続端子(TN)と、を有し、
前記複数の外部接続端子は、電源用端子であり、
前記複数の第1外部接続端子間に接続され、前記母線に配置された第1補償コンデンサ(C2)と、前記複数の第2外部接続端子間に接続され、前記母線に配置された第2補償コンデンサ(C3)との、少なくとも何れか一方を備える、コイルアッセンブリー。
【請求項8】
請求項からの何れか一項に記載のコイルアッセンブリーであって、
前記複数の第1外部接続端子と、前記複数の第2外部接続端子とは、形状が互いに異なる、コイルアッセンブリー。
【請求項9】
請求項1からの何れか一項に記載のコイルアッセンブリーであって、
前記コイルアッセンブリーは、さらに、
前記母線が形成された母線基板(45)を備え、
前記複数の外部接続端子の各々は、
前記母線基板上に形成された第1態様と、前記母線基板上に形成され、前記母線基板に形成された前記母線と電気的に接続するコイル端子(47,50)と電気的に接続される第2態様とのいずれかであり、
前記コイルアッセンブリーは、
前記給電コイルは、平面視において矩形の角部を除く範囲に形成されており、
前記第1態様の前記外部接続端子と、前記第2態様の前記外部接続端子と電気的に接続される前記コイル端子とは、前記平面視において前記角部が位置する範囲に形成されている、コイルアッセンブリー。
【請求項10】
非接触給電用の給電システム(10)であって、
電源(32)と、
複数の第1コイルアッセンブリー(40A)と、
第2コイルアッセンブリー(40B)と、を備え、
前記複数の第1コイルアッセンブリーのそれぞれは、
複数の第1コイル外部接続端子(TP,TN)と、
第1コイル給電コイル(L1)と、
前記第1コイル給電コイルと電気的に接続される第1コイル共振コンデンサ(C1)と、
前記複数の第1コイル外部接続端子間を電気的に接続する第1コイル母線(LP,LN)と、を備え、
前記第2コイルアッセンブリー(40B)は、
少なくとも一つの第2コイル外部接続端子(TP,TN)と、
第2コイル給電コイル(L1)と、
前記第2コイル給電コイルと電気的に接続される第2コイル共振コンデンサ(C1)と、を備え、
前記複数の第1コイルアッセンブリーのそれぞれは、
前記複数の第1コイル外部接続端子の少なくとも何れ一つが前記電源と電気的に接続されて、電力が供給され、
前記第2コイルアッセンブリーは、
前記複数の第1コイルアッセンブリーのいずれかと電気的に接続されて、接続している前記第1コイルアッセンブリーの前記第1コイル母線を介して前記電力が供給される、給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触給電用のコイルアッセンブリーおよび給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体に受電コイルを備え、道路に複数の給電コイルを敷設し、電磁誘導により、非接触で移動体に備えられている受電コイルに給電するシステムがある。複数の給電コイルには、電源配線を介して、高周波電力が配電される。電源配線の敷設方法として、例えば、特許文献1に開示されているように、給電コイルの各々と、高周波電源とを接続する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-51744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記形態の各給電コイルと高周波電源とを接続する方法を採用すると、給電コイルの敷設の自由度が下がるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)が提供される。このコイルアッセンブリーは、複数の外部接続端子(TP,TN)と、給電コイル(L1)と、前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、コア(43)と、を備え、前記複数の外部接続端子は、前記コアの端部より内側に配置されている
本開示の他の一形態によれば、非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)が提供される。このコイルアッセンブリーは、複数の外部接続端子(TP,TN)と、給電コイル(L1)と、前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、シールド(44)と、を備え、前記複数の外部接続端子は、前記シールドの端部より内側に配置されている。
本開示の他の一形態によれば、非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)が提供される。このコイルアッセンブリーは、複数の外部接続端子(TP,TN)と、給電コイル(L1)と、前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、を備え、前記複数の外部接続端子としての複数の第1外部接続端子(TP)と、前記複数の外部接続端子としての複数の第2外部接続端子(TN)と、を有し、前記複数の第1外部接続端子と前記複数の第2外部接続端子の数とはそれぞれ、3つ以上である。
本開示の他の一形態によれば、非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)が提供される。このコイルアッセンブリーは、複数の外部接続端子(TP,TN)と、給電コイル(L1)と、前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、を備え、前記複数の外部接続端子としての複数の第1外部接続端子(TP)と、前記複数の外部接続端子としての複数の第2外部接続端子(TN)と、を有し、前記複数の第1外部接続端子と前記複数の第2外部接続端子の数とはそれぞれ、2つであり、前記複数の第1外部接続端子と接続する前記母線としての第1母線(LP)と、前記複数の第2外部接続端子と接続する前記母線としての第2母線(LN)とは、互いに隣接して配置され、前記第1母線と、前記第2母線とは、前記給電コイルに隣接して配置されており、かつ、平面視において前記給電コイルの内側部分を除く範囲に配置されている。
本開示の他の一形態によれば、非接触給電用のコイルアッセンブリー(40,140,240)であって、複数の外部接続端子(TP,TN)と、給電コイル(L1)と、前記給電コイルと電気的に接続される共振コンデンサ(C1)と、前記複数の外部接続端子間を電気的に接続する母線(LP,LN)と、を備え、前記複数の外部接続端子としての複数の第1外部接続端子(TP)と、前記複数の外部接続端子としての複数の第2外部接続端子(TN)と、を有し、前記複数の外部接続端子は、電源用端子であり、前記複数の第1外部接続端子間に接続され、前記母線に配置された第1補償コンデンサ(C2)と、前記複数の第2外部接続端子間に接続され、前記母線に配置された第2補償コンデンサ(C3)との、少なくとも何れか一方を備える。
【0007】
この形態のコイルアッセンブリーによれば、複数のコイルアッセンブリーを敷設する際に、近傍のコイルアッセンブリーの外部接続端子同士を電気的に接続することにより、複数のコイルアッセンブリーに電力または信号を供給することができる。よって、コイルアッセンブリーの敷設の自由度を向上することができる。
【0008】
本開示の一形態によれば、非接触給電用の給電システム(10)が提供される。この給電システムは、電源(32)と、複数の第1コイルアッセンブリー(40A)と、第2コイルアッセンブリー(40B)と、を備え、前記複数の第1コイルアッセンブリーのそれぞれは、複数の第1コイル外部接続端子(TP,TN)と、第1コイル給電コイル(L1)と、前記第1コイル給電コイルと電気的に接続される第1コイル共振コンデンサ(C1)と、前記複数の第1コイル外部接続端子間を電気的に接続する第1コイル母線(LP,LN)と、を備え、前記第2コイルアッセンブリー(40B)は、少なくとも一つの第2コイル外部接続端子(TP,TN)と、第2コイル給電コイル(L1)と、前記第2コイル給電コイルと電気的に接続される第2コイル共振コンデンサ(C1)と、を備え、前記複数の第1コイルアッセンブリーのそれぞれは、前記複数の第1コイル外部接続端子の少なくとも何れ一つが前記電源と電気的に接続されて、電力が供給され、前記第2コイルアッセンブリーは、前記複数の第1コイルアッセンブリーのいずれかと電気的に接続されて、接続している前記第1コイルアッセンブリーの前記第1コイル母線を介して前記電力が供給される。
【0009】
この形態の給電システムによれば、複数のコイルアッセンブリーを敷設する際に、電源と一つのコイルアッセンブリーとを接続するとともに、近傍のコイルアッセンブリーの外部接続端子同士を電気的に接続することにより、複数のコイルアッセンブリーに電力を供給することができる。よって、コイルアッセンブリーの敷設の自由度を向上することができる。
【0010】
本開示の一形態によれば、非接触給電用の給電システム(10)が提供される。この給電システムは、信号源と、第1コイルアッセンブリー(40A)と、第2コイルアッセンブリー(40B)と、を備え、前記第1コイルアッセンブリーは、複数の第1コイル外部接続端子(TP,TN)と、第1コイル給電コイル(L1)と、前記第1コイル給電コイルと電気的に接続される第1コイル共振コンデンサ(C1)と、前記複数の第1コイル外部接続端子間を電気的に接続する第1コイル母線(LP,LN)と、を備え、前記第2コイルアッセンブリーは、少なくとも一つの第2コイル外部接続端子(TP,TN)と、第2コイル給電コイル(L1)と、前記第2コイル給電コイルと電気的に接続される第2コイル共振コンデンサ(C1)と、を備え、前記第1コイルアッセンブリーは、前記複数の第1コイル外部接続端子の少なくとも何れ一つが前記信号源と電気的に接続されて、信号が供給され、前記第2コイルアッセンブリーは、前記第1コイルアッセンブリーと電気的に接続されて、前記第1コイルアッセンブリーの前記第1コイル母線を介して前記信号が供給される。
【0011】
この形態の給電システムによれば、複数のコイルアッセンブリーを敷設する際に、信号源と一つのコイルアッセンブリーとを接続するとともに、近傍のコイルアッセンブリーの外部接続端子同士を電気的に接続することにより、複数のコイルアッセンブリーに信号を供給することができる。よって、コイルアッセンブリーの敷設の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る給電システムの構成図である。
図2】第1実施形態に係る送電器の回路図である。
図3】第1実施形態に係る送電器のブロック図である。
図4】第1実施形態に係るコイルアッセンブリーの平面図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6】第2実施形態に係る送電器の回路図である。
図7】第2実施形態に係る送電器のブロック図である。
図8】第2実施形態に係るコイルアッセンブリーの平面図である。
図9図8のIX-IX断面図である。
図10】第3実施形態に係る送電器のブロック図である。
図11】第4実施形態に係る送電器のブロック図である。
図12】第5実施形態に係るコイルアッセンブリーの平面図である。
図13図12のXIII-XIII断面図である。
図14】第6実施形態に係る送電器のブロック図である。
図15】第7実施形態に係る送電器のブロック図である。
図16】第8実施形態に係る送電器のブロック図である。
図17】第9実施形態に係る送電器の回路図である。
図18】第10実施形態に係る送電器の回路図である。
図19】第10実施形態に係るコイルアッセンブリーの断面図である。
図20】第11実施形態に係る送電器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第1実施形態:
図1に示すように、本実施形態の非接触給電用の給電システム10は、送電器20から非接触で車両60に電力を供給することが可能なシステムである。給電システム10は、道路RSに設置される送電器20と、車両60に搭載される受電器61とを含む。本実施形態では、道路RSを走行する車両60を例示して説明するが、車両60は、運転手により運転される車両に限られない。例えば、車両60は、工場や倉庫で使用される無人搬送車(AGV)であってもよい。送電器20は、道路RSに設置される場合に限られない。例えば、送電器20は、電力を供給するための場所である充電エリアに設置されてもよい。
【0014】
送電器20は、電源アッセンブリー30と、非接触給電用である、複数のコイルアッセンブリー40とを備えている。電源アッセンブリー30および複数のコイルアッセンブリー40は、道路RSの内部に埋設されている。本実施形態において、複数のコイルアッセンブリー40は、車両60の進行方向となる道路RSの延在方向に沿って配列されているとともに、道路RSの幅方向に配列されている。本実施形態では、道路RSの内部にコイルアッセンブリー40が埋設されている場合を例示して説明するが、コイルアッセンブリー40の設置態様は、道路RSに埋設される場合に限られない。例えば、コイルアッセンブリー40は、地上に配置されてもよい。
【0015】
車両60は、例えば、電気自動車やハイブリッド車等の駆動モータを搭載する車両である。車両60は、受電器61と、バッテリ64とを備えている。受電器61は、受電共振回路62と、受電回路63とを有する。受電共振回路62は、図示しない受電コイルと、共振コンデンサとを有する。
【0016】
図2に示すように、電源アッセンブリー30は、電源としての高周波電源32を内蔵している。コイルアッセンブリー40は、送電共振回路41を内蔵している。高周波電源32は、高周波の交流電力を送電共振回路41に供給する。送電共振回路41は、給電コイルL1と、給電コイルL1と電気的に接続される共振コンデンサC1とを有する。送電共振回路41の共振周波数と、受電共振回路62の共振周波数とが、略同一になるように設定されている。これにより、給電コイルL1と、受電共振回路62が有する受電コイルとの磁界共振によって、非接触給電を行うことができる。
【0017】
図1に示す受電回路63は、受電共振回路62から出力される交流電力を直流電力に変換し、バッテリ64に供給する。バッテリ64は、車両60の駆動源である駆動モータを駆動するための直流電力を出力する2次電池である。受電回路63から出力される直流電力は、バッテリ64の充電に利用される。受電回路63からの直流電力は、図示しない補機バッテリの充電や、駆動モータや補機の駆動に利用されてよい。
【0018】
図3に示すように、電源アッセンブリー30は、さらに、電源筐体33と、第1電源端子PTPと、第2電源端子PTNとを有する。電源筐体33内に、高周波電源32が収納されている。電源筐体33に、第1電源端子PTPおよび第2電源端子PTNが露出して、取り付けられている。コイルアッセンブリー40は、さらに、コイル筐体42と、電源用端子である、複数の外部接続端子としての2つの第1外部接続端子TPと、複数の外部接続端子としての2つの第2外部接続端子TNとを備える。コイル筐体42内に送電共振回路41が収納されている。コイル筐体42に、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNが露出して、取り付けられている。第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、防水性を有するコネクタである。本実施形態では、コイルアッセンブリー40毎にコイル筐体42に収納されていることにより、敷設場所に応じて、コイルアッセンブリー40の個数の増減を1個単位で調整することができる。
【0019】
複数のコイルアッセンブリー40には、電源アッセンブリー30と直接接続されているコイルアッセンブリー40と、直接接続されていないコイルアッセンブリー40とが含まれる。ここで、電源アッセンブリー30と直接接続されているコイルアッセンブリー40を第1コイルアッセンブリー40Aと称し、直接接続されていないコイルアッセンブリー40を第2コイルアッセンブリー40Bと称する。「直接接続されている」とは、一方の端子と他方の端子とが、配線により電気的に接続されている状態を意味する。具体的には、コイルアッセンブリー40の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNの各々が、高周波電源32の第1電源端子PTPおよび第2電源端子PTNの各々と、配線により電気的に接続されている状態を意味する。以下の説明において、「配線」とは、電力や信号を伝達する導体であり、具体的には、例えば、配線は、導線の表面が被覆されたケーブルや、プリント基板に形成されたプリント配線や、バスバーなどである。第1コイルアッセンブリー40Aは、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNの各々が、高周波電源32の第1電源端子PTPおよび第2電源端子PTNの各々と、配線により電気的に接続されている。一方、第2コイルアッセンブリー40Bは、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNの各々が、第1コイルアッセンブリー40Aまたは第2コイルアッセンブリー40Bの第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNの各々と、配線により電気的に接続されている。詳述すると、第2コイルアッセンブリー40Bが、第1コイルアッセンブリー40Aと電気的に接続される場合には、第1コイルアッセンブリー40Aの複数の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNのうち、高周波電源32の第1電源端子PTPまたは第2電源端子PTNと配線より直接接続されていない第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと配線により接続される。
【0020】
第1コイルアッセンブリー40Aの第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを第1コイル外部接続端子とも呼ぶ。第2コイルアッセンブリー40Bの第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを第2コイル外部接続端子とも呼ぶ。
【0021】
図2に示すように、高周波電源32は、第1電源端子PTPと第2電源端子PTNとを介して交流電力を外部負荷に対して出力する。コイルアッセンブリー40は、上記構成の他に、第1母線LPと、第2母線LNとを有する。第1母線LPは、2つの第1外部接続端子TP間を電気的に接続する母線である。同様に、第2母線LNは、2つの第2外部接続端子TN間を電気的に接続する母線である。第1母線LPと第2母線LNとの間に共振コンデンサC1と給電コイルL1とが直列接続されてLC共振回路を構成している。共振コンデンサC1および給電コイルL1には、第1母線LPと第2母線LNとを介して、交流電力が供給される。なお、本実施形態では、共振コンデンサC1と給電コイルL1とが直列接続されて共振回路が構成されているが、共振コンデンサC1と給電コイルL1とが並列接続されて共振回路が構成されてもよい。
【0022】
第1コイルアッセンブリー40Aが有する給電コイルL1を第1コイル給電コイルとも呼び、第2コイルアッセンブリー40Bが有する給電コイルL1を第2コイル給電コイルとも呼ぶ。第1コイルアッセンブリー40Aが有する第1母線LPおよび第2母線LNを第1コイル母線とも呼び、第2コイルアッセンブリー40Bが有する第1母線LPおよび第2母線LNを第2コイル母線とも呼ぶ。第1コイルアッセンブリー40Aが有する共振コンデンサC1を第1コイル共振コンデンサとも呼び、第2コイルアッセンブリー40Bが有する共振コンデンサC1を第2コイル共振コンデンサとも呼ぶ。
【0023】
第2コイルアッセンブリー40Bは、第1コイルアッセンブリー40Aを介して、または、第1コイルアッセンブリー40Aおよび第2コイルアッセンブリー40Bを介して、交流電力が供給される。具体的には、第1コイルアッセンブリー40Aと直接接続されている第2コイルアッセンブリー40Bは、第1コイルアッセンブリー40Aの第1母線LPおよび第2母線LNを介して、交流電力が供給される。第1コイルアッセンブリー40Aと直接接続されていない第2コイルアッセンブリー40Bは、第1コイルアッセンブリー40Aの第1母線LPおよび第2母線LNと、電気的に接続されている第2コイルアッセンブリー40Bの第1母線LPおよび第2母線LNとを介して交流電力が供給される。このように、コイルアッセンブリー40は、複数の第1外部接続端子TPおよび複数の第2外部接続端子TNと、第1母線LPおよび第2母線LNとを有することによって、配電機能を有している。これにより、電源アッセンブリー30との直接接続ではなく、近傍のコイルアッセンブリー40との直接接続により、第2コイルアッセンブリー40Bに配電することができる。これにより、コイルアッセンブリー40の敷設の自由度を向上させることができる。例えば、コイルアッセンブリー40が、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ1つしか有さず、第1母線LPおよび第2母線LNを有さない場合、つまり、配電機能を有さない場合には、個々のコイルアッセンブリー40を電源アッセンブリー30と直接接続する必要が生じる。特に、コイルアッセンブリー40に周囲を囲まれたコイルアッセンブリー40に配電するためには、直接接続のための電源配線を設置するスペースを確保する必要が生じる。この点、本実施形態によれば、電源配線を設置するスペースを確保しにくいコイルアッセンブリー40であっても、近傍のコイルアッセンブリー40との直接接続により配電することができるため、敷設の自由度を向上させることができる。また、近傍のコイルアッセンブリー40との直接接続により、第2コイルアッセンブリー40Bに配電することができるため、コイルアッセンブリー40の敷設の際の作業性および拡張性を向上させることができる。例えば、コイルアッセンブリー40を増設したい場合において、コイルアッセンブリー40が配電機能を有さない場合には、既に敷設されている電源アッセンブリー30を起点とする電源配線を敷設する必要が生じる。この点、本実施形態によれば、コイルアッセンブリー40は、配電機能を有するため、新たなコイルアッセンブリー40を、既に敷設されているコイルアッセンブリー40と直接接続することにより、配電することができる。近傍のコイルアッセンブリー40と直接接続する作業によって、コイルアッセンブリー40を増設することができるため、作業性および拡張性を向上させることができる。
【0024】
なお、本実施形態では、9つのコイルアッセンブリー40が敷設されている形態を示しているが、コイルアッセンブリー40の個数は9つに限られない。例えば、送電器20が、第1コイルアッセンブリー40Aと第2コイルアッセンブリー40Bとをそれぞれ1つ備える構成においても、同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、第2コイルアッセンブリー40Bは、第1コイルアッセンブリー40Aと同様に、複数の第1外部接続端子TPおよび複数の第2外部接続端子TNを備えている。この構成とは別に、末端の第2コイルアッセンブリー40Bについては、配電機能は要求されないため、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ1つだけ有する構成としてもよい。
【0025】
図4および図5に示すように、コイルアッセンブリー40は、上記構成に加え、コア43と、シールド44と、母線基板45と、第1コイル配線46、第2コイル配線49とを備える。図4および図5では、互いに直交する、X軸と、Y軸と、Z軸とを示している。以下では、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向として説明する場合がある。給電コイルL1、コア43、シールド44、および母線基板45は、概ね平板形状であり、各々の面がXY平面に平行となるように配置されている。そして、図5に示すように、上方に向かって、母線基板45、シールド44、コア43、給電コイルL1の順に、Z軸に沿って、積層されている。コイルアッセンブリー40は、上方に受電回路63の受電コイルが位置するように敷設される。
【0026】
本実施形態では、第1母線LPおよび第2母線LNの各々の一部は、プリント基板である母線基板45にプリント配線で形成されている。共振コンデンサC1は、母線基板45に実装されており、図示しない配線により、第1母線LPおよび第2母線LNと、共振コンデンサC1と、給電コイルL1とが互いに接続されている。なお、第1母線LPおよび第2母線LNは、プリント配線に限らず、ケーブルでもよい。また、共振コンデンサC1の実装場所は、母線基板45に限られず、例えば、母線基板45上に配置された別の回路基板でもよい。
【0027】
図4に示すように、第1外部接続端子TPには第1コイル配線46が接続される。第2外部接続端子TNには第2コイル配線49が接続される。第1コイル配線46は、第1コイル端子47と、第1コイル端子47と導通する第1内部配線48とを有する。第1コイル端子47は、母線基板45上に形成されており、母線基板45上に形成された第1母線LPと電気的に接続されている。第1コイル端子47と、第1外部接続端子TPとは、第1内部配線48により、電気的に接続されている。同様に、第2コイル配線49は、第2コイル端子50と、第2コイル端子50と導通する第2内部配線51とを有する。図5に示すように、第2コイル端子50は、母線基板45上に形成されており、母線基板45上に形成された第2母線LNと電気的に接続されている。第2コイル端子50と、第2外部接続端子TNとは、第2内部配線51により、電気的に接続されている。第1コイル端子47および第2コイル端子50をコイル端子とも呼ぶ。また、第1コイル端子47を介して、母線基板45に形成された第1母線LPと電気的に接続される第1外部接続端子TPを第2態様の第1外部接続端子TPとも呼ぶ。第2コイル端子50を介して、母線基板45に形成された第2母線LNと電気的に接続される第2外部接続端子TNを第2態様の第2外部接続端子TNとも呼ぶ。なお、第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNについては、第2実施形態にて説明する。第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、その態様に拘わらず、電源アッセンブリー30または他のコイルアッセンブリー40と直接接続するための端子である。
【0028】
図4に示すように、第1外部接続端子TPには、第1電源配線81が接続される。第2外部接続端子TNには、第2電源配線84が接続される。第1電源配線81は、第1配線端子82と、第1配線端子82と導通する第1外部配線83とを有する。同様に、第2電源配線84は、第2配線端子85と、第2配線端子85と導通する第2外部配線86とを有する。第1外部配線83および第2外部配線86は、例えば、ケーブルである。第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと、第1配線端子82および第2配線端子85とは、例えば、防水コネクタである。ここで、第1外部接続端子TPと、第2外部接続端子TNとの形状は、互いに異なる。そして、第1配線端子82と、第2配線端子85との形状は、それぞれ、第1外部接続端子TP、第2外部接続端子TNと合うように作製されているため、互いに異なる。これにより、第1外部接続端子TPに第2配線端子85を接続してしまう誤接続、および、第2外部接続端子TNに第1配線端子82を接続してしまう誤接続を抑制することができる。
【0029】
図4では、給電コイルL1の配線領域を斜線ハッチングにて示している。本実施形態では、給電コイルL1は、C字形状のプリント配線が形成されたプリント基板が複数枚積層され、螺旋形状の配線が形成されるようにZ軸方向に隣接するプリント配線同士が導通されて形成されている。給電コイルL1は、Z軸方向から視た平面視で、矩形RECの角部を除く範囲に形成されている。そして、平面視において矩形RECの角部が位置する範囲に、第1コイル端子47および第2コイル端子50が形成されている。本実施形態では、給電コイルL1は、プリント配線で形成されており、プリント配線の配線幅は、コイル長さ当たりの抵抗値を均一とするため、略均一にするとよい。矩形領域にC字形状のプリント配線をレイアウトする場合、一般に、矩形RECの対向する2辺の中点を結ぶ線に位置する配線幅Wが最も狭くなる。したがって、矩形RECの角部を除く範囲にプリント配線を形成したとしても、矩形RECの対角線に位置する配線幅を、配線幅Wと同等にすることができる。よって、本実施形態によれば、給電コイルL1を形成するプリント配線の配線抵抗を上げることなく、平面視において矩形RECの角部が位置する範囲に、第1コイル端子47および第2コイル端子50を配置することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、給電コイルL1は、プリント配線で実現されているが、他の形態として、導線に絶縁被膜が形成されたコイル線が螺旋形状や渦巻形状に巻回されたコイルで実現されてもよい。
【0031】
図5に示すように、給電コイルL1と母線基板45との間に、コア43が設けられている。コア43は、透磁率が高い材料で形成されており、例えばフェライト製である。コア43が設けられていることにより、給電効率を向上させることができる。コア43が設けられていない場合、給電コイルL1が発生させる磁束により、母線基板45に形成されている第1母線LPおよび第2母線LNに渦電流が生じ、損失となる場合がある。コア43を設けることで、給電コイルL1が発生させる磁束は、コア43を通り易くなるため、母線基板45を通る磁束は少なく、渦電流が発生することによる損失を低減し、給電効率を向上させることができる。また、給電コイルL1と母線基板45との間に、シールド44が設けられている。シールド44は、例えば、アルミ製である。シールド44が設けられていることにより、電磁波が母線基板45に伝搬することが抑制されるため、第1母線LPおよび第2母線LNにおけるノイズの発生を抑制することができる。
【0032】
以上、説明した第1実施形態によれば、コイルアッセンブリー40は、複数の第1外部接続端子TPおよび複数の第2外部接続端子TNを有し、複数の第1外部接続端子TP間を接続する第1母線LPと、複数の第2外部接続端子TN間を接続する第2母線LNとを有する。よって、複数のコイルアッセンブリー40を敷設する際に、電源アッセンブリー30と一つのコイルアッセンブリー40とを接続するとともに、近傍のコイルアッセンブリー40の第1外部接続端子TP同士、第2外部接続端子TN同士を電気的に接続することにより、複数のコイルアッセンブリー40に電力を供給することができる。よって、コイルアッセンブリー40の敷設の自由度を向上することができる。
【0033】
また、コイルアッセンブリー40は、給電コイルL1と第1母線LPおよび第2母線LNが形成された母線基板45との間にコア43を備える。これにより、給電効率を向上させることができる。また、コイルアッセンブリー40は、給電コイルL1と第1母線LPおよび第2母線LNが形成された母線基板45との間にシールド44を備える。これにより、第1母線LPおよび第2母線LNにおけるノイズの発生を抑制することができる。また、第1外部接続端子TPと第2外部接続端子TNとの形状が互いに異なるため、第1配線端子82または第2配線端子85との誤接続を抑制することができる。
【0034】
B.第2実施形態:
第2実施形態に係るコイルアッセンブリー140は、第1実施形態に係るコイルアッセンブリー40に対して、回路構成と、構造とが異なる。第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。図6に示すように、コイルアッセンブリー140が有する送電共振回路141は、給電コイルL1および共振コンデンサC1の他に、第1補償コンデンサC2を有する。第1補償コンデンサC2は、2つの第1外部接続端子TP間に接続され、第1母線LPに配置されている。詳述すると、第1補償コンデンサC2の一方の電極は、2つの第1外部接続端子TPのうちの一方の第1外部接続端子TPと接続され、第1補償コンデンサC2の他方の電極は、他方の第1外部接続端子TPと接続されている。第1補償コンデンサC2を設けることにより、第1母線LPおよび第2母線LNのインダクタンス成分を打ち消し、LC共振回路の共振周波数を目標値とすることができる。また、第1補償コンデンサC2を設けることにより、後段への供給電圧低下を抑制することができる。第1補償コンデンサC2の容量をCとすると、容量Cは、次式(1)で示される。式(1)における「L」は、図6に示す点aから点bまでの区間の第1母線LPのインダクタンスと、点cから点dまでの区間の第2母線LNのインダクタンスとの合計値である。式(1)における「ω」は角周波数である。
C=1/(ωL)・・・式(1)
【0035】
図7に示すように、本実施形態に係る送電器120は、合計9個のコイルアッセンブリー140を有する。詳しくは、送電器120は、3つの第1コイルアッセンブリー140Aと、6つの第2コイルアッセンブリー140Bとを有する。そして、コイルアッセンブリー140が個別に筐体に収納されているのではなく、9個のコイルアッセンブリー140が一つのコイル筐体142に収納されている。一つのコイル筐体142に収納されている複数のコイルアッセンブリー140を、コイルアッセンブリーユニット150とも呼ぶ。コイル筐体142には、第1筐体接続端子HTPと、第2筐体接続端子HTNとが設けられている。第1筐体接続端子HTPは、第1コイルアッセンブリー140Aの第1外部接続端子TPと直接接続されている。そして、第2筐体接続端子HTNは、第1コイルアッセンブリー140Aの第2外部接続端子TNと直接接続されている。第1筐体接続端子HTPおよび第2筐体接続端子HTNは、防水性を有するコネクタである。
【0036】
図8に示すように、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、矩形である母線基板145の隅付近に、互いに隣接して配置されている。なお、図8では、9個のコイルアッセンブリー140のうち、図7において紙面横方向に配列している3個のコイルアッセンブリー140を代表して示しており、コイル筐体142の記載は省略している。第1母線LPおよび第2母線LNは、プリント基板である母線基板145にプリント配線で形成されている。第1母線LPと、第2母線LNとは、互いに隣接して配置されている。これにより、給電コイルL1が発生させる磁束による第1母線LPおよび第2母線LNにおけるノイズの発生を抑制することができる。後に図9を用いて詳述するように、本実施形態では、コア43およびシールド44は、給電コイルL1および母線基板145の下に配置されている。このため、母線基板145に形成された第1母線LPおよび第2母線LNは、給電コイルL1が発生させる磁界の影響を受け易い。この構造の場合、例えば、第1母線LPを線LIN1に沿って形成し、第2母線LNを線LIN2に沿って形成した場合、給電コイルL1と、第1母線LPおよび第2母線LNとの間の相互インダクタンスが高くなるため、給電コイルL1通電時にノイズが発生し易い。これに対して、本実施形態では、第1母線LPと、第2母線LNとは、互いに隣接して配置されていることにより、ノイズの発生を抑制することができる。さらに、第1母線LPと、第2母線LNとは、給電コイルL1に隣接して配置されている。具体的には、第1母線LPおよび第2母線LNは、平面視で、給電コイルL1と重なるように形成されている。これにより、給電コイルL1が発生させる磁束による第1母線LPおよび第2母線LNにおける渦電流の発生を抑制することができる。給電コイルL1が発生させる磁束の磁束密度は、平面視で、斜線ハッチングで示す給電コイルL1の配置領域の外周付近および内周付近に対して、配置領域の外周付近および内周付近を除く領域で低くなる。これは、導体である給電コイルL1自体に流れ得る渦電流によって磁束が遮断されやすいためである。したがって、例えば、第1母線LPを線LIN3に沿って形成し、第2母線LNを線LIN4に沿って形成した場合、給電コイルL1が発生させる磁束により、円環形状である配置領域の内側部分で、第1母線LPおよび第2母線LNにおける渦電流が発生し易い。これに対して、本実施形態では、第1母線LPおよび第2母線LNは、平面視で、給電コイルL1と重なるように形成されているため、渦電流の発生を抑制することができる。
【0037】
因みに、コア43およびシールド44が給電コイルL1および母線基板145の下に配置されている構成の場合、コイルアッセンブリー40に第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを、それぞれ3つ以上設けると、コイルアッセンブリー40を2行2列のマトリクス状に配置した場合、4つのコイルアッセンブリー40において、第1母線LPおよび第2母線LNが、給電コイルL1を囲うループ形状になる場合がある。給電コイルL1を囲うループ形状になると、給電コイルL1が生じさせる磁束を打ち消すように渦電流が生じてしまい、給電効率が低下してしまうおそれがある。図8では、この場合の第1母線LPの配線形状を線LIN5で例示している。この点、本実施形態では、コイルアッセンブリー40に第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNはそれぞれ2つ設けられているため、第1母線LPおよび第2母線LNが給電コイルL1を囲うループ形状になることによる渦電流の発生を防ぐことができる。
【0038】
本実施形態では、第1母線LPおよび第2母線LNがプリント配線で実現されている。第1母線LPおよび第2母線LNが給電コイルL1とコア43およびシールド44との間に配置されたケーブルで実現されている場合においても、上記の配置とすることにより、同様の効果を奏することができる。
【0039】
本実施形態では、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、母線基板145上に形成されている。母線基板145上に形成されている第1外部接続端子TPを第1態様の第1外部接続端子TPとも呼ぶ。母線基板145上に形成されている第2外部接続端子TNを第1態様の第2外部接続端子TNとも呼ぶ。具体的には、本実施形態では、第1筐体接続端子HTPまたは第2筐体接続端子HTNと直接接続される第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと、接続されない第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNとは、端子台にて実現される。なお、端子台に限られず、例えばコネクタでもよい。そして、隣接するコイルアッセンブリー140と直接接続される第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、バスバーと接続するための端子で実現されている。隣接するコイルアッセンブリー140の第1外部接続端子TP同士は、第1バスバー146にて接続されている。隣接するコイルアッセンブリー140の第2外部接続端子TN同士は、第2バスバー149にて接続されている。バスバー接続される第1外部接続端子TPと第2外部接続端子TNとの形状は、互いに異なる。具体的には、第1バスバー146または第2バスバー149とねじ止めされる際のねじ径が互いに異なる。同様に、第1バスバー146と第2バスバー149とのねじ止めされる際のねじ径は、それぞれ、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと合うように作製されているため、互い異なる。これにより、コイルアッセンブリー140に、第1バスバー146および第2バスバー149を取り付ける際の誤接続を抑制することができる。本実施形態では、コイル筐体142内にコイルアッセンブリー140が収納されているため、防水性が高くない配線であるバスバーで接続することが可能である。なお、第1外部接続端子TP同士および第2外部接続端子TN同士を接続する配線は、第1バスバー146および第2バスバー149に限られず、例えば、ケーブルであってもよい。
【0040】
図9に示すように、本実施形態に係るコイルアッセンブリー140は、コア43およびシールド44の配置位置が第1実施形態とは異なる。具体的には、コア43およびシールド44は、給電コイルL1および母線基板145の下に配置されている。コア43が設けられていることにより、磁気抵抗を下げることができ、給電効率を向上させることができる。シールド44が設けられていることにより、外部からのノイズを受けにくくすることができ、外部へのノイズの伝搬を抑制することができる。
【0041】
本実施形態では、コア43およびシールド44が給電コイルL1と母線基板145との間に設けられていないため、母線基板145に形成された第1母線LPおよび第2母線LNは、給電コイルL1が発生させる磁界の影響を受け易い。そこで、上記の様に、第1母線LPと、第2母線LNとは、互いに隣接して配置し、第1母線LPと、第2母線LNとを、給電コイルL1に隣接して配置することで、磁界の影響を受けにくくすることができる。
【0042】
コア43およびシールド44は、平面視において、給電コイルL1よりも大きい。また、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、コア43の端部より内側に配置されている。これにより、コア43の端部の外側に配置されている場合と比較して、給電効率向上させることができる。複数のコイルアッセンブリー140を同一のコイル筐体142に収納する本実施形態において、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、コア43の端部より内側に配置されていることにより、隣接するコイルアッセンブリー140の第1外部接続端子TP同士および第2外部接続端子TN同士が干渉することがない。よって、隣接するコア43間の隙間が小さい状態で配置することができ、隙間が大きい場合と比較して、隣接するコア43との磁気抵抗を下げることができる。よって、給電コイルL1と受電コイルの結合係数が増加するため、隣接するコア43間の隙間が大きい場合と比較し、給電効率を向上させることができる。
【0043】
第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、シールド44の端部より内側に配置されている。これにより、シールド44の端部の外側に配置されている場合と比較して、ノイズの遮蔽効果を向上させることができる。第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、シールド44の端部より内側に配置されていることにより、隣接するコイルアッセンブリー140の第1外部接続端子TP同士および第2外部接続端子TN同士が干渉することがない。よって、隣接するシールド44間の隙間が小さい状態で配置することができ、隣接するシールド44間の隙間が大きい場合と比較し、ノイズの遮蔽効果を向上させることができる。
【0044】
図8に示すように、第1実施形態と同様に、給電コイルL1は、Z軸方向から視た平面視で、矩形RECの角部を除く範囲に形成され、矩形RECの角部が位置する範囲に、第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNが形成されている。そして、図9に示すように、給電コイルL1に隣接して母線基板145が配置されている。これにより、XY平面において、省スペースで第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを配置できる。加えて、Z軸方向においても、省スペースで、第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを配置することができる。上記したように、給電コイルL1をプリント配線で形成する場合、矩形RECの角部を除く範囲にプリント配線を形成したとしてもプリント配線の配線抵抗を上げることがない。よって、給電コイルL1を形成するプリント配線の配線抵抗を上げることなく、省スペースで第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを配置することができる。また、給電コイルL1が、コイル線が巻回されたコイルで実現される構成においても、給電コイルL1の平面視での形状は、略円形である。このため、給電コイルL1は、矩形RECの角部を占有しないため、空いている空間に第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを形成することができる。つまり、給電コイルL1がコイル線で実現される構成においても、この構成によれば、省スペースで第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを配置することができる。
【0045】
以上、説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、コア43の端部より内側に配置されていることにより、給電効率を向上させることができる。第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、シールド44の端部より内側に配置されていることにより、第1母線LPおよび第2母線LNにおけるノイズの発生を抑制することができる。
【0046】
また、第1母線LPと、第2母線LNとは、互いに隣接して配置され、第1母線LPと、第2母線LNとは、給電コイルL1に隣接して配置されている。これにより、第1母線LPおよび第2母線LNにおける渦電流の発生を抑制し、第1母線LPおよび第2母線LNにおけるノイズの発生を抑制することができる。また、コイルアッセンブリー40は、第1母線LPに第1補償コンデンサC2を備えることにより、共振周波数の目標値からのずれを抑制することができる。
【0047】
また、給電コイルL1は、平面視において矩形RECの角部を除く範囲に形成されている。そして、第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、矩形RECの角部が位置する範囲に形成されている。これにより、省スペースで第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを配置することができる。
【0048】
C.第3実施形態:
図10に示すように、第3実施形態に係るコイルアッセンブリー240は、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNの個数が、第1実施形態とは異なり、それぞれ3つ備える。また、第1母線LPおよび第2母線LNの実施形式が第1実施形態とは異なる。第1実施形態では、第1母線LPおよび第2母線LNは、プリント配線で実施されているが、本実施形態では、所謂、より線構造のケーブルである。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。3つの第1外部接続端子TPは、互いに第1母線LPで接続されている。同様に、3つの第2外部接続端子TNは、互いに第2母線LNで接続されている。これにより、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ2つ有する構成と比較して、配線抵抗を低減することができ、給電効率を向上させることができる。また、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ2つ有する構成と比較して、接続可能な端子数が増えるため、敷設の自由度をさらに向上させることができる。第1母線LPおよび第2母線LNを、より線構造のケーブルとすることにより、表皮効果による配線抵抗増加を抑制し、損失を低減することができる。
【0049】
以上説明した第3実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果を奏し、さらに、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ3つ有するため、給電効率を向上させることができる。
【0050】
D.第4実施形態:
図11に示すように、第4実施形態に係るコイルアッセンブリー340は、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ4つ有する点が第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。4つの第1外部接続端子TPは、互いに第1母線LPで接続されている。同様に、4つの第2外部接続端子TNは、互いに第2母線LNで接続されている。これにより、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ2つ有する構成と比較して、配線抵抗を低減することができ、給電効率を向上させることができる。なお、第1母線LPおよび第2母線LNをプリント配線で形成する場合には、配線層が2層あるプリント基板を用いると良い。この場合、一方の配線層には、4つの第1態様の第1外部接続端子TPまたは第1コイル端子47と導通する矩形の第1母線LPとなる導体を形成し、他方の配線層には、4つの第1態様の第2外部接続端子TNまたは第2コイル端子50と導通する矩形の第2母線LNとなる導体を形成すると良い。
【0051】
E.第5実施形態:
図12および図13に示すように、第5実施形態に係るコイルアッセンブリー440は、2つのコイルアッセンブリー440がコイル筐体442に収納されている点が、第1実施形態と異なる。また、コイルアッセンブリー440が、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNをそれぞれ8つ有する点が第1実施形態と異なる。また、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNがコア43およびシールド44の上部に配置されている点が第1実施形態と異なる。図12および図13では、第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付している。
【0052】
図12に示すように、給電コイルL1は、Z軸方向から視た平面視で、矩形RECの角部を除く範囲に形成されている。コア43およびシールド44は、Z軸方向から視た平面視で、矩形RECの角部の範囲を切り欠いて形成されている。そして、平面視において矩形RECの角部が位置する範囲に、第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと、第1コイル端子47および第2コイル端子50とが形成されている。図13に示すように、第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと、第1コイル端子47および第2コイル端子50とは、Z方向において、給電コイルL1の配置位置まで延びている。これにより、省スペースで、第1態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと、第2態様の第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNと電気的に接続される第1コイル端子47および第2コイル端子50とを配置することができる。
【0053】
F.第6実施形態:
図14に示すように、第6実施形態に係るコイルアッセンブリー140は、第2実施形態に係るコイルアッセンブリー140と同じ構成を備えている。第6実施形態では、9個のコイルアッセンブリー140を備えるコイルアッセンブリーユニット150が2つ連結されている。コイル筐体142には、第1筐体接続端子HTPおよび第2筐体接続端子HTNが設けられているため、第1筐体接続端子HTPおよび第2筐体接続端子HTNを接続することにより、コイルアッセンブリーユニット150が有する9個のコイルアッセンブリー140へ配電することができる。
【0054】
G.第7実施形態:
図15に示すように、第7実施形態に係るコイルアッセンブリー640は、第1実施形態と同様に、給電コイルL1と母線基板45との間にコア43およびシールド44を備える構成を有する。第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNの個数が、第1実施形態とは異なり、それぞれ4つ備える。9つのコイルアッセンブリー640がコイル筐体642に収納されており、コイルアッセンブリーユニット650を形成している。図15では、第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付している。コイル筐体642には、第2実施形態と同様の第1筐体接続端子HTPおよび第2筐体接続端子HTNが設けられている。
【0055】
H.第8実施形態:
図16に示すように、第8実施形態に係るコイルアッセンブリー640は、第7実施形態に係るコイルアッセンブリー640と同じ構成を備えている。第8実施形態では、9個のコイルアッセンブリー640を備えるコイルアッセンブリーユニット650が4つ連結されている。
【0056】
I.第9実施形態:
図17に示すように、第9実施形態に係るコイルアッセンブリー840は、送電共振回路841の回路構成が第2実施形態とは異なる。その他の構成は、第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。送電共振回路841は、給電コイルL1と、共振コンデンサC1と、第1補償コンデンサC2に加え、第2補償コンデンサC3を備える。第2補償コンデンサC3は2つの第2外部接続端子TN間に接続され、第2母線LNに配置されている。詳述すると、第2補償コンデンサC3の一方の電極は、2つの第2外部接続端子TNのうちの一方の第2外部接続端子TNと接続され、第2補償コンデンサC3の他方の電極は、他方の第2外部接続端子TNと接続されている。第1補償コンデンサC2と第2補償コンデンサC3とを設けることにより、第1母線LPおよび第2母線LNのインダクタンス成分を打ち消し、LC共振回路の共振周波数を目標値とすることができる。また、第1補償コンデンサC2および第2補償コンデンサC3を設けることにより、後段への供給電圧低下を抑制することができる。第1補償コンデンサC2の容量をCは、上記の式(1)で示される。ただし、式(1)におけるLは、図17に示す点aから点bまでの区間の第1母線LPのインダクタンスである。同様に、第2補償コンデンサC3の容量をCは、上記の次式(1)で示される。式(1)におけるLは、図17に示す点cから点dまでの区間の第1母線LPのインダクタンスである。
【0057】
J.第10実施形態:
図18に示すように、第10実施形態に係るコイルアッセンブリー1040が有する送電共振回路1041は、第2実施形態に係る送電共振回路141と、スイッチSWを備える点が異なる。図18および図19では、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付している。スイッチSWは、共振コンデンサC1の給電コイルL1と接続されていない方の電極と、第1母線LPとの間に接続されている。本実施形態では、図示しない制御回路により、スイッチSWのオン・オフが変更されることにより、複数のコイルアッセンブリー1040のうち、給電に用いられるコイルアッセンブリー1040のみが共振するように制御される。これにより、例えば、車両60が位置するコイルアッセンブリー1040のLC共振回路だけを共振させることで、送電器20を省電力にすることができる。
【0058】
図19に示すように、コイルアッセンブリー1040は、給電コイルL1と母線基板45との間に、コア43とシールド44とを備える。そして、母線基板45とシールド44との間に、切替回路基板53を備える。切替回路基板53には、例えば、制御回路を構成する電子部品やスイッチSWなどが、実装されている。なお、母線基板45とは別に切替回路基板53を設ける構成に限られず、第1母線LPおよび第2母線LNと、スイッチSWなどの電子部品とが同一基板に形成される構成としてもよい。
【0059】
K.第11実施形態:
図20に示すように、第11実施形態に係るコイルアッセンブリー1140が有する送電共振回路1141は、第2実施形態に係る送電共振回路141と、共振コンデンサC101が、バリアブルコンデンサである点が異なる。図20では、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付している。本実施形態では、図示しない制御回路により、共振コンデンサC101の容量値が変更されることにより、複数のコイルアッセンブリー1140のうち、給電に用いられるコイルアッセンブリー1140のみが共振するように制御される。つまり、第10実施形態に係るスイッチSWと同様の機能を、共振コンデンサC101は有している。具体的には、給電に用いられないコイルアッセンブリー1140については、共振コンデンサC101の容量値が目標値に対して大きく、または小さくなるように調整される。これにより、例えば、車両60が位置するコイルアッセンブリー1140のLC共振回路だけを共振させることで、送電器20を省電力にすることができる。
【0060】
L.他の実施形態:
(L1)上記実施形態では、複数の外部接続端子が、電源に接続される。これとは別に、複数の外部接続端子が信号源に接続される場合にも、上記構成のコイルアッセンブリー40を適用することができる。信号源により伝達される信号としては、CAN(Controller Area Network)信号や、駆動信号が挙げられる。例えば、第1コイルアッセンブリー40Aの第1外部接続端子TPに信号源が接続され、第1コイルアッセンブリー40Aの第1外部接続端子TPと第2コイルアッセンブリー40Bの第1外部接続端子TPとを電気的に接続することにより、第2コイルアッセンブリー40Bに信号を供給することができる。この場合、コイルアッセンブリー40には、信号源からの信号が伝達される第1母線LPとは別に、電源供給用の母線が備えられることが好ましいが、備えられない構成としてもよい。この構成によれば、コイルアッセンブリー40の敷設の自由度を向上することができる。また、上記実施形態では、複数の外部接続端子の接続先は、高周波電源32であるが、例えば、その他の交流電源でもよく、直流電源でもよい。
【0061】
(L2)上記第2実施形態では、コイルアッセンブリー140は第1補償コンデンサC2を有する。これとは別に、複数のコイルアッセンブリー140に対して、1つの第1補償コンデンサC2を設ける構成としてもよい。具体的には、第1補償コンデンサC2を備えないコイルアッセンブリーと、第1補償コンデンサC2を備えるコイルアッセンブリー140とを組み合わせてもよい。このように、複数のコイルアッセンブリー毎に第1補償コンデンサC2を設ける構成としても同様の効果を奏することができる。第9実施形態に係る第2補償コンデンサC3についても同様である。第1補償コンデンサC2を備えないコイルアッセンブリーと、第1補償コンデンサC2を備えるコイルアッセンブリー140とを組み合わせる構成の場合にも、第1補償コンデンサC2の容量Cは、式(1)にて示される。ただし、この場合の式(1)における「L」は、第1補償コンデンサC2を備えるコイルアッセンブリーの第1母線のインダクタンスに、第1補償コンデンサC2を備えないコイルアッセンブリーの第1母線のインダクタンスを加算した値である。
【0062】
(L3)上記第2実施形態では、第1母線LPと第2母線LNとが母線基板45に隣接して形成されている。これとは別に、配線層を2層有する母線基板にて、第1母線LPと第2母線LNとをZ軸方向に重なるように形成し、隣接させる構成としてもよい。この構成によっても同様の効果を奏することができる。
【0063】
(L4)上記第1実施形態では、コイルアッセンブリー40は、コア43とシールド44とを備えている。この構成とは別に、コイルアッセンブリー40が、コア43とシールド44との何れか一方のみを備えてる構成としてもよい。第2実施形態についても同様である。
【0064】
(L5)上記第1実施形態では、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNは、防水性を有するコネクタである。これに対して、防水性が要求されない使用環境である場合には、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを、防水性を有さないコネクタで実現してもよい。また、防塵性が要求される使用環境である場合には、第1外部接続端子TPおよび第2外部接続端子TNを、さらに防塵性を有するコネクタで実現してよい。第1配線端子82および第2配線端子85についても同様に、防水性を有さないコネクタで実現してもよい。また、第2実施形態に係る第1筐体接続端子HTPおよび第2筐体接続端子HTNについても同様に、防水性を有さないコネクタで実現してもよい。また、第2実施形態に係る隣接するコイルアッセンブリー140の第1外部接続端子TP同士および第2外部接続端子TN同士のそれぞれは、防水性が高くない配線である第1バスバー146および第2バスバー149で接続されている。これに対して、防水線の高いケーブルなどで配線されてもよい。
【0065】
(L6)上記第1実施形態に係るコイルアッセンブリー40では、2つの第1外部接続端子TPと、2つの第2外部接続端子TNとは、平面視で、コイル筐体42の4隅の各々に配置されている。これに対して、第2実施形態と同様に、第1外部接続端子TPと第2外部接続端子TNとが、互いに隣接して配置されてもよい。この形態によれば、コイル筐体42外の配線である、第1電源配線81と第2電源配線84とを隣接して配置することができ、第1電源配線81および第2電源配線84のインダクタンスを小さくすることができる。
【0066】
本開示は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
10…給電システム、20,120…送電器、30…電源アッセンブリー、32…高周波電源、40,140,240,340,440,640,840,1040…コイルアッセンブリー、40A,140A…第1コイルアッセンブリー、40B,140B…第2コイルアッセンブリー、41,141,841,1041…送電共振回路、43…コア、44…シールド、45,145…母線基板、140A…第1コイルアッセンブリー、C1,C101…共振コンデンサ、C2…第1補償コンデンサ、C3…第2補償コンデンサ、L1…給電コイル、LN…第2母線、LP…第1母線、TN…第2外部接続端子、TP…第1外部接続端子
図1
図2
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