(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】重荷重用タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240305BHJP
B60C 15/06 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60C19/00 J
B60C15/06 B
B60C15/06 C
(21)【出願番号】P 2022101540
(22)【出願日】2022-06-24
【審査請求日】2023-01-13
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 将行
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-055457(JP,A)
【文献】特開2021-000855(JP,A)
【文献】特開2017-222294(JP,A)
【文献】特開2020-055521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビードと、
一対の前記ビードの間を架け渡すカーカスと、
前記カーカスの軸方向外側に位置する一対のサイドウォールと、
前記サイドウォールの径方向内側に位置し、リムと接触する一対のチェーファーと、
RFIDタグを含むタグ部材と
を備え、
前記ビードが、コアと、前記コアの径方向外側に位置する内側エイペックスと、前記内側エイペックスの径方向外側に位置する外側エイペックスとを備え、
前記カーカスがカーカスプライを備え、
前記カーカスプライが、一対の前記ビードの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なり前記ビードで折り返される一対の折り返し部とを備え、
前記ビード
を構成する、前記コアと、前記内側エイペックスと、前記外側エイペックスと、が前記プライ本体と前記折り返し部との間に挟まれ、
前記折り返し部の端の径方向外側において前記タグ部材が前記外側エイペックスに接触し、
前記RFIDタグが、径方向において、前記外側エイペックスの外端と前記チェーファーの外端との間に位置し、
前記タグ部材の
内端が前記チェーファーの外端の径方向外側に位置する、
重荷重用タイヤ。
【請求項2】
前記チェーファーの外端が前記サイドウォールの内端の径方向外側に位置し、
前記サイドウォールが前記チェーファーの外端を覆う、
請求項
1に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項3】
前記チェーファーの外端の径方向高さの、前記サイドウォールの内端の径方向高さに対する比が2.00以上3.25以下である、
請求項
2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項4】
前記外側エイペックスの外端の径方向高さの、前記チェーファーの外端の径方向高さに対する比が1.08以上1.54以下である、
請求項
3に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項5】
前記タグ部材が、前記RFIDタグが架橋ゴムで被覆されたプレート状の部材であり、
前記タグ部材の厚さが1.0mm以上2.5mm以下である、
請求項
1に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項6】
前記内側エイペックスの外端が、径方向において、前記折り返し部の端と前記RFIDタグとの間に位置する、
請求項
1に記載の重荷重用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造管理、顧客情報、走行履歴等のデータを管理するために、RFID(Radio Frequency Identification)タグをタイヤに内蔵することが提案されている。RFIDタグをタイヤに内蔵する技術について様々な検討が行われている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
損傷防止の観点から、タイヤにおいて屈曲の程度が小さい部分にRFIDタグは設けられる。重荷重用タイヤの場合、ビード部が高い剛性を有する。重荷重用タイヤでは、RFIDタグの配置位置としてビード部は有効である。
【0005】
タイヤは一対のビードの間を架け渡すカーカスを備える。カーカスはカーカスプライを備える。カーカスプライはビードで折り返される。重荷重用タイヤの場合、カーカスプライの折り返し部は、その端がビードのエイペックスと重複するように配置される。
【0006】
カーカスプライは並列した多数のカーカスコードを含む。重荷重用タイヤでは、スチールコードがカーカスコードとして用いられる。スチールコードのような金属要素のそばにRFIDタグを配置すると電波に乱れが生じることが懸念される。
重荷重用タイヤでは、RFIDタグをビード部にセットする場合、金属要素からの距離を確保できる観点から、折り返し部の端とエイペックスの端との間のゾーンに、RFIDタグを配置することが検討される。
【0007】
ところでビードの軸方向外側にはチェーファーの外端が位置する。チェーファーは、リム側から径方向外向きに拡がる。チェーファーの外端は、タイヤの製造においてクリースと呼ばれる波打ちが生じやすい箇所である。クリースは、タイヤの耐久性や外観品質の低下を招く恐れがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、クリースの発生を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる、重荷重用タイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る重荷重用タイヤは、一対のビードと、一対の前記ビードの間を架け渡すカーカスと、前記カーカスの軸方向外側に位置する一対のサイドウォールと、前記サイドウォールの径方向内側に位置し、リムと接触する一対のチェーファーと、RFIDタグを含むタグ部材とを備える。前記ビードは、コアと、前記コアの径方向外側に位置する内側エイペックスと、前記内側エイペックスの径方向外側に位置する外側エイペックスとを備える。前記カーカスはカーカスプライを備え、前記カーカスプライは、一対の前記ビードの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なり前記ビードで折り返される一対の折り返し部とを備える。前記折り返し部の端の径方向外側において前記タグ部材が前記外側エイペックスに接触し、前記RFIDタグが、径方向において、前記外側エイペックスの外端と前記チェーファーの外端との間に位置し、前記タグ部材の外端が前記チェーファーの外端の径方向外側に位置する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クリースの発生を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる、重荷重用タイヤが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る重荷重用タイヤの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0013】
本発明のタイヤはリムに組まれる。タイヤの内部には空気が充填され、タイヤの内圧が調整される。リムに組まれたタイヤはタイヤ-リム組立体とも呼ばれる。タイヤ-リム組立体は、リムと、このリムに組まれたタイヤとを備える。
【0014】
本発明において、タイヤを正規リムに組み、タイヤの内圧を正規内圧に調整し、このタイヤに荷重をかけていない状態は、正規状態と称される。
【0015】
本発明においては、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、測定される。この測定では、左右のビード間の距離が、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致するように、タイヤはセットされる。
【0016】
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
【0017】
正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
【0018】
正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
【0019】
本発明において、タイヤのトレッド部とは、路面と接地する、タイヤの部位である。ビード部とは、リムに嵌め合わされる、タイヤの部位である。サイドウォール部とは、トレッド部とビード部との間を架け渡す、タイヤの部位である。タイヤは、部位として、トレッド部、一対のビード部及び一対のサイドウォール部を備える。
【0020】
本発明において、タイヤを構成する要素のうち、架橋ゴムからなる要素の複素弾性率は、JIS K6394の規定に準拠して測定される。測定条件は以下の通りである。
初期歪み=10%
動歪み=±1%
周波数=10Hz
モード=伸長モード
温度=70℃
この測定では、試験片(長さ40mm×幅4mm×厚さ1mm)はタイヤからサンプリングされる。試験片の長さ方向は、タイヤの周方向と一致させる。タイヤから試験片をサンプリングできない場合には、測定対象の要素の形成に用いられるゴム組成物を170℃の温度で12分間加圧及び加熱して得られる、シート状の架橋ゴム(以下、ゴムシートとも称される。)から試験片がサンプリングされる。
本発明において複素弾性率は、70℃での複素弾性率で表される。
【0021】
[本発明の実施形態の概要]
[構成1]
本発明の一態様に係る重荷重用タイヤは、一対のビードと、一対の前記ビードの間を架け渡すカーカスと、前記カーカスの軸方向外側に位置する一対のサイドウォールと、前記サイドウォールの径方向内側に位置し、リムと接触する一対のチェーファーと、RFIDタグを含むタグ部材とを備え、前記ビードが、コアと、前記コアの径方向外側に位置する内側エイペックスと、前記内側エイペックスの径方向外側に位置する外側エイペックスとを備え、前記カーカスがカーカスプライを備え、前記カーカスプライが、一対の前記ビードの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なり前記ビードで折り返される一対の折り返し部とを備え、前記折り返し部の端の径方向外側において前記タグ部材が前記外側エイペックスに接触し、前記RFIDタグが、径方向において、前記外側エイペックスの外端と前記チェーファーの外端との間に位置し、前記タグ部材の外端が前記チェーファーの外端の径方向外側に位置する。
【0022】
このようにタイヤを整えることにより、タグ部材が、屈曲の程度が小さいビード部に配置される。このタイヤでは、RFIDタグの損傷リスクは低い。このタイヤでは、カーカスプライとRFIDタグとの間に外側エイペックスが位置する。カーカスプライと間隔をあけて、RFIDタグが配置されるので、カーカスプライがカーカスコードとしてスチールコードを含んでいたとしても、電波に乱れが生じにくい。このタイヤでは、RFIDタグと通信機器(図示されず)との間に良好な通信環境が形成される。RFIDタグへのデータの書き込みや、RFIDタグに記録されたデータの読み取りが、正確に行われる。
【0023】
このタイヤでは、タグ部材の外端がチェーファーの外端の径方向外側に位置する。これにより、タグ部材の外端がチェーファーの外端の径方向内側に位置する場合に比べて、チェーファーの外端とタグ部材との干渉が抑制される。このタイヤでは、クリースの発生が抑制される。
このタイヤは、クリースの発生を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる。
【0024】
[構成2]
好ましくは、前述の[構成1]に記載のタイヤにおいて、前記タグ部材の内端は前記チェーファーの外端の径方向外側に位置する。
このようにタイヤを整えることにより、チェーファーの外端へのタグ部材の干渉が効果的に抑制される。このタイヤでは、クリースの発生が効果的に抑制される。
【0025】
[構成3]
好ましくは、前述の[構成1]又は[構成2]に記載のタイヤにおいて、前記チェーファーの外端が前記サイドウォールの内端の径方向外側に位置し、前記サイドウォールが前記チェーファーの外端を覆う。
このようにタイヤを整えることにより、チェーファーの外端に作用する歪みが効果的に緩和される。このタイヤでは、チェーファーの外端を起点とする損傷の発生が効果的に抑制される。
【0026】
[構成4]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成3]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記チェーファーの外端の径方向高さの、前記サイドウォールの内端の径方向高さに対する比が2.00以上3.25以下である。
このようにタイヤを整えることにより、サイドウォールとチェーファーとの接合領域を十分確保できる。タグ部材の配置スペースが確保されるので、このタイヤは、チェーファーの外端と干渉しにくい位置にタグ部材を配置できる。このタイヤでは、クリースの発生が効果的に抑制される。
【0027】
[構成5]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成4]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記外側エイペックスの外端の径方向高さの、前記チェーファーの外端の径方向高さに対する比が1.08以上1.54以下である。
このようにタイヤを整えることにより、このタイヤは、チェーファーの外端と干渉しにくい位置にタグ部材を配置できる。このタイヤでは、クリースの発生が抑制される。外側エイペックスによるタイヤの撓みへの影響が抑制されるので、このタイヤでは、良好な乗り心地が維持される。
【0028】
[構成6]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成5]のいずれかに記載のタイヤにおいて、一対の前記サイドウォールのうち、第一のサイドウォールの側に、前記タグ部材が設けられる。このようにタイヤを整えることにより、クリースの発生リスクが低減される。
【0029】
[構成7]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成6]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記タグ部材が、前記RFIDタグが架橋ゴムで被覆されたプレート状の部材であり、前記タグ部材の厚さが1.0mm以上2.5mm以下である。
このようにタイヤを整えることにより、RFIDタグの損傷リスクの低減が図られ、良好な通信環境が形成される。
【0030】
[構成8]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成7]のいずれかに記載のタイヤにおいて、内側エイペックスの外端が、径方向において、前記折り返し部の端と前記RFIDタグとの間に位置する。
このようにタイヤを整えることにより、内側エイペックスがビード部の剛性を効果的に高める。そして、RFIDタグに作用する歪が効果的に低減される。このタイヤは、RFIDタグの損傷リスクを効果的に低減できる。
【0031】
[本発明の実施形態の詳細]
図1は、本発明の一実施形態に係る重荷重用タイヤ2(以下、単に「タイヤ2」とも称する。)の一部を示す。このタイヤ2は、トラック、バス等の車両に装着される。
図1においてタイヤ2はリムR(正規リム)に組まれた状態にある。
【0032】
図1は、タイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面(以下、子午線断面)の一部を示す。
図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。
図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。
図2は
図1に示された断面の一部を示す。
図2はタイヤ2のビード部を示す。
【0033】
図1において径方向に延びる一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表す。
図1及び2において軸方向に延びる実線BBLは、ビードベースラインである。ビードベースラインは、リムRのリム径(JATMA等参照)を規定する線である。
【0034】
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のチェーファー8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、一対のクッション層16、ストリップ層18、一対のスチール補強層20、層間ストリップ22、インナーライナー24及びタグ部材26を備える。
【0035】
トレッド4はカーカス12の径方向外側に位置する。トレッド4はトレッド面28において路面と接地する。トレッド4には溝30が刻まれる。
トレッド4は、ベース部32と、このベース部32の径方向外側に位置するキャップ部34とを備える。ベース部32は低発熱性の架橋ゴムで構成される。キャップ部34は耐摩耗性及びグリップ性能が考慮された架橋ゴムで構成される。キャップ部34がトレッド面28を含む。
【0036】
図1において符号PCで示される位置は赤道である。赤道PCはトレッド面28と赤道面との交点である。このタイヤ2のように赤道面上に溝30が位置する場合、溝30がないと仮定して得られる仮想トレッド面に基づいて赤道PCが特定される。
正規状態のタイヤ2において得られる、ビードベースラインから赤道PCまでの径方向距離がこのタイヤ2の断面高さ(JATMA等参照)である。
【0037】
それぞれのサイドウォール6はトレッド4の端に連なる。サイドウォール6はトレッド4の径方向内側に位置する。サイドウォール6はカーカス12の軸方向外側に位置する。符号PSで示される位置は、サイドウォール6の内端である。
サイドウォール6は耐カット性が考慮された架橋ゴムで構成される。サイドウォールの複素弾性率は2.0MPa以上6.0MPa以下である。
【0038】
符号PWで示される位置はタイヤ2の軸方向外端(以下、外端PW)である。模様や文字等の装飾が外面にある場合、外端PWは、装飾がないと仮定して得られる仮想外面に基づいて特定される。タイヤ2は外端PWにおいて最大幅を示す。外端PWは最大幅位置とも呼ばれる。
正規状態のタイヤ2において得られる、第一の外端PWから第二の外端PW(図示されず)までの軸方向距離が、このタイヤ2の断面幅(JATMA等参照)である。
【0039】
図1において符号Hで示される長さはビードベースラインから最大幅位置PWまでの径方向距離である。径方向距離Hは最大幅位置PWの径方向高さとも呼ばれる。
正規状態のタイヤ2において、最大幅位置PWの径方向高さHの、断面高さに対する比は0.40以上0.60以下である。
【0040】
それぞれのチェーファー8はサイドウォール6の径方向内側に位置する。チェーファー8はリムRと接触する。符号PBで示される位置はチェーファー8の外端である。
チェーファー8は耐摩耗性が考慮された架橋ゴムで構成される。チェーファー8の複素弾性率は10MPa以上15MPa以下である。チェーファー8はサイドウォール6よりも硬質である。
【0041】
それぞれのビード10はチェーファー8の軸方向内側に位置する。ビード10はサイドウォール6の径方向内側に位置する。ビード10は、コア36と、エイペックス38とを備える。
【0042】
コア36は周方向にのびる。コア36は、巻き回されたスチール製のワイヤを含む。コア36は略六角形の断面形状を有する。
エイペックス38はコア36の径方向外側に位置する。エイペックス38はコア36から径方向外向きにのびる。エイペックス38は外向きに先細りである。エイペックス38の外端PAは最大幅位置PWの径方向内側に位置する。エイペックス38の外端PAはチェーファー8の外端PBの径方向外側に位置する。
【0043】
エイペックス38は内側エイペックス40と外側エイペックス42とを備える。内側エイペックス40はコア36の径方向外側に位置する。外側エイペックス42は内側エイペックス40の径方向外側に位置する。
【0044】
内側エイペックス40は外向きに先細りである。内側エイペックス40は硬質な架橋ゴムで構成される。内側エイペックス40の複素弾性率は60MPa以上90MPa以下である。
【0045】
外側エイペックス42は、内側エイペックス40の外端PU付近において厚い。外側エイペックス42はこの厚い部分から内向きに先細りであり、外向きに先細りである。
外側エイペックス42の内端PG1はコア36の近くに位置する。
【0046】
図2において符号L1で示される長さは、ビードベースラインから外側エイペックス42の外端PG2までの径方向距離である。径方向距離L1は、外側エイペックス42の外端PG2の径方向高さとも呼ばれる。外側エイペックス42の外端PG2はエイペックス38の外端PAでもある。この径方向距離L1はビード10の径方向高さとも呼ばれる。
【0047】
このタイヤ2では、ビード部の剛性とタイヤ2の撓みと、をバランスよく整える観点から、ビード10の径方向高さL1の、最大幅位置PWの径方向高さHに対する比(L1/H)は0.55以上0.95以下の範囲で調整される。
【0048】
外側エイペックス42は架橋ゴムで構成される。外側エイペックス42は内側エイペックス40よりも軟質である。外側エイペックス42の複素弾性率は3.0MPa以上6.0MPa以下である。
【0049】
このタイヤ2のエイペックス38はエッジストリップ46をさらに備える。
エッジストリップ46は外側エイペックス42の軸方向外側に位置し、エイペックス38の外側面の一部を構成する。エッジストリップ46はチェーファー8の外端PBと、外側エイペックス42の内端PG1との間に位置する。
エッジストリップ46は架橋ゴムで構成される。エッジストリップ46は、チェーファー8より軟質であり、外側エイペックス42より硬質である。エッジストリップ46の複素弾性率は7.0MPa以上12MPa以下である。
【0050】
カーカス12は、トレッド4、一対のサイドウォール6、及び一対のチェーファー8の内側に位置する。カーカス12は一対のビード10の間を架け渡す。このタイヤ2のカーカス12はラジアル構造を有する。
【0051】
カーカス12は少なくとも1枚のカーカスプライ48を備える。このタイヤ2のカーカス12は1枚のカーカスプライ48からなる。カーカスプライ48はビード10で折り返される。
【0052】
カーカスプライ48はプライ本体50と一対の折り返し部52とを備える。プライ本体50は一対のビード10の間、すなわち、第一のビード10と第二のビード10の間、を架け渡す。それぞれの折り返し部52は、プライ本体50に連なり、ビード10で折り返される。このタイヤ2の折り返し部52は、軸方向内側から外側に向かってビード10で折り返される。折り返し部52の端PFはチェーファー8の外端PBの径方向内側に位置する。プライ本体50と折り返し部52との間にビード10が挟まれる。
【0053】
図示されないが、カーカスプライ48は並列された多数のカーカスコードを含む。これらカーカスコードはトッピングゴムで覆われる。それぞれのカーカスコードは赤道面と交差する。このタイヤ2のカーカスコードにはスチールコードが用いられる。
【0054】
図1において符号Nで示される長さは、ビードベースラインから折り返し部52の端PFまでの径方向距離である。径方向距離Nは、折り返し部52の端PFの径方向高さとも呼ばれる。
このタイヤ2では、折り返し部52の端PFの径方向高さNの、最大幅位置PWの径方向高さHに対する比(N/H)は0.25以上0.45以下である。
【0055】
ベルト14は4枚のベルトプライ54を備える。4枚のベルトプライ54は、第一ベルトプライ54A、第二ベルトプライ54B、第三ベルトプライ54C及び第四ベルトプライ54Dである。これらベルトプライ54は径方向に並ぶ。
このタイヤ2では、第二ベルトプライ54Bが最も広い幅を有し、第四ベルトプライ54Dが最も狭い幅を有する。
【0056】
図示されないが、各ベルトプライ54は並列した多数のベルトコードを含む。それぞれのベルトコードは赤道面に対して傾斜する。このタイヤ2のベルトコードには、スチールコードが用いられる。
【0057】
それぞれのクッション層16は、ベルト14の端において、ベルト14とカーカス12との間に位置する。クッション層16は、軟質な架橋ゴムで構成される。
【0058】
ストリップ層18はトレッド4の径方向内側においてカーカス12とベルト14との間に位置する。軸方向においてストリップ層18は第一のクッション層16と第二のクッション層16との間に位置する。ストリップ層18は架橋ゴムで構成される。
【0059】
それぞれのスチール補強層20はビード部に位置する。スチール補強層20はチェーファー8とカーカス12との間に位置する。スチール補強層20はビード10で折り返される。図示されないが、スチール補強層20は並列した多数のフィラーコードを含む。フィラーコードの材質はスチールである。
スチール補強層20の第一端20fは軸方向においてチェーファー8と折り返し部52との間に位置する。第一端20fは折り返し部52の端PFの径方向内側に位置する。第二端20sは軸方向においてインナーライナー24とプライ本体50との間に位置する。第二端20sの径方向位置は第一端20fのそれと概ね一致していればよく、第二端20sが第一端20fの径方向外側に位置していてもよく、第一端20fの径方向内側に位置していてもよい。
【0060】
それぞれの層間ストリップ22は軸方向においてチェーファー8とビード10のエイペックス38との間に位置する。層間ストリップ22は、折り返し部52の端PFとスチール補強層20の第一端20fとを覆う。
層間ストリップ22は、折り返し部52の端PFの径方向外側においてエイペックス38と接触する。言い換えれば、層間ストリップ22とエイペックス38との接触面は、エイペックス38の外側面の一部を構成する。
層間ストリップ22は、スチール補強層20の第一端20fの径方向外側においてチェーファー8と接触する。言い換えれば、層間ストリップ22とチェーファー8との接触面は、チェーファー8の内側面の一部を構成する。
層間ストリップ22は架橋ゴムで構成される。層間ストリップ22はサイドウォール6より硬質であり、チェーファー8より軟質である。層間ストリップ22の複素弾性率は7.0MPa以上12MPa以下である。
【0061】
インナーライナー24はカーカス12の内側に位置する。インナーライナー24は、架橋ゴムからなるインスレーション(図示されず)を介してカーカス12の内面に接合される。インナーライナー24はタイヤ2の内面を構成する。インナーライナー24は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。
【0062】
タグ部材26はビード10の軸方向外側に位置する。このタイヤ2では、タグ部材26は第一のサイドウォール6の側にのみに設けられる。第一のサイドウォール6の側と、第二のサイドウォール6の側との両方にタグ部材26が設けられてもよい。クリースの発生リスクの低減の観点から、一対のサイドウォール6のうち、第一のサイドウォール6の側に、タグ部材26が設けられるのが好ましい。
【0063】
図3はタグ部材26の平面図である。
図4は
図3のIV-IV線に沿った断面図である。
タグ部材26はプレート状である。タグ部材26は長さ方向に長く、幅方向に短い。
図1に示されるように、タイヤ2においてタグ部材26は、その幅方向の第一端26sがタイヤ2の径方向外側に、第二端26uが内側に位置するように配置される。
【0064】
タグ部材26はRFIDタグ56を含む。
図3においてRFIDタグ56は、説明の便宜のために実線で示されるが、その全体が保護体58で覆われる。タグ部材26は、RFIDタグ56と保護体58とを備える。RFIDタグ56はタグ部材26の中心に位置する。保護体58は架橋ゴムで構成される。保護体58は外側エイペックス42の剛性と同程度の剛性を有する。このタイヤ2では、良好な通信環境の形成が考慮され、保護体58には高い電気抵抗を有する架橋ゴムが用いられる。保護体58は絶縁性の高いゴムからなる。
【0065】
詳述しないが、RFIDタグ56は、送受信回路、制御回路、メモリ等をチップ化した半導体チップ60と、アンテナ62とから構成される小型軽量の電子部品である。RFIDタグ56は、質問電波を受信すると、これを電気エネルギーとして使用し、メモリ内の諸データを応答電波として発信する。このRFIDタグ56は、受動式無線周波数識別トランスポンダの一種である。
【0066】
このタイヤ2では、タグ部材26はRFIDタグ56が架橋ゴムで被覆されたプレート状の部材である。RFIDタグ56の損傷リスクの低減と、良好な通信環境の形成の観点から、タイヤ2におけるタグ部材26の厚さは好ましくは1.0mm以上2.5mm以下である。このタイヤ2におけるタグ部材26の厚さは、RFIDタグ56の半導体チップ60におけるタグ部材26の最大厚さで表される。
なお、タイヤ2に埋め込む前のタグ部材26の長さTLは60mm以上80mm以下である。幅TWは10mm以上20mm以下である。
【0067】
タイヤ2におけるRFIDタグ56の位置は、その子午線断面におけるRFIDタグ56(具体的には、半導体チップ60)の径方向内端の位置により表される。
図2において符号TUで示される位置が、タイヤ2におけるRFIDタグ56の位置としての、RFIDタグ56の径方向内端である。
【0068】
このタイヤ2では、タグ部材26は、折り返し部52の端PFの径方向外側において、外側エイペックス42の軸方向外側に位置する。タグ部材26は外側エイペックス42に接触する。タグ部材26と外側エイペックス42との境界は外側エイペックス42の外側面の一部を構成する。言い換えれば、タグ部材26と外側エイペックス42との境界はエイペックス38の外側面の一部を構成する。
そしてこのタイヤ2では、RFIDタグ56は、径方向において、外側エイペックス42の外端PG2とチェーファー8の外端PBとの間に位置する。
このタイヤ2のRFIDタグ56は、屈曲の程度が小さいビード部に配置される。このタイヤ2では、RFIDタグ56の損傷リスクは低い。
このタイヤ2では、カーカスプライ48とRFIDタグ56との間に外側エイペックス42が位置する。金属要素であるカーカスコードを含むカーカスプライ48と間隔をあけて、RFIDタグ56が配置される。電波に乱れが生じにくいので、RFIDタグ56と通信機器(図示されず)との間に良好な通信環境が形成される。RFIDタグ56へのデータの書き込み及び、RFIDタグ56に記録されたデータの読み取りが、正確に行われる。
【0069】
ところでビード10の軸方向外側にはチェーファー8の外端PBが位置する。チェーファー8は、リムR側から径方向外向きに拡がる要素である。チェーファー8の外端PBは、タイヤ2の製造においてクリースと呼ばれる波打ちが生じやすい箇所である。チェーファー8の外端PB付近にタグ部材26が配置されるので、チェーファー8の外端PBとタグ部材26との干渉の程度によっては、クリースが生じることが懸念される。
【0070】
このタイヤ2では、タグ部材26の外端26sはチェーファー8の外端PBの径方向外側に位置する。このタイヤ2では、タグ部材26の外端26sがチェーファー8の外端PBの径方向内側に位置する場合(すなわち、タグ部材26全体がチェーファー8で覆われる場合)に比べて、チェーファー8の外端PBとタグ部材26との干渉が抑制される。このタイヤ2では、耐久性や外観品質に影響するクリースが発生しにくい。
【0071】
このタイヤ2は、クリースの発生を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグ56の損傷リスクの低減を達成できる。
【0072】
このタイヤ2では、タグ部材26の内端26uはチェーファー8の外端PBの径方向外側に位置する。これにより、タグ部材26全体がチェーファー8の外端PBの径方向外側に配置される。チェーファー8の外端PBへのタグ部材26の干渉が効果的に抑制される。このタイヤ2では、クリースの発生が効果的に抑制される。この観点から、このタイヤ2では、タグ部材26の内端26uはチェーファー8の外端PBの径方向外側に位置するのが好ましい。
【0073】
このタイヤ2では、タグ部材26の外端26sは外側エイペックス42の外端PG2の径方向内側に位置する。これにより、タグ部材26によるサイドウォール部の撓みへの影響が効果的に抑制される。このタイヤ2では、良好な耐久性及び乗り心地が維持される。この観点から、タグ部材26の外端26sは外側エイペックス42の外端PG2の径方向内側に位置するのが好ましい。
【0074】
このタイヤ2では、タグ部材26の内端26uはチェーファー8の外端PBの径方向外側に位置し、タグ部材26の外端26sは外側エイペックス42の外端PG2の径方向内側に位置するのがより好ましい。この場合、
図2に示されるように、外側エイペックス42の外端PG2と、チェーファー8の外端PBとの間にタグ部材26全体が配置される。
【0075】
このタイヤ2では、チェーファー8の外端PBはサイドウォール6の内端PSの径方向外側に位置し、サイドウォール6がチェーファー8の外端PBを覆う。チェーファー8の外端PBがサイドウォール6で覆われるので、この外端PBに作用する歪みが効果的に緩和される。このタイヤ2では、チェーファー8はサイドウォール6よりも硬質である。そのため、チェーファー8の外端PBをサイドウォール6で覆うことで、この外端PBに作用する歪みがより効果的に緩和される。このタイヤ2では、チェーファー8の外端PBを起点とする損傷の発生が効果的に抑制される。この観点から、このタイヤ2では、チェーファー8の外端PBがサイドウォール6の内端PSの径方向外側に位置し、サイドウォール6がチェーファー8の外端PBを覆うのが好ましい。
【0076】
図2において符号R1で示される長さは、ビードベースラインからチェーファー8の外端PBまでの径方向距離である。径方向距離R1は、チェーファー8の外端PBの径方向高さとも呼ばれる。
図2において符号K2で示される長さは、ビードベースラインからサイドウォール6の内端PSまでの径方向距離である。径方向距離K2は、サイドウォール6の内端PSの径方向高さとも呼ばれる。
【0077】
このタイヤ2では、チェーファー8の外端PBの径方向高さR1の、サイドウォール6の内端PSの径方向高さK2に対する比(R1/K2)が2.00以上3.25以下であるのが好ましい。
比(R1/K2)が2.00以上に設定されることにより、サイドウォール6とチェーファー8との接合領域を十分確保できる。このタイヤ2では、クリースの発生が効果的に抑制される。この観点から、比(R1/K2)は2.20以上であるのがより好ましい。
比(R1/K2)が3.25以下に設定されることにより、タグ部材26の配置スペースが確保される。このタイヤ2は、チェーファー8の外端PBと干渉しにくい位置にタグ部材26を配置できる。このタイヤ2では、クリースの発生が抑制される。この観点から、比(R1/K2)は3.00以下であるのがより好ましい。
【0078】
このタイヤ2では、外側エイペックス42の外端PG2の径方向高さL1の、チェーファー8の外端PBの径方向高さR1に対する比(L1/R1)は1.08以上1.54以下であるのが好ましい。
比(L1/R1)が1.08以上に設定されることにより、タグ部材26の配置スペースが確保される。このタイヤ2は、チェーファー8の外端PBと干渉しにくい位置にタグ部材26を配置できる。このタイヤ2では、クリースの発生が抑制される。この観点から、比(L1/R1)は1.12以上であるのがより好ましい。
比(L1/R1)が1.54以下に設定されることにより、外側エイペックス42によるタイヤ2の撓みへの影響が抑制される。このタイヤ2では、良好な乗り心地が維持される。この観点から、比(L1/R1)は1.42以下であるのがより好ましい。
【0079】
このタイヤ2では、内側エイペックス40の外端PUが、径方向において、折り返し部52の端PFとRFIDタグとの間に位置する。これにより、硬質な内側エイペックス40がビード部の剛性を効果的に高める。そして、RFIDタグ56に作用する歪が効果的に低減される。このタイヤ2は、RFIDタグ56の損傷リスクを効果的に低減できる。この観点から、内側エイペックス40の外端PUが、径方向において、折り返し部52の端PFとRFIDタグとの間に位置するのが好ましい。この場合、RFIDタグ56の損傷リスクをさらに低減できる観点から、内側エイペックス40の外端PUが、径方向において、折り返し部52の端PFとRFIDタグとの間に位置し、さらにこの内側エイペックス40の外端PUが径方向において折り返し部52の端PFとチェーファー8の外端との間に位置するのがより好ましい。
【0080】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、クリースの発生を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる、重荷重用タイヤ2が得られる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0082】
[実施例1-2及び比較例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた重荷重用タイヤ(タイヤサイズ=275/70R22.5)を得た。
【0083】
外側エイペックスの外端の径方向高さL1は80mmに設定された。チェーファーの外端の径方向高さR1は60mmに設定された。サイドウォールの内端の径方向高さK2は25mmに設定された。
タグ部材は、エイペックスの外側面に接触させる形でセットされた。特に、RFIDタグに作用する歪が小さく、良好な通信環境が形成される、外側エイペックスの外端と折り返し部の端との間のゾーンにタグ部材はセットされた。
タグ部材の位置を変えて、実施例1-2及び比較例1が準備された。いずれも、タグ部材の外端は外側エイペックスの外端の径方向内側に配置された。
【0084】
実施例1では、タグ部材は、その全体が外側エイペックスの外端とチェーファーの外端との間に位置するように配置された。タグ部材の外端及び内端がチェーファーの外端の径方向外側に位置することが、表1の外端及び内端の欄に「out」で表されている。
【0085】
実施例2では、タグ部材の外端をチェーファーの外端の径方向外側に配置し、タグ部材の内端をチェーファーの外端の径方向内側に配置した。このことが、表1の外端の欄に「out」で、その内端の欄に「in」で表されている。
RFIDタグはチェーファーの外端の径方向外側に配置された。
【0086】
比較例1では、タグ部材は、その全体がチェーファーの外端と折り返し部の端との間に位置するように配置された。タグ部材の外端及び内端がチェーファーの外端の径方向内側に位置することが、表1の外端及び内端の欄に「in」で表されている。
【0087】
[クリースチェーファーの発生状況]
試作タイヤのビード部の断面を切り出し、クリースの発生状況を確認した。クリースの発生がない場合をランク1とし、比較例1のクリースの発生状況をランク5とした、五段階の格付けで、クリースの発生状況を評価した。その結果が下記の表1に示されている。ランク3以下であることを合格基準とした。
【0088】
【表1】
表1に示されるように、実施例では、クリースの発生が抑制されることが確認されている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明された、クリースの発生を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる技術は種々のタイヤに適用されうる。
【符号の説明】
【0090】
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・チェーファー
10・・・ビード
12・・・カーカス
20・・・スチール補強層
22・・・層間ストリップ
26・・・タグ部材
36・・・コア
38・・・エイペックス
40・・・内側エイペックス
42・・・外側エイペックス
46・・・エッジストリップ
48・・・カーカスプライ
50・・・プライ本体
52・・・折り返し部
56・・・タグ
58・・・保護体
60・・・半導体チップ
62・・・アンテナ