(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240305BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240305BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B21/00 U
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2021562444
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2020016316
(87)【国際公開番号】W WO2021111654
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/046991
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大輝
(72)【発明者】
【氏名】若草 龍司
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-062414(JP,A)
【文献】特開2011-154618(JP,A)
【文献】特開2007-261722(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107673152(CN,A)
【文献】国際公開第2009/090724(WO,A1)
【文献】特開2010-113494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q50/22
G08B19/00-31/00
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手段を撮影した撮影画像を取得する取得手段と、
前記撮影画像に基づき、前記移動手段内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する画像解析手段と、
前記比較対象人数に対する前記第1の基準を満たす人の人数の比率を算出する算出手段と、
前記比率が
基準値以下という条件を満たす場合、警告情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記出力手段は
、
現在時刻又は前記移動手段の現在位置に基づき、前記基準値を決定する処理装置。
【請求項2】
前記第1の基準は、前記移動手段内の人の外観の特徴に基づき定められる請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記比較対象人数は、前記移動手段の乗客人数、前記移動手段内に存在する人の人数、又は、前記移動手段内の人のうち属性が第2の基準を満たす人の人数であり、
前記第2の基準は、前記移動手段内の人の外観の特徴に基づき定められる請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記第1の基準を満たす人の人数が警告条件を満たす場合、警告情報を出力する請求項1から3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記移動手段を管理する管理センターの装置、及び、警察の装置の少なくとも一方である外部装置に前記警告情報を送信する請求項1から4のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記移動手段内に存在する人に向けて情報を提供する出力装置に対し前記警告情報を出力する請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記警告情報は、前記移動手段を識別する情報、前記移動手段の位置を示す情報、前記第1の基準を満たす人の人数、前記比較対象人数及び前記比率の中の少なくとも1つを含む請求項1から6のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記画像解析手段は、前記撮影画像に基づき、前記移動手段の運転手と乗客との関係、前記移動手段の複数の乗客の互いの関係、前記第1の基準を満たす人が1人で前記移動手段に乗っているか否か、及び、ブラックリストに載っている人物が前記移動手段内に存在するか否かの少なくとも1つを推定し、
前記出力手段は、前記推定の結果が所定の条件を満たす場合、前記推定の結果が前記所定の条件を満たす旨を前記警告情報に含める請求項1から7のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
移動手段を撮影した撮影画像を取得し、
前記撮影画像に基づき、前記移動手段内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出し、
前記比較対象人数に対する前記第1の基準を満たす人の人数の比率を算出し、
前記比率が
基準値以下という条件を満たす場合、警告情報を出力し
、
現在時刻又は前記移動手段の現在位置に基づき、前記基準値を決定する処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
移動手段を撮影した撮影画像を取得する取得手段、
前記撮影画像に基づき、前記移動手段内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する画像解析手段、
前記比較対象人数に対する前記第1の基準を満たす人の人数の比率を算出する算出手段、
前記比率が
基準値以下という条件を満たす場合、警告情報を出力する出力手段、
として機能させ、
前記出力手段は
、
現在時刻又は前記移動手段の現在位置に基づき、前記基準値を決定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベータ内の状況が「女性1人+男性」のように所定条件を満たした場合、エレベータから降りた女性が他の利用者から追尾されることを防止するための防犯運転モードに切り替えるエレベータ制御装置を開示している。防犯運転モードでは、エレベータ制御装置は、利用者各々に行先階を入力させる。そして、女性及び他の利用者が入力した行先階に到着した際、エレベータ制御装置は、まず、アナウンスで女性のみが降りることを促し、女性が降りたことを確認すると一度扉を閉じ、その後、他の利用者を降ろすために扉を再度開くように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術は、エレベータから降りた後の犯罪行為を抑制するための技術であり、エレベータの中での犯罪行為を抑制するものではない。本発明は、バス、電車、タクシー等の移動手段の中での犯罪行為を抑制する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
移動手段を撮影した撮影画像を取得する取得手段と、
前記撮影画像に基づき、前記移動手段内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する画像解析手段と、
前記比較対象人数に対する前記第1の基準を満たす人の人数の比率を算出する算出手段と、
前記比率が基準値以下という条件を満たす場合、警告情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記出力手段は、
現在時刻又は前記移動手段の現在位置に基づき、前記基準値を決定する処理装置が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
移動手段を撮影した撮影画像を取得し、
前記撮影画像に基づき、前記移動手段内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出し、
前記比較対象人数に対する前記第1の基準を満たす人の人数の比率を算出し、
前記比率が基準値以下という条件を満たす場合、警告情報を出力し、
現在時刻又は前記移動手段の現在位置に基づき、前記基準値を決定する処理方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
移動手段を撮影した撮影画像を取得する取得手段、
前記撮影画像に基づき、前記移動手段内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する画像解析手段、
前記比較対象人数に対する前記第1の基準を満たす人の人数の比率を算出する算出手段、
前記比率が基準値以下という条件を満たす場合、警告情報を出力する出力手段、
として機能させ、
前記出力手段は、
現在時刻又は前記移動手段の現在位置に基づき、前記基準値を決定するプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バス、電車、タクシー等の移動手段の中での犯罪行為を抑制する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、および、その他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、および、それに付随する以下の図面によって、さらに明らかになる。
【0010】
【
図1】本実施形態の処理装置の概要を説明するための図である。
【
図2】本実施形態の処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の処理装置の機能ブロック図の一例である。
【
図4】本実施形態の処理装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図5】本実施形態の処理装置が処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態の外部装置が出力する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本実施形態の外部装置が出力する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図8】本実施形態の処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態の処理装置の概要を説明するための図である。
【
図10】本実施形態の処理装置の概要を説明するための図である。
【
図11】本実施形態の処理装置の概要を説明するための図である。
【
図12】本実施形態の処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
まず、
図1を用いて、本実施形態の処理装置10の概要を説明する。処理装置10は、移動手段100に搭載される。移動手段100は、人を収容して移動する機能を有する。このような移動手段100としては、例えばバス、電車、タクシー、船、飛行機等が例示されるが、これらに限定されない。移動手段100が移動している間、移動手段100に収容された人はその内部に閉じ込められた状態となり、その外部に逃げることが困難になる。このような移動手段100の内部において、移動手段内に存在する人物の属性の偏りによって、犯罪行為が起きやすくなる可能性がある。特に、犯罪行為のターゲットとなり得る属性の人たちの割合が小さい移動手段100内において、犯罪行為が起きやすい。
【0012】
そこで、処理装置10は、移動手段100を撮影した撮影画像を取得すると、撮影画像に基づき、移動手段100内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する。第1の基準を満たす人は、犯罪行為の被害者となり得る人である。比較対象人数は、第1の基準を満たす人の人数と比較される人数であり、例えば、移動手段100の乗客人数、移動手段100内に存在する人(乗客及び運転手等を含む)の人数が例示される。
【0013】
そして、処理装置10は、比較対象人数に対する第1の基準を満たす人の人数の比率が警告条件を満たす場合、警告情報を外部装置30に送信する。外部装置30は、処理装置10から受信する警告情報に基づき、各移動手段100の状況を管理することができる。なお、処理装置10と外部装置30とは、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して互いに通信することができる。
【0014】
次に、処理装置10の構成を詳細に説明する。まず、処理装置10のハードウエア構成の一例を説明する。
【0015】
処理装置10の各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0016】
図2は、処理装置10のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、処理装置10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。処理装置10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、処理装置10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。処理装置10が物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0017】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサー、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0018】
図3に、処理装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、処理装置10は、取得部11と、画像解析部12と、算出部13と、出力部14とを有する。
【0019】
取得部11は、移動手段100を撮影した撮影画像を取得する。撮影画像は、移動手段100の内部を撮影した画像であってもよいし、移動手段100の出入口付近を撮影した画像であってもよいし、その他であってもよい。
【0020】
例えば、移動手段100に設置されたカメラがこのような撮影画像を生成してもよい。移動手段100に設置されたカメラは、常時動画像の撮影を行ってもよいし、所定のタイミングで静止画像または一定時間分の動画像の撮影を行ってもよい。所定のタイミングは、例えば、移動手段100のドアが開いたタイミングや、移動手段100が停止したタイミング等、移動手段100内の人の状況が変化し得るタイミングが挙げられるが、これらに限定されない。カメラは、例えば移動手段100に搭載されたECU(Electronic Control Unit)から、移動手段100のドアが開いたことや移動手段100が停止したこと等の通知を受けてもよいし、その他の手段で検出してもよい。その他、道路等に設置されたカメラ(監視カメラ等)が移動手段100を撮影した撮影画像を生成してもよい。取得部11は、有線及び/又は無線での任意の通信手段で上述のようなカメラと通信し、当該カメラが生成した撮影画像を取得する。
【0021】
画像解析部12は、取得部11により取得された撮影画像に基づき、移動手段100内の人のうち属性が第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する。
【0022】
第1の基準を満たす人は、例えば、犯罪行為の被害者となり得る人である。第1の基準は、性別、年齢、顔の特徴、身長、所持品、服装、状況など、画像から抽出される属性の少なくとも1つに基づき定められる。第1の基準を満たす人は犯罪の被害者となり得る人であればよいため、地域における犯罪状況に応じて設定可能である。例えば、「女性」が犯罪の被害者となることが多い地域では、第1の基準として「女性」としてもよい。また例えば、「男性」が犯罪の被害者となることが多い地域では、第1の基準として「男性」としてもよい。
【0023】
また、他の例としては、「子供(例えば、推定年齢がX才以下等)」、「老人(例えば、推定年齢がY才以上等)」、「女の子(例えば、推定年齢がX才以下の女性等)」「男の子(例えば、推定年齢がX才以下の男性等」、「観光客(例えば、スーツケースを所持した人物等)」、「単独行動(所定距離以内に人がいない等)」等が例示される。
【0024】
比較対象人数は、第1の基準を満たす人の人数と比較される人数であり、例えば、移動手段100の乗客人数、移動手段100内に存在する人(乗客及び運転手等を含む)の人数、又は、移動手段100内の人のうち属性が第2の基準を満たす人の人数である。第2の基準を満たす人は、第1の基準を満たす人以外、すなわち犯罪行為の被害者となりえる人を除いた人であってもよい。
【0025】
また、地域における犯罪状況に応じて、所定の属性を満たす人物を第2の基準を満たす人の人数としてもよい。例えば、女性の犯罪が多い地域であれば第2の基準として「女性」としてもよいし、男性の犯罪が多い地域であれば第2の基準として「男性」としてもよいし、子供の犯罪が多い地域では、人(例えば、推定年齢がZ才以下の人等)であってもよい。
【0026】
また、第2の基準は、危険性を有する物体を所持する人(例えば、長い金属棒を所持する等)や、顔を遮蔽している人(例えば、覆面等をかぶっている人等)であってもよい。
【0027】
また、上記に限られず、犯罪行為の加害者となる特徴を有するその他特徴を第2の基準としてもよい。
【0028】
第2の基準は、性別、年齢、顔の特徴、身長、所持品、服装、状況など、画像から抽出される属性の少なくとも1つに基づき定められる。
【0029】
ここで、画像解析部12が、第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する処理の一例を説明する。
【0030】
例えば、画像解析部12は、移動手段100の内部を撮影した撮影画像の中から人物を抽出すると、画像における各人物の外観の特徴(顔の特徴、身長、服装等)に基づき属性を推定する。そして、推定結果に基づき、画像解析部12は、撮影画像に含まれる第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出する。なお、画像における外観の特徴から属性を推定する手段としては、あらゆる技術を採用することができる。
【0031】
なお、1台のカメラで移動手段100の内部全体を撮影する場合、画像解析部12は、そのカメラが生成した撮影画像の解析結果に基づき、移動手段100内における第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出することができる。一方、複数台のカメラで移動手段100の内部全体を撮影する場合、画像解析部12は、各カメラが生成した撮影画像の解析結果を統合して、移動手段100内における第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出することができる。例えば、各カメラが生成した撮影画像に含まれる第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を足し合わせることで、移動手段100内における第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を算出することができる。なお、この場合、各人物の外観の特徴に基づき、複数台のカメラが生成した複数の撮影画像に重複して現れる人物を特定し、その分を上記足し合わせた値から差し引くことで、同一人物を重複してカウントする不都合を抑制できる。
【0032】
一方、移動手段100の出入口付近を撮影した撮影画像を処理する場合は、例えば次のような処理が例示される。まず、画像解析部12は、移動手段100の出入口付近を撮影した撮影画像の中から人物を抽出すると、画像における各人物の外観の特徴(顔の特徴、身長、服装等)に基づき属性を推定することができる。これにより、画像解析部12は、移動手段100に乗り込む人各々の属性、及び、移動手段100から降りる人各々の属性を推定することができる。そして、画像解析部12は、推定結果に基づき、第1の基準を満たす人の人数、及び、比較対象人数を管理することができる。
【0033】
例えば、画像解析部12は、
図4に示すような情報を管理しておく。
図4に示す情報は、現時点における移動手段100内の第1の基準を満たす人の人数及び乗客人数(比較対象人数の一例)を示す。そして、画像解析部12は、上記撮影画像の解析結果に基づき、当該情報を更新する。具体的には、画像解析部12は、移動手段100に乗り込む第1の基準を満たす人を検出すると、
図4に示す情報の第1の基準を満たす人の人数及び乗客人数を1カウントアップする。また、画像解析部12は、移動手段100から降りる第1の基準を満たす人を検出すると、
図4に示す情報の第1の基準を満たす人の人数及び乗客人数を1カウントダウンする。また、画像解析部12は、移動手段100に乗り込む第1の基準を満たす人以外の乗客を検出すると、
図4に示す情報の乗客人数のみを1カウントアップする。また、画像解析部12は、移動手段100から降りる第1の基準を満たす人以外の乗客を検出すると、
図4に示す情報の乗客人数のみを1カウントダウンする。
【0034】
図3に戻り、算出部13は、比較対象人数に対する第1の基準を満たす人の人数の比率を算出する。例えば、
図4の例の場合、算出部13は、「0.2」を算出する。
【0035】
出力部14は、算出部13により算出された比率が警告条件を満たす場合、警告情報を出力する。警告条件は、比率が基準値以下である。基準値は、予め定められた値であり、処理装置10の記憶装置に記憶されている。
【0036】
なお、基準値は、時間帯ごとやエリアごと等のように、状況毎に定められてもよい。例えば、夜間(20時以降等)等、犯罪行為が起きやすい時間帯の基準値は、その他の時間帯の基準値よりも大きくてもよい。また、犯罪が起きやすいエリアに移動手段100が存在する時の基準値は、その他のエリアに移動手段100が存在するときの基準値よりも大きくてもよい。そして、出力部14は、比率が警告条件を満たすか判断する時に、その時の状況を特定するための材料情報(時刻や移動手段100の現在位置等)を取得し、当該材料情報で特定される状況に対応する基準値に基づき、比率が警告条件を満たすか判断してもよい。
【0037】
出力部14は、警告情報を外部装置30に送信する。外部装置30は、複数の移動手段100を管理する管理センターの装置、及び、警察の装置の少なくとも一方である。
【0038】
警告情報は、移動手段100を識別する情報、移動手段100の位置を示す情報、第1の基準を満たす人の人数、比較対象人数及び比率の中の少なくとも1つを含む。なお、移動手段100の位置を示す情報は、警告情報とは別に、定期的に、処理装置10から外部装置30に通知されていてもよい。処理装置10が移動手段100の位置情報を取得する手段としては、移動手段100に設けられたGPS(global positioning system)を利用する手段や、移動手段100に設けられたカメラによって生成された外の風景を含む画像より推測する手段や、道路等に設置されたカメラが生成した撮影画像を取得して上記解析を行う場合にはそのカメラの設置位置から推測する手段等が例示されるが、これらに限定されない。
【0039】
外部装置30は、複数の移動手段100各々に搭載された処理装置10各々から受信した各種情報に基づき、各移動手段100の状況を管理することができる。
図5に、外部装置30が管理する情報の一例を模式的に示す。図示する情報では、移動手段識別情報、警告有無状態、警告詳細、位置情報、運転手情報が互いに紐づけられている。なお、その他の情報がさらに紐づけて管理されてもよい。
【0040】
移動手段識別情報は、複数の移動手段100を互いに識別するための情報である。
【0041】
警告有無状態は、警告条件を満たす状態か否かを示す情報である。
【0042】
警告詳細は、受信した警告情報が示す警告内容の詳細(第1の基準を満たす人の人数、比較対象人数、比率等)を示す情報である。なお、詳細は以下の実施形態で説明するが、処理装置10の画像解析部12は、撮影画像に基づき、犯罪行為が起きる可能性があるその他の状況(互いに知り合いである集団が移動手段100内に存在、ブラックリストに載っている人物が移動手段100内に存在等)を検出することができる。この場合、出力部14が出力する警告情報に、検出されたその他の状況を示す情報が含まれてもよい。
図5の例では、警告詳細の中に、検出されたその他の状況(集団が存在)が示されている。
【0043】
位置情報は、各移動手段100の現在位置を示す情報である。例えば、緯度、経度情報等で表すことができる。
【0044】
運転手情報は、各移動手段100の運転手に関する情報である。予め、各運転手に関する情報(氏名、年齢、経験年数等)を含むデータベースが生成される。任意の手段で各移動手段100の運転手を示す情報が外部装置30に入力されると、外部装置30は上記データベースの中からその運転手に関する情報を取り出し、
図5に示すように、各移動手段100の状況を示す情報に登録する。
【0045】
外部装置30は、
図5に示すような情報を、ディスプレイ、投影装置、プリンター、メーラ等の出力装置を介し、ユーザに向けて出力する手段を有してもよい。例えば、外部装置30は、
図5に示すような複数の移動手段100各々の状況を示す情報を出力してもよい。
【0046】
その他、外部装置30は、
図6に示すように、警告条件を満たす状態である移動手段100の状況を示す情報を一覧表示してもよい。図示するように、当該一覧では、上述した警告詳細、位置情報、運転手情報等が表示されてもよい。なお、位置情報は、ユーザが把握しやすいようにするため、緯度、経度情報でなく、「〇〇地区」等のように地名に変換して表示してもよい。
【0047】
また、外部装置30は、警告詳細、位置情報、運転手情報等に基づき表示優先度を算出し、表示優先度の高い方から順に一覧表示してもよい。例えば、予め指定された危険地区に存在する移動手段100の表示優先度を高くしたり、比較対象人数に対する第1の基準を満たす人の人数の比率がより低い移動手段100の表示優先度を高くしたり、第1の基準を満たす人の人数が1以上の移動手段100の中の当該人数がより少ない移動手段100の表示優先度を高くしたり、運転手の経験年数がより少ない移動手段100の表示優先度を高くしたり、予め作成されたブラックリストに乗っている運転手が運転する移動手段100の表示優先度を高くしたり、犯罪行為が起きる可能性があるその他の状況が検出されている移動手段100の表示優先度を高くしたりすることが例示される。
【0048】
その他の例として、外部装置30は、
図7に示すようにマップ上に移動手段100の位置及び警告状況をマッピングした情報を、出力装置を介して出力してもよい。図では、マップ上に表示した丸マークで、各移動手段100の位置を示している。そして、各丸マークに紐づけて、各移動手段100を識別する情報(「M1176」等)、及び、警告有無状態が示されている。そして、警告条件を満たす状態の移動手段100を強調表示している。なお、外部装置30は、当該画面上で1つの移動手段100を特定する入力を受け付けると、その移動手段100に対応する警告詳細や運転手情報を画面に表示してもよい。
【0049】
次に、
図8のフローチャートを用いて、処理装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0050】
取得部11が新たな撮影画像を取得すると、
図8のフローが実行される。まず、画像解析部12は、新たに取得された撮影画像を解析し、撮影画像内における第1の基準を満たす人の人数、及び、乗客の人数(比較対象人数の一例)を算出する(S11)。そして、画像解析部12は、S11の算出結果に基づき、移動手段100内における第1の基準を満たす人の人数及び乗客の人数を算出する(S12)。
【0051】
次いで、算出部13は、S12の算出結果に基づき、乗客の人数に対する第1の基準を満たす人の人数の比率(第1の基準を満たす人の割合)を算出する(S13)。
【0052】
そして、S13で算出された比率が警告条件(基準値以下)を満たす場合(S14のYes)、出力部14は、その旨を示す警告情報を外部装置30に送信する(S15)。警告情報は、移動手段100を識別する情報、移動手段100の位置を示す情報、第1の基準を満たす人の人数、乗客の人数及びS13で算出された比率の中の少なくとも1つを含むことができる。
【0053】
なお、S13で算出された比率が警告条件(基準値以下)を満たさない場合(S14のNo)、
図8のフローではそのまま処理を終了しているが、変形例として、出力部14は、その旨を示す情報を外部装置30に送信してもよい。当該情報を受信することにより、外部装置30は、移動手段100の上記比率が、警告条件を満たす状態から満たさない状態に変化したこと等を把握することが可能となる。そして、外部装置30は、例えば
図5の警告有無状態を、警告有の状態から警告無の状態に更新したりできる。
【0054】
以上説明した本実施形態の処理装置10によれば、移動手段100を撮影した撮影画像を解析することで、移動手段100内で犯罪行為が起き得る状況となっているか否かを判断することができる。そして、処理装置10は、犯罪行為が起き得る状況となっていると判断した場合には、その旨を示す警告情報を外部装置30に送信することができる。
【0055】
このように犯罪行為が起き得る状況となっている移動手段100を早期に検出し、その旨を外部装置30に通知する処理装置10を移動手段100に搭載することで、警察や管理者は、犯罪行為が起き得る状況となっている移動手段100を早期に認識することが可能となる。そして、犯罪行為が起き得る状況となっている移動手段100に対して、犯罪を未然に防止したり、被害拡大を抑制したりする何らかの対応をとることが可能となる。結果、処理装置10が搭載され、このような対応がなされる移動手段100の中で犯罪行為を行う人の数の減少が期待される。すなわち、処理装置10を移動手段100に搭載することが犯罪抑制につながる。
【0056】
また、処理装置10は、移動手段100内における「比較対象人数に対する第1の基準を満たす人の人数の比率」を算出し、その比率に基づき、移動手段100内で犯罪行為が起き得る状況となっているか否かを判断することができる。このように上記比率に基づき上記判断を行う処理装置10によれば、比較的簡単な処理で、かつ、精度よく、犯罪行為が起き得る状況となっている移動手段100を検出することができる。
【0057】
また、処理装置10は、属性に基づき、第1の基準を定義することができるので、様々な属性の人を被害者候補の対象として、上記比率の算出、及び、犯罪行為が起き得る状況の検出を行うことができる。
【0058】
また、移動手段100に搭載された処理装置10が撮影画像を解析し、犯罪行為が起き得る状況の検出を行うので、サーバシステム等がこれらの処理を行う場合に比べて、移動手段100に搭載された装置と、他の装置との間で通信される情報量を減らすことができる。結果、通信トラブルの発生などを抑制することができる。
【0059】
<第2の実施形態>
図9に示すように、本実施形態の処理装置10は移動手段100の外部に設けられる。例えば、複数の移動手段100を管理する管理センター等に処理装置10が設置されてもよい。本実施形態では、移動手段100に車載装置40が搭載される。車載装置40は、移動手段100に設置されたカメラ、又は、道路等に設置されたカメラ(監視カメラ等)から、移動手段100を撮影した撮影画像を取得し、処理装置10に送信する。なお、処理装置10と車載装置40とは、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して互いに通信することができる。処理装置10は、車載装置40から受信した撮影画像に基づき、第1の実施形態と同様の処理を行う。処理装置10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0060】
本実施形態の処理装置10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、画像解析等の各種処理を行う処理装置10を移動手段100に搭載せず、管理センター等に設置するので、処理装置10の盗難や破損等の不都合を抑制できる。
【0061】
<第3の実施形態>
図10に示すように、本実施形態では、移動手段100内に存在する人(運転手、乗客等)に向けて情報を提供する出力装置20が移動手段100に設けられる。そして、処理装置10の出力部14は、上述した比率が警告条件を満たす場合、警告情報を移動手段100内に存在する人に向けて出力する出力装置20に出力する。
【0062】
出力装置20は、例えばディスプレイ、投影装置、スピーカ、警告ランプ等である。その他、出力装置20は、近距離無線通信で周辺の端末装置(例:スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、スマートウォッチ、携帯ゲーム機等)に情報を一斉送信する機能を備えてもよい。
【0063】
なお、
図10では外部装置30が示されていないが、第1の実施形態同様、処理装置10は外部装置30と繋がり、外部装置30に向けて警告情報を送信してもよい。処理装置10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0064】
本実施形態の処理装置10によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、処理装置10は、移動手段100内に存在する人に向けて警告情報を提供することができる。このため、移動手段100内に存在する人が、移動手段100内で犯罪行為が起き得る状況となっていることを早期に認識することができる。そして、犯罪行為のターゲットとなり得る人は、次の駅や停留所で移動手段100から降りる等の対策を行うことができる。また、犯罪行為を行おうとしていた人がその警告情報に基づき警戒されていることを認識し、犯罪行為をやめる等の抑止効果が期待される。
【0065】
<第4の実施形態>
図11に示すように、第2の実施形態同様、本実施形態の処理装置10は移動手段100の外部に設けられる。そして、第3の実施形態同様、本実施形態では、移動手段100内に存在する人(運転手、乗客等)に向けて情報を提供する出力装置20が移動手段100に設けられる。なお、
図11では外部装置30が示されていないが、第2の実施形態同様、処理装置10は外部装置30と繋がり、外部装置30に向けて警告情報を送信してもよい。処理装置10のその他の構成は、第2及び第3の実施形態と同様である。
【0066】
本実施形態の処理装置10によれば、第2及び第3の実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0067】
<第5の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、取得部11が取得した撮影画像に基づき、犯罪行為が起きる可能性があるその他の状況を検出し、検出されたその他の状況をさらに示す警告情報を出力する機能を有する。
【0068】
画像解析部12は、取得部11が取得した撮影画像に基づき、移動手段100の運転手と乗客との関係、移動手段100の複数の乗客の互いの関係、第1の基準を満たす人が1人で移動手段100に乗っているか否か、及び、ブラックリストに載っている人物が移動手段100内に存在するか否かの少なくとも1つを推定する。そして、出力部14は、推定結果が所定の条件を満たす場合、推定結果が所定の条件を満たす旨を警告情報に含めて出力する。
【0069】
例えば、画像解析部12は、「運転手と乗客が知り合いであるか」を推定する。そして、出力部14は、運転手と少なくとも1人の乗客とが知り合いであると推定された場合、その旨を警告情報に含めて出力する。
【0070】
また、例えば、画像解析部12は、「移動手段100内の複数の人物が互いに知り合いであるか」を推定する。そして、出力部14は、移動手段100内の複数の人物が互いに知り合いであると推定された場合、その旨を警告情報に含めて出力する。
【0071】
また、例えば、画像解析部12は、「第1の基準を満たす人が1人で移動手段100に乗っているか(移動手段100の中に知り合いがいないか)」を推定する。そして、出力部14は、第1の基準を満たす人が1人で移動手段100に乗っている(移動手段100の中に知り合いがいない)と推定された場合、その旨を警告情報に含めて出力する。
【0072】
ここで、画像解析で複数の人が互いに知り合いであるか否かを推定する手段の一例を説明するが、これに限定されない。例えば、画像解析部12は、視線方向、顔の向き、互いの距離等が所定条件(視線方向及び/又は顔の向きが互いの方を向いている、互いの距離が閾値以下等)を満たす状態が所定時間継続した複数の人物を互いに知り合いである人物と推定してもよい。その他、画像解析部12は、視線方向、顔の向き、互いの距離等が所定条件を満たす状態が所定時間継続した複数の人物の中の当該継続時間の間に少なくとも1人の口が動いた(会話したと推定)複数の人物を互いに知り合いである人物と推定してもよい。
【0073】
また、例えば、画像解析部12は、撮影画像内で抽出した人物の外観の特徴と、予め用意された要注意人物のブラックリスト(各人物の外観の特徴を含む)とに基づき、ブラックリストに載っている人物が移動手段100内に存在するか否かを推定することができる。そして、出力部14は、ブラックリストに載っている人物が移動手段100内に存在する場合、その旨を警告情報に含めて出力する。
【0074】
処理装置10のその他の構成は、第1乃至第4の実施形態と同様である。
【0075】
本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第4の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理装置10によれば、画像解析で、「比較対象人数に対する第1の基準を満たす人の人数の比率が警告条件を満たすこと」のみならず、犯罪行為が起きる可能性があるその他の状況を検出し、検出されたその他の状況をさらに示す警告情報を出力することができる。このような処理装置10によれば、精度よく、犯罪行為が起きる可能性がある移動手段100を検出することができる。
【0076】
<第6の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、移動手段100の乗客を認識し、移動手段100の乗客に紐づけて予め登録されている通知先に警告情報を送信する機能を有する。
【0077】
乗客の認識は、例えば、取得部11が取得した撮影画像と、予め登録された各乗客の画像(顔画像等)とに基づく顔認証で実現されてもよい。
【0078】
その他、移動手段100に近距離無線通信を行うリーダが備えられ、乗客は移動手段100に乗る際に、乗客の識別情報(氏名、ユーザID(identifier)等)を記憶した携帯デバイス(ICカード、スマートフォン、スマートウォッチ、携帯電話等)をそのリーダにかざしてもよい。そして、処理装置10は、リーダを介して、乗客の識別情報を取得し、その識別情報に基づき乗客を認識してもよい。また、処理装置10は、リーダ付近を撮影するカメラが生成した画像から抽出した各乗客の顔画像を、リーダから取得した各乗客の識別情報に紐づけて記憶してもよい。そして、処理装置10は、その後、撮影画像に基づき各乗客が移動手段100から降りたことを検出することで、各識別情報で識別される乗客が移動手段100から降りたことを認識してもよい。
【0079】
通知先は、例えば、家族や友人等の端末装置(例:スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、スマートウォッチ、携帯ゲーム機等)であり、電子メールやコミュニケーションアプリ等を介して実現される。
【0080】
処理装置10のその他の構成は、第1乃至第5の実施形態と同様である。
【0081】
本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第5の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理装置10によれば、犯罪行為が起きる可能性がある状況を検出すると、予め乗客に紐づけて登録されている通知先に警告情報を送信することができる。結果、警告情報を受信した人は、家族や知人などがそのような危険な状況にいることを早期に認識することができる。そして、電話をかけて状況を確認する等の対応をとることができる。
【0082】
<第7の実施形態>
本実施形態では、処理装置10は、移動手段100の上記比率が警告条件を満たす間、所定の通報条件を満たすか検出する処理を実行し、所定の通報条件を満たすことが検出された場合、警察に通報する機能を有する。
【0083】
所定の通報条件は、例えば、「移動手段100の位置が運行ルートを外れたこと」であってもよい。例えば、運転手が犯罪行為を行う人と仲間だったり、運転手が犯罪行為を行う人に脅されたりすることにより、移動手段100の位置が運行ルートから外れるという状況が発生し得る。
【0084】
この例の場合、処理装置10は、移動手段100の上記比率が警告条件を満たす間、移動手段100の現在位置と、予め登録された移動手段100の運行ルートとに基づき、移動手段100の位置が運行ルートを外れていないか監視する。そして、出力部14は、当該通報条件を満たすことが検出された場合、警察のシステムに通報情報を送信する。通報情報には、警告情報の詳細や、検出された通報条件等が含まれてもよい。
【0085】
その他、所定の通報条件は、例えば、「取得部11による撮影画像の取得が途絶えたこと」であってもよい。例えば、犯罪行為を行う人による移動手段100に設置されたカメラの破壊行為等により、撮影画像の取得が途絶えることが考えられる。
【0086】
この例の場合、処理装置10の取得部11は、移動手段100に設置されたカメラからの撮影画像の取得を継続しているものとする。そして、処理装置10は、移動手段100の上記比率が警告条件を満たす間、取得部11による撮影画像の取得が所定時間以上停止していないか監視する。そして、出力部14は、当該通報条件を満たすことが検出された場合、警察のシステムに通報情報を送信する。通報情報には、警告情報の詳細や、検出された通報条件等が含まれてもよい。
【0087】
その他、所定の通報条件は、例えば「移動手段100の中で所定の音声(悲鳴、怒鳴り声等)が検出されたこと」であってもよい。この例の場合、移動手段100の中には、移動手段100の中の音声を集音するマイクが設置される。そして、処理装置10は、移動手段100の上記比率が警告条件を満たす間、マイクが集音した音声を解析し、所定の音声(悲鳴、怒鳴り声等)が検出されないか監視する。そして、出力部14は、当該通報条件を満たすことが検出された場合、警察のシステムに通報情報を送信する。通報情報には、警告情報の詳細や、検出された通報条件等が含まれてもよい。なお、周知の技術を利用して、音声データから悲鳴や怒鳴り声等を検出することができる。
【0088】
なお、出力部14は、所定の通報条件を満たすことが検出された場合、当該検出に応じて警察のシステムに通報情報を送信する処理に変えて、次のような処理を行ってもよい。すなわち、出力部14は、所定の通報条件を満たすことが検出された場合、当該検出に応じて警察に通報するか問い合わせる問い合わせ画面を所定のユーザに向けて出力し、当該画面から通報する旨の入力がなされたことに応じて警察のシステムに通報情報を送信してもよい。所定のユーザは例えば運転手であり、出力部14は、運転席の近くに設置された出力装置を介して上記問い合わせ画面を出力してもよい。その他、所定のユーザは例えば管理センターのオペレータであり、出力部14は管理センターに設置された出力装置を介して上記問い合わせ画面を出力してもよい。
【0089】
また、上記通報条件を満たすか検出する処理、及び、警察のシステムに通報情報を送信する処理の少なくとも一方は、処理装置10に変えて、処理装置10から警告情報を受信する外部装置30が行ってもよい。この場合、所定の通報条件は、例えば「移動手段100との通信が途絶えたこと」であってもよい。すなわち、処理装置10と外部装置30とは定期的に継続して通信を行っておく(例えば、処理装置10が移動手段100の位置情報を定期的に外部装置30に送信等)。そして、外部装置30は、移動手段100の上記比率が警告条件を満たす間、処理装置10との通信が所定時間以上停止していないか監視する。そして、外部装置30は、当該通報条件を満たすことが検出された場合、警察のシステムに通報情報を送信する。通報情報には、警告情報の詳細や、検出された通報条件等が含まれてもよい。なお、当該通報条件を満たした場合、外部装置30は、道路の複数個所に設置された監視カメラの画像を解析して移動手段100の位置を特定する処理を実行してもよい。
【0090】
処理装置10のその他の構成は、第1乃至第6の実施形態と同様である。
【0091】
本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第6の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理装置10によれば、移動手段100の上記比率が警告条件を満たす間、警察に通報すべき状況が発生していないかを監視し、警察に通報すべき状況を検出した場合、警察のシステムに通報することができる。このような処理装置10によれば、犯罪行為の未然防止や被害拡大の抑制などの効果が期待される。
【0092】
<第8の実施形態>
本実施形態では、処理装置10の処理の流れがより具体化される。
図12のフローチャートを用いて、処理装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0093】
取得部11が新たな撮影画像を取得すると、
図12のフローが実行される。まず、画像解析部12は、新たに取得された撮影画像を解析し、撮影画像内における第1の基準を満たす人の人数、及び、乗客の人数(比較対象人数の一例)を算出する(S21)。そして、画像解析部12は、S21の算出結果に基づき、移動手段100内における第1の基準を満たす人の人数及び乗客の人数を算出する(S22)。
【0094】
次いで、算出部13は、S22の算出結果に基づき、乗客の人数に対する第1の基準を満たす人の人数の比率(第1の基準を満たす人の割合)を算出する(S23)。
【0095】
そして、S22で算出された第1の基準を満たす人の人数が警告条件(基準値以下)を満たす場合(S24のYes)、S26に進み、満たさない場合(S24のNo)、S25に進む。
【0096】
S25では、S23で算出された比率が警告条件(基準値以下)を満たすか判断する。S23で算出された比率が警告条件を満たす場合(S25のYes)、S26に進む。
【0097】
S26では、出力部14は、警告条件を満たす旨を示す警告情報を外部装置30に送信する(S26)。なお、出力部14は、移動手段100に設けられた出力装置20を介して警告情報を出力してもよい。警告情報は、移動手段100を識別する情報、移動手段100の位置を示す情報、第1の基準を満たす人の人数、乗客の人数及びS23で算出された比率の中の少なくとも1つを含むことができる。
【0098】
その後、処理装置10は、移動手段100の現在位置と、予め登録された移動手段100の運行ルートとに基づき、移動手段100の位置が運行ルートを外れていないか監視する(S27)。そして、出力部14は、移動手段100の位置が運行ルートを外れたことが検出された場合(S27のNo)、警察のシステムに通報情報を送信する(S28)。通報情報には、警告情報の詳細や、移動手段100の位置が運行ルートを外れたことを示す情報等が含まれてもよい。
【0099】
処理装置10のその他の構成は、第1乃至第7の実施形態と同様である。本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第7の実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0100】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0101】
この出願は、2019年12月2日に出願されたPCT/JP2019/046991を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。