(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20240305BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240305BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2021529924
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2020021396
(87)【国際公開番号】W WO2021002128
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2019125208
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 朋重
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 康貴
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213063(JP,A)
【文献】特開2008-004289(JP,A)
【文献】特開2015-201288(JP,A)
【文献】特開2015-220218(JP,A)
【文献】特開2016-054112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と
、前記蓄電素子を挟み込む第一スペーサ及び第二スペーサと、を備える蓄電装置であって、
前記第一スペーサは、
前記第一スペーサ及び前記第二スペーサの並び方向である第一方向において前記蓄電素子と対向する第一本体部と、
前記第一本体部
の、前記第一方向と交差する第三方向の端部から、前記蓄電素子
の前記第三方向の面に沿って前記第二スペーサに向けて突出する第一壁部と、
前記第一壁部
の、前記第一方向及び前記第三方向と交差する第二方向の端部から、前
記第二方向に突出する第一突出部と、を有し、
前記第二スペーサは、
前記第一方向において前記蓄電素子と対向する第二本体部と、
前記第二本体部
の前記第三方向の端部から、前記蓄電素子
の前記第三方向の面に沿って前記第一壁部に向けて突出する第二壁部と、
前記第二壁部
の前記第二方向の端部から前記第二方向に突出する第二突出部と、を有し、
前記第一突出部は、前記第一方向において、前記第二突出部との距離が、前記第一壁部と前記第二壁部との距離よりも大きい離間部を有する
蓄電装置。
【請求項2】
蓄電素子と
、前記蓄電素子を挟み込む第一スペーサ及び第二スペーサと、を備える蓄電装置であって、
前記第一スペーサは、
前記第一スペーサ及び前記第二スペーサの並び方向である第一方向において前記蓄電素子と対向する第一本体部と、
前記第一本体部
の、前記第一方向と交差する第二方向の端部から、前記蓄電素子
の前記第二方向の面である側面または底面に沿って前記第二スペーサに向けて突出する第一壁部と、
前記第一壁部
の、前記第二方向における前記蓄電素子とは反対側の面から、前
記第二方向
における前記蓄電素子とは反対側に突出する第一突出部と、を有し、
前記第二スペーサは、
前記第一方向において前記蓄電素子と対向する第二本体部と、
前記第二本体部
の前記第二方向の端部から、前記蓄電素子
の前記第二方向の面である側面または底面に沿って前記第一壁部に向けて突出する第二壁部と、
前記第二壁部
の、前記第二方向における前記蓄電素子とは反対側の面から
、前記第二方向
における前記蓄電素子とは反対側に突出する第二突出部と、を有し、
前記第一突出部は、前記第一方向において、前記第二突出部との距離が、前記第一壁部と前記第二壁部との距離よりも大きい離間部を有する
蓄電装置。
【請求項3】
前記離間部は、前記第一壁部から離れるほど前記第二突出部から離れる方向に傾斜する第一傾斜面を有する
請求項1
または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第二突出部は、前記第二壁部から離れるほど前記離間部から離れる方向に傾斜する第二傾斜面を有する
請求項1
~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第一突出部は、前記第二突出部とは反対側の面において、前記第一壁部から離れるほど前記第二突出部に近づく方向に傾斜する第三傾斜面を有する
請求項1~
4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記離間部は、前記第二突出部から離れる方向に向けて凹んだ凹部を有する
請求項1~
5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記第一突出部と前記第二突出部との前記離間部における前記第一方向の距離をa、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向における前記離間部の長さをb、前記第二方向における前記離間部の長さをh、前記第一突出部と前記第二突出部との間に配置される液体が空気に接触するときの表面張力をσ、前記離間部の壁面と前記液体との接触角をθ、前記液体の密度をρ、重力加速度をgとしたとき、
前記第一突出部と前記第二突出部との前記離間部における前記第一方向の距離aが、次式を満たす
請求項1~
6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【数1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と、蓄電素子を挟み込む2つのスペーサとを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子と、蓄電素子を挟み込む2つのスペーサとを備える蓄電装置が広く知られている。特許文献1には、蓄電素子とスペーサとを交互に積層した蓄電装置であって、スペーサは、隣接する蓄電素子に対向する対向面と、側面と、側面から張り出しスペーサを支持する脚部とを備える蓄電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の蓄電装置では、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのを抑制できる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子を挟み込む第一スペーサ及び第二スペーサと、を備える蓄電装置であって、前記第一スペーサは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向する第一本体部と、前記第一本体部から、前記蓄電素子に沿って前記第二スペーサに向けて突出する第一壁部と、前記第一壁部から、前記第一方向と交差する第二方向に突出する第一突出部と、を有し、前記第二スペーサは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向する第二本体部と、前記第二本体部から、前記蓄電素子に沿って前記第一壁部に向けて突出する第二壁部と、前記第二壁部から前記第二方向に突出する第二突出部と、を有し、前記第一突出部は、前記第一方向において、前記第二突出部との距離が、前記第一壁部と前記第二壁部との距離よりも大きい離間部を有する。
【0007】
本発明は、このような蓄電装置として実現できるだけでなく、スペーサ(第一スペーサ、第二スペーサ)としても実現できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明における蓄電装置によれば、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る中間スペーサの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る2つの中間スペーサの位置関係を示す側面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るエンドスペーサの構成、及び、中間スペーサとエンドスペーサとの位置関係を示す側面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例1に係る蓄電素子を挟む2つのスペーサ(第一スペーサ及び第二スペーサ)の構成を示す側面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例2に係る蓄電素子を挟む2つのスペーサ(第一スペーサ及び第二スペーサ)の構成を示す側面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例3に係る蓄電素子を挟む2つのスペーサ(第一スペーサ及び第二スペーサ)の構成を示す側面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例4に係る蓄電素子を挟む2つのスペーサ(第一スペーサ及び第二スペーサ)の構成を示す側面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例5に係る蓄電素子を挟む2つのスペーサ(第一スペーサ及び第二スペーサ)の構成を示す側面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の変形例6に係る蓄電素子を挟む2つのスペーサ(第一スペーサ及び第二スペーサ)の構成を示す上面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態の変形例7に係る蓄電装置を縦方向に段積みした場合の構成を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、蓄電素子を挟む2つのスペーサにおけるスペーサ突出部の離間部間の距離を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記従来の蓄電装置では、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうおそれがある。特許文献1に開示された蓄電装置では、蓄電素子と交互に並ぶスペーサのそれぞれが脚部を備えており、それぞれのスペーサの脚部は、蓄電素子とスペーサとの並び方向に配列されている。このため、本願発明者は、蓄電素子を挟む2つのスペーサの脚部間の隙間が小さいと、結露などによって生じた水等の液体が、当該隙間の上方から当該隙間に浸入したり、当該隙間の下方から当該隙間を上ってきたりして、当該隙間に当該液体が溜まってしまうおそれがあることを見出した。当該隙間に液体が溜まると、当該液体を介して、蓄電素子と外部の導電部材(蓄電装置が載置される金属板等)とが導通してしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのを抑制できる蓄電装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、第一方向において前記蓄電素子を挟み込む第一スペーサ及び第二スペーサと、を備える蓄電装置であって、前記第一スペーサは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向する第一本体部と、前記第一本体部から、前記蓄電素子に沿って前記第二スペーサに向けて突出する第一壁部と、前記第一壁部から、前記第一方向と交差する第二方向に突出する第一突出部と、を有し、前記第二スペーサは、前記第一方向において前記蓄電素子と対向する第二本体部と、前記第二本体部から、前記蓄電素子に沿って前記第一壁部に向けて突出する第二壁部と、前記第二壁部から前記第二方向に突出する第二突出部と、を有し、前記第一突出部は、前記第一方向において、前記第二突出部との距離が、前記第一壁部と前記第二壁部との距離よりも大きい離間部を有する。
【0013】
これによれば、蓄電装置において、第一スペーサは、蓄電素子に沿って第二スペーサに向けて突出する第一壁部と、第一壁部から突出する第一突出部とを有し、第二スペーサは、蓄電素子に沿って第一壁部に向けて突出する第二壁部と、第二壁部から突出する第二突出部とを有している。第一突出部は、第二突出部との距離が、第一壁部と第二壁部との距離よりも大きい離間部を有している。このように、第一スペーサ及び第二スペーサに第一突出部及び第二突出部を形成するとともに、第一突出部の離間部を、第二突出部との距離が第一壁部と第二壁部との距離よりも大きく形成する。これにより、第一突出部及び第二突出部の間に上方から水等の液体が浸入した場合には、離間部の位置で当該液体が落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部の位置で上りにくくなるため、第一突出部及び第二突出部の間に当該液体が溜まりにくくなる。したがって、第一突出部及び第二突出部の間に当該液体が溜まるのを抑制できるため、蓄電素子と外部の導電部材(蓄電装置が載置される金属板等)とが導通してしまうのを抑制できる。
【0014】
前記離間部は、前記第一壁部から離れるほど前記第二突出部から離れる方向に傾斜する第一傾斜面を有してもよい。
【0015】
これによれば、第一スペーサの第一突出部の離間部は、第一壁部から離れるほど、第二スペーサの第二突出部から離れる方向に傾斜する第一傾斜面を有している。このように、第一突出部の離間部に第一傾斜面を形成することで、離間部の位置で水等の液体がより落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部の位置でより上りにくくなる。これにより、第一突出部及び第二突出部の間に当該液体がより溜まりにくくなるため、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。
【0016】
前記第二突出部は、前記第二壁部から離れるほど前記離間部から離れる方向に傾斜する第二傾斜面を有してもよい。
【0017】
これによれば、第二スペーサの第二突出部は、第二壁部から離れるほど、第一スペーサの第一突出部の離間部から離れる方向に傾斜する第二傾斜面を有している。このように、第二突出部に第二傾斜面を形成することで、第一突出部の離間部の位置で水等の液体がより落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部の位置でより上りにくくなる。これにより、第一突出部及び第二突出部の間に当該液体がより溜まりにくくなるため、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。
【0018】
前記第一突出部は、前記第二突出部とは反対側の面において、前記第一壁部から離れるほど前記第二突出部に近づく方向に傾斜する第三傾斜面を有してもよい。
【0019】
これによれば、第一スペーサの第一突出部は、第二スペーサの第二突出部とは反対側の面において、第一壁部から離れるほど第二突出部に近づく方向に傾斜する第三傾斜面を有している。このように、第一突出部の第二突出部とは反対側の面に第三傾斜面を形成することで、第一突出部の第二突出部とは反対側においても、上方からの水等の液体が落下しやすくなり、下方からの水等の液体は上りにくくなる。これにより、第一突出部の第二突出部とは反対側においても、当該液体が溜まりにくくなるため、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのを抑制できる。
【0020】
前記離間部は、前記第二突出部から離れる方向に向けて凹んだ凹部を有してもよい。
【0021】
これによれば、第一スペーサの第一突出部の離間部は、第二スペーサの第二突出部から離れる方向に向けて凹んだ凹部を有している。このように、第一突出部の離間部に凹部を形成することで、離間部の位置で水等の液体がより落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部の位置でより上りにくくなる。これにより、第一突出部及び第二突出部の間に当該液体がより溜まりにくくなるため、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。
【0022】
前記第一突出部と前記第二突出部との前記離間部における前記第一方向の距離をa、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向における前記離間部の長さをb、前記第二方向における前記離間部の長さをh、前記第一突出部と前記第二突出部との間に配置される液体が空気に接触するときの表面張力をσ、前記離間部の壁面と前記液体との接触角をθ、前記液体の密度をρ、重力加速度をgとしたとき、前記第一突出部と前記第二突出部との前記離間部における前記第一方向の距離aが、次式を満たすことにしてもよい。
【0023】
【0024】
本願発明者は、第一突出部と第二突出部との離間部における距離が上記の式を満たす場合に、第一突出部と第二突出部との間を水等の液体が這い上がってきても、離間部よりも上方にまでは当該液体が這い上がってこないことを見出した。これにより、蓄電素子と外部の導電部材とが導通してしまうのを抑制できる。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電装置について説明する。以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0026】
以下の説明及び図面中において、複数の蓄電素子と複数のスペーサと2つのエンド部材との並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向を、X軸方向と定義する。1つの蓄電素子における一対(正極側及び負極側)の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向、または、2つのサイド部材の並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。
【0027】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。以下では、X軸方向を第一方向とも呼び、Z軸方向またはZ軸マイナス方向を第二方向とも呼び、Y軸方向を第三方向とも呼ぶ場合がある。平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、数%程度の差異を含むことも意味する。
【0028】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0029】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。蓄電装置10は、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0030】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置10は、複数(本実施の形態では20個)の蓄電素子100と、複数(本実施の形態では21個)のスペーサ200と、2つ(一対)のエンド部材300と、2つ(一対)のサイド部材400と、を備えている。蓄電装置10は、これらの複数の蓄電素子100等を収容する外装体(モジュールケース)、蓄電素子100同士を電気的に接続するバスバー、バスバーの位置決めを行うバスバーフレーム(バスバープレート)、蓄電素子100の充電状態または放電状態を監視するための回路基板またはリレー等の電気機器なども備えていてもよいが、これらの図示は省略し、詳細な説明も省略する。
【0031】
蓄電素子100は、電気を充電し、電気を放電できる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な直方体形状(角形)の形状を有しており、スペーサ200に隣接して配置されている。つまり、複数の蓄電素子100のそれぞれが、複数のスペーサ200のそれぞれと交互に配置され、X軸方向に並べられている。本実施の形態では、21個のスペーサ200のうちの隣り合うスペーサ200の間に、20個の蓄電素子100がそれぞれ配置されている。蓄電素子100の構成の詳細な説明については、後述する。
【0032】
蓄電素子100の個数は20個に限定されず、1個、または、20個以外の複数個数であってもよい。蓄電素子100の接続形態は特に限定されず、全てが直列接続されていてもよいし、いずれかの蓄電素子100が並列接続されていてもよい。蓄電素子100の形状は、直方体形状には限定されず、直方体形状以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。
【0033】
スペーサ200は、蓄電素子100の側方(X軸プラス方向またはX軸マイナス方向)に配置され、蓄電素子100と他の部材とを電気的に絶縁するとともに、蓄電素子100が膨れるのを抑制する矩形状かつ板状のスペーサである。スペーサ200は、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、または、それらの複合材料等の絶縁部材等により形成されている。スペーサ200は、電気的絶縁性を有するものであれば樹脂以外の材料で形成されていてもよく、セラミック、または、マイカ片を集積し結合することで構成されるダンマ材によって形成されたマイカ板等で形成されていてもよい。複数のスペーサ200の全てが同じ材質の材料で形成されていなくてもよい。
【0034】
スペーサ200は、複数(本実施の形態では19個)の中間スペーサ201と、2つ(一対)のエンドスペーサ202と、を有している。中間スペーサ201は、隣り合う2つの蓄電素子100の間に挟まれて配置され、当該2つの蓄電素子100間を電気的に絶縁する矩形状かつ平板状のスペーサである。エンドスペーサ202は、複数の蓄電素子100のうちの端部の蓄電素子100とエンド部材300との間に挟まれて配置され、当該蓄電素子100とエンド部材300との間を電気的に絶縁する矩形状かつ平板状のスペーサである。スペーサ200(中間スペーサ201及びエンドスペーサ202)の構成の詳細な説明については、後述する。
【0035】
本実施の形態では、20個の蓄電素子100が19個(19枚)の中間スペーサ201と交互に隣接して配置され、X軸方向に並べられているが、蓄電素子100の個数が20個以外の場合には、中間スペーサ201の個数も蓄電素子100の個数に応じて適宜変更される。蓄電素子100の個数が1個の場合には、中間スペーサ201は配置されず、当該1個の蓄電素子100を挟む2枚(一対)のエンドスペーサ202が配置されることとなる。
【0036】
エンド部材300及びサイド部材400は、複数の蓄電素子100の並び方向(X軸方向)において、蓄電素子100を外方から圧迫(拘束)する拘束部材である。つまり、エンド部材300及びサイド部材400は、複数の蓄電素子100を当該並び方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を当該並び方向の両側から圧迫(拘束)する。エンド部材300及びサイド部材400は、強度確保の観点等から、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の材料等で形成されている。エンド部材300及びサイド部材400の材質は特に限定されず、強度の高い電気的絶縁性の材料で形成されていてもよいし、絶縁処理が施されていてもよい。
【0037】
具体的には、エンド部材300は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200のX軸方向両側に配置され、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を、X軸方向の両側から挟み込んで保持する扁平なブロック状のエンドプレート(挟持部材)である。エンド部材300は、ブロック状のエンドプレートではなく、板状のエンドプレート等であってもよい。
【0038】
サイド部材400は、両端がエンド部材300に取り付けられて、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を拘束する長尺状かつ平板状のサイドプレート(拘束バー)である。つまり、サイド部材400は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を跨ぐようにX軸方向に延設されて配置され、当該複数の蓄電素子100等に対してこれらの並び方向(X軸方向)における拘束力を付与する。本実施の形態では、当該複数の蓄電素子100等のY軸方向両側方に、一対のサイド部材400が配置されている。当該一対のサイド部材400のそれぞれが、X軸方向両端部において、一対のエンド部材300のY軸方向端部に取り付けられている。これにより、一対のサイド部材400は、当該複数の蓄電素子100等をX軸方向の両側及びY軸方向の両側から挟み込んで拘束する。サイド部材400は、板状のサイドプレートではなく、ブロック状または棒状の部材等であってもよい。
【0039】
[2 蓄電素子100の構成の説明]
次に、蓄電素子100の構成について、詳細に説明する。蓄電装置10が有する蓄電素子100は全て同様の構成を有するため、以下では、1つの蓄電素子100の構成について詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る蓄電素子100の外観を示す斜視図である。
【0040】
図3に示すように、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極側及び負極側)の電極端子120と、を備えている。容器110の内方には、電極体、一対(正極側及び負極側)の集電体、及び、電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択できる。集電体の側方等にスペーサが配置されていてもよいし、容器110の外面を覆う絶縁シートが配置されていてもよい。
【0041】
容器110は、開口が形成された容器本体111と、容器本体111の開口を閉塞する蓋体112と、を有する直方体形状(角形)の容器である。容器本体111は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、X軸方向両側の側面に2つの長側面部111aを有し、Y軸方向両側の側面に2つの短側面部111bを有し、Z軸マイナス方向側に底面部111cを有している。
【0042】
長側面部111aは、容器110の長側面を形成する矩形状かつ平面状の面部である。言い換えれば、長側面部111aは、底面部111c及び短側面部111bに隣接し、短側面部111bよりも面積が大きい面部である。短側面部111bは、容器110の短側面を形成する矩形状かつ平面状の面部である。言い換えれば、短側面部111bは、底面部111c及び長側面部111aに隣接し、長側面部111aよりも面積が小さい面部である。底面部111cは、容器110の底面を形成する矩形状かつ平面状の面部である。
【0043】
蓋体112は、容器110の蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体111のZ軸プラス方向側に配置されている。蓋体112には、容器110内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁112a、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部112b等も設けられている。
【0044】
このような構成により、容器110は、電極体等を容器本体111の内方に収容後、容器本体111と蓋体112とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。容器110(容器本体111及び蓋体112)の材質は、特に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属等であるのが好ましい。
【0045】
電極端子120は、容器110の蓋体112に配置される蓄電素子100の端子(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子120は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子120は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0046】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。電極体が有する正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層に用いられる正極活物質、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。
【0047】
集電体は、電極端子120と電極体とに電気的に接続される導電性の部材(正極集電体及び負極集電体)である。正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。蓋体112と電極端子120及び集電体との間には、蓋体112と電極端子120及び集電体との間の電気的絶縁性及び気密性を確保するための絶縁部材であるガスケットが配置されている。
【0048】
[3 スペーサ200の構成の説明]
[3.1 中間スペーサ201の構成の説明]
次に、スペーサ200(中間スペーサ201及びエンドスペーサ202)の構成について、詳細に説明する。まず、中間スペーサ201の構成について説明する。蓄電装置10が有する中間スペーサ201は全て同様の構成を有するため、以下では、1つの中間スペーサ201の構成について詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る中間スペーサ201の構成を示す斜視図である。具体的には、
図4の(a)は、
図2に示した中間スペーサ201を拡大して示す斜視図であり、
図4の(b)は、
図4の(a)の中間スペーサ201を下方(Z軸マイナス方向)から見た場合の構成を示す斜視図である。
【0049】
図4に示すように、中間スペーサ201は、スペーサ本体部210と、スペーサ側壁部220と、スペーサ底壁部230と、スペーサ突出部240と、を有している。スペーサ本体部210は、中間スペーサ201の本体を構成する矩形状かつ平板状の部位であり、YZ平面に平行に配置されている。本実施の形態では、スペーサ本体部210は、蓄電素子100のX軸プラス方向側またはX軸マイナス方向側に、蓄電素子100の容器110の長側面部111aの全面を覆うように、X軸方向(第一方向)において蓄電素子100と対向して配置される(
図5参照)。
【0050】
スペーサ側壁部220は、スペーサ本体部210からX軸方向に突出し、Z軸方向に延設される矩形状かつ平板状の部位であり、XZ平面に平行に配置されている。具体的には、スペーサ側壁部220は、スペーサ本体部210のY軸方向両端部から、X軸方向両側に突出し、Z軸方向に延設されている。本実施の形態では、スペーサ側壁部220は、蓄電素子100のY軸方向両側において、蓄電素子100の容器110の短側面部111bに沿って配置される。詳細には、スペーサ側壁部220は、蓄電素子100の容器110の短側面部111bのX軸プラス方向側またはX軸マイナス方向側の略半分を覆うように、Y軸方向において蓄電素子100と対向して配置される(
図5参照)。
【0051】
スペーサ底壁部230は、スペーサ本体部210からX軸方向に突出し、Y軸方向に延設される矩形状かつ平板状の部位であり、XY平面に平行に配置されている。具体的には、スペーサ底壁部230は、スペーサ本体部210のZ軸マイナス方向側の端部から、X軸方向両側に突出し、Y軸方向に延設されている。本実施の形態では、スペーサ底壁部230は、蓄電素子100のZ軸マイナス方向側において、蓄電素子100の容器110の底面部111cに沿って配置される。詳細には、スペーサ底壁部230は、蓄電素子100の容器110の底面部111cのX軸プラス方向側またはX軸マイナス方向側の略半分を覆うように、Z軸方向において蓄電素子100と対向して配置される(
図5参照)。
【0052】
スペーサ突出部240は、スペーサ側壁部220からZ軸マイナス方向に突出して配置されている。具体的には、スペーサ突出部240は、スペーサ底壁部230のY軸方向両端部からZ軸マイナス方向に突出し、Y軸方向に延設されている。スペーサ突出部240は、X軸プラス方向側の面に傾斜面241を有し、X軸マイナス方向側の面に傾斜面242を有している。傾斜面241は、Z軸マイナス方向に向かうほど(スペーサ側壁部220及びスペーサ底壁部230から離れるほど)、X軸マイナス方向に傾斜する平面状の傾斜面である。傾斜面242は、Z軸マイナス方向に向かうほど(スペーサ側壁部220及びスペーサ底壁部230から離れるほど)、X軸プラス方向に傾斜する平面状の傾斜面である。
【0053】
傾斜面241には、X軸マイナス方向に向けて凹んだ凹部243が形成されている。凹部243は、X軸方向から見て矩形状の凹部であり、1つの傾斜面241に、2つの凹部243が形成されている。同様に、傾斜面242にも、X軸プラス方向に向けて凹んだ2つの矩形状の凹部244(
図5参照)が形成されている。傾斜面241に形成された凹部243と傾斜面242に形成された凹部244とが繋がって、スペーサ突出部240にX軸方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0054】
[3.2 2つの中間スペーサ201の位置関係の説明]
次に、2つの中間スペーサ201の位置関係について説明する。
図5は、本実施の形態に係る2つの中間スペーサ201の位置関係を示す側面図である。具体的には、
図5は、2つの中間スペーサ201で蓄電素子100を挟んだ状態での構成をY軸マイナス方向から見た場合の図である。
【0055】
図5に示すように、蓄電素子100のX軸方向両側に、2つの中間スペーサ201が配置される。蓄電素子100のX軸マイナス方向側に配置される中間スペーサ201を、第一スペーサ200aとも呼び、蓄電素子100のX軸プラス方向側に配置される中間スペーサ201を、第二スペーサ200bとも呼ぶ。つまり、X軸方向(第一方向)において蓄電素子100を挟み込むように、第一スペーサ200a及び第二スペーサ200bが配置されている。
【0056】
第一スペーサ200aのスペーサ本体部210、スペーサ側壁部220、スペーサ底壁部230及びスペーサ突出部240を、第一本体部210a、第一側壁部220a、第一底壁部230a及び第一突出部240aとも呼ぶ。第一側壁部220aは、第一壁部の一例である。第二スペーサ200bのスペーサ本体部210、スペーサ側壁部220、スペーサ底壁部230及びスペーサ突出部240を、第二本体部210b、第二側壁部220b、第二底壁部230b及び第二突出部240bとも呼ぶ。第二側壁部220bは、第二壁部の一例である。第一突出部240aの傾斜面241を第一傾斜面241aとも呼び、第二突出部240bの傾斜面242を第二傾斜面242bとも呼び、第一突出部240aの傾斜面242を第三傾斜面242aとも呼び、第二突出部240bの傾斜面241を第四傾斜面241bとも呼ぶ。
【0057】
このような構成において、第一スペーサ200aの第一本体部210aは、X軸方向(第一方向)において、蓄電素子100と対向して配置されている。つまり、第一本体部210aは、蓄電素子100の容器110のX軸マイナス方向側の長側面部111aと対向して配置されている。
【0058】
第一スペーサ200aの第一側壁部220a(第一壁部)及び第一底壁部230aは、第一本体部210aから、蓄電素子100に沿って第二スペーサ200bに向けて突出して配置されている。つまり、第一側壁部220a及び第一底壁部230aは、X軸プラス方向側の部分が、第一本体部210aから、第二スペーサ200bの第二側壁部220b及び第二底壁部230bに向けて(X軸プラス方向に向けて)突出して配置されている。第一側壁部220a及び第一底壁部230aのX軸マイナス方向側の部分は、第一本体部210aから、第二スペーサ200bの第二側壁部220b及び第二底壁部230bとは反対側に向けて(X軸マイナス方向に向けて)突出して配置されている。
【0059】
第二スペーサ200bの第二本体部210bは、X軸方向(第一方向)において、蓄電素子100と対向して配置されている。つまり、第二本体部210bは、蓄電素子100の容器110のX軸プラス方向側の長側面部111aと対向して配置されている。
【0060】
第二スペーサ200bの第二側壁部220b(第二壁部)及び第二底壁部230bは、第二本体部210bから、蓄電素子100に沿って第一スペーサ200aに向けて突出して配置されている。つまり、第二側壁部220b及び第二底壁部230bは、X軸マイナス方向側の部分が、第二本体部210bから、第一スペーサ200aの第一側壁部220a及び第一底壁部230aに向けて(X軸マイナス方向に向けて)突出して配置されている。第二側壁部220b及び第二底壁部230bのX軸プラス方向側の部分は、第二本体部210bから、第一スペーサ200aの第一側壁部220a及び第一底壁部230aとは反対側に向けて(X軸プラス方向に向けて)突出して配置されている。
【0061】
このように、第一スペーサ200a及び第二スペーサ200bは、それぞれ、蓄電素子100の容器110の一方の長側面部111aの全面と、両方の短側面部111bそれぞれの略半分と、底面部111cの略半分と、を覆うように形成されている。このような構成により、蓄電素子100を挟む第一スペーサ200a及び第二スペーサ200bが、蓄電素子100の両方の長側面部111aと、両方の短側面部111bと、底面部111cとのほぼ全面を覆うこととなる。
【0062】
第一スペーサ200aの第一突出部240aは、第一側壁部220aから、Z軸マイナス方向(第一方向と交差する第二方向)に突出して配置されている。同様に、第二スペーサ200bの第二突出部240bは、第二側壁部220bから、Z軸マイナス方向(第二方向)に突出して配置されている。
【0063】
第一突出部240aは、X軸方向(第一方向)において、第二突出部240bとの距離が、第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離よりも大きい離間部250aを有している。本実施の形態では、第一側壁部220aと第二側壁部220bとは、蓄電素子100の容器110の短側面部111bのほぼ全面を覆うように、Z軸方向に亘ってほぼ均等に僅かな隙間を有する状態で近接して配置されている。第一側壁部220aと第二側壁部220bとは、一部または全部が当接して配置されていてもよい。第一突出部240aと第二突出部240bとは、第一側壁部220a及び第二側壁部220bからZ軸マイナス方向に向かうほど徐々に距離が広がるように形成されている。このため、第一突出部240aは、全体において、第二突出部240bとの距離が、第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離よりも大きく形成されている。つまり、第一突出部240aは、全体が離間部250aである。
【0064】
第一突出部240aと第二突出部240bとの距離とは、第一突出部240aのX軸プラス方向側の端縁と第二突出部240bのX軸マイナス方向側の端縁とのX軸方向における距離(つまり、両端縁を結ぶX軸方向に平行な線分の長さ)である。以下の突出部(または離間部)間の距離についても同様である。
【0065】
このため、離間部250a(第一突出部240a)は、第一側壁部220aから離れるほど、第二突出部240bから離れる方向に(第二突出部240bとの距離が大きくなるように)傾斜する第一傾斜面241aを有していることとなる。離間部250a(第一突出部240a)は、第二突出部240bとは反対側の面において、第一側壁部220aから離れるほど第二突出部240bに近づく方向に傾斜する第三傾斜面242aを有していることとなる。離間部250a(第一突出部240a)は、第二突出部240bから離れる方向に向けて凹んだ凹部243、及び、第二突出部240bに近づく方向に向けて凹んだ凹部244を有していることとなる。
【0066】
第二突出部240bについても同様に、X軸方向(第一方向)において、第一突出部240aとの距離が、第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離よりも大きい離間部250bを有していることとなる。第二突出部240bについても、全体が離間部250bである。
【0067】
このため、離間部250b(第二突出部240b)は、第二側壁部220bから離れるほど、離間部250aから離れる方向に(離間部250aとの距離が大きくなるように)傾斜する第二傾斜面242bを有している。離間部250b(第二突出部240b)は、離間部250aとは反対側の面において、第二側壁部220bから離れるほど離間部250aに近づく方向に傾斜する第四傾斜面241bを有している。離間部250b(第二突出部240b)は、離間部250aから離れる方向に向けて凹んだ凹部244、及び、離間部250aに近づく方向に向けて凹んだ凹部243を有していることとなる。
【0068】
第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離(隙間)がZ軸方向に亘って均等ではない場合には、上述の第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離として、第一突出部240a及び第二突出部240bに最も近い位置における距離を採用できる。つまり、離間部250aと離間部250bとの距離は、第一側壁部220a及び第二側壁部220bの、第一突出部240a及び第二突出部240bに最も近い位置における距離(隙間)よりも大きければよい。以下の離間部の定義においても同様である。
【0069】
[3.3 エンドスペーサ202の構成及び中間スペーサ201との位置関係の説明]
次に、エンドスペーサ202の構成、及び、中間スペーサ201とエンドスペーサ202との位置関係について、説明する。
図6は、本実施の形態に係るエンドスペーサ202の構成、及び、中間スペーサ201とエンドスペーサ202との位置関係を示す側面図である。具体的には、
図6は、中間スペーサ201とエンドスペーサ202とで蓄電素子100を挟んだ状態での構成をY軸マイナス方向から見た場合の図である。
【0070】
図6に示すように、エンドスペーサ202は、中間スペーサ201と同様に、スペーサ本体部210と、スペーサ側壁部220と、スペーサ底壁部230と、スペーサ突出部240と、を有している。エンドスペーサ202は、
図5の第二スペーサ200bの代わりに配置されているため、エンドスペーサ202を、第二スペーサ200cとも呼ぶ。つまり、X軸方向(第一方向)において蓄電素子100を挟み込むように、第一スペーサ200a及び第二スペーサ200cが配置されている。このため、第二スペーサ200cのスペーサ本体部210、スペーサ側壁部220、スペーサ底壁部230及びスペーサ突出部240を、第二本体部210c、第二側壁部220c、第二底壁部230c及び第二突出部240cとも呼ぶ。第二側壁部220cは、第二壁部の一例である。
【0071】
第二本体部210cは、上述の第二スペーサ200bの第二本体部210bと同様の構成を有している。第二側壁部220c及び第二底壁部230cは、上述の第二スペーサ200bの第二側壁部220b及び第二底壁部230bのX軸マイナス方向側の部位と同様の構成を有している。
【0072】
第二突出部240cは、第二側壁部220cから、Z軸マイナス方向(第二方向)に突出して配置されている。具体的には、第二突出部240cは、上述の第二スペーサ200bの第二突出部240bと同様に、第二底壁部230cのY軸方向両端部からZ軸マイナス方向に突出し、Y軸方向に延設されている。第二突出部240cは、第二突出部240bとは異なり、第二側壁部220cよりもX軸方向における幅が小さい、Y軸方向から見て矩形状の突出部である。つまり、第二突出部240cは、X軸プラス方向側の面にYZ平面に平行な側面241cを有し、X軸マイナス方向側の面にYZ平面に平行な側面242cを有している。側面242cには、X軸プラス方向(離間部250aから離れる方向)に向けて凹んだ矩形状の凹部245が形成されている。第二突出部240cには、凹部245ではなく、X軸方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0073】
このような構成において、第二突出部240cは、X軸方向(第一方向)において、第一突出部240aとの距離が、第一側壁部220aと第二側壁部220cとの距離よりも大きい離間部250cを有している。つまり、第二突出部240cは、全体が離間部250cである。離間部250cは、第二側壁部220cからX軸プラス方向に凹んだ形状を有しているため、離間部250aから離れる方向に向けて凹んだ凹部を有しているとも言える。
【0074】
[3.4 隣り合う離間部間の距離の説明]
次に、隣り合う突出部(第一突出部240a、及び、第二突出部240bまたは240c)の離間部(離間部250a、及び、離間部250bまたは250c)の間の距離について、説明する。
図14は、蓄電素子100を挟む2つのスペーサ200におけるスペーサ突出部240の離間部間の距離を説明する図である。
図14では、一例として、当該離間部間の空間をY軸方向から投影した場合の図形が長方形(矩形)の場合(後述の
図7の場合)の図を示している。
【0075】
毛細管現象によって、隣り合う突出部の離間部間を這い上がる液体(水等)の高さ(液柱高さ)h’は、離間部の壁面と当該液体が接触する界面の長さと表面張力σによって鉛直方向へ働く力F
yと、液柱に働く重力Wとの釣り合いによって決まる。つまり、Y軸方向における離間部の長さb(
図14参照)を同一として考えた場合、離間部間の空間をY軸方向から投影した場合の図形の面積が小さいほど、液柱高さh’は大きくなる。
【0076】
これは、言い換えれば、当該図形が同形であれば、離間部間の距離a(
図14参照)が小さいほど液柱高さh’が大きくなることを指す。あるいは、離間部間の距離aが同一であれば、
図5に示したような当該図形が三角形(a’=0)の場合に液柱高さh’が最も大きく、次いで、後述の
図8に示すような台形(a>a’)、後述の
図7に示すような長方形(a=a’)の順に徐々に小さくなることを指す。a’は、離間部の上端部間の距離である(
図14参照)。すなわち、Z軸方向における離間部の長さ(高さ)h(
図14参照)が同一の場合において、三角形で検討すれば、液柱高さh’を最大限に考慮できるため、離間部間の距離aを三角形の底辺として検討し、離間部同士がaよりも大きく離間していれば、h>h’となり、理論上、這い上がった液体(水等)がスペーサ底壁部230に到達することはない。
【0077】
しかしながら、当該図形が三角形または台形の場合、界面長さは液柱高さに応じて変化するため、計算が煩雑である。したがって、三角形の底辺における離間部間の距離aを界面長さとして検討する。これはすなわち、当該図形を長方形として検討していることと同じであるが、鉛直方向へ働く力Fyは、界面長さに比例するため、長方形で検討すれば、最大に見積もることができる。当該図形が三角形または台形の場合、離間部の壁面は鉛直ではなく斜面となるが、鉛直方向へ働く力Fyは、壁面が鉛直となる長方形の場合に最大となるため、長方形で検討すれば、最大に見積もることができる。つまり、長方形で検討すれば、鉛直方向へ働く力Fyの計算を最大に見積もることができる。一方、液柱に働く重力Wについては、当該図形が三角形の場合に最小となるため、この両者で検討すれば、液柱高さh’を最大に見積もることができる。
【0078】
次に、X軸方向における離間部間の距離aを算出する過程について説明する。結露等により蓄電装置10に発生した水等の液体が、離間部間を這い上がった液面と、離間部を構成する壁面との間に働く力は、当該液面及び壁面の界面の長さと表面張力とによって決定される。鉛直方向へ働く力F
yの検討は、離間部間の空間をY軸方向から投影した場合の図形が長方形の場合で行えば良いので、
【数2】
となる。aは、X軸方向における離間部間の距離であり、bは、Y軸方向における離間部の長さであり、σは、離間部間を這い上がる液体(水等)が空気に接触するときの表面張力であり、θは、離間部の壁面と当該液体との接触角である。
【0079】
Y軸方向における離間部間の空間の両端に壁面は存在しないが、離間部の壁面と連なる壁面があると仮定し、離間部間の空間を閉空間として検討した方が、液柱高さh’を高く見積もれるため、X軸方向における離間部間の距離aを最大条件で検討できる。
【0080】
一方、離間部間の液柱に働く重力Wは、離間部間を這い上がる液体(水等)の体積及び密度、並びに、重力加速度によって決定される。重力の検討は、離間部間の空間をY軸方向から投影した場合の図形が三角形として行うのが良いので、Z軸方向における離間部の長さ(高さ)hと、離間部間を這い上がる液体(水等)の高さ(液柱高さ)h’とが等しいと仮定して、
【数3】
となる。gは、重力加速度であり、ρは、離間部間を這い上がる液体(水等)の密度である。
【0081】
これらが釣り合うため、
【数4】
となり、この釣り合い式を変形すると、
【数5】
となる。すなわち、
【数6】
が導出される。
【0082】
つまり、第一スペーサの第一突出部と第二スペーサの第二突出部との、離間部におけるX軸方向(第一方向)の距離をa、Y軸方向(第一方向及び第二方向と交差する第三方向)における離間部の長さをb、Z軸方向(第二方向)における離間部の長さ(高さ)をh、第一突出部と第二突出部との間に配置される液体(水等)が空気に接触するときの表面張力をσ、離間部の壁面と当該液体との接触角をθ、当該液体の密度をρ、重力加速度をgとしたとき、上記の式を満たすようにする。これにより、Z軸方向(第二方向)における離間部の長さ(高さ)hと、離間部間を這い上がる液体(水等)の高さ(液柱高さ)h’との関係は、必ず、h>h’となり、理論上、這い上がった液体(水等)がスペーサ底壁部230に到達することはない。
【0083】
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、第一スペーサ200aは、蓄電素子100に沿って第二スペーサ200bに向けて突出する第一側壁部220a(第一壁部)と、第一側壁部220aから突出する第一突出部240aと、を有している。第二スペーサ200bは、蓄電素子100に沿って第一側壁部220aに向けて突出する第二側壁部220b(第二壁部)と、第二側壁部220bから突出する第二突出部240bと、を有している。第一突出部240aは、第二突出部240bとの距離が、第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離よりも大きい離間部250aを有している。このように、第一スペーサ200a及び第二スペーサ200bに第一突出部240a及び第二突出部240bを形成するとともに、第一突出部240aの離間部250aを、第二突出部240bとの距離が第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離よりも大きく形成する。これにより、第一突出部240a及び第二突出部240bの間に上方から水等の液体が浸入した場合には、離間部250aの位置で当該液体が落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部250aの位置で上りにくくなるため、第一突出部240a及び第二突出部240bの間に当該液体が溜まりにくくなる。したがって、第一突出部240a及び第二突出部240bの間に当該液体が溜まるのを抑制できるため、蓄電素子100と外部の導電部材(蓄電装置10が載置される金属板等)とが導通してしまうのを抑制できる。これにより、電気的な絶縁性能(絶縁抵抗・絶縁耐圧の性能)を向上できる。離間部250bについても同様である。
【0084】
第一スペーサ200aの第一突出部240aの離間部250aは、第一側壁部220aから離れるほど、第二スペーサ200bの第二突出部240bから離れる方向に傾斜する第一傾斜面241aを有している。このように、第一突出部240aの離間部250aに第一傾斜面241aを形成することで、離間部250aの位置で水等の液体がより落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部250aの位置でより上りにくくなる。これにより、第一突出部240a及び第二突出部240bの間に当該液体がより溜まりにくくなるため、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。
【0085】
第二スペーサ200bの第二突出部240bは、第二側壁部220bから離れるほど、第一スペーサ200aの第一突出部240aの離間部250aから離れる方向に傾斜する第二傾斜面242bを有している。このように、第二突出部240bに第二傾斜面242bを形成することで、第一突出部240aの離間部250aの位置で水等の液体がより落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部250aの位置でより上りにくくなる。これにより、第一突出部240a及び第二突出部240bの間に当該液体がより溜まりにくくなるため、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。
【0086】
第一スペーサ200aの第一突出部240aは、第二スペーサ200bの第二突出部240bとは反対側の面において、第一側壁部220aから離れるほど第二突出部240bに近づく方向に傾斜する第三傾斜面242aを有している。このように、第一突出部240aの第二突出部240bとは反対側の面に第三傾斜面242aを形成することで、第一突出部240aの第二突出部240bとは反対側においても、上方からの水等の液体が落下しやすくなり、下方からの水等の液体は上りにくくなる。これにより、第一突出部240aの第二突出部240bとは反対側においても、当該液体が溜まりにくくなるため、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのを抑制できる。第二スペーサ200bの第二突出部240bの第四傾斜面241bについても同様である。
【0087】
第一スペーサ200aの第一突出部240aの離間部250aは、第二スペーサ200bの第二突出部240bから離れる方向に向けて凹んだ凹部243を有している。このように、第一突出部240aの離間部250aに凹部243を形成することで、離間部250aの位置で水等の液体がより落下しやすくなり、下方からの水等の液体は離間部250aの位置でより上りにくくなる。これにより、第一突出部240a及び第二突出部240bの間に当該液体がより溜まりにくくなるため、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。離間部250aの凹部244、離間部250bの凹部243及び244についても同様である。
【0088】
本願発明者は、第一突出部240aと第二突出部240bとの離間部250aにおける距離が上述した式を満たす場合に、第一突出部240aと第二突出部240bとの間を水等の液体が這い上がってきても、離間部250aよりも上方にまでは当該液体が這い上がってこないことを見出した。これにより、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのを抑制できる。
【0089】
上述した第一スペーサ200a及び第二スペーサ200bについての効果は、第一スペーサ200a及び第二スペーサ200cについても同様に適用できる。
【0090】
[5 変形例の説明]
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。
図7は、本実施の形態の変形例1に係る蓄電素子100を挟む2つのスペーサ200(第一スペーサ200d及び第二スペーサ200e)の構成を示す側面図である。具体的には、
図7は、
図5または
図6のZ軸マイナス方向側の部分に対応する図である。
【0091】
図7に示すように、本変形例における第一スペーサ200dは、上記実施の形態における第一スペーサ200aの第一突出部240a(離間部250a)に代えて、第一突出部240d(離間部250d)を有している。本変形例における第二スペーサ200eは、上記実施の形態における第二スペーサ200bまたは200cの第二突出部240bまたは240c(離間部250bまたは250c)に代えて、第二突出部240e(離間部250e)を有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0092】
第一突出部240d(離間部250d)は、上記実施の形態における第二スペーサ200cの第二突出部240c(離間部250c)と同様に、第一側壁部220dよりもX軸方向における幅が小さい、Y軸方向から見て矩形状の突出部である。つまり、第一突出部240dは、X軸プラス方向側の面にYZ平面に平行な側面241dを有し、X軸マイナス方向側の面にYZ平面に平行な側面242dを有している。第二突出部240e(離間部250e)についても同様に、第二側壁部220eよりもX軸方向の幅が小さいY軸方向から見て矩形状の突出部であり、X軸方向両側の面にYZ平面に平行な側面241e及び242eを有している。
【0093】
第一突出部240d(離間部250d)は、第一側壁部220dからX軸マイナス方向に凹んだ形状を有しているため、第二突出部240e(離間部250e)から離れる方向に向けて凹んだ凹部を有しているとも言える。第二突出部240e(離間部250e)についても同様である。
【0094】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本変形例では、離間部250dと離間部250eとの距離が、Z軸方向に亘って狭まることなく一定に形成されている。これにより、第一突出部240d及び第二突出部240eの間に水等の液体が溜まるのをより抑制できるため、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。離間部250dと離間部250eとの距離を一定に形成することで、当該距離を、上記実施の形態における離間部250aと離間部250bとの最大距離よりも小さくしても、離間部250dと離間部250eとの間に水等の液体が溜まるのを抑制できる。
【0095】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。
図8は、本実施の形態の変形例2に係る蓄電素子100を挟む2つのスペーサ200(第一スペーサ200f及び第二スペーサ200g)の構成を示す側面図である。具体的には、
図8は、
図5または
図6のZ軸マイナス方向側の部分に対応する図である。
【0096】
図8に示すように、本変形例における第一スペーサ200fは、第一突出部240f(離間部250f)を有し、第二スペーサ200gは、第二突出部240g(離間部250g)を有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0097】
第一突出部240f(離間部250f)は、上記実施の形態における第一スペーサ200aの第一突出部240a(離間部250a)よりも、X軸方向における幅が小さく形成されている。つまり、離間部250fは、第一側壁部220fから離れるほど第二突出部240gから離れる方向に傾斜する第一傾斜面241fと、第一側壁部220fから離れるほど第二突出部240gに近づく方向に傾斜する第三傾斜面242fと、を有している。第一傾斜面241fと第三傾斜面242fとの間の距離は、上記実施の形態における離間部250aの第一傾斜面241aと第三傾斜面242aとの間の距離よりも小さい。第二突出部240g(離間部250g)の第二傾斜面242g及び第四傾斜面241gについても同様である。
【0098】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本変形例では、離間部250fと離間部250gとの間の最大距離を大きくできている。これにより、第一突出部240f及び第二突出部240gの間に水等の液体が溜まるのをより抑制できるため、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。
【0099】
(変形例3)
次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。
図9は、本実施の形態の変形例3に係る蓄電素子100を挟む2つのスペーサ200(第一スペーサ200h及び第二スペーサ200i)の構成を示す側面図である。具体的には、
図9は、
図5または
図6のZ軸マイナス方向側の部分に対応する図である。
【0100】
図9に示すように、本変形例における第一スペーサ200hは、第一突出部240h(離間部250h)を有し、第二スペーサ200iは、第二突出部240i(離間部250i)を有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0101】
第一突出部240h(離間部250h)は、X軸プラス方向側の面に、X軸マイナス方向に湾曲しながら凹んだ湾曲面を有し、X軸マイナス方向側の面に、X軸プラス方向に湾曲しながら凹んだ湾曲面を有している。つまり、離間部250hは、第一側壁部220hから離れるほど第二突出部240iから離れる方向に湾曲しながら傾斜する曲面状の第一傾斜面241hと、第一側壁部220hから離れるほど第二突出部240iに近づく方向に湾曲しながら傾斜する曲面状の第三傾斜面242hと、を有している。第二突出部240i(離間部250i)の第二傾斜面242i及び第四傾斜面241iについても同様である。
【0102】
第一突出部240h(離間部250h)は、第一側壁部220hからX軸マイナス方向に凹んだ形状を有しているため、第二突出部240i(離間部250i)から離れる方向に向けて凹んだ凹部を有しているとも言える。第二突出部240i(離間部250i)についても同様である。
【0103】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本変形例では、離間部250hと離間部250iとの間の距離が急激に大きくなっているため、第一突出部240f及び第二突出部240gの間に水等の液体が溜まるのをより抑制できる。これにより、蓄電素子100と外部の導電部材とが導通してしまうのをより抑制できる。
【0104】
(変形例4)
次に、上記実施の形態の変形例4について、説明する。
図10は、本実施の形態の変形例4に係る蓄電素子100を挟む2つのスペーサ200(第一スペーサ200j及び第二スペーサ200k)の構成を示す側面図である。具体的には、
図10は、
図5または
図6のZ軸マイナス方向側の部分に対応する図である。
【0105】
図10に示すように、本変形例における第一スペーサ200jは、第一突出部240j(離間部250j)を有し、第二スペーサ200kは、第二突出部240k(離間部250k)を有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0106】
第一突出部240j(離間部250j)は、X軸プラス方向側の面に、上記実施の形態における第一突出部240aの第一傾斜面241aと同様の第一傾斜面241jを有しているが、X軸マイナス方向側の面には、傾斜面ではなくYZ平面に平行な側面242jを有している。第二突出部240k(離間部250k)の第四傾斜面241k及び側面242kについても同様である。
【0107】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本変形例では、離間部250j及び離間部250kの片面だけに傾斜面を形成すればよいため、第一突出部240j及び第二突出部240kを容易に形成できる。
【0108】
(変形例5)
次に、上記実施の形態の変形例5について、説明する。
図11は、本実施の形態の変形例5に係る蓄電素子100を挟む2つのスペーサ200(第一スペーサ200l及び第二スペーサ200m)の構成を示す側面図である。具体的には、
図11は、
図5または
図6のZ軸マイナス方向側の部分に対応する図である。
【0109】
図11に示すように、本変形例における第一スペーサ200lは、第一突出部240l(離間部250l)を有し、第二スペーサ200mは、第二突出部240m(離間部250m)を有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0110】
第一突出部240l(離間部250l)は、X軸プラス方向側の面に、上記実施の形態における第一傾斜面241aと同様の第一傾斜面241lを有しているが、X軸マイナス方向側の面には、第三傾斜面242aとは逆方向に傾斜した第三傾斜面242lを有している。第二突出部240m(離間部250m)の第四傾斜面241m及び第二傾斜面242mについても同様である。
【0111】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本変形例では、離間部250l及び離間部250mの片面が、上記実施の形態とは逆方向に傾斜している。このように、離間部の形状として、種々の形態を取り得る。
【0112】
(変形例6)
次に、上記実施の形態の変形例6について、説明する。
図12は、本実施の形態の変形例6に係る蓄電素子100を挟む2つのスペーサ200(第一スペーサ200n及び第二スペーサ200o)の構成を示す上面図である。具体的には、
図12は、蓄電素子100を2つのスペーサ200(第一スペーサ200n及び第二スペーサ200o)で挟んだ状態を、上方(Z軸プラス方向)から見た場合の構成を示す平面図である。
【0113】
図12に示すように、本変形例における第一スペーサ200nは、上記実施の形態における第一スペーサ200aの第一突出部240a(離間部250a)に代えて、第一突出部240n(離間部250n)を有している。本変形例における第二スペーサ200oは、上記実施の形態における第二スペーサ200bまたは200cの第二突出部240bまたは240c(離間部250bまたは250c)に代えて、第二突出部240o(離間部250o)を有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0114】
第一突出部240nは、第一側壁部220nからY軸方向に突出する突出部であり、2つの第一側壁部220nに対応して、2つの第一突出部240nが配置されている。つまり、Y軸プラス方向の第一側壁部220nに対しては、Y軸プラス方向に突出する第一突出部240nが配置され、Y軸マイナス方向の第一側壁部220nに対しては、Y軸マイナス方向に突出する第一突出部240nが配置されている。第二突出部240oについても同様に、Y軸プラス方向の第二側壁部220oに対しては、Y軸プラス方向に突出する第二突出部240oが配置され、Y軸マイナス方向の第二側壁部220oに対しては、Y軸マイナス方向に突出する第二突出部240oが配置されている。このように、本変形例では、Y軸方向、Y軸プラス方向またはY軸マイナス方向が第二方向の一例であり、Z軸方向が第三方向の一例である。
【0115】
第一突出部240nは、上記実施の形態と同様に、X軸プラス方向側の面に、第一側壁部220nから離れるほど第二突出部240oから離れる方向に傾斜する第一傾斜面241nを有している。第一突出部240nは、X軸マイナス方向側の面には、第一側壁部220nから離れるほど第二突出部240oに近づく方向に傾斜する第三傾斜面242nを有している。同様に、第二突出部240oは、X軸マイナス方向側の面に、第二側壁部220oから離れるほど第一突出部240nから離れる方向に傾斜する第二傾斜面242oを有している。第二突出部240oは、X軸プラス方向側の面には、第二側壁部220oから離れるほど第一突出部240nに近づく方向に傾斜する第四傾斜面241oを有している。
【0116】
このような構成により、第一突出部240nは、X軸方向において、第二突出部240oとの距離が、第一側壁部220nと第二側壁部220oとの距離よりも大きい部位(離間部250n)を有している。第二突出部240oは、X軸方向において、第一突出部240nとの距離が、第一側壁部220nと第二側壁部220oとの距離よりも大きい部位(離間部250o)を有している。
【0117】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏する。特に、本変形例では、第一突出部240n及び第二突出部240oがY軸方向に突出するため、蓄電素子100の側方(Y軸方向)に金属板等の導電部材が配置されても、蓄電素子100と当該導電部材とが導通してしまうのを抑制できる。
【0118】
本変形例において、上記変形例1~5等の種々の変形を適用できる。第一スペーサ200n及び第二スペーサ200oは、Y軸方向の一方にしか第一突出部240n及び第二突出部240oを有していなくてもよい。
【0119】
(その他の変形例)
以上、本実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例には限定されない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0120】
上記実施の形態及びその変形例では、第一スペーサの第一側壁部を第一壁部の一例とし、第二スペーサの第二側壁部を第二壁部の一例とした。しかし、第一スペーサの第一底壁部を第一壁部の一例とし、第二スペーサの第二底壁部を第二壁部の一例としてもよい。つまり、第一底壁部は、第一スペーサの第一本体部から蓄電素子100に沿って第二スペーサに向けて突出し、第二底壁部は、第二スペーサの第二本体部から蓄電素子100に沿って第一底壁部に向けて突出している。第一スペーサの第一突出部は、第一底壁部からZ軸マイナス方向(第二方向)に突出し、第二スペーサの第二突出部は、第二底壁部からZ軸マイナス方向(第二方向)に突出している。第一突出部は、X軸方向(第一方向)において、第二突出部との距離が、第一底壁部と第二底壁部との距離よりも大きい離間部を有している。
【0121】
上記実施の形態及びその変形例では、第一スペーサの第一突出部は、全体が離間部であることとした。しかし、第一突出部は、少なくとも一部が離間部であればよい。つまり、第一突出部は、少なくとも一部において、第二突出部との距離が、第一側壁部220aと第二側壁部220bとの距離よりも大きく形成された離間部を有していればよい。第二スペーサの第二突出部についても同様である。
【0122】
上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子100を挟む第一スペーサ及び第二スペーサが、蓄電素子100の両方の長側面部111aと、両方の短側面部111bと、底面部111cとのほぼ全面を覆うこととした。しかし、第一スペーサ及び第二スペーサは、長側面部111a、短側面部111b及び底面部111cの全面ではなく、一部しか覆わなくてもよい。
【0123】
上記実施の形態及びその変形例では、全てのスペーサ200が上記の構成を有していることとした。しかし、いずれかのスペーサ200が上記の構成を有していなくてもよい。
【0124】
上記実施の形態及びその変形例では、エンド部材300及びサイド部材400によって、蓄電素子100及びスペーサ200が拘束されていることとした。しかし、エンド部材300及びサイド部材400は配置されておらず、蓄電素子100及びスペーサ200は、外装体(モジュールケース)に収容されていてもよい。
【0125】
上記実施の形態及びその変形例において、複数の蓄電装置10がZ軸方向に積み上げられていてもよい。
図13は、本実施の形態の変形例7に係る蓄電装置10を縦方向に段積みした場合の構成を示す斜視図である。具体的には、
図13は、3つの蓄電装置10を縦方向に段積みした場合のモジュールの構成を示している。このように、本技術は、複数の蓄電装置10を縦方向に段積みしたモジュールに対しても有効である。蓄電装置10の図示においては、バスバー、バスバーフレーム及びカバー部材(上蓋)等を省略している。
【0126】
上記実施の形態及び上記変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0127】
本発明は、このような蓄電装置として実現できるだけでなく、スペーサ200(第一スペーサ、第二スペーサ)としても実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0129】
10 蓄電装置
100 蓄電素子
110 容器
111 容器本体
111a 長側面部
111b 短側面部
111c 底面部
200 スペーサ
200a、200d、200f、200h、200j、200l、200n 第一スペーサ
200b、200c、200e、200g、200i、200k、200m、200o 第二スペーサ
201 中間スペーサ
202 エンドスペーサ
210 スペーサ本体部
210a 第一本体部
210b、210c 第二本体部
220 スペーサ側壁部
220a、220d、220f、220h、220j、220l、220n 第一側壁部
220b、220c、220e、220g、220i、220k、220m、220o 第二側壁部
230 スペーサ底壁部
230a 第一底壁部
230b、230c 第二底壁部
240 スペーサ突出部
240a、240d、240f、240h、240j、240l、240n 第一突出部
240b、240c、240e、240g、240i、240k、240m、240o 第二突出部
241、242 傾斜面
241a、241f、241h、241j、241l、241n 第一傾斜面
241b、241g、241i、241k、241m、241o 第四傾斜面
241c、241d、241e、242c、242d、242e、242j、242k 側面
242a、242f、242h、242l、242n 第三傾斜面
242b、242g、242i、242m、242o 第二傾斜面
243、244、245 凹部
250a、250b、250c、250d、250e、250f、250g、250h、250i、250j、250k、250l、250m、250n、250o 離間部