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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/215 20110101AFI20240305BHJP
   B60R 21/201 20110101ALI20240305BHJP
   B60R 21/203 20060101ALI20240305BHJP
   B60R 21/237 20060101ALI20240305BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60R21/215
B60R21/201
B60R21/203
B60R21/237
B62D1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021107086
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023005292
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-238879(JP,A)
【文献】特開2019-172066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/215
B60R 21/201
B60R 21/203
B60R 21/237
B62D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動時に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグを、折り畳んでなる折畳体と、
該折畳体の上方を覆って、膨張用ガスの流入に伴う前記エアバッグの膨張時に、前記エアバッグの突出用開口を形成可能に、前記エアバッグに押し開かれるドア部を配設させた天井壁部を有したエアバッグカバーと、
前記エアバッグの膨張時に、前記突出用開口の領域から離脱可能に保持されるとともに、前記天井壁部から表面側部位を露出するように配置させて、前記折畳体と前記ドア部との間に、配設される機能部品と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記折畳体が、上面側に、前記機能部品の裏面側部位を収納可能に、前記裏面側部位の下面の下方に配置される底面、及び、該底面の周縁から上昇して、前記裏面側部位の側方に配置される側面、を有した収納凹部、を配設させており、
前記収納凹部は、略直方体形状に凹んでおり、前記側面が前記裏面側部位の側方の全周を囲っていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記折畳体が、折り畳んだ前記エアバッグを圧縮させる圧縮工程を経て形成される構成として、
前記収納凹部が、前記エアバッグの圧縮工程時に賦形されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
折り畳まれた前記エアバッグの折り崩れ防止用のラッピング材が、
前記折畳体の外周に配設されるとともに、
前記収納凹部の配置部位において、前記収納凹部の周縁部位から凹んで、前記裏面側部位の外周を覆うように、配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の機能部品を設けたエアバッグ装置に関し、詳しくは、折り畳んだエアバッグの膨張時に開くドア部を有したエアバッグカバーの天井壁部に、機能部品を露出させるように配設させて構成されるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアバッグ装置、例えば、ステアリングホイールに搭載されるエアバッグ装置では、運転者を撮影するカメラ等の機能部品を設けたものがあった(例えば、特許文献1参照)。このエアバッグ装置では、機能部品としてのカメラが、カメラ本体と、カメラ本体の上方に配置される可視光カットフィルタなどの外側プレート部と、から構成されて、外側プレート部が、折り畳まれたエアバッグの上方を覆って、エアバッグの膨張時に押し開かれるドア部を配設させたエアバッグカバーの天井壁部に、配設され、カメラ本体が、エアバッグ装置のエアバッグやインフレーター等を保持するホルダに連結される支持プレートに保持されていた。カメラ本体は、折り畳まれたエアバッグの折畳体の上面の上方に配設されていた。
【0003】
また、エアバッグ装置としては、折り畳まれたエアバッグの折畳体の上面に、折畳体をラッピング材で包む際の隆起分を見込んで、予め、凹部を形成しているものもあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-63017号公報
【文献】特開2019-172066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の機能部品を配設させたエアバッグ装置では、機能部品としてのカメラ本体が、折り畳まれたエアバッグの折畳体の上面の上方に配設されて、その周囲のエアバッグカバーの天井壁部の下面と折畳体の上面との間には、大きな空間を配設させていた。そのため、折畳体とカメラ本体とが、単に上下方向に並設される構成としていたことから、エアバッグ装置の上下方向の寸法を嵩高くしてしまい、機能部品を配設させたエアバッグ装置をコンパクトに構成する点に、課題があった。
【0006】
この場合、特許文献2のエアバッグ装置におけるエアバッグの折畳体の上面に設ける凹部に、機能部品としてのカメラ本体を収納することが考えられるが、この凹部は、折畳体の上面の中央部が上方に隆起することを前提とした逆円錐台形状や逆三角錐形状とした凹部であって、機能部品を収納できるものではなかった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグの折畳体の上方に機能部品を配設させても、コンパクトに構成することができるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエアバッグ装置は、作動時に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグを、折り畳んでなる折畳体と、
該折畳体の上方を覆って、膨張用ガスの流入に伴う前記エアバッグの膨張時に、前記エアバッグの突出用開口を形成可能に、前記エアバッグに押し開かれるドア部を配設させた天井壁部を有したエアバッグカバーと、
前記エアバッグの膨張時に、前記突出用開口の領域から離脱可能に保持されるとともに、前記天井壁部から表面側部位を露出するように配置させて、前記折畳体と前記ドア部との間に、配設される機能部品と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記折畳体が、上面側に、前記機能部品の裏面側部位を収納可能に、前記裏面側部位の下面の下方に配置される底面、及び、該底面の周縁から上昇して、前記裏面側部位の側方に配置される側面、を有した収納凹部、を配設させていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るエアバッグ装置は、エアバッグの折畳体の収納凹部に、機能部品の裏面側部位が収納されており、収納凹部は、底面上方に、機能部品の裏面側部位の下面を配置させ、底面周縁から立ち上る側面を、裏面側部位の側方を覆うように、配置させている。すなわち、エアバッグ装置における折畳体の底面からエアバッグカバーの天井壁部の上面までの高さ寸法に関し、収納凹部に機能部品の裏面側部位を収納した分、高さ寸法を抑制することができる。また、折畳体の側面側の幅寸法(外形寸法)に関し、収納凹部の側面が、機能部品の裏面側部位の側方に配置されて、裏面側部位の側方に接近した分、折畳体の容積として、外側に張り出すことを抑制できて、高さ寸法だけでなく、高さ方向と直交する折畳体の前後左右の幅寸法(外形寸法)をコンパクトにすることが可能となる。
【0010】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、エアバッグの折畳体の上方に機能部品を配設させても、高さ寸法とともに幅寸法もコンパクトに構成することができる。
【0011】
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、前記収納凹部が、前記側面を、前記裏面側部位の側方の全周を囲うように、配設させる構成としていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、折畳体の収納凹部の側面が、裏面側部位の側方の全周を囲うように、配設されて、折畳体の収納凹部の周縁の全周に、エアバッグの折畳部位が、配設されることとなって、すなわち、収納凹部の周囲の全周に、折畳部位を配設させることとなって、折畳体の幅寸法(外形寸法)の縮小に寄与できる。換言すれば、折畳体の容積自体が一定であれば、収納凹部の周囲に、折畳体の側面側まで貫通するような貫通凹部が形成される場合に比べて、上記の構成では、その貫通凹部を塞ぐように折畳部位が配設されることから、折畳体の前後左右の幅寸法を、小さくすることができる。
【0013】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、前記折畳体が、折り畳んだ前記エアバッグを圧縮させる圧縮工程を経て形成される構成として、
前記収納凹部が、前記エアバッグの圧縮工程時に賦形されていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、折畳体が、折り畳んだエアバッグを圧縮させて構成され、その際、収納凹部が賦形されることから、簡便かつ的確に、機能部品の裏面側部位の形状に対応した収納凹部、を形成することができる。
【0015】
さらに、本発明に係るエアバッグ装置では、折り畳まれた前記エアバッグの折り崩れ防止用のラッピング材が、
前記折畳体の外周に配設されるとともに、
前記収納凹部の配置部位において、前記収納凹部の周縁部位から凹んで、前記裏面側部位の外周を覆うように、配設されていることが望ましい。
【0016】
このような構成では、折畳体がラッピング材に包まれることから、エアバッグの折り崩れを防止される。そして、ラッピング材自体は、収納凹部の部位では、機能部品の裏面側部位を覆うように配設されることから、支障なく、機能部品の裏面側部位が、ラッピング材を介在させて、収納凹部内に収納されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る一実施形態のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの平面図である。
図2】実施形態のエアバッグ装置の概略平面図である。
図3】実施形態のエアバッグ装置の前後方向に沿った概略縦断面図である。
図4】実施形態のエアバッグ装置の上面側から見た概略分解斜視図である。
図5】実施形態のエアバッグ装置の底面側から見た概略分解斜視図である。
図6】実施形態のエアバッグ装置の底面側から見た斜視図である。
図7】実施形態のエアバッグ装置の左右方向に沿った概略縦断面図である。
図8】実施形態のエアバッグ装置の作動前の状態を説明する概略縦断面図であり、図2のVIII-VIII部位に対応する。
図9】実施形態のエアバッグ装置の作動後の状態を説明する概略縦断面図であり、図8の断面部位に対応する。
図10】実施形態の機能部品としてのカメラと支持プレートの天板部との上面側から見た概略分解斜視図である。
図11】実施形態のカメラと支持プレートの天板部との底面側から見た概略分解斜視図である。
図12】実施形態のエアバッグカバーの底面図と、天井壁部の底面図(図3のXIIB-XIIB部位)である。
図13】実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグを折り畳んだ折畳体と、折畳体をラッピン材で包んだバッグ組付体の斜視図である。
図14】実施形態のエアバッグの折畳工程の初期段階を説明する図である。
図15】実施形態のエアバッグの折畳工程における第1工程としての小径折り工程を説明する概略断面図であり、図14の後の工程を示す。
図16】実施形態のエアバッグの小径折り工程を説明する概略平面図であり、図15の後の工程を示す。
図17】実施形態のエアバッグの小径折り工程を説明する図であり、図16の後の工程を示す。
図18】実施形態のエアバッグの小径折り工程を説明する概略断面図であり、図17の後の工程を示す。
図19】実施形態のエアバッグの折畳工程における第2工程としての圧縮工程を説明する図である。
図20】実施形態のエアバッグが折畳体となって、ラッピング材に包まれる工程を説明する図である。
図21】実施形態のラッピング材を平らに展開した状態の平面図である。
図22】実施形態の折畳体がラッピング材で包まれる状態を説明する図である。
図23】実施形態のエアバッグ装置の組付時を説明する概略断面図である。
図24】実施形態の変形例のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの平面図である。
図25図24のステアリングホイールの前後方向に沿った概略縦断面図であり、図24のXXV-XXV部位に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置20は、図1~3に示すように、車両における運転者が操舵するステアリングホイールWに搭載される。ステアリングホイールWは、図1に示すように、操舵時に把持するリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置20と、を備えて構成される。
【0019】
なお、本明細書での上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSS(図3参照)にナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトの軸直交方向の車両の前後方向に対応している(図1,3参照)。
【0020】
ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層7と、を備えて構成されている。被覆層7の表面には、皮革8が巻き付けられている。さらに、ボス部Bのエアバッグ装置20の周囲からリング部Rまでの上面側には、加飾用のベゼル14が、配設されている。
【0021】
芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部4、及び、各スポーク部Sに配置されてリング芯金部3とボス芯金部4とを連結するスポーク芯金部5、から構成される。スポーク芯金部5は、後部側のスポーク部Sの部位では、左右に分離した2本から構成されている。
【0022】
そして、芯金2のボス芯金部4には、エアバッグ装置20の後述する各ホーンスイッチ96の組付ピン97を固定させる固定部10が、配設されている(図1,3参照)。固定部10は、下狭まりのテーパ状に貫通する係止孔11と、ボス芯金部4の下面側に配置されて、組付ピン97の先端を係止する係止ピン12と、を配設させて構成されている。係止ピン12は、復元可能に、ボス芯金部4の下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
【0023】
また、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、図示しないロアカバーを配設させて構成されている。
【0024】
エアバッグ装置20は、図2~6に示すように、膨張用ガスを流入させて膨らむエアバッグ32と、エアバッグ32に膨張用ガスを供給するインフレーター26と、折り畳まれたエアバッグ32を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のエアバッグカバー37と、エアバッグ32、インフレーター26、及び、エアバッグカバー37を保持して、ステアリングホイール本体1に連結される板金製のホルダ21と、リテーナ28と、を備えて構成されている。さらに、実施形態のエアバッグ装置20では、折り畳まれたエアバッグ32の上方に配設される機能部品としての運転者撮影用のカメラ70と、カメラ70を保持してホルダ21に連結保持される支持プレート85と、を備えて構成されている。
【0025】
エアバッグ32は、ポリエステル等の糸を織ってなるバッグ用基布からなり、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口33を備え(図14参照)、流入用開口33の周縁34には、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔34aが4個形成されている。なお、実施形態のエアバッグ32は、折り畳んで圧縮させてなるコンパクトな略円柱状の折畳体110として(図13参照)、エアバッグ装置20に搭載されている。折畳体110の天井部114の上面114aには、機能部品としてのカメラ70におけるカメラ本体71の下側突出部71b(裏面側部位70bとなる)を収納可能な略直方体形状に凹んだ収納凹部115が配設されている(図4参照)。なお、実施形態の場合、収納凹部115は、カメラ本体71の下側突出部71bより、若干、大きな容積とした略直方体形状の凹形状としている。
【0026】
インフレーター26は、上部26aaに膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口26bを設けた円柱状の本体部26aを備え、本体部26aの外周面には、四角環状のフランジ部26cが突設されている。フランジ部26cには、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔26dが形成されている。インフレーター26の本体部26aの上部26aaは、エアバッグ装置20への搭載時、エアバッグ32の折畳体110における底面部111の凹部112に収納される。
【0027】
リテーナ28は、四角環状の板金製の本体28aを備え、四隅に、下方に突出するボルト28bを突設させている。リテーナ28はエアバッグ32内の流入用開口33の周縁34に配設され、各ボルト28bをエアバッグ32の貫通孔34a、ホルダ21の貫通孔22b、及び、インフレーター26のフランジ部26cの貫通孔26dに、順に貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結させることにより、ホルダ21に、エアバッグ32とインフレーター26とを取り付けている。リテーナ28は、エアバッグ32の折畳体110の底面部111に収納される。なお、折畳体110の底面部111側には、リテーナ28のホルダ21への締結時に、リテーナ28とホルダ21との間に、エアバッグ32の流入用開口33の周縁34以外の部位が噛み込まれないように、噛み込み防止用の凹部113が形成されている。
【0028】
ホルダ21は、図2~6,8に示すように、金属板から構成されて、底壁部22と、底壁部22の外周縁から上方に延びる側壁部23と、を備えて構成されている。底壁部22は、中央に、インフレーター26の本体部26aを下方から挿入可能な円形の挿入孔22aを配設させ、また、挿入孔22aの周縁には、既述のボルト28bを貫通させる貫通孔22bを配設させている。また、底壁部22の外周縁付近には、エアバッグカバー37を取付固定するための係止孔22cが、4箇所に配設されている。各係止孔22cは、エアバッグカバー37の後述する係止脚部65を係止する部位であり、挿入孔22aから離れた縁側を、係止縁22dとし、挿入孔22a側の縁には、係止孔22c内に進入させるように上方へ曲げて、係止脚部65を係止縁22d側に押圧して、係止脚部65の係止を強固にするための舌片22eが配設されている(図3,6,8参照)。
【0029】
なお、底壁部22の後縁側の係止孔22cAには、係止脚部65Aとともに、支持プレート85の保持部88の下端の係止フック89も挿入されて、係止脚部65Aを介在させて、支持プレート85の保持部88が、ホルダ21の係止孔22cAの係止縁22dに係止されて、ホルダ21に連結保持される。
【0030】
また、底壁部22の各組付座22fには、複数(実施形態では3個)のホーンスイッチ96が各々取り付けられており、これらのホーンスイッチ96の組付ピン97を利用して、ホルダ21が、すなわち、エアバッグ装置20が、ステアリングホイール本体1のボス芯金部4に取付固定されている。
【0031】
各ホーンスイッチ96は、エアバッグ装置20を押し下げると、内部の可動側接点が固定側接点に接触して、ホーンを作動させるように配設される。各ホーンスイッチ96は、それぞれ、下方に延びる組付ピン97を備え、既述したように、組付ピン97を、ステアリングホイール本体1の固定部10における係止孔11に挿入させて、係止ピン12に係止させれば、ホーンスイッチ96を取り付けたホルダ21を備えたエアバッグ装置20が、所定のホーンストロークを確保し、かつ、ホーンスイッチ96の操作時の下方移動を可能として、ボス芯金部4の上方に搭載されることとなる。
【0032】
また、側壁部23は、各係止孔22cの外縁側に配設されて、エアバッグカバー37における各係止孔22cに係止される係止脚部65付近が、エアバッグ32の膨張時に外側に膨らむ際の支持を行えるように、構成されている。
【0033】
エアバッグカバー37は、図1~8,12に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。エアバッグカバー37は、上部側に配設されて、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納されたエアバッグ32の上方を覆う略円板状の天井壁部38と、天井壁部38の外周縁38a付近の下面から略円筒状に延び、折り畳まれたエアバッグ32(折畳体110)の外周側を覆う側壁部64と、を備えて構成されている。
【0034】
天井壁部38には、機能部品としてのカメラ70における赤外線を透過させて可視光を遮蔽する外側プレート部(可視光カットフィルタ)77を組み付ける組付孔47が、中央に配設されるとともに、組付孔47の周縁に、膨張するエアバッグ32に押されて開く複数(実施形態では2つ)のドア部39(L,R)が、配設されている。組付孔47は、外側プレート部77の外形寸法に対応した左右方向に沿って長軸を配置させた楕円形状に開口している。ドア部39L,39Rは、エアバッグ32の膨張時、周縁の薄肉の破断予定部43を破断させて、左右に開く構成としている。破断予定部43は、組付孔47の内周縁48の内側端部44aから放射状に延びて、組付孔47の内周縁48から離れた元部側のヒンジ部41を回転中心として、開くように、配設されている。具体的には、破断予定部43は、組付孔47を跨いで、前後方向に沿って配設される直線部44(F,B)(図12参照)と、前方側と後方側との直線部44F,44Bの外側端部44bから、それぞれ、天井壁部38の外周縁38aに沿って略1/6円の円弧状に延びる曲線部45(FL,FR,BL,BR)と、から構成されている。直線部44F,44Bの外側端部44bから左方側に延びる曲線部45FL,45BLの端部45a,45a相互の間が、左方側のドア部39Lの開き時のヒンジ部41Lとして、直線部44F,44Bの外側端部44bから右方側に延びる曲線部45FR,45BRの端部45a,45a相互の間が、右方側のドア部39Rの開き時のヒンジ部41Rとしている。
【0035】
組付孔47の内周縁48は、機能部品としてのカメラ70の外側プレート部77を組付可能に、外側プレート部77の後述するプレート側係合部80を係合させるカバー側係合部50(L,R)を配設させている。カバー側係合部50L,50Rは、それぞれ、組付孔47の内周縁48の左右に配設されている。各カバー側係合部50(L,R)は、外側プレート部77の外周縁77cのプレート側係合部80における後述する下側延設部81の下端側を嵌合可能な嵌合凹部51を備えて構成されている(図3,7,8参照)。また、カバー側係合部50(L,R)には、外側プレート部77の外周縁77cの上面側に当接する上面側張出部56が、配設されている。
【0036】
エアバッグカバー37の側壁部64は、下端に、複数(実施形態では4本)の係止脚部65が突設されている。各係止脚部65は、ホルダ21の係止孔22cに挿入されて、ホルダ21に取付固定されるように、首部65aの下端に、側壁部64の外周面(外側面)64b側(図8参照)に突出する係止頭部65bを配設させて構成されている。各係止脚部65の係止頭部65bは、ホルダ21の係止孔22cへ挿入させ、舌片22eの押し付けによる係止時、係止孔22cの外縁側の係止縁22dの下面側に強固に係止されることとなる。
【0037】
なお、エアバッグカバー37は、ホルダ21に対し、係止脚部65の係止により上方移動が規制され、側壁部64の先端64c(図3,5参照)の底壁部22への当接により下方移動が規制されることにより、上下移動を規制されて、取り付けられることとなる。
【0038】
また、後左側の係止脚部65Aには、下端に、支持プレート85の保持部88の下端に配設された断面U字状の係止フック89を係止させる係止溝部66が形成されている。
【0039】
さらに、係止溝部66の周縁におけるドア部39Lから側壁部64の内周面側には、支持プレート85の天板部86や保持部88を収納するプレート用収納凹部68が、形成されている(図5,12参照)。
【0040】
機能部品としての運転者撮影用のカメラ70は、赤外線を利用して、運転者の瞳付近を撮影し、円滑にステアリングホイールWを操舵可能な運転可能状態、あるいは、居眠り等の状態として運転不能状態、としているかを判定する判定手段に、撮影データを出力するものである。カメラ70は、支持プレート85の天板部86に保持される機能本体部としてのカメラ本体71と、カメラ本体71の上方を覆って天板部86に保持されるとともに、エアバッグカバー37の天井壁部38の略中央付近から露出するように組付孔47に組み付けて配設され、赤外線を透過し、可視光を遮蔽する可視光遮蔽フィルタを構成する外側プレート部77と、を備えて構成されている(図2~5,7~11参照)。
【0041】
カメラ本体71は、外側プレート部77のレンズ部72と赤外線を照射する赤外線LED73を備えて構成され、支持プレート85の天板部86に保持されている(図4,5,10,11参照)。カメラ本体71は、外周縁にフランジ部71cが形成され、天板部86の下面86d側に、配設されて、フランジ部71cに、天板部86の貫通孔86hを経て取付ねじ74を締結される3個の取付孔71dと、天板部86の位置決め孔86gに挿入される3本の位置決め突起71fと、が配設されている。また、フランジ部71cには、天板部86の貫通孔86iを経て、外側プレート部77の取付ボス77eに締結される取付ねじ83を挿通させる貫通孔71eが形成されている。
【0042】
そして、カメラ本体71は、天板部86の下面86d側にねじ74止めされた際、天板部86のレンズ用孔86eやLED用孔86fから天板部86の上面86c側から上方へ突出する上側部71aと、天板部86の下面86d側の下方へ突出する下側部、すなわち、下側突出部71b(裏面側部位70b)と、を配設させて、天板部86に保持されている。
【0043】
外側プレート部77は、既述したように、赤外線を透過し、可視光を遮蔽する可視光カットフィルタを構成するもので、ポリカーボネート等から形成されて、中央を上方に隆起させて左右方向に長軸を設けた楕円板状としている。外側プレート部77の上面77a側には、取付脚部78aを外側プレート部77の貫通孔77dに貫通させて熱カシメして配設された装飾体78が、配設されている(図3,11参照)。装飾体78は、レンズ部72と赤外線LED73との上方を避けて、配設されている。
【0044】
外側プレート部77の外周縁77cには、エアバッグカバー37の天井壁部38に設けられた組付孔47に外側プレート部77が離脱可能に組み付けられるように、組付孔47の内周縁48に設けられたカバー側係合部50に係合するプレート側係合部80が、配設されている。
【0045】
プレート側係合部80は、外側プレート部77の外周縁77cで下方に延びる下側延設部81を備えて構成されている。下側延設部81は、組付孔47の内周縁48のカバー側係合部50へ係合可能に、断面略四角形状としている。
【0046】
また、外側プレート部77は、下面77b側に、取付ねじ83を螺着させる3本の取付ボス77eを配設させている(図11参照)。そのため、外側プレート部77は、支持プレート85の天板部86の上面側における貫通孔86iの部位に、各取付ボス77eを配置させて、天板部86の下面86d側から、貫通孔86iを経て、取付ボス77eに取付ねじ83を締結させれば、天板部86に取付固定されることとなり、その状態で、外周縁77cのプレート側係合部80をカバー側係合部50に係合させれば、組付孔47を閉塞させるように、エアバッグカバー37の天井壁部38に組み付けられることとなる。
【0047】
そして、実施形態の場合、エアバッグカバー37の天井壁部38から露出する機能部品としてのカメラ70の表面側部位70aは、外側プレート部77が対応することとなり、裏面側部位70bは、カメラ本体71、特に、カメラ本体71における下側突出部71b、が対応することとなる。
【0048】
支持プレート85は、板金製として、ステアリングシャフトSSと直交方向として、エアバッグカバー37の天井壁部38とエアバッグ32の折畳体110との間に配設される天板部86と、天板部86の先端部86aから離れた元部86bから下方に延びて、ホルダ21に保持されるように連結固定される保持部88と、を備えて構成されている(図10,11参照)。天板部86は、左右方向に延びる略長方形板状として、保持部88は、車両搭載状態で、エアバッグカバー37の天井壁部38の後左縁側で、天板部86から延びるように、配設されている(図2参照)。
【0049】
天板部86は、既述したように、下面86d側に、カメラ本体71を、取付ねじ74を利用して、取り付ける構成として、カメラ本体71のレンズ部72と赤外線LEDとを上面86c側に突出させるためのレンズ用孔86eやLED用孔86fを備え、さらに、カメラ本体71の位置決め突起71fを挿入させる位置決め孔86gを備えて構成されている。また、天板部86は、外側プレート部77を天板部86に取り付ける取付ねじ83を挿通させる貫通孔86iを備えている。
【0050】
保持部88は、天板部86の左後縁から下方に延びるように形成され、下端に、外向きに反転する断面U字状の係止フック89を配設させている(図8参照)。係止フック89は、エアバッグカバー37の側壁部23における係止脚部65Aの係止溝部66に係止され、係止脚部65Aのホルダ21の係止孔22cAへの係止により、係止脚部65A(エアバッグカバー37)とともに、ホルダ21に連結固定される。なお、この連結固定時、保持部88は、エアバッグカバー37の内周側のプレート用収納凹部68内に収納されることとなる。
【0051】
そして、エアバッグ32の膨張時には、天板部86と保持部88との交差する屈曲部87付近が、カメラ70を保持する状態として、塑性変形する変形部92としている(図9参照)。エアバッグ32の膨張時には、天板部86が、カメラ本体71と外側プレート部77とを取り付けた状態で、屈曲部87付近を回転中心として、左後方向に回転し、ドア部39L,39Rとともに、折り畳まれたエアバッグ32の上方のエリアから、離脱して、エアバッグ32の突出用開口62を形成することとなる(図8,9参照)。
【0052】
エアバッグカバー37内に収納されるエアバッグ32を折り畳んでなる折畳体110は、図14~18に示すように、リテーナ28を組み付けた状態のエアバッグ32を折り畳む折畳工程により形成され、さらに、エアバッグ装置20への搭載時には、折畳体110をラッピング材140により包むラッピング工程(図19~20参照)を経たバッグ組付体150として、搭載される。また、エアバッグ32の折畳工程は、小径折り工程と圧縮工程とを備えて構成されている。
【0053】
なお、ラッピング材140は、エアバッグ32の膨張時には容易に破断する不織布やスリット入りのバッグ用基布等から形成されて、折畳体110の折り崩れを防止するものである。ラッピング材140は、図21に示すように、中央に配置されて、略円柱状の折畳体110の天井部114を覆う天井カバー部141と、折畳体110の側面部118から底面部111を覆う側面カバー部143と、を備えて構成されている。側面カバー部143は、天井カバー部141から外方へ延出される短尺状の4つの短尺部144と、天井カバー部141から外方へ延出される長尺状の4つの長尺部145と、を備えて構成されている。短尺部144や長尺部145の周囲には、各々の短尺部144や長尺部145を曲げて、折畳体110の側面部118や底面部111を覆い易いように、スリット142が配設されている。また、短尺部144の周囲には、短尺部144で折畳体110の側面部118側を包んだ際、縁が突出しないように相互に結合させる張出部146,147が配設されている。そして、ラッピング材140の使用態様は、図22のA,Bに示すように、天井カバー部141が折畳体110の天井部114を覆った状態で、図22のB,Cに示すように、各短尺部144により、折畳体110の側面部118から底面部111を包ませ、張出部146,146相互と張出部147相互とを縫合させるとともに、図22のDに示すように、先端部144aの係止孔144bに近傍のボルト28bを係止させる。ついで、図22のE,Fに示すように、各長尺部145の近傍の相互を交差させつつ、折畳体110の側面部118から底面部111を包ませて、先端部145aの係止孔145bに、近傍のボルト28bを係止させれば、ラッピング材140が、折畳体110の天井部114、側面部118、及び、底面部111を覆うことができる。なお、図4,5では、ラッピング材140は、省略して、折畳体110を図示している。
【0054】
折畳工程の小径折り工程を説明すると、図14のAに示すように、各ボルト28bを貫通孔34aから突出させるようにして、エアバッグ32内の流入用開口33の周縁34にリテーナ28を配設し、ついで、エアバッグ32の周壁を構成する車体側壁部32aの上に運転者側壁部32bを重ねて、エアバッグ32を平らに展開した初期準備体(初期展開体ともいえる)100を形成する。
【0055】
ついで、図14のBに示すように、折畳準備体104を形成する。折畳準備体104は、初期準備体100の前縁101側に左右方向に沿う折目102を設けて、前縁101を、車体側壁部32aにおける流入用開口33側に接近させるように折り返せば、形成することができる。
【0056】
ついで、折畳準備体104を、図15,16に示すように、バッグ折り機120にセットし、そして、図17,18に示すように、外周縁105側を流入用開口33の上方に集めて、小径とするように、折り畳む。
【0057】
バッグ折り機120は、図15,16に示すように、底側基板121と、底側基板121の上方で上下に移動可能に配設される天井側基板124と、底側基板121上で、底側基板121の中央121b側に移動する8つずつの2種類の押し込み具127,128と、を備えて構成されている。底側基板121の上面側の中央121bには、折畳準備体104から突出したリテーナ28の各ボルト28bを嵌めるセット部122が、配設されている。底側基板121の上面側におけるセット部122の部位は、エアバッグ32の折畳体110の凹部112,113を形成可能な小さな凹凸を有して、底面部111側を形成する成形面(型面)121aとなる。また、セット部122の部位は、底側基板121から上方に移動可能に構成されて(図18のC参照)、小径折り工程後の折畳体110(予備折畳体109)を、圧縮工程に移行できるように、押し出して、取り出せるように構成されている。さらに、押し込み具127は、折畳準備体104の外周縁105における8つの箇所106を、把持でき、かつ、中央121b側に押し込むことができるように、構成されている(図16図17のB参照)。さらに、押し込み具127のセット部122側には、折畳体110の円柱状の側面部118における円弧状の曲面に対応する型面127aが、形成されている。押し込み具128は、セット部122側を先細りとした略三角板形状としている。
【0058】
また、天井側基板124の下面側における中央付近は、折畳体110の天井部114を形成するための成形面(型面)124aとしている。そして、成形面124aの中央には、折畳体110の収納凹部115を賦形するための押し治具125を組み付けるためのセット部124bとしている。押し治具125は、セット部124bの組付孔124cの周縁に取り付けられる鍔状の組付部125aと、組付孔124c内に嵌め込まれる円板状の基板部125bと、基板部125bから下方へ突出する略直方体形状の突条部125cと、を備えて構成されている。突条部125cは、図15のCに示すように、折畳体110の収納凹部115の凹形状に対応した凸形状として、構成されている。そして、基板部125bの下面125ba側が、折畳体110の天井部114の上面114aにおける凹部115の周縁114cを賦形することとなる。
【0059】
そして、バッグ折り機120を使用する折畳工程の小径折り工程では、まず、図14,15のA,Bに示すように、折畳準備体104を形成した状態で、各ボルト28bをセット部122にセットし、ついで、図15のCに示すように、底側基板121のセット部122から、所定高さ(折畳体110の底面部111から天井部114までの高さ寸法H1と同等)となる位置に、天井側基板124を配置させる。
【0060】
ついで、図16に示すように、各押し込み具127,128を、セット部122側に移動させるとともに、折畳準備体104の外周縁105の所定の8つの箇所106を、押し込み具127に把持させる。その後、図17のAに示すように、まず、各押し込み具128をセット部122側(流入用開口33側)に移動させて、折畳準備体104における押し込み具127のセット部122側の領域を残して、折畳準備体104の外周縁105の8つの押し込み箇所107を、セット部122側に押し込む。
【0061】
その後、各押し込み具127における外周縁105の把持箇所106の把持を解除し、各押し込み具127をセット部122側に移動させて、8つの箇所106を、図17のBに示すように、セット部122側に押し込む。
【0062】
すると、折畳準備体104は、図18のAに示すように、略円柱状の折畳体110と同等とした略円柱状の予備折畳体109に小径折りされる。この予備折畳体109は、圧縮工程前であるものの、折畳体110と同様の収納凹部115を備えた天井部114、側面部118、及び、凹部112と凹部113とを有した底面部111、を備えて構成されている(図18のA,B参照)。
【0063】
小径折り工程を経た後には、圧縮工程を行えるように、図18のA,Bに示すように、押し治具125を設けた天井側基板124を、チューブ治具130を設けた天井側基板124に取り替える。チューブ治具130は、予備折畳体109を嵌挿可能な円筒状の筒部130aと、組付孔124cの周縁に組付可能なフランジ部130bと、を備えて構成されている。また、筒部130aには、ラッピング材140の短尺部144や長尺部145の係止孔144b,145bを係止する係止ピン130cが配設されている。
【0064】
その後、図18のBから図18のCの実線、さらに、図18のCの二点鎖線に示すように、チューブ治具130にラッピング材140を被せて、セット部122を、予備折畳体109ごと押し上げ、予備折畳体109をチューブ治具130の筒部130a内に移動させる。なお、ラッピング材140は、図18のCに示すように、天井カバー部141を筒部130aの開口端130aaに配置させて、短尺部144や長尺部145の先端部144a,145aを、係止孔144b,145bを利用して、係止ピン130cに係止させておく。
【0065】
ついで、予備折畳体109を収納させたチューブ治具130を、図19のAに示すように、圧縮工程を行うバッグプレス機132の固定側部133のセット部133aにセットする。
【0066】
バッグプレス機132は、固定側部133と可動側部136とを備えて構成される。固定側部133は、ラッピング材140を組み付けたチューブ治具130を収納するブロック134と、予備折畳体109における天井部114側と対向するように配設される押し治具135と、を備えている。押し治具135は、円板状の基板部135aと、基板部135aから上方へ突出する突条部135bと、を備えて構成されている。突条部135bは、折畳体110の収納凹部115の凹形状に対応した凸形状として構成されている。そして、基板部135aの上面135aa側が、折畳体110の天井部114の上面114aを賦形することとなる。
【0067】
可動側部136は、折畳体110におけるインフレーター26の収納用の凹部112を形成する押し治具137を下端に設けて、上下動可能に配設され、押し治具137の上縁側には、折畳体110の底面部111に当接される鍔部138が配設されている。鍔部138には、各ボルト28bを貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
【0068】
そして、図19のAに示すように、予備折畳体109を収納させたチューブ治具130を、固定側部133のセット部133aにセットし、ついで、図19のBに示すように、可動側部136を下降させて、押し治具137により、凹部112を賦形するとともに、押し治具135により、精度良く、収納凹部115を賦形し直せば、折畳体110を形成することができる。
【0069】
なお、図19では、ラッピング材140や押し治具135の形状が解りやすいように、それぞれ、予備折畳体109と隙間を空けて図示しているが、実際には、押し治具135に天井部114やラッピング材140は密着している。
【0070】
そして、圧縮工程を経た後には、図20のA,Bに示すように、チューブ治具130を抜くとともに、可動側部136を復帰させ、ラッピング材140の張出部146,147を適宜縫合し、また、短尺部144や長尺部145を、係止孔144b,145bを利用して、所定のボルト28bに係止させれば(図13のB参照)、折畳体110をラッピング材140により包んだバッグ組付体150を得ることができる。なお、実施形態の場合、ラッピング材140の天井カバー部141は、折畳体110の収納凹部115の上方で、略平面状として、天井部114の上面114a上を覆うこととなる。この収納凹部115の上方の天井カバー部141の部位は、エアバッグ装置20の組み立て時、裏面側部位70bを包むように収納凹部115に押し込まれて、凹状カバー部148となる。
【0071】
実施形態のエアバッグ装置20では、組み立て時、まず、上記のように折畳体110をラッピング材140で包んだバッグ組付体150を形成しておく。また、支持プレート85の天板部86に、取付ねじ74を利用して、カメラ70のカメラ本体71を取付固定し、装飾体78を取付済みのカメラ70の外側プレート部77をエアバッグカバー37の組付孔47の内周縁48に組み付けておく。カメラ本体71の天板部86への取り付けは、レンズ部72と赤外線LED73とを、天板部86の下面86d側から、対応するレンズ用孔86eとLED用孔86fに挿入させるとともに、位置決め突起71fを天板部86の下面86d側から位置決め孔86gに挿入させ、取付ねじ74を、天板部86の上面86c側から、貫通孔86hを経て、カメラ本体71の取付孔71dに螺着させれば、行える。
【0072】
ついで、支持プレート85の保持部88付近をエアバッグカバー37の内周面側のプレート用収納凹部68に嵌めつつ、保持部88の下端の係止フック89をエアバッグカバー37の係止溝部66に嵌めて、支持プレート85をエアバッグカバー37の内周側に組み付ける。この時、エアバッグカバー37の組付孔47に組み付けた外側プレート部77は、各取付ボス77eが支持プレート85の天板部86の各貫通孔86iに配置されることから、天板部86の下方から、カメラ本体71の貫通孔71eと天板部86の貫通孔86iを経て、各取付ボス77eに取付ねじ83を螺着させれば、外側プレート部77を天板部86に取付固定することができる。
【0073】
また、バッグ組付体150から延びるリテーナ28の各ボルト28bを、ホーンスイッチ96を取付済みのホルダ21の貫通孔22bに貫通させるとともに、インフレーター26の本体部26aを、下方から、ホルダ21の挿入孔22aに挿入させつつ、各ボルト28bをインフレーター26のフランジ部26cの各貫通孔26dに貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結して、ホルダ21に対して、エアバッグ32とインフレーター26とを取付固定する。なお、この時、バッグ組付体150の折畳体110の凹部112内に、インフレーター26の本体部26aの上部26aa側が収納される。
【0074】
その後、図23のA,Bに示すように、エアバッグカバー37の側壁部64における各係止脚部65,65Aを、ホルダ21の各係止孔22c,22cAに挿入させ、各舌片22eを係止脚部65,65Aの内周面64a側に押し付けて、各係止脚部65,65Aの係止頭部65bを、各係止孔22c,22cAの係止縁22dに係止させるようにして、エアバッグカバー37をホルダ21に取付固定すれば、エアバッグ装置20を組み立てることができる。この時、支持プレート85は、保持部88の下端の係止フック89が係止脚部65Aの係止溝部66に係止されていることから、エアバッグカバー36の側壁部64とともに、ホルダ21に取付固定されることとなる。また、バッグ組付体150の折畳体110の収納凹部115内には、ラッピング材140の天井カバー部141の一部が押し込まれつつ、カメラ本体71の下側突出部71bが収納される。すなわち、天井カバー部141の一部が、下側突出部71bを包むように伸びて、凹状カバー部148を形成し、収納凹部115内に下側突出部71b(裏面側部位70b)が収納されることとなる。
【0075】
その後、ステアリングシャフトSSに締結済みのステアリングホイール本体1の各固定部10の係止孔11に対して、エアバッグ装置20の各ホーンスイッチ96の組付ピン97を、挿入させ、かつ、係止ピン12に係止させて、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1に取り付ければ、エアバッグ装置20を、ステアリングホイールWとともに、車両に搭載することができる。
【0076】
なお、カメラ70から延びる撮影データ出力用や電力入力用の図示しないリード線は、ドア部39Lの開き時に、支持プレート85と同様に変形するように、支持プレート85に沿わせ、かつ、ホルダ21を貫通させておき、そして、インフレーター26の作動用信号入力用の図示しないリード線とともに、ステアリングホイール本体1から延びる所定のコネクタに接続させておく。
【0077】
車両に搭載された実施形態のエアバッグ装置20では、作動前の状態では、機能部品としてのカメラ70のカメラ本体71が、可視光をカットして赤外線を透過する外側プレート部77を利用し、赤外線LED73から照射した赤外線の反射をレンズ部72から入射させて、運転者の瞳付近を撮影し、その撮影データを所定の判定手段に出力することとなる。
【0078】
そして、エアバッグ装置20の作動時には、図8,9に示すように、インフレーター26からの膨張用ガスGにより、エアバッグ32が、膨張し、そして、図1の二点鎖線に示すように、ステアリングホイールWのリング部Rを覆うように、膨張を完了させる。その際、折り畳まれたエアバッグ32(折畳体110)の上方に配設された支持プレート85の天板部86に保持された機能部品としてのカメラ70と、エアバッグカバー37の天井壁部38とが、押し上げられる。その際、エアバッグカバー37の天井壁部38は、破断予定部43を破断させて、突出用開口62を形成するために、各ドア部39(L,R)を開かせ(図2の二点鎖線参照)、また、カメラ70は、外側プレート部77が、開く各ドア部39(L,R)の先端側の組付孔47の内周縁48から抜けて組付孔47を開口させつつ、支持プレート85を変形させて、折り畳まれたエアバッグ32の上方のエリアから離脱する(図9参照)。すなわち、エアバッグカバー37の天井壁部38では、組付孔47の内周縁48から略放射状に延びる短い長さの破断予定部43の直線部44(F,B)を破断させ、さらに、曲線部45(FL,FR,BL,BR)を破断させて、迅速に、各ドア部39L,39Rが開くとともに、中央付近に配置されていた外側プレート部77が、破断予定部43自体を破断させるのでは無く、単に、組付孔47の内周縁48から抜けるように離脱して、天井壁部38の中央付近に配置されていた組付孔47を迅速に開口させつつ、機能本体部としてのカメラ本体71とともに、エアバッグ32の突出用開口62を形成する。換言すれば、エアバッグ32の膨張時、天井壁部38では、短い長さの破断予定部43の直線部44(F,B)を破断させつつ、各ドア部39L,39Rを開かせ、かつ、天井壁部38の中央付近の組付孔47を、外側プレート部77の組付孔47の内周縁48からの離脱(抜け)により、開口させて、迅速、かつ、円滑に、エアバッグ32の突出用開口62を形成することができる。
【0079】
そして、実施形態のエアバッグ装置20では、エアバッグ32の折畳体110の収納凹部115に、機能部品としてのカメラ70の裏面側部位70b(詳しくは、カメラ本体71における天板部86の下面86d側の下側突出部71b)が収納されており、収納凹部115は、底面116の上方に、裏面側部位70bの下面70baを配置させ、底面116の周縁から立ち上る側面117を、裏面側部位70bの側方を覆うように、配置させている。すなわち、エアバッグ装置20における折畳体110の底面部111からエアバッグカバー37の天井壁部38の上面38bまでの高さ寸法H0に関し(図7参照)、収納凹部115に裏面側部位70bを収納した分、高さ寸法H0を抑制することができる。また、折畳体110の側面側の幅寸法(外形寸法、実施形態では、略直径寸法)W1に関し、収納凹部115の側面117が、裏面側部位70bの側方に配置されて、裏面側部位70bの側方に接近した分、折畳体110の容積として、外側に張り出すことを抑制できて、折畳体110の高さ寸法H1だけでなく、高さ方向と直交する折畳体110の前後左右の幅寸法(外形寸法)W1をコンパクトにすることが可能となる。そして、エアバッグ装置20の容積の嵩張る折畳体110が高さ寸法H1と幅寸法W1とをコンパクトにできることから、折畳体110を囲うエアバッグカバー37を含めたエアバッグ装置20自体の高さ寸法H0や幅寸法W0もコンパクトに構成可能となる。
【0080】
したがって、実施形態のエアバッグ装置20では、エアバッグ32の折畳体110の上方に機能部品としてのカメラ70を配設させても、高さ寸法H0とともに幅寸法W0もコンパクトに構成することができる。
【0081】
そして、実施形態のエアバッグ装置20では、収納凹部115が、側面117を、裏面側部位70bの側方の全周を囲うように、配設させる構成としている。
【0082】
そのため、実施形態では、収納凹部115の側面117が、裏面側部位70bの側方の全周を囲うように、配設されて、収納凹部115の周縁の全周に、エアバッグ32の折畳部位35が、配設されることとなって、すなわち、収納凹部115の周囲の全周に、折畳部位35を配設させることとなって、折畳体110の幅寸法(外形寸法)W1の縮小に寄与できる。換言すれば、折畳体110の容積自体が一定であれば、収納凹部115の周囲に、折畳体110の側面部118側まで貫通するような貫通凹部が形成される場合に比べて、上記の構成では、その貫通凹部を塞ぐように折畳部位35cが配設されることから、折畳体110の前後左右の幅寸法W1を、小さくすることができる。
【0083】
詳しく述べれば、実施形態の折畳体110における収納凹部115の側方の折畳部位35としては、前後左右に、前側部35a、後側部35b、左側部35c、及び、右側部35dが、形成されており(図13参照)、薄肉としているものの、左側部35cも存在していることから、収納凹部115の周縁の全周にわたって、折畳部位35を、裏面側部位70bに接近させるように、配設させることができ、換言すれば、収納凹部115の容積を小さくして、折畳体110の前後左右の幅寸法W1を、小さくすることに寄与できることとなる。
【0084】
また、実施形態のエアバッグ装置20では、折畳体110が、折り畳んだエアバッグ32を圧縮させる圧縮工程(図19参照)を経て形成される構成として、収納凹部115が、エアバッグ32の圧縮工程時に賦形されている。
【0085】
そのため、実施形態では、折畳体110が、折り畳んだエアバッグ32を圧縮させて構成され、その際、収納凹部115が賦形されることから、簡便かつ的確に、機能部品としてのカメラ70の裏面側部位70bの形状に対応した収納凹部115、を形成することができる。
【0086】
さらに、実施形態のエアバッグ装置20では、折り畳まれたエアバッグ32の折り崩れ防止用のラッピング材140が、折畳体110の外周に配設されるとともに、収納凹部115の配置部位において、収納凹部115の周縁部位から凹む凹状カバー部148を形成しつつ、裏面側部位70bの外周を覆っている。
【0087】
そのため、実施形態では、折畳体110がラッピング材140に包まれることから、エアバッグ32の折り崩れを防止される。そして、ラッピング材140自体は、収納凹部115の部位では、機能部品としてのカメラ70の裏面側部位70bを覆うように配設されることから、支障なく、カメラ70の裏面側部位70bが、ラッピング材140の凹状カバー部148を介在させて、収納凹部115内に収納されることとなる。
【0088】
なお、ラッピング材140が、伸び難く、収納凹部115内で、裏面側部位70bを覆い難い場合には、折畳体110を包んだ後、収納凹部115の上方付近の天井カバー部141に、裏面側部位70bを挿通可能な切れ込みや貫通孔を形成してもよい。
【0089】
また、実施形態のエアバッグ装置20では、エアバッグ32とエアバッグカバー37とが、ホルダ21に保持され、機能部品としてのカメラ70が、ホルダ21に連結される支持プレート85に保持され、支持プレート85が、エアバッグ32の膨張時、カメラ70を突出用開口62の領域から離脱させるように変形可能に構成されている。
【0090】
そのため、実施形態では、支持プレート85に保持されて、エアバッグ32の膨張時、支持プレート85が、カメラ70を保持した状態で、エアバッグ32の突出用開口62の領域から離脱させるように変形することから、カメラ70の裏面側部位70bが、折畳体110の収納凹部115内に収納されていても、エアバッグ32は、カメラ70を飛散させること無く、円滑に、膨張することができる。
【0091】
なお、機能部品の保持としては、図24,25に示すステアリングホイールWBに搭載するエアバッグ装置20Bのように、エアバッグカバー37Bの天井壁部38Bに設けたドア部39Bに、機能部品としてのカメラ70Bを配設してもよい。カメラ70Bは、可視光カットフィルタ等の外側プレート部77Bとカメラ本体71Bとから構成され、外側プレート部77Bが、表面側部位70aとして、ドア部39Bから露出するように配設され、カメラ本体71Bが、ドア部39Bの裏面側にリベットにより取り付けられて、下端側を、折畳体110の収納凹部115に収納させる裏面側部位70bとしている。ドア部39Bは、エアバッグ32の膨張時、図24,25の二点鎖線に示すように、カメラ70Bを保持した状態で、前方側に開いて、エアバッグ32の突出用開口62を形成する構成としている。
【0092】
そして、折畳体110の収納凹部115内に、カメラ70Bの裏面側部位70bが収納されている。
【0093】
なお、機能部品としては、カメラの他、液晶パネル等からなる発光装置を使用することができる。
【符号の説明】
【0094】
20,20B…エアバッグ装置、21…ホルダ、32…エアバッグ、37,37B…エアバッグカバー、38,38B…天井壁部、39(L,R),39B…ドア部、62…突出用開口、70,70B…(機能部品)カメラ、70a…表面側部位、70b…裏面側部位、85…支持プレート、110…折畳体、114a…上面、115…収納凹部、116…底面、117…側面、140…ラッピング材、G…膨張用ガス。
図1
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