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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/00 20060101AFI20240305BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20240305BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H01L23/02 J
H05K9/00 Q
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022031062
(22)【出願日】2022-03-01
(65)【公開番号】P2022145560
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】20215296
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】テッポ・シュルヤネン
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-201538(JP,A)
【文献】特開2015-141904(JP,A)
【文献】特開2006-242590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
H01L23/00-23/04
H01L23/06-23/10
H01L23/16-23/31
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージベースと、前記パッケージベースに取り付けられ、筐体を形成するキャップとを備える電子部品であって、前記筐体は、第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とに延在し、前記電子部品は、当該筐体内に実装される少なくとも1つの電子チップを備え、前記電子チップは、前記第1方向のチップ長と、前記第2方向のチップ幅とを有し、
前記電子部品は、前記パッケージベースに固定される金属シートを備え、前記金属シートは、前記筐体の第1側の第1シートサイド部分と、前記電子チップの下にある中央シート部分とを含み、前記金属シートは、前記第1シートサイド部分から前記中央シート部分まで前記第1方向に延在し、
前記キャップは、前記筐体の第1側の第1キャップサイド部分と、前記電子チップと重なる中央キャップ部分とを含む金属キャップ部分を含み、前記金属キャップ部分は、前記第1キャップサイド部分から前記中央キャップ部分まで前記第1方向に延在し、
前記第1シートサイド部分は、前記第1シートサイド部分および前記第1キャップサイド部分が共に前記筐体の第1側に第1サイド遮蔽部を形成するように、前記第1キャップサイド部分と接触しており、
前記第1サイド遮蔽部は、前記パッケージベースに接触した状態で前記パッケージベースに埋設されている
電子部品。
【請求項2】
前記金属シートは、前記筐体の第2側に第2シートサイド部分を含み、前記金属シートは、前記第2シートサイド部分から前記中央シート部分まで前記第1方向に延在し、
前記金属キャップ部分は、前記筐体の第2側に第2キャップサイド部分を含み、前記金属キャップ部分は、前記第2キャップサイド部分から前記中央キャップ部分まで前記第1方向に延在し、
前記第2シートサイド部分は、前記第2シートサイド部分および前記第2キャップサイド部分が共に前記筐体の第2側に第2サイド遮蔽部を形成するように、前記第2キャップサイド部分と接触しており、
前記第2サイド遮蔽部は、前記パッケージベースに接触した状態で前記パッケージベースに埋設されている
請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記金属シートは、前記筐体の第3側に第3シートサイド部分を含み、前記金属シートは、前記第3シートサイド部分から前記中央シート部分まで前記第2方向に延在し、
前記金属キャップ部分は、前記筐体の第3側に第3キャップサイド部分を含み、前記金属キャップ部分は、前記第3キャップサイド部分から前記中央キャップ部分まで前記第2方向に延在し、
前記第3シートサイド部分は、前記第3シートサイド部分および前記第3キャップサイド部分が共に前記筐体の第3側に第3サイド遮蔽部を形成するように、前記第3キャップサイド部分と接触しており、
前記第3サイド遮蔽部は、前記パッケージベースに接触した状態で前記パッケージベースに埋設されている
請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記金属シートは、前記筐体の第4側に第4シートサイド部分を含み、前記金属シートは、前記第4シートサイド部分から前記中央シート部分まで前記第2方向に延在し、
前記金属キャップ部分は、前記筐体の第4側に第4キャップサイド部分を含み、前記金属キャップ部分は、前記第4キャップサイド部分から前記中央キャップ部分まで前記第2方向に延在し、
前記第4シートサイド部分は、前記第4シートサイド部分および前記第4キャップサイド部分が共に前記筐体の第4側に第4サイド遮蔽部を形成するように、前記第4キャップサイド部分と接触しており、
前記第4サイド遮蔽部は、前記パッケージベースに接触した状態で前記パッケージベースに埋設されている
請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記金属シートは、前記筐体の第2側に第2シートサイド部分を含み、前記金属シートは、前記第2シートサイド部分から前記中央シート部分まで前記第2方向に延在し、
前記金属キャップ部分は、前記筐体の第2側に第2キャップサイド部分を含み、前記金属キャップ部分は、前記第2キャップサイド部分から前記中央キャップ部分まで前記第2方向に延在し、
前記第2シートサイド部分は、前記第2シートサイド部分および前記第2キャップサイド部分が共に前記筐体の第2側に第2サイド遮蔽部を形成するように、前記第2キャップサイド部分と接触しており、
前記第2サイド遮蔽部は、前記パッケージベースに接触した状態で前記パッケージベースに埋設されている
請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記パッケージベースは、成形ポリマーによって形成される
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記キャップは、前記金属キャップ部分を形成する金属シートからなる
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記キャップは、金属コーティングで完全にまたは部分的にコーティングされている絶縁シートを含み、前記金属キャップ部分は、前記絶縁シートの前記金属コーティングでコーティングされている部分である
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子チップの遮蔽、より詳細には、部品の外部で発生する電磁放射線からのチップの遮蔽に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、通常、少なくとも1つの電子チップと、パッケージとを備える。チップは、部品パッケージ内部に実装され、パッケージから外に延在する電気ピンによって、外部デバイスに電気的に接続されてもよい。電子部品のパッケージは、電子チップを機械的に保護する。しかしながら、多くの電子チップは電磁放射線に対しても感度が高いため、部品設計の1つの目的は、しばしば、外部放射線からチップを遮蔽することである。
【0003】
金属キャップによってチップを上部から遮蔽できることは知られているが、チップは、通常、側面方向の遮蔽を有しない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、独立請求項に記載されることを特徴とする構成によって達成される。本開示の好ましい実施形態は、従属請求項に開示される。
【0005】
本開示は、部品のベース内に金属シートを実装し、部品の少なくとも一側面で、少なくとも部分的に金属であるキャップに当該シートを接合する考えに基づく。この構成の利点は、部品内部のチップを、上下方向および側面方向からの外部電磁放射線から遮蔽できることである。
【0006】
以下に、添付の図面を参照しながら、好ましい実施形態によって本開示をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1a図1aは、上部、底部および一側面から遮蔽される電子部品を示す図である。
図1b図1bは、上部、底部および二側面から遮蔽される電子部品を示す図である。
図1c図1cは、金属シートがパッケージベースに部分的に埋め込まれている電子部品を示す図である。
図1d図1dは、金属シートがパッケージベースに完全に埋め込まれている電子部品を示す図である。
図1e図1eは、キャップおよび金属シートを概略的に示す図である。
図1f図1fは、キャップおよび金属シートを概略的に示す図である。
図1g図1gは、チップの寸法を示す図である。
図1h図1hは、チップの寸法を示す図である。
図2a図2aは、xy平面における一側面遮蔽を示す図である。
図2b図2bは、xy平面における二側面遮蔽を示す図である。
図2c図2cは、xy平面における金属シートの代替形状を示す図である。
図2d図2dは、xy平面における金属シートの代替形状を示す図である。
図3図3は、電気接触の要件によって、遮蔽可能性がどのように制限され得るかを示す図である。
図4a図4aは、xy平面における三側面遮蔽を示す図である。
図4b図4bは、xy平面における四側面遮蔽を示す図である。
図5図5は、二側面がチップの両側にない二側面遮蔽を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示では、パッケージベースと、パッケージベースに取り付けられ、筐体を形成するキャップとを備える電子部品について説明する。筐体は、第1方向と、第1方向に直交する第2方向とに延在し、電子部品は、当該筐体内に実装される少なくとも1つの電子チップを備える。電子チップは、第1方向のチップ長と、第2方向のチップ幅とを有する。
【0009】
電子部品は、パッケージベースに固定される金属シートを備える。金属シートは、筐体の第1側の第1シートサイド部分と、電子チップの下にある中央シート部分とを含む。金属シートは、第1シートサイド部分から中央シート部分まで第1方向に延在する。
【0010】
キャップは、金属キャップ部分を含む。金属キャップ部分は、筐体の第1側の第1キャップサイド部分と、電子チップと重なる中央キャップ部分とを含む。金属キャップ部分は、第1キャップサイド部分から中央キャップ部分まで第1方向に延在する。
【0011】
第1シートサイド部分は、第1シートサイド部分および第1キャップサイド部分が共に筐体の第1側に第1サイド遮蔽部を形成するように、第1キャップサイド部分と接触している。
【0012】
本開示の任意の実施形態において、中央シート部分、中央キャップ部分および第1サイド遮蔽部の第2方向の幅は、例えば、チップ幅の40%~60%であってもよい。あるいは、これらの幅は、本開示の任意の実施形態において、チップ幅の10%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、もしくは40%より大きく、または、チップ幅の10%~150%であってもよい。さらに、これらの3つの幅はまた、本開示の任意の実施形態において、当該段落に記載する第1選択肢が中央シート部分の幅に適用され、当該段落に記載する第2選択肢が中央キャップ部分の幅に適用され、当該段落に記載する第3選択肢が第1サイド遮蔽部の幅に適用されるように、互いに異なってもよい。
【0013】
本開示では、「電子チップ」という用語は、カプセル化されていない電子デバイスを指し、一方、「電子部品」は、電子チップがカプセル化されたデバイスを指す。電子部品は、周囲環境から保護する筐体を有する。電子チップは、筐体内部の回路基板に実装されてもよい。それによって、回路基板は、チップに必要な制御回路も含み得るチップ実装面を形成する。電気的アクセスを容易にするため、回路基板またはチップ自体から、電子部品の外部に延在するコンタクトピンまで、ワイヤが引き出されてもよい。電子部品はそれ自体、より大きい回路基板に実装されてもよい。電子チップは、例えば、微小電気機械(MEMS)チップであってもよい。
【0014】
本開示に示す任意の実施形態において、キャップは、金属シートを含み、かつ金属キャップ部分を形成する連続金属構造体であってもよい。金属構造体は、シートをプレスするかつ/または曲げることによって所望の形状に成形されてもよい。この金属キャップは、金属材料から構成されてもよく、金属材料は、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、またはアルミニウムもしくは銅の化合物であってもよい。あるいは、キャップは、金属コーティングで完全にまたは部分的にコーティングされている絶縁シートを含んでもよい。この場合、金属キャップ部分は、絶縁シートの金属コーティングでコーティングされている部分である。絶縁シートは、例えば、ポリマー箔、ポリマーフィルムまたはプラスチック体を含んでもよい。金属コーティングは、前の段落で言及した金属材料のうちのいずれかを含んでもよい。
【0015】
パッケージベースは、例えば、成形ポリマーによって形成されてもよい。金属シートは、少なくとも部分的にパッケージベースに埋め込まれることによって、パッケージベースに固定されてもよい。金属シートは、シートがパッケージベースに完全にまたは部分的に埋め込まれるように、パッケージベースが周囲に成形されたリードフレームによって形成されてもよい。同じリードフレームを使用して、電子部品の外部コンタクトピンを形成してもよい。
【0016】
あるいは、金属シートは、例えば、接着剤で取り付けることによってパッケージベースに固定されてもよい。この場合、金属シートは、別個の部分として形成され、パッケージベースを形成する構造体が既に製造されているときにパッケージベースに取り付けられてもよい。
【0017】
金属シートは、チップ実装面として使用されるダイパッドとして機能してもよいが、必ずしもそうである必要はない。あるいは、金属シートは、上述した金属材料のうちの1つでコーティングされたポリマーフィルム、ポリマー箔またはプラスチック体によって形成することができるであろう。
【0018】
本開示の図において、筐体の底面はxy平面を定義し、z軸はこのxy平面に垂直である。「下」、「上」、「上方」、「下方」および「垂直」などの表現は、図に示した、「上」方向を向くz軸方向に対応する。これらの表現は、使用中または製造中に部品をどのように方向付けるべきかについては何も示唆していない。電気部品は、例えば、図示した「上」方向が回路基板の表面の方を向く「上下逆さま」位置で、外部回路基板に実装することができるであろう。回路基板は、実装されるとき、任意の方法で方向付けることができるであろう。言い換えれば、この段落で述べた表現は、2つの相反する方向を定義しているにすぎない。
【0019】
xy平面において、筐体は、y軸で示す第1方向と、x軸で示す第2方向とに延在する。第1方向において、筐体は、第1側から第2側まで延在し、第2方向において、筐体は、第3側から第4側まで延在する。筐体は、図に長方形の形状で示すが、代替的に、他の任意の形状を有することができるであろう。
【0020】
図1aは、パッケージベース12とキャップ13とを備えた電子部品11を示す。キャップ13は、部品11の内部に密閉筐体17が形成されるようにベース12の上に配置される。筐体17内に少なくとも1つの電子チップ15が配置される。パッケージベース12は、チップ15の下にある金属シート14を含む。図1aにおいて、金属シートは、筐体17の床部170に配置された。チップ15は、金属シート14に実装された。あるいは、チップ15と金属シート14との間に絶縁実装面(図示せず)が配置されてもよい。
【0021】
金属シートは、筐体の第1側171の第1シートサイド部分141と、電子チップ15の下にある中央シート部分145とを有する。金属シート14は、第1シートサイド部分141から中央シート部分145まで第1方向に延在する。図1aに示すxy断面は、また、中央キャップ部分135と、筐体の第1側171の第1キャップサイド部分131とを含む、キャップの金属部分を示す。キャップの金属部分は、少なくとも第1キャップサイド部分131から中央キャップ部分135まで第1方向に延在し、また、筐体の第2側172まで延在してもよい。
【0022】
第1シートサイド部分141は、キャップ13に向かって延在してもよく、第1キャップサイド部分131は、それに対応して金属シート14に向かって下方に延在してもよい。第1シートサイド部分141は、中央シート部分145の垂直方向レベルと中央キャップ部分135の垂直方向レベルとの間のどこかに位置する垂直方向レベルにおいて、第1キャップサイド部分131に接合されてもよい。第1シートサイド部分141は、例えば、はんだ付け、焼結、溶接、または、接着剤、例えば導電接着剤によって、第1キャップサイド部分131に接合されてもよい。第1シートサイド部分141および第1キャップサイド部分131は、本開示において湾曲形状で示す。あるいは、第1シートサイド部分141および第1キャップサイド部分131は、垂直方向に延在できると考えられ、両部分は、それらをよりしっかりと互いに取り付けることができる水平接合面を有してもよい。第1シートサイド部分および第1キャップサイド部分に関するこれらの考慮事項は、本開示において述べる他のすべてのシートサイド部分およびキャップサイド部分にも適用される。
【0023】
第1シートサイド部分141および第1キャップサイド部分131は共に、筐体17の第1側171に第1サイド遮蔽部161を形成する。サイド遮蔽部161は、図の左側から入射する電磁放射線から電子チップ15を保護する。中央キャップ部分135および中央シート部分145は、上方および下方から入射する電磁放射線からチップ15を遮蔽し、キャップの金属部分の残りと金属シート14の残りも、電磁放射線からチップ15を遮蔽する。
【0024】
図1bは、金属シート14が筐体17の第2側172にも第2シートサイド部分142を含む別の実施形態を示す。これにより、金属シート14は、第2シートサイド部分142から中央シート部分145まで第1方向に延在する。金属キャップ部分は、筐体17の第2側172に第2キャップサイド部分132を含み、金属キャップ部分は、第2キャップサイド部分132から中央キャップ部分135まで第1方向に延在する。第2シートサイド部分142は、第2シートサイド部分142および第2キャップサイド部分132が共に筐体17の第2側172に第2サイド遮蔽部162を形成するように、第2キャップサイド部分132と接触している。
【0025】
第2サイド遮蔽部162の第2方向(x方向)の幅は、例えば、チップ幅の40%~60%であってもよい。あるいは、この幅は、本開示の任意の実施形態において、チップ幅の10%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、もしくは40%より大きく、または、チップ幅の10%~100%であってもよい。
【0026】
その場合、サイド遮蔽部162は、図の右側から入射する電磁放射線から電子チップ15を保護する。図1aおよび図1bにおいて、金属シート14の水平部は、筐体17の床部170上にある。上述したように、金属シートは、例えば、パッケージベースに埋め込むまたはパッケージベースの表面に取り付けることによって、パッケージベースに固定することができる。これらの方法のどちらかを用いて、図1aおよび図1bに示す構成を作製することができるであろう。
【0027】
図1cは、金属シート14がチップ15の下にあるが筐体17の床部170上にない代替構成を示す。代わりに、金属シート14は、パッケージベース12に部分的に埋め込まれている。チップ15は、筐体17内の別個の実装面(図示せず)に実装されてもよい。
【0028】
あるいは、シート14は、その一部が全く筐体17内にないようにパッケージベース12に完全に埋め込むことができるであろう。図1dは、この可能性を示す。図1dは、また、各サイド遮蔽部161~162がパッケージベース12に埋め込まれてもよいことを示す。言い換えれば、筐体17の側壁176~177は、サイド遮蔽部161~162と必ずしも同一の広がりを有しない。サイド遮蔽部161~162は、それらが筐体17内に配置されているか、または図1dが示すように側壁に埋め込まれているかにかかわらず、電磁放射線からチップを遮蔽する。
【0029】
金属シートをパッケージベースに固定可能な方法に関する上に示したこれらの考慮事項は、本開示に示すすべての実施形態に適用される。
【0030】
図1eおよび図1fは、xyz空間におけるキャップ13および金属シート14を概略的に示す(この図では、明瞭にするために、それらのz方向の曲げを省略した)。図1eは、連続金属構造体、または金属材料で完全にコーティングされた絶縁構造体のいずれかであるキャップ13を示す。この場合、キャップ全体が金属キャップ部分130を形成する。金属キャップ部分130は、チップ15と重なる中央キャップ部分135と、第1キャップサイド部分131と、第2キャップサイド部分132とを有する。
【0031】
図1fは、キャップ13が、金属材料で部分的にコーティングされた絶縁構造体によって形成され、キャップを横切って延在するパターンニングされたストリップとして示される金属キャップ部分130を形成する、別の選択肢を示す。金属キャップ部分は、中央キャップ部分135と、第1キャップサイド部分131と、第2キャップサイド部分132とを有する。第1シートサイド部分141および第2シートサイド部分142が上方に曲がり、下方に曲がっている第1キャップサイド部分131および第2キャップサイド部分132に接合されると、第1サイド遮蔽部および第2サイド遮蔽部が形成され得る。中央キャップ部分および中央シート部分は、それぞれチップのための上部遮蔽部および底部遮蔽部を形成する。
【0032】
図1gは、xy平面における電子部品を示す。キャップは、図示していない。チップは、y軸と平行な第1方向のチップ長Lと、x軸と平行な第2方向のチップ幅Dとを有する。図1hは、チップの縁部が第1方向および第2方向と必ずしも平行である必要がないことを示す。金属シート14およびキャップの金属部分は、チップ15と第1方向(y方向)に少なくとも部分的に並ぶ。この場合、金属シート14は、xy平面においてチップ15の縁部が金属シート14の縁部を越えて延在しないようにチップ15の下にある。同様に、キャップの金属部分は、xy平面においてチップ15の縁部がキャップの金属部分の縁部を越えて延在しないようにチップ15と重なってもよい。これらの考慮事項は、本開示に示すすべての実施形態に適用される。
【0033】
図2aは、xy平面における、図1aに示したデバイスを示す。参照番号231、235、241、245、25、261および271は、それぞれ図1aの参照番号131、135、141、145、15、161および171に対応する。明瞭にするためにキャップ自体は省略したが、第1シートサイド部分241および第1キャップサイド部分231が互いに向かって延在し、第1サイド遮蔽部261を形成する近似領域を、白色破線長方形で示した。第1サイド遮蔽部261の第2方向の幅は、長方形内に白色矢印で示した。中央シート部分245および中央キャップ部分235の幅も、これらの部分がチップ25の上方および下方に位置することを示す白色破線長方形の内部の白色矢印で示した。図から、中央シート部分245、中央キャップ部分235および第1サイド遮蔽部261の第2方向の幅はすべて、チップ幅より大きいことが分かる。
【0034】
本開示に示すすべての実施形態において、上部遮蔽部、底部遮蔽部およびサイド遮蔽部すべての幅は、チップ幅の10%まで低くすることができると考えられ、そのような幅で得られる部分遮蔽でも、電磁放射線にあまり感度が高くないチップ、またはごく一部分だけが感度が高いチップには十分であり得る。あるいは、上部遮蔽部、底部遮蔽部およびサイド遮蔽部すべての幅は、チップ幅より大きくてもよい。遮蔽部の幅を最大にすることによって保護を最大にすることは、電子部品の設計における1つの考慮事項であるが、電子部品全体のサイズを最小化する必要性および/またはいくらかの外部コンタクト用スペースを確保する必要性などの他の考慮事項によって、幅の広いサイド遮蔽部よりも幅の狭いサイド遮蔽部の方が、より良好な選択肢になることがある。サイド遮蔽部、上部遮蔽部および底部遮蔽部の最適な幅は、また、筐体内に配置されるチップおよび回路基板の数、それらが配置される場所、それらの間に電気コンタクトが配置される方法、および他の考慮事項にも依存し得る。
【0035】
本開示の図にはチップを1つしか示さなかったが、同じサイド遮蔽部、上部遮蔽部および底部遮蔽部によって複数の部品を保護することができるであろう。言い換えれば、本開示の任意の実施形態において、中央シート部分は、2以上のチップの下に配置することができ、中央キャップ部分は、同じ2以上のチップと重ねることができ、各サイド遮蔽部は、2以上のチップの一方端から他端部までの距離より幅広くすることができるであろう。
【0036】
図2aは、xy平面における、図1aに示したデバイスを示す。参照番号231~232、235、241~242、245、25、261~262および271~272は、それぞれ図1aの参照番号131~132、135、141~142、145、15、161~162および171~172に対応する。まさに上述したように、第2サイド遮蔽部262の近似位置を白色破線長方形で示し、第2方向のその幅を長方形の内部の白色矢印で示した。
【0037】
中央シート部分245および中央キャップ部分235は、必ずしも、図2aのように筐体の中央に配置する必要はない。それらの配置は、xy平面におけるチップ25の配置に依存する。図1eのようにキャップ全体が金属である場合、中央キャップ部分は、定義上、図1eが示すようにチップ25上方にあるキャップの一部になる。一方、図1fが示すようにキャップの一部だけが金属コーティングを有する場合、キャップの金属部分(130)は、チップ25と第1方向に並ぶべきである。これらの選択肢は、本開示に示すすべての実施形態に適用される。
【0038】
金属シート24は、図1e~図1fおよび図2a~図2bが示すように長方形の形状を有してもよい。この場合、金属シートは、(y方向の)その全長に沿って均一な幅を有する。同様に、キャップの金属領域は、図1e~図1fが示すように長方形の形状を有してもよく、キャップの金属領域は、その全長に沿って均一な幅を有する。金属シート24シートおよびキャップの金属部分は、例えば、y方向のそれらの全長に沿ったチップ幅の40%~60%であってもよい。(1)金属シート24の第2方向の幅および/または(2)キャップの金属領域の第2方向の幅および/または(3)第1サイド遮蔽部261および第2サイド遮蔽部262の第2方向の幅は、例えば、チップ幅の40%~60%もしくは10%~100%であってもよく、または、それらは、チップ幅の10%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、もしくは40%より大きく、もしくは、チップ幅の1倍(1xD)より大きく、2xDより大きく、3xDより大きく、5xDより大きく、もしくは10xDより大きくてもよい。さらに、これらの幅は、例えば、筐体の第2方向の幅278の20%~40%、40%~60%、60%~80%、または80%~110%であってもよい。上述した幅(1)、(2)および(3)は、すべて等しくすることができるが、等しくする必要はない。言い換えれば、上述した選択肢のうちの1つを(1)に適用し、別の(異なる)選択肢を(2)に適用し、(先の2つと異なる)第3選択肢を(3)に適用することができるであろう。
【0039】
金属シート24もキャップの金属部分も、必ずしも長方形の形状である必要はない。図2cおよび図2dは、金属シート24の2つの任意選択の形状を示す。図2a~図2dのすべてにおいて、金属シート24の第2方向(x方向)に最も狭い部分は、第2方向において電子チップ25よりもはるかに幅広い。しかしながら、金属シート24は、代替的に、中央シート部分と、2つシートサイド部分241および242のどちらか一方との間にある中間シート部分246が第2方向においてチップ25よりも狭い形状を有することができるであろう。この選択肢は、図示しなかった。この段落で述べる選択肢は、図1fに示したキャップの金属部分の形状にも適用される。
【0040】
図1aおよび図2aに示した実施形態では、電子チップの水平方向の一側面が遮蔽され、図1bおよび図2b~図2dに示した実施形態では、チップの第1方向両側にある水平方向の二側面が遮蔽される。遮蔽部が存在しない方向は、チップに電気的にアクセスするなどの他の目的に用いることができる。これについては図3に概略的に示し、参照番号32、34および35は、それぞれ図1bの参照番号12、14および15に対応する。
【0041】
図3は、チップ35の両側でパッケージベース32に取り付けられているコンタクトパッド382および392を示す。コンタクトピン383a~383cおよび393a~393cは、コンタクトパッドからパッケージベース32の外部まで延在する。筐体内部に配置されたチップ35または回路基板の上の様々なコンタクト端子(図示せず)は、例えばワイヤボンド381および391によって、コンタクトピンに接続することができる。コンタクトパッドおよびコンタクトピンは、例えば、リードフレームから形成することができる。コンタクトパッドおよびコンタクトピンは、金属シート34と同じリードフレームから形成することができ、シート34が埋め込まれる成形工程中にパッケージフレームに埋め込むことができる。図3aに示す構成を用いて、チップ35は、筐体の第1側371および第2側372で遮蔽し、筐体の第3側373および第4側374で接触させることができる。
【0042】
あるいは、チップは、三側面または四側面で遮蔽されてもよい。第3サイド遮蔽部および第4サイド遮蔽部は、例えば隣接するコンタクトピン間に、例えば第3サイド遮蔽部を393aと393bとの間に、そして第4サイド遮蔽部を383aと383bとの間に形成することができる。筐体の第3側および第4側の追加の第3サイド遮蔽部および第4サイド遮蔽部を、コンタクトピン383bと383cとの間、および393bと393cとの間、ならびに/または、383a、383c、393aおよび393cなどの最外コンタクトピンの片側に形成することができるであろう。任意の第3サイド遮蔽部および第4サイド遮蔽部の第2方向(y方向)の幅は、任意のコンタクトピンの第2方向の幅より大きくてもよい。より一般的には、本開示の任意の実施形態において、第1サイド遮蔽部、第2サイド遮蔽部、第3サイド遮蔽部および/または第4サイド遮蔽部は、当該サイド遮蔽部が位置する筐体の側面で電子部品から外に延在する任意のコンタクトピンより幅広くてもよい。これらの選択肢は、別には示さなかった。
【0043】
部品内にコンタクトピンがない場合は、サイド遮蔽部をより幅広くすることができる。図4aおよび図4bは、幅広い第3サイド遮蔽部および第4サイド遮蔽部を備えた電子部品を示す。参照番号431~432、435、441~442、445、461~462および471~472は、それぞれ図1bの参照番号131~132、135、141~142、145、161~162および171~172に対応する。参照番号478は、図2aおよび図2bの参照番号278に対応する。第1サイド遮蔽部および第2サイド遮蔽部について上述したすべての選択肢は、これらの図にも適用される。
【0044】
図4aにおいて、金属シートは、また、筐体の第3側473に第3シートサイド部分443を含み、金属シートは、第3シートサイド部分443から中央シート部分445まで第2方向(x方向)に延在する。金属キャップ部分は、筐体の第3側473に第3キャップサイド部分433を含み、金属キャップ部分は、第3キャップサイド部分433から中央キャップ部分435まで第2方向に延在する。第3シートサイド部分443は、第3シートサイド部分443および第3キャップサイド部分433が共に筐体の第3側473に第3サイド遮蔽部463を形成するように、第3キャップサイド部分433と接触している。
【0045】
図4bは、上述した第3サイド遮蔽部463を備える電子部品を示す。さらに、部品は
、筐体の第4側474に第4シートサイド部分444を備え、金属シートは、第4シートサイド部分444から中央シート部分445まで第2方向に延在する。金属キャップ部分は、筐体の第4側474に第4キャップサイド部分434を含み、金属キャップ部分は、第4キャップサイド部分434から中央キャップ部分435まで第2方向に延在する。第4シートサイド部分444は、第4シートサイド部分444および第4キャップサイド部分434が共に筐体の第4側474に第4サイド遮蔽部464を形成するように、第4キャップサイド部分434と接触している。
【0046】
第3サイド遮蔽部463および第4サイド遮蔽部464の第1方向(y方向)の幅は、例えば、チップ長の40%~60%であってもよい。あるいは、この幅は、本開示の任意の実施形態において、チップ幅の10%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、もしくは40%より大きく、または、チップ長の10%~100%であってもよい。
【0047】
シートサイド部分441~442およびキャップサイド部分431~432の形状と、それらを互いに接合することができる方法に関して上述したすべての選択肢は、第3シートサイド部分および第4シートサイド部分と、第3キャップサイド部分および第4キャップサイド部分にも適用される。これらの部分によって形成された第3サイド遮蔽部463および第4サイド遮蔽部464は、電子チップと第2方向に並んでもよい。
【0048】
第3中間シート部分447は、第3シートサイド部分443を中央シート部分445に連結する。第4中間シート部分448は、第4シートサイド部分444を中央シート部分445に連結する。(1)第3中間シート部分447および第4中間シート部分448の第1方向の幅、ならび/または(2)金属キャップ部分の対応する中間領域の第1方向の幅、ならびに/または(3)第3サイド遮蔽部463および第4サイド遮蔽部464の第1方向の幅は、例えば、チップ長(L)の40%~60%もしくは10%~100%であってもよく、または、それらは、チップ長の10%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、もしくは40%より大きく、もしくは、チップ長の1倍(1xL)より大きく、チップ長の2倍(2xL)より大きく、3xLより大きく、5xLより大きく、もしくは10xLより大きくてもよい。さらに、これらの幅は、例えば、筐体の第1方向の幅479の20%~40%、40%~60%、60%~80%、または80%~110%であってもよい。第3サイド遮蔽部463および第4サイド遮蔽部464の第1方向の幅は、第1サイド遮蔽部461または第2サイド遮蔽部462の第2方向の幅と等しい必要はない。これらの幅の4つがすべて等しくてもよく、または、それらのうちのいくつかが等しくてもよいが、それらがすべて異なってもよい。
【0049】
場合によっては、互いに対向していない二側面にサイド遮蔽を施すのが好ましいことがある。図5は、部品を示しており、参照番号531、535、541、545、561および571は、それぞれ図1aの参照番号131、135、141、145、161および171に対応する。参照番号578は、図2aの参照番号278に対応する。図2a~図2dを参照して第1サイド遮蔽部について上述した選択肢は、この場合にも適用される。
【0050】
図2bと異なり、例えば、第2サイド遮蔽部は、この場合、部品の右側に作られる。言い換えれば、第2サイド遮蔽部562が位置する筐体の第2側572は、第1側571に対向していない。代わりに、第1サイド遮蔽部561は、チップから第1方向(y方向)に離れており、第2サイド遮蔽部562は、チップから第2方向(x方向)に離れている。これは、この場合、金属シートが直角コーナーピースの形状を有することを意味している。
【0051】
言い換えれば、図5では、金属シートは、筐体の第2側572に第2シートサイド部分542を含み、金属シートは、第2シートサイド部分542から中央シート部分545まで第2方向に延在する。金属キャップ部分は、筐体の第2側572に第2キャップサイド部分532を含む。金属キャップ部分は、第2キャップサイド部分532から中央キャップ部分535まで第2方向に延在する。第2シートサイド部分542は、第2シートサイド部分542および第2キャップサイド部分532が共に筐体の第2側572に第2サイド遮蔽部562を形成するように、第2キャップサイド部分532と接触している。
【0052】
前述同様、第2サイド遮蔽部562の第1方向第1方向(y方向)の幅は、例えば、チップ長の40%~60%であってもよい。あるいは、この幅は、チップ幅の10%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、もしくは40%より大きく、または、チップ長の10%~100%であってもよい。
【0053】
シートサイド部分およびキャップサイド部分の形状に関して上述したすべての選択肢は、図5にも適用される。この場合、第2サイド遮蔽部562は、電子チップと第2方向に並んでもよい。
【0054】
第1中間シート部分546は、第1シートサイド部分541を中央シート部分545に連結する。第2中間シート部分547は、第2シートサイド部分542を中央シート部分545に連結する。(1)第1中間シート部分546および第2中間シート部分547の第1方向の幅、ならびに/または(2)金属キャップ部分の対応する中間領域の第1方向の幅、ならびに/または(3)第2サイド遮蔽部562の第1方向の幅は、例えば、チップ長(L)の40%~60%もしくは10%~100%であってもよく、または、それらは、チップ長の10%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、もしくは40%より大きく、もしくは、チップ長の1倍(1xL)より大きく、チップ長の2倍(2xL)より大きく、3xLより大きく、5xLより大きく、もしくは10xLより大きくてもよい。さらに、これらの幅は、例えば、筐体の第1方向の幅579の20%~40%、40%~60%、60%~80%、または80%~110%であってもよい。第1サイド遮蔽部561の第2方向の幅は、必ずしも第2サイド遮蔽部562の第2方向の幅と等しい必要はないが、等しくてもよい。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4a
図4b
図5