(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】車載通信システム、スイッチ装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/00 20220101AFI20240305BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H04L41/00
H04L12/28 100A
(21)【出願番号】P 2021532690
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2020018516
(87)【国際公開番号】W WO2021009996
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2019131585
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】岩田 章人
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋祐
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0077793(US,A1)
【文献】特開2004-200933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継する第1のスイッチ装置および第2のスイッチ装置を備え、
前記第1のスイッチ装置は、前記車両に搭載される電源装置から電源用の専用線を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の前記機能部と前記第2のスイッチ装置とに前記伝送路を介して電源電圧を供給し、
前記第2のスイッチ装置は、前記伝送路から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して電源電圧を供給
し、
前記第2のスイッチ装置は、自己に接続されている前記機能部ごとに、電源電圧を供給するか否かを切り替え可能であり、
前記第2のスイッチ装置は、自己に接続されている前記機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報を前記伝送路を介して前記第1のスイッチ装置から受信し、受信した前記電源制御情報に従い、自己に接続されている前記機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える、車載通信システム。
【請求項2】
前記第2のスイッチ装置は、新たな前記機能部である新規機能部が自己に接続された場合、前記新規機能部から受信した認証情報を前記第1のスイッチ装置へ送信し、前記新規機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報を前記第1のスイッチ装置から受信し、受信した前記電源制御情報に従い、前記新規機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える、請求項
1に記載の車載通信システム。
【請求項3】
スイッチ装置であって、
車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継するスイッチ部と、
前記伝送路から電源電圧を取り出す電源受給回路と、
前記電源受給回路によって取り出された前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を、自己の前記スイッチ装置に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して供給する電源供給回路とを備え
、
前記スイッチ装置は、自己に接続されている前記機能部ごとに、電圧を供給するか否かを切り替え可能であり、
前記スイッチ装置は、自己に接続されている前記機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報を、前記伝送路を介して自己に前記電源電圧を供給する他のスイッチ装置から前記伝送路を介して受信し、受信した前記電源制御情報に従い、自己に接続されている前記機能部に前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を供給するか否かを切り替える、スイッチ装置。
【請求項4】
車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継する第1のスイッチ装置および第2のスイッチ装置を備える車載通信システムにおける制御方法であって、
前記第1のスイッチ装置が、前記車両に搭載される電源装置から電源用の専用線を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の前記機能部と前記第2のスイッチ装置とに前記伝送路を介して電源電圧を供給するステップと、
前記第2のスイッチ装置が、前記伝送路から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して電源電圧を供給するステップとを含
み、
前記第2のスイッチ装置は、自己に接続されている前記機能部ごとに、電源電圧を供給するか否かを切り替え可能であり、
前記制御方法は、さらに、
前記第2のスイッチ装置が、自己に接続されている前記機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報を前記伝送路を介して前記第1のスイッチ装置から受信するステップを含み、
前記電源電圧を供給するステップにおいては、前記第2のスイッチ装置が、受信した前記電源制御情報に従い、自己に接続されている前記機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える、制御方法。
【請求項5】
車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継するスイッチ装置における制御方法であって、
前記伝送路から電源電圧を取り出すステップと、
取り出した前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して供給するステップとを含
み、
前記スイッチ装置は、自己に接続されている前記機能部ごとに、電圧を供給するか否かを切り替え可能であり、
前記制御方法は、さらに、
自己に接続されている前記機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報を、前記伝送路を介して自己に前記電源電圧を供給する他のスイッチ装置から前記伝送路を介して受信するステップを含み、
前記伝送路を介して供給するステップにおいては、受信した前記電源制御情報に従い、自己に接続されている前記機能部に前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を供給するか否かを切り替える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載通信システム、スイッチ装置および制御方法に関する。
この出願は、2019年7月17日に出願された日本出願特願2019-131585号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2015-067187号公報(特許文献1)には、以下のような車両制御システムが開示されている。すなわち、車両制御システムは、車両が有する複数の機能部を制御する車両制御システムであって、前記車両の複数の領域に分かれて配置され、前記複数の機能部を制御し、制御対象の前記機能部の機能により複数のグループに分類される複数の機能ECUと、前記複数の領域ごとに配置されている複数の中継ECUと、前記複数の中継ECUを互いに接続する第1ネットワークと、前記複数の領域ごとに配置され、各領域内において前記機能ECUと前記中継ECUとを接続する第2ネットワークと、を備え、各機能ECUは、該機能ECUが配置されている領域とは異なる領域に配置され、かつ、該機能ECUと同じグループに分類されている前記機能ECUと通信する際に、該機能ECUが配置されている領域内の前記第2ネットワークおよび前記中継ECUと、前記第1ネットワークと、通信相手となる前記機能ECUが配置されている領域内の前記中継ECUおよび前記第2ネットワークと、を介してデータの送信または受信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】NXP AUTOMOTIVE、Automotive Ethenet Congress(独)、“AUTOMOTIVE ETHERNET-ENABLER FOR AUTONOMOUS DRIVING”、2016年2月4日
【発明の概要】
【0005】
(1)本開示の車載通信システムは、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継する第1のスイッチ装置および第2のスイッチ装置を備え、前記第1のスイッチ装置は、前記車両に搭載される電源装置から電源用の専用線を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の前記機能部と前記第2のスイッチ装置とに前記伝送路を介して電源電圧を供給し、前記第2のスイッチ装置は、前記伝送路から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して電源電圧を供給する。
【0006】
(4)本開示のスイッチ装置は、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継するスイッチ部と、前記伝送路から電源電圧を取り出す電源受給回路と、前記電源受給回路によって取り出された前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を、自己の前記スイッチ装置に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して供給する電源供給回路とを備える。
【0007】
(5)本開示の制御方法は、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継する第1のスイッチ装置および第2のスイッチ装置を備える車載通信システムにおける制御方法であって、前記第1のスイッチ装置が、前記車両に搭載される電源装置から電源用の専用線を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の前記機能部と前記第2のスイッチ装置とに前記伝送路を介して電源電圧を供給するステップと、前記第2のスイッチ装置が、前記伝送路から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して電源電圧を供給するステップとを含む。
【0008】
(6)本開示の制御方法は、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継するスイッチ装置における制御方法であって、前記伝送路から電源電圧を取り出すステップと、取り出した前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して供給するステップとを含む。
【0009】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載通信システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0010】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備えるスイッチ装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、スイッチ装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの比較例1を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの比較例2を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の構成の他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける電源電圧の供給および中継処理のシーケンスの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置における電源電圧の供給および中継処理の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の第2の実施の形態に係るスイッチ装置の構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおいて、新規機能部へ電源電圧を供給するシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示が解決しようとする課題]
たとえば、上記のような車載ネットワークにおいて、車両に多数の機能部が設けられた場合、機能部の増加に伴って機能部間の配線等が増加することから、当該車載ネットワークにおける伝送線路のトータル長が増大してしまう。
【0013】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することが可能な車載通信システム、スイッチ装置および制御方法を提供することである。
【0014】
[本開示の効果]
本開示によれば、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本開示の実施の形態に係る車載通信システムは、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継する第1のスイッチ装置および第2のスイッチ装置を備え、前記第1のスイッチ装置は、前記車両に搭載される電源装置から電源用の専用線を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の前記機能部と前記第2のスイッチ装置とに前記伝送路を介して電源電圧を供給し、前記第2のスイッチ装置は、前記伝送路から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して電源電圧を供給する。
【0017】
このような構成により、たとえば車両における離れた場所に各スイッチ装置を配置することができるため、各機能部の配置箇所が車両において分散している場合において、車載ネットワークにおける通信用の伝送線路のトータル長が増大することを抑制することができる。また、電源用の専用線を介して第1のスイッチ装置に電源電圧を供給し、第1のスイッチ装置から通信用の伝送線路を介して電源電圧を各機能部に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。また、第1のスイッチ装置から通信用の伝送線路を介して第2のスイッチ装置に電源電圧を供給し、第2のスイッチ装置から電源電圧を各機能部に分配する構成により、車載ネットワークにおける電源用の配線をさらに減らすことができる。したがって、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0018】
(2)好ましくは、前記第1のスイッチ装置および前記第2のスイッチ装置の少なくともいずれか一方は、自己に接続されている前記機能部ごとに、電源電圧を供給するか否かを切り替え可能である。
【0019】
このような構成により、各機能部への電源供給の制御をスイッチ装置に集約することができるため、車載ネットワークにおける制御系を簡易化することができる。
【0020】
(3)より好ましくは、前記第2のスイッチ装置は、新たな前記機能部である新規機能部が自己に接続された場合、前記新規機能部から受信した認証情報を前記第1のスイッチ装置へ送信し、前記新規機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報を前記第1のスイッチ装置から受信し、受信した前記電源制御情報に従い、前記新規機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える。
【0021】
このような構成により、車載ネットワークに拡張性を持たせながら、新規機能部の認証および電源供給制御のための構成を簡易化することができる。
【0022】
(4)本開示の実施の形態に係るスイッチ装置は、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継するスイッチ部と、前記伝送路から電源電圧を取り出す電源受給回路と、前記電源受給回路によって取り出された前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を、自己の前記スイッチ装置に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して供給する電源供給回路とを備える。
【0023】
このように、通信用の伝送線路を介して電源電圧を各機能部およびスイッチ装置に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。したがって、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0024】
(5)本開示の実施の形態に係る制御方法は、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継する第1のスイッチ装置および第2のスイッチ装置を備える車載通信システムにおける制御方法であって、前記第1のスイッチ装置が、前記車両に搭載される電源装置から電源用の専用線を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の前記機能部と前記第2のスイッチ装置とに前記伝送路を介して電源電圧を供給するステップと、前記第2のスイッチ装置が、前記伝送路から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して電源電圧を供給するステップとを含む。
【0025】
このような構成により、たとえば車両における離れた場所に各スイッチ装置を配置することができるため、各機能部の配置箇所が車両において分散している場合において、車載ネットワークにおける通信用の伝送線路のトータル長が増大することを抑制することができる。また、電源用の専用線を介して第1のスイッチ装置に電源電圧を供給し、第1のスイッチ装置から通信用の伝送線路を介して電源電圧を各機能部に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。また、第1のスイッチ装置から通信用の伝送線路を介して第2のスイッチ装置に電源電圧を供給し、第2のスイッチ装置から電源電圧を各機能部に分配する構成により、車載ネットワークにおける電源用の配線をさらに減らすことができる。したがって、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0026】
(6)本開示の実施の形態に係る制御方法は、車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継するスイッチ装置における制御方法であって、前記伝送路から電源電圧を取り出すステップと、取り出した前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して供給するステップとを含む。
【0027】
このように、通信用の伝送線路を介して電源電圧を各機能部およびスイッチ装置に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。したがって、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0028】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0029】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0030】
図1を参照して、車載通信システム401は、スイッチ装置151を備える。
【0031】
車載通信システム401は、車両101に搭載される。車両101には、複数の機能部111が設けられる。
【0032】
スイッチ装置151は、たとえば車両101のフロント側に設けられる車載ECU(Electronic Control Unit)であり、複数の機能部111間の情報をイーサネット(登録商標)ケーブル10等を介して中継する。より詳細には、スイッチ装置151は、イーサネットケーブル10等により複数の機能部111と接続されており、自己に接続された複数の機能部111と通信を行うことが可能である。スイッチ装置151および機能部111間では、たとえば、イーサネットフレームを用いて情報のやり取りが行われる。
【0033】
車外通信装置111Aは、機能部111の1つであり、車両101の外部における外部装置と通信可能である。
【0034】
具体的には、たとえば、車外通信装置111Aは、TCU(Telematics Communication Unit)であり、LTE(Long Term Evolution)または3G等の通信規格に従って無線基地局装置161等を介してサーバ等の外部装置201と無線通信を行うことが可能である。
【0035】
[比較例1]
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの比較例1を示す図である。比較例1は、後述する
図3に示す車載通信システムに対する比較例である。
【0036】
図2を参照して、車載通信システム402は、車載通信システム402は、スイッチ装置151である2つのスイッチ装置151A,151Bを備える。スイッチ装置151Aは、たとえば、スイッチ装置151B、車外通信装置111A、LiDAR(Light Detection and Ranging)111B、運転支援装置111C、セントラルゲートウェイ111D、およびカメラ111Eとイーサネットケーブル10により接続される。スイッチ装置151Bは、たとえば、カメラ111F,111G,111Hとイーサネットケーブル10により接続される。以下、スイッチ装置151A,151Bの各々を、スイッチ装置151とも称する。
【0037】
ここで、LiDAR111B、運転支援装置111C、セントラルゲートウェイ111D、およびカメラ111E,111F,111G,111Hは、機能部111の一例である。また、LiDAR111Bおよびカメラ111E,111F,111G,111Hは、センサの一例である。なお、車載通信システム402は、LiDARおよびカメラに限らず、ミリ波センサ等、他の種類のセンサが設けられる構成であってもよい。
【0038】
このように、複数の機能部間の情報を中継するスイッチ機能を有する車載ECUとLiDARおよびカメラ等のセンサとが接続される構成は、たとえば、NXP AUTOMOTIVE、Automotive Ethenet Congress(独)、“AUTOMOTIVE ETHERNET-ENABLER FOR AUTONOMOUS DRIVING”、2016年2月4日(非特許文献1)に開示されている。
【0039】
スイッチ装置151A、車外通信装置111A、LiDAR111B、運転支援装置111C、セントラルゲートウェイ111D、およびカメラ111Eは、たとえば、車両101のフロント側に設けられている。スイッチ装置151Bおよびカメラ111E,111F,111Gは、たとえば、車両101のリア側に設けられている。
【0040】
セントラルゲートウェイ111Dは、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)の規格に従うCANバス11により各制御デバイス122と接続される。
【0041】
セントラルゲートウェイ111Dは、たとえば、異なるCANバス11にそれぞれ接続された制御デバイス122間における情報の中継処理を行い、また、スイッチ装置151Aおよび制御デバイス122間における情報の中継処理を行う。
【0042】
LiDAR111Bは、たとえば、レーザ光を照射するためのレーザ機器、物体によるレーザ光の散乱光を受光するための受光素子、対応するソフトウェアを搭載したCPU(Central Processing Unit)および処理回路等を含む。
【0043】
カメラ111E,111F,111G,111Hは、車両101の周囲を撮影するための撮像素子、対応するソフトウェアを搭載したCPUおよび処理回路等を含む。
【0044】
スイッチ装置151は、車載通信システム402における各機能部111間のデータを中継する中継処理を行う。すなわち、スイッチ装置151は、ある機能部111から受信したイーサネットフレームをその宛先に応じて他の機能部111または他のスイッチ装置151へ送信する。
【0045】
より詳細には、各機能部111および各スイッチ装置151は、たとえば、車載通信システム402における1または複数のVLAN(Virtual Local Area Network)に属する。
【0046】
また、各スイッチ装置151および各機能部111は、固有のMAC(Media Access Control)アドレスおよびIP(Internet Protocol)アドレスを有する。
【0047】
スイッチ装置151A,151Bは、たとえば、レイヤ2、およびレイヤ2よりも上位のレイヤ3に従って中継処理を行うことが可能である。
【0048】
より詳細には、車載通信システム402では、たとえば、IPプロトコルに従って、IPパケットを用いて情報の送受信が行われる。IPパケットは、イーサネットフレームに格納されて伝送される。
【0049】
具体的には、スイッチ装置151A,151Bは、複数のレイヤを有する通信プロトコルに従って動作する。より詳細には、スイッチ装置151は、L2(レイヤ2)スイッチとして機能することが可能であり、同じVLANに属する機能部111間で伝送されるイーサネットフレーム、ならびに他のスイッチ装置151および機能部111間で伝送されるイーサネットフレームを中継する。
【0050】
また、スイッチ装置151A,151Bは、L3(レイヤ3)スイッチとしても機能することが可能であり、異なるVLANに属する機能部111間で伝送されるイーサネットフレーム、ならびに他のスイッチ装置151および機能部111間で伝送されるイーサネットフレームを中継する。
【0051】
このように、車両101において各機能部111の配置箇所が分散していることから各機能部111を接続するイーサネットケーブル10等の配線が増加するような車両101においても、複数のスイッチ装置151を車両101における離れた場所に配置する構成により、車載通信システム402におけるイーサネットケーブル10のトータル長が増大することを抑制することができる。
【0052】
[比較例2]
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの比較例2を示す図である。比較例2は、後述する
図4以降に示す本開示の実施の形態に係る車載通信システムに対する比較例である。
【0053】
図3を参照して、車載通信システム402が搭載される車両101において、スイッチ装置151A,151B、車外通信装置111A、LiDAR(Light Detection and Ranging)111B、運転支援装置111C、セントラルゲートウェイ111Dおよびカメラ111E,111F,111G,111Hは、たとえば電源用の専用線20により電源装置123と接続され、電源装置123から専用線20を介して電源電圧の供給を受ける。
【0054】
なお、
図3では、図面を簡単にするために、各機能部111および各スイッチ装置151に共通の専用線20を介して電源電圧が供給される構成としたが、これに限定するものではない。各機能部111および各スイッチ装置151に別個の専用線20を介して電源電圧が供給されてもよい。
【0055】
[課題]
比較例2において、車両に設けられる各機能部には、イーサネットケーブルとは別に、電源電圧を供給するためのケーブル等の配線も必要であることから、イーサネットケーブルおよび当該ケーブル等を合わせたケーブルのトータル長は、さらに増大する。
【0056】
これに対して、本開示の実施の形態に係る車載通信システムでは、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。以下で説明する内容以外は車載通信システム401,402と同様である。
【0057】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。
【0058】
図4を参照して、車載通信システム403は、スイッチ装置152Aと、スイッチ装置152Bとを備える。以下、スイッチ装置152A,152Bの各々を、スイッチ装置152とも称する。スイッチ装置152は、機能部111の一例である。
【0059】
スイッチ装置152Aは、たとえば、車両101のフロント側に設けられ、車外通信装置111A、LiDAR(Light Detection and Ranging)111B、運転支援装置111C、セントラルゲートウェイ111D、カメラ111Eおよびスイッチ装置152Bと、IEEE 802.3afの規格に従うPOE(Power Over Ethernet(登録商標))に対応するイーサネットケーブル(以下、POEケーブルとも称する。)12等の伝送路により接続される。
【0060】
また、スイッチ装置152Aは、たとえば電源用の専用線20により電源装置123と接続され、電源装置123から専用線20を介して電源電圧の供給を受ける。
【0061】
スイッチ装置152Bは、たとえば、車両101のリア側に設けられ、カメラ111F,111G,111HとPOEケーブル12等の伝送路により接続される。すなわち、スイッチ装置152Aおよびスイッチ装置152Bは、車両101のフロント側およびリア側に分かれて配置される。
【0062】
なお、車載通信システム403において、POEケーブル12は、車載ネットワークにおいて用いられる、IEEE 802.3buの規格に従うPoDL(Power over Datalines)に対応するイーサネットケーブルであってもよい。
【0063】
[スイッチ装置]
図5は、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の構成の一例を示す図である。
図5は、スイッチ装置152Aの構成を示している。
【0064】
図5を参照して、スイッチ装置152Aは、スイッチ部51と、記憶部53と、複数の通信ポート54と、複数の電源供給回路56とを備える。スイッチ部51は、物理層(PHY:Physical Layer)の処理を行う1または複数のインタフェース回路57と、スイッチ回路58とを含む。なお、通信ポート54および電源供給回路56は、それぞれ1つ設けられてもよい。
【0065】
スイッチ装置152Aにおけるスイッチ部51および各電源供給回路56は、たとえば、電源装置123と接続される。より詳細には、スイッチ部51および各電源供給回路56は、専用線20を介して電源装置123と接続され、電源装置123から専用線20を介して電源電圧の供給を受ける。スイッチ部51は、当該電源電圧により動作する。
【0066】
[中継処理]
スイッチ装置152Aにおける通信ポート54は、たとえばPOEケーブル12を接続可能な端子である。なお、通信ポート54は、集積回路の端子であってもよい。
【0067】
複数の通信ポート54の各々は、POEケーブル12を介してスイッチ装置152Bまたは複数の機能部111のうちのいずれか1つに接続されている。また、複数の通信ポート54の各々は、たとえばVLANと対応付けられている。
【0068】
スイッチ部51は、複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する中継処理を行う。記憶部53は、中継すべき情報を保持する。
【0069】
より詳細には、スイッチ部51は、たとえば、L2スイッチとして動作し、同じVLANに属する機能部111間のイーサネットフレームを中継する。
【0070】
具体的には、スイッチ部51におけるインタフェース回路57は、ある機能部111から対応の通信ポート54を介して信号を受信すると、受信した信号をたとえばA/D(Analog―to―Digital)変換することにより、イーサネットフレームを取得する。そして、インタフェース回路57は、取得したイーサネットフレームをスイッチ回路58へ出力する。
【0071】
スイッチ回路58は、インタフェース回路57から受けたイーサネットフレームを記憶部53に保存するとともにイーサネットフレームの宛先MACアドレスを確認し、たとえば、記憶部53に保存されているアドレステーブルを参照することにより、確認した宛先MACアドレスに対応する通信ポート54を特定する。アドレステーブルは、通信ポート54のポート番号とVLANのIDおよび接続先装置のMACアドレスとの対応関係を示している。
【0072】
そして、スイッチ回路58は、当該イーサネットフレームを記憶部53から取得し、取得したイーサネットフレームを、特定した通信ポート54に対応するインタフェース回路57へ出力する。
【0073】
インタフェース回路57は、スイッチ回路58から受けたイーサネットフレームをD/A(Digital―to―Analog)変換し、変換した信号を当該通信ポート54およびPOEケーブル12を介して当該イーサネットフレームの宛先MACアドレスの示す機能部111へ送信する。
【0074】
また、スイッチ部51は、たとえば、L3スイッチとして動作し、異なるVLANに属する機能部111間の通信データを中継する。
【0075】
具体的には、スイッチ部51におけるスイッチ回路58は、インタフェース回路57から受けたイーサネットフレームの宛先MACアドレスが自己のMACアドレスであることを確認し、当該イーサネットフレームからIPパケットを取り出す。
【0076】
スイッチ回路58は、たとえば、記憶部53に保存されているネットワークテーブルを参照することにより、IPパケットに含まれる宛先IPアドレスに対応するVLANのIDを特定する。ネットワークテーブルは、VLANのIDとネットワークアドレスとの対応関係を示している。
【0077】
さらに、スイッチ回路58は、記憶部53に保存されているARP(Address Resolution Protocol)テーブルを参照することにより、特定したIDに対応するVLANのゲートウェイに相当する機能部たとえばスイッチ装置152BのMACアドレスを取得する。ARPテーブルは、IPアドレスとMACアドレスとの対応関係をVLANのIDごとに示している。
【0078】
そして、スイッチ回路58は、取得したMACアドレスを宛先MACアドレスとして含みかつ当該IPパケットを含むイーサネットフレームを作成して記憶部53に保存する。
【0079】
スイッチ回路58は、上記アドレステーブルを参照することにより、当該宛先MACアドレスに対応する通信ポート54を特定する。
【0080】
そして、スイッチ回路58は、当該イーサネットフレームを記憶部53から取得し、取得したイーサネットフレームを、特定した通信ポート54に対応するインタフェース回路57へ出力する。
【0081】
インタフェース回路57は、スイッチ回路58から受けたイーサネットフレームをD/A(Digital―to―Analog)変換した信号を当該通信ポート54およびPOEケーブル12を介して当該イーサネットフレームの宛先MACアドレスの示す機能部111たとえばスイッチ装置152Bへ送信する。
【0082】
なお、スイッチ部51は、複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する構成に限らず、他のスイッチ装置152および機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する構成であってもよい。より詳細には、スイッチ装置152Aにおけるスイッチ部51は、スイッチ装置152Bおよび機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継してもよい。
【0083】
[電源電圧の供給]
スイッチ装置152Aは、自己に接続されている1または複数の機能部111とスイッチ装置152BとにPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する。
【0084】
詳細には、スイッチ装置152Aにおける電源供給回路56は、電源装置123から専用線20を介して受けた電源電圧を、自己のスイッチ装置152Aに接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して供給する。
【0085】
より詳細には、スイッチ装置152Aにおける1または複数の電源供給回路56は、電源装置123から専用線20を介して受けた電源電圧を対応の通信ポート54へ出力する。
【0086】
これにより、電源供給回路56によって供給される電源電圧が、各通信ポート54に接続されているPOEケーブル12を介して機能部111およびスイッチ装置152Bへ供給される。
【0087】
具体的には、再び
図3を参照して、スイッチ装置152Aにおける各電源供給回路56は、POEケーブル12を介して車外通信装置111A、LiDAR111B、運転支援装置111C、セントラルゲートウェイ111D、カメラ111Eおよびスイッチ装置152Bへ電源電圧を供給する。
【0088】
なお、電源供給回路56は、上記電源電圧に基づく電圧を供給する構成であってもよい。より詳細には、電源供給回路56は、電源装置123から専用線20を介して受けた電源電圧を昇圧または降圧した電源電圧を対応の通信ポート54へ出力する構成であってもよい。
【0089】
このように、車載通信システム403におけるPOEケーブル12では、インタフェース回路57によってイーサネットフレームがD/A変換された信号が、電源供給回路56によって供給される電源電圧に重畳されて伝送される。
【0090】
車載通信システム403では、複数のスイッチ装置152を車両101における離れた場所に配置する構成により、各機能部111の配置箇所が車両101において分散している場合において、車載通信システム403におけるPOEケーブル12のトータル長が増大することを抑制することができる。
【0091】
また、スイッチ装置152AからPOEケーブル12を介して電源電圧を各機能部111およびスイッチ装置152Bに分配する構成により、スイッチ装置152Bおよび各機能部111と電源装置123とを接続する専用線20を不要にすることができるため、車載通信システムにおける配線をさらに減らすことができる。
【0092】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の構成の他の例を示す図である。
図6は、スイッチ装置152Bの構成を示している。
【0093】
図6を参照して、スイッチ装置152Bは、
図5に示すスイッチ装置152Aと比べて、
さらに、電源受給回路55を備える。また、スイッチ装置152Bは、自己の通信ポート54の数より1つ少ない電源供給回路56を備える。
【0094】
電源受給回路55は、スイッチ部51および各電源供給回路56と接続され、かつ複数の通信ポート54のうちのいずれか1つおよびPOEケーブル12を介して、スイッチ装置152Aと接続される。
【0095】
また、電源供給回路56の各々は、対応の他の通信ポート54およびPOEケーブル12を介して対応の機能部111に接続されている。
【0096】
[電源電圧の取得]
スイッチ装置152Bは、POEケーブル12から電源電圧を取り出す。より詳細には、スイッチ装置152Bにおける電源受給回路55は、POEケーブル12から電源電圧を取り出す。
【0097】
具体的には、電源受給回路55は、たとえば、スイッチ装置152AからPOEケーブル12および通信ポート54を介して伝送された電源電圧を、図示しないフィルタを用いて抽出する。
【0098】
そして、電源受給回路55は、抽出した電源電圧をスイッチ部51および電源供給回路56へ出力する。なお、電源受給回路55は、POEケーブル12および通信ポート54を介してスイッチ装置152Aから受けた電源電圧を昇圧または降圧した電源電圧をスイッチ部51および電源供給回路56へ出力する構成であってもよい。
【0099】
スイッチ部51は、たとえば、電源受給回路55から受けた電源電圧により動作する。そして、スイッチ部51は、たとえば、スイッチ装置152Aと同様の上記中継処理を行う。より詳細には、スイッチ装置152Bにおけるスイッチ部51は、複数の機能部111間の情報、ならびにスイッチ装置152Aおよび機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する。
【0100】
再び
図3を参照して、スイッチ装置152Bは、自己に接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する。
【0101】
より詳細には、再び
図6を参照して、スイッチ装置152Bにおける電源供給回路56は、電源受給回路55によって取り出された電源電圧を、自己のスイッチ装置152Bに接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して供給する。
【0102】
より詳細には、スイッチ装置152Bにおける1または複数の電源供給回路56は、電源受給回路55によって供給される電源電圧を対応の通信ポート54へ出力する。
【0103】
これにより、電源供給回路56によって供給される電源電圧が、各通信ポート54に接続されているPOEケーブル12を介して機能部111へ供給される。
【0104】
なお、電源供給回路56は、上記電源電圧に基づく電圧を供給する構成であってもよい。より詳細には、電源供給回路56は、電源受給回路55から供給を受けた電源電圧を昇圧または降圧した電源電圧を対応の通信ポート54へ出力する構成であってもよい。
【0105】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る車載通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0106】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける電源電圧の供給および中継処理のシーケンスの一例を示す図である。
【0107】
図7を参照して、まず、スイッチ装置152Aは、たとえば電源装置123から専用線20を介して電源電圧の供給を受けて動作を開始する(ステップS101)。
【0108】
次に、スイッチ装置152Aは、自己に接続されている1または複数の機能部111とスイッチ装置152BとにPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する(ステップS102)。
【0109】
また、スイッチ装置152Aは、自己に接続されている複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する中継処理を行う(ステップS103)。
【0110】
次に、スイッチ装置152Bは、POEケーブル12から電源電圧を取り出し、取り出した電源電圧により動作を開始する(ステップS104)。
【0111】
次に、スイッチ装置152Bは、自己に接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する(ステップS105)。
【0112】
次に、スイッチ装置152Bは、自己に接続されている複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する中継処理を行う(ステップS105)。
【0113】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置における電源電圧の供給および中継処理の動作手順を定めたフローチャートである。
【0114】
図8を参照して、まず、スイッチ装置152は、たとえば、電源装置123から専用線20を介して電源電圧の供給を受けて動作を開始するか、またはPOEケーブル12等の伝送路から電源電圧を取り出して動作を開始する(ステップS201)。
【0115】
次に、スイッチ装置152は、電源装置123から専用線20を介して供給を受けた電源電圧もしくはPOEケーブル12等の伝送路から取り出した電源電圧、または当該各電源電圧を昇圧もしくは降圧した電源電圧を、自己に接続されている1または複数の機能部111へPOEケーブル12を介して供給する(ステップS202)。
【0116】
次に、スイッチ装置152は、自己に接続されている複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する中継処理を行う(ステップS203)。
【0117】
なお、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置152Aおよびスイッチ装置152Bは、L2スイッチまたはL3スイッチとして機能する構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム403において、たとえば、スイッチ装置152AがL2スイッチまたはL3スイッチとして機能し、スイッチ装置152BがL2スイッチとして機能する構成であってもよい。
【0118】
また、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置152Bにおける電源受給回路55は、POEケーブル12および通信ポート54を介してスイッチ装置152Aから電源電圧の供給を受ける構成であるとしたが、これに限定するものではない。電源受給回路55は、たとえば、POEケーブル12および通信ポート54を介して機能部111から電源電圧の供給を受ける構成であってもよい。
【0119】
ところで、車載ネットワークにおいて、車両に多数の機能部が設けられた場合、機能部の増加に伴って機能部間の配線等が増加することから、当該車載ネットワークにおける伝送線路のトータル長が増大してしまう。
【0120】
これに対して、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置152Aおよびスイッチ装置152Bは、複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する。スイッチ装置152Aは、車両101に搭載される電源装置123から電源用の専用線20を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の機能部111とスイッチ装置152BとにPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する。スイッチ装置152Bは、POEケーブル12から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する。
【0121】
このような構成により、たとえば車両101における離れた場所に各スイッチ装置152を配置することができるため、各機能部111の配置箇所が車両において分散している場合において、車載ネットワークにおける通信用の伝送線路のトータル長が増大することを抑制することができる。また、電源用の専用線20を介してスイッチ装置152Aに電源電圧を供給し、スイッチ装置152Aから通信用のPOEケーブル12を介して電源電圧を各機能部111に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。また、スイッチ装置152AからPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Bに電源電圧を供給し、スイッチ装置152Bから電源電圧を各機能部111に分配する構成により、車載ネットワークにおける電源用の配線をさらに減らすことができる。
【0122】
したがって、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0123】
また、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置では、スイッチ部51は、車両101に搭載される複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する。電源受給回路55は、POEケーブル12から電源電圧を取り出す。電源供給回路56は、電源受給回路55によって取り出された電源電圧または当該電源電圧に基づく電圧を、自己のスイッチ装置152に接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して供給する。
【0124】
このように、POEケーブル12を介して電源電圧を各機能部111およびスイッチ装置152に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。したがって、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0125】
したがって、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置では、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0126】
また、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置152Aおよびスイッチ装置152Bは、複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する。本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける制御方法では、まず、スイッチ装置152Aが、車両101に搭載される電源装置123から電源用の専用線20を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の機能部111とスイッチ装置152BとにPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する。次に、スイッチ装置152Bが、POEケーブル12から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して電源電圧を供給する。
【0127】
このような構成により、たとえば車両101における離れた場所に各スイッチ装置152を配置することができるため、各機能部111の配置箇所が車両において分散している場合において、車載ネットワークにおける通信用の伝送線路のトータル長が増大することを抑制することができる。また、電源用の専用線20を介してスイッチ装置152Aに電源電圧を供給し、スイッチ装置152Aから通信用のPOEケーブル12を介して電源電圧を各機能部111に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。また、スイッチ装置152AからPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Bに電源電圧を供給し、スイッチ装置152Bから電源電圧を各機能部111に分配する構成により、車載ネットワークにおける電源用の配線をさらに減らすことができる。
【0128】
したがって、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける制御方法では、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0129】
また、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置は、車両101に搭載される複数の機能部111間の情報をPOEケーブル12経由で中継する。本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置における制御方法では、まず、POEケーブル12から電源電圧を取り出す。次に、取り出した電源電圧または当該電源電圧に基づく電圧を、自己に接続されている1または複数の機能部111にPOEケーブル12を介して供給する。
【0130】
このように、POEケーブル12を介して電源電圧を各機能部111およびスイッチ装置152に分配する構成により、通信用の配線長を減らすことに加えて、さらに車載ネットワークにおける電源用の配線を減らすことができる。
【0131】
したがって、本開示の第1の実施の形態に係るスイッチ装置における制御方法では、配線を効果的に減らしたより簡易な構成の車載ネットワークを実現することができる。
【0132】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0133】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る車載通信システムと比べて電源電圧の供給を制御可能なスイッチ装置を備える車載通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車載通信システムと同様である。
【0134】
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムの構成の一例を示す図である。
【0135】
図9を参照して、車載通信システム404は、車載通信システム403と比べて、さらに、車載通信システムの機能を拡張させるための新たな機能部111を追加可能なバスを提供するスイッチ装置152Cを備える。以下、スイッチ装置152A,152B,152Cの各々を、スイッチ装置152とも称する。
【0136】
[電源電圧供給の制御]
スイッチ装置152Cは、自己に接続されている機能部111ごとに、電源電圧を供給するか否かを切り替え可能である。
【0137】
図10は、本開示の第2の実施の形態に係るスイッチ装置の構成の一例を示す図である。
【0138】
図10を参照して、スイッチ装置152Cは、
図6に示すスイッチ装置152Bと比べて、さらに、処理部52を備える。処理部52は、たとえば、電源受給回路55から受けた電源電圧により動作する。
【0139】
スイッチ装置152Cにおける処理部52は、たとえば、電源供給回路56による電源電圧の供給を行うか否かを制御する制御信号を電源供給回路56へ出力する。
【0140】
たとえば、スイッチ装置152Cにおいて、各通信ポート54のいずれにも機能部111が接続されていない場合、処理部52は、電源供給回路56による電源電圧の供給を停止させる制御信号を各電源供給回路56へ出力する。
【0141】
これにより、各電源供給回路56は、処理部52から受けた制御信号に従い、対応の通信ポート54への電源電圧の供給を停止する。
【0142】
一方、スイッチ装置152Cにおいて、1または複数の通信ポート54に機能部111が接続されている場合、処理部52は、電源供給回路56による電源電圧の供給を行わせる制御信号を対応の電源供給回路56へ出力する。
【0143】
電源供給回路56は、処理部52から受けた制御信号に従い、対応の通信ポート54へ電源電圧を出力する。
【0144】
なお、車載通信システム404において、スイッチ装置152Cが、自己に接続されている機能部111ごとに、電源電圧を供給するか否かを切り替え可能な構成に限らず、スイッチ装置152A,152Bも、処理部52を備え、同様の処理を行うことが可能な構成であってもよい。すなわち、スイッチ装置152A,152B,152Cのうちの少なくともいずれか1つが、自己に接続されている機能部111ごとに、電源電圧を供給するか否かを切り替え可能な構成であってもよい。
【0145】
また、再び
図9を参照して、スイッチ装置152Aが、スイッチ装置152Cによる機能部111への電源電圧の供給を行わせるか否かを制御してもよい。
【0146】
図9および
図10を参照して、たとえば、新たな機能部111である新規機能部がスイッチ装置152Cに接続された場合、スイッチ装置152Cにおける処理部52は、対応の電源供給回路56による電源電圧の供給を行わせる制御信号を当該電源供給回路56へ出力する。
【0147】
当該電源供給回路56は、処理部52から受けた制御信号に従い、対応の通信ポート54へ電源電圧を出力する。
【0148】
これにより、新規機能部は、当該電源供給回路56から対応の通信ポート54およびPOEケーブル12を介して当該電源供給回路56から電源電圧の供給を受ける。
【0149】
また、処理部52は、たとえば、記憶部53における上記アドレステーブルを参照することにより、当該通信ポート54の接続先装置すなわち新規機能部のMACアドレスが当該アドレステーブルに登録されていないことを確認して、当該新規機能部のMACアドレスおよび認証情報を要求する認証要求を含むイーサネットフレームを作成する。
【0150】
そして、処理部52は、作成したイーサネットフレームをスイッチ部51、対応の通信ポート54およびPOEケーブル12を介して新規機能部へ送信する。
【0151】
新規機能部は、スイッチ装置152Cから送信されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームに含まれる認証要求を取得する。
【0152】
そして、新規機能部は、取得した認証要求に従い、自己のMACアドレスおよび認証情報を含むイーサネットフレームを作成し、作成したイーサネットフレームをスイッチ装置152Cへ送信する。
【0153】
スイッチ装置152Cにおけるスイッチ部51は、新規機能部から送信されたイーサネットフレームを受信する。より詳細には、スイッチ部51におけるスイッチ回路58は、POEケーブル12、対応の通信ポート54および対応のインタフェース回路57を介して当該イーサネットフレームを受信する。
【0154】
そして、スイッチ回路58は、受信したイーサネットフレームを記憶部53に保存するとともにイーサネットフレームの宛先MACアドレスを確認し、上記アドレステーブルを参照することにより、確認した宛先MACアドレスが自己のスイッチ装置152Cを示している旨の情報を処理部52へ出力する。
【0155】
処理部52は、新規機能部から受信した認証情報をスイッチ装置152Aへ送信する。
【0156】
より詳細には、処理部52は、スイッチ回路58から上記情報を受けて、スイッチ回路58によって保存された、新規機能部のMACアドレスを含むイーサネットフレームを記憶部53から取得する。
【0157】
そして、処理部52は、取得したイーサネットフレームの宛先MACアドレスをスイッチ装置152Aの宛先MACアドレスに設定したイーサネットフレームをスイッチ部51、対応の通信ポート54およびPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Aへ送信する。
【0158】
また、処理部52は、取得したイーサネットフレームに含まれる新規機能部のMACアドレスと当該イーサネットフレームを受信した通信ポート54のポート番号とを対応付けて記憶部53における上記アドレステーブルに追加することにより、当該アドレステーブルを更新する。
【0159】
再び
図5を参照して、スイッチ装置152Aにおけるスイッチ部51は、スイッチ装置152Cから送信されたイーサネットフレームを受信する。より詳細には、スイッチ部51におけるスイッチ回路58は、POEケーブル12、対応の通信ポート54および対応のインタフェース回路57を介して当該イーサネットフレームを受信する。
【0160】
そして、スイッチ回路58は、受信したイーサネットフレームを記憶部53に保存するとともにイーサネットフレームの宛先MACアドレスを確認し、上記アドレステーブルを参照することにより、確認した宛先MACアドレスが自己のスイッチ装置152Aを示している旨の情報を処理部52へ出力する。
【0161】
処理部52は、スイッチ回路58から当該情報を受けて、スイッチ回路58によって保存された当該イーサネットフレームを記憶部53から取得し、取得したイーサネットフレームに含まれる認証情報に基づいて、新規機能部の認証処理を行う。
【0162】
そして、処理部52は、新規機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報をスイッチ装置152Cへ送信する。
【0163】
より詳細には、処理部52は、新規機能部の認証処理に成功した場合、スイッチ装置152Cによる電源電圧の供給を継続させる指示を電源制御情報として含むイーサネットフレームを作成し、作成したイーサネットフレームをスイッチ部51、対応の通信ポート54およびPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Cへ送信する。
【0164】
一方、処理部52は、新規機能部の認証処理に失敗した場合、スイッチ装置152Cによる電源電圧の供給を停止させる指示を電源制御情報として含むイーサネットフレームを作成し、作成したイーサネットフレームをスイッチ部51、対応の通信ポート54およびPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Cへ送信する。
【0165】
再び
図9および
図10を参照して、スイッチ装置152Cにおけるスイッチ部51は、スイッチ装置152Aから送信されたイーサネットフレームを受信する。より詳細には、スイッチ部51におけるスイッチ回路58は、POEケーブル12、対応の通信ポート54および対応のインタフェース回路57を介して当該イーサネットフレームを受信する。
【0166】
そして、スイッチ回路58は、受信したイーサネットフレームを記憶部53に保存するとともにイーサネットフレームの宛先MACアドレスを確認し、上記アドレステーブルを参照することにより、確認した宛先MACアドレスが自己のスイッチ装置152Cを示している旨の情報を処理部52へ出力する。
【0167】
処理部52は、スイッチ回路58から当該情報を受けて、スイッチ回路58によって保存された当該イーサネットフレームを記憶部53から取得し、取得したイーサネットフレームに含まれる電源制御情報を取得し、取得した電源制御情報に従い、新規機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える。
【0168】
より詳細には、処理部52は、スイッチ装置152Cによる電源電圧の供給を継続させる指示を当該イーサネットフレームから取得した場合、対応の電源供給回路56による電源電圧の供給を行わせる制御信号の当該電源供給回路56への出力を継続する。
【0169】
一方、処理部52は、スイッチ装置152Cによる電源電圧の供給を停止させる指示を当該イーサネットフレームから取得した場合、対応の電源供給回路56による電源電圧の供給を停止させる制御信号を当該電源供給回路56へ出力する。
【0170】
電源供給回路56は、処理部52から受けた制御信号に従い、対応の通信ポート54への電源電圧の出力を停止する。
【0171】
これにより、新規機能部に対して、当該電源供給回路56から対応の通信ポート54およびPOEケーブル12を介して当該電源供給回路56から電源電圧が供給されなくなる。
【0172】
図11は、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおいて、新規機能部へ電源電圧を供給するシーケンスの一例を示す図である。
【0173】
図11を参照して、まず、スイッチ装置152Cは、新規機能部が自己に接続された場合、自己の対応する通信ポート54およびPOEケーブル12を介して新規機能部へ電源電圧の供給を行う(ステップS301)。
【0174】
次に、スイッチ装置152Cは、新規機能部のMACアドレスおよび認証情報を要求する認証要求を含むイーサネットフレームを作成し、作成したイーサネットフレームをPOEケーブル12を介して新規機能部へ送信する(ステップS302)。
【0175】
次に、新規機能部は、スイッチ装置152Cから送信されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームに含まれる認証要求を取得する(ステップS303)。
【0176】
次に、新規機能部は、取得した認証要求に従い、認証情報を含むイーサネットフレームを作成し、作成したイーサネットフレームをPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Cへ送信する(ステップS304)。
【0177】
次に、スイッチ装置152Cは、新規機能部から送信された認証情報を含むイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームをPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Aへ送信する(ステップS305)。
【0178】
次に、スイッチ装置152Aは、スイッチ装置152Cから送信されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームに含まれる認証情報を取得する(ステップS306)。
【0179】
次に、スイッチ装置152Aは、取得した認証情報に基づいて、新規機能部の認証処理を行う(ステップS307)。
【0180】
次に、スイッチ装置152Aは、認証処理の結果に従って、新規機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報を含むイーサネットフレームを作成し、作成したイーサネットフレームをPOEケーブル12を介してスイッチ装置152Cへ送信する(ステップS308)。
【0181】
次に、スイッチ装置152Cは、スイッチ装置152Aから送信されたイーサネットフレームを受信し、受信したイーサネットフレームに含まれる電源制御情報を取得する(ステップS309)。
【0182】
次に、スイッチ装置152Cは、取得した電源制御情報に従い、新規機能部への電源電圧の供給を継続するか、または新規機能部への電源電圧の供給を停止する(ステップS310)。
【0183】
なお、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムでは、新規機能部がスイッチ装置152Cに接続された場合、スイッチ装置152Aが新規機能部からの認証情報に基づいて認証処理を行い、当該認証処理の結果に従って新規機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム404において、スイッチ装置152Cが上記認証処理を行い、当該認証処理の結果に従って新規機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える構成であってもよい。
【0184】
また、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムは、スイッチ装置152Bを備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載通信システム404は、スイッチ装置152Bを備えない構成であってもよい。
【0185】
以上のように、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置152A,152B,152Cのうちの少なくともいずれか1つは、自己に接続されている機能部111ごとに、電源電圧を供給するか否かを切り替え可能である。
【0186】
このような構成により、各機能部111への電源供給の制御をスイッチ装置152に集約することができるため、車載ネットワークにおける制御系を簡易化することができる。
【0187】
また、本開示の第2の実施の形態に係る車載通信システムでは、スイッチ装置152Cは、新たな機能部111である新規機能部が自己に接続された場合、新規機能部から受信した認証情報をスイッチ装置152Aへ送信し、新規機能部に電源電圧を供給すべきか否かを示す電源制御情報をスイッチ装置152Aから受信し、受信した電源制御情報に従い、新規機能部に電源電圧を供給するか否かを切り替える。
【0188】
このような構成により、車載ネットワークに拡張性を持たせながら、新規機能部の認証および電源供給制御のための構成を簡易化することができる。
【0189】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る車載通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0190】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0191】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継する第1のスイッチ装置および第2のスイッチ装置を備え、
前記第1のスイッチ装置は、前記車両に搭載される電源装置から電源用の専用線を介して電源電圧の供給を受けて、自己に接続されている1または複数の前記機能部と前記第2のスイッチ装置とに前記伝送路を介して電源電圧を供給し、
前記第2のスイッチ装置は、前記伝送路から電源電圧を取り出し、自己に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して電源電圧を供給し、
前記第1のスイッチ装置および前記第2のスイッチ装置は、車両のフロント側およびリア側に分かれて配置され、
前記第1のスイッチ装置は、レイヤ2スイッチおよびレイヤ3スイッチとして動作し、
前記第2のスイッチ装置は、レイヤ2スイッチとして動作する、車載通信システム。
【0192】
[付記2]
スイッチ装置であって、
車両に搭載される複数の機能部間の情報を伝送路経由で中継するスイッチ部と、
前記伝送路から電源電圧を取り出す電源受給回路と、
前記電源受給回路によって取り出された前記電源電圧または前記電源電圧に基づく電圧を、自己の前記スイッチ装置に接続されている1または複数の前記機能部に前記伝送路を介して供給する電源供給回路とを備え、
前記スイッチ装置は、レイヤ2スイッチまたはレイヤ3スイッチとして動作する、スイッチ装置。
【符号の説明】
【0193】
10 イーサネットケーブル
11 CANバス
12 POEケーブル
20 専用線
51 スイッチ部
52 処理部
53 記憶部
54 通信ポート
55 電源受給回路
56 電源供給回路
57 インタフェース回路
58 スイッチ回路
101 車両
111 機能部
111A 車外通信装置
111B LiDAR
111C 運転支援装置
111D セントラルゲートウェイ
111E,111F,111G,111H カメラ
122 制御デバイス
123 電源装置
151,151A,151B,152,152A,152B,152C スイッチ装置
161 無線基地局装置
201 外部装置
401,402,403,404 車載通信システム