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特許7447906表面異常検知装置、システム、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】表面異常検知装置、システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240305BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20240305BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240305BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01S17/89
G06T7/00 610B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021541811
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2019033294
(87)【国際公開番号】W WO2021038685
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小野 善将
(72)【発明者】
【氏名】辻 聡
(72)【発明者】
【氏名】安部 淳一
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032360(JP,A)
【文献】特開2019-020580(JP,A)
【文献】特開2017-173054(JP,A)
【文献】特開2012-078144(JP,A)
【文献】特開2002-181520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01C 3/00 - G01C 3/32
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 3/60
G06T 5/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06V 10/00 - G06V 10/98
G06V 20/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類する分類手段と、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成する結合手段と、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定する決定手段と、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定する特定手段と、
前記クラスタグループのうちの1つの前記クラスタである第1クラスタと、前記第1クラスタに最も距離が近い第2クラスタと、の間を補完する複数の補完点を算出し、表面に前記複数の補完点を有する補完クラスタを作成する補完手段と、
を備え、
前記クラスタグループの表面の複数の点の1つである測距点におけるレーザ入射角度は、前記クラスタグループの前記測距点と自装置とを結んだ方向と、前記クラスタグループの前記測距点における垂線の方向と、に基づいて算出され、
前記クラスタグループの前記測距点における前記反射輝度値は、前記レーザ入射角度に基づいて補正され、
前記結合手段は、前記クラスタグループと前記補完クラスタとを結合して補完クラスタグループを作成し
記補完点における垂線の方向は、前記補完点の周囲の複数の前記測距点における垂線の方向に基づいて推定され、
前記クラスタグループの代わりに前記補完クラスタグループが使用されて前記構造物の前記異常箇所が特定される、
表面異常検知装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記クラスタグループの表面の複数の点のうち、前記反射輝度値と前記反射輝度正常値との差が閾値を上回る所定の点を前記異常箇所として特定する、
請求項1に記載の表面異常検知装置。
【請求項3】
前記結合手段は、前記クラスタグループが前記構造物を構成する構成要素に含まれる場合、前記クラスタを結合する、
請求項1又は2に記載の表面異常検知装置。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記クラスタグループの前記反射輝度値の分布のうち、分散が最小である最小分散クラスタを特定し、
前記最小分散クラスタの前記反射輝度値の分布のうち、頻度が最大の前記反射輝度値を前記反射輝度正常値として決定する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の表面異常検知装置。
【請求項5】
記分類手段は、前記レーザ入射角度に基づいて前記クラスタグループをサブクラスタグループにさらに分類し、
前記決定手段は、前記サブクラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記サブクラスタグループの反射輝度正常値を決定し、
前記特定手段は、前記サブクラスタグループの反射輝度正常値と、前記サブクラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの反射輝度値と、の差に基づいて前記サブクラスタグループの表面の前記異常箇所を特定する、
請求項1から4のいずれか1つに記載の表面異常検知装置。
【請求項6】
前記第1クラスタの前記第2クラスタに近い方の一端部の第1測距点における垂線の方向は、前記第1測距点に最も近い前記補完点における垂線の方向と同じ方向とし、
前記第2クラスタの前記第1クラスタに近い方の一端部の第2測距点における垂線の方向は、前記第2測距点に最も近い前記補完点における垂線の方向と同じ方向とする、
請求項1から5のいずれか1つに記載の表面異常検知装置。
【請求項7】
前記クラスタグループの表面の複数の点における前記反射輝度値を取得する測定装置と、
請求項1から6のいずれか1つに記載の表面異常検知装置と、を備え、
前記表面異常検知装置は、前記クラスタグループの表面の前記異常箇所を特定する、
システム。
【請求項8】
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類することと、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成することと、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定することと、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定することと、
前記クラスタグループのうちの1つの前記クラスタである第1クラスタと、前記第1クラスタに最も距離が近い第2クラスタと、の間を補完する複数の補完点を算出し、表面に前記複数の補完点を有する補完クラスタを作成することと、
を備え、
前記クラスタグループの表面の複数の点の1つである測距点におけるレーザ入射角度は、前記クラスタグループの前記測距点と自装置とを結んだ方向と、前記クラスタグループの前記測距点における垂線の方向と、に基づいて算出され、
前記クラスタグループの前記測距点における前記反射輝度値は、前記レーザ入射角度に基づいて補正され、
前記クラスタグループの作成では、前記クラスタグループと前記補完クラスタとを結合して補完クラスタグループを作成し
記補完点における垂線の方向は、前記補完点の周囲の複数の前記測距点における垂線の方向に基づいて推定され、
前記クラスタグループの代わりに前記補完クラスタグループが使用されて前記構造物の前記異常箇所が特定される、
方法。
【請求項9】
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類することと、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成することと、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定することと、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定することと、
前記クラスタグループのうちの1つの前記クラスタである第1クラスタと、前記第1クラスタに最も距離が近い第2クラスタと、の間を補完する複数の補完点を算出し、表面に前記複数の補完点を有する補完クラスタを作成することと、
をコンピュータに実行させ、
前記クラスタグループの表面の複数の点の1つである測距点におけるレーザ入射角度は、前記クラスタグループの前記測距点と自装置とを結んだ方向と、前記クラスタグループの前記測距点における垂線の方向と、に基づいて算出され、
前記クラスタグループの前記測距点における前記反射輝度値は、前記レーザ入射角度に基づいて補正され、
前記クラスタグループの作成では、前記クラスタグループと前記補完クラスタとを結合して補完クラスタグループを作成し
記補完点における垂線の方向は、前記補完点の周囲の複数の前記測距点における垂線の方向に基づいて推定され、
前記クラスタグループの代わりに前記補完クラスタグループが使用されて前記構造物の前記異常箇所が特定される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面異常検知装置、システム、方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関するものであり、特に、複雑な構造物の表面の異常箇所を特定することが可能な表面異常検知装置、システム、方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
施設内の設備において、設備の構造物の表面上に現れる劣化箇所、例えば、老朽化・腐食による錆や塗装の剥がれた箇所は、近い将来に設備が破損したり倒壊したりする可能性が高い。このような表面の異常箇所の特定は、現在目視による判断に頼ることが多く、見落としや主観に頼った判断、さらには点検者派遣の工数といった観点から、異常箇所を自動的に特定するシステムの重要性が上がっている。レーザ測距(LiDAR:Light Detection and Ranging)装置は、物体(構造物)の3次元構造を取得可能な装置であり、3次元の物体の表面の点の位置情報に加えてレーザ光の受光輝度を測定する機能を有していることが多い。一般的に受光輝度、すなわち、物体からの反射輝度は、レーザの照射された物体表面の状態に依存する。そのため、レーザ測距装置で取得した受光輝度情報の処理を通じて、錆や塗装の剥がれ等の表面の異常箇所を検知することができる。しかしながら、複雑な構造物の表面の異常箇所を特定しようとした場合には、誤検出等が発生することがあった。以降、本開示ではレーザ測距装置で取得した受光輝度を「反射輝度」と称する。
【0003】
特許文献1には、撮像により得られた画像における平均輝度、標準偏差輝度、最大輝度および最小輝度に基づき、該画像の輝度の度数分布についての特徴量を算出する特徴量算出部と、算出された特徴量に基づき輝度の閾値を設定する閾値設定部と、設定された閾値に基づき撮像により得られた画像における欠陥画素を検出する欠陥検出部と、を備える表面欠陥検出装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、対象となるワークを、互いに異なる複数の位置から撮像した複数の画像情報を取得し、当該ワーク上の各部を順次、注目部分として選択し、複数の画像情報の各々において注目部分に対応する画像部分の輝度の特徴量を比較し、この比較の結果に基づいて、ワークに欠陥があるか否かを判定する欠陥検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-159376号公報
【文献】特開2013-195368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、複雑な構造物の表面の異常箇所を特定することが難しいという課題があった。特許文献1及び特許文献2は、この課題、すなわち、複雑な構造物の表面の異常箇所を特定することは開示していない。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を解決する表面異常検知装置、システム、方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る表面異常検知装置は、
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類する分類手段と、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成する結合手段と、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定する決定手段と、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定する特定手段と、
を備える。
【0009】
本開示に係るシステムは、
クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値を取得する測定装置と、
表面異常検知装置と、を備え、
前記表面異常検知装置は、
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類する分類手段と、
前記クラスタのうち2つ以上を結合して前記クラスタグループを作成する結合手段と、
前記クラスタグループの表面の複数の点における前記反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定する決定手段と、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定する特定手段と、を有し、
前記表面異常検知装置は、前記クラスタグループの表面の前記異常箇所を特定する。
【0010】
本開示に係る方法は、
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類することと、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成することと、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定することと、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定することと、
を備える。
【0011】
本開示に係る非一時的なコンピュータ可読媒体は、
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類することと、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成することと、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定することと、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定することと、
をコンピュータに実行させるプログラムが格納される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複雑な構造物の表面の異常箇所を特定することが可能な表面異常検知装置、システム、方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る表面異常検知装置を例示するブロック図である。
図2】実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
図3】構造物を例示する模式図である。
図4】クラスタを例示する模式図である。
図5】クラスタの反射輝度分布を例示するグラフである。
図6】クラスタグループの反射輝度分布を例示するグラフである。
図7】実施の形態1に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
図8】実施の形態2に係るレーザ入射角度を例示する図である。
図9】実施の形態2に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
図10】実施の形態3に係るレーザ入射角度に基づいたクラスタグループのさらなる分類を例示する図である。
図11】実施の形態3に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
図12】補完点が無い場合のクラスタグループを例示する模式図である。
図13】補完点が有る場合のクラスタグループを例示する模式図である。
図14】実施の形態4に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
図15】実施の形態4の変形例に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0015】
[実施の形態1]
実施の形態1に係る表面異常検知装置とシステムの概要を説明する。
図1は、実施の形態1に係る表面異常検知装置を例示するブロック図である。
図2は、実施の形態1に係るシステムを例示するブロック図である。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1に係る表面異常検知装置11は、分類手段111と結合手段112と決定手段113と特定手段114とを備える。
【0017】
分類手段111は、構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて構造物を複数の部分、すなわち、クラスタに分類する。位置情報は、例えば、3次元座標における位置情報を使用する。
【0018】
結合手段112は、分類されたクラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成する。
【0019】
決定手段113は、作成したクラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいてクラスタグループの反射輝度正常値を決定する。
【0020】
特定手段114は、決定した反射輝度正常値とクラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの反射輝度値との差に基づいてクラスタグループの表面の異常箇所を特定する。
【0021】
図2に示すように、実施の形態1に係るシステム10は、反射輝度測定装置12と表面異常検知装置11とを備える。
【0022】
反射輝度測定装置12は、距離測定機能と反射輝度測定機能とを有する。距離測定機能は、測定対象となる構造物に対してレーザ光を照射し、構造物までの距離データを3次元的に取得する機能である。また、反射輝度測定機能は、構造物から反射したレーザ光の反射輝度を測定する機能である。反射輝度測定装置12は、距離測定機能と反射輝度測定機能とを使用して、構造物の表面の複数の点の3次元座標における位置情報と該位置における反射輝度値を取得する。すなわち、反射輝度測定装置12は、クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値を取得すると言える。このようにして、反射輝度測定装置12は、構造物の表面の複数の点の3次元座標における位置情報と該位置における反射輝度値を取得する。3次元構造を有する構造物の表面の複数の点の3次元座標における位置情報と該位置における反射輝度値を総称して3次元点群データと称する。
【0023】
表面異常検知装置11は、反射輝度測定装置12から構造物の表面の複数の点の3次元座標における位置情報と反射輝度値を取得する。表面異常検知装置11は、取得した反射輝度値に基づいてクラスタグループの表面の異常箇所を特定する。
【0024】
実施の形態1に係る表面異常検知装置の詳細を説明する。
図3は、構造物を例示する模式図である。
図4は、クラスタを例示する模式図である。
図5は、クラスタの反射輝度分布を例示するグラフである。
図5の横軸は反射輝度を示し、縦軸は度数を示す。
図6は、クラスタグループの反射輝度分布を例示するグラフである。
図6の横軸は反射輝度を示し、縦軸は度数を示す。
【0025】
図3に示すように、構造物は複数の構成要素により構成される。図3の部分Bに示すように、構造物は、構造物を構成する構成要素の1つとして構成要素E11を含む。構造物を構成する構成要素の形状等の情報は、構造物の設計図等の資料から、例えば、同じ鋼材として取得することができる。
【0026】
図4に示すように、表面異常検知装置11は、構造物を2つ以上のクラスタに分類する。構造物が複雑である場合、図4の部分Bに示すように、例えば、奥に存在する構成要素E11は、クラスタC11aとクラスタC11bとを含む複数の小さなクラスタに分類される。すなわち、構成要素E11は、構成要素E11の手前の配置された構成要素F11により分断されてクラスタC11aとクラスタC11bに分類される。
【0027】
図5に示すように、クラスタC11aの反射輝度分布には、反射輝度正常値からの乖離が閾値を上回るものは存在しない。また、クラスタC11bの反射輝度分布には、反射輝度正常値からの乖離が閾値を上回るものは存在しない。これにより、分類されたクラスタC11aとクラスタC11bには、異常箇所が存在しないことになる。このように、同一の構成要素が複数のクラスタに分類された場合、構造物の異常箇所を正確に特定することができない場合がある。この原因は、同一の構成要素である構成要素E11をクラスタに分類する際、クラスタC11aとクラスタC11bとに分類したことにある。
【0028】
そこで、実施の形態1に係る表面異常検知装置11の結合手段112は、クラスタC11aとクラスタC11bとを結合してクラスタグループCg11を作成する。結合手段112は、作成の際、クラスタグループCg11が構成要素E11に含まれる場合、クラスタC11aとC11bとを結合する。すなわち、結合手段112は、構成要素E11の形状がクラスタグループCg11の形状を含む場合、クラスタC11aとC11bとを結合する。
【0029】
具体的には、結合手段112は、構造物を構成する構成要素の形状等の情報、例えば、構造物の設計図等を予め取得する。結合手段112は、構造物の構成要素の形状と、2つ以上のクラスタを結合したクラスタグループの形状と、を比較する。すなわち、結合手段112は、構成要素E11の形状と、クラスタグループCg11の形状と、を比較する。結合手段112は、構成要素E11の形状がクラスタグループCg11の形状を含む場合、クラスタC11aとC11bとを結合を確定する。
【0030】
その結果、表面異常検知装置11は、図6に示すようなクラスタグループCg11の反射輝度分布を取得する。決定手段113は、クラスタグループCg11の表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいてクラスタグループCg11の反射輝度正常値を決定する。
【0031】
決定手段113は、クラスタグループCg11の反射輝度値の分布のうち、例えば、頻度が最大の反射輝度値を反射輝度正常値として決定する。
【0032】
また、決定手段113は、クラスタグループCg11の反射輝度値の分布のうち、分散が最小である最小分散クラスタを特定する。決定手段113は、特定した最小分散クラスタの反射輝度値の分布のうち、頻度が最大の反射輝度値を反射輝度正常値として決定してもよい。
【0033】
特定手段114は、クラスタグループCg11の表面の複数の点のうち、反射輝度値と反射輝度正常値との差が閾値を上回る所定の点を異常箇所として特定する。例えば、図4に示す部分Cの反射輝度は、図6に示す部分Dで示され、クラスタグループCg11の表面の点が異常箇所として部分Cが特定される。このように、表面異常検知装置11の特徴は、同一構成要素と見なせるクラスタを結合してクラスタグループを形成し、クラスタグループに基づいて異常箇所を特定することである。
【0034】
実施の形態1に係る表面異常検知装置11は、構造物をクラスタに分類した後、2つ以上のクラスタを結合したクラスタグループを作成し、クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて構造物の表面の異常箇所を特定する。これにより、特に複雑な構造物において、クラスタの反射輝度値の分布を使用した場合と比べて、より正確に異常箇所を特定することができる。
【0035】
その結果、実施の形態1に係る表面異常検知装置11によれば、複雑な構造物の表面の異常箇所を特定することが可能な表面異常検知装置、及びシステムを提供することができる。また、表面異常検知装置11によれば、異常箇所、すなわち、補修すべき箇所を特定することができるので、迅速に補修することができる。
【0036】
尚、クラスタが細かく小さく分割(分類)されてクラスタの表面の複数の点の数が少ない場合も、異常箇所を正確に特定することは難しい。このため、結合手段112は、クラスタの表面の複数の点の数が所定数以下の小クラスタと、小クラスタに隣接する隣接クラスタと、を結合してクラスタグループCg11を作成してもよい。
【0037】
実施の形態1に係る表面異常検知装置の動作を説明する。
図7は、実施の形態1に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
【0038】
図7に示すように、表面異常検知装置11は、構造物の3次元点群データを取得する(ステップS101)。3次元構造を有する構造物の表面の複数の点の3次元座標における位置情報と該位置における反射輝度値を総称して3次元点群データと称する。複数の点を点群と称する。
【0039】
表面異常検知装置11は、3次元点群データの位置情報に基づいて構造物をクラスタに分類する(ステップS102)。
【0040】
クラスタの3次元点群データの位置情報に基づいて同一の構成要素に属するクラスタを対応付けし結合する(ステップS103)。図4に示す構造物の例では、クラスタC11aとクラスタC11bとは、構成要素E11に属する。よって、クラスタC11aとクラスタC11bとを結合し、クラスタグループCg11を作成する。
【0041】
表面異常検知装置11は、クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいてクラスタグループの反射輝度正常値を決定する(ステップS104)。
【0042】
表面異常検知装置11は、点群における反射輝度値の反射輝度正常値からの乖離が閾値を上回る場合(ステップS105:Yes)、その点群を構造物の異常箇所と決定する(ステップS106)。すなわち、表面異常検知装置11は、クラスタグループの表面の複数の点のうち、所定点における反射輝度値と、反射輝度正常値と、の差が閾値を上回る場合、該所定点を構造物の異常箇所と決定する。
【0043】
表面異常検知装置11は、点群における反射輝度値の反射輝度正常値からの乖離が閾値以下の場合(ステップS105:Nо)、その点群を構造物の正常箇所と決定する(ステップS107)。すなわち、表面異常検知装置11は、クラスタグループの表面の複数の点のうち、所定点における反射輝度値と、反射輝度正常値と、の差が閾値以下の場合、該所定点を構造物の正常箇所と決定する。
【0044】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2に係るレーザ入射角度を例示する図である。
【0045】
実施の形態2に係る表面異常検知装置21は、実施の形態1に係る表面異常検知装置11と比べて、クラスタグループ(構造物)の表面の各点におけるレーザ入射角度に応じて、反射輝度値を補正する点が異なる。
【0046】
構造物の表面の性質に応じて、レーザ反射光の反射輝度値の角度依存性が変化する。このため、構造物の表面が湾曲している場合、レーザ入射角度に応じて反射輝度値を補正することで、構造物の表面の異常箇所をより高精度に特定することができる。
【0047】
図8に示す点群PC21aは、点群PC21における3次元領域R21内の点群を拡大したものである。点群PC21として、円筒状の構成要素を例に挙げて説明する。
【0048】
図8に示すように、構造物のクラスタグループの表面の複数の点の1つである測距点P21におけるレーザ入射角度A21は、クラスタグループの測距点P21と観測点(表面異常検知装置21又は反射輝度測定装置12)とを結んだレーザ入射方向B21と、クラスタグループの測距点P21における垂線N21の方向と、に基づいて算出(推定)される。すなわち、レーザ入射角度A21は、レーザ入射方向B21と、垂線N21の方向と、の成す角として算出される。垂線N21の算出は、測距点P21の周囲の複数の測距点を利用して算出する。
【0049】
表面異常検知装置21は、測距点P21における反射輝度値を、レーザ入射角度A21に基づいて補正する。例えば、ランバード反射の場合、反射輝度の測定値Lと、レーザ入射角度A21と、補正値L1と、の間には、数式1のような関係がある。
L1∝(L/cos(A21)) (1)
従って、数式1に基づいて、各点の反射輝度値をレーザ入射角度A21に応じて補正する。
【0050】
反射輝度値の補正は、ランバード反射を仮定した反射率モデルを作成し、反射率モデルに基づいて行っても良い。また、反射輝度値の補正は、予め測定した反射率の特性に基づいて行っても良い。
【0051】
図9は、実施の形態2に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
【0052】
図9に示すように、表面異常検知装置21の動作は、表面異常検知装置11の動作(図7参照)と比べて、ステップS103とステップS104との間に、ステップS201からステップS202が設けられている点が異なる。ステップS101からステップS103の動作、及び、ステップS104からステップS107の動作は、表面異常検知装置11の動作と同じである。よって、ステップS201からステップS202の動作について説明する。
【0053】
ステップS103の後、表面異常検知装置21は、構造物のクラスタグループの表面の各点におけるレーザ入射方向と各点における垂線N21とに基づいてレーザ入射角度A21を推定する(ステップS201)。
【0054】
表面異常検知装置21は、推定したレーザ入射角度A21に基づいて各点(測距点)における反射輝度値を補正する(ステップS202)。反射輝度値の補正は、ランバート反射を仮定した反射率モデル、又は、予め測定した反射率の特性に基づいて行ってもよい。
【0055】
ステップS202の後、ステップS104からステップS107までは、実施の形態1と同様に行う。
【0056】
尚、この例では、ステップS201とステップS202は、ステップS103とステップS104との間に行われるものとして説明したが、これには限定されない。ステップS201とステップS202を、ステップS104よりも前に行うという要件を満たせば、処理の順序は問わない。
【0057】
このように、実施の形態2に係る表面異常検知装置21は、実施の形態1に係る表面異常検知装置11と比べて、特に湾曲する構造物に対して表面の異常箇所をより高精度に特定することができる。
【0058】
[実施の形態3]
図10は、実施の形態3に係るレーザ入射角度に基づいたクラスタグループのさらなる分類を例示する図である。
図10に示す点群PC31は、構造物の円筒状の構成要素の表面の点群である。
【0059】
実施の形態3に係る表面異常検知装置31は、実施の形態1に係る表面異常検知装置11と比べて、クラスタクラスタ内の点群を、さらに同一レーザ入射角度を有する点群に分離して異常箇所を特定する点が異なる。点群PC31として、円筒状の構成要素を例に挙げて説明する。
【0060】
図10に示すように、実施の形態3に係る表面異常検知装置31は、レーザ入射角度に基づいてクラスタグループをサブクラスタグループにさらに分類する。具体的には、サブクラスタグループSCg31及びサブクラスタグループSCg32のように、それぞれ同程度の入射角度を有するグループに分類する。
【0061】
表面異常検知装置31は、サブクラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいてサブクラスタグループの反射輝度正常値を決定する。
【0062】
表面異常検知装置31は、サブクラスタグループの反射輝度正常値と、サブクラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの反射輝度値と、の差に基づいてサブクラスタグループの表面の異常箇所を特定する。このようにして、表面異常検知装置31は、サブクラスタグループごとの反射輝度値に基づいてサブクラスタグループの表面の異常箇所を特定する。
【0063】
実施の形態3に係る表面異常検知装置31の動作を説明する。
図11は、実施の形態3に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
【0064】
図11に示すように、ステップS101からステップS103までは実施の形態1と同様に行う。ステップS103の後、ステップS201は実施の形態2と同様に行う。
【0065】
ステップS201の後、表面異常検知装置31は、レーザ入射角度に基づいてクラスタグループをサブクラスタグループにさらに分類する(ステップS301)。表面異常検知装置31は、レーザ入射角度の所定の角度範囲毎に、クラスタグループをサブクラスタグループにさらに分類する。
【0066】
サブクラスタグループへの分類は、レーザ入射角度に対して固定幅で分類してもよい。
【0067】
表面異常検知装置31は、サブクラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいてサブクラスタグループの反射輝度正常値を決定する(ステップS302)。すなわち、表面異常検知装置31は、同一クラスタグループ、且つ、同一レーザ入射角度と分類された点群であるサブクラスタグループにおける反射輝度の正常値を、サブクラスタグループの反射輝度分布に基づいて決定する。
【0068】
ステップS302の後、ステップS105からステップS107までは、実施の形態1と同様に行う。
【0069】
このようにして、表面異常検知装置31は、サブクラスタグループの反射輝度正常値と、サブクラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの反射輝度値と、差に基づいてサブクラスタグループの表面の異常箇所を特定する。
【0070】
尚、この例では、ステップS201は、ステップS103とステップS301の間に行われるものとして説明したが、これには限定されない。ステップS201をステップS301よりも前に行うという要件を満たせば、処理の順序は問わない。
【0071】
このように、実施の形態3に係る表面異常検知装置31は、実施の形態1に係る表面異常検知装置11と比べて、特に湾曲する構造物に対して表面の異常箇所をより高精度に特定することができる。
【0072】
[実施の形態4]
図12は、補完点が無い場合のクラスタグループを例示する模式図である。
図13は、補完点が有る場合のクラスタグループを例示する模式図である。
【0073】
図12に示すように、構造物を複数のクラスタ、例えば、クラスタC11aとクラスタC11bとに分類した場合、クラスタC11aやクラスタC11b単体では、レーザ入射角度の推定値の誤差が大きくなる。特に、クラスタC11aの一端部C11a1やクラスタC11bの一端部C11b1では、周囲の点数が不足するので測距点における垂線に誤差が生じる。尚、クラスタC11aを第1クラスタと称し、クラスタC11bを第2クラスタと称することもある。
【0074】
レーザ入射角度は、クラスタグループの測距点におけるレーザ入射方向と、クラスタグループの測距点における垂線の方向と、に基づいて推定される。よって、垂線に誤差が生じることにより、レーザ入射角度にも誤差が生じる。クラスタグループの測距点における反射輝度値はレーザ入射角度に基づいて補正されるので、レーザ入射角度を正確に推定するために垂線を正確に推定する必要がある。
【0075】
そこで、実施の形態4に係る表面異常検知装置41は、図13に示すように、クラスタ間(クラスタC11aとクラスタC11bとの間)において補完点を生成し、各補完点を使用して正確にレーザ入射角度を推定する。
【0076】
具体的には、表面異常検知装置41は、補完手段(図示せず)をさらに備える。補完手段は、クラスタグループのうちの1つのクラスタであるクラスタC11aと、クラスタC11aに最も近いクラスタC11bと、の間を補完する複数の補完点を算出する。補完手段は、表面に複数の補完点を有する補完クラスタC11cを作成する。すなわち、補完手段は、一端部C11a1と一端部C11b1とを結合するようにして補完クラスタC11cを作成する。表面異常検知装置41は、クラスタグループCg11と補完クラスタC11cとを結合して補完クラスタグループCgc11を作成する。
【0077】
ここで、補完点における垂線の方向は、補完点の周囲の複数の測距点における垂線の方向に基づいて推定される。すなわち、垂線は、周囲の点群との位置関係から算出し推定される。表面異常検知装置41は、クラスタグループCg11の代わりに補完クラスタグループCgc11を使用して構造物の異常箇所を特定する。
【0078】
実施の形態4によれば、クラスタC11aの一端部C11a1において、補完点が加わることで周囲の点数が増加する。これにより、測距点における垂線が正確に推定され、入射角度も正確に推定される。クラスタグループの測距点における反射輝度値は、正確なレーザ入射角度によって正確に補正される。
【0079】
また、図13に示すように、クラスタC11aのクラスタC11bに近い方の一端部C11a1の測距点P11における垂線Np11の方向は、測距点P11に最も近い補完点Q11における垂線Nq11の方向と同じ方向としてもよい。また、クラスタC11bのクラスタC11aに近い方の一端部C11b1の測距点P12における垂線Np12の方向は、測距点P12に最も近い補完点Q12における垂線Nq12の方向と同じ方向としてもよい。尚、測距点P11を第1測距点と称し、測距点P12を第2測距点と称することもある。
【0080】
また、補完点Q11における垂線Nq11の方向は、補完点Q11の周囲の複数の測距点における垂線の方向を平均して推定されてもよい。同様に、補完点Q12における垂線Nq12の方向は、補完点Q12の周囲の複数の測距点における垂線の方向を平均して推定されてもよい。
【0081】
図14は、実施の形態4に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
【0082】
図14に示すように、実施の形態4に係る表面異常検知装置41の動作は、実施の形態2に係る表面異常検知装置21の動作(図9参照)と比べて、ステップS103とステップS201との間に、ステップS401が設けられている点が異なる。
【0083】
図14に示すように、ステップS101からステップS103までは実施の形態1と同様に行う。
【0084】
ステップS103の後、表面異常検知装置41は、クラスタC11aとクラスタC11aに最も近いクラスタC11bとの間(クラスタ間)を補完する複数の補完点を算出する(ステップS401)。
【0085】
ステップS401の後、ステップS201からステップS107までは、実施の形態1及び実施の形態2と同様に行う。
【0086】
[実施の形態4の変形例]
図15は、実施の形態4に変形例に係る表面異常検知装置の動作を例示するフローチャートである。
【0087】
図15に示すように、実施の形態4の変形例に係る表面異常検知装置41の動作は、実施の形態3に係る表面異常検知装置31の動作(図11参照)と比べて、ステップS103とステップS201との間に、ステップS401が設けられている点が異なる。
【0088】
図15に示すように、ステップS101からステップS103までは実施の形態1と同様に行う。
【0089】
ステップS401は実施の形態4と同様に行う。
【0090】
ステップS401の後、ステップS201からステップS107までは、実施の形態1及び実施の形態3と同様に行う。
【0091】
このように、実施の形態4に係る表面異常検知装置41は、クラスタ間を補完するので、他の実施の形態に係る表面異常検知装置と比べて、構造物に対して表面の異常箇所をより高精度に特定することができる。
【0092】
尚、上記の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0093】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0094】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0095】
尚、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0096】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類する分類手段と、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成する結合手段と、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定する決定手段と、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定する特定手段と、
を備える表面異常検知装置。
(付記2)
前記特定手段は、前記クラスタグループの表面の複数の点のうち、前記反射輝度値と前記反射輝度正常値との差が閾値を上回る所定の点を前記異常箇所として特定する、
付記1に記載の表面異常検知装置。
(付記3)
前記結合手段は、前記クラスタグループが前記構造物を構成する構成要素に含まれる場合、前記クラスタを結合する、
付記1又は2に記載の表面異常検知装置。
(付記4)
前記結合手段は、前記クラスタの表面の複数の点の数が所定数以下の小クラスタと、前記小クラスタに隣接する隣接クラスタと、を結合して前記クラスタグループを作成する、
付記1又は2に記載の表面異常検知装置。
(付記5)
前記決定手段は、前記クラスタグループの前記反射輝度値の分布のうち、頻度が最大の前記反射輝度値を前記反射輝度正常値として決定する、
付記1から4のいずれか1つに記載の表面異常検知装置。
(付記6)
前記決定手段は、
前記クラスタグループの前記反射輝度値の分布のうち、分散が最小である最小分散クラスタを特定し、
前記最小分散クラスタの前記反射輝度値の分布のうち、頻度が最大の前記反射輝度値を前記反射輝度正常値として決定する、
付記1から4のいずれか1つに記載の表面異常検知装置。
(付記7)
前記クラスタグループの表面の複数の点の1つである測距点におけるレーザ入射角度は、前記クラスタグループの前記測距点と自装置とを結んだ方向と、前記クラスタグループの前記測距点における垂線の方向と、に基づいて算出され、
前記クラスタグループの前記測距点における前記反射輝度値は、前記レーザ入射角度に基づいて補正される、
付記1から6のいずれか1つに記載の表面異常検知装置。
(付記8)
前記クラスタグループの表面の複数の点の1つである測距点におけるレーザ入射角度は、前記クラスタグループの前記測距点と自装置とを結んだ方向と、前記クラスタグループの前記測距点における垂線の方向と、に基づいて算出され、
前記分類手段は、前記レーザ入射角度に基づいて前記クラスタグループをサブクラスタグループにさらに分類し、
前記決定手段は、前記サブクラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記サブクラスタグループの反射輝度正常値を決定し、
前記特定手段は、前記サブクラスタグループの反射輝度正常値と、前記サブクラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの反射輝度値と、の差に基づいて前記サブクラスタグループの表面の異常箇所を特定する、
付記1から7のいずれか1つに記載の表面異常検知装置。
(付記9)
前記クラスタグループのうちの1つの前記クラスタである第1クラスタと、前記第1クラスタに最も近い第2クラスタと、の間を補完する複数の補完点を算出し、表面に前記複数の補完点を有する補完クラスタを作成する補完手段をさらに備え、
前記結合手段は、前記クラスタグループと前記補完クラスタとを結合して補完クラスタグループを作成し、
前記補完点における垂線の方向は、前記補完点の周囲の複数の前記測距点における垂線の方向に基づいて推定され、
前記クラスタグループの代わりに前記補完クラスタグループが使用されて前記構造物の前記異常箇所が特定される、
付記7又は8に記載の表面異常検知装置。
(付記10)
前記第1クラスタの前記第2クラスタに近い方の一端部の第1測距点における垂線の方向は、前記第1測距点に最も近い前記補完点における垂線の方向と同じ方向とし、
前記第2クラスタの前記第1クラスタに近い方の一端部の第2測距点における垂線の方向は、前記第2測距点に最も近い前記補完点における垂線の方向と同じ方向とする、
付記9に記載の表面異常検知装置。
(付記11)
前記補完点における垂線の方向は、前記補完点の周囲の複数の前記測距点における垂線の方向を平均して推定される、
付記9又は10に記載の表面異常検知装置。
(付記12)
前記クラスタグループの表面の複数の点における前記反射輝度値を取得する測定装置と、
付記1から11のいずれか1つに記載の表面異常検知装置と、を備え、
前記表面異常検知装置は、前記クラスタグループの表面の前記異常箇所を特定する、
システム。
(付記13)
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類することと、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成することと、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定することと、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定することと、
を備える方法。
(付記14)
構造物の表面の複数の点の位置情報に基づいて前記構造物を複数のクラスタに分類することと、
前記クラスタのうち2つ以上を結合してクラスタグループを作成することと、
前記クラスタグループの表面の複数の点における反射輝度値の分布に基づいて前記クラスタグループの反射輝度正常値を決定することと、
前記反射輝度正常値と前記クラスタグループの表面の複数の点のそれぞれの前記反射輝度値との差に基づいて前記クラスタグループの表面の異常箇所を特定することと、
をコンピュータに実行させるプログラムが格納される非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0097】
10:システム
11、21、31、41: 表面異常検知装置
111:分類手段
112:結合手段
113:決定手段
114:特定手段
12:反射輝度測定装置
E11、F11:構成要素
C11a、C11b:クラスタ
C11a1、C11b1:一端部
C11c:補完クラスタ
Cg11:クラスタグループ
Cgc11:補完クラスタグループ
SCg31、SCg32:サブクラスタグループ
PC21、PC21a、PC31:点群
R21:3次元領域
P11、P12、P21:測距点
A21:レーザ入射角度
B21:レーザ入射方向
Np11、Nq11、N21:垂線
L:測定値
L1:補正値
B、C、D:部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15