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特許7447905モビリティ制御システム、方法、および、プログラム
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  • 特許-モビリティ制御システム、方法、および、プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】モビリティ制御システム、方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240305BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240305BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20240305BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20240305BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240305BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 F
H04W4/40
B60R16/023 P
B60W60/00
B60W50/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021537592
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2020021376
(87)【国際公開番号】W WO2021024588
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2019142901
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲孝
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132985(JP,A)
【文献】特開2018-025865(JP,A)
【文献】特開2018-151908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/09
H04W 4/40
B60R 16/023
B60W 60/00
B60W 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象のモビリティに搭載され、当該モビリティの状態に応じた制御を行うモビリティ制御システムであって、
外部装置との通信状態を検知する通信状態検知部と、
前記通信状態に基づいて、前記モビリティの稼働機能を制限する制御を行う制御部とを備え、
前記通信状態検知部は、通信状態として、通信の可否または通信速度の状況、および、不正通信が行われている状況を検知し、
前記通信状態検知部は、前記不正通信が行われている状況を通信機器のログに基づいて検知し、
前記制御部は、前記通信状態に基づいて制限する機能を決定し、前記不正通信が行われている状況を検知した場合にインターネットとの接続を遮断する
ことを特徴とするモビリティ制御システム。
【請求項2】
制御部は、不正通信が行われている状況を通信状態検知部が検知した場合、モビリティが自動で判断する機能を制限する制御を行う
請求項1記載のモビリティ制御システム。
【請求項3】
通信状態検知部は、通信状態として、外部装置と通信ができない状況を検知し、
制御部は、通信ができない状況を通信状態検知部が検知した場合、モビリティに搭載された機能のうち、通信を行わない機能に制限する制御を行う
請求項1または請求項2記載のモビリティ制御システム。
【請求項4】
モビリティは、自動運転を行うコネクテッドカーであり、
制御部は、通信を行わない機能で実現可能な自動運転の制御を行う
請求項3記載のモビリティ制御システム。
【請求項5】
通信状態検知部は、通信状態として、通信速度が低下している状況を検知し、
制御部は、通信速度が低下している状況を通信状態検知部が検知した場合、想定される通信量が予め定めた基準を超える機能を制限する制御を行う
請求項1記載のモビリティ制御システム。
【請求項6】
モビリティは、自動運転を行うコネクテッドカーであり、
制御部は、モビリティに搭載された機能のうち、想定される通信量が予め定めた基準を超えない機能で実現可能な自動運転の制御を行う
請求項5記載のモビリティ制御システム。
【請求項7】
対象とするモビリティの状態に応じた制御を行うモビリティ制御方法であって、
外部装置との通信状態として、通信の可否または通信速度の状況、および、不正通信が行われている状況を検知し、
前記不正通信が行われている状況を通信機器のログに基づいて検知し、
前記通信状態に基づいて、前記モビリティの稼働機能を制限する制御を行い、
前記不正通信が行われている状況を検知した場合にインターネットとの接続を遮断する
ことを特徴とするモビリティ制御方法。
【請求項8】
不正通信が行われている状況が検知された場合、モビリティが自動で判断する機能を制限する制御を行う
請求項7記載のモビリティ制御方法。
【請求項9】
制御対象のモビリティに搭載され、当該モビリティの状態に応じた制御を行うコンピュータに適用されるモビリティ制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
外部装置との通信状態を検知する通信状態検知処理、および、
前記通信状態に基づいて、前記モビリティの稼働機能を制限する制御を行う制御処理を実行させ、
前記通信状態検知処理で、通信状態として、通信の可否または通信速度の状況、および、不正通信が行われている状況を検知させ、
前記通信状態検知処理で、前記不正通信が行われている状況を通信機器のログに基づいて検知させ、
前記制御処理で、前記通信状態に基づいて制限する機能を決定させ、前記不正通信が行われている状況を検知した場合にインターネットとの接続を遮断させる
ためのモビリティ制御プログラム。
【請求項10】
制御処理で、不正通信が行われている状況が通信状態検知処理で検知された場合、モビリティが自動で判断する機能を制限する制御を行わせる
請求項9記載のモビリティ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を搭載したモビリティの通信状況に応じた制御を行うモビリティ制御システム、モビリティ制御方法、および、モビリティ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に代表されるモビリティが通信機能を備えることで、快適性や安全性の向上が実現されている。また、インターネットと接続することで、モビリティ内ネットワーク内だけで実現できることに加え、外部からの様々な情報サービスを享受することが可能になっている。なお、本明細書において、モビリティとは、移動手段(例えば、車両などの乗物)を意味するものとして定義される。
【0003】
特に、モビリティ内に異常が発生した場合には、モビリティの安全性を確保するため、通信機能を利用して各種制御に必要な情報が収集され、必要に応じてモビリティの制御が行われる。
【0004】
例えば、特許文献1には、車載システム内の通信データに異常が発生した場合に対処を行うシステムが記載されている。特許文献1に記載されたシステムは、車載システム内で通信データの異常が発生した場合に、車載システム内の各情報処理装置から状態を判断するための情報を収集し、セキュリティ異常とセーフティ異常のそれぞれについて発生の有無を特定する。そして、上記システムは、その異常に対して実施する対処内容を決定し、各情報処理装置に通知する。
【0005】
また、特許文献2には、診断対象データをセンタ装置に送信して車両の異常をリアルタイムに診断するシステムが記載されている。特許文献2に記載されたシステムでは、診断車両装置が検知した診断対象データをセンタ装置に送信すると、センタ装置が希有事象か否かを判定し、判定結果に基づいて診断車両が異常か否かを決定し、診断結果を診断車両装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-73102号公報
【文献】特開2013-120143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、特許文献1や特許文献2に記載されたシステムでは、外部との通信が適切に行われることを前提にしている。すなわち、外部との通信そのものに何らかの異常や不具合が発生した場合については、何ら考慮されていない。そのため、外部との接続を前提としたモビリティの制御が行われる場合に、外部との通信自体に何らかの不具合や異常が発生するような状況であっても、その通信状況に応じて適切な対処を行うことが望まれている。
【0008】
そこで、本発明では、外部との通信を前提としたモビリティの通信状況に応じて適切な制御を行うことができるモビリティ制御システム、モビリティ制御方法、および、モビリティ制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるモビリティ制御システムは、制御対象のモビリティに搭載され、そのモビリティの状態に応じた制御を行うモビリティ制御システムであって、外部装置との通信状態を検知する通信状態検知部と、通信状態に基づいて、モビリティの稼働機能を制限する制御を行う制御部とを備え、通信状態検知部が、通信状態として、通信の可否または通信速度の状況、および、不正通信が行われている状況を検知し、通信状態検知部が、不正通信が行われている状況を通信機器のログに基づいて検知し、制御部が、通信状態に基づいて制限する機能を決定し、不正通信が行われている状況を検知した場合にインターネットとの接続を遮断することを特徴とする。
【0010】
本発明によるモビリティ制御方法は、対象とするモビリティの状態に応じた制御を行うモビリティ制御方法であって、外部装置との通信状態として、通信の可否または通信速度の状況、および、不正通信が行われている状況を検知し、不正通信が行われている状況を通信機器のログに基づいて検知し、通信状態に基づいて、モビリティの稼働機能を制限する制御を行い、不正通信が行われている状況を検知した場合にインターネットとの接続を遮断することを特徴とする。
【0011】
本発明によるモビリティ制御プログラムは、制御対象のモビリティに搭載され、そのモビリティの状態に応じた制御を行うコンピュータに適用されるモビリティ制御プログラムであって、コンピュータに、外部装置との通信状態を検知する通信状態検知処理、および、通信状態に基づいて、モビリティの稼働機能を制限する制御を行う制御処理を実行させ、通信状態検知処理で、通信状態として、通信の可否または通信速度の状況、および、不正通信が行われている状況を検知させ、通信状態検知処理で、不正通信が行われている状況を通信機器のログに基づいて検知させ、制御処理で、通信状態に基づいて制限する機能を決定させ、不正通信が行われている状況を検知した場合にインターネットとの接続を遮断させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部との通信を前提としたモビリティの通信状況に応じて適切な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるモビリティ制御システムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。
図2】モビリティ制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図3】本発明によるモビリティ制御システムの概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明によるモビリティ制御システムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。本実施形態のモビリティ制御システム100は、通信機器10と、ユニット20と、通信状態検知部30と、制御部40と、入出力装置50とを備えている。
【0016】
モビリティ制御システム100は、制御対象のモビリティ300に搭載され、そのモビリティ300の状態に応じた対処を行うシステムである。モビリティ300の具体例として、コネクテッドカーが挙げられる。本実施形態では、通信機能を利用した自動運転車を想定し、GPS(Global Positioning System )や、道路設置機器、インターネットなどを利用する自動運転車の各種機能を具体例として説明する。ただし、モビリティ300は、車両に限定されず、例えば、電車や、航空機などであってもよい。
【0017】
モビリティ制御システム100は、通信機器10を介して、外部のセキュリティセンタ200におけるセキュリティセンタサーバ210と通信を行う。セキュリティセンタサーバ210は、モビリティの制御に必要な各種情報をモビリティ制御システム100に送信する。
【0018】
通信機器10は、具体的には、セキュリティセンタサーバ210や、任意の外部サーバ(図示せず)との通信を行う機器である。通信機器10の態様は任意であり、例えば、車載専用のモジュールを搭載した通信機器などにより実現される。通信機器10は、後述する通信状態検知部30に対し、通信状況を通知してもよく、検知した異常や不具合を通知してもよい。
【0019】
ユニット20は、モビリティの各種状態を検知して制御を行うユニットであり、例えば、各種電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit )により実現される。なお、図1には、ユニット20を1つだけ図示しているが、ユニット20の数は1つに限定されず、2つ以上であってもよい。モビリティ制御システム100は、制御対象に応じた複数のユニット20を含む。例えば、車両の場合、制御対象として、エンジンやブレーキ、メーターやカーナビゲーション、エアバッグなどが挙げられる。
【0020】
通信状態検知部30は、外部装置との通信状態を検知する。具体的には、通信状態検知部30は、通信機器10によるセキュリティセンタサーバ210や外部サーバとの通信状態を検知する。通信状態検知部30は、通信機器10に対して定期的に状態を問い合わせることで通信状態を検知してもよく、通信機器10から通知される通信状況に基づいて通信状態を検知してもよい。また、通信状態検知部30は、CAN(Controller Area Network )における不正なパケット(値、リプレイなど)を検知してもよい。
【0021】
通信状態検知部30は、通信状態として、通信の可否、通信速度の状況、不正通信の少なくとも一つを検知する。その際、通信状態検知部30は、モビリティ300の各種ステータス情報を収集して、異常や不具合が発生した個所を特定してもよい。
【0022】
通信ができない状況の例として、通信が切断中である、外部との認証中である、通信機器が故障中である、通信エラーが発生している、などの状況が挙げられる。また、通信速度が低下している状況(通信に制限がある状況)の例として、輻輳中や低速通信モード、などの状況が挙げられる。
【0023】
また、不正通信が行われている状況の例として、DoS(Denial of Service attack)攻撃を受けている、モビリティ内から異常な通信を行っている、通常とは異なる処理が行われている、などの状況が挙げられる。通常とは異なる処理として、例えば、通常とは異なるプロセスが発生している、特定のプロセスが普段とは異なるファイルにアクセスしている、通常とは異なるIPアドレスやポートでのアクセスをしている、不正なIDやパスワードでアクセスしている、などが挙げられる。
【0024】
制御部40は、通信状態検知部30が検知した通信状態に基づいて、モビリティ300の稼働機能を制限する制御を行う。具体的には、制御部40は、通信状態に基づいて制限する機能を決定し、決定した機能について各種制御を行う。例えば、モビリティが自動運転を行うコネクテッドカーの場合、制御部40は、制限した機能で実現可能な自動運転の制御を行う。
【0025】
通信ができない状況が検知された場合、制御部40は、モビリティ300に搭載された機能のうち、通信を行わない機能に制限する制御を行う。例えば、自動運転の場合、制御部40は、通信を行わない機能で実現可能な自動運転の制御を行う。通信を行わない自動運転関連の機能として、車間距離測定維持機能、車線逸脱補正機能、衝突回避機能、駐車支援機能、機器察知機能など、近距離センサを用いた機能や一部の車両操作機能が挙げられる。
【0026】
通信速度が低下している状況が検知された場合、制御部40は、モビリティ300に搭載された機能のうち、想定される通信量が予め定めた基準を超える機能を制限する制御を行う。例えば、自動運転の場合、制御部40は、大容量通信が必要な自動運転やサービスが行われないように機能を制限し、想定される通信量が予め定めた基準を超えない機能で実現可能な自動運転の制御を行う。大容量通信が必要な機能の例として、ダイナミックマップ、動画データ送信(遠隔操作機能など)、詳細な車両データやログなどのアップロード/ダウンロード機能、などが挙げられる。
【0027】
なお、想定される通信量が予め定めた基準を超えない機能(少ない通信で実現可能な機能)として、車両位置情報通知機能(GPS)、ステータス程度の車両データ配信機能(走行中、停車中、故障発生中、など)、ドライバからクラウド側にSOSを求める緊急コール機能、異常の発生有無を通知する異常検知アラート機能、などが挙げられる。
【0028】
すなわち、通信速度が低下している状況が検知された場合、制御部40は、上述するような少ない通信で実現可能な機能を有効にし、大容量通信が必要な機能を無効にする制御をしてもよい。その場合、制限される通信量に応じて選択可能な機能を定めておき、制御部40は、通信速度に応じて稼働させる機能を選択すればよい。また、稼働させる機能の優先度を予め定めておき、制御部40は、許容できる通信量の範囲内で、優先度に従って機能を決定してもよい。
【0029】
また、不正通信が行われている状況が検知された場合、制御部40は、適切な制御ができない状況と判断して、自動で判断するような機能を制限する制御を行ってもよい。例えば、自動運転の場合、制御部40は、自動運転自体を停止する制御を行ってもよい。
【0030】
また、他にも、制御部40は、特定アドレスや特定ポートの遮断、全ネットワークの遮断、プロセスの停止や再起動、ファイルの削除や更新、通信ユニットの再起動や更新を行ってもよい。
【0031】
また、制御部40は、異常発生時の情報をモビリティ内ネットワークから収集し、異常の原因を分析してもよい。そして、制御部40は、異常の原因に応じて、その原因に対する対処、OTA(Over the Air)の実施、即時対処により縮小した機能の回復、縮退運転の維持などを行ってもよい。さらに、制御部40は、セキュリティセンタサーバ210(例えば、SOC:セキュリティオペレーションセンタ)や、ドライバの携帯端末、後述する入出力装置50へ、通信状態の通知を行ってもよい。
【0032】
入出力装置50は、モビリティ300の操作者とモビリティ制御システム100との間の入出力処理を行う装置である。入出力装置50は、例えば、IVI(in-vehicle infotainment )により実現される。入出力装置50は、制御部40からの指示に応じて、IVIの画面に、異常が発生したことを表示してもよい。
【0033】
通信状態検知部30と、制御部40とは、プログラム(モビリティ制御プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit))によって実現される。
【0034】
例えば、プログラムは、モビリティ制御システム100が備える記憶部(図示せず)に記憶され、プロセッサは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、通信状態検知部30および制御部40として動作してもよい。また、モビリティ制御システム100の機能がSaaS(Software as a Service )形式で提供されてもよい。
【0035】
通信状態検知部30と、制御部40とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0036】
また、モビリティ制御システム100の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0037】
次に、本実施形態の動作例を説明する。図2は、本実施形態のモビリティ制御システム100の動作例を示すフローチャートである。通信状態検知部30は、外部装置との通信状態として、通信の可否または通信速度の状況を検知する(ステップS11)。制御部40は、検知された通信状態に基づいて、モビリティの稼働機能を制限する制御を行う(ステップS12)。
【0038】
以上のように、本実施形態では、通信状態検知部30が、外部装置との通信状態として、通信の可否または通信速度の状況を検知し、制御部40が、通信状態に基づいて、モビリティの稼働機能を制限する制御を行う。よって、外部との通信を前提としたモビリティの通信状況に応じて適切な制御を行うことができる
【0039】
次に、本実施形態のモビリティ制御システム100の具体例な活用例を説明する。上述するような、インターネットと接続可能な自動車(コネクテッドカー)に搭載される場合に、第一の活用例として、サイバー攻撃への対応が考えられる。自動車がインターネットとつながることで、サイバー攻撃の対象となり、自動車を外部から不正に操作される可能性があるからである。
【0040】
この場合、通信状態検知部30が、例えば、通信機器のログからサイバー攻撃の兆候を検知した場合、制御部40が、インターネットとの接続を遮断したり、ドライバやコールセンターに通知したりしてもよい。これにより、サイバー攻撃による自動車のハッキングや、事故を防止することが可能になる。
【0041】
第二の活用例として、コネクテッドカーにおける故障検知および対処を行うことが考えられる。例えば、ブレーキやエンジンなどを適切に制御できない状況で自動運転を継続すると、人命にかかわる事故につながる可能性がある。この場合、通信状態検知部30が、通信機能の異常や、自動車車内のネットワークの異常から、故障の予兆を検知すると、制御部40が、ドライバに自動車の停止を促したり、ドライバやコールセンターへ通知したりしてもよい。これにより、異常な状態に基づく想定外の挙動や、発生した挙動による事故を未然に防ぐことも可能になる。
【0042】
次に、本発明の概要を説明する。図3は、本発明によるモビリティ制御システムの概要を示すブロック図である。本発明によるモビリティ制御システム80は、制御対象のモビリティ(例えば、モビリティ300)に搭載され、そのモビリティの状態に応じた制御を行うモビリティ制御システム(例えば、モビリティ制御システム100)であって、外部装置(例えば、セキュリティセンタサーバ210や外部サーバ)との通信状態を検知する通信状態検知部81(例えば、通信状態検知部30)と、通信状態に基づいて、モビリティの稼働機能を制限する制御を行う制御部82(例えば、制御部40)とを備えている。
【0043】
通信状態検知部81は、通信状態として、通信の可否または通信速度の状況を検知し、制御部82は、通信状態に基づいて制限する機能を決定する。
【0044】
そのような構成により、外部との通信を前提としたモビリティの通信状況に応じて適切な制御を行うことができる。
【0045】
また、通信状態検知部81は、通信状態として、外部装置と通信ができない状況を検知し、制御部82は、通信ができない状況を通信状態検知部81が検知した場合、モビリティに搭載された機能のうち、通信を行わない機能に制限する制御を行ってもよい。
【0046】
モビリティは、自動運転を行うコネクテッドカーであってもよい。この場合、制御部82は、通信を行わない機能で実現可能な自動運転の制御を行ってもよい。
【0047】
一方、通信状態検知部81は、通信状態として、通信速度が低下している状況を検知し、制御部82は、通信速度が低下している状況を通信状態検知部81が検知した場合、想定される通信量が予め定めた基準を超える機能(例えば、ダイナミックマップ、など)を制限する制御を行ってもよい。
【0048】
また、モビリティが自動運転を行うコネクテッドカーである場合に、制御部82は、モビリティに搭載された機能のうち、想定される通信量が予め定めた基準を超えない機能で実現可能な自動運転の制御を行ってもよい。
【0049】
なお、本発明によるモビリティ制御システム80は、通信状態として、通信の可否および通信速度の状況以外に、不正通信について考慮してもよい。すなわち、通信状態検知部81は、通信状態として、通信の可否、通信速度の状況、および、不正通信の少なくとも一つを検知し、制御部82は、通信状態に基づいて制限する機能を決定してもよい。
【0050】
この場合、通信状態検知部81は、通信状態として、DoS攻撃を受けている、モビリティ内から異常な通信が行われている、または、予め想定している処理とは異なる処理が行われている状況を検知し、制御部82は、自動で判断を行う機能を制限する制御を行ってもよい。
【0051】
ここで、通常と異なる処理は、予め想定している処理とは異なるプロセスを発生させている処理、特定のプロセスが予め想定しているファイルとは異なるファイルにアクセスしている処理、予め想定しているIPアドレスまたはポートとは異なるIPアドレスまたはポートでのアクセスをしている処理、不正なIDまたはパスワードでアクセスしている処理の少なくとも一つであってもよい。
【0052】
また、モビリティが、自動運転を行うコネクテッドカーである場合、制御部82は、自動運転自体を停止する制御を行ってもよい。
【0053】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0054】
(付記1)制御対象のモビリティに搭載され、当該モビリティの状態に応じた制御を行うモビリティ制御システムであって、外部装置との通信状態を検知する通信状態検知部と、前記通信状態に基づいて、前記モビリティの稼働機能を制限する制御を行う制御部とを備え、前記通信状態検知部は、通信状態として、通信の可否または通信速度の状況を検知し、前記制御部は、前記通信状態に基づいて制限する機能を決定することを特徴とするモビリティ制御システム。
【0055】
(付記2)通信状態検知部は、通信状態として、外部装置と通信ができない状況を検知し、制御部は、通信ができない状況を通信状態検知部が検知した場合、モビリティに搭載された機能のうち、通信を行わない機能に制限する制御を行う付記1記載のモビリティ制御システム。
【0056】
(付記3)モビリティは、自動運転を行うコネクテッドカーであり、制御部は、通信を行わない機能で実現可能な自動運転の制御を行う付記2記載のモビリティ制御システム。
【0057】
(付記4)通信状態検知部は、通信状態として、通信速度が低下している状況を検知し、制御部は、通信速度が低下している状況を通信状態検知部が検知した場合、想定される通信量が予め定めた基準を超える機能を制限する制御を行う付記1記載のモビリティ制御システム。
【0058】
(付記5)モビリティは、自動運転を行うコネクテッドカーであり、制御部は、モビリティに搭載された機能のうち、想定される通信量が予め定めた基準を超えない機能で実現可能な自動運転の制御を行う付記4記載のモビリティ制御システム。
【0059】
(付記6)対象とするモビリティの状態に応じた制御を行うモビリティ制御方法であって、外部装置との通信状態として、通信の可否または通信速度の状況を検知し、前記通信状態に基づいて、前記モビリティの稼働機能を制限する制御を行うことを特徴とするモビリティ制御方法。
【0060】
(付記7)通信状態として、外部装置と通信ができない状況を検知し、通信ができない状況を検知した場合、モビリティに搭載された機能のうち、通信を行わない機能に制限する制御を行う付記6記載のモビリティ制御方法。
【0061】
(付記8)通信状態として、通信速度が低下している状況を検知し、通信速度が低下している状況を検知した場合、想定される通信量が予め定めた基準を超える機能を制限する制御を行う付記6記載のモビリティ制御方法。
【0062】
(付記9)制御対象のモビリティに搭載され、当該モビリティの状態に応じた制御を行うコンピュータに適用されるモビリティ制御プログラムであって、前記コンピュータに、外部装置との通信状態を検知する通信状態検知処理、および、前記通信状態に基づいて、前記モビリティの稼働機能を制限する制御を行う制御処理を実行させ、前記通信状態検知処理で、通信状態として、通信の可否または通信速度の状況を検知させ、前記制御処理で、前記通信状態に基づいて制限する機能を決定させるためのモビリティ制御プログラム。
【0063】
(付記10)コンピュータに、通信状態検知処理で、通信状態として、外部装置と通信ができない状況を検知させ、制御処理で、通信ができない状況を通信状態検知処理で検知した場合、モビリティに搭載された機能のうち、通信を行わない機能に制限する制御を行わせる付記9記載のモビリティ制御プログラム。
【0064】
(付記11)コンピュータに、通信状態検知処理で、通信状態として、通信速度が低下している状況を検知させ、制御処理で、通信速度が低下している状況を通信状態検知処理で検知した場合、想定される通信量が予め定めた基準を超える機能を制限する制御を行わせる付記9記載のモビリティ制御プログラム。
【0065】
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0066】
この出願は、2019年8月2日に出願された日本特許出願2019-142901を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0067】
10 通信機器
20 ユニット
30 通信状態検知部
40 制御部
50 入出力装置
100 モビリティ制御システム
200 セキュリティセンタ
210 セキュリティセンタサーバ
300 モビリティ
図1
図2
図3