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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/06 20090101AFI20240305BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20240305BHJP
   H04W 28/08 20230101ALI20240305BHJP
   H04W 8/26 20090101ALI20240305BHJP
   H04L 67/568 20220101ALI20240305BHJP
   H04W 28/14 20090101ALI20240305BHJP
【FI】
H04W4/06 170
H04W24/02
H04W28/08
H04W8/26 110
H04L67/568
H04W28/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022135012
(22)【出願日】2022-08-26
【審査請求日】2022-08-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/協調型自立ネットワークの研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】中松 芳樹
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-038123(JP,A)
【文献】特開2019-032680(JP,A)
【文献】特開2007-110368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H04L 67/568
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークに接続されコンテンツをアップリンク送信するコンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、
前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、前記無線ネットワークを収容するコアネットワークに接続されたエッジサーバを制御するエッジサーバ制御装置へ、前記コンテンツ送信装置によりアップリンク送信された前記コンテンツをキャッシュするエッジサーバの割り当て要求を送信することと、
前記コンテンツへのアクセス要求に対して前記コンテンツの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに、前記コンテンツの送信元のアドレス情報として、新たに割り当てられた前記エッジサーバのアドレス情報を登録させることと、
を前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御し、
前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が逼迫していることを含む、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、新たに割り当てられた前記エッジサーバに、前記コンテンツの取得先として前記コンテンツ送信装置のアドレス情報を登録させることを、前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの最大通信容量から前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量を差し引いた空き通信容量が、第1の閾値以下になることを含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの最大通信容量から前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量を差し引いた空き通信容量の低下速度が第2の閾値以上になることを含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記コンテンツ送信装置の位置に基づいて、前記第1の条件を設定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記コンテンツ送信装置の周囲に存在する物体に基づいて、前記第1の条件を設定する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記コンテンツ送信装置の周囲で発生するイベントに基づいて、前記第1の条件を設定する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記コンテンツ送信装置の周囲に存在する、前記コンテンツをダウンロード可能なユーザ端末の数に基づいて、前記第1の条件を設定する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第2の条件を満たした場合に、前記名前解決サーバに、前記コンテンツの送信元のアドレス情報として、前記コンテンツ送信装置のアドレス情報を登録させることを、
前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御し、
前記第2の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量の逼迫が解消したことを含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの最大通信容量から前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量を差し引いた空き通信容量が、第1の閾値以下になることを含み、
前記第2の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの最大通信容量から前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量を差し引いた空き通信容量が、第3の閾値以上になることを含み、
前記第3の閾値は、前記第1の閾値よりも大きい、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2の条件が満たされ、且つ、前記エッジサーバに関する第3の条件が満たされた場合に、前記エッジサーバ制御装置へ、前記エッジサーバの割り当て解除要求を送信することを、
前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御し、
前記第3の条件は、前記エッジサーバの使用が終了したことを含む、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
コンピュータにより実行される制御方法であって、
前記制御方法は、
無線ネットワークに接続されコンテンツをアップリンク送信するコンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御することを含み、
前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御することは、
前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、前記無線ネットワークを収容するコアネットワークに接続されたエッジサーバを制御するエッジサーバ制御装置へ、前記コンテンツ送信装置によりアップリンク送信された前記コンテンツをキャッシュするエッジサーバの割り当て要求を送信することと、
前記コンテンツへのアクセス要求に対して前記コンテンツの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに、前記コンテンツの送信元のアドレス情報として、新たに割り当てられた前記エッジサーバのアドレス情報を登録させることと、
を含み、
前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が逼迫していることを含む、
制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、
無線ネットワークに接続されコンテンツをアップリンク送信するコンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御する制御部、
として機能させ、
前記制御部は、
前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、前記無線ネットワークを収容するコアネットワークに接続されたエッジサーバを制御するエッジサーバ制御装置へ、前記コンテンツ送信装置によりアップリンク送信された前記コンテンツをキャッシュするエッジサーバの割り当て要求を送信することと、
前記コンテンツへのアクセス要求に対して前記コンテンツの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに、前記コンテンツの送信元のアドレス情報として、新たに割り当てられた前記エッジサーバのアドレス情報を登録させることと、
を前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御し、
前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が逼迫していることを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEC(Multi-access Edge Computing)が注目されている。MECとは、移動体通信ネットワーク上にエッジサーバを配置して、エッジサーバにキャッシュしたデータをユーザに配信する技術である。ユーザに地理的に近いエッジサーバからデータを配信することで、クラウド上に配置されたサーバからデータを配信する場合と比較して、ネットワーク負荷を軽減し、遅延を低減することができる。
【0003】
MECに関する様々な技術が開発されている。例えば、下記特許文献1では、エッジサーバのケイパビリティ情報を取得して、ケイパビリティ情報に基づいて最適なエッジサーバを選択してコンテンツの配信を要求する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/94360号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された技術は、開発されてから未だ日が浅く、様々な観点で向上の余地が残されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、コンテンツを配信するためのネットワークをより柔軟に構成することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、無線ネットワークに接続されコンテンツをアップリンク送信するコンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御する制御部、を備え、前記制御部は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、前記無線ネットワークを収容するコアネットワークに接続されたエッジサーバを制御するエッジサーバ制御装置へ、前記コンテンツ送信装置によりアップリンク送信された前記コンテンツをキャッシュするエッジサーバの割り当て要求を送信することと、前記コンテンツへのアクセス要求に対して前記コンテンツの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに、前記コンテンツの送信元のアドレス情報として、新たに割り当てられた前記エッジサーバのアドレス情報を登録させることと、を前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御し、前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が逼迫していることを含む、制御装置が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータにより実行される制御方法であって、前記制御方法は、無線ネットワークに接続されコンテンツをアップリンク送信するコンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御することを含み、前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御することは、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、前記無線ネットワークを収容するコアネットワークに接続されたエッジサーバを制御するエッジサーバ制御装置へ、前記コンテンツ送信装置によりアップリンク送信された前記コンテンツをキャッシュするエッジサーバの割り当て要求を送信することと、前記コンテンツへのアクセス要求に対して前記コンテンツの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに、前記コンテンツの送信元のアドレス情報として、新たに割り当てられた前記エッジサーバのアドレス情報を登録させることと、を含み、前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が逼迫していることを含む、制御方法が提供される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、無線ネットワークに接続されコンテンツをアップリンク送信するコンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、前記コンテンツのキャッシュに関する処理を制御する制御部、として機能させ、前記制御部は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、前記無線ネットワークを収容するコアネットワークに接続されたエッジサーバを制御するエッジサーバ制御装置へ、前記コンテンツ送信装置によりアップリンク送信された前記コンテンツをキャッシュするエッジサーバの割り当て要求を送信することと、前記コンテンツへのアクセス要求に対して前記コンテンツの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに、前記コンテンツの送信元のアドレス情報として、新たに割り当てられた前記エッジサーバのアドレス情報を登録させることと、を前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御し、前記第1の条件は、前記コンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が逼迫していることを含む、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、コンテンツを配信するためのネットワークをより柔軟に構成することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るシステムの基本的な構成を示す図である。
図2】本実施形態に係るシステムの詳細な構成を示す図である。
図3】本実施形態に係るMEOの構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係るキャッシュ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】本実施形態に係るAMRの構成の一例を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係るシステムにおける各構成要素の配置を示す図である。
図7】本実施形態に係るシステムにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8】本実施形態に係るシステムにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図9】本実施形態に係るシステムにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図10】本実施形態に係るAMRのアップリンクの使用中通信容量の変化とエッジサーバの割り当て/割り当て解除との関係の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係るAMRのアップリンクの使用中通信容量の変化とエッジサーバの割り当て/割り当て解除との関係の一例を示す図である。
図12】本実施形態に係るAMRのアップリンクの使用中通信容量の変化とエッジサーバの割り当て/割り当て解除との関係の一例を示す図である。
図13】本実施形態に係るAMRのアップリンクの使用中通信容量の変化とエッジサーバの割り当て/割り当て解除との関係の一例を示す図である。
図14】本実施形態に係るAMRのアップリンクの使用中通信容量の変化とエッジサーバの割り当て/割り当て解除との関係の一例を示す図である。
図15】本実施形態に係るシステムにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図16】本実施形態に係るシステムにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<1.前提技術>
サービス事業者は、CDN(Content Delivery Network)事業者と契約して、インターネットを介したコンテンツの配信又はアップロードに関するサービスを提供する場合がある。なお、サービス事業者とは、任意のサービスを提供する事業者である。CDN事業者とは、ISP(Internet Service Provider)を利用して、コンテンツをインターネット経由で配信する事業者である。ISPとは、通信事業者の回線を使用して、インターネットに接続するサービスを提供する事業者である。通信事業者とは、固定電話又は携帯電話等の電気通信サービスを提供する事業者である。
【0014】
CDN事業者は、典型的には、データセンタにオリジンサーバを設置し、コンテンツをオリジンサーバからユーザに配信する。オリジンサーバとは、CDNを介してコンテンツを配信する際の配信元となるサーバである。CDN事業者は、ネットワーク上に分散されたエッジサーバをキャッシュサーバとして配信に利用することで、ISPが相互接続するインターネット上のバックボーンに不要なコンテンツトラフィックを流入させないようにできる。また、同時に、ユーザに近いエッジサーバから配信することで、遅延を小さくすることが可能となる。
【0015】
本発明の一実施形態は、上記説明したエッジサーバを介したコンテンツの配信に関する。以下、図1を参照しながら、本実施形態の前提となる技術について詳しく説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るシステム1の基本的な構成を示す図である。システム1は、コンテンツの配信に関するシステムである。図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、インターネット2、ISPネットワーク3、データセンタ4、通信事業者ネットワーク5、MEC-CDN6、及びRAN(Radio Access Network)7を含む、複数のネットワークにより構成される。なお、本実施形態では、動物園49を経営する動物園経営者がサービス事業者であり、コンテンツの一例として動画像(音声を含んでいてもよい。以下、動画Mとも称する)をストリーミング配信する例を説明する。以下、システム1に関与する各構成要素について説明する。
【0017】
インターネット2は、インターネットプロトコルに準拠したネットワークである。
【0018】
ISPネットワーク3は、ISPにより運用されるネットワークである。ISPネットワーク3は、ISPネットワーク3に関する処理を実行するサーバ30等の各種装置を有する。システム1には、複数のISP事業者により運用される複数のISPネットワーク3が関与していてもよい。
【0019】
データセンタ4は、CDN事業者により運用される、各種のコンピュータ及びデータ通信のための装置を格納する施設である。動物園経営者は、AMR(Autonomous Mobile Robot)41をレンタルして、AMR41により動物園49内で動画Mを収録する。そして、動物園経営者は、収録した動画Mを、配信したり、動物園49内の監視に使用したり、動物園49の宣伝に使用したりする。データセンタ4には、サービス事業者である動物園経営者により運用されるサーバ40が配置される。サーバ40は、動物園49に関するデータを蓄積したり、動物園49のWebページを運用したりする。
【0020】
通信事業者ネットワーク5は、通信事業者により運用されるネットワークである。通信事業者は、後述するコアネットワーク50とRAN7とから成る移動体通信ネットワークを運用する。コアネットワーク50を運用する各種装置は、全国に分散して存在する通信局舎に収容される。これら全国に分散して存在する通信局舎は、トランスポートレイヤで接続されており、そのオーバーレイネットワークを、ここでは通信事業者ネットワーク5とする。
【0021】
コアネットワーク50とは、RAN7を収容するネットワークである。即ち、コアネットワーク50は、RAN7のバックボーンを担う。コアネットワーク50は、ユーザ端末10の認証、位置管理、及びポリシー制御等、RAN7に接続したユーザ端末10による通信に関する各種役割を担う。コアネットワーク50を運用する各種装置の一例として、フルサービスリゾルバ51及びGSLB(Global Server Load Balancing)52が挙げられる。
【0022】
フルサービスリゾルバ51は、DNS(Domain Name System)クライアントから受信した名前解決要求に対し応答する名前解決サーバである。フルサービスリゾルバ51は、キャッシュした情報を応答したり、他の権威サーバに問い合わせた結果を応答したりする。
【0023】
GSLB52は、名前解決要求に対しIP(Internet Protocol)アドレスを応答する名前解決サーバである。とりわけ、GSLB52は、異なる位置に配置された複数のサーバのIPアドレスから負荷分散の観点で適切なIPアドレスを応答することで、サーバ間の負荷分散を実現する。
【0024】
RAN7は、無線通信を提供する無線ネットワークである。RAN7は、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、又はB5G(Beyond 5th Generation)等の移動体通信システムの無線ネットワークであってもよい。若しくは、RAN7は、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth等の無線通信規格に準拠した無線ネットワークであってもよい。RAN7は、BS(Base Station)70(70A~70C)を含む。
【0025】
BS70は、BS70との間で無線信号を送受信可能な範囲内に位置する装置と無線接続して、無線接続した装置との間で無線信号を送受信する装置である。BS70は、無線接続した装置と、コアネットワーク50又はインターネット2との通信を中継する。なお、BS70に無線接続した装置が送信側となる通信路は、アップリンクとも称される。逆に、BS70に無線接続した装置が受信側となる通信路は、ダウンリンクとも称される。
【0026】
コアネットワーク50には、MEC-CDN6が接続される。MEC-CDN6は、CDN事業者により運用されるCDNである。MEC-CDN6は、複数のサーバ60を含むデータセンタである。図1に示した例では、MEC-CDN6は、CDC(Center Data Center)61、RDC(Regional Data Center)62、及びEDC(Edge Data Center)63(63A及び63B)の3つの階層のデータセンタで構成される。1つのCDC61の配下に複数のRDC62が配置され、1つのRDC62の配下に複数のEDC63が配置される。そして、上位のデータセンタと下位のデータセンタとは、ネットワークで接続される。下位のデータセンタは、上位のデータセンタのキャッシュの役割を果たす。これらのデータセンタは、地理的に分散して配置される。
【0027】
MEC-CDN6を構成する複数のデータセンタの各々は、1つ以上のサーバ60を含む。例えば、CDC61は、サーバ60Aを含む。RDC62は、サーバ60B及び60Cを含む。EDC63Aは、エッジサーバ60D及び60Eを含む(特にEDCのサーバをエッジサーバと呼ぶ)。EDC63Bは、エッジサーバ60Fを含む。そして、エッジサーバ60は、コアネットワーク50のうち、エッジサーバ60が配置された位置に対応する(即ち、近い)地理的範囲をカバーするBS70に対応するネットワーク59に接続される。例えば、エッジサーバ60Eはネットワーク59Cに接続され、エッジサーバ60Fはネットワーク59Dに接続される。そして、エッジサーバ60は、接続されたネットワーク59に対応するBS70に接続するユーザ端末10に対して配信されるコンテンツの、キャッシュサーバとして機能し得る。
【0028】
動物園49は、動物を飼育し一般に公開する施設である。動物園49の経営者は、サービス事業者の一例である。動物園49内では、1つ以上のAMR41が動作する。
【0029】
AMR41は、自律走行ロボットである。自律走行ロボットとは、搭載したセンサにより自己位置又は走行路を検出して走行するロボットである。そのため、自律走行ロボットが移動する範囲には、移動方向を誘導する誘導装置を設置する必要が無い。AMR41は、動物園49内を自律的に走行しながら、動画Mを収録及び記憶する。そして、AMR41は、インターネット2上のユーザに対して動画Mを配信するオリジンサーバとして動作する。即ち、AMR41は、RAN7に接続して、動画Mをアップリンク送信する。AMR41は、無線ネットワークに接続されコンテンツをアップリンク送信するコンテンツ送信装置の一例である。なお、AMR41は、AMR41を貸し出すAMR事業者から動物園49に貸し出され得る。
【0030】
ユーザ端末10は、ユーザにより操作される端末である。ユーザ端末10は、スマートフォン又はPC(Personal Computer)等の任意の情報処理装置であってよい。ユーザ端末10は、最寄りのBS70等のアクセスポイントを介してインターネット2にアクセスし得る。ユーザは、ユーザ端末10を介して動画Mを取得及び視聴する。
【0031】
ルータ9(9A~9M)は、異なるネットワーク同士を接続する装置である。そして、ルータ9は、データの転送を行う中継器でもある。ルータ9は、転送径路を選択したり、転送径路を制御したりする。例えば、ルータ9Aは、ユーザ端末10Cとインターネット2との通信を中継する。ルータ9Bは、データセンタ4とインターネット2との通信を中継する。ルータ9Cは、インターネット2とISPネットワーク3との通信を中継する。ルータ9Dは、ISPネットワーク3と通信事業者ネットワーク5との通信を中継する。ルータ9Eは、ISPネットワーク3とCDC61との通信を中継する。ルータ9Fは、ISPネットワーク3とRDC62との通信を中継する。ルータ9Gは、ISPネットワーク3とEDC63との通信を中継する。ルータ9Hは、通信事業者ネットワーク5においてコアネットワーク50外とコアネットワーク50内との通信を中継する。ルータ9Iは、CDC61とRDC62との通信を中継する。ルータ9Jは、RDC62とEDC63Aとの通信を中継する。ルータ9Kは、EDC63AとRAN7との通信を中継する。
ルータ9Lは、RDC62とEDC63Bとの通信を中継する。ルータ9Mは、EDC63BとRAN7との通信を中継する。
【0032】
なお、図1では、システム1に含まれるルータ9の一部が図示されている。即ち、システム1には、図示しないルータ9が含まれ得る。また、図1において、同一ネットワーク内における装置同士の接続の図示は、省略される場合がある。即ち、同一のネットワーク内に配置された任意の装置同士は、接続されていてもよい。
【0033】
以上、本実施形態に係るシステム1の基本的な構成について説明した。続いて、図1を参照しながら、ユーザ端末10への動画Mの配信に関する処理について説明する。
【0034】
まず、ユーザ端末10は、サーバ40が運用する動物園49のポータルサイトにアクセスして、AMR41により取得された動画MのURL(Uniform Resource Locator)を取得する。ユーザ端末10が動画MのURLにアクセスすると、フルサービスリゾルバ51に対し動画MのURLに関する名前解決要求が送信される。フルサービスリゾルバ51は、GSLB52に対し動画MのURLに関する名前解決要求を送信し、応答されたAMR41の近くに位置する、リバースプロキシでもあるエッジサーバ60EのIPアドレスを、ユーザ端末10へ応答する。ユーザ端末10は、応答されたIPアドレスのエッジサーバ60Eに接続して動画Mの配信の要求を送り、エッジサーバ60E上に目的の動画Mのキャッシュがあれば、エッジサーバ60Eから動画Mが配信される。
【0035】
エッジサーバ60Eは、キャッシュした動画Mをユーザ端末10に配信する。一例として、エッジサーバ60Eは、ユーザ端末10A及びユーザ端末10BのようにRAN7に接続するユーザ端末10に対しては、コアネットワーク50及びRAN7を経由して、動画Mを配信する(データフローF1及びF2参照)。他の一例として、エッジサーバ60Eは、インターネット上のPCであるユーザ端末10Cに対しては、インターネット2を経由して、動画Mを配信する(データフローF3参照)。
【0036】
ただし、エッジサーバ60Eは、動画Mをキャッシュしていない場合、オリジンサーバであるAMR41に対し動画Mをアップロードするよう要求する。そして、エッジサーバ60Eは、AMR41からアップロードされた動画Mを取得して、ユーザ端末10へ転送する(データフローF4参照)。転送の際に、エッジサーバ60Eは、取得した動画Mをキャッシュする。
【0037】
他方、エッジサーバ60Eは、動画Mをキャッシュしている場合、オリジンサーバへのアクセスを行わず、キャッシュした動画Mを配信する。例えば、ユーザ端末10Aには、最寄りのエッジサーバ60Eから動画Mが配信されるため、配信を高速に行うことが可能となる。ユーザ端末10Bに対しては、最寄りのエッジサーバ60Fを経由して、動画Mが配信されてもよい。その場合も、配信を高速に行うことが可能となる。
【0038】
<2.技術的課題>
これまで、サービス事業者には、オリジンサーバであるAMR41から配信される動画Mをキャッシュして配信するエッジサーバ60を利用するか否かを、事前に決めておくことが要された。
【0039】
エッジサーバ60を利用しない場合、動画Mの同時視聴ユーザが増えた場合にAMR41からのアップリンクの通信容量が逼迫し、動画Mが乱れる等の問題が引き起こされる。ここでのアップリンクとは、AMR41、RAN7、及びコアネットワーク50を順に経由する通信路である。通信容量とは、通信路が搬送することのできる情報の伝達能力である。通信路が搬送することのできる情報の最大の伝達能力を、最大通信容量とも称する。また、通信容量が逼迫するとは、最大通信容量から使用されている量(以下、使用中通信容量とも称する)を差し引いた、空き通信容量が極度に低下することを指す。一方で、サービス事業者にとっても、CDN事業者にとっても、アップリンクの通信容量が逼迫するか否かを事前に把握することは困難である。そのため、安全のために常にエッジサーバ60を利用する、といった選択がとられがちであった。
【0040】
しかし、同時視聴ユーザが少ない場合にはエッジサーバ60を利用せずとも円滑な配信が可能である。そのため、エッジサーバ60を利用することは過剰な設備投資となってしまっていた。
【0041】
そこで、本実施形態では、エッジサーバ60を動的に割り当て/割り当て解除することができる仕組みを提供する。エッジサーバ60を割り当てることは、コンテンツのキャッシュ及びキャッシュしたコンテンツの配信を開始させることを指す。エッジサーバ60を割り当てることは、エッジサーバ60を新たに起動させることを含んでいてもよい。エッジサーバ60の割り当てを解除することは、コンテンツのキャッシュ及びキャッシュしたコンテンツの配信を停止させることを指す。エッジサーバ60の割り当てを解除することは、エッジサーバ60を停止させることを含んでいてもよい。
【0042】
<3.技術的特徴>
<3.1.詳細な構成>
図2は、本実施形態に係るシステム1の詳細な構成を示す図である。図2に示すシステム1は、図1に示したシステム1に加えて、MEO(MEC Orchestrator)64及びキャッシュ制御装置65を含む。MEO64は、MEC-CDN6を構成する複数のエッジサーバ60の動作を制御するエッジサーバ制御装置の一例である。キャッシュ制御装置65は、エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除に関する処理を制御する装置である。さらに、AMR41は、エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除のために拡張された機能を有する。具体的には、AMR41は、アップリンクの通信状況を示す情報を、キャッシュ制御装置65に報告する(F5参照)。キャッシュ制御装置65は、AMR41から報告された情報に基づいて、エッジサーバ60を動的に割り当てたり、割り当て解除したりする処理を制御する。以下、これらの各装置の構成を説明する。
【0043】
(1)MEO64
図3は、本実施形態に係るMEO64の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、MEO64は、通信部641、記憶部642、及び制御部643を含む。
【0044】
通信部641は、他の装置との間でデータの送受信を行うための通信モジュールである。通信部641は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。通信部641は、MEO64に接続されたネットワークを介して任意の装置と通信する。一例として、通信部641は、MEC-CDN6を構成する複数のエッジサーバ60の各々と通信する。他の一例として、通信部641は、キャッシュ制御装置65と通信する。
【0045】
記憶部642は、情報を記憶する装置である。記憶部642は、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等の任意の記憶媒体により構成される。記憶部642は、MEO64の動作のための任意の情報を記憶する。一例として、記憶部642は、MEC-CDN6を構成する複数のエッジサーバ60の各々の情報を記憶する。記憶部642に記憶されるエッジサーバ60の情報としては、例えば、エッジサーバ60のIPアドレス、エッジサーバ60の名称、及びエッジサーバ60の割り当ての有無が挙げられる。エッジサーバ60の割り当ての有無とは、エッジサーバ60が利用中であるか否かを示す情報である。
【0046】
制御部643は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従ってMEO64内の動作全般を制御する。制御部643は、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。なお、制御部643は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0047】
制御部643は、MEO64が実行する処理を制御する。通信部641による通信、記憶部642による情報の記憶、及び記憶部642に記憶された情報の読み出しは、制御部643により制御される処理の一例である。また、制御部643は、エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除のための各種処理を制御する。エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除のためにMEO64により実行される処理については、後に詳しく説明する。
【0048】
(2)キャッシュ制御装置65
図4は、本実施形態に係るキャッシュ制御装置65の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、キャッシュ制御装置65は、通信部651、記憶部652、及び制御部653を含む。
【0049】
通信部651は、他の装置との間でデータの送受信を行うための通信モジュールである。通信部651は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。通信部651は、キャッシュ制御装置65に接続されたネットワークを介して任意の装置と通信する。一例として、通信部651は、GSLB52、MEO64、又はMEC-CDN6を構成する複数のエッジサーバ60の各々と通信する。他の一例として、通信部651は、コアネットワーク50、及びRAN7を介して、BS70に無線接続されたAMR41と通信する。
【0050】
記憶部652は、情報を記憶する装置である。記憶部652は、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等の任意の記憶媒体により構成される。記憶部652は、キャッシュ制御装置65の動作のための任意の情報を記憶する。一例として、記憶部652は、オリジンサーバの情報を記憶する。記憶部652に記憶されるオリジンサーバの情報としては、例えば、AMR41のIPアドレス、AMR41のアップリンクの最大通信容量、後述する割り当て閾値、及び後述する解除閾値が挙げられる。他の一例として、記憶部652は、MEO64のIPアドレスを記憶する。
【0051】
制御部653は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従ってキャッシュ制御装置65内の動作全般を制御する。制御部653は、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。なお、制御部653は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0052】
制御部653は、キャッシュ制御装置65が実行する処理を制御する。通信部651による通信、記憶部652による情報の記憶、及び記憶部652に記憶された情報の読み出しは、制御部643により制御される処理の一例である。また、制御部653は、エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除のための各種処理を制御する。エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除のためにキャッシュ制御装置65により実行される処理については、後に詳しく説明する。
【0053】
(3)AMR41
図5は、本実施形態に係るAMR41の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、AMR41は、コンテンツ取得部411、センサ部412、通信部413、アーム装置414、走行装置415、記憶部416、及び制御部417を含む。
【0054】
コンテンツ取得部411は、コンテンツを取得する装置である。詳しくは、コンテンツ取得部411は、コンテンツである動画Mを構成する画像データを撮像するカメラと、動画Mを構成する音声データを取得するマイクと、を含む。コンテンツ取得部411は、取得した動画Mを出力する。コンテンツ取得部411は、取得した動画Mをエンコードするエンコーダを有していてもよく、エンコード済みの動画Mを出力してもよい。
【0055】
センサ部412は、AMR41の環境に関する情報を取得する装置である。一例として、センサ部412は、コンテンツ取得部411から出力された動画Mを画像認識することで、AMR41の周囲に存在する物体を認識してもよい。他の一例として、センサ部412は、AMR41の位置情報を取得してもよい。位置情報は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信することで取得されてもよい。また、位置情報は、AMR41が無線接続するBS70の識別情報であってもよい。他にも、位置情報は、高度計により取得される高度を含んでいてもよい。
【0056】
通信部413は、他の装置との間でデータの送受信を行うための通信モジュールである。通信部413は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。通信部413は、AMR41に接続されたネットワークを介して任意の装置と通信する。具体的には、通信部413は、BS70に無線接続して、BS70を介して他の装置と通信する。一例として、通信部413は、ユーザ端末10、エッジサーバ60、又はキャッシュ制御装置65と通信する。
【0057】
アーム装置414は、いわゆるロボットアームである。アーム装置414は、複数の関節を有していてもよいし、末端に人間の手のように物体を把持等することが可能なロボットハンドを有していてもよい。アーム装置414は、動物園49内で飼育されている動物にエサを与えたり、檻のドアを開閉したり、AMR41の走行の邪魔になる路上の物体をどけたりする。
【0058】
走行装置415は、AMR41の位置を移動させる装置である。例えば、走行装置415は、車輪、車輪を駆動するモータ、車輪の舵角を変更する操舵装置を有する。
【0059】
記憶部416は、情報を記憶する装置である。記憶部416は、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等の任意の記憶媒体により構成される。記憶部416は、AMR41の動作のための任意の情報を記憶する。一例として、記憶部416は、コンテンツ取得部411により取得された動画Mを記憶する。
【0060】
制御部417は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従ってAMR41内の動作全般を制御する。制御部417は、例えばCPU(Central Processing Unit)、又はマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。なお、制御部653は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0061】
制御部417は、AMR41が実行する処理を制御する。コンテンツ取得部411による動画Mの取得、センサ部412によるAMR41の環境に関する情報の取得、通信部413による通信、アーム装置414の動作、及び走行装置415による走行は、制御部417により制御される処理の一例である。より詳しくは、制御部417は、センサ部412により取得された情報に基づいて、アーム装置414、及び走行装置415の動作を制御する。また、制御部653は、エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除のための各種処理を制御する。エッジサーバ60の動的な割り当て/割り当て解除のためにAMR41により実行される処理については、後に詳しく説明する。
【0062】
(4)配置
以上、MEO64、キャッシュ制御装置65、及びAMR41の各構成を説明した。続いて、本実施形態に係るシステム1における各構成要素の配置について、図6を参照しながら説明する。
【0063】
図6は、本実施形態に係るシステム1における各構成要素の配置を示す図である。本実施形態に係るCDNシステムは、通信事業者ネットワーク5上に構成される。AMR41は、オリジンサーバとして機能し、ユーザ端末10はオリジンサーバのクライアントとなる。ただし、ユーザ端末10A及びユーザ端末10Bは移動体通信ネットワーク530を介して、ユーザ端末10Cはインターネット2を介して、コンテンツの配信を受ける。
【0064】
図6に示すように、通信事業者ネットワーク5は、CDN制御510、MECプラットフォーム520、及び移動体通信ネットワーク530を含む。CDN制御510は、キャッシュ制御装置65、フルサービスリゾルバ51、及びGSLB52を含む。MECプラットフォーム520は、MEO64、及びMEC-CDN6を構成する複数のエッジサーバ60(60A~60F)を含む。移動体通信ネットワーク530は、複数のBS70(70A~70C)を有し、AMR41、ユーザ端末10A、及びユーザ端末10Bに無線通信サービスを提供する。
【0065】
<3.2.エッジサーバ60の割り当て>
キャッシュ制御装置65(例えば、制御部653)は、AMR41のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、動画Mのキャッシュに関する処理を制御する。動画Mのキャッシュに関する処理は、エッジサーバ60の割り当てに関する第1の処理を含む。
【0066】
第1の処理は、AMR41のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、キャッシュ制御装置65が、MEO64へ、AMR41によりアップリンク送信された動画Mをキャッシュするエッジサーバ60の割り当て要求を送信することを含む。第1の条件を満たしたことは、AMR41のアップリンクの通信容量が逼迫したことを意味する。MEO64(例えば、制御部643)は、キャッシュ制御装置65からエッジサーバ60の割り当て要求を受信すると、新たなエッジサーバ60を割り当てる。例えば、キャッシュ制御装置65は、未使用の(即ち、停止中の)エッジサーバ60を発見して、当該エッジサーバ60を起動する。そして、MEO64は、新たに割り当てたエッジサーバ60の情報を、キャッシュ制御装置65へ送信する。新たに割り当てたエッジサーバ60の情報の一例は、新たに割り当てたエッジサーバ60のIPアドレスである。かかる構成によれば、AMR41のアップリンクの通信容量が逼迫した場合に、エッジサーバ60を動的に割り当てることが可能となる。
【0067】
さらに、第1の処理は、キャッシュ制御装置65が、動画Mへのアクセス要求に対して動画Mの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに対してDNS(Domain Name System)の設定を行うことを含む。詳しくは、第1の処理は、キャッシュ制御装置65が、GSLB52に、動画Mの送信元のアドレス情報として、新たに割り当てられたエッジサーバ60のアドレス情報を登録させることを含む。アドレス情報の一例は、IPアドレスである。当該登録が行われた後、GSLB52は、動画MのURLについて名前解決要求を受信した場合に、登録されたエッジサーバ60のIPアドレスを応答することとなる。かかる構成によれば、動画Mの新たな配信要求に対しては、AMR41ではなくエッジサーバ60が動画Mを配信することとなる。即ち、AMR41への動画Mの配信の新規割り当てが停止される。その結果、AMR41から配信された動画Mを視聴中のユーザ端末10に対しては、引き続きAMR41から動画Mが配信される一方で、新たに動画Mを配信するよう要求したユーザ端末10に対しては、エッジサーバ60から動画Mが配信される。このようにして、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫を緩和することが可能となる。
【0068】
さらに、第1の処理は、キャッシュ制御装置65が、新たに割り当られたエッジサーバ60に対して、リバースプロキシの設定を行うことを含む。詳しくは、第1の処理は、キャッシュ制御装置65が、新たに割り当てられたエッジサーバ60に、動画Mの取得先としてオリジンサーバであるAMR41のアドレス情報を登録させることを含む。当該登録が行われた後、エッジサーバ60は、登録されたIPアドレスを使用してAMR41にアクセスして、動画Mを送信するよう要求することができる。AMR41は、エッジサーバ60からの要求に応じて、動画Mをエッジサーバ60へ送信する。そして、エッジサーバ60は、AMR41から取得した動画Mをキャッシュする。かかる構成によれば、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫に応じて新たに割り当てられたエッジサーバ60は、動画Mをキャッシュして、AMR41の代わりに配信することができる。その結果、動画Mの乱れを防止して、円滑に動画Mを配信することが可能となる。また、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫を緩和することが可能となる。
【0069】
第1の条件は、AMR41のアップリンクの最大通信容量からAMR41のアップリンクの使用中通信容量を差し引いた空き通信容量が、所定の閾値(第1の閾値の一例。以下、割り当て閾値とも称する)以下になることを含んでいてもよい。かかる構成によれば、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫をトリガとして、新たなエッジサーバ60を割り当てることが可能となる。なお、キャッシュ制御装置65は、空き通信容量が割り当て閾値以下になってから、エッジサーバ60の割り当てが完了するまでのタイムラグにおけるさらなる通信容量の逼迫を見越して、余裕のある割り当て閾値を設定してもよい。例えば、割り当て閾値は、所定数のユーザ端末10に対して動画Mを追加で配信可能な空き通信容量に対応する値であってよい。
【0070】
なお、上述した第1の条件の判定のための情報は、AMR41から報告されてもよいし、キャッシュ制御装置65に記憶されていてもよい。一例として、キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの最大通信容量、及び割り当て閾値を記憶し、第1の条件を判定する際にこれらの情報を読み出してもよい。他の一例として、AMR41は、アップリンクの使用中通信容量を所定のタイミングでキャッシュ制御装置65に報告してもよい。所定のタイミングの一例としては、所定周期、及び配信先のユーザ端末10の数が増加したタイミングが挙げられる。
【0071】
キャッシュ制御装置65は、第1の条件(より詳しくは、割り当て閾値)を、動的に設定してもよい。以下、第1の条件の動的な設定方法の一例を説明する。
【0072】
キャッシュ制御装置65は、AMR41の位置に基づいて、第1の条件を設定してもよい。AMR41は、AMR41の位置情報を所定のタイミングでキャッシュ制御装置65に報告してもよい。所定のタイミングの一例として、AMR41が移動したタイミングが挙げられる。キャッシュ制御装置65は、動物園49内に配置された施設の位置情報を記憶し、AMR41の位置情報に基づいて、AMR41がどの施設に位置するかを判定してもよい。一例として、キャッシュ制御装置65は、ライオン等の人気のある動物の檻の近くに位置するAMR41については、割り当て閾値を大きくしてもよい。人気のある動物の檻の近くに位置するAMR41により取得される動画Mの視聴者数は急速に増加する可能性が高く、AMR41のアップリンクの通信容量は逼迫しやすいと考えられる。この点、かかる構成によれば、より早いタイミングで新たにエッジサーバ60を割り当てることができるので、AMR41のアップリンクの逼迫を的確に防止することが可能となる。他の一例として、キャッシュ制御装置65は、動物の檻から遠くに位置するAMR41については、割り当て閾値を小さくしてもよい。動物の檻から遠くに位置するAMR41により取得される動画Mの視聴者数は増加しにくく、AMR41のアップリンクの通信容量は逼迫しにくいと考えられる。この点、かかる構成によれば、より遅いタイミングで新たにエッジサーバ60を割り当てることができるので、不要なエッジサーバ60の割り当てを防止することが可能となる。
【0073】
キャッシュ制御装置65は、AMR41の周囲に存在する物体に基づいて、第1の条件を設定してもよい。AMR41は、センサ部412により認識された、AMR41の周囲に存在する物体を示す情報を、所定のタイミングでキャッシュ制御装置65に報告してもよい。所定のタイミングの一例として、AMR41が新たな物体を認識したタイミングが挙げられる。一例として、キャッシュ制御装置65は、周囲に動物が存在するAMR41については、割り当て閾値を大きくしてもよい。動物が映った動画Mの視聴者数は急速に増加する可能性が高く、AMR41のアップリンクの通信容量は逼迫しやすいと考えられる。この点、かかる構成によれば、より早いタイミングで新たにエッジサーバ60を割り当てることができるので、AMR41のアップリンクの逼迫を的確に防止することが可能となる。他の一例として、キャッシュ制御装置65は、周囲に動物が存在しないAMR41については、割り当て閾値を小さくしてもよい。動物が映っていない動画Mの視聴者数は増加しにくく、AMR41のアップリンクの通信容量は逼迫しにくいと考えられる。この点、かかる構成によれば、より遅いタイミングで新たにエッジサーバ60を割り当てることができるので、不要なエッジサーバ60の割り当てを防止することが可能となる。
【0074】
キャッシュ制御装置65は、AMR41の周囲で発生するイベントに基づいて、第1の条件を設定してもよい。AMR41は、AMR41の位置情報を所定のタイミングでキャッシュ制御装置65に報告してもよい。所定のタイミングの一例として、AMR41が移動したタイミングが挙げられる。キャッシュ制御装置65は、動物園49内で開催されるイベントの開催位置及び開催時刻を記憶し、AMR41の位置情報と現在時刻に基づいて、AMR41の周囲で発生するイベントを知得してもよい。動物園49内で開催されるイベントとしては、例えば、動物にエサを与えるイベント、及び観客と動物とが触れ合うイベントが挙げられる。一例として、キャッシュ制御装置65は、周囲でイベントが開催されるAMR41については、割り当て閾値を大きくしてもよい。イベントの様子が映った動画Mの視聴者数は急速に増加する可能性が高く、AMR41のアップリンクの通信容量は逼迫しやすいと考えられる。この点、かかる構成によれば、より早いタイミングで新たにエッジサーバ60を割り当てることができるので、AMR41のアップリンクの逼迫を的確に防止することが可能となる。
【0075】
キャッシュ制御装置65は、AMR41の周囲に存在する、動画Mをダウンロード可能なユーザ端末10の数に基づいて、第1の条件を設定してもよい。キャッシュ制御装置65は、AMR41が無線接続するBS70に無線接続するユーザ端末10の数をコアネットワーク50に問い合わせることで、AMR41の周囲に存在するユーザ端末10の数を取得してもよい。一例として、キャッシュ制御装置65は、AMR41の周囲に存在するユーザ端末10の数が多いほど、割り当て閾値を大きくしてもよい。動物園49内でユーザ端末10を携帯するユーザは、肉眼で動物の様子を見つつも、AMR41により取得された動画Mを見る場合がある。AMR41が檻の中等の動物から至近距離で活動可能な場合は、その傾向が強まる。そのため、周囲に存在するユーザ端末10の数が多いAMR41により取得された動画Mの視聴者数は急速に増加する可能性が高く、AMR41のアップリンクの通信容量は逼迫しやすいと考えられる。この点、かかる構成によれば、より早いタイミングで新たにエッジサーバ60を割り当てることができるので、AMR41のアップリンクの逼迫を的確に防止することが可能となる。
【0076】
以上、第1の条件の動的な設定方法の一例を説明した。
【0077】
以下では、図7を参照しながら、エッジサーバ60を新たに割り当てる際の処理の流れの一例を説明する。
【0078】
図7は、本実施形態に係るシステム1により実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図7に示すように、本シーケンスには、ユーザ端末10A、サーバ40、AMR41、エッジサーバ60、MEO64、フルサービスリゾルバ51、キャッシュ制御装置65、及びGSLB52が関与する。なお、本シーケンスにおけるエッジサーバ60は、EDC63を構成するエッジサーバ60であるものとする。ユーザ端末10Aは、ユーザにより使用される。サーバ40は、動物園経営者により運用される。AMR41は、AMR事業者により運用される。エッジサーバ60、MEO64、及びフルサービスリゾルバ51は、通信事業者により運用される。キャッシュ制御装置65、及びGSLB52は、CDN事業者により運用される。本シーケンスは、AMR41が動画Mをユーザ端末10Aに直接配信している間に、AMR41のアップリンクの通信容量が逼迫して、エッジサーバ60が動的に利用開始される際の処理の流れを示す。
【0079】
図7に示すように、まず、ユーザ端末10Aは、ユーザによる操作に基づいて、サーバ40にアクセスする(ステップS102)。例えば、ユーザ端末10Aは、動物園49が運用するWebページにアクセスする。
【0080】
次いで、ユーザ端末10Aは、ユーザによる操作に基づいて、動画MのURLを取得する(ステップS104)。例えば、ユーザ端末10Aは、動物園49が運用するWebページを表示し、ユーザが所望する動画Mを選択する操作を受け付け、当該動画MのURLを取得する。
【0081】
次に、ユーザ端末10Aは、ステップS104において取得したURLについての名前解決要求を、フルサービスリゾルバ51へ送信する(ステップS106)。
【0082】
次いで、フルサービスリゾルバ51は、ステップS106において受信した名前解決要求に係るURLについての名前解決要求を、GSLB52へ送信する(ステップS108)。
【0083】
次に、GSLB52は、ステップS108において受信した名前解決要求に係るURLに対応するIPアドレスとして、動画MのオリジンサーバであるAMR41のIPアドレスを、フルサービスリゾルバ51へ送信する(ステップS110)。
【0084】
次いで、フルサービスリゾルバ51は、ステップS110において受信したIPアドレスを、ユーザ端末10Aへ転送する(ステップS112)。
【0085】
次に、ユーザ端末10Aは、ステップS112において受信したIPアドレスを使用してAMR41に接続し、動画Mの配信を要求する(ステップS114)。
【0086】
次いで、AMR41は、ステップS114において受信した要求に係る動画Mを、ユーザ端末10Aへ送信する(ステップS116)。ここで、動画Mは、RAN7及びコアネットワーク50を介してアップリンク送信され、RAN7を経由してユーザ端末10Aへ配信される。
【0087】
次に、ユーザ端末10Aは、ステップS116において受信した動画Mをデコードして再生する(ステップS118)。ユーザ端末10Aは、動画Mの配信をAMR41に要求し、動画Mを受信しデコードして再生することを、必要に応じて繰り返す。
【0088】
次いで、AMR41は、動画Mを配信中に、アップリンクの使用中通信容量を計測し、計測したアップリンクの使用中通信容量を、キャッシュ制御装置65へ送信する(ステップS120)。
【0089】
次に、キャッシュ制御装置65は、ステップS120において受信した、AMR41のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫を検知する(ステップS122)。詳しくは、キャッシュ制御装置65は、まず、AMR41のアップリンクの最大通信容量からAMR41のアップリンクの使用中通信容量を差し引くことで、AMR41のアップリンクの空き通信容量を計算する。そして、キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの空き通信容量が、割り当て閾値以下であるか否かを判定する。そして、キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの空き通信容量が、割り当て閾値以下である場合に、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫を検知する。
【0090】
次いで、キャッシュ制御装置65は、ステップS122において、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫を検知した場合、MEO64に、新たなエッジサーバ60の割り当てを要求する(ステップS124)。
【0091】
次に、MEO64は、ステップS124において新たなエッジサーバ60の割り当て要求を受信すると、EDC63を構成する複数のエッジサーバ60から、未使用のエッジサーバ60を発見して接続し、当該エッジサーバ60を起動する(ステップS126)。
【0092】
次いで、MEO64は、キャッシュ制御装置65へ、エッジサーバ60の割り当て要求への応答として、起動したエッジサーバ60のIPアドレスを送信する(ステップS128)。
【0093】
次に、キャッシュ制御装置65は、ステップS128において受信したIPアドレスのエッジサーバ60に接続し、リバースプロキシの設定を行う(ステップS130)。詳しくは、キャッシュ制御装置65は、動画Mの取得先としてAMR41のIPアドレスを設定すること等を含むバックエンドサーバの設定を、リバースプロキシの設定として行う。
【0094】
次いで、キャッシュ制御装置65は、GSLB52に接続して、GSLB52の設定を変更する(ステップS132)。例えば、キャッシュ制御装置65は、ユーザ端末10AのISPに応じた送信元IPを、ステップS128で受信したエッジサーバ60のIPアドレスに変更する。これにより、GSLB52は、動画Mについての名前解決要求を受信した際に、ステップS126で起動したエッジサーバ60(詳しくは、EDC63を構成するエッジサーバ60)のIPアドレスを応答することが可能となる。ただし、ステップS118においてすでにAMR41から配信された動画Mを受信中のユーザ端末10Aに対しては、引き続きAMR41から動画Mが配信され、配信元が新たに起動されたエッジサーバ60に切り替わることはない。
【0095】
以上、図7を参照しながら、エッジサーバ60を新たに割り当てる際の処理の流れの一例を説明した。続いて、図8を参照しながら、図7に示した処理において新たに起動されたエッジサーバ60が動画Mをキャッシュしながら配信する際の処理の流れの一例を説明する。
【0096】
図8は、本実施形態に係るシステム1により実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図8に示すように、本シーケンスには、ユーザ端末10B、サーバ40、AMR41、エッジサーバ60、MEO64、フルサービスリゾルバ51、キャッシュ制御装置65、及びGSLB52が関与する。本シーケンスは、図7に示したシーケンスに後続して実行されるものとする。とりわけ、本シーケンスは、AMR41からユーザ端末10Aへの動画Mの配信中に、実行されるものとする。
【0097】
図8に示すように、まず、ユーザ端末10Bは、ユーザによる操作に基づいて、サーバ40にアクセスする(ステップS202)。例えば、ユーザ端末10Bは、動物園49が運用するWebページにアクセスする。
【0098】
次いで、ユーザ端末10Bは、ユーザによる操作に基づいて、動画MのURLを取得する(ステップS204)。例えば、ユーザ端末10Bは、動物園49が運用するWebページを表示し、ユーザが所望する動画Mを選択する操作を受け付け、当該動画MのURLを取得する。
【0099】
次に、ユーザ端末10Bは、ステップS204において取得したURLについての名前解決要求を、フルサービスリゾルバ51へ送信する(ステップS206)。
【0100】
次いで、フルサービスリゾルバ51は、ステップS206において受信した名前解決要求に係るURLについての名前解決要求を、GSLB52へ送信する(ステップS208)。
【0101】
次に、GSLB52は、ステップS208において受信した名前解決要求に係るURLに対応するIPアドレスとして、エッジサーバ60(より詳しくは、EDC63を構成するエッジサーバ60)のIPアドレスを、フルサービスリゾルバ51へ送信する(ステップS210)。詳しくは、GSLB52は、図7に示したシーケンスにおけるステップS132において変更された設定を参照して、ステップS126において起動されたエッジサーバ60のIPアドレスを応答する。
【0102】
次いで、フルサービスリゾルバ51は、ステップS210において受信したIPアドレスを、ユーザ端末10Bへ転送する(ステップS212)。
【0103】
次に、ユーザ端末10Bは、ステップS212において受信したIPアドレスを使用してエッジサーバ60に接続し、動画Mの配信を要求する(ステップS214)。
【0104】
ここで、エッジサーバ60は、まだ起動されたばかりで、動画Mをキャッシュしていない。そのため、エッジサーバ60は、バックエンドサーバであるAMR41に接続し、動画Mの配信を要求する(ステップS216)。詳しくは、エッジサーバ60は、図7に示したシーケンスにおけるステップS130において設定されたリバースプロキシの設定を参照して、バックエンドサーバであるAMR41に接続し、動画Mの配信を要求する。
【0105】
次いで、AMR41は、ステップS216において受信した要求に係る動画Mを、エッジサーバ60へ送信する(ステップS218)。
【0106】
次に、エッジサーバ60は、ステップS218において受信した動画Mを、キャッシュとして保存する(ステップS220)。
【0107】
さらに、エッジサーバ60は、ステップS218において受信した動画Mを、ユーザ端末10Bへ送信する(ステップS222)。
【0108】
次いで、ユーザ端末10Bは、ステップS222において受信した動画Mをデコードして再生する(ステップS224)。ユーザ端末10Bは、動画Mの配信をエッジサーバ60に要求し、動画Mを受信しデコードして再生することを、必要に応じて繰り返す。
【0109】
以上、図8を参照しながら、エッジサーバ60が動画Mをキャッシュしながら配信する際の処理の流れの一例を説明した。続いて、図9を参照しながら、エッジサーバ60がキャッシュした動画Mを配信する際の処理の流れの一例を説明する。
【0110】
図9は、本実施形態に係るシステム1により実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図9に示すように、本シーケンスには、ユーザ端末10C、サーバ40、AMR41、エッジサーバ60、MEO64、フルサービスリゾルバ51、キャッシュ制御装置65、及びGSLB52が関与する。本シーケンスは、図8に示したシーケンスに後続して実行されるものとする。とりわけ、本シーケンスは、AMR41からユーザ端末10Aへ、並びにエッジサーバ60からユーザ端末10Bへの動画Mの配信中に、実行されるものとする。
【0111】
ステップS302~S314に係る処理は、図8を参照しながら上記説明したステップS202~S214に係る処理と同様である。
【0112】
ステップS314の後に、エッジサーバ60は、図8を参照しながら上記説明したステップS220においてキャッシュした動画Mを、ユーザ端末10Cへ送信する(ステップS316)。
【0113】
次いで、ユーザ端末10Cは、ステップS316において受信した動画Mをデコードして再生する(ステップS318)。ユーザ端末10Cは、動画Mの配信をエッジサーバ60に要求し、動画Mを受信しデコードして再生することを、必要に応じて繰り返す。
【0114】
<3.3.エッジサーバ60の割り当て解除>
キャッシュ制御装置65(例えば、制御部653)により制御される、動画Mのキャッシュに関する処理は、エッジサーバ60の割り当て解除に関する第2の処理を含んでいてもよい。
【0115】
第2の処理は、AMR41のアップリンクの使用中通信容量が第2の条件を満たした場合に、キャッシュ制御装置65が、動画Mへのアクセス要求に対して動画Mの送信元のアドレス情報を応答する名前解決サーバに対して、DNS(Domain Name System)の設定を行うことを含む。詳しくは、第2の処理は、キャッシュ制御装置65が、GSLB52に、動画Mの送信元のアドレス情報として、オリジンサーバであるAMR41のアドレス情報を登録させることを含む。アドレス情報の一例は、IPアドレスである。当該登録が行われた後、GSLB52は、動画MのURLについて名前解決要求を受信した場合に、登録されたAMR41のIPアドレスを応答することとなる。かかる構成によれば、動画Mの新たな配信要求に対しては、エッジサーバ60ではなくAMR41が動画Mを配信することとなる。即ち、エッジサーバ60への動画Mの配信の新規割り当てが停止される。その結果、エッジサーバ60から配信された動画Mを視聴中のユーザ端末10に対しては、引き続きエッジサーバ60から動画Mが配信される一方で、新たに動画Mを配信するよう要求したユーザ端末10に対しては、AMR41から動画Mが配信される。
【0116】
第2の条件は、AMR41のアップリンクの最大通信容量からAMR41のアップリンクの使用中通信容量を差し引いた空き通信容量が、所定の閾値(第3の閾値に相当。以下、解除閾値とも称する)以上になることを含む。かかる構成によれば、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫が解消したことをトリガとして、エッジサーバ60への動画Mの配信の新規割り当てを停止し、その後、エッジサーバ60の割り当てを解除することが可能となる。
【0117】
ここで、解除閾値は、割り当て閾値よりも大きい。解除閾値と割り当て閾値とを異ならせ、且つ解除閾値を割り当て閾値よりも大きく設定することにより、使用中通信容量が多少変動した程度で、エッジサーバ60の割り当てと割り当て解除とが繰り返されることを防止することが可能となる。
【0118】
なお、上述した第2の条件の判定のための情報は、AMR41から報告されてもよいし、キャッシュ制御装置65に記憶されていてもよい。一例として、キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの最大通信容量、及び解除閾値を記憶し、第2の条件を判定する際にこれらの情報を読み出してもよい。他の一例として、AMR41は、アップリンクの使用中通信容量を所定のタイミングでキャッシュ制御装置65に報告してもよい。所定のタイミングの一例としては、所定周期、及び配信先のユーザ端末10の数が減少したタイミングが挙げられる。
【0119】
第2の処理は、第2の条件が満たされ、且つ、エッジサーバ60に関する第3の条件が満たされた場合に、キャッシュ制御装置65が、MEO64へ、エッジサーバ60の割り当て解除要求を送信することを含む。かかる構成によれば、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫が解消した場合には、エッジサーバ60の割り当てを動的に解除することが可能となる。第3の条件の一例は、エッジサーバ60の使用が終了したことである。即ち、第3の条件の一例は、エッジサーバ60が動画Mの配信を停止したことである。詳しく説明すると、第2の条件が満たされ、エッジサーバ60への動画Mの配信の新規割り当てが停止されると、エッジサーバ60が配信する動画Mの視聴者数は低下していき、その後0になる。そして、エッジサーバ60が配信する動画Mの視聴者数が0になった場合に、エッジサーバ60の割り当てが解除される。かかる構成によれば、エッジサーバ60の割り当て解除に伴い、動画Mの視聴が途切れてしまう等の不都合の発生を防止することが可能となる。
【0120】
エッジサーバ60の割り当てから割り当て解除までの一連の流れについて、図10図14を参照しながら説明する。
【0121】
図10図14は、本実施形態に係るAMR41のアップリンクの使用中通信容量の変化とエッジサーバ60の割り当て/割り当て解除との関係の一例を示す図である。図10に示した状態から図14に示した状態にかけて、AMR41のアップリンクの使用中通信容量が変化するものとする。
【0122】
これらの図において、THは割り当て閾値を指し、THは解除閾値を指す。CはAMR41のアップリンクの最大通信容量を指し、CはAMR41のアップリンクの使用中通信容量を指し、CはAMR41のアップリンクの空き通信容量を指す。また、これらの図では、AMR41のアップリンクの最大通信容量が長方形で図示されており、長方形のうちハッチングが付された領域が使用中通信量に対応し、ハッチングが付されていない領域が空き通信容量に対応する。図10図14に示すように、解除閾値THは、割り当て閾値THよりも充分に大きな値に設定される。
【0123】
図10に示すように、初期の段階では、空き通信容量Cは割り当て閾値THを大きく上回っている。そのため、エッジサーバ60は割り当てられず、AMR41が動画Mを配信する。
【0124】
次いで、図11に示すように、使用中通信容量Cが徐々に増加して、空き通信容量Cが徐々に低下する。この段階でもまだ、空き通信容量Cは割り当て閾値THを上回っている。そのため、エッジサーバ60は割り当てられず、AMR41が動画Mを配信する。
【0125】
次に、図12に示すように、使用中通信容量Cがさらに増加して、空き通信容量Cが割り当て閾値THを下回る。そのため、エッジサーバ60が割り当てられ、動画Mの新たな配信要求に対して、エッジサーバ60が動画Mを配信する。ただし、AMR41から配信された動画Mを受信中のユーザ端末10に対しては、引き続きAMR41から動画Mが配信される。
【0126】
次いで、図13に示すように、使用中通信容量Cが徐々に低下して、空き通信容量Cが徐々に増加する。この段階でもまだ、空き通信容量Cは解除閾値THを下回っている。そのため、エッジサーバ60の割り当ては解除されず、エッジサーバ60は動画Mの配信を継続する。このように、使用中通信容量Cに多少の増減があっても、エッジサーバ60の割り当ては維持される。即ち、エッジサーバ60の割り当て/割り当て解除の実行頻度を抑制することができるので、エッジサーバ60の負荷を軽減することが可能となる。
【0127】
そして、図14に示すように、使用中通信容量Cがさらに低下して、空き通信容量Cが解除閾値THを上回る。そのため、動画Mの新たな配信要求に対して、エッジサーバ60ではなく、AMR41が動画Mを配信する。そして、エッジサーバ60からの動画Mの配信がなくなったタイミングで、エッジサーバ60の割り当てが解除される。
【0128】
その後、使用中通信容量Cが増加して空き通信容量Cが解除閾値THを下回ったとしても、割り当て閾値THを下回らない限り、エッジサーバ60は割り当てられない。このように、使用中通信容量Cに多少の増減があっても、エッジサーバ60の割り当て解除は維持される。即ち、エッジサーバ60の割り当て/割り当て解除の実行頻度を抑制することができるので、エッジサーバ60の負荷を軽減することが可能となる。
【0129】
以上、エッジサーバ60の割り当てから割り当て解除までの一連の流れについて説明した。以下では、図15を参照しながら、エッジサーバ60への動画Mの配信の新規割り当てが停止される際の流れの一例を説明する。
【0130】
図15は、本実施形態に係るシステム1により実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図15に示すように、本シーケンスには、ユーザ端末10、サーバ40、AMR41、エッジサーバ60、MEO64、フルサービスリゾルバ51、キャッシュ制御装置65、及びGSLB52が関与する。本シーケンスは、図9に示したシーケンスに後続して実行されるものとする。とりわけ、本シーケンスは、AMR41からユーザ端末10Aへ、並びにエッジサーバ60からユーザ端末10B及びユーザ端末10Cへの動画Mの配信中に、実行されるものとする。
【0131】
図15に示すように、まず、ユーザ端末10Aは、動画Mの再生を停止する(ステップS402)。
【0132】
次いで、AMR41は、アップリンクの使用中通信容量を計測し、計測した通信容量をキャッシュ制御装置65へ送信する(ステップS404)。
【0133】
次に、キャッシュ制御装置65は、ステップS404において受信した、AMR41のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫緩和を検知する(ステップS406)。詳しくは、キャッシュ制御装置65は、まず、AMR41のアップリンクの最大通信容量からAMR41のアップリンクの使用中通信容量を差し引くことで、AMR41のアップリンクの空き通信容量を計算する。そして、キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの空き通信容量が、解除閾値以上である場合に、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫が緩和したことを検知する。
【0134】
キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫緩和を検知した場合、GSLB52に接続して、GSLB52の設定を変更する(ステップS408)。例えば、キャッシュ制御装置65は、ユーザ端末10AのISPに応じた動画Mの送信元IPを、AMR41のIPアドレスに変更する。これにより、GSLB52は、動画Mについての名前解決要求を受信した際に、AMR41のIPアドレスを応答することが可能となる。そのため、以降では、エッジサーバ60ではなくAMR41に対し、動画Mの配信が要求されるようになる。
【0135】
以上、図15を参照しながら、エッジサーバ60への動画Mの配信の新規割り当てが停止される際の処理の流れの一例を説明した。続いて、図16を参照しながら、エッジサーバ60への動画Mの配信の新規割り当てが停止された後、エッジサーバ60の割り当てを解除する際の処理の流れの他の一例を説明する。
【0136】
図16は、本実施形態に係るシステム1により実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図16に示すように、本シーケンスには、ユーザ端末10、サーバ40、AMR41、エッジサーバ60、MEO64、フルサービスリゾルバ51、キャッシュ制御装置65、及びGSLB52が関与する。本シーケンスは、図15に示したシーケンスに後続して実行されるものとする。とりわけ、本シーケンスは、エッジサーバ60からユーザ端末10B及びユーザ端末10Cへの動画Mの配信中に、実行されるものとする。
【0137】
図16に示すように、まず、ユーザ端末10Bは、動画Mの再生を停止する(ステップS502)。
【0138】
次いで、ユーザ端末10Cは、動画Mの再生を停止する(ステップS504)。
【0139】
次に、AMR41は、アップリンクの使用中通信容量を計測し、計測した通信容量をキャッシュ制御装置65へ送信する(ステップS506)。なお、別のユーザ端末10に対し、動画M又は他の動画をAMR41が配信している場合、ユーザ端末10B~10Fが動画Mの再生を停止しても、アップリンクの使用中通信容量は0にはならない。
【0140】
次に、キャッシュ制御装置65は、ステップS506において受信した、AMR41のアップリンクの使用中通信容量に基づいて、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫緩和を検知する(ステップS508)。詳しくは、キャッシュ制御装置65は、まず、AMR41のアップリンクの最大通信容量からAMR41のアップリンクの使用中通信容量を差し引くことで、AMR41のアップリンクの空き通信容量を計算する。そして、キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの空き通信容量が、解除閾値以上である場合に、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫が緩和したことを検知する。
【0141】
さらに、キャッシュ制御装置65は、エッジサーバ60の使用が終了したことを検知する(ステップS509)。例えば、キャッシュ制御装置65は、エッジサーバ60に配信状況を問い合わせることで、エッジサーバ60の使用が終了したことを検知してもよい。
【0142】
キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫が緩和し、且つ、エッジサーバ60の使用が終了したと検知した場合に、MEO64へ、エッジサーバ60の割り当て解除要求を送信する(ステップS510)。
【0143】
次いで、MEO64は、ステップS510においてエッジサーバ60の割り当て解除要求を受信すると、割り当て解除要求に係るエッジサーバ60に接続して、当該エッジサーバ60を停止する(ステップS512)。
【0144】
次に、MEO64は、キャッシュ制御装置65へ、エッジサーバ60の割り当て解除要求への応答として、割り当て解除要求に係るエッジサーバ60を停止したことを通知する(ステップS514)。
【0145】
<4.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0146】
上記実施形態では、第1の条件が、空き通信容量が割り当て閾値以下になることを含む例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。第1の条件は、AMR41のアップリンクの最大通信容量からAMR41のアップリンクの使用中通信容量を差し引いた空き通信容量の低下速度が、所定の閾値(第2の閾値の一例)以上になることを含んでいてもよい。かかる構成によれば、アップリンクの空き通信容量が急速に低下していることをトリガとして、新たなエッジサーバ60を割り当てることが可能となる。上記所定の閾値は、動的に設定されてもよい。一例として、キャッシュ制御装置65は、単位時間当たりにアップリンクの空き通信容量の1割が低下する速度を所定の閾値に設定する等、アップリンクの空き通信容量に応じて所定の閾値を設定してもよい。アップリンクの空き通信容量が低下するほど、遅い低下速度であっても容易に通信容量が逼迫するためである。他の一例として、キャッシュ制御装置65は、割り当て閾値を動的に設定する場合と同様の方法で、所定の閾値を動的に設定してもよい。即ち、キャッシュ制御装置65は、AMR41の位置、AMR41の周囲に存在する物体、AMR41の周囲で発生するイベント、又はAMR41の周囲に存在する動画Mをダウンロード可能なユーザ端末10の数の少なくともいずれか1つに基づいて、上記所定の閾値を設定してもよい。
【0147】
上記実施形態では、キャッシュ制御装置65が、解除閾値を記憶する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。キャッシュ制御装置65は、解除閾値を、動的に設定してもよい。例えば、キャッシュ制御装置65は、割り当て閾値を動的に設定する場合と同様の方法で、解除閾値を動的に設定してもよい。即ち、キャッシュ制御装置65は、AMR41の位置、AMR41の周囲に存在する物体、AMR41の周囲で発生するイベント、又はAMR41の周囲に存在する動画Mをダウンロード可能なユーザ端末10の数の少なくともいずれか1つに基づいて、解除閾値を設定してもよい。
【0148】
上記実施形態では、キャッシュ制御装置65が、AMR41のアップリンクの最大通信容量を記憶する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの最大通信容量を、動的に設定してもよい。また、キャッシュ制御装置65は、AMR41のアップリンクの最大通信容量を、AMR41から取得してもよい。
【0149】
上記実施形態では、オリジンサーバ(即ち、コンテンツ装置装置)がAMR41である例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。オリジンサーバは、サーバ40等の一般的なサーバマシン上に構築された動画配信サーバであってもよい。
【0150】
上記実施形態では、各事業者の事業範囲は明確に分かれている例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。通信事業者がISP事業者を兼ねたり、CDN事業者がAMR事業者を兼ねたりする等、各事業者が他の事業者の事業を兼業していてもよい。
【0151】
上記実施形態では、コンテンツが動画であり、動物園49内で取得された動画が配信される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。コンテンツは、静止画像であってもよいし、画像データを含まない音声データであってもよい。また、遊園地等の任意の場所で取得されたコンテンツを配信するサービスに関しても、本発明を適用可能である。
【0152】
上記実施形態では、AMR41が、第1の条件の判定のための各種情報を送信するタイミングを、AMR41自身で判定する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。AMR41は、第1の条件の判定のための各種情報を、キャッシュ制御装置65からの要求をトリガとして送信してもよい。
【0153】
上記実施形態では、オリジンサーバであるAMR41から動画Mの配信を受けているユーザ端末10が、新たなエッジサーバ60が割り当てられた後も引き続きAMR41から動画Mの配信を受ける例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。新たなエッジサーバ60が割り当てられた後は、当該ユーザ端末10への動画Mの配信元が、AMR41から新たに割り当てられたエッジサーバ60に切り替えられてもよい。この場合、AMR41のアップリンクの通信容量の逼迫をさらに緩和することが可能となる。
【0154】
同様に、上記実施形態では、エッジサーバ60から動画Mの配信を受けているユーザ端末10が、第2の条件が満たされた後も引き続きエッジサーバ60から動画Mの配信を受ける例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。第2の条件が満たされた場合、当該ユーザ端末10への動画Mの配信元が、エッジサーバ60からAMR41に切り替えられてもよい。その場合、AMR41のアップリンクの通信量の逼迫が緩和した場合に、早急にエッジサーバ60の割り当てを解除することが可能となる。
【0155】
上記実施形態では、新たなエッジサーバ60を割り当てることが、未使用のエッジサーバ60を起動することである例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。新たなエッジサーバ60を割り当てることは、記憶部642に十分な空き記憶容量のあるエッジサーバ60に、動画Mをキャッシュするための記憶容量を確保させることであってもよい。即ち、1つのエッジサーバ60に、複数のコンテンツがキャッシュされてもよい。
【0156】
同様に、上記実施形態では、エッジサーバ60の割り当てを解除することが、エッジサーバ60を停止することである例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。エッジサーバ60の割り当てを解除することは、動画Mのキャッシュを停止させることであってもよく、エッジサーバ60は起動したままであってもよい。
【0157】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(詳しくは、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、本明細書において説明した各装置を制御するコンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどの処理回路により実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。また、上記のコンピュータは、ASICのような特定用途向け集積回路、ソフトウエアプログラムを読み込むことで機能を実行する汎用プロセッサ、又はクラウドコンピューティングに使用されるサーバ上のコンピュータ等であってよい。また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、複数のコンピュータにより分散して処理されてもよい。
【0158】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 システム
10 ユーザ端末
2 インターネット
3 ISPネットワーク
30 サーバ
4 データセンタ
40 サーバ
41 AMR
411 コンテンツ取得部
412 センサ部
413 通信部
414 アーム装置
415 走行装置
416 記憶部
417 制御部
49 動物園
5 通信事業者ネットワーク
50 コアネットワーク
51 フルサービスリゾルバ
510 CDN制御
520 MECプラットフォーム
530 移動体通信ネットワーク
52 GSLB
59 ネットワーク
6 MEC-CDN
60 サーバ、エッジサーバ
61 CDC
62 RDC
63 EDC
64 MEO
641 通信部
642 記憶部
643 制御部
65 キャッシュ制御装置
651 通信部
652 記憶部
653 制御部
7 RAN
70 BS
9 ルータ
【要約】
【課題】コンテンツを配信するためのネットワークをより柔軟に構成することが可能な仕組みを提供する。
【解決手段】無線ネットワークに接続されたコンテンツ送信装置のアップリンクの使用中通信容量が第1の条件を満たした場合に、前記無線ネットワークを収容するコアネットワークに接続されたエッジサーバを制御するエッジサーバ制御装置へ、前記コンテンツ送信装置によりアップリンク送信されたコンテンツをキャッシュするエッジサーバの割り当て要求を送信することと、名前解決サーバに前記コンテンツの送信元のアドレス情報として新たに割り当てられた前記エッジサーバのアドレス情報を登録させることと、を前記コンテンツのキャッシュに関する処理として制御する、制御装置。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16