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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】スマートキー装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20240305BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
E05B19/00 J
E05B49/00 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020142752
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038316
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】506033953
【氏名又は名称】株式会社ソフテック
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】島田 大輔
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/132457(WO,A1)
【文献】特許第6661105(JP,B1)
【文献】特開2005-322584(JP,A)
【文献】特開2012-36668(JP,A)
【文献】特開2015-58781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対してその車両固有の認証コードを発信し得る発信ユニットと、
前記発信ユニットを収容する収容ケースと、
を具備し、前記発信ユニットから発信された認証コードを車両が受信することにより車両のロック解除を含む所定の動作を許容させ得るスマートキー装置において、
前記発信ユニットに形成された電池取付部に延長アダプタを取り付けるとともに、前記収容ケース内における前記発信ユニットとは異なる位置に電池が保持され、当該電池の電力が当該延長アダプタを介して前記発信ユニットに供給可能とされたことを特徴とするスマートキー装置。
【請求項2】
前記電池を保持する保持部が形成されるとともに、当該電池と前記延長アダプタとを電気的に接続する電気回路が形成された基板を有することを特徴とする請求項1記載のスマートキー装置。
【請求項3】
前記基板は、操作者の操作により前記電池から前記発信ユニットに対する電力供給を遮断する遮断操作手段が形成されたことを特徴とする請求項2記載のスマートキー装置。
【請求項4】
前記発信ユニットと基板との間に取り付けられ、前記電池取付部に取り付けられた延長アダプタと前記基板に形成された電気回路とを位置決め可能な位置決め部材を具備したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のスマートキー装置。
【請求項5】
前記延長アダプタは、前記電池取付部の取付形状に沿った外輪郭形状とされたことを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載のスマートキー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両との間でその車両固有の認証コードを交信することにより車両に対して施錠の解除を含む所定の動作を許容させ得るスマートキー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、車両とスマートキー装置との間で認証コードを無線にて交信し、スマートキー装置から発信されて車両側で受信した認証コードがその車両固有の認証コードである場合、ドアロックの解除やエンジン始動等の動作が可能とされるスマートキーシステムが普及している。かかるスマートキーシステムにて使用されるスマートキー装置は、従来、電池から供給された電力にて作動する発信ユニットを具備しており、当該発信ユニットから認証コードを発信可能とされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-096088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスマートキー装置においては、発信ユニットにボタン電池等を取り付けるための電池取付部が形成されているため、寸法や容量等が異なる他の電池に変更することができず、予め決められた電池のみ使用可能とされていた。そこで、本出願人は、適用される車両の形態や使用形態に応じて電池の形態を任意に変更することができるスマートキーを鋭意検討するに至った。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、適用される車両の形態や使用形態に応じて電池の形態を任意に変更することができるスマートキー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両に対してその車両固有の認証コードを発信し得る発信ユニットと、前記発信ユニットを収容する収容ケースとを具備し、前記発信ユニットから発信された認証コードを車両が受信することにより車両のロック解除を含む所定の動作を許容させ得るスマートキー装置において、前記発信ユニットに形成された電池取付部に延長アダプタを取り付けるとともに、前記収容ケース内における前記発信ユニットとは異なる位置に電池が保持され、当該電池の電力が当該延長アダプタを介して前記発信ユニットに供給可能とされたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスマートキー装置において、前記電池を保持する保持部が形成されるとともに、当該電池と前記延長アダプタとを電気的に接続する電気回路が形成された基板を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のスマートキー装置において、前記基板は、操作者の操作により前記電池から前記発信ユニットに対する電力供給を遮断する遮断操作手段が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3記載のスマートキー装置において、前記発信ユニットと基板との間に取り付けられ、前記電池取付部に取り付けられた延長アダプタと前記基板に形成された電気回路とを位置決め可能な位置決め部材を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載のスマートキー装置において、前記延長アダプタは、前記電池取付部の取付形状に沿った外輪郭形状とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、発信ユニットに形成された電池取付部に延長アダプタを取り付けるとともに、収容ケース内における発信ユニットとは異なる位置に電池が保持され、当該電池の電力が当該延長アダプタを介して発信ユニットに供給可能とされたので、適用される車両の形態や使用形態に応じて電池の形態を任意に変更することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、電池を保持する保持部が形成されるとともに、当該電池と延長アダプタとを電気的に接続する電気回路が形成された基板を有するので、電池の保持位置の自由度を向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、基板は、操作者の操作により電池から発信ユニットに対する電力供給を遮断する遮断操作手段が形成されたので、リレーアタックなる不正行為を簡易且つ容易に防止することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、発信ユニットと基板との間に取り付けられ、電池取付部に取り付けられた延長アダプタと基板に形成された電気回路とを位置決め可能な位置決め部材を具備したので、延長アダプタと電気回路との間の位置決めを精度よく行わせることができ、電池と延長アダプタとの電気的接続を確実に維持することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、延長アダプタは、電池取付部の取付形状に沿った外輪郭形状とされたので、電池取付部に対して延長アダプタを安定して保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るスマートキー装置の表面側外観を示す斜視図
図2】同スマートキー装置の裏面側外観を示す斜視図
図3】同スマートキー装置の外観を示す3面図
図4図3中のIV-IV線断面図
図5】同スマートキー装置における発信ユニットに基板が取り付けられた状態(基板側から見た状態)を示す斜視図
図6】同スマートキー装置における発信ユニットに基板が取り付けられた状態(発信ユニット側から見た状態)を示す斜視図
図7】同スマートキー装置における発信ユニットに基板が取り付けられた状態を示す3面図
図8図7中のVIII-VIII線断面図
図9】同スマートキー装置における発信ユニット、延長アダプタ、位置決め部材及び基板を示す斜視図
図10】同スマートキー装置における発信ユニットに延長アダプタが取り付けられた状態を示す斜視図
図11】同スマートキー装置における延長アダプタが取り付けられた発信ユニットに位置決め部材が取り付けられた状態を示す斜視図
図12】同スマートキー装置における位置決め部材を示す3面図
図13】同スマートキー装置における基板の裏面側を示す斜視図
図14】同スマートキー装置における延長アダプタを示す3面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスマートキー装置1は、車両に対してその車両固有の認証コードを発信することにより車両のロック解除を含む所定の動作(エンジンの始動等)を許容させ得るもので、図1~4に示すように、第1収容ケース2a及び第2収容ケース2bを有する収容ケース2と、ボタン電池Dと、発信ユニット3と、第1収容ケース2aに形成された操作ボタン部5と、第2収容ケース2bに形成された遮断操作手段4と、延長アダプタ6と、基板7と、位置決め部材8とを有して構成されている。
【0018】
収容ケース2は、半割形状の第1収容ケース2a及び第2収容ケース2bを合致して組み付けられたもので、内部に発信ユニット3を収容する収容空間が形成されている。また、本実施形態においては、第1収容ケース2aに形成された操作ボタン部5は、操作者の操作により車両のロック又はアンロックやドアの開閉を行わせるとともに、第2収容ケース2bに形成された遮断操作手段4は、操作者の操作によりボタン電池Dから発信ユニット3に対する電力供給を遮断するものである。
【0019】
なお、第1収容ケース2aにおける操作ボタン部5の外周部には、化粧板2aaが取り付けられるとともに、第2収容ケース2bにおける遮断操作手段4の外周部には、化粧板2baが取り付けられており、意匠性の向上が図られている。また、収容ケース2には、エマージェンシーキーKが取り付けられており、電池切れ等の緊急時に収容ケース2から取り外して使用可能とされている。
【0020】
発信ユニット3は、ボタン電池Dから供給された電力により作動し、認証コードを継続的に発信するためのもので、図6、8~10に示すように、一方の面に操作ボタン部5の操作に応じて押圧されることによりオン・オフ可能な操作部aが形成されるとともに、他方の面に電池取付部3aが形成されている。かかる電池取付部3aは、ボタン電池Dを取り付け可能な凹部から成り、本実施形態においては、延長アダプタ6が嵌入して取り付けられている。
【0021】
そして、車両が正規の認証コードを受信したと判定された状態において、任意の操作ボタン部5が操作されることによりスイッチaが押圧操作されると、車両に対して所定の信号が発信され、例えばドアロックの解除やトランクの開閉動作を遠隔操作にて行わせるようになっている。なお、本実施形態においては、第1収容ケース2aに操作ボタン部5が4つ形成されているが、単一若しくは3つ又は4つ以上の操作ボタン部5が形成されたもの、或いは操作ボタン部5を有さないものであってもよい。
【0022】
延長アダプタ6は、電池取付部3aの取付形状(具体的には、凹部の内周面形状)に沿った外輪郭形状とされたもので、電池取付部3aに取り付けられるとともに、図14に示すように、接触端子6aが突出形成されている。すなわち、延長アダプタ6は、ボタン電池Dと寸法及び形状が略同一とされるとともに、電池取付部3aは、本スマートキー装置1の電源としてのボタン電池Dが取り付けられるよう設計されたものであるが、本実施形態に係る電池取付部3aには、ボタン電池Dの代わりに延長アダプタ6が取り付けられているのである。
【0023】
基板7は、図5~9に示すように、位置決め部材8を介して発信ユニット3に取り付けられたプリント基板から成り、ボタン電池Dを保持する保持部Hが形成されるとともに、当該ボタン電池Dと延長アダプタ6とを電気的に接続する電気回路が形成されている。具体的には、基板7には、所望の電気回路が印刷(プリント)されており、図13に示すように、その電気回路の一部には接触部7aが形成されている。そして、発信ユニット3に基板7を取り付けると、接触部7aに延長アダプタ6の接触端子6aが接触した状態とされ、ボタン電池D、基板7の電気回路、延長アダプタ6及び発信ユニット6がそれぞれ電気的に接続されるよう構成されている。
【0024】
これにより、収容ケース2内における発信ユニット3とは異なる位置(本実施形態においては基板7の保持部H)にボタン電池Dが保持され、当該ボタン電池Dの電力が延長アダプタ6を介して発信ユニット3に供給可能とされている。また、本実施形態に係る基板7には、図9に示すように、スライドスイッチから成る遮断操作手段4が取り付けられており、かかる遮断操作手段4を操作者が操作することにより、ボタン電池Dから発信ユニット3に対する電力供給を遮断し得るようになっている。
【0025】
位置決め部材8は、図8、9に示すように、発信ユニット3と基板7との間に取り付けられ、電池取付部3aに取り付けられた延長アダプタ6と基板7に形成された電気回路とを位置決め可能な成形部品から成る。具体的には、本実施形態に係る位置決め部材8は、図12に示すように、一方の面に複数の突起部8aと、上下一対の開口部8bとが形成された枠状部材とされている。
【0026】
そして、発信ユニット3に形成された複数の穴部3b(図10参照)に突起部8aを嵌め込むことにより、図11に示すように、発信ユニット3の一方の面(延長アダプタ6が取り付けられた面)に位置決め部材8が取り付けられるようになっている。なお、かかる状態においては、開口部8bにより延長アダプタ6の接触端子6aが突出し得るよう構成されている。
【0027】
このように、発信ユニット3に取り付けられた位置決め部材8に対して、図5、6、8に示すように、基板7を取り付けることにより、基板7が発信ユニット3に対して位置決めされることとなるので、延長アダプタ6の接触端子6aと基板7の接触部7aとの接触を精度よく行わせることができる。なお、基板7におけるボタン電池Dが保持された面は、図4に示すように、カバー部材9によって覆われている。
【0028】
本実施形態によれば、発信ユニット3に形成された電池取付部3aに延長アダプタ6を取り付けるとともに、収容ケース2内における発信ユニット3とは異なる位置(基板7に形成された保持部H)にボタン電池Dが保持され、当該ボタン電池Dの電力が当該延長アダプタ6を介して発信ユニット3に供給可能とされたので、適用される車両の形態や使用形態に応じて電池の形態を任意に変更することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、ボタン電池Dを保持する保持部Hが形成されるとともに、当該ボタン電池Dと延長アダプタ6とを電気的に接続する電気回路が形成された基板7を有するので、ボタン電池Dと延長アダプタ6とを直接接触させる必要がなく、ボタン電池Dの保持位置の自由度を向上させることができる。加えて、基板7に形成(印刷)された電気回路を介してボタン電池Dと延長アダプタ6との電気的接続を行わせるので、確実にボタン電池Dの電力を延長アダプタ6を介して発信ユニット3に供給させることができる。
【0030】
さらに、本実施形態に係る基板7は、操作者の操作により電池から発信ユニット3に対する電力供給を遮断する遮断操作手段4が形成されたので、ボタン電池Dから発信ユニット3に対する電力供給を任意に遮断することができ、リレーアタックなる不正行為を簡易且つ容易に防止することができるとともに、操作性を維持しつつ防犯効果を高めることができる。
【0031】
またさらに、発信ユニット3と基板7との間に取り付けられ、電池取付部3aに取り付けられた延長アダプタ6と基板7に形成された電気回路とを位置決め可能な位置決め部材8を具備したので、延長アダプタ6と電気回路との間の位置決めを精度よく行わせることができ、ボタン電池Dと延長アダプタ6との電気的接続を確実に維持することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る延長アダプタ6は、電池取付部3aの取付形状に沿った外輪郭形状(図14に示すような略円板形状)とされたので、電池取付部3aに対して延長アダプタ6を安定して保持させることができる。なお、延長アダプタ6は、電池取付部3aに取り付けられてボタン電池Dの電力を発信ユニット3に供給し得るものであれば足り、平面視で矩形状や楕円形、星形など異形等のものであってもよい。
【0033】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばボタン電池Dが基板7の保持部Hに保持されるものではなく、他の位置(例えば収容ケース2に形成された保持部等)にボタン電池Dを保持させ、ボタン電池Dの電力が延長アダプタ6を介して発信ユニット3に供給可能なものとしてもよい。また、適用される車両の形態や使用形態に応じて電池の形態を任意に変更することができ、ボタン電池Dに代えて単3電池や単4電池、充電可能な2次電池等としてもよい。加えて、遮断操作手段4を具備しないものであってもよい。なお、適用される車両は、自動車に限定されず、自動二輪車等の他の形態の車両であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
発信ユニットに形成された電池取付部に延長アダプタを取り付けるとともに、収容ケース内における発信ユニットとは異なる位置に電池が保持され、当該電池の電力が当該延長アダプタを介して発信ユニットに供給可能とされたスマートキー装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 スマートキー装置
2 収容ケース
2a 第1収容ケース
2aa 化粧板
2b 第2収容ケース
2ba 化粧板
3 発信ユニット
3a 電池取付部
3b 挿通穴
4 遮断操作手段
5 操作ボタン部
6 延長アダプタ
6a 接触端子
7 基板
7a 接触部
8 位置決め部材
8a 突起部
8b 開口部
9 カバー部材
D ボタン電池
H 保持部
K エマージェンシーキー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14