IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7448066エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法
<>
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図1
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図2
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図3
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図4
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図5
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図6
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図7
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図8
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図9
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図10
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図11
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図12
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図13
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図14
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図15
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図16
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図17
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図18
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図19
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図20
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図21
  • 特許-エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20240305BHJP
   B66B 11/08 20060101ALI20240305BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B11/08 M
B66B7/00 K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023063798
(22)【出願日】2023-04-11
【審査請求日】2023-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 淳太郎
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-238296(JP,A)
【文献】国際公開第2004/106212(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/190615(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 11/08
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
移動した前記そらせ車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記そらせ車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有するエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
【請求項2】
前記加工ステップにおいて、前記綱車の回転を伝達させることにより前記そらせ車を回転させる請求項1に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
【請求項3】
前記加工ステップにおいて、前記綱車が有する歯車と前記そらせ車が有する歯車とが噛み合うことより、前記綱車の回転を前記そらせ車に伝達させる請求項2に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
【請求項4】
前記エレベータ用巻上装置は、前記第1の位置から前記第2の位置に前記そらせ車を移動させるスライド機構をさらに備え、
前記移動ステップにおいて、前記スライド機構を用いて前記そらせ車を移動させる請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
【請求項5】
前記移動ステップ前に、前記そらせ車から前記主ロープを取り外す取外ステップと
をさらに有し、
前記移動ステップにおいて、前記主ロープが取り外された前記そらせ車を移動させる請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
【請求項6】
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
前記綱車と前記そらせ車との間であって、前記綱車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記綱車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有し、
前記第2の位置は、前記第1の位置より前記綱車から離れた位置であるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
【請求項7】
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置の製造方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
移動した前記そらせ車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記そらせ車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有するエレベータ用巻上装置の製造方法。
【請求項8】
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
前記綱車と前記そらせ車との間であって、前記綱車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記綱車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有し、
前記第2の位置は、前記第1の位置より前記綱車から離れた位置であるエレベータ用巻上装置の製造方法。
【請求項9】
機械台と、
前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、
前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるロープ溝が形成されたそらせ車と、
前記第1の位置から、前記ロープ溝を除去加工する加工装置を前記ロープ溝と対向させて配置することができる第2の位置に前記そらせ車を移動させるスライド機構と
を備え、
前記第2の位置は、前記第1の位置とは異なる前記機械台の位置であるエレベータ用巻上装置。
【請求項10】
鉛直方向において前記綱車又は前記そらせ車の下方に配置され、前記加工装置により前記ロープ溝が除去加工されたときに発生する切粉を回収する回収部と
をさらに備えた請求項9に記載のエレベータ用巻上装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のエレベータ用巻上装置と、
前記ロープ溝に対向するように配置され、前記ロープ溝を除去加工する加工装置と
を備えたロープ溝加工システム。
【請求項12】
綱車及びそらせ車に巻き掛けられる主ロープの一端に接続されるかごの位置を固定するステップと、
前記主ロープの他端に接続される釣合おもりの位置を固定するステップと、
前記かご及び前記釣合おもりの位置が固定された状態で、機械台の第1の位置に支持されるそらせ車を前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に移動させるステップと、
前記そらせ車が前記第2の位置にある状態で、前記綱車又は前記そらせ車から前記主ロープを取り外すステップと
を有し、
前記第2の位置は、前記第1の位置より前記綱車に近い位置であるエレベータ装置の主ロープ取外方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法では、砥石を綱車又はそらせ車のロープ溝のうち主ロープが巻き掛けられていない部分に対向するように配置し、加工装置を巻上機台に固定した後、綱車をモータによって一方向又は双方向に回転させて、砥石によりロープ溝を除去加工している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-238296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法では、綱車又はそらせ車の周囲の空間が狭い場合、加工装置を配置するためのスペースを確保できないという課題があった。
【0005】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、綱車又はそらせ車の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置を配置するためのスペースを確保することができるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法は、機械台と、機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、機械台の第1の位置に支持され、主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、第1の位置から第1の位置とは異なる機械台の第2の位置にそらせ車を移動させる移動ステップと、移動したそらせ車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、そらせ車を回転させ、配置した加工装置でロープ溝を除去加工する加工ステップとを有する。
【0007】
本開示にかかるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法は、機械台と、機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、機械台の第1の位置に支持され、主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、第1の位置から第1の位置とは異なる機械台の第2の位置にそらせ車を移動させる移動ステップと、綱車とそらせ車との間であって、綱車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、綱車を回転させ、配置した加工装置でロープ溝を除去加工する加工ステップとを有し、第2の位置は、第1の位置より綱車から離れた位置である。
【0008】
本開示にかかるエレベータ用巻上装置の製造方法は、機械台と、機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、機械台の第1の位置に支持され、主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置の製造方法において、第1の位置から第1の位置とは異なる機械台の第2の位置にそらせ車を移動させる移動ステップと、移動したそらせ車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、そらせ車を回転させ、配置した加工装置でロープ溝を除去加工する加工ステップとを有する。
【0009】
本開示にかかるエレベータ用巻上装置の製造方法は、機械台と、機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、機械台の第1の位置に支持され、主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、第1の位置から第1の位置とは異なる機械台の第2の位置にそらせ車を移動させる移動ステップと、綱車とそらせ車との間であって、綱車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、綱車を回転させ、配置した加工装置でロープ溝を除去加工する加工ステップとを有し、第2の位置は、第1の位置より綱車から離れた位置である。
【0010】
本開示にかかるエレベータ用巻上装置は、機械台と、機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、機械台の第1の位置に支持され、主ロープが巻き掛けられるロープ溝が形成されたそらせ車と、第1の位置から、ロープ溝を除去加工する加工装置をロープ溝と対向させて配置することができる第2の位置にそらせ車を移動させるスライド機構とを備え、第2の位置は、第1の位置とは異なる機械台の位置である。
【0011】
本開示にかかるロープ溝加工システムは、本開示にかかるエレベータ用巻上装置と、ロープ溝に対向するように配置され、ロープ溝を除去加工する加工装置とを備える。
【0012】
本開示にかかるエレベータ装置の主ロープ取外方法は、綱車及びそらせ車に巻き掛けられる主ロープの一端に接続されるかごの位置を固定するステップと、主ロープの他端に接続される釣合おもりの位置を固定するステップと、かご及び釣合おもりの位置が固定された状態で、機械台の第1の位置に支持されるそらせ車を第1の位置から第1の位置とは異なる機械台の第2の位置に移動させるステップと、そらせ車が第2の位置にある状態で、綱車又はそらせ車から主ロープを取り外すステップとを有し、第2の位置は、第1の位置より綱車に近い位置である。
【発明の効果】
【0013】
本開示にかかるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法は、綱車又はそらせ車の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置を配置するためのスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1におけるエレベータ装置の側面図である。
図2】実施の形態1における巻上装置の平面図である。
図3】実施の形態1における巻上装置のA-A’断面図である。
図4】実施の形態1における綱車の本体部の断面図である。
図5】実施の形態1におけるそらせ車の本体部の断面図である。
図6】実施の形態1における巻上装置の平面図である。
図7】実施の形態1における巻上装置のB-B’断面図である。
図8】実施の形態1の変形例における巻上装置の断面図である。
図9】実施の形態1の変形例における巻上装置の断面図である。
図10】実施の形態1の変形例における巻上装置の平面図である。
図11】実施の形態1の変形例における巻上装置のC-C’断面図である。
図12】実施の形態2における巻上装置の平面図である。
図13】実施の形態2における巻上装置のD-D’断面図である。
図14】実施の形態2における巻上装置の側面図である。
図15】実施の形態2における巻上装置の平面図である。
図16】実施の形態2における巻上装置のE-E’断面図である。
図17】実施の形態3におけるエレベータ装置の側面図である。
図18】実施の形態3における巻上装置の平面図である。
図19】実施の形態3における巻上装置の平面図である。
図20】実施の形態4における回収部の斜視図である。
図21】実施の形態4における巻上装置の断面図である。
図22】実施の形態4における巻上装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下に実施の形態1にかかるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法を詳細に説明する。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当の構成を表している。
【0016】
図1に示すように、エレベータ装置は、かご1、釣合おもり2、主ロープ3及び巻上装置4を備える。ロープ溝加工システムは、巻上装置4及び後述する加工装置100を備える。なお、巻上装置4は、エレベータ用巻上装置に相当する。
【0017】
昇降路201内には、かご1及び釣合おもり2が設けられる。後述する巻上機8が配置される側にかご1が配置され、後述するそらせ車9が配置される側に釣合おもり2が配置される。かご1は、主ロープ3の一端に接続され、かごガイドレール(図示せず)に沿って昇降路201内を昇降する。釣合おもり2は、主ロープ3の他端に接続され、釣合おもりガイドレール(図示せず)に沿って昇降路201内を昇降する。主ロープ3は、後述する綱車81及びそらせ車9に巻き掛けられる。
【0018】
昇降路201の上部には、機械室202が設けられる。機械室202内には、巻上装置4が設けられる。図2、3に示すように、巻上装置4は、機械台5、防振ゴム6、梁7、巻上機8、そらせ車9及びスライド機構10を備える。以下の説明において、巻上機8の回転軸81cが延びる方向を奥行方向と呼ぶ。巻上機8の綱車81からそらせ車9に向かう方向を右方向と呼び、そらせ車9から巻上機8の綱車81に向かう方向を左方向と呼ぶ。右方向及び左方向と平行な方向を左右方向と呼ぶ。奥行方向及び左右方向と直行する方向を上下方向と呼ぶ。上下方向は、鉛直方向と平行な方向である。なお、図2から図5において、主ロープ3の図示を省略している。
【0019】
梁7は、奥行方向に延びる鋼材であって、左右方向にそれぞれ一本ずつ機械室202の床202bに固定される。梁7の上部には、防振部材である防振ゴム6が複数固定される。
【0020】
機械台5は、複数の防振ゴム6の上部に固定される。機械台5には、上下方向に貫通する穴51が形成されている。機械台5は、巻上機8、そらせ車9及びスライド機構10を支持する。機械台5の右側の端部は、機械室202の壁202aと接している。
【0021】
巻上機8は、機械台5の上部に固定され、機械台5に支持されている。巻上機8は、綱車81、駆動部82及び軸受台83を有する。
【0022】
綱車81は、本体部81a、歯車81b及び回転軸81cを有する。
【0023】
本体部81aは、円柱状に形成されている。図4に示すように、本体部81aの外周に、複数のロープ溝81dが形成されており、ロープ溝81dに主ロープ3が巻き掛けられる。ロープ溝81dは、湾曲部81e及びアンダーカット部81fを有する。
【0024】
湾曲部81eは、主ロープ3が接する部分である。湾曲部81eの底面部にアンダーカット部81fが形成されている。湾曲部81eに接する主ロープ3の一部がアンダーカット部81fに食い込むことにより、主ロープ3とロープ溝81dとの間に摩擦力が生じる。それにより、主ロープ3がロープ溝81d上で滑ることが抑制され、綱車81の回転と連動して主ロープ3が移動する。
【0025】
図2に示すように、歯車81bは一対をなしており、奥行方向から本体部81aを挟むように設けられている。
【0026】
回転軸81cは、その一端が駆動部82に回転可能に支持され、その他端が軸受台83に回転可能に支持される。駆動部82は、モータ及びブレーキを備え、綱車81を回転及び制動する。回転軸81cを中心として本体部81a及び歯車81bが回転する。
【0027】
そらせ車9は、スライド機構10を介して機械台5の第1の位置に支持されている。そらせ車9は、本体部91、歯車92及び回転軸93を有する。なお、機械台5の第1の位置とは、エレベータ装置の通常運転時においてそらせ車9を支持する位置である。以下の説明において、機械台5の第1の位置を単に第1の位置と呼ぶ。
【0028】
本体部91は、円柱状に形成されている。図5に示すように、本体部91の外周に、複数のロープ溝91aが形成されており、ロープ溝91aに主ロープ3が巻き掛けられる。ロープ溝91aは、その断面が湾曲した形状となるように形成される。
【0029】
ロープ溝91aは、主ロープ3の微小な滑り等により摩耗する。ロープ溝91a毎に摩耗の進行状態が異なることにより、各ロープ溝91aの表面に凹凸が生じてかごに振動が発生する要因となることがある。さらに、各ロープ溝91aに対して主ロープ3が作用する力が異なることにより、ロープ溝91aの摩耗に偏りが生じることがある。
【0030】
図2に示すように、歯車92は一対をなしており、奥行方向から本体部91を挟むように設けられている。
【0031】
回転軸93は、奥行方向に延びるように設けられ、その一端及び他端がブロック11に回転可能に支持される。そらせ車9の一部は、機械台5に形成された穴51の内部に位置している。回転軸81cを中心として本体部91及び歯車92が回転する。
【0032】
スライド機構10は、機械台5の上部に固定され、機械台5に支持される。スライド機構10は、そらせ車9を第1の位置から後述する第2の位置に移動させるものである。スライド機構10は、ブロック11、レール12、雄ねじ13、支持台14、ハンドル部15、雌ねじ16及び連結部材17を有する。
【0033】
ブロック11及びレール12は、一対をなしており、奥行方向においてそらせ車9の両側に設けられる。ブロック11は、そらせ車9の回転軸93を回転可能に支持する。ブロック11は、レール12に沿って移動可能となるように、レール12に取り付けられている。レール12は、左右方向に延びるように設けられ、その一端及び他端が機械台5に固定されている。レール12は、ブロック11の移動を案内する。ブロック11がレール12に沿って移動すると、それに連動してそらせ車9が移動する。
【0034】
支持台14は、機械台5に固定されている。雄ねじ13は、左右方向に延びるように設けられ、2つの支持台14に回転可能に支持されている。雄ねじ13の一端には、ハンドル部15が設けられている。作業員がハンドル部15を回転させると、それに連動して雄ねじ13が回転する。
【0035】
雄ねじ13には、雌ねじ16が取り付けられている。雄ねじ13が回転すると、雌ねじ16が左右方向に移動する。
【0036】
連結部材17は、雌ねじ16と一方のブロック11とを連結する。雌ねじ16が移動すると、雌ねじ16に連結されたブロック11が移動し、ブロック11に支持されたそらせ車9が移動する。
【0037】
次に、巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法について説明する。
【0038】
まず、綱車及びそらせ車から主ロープ3を取り外す(取外ステップ)。取外ステップでは、エレベータ装置の主ロープ取外方法を用いて主ロープ3を取り外す。
【0039】
まず、かご1の位置を固定する。例えば、かご1に設けられ、かご1の移動を非常停止させる非常止め装置(図示せず)によりかご1の位置を固定する。非常止め装置が備える制動子(図示せず)がかごガイドレールを挟持するとかご1の位置が固定される。
【0040】
次に、釣合おもり2の位置を固定する。例えば、釣合おもり2に設けられ、釣合おもり2の移動を非常停止させる非常止め装置(図示せず)により釣合おもり2の位置を固定する。非常止め装置が備える制動子(図示せず)が釣合おもりガイドレールを挟持すると釣合おもり2の位置が固定される。
【0041】
次に、かご1及び釣合おもり2の位置が固定された状態で、スライド機構10を用いてそらせ車9を第1の位置から機械台5の第2の位置に移動させる。以下の説明において、機械台5の第2の位置を単に第2の位置と呼ぶ。
【0042】
具体的には、作業員がハンドル部15を回転させ、雄ねじ13を回転させる。雄ねじ13が回転すると、雌ねじ16の左方向への移動に連動してブロック11がレール12に沿って移動し、図6、7に示すようにそらせ車9が第2の位置に移動する。このとき、そらせ車9は、回転軸93が奥行方向に延びた状態で左方向に移動する。なお、第2の位置とは、第1の位置とは異なる位置であり、第1の位置より綱車81に近い位置であって、かつ、後述する加工装置100をそらせ車9のロープ溝91aと対向させて配置することができる位置である。そらせ車9が第2の位置に移動すると、主ロープ3に生じる張力が小さくなり、主ロープ3が弛む。また、そらせ車9が第2の位置に移動すると、壁202aとそらせ車9との間に後述する加工装置100を配置するスペースが生まれる。
【0043】
最後に、そらせ車9が第2の位置にある状態で、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外す。なお、綱車81及びそらせ車9のうちどちらか一方から主ロープ3を取り外してもよい。以上で、取外ステップの説明を終える。
【0044】
次に、スライド機構10を用いてそらせ車9を第1の位置から第2の位置に移動させる(移動ステップ)。具体的には、作業員がハンドル部15を回転させ、雄ねじ13を回転させる。雄ねじ13が回転すると、雌ねじ16の左方向への移動に連動してブロック11がレール12に沿って移動し、そらせ車9が第2の位置に移動する。このとき、そらせ車9は、回転軸93が奥行方向に延びた状態で左方向に移動する。作業員は、綱車81の歯車81bとそらせ車9の歯車92が噛み合うようにそらせ車9の位置を調節する。なお、上述した取外ステップにおいて、そらせ車9を第1の位置から第2の位置に移動させた場合は、それを移動ステップとみなすことができる。
【0045】
次に、第2の位置に移動したそらせ車9の本体部91に形成されたロープ溝91aに対向するように加工装置100を配置する(配置ステップ)。このとき、加工装置100は、そらせ車9が第2の位置に移動したことにより生まれたスペースに配置される。具体的には、機械台5の上部であって、壁202aとそらせ車9との間に加工装置100が配置される。また、加工装置100には、バイト又は砥石等である加工部101が備えられる。加工部101がロープ溝91aに対向するように加工装置100を配置する。なお、機械台5の上部に嵩上台を設置し、その上に加工装置100を配置してもよい。
【0046】
最後に、そらせ車9を回転させ、配置ステップで配置した加工装置100でそらせ車9のロープ溝91aを除去加工する(加工ステップ)。綱車81が駆動部82により回転されると、綱車81の歯車81bとそらせ車9の歯車92とが噛み合って、綱車81の回転がそらせ車9に伝達される。そして、そらせ車9が回転する。そらせ車9が回転している間に、加工装置100により摩耗したロープ溝91aを除去加工する。具体的には、ロープ溝91aに発生した凹凸を除去してロープ溝91aの表面を滑らかにする加工、及び各ロープ溝91aの深さにばらつきが生じている場合に各ロープ溝91aの深さを合わせてばらつきを除去する加工を行う。なお、除去加工には、研削加工、研磨加工及び切削加工等が含まれる。
【0047】
このような実施の形態1にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法、巻上装置4の製造方法及びエレベータ装置の主ロープ取外方法にあっては、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるため、そらせ車9の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。
【0048】
さらに、このような実施の形態1にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法にあっては、綱車81の回転を伝達させることによりそらせ車9を回転させるため、そらせ車9を回転させるためのモータを別途設ける必要がない。
【0049】
さらに、このような実施の形態1にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法にあっては、綱車81の歯車81bとそらせ車9の歯車92とが噛み合うことより、綱車81の回転をそらせ車9に伝達させる。そのため、綱車81の回転をそらせ車9に伝達させるために綱車81の本体部81a及びそらせ車9の本体部91に巻き掛けられるベルト又はロープ等の回転伝達部材が不要となる。
【0050】
さらに、このような実施の形態1にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法にあっては、スライド機構10を用いてそらせ車9を移動させる。そのため、そらせ車9を容易に移動させることができ、作業効率が向上する。
【0051】
さらに、このような実施の形態1にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法にあっては、移動ステップ前に、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外す。そのため、移動ステップにおいて、主ロープ3によりそらせ車9の移動が妨げられることがなく、そらせ車9を容易に移動させることができる。
【0052】
このような実施の形態1にかかる巻上装置4及びロープ溝加工システムにあっては、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるスライド機構10を備える。そのため、そらせ車9を容易に移動させることができ、そらせ車9の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。また、ロープ溝加工システムにあっては、そらせ車9を第2の位置に移動したことにより生まれたスペースに加工装置100を配置し、そらせ車9のロープ溝91aを除去加工することができる。
【0053】
従来のエレベータ装置の主ロープ取外方法では、かご1の位置を固定し、釣合おもり2を機械室に搬入したチェーンブロックで釣り上げることで主ロープ3を弛ませ、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外していた。従来の方法では、チェーンブロックを機械室に搬入する手間が生じる。一方で、実施の形態1にかかるエレベータ装置の主ロープ取外方法にあっては、そらせ車9を第1の位置から第2の位置に移動させることで主ロープ3を弛ませ、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外す。そのため、機械室にチェーンブロックを搬入する工程を省くことができるため、より短い時間で綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外すことができる。
【0054】
なお、取外ステップの後に移動ステップを行う例について説明したが、移動ステップの後に取外ステップを行ってもよい。
【0055】
図8に示すように、綱車81の本体部81a及びそらせ車9の本体部91にロープ110を巻き掛け、綱車81の回転をロープ110を介してそらせ車9に伝達してもよい。また、図9に示すように、モータ120を別途設け、モータ120の回転をロープ110を介してそらせ車9に伝達させ、そらせ車9を回転させてもよい。なお、ロープ110の代わりにベルト又はチェーン等を回転伝達部材として用いてもよい。
【0056】
図8、9に示すように、綱車81及びそらせ車9は、歯車81b、92を有していなくてもよい。
【0057】
なお、巻上機8、そらせ車9及びスライド機構10は、巻上機台等の他の部材を介して機械台5に支持されてもよい。
【0058】
図10、11に示すように、そらせ車9を右方向に移動させて、加工装置100を綱車81とそらせ車9との間に配置してもよい。移動ステップにおいて、作業員がハンドル部15を回転させ、雄ねじ13を回転させ、雌ねじ16の右方向へ移動させる。雌ねじ16の移動に連動してブロック11がレール12に沿って移動し、そらせ車9が第2の位置に移動する。この場合において、第2の位置とは、第1の位置とは異なる位置であり、第1の位置より綱車81から離れた位置であって、かつ、加工装置100をそらせ車9のロープ溝91aと対向させて配置することができる位置である。配置ステップにおいて、加工装置100は、綱車81とそらせ車9との間に配置される。加工ステップでは、モータ120を別途設け、モータ120の回転をロープ110を介してそらせ車9に伝達させ、そらせ車9を回転させる。そらせ車9が回転している間に、加工装置100により摩耗したロープ溝91aを除去加工する。なお、図10において、モータ120及びロープ110の図示を省略している。
【0059】
エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法及びエレベータ用巻上装置の製造方法の取外ステップにおいて、エレベータ装置の主ロープ取外方法を用いる例について説明したが、綱車81、そらせ車9又は主ロープ3等のエレベータ装置の部材を交換するとき、あるいは、エレベータ装置の点検をするときに、本開示のエレベータ装置の主ロープ取外方法を用いてもよい。この場合において、第2の位置とは、第1の位置とは異なる位置であり、かつ、第1の位置より綱車81に近い位置である。
【0060】
エレベータ装置の主ロープ取外方法において、釣合おもり2の位置を固定した後にかご1の位置を固定してもよい。
【0061】
実施の形態2.
実施の形態1では、スライド機構10がブロック11、レール12、雄ねじ13、支持台14、ハンドル部15、雌ねじ16及び連結部材17を有する例について説明した。実施の形態2では、スライド機構10がブロック11、レール12及びピン18を有する例について説明する。以下に相違点について説明する。なお、図12から図14において、主ロープ3の図示を省略している。
【0062】
図12、13に示すように、ブロック11及びレール12は、一対をなしており、奥行方向においてそらせ車9の両側に設けられる。ブロック11は、そらせ車9の回転軸93を回転可能に支持する。ブロック11は、レール12に沿って移動可能となるように、レール12に取り付けられている。レール12は、左右方向に延びるように設けられ、機械台5に固定されている。レール12は、ブロック11の移動を案内する。ブロック11がレール12に沿って移動すると、それに連動してそらせ車9が移動する。
【0063】
図13、14に示すように、レール12には、複数の穴12a、12bが形成されている。穴12a、12bは、奥行方向に貫通している。また、ブロック11にも、奥行方向に貫通する穴(図示せず)が形成されている。
【0064】
そらせ車9が第1の位置にあるときに、ブロック11の穴及びレール12の穴12aにピン18を挿入することにより、ブロック11の位置が固定され、そらせ車9が第1の位置に固定される。また、そらせ車9が第2の位置にあるときに、ブロック11の穴及びレール12の穴12bにピン18を挿入することにより、ブロック11の位置が固定され、そらせ車9が第2の位置に固定される。
【0065】
次に、巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法について説明する。
【0066】
取外ステップを行った後、スライド機構10を用いてそらせ車9を第1の位置から第2の位置に移動させる(移動ステップ)。具体的には、まず、作業員がブロック11の穴及びレール12の穴12aに挿入されているピン18を抜き、ブロック11を左方向に移動させて、そらせ車9を第2の位置に移動させる。次に、図15、16に示すように、作業員がブロック11の穴及びレールの穴12bにピン18を挿入し、そらせ車9の位置を固定する。
【0067】
次に配置ステップを行い、最後に加工ステップを行う。
【0068】
このような実施の形態2にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法、巻上装置4の製造方法及びエレベータ装置の主ロープ取外方法にあっても、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるため、そらせ車9の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。
【0069】
このような実施の形態2にかかる巻上装置4及びロープ溝加工システムにあっても、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるスライド機構10を備える。そのため、そらせ車9を容易に移動させることができ、そらせ車9の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。また、ロープ溝加工システムにあっては、そらせ車9を第2の位置に移動したことにより生まれたスペースに加工装置100を配置し、そらせ車9のロープ溝91aを除去加工することができる。
【0070】
さらに、このような実施の形態2にかかる巻上装置4及びロープ溝加工システムにあっては、穴が形成されたブロック、穴12a、12bが形成されたレール12及びブロックの穴及びレールの穴12a、12bに挿入されるピンを備える。第1の位置に対応する位置に穴12aが形成され、第2の位置に対応する位置に穴12bが形成されるため、そらせ車9を移動させる際の位置調整が容易となり、作業効率が向上する。
【0071】
このような実施の形2にかかるエレベータ装置の主ロープ取外方法にあっても、そらせ車9を第1の位置から第2の位置に移動させることで主ロープ3を弛ませ、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外す。そのため、機械室にチェーンブロックを搬入する工程を省くことができるため、より短い時間で綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外すことができる。
【0072】
実施の形態3.
実施の形態1では、そらせ車9のロープ溝91aを除去加工する例について説明した。実施の形態3では、綱車81のロープ溝81dを除去加工する例について説明する。以下に相違点について説明する。
【0073】
図17に示すように、昇降路201内には、かご1及び釣合おもり2が設けられる。巻上機8が配置される側に釣合おもり2が配置され、そらせ車9が配置される側にかご1が配置される。
【0074】
図18に示すように、機械台5の左側の端部は、機械室202の壁202aと接している。なお、図18において主ロープ3の図示を省略している。
【0075】
巻上機8の綱車81は、本体部81a及び回転軸81cを有する。図4に示すように、本体部81aのロープ溝81dは、主ロープ3の微小な滑り等により摩耗する。摩耗が進行すると、アンダーカット部81fの溝の深さが浅くなり、主ロープ3とロープ溝81dとの間に所望の摩擦力が生じないことがある。また、ロープ溝81d毎に摩耗の進行状態が異なることにより、各ロープ溝81dの湾曲部81eの表面に凹凸が生じてかごに振動が発生する要因となることがある。さらに、各ロープ溝81dに対して主ロープ3が作用する力が異なることにより、湾曲部81eの摩耗に偏りが生じることがある。
【0076】
次に、巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法について説明する。
【0077】
まず、綱車及びそらせ車から主ロープ3を取り外す(取外ステップ)。エレベータ装置の主ロープ取外方法を用いて取外ステップを行う例について説明する。
【0078】
まず、かご1及び釣合おもり2の位置を固定する。次に、かご1及び釣合おもり2の位置が固定された状態で、スライド機構10を用いてそらせ車9を第1の位置から他の位置に移動させる。他の位置とは、第1の位置とは異なる位置であって、第1の位置より綱車81に近い機械台5の位置である。そらせ車9が他の位置に移動すると、主ロープ3に生じる張力が小さくなり、主ロープ3が弛む。最後に、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外す。以上で、取外ステップの説明を終える。
【0079】
次に、図19に示すように、スライド機構10を用いてそらせ車9を第1の位置から第2の位置に移動させる(移動ステップ)。具体的には、作業員がハンドル部15を回転させ、雄ねじ13を回転させる。雄ねじ13が回転すると、雌ねじ16の右方向への移動に連動してブロック11がレール12に沿って移動し、そらせ車9が第2の位置に移動する。この場合において、第2の位置とは、第1の位置とは異なる位置であり、第1の位置より綱車81から離れた位置であって、かつ、後述する加工装置100をそらせ車9のロープ溝91aと対向させて配置することができる位置である。
【0080】
次に、綱車81とそらせ車9との間であって、綱車81の本体部81aに形成されたロープ溝81dに対向するように加工装置100を配置する(配置ステップ)。加工部101がロープ溝81dに対向するように加工装置100を配置する。
【0081】
最後に、綱車81を回転させ、配置ステップで配置した加工装置100で綱車81のロープ溝81dを除去加工する(加工ステップ)。駆動部82が綱車81を回転させる。綱車81が回転している間に、加工装置100により摩耗したロープ溝81dを除去加工する。具体的には、ロープ溝81dの湾曲部81eに発生した凹凸を除去して湾曲部81eの表面を滑らかにする加工、各湾曲部81eの深さにばらつきが生じている場合に各湾曲部81eの深さを合わせてばらつきを除去する加工、及び所望の深さのアンダーカット部81fを形成する加工を行う。
【0082】
このような実施の形態3にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法及び巻上装置4の製造方法にあっても、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるため、綱車81の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。
【0083】
このような実施の形態3にかかる巻上装置4及びロープ溝加工システムにあっても、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるスライド機構10を備える。そのため、そらせ車9を容易に移動させることができ、綱車81の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。また、ロープ溝加工システムにあっては、そらせ車9を第2の位置に移動したことにより生まれたスペースに加工装置100を配置し、綱車81のロープ溝81dを除去加工することができる。
【0084】
このような実施の形態3にかかるエレベータ装置の主ロープ取外方法にあっても、そらせ車9を第1の位置から他の位置に移動させることで主ロープ3を弛ませ、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外す。そのため、機械室にチェーンブロックを搬入する工程を省くことができるため、より短い時間で綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外すことができる。
【0085】
実施の形態4.
実施の形態4では、巻上装置4が回収部40をさらに備える点で実施の形態1と相違する。以下に相違点について説明する。
【0086】
巻上装置4は、機械台5、防振ゴム6、梁7、巻上機8、そらせ車9、スライド機構10及び回収部40を備える。
【0087】
図20に示すように、回収部40は、第1の板材41、第2の板材42及びピン43を有する。第1の板材41及び第2の板材42は、コの字状に形成される。第2の板材42は、第1の板材41に重ねられるように、奥行方向の幅が第1の板材41より小さく形成される。第2の板材42は、奥行方向に貫通し、左右方向に延びる穴42aを有する。ピン43は、第1の板材41に形成された穴(図示せず)及び第2の板材42の穴42aに挿入され、第1の板材41と第2の板材42が離れないように連結する。
【0088】
図21に示すように、回収部40は、機械台5に支持され、上下方向においてそらせ車9の下方に配置される。回収部40の一部は、機械台5に形成された穴51の内部に位置している。第1の板材41は、機械台5に固定される。第2の板材42は、ブロック11に固定される。そらせ車9が第1の位置にあるとき、第2の板材42が第1の板材41に重なって収納される。
【0089】
ブロック11がレール12に沿って移動すると、それに連動してブロック11に固定された第2の板材42が移動する。図22に示すように、そらせ車9が第2の位置にあるとき、第1の板材41の一部と第2の板材の一部が重なっている。回収部40は、加工ステップにおいて加工装置100でそらせ車9のロープ溝91aが除去加工されたときに発生する切粉を回収する。
【0090】
このような実施の形態4にかかる巻上装置4のロープ溝加工方法、巻上装置4の製造方法及びエレベータ装置の主ロープ取外方法にあっても、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるため、そらせ車9の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。
【0091】
このような実施の形態4にかかる巻上装置4及びロープ溝加工システムにあっても、第1の位置から第2の位置にそらせ車9を移動させるスライド機構10を備える。そのため、そらせ車9を容易に移動させることができ、そらせ車9の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができる。また、ロープ溝加工システムにあっては、そらせ車9を第2の位置に移動したことにより生まれたスペースに加工装置100を配置し、そらせ車9のロープ溝91aを除去加工することができる。
【0092】
さらに、このような実施の形態4にかかる巻上装置4及びロープ溝加工システムにあっては、切粉を回収する回収部40を備えるため、切粉が飛散することが抑制され、加工ステップ後の清掃時間が短縮される。また、機械室202内に回収部40が設けられるため、昇降路201内に切粉が落下することが抑制される。さらに、回収部40は、第1の板材41及び第2の板材42を有し、第2の板材42が第1の板材41に重なって収納される。そのため、回収部40を使用しないときに回収部40が占領するスペースを小さくすることができる。
【0093】
このような実施の形態4にかかるエレベータ装置の主ロープ取外方法にあっても、そらせ車9を第1の位置から第2の位置に移動させることで主ロープ3を弛ませ、綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外す。そのため、機械室202にチェーンブロックを搬入する工程を省くことができるため、より短い時間で綱車81及びそらせ車9から主ロープ3を取り外すことができる。
【0094】
なお、回収部40は、1つ又は3つ以上の板材を有してもよい。回収部40は、綱車81の下方に配置されてもよい。
【0095】
回収部40は、機械台5に支持されなくてもよい。例えば、回収部40を機械室202の床202bに配置してもよい。
【0096】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
移動した前記そらせ車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記そらせ車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有するエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
(付記2)
前記加工ステップにおいて、前記綱車の回転を伝達させることにより前記そらせ車を回転させる付記1に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
(付記3)
前記加工ステップにおいて、前記綱車が有する歯車と前記そらせ車が有する歯車とが噛み合うことより、前記綱車の回転を前記そらせ車に伝達させる付記2に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
(付記4)
前記エレベータ用巻上装置は、前記第1の位置から前記第2の位置に前記そらせ車を移動させるスライド機構をさらに備え、
前記移動ステップにおいて、前記スライド機構を用いて前記そらせ車を移動させる付記1から3のいずれか一項に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
(付記5)
前記移動ステップ前に、前記そらせ車から前記主ロープを取り外す取外ステップと
をさらに有し、
前記移動ステップにおいて、前記主ロープが取り外された前記そらせ車を移動させる付記1から4のいずれか一項に記載のエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
(付記6)
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
前記綱車と前記そらせ車との間であって、前記綱車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記綱車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有し、
前記第2の位置は、前記第1の位置より前記綱車から離れた位置であるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法。
(付記7)
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置の製造方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
移動した前記そらせ車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記そらせ車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有するエレベータ用巻上装置の製造方法。
(付記8)
機械台と、前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるそらせ車とを備えたエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法において、
前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に前記そらせ車を移動させる移動ステップと、
前記綱車と前記そらせ車との間であって、前記綱車に形成されたロープ溝に対向するように加工装置を配置する配置ステップと、
前記綱車を回転させ、配置した前記加工装置で前記ロープ溝を除去加工する加工ステップと
を有し、
前記第2の位置は、前記第1の位置より前記綱車から離れた位置であるエレベータ用巻上装置の製造方法。
(付記9)
機械台と、
前記機械台に支持され、主ロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上機と、
前記機械台の第1の位置に支持され、前記主ロープが巻き掛けられるロープ溝が形成されたそらせ車と、
前記第1の位置から、前記ロープ溝を除去加工する加工装置を前記ロープ溝と対向させて配置することができる第2の位置に前記そらせ車を移動させるスライド機構と
を備え、
前記第2の位置は、前記第1の位置とは異なる前記機械台の位置であるエレベータ用巻上装置。
(付記10)
鉛直方向において前記綱車又は前記そらせ車の下方に配置され、前記加工装置により前記ロープ溝が除去加工されたときに発生する切粉を回収する回収部と
をさらに備えた付記8に記載のエレベータ用巻上装置。
(付記11)
付記9又は10に記載のエレベータ用巻上装置と、
前記ロープ溝に対向するように配置され、前記ロープ溝を除去加工する加工装置と
を備えたロープ溝加工システム。
(付記12)
綱車及びそらせ車に巻き掛けられる主ロープの一端に接続されるかごの位置を固定するステップと、
前記主ロープの他端に接続される釣合おもりの位置を固定するステップと、
前記かご及び前記釣合おもりの位置が固定された状態で、機械台の第1の位置に支持されるそらせ車を前記第1の位置から前記第1の位置とは異なる前記機械台の第2の位置に移動させるステップと、
前記そらせ車が前記第2の位置にある状態で、前記綱車又は前記そらせ車から前記主ロープを取り外すステップと
を有し、
前記第2の位置は、前記第1の位置より前記綱車に近い位置であるエレベータ装置の主ロープ取外方法。
【符号の説明】
【0097】
1 かご、3 主ロープ、4 巻上装置、5 機械台、8 巻上機、40 回収部、81 綱車、81b 歯車、81d ロープ溝、9 そらせ車、91a ロープ溝、92 歯車、10 スライド機構
【要約】
【課題】綱車81又はそらせ車9の周囲の空間が狭い場合であっても、加工装置100を配置するためのスペースを確保することができるエレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法、エレベータ用巻上装置の製造方法、エレベータ用巻上装置、ロープ溝加工システム及びエレベータ装置の主ロープ取外方法を得る。
【解決手段】エレベータ用巻上装置のロープ溝加工方法は、機械台5の第1の位置から第1の位置とは異なる機械台5の第2の位置にそらせ車9を移動させる移動ステップと、移動したそらせ車9に形成されたロープ溝に対向するように加工装置100を配置する配置ステップと、そらせ車9を回転させ、配置した加工装置100でロープ溝を除去加工する加工ステップとを有する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22