(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ワイパ駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 7/06 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
H02P7/06 G
(21)【出願番号】P 2022014171
(22)【出願日】2022-02-01
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 大雅
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-123596(JP,A)
【文献】特開2018-102042(JP,A)
【文献】特開2017-043274(JP,A)
【文献】特開2011-216683(JP,A)
【文献】特開2010-158131(JP,A)
【文献】特開2002-37032(JP,A)
【文献】特開2002-37034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパモータ(100)を回転させることによりワイパを駆動させるワイパ駆動装置であって、
前記ワイパモータに接続されている配線(37、47)と、
オンすることにより、前記配線を介して前記ワイパモータに電圧を印加させることで前記ワイパモータを回転させる駆動素子(39、49)と、
前記駆動素子がオフされた際にオンすることにより、前記ワイパモータの回転エネルギに対応する電流を流させることにて前記ワイパモータを制動させる制動素子(57)と、
前記ワイパモータを制動させてから前記配線の電位(V_Lo、V_Hi)が所定電位(V_Lo_th、V_Hi_th)以下になるまでの時間が、前記制動素子が正常であるときにおける前記時間よりも長い所定時間以上であるとき、前記制動素子が異常であると判定する判定部(60)と、
を備えるワイパ駆動装置。
【請求項2】
ワイパモータ(100)を回転させることによりワイパを駆動させるワイパ駆動装置であって、
前記ワイパモータに接続されている配線(37、47)と、
オンすることにより、前記配線を介して前記ワイパモータに電圧を印加させることで前記ワイパモータを回転させる駆動素子(39、49)と、
前記駆動素子がオフされた際にオンすることにより、前記ワイパモータの回転エネルギに対応する電流を流させることにて前記ワイパモータを制動させる制動素子(57)と、
前記ワイパモータを制動させてから前記配線の電位(V_Lo、V_Hi)の単位時間当たりの減少量が、前記制動素子が正常であるときにおける前記減少量よりも小さい所定量以下であるとき、前記制動素子が異常であると判定する判定部(60)と、
を備えるワイパ駆動装置。
【請求項3】
前記制動素子は、前記駆動素子がオフされた後にオンする請求項1または2に記載のワイパ駆動装置。
【請求項4】
前記制動素子は、前記駆動素子がオンされている状態でオンされると自動でオフされる請求項1ないし3のいずれか1つに記載のワイパ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイパ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、ワイパモータと、第1の半導体スイッチ素子と、第2の半導体スイッチ素子と、コントローラと、を有するワイパ制御装置が知られている。第1の半導体スイッチ素子は、ワイパモータへの通電をオンオフする。第2の半導体スイッチ素子は、ワイパモータへの通電のオフ時にワイパモータに逆電流が流れることによりブレーキがかけられる閉回路をオンする。コントローラは、第1および第2の半導体スイッチ素子のオンオフを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の検討によれば、特許文献1に記載されたワイパ制御装置において、ブレーキ時におけるワイパモータにかかる電圧を検出することで、第2の半導体スイッチ素子がオンできない等の異常を検出することが考えられる。しかし、ワイパモータのインピーダンスが比較的低いことから、停止時におけるワイパモータにかかる電圧は、ワイパモータに接続されたグラウンド等にかかる電圧と同じになる。このため、停止時におけるワイパモータにかかる電圧の変化量は比較的小さい。したがって、停止時におけるワイパモータにかかる電圧を検出し、検出した電圧を閾値判定等するだけでは、半導体スイッチ素子の異常を検出することは困難である。
【0005】
本開示は、ワイパモータを制動させる素子の異常を容易に検出できるワイパ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ワイパモータ(100)を回転させることによりワイパを駆動させるワイパ駆動装置であって、ワイパモータに接続されている配線(37、47)と、オンすることにより、配線を介してワイパモータに電圧を印加させることでワイパモータを回転させる駆動素子(39、49)と、駆動素子がオフされた際にオンすることにより、ワイパモータの回転エネルギに対応する電流を流させることにてワイパモータを制動させる制動素子(57)と、ワイパモータを制動させてから配線の電位(V_Lo、V_Hi)が所定電位(V_Lo_th、V_Hi_th)以下になるまでの時間が、制動素子が正常であるときにおける時間よりも長い所定時間以上であるとき、制動素子が異常であると判定する判定部(60)と、を備えるワイパ駆動装置である。
【0007】
これにより、配線の電位が所定電位以下になるまでの時間に基づいて制動素子の異常が判定される。このため、ワイパモータに接続されている配線の電位のみが閾値判定されることで制動素子の異常判定がされる場合と比較して、制動素子の異常判定が容易になっている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、ワイパモータ(100)を回転させることによりワイパを駆動させるワイパ駆動装置であって、ワイパモータに接続されている配線(37、47)と、オンすることにより、配線を介してワイパモータに電圧を印加させることでワイパモータを回転させる駆動素子(39、49)と、駆動素子がオフされた際にオンすることにより、ワイパモータの回転エネルギに対応する電流を流させることにてワイパモータを制動させる制動素子(57)と、ワイパモータを制動させてから配線の電位(V_Lo、V_Hi)の単位時間当たりの減少量が、制動素子が正常であるときにおける減少量よりも小さい所定量以下であるとき、制動素子が異常であると判定する判定部(60)と、を備えるワイパ駆動装置である。
【0009】
これにより、配線の電位の単位時間当たりにおける減少量に基づいて制動素子の異常が判定される。このため、ワイパモータに接続されている配線の電位のみが閾値判定されることで制動素子の異常判定がされる場合と比較して、制動素子の異常判定が容易になっている。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態のワイパ駆動装置が用いられるワイパ駆動システムの構成図。
【
図2】ワイパの動作状態を間欠モードにするときの処理を示すタイムチャート。
【
図3】ワイパ駆動装置のIPDが異常であるときの状態を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
本実施形態のワイパ駆動装置30は、車両のワイパ駆動システム1に用いられる。まず、このワイパ駆動システム1について説明する。
【0014】
ワイパ駆動システム1は、
図1に示すように、モータユニット10、モータ用グラウンド12、モータ用バッテリ14、制御用バッテリ16、モータ用ヒューズ18および制御用ヒューズ20を備えている。また、ワイパ駆動システム1は、ワイパスイッチ22、ワイパ駆動装置30、第1グラウンド81および第2グラウンド82を備えている。
【0015】
モータユニット10は、ワイパモータ100およびカムスイッチ102を有する。ワイパモータ100は、Hi端子104、Lo端子106およびGND端子108を含む。Hi端子104およびLo端子106は、後述のワイパ駆動装置30に接続されている。GND端子108は、モータ用グラウンド12に接続されている。また、ワイパモータ100は、Hi端子104への通電によって比較的高速で回転する。さらに、ワイパモータ100は、Lo端子106への通電によってHi端子104への通電時よりも低速で回転する。そして、ワイパモータ100の回転により、図示しない車両のワイパが回転する。
【0016】
カムスイッチ102は、ワイパモータ100の回転によりオンオフする。カムスイッチ102がオフされるとき、後述のワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが導通する。また、カムスイッチ102がオンされるとき、後述のワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが電気的に遮断される。
【0017】
モータ用バッテリ14および制御用バッテリ16は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池および鉛蓄電池等の2次電池である。また、モータ用バッテリ14および制御用バッテリ16の電圧は、例えば、12Vである。さらに、モータ用バッテリ14の一端および制御用バッテリ16の一端は、図示しないグラウンドに接続されている。
【0018】
モータ用ヒューズ18の一端は、モータ用バッテリ14の他端に接続されている。また、モータ用ヒューズ18の他端は、後述のワイパ駆動装置30に接続されている。そして、モータ用ヒューズ18は、モータ用バッテリ14から後述のワイパ駆動装置30を介してワイパモータ100に過電流が流れることを抑制する。
【0019】
制御用ヒューズ20の一端は、制御用バッテリ16の他端に接続されている。さらに、制御用ヒューズ20の他端は、後述のワイパ駆動装置30に接続されている。そして、制御用ヒューズ20は、制御用バッテリ16から後述のワイパ駆動装置30のIPD57および制御部60等に過電流が流れることを抑制する。
【0020】
ワイパスイッチ22は、操作者により操作されて、ワイパの動作状態を後述する連続高速モード、連続低速モードおよび間欠モードのいずれかにさせる信号を、後述のワイパ駆動装置30の制御部60に出力する。
【0021】
ワイパ駆動装置30は、ワイパモータ100に印加される電圧を制御することでワイパモータ100を制御する。これにより、ワイパ駆動装置30は、ワイパモータ100に接続されている図示しない車両のワイパの駆動を制御する。具体的には、ワイパ駆動装置30は、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、モータ用電源端子33、Hiリレー35、Hi配線37およびHi用FET39を有する。また、ワイパ駆動装置30は、Loリレー45、Lo配線47、Lo用FET49、制御用ダイオード51、制御用電源端子53、降圧コンバータ55、IPD57および制御部60を有する。なお、IPDは、Intelligent Power Deviceの略である。
【0022】
モータ用第1ダイオード31のアノードは、モータ用電源端子33を介してモータ用ヒューズ18の他端に接続されている。モータ用第1ダイオード31のカソードは、後述のHiリレー35のHiコイル351の一端に接続されている。そして、モータ用第1ダイオード31は、ワイパ駆動装置30からモータ用バッテリ14に電流が流れることを抑制する。
【0023】
モータ用第2ダイオード32のアノードは、モータ用電源端子33を介してモータ用ヒューズ18の他端に接続されている。モータ用第2ダイオード32のカソードは、後述のHiリレー35のHiコイル351の一端に接続されている。そして、モータ用第2ダイオード32は、ワイパ駆動装置30内からモータ用バッテリ14に電流が流れることを抑制する。また、モータ用第2ダイオード32は、モータ用第1ダイオード31と並列接続されている。このため、モータ用第1ダイオード31およびモータ用第2ダイオード32のどちらか一方が故障したとしても、モータ用バッテリ14から後述のHiコイル351およびLoコイル451に対する電圧供給が可能とされている。
【0024】
Hiリレー35は、Hiコイル351およびHiスイッチ352を含む。Hiコイル351の一端は、モータ用第1ダイオード31のカソードおよびモータ用第2ダイオード32のカソードに接続されている。Hiスイッチ352は、Hiコイル351に流れた電流による電磁力にて、オンオフする。また、Hiスイッチ352の一端は、モータ用電源端子33を介してモータ用ヒューズ18の他端に接続されている。さらに、Hiスイッチ352の他端は、Hi配線37を介してHi端子104に接続されている。
【0025】
Hi用FET39は、駆動素子に対応しており、例えば、NチャネルMOSFETである。Hi用FET39のドレインは、Hiコイル351の他端に接続されている。Hi用FET39のソースは、第1グラウンド81に接続されている。Hi用FET39のゲートは、後述の制御部60に接続されている。
【0026】
Loリレー45は、Loコイル451およびLoスイッチ452を含む。Loコイル451の一端は、モータ用第1ダイオード31のカソードおよびモータ用第2ダイオード32のカソードに接続されている。Loスイッチ452は、Loコイル451に流れた電流による電磁力にて、オンオフする。また、Loスイッチ452の一端は、モータ用電源端子33を介してモータ用ヒューズ18の他端に接続されている。さらに、Loスイッチ452の他端は、Lo配線47を介してLo端子106に接続されている。
【0027】
Lo用FET49は、駆動素子に対応しており、例えば、NチャネルMOSFETである。Lo用FET49のドレインは、Loコイル451の他端に接続されている。Lo用FET49のソースは、第1グラウンド81に接続されている。Lo用FET49のゲートは、後述の制御部60に接続されている。
【0028】
制御用ダイオード51のアノードは、制御用電源端子53を介して制御用ヒューズ20の他端に接続されている。制御用ダイオード51のカソードは、後述の降圧コンバータ55およびIPD57に接続されている。そして、制御用ダイオード51は、ワイパ駆動装置30内から制御用バッテリ16に電流が流れることを抑制する。
【0029】
降圧コンバータ55は、制御用ダイオード51のカソードおよび後述の制御部60に接続されている。また、降圧コンバータ55は、制御用バッテリ16から制御用ヒューズ20、制御用電源端子53および制御用ダイオード51を介して降圧コンバータ55に印加される電圧の12Vを、例えば、5Vに降圧する。そして、降圧コンバータ55は、降圧した電圧を後述の制御部60に印加する。
【0030】
IPD57は、制動素子に対応しており、FETおよび保護回路等を有する。IPD57のFETは、例えば、NチャネルMOSFETである。IPD57のFETのドレインは、Lo配線47に接続されている。IPD57のFETのソースは、第2グラウンド82に接続されている。IPD57のFETのゲートは、後述の制御部60に接続されている。また、IPD57の保護回路は、制御用ダイオード51のカソードに接続されている。そして、IPD57の保護回路は、制御用バッテリ16からの電圧により駆動することでIPD57のFETを保護する。
【0031】
制御部60は、判定部に対応しており、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路、A/Dコンバータおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、制御部60は、降圧コンバータ55からの電圧によって駆動する。そして、制御部60は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、ワイパスイッチ22からの信号に基づいて、ワイパモータ100に印加される電圧を制御する。これにより、ワイパの動作状態が連続高速モード、連続低速モードおよび間欠モードのいずれかになる。また、制御部60は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、Hi配線37およびLo配線47の電位に基づいて、IPD57のFETが異常であるか否かを判定する。
【0032】
以上のように、ワイパ駆動システム1は、構成されている。次に、制御部60によるワイパモータ100の制御によって、ワイパの動作状態が連続高速モード、連続低速モードおよび間欠モードにされることについて説明する。
【0033】
(連続高速モード)
操作者の操作により、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を連続高速モードにさせる信号を制御部60に出力すると、制御部60は、Hi用FET39のゲート電圧の電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、Hi用FET39がオンされる。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Hiコイル351およびHi用FET39を介して第1グラウンド81に電流が流れる。このとき、Hiコイル351に電流が流れることから、Hiスイッチ352がオンされる。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Hiスイッチ352、Hi配線37およびHi端子104を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Lo端子106への通電時よりも高速で回転する。したがって、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが高速で回転することにより、ワイパの動作状態が連続高速モードになる。なお、このとき、Lo用FET49は、オフされている。このため、Loコイル451に電流が流れないため、Loスイッチ452は、オフされている。また、IPD57のFETも、オフされている。
【0034】
(連続低速モード)
また、操作者の操作により、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を連続低速モードにさせる信号を制御部60に出力すると、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、Lo用FET49がオンされる。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れる。このとき、Loコイル451に電流が流れることから、Loスイッチ452がオンされる。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Hi端子104への通電時よりも低速で回転する。したがって、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが低速で回転することにより、ワイパの動作状態が連続低速モードになる。なお、このとき、Hi用FET39は、オフされている。このため、Hiコイル351に電流が流れないため、Hiスイッチ352は、オフされている。また、IPD57のFETも、オフされている。
【0035】
(間欠モード)
次に、制御部60によるワイパモータ100の制御によって、ワイパの動作状態が間欠モードとなるときについて、
図2のタイムチャートを参照して説明する。
【0036】
時刻t0から時刻t1までの期間において、操作者の操作により、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力すると、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、Lo用FET49がオンされる。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れる。このとき、Loコイル451に電流が流れることから、Loスイッチ452がオンされる。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Hi端子104への通電時よりも低速で回転する。したがって、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが低速で回転する。なお、
図2において、Lo用FET49がLo_FETとして示されている。さらに、Lo用FET49のゲート電圧がVg_Lo_FETとして示されている。また、このとき、制御部60は、IPD57のFETのゲート電圧の電圧レベルをローレベルにしている。このため、IPD57のFETは、オフされている。さらに、
図2において、IPD57のFETのゲート電圧がVg_IPD57として示されている。また、制御部60は、Hi用FET39のゲート電圧の電圧レベルをローレベルにしている。これにより、Hi用FET39は、オフされている。このため、Hiコイル351に電流が流れないため、Hiスイッチ352は、オフされている。
【0037】
さらに、このとき、ワイパモータ100の回転により、カムスイッチ102がオンされる。このため、ワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが電気的に遮断される。
【0038】
また、Lo配線47の電位は、モータ用バッテリ14の電位と同程度の電位になる。さらに、Hi配線37がワイパモータ100を介してLo配線47と接続されていることから、Hi配線37の電位は、Lo配線47の電位よりもワイパモータ100による電圧降下分低い電位になる。なお、
図2において、Lo配線47の電位がV_Loとして示されている。Hi配線37の電位がV_Hiとして示されている。
【0039】
時刻t1から時刻t2までの期間において、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力している。また、ワイパモータ100の回転により、カムスイッチ102がオンからオフされる。これにより、ワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが導通する。そして、制御部60は、カムスイッチ102の電位を取得する。また、制御部60は、この取得したカムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位であるか否かを判定する。さらに、制御部60は、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位であるとき、Lo用FET49をオンからオフさせ、IPD57のFETをオフからオンさせる。
【0040】
しかし、このとき、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位になるのに時間がかかるため、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位になっていないことから、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをハイレベルにしたままにする。これにより、Lo用FET49がオンされている。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れている。このとき、Loコイル451に電流が流れていることから、Loスイッチ452がオンされている。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加されている。これにより、ワイパモータ100は、Hi端子104への通電時よりも低速で回転している。したがって、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが低速で回転している。
【0041】
また、Lo配線47の電位は、モータ用バッテリ14の電位と同程度の電位になっている。さらに、Hi配線37がワイパモータ100を介してLo配線47と接続されていることから、Hi配線37の電位は、Lo配線47の電位よりもワイパモータ100による電圧降下分低い電位になっている。
【0042】
時刻t2からt3までの期間において、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力している。また、ワイパモータ100の回転により、カムスイッチ102がオフされている。これにより、ワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが導通している。そして、制御部60は、カムスイッチ102の電位を取得する。
【0043】
このとき、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位になることから、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをハイレベルからローレベルにする。これにより、Lo用FET49がオフされる。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れない。このとき、Loコイル451に電流が流れないことから、Loスイッチ452がオフされる。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加されない。したがって、Lo配線47の電位は、減少する。また、Hi配線37がワイパモータ100を介してLo配線47と接続されており、Lo配線47の電位が減少することから、Hi配線37の電位も、減少する。
【0044】
このとき、ワイパモータ100は、慣性により回転している。したがって、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが慣性により回転している。
【0045】
さらに、このとき、制御部60は、IPD57のFETのゲート電圧の電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、IPD57のFETは、オフからオンされる。このため、ワイパモータ100の慣性回転エネルギに対応する電流がワイパモータ100からIPD57を介して第2グラウンド82に流れる。これにより、ワイパモータ100の慣性回転エネルギに対応する電気エネルギが減少するため、ワイパモータ100が制動される。
【0046】
時刻t3から時刻t4までの期間において、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力している。また、ワイパモータ100の回転により、カムスイッチ102がオフされている。これにより、ワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが導通している。そして、制御部60は、カムスイッチ102の電位を取得する。
【0047】
このとき、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位であることから、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをローレベルにしている。これにより、Lo用FET49がオフされている。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れていない。このとき、Loコイル451に電流が流れないことから、Loスイッチ452がオフされている。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加されていない。したがって、Lo配線47の電位は、減少する。また、Hi配線37がワイパモータ100を介してLo配線47と接続されており、Lo配線47の電位が減少することから、Hi配線37の電位も、減少して、Hi用所定電位V_Hi_th以下になる。なお、Hi用所定電位V_Hi_thは、慣性回転しているワイパモータ100が停止するときのHi配線37の電位であって、例えば、1.0Vである。
【0048】
このとき、ワイパモータ100の回転が停止して、ワイパモータ100およびワイパモータ100に接続されている図示しないワイパの位置が初期位置に戻る。
【0049】
さらに、このとき、制御部60は、IPD57のFETのゲート電圧の電圧レベルをハイレベルにしたままにする。これにより、IPD57のFETは、オンされている。このため、ワイパモータ100の慣性回転エネルギに対応する電流がワイパモータ100からIPD57を介して第2グラウンド82に流れる。これにより、ワイパモータ100の慣性回転エネルギに対応する電気エネルギが減少するため、ワイパモータ100が制動されている。
【0050】
時刻t4から時刻t5までの期間において、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力している。また、ワイパモータ100が停止していることにより、カムスイッチ102がオフされている。これにより、ワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが導通している。そして、制御部60は、カムスイッチ102の電位を取得する。
【0051】
このとき、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位であることから、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをローレベルに維持している。これにより、Lo用FET49がオフされている。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れていない。このとき、Loコイル451に電流が流れないことから、Loスイッチ452がオフされている。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加されていない。したがって、Lo配線47の電位は、減少して、Lo用所定電位V_Lo_th以下になる。また、Hi配線37がワイパモータ100を介してLo配線47と接続されており、Lo配線47の電位の減少することから、Hi配線37の電位も、減少して、Hi用所定電位V_Hi_th未満になる。なお、Lo用所定電位V_Lo_thは、慣性回転しているワイパモータ100が停止するときのLo配線47の電位であって、例えば、1.0Vである。
【0052】
このとき、ワイパモータ100の回転が停止していることから、ワイパモータ100およびワイパモータ100に接続されている図示しないワイパの位置が初期位置に戻っている。
【0053】
さらに、このとき、制御部60は、IPD57のFETのゲート電圧の電圧レベルをハイレベルからローレベルにする。これにより、IPD57のFETは、オフされる。
【0054】
時刻t5後において、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力している。ワイパモータ100が停止していることにより、カムスイッチ102がオフされている。
【0055】
このとき、制御部60は、時刻t0と同様の処理を行う。具体的には、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、Lo用FET49がオンされる。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れる。このとき、Loコイル451に電流が流れることから、Loスイッチ452がオンされる。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加される。これにより、ワイパモータ100は、Hi端子104への通電時よりも低速で回転する。したがって、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが低速で回転する。その後、制御部60により、時刻t0から時刻t5までの期間の処理と同様の処理を繰り返すことで、ワイパモータ100およびワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが間欠して回転する。このようにして、ワイパの動作状態が間欠モードになる。
【0056】
以上のように、制御部60によるワイパモータ100の制御によって、ワイパの動作状態が連続高速モード、連続低速モードおよび間欠モードのいずれかにされる。そして、本実施形態のワイパ駆動装置30は、Hi配線37およびLo配線47の電位に基づいて、ワイパモータ100を制動させるスイッチング素子としてのIPD57のFETがオンできない異常を容易に検出する。次に、IPD57のFETがオンできない異常を容易に検出できることについて説明する。
【0057】
ここで、IPD57のFETがオンできない異常が発生した場合について、
図3のタイムチャートを参照して説明する。なお、
図3の時刻t10から時刻t12までの期間においては、上記時刻t0から時刻t2までの期間と同様の処理が行われるため、説明を省略する。
【0058】
時刻t12から時刻t13までの期間において、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力している。また、ワイパモータ100の回転により、カムスイッチ102がオフされている。これにより、ワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが導通している。そして、制御部60は、カムスイッチ102の電位を取得する。
【0059】
このとき、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位になることから、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをハイレベルからローレベルにする。これにより、Lo用FET49がオフされる。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れない。このとき、Loコイル451に電流が流れないことから、Loスイッチ452がオフされる。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加されない。したがって、Lo配線47の電位は、減少する。また、Hi配線37がワイパモータ100を介してLo配線47と接続されており、Lo配線47の電位が減少することから、Hi配線37の電位も、減少する。
【0060】
このとき、ワイパモータ100は、慣性により回転している。したがって、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが慣性により回転している。
【0061】
さらに、このとき、制御部60は、IPD57のFETのゲート電圧の電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。しかし、IPD57のFETは、異常によりオンされない。このため、ワイパモータ100と第2グラウンド82とは電気的に遮断されている。このことから、ワイパモータ100の慣性回転エネルギに対応する電流がワイパモータ100からIPD57を介して第2グラウンド82に流れない。したがって、ワイパモータ100の慣性回転エネルギに対応する電流が流れることによるワイパモータ100の制動が行われない。その代わりとして、ワイパモータ100およびワイパモータ100に接続されているワイパは、ワイパに接触しているフロントウィンドウ等の物体との摩擦等により、制動される。このため、ワイパモータ100の慣性回転エネルギに対応する電気エネルギの減少量は、時刻t2のときと比較して小さい。よって、このとき、ワイパモータ100に接続されているLo配線47およびHi配線37の電位の減少量は、時刻t2のときと比較して小さい。
【0062】
時刻t13以降において、ワイパスイッチ22がワイパの動作状態を間欠モードにさせる信号を制御部60に出力している。また、ワイパモータ100の回転により、カムスイッチ102がオフされている。これにより、ワイパ駆動装置30と、GND端子108およびモータ用グラウンド12とが導通している。そして、制御部60は、カムスイッチ102の電位を取得する。
【0063】
このとき、カムスイッチ102の電位がモータ用グラウンド12の電位であることから、制御部60は、Lo用FET49のゲート電圧の電圧レベルをローレベルにしている。これにより、Lo用FET49がオフされている。このことから、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451およびLo用FET49を介して第1グラウンド81に電流が流れていない。このとき、Loコイル451に電流が流れないことから、Loスイッチ452がオフされている。このため、モータ用バッテリ14からモータ用電源端子33、Loスイッチ452、Lo配線47およびLo端子106を介してワイパモータ100に電圧が印加されていない。したがって、Lo配線47の電位は、減少して、Lo用所定電位V_Lo_th以下になる。また、Hi配線37がワイパモータ100を介してLo配線47と接続されており、Lo配線47の電位が減少することから、Hi配線37の電位も、減少して、Hi用所定電位V_Hi_th以下になる。
【0064】
このとき、ワイパモータ100の回転が停止するため、ワイパモータ100に接続されている図示しないワイパが停止する。
【0065】
よって、Lo配線47およびHi配線37の電位の減少量が時刻t2のときと比較して小さいことから、時刻t12から時刻t13までの時間は、時刻t2から時刻t3までの時間および時刻t2から時刻t4までの時間よりも長い。すなわち、IPD57のFETが異常であるときにおいてワイパモータ100を制動開始させてからLo配線47の電位がLo用所定電位V_Lo_th以下になるまでの時間は、IPD57のFETが正常であるときと比較して、長い。また、IPD57のFETが異常であるときにおいてワイパモータ100を制動開始させてからHi配線37の電位がHi用所定電位V_Hi_th以下になるまでの時間は、IPD57のFETが正常であるときと比較して、長い。
【0066】
そこで、本実施形態のワイパ駆動装置30では、制御部60は、ワイパモータ100を制動開始させてからLo配線47の電位がLo用所定電位V_Lo_th以下になるまでの時間がLo用所定時間以上であるか否かを判定する。これにより、制御部60は、IPD57のFETの異常を判定する。なお、Lo用所定時間は、IPD57のFETが正常であるときにおいてワイパモータ100を制動開始させてからLo配線47の電位がLo用所定電位V_Lo_th以下になるまでの時間よりも長い時間である。また、そのようになるように、Lo用所定時間は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0067】
そして、ワイパモータ100を制動開始してからLo配線47の電位がLo用所定電位V_Lo_th以下になるまでの時間がLo用所定時間以上であるとき、IPD57のFETの異常によりその時間が長い。このため、このとき、制御部60は、IPD57のFETが異常であると判定する。さらに、ワイパモータ100を制動開始してからLo配線47の電位がLo用所定電位V_Lo_th以下になるまでの時間がLo用所定時間よりも短いとき、IPD57のFETが正常である。このため、このとき、制御部60は、IPD57のFETが正常であると判定する。
【0068】
また、制御部60は、ワイパモータ100を制動開始してからHi配線37の電位がHi用所定電位V_Hi_th以下になるまでの時間がHi用所定時間以上であるか否かを判定する。これにより、制御部60は、IPD57のFETの異常を判定する。なお、Hi用所定時間は、IPD57のFETが正常であるときにおいてワイパモータ100を制動開始してからHi配線37の電位がHi用所定電位V_Hi_th以下になるまでの時間よりも長い時間である。さらに、そのようになるように、Hi用所定時間は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0069】
そして、ワイパモータ100を制動開始してからHi配線37の電位がHi用所定電位V_Hi_th以下になるまでの時間がHi用所定時間以上であるとき、IPD57のFETの異常によりその時間が長い。このため、このとき、制御部60は、IPD57のFETが異常であると判定する。さらに、ワイパモータ100を制動開始してからHi配線37の電位がHi用所定電位V_Hi_th以下になるまでの時間がHi用所定時間よりも短いとき、IPD57のFETが正常である。このため、このとき、制御部60は、IPD57のFETが正常であると判定する。
【0070】
したがって、制御部60がLo配線47およびHi配線37の電位が所定電位以下になるまでの時間に基づいてIPD57のFETの異常を判定する。このため、本実施形態のワイパ駆動装置30では、ワイパモータ100に接続されているLo配線47およびHi配線37の電位のみが閾値判定されることでIPD57のFETの異常判定がされる場合と比較して、IPD57のFETの異常判定が容易になっている。
【0071】
また、本実施形態のワイパ駆動装置30では、以下に記載する効果も奏する。
【0072】
[1]ここで、制御部60の誤動作により、Lo用FET49がオンされている状態でIPD57のFETがオンされたとする。このとき、モータ用バッテリ14からモータ用ヒューズ18、モータ用電源端子33、モータ用第1ダイオード31、モータ用第2ダイオード32、Loコイル451、Lo配線47およびIPD57を介して第2グラウンド82に過電流が流れる。この過電流により、IPD57のFETは、破損する。
【0073】
そこで、IPD57のFETは、Lo用FET49がオフされた後にオンする。これにより、上記過電流がIPD57のFETに流れることが抑制されることから、IPD57のFETの破損が抑制される。
【0074】
また、IPD57の保護回路は、Lo用FET49がオンされている状態でIPD57のFETがオンされるとき、IPD57のFETを自動でオフさせる。これにより、上記過電流がIPD57のFETに流れることが抑制されることから、IPD57のFETの破損が抑制される。
【0075】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0076】
本開示に記載の制御部、判定部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部、判定部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部、判定部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0077】
上記実施形態では、Hi用FET39、Lo用FET49およびIPD57のFETにおいて、スイッチング素子としてMOSFETが例に挙げられている。これに対して、スイッチング素子は、MOSFETであることに限定されないで、IGBT等の他の素子であってもよい。
【0078】
上記実施形態では、制御部60は、Lo用FET49およびIPD57のFETのオンオフを制御することにより、ワイパの動作状態を間欠モードにさせる。これに対して、制御部60は、Lo用FET49およびIPD57のFETのオンオフを制御することにより、ワイパの動作状態を間欠モードにさせることに限定されない。例えば、IPD57のFETのドレインがHi配線37に接続され、制御部60は、Hi用FET39およびIPD57のFETのオンオフを制御することにより、ワイパの動作状態を間欠モードにさせてもよい。
【0079】
上記実施形態では、制御部60は、Lo配線47およびHi配線37の電位が所定電位以下になるまでの時間に基づいて、IPD57のFETの異常を判定する。これに対して、制御部60は、Lo配線47およびHi配線37の電位が所定電位以下になるまでの時間に基づいて、IPD57のFETの異常を判定することに限定されない。例えば、ワイパモータ100を制動開始させてからLo配線47およびHi配線37の電位の単位時間当たりの減少量が、IPD57のFETが正常であるときにおけるその減少量よりも小さい所定量以下であるとする。このとき、制御部60は、IPD57のFETが異常であると判定してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 ワイパ駆動システム
22 ワイパスイッチ
30 ワイパ駆動装置
37 Hi配線
39 Hi用FET
47 Lo配線
49 Lo用FET
57 IPD
60 制御部
100 ワイパモータ