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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022551062
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036383
(87)【国際公開番号】W WO2022064653
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】一圓 真澄
(72)【発明者】
【氏名】加美 伸治
(72)【発明者】
【氏名】若山 永哉
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅嗣
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-068161(JP,A)
【文献】特開平07-237106(JP,A)
【文献】特開2003-311661(JP,A)
【文献】特開2017-039170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの動作シーケンスを生成する動作シーケンス生成手段と、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行う第1ロボット制御手段と、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定する切替判定手段と、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行う第2ロボット制御手段と、を有し、
前記動作シーケンス生成手段は、
前記ロボットが実行すべきタスクを時相論理に基づく論理式に変換する論理式変換手段と、
前記論理式から、前記タスクを実行するためタイムステップ毎の状態を表す論理式であるタイムステップ論理式を生成するタイムステップ論理式生成手段と、
前記タイムステップ論理式に基づき、前記ロボットに実行させるサブタスクのシーケンスを、前記動作シーケンスとして生成するサブタスクシーケンス生成手段と、
を有する制御装置。
【請求項2】
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスと、前記ロボットの動作実行状況とに基づき、前記切替の要否を判定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスと、前記ロボットの動作実行状況とに基づき、前記動作シーケンスに基づく計画に対する時間的ずれ量を算出し、当該時間的ずれ量に基づき、前記切替の要否を判定する、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスと、前記ロボットの動作実行状況とに基づき、前記動作シーケンスに基づく計画に対する空間的ずれ量を算出し、当該空間的ずれ量に基づき、前記切替の要否を判定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記切替判定手段は、予測された前記ロボットの移動軌跡と計測された前記ロボットの移動軌跡との比較、又は、予測された前記ロボットの作業対象物の移動軌跡と計測された前記作業対象物の移動軌跡との比較に基づき、前記空間的ずれ量を算出する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスを構成するいずれかの動作が正常に完了しなかったと判定した場合に、前記切替が必要と判定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記動作シーケンス生成手段は、
前記タスクに関する物体の抽象的な状態である抽象状態を、前記論理式において使用する命題として定める抽象状態設定手段をさらに有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
コンピュータが、
ロボットの動作シーケンスを生成し、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行い、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定し、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行
前記動作シーケンスの生成において、前記コンピュータが、
前記ロボットが実行すべきタスクを時相論理に基づく論理式に変換し、
前記論理式から、前記タスクを実行するためタイムステップ毎の状態を表す論理式であるタイムステップ論理式を生成し、
前記タイムステップ論理式に基づき、前記ロボットに実行させるサブタスクのシーケンスを、前記動作シーケンスとして生成する、
制御方法。
【請求項9】
ロボットの動作シーケンスを生成し、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行い、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定し、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行い、
前記動作シーケンスの生成において、
前記ロボットが実行すべきタスクを時相論理に基づく論理式に変換し、
前記論理式から、前記タスクを実行するためタイムステップ毎の状態を表す論理式であるタイムステップ論理式を生成し、
前記タイムステップ論理式に基づき、前記ロボットに実行させるサブタスクのシーケンスを、前記動作シーケンスとして生成する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットの動作を制御する制御装置、制御方法及び記憶媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットに作業させるタスクが与えられた場合に、当該タスクを実行するために必要なロボットの制御を行う制御手法が提案されている。例えば、特許文献1には、自動モードと協働モードとを有し、自動モードでは、シーケンス又はプログラムに従い、ロボットを自動制御し、協働モードでは、作業員によるオンハンド操作盤によりロボットを手動制御するシステムが開示されている。また、特許文献2には、ロボットのモーションプランニング(動作計画)の失敗を検知したとき、ロボットのタスク実行が失敗したと判定し、動作モードを自動選択するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-093062号公報
【文献】特開2016-068161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットにタスクを実行させるシステムにおいて、タスクを完了するために必要な全ての動作をロボットが自律的に実行できることが望ましいが、一部の動作について作業者の操作が必要となる場合がある。このような場合に、タスクが完了するようにロボットを適切かつ円滑に動作させる必要がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、上述した課題を鑑み、ロボットを好適に制御することが可能な制御装置、制御方法及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
制御装置の一の態様は、
ロボットの動作シーケンスを生成する動作シーケンス生成手段と、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行う第1ロボット制御手段と、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定する切替判定手段と、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行う第2ロボット制御手段と、を有し、
前記動作シーケンス生成手段は、
前記ロボットが実行すべきタスクを時相論理に基づく論理式に変換する論理式変換手段と、
前記論理式から、前記タスクを実行するためタイムステップ毎の状態を表す論理式であるタイムステップ論理式を生成するタイムステップ論理式生成手段と、
前記タイムステップ論理式に基づき、前記ロボットに実行させるサブタスクのシーケンスを、前記動作シーケンスとして生成するサブタスクシーケンス生成手段と、
を有する制御装置である。
【0007】
制御方法の一の態様は、
コンピュータが、
ロボットの動作シーケンスを生成し、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行い、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定し、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行
前記動作シーケンスの生成において、前記コンピュータが、
前記ロボットが実行すべきタスクを時相論理に基づく論理式に変換し、
前記論理式から、前記タスクを実行するためタイムステップ毎の状態を表す論理式であるタイムステップ論理式を生成し、
前記タイムステップ論理式に基づき、前記ロボットに実行させるサブタスクのシーケンスを、前記動作シーケンスとして生成する、
制御方法である。
【0008】
プログラムの一の態様は、
ロボットの動作シーケンスを生成し、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行い、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定し、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行い、
前記動作シーケンスの生成において、
前記ロボットが実行すべきタスクを時相論理に基づく論理式に変換し、
前記論理式から、前記タスクを実行するためタイムステップ毎の状態を表す論理式であるタイムステップ論理式を生成し、
前記タイムステップ論理式に基づき、前記ロボットに実行させるサブタスクのシーケンスを、前記動作シーケンスとして生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
ロボット制御の切替を円滑に行い、ロボットを好適に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態におけるロボット制御システムの構成を示す。
図2】ロボットコントローラのハードウェア構成を示す。
図3】アプリケーション情報のデータ構造の一例を示す。
図4】ロボットコントローラの機能ブロックの一例である。
図5】動作シーケンス生成部の機能ブロックの一例である。
図6】ピックアンドプレイスを目的タスクとした場合の作業空間の俯瞰図を示す。
図7】目的タスクを指定するタスク指定画面の表示例を示す。
図8】外部入力支援画面の第1表示例を示す。
図9】外部入力支援画面の第2表示例を示す。
図10】第1実施形態においてロボットコントローラが実行するロボット制御処理の概要を示すフローチャートの一例である。
図11】第2実施形態における制御装置の概略構成図を示す。
図12】第2実施形態において、制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、制御装置、制御方法及び記憶媒体の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(1)システム構成
図1は、第1実施形態に係るロボット制御システム100の構成を示す。ロボット制御システム100は、主に、ロボットコントローラ1と、指示装置2と、記憶装置4と、ロボット5と、計測装置7と、を備える。
【0013】
ロボットコントローラ1は、ロボット5に実行させるタスク(「目的タスク」とも呼ぶ。)が指定された場合に、ロボット5が受付可能な単純なタスクのタイムステップ(時間刻み)毎のシーケンスに目的タスクを変換し、生成したシーケンスに基づきロボット5を制御する。
【0014】
また、ロボットコントローラ1は、指示装置2、記憶装置4、ロボット5、及び計測装置7と、通信網を介し、又は、無線若しくは有線による直接通信により、データ通信を行う。例えば、ロボットコントローラ1は、指示装置2から、目的タスクの指定又はロボット5の動作指令等に関する入力信号「S1」を受信する。また、ロボットコントローラ1は、指示装置2に対し、出力制御信号「S2」を送信することで、指示装置2に所定の表示又は音出力を実行させる。さらに、ロボットコントローラ1は、ロボット5の制御に関する制御信号「S3」をロボット5に送信する。また、ロボットコントローラ1は、計測装置7から計測信号「S4」を受信する。
【0015】
指示装置2は、作業者によるロボット5に対する指示を受け付ける装置である。指示装置2は、ロボットコントローラ1から供給される出力制御信号S2に基づき所定の表示又は音出力を行ったり、作業者の入力に基づき生成した入力信号S1をロボットコントローラ1へ供給したりする。指示装置2は、入力部と表示部とを備えるタブレット端末であってもよく、据置型のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0016】
記憶装置4は、アプリケーション情報記憶部41を有する。アプリケーション情報記憶部41は、ロボット5が実行すべきシーケンスである動作シーケンスを目的タスクから生成するために必要なアプリケーション情報を記憶する。アプリケーション情報の詳細は、図3を参照しながら後述する。記憶装置4は、ロボットコントローラ1に接続又は内蔵されたハードディスクなどの外部記憶装置であってもよく、フラッシュメモリなどの記憶媒体であってもよい。また、記憶装置4は、ロボットコントローラ1と通信網を介してデータ通信を行うサーバ装置であってもよい。この場合、記憶装置4は、複数のサーバ装置から構成されてもよい。
【0017】
ロボット5は、ロボットコントローラ1から供給される制御信号S3に基づき目的タスクに関する作業を行う。ロボット5は、例えば、組み立て工場、食品工場などの各種工場、又は、物流の現場などで動作を行うロボットである。ロボット5は、垂直多関節型ロボット、水平多関節型ロボット、又はその他の任意の種類のロボットであってもよい。ロボット5は、ロボット5の状態を示す状態信号をロボットコントローラ1に供給してもよい。この状態信号は、ロボット5全体又は関節などの特定部位の状態(位置、角度等)を検出するセンサの出力信号であってもよく、ロボット5の制御部が生成したロボット5の動作シーケンスの進捗状態を示す信号であってもよい。
【0018】
計測装置7は、目的タスクが実行される作業空間内の状態を検出するカメラ、測域センサ、ソナーまたはこれらの組み合わせとなる1又は複数のセンサである。本実施形態では、計測装置7は、ロボット5の作業空間を撮像する少なくとも1台のカメラを含むものとする。計測装置7は、生成した計測信号S4をロボットコントローラ1に供給する。計測装置7は、作業空間内で移動する自走式又は飛行式のセンサ(ドローンを含む)であってもよい。また、計測装置7は、ロボット5に設けられたセンサ、及び作業空間内の他の物体に設けられたセンサなどを含んでもよい。また、計測装置7は、作業空間内の音を検出するセンサを含んでもよい。このように、計測装置7は、作業空間内の状態を検出する種々のセンサであって、任意の場所に設けられたセンサを含んでもよい。
【0019】
なお、図1に示すロボット制御システム100の構成は一例であり、当該構成に種々の変更が行われてもよい。例えば、ロボット5は、複数台存在してもよく、ロボットアームなどの夫々が独立して動作する制御対象物を複数有してもよい。これらの場合であっても、ロボットコントローラ1は、目的タスクに基づき、ロボット5毎又は制御対象物毎に実行すべき動作シーケンスを生成し、当該動作シーケンスに基づく制御信号S3を、対象のロボット5に送信する。また、ロボット5は、作業空間内で動作する他のロボット、作業者又は工作機械と協働作業を行うものであってもよい。また、計測装置7は、ロボット5の一部であってもよい。また、指示装置2は、ロボットコントローラ1と同一の装置として構成されてもよい。また、ロボットコントローラ1は、複数の装置から構成されてもよい。この場合、ロボットコントローラ1を構成する複数の装置は、予め割り当てられた処理を実行するために必要な情報の授受を、これらの複数の装置間において行う。また、ロボットコントローラ1とロボット5とは、一体に構成されてもよい。
【0020】
(2)ハードウェア構成
図2(A)は、ロボットコントローラ1のハードウェア構成を示す。ロボットコントローラ1は、ハードウェアとして、プロセッサ11と、メモリ12と、インターフェース13とを含む。プロセッサ11、メモリ12及びインターフェース13は、データバス10を介して接続されている。
【0021】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより、ロボットコントローラ1の全体の制御を行うコントローラ(演算装置)として機能する。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)などのプロセッサである。プロセッサ11は、複数のプロセッサから構成されてもよい。プロセッサ11は、コンピュータの一例である。
【0022】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。また、メモリ12には、ロボットコントローラ1が実行する処理を実行するためのプログラムが記憶される。なお、メモリ12が記憶する情報の一部は、ロボットコントローラ1と通信可能な1又は複数の外部記憶装置(例えば記憶装置4)により記憶されてもよく、ロボットコントローラ1に対して着脱自在な記憶媒体により記憶されてもよい。
【0023】
インターフェース13は、ロボットコントローラ1と他の装置とを電気的に接続するためのインターフェースである。これらのインターフェースは、他の装置とデータの送受信を無線により行うためのネットワークアダプタなどのワイアレスインタフェースであってもよく、他の装置とケーブル等により接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。
【0024】
なお、ロボットコントローラ1のハードウェア構成は、図2(A)に示す構成に限定されない。例えば、ロボットコントローラ1は、表示装置、入力装置又は音出力装置の少なくともいずれかと接続又は内蔵してもよい。また、ロボットコントローラ1は、指示装置2又は記憶装置4の少なくとも一方を含んで構成されてもよい。
【0025】
図2(B)は、指示装置2のハードウェア構成を示す。指示装置2は、ハードウェアとして、プロセッサ21と、メモリ22と、インターフェース23と、入力部24aと、表示部24bと、音出力部24cと、ロボット操作部24dと、を含む。プロセッサ21、メモリ22及びインターフェース23は、データバス20を介して接続されている。また、インターフェース23には、入力部24aと表示部24bと音出力部24cとロボット操作部24dとが接続されている。
【0026】
プロセッサ21は、メモリ22に記憶されているプログラムを実行することにより、所定の処理を実行する。プロセッサ21は、CPU、GPUなどのプロセッサである。プロセッサ21は、インターフェース23を介して入力部24a又はロボット操作部24dが生成した信号を受信することで、入力信号S1を生成し、インターフェース23を介してロボットコントローラ1に当該入力信号S1を送信する。また、プロセッサ21は、インターフェース23を介してロボットコントローラ1から受信した出力制御信号S2に基づき、表示部24b又は音出力部24cの少なくとも一方を、インターフェース23を介して制御する。
【0027】
メモリ22は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。また、メモリ22には、指示装置2が実行する処理を実行するためのプログラムが記憶される。
【0028】
インターフェース23は、指示装置2と他の装置とを電気的に接続するためのインターフェースである。これらのインターフェースは、他の装置とデータの送受信を無線により行うためのネットワークアダプタなどのワイアレスインタフェースであってもよく、他の装置とケーブル等により接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。また、インターフェース23は、入力部24a、表示部24b、音出力部24c及びロボット操作部24dのインターフェース動作を行う。入力部24aは、ユーザの入力を受け付けるインターフェースであり、例えば、タッチパネル、ボタン、キーボード、音声入力装置などが該当する。表示部24bは、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ等であり、プロセッサ21の制御に基づき表示を行う。また、音出力部24cは、例えば、スピーカであり、プロセッサ21の制御に基づき音出力を行う。
【0029】
ロボット操作部24dは、ロボット5への動作を直接的に規定する指令を表すユーザの入力である外部入力を受け付け、当該外部入力の信号である入力信号S1を生成する。本実施形態においては、ロボット操作部24dは、目的タスクの実行中において、外部入力に基づくロボット5の制御(即ちロボット5の手動制御)が必要と判定された場合に使用される。ここで、ロボット操作部24dは、外部入力に基づくロボット5の制御においてユーザが操作するロボット用コントローラ(操作盤)であってもよく、ユーザの動きに即したロボット5への動作指令を生成するロボット用入力システムであってもよい。前者のロボット用コントローラは、例えば、動かすロボット5の部位等の指定や動きの指定などを行うための各種ボタン、及び、移動方向を指定するための操作バーなどを含む。後者のロボット用入力システムは、例えば、モーションキャプチャなどにおいて使用される各種センサ(例えば、カメラ、装着用センサ等を含む)を含む。
【0030】
以後では、ロボットコントローラ1が生成する動作シーケンスに基づくロボット5の制御(即ちロボット5の自動制御)を「第1ロボット制御」と呼び、ロボット操作部24dを用いたロボット5の制御(即ち外部入力に基づくロボット5の制御)を「第2ロボット制御」と呼ぶ。
【0031】
なお、指示装置2のハードウェア構成は、図2(B)に示す構成に限定されない。例えば、入力部24a、表示部24b、音出力部24c、又はロボット操作部24dの少なくともいずれかは、指示装置2と電気的に接続する別体の装置として構成されてもよい。また、指示装置2は、カメラなどの種々の装置と接続してもよく、これらを内蔵してもよい。
【0032】
(3)アプリケーション情報
次に、アプリケーション情報記憶部41が記憶するアプリケーション情報のデータ構造について説明する。
【0033】
図3は、アプリケーション情報のデータ構造の一例を示す。図3に示すように、アプリケーション情報は、抽象状態指定情報I1と、制約条件情報I2と、動作限界情報I3と、サブタスク情報I4と、抽象モデル情報I5と、物体モデル情報I6とを含む。
【0034】
抽象状態指定情報I1は、動作シーケンスの生成にあたり定義する必要がある抽象状態を指定する情報である。この抽象状態は、作業空間内における物体の抽象的な状態であって、後述する目標論理式において使用する命題として定められる。例えば、抽象状態指定情報I1は、目的タスクの種類毎に、定義する必要がある抽象状態を指定する。
【0035】
制約条件情報I2は、目的タスクを実行する際の制約条件を示す情報である。制約条件情報I2は、例えば、目的タスクがピックアンドプレイスの場合、障害物にロボット5(ロボットアーム)が接触してはいけないという制約条件、ロボット5(ロボットアーム)同士が接触してはいけないという制約条件などを示す。なお、制約条件情報I2は、目的タスクの種類毎に夫々適した制約条件を記録した情報であってもよい。
【0036】
動作限界情報I3は、ロボットコントローラ1により制御が行われるロボット5の動作限界に関する情報を示す。動作限界情報I3は、例えば、ロボット5の速度、加速度、又は角速度の上限を規定する情報である。なお、動作限界情報I3は、ロボット5の可動部位又は関節ごとに動作限界を規定する情報であってもよい。
【0037】
サブタスク情報I4は、動作シーケンスの構成要素となるサブタスクの情報を示す。「サブタスク」は、ロボット5が受付可能な単位により目的タスクを分解したタスクであって、細分化されたロボット5の動作を指す。例えば、目的タスクがピックアンドプレイスの場合には、サブタスク情報I4は、ロボット5のロボットアームの移動であるリーチングと、ロボットアームによる把持であるグラスピングとをサブタスクとして規定する。サブタスク情報I4は、目的タスクの種類毎に使用可能なサブタスクの情報を示すものであってもよい。
【0038】
また、サブタスク情報I4には、外部入力による動作指令が必要な(即ち、第2ロボット制御での動作を前提とした)サブタスク(「外部入力型サブタスク」とも呼ぶ。)に関する情報が含まれている。この場合、外部入力型サブタスクに関するサブタスク情報I4には、例えば、外部入力型サブタスクであることを識別する情報(例えばフラグ情報)と、当該外部入力型サブタスクでのロボット5の動作内容を示す情報とが含まれる。
【0039】
抽象モデル情報I5は、作業空間におけるダイナミクスを抽象化した抽象モデルに関する情報である。例えば、抽象モデルは、後述するように、現実のダイナミクスをハイブリッドシステムにより抽象化したモデルにより表されている。抽象モデル情報I5は、上述のハイブリッドシステムにおけるダイナミクスの切り替わりの条件を示す情報を含む。切り替わりの条件は、例えば、ロボット5により作業対象となる物(「対象物」とも呼ぶ。)をロボット5が掴んで所定位置に移動させるピックアンドプレイスの場合、対象物はロボット5により把持されなければ移動できないという条件などが該当する。抽象モデル情報I5は、目的タスクの種類毎に適した抽象モデルに関する情報を有している。
【0040】
物体モデル情報I6は、計測装置7が生成した計測信号S4から認識すべき作業空間内の各物体の物体モデルに関する情報である。上述の各物体は、例えば、ロボット5、障害物、ロボット5が扱う工具その他の対象物、ロボット5以外の作業体などが該当する。物体モデル情報I6は、例えば、上述した各物体の種類、位置、姿勢、現在実行中の動作などをロボットコントローラ1が認識するために必要な情報と、各物体の3次元形状を認識するためのCAD(Computer Aided Design)データなどの3次元形状情報とを含んでいる。前者の情報は、ニューラルネットワークなどの機械学習における学習モデルを学習することで得られた推論器のパラメータを含む。この推論器は、例えば、画像が入力された場合に、当該画像において被写体となる物体の種類、位置、姿勢等を出力するように予め学習される。
【0041】
なお、アプリケーション情報記憶部41は、上述した情報の他、動作シーケンスの生成処理及び出力制御信号S2の生成処理に関する種々の情報を記憶してもよい。
【0042】
(4)処理概要
次に、ロボットコントローラ1の処理概要について説明する。概略的には、ロボットコントローラ1は、第1ロボット制御の実行中において、第2ロボット制御へ切り替える必要があると動作シーケンスに基づき判定した場合に、ロボット5の制御を第2ロボット制御へ切り替える。これにより、ロボットコントローラ1は、ロボット5の自動制御のみでは対応できない場合においても、ロボット5の制御モードを円滑に切り替えて目的タスクを好適に遂行する。
【0043】
図4は、ロボットコントローラ1の処理の概要を示す機能ブロックの一例である。ロボットコントローラ1のプロセッサ11は、機能的には、出力制御部15と、動作シーケンス生成部16と、ロボット制御部17と、切替判定部18とを有する。なお、図4では、各ブロック間で授受が行われるデータの一例が示されているが、これに限定されない。後述する他の機能ブロックの図においても同様である。
【0044】
出力制御部15は、作業者が使用する指示装置2に所定の情報を表示又は音出力するための出力制御信号S2を生成し、インターフェース13を介して当該出力制御信号S2を指示装置2へ送信する。
【0045】
例えば、出力制御部15は、目的タスクの指定に関する入力画面(「タスク指定画面」とも呼ぶ。)を指示装置2に表示させるための出力制御信号S2を生成する。その後、出力制御部15は、タスク指定画面での入力操作により指示装置2が生成した入力信号S1を、指示装置2からインターフェース13を介して受信する。この場合、入力信号S1は、目的タスクを概略的に指定する情報(「タスク指定情報Ia」とも呼ぶ。)を含んでいる。タスク指定情報Iaは、例えば、ロボット5への概略命令に相当する情報であり、ロボット5の具体的な動作を規定する情報(例えば後述する制御入力の情報やサブタスクの情報)を含まない。そして、出力制御部15は、指示装置2から供給される入力信号S1に基づくタスク指定情報Iaを、動作シーケンス生成部16へ供給する。
【0046】
他の例では、出力制御部15は、ロボット制御部17が第2ロボット制御を行う制御モードとなった場合に、必要な外部入力を行うために作業者が実行すべき操作を支援する情報(「外部入力支援情報」とも呼ぶ。)を指示装置2に出力させる。この場合、出力制御部15は、外部入力支援情報を表す画面(「外部入力支援画面」とも呼ぶ。)を指示装置2に表示させるための出力制御信号S2を生成し、出力制御信号S2を指示装置2に送信する。外部入力支援画面では、例えば、外部入力により指定すべきロボット5の動作内容に関する情報が外部入力支援情報として表示される。タスク指定画面及び外部入力支援画面については、「(7)ロボット制御部及び出力制御部の詳細」のセクションにおいて詳しく説明する。
【0047】
動作シーケンス生成部16は、出力制御部15から供給されるタスク指定情報Iaと、計測信号S4と、記憶装置4が記憶するアプリケーション情報とに基づき、ロボット5に実行させる動作シーケンス「Sr」を生成する。動作シーケンスSrは、目的タスクを達成するためにロボット5が実行すべきサブタスクのシーケンス(サブタスクシーケンス)に相当し、ロボット5の一連の動作を規定する。そして、動作シーケンス生成部16は、生成した動作シーケンスSrをロボット制御部17に供給する。ここで、動作シーケンスSrには、各サブタスクの実行順序及び実行タイミングを示す情報が含まれている。
【0048】
ロボット制御部17は、インターフェース13を介して制御信号S3をロボット5に供給することで、ロボット5の動作を制御する。ロボット制御部17は、機能的には、第1ロボット制御部171と、第2ロボット制御部172とを有する。ロボット制御部17は、動作シーケンスSrを動作シーケンス生成部16から受信した後、第1ロボット制御部171によるロボット5の制御(即ち第1ロボット制御)を行う。そして、ロボット制御部17は、切替判定部18から供給される切替指令「Sw」に基づき、第2ロボット制御部172によるロボット5の制御(即ち第2ロボット制御)にロボット5の制御モードを切り替える。
【0049】
第1ロボット制御部171は、第1ロボット制御によりロボット5を制御する処理を行う。この場合、第1ロボット制御部171は、動作シーケンス生成部16から供給される動作シーケンスSrに基づき、動作シーケンスSrを構成する各サブタスクを夫々定められた実行タイミング(タイムステップ)でロボット5が実行するための制御を行う。具体的には、ロボット制御部17は、制御信号S3をロボット5に送信することで、動作シーケンスSrを実現するためのロボット5の関節の位置制御又はトルク制御などを実行する。
【0050】
第2ロボット制御部172は、第2ロボット制御によりロボット5を制御する処理を行う。この場合、第2ロボット制御部172は、指示装置2のロボット操作部24dにより生成された入力信号S1を、指示装置2からインターフェース13を介して受信する。この入力信号S1は、例えば、ロボット5の具体的な動作を規定する情報(例えば、ロボット5の動作を直接的に定めた制御入力に相当する情報)を含んでいる。そして、第2ロボット制御部172は、受信した入力信号S1に基づき制御信号S3を生成し、生成した制御信号S3をロボット5に送信することで、ロボット5を制御する。ここで、第2ロボット制御部172が生成する制御信号S3は、例えば、ロボット操作部24dが生成した入力信号S1が表す動作指令をロボット5が受け付けることができるように入力信号S1に対して所定の変換処理を行った信号である。なお、このような変換処理がロボット5において行われる場合には、第2ロボット制御部172は、ロボット操作部24dが生成した入力信号S1をそのまま制御信号S3としてロボット5に供給してもよい。
【0051】
なお、ロボット制御部17に相当する機能を、ロボットコントローラ1に代えてロボット5が有してもよい。この場合、ロボット5は、動作シーケンス生成部16が生成する動作シーケンスSrと、切替判定部18が生成する切替指令Swと、ロボット操作部24dが生成した入力信号S1とに基づき、第1ロボット制御と第2ロボット制御とを切り替えて実行する。
【0052】
切替判定部18は、少なくとも動作シーケンスSrに基づいて、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替の要否判定を行う。そして、切替判定部18は、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替が必要と判定した場合、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替を指示する切替指令Swをロボット制御部17に供給する。切替判定部18による判定処理の詳細は、「(6)切替判定部の詳細」のセクションにおいて詳しく説明する。なお、切替判定部18は、第2ロボット制御から第1ロボット制御への切替の要否についても判定を行い、当該切替が必要と判定した場合に当該切替を指示する切替指令Swをロボット制御部17に供給してもよい。
【0053】
ここで、出力制御部15、動作シーケンス生成部16、ロボット制御部17及び切替判定部18の各構成要素は、例えば、プロセッサ11がプログラムを実行することによって実現できる。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記憶媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。なお、これらの各構成要素の少なくとも一部は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組合せ等により実現してもよい。また、これらの各構成要素の少なくとも一部は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイクロコントローラ等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。また、各構成要素の少なくとも一部は、ASSP(Application Specific Standard Produce)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は量子コンピュータ制御チップにより構成されてもよい。このように、各構成要素は、種々のハードウェアにより実現されてもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。さらに、これらの各構成要素は,例えば,クラウドコンピューティング技術などを用いて、複数のコンピュータの協働によって実現されてもよい。
【0054】
(5)動作シーケンス生成部の詳細
次に、動作シーケンス生成部16の詳細な処理について説明する。
【0055】
(5-1)機能ブロック
図5は、動作シーケンス生成部16の機能的な構成を示す機能ブロックの一例である。動作シーケンス生成部16は、機能的には、抽象状態設定部31と、目標論理式生成部32と、タイムステップ論理式生成部33と、抽象モデル生成部34と、制御入力生成部35と、サブタスクシーケンス生成部36と、を有する。
【0056】
抽象状態設定部31は、計測装置7から供給される計測信号S4と、出力制御部15から供給されるタスク指定情報Iaと、抽象状態指定情報I1と、物体モデル情報I6と、に基づき、作業空間内の抽象状態を設定する。この場合、抽象状態設定部31は、目的タスクを実行する際に考慮する必要がある作業空間内の物体を認識し、当該物体に関する認識結果Imを生成する。そして、抽象状態設定部31は、認識結果Imに基づいて、目的タスクを実行する際に考慮する必要がある各抽象状態に対し、論理式で表すための命題を定義する。抽象状態設定部31は、タスク指定情報Iaが供給された場合、設定した抽象状態を示す情報(「抽象状態設定情報IS」とも呼ぶ。)を、目標論理式生成部32に供給する。
【0057】
目標論理式生成部32は、抽象状態設定情報ISに基づき、タスク指定情報Iaが示す目的タスクを、最終的な達成状態を表す時相論理の論理式(「目標論理式Ltag」とも呼ぶ。)に変換する。この場合、目標論理式生成部32は、アプリケーション情報記憶部41から制約条件情報I2を参照することで、目的タスクの実行において満たすべき制約条件を、目標論理式Ltagに付加する。そして、目標論理式生成部32は、生成した目標論理式Ltagを、タイムステップ論理式生成部33に供給する。
【0058】
タイムステップ論理式生成部33は、目標論理式生成部32から供給された目標論理式Ltagを、各タイムステップでの状態を表した論理式(「タイムステップ論理式Lts」とも呼ぶ。)に変換する。そして、タイムステップ論理式生成部33は、生成したタイムステップ論理式Ltsを、制御入力生成部35に供給する。
【0059】
抽象モデル生成部34は、アプリケーション情報記憶部41が記憶する抽象モデル情報I5と、抽象状態設定部31から供給される認識結果Imとに基づき、作業空間における現実のダイナミクスを抽象化した抽象モデル「Σ」を生成する。この場合、抽象モデル生成部34は、対象のダイナミクスを連続ダイナミクスと離散ダイナミクスとが混在したハイブリッドシステムとみなし、ハイブリッドシステムに基づく抽象モデルΣを生成する。抽象モデルΣの生成方法については後述する。抽象モデル生成部34は、生成した抽象モデルΣを、制御入力生成部35へ供給する。
【0060】
制御入力生成部35は、タイムステップ論理式生成部33から供給されるタイムステップ論理式Ltsと、抽象モデル生成部34から供給される抽象モデルΣとを満たし、評価関数(たとえば、ロボットによって消費されるエネルギー量を表す関数)を最適化するタイムステップ毎のロボット5への制御入力を決定する。そして、制御入力生成部35は、ロボット5へのタイムステップ毎の制御入力を示す情報(「制御入力情報Icn」とも呼ぶ。)を、サブタスクシーケンス生成部36へ供給する。
【0061】
サブタスクシーケンス生成部36は、制御入力生成部35から供給される制御入力情報Icnと、アプリケーション情報記憶部41が記憶するサブタスク情報I4とに基づき、サブタスクのシーケンスである動作シーケンスSrを生成し、動作シーケンスSrをロボット制御部17及び切替判定部18へ供給する。
【0062】
(5-2)抽象状態設定部
まず、抽象状態設定部31は、物体モデル情報I6を参照し、作業空間の環境を認識する技術(画像処理技術、画像認識技術、音声認識技術、RFID(Radio Frequency Identifier)を用いる技術等)により計測信号S4を解析することで、認識結果Imを生成する。認識結果Imには、作業空間内の物体の種類、位置、及び姿勢などの情報が含まれている。また、作業空間内の物体は、例えば、ロボット5、ロボット5が取り扱う工具又は部品などの対象物、障害物及び他作業体(ロボット5以外に作業を行う人又はその他の物体)などである。
【0063】
次に、抽象状態設定部31は、認識結果Imと、アプリケーション情報記憶部41から取得した抽象状態指定情報I1とに基づき、作業空間内の抽象状態を設定する。この場合、まず、抽象状態設定部31は、抽象状態指定情報I1を参照し、作業空間内において設定すべき抽象状態を認識する。なお、作業空間内において設定すべき抽象状態は、目的タスクの種類によって異なる。よって、目的タスクの種類毎に設定すべき抽象状態が抽象状態指定情報I1に規定されている場合には、抽象状態設定部31は、タスク指定情報Iaが示す目的タスクに対応する抽象状態指定情報I1を参照し、設定すべき抽象状態を認識する。
【0064】
図6は、ピックアンドプレイスを目的タスクとした場合の作業空間の俯瞰図を示す。図6に示す作業空間には、2つのロボットアーム52a、52bと、4つの対象物61(61a~61d)と、障害物62と、対象物61の目的地である領域Gとが存在している。
【0065】
この場合、まず、抽象状態設定部31は、対象物61の状態、障害物62の存在範囲、ロボット5の状態、領域Gの存在範囲等を認識する。
【0066】
ここでは、抽象状態設定部31は、対象物61a~61dの各々の中心の位置ベクトル「x」~「x」を、対象物61a~61dの位置として認識する。また、抽象状態設定部31は、対象物を把持するロボットハンド53aの位置ベクトル「xr1」と、ロボットハンド53bの位置ベクトル「xr2」とを、ロボットアーム52aとロボットアーム52bの位置として認識する。
【0067】
同様に、抽象状態設定部31は、対象物61a~61dの姿勢(図6の例では対象物が球状のため不要)、障害物62の存在範囲、領域Gの存在範囲等を認識する。なお、抽象状態設定部31は、例えば、障害物62を直方体とみなし、領域Gを矩形とみなす場合には、障害物62及び領域Gの各頂点の位置ベクトルを認識する。
【0068】
また、抽象状態設定部31は、抽象状態指定情報I1を参照することで、目的タスクにおいて定義すべき抽象状態を決定する。この場合、抽象状態設定部31は、作業空間内に存在する物体に関する認識結果Im(例えば物体の種類毎の個数)と、抽象状態指定情報I1とに基づき、抽象状態を示す命題を定める。
【0069】
図6の例では、抽象状態設定部31は、認識結果Imにより特定される対象物61a~61dに対し、夫々識別ラベル「1」~「4」を付す。また、抽象状態設定部31は、対象物「i」(i=1~4)が最終的に載置されるべき目標地点である領域G内に存在するという命題「g」を定義する。また、抽象状態設定部31は、障害物62に対して識別ラベル「O」を付し、対象物iが障害物Oに干渉しているという命題「o」を定義する。さらに、抽象状態設定部31は、ロボットアーム52同士が干渉するという命題「h」を定義する。なお、抽象状態設定部31は、対象物「i」が作業テーブル(初期状態で対象物及び障害物が存在するテーブル)内に存在するという命題「v」、作業テーブル及び領域G以外の作業外領域に対象物が存在するという命題「w」などをさらに定めてもよい。作業外領域は、例えば、対象物が作業テーブルから落下した場合に対象物が存在する領域(床面等)である。
【0070】
このように、抽象状態設定部31は、抽象状態指定情報I1を参照することで、定義すべき抽象状態を認識し、当該抽象状態を表す命題(上述の例ではg、o、h等)を、対象物61の数、ロボットアーム52の数、障害物62の数、ロボット5の数等に応じてそれぞれ定義する。そして、抽象状態設定部31は、抽象状態を表す命題を示す情報を、抽象状態設定情報ISとして目標論理式生成部32に供給する。
【0071】
(5-3)目標論理式生成部
まず、目標論理式生成部32は、タスク指定情報Iaが示す目的タスクを、時相論理を用いた論理式に変換する。
【0072】
例えば、図6の例において、「最終的に対象物(i=2)が領域Gに存在する」という目的タスクが与えられたとする。この場合、目標論理式生成部32は、目的タスクを線形論理式(LTL:Linear Temporal Logic)の「eventually」に相当する演算子「◇」と、抽象状態設定部31により定義された命題「g」と用いて、論理式「◇g」を生成する。また、目標論理式生成部32は、演算子「◇」以外の任意の時相論理の演算子(論理積「∧」、論理和「∨」、否定「¬」、論理包含「⇒」、always「□」、next「○」、until「U」等)を用いて論理式を表現してもよい。また、線形時相論理に限らず、MTL(Metric Temporal Logic)やSTL(Signal Temporal Logic)などの任意の時相論理を用いて論理式を表現してもよい。
【0073】
なお、タスク指定情報Iaは、自然言語により目的タスクを指定する情報であってもよい。自然言語で表されたタスクを論理式に変換する方法は、種々の技術が存在する。
【0074】
次に、目標論理式生成部32は、制約条件情報I2が示す制約条件を、目的タスクを示す論理式に付加することで、目標論理式Ltagを生成する。
【0075】
例えば、図6に示すピックアンドプレイスに対応する制約条件として、「ロボットアーム52同士が常に干渉しない」、「対象物iは障害物Oに常に干渉しない」の2つが制約条件情報I2に含まれていた場合、目標論理式生成部32は、これらの制約条件を論理式に変換する。具体的には、目標論理式生成部32は、図6の説明において抽象状態設定部31により定義された命題「o」及び命題「h」を用いて、上述の2つの制約条件を、夫々以下の論理式に変換する。
□¬h
□¬o
【0076】
よって、この場合、目標論理式生成部32は、「最終的に対象物(i=2)が領域Gに存在する」という目的タスクに対応する論理式「◇g」に、これらの制約条件の論理式を付加することで、以下の目標論理式Ltagを生成する。
(◇g)∧(□¬h)∧(∧□¬o
【0077】
なお、実際には、ピックアンドプレイスに対応する制約条件は、上述した2つに限られず、「ロボットアーム52が障害物Oに干渉しない」、「複数のロボットアーム52が同じ対象物を掴まない」、「対象物同士が接触しない」などの制約条件が存在する。このような制約条件についても同様に、制約条件情報I2に記憶され、目標論理式Ltagに反映される。
【0078】
(5-4)タイムステップ論理式生成部
タイムステップ論理式生成部33は、目的タスクを完了するタイムステップ数(「目標タイムステップ数」とも呼ぶ。)を定め、目標タイムステップ数で目標論理式Ltagを満たすような各タイムステップでの状態を表す命題の組み合わせを定める。この組み合わせは、通常複数存在するため、タイムステップ論理式生成部33は、これらの組み合わせを論理和により結合した論理式を、タイムステップ論理式Ltsとして生成する。上述の組み合わせは、ロボット5に命令する動作のシーケンスを表す論理式の候補となり、以後では「候補φ」とも呼ぶ。
【0079】
ここで、図6の説明において例示した「最終的に対象物(i=2)が領域Gに存在する」という目的タスクが設定された場合のタイムステップ論理式生成部33の処理の具体例について説明する。
【0080】
この場合、以下の目標論理式Ltagが目標論理式生成部32からタイムステップ論理式生成部33へ供給される。
(◇g)∧(□¬h)∧(∧□¬o
この場合、タイムステップ論理式生成部33は、命題「g」をタイムステップの概念を含むように拡張した命題「gi,k」を用いる。ここで、命題「gi,k」は、「タイムステップkで対象物iが領域Gに存在する」という命題である。ここで、目標タイムステップ数を「3」とした場合、目標論理式Ltagは、以下のように書き換えられる。
(◇g2,3)∧(∧k=1,2,3□¬h)∧(∧i,k=1,2,3□¬oi,k
【0081】
また、◇g2,3は、以下の式に示すように書き換えることが可能である。
【0082】
【数1】
【0083】
このとき、上述した目標論理式Ltagは、以下に示す4つの候補「φ」~「φ」の論理和(φ∨φ∨φ∨φ)により表される。
【0084】
【数2】
【0085】
よって、タイムステップ論理式生成部33は、4つの候補φ~φの論理和をタイムステップ論理式Ltsとして定める。この場合、タイムステップ論理式Ltsは、4つの候補φ~φの少なくともいずれかが真となる場合に真となる。
【0086】
次に、目標タイムステップ数の設定方法について補足説明する。
【0087】
タイムステップ論理式生成部33は、例えば、指示装置2から供給される入力信号S1により指定された作業の見込み時間に基づき、目標タイムステップ数を決定する。この場合、タイムステップ論理式生成部33は、メモリ12又は記憶装置4に記憶された、1タイムステップ当たりの時間幅の情報に基づき、上述の見込み時間から目標タイムステップ数を算出する。他の例では、タイムステップ論理式生成部33は、目的タスクの種類毎に適した目標タイムステップ数を対応付けた情報を予めメモリ12又は記憶装置4に記憶しておき、当該情報を参照することで、実行すべき目的タスクの種類に応じた目標タイムステップ数を決定する。
【0088】
好適には、タイムステップ論理式生成部33は、目標タイムステップ数を所定の初期値に設定する。そして、タイムステップ論理式生成部33は、制御入力生成部35が制御入力を決定できるタイムステップ論理式Ltsが生成されるまで、目標タイムステップ数を徐々に増加させる。この場合、タイムステップ論理式生成部33は、設定した目標タイムステップ数により制御入力生成部35が最適化処理を行った結果、最適解を導くことができなかった場合、目標タイムステップ数を所定数(1以上の整数)だけ加算する。
【0089】
このとき、タイムステップ論理式生成部33は、目標タイムステップ数の初期値を、ユーザが見込む目的タスクの作業時間に相当するタイムステップ数よりも小さい値に設定するとよい。これにより、タイムステップ論理式生成部33は、不必要に大きな目標タイムステップ数を設定することを好適に抑制する。
【0090】
(5-5)抽象モデル生成部
抽象モデル生成部34は、抽象モデル情報I5と、認識結果Imとに基づき、抽象モデルΣを生成する。ここで、抽象モデル情報I5には、目的タスクの種類毎に、抽象モデルΣの生成に必要な情報が記録されている。例えば、目的タスクがピックアンドプレイスの場合には、対象物の位置や数、対象物を置く領域の位置、ロボット5の台数(又はロボットアーム52の数)等を特定しない汎用的な形式の抽象モデルが抽象モデル情報I5に記録されている。そして、抽象モデル生成部34は、抽象モデル情報I5に記録された、ロボット5のダイナミクスを含む汎用的な形式の抽象モデルに対し、認識結果Imを反映することで、抽象モデルΣを生成する。これにより、抽象モデルΣは、作業空間内の物体の状態と、ロボット5のダイナミクスとが抽象的に表されたモデルとなる。作業空間内の物体の状態は、ピックアンドプレイスの場合には、対象物の位置及び数、対象物を置く領域の位置、ロボット5の台数等を示す。
【0091】
なお、他作業体が存在する場合、他作業体の抽象化されたダイナミクスに関する情報が抽象モデル情報I5に含まれてもよい。この場合、抽象モデルΣは、作業空間内の物体の状態と、ロボット5のダイナミクスと、他作業体のダイナミクスとが抽象的に表されたモデルとなる。
【0092】
ここで、ロボット5による目的タスクの作業時においては、作業空間内のダイナミクスが頻繁に切り替わる。例えば、ピックアンドプレイスでは、ロボットアーム52が対象物iを掴んでいる場合には、当該対象物iを動かすことができるが、ロボットアーム52が対象物iを掴んでない場合には、当該対象物iを動かすことができない。
【0093】
以上を勘案し、本実施形態においては、ピックアンドプレイスの場合、対象物iを掴むという動作を論理変数「δ」により抽象表現する。この場合、例えば、抽象モデル生成部34は、図6に示す作業空間に対して設定すべき抽象モデルΣを、以下の式(1)により定めることができる。
【0094】
【数3】
【0095】
ここで、「u」は、ロボットハンドj(「j=1」はロボットハンド53a、「j=2」はロボットハンド53b)を制御するための制御入力を示し、「I」は単位行列を示し、「0」は零行例を示す。なお、制御入力は、ここでは、一例として速度を想定しているが、加速度であってもよい。また、「δj,i」は、ロボットハンドjが対象物iを掴んでいる場合に「1」であり、その他の場合に「0」である論理変数である。また、「xr1」、「xr2」は、ロボットハンドj(j=1、2)の位置ベクトル、「x」~「x」は、対象物i(i=1~4)の位置ベクトルを示す。また、「h(x)」は、対象物を掴める程度に対象物の近傍にロボットハンドが存在する場合に「h(x)≧0」となる変数であり、論理変数δとの間で以下の関係を満たす。
δ=1 ⇔ h(x)≧0
この式では、対象物を掴める程度に対象物の近傍にロボットハンドが存在する場合には、ロボットハンドが対象物を掴んでいるとみなし、論理変数δを1に設定している。
【0096】
ここで、式(1)は、タイムステップkでの物体の状態とタイムステップk+1での物体の状態との関係を示した差分方程式である。そして、上記の式(1)では、把持の状態が離散値である論理変数により表わされ、物体の移動は連続値により表わされているため、式(1)はハイブリッドシステムを示している。
【0097】
式(1)では、ロボット5全体の詳細なダイナミクスではなく、対象物を実際に把持するロボット5の手先であるロボットハンドのダイナミクスのみを考慮している。これにより、制御入力生成部35による最適化処理の計算量を好適に削減することができる。
【0098】
また、抽象モデル情報I5には、ダイナミクスが切り替わる動作(ピックアンドプレイスの場合には対象物iを掴むという動作)に対応する論理変数、及び、認識結果Imから式(1)の差分方程式を導出するための情報が記録されている。よって、抽象モデル生成部34は、対象物の位置や数、対象物を置く領域(図6では領域G)、ロボット5の台数等が変動する場合であっても、抽象モデル情報I5と認識結果Imとに基づき、対象の作業空間の環境に即した抽象モデルΣを決定することができる。
【0099】
なお、抽象モデル生成部34は、式(1)に示されるモデルに代えて、混合論理動的(MLD:Mixed Logical Dynamical)システムまたはペトリネットやオートマトンなどを組み合わせたハイブリッドシステムのモデルを生成してもよい。
【0100】
(5-6)制御入力生成部
制御入力生成部35は、タイムステップ論理式生成部33から供給されるタイムステップ論理式Ltsと、抽象モデル生成部34から供給される抽象モデルΣとに基づき、最適となるタイムステップ毎のロボット5に対する制御入力を決定する。この場合、制御入力生成部35は、目的タスクに対する評価関数を定義し、抽象モデルΣ及びタイムステップ論理式Ltsを制約条件として評価関数を最小化する最適化問題を解く。評価関数は、例えば、目的タスクの種類毎に予め定められ、メモリ12又は記憶装置4に記憶されている。
【0101】
例えば、ピックアンドプレイスを目的タスクとした場合、制御入力生成部35は、運ぶ対象となる対象物と当該対象物を運ぶ目標地点との距離「d」と制御入力「u」とが最小となる(即ちロボット5が費やすエネルギーを最小化する)ように評価関数を定める。上述の距離dは、「最終的に対象物(i=2)が領域Gに存在する」という目的タスクの場合には、対象物(i=2)と領域Gとのタイムステップkでの距離に相当する。
【0102】
この場合、制御入力生成部35は、全タイムステップにおける距離dのノルムの2乗と制御入力uのノルムの2乗との和を評価関数として定める。そして、制御入力生成部35は、抽象モデルΣ及びタイムステップ論理式Lts(即ち候補φの論理和)を制約条件とする以下の式(2)に示す制約付き混合整数最適化問題を解く。
【0103】
【数4】
【0104】
ここで、「T」は、最適化の対象となるタイムステップ数であり、目標タイムステップ数であってもよく、後述するように、目標タイムステップ数よりも小さい所定数であってもよい。この場合、好適には、制御入力生成部35は、論理変数を連続値に近似する(連続緩和問題とする)。これにより、制御入力生成部35は、計算量を好適に低減することができる。なお、線形論理式(LTL)に代えてSTLを採用した場合には、非線形最適化問題として記述することが可能である。
【0105】
また、制御入力生成部35は、目標タイムステップ数が長い場合(例えば所定の閾値より大きい場合)、最適化に用いるタイムステップ数を、目標タイムステップ数より小さい値(例えば上述の閾値)に設定してもよい。この場合、制御入力生成部35は、例えば、所定のタイムステップ数が経過する毎に、上述の最適化問題を解くことで、逐次的に制御入力uを決定する。
【0106】
好適には、制御入力生成部35は、目的タスクの達成状態に対する中間状態に相当する所定のイベント毎に、上述の最適化問題を解き、使用すべき制御入力uを決定してもよい。この場合、制御入力生成部35は、次のイベント発生までのタイムステップ数を、最適化に用いるタイムステップ数に設定する。上述のイベントは、例えば、作業空間におけるダイナミクスが切り替わる事象である。例えば、ピックアンドプレイスを目的タスクとした場合には、ロボット5が対象物を掴む、ロボット5が運ぶべき複数の対象物のうちの1つの対象物を目的地点へ運び終える、などがイベントとして定められる。イベントは、例えば、目的タスクの種類毎に予め定められており、目的タスクの種類毎にイベントを特定する情報が記憶装置4に記憶されている。
【0107】
(5-7)サブタスクシーケンス生成部
サブタスクシーケンス生成部36は、制御入力生成部35から供給される制御入力情報Icnと、アプリケーション情報記憶部41が記憶するサブタスク情報I4とに基づき、動作シーケンスSrを生成する。この場合、サブタスクシーケンス生成部36は、サブタスク情報I4を参照することで、ロボット5が受け付け可能なサブタスクを認識し、制御入力情報Icnが示すタイムステップ毎の制御入力をサブタスクに変換する。
【0108】
例えば、サブタスク情報I4には、ピックアンドプレイスを目的タスクとする場合にロボット5が受け付け可能なサブタスクとして、ロボットハンドの移動(リーチング)とロボットハンドの把持(グラスピング)の2つのサブタスクを示す関数が定義されている。この場合、リーチングを表す関数「Move」は、例えば、当該関数実行前のロボット5の初期状態、当該関数実行後のロボット5の最終状態、及び当該関数の実行に要する所要時間をそれぞれ引数とする関数である。また、グラスピングを表す関数「Grasp」は、例えば、当該関数実行前のロボット5の状態、及び当該関数実行前の把持対象の対象物の状態、論理変数δをそれぞれ引数とする関数である。ここで、関数「Grasp」は、論理変数δが「1」のときに掴む動作を行うこと表し、論理変数δが「0」のときに放す動作を行うこと表す。この場合、サブタスクシーケンス生成部36は、関数「Move」を、制御入力情報Icnが示すタイムステップ毎の制御入力により定まるロボットハンドの軌道に基づき決定し、関数「Grasp」を、制御入力情報Icnが示すタイムステップ毎の論理変数δの遷移に基づき決定する。
【0109】
そして、サブタスクシーケンス生成部36は、関数「Move」と関数「Grasp」とにより構成される動作シーケンスSrを生成し、当該動作シーケンスSrをロボット制御部17に供給する。例えば、目的タスクが「最終的に対象物(i=2)が領域Gに存在する」の場合、サブタスクシーケンス生成部36は、対象物(i=2)に最も近いロボットハンドに対し、関数「Move」、関数「Grasp」、関数「Move」、関数「Grasp」の動作シーケンスSrを生成する。この場合、対象物(i=2)に最も近いロボットハンドは、1回目の関数「Move」により対象物(i=2)の位置まで移動し、1回目の関数「Grasp」により対象物(i=2)を把持し、2回目の関数「Move」により領域Gまで移動し、2回目の関数「Grasp」により対象物(i=2)を領域Gに載置する。
【0110】
(6)切替判定部の詳細
切替判定部18による第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替の具体的形態である第1形態及び第2形態について順に説明する。第1形態では、ロボットコントローラ1は、動作シーケンスSrに組み込まれた外部入力型サブタスクに基づき、第2ロボット制御へのロボット5の制御の切替を計画的に実行する。一方、第2形態では、ロボットコントローラ1は、何らかの異常が発生した場合に、第2ロボット制御へのロボット5の制御の切替を緊急的に実行する。そして、これらのいずれの形態においても、切替判定部18は、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替を円滑に行う。
【0111】
(6-1)第1形態
第1形態では、切替判定部18は、第2ロボット制御による実行が予め定められている外部入力型サブタスクの実行の有無に基づき、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替の要否を判定する。なお、サブタスク情報I4には、外部入力型サブタスクに関する情報が含まれている。そして、切替判定部18は、動作シーケンスSrの一部として組み込まれた外部入力型サブタスクの実行タイミングであると判定した場合、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替を指示する切替指令Swを、ロボット制御部17に供給する。
【0112】
ここで、第1形態における、外部入力型サブタスクの実行タイミングの認識方法について補足説明する。
【0113】
例えば、切替判定部18は、動作シーケンスSrの各サブタスクに関連付けられたタイムステップの情報に基づき、外部入力型サブタスクの実行タイミングを認識する。この場合、切替判定部18は、外部入力型サブタスクに対応するタイムステップに相当する時刻になった場合に、当該外部入力型サブタスクの実行タイミングとみなし、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替を指示する切替指令Swを、ロボット制御部17に供給する。
【0114】
他の例では、切替判定部18は、ロボット5又はロボット制御部17から供給されるサブタスクの完了通知に基づき、動作シーケンスSrを構成する各サブタスクの完了判定を行い、ロボット5が現在どのサブタスクを実行中であるかを認識する。この場合においても、切替判定部18は、外部入力型サブタスクの実行タイミングを好適に認識することができる。なお、切替判定部18は、計測信号S4に基づき、ロボット5が現在どのサブタスクを実行中であるかを認識することで、外部入力型サブタスクの実行タイミングを認識してもよい。この場合、切替判定部18は、例えば、深層学習などを用いたパターン認識技術を用い、作業空間を撮影した画像などの計測信号S4を解析し、ロボット5が実行中の又は実行すべきサブタスクを認識する。
【0115】
第1形態によれば、切替判定部18は、第2ロボット制御が必要な動作をロボット5に計画的に実行させる場合に、第1ロボット制御から第2ロボット制御へのロボット5の制御の切替を円滑に実行することができる。
【0116】
(6-2)第2形態
次に、第2形態について説明する。第2形態では、切替判定部18は、動作シーケンスSrと、計測されたロボット5の動作実行状況とに基づき、第1ロボット制御の継続の適否を判定する。この場合、切替判定部18は、動作シーケンスSrの生成時の計画に従い動作シーケンスSrを実行した場合に予測される状況と、計測された動作実行状況との間に所定量以上の時間的なずれ又は空間的なずれが生じた場合に、第1ロボット制御の継続が不適当とみなす。そして、切替判定部18は、第1ロボット制御の継続に支障があると判定した場合に、第1ロボット制御の継続が不適当とみなし、第2ロボット制御へ切り替える必要があると判定する。
【0117】
(6-2-1)時間的なずれに基づく第1ロボット制御の継続の適否判定
まず、第2形態において、時間的なずれに基づく第1ロボット制御の継続の適否判定の具体例について具体的に説明する。
【0118】
この場合、例えば、切替判定部18は、第1ロボット制御の実行中において、動作シーケンスSrと、ロボット5の動作実行状況とに基づき、動作シーケンスSrに基づく計画に対する時間的ずれ量である遅延時間長を算出する。そして、切替判定部18は、算出した遅延時間長に基づき、第1ロボット制御の継続適否を判定する。そして、切替判定部18は、ロボット5の動作実行状況が動作シーケンスSrに基づく計画よりも所定時間長以上遅延が生じている場合に、何らかの異常(エラー)が生じており、第1ロボット制御の継続が不適当であると判定する。
【0119】
例えば、切替判定部18は、完了に必要なタイムステップ数(即ち所要時間長)よりも所定タイムステップ数以上の遅延が生じているサブタスクが存在する場合、当該サブタスクの実行に関してエラーが発生しており、第1ロボット制御の継続が不可能であると判定する。この場合、切替判定部18は、遅延が生じているサブタスクについては、第2ロボット制御により実行すべきと判定し、当該サブタスクに関して第2ロボット制御から第1ロボット制御への切替を指示する切替指令Swを、ロボット制御部17に送信する。上述の「所定タイムステップ数」については、例えば、記憶装置4又はメモリ12等に予め適合値が記憶されている。この例によれば、切替判定部18は、何らかの異常発生に起因して遅延が生じているサブタスクを的確に特定し、当該サブタスクを実行するための第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替を円滑に行うことができる。
【0120】
なお、切替判定部18は、サブタスク毎に動作シーケンスSrに基づく計画に対する遅延の有無を判定する代わりに、対象物ごとに上記遅延の有無を判定してもよい。この場合、切替判定部18は、例えば、動作シーケンスSrに基づいて対象物ごとに必要なタイムステップ数を認識し、かつ、対象物ごとに実際に要しているタイムステップ数をカウントする。そして、切替判定部18は、必要なタイムステップ数よりも実際に要しているタイムステップ数が所定数以上多くなった場合に、当該対象物に関して第2ロボット制御により実行する必要があると判定する。この場合、切替判定部18は、例えば、当該対象物に関する動作については第2ロボット制御を実行すべきと判定し、第2ロボット制御への切替を指示する切替指令Swをロボット制御部17に送信する。
【0121】
さらに別の例では、切替判定部18は、目的タスクの開始(即ち、動作シーケンスSrがロボット制御部17に供給された時点)から所定時間長が経過した場合に、遅延が発生していると判定し、第2ロボット制御への切り替えが必要と判定してもよい。上述の所定時間長は、動作シーケンスSrにおいて計画されるタイムステップ数に基づき設定されてもよく、記憶装置4等に予め記憶された目的タスクの予測される所要時間長に基づき設定されてもよい。
【0122】
このように、時間的なずれに基づく第1ロボット制御の継続の適否判定によれば、切替判定部18は、異常状態に対処するための第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替を円滑に行うことができる。
【0123】
(6-2-2)空間的なずれに基づく第1ロボット制御の継続の適否判定
次に、第2形態において、空間的なずれに基づく第1ロボット制御の継続の適否判定の具体例について具体的に説明する。
【0124】
この場合、切替判定部18は、第1ロボット制御の実行中において、動作シーケンスSrと、ロボット5の動作実行状況とに基づき、動作シーケンスSrに基づく計画に対する空間的ずれ量を算出し、当該空間的ずれ量に基づき、第1ロボット制御の継続適否を判定する。そして、切替判定部18は、ロボット5の動作実行状況が動作シーケンスSrに基づく計画よりも所定量以上空間的ずれが生じている場合に、何らかの異常(エラー)が生じており、第1ロボット制御の継続が不適当であると判定する。
【0125】
具体的には、切替判定部18は、動作シーケンスSrを正常に実行した場合に予測されるロボット5の位置の軌跡(「予測移動軌跡」とも呼ぶ。)と、計測信号S4に基づき計測されたロボット5の実際の位置の軌跡(「実移動軌跡」とも呼ぶ。)とを定量的に比較する。この場合の「移動軌跡」は、例えば、タイムステップごと又は所定時間間隔ごとの位置の軌跡を示す。そして、切替判定部18は、ロボット5の予測移動軌跡とロボット5の実移動軌跡とが類似していないと判定した場合に、異常が発生しており、第1ロボット制御の継続が不可能であると判定する。なお、予測移動軌跡を構成するロボット5の位置情報は、例えば制御入力生成部35による最適化処理により算出されている。
【0126】
ここで、上述した移動軌跡の類否判定の方法について補足説明する。切替判定部18は、例えば、複数の移動軌跡の定量的な類似度を算出する任意の技術を用い、ロボット5の予測移動軌跡とロボット5の実移動軌跡との類似度を算出する。この場合、類似度は、例えばICP(Iterative Closest Point)などにより対応付けられた軌跡の点同士の距離の総和又は最大値等により表されてもよい。そして、切替判定部18は、当該類似度が所定値以下の場合に、第1ロボット制御の継続が不可能であると判定する。この場合、切替判定部18は、例えば、抽象状態を設定したロボット5の部位(図6の例では、ロボットハンド53a、53b)について、予測移動軌跡と実移動軌跡との類似度を算出する。
【0127】
このように、空間的なずれに基づく第1ロボット制御の継続の適否判定によっても、切替判定部18は、異常状態に対処するための第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替を円滑に行うことができる。
【0128】
なお、切替判定部18は、ロボット5の移動軌跡の代わりに、又は、これに加えて、対象物の移動軌跡に基づき、第1ロボット制御の継続可否を判定してもよい。この場合、切替判定部18は、例えば、対象物の予測移動軌跡と、計測信号S4に基づき計測された対象物の実移動軌跡との類似度を算出し、当該類似度が所定値以下の場合に、第1ロボット制御の継続が不可能であると判定する。
【0129】
(6-2-3)他の判定方法
切替判定部18は、目的タスクの完了までの1または複数の中間状態に基づき、複数の動作シーケンスSrが逐次的に生成される場合に、いずれかの動作シーケンスSrが正常に完了しなかったときに、第2ロボット制御への切替が必要と判定してもよい。
【0130】
この場合、前提として、動作シーケンス生成部16は、目的タスクの完了状態(ゴール)に至るまでの1又は複数の中間状態(「サブゴール」とも呼ぶ。)を設定するものとする。そして、動作シーケンス生成部16は、サブゴールに基づき、目的タスクの開始から完了までに必要な複数の動作シーケンスSrを逐次的に生成する。具体的には、動作シーケンス生成部16は、初期状態からサブゴール、サブゴールから次のサブゴール、最後のサブゴールから完了状態(ゴール)へ夫々移行するための動作シーケンスSrを、逐次的に生成する。例えば、目的タスクごとにサブゴールの設定に必要な情報が予め記憶装置4に記憶されており、動作シーケンス生成部16は、この情報を参照することで、サブゴールの設定を行う。上述の情報は、例えば、ピックアンドプレイスの場合には、1つの動作シーケンスSrにおいて対象物を移動させる最大個数の情報である。
【0131】
そして、切替判定部18は、動作シーケンスSrごとにロボット制御部17から供給される完了通知等に基づき、各動作シーケンスSrが正常完了したか否か判定し、いずれかの動作シーケンスSrが正常に完了しなかったときに、切替指令Swを生成する。切替判定部18は、例えば、同一のサブゴールに対する動作シーケンスSrが連続して生成されたと判定した場合に、対象のサブゴールが完了しない何らかの異常が発生したと判定し、切替指令Swをロボット制御部17に供給してもよい。
【0132】
この例においても、切替判定部18は、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替の要否を的確に判定することができる。
【0133】
(7)ロボット制御部及び出力制御部の詳細
出力制御部15の処理の詳細について説明する。以後では、出力制御部15の制御に基づき指示装置2が表示するタスク指定画面と外部入力支援画面の各表示例について、図7図9を参照して説明する。
【0134】
図7は、目的タスクを指定するタスク指定画面の表示例を示す。出力制御部15は、出力制御信号S2を生成し、当該出力制御信号S2を指示装置2に送信することで、指示装置2に図7に示すタスク指定画面を表示するよう制御している。図7に示すタスク指定画面は、主に、タスク種類指定欄25と、作業空間表示欄26と、各種ボタン28(28a、28b)とを有する。
【0135】
出力制御部15は、タスク種類指定欄25において、目的タスクの種類を指定する入力を受け付ける。ここでは、一例として、タスク種類指定欄25はプルダウンメニュー形式の入力欄であり、出力制御部15は、受付可能な目的タスクの種類の候補を、タスク種類指定欄25において選択可能に一覧表示する。ここでは、タスク種類指定欄25には、ピックアンドプレイスが目的タスクの種類として指定されている。
【0136】
また、出力制御部15は、作業空間表示欄26において、計測装置7が作業空間内を撮像した画像(作業空間画像)を表示し、タスク種類指定欄25において指定された目的タスクの実行に必要な指定を受け付ける。図7の例では、出力制御部15は、タスク種類指定欄25で選択されたピックアンドプレイスに対応する抽象状態指定情報I1を参照し、ロボット5により作業対象となる対象物と、対象物の目的地とを定める必要があると認識する。よって、出力制御部15は、作業空間表示欄26上で対象物と目的地とを夫々指定する入力を受け付ける。ここでは、一例として、出力制御部15は、対象物を指定したマーク27a~27dを実線により表示し、目的地を指定したマーク27eを破線により表示している。そして、出力制御部15は、対象物決定ボタン28aが選択されたことを検知した場合、ユーザが描いたマーク27a~27dの位置情報を、対象物の位置を特定する情報として認識する。また、出力制御部15は、さらに目的地決定ボタン28bが選択されたことを検知した場合、対象物決定ボタン28aの選択後にユーザが描いたマーク27eの位置情報を、目的地を特定する情報として認識する。そして、出力制御部15は、これらの対象物及び目的地を特定する情報(ここでは作業空間画像上での各マークの位置情報)を、タスク指定情報Iaとして動作シーケンス生成部16に供給する。
【0137】
このように、図7に示されるタスク指定画面によれば、出力制御部15は、目的タスクの種類の指定及び目的タスクに関連する物体の指定に関するユーザ入力を好適に受け付け、タスク指定情報Iaを好適に取得することができる。
【0138】
なお、出力制御部15は、対象物及び目的地を丸印で囲む入力を受け付ける代わりに、タッチ操作又はクリック操作により対象物及び目的地を構成する一部の画素を夫々指定する入力を受け付けてもよい。この場合、出力制御部15は、指定された各画素の位置情報を、対象物及び目的地を夫々特定する情報とみなし、タスク指定情報Iaとして動作シーケンス生成部16に供給する。
【0139】
また、出力制御部15は、対象物及び目的地に関する認識結果Imに基づき、作業空間表示欄26上でのユーザ入力によらずにタスク指定情報Iaを生成してもよい。なお、出力制御部15は、計測装置7が生成した作業空間画像を作業空間表示欄26に表示する代わりに、作業空間内の環境を再現したCAD画像を作業空間表示欄26に表示してもよい。この場合、出力制御部15は、抽象状態設定部31が生成した認識結果Imと、対象物等に関するCADデータを記録した物体モデル情報I6とに基づき、作業空間内の環境を再現したCAD画像を生成する。
【0140】
図8は、切替判定部18による第1ロボット制御から第2ロボット制御の切替態様が第1形態である場合の外部入力支援画面の第1表示例を示す。出力制御部15は、出力制御信号S2を生成し、当該出力制御信号S2を指示装置2に送信することで、指示装置2に図8に示す外部入力支援画面を表示するよう制御している。図8に示す外部入力支援画面は、主に、作業空間表示欄26Aと、動作内容表示領域29とを有している。
【0141】
ここで、作業空間表示欄26Aには、現在の作業空間を撮影した画像又は現在の作業空間を模式的に表すCAD画像である作業空間画像が表示されており、動作内容表示領域29には、外部入力によりロボット5を動作させる必要がある内容が表示されている。なお、ここでは、一例として、対象となる外部入力型サブタスクは、障害物に隣接してロボット5が直接把持することができない対象物を把持可能な位置まで移動させて掴むサブタスクであるものとする。また、図8では、図6におけるロボットアーム52aを「第1アーム」、ロボットアーム52bを「第2アーム」と表記している。
【0142】
図8に示す外部入力支援画面が表示されるまでの処理の流れについて説明する。まず、切替判定部18は、第2ロボット制御が必要な外部入力型サブタスク(ここでは、対象物を把持可能な位置まで移動させて掴む)の実行タイミングであると判定し、切替指令Swをロボット制御部17に送信する。そして、ロボット制御部17は、切替指令Swの受信後、第2ロボット制御部172による第2ロボット制御へ制御モードを移行する。そして、第2ロボット制御へ制御モードが移行した場合、出力制御部15は、例えば、対象の外部入力型サブタスクの動作内容を示すサブタスク情報I4と、動作シーケンスSrとに基づき、外部入力により作業者が指示する必要があるロボット5の動作内容等を認識する。そして、出力制御部15は、認識したロボット5の動作内容等に基づく外部入力支援画面を表示するための出力制御信号S2を生成し、生成した出力制御信号S2を指示装置2に供給する。
【0143】
図8の例では、出力制御部15は、第2ロボット制御(マニュアル制御)に切り替わった旨、及び、ロボット5に実行させる動作内容(ここでは、対象物を所定位置まで移動させて第1アームにより掴むこと)を指示するガイド文章を動作内容表示領域29上に表示している。また、出力制御部15は、作業空間表示欄26Aに表示される作業空間画像上において、作業対象となる対象物を囲む太丸枠71と、対象物の移動先を示す破線丸枠72と、ロボット5の各アームの名称(第1アーム、第2アーム)とを表示している。作業空間表示欄26Aにおいてこのような表示を追加することで、出力制御部15は、動作内容表示領域29のテキスト文を参照する作業者に対し、作業に必要なロボットアーム、及び、作業対象となる対象物とその移動先を好適に認識させることができる。
【0144】
ここで、動作内容表示領域29において示されるロボット5の動作内容は、対象の外部入力型サブタスクの次のサブタスクに遷移するための条件(「シーケンス遷移条件」とも呼ぶ。)を満たすものとなっている。シーケンス遷移条件は、生成された動作シーケンスSrにおいて想定されている対象の外部入力型サブタスクの終了状態(あるいは次のサブタスクの開始状態)を示す条件に相当する。図8の例におけるシーケンス遷移条件は、第1アームが所定位置において対象物を掴んだ状態であることを示す。このように、出力制御部15は、シーケンス遷移条件を満たすために必要な動作を指示したガイド文章を動作内容表示領域29において表示することで、次のサブタスクへ円滑に遷移するために必要な外部入力を好適に支援することができる。なお、図8の動作内容表示領域29及び作業空間表示欄26Aに表示される情報は、外部入力支援情報の一例である。
【0145】
以上のように、図8に示す外部入力支援画面によれば、第2ロボット制御が必要な外部入力型サブタスクの実行時において、適切な外部入力がなされるように好適に作業者を支援することができる。
【0146】
図9は、切替判定部18による第1ロボット制御から第2ロボット制御の切替態様が第2形態である場合の外部入力支援画面の第2表示例を示す。出力制御部15は、出力制御信号S2を生成し、当該出力制御信号S2を指示装置2に送信することで、指示装置2に図9に示す外部入力支援画面を表示するよう制御している。図9に示す外部入力支援画面は、主に、作業空間表示欄26Aと、動作内容表示領域29とを有している。
【0147】
図9の例では、何らかのアクシデントによって、1つの対象物が障害物の裏に転がってしまい、当該対象物がロボットアームにより直接把持ができない状態となっている。この場合、切替判定部18は、動作シーケンスSrに基づく計画との時間的又は/空間的なずれが発生していること等を検知したことから、第1ロボット制御の継続が不適であると判定し、切替指令Swをロボット制御部17に送信する。そして、ロボット制御部17は、第2ロボット制御部172による第2ロボット制御へ制御モードを移行する。
【0148】
そして、出力制御部15は、図9に示すように、対象物のピックアンドプレースに関して異常が発生したことにより第2ロボット制御に移行した旨、及び、当該対象物をゴール地点に移動させる外部入力が必要である旨を、動作内容表示領域29上に表示する。また、出力制御部15は、作業空間表示欄26Aに表示される画像上において、作業対象となる対象物を囲む太丸枠73と、ロボット5の各アームの名称(第1アーム、第2アーム)とを表示している。
【0149】
このように、図9に示す外部入力支援画面によれば、異常の発生により第2ロボット制御が必要となった場合に、作業者による適切な外部入力がなされるように好適に作業者を支援することができる。
【0150】
ここで、第2ロボット制御の対象となるロボット5の動作について補足説明する。図9では、出力制御部15は、作業対象となる対象物に対する作業完了までのロボット5の動作が第2ロボット制御により行われるように、対象物を第2ロボット制御によりゴール地点に移動させることを指示する情報を動作内容表示領域29に表示した。しかし、第2ロボット制御の対象となるロボット5の動作はこれに限定されない。
【0151】
例えば、出力制御部15は、現在停滞しているサブタスク(「停滞サブタスク」とも呼ぶ。)に関する動作のみ第2ロボット制御により行われるように、停滞サブタスクに対応する外部入力を促す情報を動作内容表示領域29に表示してもよい。図9の例では、障害物に近接する対象物の把持のサブタスクが完了できないことから、出力制御部15は、当該対象物の把持までの外部入力を促す情報を動作内容表示領域29に表示してもよい。そして、切替判定部18は、第2ロボット制御により対象物の把持が行われたことを検知した場合、第2ロボット制御から第1ロボット制御への切替を指示する切替指令Swをロボット制御部17に送信する。その後、ロボット制御部17の第1ロボット制御部171は、停滞サブタスクの次のサブタスクの実行を行う。
【0152】
他の例では、外部入力支援画面には、第2ロボット制御の終了を指示するボタンが設けられ、切替判定部18は、当該ボタンが選択されたことを検知した場合に、第2ロボット制御を終了すべきと判定してもよい。この場合、例えば、切替判定部18は、第2ロボット制御から第1ロボット制御への切替を指示する切替指令Swをロボット制御部17に送信すると共に、動作シーケンス生成部16に対して動作シーケンスSrの再生成指示を行う。そして、ロボット制御部17の第1ロボット制御部171は、動作シーケンス生成部16により再生成された動作シーケンスSrに基づき、第1ロボット制御を再開する。
【0153】
(8)処理フロー
図10は、第1実施形態においてロボットコントローラ1が実行するロボット制御処理の概要を示すフローチャートの一例である。
【0154】
まず、ロボットコントローラ1は、タスク指定情報Iaを取得する(ステップS11)。この場合、例えば、出力制御部15は、目的タスクの指定に関する入力信号S1を受信することで、タスク指定情報Iaを取得する。他の例では、タスク指定情報Iaが記憶装置4等に予め記憶されている場合には、ロボットコントローラ1は、当該記憶装置4等からタスク指定情報Iaを取得してもよい。
【0155】
動作シーケンス生成部16は、ステップS11で取得したタスク指定情報Iaと、計測信号S4とに基づき、ロボット5の動作シーケンスである動作シーケンスSrを生成する(ステップS12)。この場合、動作シーケンス生成部16は、動作シーケンスSrの生成に必要な、作業空間における物体の認識を行い、タスク指定情報Iaが示す目的タスクの完了に必要な動作シーケンスSrを生成する。
【0156】
次に、ロボット制御部17の第1ロボット制御部171は、生成された動作シーケンスSrに基づく第1ロボット制御を実行する(ステップS13)。この場合、第1ロボット制御部171は、動作シーケンスSrに基づき生成した制御信号S3をロボット5へ順次供給し、生成された動作シーケンスSrに従いロボット5が動作するように制御する。
【0157】
次に、切替判定部18は、動作シーケンスSrに基づくロボット制御の切替判定を行う(ステップS14)。この場合、切替判定部18は、例えば、「(6)切替判定部の詳細」のセクションで述べた第1形態又は第2形態に従い、少なくとも動作シーケンスSrに基づき、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替の要否を判定する。
【0158】
そして、第1ロボット制御から第2ロボット制御への切替が必要である場合(ステップS15;Yes)、出力制御部15は、外部入力により指定するロボット5の動作内容を作業者に指示する外部入力支援画面を、指示装置2に表示させる(ステップS16)。この場合、出力制御部15は、動作シーケンス生成部16から供給される動作シーケンスSr、サブタスク情報I4、及びロボット制御部17から供給されるロボット5の状態等に基づき、外部入力により指定するロボット5の動作内容を認識する。そして、出力制御部15は、上記の外部入力支援画面を表示するための出力制御信号S2を生成し、生成した出力制御信号S2を指示装置2に供給することで、指示装置2に外部入力支援画面を表示させる。
【0159】
そして、ロボット制御部17の第2ロボット制御部172は、第2ロボット制御を実行する(ステップS17)。この場合、第2ロボット制御部172は、指示装置2のロボット操作部24dにより生成される入力信号S1に基づく制御信号S3を順次供給する。これにより、ロボット5は、作業者の操作に即した動作を実行する。
【0160】
そして、切替判定部18は、第2ロボット制御を終了すべきか否か判定する(ステップS18)。例えば、切替判定部18は、第2ロボット制御により行うべきサブタスクが完了した(即ちシーケンス遷移条件が満たされた)と判定した場合、第2ロボット制御を終了すべきと判定する。この場合、第2ロボット制御により行うべきサブタスクは、複数のサブタスクの集合であってもよい。他の例では、切替判定部18は、作業者による第2ロボット制御の明示的な終了指示に相当する入力信号S1を受信した場合、第2ロボット制御を終了すべきと判定する。
【0161】
そして、第2ロボット制御を終了すべきでないと切替判定部18が判定した場合(ステップS18;No)、第2ロボット制御部172は、引き続きステップS17において、指示装置2から供給される入力信号S1に基づき第2ロボット制御を実行する。
【0162】
一方、第2ロボット制御を終了すべきと切替判定部18が判定した場合(ステップS18;Yes)、ロボット制御部17は、ロボット5の制御を第2ロボット制御から第1ロボット制御へ切り替える(ステップS19)。そして、ステップS19の後、又は、ステップS15において第2ロボット制御への切替が不要と判定した後、ロボットコントローラ1は、目的タスクが完了したか否か判定する(ステップS20)。この場合、例えば、ロボットコントローラ1のロボット制御部17は、動作シーケンスSrに基づくロボット5への制御信号S3の出力が完了した(出力が無くなった)場合に、目的タスクが完了したと判定する。他の例では、ロボット制御部17は、対象物の状態が完了状態になったことを計測信号S4に基づき認識した場合に、目的タスクが完了したと判定する。そして、ロボットコントローラ1は、目的タスクが完了したと判定した場合(ステップS20;Yes)、フローチャートの処理を終了する。
【0163】
一方、目的タスクが完了していないと判定した場合(ステップS20;No)、動作シーケンス生成部16は、動作シーケンスSrの生成が必要か否か判定する(ステップS21)。例えば、動作シーケンス生成部16は、第2形態に基づく第2ロボット制御への切替(即ち異常検知に基づく緊急的な第2ロボット制御への切替)後に再び第1ロボット制御を実行する場合には、動作シーケンスSrを再生成すべきと判定する。一方、ロボットコントローラ1は、第1形態に基づく第2ロボット制御への切替(即ち計画的な第2ロボット制御への切替)後に再び第1ロボット制御を実行する場合には、動作シーケンスSrを再生成する必要がないと判定する。他の例では、動作シーケンス生成部16は、現在のサブゴールが完了した場合には、次のサブゴール(最終ゴールを含む)を実行するための動作シーケンスSrを生成する必要があると判定する。
【0164】
そして、動作シーケンス生成部16は、動作シーケンスSrの生成が必要であると判定した場合(ステップS21;Yes)、ステップS12に処理を戻し、動作シーケンスSrの生成を行う。一方、動作シーケンス生成部16は、動作シーケンスSrの生成が必要でないと判定した場合(ステップS21;No)、ステップS13へ処理を戻し、既存の動作シーケンスSrに基づく第1ロボット制御を実行する。
【0165】
(9)変形例
次に、第1実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は任意に組み合わせて適用してもよい。
【0166】
(第1変形例)
ロボットコントローラ1は、第2ロボット制御において作業者による外部入力を支援する情報を外部入力支援画面上に表示する制御を行う代わりに、又は、これに加えて、第2ロボット制御において作業者による外部入力を支援する情報を音により出力する制御を行ってもよい。この場合、ロボットコントローラ1の出力制御部15は、例えば、図8又は図9の外部入力支援画面を指示装置2に表示させる代わりに、又はこれに加えて、動作内容表示領域29に表示した外部入力に関するガイド文章に相当するガイダンスを指示装置2に音声出力させる。本変形例によっても、ロボットコントローラ1は、第2ロボット制御に必要な外部入力の生成を好適に支援することができる。
【0167】
(第2変形例)
図5に示す動作シーケンス生成部16のブロック構成は一例であり、種々の変更がなされてもよい。
【0168】
例えば、ロボット5に命令する動作のシーケンスの候補φの情報が記憶装置4に予め記憶され、動作シーケンス生成部16は、当該情報に基づき、制御入力生成部35の最適化処理を実行する。これにより、動作シーケンス生成部16は、最適な候補φの選定とロボット5の制御入力の決定を行う。この場合、動作シーケンス生成部16は、動作シーケンスSrの生成において、抽象状態設定部31、目標論理式生成部32及びタイムステップ論理式生成部33に相当する機能を有しなくともよい。このように、図5に示す動作シーケンス生成部16の一部の機能ブロックの実行結果に関する情報が予めアプリケーション情報記憶部41に記憶されていてもよい。
【0169】
他の例では、アプリケーション情報には、目的タスクに対応する動作シーケンスSrを設計するためのフローチャートなどの設計情報が予め含まれており、動作シーケンス生成部16は、当該設計情報を参照することで、動作シーケンスSrを生成してもよい。なお、予め設計されたタスクシーケンスに基づきタスクを実行する具体例については、例えば特開2017-39170号に開示されている。
【0170】
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態における制御装置1Xの概略構成図を示す。制御装置1Xは、主に、動作シーケンス生成手段16Xと、第1ロボット制御手段171Xと、切替判定手段18Xと、第2ロボット制御手段172Xとを有する。なお、制御装置1Xは、複数の装置から構成されてもよい。制御装置1Xは、例えば、第1実施形態におけるロボットコントローラ1とすることができる。
【0171】
動作シーケンス生成手段16Xは、ロボットの動作シーケンスを生成する。動作シーケンス生成手段16Xは、例えば、第1実施形態における動作シーケンス生成部16とすることができる。
【0172】
第1ロボット制御手段171Xは、動作シーケンスに基づくロボットの制御である第1ロボット制御を行う。第1ロボット制御手段171Xは、例えば、第1実施形態における第1ロボット制御部171とすることができる。
【0173】
切替判定手段18Xは、第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づくロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、動作シーケンスに基づき判定する。切替判定手段18Xは、例えば、第1実施形態における切替判定部18とすることができる。
【0174】
第2ロボット制御手段172Xは、切替が必要と切替判定手段18Xにより判定された場合、第2ロボット制御を行う。第2ロボット制御手段172Xは、例えば、第1実施形態における第2ロボット制御部172とすることができる。
【0175】
図12は、第2実施形態におけるフローチャートの一例である。動作シーケンス生成手段16Xは、ロボットの動作シーケンスを生成する(ステップS21)。第1ロボット制御手段171Xは、動作シーケンスに基づくロボットの制御である第1ロボット制御を行う(ステップS22)。切替判定手段18Xは、第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づくロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、動作シーケンスに基づき判定する(ステップS23)。切替が必要とステップS23において判定された場合(ステップS24;Yes)、第2ロボット制御手段172Xは、第2ロボット制御を行う(ステップS25)。一方、切替が必要でないとステップS23において判定された場合(ステップS24;No)、フローチャートの処理を終了する。
【0176】
第2実施形態によれば、制御装置1Xは、動作シーケンスに基づく第1ロボット制御の実行中において、必要に応じて外部入力に基づく第2ロボット制御に切り替え、目的となるタスクを円滑に遂行することができる。
【0177】
なお、上述した各実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-Transitory Computer Readable Medium)を用いて格納され、コンピュータであるプロセッサ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(Tangible Storage Medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory Computer Readable Medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0178】
その他、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが以下には限られない。
【0179】
[付記1]
ロボットの動作シーケンスを生成する動作シーケンス生成手段と、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行う第1ロボット制御手段と、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定する切替判定手段と、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行う第2ロボット制御手段と、
を有する制御装置。
[付記2]
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスと、前記ロボットの動作実行状況とに基づき、前記切替の要否を判定する、付記1に記載の制御装置。
[付記3]
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスと、前記ロボットの動作実行状況とに基づき、前記動作シーケンスに基づく計画に対する時間的ずれ量を算出し、当該時間的ずれ量に基づき、前記切替の要否を判定する、付記1または2に記載の制御装置。
[付記4]
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスと、前記ロボットの動作実行状況とに基づき、前記動作シーケンスに基づく計画に対する空間的ずれ量を算出し、当該空間的ずれ量に基づき、前記切替の要否を判定する、付記1~3のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記5]
前記切替判定手段は、予測された前記ロボットの移動軌跡と計測された前記ロボットの移動軌跡との比較、又は、予測された前記ロボットの作業対象物の移動軌跡と計測された前記作業対象物の移動軌跡との比較に基づき、前記空間的ずれ量を算出する、付記4に記載の制御装置。
[付記6]
前記切替判定手段は、前記第1ロボット制御の実行中において、前記動作シーケンスを構成するいずれかの動作が正常に完了しなかったと判定した場合に、前記切替が必要と判定する、付記1~5のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記7]
前記動作シーケンス生成手段は、前記ロボットが実行すべきタスクの完了までの1または複数の中間状態に基づき、前記タスクの開始から前記タスクの完了までに必要な複数の動作シーケンスを逐次的に生成し、
前記切替判定手段は、前記複数の動作シーケンスのいずれかの動作シーケンスが正常に完了しなかったと判定した場合に、前記切替が必要と判定する、付記1~5のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記8]
前記動作シーケンス生成手段は、前記第2ロボット制御が必要な前記ロボットの動作を含む前記動作シーケンスを生成し、
前記切替判定手段は、前記第2ロボット制御が必要な前記動作の実行タイミングにおいて、前記切替が必要と判定する、付記1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記9]
前記第1ロボット制御手段は、前記第2ロボット制御が必要な前記動作が完了したと判定した場合、前記第1ロボット制御を再開する、付記8に記載の制御装置。
[付記10]
前記外部入力を支援する外部入力支援情報を表示又は音出力する出力制御手段をさらに有する、付記1~9のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記11]
前記出力制御手段は、前記外部入力により指示する前記ロボットの動作内容に関する情報を、前記外部入力支援情報として表示又は音出力する、付記10に記載の制御装置。
[付記12]
前記動作シーケンス生成手段は、
前記ロボットが実行すべきタスクを時相論理に基づく論理式に変換する論理式変換手段と、
前記論理式から、前記タスクを実行するためタイムステップ毎の状態を表す論理式であるタイムステップ論理式を生成するタイムステップ論理式生成手段と、
前記タイムステップ論理式に基づき、前記ロボットに実行させるサブタスクのシーケンスを、前記動作シーケンスとして生成するサブタスクシーケンス生成手段と、
を有する、付記1~11のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記13]
前記動作シーケンス生成手段は、
前記タスクに関する物体の抽象的な状態である抽象状態を、前記論理式において使用する命題として定める抽象状態設定手段をさらに有する、付記12に記載の制御装置。
[付記14]
コンピュータが、
ロボットの動作シーケンスを生成し、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行い、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定し、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行う、
制御方法。
[付記15]
ロボットの動作シーケンスを生成し、
前記動作シーケンスに基づく前記ロボットの制御である第1ロボット制御を行い、
前記第1ロボット制御の実行中において、外部入力に基づく前記ロボットの制御である第2ロボット制御への切替の要否を、前記動作シーケンスに基づき判定し、
前記切替が必要と判定された場合、前記第2ロボット制御を行う処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体。
【0180】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0181】
1 ロボットコントローラ
1X 制御装置
2 指示装置
4 記憶装置
5 ロボット
7 計測装置
41 アプリケーション情報記憶部
100 ロボット制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12