(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】交渉装置、交渉方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240305BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240305BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2021577744
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2020005193
(87)【国際公開番号】W WO2021161398
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-07-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術/AI間連携基盤技術/AI間連携によるバリューチェーンの効率化・柔軟化」に関する研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】清水 数馬
(72)【発明者】
【氏名】森永 聡
(72)【発明者】
【氏名】中台 慎二
(72)【発明者】
【氏名】安藤 友人
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-242816(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含
み顧客からの商談に関する第1の商談条件を含む需要条件を取得する条件取得手段と、
商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出する算出手段と、
算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定する動作決定手段と、
前記資源情報の前記利用可能状況における各資源を供給するための枠の数を仮想的に変更することで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、枠の数を変更した後のパターンを選択する枠数変更手段と、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件に基づいて、枠数変更に伴って前記変更された枠に割り当てられる資源に関する新たな商談に関する第2の商談条件を生成し、生成された前記第2の商談条件に応じて他の交渉装置によって生成された、前記変更された枠に割り当てられる資源に関する前記第2の商談条件に対する回答を示す回答情報に応じて、前記第2の商談条件の成立の有無を判定する資源交渉手段と、
を有
し、
前記算出手段は、前記第1の商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源交渉手段によって成立すると判定された前記第2の商談条件に関し、前記枠数変更手段によって選択された前記枠の数を変更した後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記第1の商談条件の効用値を算出し、
前記動作決定手段は、予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記第1の商談条件を受諾すると決定する、
交渉装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記資源情報に応じた複数の実現可能なパターンごとに、前記効用値を算出し、
前記動作決定手段は、予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに応じて、前記交渉動作を決定する、
請求項1に記載の交渉装置。
【請求項3】
前記動作決定手段は、前記閾値を超える前記効用値のうち最大となる前記効用値となる前記パターンに応じて、前記交渉動作を決定する、
請求項2に記載の交渉装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記
第1の商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記
第1の商談条件の効用値を算出し、
前記動作決定手段は、予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記
第1の商談条件を受諾すると決定する、
請求項
1に記載の交渉装置。
【請求項5】
前記資源情報の前記利用可能状況における割り当て済みの枠について仮想的に再割り当てを行うことで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、再割り当て後のパターンを選択する再割り当て手段
をさらに有する請求項1から
4のいずれか1項に記載の交渉装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記
第1の商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンがない場合に、前記再割り当て手段は、前記再割り当て後のパターンを選択する動作を行う、
請求項
5に記載の交渉装置。
【請求項7】
コンピュータが、
商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含
み顧客からの商談に関する第1の商談条件を含む需要条件を取得し、
商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出し、
算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定
し、
前記資源情報の前記利用可能状況における各資源を供給するための枠の数を仮想的に変更することで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、枠の数を変更した後のパターンを選択し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件に基づいて、枠数変更に伴って前記変更された枠に割り当てられる資源に関する新たな商談に関する第2の商談条件を生成し、生成された前記第2の商談条件に応じて他の交渉装置によって生成された、前記変更された枠に割り当てられる資源に関する前記第2の商談条件に対する回答を示す回答情報に応じて、前記第2の商談条件の成立の有無を判定し、
前記第1の商談条件に必要な1つ以上の資源を、成立すると判定された前記第2の商談条件に関し、選択された前記枠の数を変更した後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記第1の商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記第1の商談条件を受諾すると決定する、
交渉方法。
【請求項8】
商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含
み顧客からの商談に関する第1の商談条件を含む需要条件を取得するステップと、
商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出するステップと、
算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定するステップと、
前記資源情報の前記利用可能状況における各資源を供給するための枠の数を仮想的に変更することで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、枠の数を変更した後のパターンを選択するステップと、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件に基づいて、枠数変更に伴って前記変更された枠に割り当てられる資源に関する新たな商談に関する第2の商談条件を生成し、生成された前記第2の商談条件に応じて他の交渉装置によって生成された、前記変更された枠に割り当てられる資源に関する前記第2の商談条件に対する回答を示す回答情報に応じて、前記第2の商談条件の成立の有無を判定するステップと、
前記第1の商談条件に必要な1つ以上の資源を、成立すると判定された前記第2の商談条件に関し、選択された前記枠の数を変更した後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記第1の商談条件の効用値を算出するステップと、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記第1の商談条件を受諾すると決定するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交渉装置、交渉方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動交渉の技術が知られている。この技術に関連し、特許文献1は、予め立案した製造部門での製造予定計画である生産枠の情報、及び既受注情報に基づいて、顧客の新規注文の納期を算出する納期調整支援装置を開示する。また、特許文献2は、効用関数を利用した探索型交渉を行い得る方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-165723号公報
【文献】特開2005-352702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品又は役務を供給する場合、需要を満足するように提供することだけでなく、納期、費用、数量等といった要素からなる条件を踏まえて、供給者である組織の利益をより良くすることが求められる。しかしながら、上述した特許文献にかかる技術では、組織にとって適切な交渉を効率的に行うことができないおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、適切な交渉を効率的に行うことが可能な交渉装置、交渉方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる交渉装置は、商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含む需要条件を取得する条件取得手段と、商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出する算出手段と、算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定する動作決定手段と、を有する。
【0007】
また、本開示にかかる交渉方法は、商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含む需要条件を取得し、商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出し、算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定する。
【0008】
また、本開示にかかるプログラムは、商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含む需要条件を取得するステップと、商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出するステップと、算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、適切な交渉を効率的に行うことが可能な交渉装置、交渉方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態にかかる交渉装置の概要を示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる交渉システムの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1にかかる交渉装置の構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1にかかる資源情報を例示する図である。
【
図5】実施の形態1にかかる交渉装置によって実行される交渉方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図5に示したS110の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示したS111の処理で生成される予約パターンを例示する図である。
【
図8】
図6に示したS111の処理で生成される予約パターンを例示する図である。
【
図9】
図6に示したS111の処理で生成される予約パターンを例示する図である。
【
図10】
図5に示した再割り当て処理(S130)の詳細を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態1にかかる再割り当ての方法を説明するための図である。
【
図12】
図5に示したS140の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】
図5に示した枠数変更処理(S150)の詳細を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態1にかかる枠数変更の方法を説明するための図である。
【
図15】実施の形態1にかかる枠数変更の方法を説明するための図である。
【
図16】実施の形態1にかかる、枠を増加するための交渉動作を説明するための図である。
【
図17】
図5に示した交渉動作実行処理(S170)の詳細を示すフローチャートである。
【
図18】
図5に示した交渉動作実行処理(S170)の詳細を示すフローチャートである。
【
図19】
図5に示したS180の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図20】
図5に示した対案生成処理(S190)の詳細を示すフローチャートである。
【
図21】到来した商談条件における納期を満たせない資源情報を例示する図である。
【
図22】実施の形態1にかかる交渉装置による処理の具体例を説明するための図である。
【
図23】実施の形態1にかかる交渉装置による処理の具体例を説明するための図である。
【
図24】実施の形態2にかかる交渉装置によって実行される交渉方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示にかかる実施の形態の概要)
本開示の実施形態の説明に先立って、本開示にかかる実施の形態の概要について説明する。
図1は、本開示の実施の形態にかかる交渉装置1の概要を示す図である。
【0012】
交渉装置1は、例えば、コンピュータである。交渉装置1は、条件取得部2と、算出部4と、動作決定部6とを有する。条件取得部2、算出部4及び動作決定部6は、それぞれ、条件取得手段、算出手段及び動作決定手段としての機能を有する。
【0013】
条件取得部2は、商品又は役務(以下、商品等)の需要に関する1つ以上の要素を含む需要条件を取得する。ここで、需要条件に含まれる要素は、例えば、商品等の納期、費用、数量等が含まれるが、これに限定されない。また、需要条件は、例えば、実際に顧客から到来した商談に関する商談条件と、需要予測に関する需要予測条件とを含み得るが、これらに限定されない。算出部4は、資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された需要条件の効用値を算出する。ここで、資源情報は、商品等の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す。資源情報は、例えば、ATP(Available To Promise)及びCTP(Capable to Promise)の少なくとも一方を含み得るが、これらに限定されない。また、利用可能状況は、各資源を利用可能な枠を含み得る。ここで、ATPは、即時に納期回答が可能な枠の属性を意味する。また、CTPは、納期回答について交渉の余地がある枠の属性を意味する。
【0014】
動作決定部6は、算出された効用値に基づいて、商品等の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定する。交渉動作は、例えば、商談条件を受諾すること、商談条件を拒否すること、及び、資源の供給のための新たな枠を確保するための動作を行うこと、などを含み得るが、これらに限定されない。
【0015】
上述した特許文献1にかかる技術では、単に、生産残枠等を考慮して顧客希望納期で製品を生産できれば注文を受諾することを開示するのみである。したがって、特許文献1にかかる技術では、組織の利益が良くなるように新規注文を割り付けることができないおそれがある。また、上述した特許文献2にかかる技術では、提案作成ルール群を利用して取引条件提案の効用を評価する効用関数を利用して交渉を行うことを開示するのみである。したがって、特許文献2にかかる技術では、供給者である組織の実際の資源の利用可能状況を考慮して交渉を行うことができないおそれがある。したがって、上述した特許文献にかかる技術では、組織にとって適切な交渉を効率的に行うことができないおそれがある。
【0016】
これに対し、本実施の形態にかかる交渉装置1は、資源情報に基づいて、効用関数を用いて需要条件の効用値を算出し、算出された効用値に基づいて、交渉動作を決定するように構成されている。これにより、需要条件に応じて、効率的に、組織(企業等)の利益をより高くするような交渉動作を決定することができる。特に、需要条件が複数の要素を含むような複雑な交渉である場合であっても、効率的に、組織(企業等)の利益をより高くするような交渉動作を決定することができる。したがって、本実施の形態にかかる交渉装置1は、組織にとって適切な交渉を効率的に行うことが可能となる。
【0017】
さらに、本実施の形態にかかる交渉装置1は、資源の供給のための新たな枠(供給能力)を確保するための交渉動作を行うことができるので、二者間での交渉だけでなく、三者以上の間での交渉動作を効率的に決定することができる。すなわち、本実施の形態にかかる交渉装置1は、現在の資源情報では資源を供給するための枠が不足しているため新たな枠を必要とする場合に、顧客以外の他者(サプライヤ等)に対して交渉を行うことも決定できる。したがって、本実施の形態にかかる交渉装置1は、三者以上の間で交渉を行うといった複雑な交渉に対しても、組織にとって適切な交渉を効率的に行うことが可能となる。
【0018】
なお、交渉装置1によって実行される交渉方法によっても、組織にとって適切な交渉を効率的に行うことができる。また、交渉方法を実行するプログラムを用いても、組織にとって適切な交渉を効率的に行うことができる。さらに、複数の交渉装置1から構成される交渉システムによって、各交渉装置1を用いる組織それぞれの立場で適切な交渉を効率的に行うことができる。
【0019】
(実施の形態1)
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0020】
図2は、実施の形態1にかかる交渉システム20の構成を示す図である。交渉システム20は、複数の交渉装置100を有する。交渉装置100は、
図1に示した交渉装置1に対応する。交渉装置100は、例えばコンピュータである。各交渉装置100は、交渉の主体となる企業等の組織によって用いられる。つまり、各交渉装置100は、組織ごとに設けられている。各交渉装置100は、例えば有線又は無線等のネットワークを介して、通信可能に接続され得る。また、複数の交渉装置100は、例えばクラウドコンピューティングによって実現されてもよい。この場合、複数の交渉装置100は、互いに物理的に別個である必要はない。
【0021】
図2に示す例では、交渉装置100Aは、交渉装置100C、交渉装置100S及び交渉装置100Bと、通信可能に接続されている。交渉装置100Aが設けられた組織90Aから見て、交渉装置100Cが設けられた組織90Cは、商談における顧客となり得る。組織90Aは、組織90Cと組織90Aとの商談において、1つ以上の資源を用いて、顧客である組織90Cに、商品又は役務(以下、商品等)を提供する。
【0022】
また、組織90Aから見て、交渉装置100Sが設けられた組織90Sは、必要な資源を提供するサプライヤであり得る。このとき、組織90Sは、組織90Cと組織90Aとの商談において、組織90Aが組織90Cに供給する商品等の提供に要する資源を供給し得る。したがって、組織90Sから見て、組織90Aは、顧客となり得る。また、交渉装置100Bが設けられた組織90Bは、組織90Aと実質的に同様の商品等を提供し得る。したがって、組織90Aから見て、組織90Bは、同業者となり得る。そして、各組織90をサプライチェーンの層とみなす場合、組織90Aを層nとすると、組織90Sは層n+1であり、組織90Cは層n-1であり、組織90Bは層nである。
【0023】
例えば、組織90Cから組織90Aに商品Aを提供して欲しい旨の商談Aがあった場合、交渉装置100Aは、組織90Aにおける資源情報に応じて、商談Aに対応する需要条件の効用値を算出する。そして、交渉装置100Aは、算出された効用値に応じて、交渉動作を決定する。なお、交渉装置100Aは、自律的に、他の交渉装置100(例えば交渉装置100C又は交渉装置100S)に対して、交渉動作を実行するための情報を送信することで、自動交渉を実行してもよい。あるいは、交渉装置100Aは、決定された交渉動作を、組織90Aのユーザに知覚可能に出力してもよい。これにより、ユーザは、決定された交渉動作を実行できる。
【0024】
ここで、現在の資源情報から効用値が予め定められた閾値を超えるような条件下で商品Aに要する資源を確保できる場合は、交渉装置100Aは、交渉動作として、商談Aを受諾することを決定してもよい。また、商品Aに要する資源を確保するために、現在の資源情報では効用値が予め定められた閾値を超えるような条件がない場合、交渉装置100Aは、資源情報の利用可能状況における、各資源を供給するための枠を変更するための交渉動作を決定してもよい。これは、例えば、変更対象の枠を確保するために、組織90Sに対して、当該枠に対応する資源を供給するように交渉を行うと決定することを意味する。このように、実施の形態1にかかる交渉装置100Aは、資源情報に応じて算出された効用値を用いて交渉動作を決定するので、組織90Aが利用可能な資源を用いて、組織90Aの利益が良くなるように、交渉動作を決定することができる。詳しくは後述する。
【0025】
図3は、実施の形態1にかかる交渉装置100の構成を示す図である。
図2に示した複数の交渉装置100それぞれが、
図3に示す構成を有し得る。なお、以下、
図2に示した複数の交渉装置100を区別せずに説明する場合、説明の対象となっている交渉装置100が設けられた組織90を、単に、「組織90」と称する。
【0026】
交渉装置100は、主要なハードウェア構成として、制御部102と、記憶部104と、通信部106と、インタフェース部108(IF;Interface)とを有する。制御部102、記憶部104、通信部106及びインタフェース部108は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0027】
制御部102は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部102は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置としての機能を有する。記憶部104は、例えばメモリ又はハードディスク等の記憶デバイスである。記憶部104は、例えばROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等である。記憶部104は、制御部102によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。また、記憶部104は、処理データ等を一時的に記憶するための機能を有する。記憶部104は、データベースを含み得る。
【0028】
通信部106は、他の交渉装置100等の他の装置とネットワークを介して通信を行うために必要な処理を行う。通信部106は、通信ポート、ルータ、ファイアウォール等を含み得る。インタフェース部108(IF;Interface)は、例えばユーザインタフェース(UI)である。インタフェース部108は、キーボード、タッチパネル又はマウス等の入力装置と、ディスプレイ又はスピーカ等の出力装置とを有する。インタフェース部108は、ユーザ(オペレータ)によるデータの入力の操作を受け付け、ユーザに対して情報を出力する。インタフェース部108は、決定された交渉動作に関する情報を表示してもよい。
【0029】
実施の形態1にかかる交渉装置100は、構成要素として、条件取得部112と、資源情報取得部114と、顧客交渉部120と、再割り当て部130と、枠数変更部140と、内部資源交渉部150と、外部資源交渉部160とを有する。顧客交渉部120は、パターン生成部122と、効用値算出部124と、交渉動作決定部126とを有する。
【0030】
条件取得部112は、
図1に示した条件取得部2に対応する。条件取得部112は、条件取得手段としての機能を有する。資源情報取得部114は、資源情報取得手段としての機能を有する。顧客交渉部120は、顧客交渉手段としての機能を有する。再割り当て部130は、再割り当て手段としての機能を有する。枠数変更部140は、枠数変更手段としての機能を有する。内部資源交渉部150は、内部資源交渉手段(資源交渉手段)としての機能を有する。外部資源交渉部160は、外部資源交渉手段(資源交渉手段)としての機能を有する。パターン生成部122は、パターン生成手段としての機能を有する。
【0031】
効用値算出部124は、
図1に示した算出部4に対応する。効用値算出部124は、効用値算出手段としての機能を有する。交渉動作決定部126は、
図1に示した動作決定部6に対応する。交渉動作決定部126は、交渉動作決定手段としての機能を有する。
【0032】
なお、上述した各構成要素は、例えば、制御部102の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、各構成要素は、記憶部104に格納されたプログラムを、制御部102が実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、各構成要素は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。なお、各構成要素の具体的な機能については後述する。
【0033】
条件取得部112は、上述した需要条件(商談条件又は需要予測条件)を取得する。顧客から商談が到来した場合、条件取得部112は、商談条件を示す情報を取得する。商談条件は、要素として、例えば、顧客が所望する製品、納期、費用、数量等を含み得る。なお、条件取得部112は、顧客の交渉装置100から通信部106を介して、商談条件を示す情報を取得してもよい。あるいは、ユーザによって商談条件が入力される場合、条件取得部112は、インタフェース部108を介して商談条件を示す情報を取得してもよい。
【0034】
また、条件取得部112は、任意のタイミングで、需要予測条件を取得する。需要予測条件は、将来の需要予測に関する条件である。需要予測条件は、過去の需要の実績から予測される需要(商談)に関する。需要予測条件の要素は、例えば、将来需要があると予想される製品、納期(需要が高まる時期)、費用、数量等を示し得る。需要予測条件は、例えば、時期と需要との関係を示す需要予測分布で示されてもよい。需要予測分布は、例えば、ある時期に商談が到来する確率分布を示す商談到来予測分布であってもよい。このような需要予測分布により、後述するように、需要が高まると予測される時期に製品を製造できるように、資源情報における枠を予め確保しておくことができる。需要予測条件は、過去の取引データを教師データとして機械学習によって生成された学習済みモデルによって生成されてもよい。なお、条件取得部112は、記憶部104に格納された需要予測条件を取得してもよい。あるいは、条件取得部112は、交渉装置100とは別の装置から、通信部106を介して、需要予測条件を示す情報を取得してもよい。
【0035】
資源情報取得部114は、上述した資源情報を取得する。資源情報は、商品等の提供に要する複数の資源の利用可能状況を示している。つまり、複数の資源を用いて、商品等が提供され得る。商品等の提供に要する資源は、例えば、資材(部品)及び工程(製造工程)が含まれるが、これに限られない。資源情報で管理される資源は、上記のいずれかであってもよいし、他の資源であってもよい。資源情報の例については
図4を用いて後述する。
【0036】
なお、資源情報が記憶部104に格納されている場合、資源情報取得部114は、記憶部104から資源情報を取得する。また、資源情報が交渉装置100とは別の装置に格納されている場合、資源情報取得部114は、通信部106を介して資源情報を取得する。また、資源情報がユーザによって入力される場合、資源情報取得部114は、インタフェース部108を介して資源情報を取得する。また、資源情報取得部114は、交渉装置100とは別の装置に格納されている情報を取り出して、資源情報を生成(取得)してもよい。
【0037】
図4は、実施の形態1にかかる資源情報を例示する図である。
図4に示す例では、ある商品Xの提供に要する資源として、資材A、資材B、工程E、及び工程Fが示されている。つまり、
図4に例示した資源情報では、ある商品Xの製造管理は、資材A、資材B、工程E、及び工程Fを用いて管理され得る。そして、
図4の例では、商品Xは、資材A、資材B、工程E、及び工程Fを全て用いて製造され得る。また、
図4の例では、資源ごとに、1日に4つの枠が設けられている。なお、
図4に示した資源情報では、日付ごとに枠が管理されているが、日付又は時間軸で枠を管理する必要はない。
【0038】
図4に例示する資源情報において、X印で表される枠80xは、ある需要に対して予約済みの枠(予約済み枠)である。つまり、枠80xには、ある需要の提供に要する資源が既に割り当てられている。一方、枠80a,80b,80c,80dには、未だ、需要の提供に要する資源が既に割り当てられていない。つまり、枠80a,80b,80c,80dは、空き枠である。
【0039】
枠80a,80b,80cは、ATPに関する枠(ATP枠)である。丸印で表される枠80aは、「在庫あり」の枠である。三角形の印で表される枠80bは、「確保済みかつ購入義務内」の枠である。つまり、枠80bは、対応する資源をサプライヤから必ず購入する旨の確約がある枠である。ひし形の印で表される枠80cは、「確保済みかつ購入義務外かつ供給義務内」の枠である。つまり、枠80cは、対応する資源を組織90がサプライヤから購入する義務はないが、サプライヤに要求すれば必ず供給される旨の確約がある枠である。また、星型の印で表される枠80dは、CTPに関する枠(CTP枠)である。枠80dは、「供給義務外だが交渉による可否回答が早い可能性大」の枠である。つまり、枠80dは、対応する資源をサプライヤが組織90に供給する義務はないが、サプライヤとの交渉により、供給される可能性が高い枠である。なお、ATPに関する枠の属性については、上記の3つの種類はあくまでも例示であって、これらの3つの種類に限定されない。
【0040】
なお、各枠80(空き枠)には、それぞれ、組織90が対応する資源を利用する上での損得に関わる属性が対応付けられている。例えば、ある資源について、枠80ごとに、コスト、品質及び納期が異なり得る。例えば、ある資源について、枠80dでは、他の空き枠よりも、資源を割り当てる際のコストが高い可能性がある。例えば、工程Fについて、枠80a-Fは、「品質:良、コスト:300円」といった属性が対応付けられている。また、資材Aについて、枠80a-Aは、「品質:良、仕入れ日:10/18、価格:1000円」といった属性が対応付けられている。また、また、資材Aについて、枠80d-Aは、「仕入れ先:A社、価格:1200円以上予想」といった属性が対応付けられている。後述するように、顧客交渉部120は、これらの属性を効用関数に入力することによって、資源情報を用いて需要条件の効用値を算出する。
【0041】
図4の例において、資材Aについて、10月20日の4つの枠のうち、1つの枠は枠80xであり、2つの枠は枠80aであり、残りの1つの枠は枠80dである。また、資材Aについて、10月21日の4つの枠のうち、1つの枠は枠80bであり、1つの枠が枠80cであり、残りの2つの枠は枠80dである。
【0042】
顧客交渉部120(
図3)は、顧客との交渉に関する処理を行う。顧客交渉部120は、再割り当て部130、枠数変更部140、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160の動作を制御し得る。パターン生成部122は、資源情報に応じた複数の実現可能なパターンを生成する。具体的には、パターン生成部122は、資源情報における空き枠に需要条件にかかる商品等の提供に要する資源を割り当てるパターン(予約パターン)を、複数生成する。詳しくは後述する。
【0043】
効用値算出部124は、予め定められた効用関数を用いて、取得された需要条件の効用値を算出する。具体的には、効用値算出部124は、パターン生成部122によって生成された複数の予約パターンごとに、効用値を算出する。ここで、資源情報における空き枠に需要条件に関する資源を割り当てる割り当て方に応じて、効用値が異なり得る。詳しくは後述する。なお、効用関数のパラメータは、ユーザによって、適宜、設定可能である。
【0044】
交渉動作決定部126は、効用値算出部124によって算出された効用値に基づいて、交渉動作を決定する。具体的には、交渉動作決定部126は、予め定められた閾値を超える効用値となる予約パターンに応じて、交渉動作を決定する。さらに具体的には、交渉動作決定部126は、閾値を超える効用値のうち最大となる効用値となる予約パターンに応じて、交渉動作を決定する。交渉動作決定部126は、例えば、効用値に基づいて、商談条件を受諾するか否かを決定する。また、交渉動作決定部126によって決定された動作に応じて、再割り当て部130、枠数変更部140、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160が動作し得る。詳しくは後述する。ここで、効用値と比較される閾値は、組織90の利益が得られる限度を示し得る。つまり、効用値が閾値以下である場合、その予約パターンでは、組織90の利益が得られない可能性があることを意味する。なお、閾値は、ユーザによって、適宜、設定可能である。
【0045】
再割り当て部130は、再割り当て処理を行う。再割り当て部130は、資源情報の利用可能状況における割り当て済みの枠について仮想的に再割り当てを行うことで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された需要条件の効用値に基づいて、再割り当て後のパターンを選択する。具体的には、再割り当て部130は、需要条件に関する資源について、複数のパターンで、資源情報において予約済み枠と空き枠とを入れ替えることで、再割り当てを行う。また、再割り当て部130は、再割り当てされた資源情報の枠のパターン(再割り当てパターン)ごとに、予め定められた効用関数を用いて、効用値を算出する。したがって、再割り当て部130は、効用値を算出する算出手段としても機能し得る。また、再割り当て部130に関する効用関数は、顧客交渉部120(効用値算出部124)に関する効用関数と異なり得る。また、再割り当て部130は、再割り当てパターンごとに算出された効用値に基づいて、再割り当て後のパターンを選択する。なお、再割り当て部130にかかる需要条件は、商談条件であってもよいし、需要予測条件であってもよい。再割り当て部130は、任意のタイミングで、再割り当て処理を行い得る。再割り当て部130の処理の詳細については後述する。
【0046】
枠数変更部140は、枠数変更処理を行う。枠数変更部140は、資源情報の利用可能状況における各資源を供給するための枠の数を仮想的に変更することで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された需要条件の効用値に基づいて、枠数変更後のパターンを選択する。具体的には、枠数変更部140は、需要条件に関する資源について、複数のパターンで、資源情報において、仮想的に空き枠の数を変更する。これにより、枠数が変更されたパターン(枠数変更パターン)が生成される。また、枠数変更部140は、枠数変更パターンごとに、予め定められた効用関数を用いて、効用値を算出する。したがって、枠数変更部140は、効用値を算出する算出手段としても機能し得る。また、枠数変更部140に関する効用関数は、顧客交渉部120(効用値算出部124)及び再割り当て部130に関する効用関数と異なり得る。また、枠数変更部140は、枠数変更パターンごとに算出された効用値に基づいて、枠数変更後のパターンを選択する。枠数変更部140は、任意のタイミングで枠数変更処理を行い得る。枠数変更部140の処理の詳細については後述する。
【0047】
内部資源交渉部150は、組織90の内部における資源(内部資源)を利用可能か否かの交渉を行うための処理を行う。ここで、「内部資源」とは、ある商品Xに関する資源情報に予め割り当てられている枠(
図4の例では1日4個)とは異なる枠に、交渉次第で割り当てられ得る資源である。例えば、資材Aに関する内部資源は、商品Xとは異なるが資源Aを要する商品X’の供給に要し、在庫がある資材Aに対応し得る。また、工程Fに関する内部資源は、残業等によって確保されるマンパワーに対応し得る。内部資源交渉部150は、閾値を超える効用値となる枠数変更パターンに関する条件に基づいて、枠数変更に伴って変更された枠に割り当てられる資源に関する新たな商談に関する新たな商談条件を生成する。また、内部資源交渉部150は、商談条件に応じて他の交渉装置によって生成された回答情報に応じて、新たな商談条件の成立の有無を判定する。回答情報は、変更された枠に割り当てられる資源に関する情報であって、商談を受諾するか否か、及び受諾しない場合の対案を示し得る。
【0048】
外部資源交渉部160は、組織90の外部における資源(外部資源)を利用可能か否かの交渉を行うための処理を行う。ここで、「外部資源」とは、他の組織から交渉によって供給され得る資源のことである。外部資源交渉部160は、閾値を超える効用値となる枠数変更パターンに関する条件に基づいて、枠数変更に伴って変更された枠に割り当てられる資源に関する新たな商談に関する新たな商談条件を生成する。また、外部資源交渉部160は、商談条件に応じて他の交渉装置によって生成された、変更された枠に割り当てられる資源に関する回答情報に応じて、新たな商談条件の成立の有無を判定する。なお、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160は、ある資源についてCTP枠を予約した場合も、交渉に関する処理を行ってもよい。この場合、後述する商談条件は相手とすでに契約済み等の既知の情報であってもよく、後述する商談生成ルールはその事前にやり取りした条件を発出するように定められていてもよい。
【0049】
図5は、実施の形態1にかかる交渉装置100によって実行される交渉方法を示すフローチャートである。
図5は、商談が到来した場合の交渉方法を示すフローチャートを示している。なお、
図5に示した処理フローは、あくまでも一例であって、交渉方法のフローは、
図5の流れに限定されない。
【0050】
まず、顧客から商談が到来すると、交渉装置100は、商談条件及び資源情報を取得する(ステップS102)。具体的には、条件取得部112は、需要条件である商談条件Xを取得する。このとき、条件取得部112は、さらに需要予測条件を取得してもよい。商談条件Xは、例えば、
図4に例示した資源情報で管理される資源(資材A、資材B、工程E、工程F)を用いて製造される商品Xに関する。このとき、商談条件は、(商品X、納期:10月20日)といった情報を含み得る。また、資源情報取得部114は、組織90における現在の資源の利用可能状況を示す資源情報を取得する。資源情報取得部114は、例えば
図4に例示した資源情報を取得する。
【0051】
顧客交渉部120は、現在の資源情報に、商談条件に関する資源のための空き枠があるか否かを判定する(ステップS104)。現在の資源情報に空き枠がある場合(S104のYES)、顧客交渉部120は、現在の資源情報に応じた交渉動作決定処理を行う(ステップS110)。S110の処理については後述する。そして、交渉動作決定部126は、S110の処理結果に対応する交渉動作を決定する。一方、現在の資源情報に空き枠がない場合(S104のNO)、交渉動作決定部126は、枠数変更処理を行うと決定する。そして、処理はS150に進む。
【0052】
S110の処理の結果、商談条件が受諾される場合(ステップS120のYES)、処理は終了する。このとき、顧客交渉部120は、自動的に、顧客である組織90の交渉装置100に対して、商談を受諾する旨の回答情報を送信してもよい(以降の「商談条件が受諾される場合」について同様)。一方、S110の処理の結果、商談条件が受諾されない場合(S120のNO)、交渉動作決定部126は、再割り当て処理を行うと決定する。そして、顧客交渉部120の制御により、再割り当て部130は、再割り当て処理を実行する(ステップS130)。S130の処理については後述する。そして、顧客交渉部120は、再割り当て後の資源情報に応じた交渉動作決定処理を行う(ステップS140)。S140の処理については後述する。
【0053】
そして、交渉動作決定部126は、S140の処理結果に対応する交渉動作を決定する。S140の処理の結果、商談条件が受諾される場合(ステップS149のYES)、処理は終了する。一方、S140の処理の結果、商談条件が受諾されない場合(S149のNO)、交渉動作決定部126は、枠数変更処理を行うと決定する。そして、顧客交渉部120の制御により、枠数変更部140は、枠数変更処理を実行する(ステップS150)。S150の処理については後述する。そして、交渉装置100(内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160の少なくとも一方)は、S150の処理結果に応じた交渉動作を実行する(ステップS170)。S150及びS170の処理については後述する。
【0054】
そして、顧客交渉部120は、枠数変更後の資源情報に応じた交渉動作決定処理を行う(ステップS180)。S180の処理については後述する。そして、交渉動作決定部126は、S180の処理結果に対応する交渉動作を決定する。S180の処理の結果、商談条件が受諾される場合(ステップS189のYES)、処理は終了する。一方、S180の処理の結果、商談条件が受諾されない場合(S189のNO)、交渉動作決定部126は、対案を生成する(ステップS190)。S180及びS190の処理については後述する。なお、S130の処理及びS150の処理は、任意のタイミングで行われてもよい。
【0055】
図6は、
図5に示したS110の処理の詳細を示すフローチャートである。顧客交渉部120のパターン生成部122は、複数の予約パターンを生成する(ステップS111)。具体的には、パターン生成部122は、商談に関する商品等の提供に要する資源を空き枠に割り当てることで、複数の予約パターンを生成する。
【0056】
図7~
図9は、
図6に示したS111の処理で生成される予約パターンを例示する図である。
図7~
図9の例では、
図4に例示した資源情報における空き枠である枠80a~80dに、商談条件Xにかかる資源が割り当てられている。
図7に例示した予約パターン#1では、資材Aは、10月20日の枠80a-Aに割り当てられている。資材Bは、10月20日の枠80a-Bに割り当てられている。工程Eは、10月20日の枠80a-Eに割り当てられている。工程Fは、10月21日の枠80b-Fに割り当てられている。
【0057】
図8に例示した予約パターン#2では、資材Aは、10月20日の枠80a-Aに割り当てられている。資材Bは、10月20日の枠80a-Bに割り当てられている。工程Eは、10月20日の枠80a-Eに割り当てられている。工程Fは、10月20日の枠80a-Fに割り当てられている。
【0058】
図9に例示した予約パターン#3では、資材Aは、10月20日の枠80d-Aに割り当てられている。資材Bは、10月20日の枠80a-Bに割り当てられている。工程Eは、10月20日の枠80a-Eに割り当てられている。工程Fは、10月20日の枠80a-Fに割り当てられている。
【0059】
効用値算出部124は、効用関数を用いて、S111の処理で生成された複数の予約パターンごとに、効用値を算出する(ステップS113)。つまり、効用値算出部124は、商談条件に必要な1つ以上の資源を、資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターン(予約パターン)ごとに、商談条件の効用値を算出する。具体的には、効用値算出部124は、予約パターンごとに、ある資源が割り当てられた枠80の属性を入力として、効用関数を計算し、効用値を算出する。
【0060】
顧客交渉部120における効用関数F1は、例えば、以下の式1で表される。
F1=f1+g1 ・・・(1)
ここで、関数f1は、例えば、以下の式2で表される。
f1(売値,買値)=売値-買値 ・・・(2)
また、関数g1は、例えば、以下の式3で表される。
【数1】
【0061】
ここで、関数f1は、組織90の儲けに関する関数である。また、関数g1は、納期に関する関数であり、上段の条件は顧客の納期を守れないことに対する自社(組織90)の不利益に対応し、下段の条件は組織90における在庫管理コストに対応する。ここで、関数g1のaは、在庫管理コストに関するパラメータである。また、関数f1の「売値」及び関数g1の「希望納期」は、商談条件Xに応じて与えられ得る。つまり、関数f1の「売値」及び関数g1の「希望納期」は、顧客との合意事項である。一方、関数f1の「買値」及び関数g1の「提供日」は、予約パターンにおいて資源が割り当てられた枠80の属性に応じて与えられ得る。
【0062】
効用値算出部124は、予約パターンごとに、効用関数F1の値である効用値F1(予約パターン)を算出する。そして、交渉動作決定部126は、予め定められた閾値を超える効用値があるか否かを判定する(ステップS115)。つまり、交渉動作決定部126は、各予約パターンに関する効用値が予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。具体的には、交渉動作決定部126は、以下の式4が成り立つ予約パターン#xがあるか否かを判定する。
F1(予約パターン#x)>t1 ・・・(4)
【0063】
なお、t1は、予め定められた閾値である。閾値t1は、ユーザによって適宜設定され得る。閾値t1は、組織90の利益に関する。効用値が閾値t1を超える場合、顧客の希望納期を守り、かつ、組織90の必要な利益を確保しつつ、商品等を提供可能であることを意味する。なお、S115の処理は、f1(予約パターン#x)>tf1、かつ、g1(予約パターン#x)>tg1であるか否かを判定することであってもよい(後述するS145及びS185の処理でも同様)。ここで、tf1及びtg1は、予め定められた閾値である。閾値tf1は、価格に対する利益に関する。また、閾値tg1は、納期に対する利益に関する。なお、上述した効用関数及び閾値については、組織90の目的に沿うように(つまり組織90の利益が大きくなるように)、適宜、設定可能である。このことは、後述する他の効用関数及び閾値についても同様である。
【0064】
そして、閾値を超える効用値がある場合(S115のYES)、交渉動作決定部126は、効用値が最大となる予約パターンを選択する(ステップS117)。そして、交渉動作決定部126は、選択された予約パターンに応じた条件で商談を受諾すると決定する(ステップS119、S120のYES)。一方、閾値を超える効用値がない場合(S115のNO)、処理はS130に進む。つまり、交渉動作決定部126は、再割り当て処理(S130)を行うと決定する。S130の処理については後述する。
【0065】
ここで、
図7に示した予約パターン#1では、工程Fが割り当てられた枠80の日付は、希望納期よりも後である。したがって、商品Aを提供できるのは10月21日以降となるので、(希望納期-提供日)<0となる。したがって、式3より、g1=-∞となるので、効用値F1(予約パターン#1)は、閾値t1以下となる。なお、
図8に示した予約パターン#2及び
図9に示した予約パターン#3では、効用値は閾値t1を超えるとする。つまり、F1(予約パターン#2)>t1、F1(予約パターン#3)>t1である。
【0066】
また、F1(予約パターン#2)とF1(予約パターン#3)とを比較すると、予約パターン#2では、資材Aは、枠80aに割り当てられている。一方、予約パターン#3では、資材Aは、枠80dに割り当てられている。ここで、上述したように、枠80d-Aのコストは、枠80a-Aのコストよりも高くなる可能性が高い。したがって、式2より、f1(予約パターン#2)の方がf1(予約パターン#3)よりも大きくなる。したがって、F1(予約パターン#2)>F1(予約パターン#3)>t1となる。したがって、交渉動作決定部126は、予約パターン#2を選択する。そして、交渉動作決定部126は、予約パターン#2に関する条件で商談条件を受諾すると決定する。
【0067】
上述したように、顧客交渉部120は、資源情報を用いて得られた複数の予約パターンそれぞれについて、商談条件の効用値を算出し、効用値が閾値を超える予約パターンに応じて、交渉動作を決定するように構成されている。したがって、より効率的に、組織90の利益が得られるといった適切な交渉を行うことが可能となる。さらに、顧客交渉部120は、閾値を超える効用値のうちの最大となる効用値の予約パターンに応じて、交渉動作を決定するように構成されている。したがって、組織90の利益が最大となるような交渉を、効率的に行うことが可能となる。
【0068】
なお、式1の例では、効用関数は、関数f1と関数g1との和としたが、これに限られない。効用関数F1は、関数f1であってもよいし、関数g1であってもよい。あるいは、効用関数は、関数f1と関数g1との積であってもよい。F1=f1である場合、f1(予約パターン)>t1となる予約パターンが選択され得る。また、F1=g1である場合、g1(予約パターン)>t1となる予約パターンが選択され得る。さらに、上述した効用関数は一例であって、効用関数は、組織90ごと又は資源ごとに、任意に設定され得る。これらのことは、以下に説明する他の効用関数についても同様である。
【0069】
図10は、
図5に示した再割り当て処理(S130)の詳細を示すフローチャートである。再割り当て部130は、資源情報を取得する(ステップS131)。再割り当て部130は、複数の再割り当てパターンを生成する(ステップS133)。具体的には、上述したように、再割り当て部130は、需要条件に関する資源について、複数のパターンで、資源情報において予約済み枠(枠80x)と空き枠(枠80a等)とを入れ替えることで、再割り当てを行う。
【0070】
図11は、実施の形態1にかかる再割り当ての方法を説明するための図である。例えば、ある資源について、現在の資源情報の利用可能状況では、10月20日には4つの空き枠(例えば枠80a)があり、10月21日には4つの予約済み枠(枠80x)があるとする。このとき、再割り当て部130は、10月20日の空き枠と10月21日の予約済み枠とを任意に入れ替える。これにより、例えば、
図11に例示した4つの再割り当てパターン#1~#4が生成される。
【0071】
再割り当てパターン#1では、10月20日に3つの空き枠及び1つの予約済み枠があり、10月21日に3つの予約済み枠及び1つの空き枠がある。再割り当てパターン#2では、10月20日に2つの空き枠及び2つの予約済み枠があり、10月21日に2つの予約済み枠及び2つの空き枠がある。再割り当てパターン#3では、10月20日に1つの空き枠及び3つの予約済み枠があり、10月21日に1つの予約済み枠及び3つの空き枠がある。再割り当てパターン#4では、10月20日に4つの予約済み枠があり、10月21日に4つの空き枠がある。なお、
図11の例では、空き枠と予約済み枠とが入れ替えられる期間を2日間(10月20日から10月21日)としたが、この期間は任意である。この期間は、ユーザによって適宜設定され得る。
【0072】
次に、再割り当て部130は、効用関数を用いて、S133の処理で生成された複数の再割り当てパターンごとに、効用値を算出する(ステップS135)。具体的には、再割り当て部130は、再割り当てパターンごとに、需要予測条件に関するパラメータを入力として、効用関数を計算し、効用値を算出する。
【0073】
再割り当て部130における効用関数F2は、例えば、以下の式5で表される。
F2=f2+g2 ・・・(5)
ここで、関数f2は、例えば、以下の式6で表される。
f2=(再割り当てパターン#xにおける商談到来予測分布による期待利益)-(再割り当て前の資源情報のパターンにおける商談到来予測分布による期待利益) ・・・(6)
また、関数g2は、例えば、以下の式7で表される。
【数2】
【0074】
ここで、関数f2は、組織90の儲けに関する関数である。また、関数g2は、納期に関する関数であり、上段の条件は顧客の納期を守れないことに対する自社(組織90)の不利益に対応し、下段の条件は組織90における在庫管理コストに対応する。なお、商談到来予測分布による期待利益は、商談到来予測分布において需要が高くなる日に空き枠が多ければ、大きくなる。また、式7の「希望納期」は、予約済み枠における商品等の希望納期に対応し、「提供日」は入れ替え後の予約済み枠の日に対応する。なお、効用関数F2は、実際に到来した商談条件を考慮して、以下の式8のように表されてもよい。
F2=(f1+f2)+(g1+g2) ・・・(8)
また、効用関数F2は、予約済み枠が特定の日に偏らないように、平準化された場合に値が高くなるような関数としてもよい。
【0075】
再割り当て部130は、予め定められた閾値を超える効用値があるか否かを判定する(ステップS137)。つまり、再割り当て部130は、各再割り当てパターンに関する効用値が予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。具体的には、再割り当て部130は、以下の式9が成り立つ再割り当てパターン#xがあるか否かを判定する。
F2(再割り当てパターン#x)>t2 ・・・(9)
【0076】
なお、t2は、予め定められた閾値である。閾値t2は、ユーザによって適宜設定され得る。閾値t2は、組織90の利益に関する。効用値が閾値t2を超える場合、予約済み枠に関する商談における希望納期を守り、かつ、組織90の必要な利益を確保しつつ、需要条件に対して商品等を提供可能であることを意味する。
【0077】
そして、閾値を超える効用値がある場合(S137のYES)、再割り当て部130は、効用値が最大となる再割り当てパターンを選択する(ステップS139)。そして、処理は、後述するS140に進む。一方、閾値を超える効用値がない場合(S137のNO)、再割り当て部130は、再割り当てを行わない。この場合、交渉動作決定部126は、枠数変更処理(S150)を行うと決定する。そして、処理は、後述するS150に進む。
【0078】
例えば、F2(再割り当てパターン#2)>F2(再割り当てパターン#x)>t2(但しx=1,3,4)である場合、再割り当て部130は、再割り当てパターン#2を選択する。この場合、再割り当て部130は、10月21日の4つの予約済み枠のうちの2つを10月20日に移行し、10月21日に2つの空き枠を設けると決定する。これにより、例えば10月21日に製造されるはずであった2つの商品A(又は資源A等)が、10月20日に製造されることとなる。これにより、希望納期と提供日との差が大きくなるのでg2の値は減少するものの、効用関数F2の値としては最大となる。なお、上述した例では、再割り当て部130は、効用値が最大となる再割り当てパターンを選択するとしたが、これに限られない。再割り当て部130は、例えば空き枠が少ない場合等では、上位n個(nは1以上の整数)の効用値の再割り当てパターンを選択してもよい。
【0079】
図12は、
図5に示したS140の処理の詳細を示すフローチャートである。顧客交渉部120のパターン生成部122は、S139の処理で選択された再割り当てパターンに対して、1つ以上の予約パターンを生成する(ステップS141)。具体的には、パターン生成部122は、商談に関する商品等の提供に要する資源を、再割り当てパターンにおける空き枠に割り当てることで、1つ以上の予約パターン(再割り当て後の予約パターン)を生成する。なお、再割り当て部130が上位n個の効用値の再割り当てパターンを選択した場合、パターン生成部122は、選択されたn個の再割り当てパターンそれぞれについて、予約パターン(再割り当て後の予約パターン)を生成してもよい。
【0080】
効用値算出部124は、効用関数を用いて、S141の処理で生成された予約パターンごとに、効用値を算出する(ステップS143)。つまり、効用値算出部124は、商談条件に必要な1つ以上の資源を、再割り当て部130によって選択された再割り当て後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成されるパターンごとに、商談条件の効用値を算出する。具体的には、効用値算出部124は、再割り当て後の予約パターンごとに、ある資源が割り当てられた枠80の属性を入力として、効用関数を計算し、効用値を算出する。なお、効用関数は、上記の式1で表されるものであってもよい。
【0081】
そして、交渉動作決定部126は、予め定められた閾値を超える効用値があるか否かを判定する(ステップS145)。具体的には、交渉動作決定部126は、上記の式4が成り立つ予約パターン#xがあるか否かを判定する。そして、閾値を超える効用値がある場合(S145のYES)、交渉動作決定部126は、効用値が最大となる予約パターンを選択する(ステップS147)。そして、交渉動作決定部126は、選択された予約パターンに応じた条件で商談を受諾すると決定する(ステップS148,S149のYES)。一方、閾値を超える効用値がない場合(S145のNO)、処理はS150に進む。つまり、交渉動作決定部126は、枠数変更処理を行うと決定する。S150の処理については後述する。
【0082】
上述したように、再割り当て部130は、資源情報の利用可能状況における割り当て済みの枠について仮想的に再割り当てを行うことで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて需要条件の効用値を算出する。そして、再割り当て部130は、算出された効用値に基づいて、再割り当て後のパターンを選択する。これにより、予約済み枠に関する商談における希望納期を守り、かつ、組織90の必要な利益を確保しつつ、需要条件に対して商品等を提供可能な再割り当てパターンを選択することができる。そして、その選択された再割り当てパターンで構成される予約パターンそれぞれの効用値から交渉動作を決定することで、現在の資源情報では組織90にとって適切な交渉を行うことができない場合でも、適切な交渉を行うことが可能となる。
【0083】
図13は、
図5に示した枠数変更処理(S150)の詳細を示すフローチャートである。枠数変更部140は、資源情報を取得する(ステップS151)。枠数変更部140は、複数の枠数変更パターンを生成する(ステップS153)。具体的には、上述したように、枠数変更部140は、需要条件に関する資源について、複数のパターンで、空き枠の数(枠数)を仮想的に変更することで、枠数変更を行う。なお、枠数変更は、枠数(空き枠の数)を増加させることと、枠数(空き枠の数)を減少させることとを含む。以下の説明では、主に、枠数を増加させる場合について述べる。
【0084】
図14及び
図15は、実施の形態1にかかる枠数変更の方法を説明するための図である。例えば、商談到来予測分布において、商品Xについて納期つまり需要日が10月21日であるとする。そして、商品Xに関する全ての資源について、10月20日及び10月21日の全ての枠が予約済みであるとする。この場合において、
図14の例では、全ての資源について、10月21日に、空き枠(枠80a)が仮想的に増加される。これにより、10月21日の枠の合計は、4つから5つに増加する。このようにして、枠数変更パターン#1が生成される。また、
図15の例では、全ての資源について、10月21日の、ある顧客Yについて予約済みの枠80x-A,80x-B,80x-E,80x-Fに関する商談をキャンセルすることで、空き枠(枠80a)が仮想的に増加される。この場合、10月21日の枠の合計は、4つのままである。このようにして、枠数変更パターン#2が生成される。なお、
図14及び
図15の例では、空き枠の数が変更される期間を2日間(10月20日から10月21日)としたが、この期間は任意である。この期間は、ユーザによって適宜設定され得る。なお、上述の例は、実際に到来した商品Xの商談について、納期が10月21日である場合にも適用され得る。つまり、実際に商談が到来した場合でも、
図14及び
図15に例示したような枠数変更パターンが生成されうる。
【0085】
次に、枠数変更部140は、効用関数を用いて、S153の処理で生成された複数の枠数変更パターンごとに、効用値を算出する(ステップS155)。具体的には、枠数変更部140は、枠数変更パターンごとに、需要予測条件に関するパラメータを入力として、効用関数を計算し、効用値を算出する。
【0086】
枠数変更部140における効用関数F3は、例えば、以下の式10で表される。
F3=f3 ・・・(10)
ここで、関数f3は、例えば、以下の式11で表される。
f3=(商談到来予測分布による期待利益)-(枠増加によるコスト) ・・・(11)
【0087】
ここで、関数f3は、組織90の儲けに関する関数である。また、「商談到来予測分布による期待利益」とは、商談到来予測分布基づいた、枠が埋まる(商談が成立する)ことによる期待利益である。また、「枠増加によるコスト」とは、例えば、
図14に例示するような枠の合計が増加する場合では、在庫を増加させるためのコストであってもよい。また、
図15に例示するような予約済みの商談をキャンセルする場合では、「枠増加によるコスト」とは、キャンセルすることによる逸失利益であってもよい。なお、枠数変更部140は、予約済みの商談をキャンセルした場合の効用値を算出する機能のみであってもよく、商談のキャンセルに係る交渉については、顧客交渉部120等が行ってもよい。あるいは、枠数変更部140が商談のキャンセルに係る交渉を行ってもよい。
【0088】
なお、効用関数F3は、関数f3に、関数g1,g2のような納期(在庫コスト)に関する関数を加算したものであってもよい。また、効用関数F3は、実際に到来した商談条件を考慮して、以下の式12のように表されてもよい。
F3=(f1+f3)+(g1) ・・・(12)
【0089】
枠数変更部140は、予め定められた閾値を超える効用値があるか否かを判定する(ステップS157)。つまり、枠数変更部140は、各枠数変更パターンに関する効用値が予め定められた閾値を超えるか否かを判定する。具体的には、枠数変更部140は、以下の式13が成り立つ枠数変更パターン#xがあるか否かを判定する。
F3(枠数変更パターン#x)>t3 ・・・(13)
【0090】
なお、t3は、予め定められた閾値である。閾値t3は、ユーザによって適宜設定され得る。閾値t3は、組織90の利益に関する。効用値が閾値t3を超える場合、組織90の必要な利益を確保しつつ、需要条件に対して商品等を提供可能であることを意味する。
【0091】
そして、閾値を超える効用値がある場合(S157のYES)、枠数変更部140は、効用値が最大となる枠数変更パターンを選択する(ステップS159)。そして、枠数変更部140は、選択された枠数変更パターンに対応する交渉条件を生成し、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160に対して出力する(ステップS160)。そして、処理はS170に進む。交渉条件の生成方法については後述する。一方、閾値を超える効用値がない場合(S157のNO)、枠数変更部140は、枠数変更処理を行わない。この場合、交渉動作決定部126は、対案を生成すると決定する。そして、処理はS190に進む。対案の生成方法については後述する。
【0092】
例えば、F3(枠数変更パターン#2)>F3(枠数変更パターン#x)>t3(但しx=1)である場合、枠数変更部140は、枠数変更パターン#2を選択する。この場合、枠数変更部140は、10月21日の各資源の顧客Yの商談条件Yについての予約済み枠をキャンセルし、それらの枠を空き枠にすると決定する。これにより、例えば、元々予約されていた商談条件Y(顧客Yが提示)よりも組織90にとって有利な商談条件X(顧客Xが提示)のために、資源を提供することができる。一方、F3(枠数変更パターン#1)>F3(枠数変更パターン#x)>t3(但しx=2)である場合、枠数変更部140は、枠数変更パターン#1を選択する。この場合、枠数変更部140は、10月21日の各資源の枠をそれぞれ1つずつ増加すると決定する。これにより、例えば、提示される可能性がある商談条件Y(顧客Yが提示)のために、資源を提供することができる。なお、上述した例では、枠数変更部140は、効用値が最大となる枠数変更パターンを選択するとしたが、これに限られない。枠数変更部140は、上位n個(nは1以上の整数)の効用値の枠数変更パターンを選択してもよい。この場合、S160の処理において、n個の枠数変更パターンそれぞれに対応する交渉条件が生成されてもよい。
【0093】
また、式12で示した効用関数F3により、現在の資源情報では、商談到来予測における需要日(納期)に間に合わない場合であっても、商談条件に係る商品等に必要な資源に割り当てられる枠を確保することができる可能性がある。例えば、商談到来予測分布において需要が高まる日が10月21日である場合、現在の資源情報が
図14及び
図15の上図に示すような状態だと、商談条件を受諾できない。しかしながら、式12で示した効用関数F3で閾値を超える効用値となるような枠数変更パターンが選択されると、その枠数変更パターンでは、10月21日の需要日に間に合うように、必要な資源を割り当てるための枠が増加される。
【0094】
また、式12で示した効用関数F3により、現在の資源情報では、実際に到来した商談条件における納期に間に合わない場合であっても、商談条件に係る商品等に必要な資源に割り当てられる枠を確保することができる可能性がある。例えば、実際に到来した商談条件における納期が10月21日である場合、現在の資源情報が
図14及び
図15の上図に示すような状態だと、商談条件を受諾できない。しかしながら、式12で示した効用関数F3で閾値を超える効用値となるような枠数変更パターンが選択されると、その枠数変更パターンでは、10月21日の納期に間に合うように、必要な資源を割り当てるための枠が増加される。
【0095】
ここで、交渉条件について説明する。交渉条件は、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160が交渉を行う際の条件である。枠数変更部140は、予め定められた交渉規則に従って、組織90にとって利益が発生するように、選択された枠数変更パターンに対応する交渉条件ωを生成する。ここで、交渉条件ωは、要素として、例えば、枠数変更パターンにおいて増加した枠に対応する資源、納期、価格、数量等を含み得る。なお、交渉条件ωは、交渉相手、つまり資源を供給する立場の組織からみると、上述した商談条件に対応し得る。
【0096】
また、交渉規則は、交渉条件ωを入力とした効用関数F3の値が閾値t3を超えるように、交渉条件ωが生成されるように設定されている。例えば、交渉規則は、交渉条件ωにおける価格が、(枠増加によるコスト)+t3+α3となるように、設定され得る。また、交渉規則は、交渉条件ωにおける納期が、(枠数変更パターンにおいて増加された日付)-m3となるように、設定され得る。なお、α3及びm3は、ユーザによって適宜設定されてもよいし、機械学習によって得られた最適値としてもよい。なお、交渉規則は、交渉条件ωを入力とした効用関数F1の値が閾値t1を超えるように、交渉条件ωが生成されるように設定されていてもよい。
【0097】
なお、商談到来予測分布により需要が減少すると予想される場合などでは、枠数変更部140は、上述したように、空き枠の数(枠数)を減少させた枠数変更パターンを生成し、この枠数変更パターンについて効用値を算出してもよい。枠数を減少させる場合の効用関数F3における関数f3は、例えば、以下の式14で表される。
f3=(枠数を減少させることによる利益)-(枠数調整によるコスト) ・・・(14)
ここで、「枠数を減少させることによる利益」とは、例えば、減少させる枠に対応する資源を調達するコストの減少による利益、及び、在庫コストの減少による利益である。
【0098】
図16は、実施の形態1にかかる、枠を増加するための交渉動作を説明するための図である。
図16は、
図2に示した組織90Aから見た交渉動作を示している。交渉動作Iは、組織90Aの内部資源を割り当てるための枠を確保するための交渉動作である。この交渉動作Iは、内部資源交渉部150によって実行され得る。
【0099】
交渉動作Pは、サプライヤである組織90S(層n+1)から資源を調達して枠を確保するための交渉動作である。交渉動作Zは、同業者である組織90B(層n)から資源を調達して枠を確保するための交渉動作である。交渉動作Mは、顧客である組織90Cから到来し既に受諾した商談をキャンセルすることで、他の顧客からの商談についての資源に割り当てる枠を確保するための交渉動作である。交渉動作P、交渉動作Z及び交渉動作Mは、外部資源交渉部160によって実行され得る。
【0100】
枠数変更部140による上述した処理によって、これらの交渉動作のうち、効用関数F3の値がよくなるような交渉動作が決定され得る。例えば、枠数変更部140は、交渉動作Mに対応する枠数変更パターン(
図15に例示した枠数変更パターン#2)に対する効用値と、交渉動作Pに対応する枠数変更パターン(
図14に例示した枠数変更パターン#1)に対する効用値とを比較する。そして、交渉動作Pに対応する枠数変更パターンの効用値の方が、交渉動作Mに対応する枠数変更パターンの効用値よりも大きい場合、商談をキャンセルする方が、資源を追加発注するよりもコストがかかると判断できる。したがって、この場合は、交渉動作Pに対応する枠数変更パターンが選択され、交渉動作Pを行うと決定される。
【0101】
図17及び
図18は、
図5に示した交渉動作実行処理(S170)の詳細を示すフローチャートである。
図17は、内部資源交渉部150による交渉動作実行処理を示すフローチャートである。
図18は、外部資源交渉部160による交渉動作実行処理を示すフローチャートである。S170の処理によって商談が成立すると、実際に枠が確保され得ることとなる。なお、S170の処理で、いずれの交渉動作においても商談が成立しなかった場合、S190の処理が行われてもよい。なお、以下の
図17及び
図18の説明においては、
図16における組織90Aの交渉装置100Aにおける動作を説明する。
【0102】
図17に示したフローチャートについて説明する。内部資源交渉部150は、枠数変更部140から、交渉条件ωを取得する(ステップS171A)。内部資源交渉部150は、交渉条件ωを元に、新たな商談条件を生成する(ステップS172A)。なお、内部資源交渉部150は、通信部106を介して、交渉相手の交渉装置100に、生成された商談条件を送信してもよい。あるいは、内部資源交渉部150は、生成された商談条件をインタフェース部108に出力し、出力された商談条件を、ユーザが、交渉相手の交渉装置100に入力してもよい。なお、ここでいう「交渉相手の交渉装置100」は、同じ組織90Aに設けられている別の交渉装置100である。
【0103】
例えば、内部資源交渉部150は、予め定められた商談生成ルールf4と交渉条件ωとによって、商談条件f4(ω)を生成する。例えば、ω=(ライン稼働,製品Xを2個組み立てる,YY月ZZ日)とする。この交渉条件は、「ラインを稼働して、YY月ZZ日までに、製品Xを2個組み立てる」という条件である。また、f4を、「取得した交渉条件ωを満たす商談をランダムに1つ生成」とする。この場合、内部資源交渉部150は、例えば以下の式15で表される商談条件f4(ω)を生成する。
f4(ω)=(ライン稼働,特定の技術を持つ人を2人,3時間) ・・・(15)
なお、この商談条件は、「ラインを稼働して、特定の技術を持つ2人の作業員を3時間勤務させる」ことを意味する。
【0104】
そして、内部資源交渉部150は、交渉相手からの商談条件f4に対する回答情報を取得する(ステップS173A)。なお、内部資源交渉部150は、通信部106を介して交渉相手の交渉装置100から回答情報を受信することで、回答情報を取得してもよい。あるいは、交渉相手の交渉装置100から出力された回答情報を、ユーザが、インタフェース部108を用いて入力することで、内部資源交渉部150は、回答情報を取得してもよい。なお、回答情報は、交渉相手が商談条件f4(ω)を受諾したことを示す情報、あるいは、対案ω’を含み得る。対案ω’の生成方法については後述するS190における方法と実質的に同様である。
【0105】
内部資源交渉部150は、回答情報が商談条件を受諾したことを示しているか否かを判定する(ステップS174A)。回答情報が商談条件を受諾したことを示している場合(S174AのYES)、内部資源交渉部150は、商談が成立したと判定し、処理を終了する。一方、回答情報が商談条件を受諾したことを示していない場合(S174AのNO)、内部資源交渉部150は、回答情報に対案が存在するか否かを判定する(ステップS175A)。対案が存在しない場合(S175AのNO)、内部資源交渉部150は、商談は破棄されたと判定し、処理を終了する。
【0106】
一方、対案が存在する場合(S175AのYES)、内部資源交渉部150は、対案ω’が交渉条件ωを満たすか否かを判定する(ステップS176A)。上述の例において、対案ω’が、ω’=(ライン稼働,特定の技術を持つ人を3人,2時間)であるとする。なお、この対案は、「ラインを稼働して、特定の技術を持つ3人の作業員を2時間勤務させる」ことを意味する。そして、内部資源交渉部150は、対案ω’が交渉条件ωと整合するか否かを判定し、整合する場合に、対案ω’が交渉条件ωを満たすと判定する。
【0107】
対案ω’が交渉条件ωを満たす場合(S176AのYES)、内部資源交渉部150は、商談が成立したと判定し、処理を終了する。一方、対案ω’が交渉条件ωを満たさない場合(S176AのNO)、内部資源交渉部150は、予め定められた交渉時間が満了したか否かを判定する(ステップS177A)。なお、S177Aの処理において、交渉時間の満了ではなく、交渉回数(商談条件の送信及び回答情報の受信のやりとりの回数)が予め定められた回数を超えたか否かを判定してもよい。交渉時間が満了した場合(S177AのYES)、内部資源交渉部150は、商談は破棄されたと判定し、処理を終了する。一方、交渉時間が満了した場合(S177AのNO)、内部資源交渉部150は、S172からの処理を繰り返す。このとき、生成される商談条件は、既に生成された商談条件とは異なることが望ましい。
【0108】
図18に示したフローチャートについて説明する。外部資源交渉部160は、枠数変更部140から、交渉条件ωを取得する(ステップS171B)。外部資源交渉部160は、交渉条件ωを元に、新たな商談条件を生成する(ステップS172B)。なお、外部資源交渉部160は、通信部106を介して、交渉相手の交渉装置100に、生成された商談条件を送信してもよい。あるいは、外部資源交渉部160は、生成された商談条件をインタフェース部108に出力し、出力された商談条件を、ユーザが、交渉相手の交渉装置100に入力してもよい。なお、ここでいう「交渉相手の交渉装置100」は、組織90Aとは異なる組織90に設けられている別の交渉装置100である。そして、外部資源交渉部160は、交渉動作P及び交渉動作Zを、並行して行ってもよい。さらに、外部資源交渉部160は、複数の組織90Sに対して、並行して、商談条件を送信してもよい。また、外部資源交渉部160は、予め定められたリストに記載された順に、組織90Sに商談条件を送信してもよい。
【0109】
例えば、外部資源交渉部160は、予め定められた商談生成ルールf5と交渉条件ωとによって、商談条件f5(ω)を生成する。例えば、組織90Cから組織90Aに到来した商談が「自動車」の提供に関するとする。この場合、例えば、ω=(エンジン,2つ,4万円以下)とする。この交渉条件は、「サプライヤ(組織90S)がエンジン2つを4万円以下で提供する」(つまり「組織90Aがエンジン2つを4万円以下で購入する」ということと同義。以下の商談条件について同様)という条件である。また、f5を、「取得した交渉条件ωを満たす商談をランダムに1つ生成」とする。この場合、外部資源交渉部160は、例えば以下の式16で表される商談条件f5(ω)を生成する。
f5(ω)=(エンジン,2つ,3万円) ・・・(16)
なお、この商談条件は、「サプライヤがエンジン2つを3万円で提供する」ことを意味する。
【0110】
そして、外部資源交渉部160は、交渉相手からの商談条件f5に対する回答情報を取得する(ステップS173B)。なお、外部資源交渉部160は、通信部106を介して交渉相手の交渉装置100から回答情報を受信することで、回答情報を取得してもよい。あるいは、交渉相手の交渉装置100から出力された回答情報を、ユーザが、インタフェース部108を用いて入力することで、外部資源交渉部160は、回答情報を取得してもよい。なお、回答情報は、交渉相手が商談条件f5(ω)を受諾したことを示す情報、あるいは、対案ω’を含み得る。対案ω’の生成方法については後述する。
【0111】
外部資源交渉部160は、回答情報が商談条件を受諾したことを示しているか否かを判定する(ステップS174B)。回答情報が商談条件を受諾したことを示している場合(S174BのYES)、外部資源交渉部160は、商談が成立したと判定し、処理を終了する。一方、回答情報が商談条件を受諾したことを示していない場合(S174BのNO)、外部資源交渉部160は、回答情報に対案が存在するか否かを判定する(ステップS175B)。対案が存在しない場合(S175BのNO)、外部資源交渉部160は、商談は破棄されたと判定し、処理を終了する。
【0112】
一方、対案が存在する場合(S175BのYES)、外部資源交渉部160は、対案ω’が交渉条件ωを満たすか否かを判定する(ステップS176B)。上述の例において、対案ω’が、ω’=(エンジン,2つ,5万円)であるとする。なお、この対案は、「サプライヤがエンジン2つを5万円で提供する」ことを意味する。そして、外部資源交渉部160は、対案ω’が交渉条件ωと整合するか否かを判定し、整合する場合に、対案ω’が交渉条件ωを満たすと判定する。
【0113】
対案ω’が交渉条件ωを満たす場合(S176BのYES)、外部資源交渉部160は、商談が成立したと判定し、処理を終了する。一方、対案ω’が交渉条件ωを満たさない場合(S176BのNO)、外部資源交渉部160は、予め定められた交渉時間が満了したか否かを判定する(ステップS177B)。なお、S177Bの処理において、交渉時間の満了ではなく、交渉回数(商談条件の送信及び回答情報の受信のやりとりの回数)が予め定められた回数を超えたか否かを判定してもよい。交渉時間が満了した場合(S177BのYES)、外部資源交渉部160は、商談は破棄されたと判定し、処理を終了する。一方、交渉時間が満了した場合(S177BのNO)、外部資源交渉部160は、S172からの処理を繰り返す。このとき、生成される商談条件は、既に生成された商談条件とは異なることが望ましい。なお、上述した対案ω’では、交渉条件ωを満たさないので、交渉時間が満了していなければ、再度、商談条件が生成される。
【0114】
図19は、
図5に示したS180の処理の詳細を示すフローチャートである。顧客交渉部120のパターン生成部122は、S159の処理で選択された枠数変更パターンに対して、1つ以上の予約パターンを生成する(ステップS181)。具体的には、パターン生成部122は、商談に関する商品等の提供に要する資源を、枠数変更パターンにおける空き枠に割り当てることで、1つ以上の予約パターン(枠数変更後の予約パターン)を生成する。
【0115】
効用値算出部124は、効用関数を用いて、S181の処理で生成された予約パターンごとに、効用値を算出する(ステップS183)。つまり、効用値算出部124は、商談条件に必要な1つ以上の資源を、枠数変更部140によって選択された枠数変更後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成されるパターンごとに、商談条件の効用値を算出する。具体的には、効用値算出部124は、枠数変更後の予約パターンごとに、S160で生成された交渉条件ω、又は、対案ω’を入力として、効用関数を計算し、効用値を算出する。なお、効用関数は、上記の式1で表されるものであってもよい。
【0116】
そして、交渉動作決定部126は、予め定められた閾値を超える効用値があるか否かを判定する(ステップS185)。具体的には、交渉動作決定部126は、上記の式4が成り立つ予約パターン#xがあるか否かを判定する。そして、閾値を超える効用値がある場合(S185のYES)、交渉動作決定部126は、効用値が最大となる予約パターンを選択する(ステップS187)。そして、交渉動作決定部126は、選択された予約パターンに応じた条件で商談を受諾すると決定する(ステップS188,S189のYES)。
【0117】
一方、閾値を超える効用値がない場合(S185のNO)、処理はS190に進む。つまり、交渉動作決定部126は、対案を生成すると決定する。これにより、顧客交渉部120は、顧客からの商談条件ω0に対する対案ω0’を生成する(S190)。対案の生成方法については後述する。
【0118】
上述したように、枠数変更部140は、資源情報の前記利用可能状況における各資源を供給するための枠の数を仮想的に変更することで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて需要条件の効用値を算出する。そして、枠数変更部140は、算出された効用値に基づいて、枠の数を変更した後のパターンを選択する。これにより、需要条件における需要日(納期)に応じて、組織90の必要な利益を確保しつつ、需要に対応する資源に関する枠の数を適切に変更することができる。特に、現在の資源情報では需要条件における需要日(納期)に商品等を提供できない場合であっても、組織90の必要な利益を確保しつつ、必要な資源を割り当てるための枠を確保することができる。
【0119】
また、上述したように、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160は、予め定められた閾値を超える効用値となるパターンに関する条件に基づいて、新たな商談条件を生成する。そして、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160は、回答情報に応じて、新たな商談条件の成立の有無を判定する。これにより、組織90の利益が確保されるように、効率的に、資源を確保するための交渉を行うことが可能となる。つまり、上記のような構成によって、顧客と自己の組織とサプライヤといった三者間の交渉が必要である場合であっても、自己の組織の必要な利益を確保しつつ、効率的に、交渉を行うことが可能となる。
【0120】
図20は、
図5に示した対案生成処理(S190)の詳細を示すフローチャートである。顧客交渉部120は、顧客からの商談条件ω
0を取得する(ステップS191)。顧客交渉部120は、予め定められた対案生成規則Cに従って、予約パターンPを選択する(ステップS193)。なお、対案生成規則Cは、ユーザによって予め設定されたものであってもよい。あるいは、対案生成規則Cは、機械学習によって学習された学習済みモデルであってもよい。そして、顧客交渉部120は、対案生成規則Cに従って、S193で選択された予約パターンPから対案ω
0’を生成する(ステップS195)。
【0121】
ここで、商談条件ω0における納期では商品等を提供できない場合の対案生成規則Cの例について説明する。S193の処理について、対案生成規則Cでは、「確約できる最短納期の予約パターンのうちの1つを、予約パターンPとして無作為に選ぶ」と規定されている。また、S195の処理について、対案生成規則Cでは、「予約パターンPに対して、閾値t1を超える効用値rが見込める対案ω0’を生成する。そのような予約パターンPが複数ある場合は、その中から無作為に1つ選ぶ」と規定されている。この場合、顧客が対案ω0’を受諾すると、予約パターンPの効用値rが閾値t1を超えているので、組織90としての利益を確保することができる。
【0122】
図21は、到来した商談条件における納期を満たせない資源情報を例示する図である。
図21の例では、10月20日の枠に、顧客A及び顧客Bの商談にかかる商品等に要する資源が割り当てられている。したがって、10月20日では、全ての資源について、全ての枠が予約済みである。また、10月21日の枠に、顧客Cの商談にかかる商品等に要する資源が割り当てられている。したがって、10月21日では、全ての資源について、1つの枠が空き枠(枠80a)である。そして、顧客Gから、納期が10月20日である商談が到来したとする。
【0123】
図21の例の場合、顧客交渉部120は、確約できる最短納期を「10月21日」と判定する。したがって、S193の処理で、顧客交渉部120は、10月21日の空き枠(枠80a)に顧客Gの商談に係る資源を割り当てる予約パターンPを選択する。そして、商談条件ω
0に納期以外の要素(例えば価格)がある場合、「閾値t1を超える効用値rが見込める」ようにするという対案生成規則Cに従って、顧客交渉部120は、商談条件ω
0における価格を上回るように、売値を設定する。例えば、空き枠の属性から、商品を150万円で提供できるが、50万円の利益を見込みたい場合、売値は200万円と決定される。この場合、(200万円,10月21日)という対案ω
0’が生成される。
【0124】
なお、上述した対案生成規則Cは、あくまでも一例であって、対案生成規則Cは、上述した例に限られない。例えば、S193にかかる対案生成規則Cを、「納期に間に合わない要因となる資源に類似し納期に間に合う資源を提供する予約パターンのうちの1つを、予約パターンPとして無作為に選ぶ」としてもよい。例えば、商品Aに関する商談条件について、資源Aの枠が納期よりも後となってしまう場合、資源Aに類似する資源A’であれは納期以前に枠を確保できるならば、資源A’に関する予約パターンを選択してもよい。例えば、商品Aが「自動車」であり、資源Aが「革張りシート」である場合に、資源A’が「布張りシート」といったケースが考えられる。なお、資源A’が資源Aに類似するか否かの判定は、資源A’と資源Aとの類似度が予め定められた閾値を超えるか否かを判定することで行われ得る。また、S193にかかる対案生成規則Cを、「納期に間に合わない要因となる資源の枠がATP枠である場合、その資源について納期に間に合うCTPの枠を確保した場合の予約パターンのうちの1つを、予約パターンPとして無作為に選ぶ」としてもよい。
【0125】
<具体例>
図22及び
図23は、実施の形態1にかかる交渉装置100による処理の具体例を説明するための図である。前提として、
図21の例のような状況であったとする。この場合、再割り当て部130は、10月20日における顧客Aにかかる資源が割り当てられている枠と、10月21日における空き枠80aとを入れ替えた再割り当てパターン#1を生成する。同様に、再割り当て部130は、10月20日における顧客Bにかかる資源が割り当てられている枠と、10月21日における空き枠80aとを入れ替えた再割り当てパターン#2を生成する(S133)。
【0126】
そして、
図22の例では、再割り当て部130は、再割り当てパターン#1の効用値が再割り当てパターン#2の効用値よりも大きいと判定する(S137のYES,S139)。つまり、F2(再割り当てパターン#1)>t2、かつ、F2(再割り当てパターン#1)>F2(再割り当てパターン#2)である。したがって、再割り当て部130は、10月20日における顧客Aにかかる資源が割り当てられている枠と、10月21日における空き枠80aとを入れ替えた再割り当てパターン#1を選択する。そして、顧客交渉部120は、この再割り当てパターン#1にかかる予約パターンで効用値が閾値を超えれば(S145のYES)、
図22に示したような予約パターンで、商談を受諾すると決定する(S148)。
【0127】
一方、
図23の例では、再割り当て部130は、再割り当てパターン#2の効用値が再割り当てパターン#1の効用値よりも大きいと判定する(S137のYES、S139)。つまり、F2(再割り当てパターン#2)>t2、かつ、F2(再割り当てパターン#2)>F2(再割り当てパターン#1)である。したがって、再割り当て部130は、10月20日における顧客Bにかかる資源が割り当てられている枠と、10月21日における空き枠80aとを入れ替えた再割り当てパターン#2を選択する。そして、顧客交渉部120は、この再割り当てパターン#2にかかる予約パターンで効用値が閾値を超えれば(S145のYES)、
図23に示したような予約パターンで、商談を受諾すると決定する(S148)。
【0128】
なお、上述した実施の形態1にかかる交渉装置100によって実行される交渉方法(
図5)において、処理の流れは、
図5に示したものに限定されない。例えば、交渉装置100は、再割り当て処理(S130)と枠数変更処理(S150)とを、並行して実行してもよい。この場合、交渉動作決定部126は、再割り当て処理によって選択された再割り当てパターンの効用値と、枠数変更処理によって選択された枠数変更パターンの効用値とを比較してもよい。この場合、枠数変更パターンの効用値が閾値を超え、かつ、再割り当てパターンの効用値よりも大きい場合、交渉動作決定部126は、枠数変更パターンに対応する交渉動作を決定してもよい。同様に、
図5のS104の処理で空き枠がある場合、交渉装置100は、S110の処理とS130の処理とを並行して実行し、効用値が高いパターンを選択してもよい。さらに、空き枠がある場合に、交渉装置100は、S110の処理とS130の処理とS150の処理とを並行して実行し、効用値が高いパターンを選択してもよい。
【0129】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、再割り当て処理及び枠数変更処理が、商談が到来する前に実行される。実施の形態2にかかる交渉装置100の構成については、実施の形態1にかかる構成と実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0130】
図24は、実施の形態2にかかる交渉装置100によって実行される交渉方法を示すフローチャートである。まず、交渉装置100は、需要予測条件及び資源情報を取得する(ステップS202)。具体的には、条件取得部112は、需要条件である需要予測条件を取得する。また、資源情報取得部114は、組織90における現在の資源の利用可能状況を示す資源情報を取得する。
【0131】
次に、再割り当て部130は、S130の処理と同様にして、再割り当て処理を実行する(ステップS210)。また、枠数変更部140は、S150の処理と同様にして、枠数変更処理を実行する(ステップS220)。また、内部資源交渉部150及び外部資源交渉部160の少なくとも一方は、S170の処理と同様にして、S220の処理結果に応じた交渉動作を実行する(ステップS230)。ここで、S210の処理とS220及びS230の処理とは、並行して行われ得る。そして、商談が到来すると(ステップS240のYES)、S102~S190の処理が実行される(ステップS250)。一方、商談が到来しない場合(S240のNO)、処理はS202に戻る。
【0132】
上述したように、実施の形態2では、再割り当て部130は、顧客から商談が到来する前に、需要予測条件を用いて、再割り当て後のパターンを選択する処理を行う。同様に、実施の形態2では、枠数変更部140は、顧客から商談が到来する前に、需要予測条件を用いて、枠の数を変更した後のパターンを選択する処理を行う。このように、再割り当て処理及び枠数変更処理が、商談が到来する前に実行されることによって、資源情報が、需要予測に対応したものに変更され得る。この場合、S250における、S130、S150,S170といった処理が行われることなく、商談が成立し得る。したがって、実施の形態2にかかる交渉装置100は、実際の商談が到来したときの処理を、効率的に実行することができる。
【0133】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、
図5等に示したフローチャートの各処理の順序は、適宜、変更可能である。また、
図5等に示したフローチャートの処理の1つ以上は、なくてもよい。例えば、
図4のフローチャートにおいて、S130~S189の処理を省略してもよい。また、例えば、
図4のフローチャートにおいて、S150~S189の処理を省略してもよい。例えば、
図4のフローチャートにおいて、S130~S149の処理を省略してもよい。また、S170とS180の順序は逆でもよい。
【0134】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0135】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0136】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含む需要条件を取得する条件取得手段と、
商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出する算出手段と、
算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定する動作決定手段と、
を有する交渉装置。
(付記2)
前記算出手段は、前記資源情報に応じた複数の実現可能なパターンごとに、前記効用値を算出し、
前記動作決定手段は、予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに応じて、前記交渉動作を決定する、
付記1に記載の交渉装置。
(付記3)
前記動作決定手段は、前記閾値を超える前記効用値のうち最大となる前記効用値となる前記パターンに応じて、前記交渉動作を決定する、
付記2に記載の交渉装置。
(付記4)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記動作決定手段は、前記効用値に基づいて、前記商談条件を受諾するか否かを決定する、
付記1から3のいずれか1項に記載の交渉装置。
(付記5)
前記算出手段は、前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
前記動作決定手段は、予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記商談条件を受諾すると決定する、
付記4に記載の交渉装置。
(付記6)
前記資源情報の前記利用可能状況における割り当て済みの枠について仮想的に再割り当てを行うことで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、再割り当て後のパターンを選択する再割り当て手段
をさらに有する付記1から5のいずれか1項に記載の交渉装置。
(付記7)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記算出手段は、前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンがない場合に、前記再割り当て手段は、前記再割り当て後のパターンを選択する動作を行う、
付記6に記載の交渉装置。
(付記8)
前記算出手段は、前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記再割り当て手段によって選択された前記再割り当て後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
前記動作決定手段は、予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記商談条件を受諾すると決定する、
付記7に記載の交渉装置。
(付記9)
前記資源情報の前記利用可能状況における各資源を供給するための枠の数を仮想的に変更することで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、枠の数を変更した後のパターンを選択する枠数変更手段
をさらに有する付記1から8のいずれか1項に記載の交渉装置。
(付記10)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記算出手段は、前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンがない場合に、前記枠数変更手段は、前記枠の数を変更した後のパターンを選択する動作を行う、
付記9に記載の交渉装置。
(付記11)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記算出手段は、前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記枠数変更手段によって選択された前記枠の数を変更した後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
前記動作決定手段は、予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記商談条件を受諾すると決定する、
付記9又は10に記載の交渉装置。
(付記12)
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件に基づいて、枠数変更に伴って前記変更された枠に割り当てられる資源に関する新たな商談に関する新たな商談条件を生成し、生成された前記商談条件に応じて他の交渉装置によって生成された、前記変更された枠に割り当てられる資源に関する前記商談条件に対する回答を示す回答情報に応じて、前記新たな商談条件の成立の有無を判定する資源交渉手段
をさらに有する付記9から11のいずれか1項に記載の交渉装置。
(付記13)
前記再割り当て手段は、顧客から商談が到来する前に、前記需要条件である需要予測条件を用いて、再割り当て後のパターンを選択する処理を行う、
付記6に記載の交渉装置。
(付記14)
前記枠数変更手段は、顧客から商談が到来する前に、前記需要条件である需要予測条件を用いて、枠の数を変更した後のパターンを選択する処理を行う、
付記9に記載の交渉装置。
(付記15)
商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含む需要条件を取得し、
商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出し、
算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定する、
交渉方法。
(付記16)
前記資源情報に応じた複数の実現可能なパターンごとに、前記効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに応じて、前記交渉動作を決定する、
付記15に記載の交渉方法。
(付記17)
前記閾値を超える前記効用値のうち最大となる前記効用値となる前記パターンに応じて、前記交渉動作を決定する、
付記16に記載の交渉方法。
(付記18)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記効用値に基づいて、前記商談条件を受諾するか否かを決定する、
付記15から17のいずれか1項に記載の交渉方法。
(付記19)
前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記商談条件を受諾すると決定する、
付記18に記載の交渉方法。
(付記20)
前記資源情報の前記利用可能状況における割り当て済みの枠について仮想的に再割り当てを行うことで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、再割り当て後のパターンを選択する、
付記15から19のいずれか1項に記載の交渉方法。
(付記21)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンがない場合に、前記再割り当て後のパターンを選択する動作を行う、
付記20に記載の交渉方法。
(付記22)
前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、選択された前記再割り当て後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記商談条件を受諾すると決定する、
付記21に記載の交渉方法。
(付記23)
前記資源情報の前記利用可能状況における各資源を供給するための枠の数を仮想的に変更することで構成される複数のパターンごとに、予め定められた効用関数を用いて算出された前記需要条件の効用値に基づいて、枠の数を変更した後のパターンを選択する、
付記15から22のいずれか1項に記載の交渉方法。
(付記24)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、前記資源情報における現在の利用可能状況における複数の枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンがない場合に、前記枠の数を変更した後のパターンを選択する動作を行う、
付記23に記載の交渉方法。
(付記25)
前記需要条件は、顧客からの商談に関する商談条件を含み、
前記商談条件に必要な1つ以上の資源を、選択された前記枠の数を変更した後のパターンにおける枠のどれに割り当てるかに応じて構成される複数のパターンごとに、前記商談条件の効用値を算出し、
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件で、前記商談条件を受諾すると決定する、
付記23又は24に記載の交渉方法。
(付記26)
予め定められた閾値を超える前記効用値となる前記パターンに関する条件に基づいて、枠数変更に伴って前記変更された枠に割り当てられる資源に関する新たな商談に関する新たな商談条件を生成し、生成された前記商談条件に応じて他の交渉方法によって生成された、前記変更された枠に割り当てられる資源に関する前記商談条件に対する回答を示す回答情報に応じて、前記新たな商談条件の成立の有無を判定する、
付記23から25のいずれか1項に記載の交渉方法。
(付記27)
顧客から商談が到来する前に、前記需要条件である需要予測条件を用いて、再割り当て後のパターンを選択する処理を行う、
付記20に記載の交渉方法。
(付記28)
顧客から商談が到来する前に、前記需要条件である需要予測条件を用いて、枠の数を変更した後のパターンを選択する処理を行う、
付記23に記載の交渉方法。
(付記29)
商品又は役務の需要に関する1つ以上の要素を含む需要条件を取得するステップと、
商品又は役務の提供に要する1つ以上の資源の利用可能状況を示す資源情報に基づいて、予め定められた効用関数を用いて、取得された前記需要条件の効用値を算出するステップと、
算出された前記効用値に基づいて、商品又は役務の提供のための交渉に関する動作である交渉動作を決定するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0137】
1 交渉装置
2 条件取得部
4 算出部
6 動作決定部
20 交渉システム
80 枠
90 組織
100 交渉装置
112 条件取得部
114 資源情報取得部
120 顧客交渉部
122 パターン生成部
124 効用値算出部
126 交渉動作決定部
130 再割り当て部
140 枠数変更部
150 内部資源交渉部
160 外部資源交渉部