IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7448098情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム
<>
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図1
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図2
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図3
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図4
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図5
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図6
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図7
  • 特許-情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240305BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023541128
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2021036861
(87)【国際公開番号】W WO2023058124
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋口 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】井上 淳
(72)【発明者】
【氏名】井澤 哲美
(72)【発明者】
【氏名】塚原 整
(72)【発明者】
【氏名】若土 剛之
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-066956(JP,A)
【文献】国際公開第2021/186762(WO,A1)
【文献】特開2003-132473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備における問題を検出する問題検出部と、
前記問題検出部が検出した問題について、収集を要する第1不足情報を検出する不足情報検出部と、
前記不足情報検出部が検出した前記第1不足情報についての質問を投げかける第1利用者を前記設備の利用者から選定し、前記第1利用者への質問のタイミングを決定する発話計画部と、
前記発話計画部が選定した前記第1利用者への前記第1不足情報についての質問の発話内容を生成する発話内容生成部と、
前記発話内容生成部が生成した発話内容を受けた前記第1利用者の回答から、前記第1不足情報についての情報を抽出する抽出部と、
を備える情報収集システム。
【請求項2】
前記発話計画部は、前記設備の利用履歴に基づいて前記第1利用者を選定する
請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記発話計画部は、前記設備の利用頻度に基づいて前記第1利用者を選定する
請求項2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記発話計画部は、前記設備の直近の利用状況に基づいて前記第1利用者を選定する
請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項5】
前記発話計画部は、予め設定された範囲内において前記設備の直近の利用時刻に近いタイミングで質問できる利用者を前記第1利用者として選定する
請求項4に記載の情報収集システム。
【請求項6】
前記抽出部が抽出した情報についての信頼性を判定する判定部
を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報収集システム。
【請求項7】
前記設備の利用者からの回答の質に基づいて当該利用者の回答者としての評価点を算出する評価部
を備え、
前記発話計画部は、前記評価部が算出する評価点に基づいて前記第1利用者を選定する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の情報収集システム。
【請求項8】
前記第1利用者から回答が得られた場合に、前記第1利用者に報酬を付与する報酬付与部
を備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の情報収集システム。
【請求項9】
前記不足情報検出部は、前記第1不足情報について前記抽出部が抽出した情報に基づいて、さらに収集を要する第2不足情報を検出し、
前記発話計画部は、前記第2不足情報についての質問を投げかける第2利用者を前記設備の利用者から選定し、前記第2利用者への質問のタイミングを決定し、
前記発話内容生成部は、前記第2利用者への前記第2不足情報についての質問の発話内容を生成し、
前記抽出部は、前記第2利用者の回答から、前記第2不足情報についての情報を抽出する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報収集システム。
【請求項10】
前記発話計画部は、前記第2利用者として前記第1利用者と異なる利用者を選定する
請求項9に記載の情報収集システム。
【請求項11】
前記発話計画部は、予め設定された範囲内において前記第1利用者からの回答時刻に近いタイミングで前記第1利用者に前記第2不足情報についての質問が可能な場合に、前記第2利用者として前記第1利用者と同一の利用者を選定する
請求項9に記載の情報収集システム。
【請求項12】
前記設備であり、複数の階床の間で利用者を輸送するエレベーターと、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の情報収集システムと、
を備えるエレベーターシステム。
【請求項13】
前記設備であり、利用者の認証を行う認証装置と、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の情報収集システムと、
を備える認証システム。
【請求項14】
コンピュータが、
設備における問題を検出する問題検出ステップと、
前記問題検出ステップにおいて検出した問題について、収集を要する第1不足情報を検出する不足情報検出ステップと、
前記不足情報検出ステップにおいて検出した前記第1不足情報についての質問を投げかける第1利用者を前記設備の利用者から選定し、前記第1利用者への質問のタイミングを決定する発話計画ステップと、
前記発話計画ステップにおいて選定した前記第1利用者への前記第1不足情報についての質問の発話内容を生成する発話内容生成ステップと、
前記発話内容生成ステップにおいて生成した発話内容を受けた前記第1利用者の回答から、前記第1不足情報についての情報を抽出する抽出ステップと、
実行する情報収集方法。
【請求項15】
情報収集システムに、
設備における問題を検出する問題検出ステップと、
前記問題検出ステップにおいて検出した問題について、収集を要する第1不足情報を検出する不足情報検出ステップと、
前記不足情報検出ステップにおいて検出した前記第1不足情報についての質問を投げかける第1利用者を前記設備の利用者から選定し、前記第1利用者への質問のタイミングを決定する発話計画ステップと、
前記発話計画ステップにおいて選定した前記第1利用者への前記第1不足情報についての質問の発話内容を生成する発話内容生成ステップと、
前記発話内容生成ステップにおいて生成した発話内容を受けた前記第1利用者の回答から、前記第1不足情報についての情報を抽出する抽出ステップと、
を実行させる情報収集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターに関する必要な伝達事項を伝えるシステムの例を開示する。当該システムにおいて、利用者からの入力情報に応じた送信メッセージが、当該入力情報に応じた送信先に自動的に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2020-170539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムは、利用者からの問い合わせを起点としてエレベーターの情報を取得する。このため、エレベーターなどの設備に問題が発生した場合においても、当該システムは、当該問題に関する情報を受動的にしか収集できない。
【0005】
本開示は、設備の問題に関する情報を能動的に収集できる情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、および情報収集プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報収集システムは、設備における問題を検出する問題検出部と、前記問題検出部が検出した問題について、収集を要する第1不足情報を検出する不足情報検出部と、前記不足情報検出部が検出した前記第1不足情報についての質問を投げかける第1利用者を前記設備の利用者から選定し、前記第1利用者への質問のタイミングを決定する発話計画部と、前記発話計画部が選定した前記第1利用者への前記第1不足情報についての質問の発話内容を生成する発話内容生成部と、前記発話内容生成部が生成した発話内容を受けた前記第1利用者の回答から、前記第1不足情報についての情報を抽出する抽出部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムは、前記設備であり、複数の階床の間で利用者を輸送するエレベーターと、上記の情報収集システムと、を備える。
【0008】
本開示に係る認証システムは、前記設備であり、利用者の認証を行う認証装置と、上記の情報収集システムと、を備える。
【0009】
本開示に係る情報収集方法は、コンピュータが、設備における問題を検出する問題検出ステップと、前記問題検出ステップにおいて検出した問題について、収集を要する第1不足情報を検出する不足情報検出ステップと、前記不足情報検出ステップにおいて検出した前記第1不足情報についての質問を投げかける第1利用者を前記設備の利用者から選定し、前記第1利用者への質問のタイミングを決定する発話計画ステップと、前記発話計画ステップにおいて選定した前記第1利用者への前記第1不足情報についての質問の発話内容を生成する発話内容生成ステップと、前記発話内容生成ステップにおいて生成した発話内容を受けた前記第1利用者の回答から、前記第1不足情報についての情報を抽出する抽出ステップと、を実行する方法である
【0010】
本開示に係る情報収集プログラムは、情報収集システムに、設備における問題を検出する問題検出ステップと、前記問題検出ステップにおいて検出した問題について、収集を要する第1不足情報を検出する不足情報検出ステップと、前記不足情報検出ステップにおいて検出した前記第1不足情報についての質問を投げかける第1利用者を前記設備の利用者から選定し、前記第1利用者への質問のタイミングを決定する発話計画ステップと、前記発話計画ステップにおいて選定した前記第1利用者への前記第1不足情報についての質問の発話内容を生成する発話内容生成ステップと、前記発話内容生成ステップにおいて生成した発話内容を受けた前記第1利用者の回答から、前記第1不足情報についての情報を抽出する抽出ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る情報収集システム、エレベーターシステム、認証システム、情報収集方法、または情報収集プログラムによれば、設備の問題に関する情報を能動的に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る情報収集システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る情報収集装置の構成図である。
図3】実施の形態1に係る情報収集システムによる情報収集の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る情報収集システムによる情報収集の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る情報収集システムの動作の例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る情報収集システムの動作の例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係る情報収集システムの主要部のハードウェア構成図である。
図8】実施の形態2に係る情報収集装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る情報収集システム1の構成図である。
【0015】
情報収集システム1は、施設に適用される。施設は、例えば住宅を含む居住施設、商業施設、宿泊施設、オフィスビル、公益施設、または複合施設などである。施設の利用者は、例えば施設の居住者、訪問客、宿泊客、または従業者などを含む。施設は、屋内施設または屋外施設のいずれであってもよい。施設は、例えば1つまたは複数の建物を含む。この例において、施設は、複数の階床を有する建物を含む。情報収集システム1は、施設に設けられた設備2に問題が発生するときなどに、当該問題に関する情報を収集するシステムである。設備2は、施設の利用者の少なくとも一部に利用される。すなわち、施設の利用者は、当該施設に設けられた設備2の利用者を含む。
【0016】
施設に設けられた設備2において、観測装置3が設けられる。観測装置3は、設備2または設備2を利用する利用者の状態の情報を取得するセンサー、スイッチ、カメラ、またはマイクなどである。観測装置3は、設備2の利用者による操作を受け付けるボタン、スイッチ、またはタッチパネルなどの入力装置を含む。
【0017】
この例において、施設の利用者の少なくとも一部は、携帯端末4を所持している。携帯端末4は、例えばスマートフォンまたはウェアラブルデバイスなどの可搬な情報端末である。携帯端末4は、所持している利用者への情報の提示、および当該利用者による情報の入力操作の受付の機能を搭載する。携帯端末4における情報の入出力は、例えば文字または画像などの視覚情報によるもの、および音声などの聴覚情報によるものを含む。携帯端末4は、例えば電波および可視光などを含む電磁波または超音波などを通じて外部の機器との間で情報を通信する無線通信の機能を搭載する。
【0018】
この例において、設備2は、施設の利用者を建物の複数の階床の間で輸送するエレベーターである。エレベーターは、利用者が乗り込むかご、およびかごを複数の階床の間で走行させる駆動装置を含む。施設において、このようなエレベーターを複数含むエレベーターシステムが適用されていてもよい。エレベーターにおいて、利用者の呼びを登録する図示されない呼び登録システムが適用される。呼び登録システムは、施設の建物の各々の階床における乗場に設けられた乗場操作盤による乗場呼び、およびかごに設けられたかご操作盤によるかご呼びの操作などを受け付ける。呼び登録システムは、利用者が所持する携帯端末4による行先階を指定する呼びなどの操作を受け付ける。このとき、呼び登録システムは、携帯端末4などから利用者を識別する情報を受け付ける。呼び登録システムは、受け付けた情報に基づいて、利用者の呼びの登録などを行う。
【0019】
情報収集システム1は、情報収集装置5を備える。情報収集装置5は、情報収集システム1における情報処理を担う装置である。この例において、情報収集システム1は、設備2に設けられた観測装置3を含む。あるいは、情報収集システム1は、情報収集装置5のみからなるシステムであってもよい。例えば、設備2に設けられた観測装置3は、情報収集システム1の外部装置であってもよい。情報収集システム1は、エレベーターの呼び登録システムを含んでもよい。
【0020】
情報収集装置5は、例えば1つまたは複数のサーバ装置などからなる。情報収集装置5は、例えば施設に配置される。情報収集装置5が複数のサーバ装置からなるときに、当該複数のサーバ装置の一部または全部は、施設の外部の建物を含む互いに異なる建物に配置されていてもよい。このとき、互いに異なる建物に配置されているサーバ装置の各々は、例えばインターネットまたは電話回線網などの通信網を通じて通信を行う。情報収集装置5の機能の一部または全部は、クラウドサービス上の記憶または処理のリソースなどによって実装されるものであってもよい。情報収集システム1の動作は、情報収集装置5などの情報収集システム1を構成する装置にインストールされているプログラムなどに基づいて実行される。情報収集装置5は、設備2に設けられた観測装置3から情報を取得する機能を搭載する。情報収集装置5は、携帯端末4などを含む外部の装置との通信を行う機能を搭載する。
【0021】
情報収集装置5は、対話インターフェイスを通じた利用者との対話によって、設備2の問題に関する情報を収集する。この例において、対話インターフェイスは、例えば携帯端末4を通じた文字列による対話型のチャットシステムである。あるいは、対話インターフェイスは、例えば携帯端末4または設備2に設けられたスマートスピーカもしくはインターフォンなどの通話装置を通じた、自動応答型の音声通話システムなどを含んでもよい。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る情報収集装置5の構成図である。
【0023】
情報収集装置5は、対話部6と、入力部7と、制御部8と、を備える。
【0024】
対話部6は、対話インターフェイスを通じた利用者との対話についての通信などを行う部分である。
【0025】
入力部7は、設備2に設けられた観測装置3などから設備2および設備2の利用者の状態の情報を取得する部分である。入力部7は、設備情報取得部9と、利用者情報取得部10と、を備える。
【0026】
設備情報取得部9は、設備2の状態の情報を取得する部分である。設備情報取得部9は、設備2に設けられた観測装置3などから、センサーなどの計測値、静止画像もしくは動画像などの画像データ、または音声データなどの情報を取得する。設備情報取得部9は、取得した情報に基づいて、設備2の利用者数、設備2の動作内容、異常検知の有無などの設備2の状態の解釈を行う。設備2がエレベーターのかごなどの移動する部分を含む場合に、設備情報取得部9は、当該移動する部分の位置などの情報の解釈を行ってもよい。
【0027】
利用者情報取得部10は、設備2の利用者の各々の状態の情報を取得する部分である。利用者情報取得部10は、設備2に設けられた観測装置3など、または利用者が所持する携帯端末4などから、センサーなどの計測値、静止画像もしくは動画像などの画像データ、または音声データなどの情報を取得する。利用者情報取得部10は、利用者を特定する利用者ID(IDentifier)、施設における利用者の位置情報などの情報を取得してもよい。利用者情報取得部10は、取得した情報に基づいて、利用者の位置、利用者が利用する設備2、および利用者の設備2の現在の利用状況などの利用者の状態の解釈を行う。
【0028】
利用者の設備2の利用状況は、例えば利用者が設備2を利用するごとに解釈される。例えば設備2がエレベーターである場合に、利用者の利用状況は、エレベーターの一回の利用ごとに解釈される。このとき、利用状況は、例えば利用者がかごへの乗車を乗場で待機中であるか否か、待機中の場合に待機している乗場の階床などの情報を含む。また、利用状況は、例えば利用者がかごに乗車中であるか否かの情報を含む。施設において複数のエレベーターが設けられている場合に、利用状況は、利用者がどのエレベーターのかごに乗車中であるかの情報を含んでもよい。また、利用状況は、例えばエレベーターがかごから降車した階床、およびかごから降車した時刻などの情報を含む。
【0029】
制御部8は、対話の相手となる利用者、対話のタイミング、および対話の内容などを含む対話についての制御を行う部分である。制御部8は、設備情報記憶部11と、利用者情報記憶部12と、必要情報記憶部13と、問題検出部14と、不足情報検出部15と、発話計画部16と、発話内容記憶部17と、発話内容生成部18と、対話履歴記憶部19と、抽出部20と、を備える。
【0030】
設備情報記憶部11は、設備情報取得部9が解釈した設備2の状態の情報を記憶する部分である。この例において、設備情報記憶部11は、設備2の状態の情報を蓄積した稼働履歴を記憶している。設備2が現在利用されている場合に、設備情報記憶部11は、現在の設備2の状態を記憶している。
【0031】
利用者情報記憶部12は、利用者情報取得部10が解釈した各々の利用者の状態の情報を記憶する部分である。この例において、利用者情報記憶部12は、各々の利用者の利用状況などの情報を蓄積した利用履歴を記憶している。利用者が設備2を現在利用している場合に、利用者情報記憶部12は、利用者の現在の利用状況を記憶していてもよい。すなわち、利用者情報記憶部12は、利用者の直近の利用状況を記憶する。利用者が設備2を現在利用していない場合に、直近の利用状況は、例えば利用履歴に蓄積された利用状況のうち最も新しい利用時刻の情報などである。利用者が設備2を現在利用している場合に、直近の利用状況は、現在の利用状況などである。
【0032】
必要情報記憶部13は、設備2に発生しうる問題ごとに、発生したときの対処を行う際に確認が必要な情報を記憶する部分である。必要情報記憶部13は、例えば設備2であるエレベーターにおいて異音が発生するという問題について、確認が必要な情報として、異音の種類、発生箇所、発生時のかごの走行方向などの情報を記憶する。
【0033】
問題検出部14は、現在の設備2の状態に基づいて、設備2における問題を検出する部分である。問題検出部14は、設備2の状態を設備情報記憶部11から読み込む。問題検出部14は、読み込んだ情報などに基づいて問題の発生を検出する。なお、問題検出部14は、例えば問題の発生の予兆があるときに、当該問題が顕在化する前に当該問題を検出してもよい。また、問題検出部14は、例えば問題の発生が予測されるときに、当該問題が顕在化する前に当該問題を検出してもよい。また、問題検出部14は、例えば自然災害などの設備2に問題が生じうる事象が発生するときに、当該問題が顕在化する前に当該問題を検出してもよい。
【0034】
不足情報検出部15は、問題検出部14が検出した問題について、収集を要する不足情報を検出する部分である。不足情報検出部15は、問題検出部14が検出した問題について、確認が必要な情報として必要情報記憶部13が記憶している情報を参照する。不足情報検出部15は、確認が必要な情報のうち、設備情報記憶部11が記憶している設備2の状態の情報などに基づいて問題の対処に十分な情報が取得できなかった情報を、収集を要する不足情報として検出する。ここで、問題が検出されてから最初に検出される不足情報は、第1不足情報の例である。また、不足情報検出部15は、不足情報についての情報を収集する対話の相手とする利用者の選定に用いられる問い合わせ条件を生成する。不足情報検出部15は、セッションIDを発行する。セッションIDは、利用者との対話を特定する情報である。セッションIDは、例えば検出された問題ごとに発行される。あるいは、セッションIDは、不足情報ごとに発行されてもよい。あるいは、セッションIDは、対話を行う利用者ごとに発行されてもよい。
【0035】
不足情報検出部15は、例えば問題ごとに予め設定されたテンプレートと、設備2の状態の情報などの取得された情報とを突き合わせることによって不足情報を検出する。例えばエレベーターで異音が発生するという問題について、「どんな音か」、「何階で発生したか」、「発生したときのかごの走行方向は上りか、下りか」などのテンプレートが必要情報記憶部13に記憶されている。例えば取得された情報によって「何階で発生したか」および「発生したときのかごの走行方向は上りか、下りか」についての情報が取得できなかった場合に、不足情報検出部15は、これらの情報を不足情報として検出する。
【0036】
このとき、検出した不足情報は異音の発生箇所およびかごの走行方向の情報を含むので、不足情報検出部15は、不足情報についての問い合わせ条件を、かごの走行階床および走行方向などの条件として生成する。不足情報検出部15は、異音の発生箇所およびかごの走行方向についての情報が全く取得できなかった場合などに、全階床ならびに上りおよび下りの両走行方向を問い合わせ条件として生成する。不足情報検出部15は、異音の発生箇所として「2階から4階までの間」などの範囲を特定できている場合に、当該範囲の階床を問い合わせ条件として生成する。
【0037】
なお、不足情報検出部15は、異音の発生箇所およびかごの走行方向などの情報がある程度特定できている場合においても、情報の正確性を高めるためにこれらの情報を不足情報として検出してもよい。例えば、異音の発生箇所が「2階と3階の間」、かごの走行方向が「上り」であると推定できる場合などに、不足情報検出部15は、問い合わせ条件として「2階と3階の間」かつ「上り」の条件を生成する。
【0038】
発話計画部16は、不足情報検出部15が検出した不足情報についての情報を収集するための利用者との対話を計画する部分である。発話計画部16は、対話の相手として不足情報についての質問を投げかける利用者の選定、および当該利用者への質問のタイミングの決定を行う。ここで、第1不足情報についての質問を投げかける利用者として選定される利用者は、第1利用者の例である。発話計画部16は、不足情報検出部15からセッションIDの情報を取得する。発話計画部16は、不足情報検出部15が検出した不足情報、および不足情報検出部15が生成した問い合わせ条件などに基づいて、利用者の選定およびタイミングの決定などの処理を行う。
【0039】
例えば、問い合わせ条件として「2階と3階の間」かつ「上り」の条件が生成されたときに、発話計画部16は、2階と3階の間を上り方向で利用する利用者を対話の相手として選定する。
【0040】
発話計画部16は、例えば1階または2階の乗場において乗場操作盤のボタンを操作して上方への呼びを登録した利用者を、対話の相手として選定する。あるいは、発話計画部16は、例えば1階または2階の乗場において上方に走行するかごを待機している利用者を、対話の相手として選定してもよい。ここで、当該利用者は、例えば乗場に設けられたカメラが撮影する画像に基づいて特定されている。特定された利用者の情報は、利用者情報記憶部12に記憶されている。また、特定された利用者と対話を行う際に必要となる携帯端末4のアクセス情報は、例えば利用者情報記憶部12などに利用者ごとに予め登録されている。あるいは、発話計画部16は、例えば1階または2階から3階またはより上方の階床を行先階とする呼びを携帯端末4の操作によって登録した利用者を、対話の相手として選定してもよい。
【0041】
発話計画部16は、選定した利用者への質問のタイミングを決定する。発話計画部16は、例えば、利用者の設備2の現在の利用状況に基づいて、不足情報についてのより正確な情報を利用者が把握していると推定されるタイミングを質問のタイミングとして決定する。発話計画部16は、例えば利用者が設備2の利用直後である場合などに、「今」を質問のタイミングとして決定する。例えば設備2がエレベーターである場合に、発話計画部16は、かごから降車した直後の利用者を選定するときに、「今」を質問のタイミングとして決定する。あるいは、発話計画部16は、例えば利用者が設備2の利用直前、または設備2の利用中である場合に、「設備の利用直後」を質問のタイミングとして決定する。例えば設備2がエレベーターである場合に、発話計画部16は、かごに乗車する前、または乗車中の利用者を選定するときに、「設備の利用直後」である降車直後を質問のタイミングとして決定する。
【0042】
なお、発話計画部16は、有効な質問が可能なタイミングによって利用者の選定を行ってもよい。例えば、発話計画部16は、問い合わせ条件に合致する利用者のうち、問題の発生の直後に質問が可能な利用者を対話の相手として選定する。発話計画部16は、例えば、問題が発生してから予め設定した時間が経過するまでの期間を、質問が可能な期間として判定する。発話計画部16は、利用者の直近の設備2の利用時刻に近いタイミングで質問できる場合、すなわち、直近の利用時刻から予め設定された時間が経過するまでの期間と、質問が可能な期間とが重なりを持つ場合に、当該利用者を対話の相手として選定する。このとき、発話計画部16は、これらの重なりの期間に含まれるタイミングを質問のタイミングとして決定する。ここで、直近の利用時刻から予め設定された時間が経過するまでの期間におけるタイミングは、予め設定された範囲内において設備2の直近の利用時刻に近いタイミングの例である。
【0043】
発話内容記憶部17は、利用者への質問の発話内容の生成に用いられる情報を記憶する部分である。発話内容は、利用者に送信される質問の文面、または利用者に対して読み上げられる質問の文面などである。発話内容記憶部17は、例えば発話内容の文面のテンプレートなどを記憶する。
【0044】
発話内容生成部18は、利用者への質問の発話内容を生成する部分である。発話内容生成部18は、不足情報検出部15によって検出された不足情報、セッションID、および対話の相手として選定された利用者の利用者IDなどの情報を、発話計画部16から取得する。発話内容生成部18は、取得した情報に基づいて、発話内容を生成する。発話内容生成部18は、例えばエレベーターを利用した利用者に対して、「2階から3階の間で音が鳴りませんでしたか?」などの発話内容を生成する。発話内容生成部18は、セッションID、利用者ID、および生成した発話内容などの情報を対話部6および対話履歴記憶部19に出力する。
【0045】
対話部6は、入力されたセッションID、および対話の相手として選定された利用者の利用者IDなどに基づいて、入力された発話内容の対話を当該利用者に対して行うことで、不足情報についての質問を当該利用者に投げかける。対話部6は、質問を投げかけた利用者からの回答を受け付ける。対話部6は、受け付けた回答内容を、セッションIDおよび利用者IDとともに対話履歴記憶部19に出力する。回答内容は、例えば利用者から送信される回答の文面、または利用者が口頭で答えた回答の音声などである。
【0046】
対話履歴記憶部19は、情報収集システム1と利用者との対話履歴を記憶する部分である。対話履歴記憶部19は、例えば発話内容および回答内容を対話履歴として蓄積して記憶する。
【0047】
抽出部20は、対話部6から入力された回答内容を含む対話履歴から、不足情報についての情報を抽出する部分である。抽出部20は、不足情報について回答内容などから抽出した情報を、不足情報検出部15に出力する。
【0048】
不足情報検出部15は、問題検出部14が検出した問題について確認が必要な情報のうち、設備2の状態の情報および利用者の回答内容から抽出された情報などに基づいて問題の対処に十分な情報が取得できなかった情報を、さらに収集を要する不足情報として検出する。ここで、利用者から回答を受けた後にさらに検出される不足情報は、第1不足情報または第2不足情報の例である。
【0049】
発話計画部16は、不足情報検出部15がさらに検出した不足情報についての情報を収集するための利用者との対話を計画する。発話計画部16は、対話の相手として不足情報についての質問を投げかける利用者の選定、および当該利用者への質問のタイミングの決定を行う。ここで、第2不足情報についての質問を投げかける利用者として選定される利用者は、第2利用者の例である。
【0050】
発話計画部16は、例えば、直前に質問を投げかけた利用者と異なる利用者を、対話の相手として選定する。あるいは、発話計画部16は、例えば直前に質問を投げかけた利用者の回答から予め設定された時間が経過するまでの期間において当該利用者に不足情報についての質問がふたたび可能な場合に、当該利用者を対話の相手としてふたたび選定してもよい。ここで、利用者の回答から予め設定された時間が経過するまでの期間におけるタイミングは、予め設定された範囲内において当該利用者からの回答時刻に近いタイミングの例である。
【0051】
発話内容生成部18は、対話履歴などに基づいて発話内容を調整してもよい。例えば、対話履歴に基づいて回答履歴があると判定できる利用者に対して、発話内容生成部18は、「前回はありがとうございます。」または「いつもありがとうございます。」などのメッセージを発話内容に含めてもよい。
【0052】
続いて、図3および図4を用いて、情報収集システム1の機能の例を説明する。
図3および図4は、実施の形態1に係る情報収集システム1による情報収集の例を示す図である。
【0053】
情報収集装置5の問題検出部14は、観測装置3などからの情報に基づいて、問題の発生を検出する。この例において、検出された問題は、エレベーターにおける異音の発生である。検出された問題について、不足情報検出部15は、不足情報を検出する。この例において検出された不足情報は、異音の種類である。異音の発生箇所は、2階および3階の間に特定されている。
【0054】
発話計画部16は、複数の利用者A、利用者B、利用者Cのうち、1階から上方に向けてエレベーターを利用しようとしている利用者Aを、対話の相手として選定する。発話計画部16は、利用者Aに質問を投げかけるタイミングを、例えば利用者Aがかごを降車した直後のタイミングに決定する。発話内容生成部18は、利用者Aに投げかける質問の発話内容を生成する。
【0055】
図3において、情報収集システム1および利用者Aの間の対話を表す、利用者Aが所持する携帯端末4の表示の例が示される。
【0056】
対話部6は、利用者Aがかごを降車した直後のタイミングに、発話内容生成部18が生成した発話内容を利用者Aに送信する。この例において、対話部6は、「2階から3階の間で何か音が鳴りませんでしたか?」などのメッセージを利用者Aに送信する。利用者Aは、情報収集システム1からの質問に対して、回答を入力する。この例において、利用者Aは、「ピー、という音が聞こえました」などのメッセージを入力する。対話部6は、利用者Aから受け付けた回答内容を対話履歴記憶部19に出力する。
【0057】
抽出部20は、対話履歴記憶部19に記憶された利用者Aの回答内容から不足情報についての情報を抽出する。抽出部20は、2階から3階の間で「ピー」という音が鳴ったという情報を抽出する。不足情報検出部15は、「ピー」という音が鳴ったという情報から、異音の種類を「ピー」という機械音または電子音に絞り込む。不足情報検出部15は、さらに収集を要する不足情報として、「ピー」という音が電子音であったか否かの情報を検出する。
【0058】
発話計画部16は、利用者A、利用者B、利用者Cのうち、一度回答を受け付けた利用者Aの他の利用者から対話の相手を選定する。このとき、発話内容生成部18は、利用者Aとの対話を終了する発話内容を生成する。対話部6は、発話内容が生成した「ありがとうございます!」などのメッセージを利用者Aに送信し、利用者Aとの対話を終了する。
【0059】
発話計画部16は、2階および3階の間を通過した後に5階で降車した直後の利用者Bを、対話の相手として選定する。発話計画部16は、利用者Bに質問を投げかけるタイミングを、「今」のタイミングに決定する。発話内容生成部18は、利用者Bに投げかける質問の発話内容を生成する。このときの発話内容は、例えば不足情報をより絞り込むような質問の文面として生成される。
【0060】
図4において、情報収集システム1および利用者Bの間の対話を表す、利用者Bが所持する携帯端末4の表示の例が示される。
【0061】
対話部6は、発話内容生成部18が発話内容を生成した後、速やかに、当該発話内容を利用者Bに送信する。この例において、対話部6は、「2階から3階の間でピーという電子音が鳴りませんでしたか?」などのメッセージを利用者Bに送信する。利用者Bは、情報収集システム1からの質問に対して、回答を入力する。この例において、利用者Bは、「もっと機械っぽい音だったよ」などのメッセージを入力する。対話部6は、利用者Bから受け付けた回答内容を対話履歴記憶部19に出力する。
【0062】
抽出部20は、対話履歴記憶部19に記憶された利用者Bの回答内容から不足情報についての情報を抽出する。抽出部20は、2階から3階の間で機械音が鳴ったという情報を抽出する。不足情報検出部15は、機械音が鳴ったという情報から、異音の種類を「ピー」という機械音に特定する。不足情報検出部15は、不足情報についての情報は収集されたと判定する。このとき、情報収集システム1は、検出された問題についての情報の収集を終了する。発話内容生成部18は、利用者Bとの対話を終了する発話内容を生成する。対話部6は、発話内容が生成した「ありがとうございます!」などのメッセージを利用者Bに送信し、利用者Bとの対話を終了する。
【0063】
続いて、図5および図6を用いて、情報収集システム1の動作の例を説明する。
図5および図6は、実施の形態1に係る情報収集システム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0064】
図5において、利用者との対話による情報の収集に係る情報収集装置5の処理の例が示される。
【0065】
ステップS1において、情報収集装置5は、問題検出部14が問題を検出したかを判定する。判定結果がNoの場合に、情報収集装置5の処理は、ふたたびステップS1に進む。判定結果がYesの場合に、情報収集装置5の処理は、ステップS2に進む。
【0066】
ステップS2において、不足情報検出部15は、観測装置3などによって取得された情報、および利用者との対話履歴などによって収集された情報に基づく不足情報の検出を試みる。情報収集装置5は、不足情報検出部15が不足情報を検出したかを判定する。判定結果がYesの場合に、情報収集装置5の処理は、ステップS3に進む。判定結果がNoの場合に、情報収集装置5は、検出された問題の対処に必要な情報は揃っていると判定する。その後、情報収集装置5は、情報の収集に係る処理を終了する。
【0067】
ステップS3において、情報収集装置5は、発話計画の処理を行う。発話計画の処理は、対話の相手となる利用者の選定、および当該利用者への質問のタイミングの決定などの処理を含む。その後、情報収集装置5の処理は、ステップS4に進む。
【0068】
ステップS4において、発話内容生成部18は、不足情報についての情報を収集する質問の発話内容を生成する。その後、情報収集装置5の処理は、ステップS5に進む。
【0069】
ステップS5において、対話部6は、対話の相手として選定された利用者に対して生成された発話内容を、当該利用者に送信する。発話計画部16が複数の利用者を選定している場合に、対話部6は、各々の利用者に対して発話内容を送信する。その後、情報収集装置5の処理は、ステップS6に進む。
【0070】
ステップS6において、対話部6は、利用者からの回答内容を受け付ける。複数の利用者に質問を送信している場合に、対話部6は、各々の利用者からの回答内容を受け付ける。対話部6は、受け付けた回答内容を対話履歴記憶部19に対話履歴として記憶させる。抽出部20は、対話履歴に基づいて、不足情報についての情報を抽出する。その後、情報収集装置5の処理は、ステップS2に進む。
【0071】
図6において、図5のステップS3における発話計画に係る情報収集装置5の処理の例が示される。
【0072】
ステップS31において、不足情報検出部15は、検出した不足情報についての問い合わせ条件を生成する。その後、情報収集装置5の処理は、ステップS32に進む。
【0073】
ステップS32において、発話計画部16は、問い合わせ条件に合致する利用者を抽出する。発話計画部16は、問い合わせ条件に合致することが予測される利用者をあわせて抽出してもよい。その後、情報収集装置5の処理は、ステップS33に進む。
【0074】
ステップS33において、発話計画部16は、ステップS32で抽出した利用者の各々への質問のタイミングを決定する。その後、情報収集装置5の処理は、ステップS34に進む。
【0075】
ステップS34において、発話計画部16は、ステップS32で抽出した利用者のうち、ステップS33で決定した質問のタイミングが最も早い利用者を、対話の相手として選定する。対話の相手として複数の利用者を選定する場合に、発話計画部16は、質問のタイミングが早い利用者から優先的に対話の相手として選定する。その後、発話計画に係る情報収集装置5の処理は、終了する。
【0076】
以上に説明したように、実施の形態1に係る情報収集システム1は、問題検出部14と、不足情報検出部15と、発話計画部16と、発話内容生成部18と、抽出部20と、を備える。問題検出部14は、設備2における問題を検出する。不足情報検出部15は、問題検出部14が検出した問題について、収集を要する不足情報を検出する。発話計画部16は、不足情報検出部15が検出した不足情報についての質問を投げかける利用者を設備2の利用者から選定する。発話計画部16は、当該利用者への質問のタイミングを決定する。発話内容生成部18は、発話計画部16が選定した利用者への不足情報についての質問の発話内容を生成する。抽出部20は、発話内容生成部18が生成した発話内容を受けた利用者の回答から、不足情報についての情報を抽出する。
また、実施の形態1に係る情報収集方法は、問題検出ステップと、不足情報検出ステップと、発話計画ステップと、発話内容生成ステップと、抽出ステップと、を備える。また、実施の形態1に係る情報収集プログラムは、情報収集システム1に、問題検出ステップと、不足情報検出ステップと、発話計画ステップと、発話内容生成ステップと、抽出ステップと、を実行させる。問題検出ステップは、設備2における問題を検出するステップである。不足情報検出ステップは、問題検出ステップにおいて検出した問題について、収集を要する不足情報を検出するステップである。発話計画ステップは、不足情報検出ステップにおいて検出した不足情報についての質問を投げかける利用者を設備2の利用者から選定し、当該利用者への質問のタイミングを決定するステップである。発話内容生成ステップは、発話計画ステップにおいて選定した利用者への不足情報についての質問の発話内容を生成するステップである。抽出ステップは、発話内容生成ステップにおいて生成した発話内容を受けた利用者の回答から、不足情報についての情報を抽出するステップである。
【0077】
このような構成により、情報収集システム1は、施設に設けられた設備2の問題を検出するときに選定した利用者に質問を投げかけられるので、設備2の問題に関する情報を能動的に収集できるようになる。これにより、設備2の問題への対処に必要な情報がより速やかに収集されるようになるので、問題への対処の確実さおよび迅速さがより高められる。また、利用者との対話によって情報を収集するので、より柔軟な情報の収集ができるようになる。また、対話形式で利用者に呼びかけることによって、質問への回答率がより高められる。
【0078】
また、発話計画部16は、設備2の直近の利用状況に基づいて質問を投げかける利用者を選定する。
また、発話計画部16は、予め設定された範囲内において設備2の直近の利用時刻に近いタイミングで質問できる利用者を、質問を投げかける利用者として選定する。
【0079】
このような構成により、情報収集システム1は、不足情報について何らかの情報を得ている可能性の高い利用者に質問を投げかけることができるようになる。また、上方収集システムは、不足情報について得ている情報を利用者が覚えているタイミングで質問を投げかけることができるようになる。これにより、収集される情報の信頼性がより高められる。
【0080】
また、不足情報検出部15は、先に検出された不足情報について抽出部20が抽出した情報に基づいて、さらに収集を要する不足情報を追加で検出する。発話計画部16は、追加の不足情報についての質問を投げかける利用者を設備2の利用者から選定する。発話計画部16は、当該利用者への質問のタイミングを決定する。発話内容生成部18は、当該利用者への追加の不足情報についての質問の発話内容を生成する。抽出部20は、当該利用者の回答から、追加の不足情報についての情報を抽出する。
【0081】
このような構成により、情報収集システム1は、不足情報を段階的に深堀していくことによって、収集される情報の信頼性をより高めていくことができるようになる。また、利用者に対して一度に詳細な情報を要求する質問を送信する必要がなくなるので、利用者からの回答が得られやすくなる。
【0082】
また、発話計画部16は、追加の不足情報について質問を投げかける利用者として、先の不足情報について質問を投げかけた利用者と異なる利用者を選定する。
【0083】
このような構成により、特定の利用者に回答の負荷が偏りにくくなる。一般に、情報提供にかかる利用者の手間と、当該利用者から提供される情報の充実度はトレードオフの関係にある。このため、情報収集システム1は、利用者に大きな負荷をかけることなく、より充実した情報を収集できるようになる。
【0084】
また、先の不足情報について質問を投げかけた利用者からの回答時刻に予め設定された範囲内で近いタイミングで、当該利用者に追加の不足情報についての質問が可能な場合がある。この場合に、発話計画部16は、追加の不足情報について質問を投げかける利用者として、先の不足情報について質問を投げかけた利用者と同一の利用者を選定してもよい。
【0085】
このような構成により、情報収集システム1は、質問に回答してくれる利用者に集中して質問できるようになる。利用者が情報収集システム1との対話に注意を払っている間に追加の質問を投げかけることができるようになるので、より詳細な情報を得られるようになる。また、設備2の問題について得られた何らかの情報についての利用者の記憶がより想起されやすくなる。
【0086】
また、実施の形態1に係るエレベーターシステムは、エレベーターと、情報収集システム1と、を備える。エレベーターは、情報収集システム1が情報を収集する設備2である。エレベーターは、複数の階床の間で利用者を輸送する。
【0087】
エレベーターシステムにおいて、利用者は、呼びの登録などを通じて特定される。このため、質問を投げかける利用者の選定がより確実なものとなる。また、エレベーターの利用者は、乗場においてかごの到着を待機している間または、かごに乗車している間などにおいて、移動などの行動を起こしにくい。また、利用者は、この間にエレベーターに注意を向けることが多い。このため、この間に質問を投げかけることで、利用者からの回答率をより高められるようになる。
【0088】
なお、発話計画部16は、設備2の利用履歴に基づいて質問を投げかける利用者を選定してもよい。
例えば、発話計画部16は、設備2の利用頻度に基づいて質問を投げかける利用者を選定してもよい。
【0089】
このような構成により、情報収集システム1は、設備2の利用頻度の高い利用者など、設備2の問題についての情報を得ている可能性の高い利用者に質問を投げかけられるようになる。これにより、信頼性の高い情報を得られる可能性がより高くなる。なお、発話計画部16は、利用頻度に基づかずに利用者の選定を行ってもよい。例えば問題が特定の期間においてのみ発生していた場合などに、発話計画部16は、当該期間に設備2を利用した利用者を対話の相手として選定してもよい。
【0090】
また、不足情報検出部15は、問題が発生する条件を特定しうるように、検出された同一の問題について問い合わせ条件を複数生成してもよい。発話計画部16は、選定された利用者への対話のタイミングを複数のパターンの条件に基づいて決定してもよい。
【0091】
また、発話計画部16は、画像に基づいて識別された利用者が利用者IDなどによって特定されない場合に、施設に設けられた通話装置などを通じて音声通話によって当該利用者との対話を試みてもよい。通話装置は、例えばエレベーターのかごの内部または乗場などに設けられる。発話内容生成部18は、例えば利用者がかごから降車する階床において、「エレベーターのご利用ありがとうございました。2階から3階の間で何か音が鳴りませんでしたか?」などのように降車した利用者に呼びかけるような発話内容を生成してもよい。
【0092】
また、発話内容生成部18は、利用者からの返信が得られやすいタイミングで、リマインダのメッセージを生成してもよい。返信が得られやすいタイミングは、例えば利用者が設備2をふたたび利用するタイミングなどである。
【0093】
また、情報収集システム1が情報の収集を行う設備2は、エレベーターシステムに限定されない。情報収集システム1は、例えばエスカレーターなどを含む昇降機システム、施設の利用者の認証を行う認証装置を含む認証システム、空調システム、換気システム、照明システム、および給湯システムなどの施設に設けられる多様な設備2に適用できる。例えば照明システムは、利用者による施設に設けられたスイッチの操作などによって照明の点灯、調光、および消灯などを行う。照明システムは、利用者が所持する携帯端末4を通じた点灯、調光、および消灯などの操作を受け付けるシステムであってもよい。このとき、情報収集システム1は、例えば照明システムにおいて照明の点灯、調光、または消灯などの操作を行った利用者を、情報を収集する対話の相手として選定する。
【0094】
続いて、図7を用いて、情報収集システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係る情報収集システム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0095】
情報収集システム1における処理の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0096】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、情報収集システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、情報収集システム1の各機能を実現する。
【0097】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0098】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0099】
情報収集システム1における処理の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、情報収集システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。情報収集システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで情報収集システム1の各機能を実現する。
【0100】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0101】
実施の形態2において、情報収集システム1が情報の収集を行う設備2は、例えば施設の利用者の認証を行う認証装置である。認証装置は、例えば利用者の利用者IDなどに基づいて当該利用者の認証を行う。施設において、複数の認証装置を含む認証システムが適用される。認証システムは、例えば、施設における領域への入退域などの管理を行う入退管理システムなどである。入退管理システムは、認証されない者の当該領域への進入を妨げるフラッパーゲートなどを含んでもよい。利用者は、例えば携帯端末4などを認証装置にかざすことで、利用者IDなどの認証に用いられる情報を近距離無線通信などによって読み込ませる。認証システムにおける利用者の利用状況は、当該利用者の認証時刻および当該利用者を認証した認証装置の設置場所などの情報を含む。
【0102】
図8は、実施の形態2に係る情報収集装置5の構成図である。
【0103】
情報収集装置5の制御部8は、判定部21と、評価部22と、報酬付与部23と、を備える。
【0104】
判定部21は、抽出部20が抽出した情報についての信頼性を判定する部分である。例えば、発話計画部16が同一の不足情報に対して対話の相手となる利用者を複数選定している場合において、抽出された情報が互いに競合するときに、判定部21は、競合する情報の真偽を多数決によって判定する。判定部21は、抽出された情報を集計し、同様の情報を回答する利用者の数が多いほど当該情報が確からしいと判定してもよい。あるいは、判定部21は、利用者が回答する情報が詳細であるほど、当該情報が確からしいと判定してもよい。判定部21は、利用者が回答する時刻が利用者の直近の利用時刻に近いほど、当該情報が確からしいと判定してもよい。判定部21は、利用者の回答内容の文面に基づいて、抽出される情報の信頼性を判定してもよい。
【0105】
例えば、不足情報検出部15は、信頼性が予め設定された基準より低い情報に関して、さらに情報の収集を要する不足情報を検出する。
【0106】
評価部22は、利用者の回答者としての評価点を算出する部分である。評価部22は、利用者からの回答の質に基づいて評価点を算出する。回答の質は、回答率、回答の速さ、および回答の信頼性などを含む。評価部22は、例えば、利用者の質問に対する回答率が高いほど、当該利用者の評価点を高く算出する。評価部22は、利用者に質問を送信してから回答を受信するまでの時間が短いほど、当該利用者の評価点を高く算出してもよい。評価部22は、利用者の回答について判定部21が判定した信頼性が高いほど、当該利用者の評価点を高く算出してもよい。評価部22は、例えば、利用者から回答が得られるたびに当該利用者の評価点を算出する。あるいは、評価部22は、利用者からの回答の質についての回答率などの指標の対話履歴などに基づく平均値によって評価点を算出してもよい。評価部22が算出した利用者の評価点は、例えば利用者情報記憶部12などに記憶される。
【0107】
例えば、判定部21は、競合する情報の真偽を判定するときに、利用者の評価点で重みづけした多数決によって真偽の判定を行ってもよい。また、判定部21は、抽出された情報を集計し、同様の情報を回答する利用者の評価点の総和が大きいほど当該情報が確からしいと判定してもよい。
【0108】
例えば、発話計画部16は、算出された評価点に基づいて対話の相手とする利用者を選定する。発話計画部16は、例えば、評価点の高い利用者を対話の相手として優先的に選定する。
【0109】
報酬付与部23は、対話を行った利用者から回答が得られた場合に、当該利用者に報酬を付与する部分である。報酬は、例えば設備2が設けられた施設または外部の店舗などにおいて利用可能なポイントなどである。例えば利用者が利用する他のアプリケーションと情報収集システム1が連携する場合に、報酬は、当該アプリケーションのアイテムの提供、または当該アプリケーションにおける利用者のランクアップなどであってもよい。報酬は、利用者に質問への回答のインセンティブを与えるものであれば、特に限定されない。報酬付与部23は、利用者の回答の質が高いほど、当該利用者により高い報酬を付与してもよい。
【0110】
例えば検出された問題がフラッパーゲートの動作不良である場合に、発話計画部16は、当該フラッパーゲートを毎日決まった時間に通行する利用者を対話の相手として選定する。このとき、発話計画部16は、フラッパーゲートの通行の直前または通行の直後などのタイミングを対話のタイミングとして決定する。当該タイミングは、例えば当該利用者の位置情報に基づいて判定される。利用者の位置情報は、例えば利用者が所持する携帯端末4から提供される情報であってもよいし、施設に設けられたカメラが撮影する画像の認識などによって取得される情報であってもよい。
【0111】
以上に説明したように、実施の形態2に係る情報収集システム1は、判定部21を備える。判定部21は、抽出部20が抽出した情報についての信頼性を判定する。
【0112】
このような構成により、収集された情報の信頼性が判定されているので、設備2の問題への対処がしやすくなる。問題に対処する作業員は、信頼性に応じて収集された情報を採用するか否かを判断できるようになる。また、情報収集システム1は、収集された情報の信頼性が十分でない場合に、追加の情報収集を行うことで、情報の信頼性を高めていくことができるようになる。
【0113】
また、情報収集システム1は、評価部22を備える。評価部22は、設備2の利用者からの回答の質に基づいて当該利用者の回答者としての評価点を算出する。発話計画部16は、評価部22が算出する評価点に基づいて、質問を投げかける利用者を選定する。
【0114】
このような構成により、情報収集システム1は、より質の高い回答を行う利用者に質問を投げかけられるようになる。これにより、より信頼性の高い情報がより迅速に収集されるようになる。
【0115】
また、情報収集システム1は、報酬付与部23を備える。報酬付与部23は、質問を投げかけた利用者から回答が得られた場合に、当該利用者に報酬を付与する。
【0116】
このような構成により、利用者からの回答がより得られやすくなる。回答しうる利用者の母数が増えることにより、より信頼性の高い情報がより迅速に収集されるようになる。
【0117】
また、実施の形態2に係る認証システムは、認証装置と、情報収集システム1と、を備える。認証装置は、情報収集システム1が情報を収集する設備2である。認証装置は、利用者の認証を行う。
【0118】
認証システムにおいて、利用者は、利用者IDによる認証などを通じて特定される。このため、質問を投げかける利用者の選定がより確実なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示に係る情報収集システム、情報収集方法、および情報収集プログラムは、施設に設けられた設備の問題に関する情報の収集に適用できる。本開示に係るエレベーターシステムおよび認証システムは、当該施設に適用できる。
【符号の説明】
【0120】
1 情報収集システム、 2 設備、 3 観測装置、 4 携帯端末、 5 情報収集装置、 6 対話部、 7 入力部、 8 制御部、 9 設備情報取得部、 10 利用者情報取得部、 11 設備情報記憶部、 12 利用者情報記憶部、 13 必要情報記憶部、 14 問題検出部、 15 不足情報検出部、 16 発話計画部、 17 発話内容記憶部、 18 発話内容生成部、 19 対話履歴記憶部、 20 抽出部、 21 判定部、 22 評価部、 23 報酬付与部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8