(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】CPAP装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
(21)【出願番号】P 2023129232
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2022196311の分割
【原出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019082052
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻 滋
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-240174(JP,A)
【文献】特開2017-170166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内に吸入した空気を使用者の気道に送り込むCPAP装置であって、
第1ユニットと、前記第1ユニットを着脱可能な第2ユニットとを備え、
前記第1ユニットは、第1導入口及び第1導出口を有する第1筐体と、前記第1導入口から導入した空気を前記第1導出口から導出する送風機と、前記送風機を制御するように構成された第1制御部と、を含み、
前記第2ユニットは、第2導入口及び第2導出口を有する第2筐体と、前記第2導入口から導入した空気を加湿する加湿機と、前記加湿機を制御するように構成された第2制御部と、を含み、
前記第1制御部は、第1演算処理部を含み、
前記第2制御部は、第2演算処理部を含み、
前記第1ユニットが前記第2ユニットに取付けられた第1使用状態において、前記第1導出口に前記第2導入口が接続され、前記第2導出口に前記使用者に空気を供給するチューブが接続され、
前記第1ユニットが前記第2ユニットに取付けられない第2使用状態において、前記第1導出口に前記チューブが接続される、
CPAP装置。
【請求項2】
前記第1ユニットは、前記第1制御部とアナログ接続され、前記送風機にて前記第1筐体内に導入された空気の温度を検出する第1温度センサを含み、
前記第1使用状態において、前記第1制御部は、前記第1温度センサにて検出した第1温度を前記第2制御部に送信し、前記第2制御部は、前記第1制御部から受信した前記第1温度に基づいて、前記加湿機を制御する、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項3】
前記第2筐体は、第3導入口と、前記第1使用状態において前記第1導入口に接続される第3導出口とを有し、
前記第2ユニットは、前記第2制御部とアナログ接続され、前記送風機にて前記第3導入口から前記第2筐体内に導入された空気の温度を検出する第1温度センサを含み、
前記第1使用状態において、前記第2制御部は、前記第1温度センサにて検出した第1温度に基づいて、前記加湿機を制御する、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項4】
前記第1ユニットは、前記送風機が送り出す空気の圧力を検出するための圧力センサと、前記送風機と前記チューブとの間における空気の流量を検出するための流量センサを含み、
前記第1制御部は、前記圧力センサにて検出した圧力値、前記流量センサにて検出した流量値に基づいて、前記送風機を制御する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のCPAP装置。
【請求項5】
前記第2制御部は、付加機器と通信可能に構成され、前記付加機器により検出した使用者の状態を示す状態情報を前記第1制御部に通信し、
前記第1制御部は、前記圧力値、前記流量値、前記状態情報に基づいて前記送風機を制御する、
請求項4に記載のCPAP装置。
【請求項6】
前記第1制御部と前記第2制御部は互いに無線通信可能である
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のCPAP装置。
【請求項7】
前記第2筐体は、第3導入口と、前記第1使用状態において前記第1導入口に接続される第3導出口とを有し、
前記第3導入口は、前記第1使用状態において、前記第1ユニットの前記第1筐体に対向している
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のCPAP装置。
【請求項8】
前記第1ユニットは、非接触給電で前記第2ユニットに対して電力供給する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のCPAP装置。
【請求項9】
前記第1演算処理部及び前記第2演算処理部は、プログラムを実行する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のCPAP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装置内に吸入した空気を使用者の気道に送り込むCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)などの睡眠関連の障害の治療用として、使用者に流体を供給する持続的気道陽圧(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure)装置(以下、CPAP装置)が用いられる。CPAP装置は、ファンを内蔵した送風装置を有し、使用者の口や鼻に装着されるマスクに送風装置から大気圧より高い圧力で流体(例えば空気)を供給し、気道を開かせる装置である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用者に供給する空気を加湿することは、使用者にとって有益であることが知られている。このため、加湿機能を備えることが考えられる。一方、CPAP装置は、毎日継続して使用することが求められる装置であるため、たとえば使用者が外泊する場合等には、CPAP装置の携行が必要になる。このため、CPAP装置は、装置の小型化および軽量化が要求される。しかしながら、加湿機を備えることは、装置の携行性を低下させるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、加湿機能を有し、携行性の高いCPAP装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様であるCPAP装置は、装置内に吸入した空気を使用者の気道に送り込むCPAP装置であって、第1ユニットと、前記第1ユニットを着脱可能な第2ユニットとを備え、前記第1ユニットは、第1導入口及び第1導出口を有する第1筐体と、前記第1導入口から導入した空気を前記第1導出口から導出する送風機と、前記送風機を制御するように構成された第1制御部と、を含み、前記第2ユニットは、第2導入口及び第2導出口を有する第2筐体と、前記第2導入口から導入した空気を加湿する加湿機と、前記加湿機を制御するように構成された第2制御部と、を含み、前記第1ユニットが前記第2ユニットに取付けられた第1使用状態において、前記第1導出口に前記第2導入口が接続され、前記第2導出口に前記使用者に空気を供給するチューブが接続され、前記第1ユニットが前記第2ユニットに取付けられない第2使用状態において、前記第1導出口に前記チューブが接続される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、加湿機能を有し、携行性の高いCPAP装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】CPAP装置の本体ユニット及びベースユニットを示す斜視図。
【
図3】ベースユニットを本体ユニットに取付けた状態を示す斜視図。
【
図4】(a)はCPAP装置の第1使用状態を示す模式図、(b)はCPAP装置の第2使用状態を示す模式図。
【
図5】第1使用状態におけるCPAP装置の機能ブロックの構成を示す説明図。
【
図6】第2使用状態におけるCPAP装置の機能ブロックの構成を示す説明図。
【
図8】変更例のCPAP装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を説明する。
図1~
図8に示すように、CPAP装置1は、第1ユニットとしての本体ユニット10と、第2ユニットとしてのベースユニット40とを備えている。本体ユニット10は、主な構成要素として送風機22を備えている。ベースユニット40は、主な構成要素として加湿機51を備えている。
【0010】
ベースユニット40は、本体ユニット10を着脱可能なものである。
本実施形態において、CPAP装置1は、第1使用状態と第2使用状態とにおいて、その使用が可能となるように構成されている。第1使用状態は、本体ユニット10がベースユニット40に取付けた状態であり、第2使用状態は、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられていない状態である。
【0011】
第1使用状態では、本体ユニット10及びベースユニット40が使用される。第2使用状態では、本体ユニット10のみが使用され、ベースユニット40は使用されない。
本実施形態のCPAP装置1は、CPAP装置1を複数のユニットにて構成するとともに、これら複数のユニットを相互に着脱自在に構成することにより、在宅時等のみならず外泊時等においても高い利便性が発揮されるようにしたものである。在宅時においては、ベースユニット40を本体ユニット10に取付けることにより、上述した第1使用状態にてCPAP装置1を使用できる。この第1使用状態において、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられることで、加湿機51を備えたCPAP装置1として、使用者に対して、加湿した空気を供給できる。
【0012】
そして、外泊時等においては、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられていない第2使用状態にてCPAP装置1を使用できる。この第2使用状態において、本体ユニット10のみのCPAP装置1となるため、本体ユニット10のみを携行すればよく、高い携行性が得られる。なお、在宅時において、CPAP装置1を第2使用状態にて使用することもできる。
【0013】
図1~
図3に示すように、本体ユニット10は、扁平な略直方体形状の外形を有しており、その外殻が第1筐体11によって構成されている。
第1筐体11は、厚さ方向において互いに反対側を向く上面111及び下面112と、上面111と下面112とを接続する4つの側面113,114,115,116を有している。
【0014】
上面111は、操作部12が設けられた操作面である。操作部12は、円環状の部材と、その部材にてオンオフされる複数のスイッチを含む。円環状の操作部12のスイッチのオンオフによって、設定値の変更等を行うことができる。
【0015】
下面112は、第1使用状態においてベースユニット40に載置され、第2使用状態において床面やテーブル等に載置される載置面である。側面113は、第1使用状態においてベースユニット40に接続される接続面であり、以下第1接続面113とする。なお、側面113は、上面111及び下面112に直交している。
【0016】
第1筐体11の第1接続面113には、第1導入部13と第1導出部14とが設けられている。第1筐体11は、第1導入部13によって第1筐体11の外部の空気を第1筐体11内に導入する第1導入口131と、第1導出部14によって第1筐体11の内部から外部へと空気を導出する第1導出口141とを有している。また、第1筐体11の第1接続面113には、本体ユニット10とベースユニット40とを電気的に接続するための第1接続部15が設けられている。本実施形態において、第1接続部15は、本体ユニット10とベースユニット40とを電気的に接続する。本実施形態において、第1接続部15は、ベースユニット40の第2接続部46に対して接離される端子を有するコネクタである。
【0017】
図1~
図3に示すように、ベースユニット40は、第2筐体41を備えている。第2筐体41は、
図5,
図7に示す加湿機51が設けられる加湿部42と、本体ユニット10が載置される載置部43とを有している。
【0018】
加湿部42は、載置部43と比べ、厚く形成されている。そして、加湿部42の下面422及び載置部43の下面432は面一で連続している。従って、加湿部42の上面421は、載置部43の上面431よりも高く位置している。そして、第2筐体41は、加湿部42と載置部43とにより、長手方向の一部に欠除部411が設けられた細長の略直方体形状の外形を有している。これらの下面422,432は、第1使用状態において床面やテーブル等に載置される載置面である。
【0019】
加湿部42の上面421には、第2導出部45が設けられている。第2筐体41は、第2導出部45により、第2筐体41内から空気を導出する第2導出口451を有する。この第2導出部45(第2導出口451)には、第1使用状態においてエアチューブ2(
図4(a)及び
図4(b)参照)が接続される。載置部43の上面431は、本体ユニット10が載置される面である。加湿部42の上面421と載置部43の上面431との高さの差は、本体ユニット10の第1筐体11の厚さに相当する。
【0020】
加湿部42において、欠除部411に面する側面は、本体ユニット10が接続される第2接続面423である。
この第2接続面423には、第2導入部44が設けられている。第2筐体41は、第2導入部44により、第2筐体41の外部から空気を導入するための第2導入口441を有する。また、この第2接続面423には、第2接続部46が設けられている。第2接続部46は、本体ユニット10にベースユニット40を取付けることによって、本体ユニット10の第1接続部15と接続される。本実施形態において、第2接続部46は、第1接続部15と接離される端子を有するコネクタである。
【0021】
第1接続部15及び第2接続部46は、本体ユニット10とベースユニット40との間において、電気的な接離を行うものである。本実施形態において、第1接続部15及び第2接続部46は、ベースユニット40に対する電力供給、デジタル信号によるデータの送受信に用いられる。なお、電力供給とデータの送受信とを別々の接続部によって行うこともできる。例えば、非接触給電、近距離無線通信、等を併用することもできる。
【0022】
上述した第2筐体41の載置部43の上面431には、第3導入部47が設けられている。この第3導入部47により、第2筐体41は、第2筐体41の外部から空気を導入する複数の第3導入口471を有している。そして、第2筐体41の第2接続面423には、第4導入部48が設けられている。この第4導入部48により、第2筐体41は、第2筐体41から空気を導出するための第3導出口481を有している。
【0023】
ベースユニット40の欠除部411に本体ユニット10を配置することで、第1筐体11の下面112と第2筐体41の載置部43の上面431とが互いに対向するとともに、第1筐体11の第1接続面113と第2筐体41の第2接続面423とが互いに対向する。そして、第1筐体11の第1接続面113に設けられた第1導出口141と、第2筐体41の第2接続面423に設けられた第2導入口441とが互いに接続される。また、第1筐体11の第1接続面113に設けられた第1導入口131と、第2筐体41の第2接続面423に設けられた第3導出口481とが互いに接続される。
【0024】
これにより、CPAP装置1は、全体として略直方体形状となる。そして、第2筐体41の第3導入口471により第2筐体41内に導入された空気が、第2筐体41の第3導出口481と第1筐体11の第1導入口131とを介して第1筐体11内に導入される。そして、第1筐体11内の空気は、第1筐体11の第1導出口141と第2筐体41の第2導入口441を介して第2筐体41内に導入される。そして、第2筐体41の第2導出口451から外部へと導出される。
【0025】
一方、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられていない状態においては、第1筐体11の第1接続面113が外部に向けて露出している。そのため、第1筐体11の第1接続面113に設けられた第1導入口131及び第1導出口141は、外部に向けて開放された状態となる。これにより、本体ユニット10は、第1筐体11の外部から空気を第1導入口131により第1筐体11内に導入し、第1筐体11内の空気を第1導出口141から外部に導出する。つまり、本体ユニット10は、単独でCPAP装置として機能する。
図1~3から明らかであるが、本体ユニット10単独の体積は、本体ユニット10とベースユニット40との合計体積よりも小さい。
【0026】
図4(a)及び
図4(b)は、本実施形態のCPAP装置1の使用状態を模式的に示す。
図4(a)は、第1使用状態を示し、
図4(b)は第2使用状態を示す。
図4(a)に示すように、第1使用状態において、CPAP装置1は、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられた状態で使用される。この場合、ベースユニット40に設けられた第2導出部45にエアチューブ2の第1端部が接続され、エアチューブ2の第2端部がマスク3に接続される。マスク3は、例えば、使用者4の鼻又は口を覆うように装着される。
【0027】
この第1使用状態において、本体ユニット10に設けられた送風機22が駆動されることで、ベースユニット40に設けられた第3導入口471からCPAP装置1の内部に空気が吸入され、CPAP装置1の内部の空気がベースユニット40に設けられた第2導出部45(第2導出口451)から外部へと排出される。これにより、空気がエアチューブ2及びマスク3を介して使用者4の気道に送り込まれる。
【0028】
図4(b)に示すように、第2使用状態において、CPAP装置1は、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられていない、つまり本体ユニット10のみ使用される。この場合、本体ユニット10に設けられた第1導出部14にエアチューブ2の第1端部が接続され、エアチューブ2の第2端部がマスク3に接続される。マスク3は、例えば、使用者4の鼻又は口を覆うように装着される。
【0029】
この第2使用状態において、本体ユニット10に設けられた送風機22が駆動されることで、本体ユニット10に設けられた第1導入部13(第1導入口131)からCPAP装置1の内部に空気が吸入され、CPAP装置1の内部の空気が本体ユニット10に設けられた第1導出部14(第1導出口141)から外部へと排出される。これにより、空気がエアチューブ2及びマスク3を介して使用者4の気道に送り込まれる。
【0030】
次に、本実施形態のCPAP装置1の機能ブロックの構成について説明する。
図5は、本実施形態のCPAP装置1の第1使用状態における機能ブロックの構成を示し、
図6は、CPAP装置1の第2使用状態における機能ブロックの構成を示す。
【0031】
図5及び
図6に示すように、CPAP装置1の本体ユニット10は、第1制御部21、操作部12、送風機22、サイレンサ23、流量センサ24、圧力センサ25、温度センサ26を備えている。ベースユニット40は、加湿機51、サイレンサ52、第2制御部53を備えている。第1制御部21と第2制御部53は、互いにデジタル接続される。これにより第1制御部21と第2制御部53は、互いに通信可能である。
【0032】
本体ユニット10は、第1導入口131と第1導出口141との間の第1流路16を備えている。第1流路16には、送風機22が設けられている。送風機22は、例えば遠心ファン等のファンと、ファンを駆動する駆動モータとを含むことができる。送風機22は、第1筐体11に設けられた送風機室に設置されている。送風機室は、第1流路16の一部であり、この送風機室により送風機22が第1流路16上に配置される。
【0033】
第1流路16には、第1導入口131と送風機22との間に、サイレンサ23が設けられている。サイレンサ23は、送風機22にて発生する騒音(駆動モータの動作音やファンの風切り音等)の第1筐体11の外部への漏れを抑制する。
【0034】
第1流路16には、圧力センサ25、流量センサ24、第1温度センサに該当する温度センサ26が設けられている。圧力センサ25は、送風機22が送り出す空気の圧力を検出するためのセンサである。流量センサ24は、送風機22とエアチューブ2との間における空気の流量を検出するためのセンサである。温度センサ26は、本体ユニット10の外部から導入する空気の温度(第1温度)を検出するためのセンサである。
【0035】
第1制御部21は、主たる構成要素として、プログラムを実行する演算処理部(CPU:Central Processing Unit)、記憶部(ROM:Read Only Memory/RAM:Random Access Memory)、通信機能を有する通信部、送風機22を動作させる駆動部、等を含んでいる。記憶部には、データを不揮発的に格納するROMと、データを揮発的に格納するRAMとが含まれる。記憶部に記憶されるデータは、演算処理部によるプログラムの実行により生成されるデータ、操作部12を介して入力されたデータ、上述した各種のセンサにより測定されたデータ、通信部により外部との間で送受信するデータ、等を含む。
【0036】
演算処理部における処理は、各ハードウェアと演算処理部により実行されるソフトウェアとによって実現される。このようなソフトウェアは、記憶部に予め記憶されている。操作部12の操作の受付け、送風機22の例えば駆動モータの制御、外部との通信、等もソフトウェアによって実現される。
【0037】
本実施形態において、第1制御部21は、流量センサ24及び圧力センサ25によって検出した流量値及び圧力値に基づいて、フィードバック制御やフィードフォワード制御等の制御により、送風機22の回転数を増減し、空気の送り出し量、等を制御するように構成されている。例えば、第1制御部21は、流量センサ24及び圧力センサ25による測定値に基づいて、使用者の呼気状態を判定し、その呼気状態に同期するように、使用者に供給する空気の圧力値を制御する。また、第1制御部21は、温度センサ26により検出した温度値をベースユニット40の第2制御部53に送信する。
【0038】
ベースユニット40の第2筐体41は、第2導入口441と第2導出口451との間の第2流路49と、第3導入口471と第3導出口481との間の第3流路50とを備えている。第2流路49には、加湿機51が設けられている。加湿機51は、第1使用状態において、第2流路49に流れる空気に湿度を加える。これにより、CPAP装置1は、使用者の気道に向けて送り出す空気に適度な水分を付与する。本実施形態において、加湿機51は、加熱式の加湿装置である。
【0039】
図5に示すように、加湿機51は、容器511、ヒータ512、第2温度センサに該当する温度センサ513、を備えている。容器511は、第2筐体41に対して着脱可能に構成されている。容器511は、水を蓄える。容器511は、第2導入口441と連通する導入管を有し、その導入管を介して空気が容器511内に供給される。容器511は、ヒータ512に対応するヒータパッドを有している。ヒータ512は、容器511の水を加熱するものである。温度センサ513は、ヒータ512の温度を検出する。
【0040】
第2制御部53は、上述の第1制御部21と同様に、主たる構成要素として、プログラムを実行する演算処理部(CPU)、記憶部(ROM/RAM)、通信部、加湿機51を動作させる駆動部、等を含んでいる。記憶部には、データを不揮発的に格納するROMと、データを揮発的に格納するRAMとが含まれる。記憶部に記憶されるデータは、演算処理部によるプログラムの実行により生成されるデータ、温度センサ513により測定されたヒータ温度、第1使用状態において通信部により第1制御部21との間で送受信するデータ、等を含む。第1制御部21から受信するデータは、本体ユニット10の温度センサ26により測定された空気の温度値を含む。なお、第1制御部21から受信するデータとして、操作部12を介して入力されたデータが含まれていてもよい。
【0041】
演算処理部における処理は、各ハードウェアと演算処理部により実行されるソフトウェアとによって実現される。このようなソフトウェアは、記憶部に予め記憶されている。加湿機51のヒータ512の制御、第1制御部21との通信、等もソフトウェアによって実現される。
【0042】
本実施形態において、第2制御部53は、第1制御部21から受信した空気の温度に基づいて、容器511の水を加熱するための目標ヒータ温度を設定する。例えば、第2制御部53は、例えば記憶部に記憶されたテーブルや算出式によって目標ヒータ温度を設定するように構成されている。そして、第2制御部53は、温度センサ513によって検出したヒータ温度に基づいて、フィードバック制御やフィードフォワード制御等の制御により、ヒータ温度を目標ヒータ温度とするように、ヒータ512を駆動するように構成されている。そのヒータ512によって容器511内の水温を調整する。そして、ヒータ温度が目標ヒータ温度に達すると、第2制御部53は、ヒータ温度を目標ヒータ温度に保つようにヒータ512を制御する。その後、容器511内の水温は、逃げ熱や蒸発潜熱などを補償するように一定値となる。これにより、容器511内を通過する空気に所望の湿度が与えられる。
【0043】
なお、第2制御部53は、第1制御部21から受信した空気の温度に基づいて、加湿機51を停止する、つまりヒータ512の制御を停止するようにしてもよい。
第3流路50にはサイレンサ52が設けられている。
図7に示すように、サイレンサ52は、ベースユニット40において、本体ユニット10が載置される載置部43に設けられている。このサイレンサ52は、本体ユニット10の大きさ(外形)よりもやや小さい大きさである。サイレンサ52は、その容積が大きくなるにつれて、CPAP装置1の静粛性が高められる。
【0044】
サイレンサ52としては、例えば第3流路50から分岐する共鳴管によって構成される。共鳴管は、蛇行状の流路にて構成される。共鳴管は、ヘルムホルツ共鳴器あるいはレゾネータとも称されるものであり、所定の周波数帯域の騒音を減衰させる機能を有している。共鳴管は、固有振動数によって決まる周波数帯域の音を減衰する。
【0045】
図7に示すように、本体ユニット10は、電源部55を備えている。電源部55には、図示しないACアダプタが接続される。電源部55は、本体ユニット10及びベースユニット40に必要な動作電力を生成する。動作電力は、本体ユニット10の第1接続部15及びベースユニット40の第2接続部46を介してベースユニット40の第2制御部53等に供給される。
【0046】
本実施形態では、本体ユニット10は第1機能、例えば送風機能を有しており、ベースユニット40は、第1機能とは異なる第2機能、例えば加湿機能を有している。ベースユニット40は第1機能を有しておらず、本体ユニット10は第2機能を有していない。
【0047】
次に、上記のCPAP装置1の作用を説明する。
ベースユニット40は、加湿機51と、加湿機51を制御する第2制御部53とを備えている。加湿機51は、容器511、容器511の水を加熱するヒータ512、及びヒータ512のヒータ温度を検出する温度センサ513を備えている。温度センサ513は、第2制御部53に対してアナログ接続される。
【0048】
加湿機51の制御を本体ユニット10で行おうとすると、温度センサ513を第1接続部15及び第2接続部46を介して本体ユニット10の第1制御部21に接続することになり、アナログ信号を伝達する配線が長くなる。これにより、温度センサ513と第1制御部21との間のアナログ信号は、配線に対する外来ノイズや、配線における抵抗と第1接続部15及び第2接続部46における接触抵抗による信号レベルの低下、等の影響を受け易い。
【0049】
これらに対し、本実施形態のCPAP装置1は、ベースユニット40に第2制御部53を備えることで、短距離にて温度センサ513を第2制御部53に接続できる。このため、温度センサ513と第2制御部53とを接続する配線が短いため、接続する配線における抵抗やインダクタンス等の影響を受け難く、ヒータ温度を精度良く測定できる。また、温度センサ513と第2制御部53とを接続する配線等に対するノイズの影響を低減できる。
【0050】
本体ユニット10がベースユニット40に取付けられた第1使用状態において、ベースユニット40の第2制御部53は、ベースユニット40に設けられた加湿機51を制御する。従って、本体ユニット10の第1制御部21は、本体ユニット10に設けられた送風機22の制御、操作部12の操作の受付を行えばよい。従って、第1制御部21にてCPAP装置1の全体を制御するものと比べ、第1制御部21の演算負荷等を低く抑えることができ、発熱を抑制できる。
【0051】
図3に示すように、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられた状態において、本体ユニット10は、ベースユニット40の載置部43の上面431から所定の距離(例えば、1.5mm程度)にて隔てて配置される。これにより、ベースユニット40に設けられた第3導入口471(
図1及び
図2参照)は、ベースユニット40と本体ユニット10との間の隙間を介してCPAP装置1の外部の空間と連通する。したがって、方向が限定されることなく、効率よく吸気が行えるとともに、第3導入口471に対向して本体ユニット10が位置することにより、第3導入口471から外部への騒音の漏れ出しが抑制される。
【0052】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)CPAP装置1は、在宅時においては、ベースユニット40を本体ユニット10に取付けることにより、上述した第1使用状態にてCPAP装置1を使用できる。この第1使用状態において、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられることで、加湿機51を備えたCPAP装置1として、使用者に対して、加湿した空気を供給できる。外泊時等においては、本体ユニット10がベースユニット40に取付けられていない第2使用状態にてCPAP装置1を使用できる。この第2使用状態において、本体ユニット10のみのCPAP装置1となるため、本体ユニット10のみを携行すればよく、高い携行性が得られる。
【0053】
(2)CPAP装置1は、本体ユニット10と、本体ユニット10が取付けられるベースユニット40とを備える。本体ユニット10は、送風機22と、送風機22を制御する第1制御部21とを備える。ベースユニット40は、加湿機51と、加湿機51を制御する第2制御部53とを備えている。加湿機51は、容器511、容器511の水を加熱するヒータ512、及びヒータ512のヒータ温度を検出する温度センサ513を備えている。温度センサ513は、第2制御部53に対してアナログ接続される。
【0054】
本実施形態のCPAP装置1は、ベースユニット40に第2制御部53を備えることで、短距離にて温度センサ513を第2制御部53に接続できる。このため、温度センサ513と第2制御部53とを接続する配線が短いため、接続する配線における抵抗やインダクタンス等の影響を受け難く、ヒータ温度を精度良く測定できる。また、温度センサ513と第2制御部53とを接続する配線等に対するノイズの影響を低減できる。
【0055】
(3)本体ユニット10がベースユニット40に取付けられた第1使用状態において、ベースユニット40の第2制御部53は、ベースユニット40に設けられた加湿機51を制御する。従って、本体ユニット10の第1制御部21は、本体ユニット10に設けられた送風機22の制御、操作部12の操作の受付を行えばよい。従って、第1制御部21にてCPAP装置1の全体を制御するものと比べ、第1制御部21の演算負荷等を低く抑えることができ、発熱を抑制できる。
【0056】
(4)本体ユニット10がベースユニット40に取付けられた第1使用状態において、本体ユニット10は、ベースユニット40の載置部43の上面431から所定の距離(例えば、1.5mm程度)にて隔てて配置される。これにより、ベースユニット40に設けられた第3導入口471(
図1及び
図2参照)は、ベースユニット40と本体ユニット10との間の隙間を介してCPAP装置1の外部の空間と連通する。したがって、方向が限定されることなく、効率よく吸気が行えるとともに、第3導入口471に対向して本体ユニット10が位置することにより、第3導入口471から外部への騒音の漏れ出しを抑制できる。
【0057】
(変更例)
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し、
図8に示すように、ベースユニット40は、第2制御部53が付加機器71と通信可能に構成されてもよい。例えば、CPAP装置1のベースユニット40には、通信部72が設けられる。通信部72は、例えば、CPAP装置1の付加機器71と有線又は無線にて接続され、通信を行うものである。第2制御部53は、付加機器71を用いて使用者の状態を観測し、使用者の状態に応じた制御情報を第1制御部21に送信する。第1制御部21は、制御情報に基づいて、送風機22を制御する。
【0058】
付加機器71としては、例えば撮影装置を利用できる。撮影装置の場合、使用者の状態情報(体勢)を撮影する。撮影データは、通信部72を介してベースユニット40の第2制御部53に送られる。第2制御部53は、撮影データに基づいて、使用者の状態情報を判定し、その判定結果を本体ユニット10の第1制御部21に送信する。第1制御部21は、受信した判定結果、つまり使用者の状態情報に応じて送風機22を制御する。使用者の気道は、使用者の状態情報(仰向け、横向き、等)により、塞がり難かったり、塞がり易かったりする。このため、使用者の状態を状態情報から判定し、その判定結果に基づいて、第1制御部21にて使用者に対して供給する空気の圧力、等を制御し、第2制御部53にて加湿の有無、等を制御する。例えば、気道が塞がり難い姿勢の場合には、供給する陽圧の値を低下させることで、使用者に対する負荷を低減できる。なお、付加機器71としての撮影装置は、ベースユニット40に組付けられてもよく、その場合には通信部72を省略することもできる。
【0059】
また、付加機器71としては、例えば加速度センサを利用できる。加速度センサは、例えば、使用者が使用する布団等に取付けられる。この加速度センサによっても、使用者の状態情報(寝返りの頻度)等を監視し、その監視結果に応じて、CPAP装置1の送風機22、加湿機51を制御する。
【0060】
上記のように、外部装置により得られるデータの処理のプログラムは、記憶部における大きな容量を占有するため、大きな容量の記憶部を必要とする。また、データ処理は、制御部にとって大きな負荷となる。このため、ベースユニット40の第2制御部53にてこれらの処理を行うことにより、本体ユニット10の第1制御部21の負荷や記憶部の容量を低減できる。
【0061】
・上記実施形態に対し、空気の温度を検出する温度センサ26を、ベースユニット40に設けるようにしてもよい。ベースユニット40に設けられる温度センサ26は、第2制御部53とアナログ接続される。これにより、第1制御部21と第2制御部53との間の通信が少なくなり、第1制御部21における処理負荷をより低減できる。
【符号の説明】
【0062】
1…CPAP装置、2…チューブ、3…マスク、10…本体ユニット(第1ユニット)、40…ベースユニット(第2ユニット)、21…第1制御部、22…送風機、131…第1導入口、141…第1導出口、441…第2導入口、451…第2導出口、471…第3導入口、481…第3導出口、51…加湿機、53…第2制御部。