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特許7448128特異的超分岐コポリマーと(ポリ)エチレンオキシドのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤とを含む化粧品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】特異的超分岐コポリマーと(ポリ)エチレンオキシドのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤とを含む化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20240305BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240305BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/81
A61Q19/00
A61K8/86
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021525602
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2019082492
(87)【国際公開番号】W WO2020109265
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】18208234.7
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】メンドロク-エディンガー, クリスティーン
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524883(JP,A)
【文献】特表2015-529674(JP,A)
【文献】特表2015-529737(JP,A)
【文献】国際公開第2013/092800(WO,A1)
【文献】特表2016-527340(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0360946(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1321493(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00ー8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー
(i)ドデセニルコハク酸無水物
(ii)ジイソプロパノールアミン
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の超分岐コポリマーであって、

【化1】

の末端基を有し、
及び1200~4000g/molの分子量Mnを有する、超分岐コポリマーと
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである少なくとも1種の非イオン性乳化剤と
を含み、
前記非イオン性乳化剤は、式(I)又は(II)
【化2】

(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を備える炭化水素基を表し、nは、1~400の整数である)の化合物である、化粧用スキンケア組成物(ただし、頭皮ケア用の組成物は除く)
【請求項2】
前記超分岐コポリマーは、次の連続工程
a1)式
【化3】

のジメチルアミノ末端基を有するポリエステルアミドを産生させるために、前記モノマー(i)及びモノマー(ii)及びモノマー(iii)を重合する工程、
a2)2-クロロ酢酸塩による、工程a1)の前記ポリエステルアミドのジメチルアミノ基を4級化する工程
によって調製されることを特徴とする、請求項1に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項3】
前記モノマー(i)対前記モノマー(ii)のモル比が1~0.5:1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項4】
前記モノマー(i)対前記モノマー(iii)のモル比が5:1~0.51であることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項5】
前記超分岐コポリマーは、1400~3000g/molの数平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項6】
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである前記非イオン性乳化剤は、ステアリン酸を備える(ポリ)エチレングリコールのモノエステルであることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項7】
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである前記非イオン性乳化剤の総量は、0.1~6重量%の範囲内で選択される、請求項1~の何れか一項に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項8】
前記化粧用スキンケア組成物は、サンケア組成物であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項9】
前記組成物は、硫酸塩を含まない化粧用スキンケア組成物であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項10】
前記組成物は、カチオン性乳化剤を含まないことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の化粧用スキンケア組成物。
【請求項11】
モノマー
(i)ドデセニルコハク酸無水物
(ii)ジイソプロパノールアミン
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の超分岐コポリマーであって、

【化4】

の末端基を有し、
及び1200~4000g/molの分子量Mnを有する超分岐コポリマーの、接触面への物質移動を減少させるための、(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである少なくとも1種の非イオン性乳化剤を含む化粧用スキンケア組成物(ただし、頭皮ケア用の組成物は除く)中における使用であって、
前記非イオン性乳化剤は、式(I)又は(II)
【化5】

(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を備える炭化水素基を表し、nは、1~400の整数である)の化合物である、使用
【請求項12】
前記接触面は、ガラス表面であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記接触面は、携帯電話、コンピューターデバイス又はタブレットのディスプレイであることを特徴とする、請求項11又は12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、化粧品の分野、特にスキンケア及びサンケアの分野に関する。
[発明の背景]
【0002】
化粧品の分野では、化粧品組成物の詳細、即ち処方は、テクスチャー、感触及び視覚的側面の態様に対して極めて感受性である。
【0003】
大きな問題は、表面に、特に皮膚に塗布された場合に、そのような組成物の物質が他の表面に、前記他の表面が前記組成物と接触するときに移動され得ることである。そのような移動は、2つの点で有害である:まず第一に、物質の移動は、物質が皮膚をトリートメントする、保湿する、又は保護する等の作用部位から取り除かれてしまうので、望ましくない。第二に、接触面が前記物質で汚染される。特に、衣服等の布地に染みが付けられ得る。更に、化粧面又は機能面が汚染され得、そのことは機能性にとって、それらの視覚的若しくは審美的特性それぞれのために有害である。特に、携帯電話、スクリーン又はタッチスクリーンのディスプレイは、そのような物質移動によって悪影響を受け得る。
[発明の概要]
【0004】
したがって、表面が接触したときに、表面から表面への化粧品組成物のそのような移動を減少させたい、という大きな望みが存在する。
【0005】
驚くべきことに、請求項1の化粧品組成物がこの問題を解決できることが見出されている。
【0006】
特異的超分岐コポリマーと(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤との組み合わせは、そのような組成物から接触面への物質移動を大いに減少させることが見出されている。
【0007】
本発明のまた別の態様は、また別の独立請求項の主題である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
第1態様では、本発明は、
モノマー
(i)ドデセニルコハク酸無水物
(ii)ジイソプロパノールアミン
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の超分岐コポリマーであって、

【化1】

の末端基を有し、
及び1200~4000g/molの分子量Mnを有する、超分岐コポリマーと
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである少なくとも1種の非イオン性乳化剤と
を含む化粧品組成物に関する。
【0009】
用語「分子量Mn」は、数平均分子量を表す。
【0010】
「非イオン性乳化剤」は、疎水基と親水基とを有し、エマルションを安定化させるが、酸性若しくは中性溶媒中では正に帯電した有機イオンを形成しない有機化合物である。
【0011】
「アニオン性乳化剤」は、対照的に、疎水基と、典型的にはカルボン酸基、硫酸基若しくはスルホン酸基である親水基とを有し、エマルションを安定化し、酸性若しくは中性溶媒中では負に帯電した有機イオンを形成する有機化合物である。
【0012】
「カチオン性乳化剤」は、対照的に、疎水基と親水基とを有し、エマルションを安定化し、酸性若しくは中性溶媒中では正に帯電した有機イオンを形成する有機化合物である。
【0013】
用語「製剤」又は「処方」は、本文献では用語「組成物」と同等物として使用される。
【0014】
本文献における用語「物質移動」は、化粧品組成物若しくはその一部の成分の、化粧品組成物が1つの表面に塗布され、その後に前記表面が異なる物体の表面と接触させられ、再び分離された場合の物質(mass)移動を意味する。この接触によって、一部の物質は、最初の表面から異なる物体の表面に移動させられる。移動させられた物質の量は、第2物体の増量を計測することによって決定され得る。
【0015】
超分岐コポリマーは、好ましくは、下記の連続する工程:
a1)式
【化2】

のジメチルアミノ末端基を有するポリエステルアミドを産生させるために、モノマー(i)及びモノマー(ii)及びモノマー(iii)を重合する工程、
a2)2-クロロ酢酸塩、特に2-クロロ酢酸ナトリウムによって、工程a1)のポリエステルアミドのジメチルアミノ基を4級化する工程
によって調製される。
【0016】

【化3】

のジメチルアミノ末端基を有する各ポリエステルアミドを産生させるための重合する工程a1)についての詳細は、例えば、欧州特許第2794729B1号明細書によって開示されている。
【0017】
好ましくは、重合する工程a1)では、モノマー(iii)は、モノマー(ii)及び(iii)の混合物に攪拌下で添加され、その後に加熱される。
【0018】
4級化する工程a2)の詳細は、同様に欧州特許第2794729B1号明細書によって開示されている。したがって、欧州特許第2794729B1号明細書の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
化粧品組成物中におけるモノマー
(i)ドデセニルコハク酸無水物
(ii)ジイソプロパノールアミン
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の超分岐コポリマーであって、

【化4】

の末端基を有し、及び1200~4000g/molの分子量Mnを有する超分岐コポリマーの量は、化粧品組成物の総重量に基づくと、典型的には0.1~3重量%である。
【0020】
モノマー(i)対モノマー(ii)のモル比は、5:1~0.5:1、特に4:1~1:1、好ましくは3:1~3:2であるのが好ましい。
【0021】
モノマー(i)対モノマー(iii)のモル比は、5:1~0.5:1、特に3:1~1:1、好ましくは2.5:1~1.1:1であるのが好ましい。
【0022】
超分岐コポリマーは、好ましくは、1400~3000g/mol、好ましくは2100~2300g/molの数平均分子量Mを有する。
【0023】
好ましくは、超分岐ポリマーは、更にCAS番号1323977-82-7によって同定されるポリクオタニウム-110である。
【0024】
化粧品組成物は、(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである少なくとも1種の非イオン性乳化剤を更に含む。(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤は、好ましくは(ポリ)エチレングリコールのモノエーテル又はモノエステルである。
【0025】
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤は、好ましくは、式(I)又は(II)
【化5】

(式中、Rは、少なくとも8個、好ましくは少なくとも12個、より好ましくは少なくとも14個の炭素原子を備える炭化水素基を表し;
及びnは、1~400、好ましくは1~200、より好ましくは1~40の整数である)の化合物である。
【0026】
極めて好ましい実施形態では、nは、1又は2である。R基は、好ましくは20個未満の炭素原子を有する。
【0027】
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤は、エステル(ポリ)エチレングリコール、好ましくは式(II)の化合物である。
【0028】
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤は、ステアリン酸のポリエチレングリコールエーテル、特には式(I)においてnが2、3、4、5、8、14、16、20、21、25、27、30、40若しくは100、より特には2、3、4、5、8、14、16、20、21、25、27、30、即ち特にはステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4、ステアレス-5、ステアレス-8、ステアレス-14、ステアレス-16、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-25、ステアレス-27、ステアレス-30を表すステアリン酸のポリエチレングリコールエーテル又は式(II)においてnが20~200、特には40若しくは100、即ちステアリン酸PEG-40若しくはステアリン酸PEG-100を表すステアリン酸のポリエチレングリコールエステルであるのが好ましい。
【0029】
最も好ましい非イオン性乳化剤は、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアリン酸PEG-40及びステアリン酸PEG-100からなる群から選択される。
【0030】
(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤の総量は、0.1~6重量%の範囲内、好ましくは0.25~5重量%の範囲内、最も好ましくは0.5~4重量%の範囲内で選択されるのが好ましい。
【0031】
化粧品組成物は、典型的には、化粧品組成物中で使用するために好適である他の成分を含む。
【0032】
特に、化粧品組成物は、更に好ましくは少なくとも1種の油を含む。
【0033】
本明細書における用語「油」は、水不溶性、有機、中性若しくは合成の、23℃で好ましくは液体又は粘性稠度を有する、化粧品として好適な油を表す。この状況における「水不溶性」は、20℃で2重量%以下の油の水溶性を指す。
【0034】
油は、5~55mN/mの範囲内、好ましくは55~24mN/mの範囲内又は18~5mN/mの範囲内の何れか、より好ましくは50~30mN/mの範囲内又は15~5mN/mの範囲内の何れかの極性指数を有する油であるのが好ましい。
【0035】
用語「極性指数」は、当業者には知られているパラメーターである。油の極性は、水に対する油の極性指数(界面張力)として定義される。界面張力、即ち極性指数は、特にはASTM法D971-99a(2004)と同様に、界面張力をmN/mで測定するリング張力計(例えば、Kruess K10)を用いて決定することができる。
【0036】
油は、特に、化学基であるアルカンの油、トリグリセリド、エステル油若しくはグリコールエステルである。
【0037】
油は、好ましくは、アジピン酸ジブチル、ヒマシ油、カレンデュラ油、コムギ胚芽油、酒石酸ジ-C12~13アルキル、モノイソステアリン酸プロピレングリコール及びココグリセリドからなる群から、特に酒石酸ジ-C12~13アルキル、アジピン酸ジブチル及びココグリセリドからなる群から選択される。
【0038】
50~30mN/mの間の極性指数を有する好ましい油は、イソパラフィン(C12~C14)、シクロパラフィン、ポリデセン、スクアラン、水素化ポリイソブテン、イソヘキサデカン、高流動性パラフィン油、ポリジメチルシロキサン、イソエイコサン、オレイン酸エトキシジグリコール、オリーブ脂肪酸デシル、ジオクチルシクロヘキサン、低流動性パラフィン油、流動性パラフィン油、パルミチン酸イソセチル、シクロペンタシロキサン、炭酸ジカプリルリル、イソステアリン酸オクチル、イソノナン酸トリメチルヘキシル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジカプリリルエーテル、炭酸ジヘキシル及びヤシ脂肪酸オクチルからなる群から、特に炭酸ジカプリルリル、流動性パラフィン油及びスクアランから選択される。
【0039】
18~5mN/mの範囲内の極性指数を備える好ましい油は、酒石酸ジ-C12~13アルキル、アジピン酸ジブチル若しくはココグリセリド、いっそうより好ましくは酒石酸ジ-C12~13アルキル又はアジピン酸ジブチルである。
【0040】
油、特に55~24mN/mの範囲内又は18~5mN/mの範囲内の何れかの極性指数を備える油の総量は、化粧品組成物の総重量に基づくと、好ましくは2~20重量%の範囲内、特に3~15重量%の範囲内にある。
【0041】
更に、化粧品組成物は、少なくとも1種のUVフィルターを含むのが好ましい。UVフィルターは、液体又は固体UVフィルターであってよい。UVフィルターは、UV-A又はUV-Bフィルターであってよい。
【0042】
好適な液体UVフィルターは、UVB及び/又はUVA範囲内にある光を吸収し、周囲温度(即ち、25℃)では液体である。そのような液体UVフィルターは、当業者には周知であり、特に、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル(PARSOL(登録商標)MCX)及びメトキシ桂皮酸イソアミル(Neo Heliopan(登録商標)E 1000)等の桂皮酸塩、例えばホモサレート(3,3,5トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシ安息香酸、PARSOL(登録商標)HMS)及びサリチル酸エチルヘキシル(サリチル酸エチルヘキシル、2エチルヘキシル2-ヒドロキシ安息香酸、PARSOL(登録商標)EHSとしても公知である)等のサリチル酸塩、例えばオクトクリレン(2エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、PARSOL(登録商標)340)及びエチル2-シアノ-3,3ジフェニルアクリレート等のアクリル酸塩、例えば特にマロン酸ジ(2-エチルヘキシル)4-メトキシベンザル及びポリシリコーン15(PARSOL(登録商標)SLX)等のマロン酸ジアルキルベンザル等のベンザルマロン酸のエステル、例えばジエチルヘキシル2,6-ナフタレート(Corapan(登録商標)TQ)等のナフタレートのジアルキルエステル、例えばマロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン(Oxynex(登録商標)ST liquid)等のマロン酸シリンギリデン並びにベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(Tinoguard(登録商標)TL)並びにベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサン等を含む。
【0043】
特に有利な液体UVフィルターは、メトキシ桂皮酸オクチル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾフェノン-3、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15並びにそれらの混合物である。
【0044】
好適な固体UVフィルターは、UVB(280~315nm)及び/又はUVA(315~400nm)範囲内で光を吸収し、周囲温度(即ち、25℃)では固体である。それらは特に固体有機UVフィルターである。特に適した固体UVフィルターは、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシル安息香酸、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、4-メチルベンジリデンカンファー及び1,4-ジ(ベンゾキサゾール-2’-イル)ベンゼンからなる群のフィルターである。
【0045】
個々の有機UVフィルターの量は、好ましくは、化粧品組成物の総重量に基づくと、0.1~約6重量%の範囲内、好ましくは0.5~5重量%の範囲内、最も好ましくは1~4重量%の範囲内にある。
【0046】
サンケア組成物の場合、有機UVフィルターの総量は、前記組成物の目標とするUV防御に強度に左右され、典型的には、前記組成物の総重量に基づくと、1~50重量%の範囲内、好ましくは5~40重量%の範囲内にある。
【0047】
SPF15(SPF=紫外線防御指数)を備えるサンクリームは、例えば、前記組成物の総重量に基づくと、好ましくは4~20重量%、より好ましくは7~15重量%の有機UVフィルターの総量を含む。
【0048】
SPF30を備えるサンクリームは、例えば、前記組成物の総重量に基づくと、好ましくは10~40重量%、より好ましくは15~25重量%の有機UVフィルターの総量を含む。
【0049】
SPF50を備えるサンクリームは、例えば、前記組成物の総重量に基づくと、好ましくは、15~50重量%、より好ましくは20~40重量%の有機UVフィルターの総量を含む。
【0050】
組成物は、好ましくは硫酸塩を含まない。
【0051】
したがって、化粧品組成物は、特に、好ましくはアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩及びモノグリセリド硫酸塩並びにそれらの組み合わせからなる群の硫酸塩を含まない。
【0052】
本文献において使用した、例えば「硫酸塩を含まない」における用語「含まない」は、各物質が、組成物の重量に比較して、0.5重量%未満、特に0.1重量%未満、より特には0.05重量%未満の量でしか存在しないことを意味するために使用される。好ましくは、「含まない」は、各物質が組成物中に完全に非存在であることを意味する。
【0053】
用語「硫酸塩を含まない」は、本文献において、組成物が式
【化6】

のアニオン性末端基を有する任意のアニオン性界面活性剤を含まないことを意味するために使用される。
【0054】
化粧品組成物は、好ましくは、カチオン性乳化剤を含まない。そのようなカチオン性乳化剤の典型的な例は、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、塩化ステアラルコニウム、ステアラミドエチルジエチルアミン、メト硫酸ベヘントリモニウム、塩化ベヘノイルPG-トリモニウム、臭化セトリモニウム、ベヘン酸ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ステアラミドプロピルジメチルアミン、塩化コカミドプロピルPG-ジモニウム、メト硫酸ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウム、メト硫酸ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウム、塩化ジステアロイルエチルジモニウム、塩化シアバターアミドプロピルトリモニウム、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、エシル酸ブラシシルイソロイシネート、塩化アクリルアミドプロピルトリモニウム/アクリレートコポリマー、エト硫酸リノールアミドプロピルエチルジモニウム、イソステアリン酸ジメチルラウラミン、塩化イソステアラミドプロピルラウリルアセトジモニウム、特に塩化ベヘントリウム、塩化ジステアリルジモニウム、塩化セトリモニウム、塩化ステアルトリモニウム及び塩化パルミタミドプロピルトリモニウムである。
【0055】
化粧品組成物は、本発明の化粧品組成物において使用するために好適である、スキンケア産業において一般に使用される化粧品の担体、賦形物及び希釈剤並びに添加剤及び有効成分は、例えば、オンラインのINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)によってアクセス可能なPersonal Care Product Council(http://www.personalcarecouncil.org/)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbookに記載されているが、それには限定されない。
【0056】
化粧品組成物のそのような可能性のある成分は、特には、例えば保存料、酸化防止剤、脂肪性物質/油、増粘剤、軟化剤、遮光剤、保湿剤、芳香剤、共界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、カチオン性、非イオン性若しくは両性イオン性ポリマー又はそれらの混合物、酸化剤若しくは塩基性化剤、粘度調整剤等並びに例えばボタニカル、果実エキス、糖誘導体及び/又はアミノ酸等の自然毛髪栄養分又は通常は化粧品組成物に処方される任意の他の成分の性能及び/又は消費者受容性を特に増強する。アジュバント及び添加剤の必要量は、所望の生成物に基づいて、当業者であれば容易に選択することができ、実施例において例示するが、それらに限定されない。
【0057】
有利な実施形態では、本発明による組成物は、化粧品組成物の総重量に基づくと、50%~99%、好ましくは60%~98%、より好ましくは70%~98%、例えば特に80%~95%の担体を含む。
【0058】
化粧品組成物は、好ましくは水を含む。特に有利な実施形態では、担体は、更に少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも55重量%の水、例えば特に55~90重量%の水からなる。
【0059】
本発明の全ての実施形態における特に好適な増粘剤は、キサンタンガム、ジェランガム及び/又はカルボキシメチルセルロースである。本発明の全ての実施形態において最も好ましくは、増粘剤は、キサンタンガム又はジェランガムである。
【0060】
そのような増粘剤は、好ましくは、化粧品組成物の総重量に基づくと、0.1~1重量%の範囲内から選択される量、より好ましくは0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0061】
組成物は、ポリビニルピロリドン(PVP)を含まない、特にアルキル化ポリビニルピロリジオンを含まない、例えばAntaron V-216又はAntaron V-220として市販されているような、例えばN-ビニルピロリドンとヘキサデカン若しくはエイコセンとのコポリマーであるのが好ましい。
【0062】
本発明による化粧品組成物は、一般に、3~10の範囲内のpH、好ましくは4~8の範囲内のpH及び最も好ましくは4~7.5の範囲内のpHを有する。pHは、当分野における標準方法によると、例えばクエン酸等の好適な酸又はNaOH等の塩基を用いて所望に応じて容易に調整することができる。
【0063】
化粧品組成物は、好ましくは、硫酸塩を含まない、及び/又はパラベンを含まない、及び/又はシリコーン油且つ/若しくはシリコーン系界面活性剤を含まない、及び/又はメチルイソチアゾリジンを含まない、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)を含まない、特にアルキル化ポリビニルピロリジオンを含まない。
【0064】
化粧品組成物は、好ましくは局所用組成物である。
【0065】
本明細書で使用する用語「局所用」は、本明細書では、特に皮膚、頭皮、睫毛、眉毛、爪、粘膜及び毛髪、好ましくは皮膚である角質物質への外用を意味すると理解されている。
【0066】
局所用組成物は、局所適用が意図されているので、それらが生理学的に許容される溶媒を含む、即ち、皮膚、粘膜及び角質線維等の角質物質と適合性である溶媒を含むことは明確に理解されている。特に、生理学的に許容される溶媒は、化粧品として許容される担体である。
【0067】
用語「化粧品として許容される担体」は、特にサンケア製品における等の化粧品組成物において慣習的に使用されている全ての担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を指す。
【0068】
好ましくは、化粧品組成物は、スキンケア製剤、化粧用製剤又は機能的製剤である。
【0069】
スキンケア製剤の例は、特に、紫外線防御製剤、老化防止製剤、光老化を治療するための製剤、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、スキンパウダー、保湿ジェル、保湿スプレー、フェイス及び/又はボディ用モイスチャライザー、日焼け製剤(即ち、人工的/サンレス・タンニング及び/又はヒトの皮膚のブラウニングのための組成物)、例えばセルフ・タンニングクリーム並びに皮膚美白製剤である。
【0070】
機能的製剤の例は、例えばホルモン製剤、ビタミン製剤、野菜抽出物製剤及び/又は老化防止製剤等の有効成分を含有する化粧品組成物又は医薬組成物であるがそれらに限定されない。
【0071】
化粧品組成物は、好ましくはスキンケア組成物である。
【0072】
最も好ましい実施形態では、化粧品組成物は、サンケア組成物である。サンケア組成物は、例えばSPF(紫外線防御指数)を備える、サンプロテクトミルク、サンプロテクトローション、サンプロテクトクリーム、サンプロテクトオイル、サンブロック又はデイケアクリーム等の紫外線防御製剤(サンケア製品)である。特に関心が高いのは、サンプロテクトクリーム、サンプロテクトローション、サンプロテクトミルク及びサンプロテクト製剤である。
【0073】
本発明による化粧品組成物は、溶媒中の懸濁剤若しくは分散剤若しくは脂肪性物質の形態で、又はエマルション若しくはマイクロエマルション(特に、水中油(O/W)型若しくは油中水(W/O)型、水中シリコーン(Si/W)型若しくはシリコーン中水(W/Si)型、PIT-エマルション、多重エマルション(例えば、油中水中油(O/W/O)型若しくは水中油中水(W/O/W)型)、ピッカリングエマルション、ヒドロゲル、アルコール性ゲル、リポゲル、単相若しくは多相液剤又は小胞性分散剤の形態で、又はマスク若しくはスプレーとしてペンによっても塗布できる他の通例の形態にあってよい。
【0074】
本発明の全ての実施形態における好ましい化粧品組成物は、例えば特にO/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重型若しくはピッカリングエマルションにおけるように油相及び水相を含有するエマルションである。
【0075】
そのようなエマルション中に存在する油相の総量は、化粧品組成物の総重量に基づくと、好ましくは、少なくとも10重量%、例えば10~60重量%の範囲内、好ましくは15~50重量%の範囲内、最も好ましくは15~40重量%の範囲内にある。
【0076】
そのようなエマルション中に存在する水相の量は、化粧品組成物の総重量に基づくと、好ましくは、少なくとも20重量%、例えば40~90重量%の範囲内、好ましくは50~85重量%の範囲内、最も好ましくは60~85重量%の範囲内にある。
【0077】
より好ましくは、本発明による化粧品組成物は、そのような組成物が表面への各組成物の移動の有意に顕著な減少を示すので、O/W型乳化剤又はSi/W型乳化剤の存在下で、水相中に分散した油相を含む水中油(O/W)型エマルションの形態にある。そのようなO/W型エマルションの製剤は、当業者には周知である。
【0078】
本発明によるO/W型エマルションの形態にある組成物は、例えば、O/W型エマルションのための全ての処方形で、例えばセラム、ミルク若しくはクリームの形態で提供され得、それらは通例の方法によって調製される。本発明の主題である組成物は、好ましくは局所適用のために意図されており、例えば、UV線の有害な影響に対してヒトの皮膚を防御すること(皺防止、老化防止、保湿、日焼け防止等)が意図される、特に皮膚科組成物若しくは化粧品組成物を構成することができる。
【0079】
化粧品組成物は、モノマー
(i)ドデセニルコハク酸無水物
(ii)ジイソプロパノールアミン
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の超分岐コポリマーであって、

【化7】

の末端基を有し、
1200~4000g/molの分子量Mnを有する特異的超分岐コポリマーが、(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである少なくとも1種の非イオン性乳化剤と一緒に使用された場合に、接触面への物質移動が強度に減少することが見出されている。
【0080】
したがって、本発明のまた別の態様は、モノマー
(i)ドデセニルコハク酸無水物
(ii)ジイソプロパノールアミン
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の超分岐コポリマーであって、

【化8】

の末端基を有し、
及び1200~4000g/molの分子量Mnを有する超分岐コポリマーの、接触面への物質移動を減少させるための、(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである少なくとも1種の非イオン性乳化剤を含む化粧品組成物中における使用である。
【0081】
物質移動の量は、接触の前後での物体(第2物体)の重量の決定によって決定される。接触後の何らかの増量は、第1物体から第2物体への物質移動に起因する。物質移動の減少は、本発明による組成物を上記の超分岐コポリマー、それぞれ(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤を含有していない各(本発明によらない)組成物と比較することによって決定される。減少は、2回の測定の物質移動の%で表示される。
【0082】
25%超、更にいっそう30%超、特には35%超の減少を得られることが見出されている。
【0083】
化粧品組成物は、第1面に塗布される。前記面は、好ましくは皮膚、特にヒトの皮膚である。皮膚から他の表面への物質移動をシミュレートするために、皮膚の代わりに多孔性のスポンジを使用することは優れたアプローチであることが見出されている。
【0084】
接触した物体(第2物体)の表面は、好ましくはガラス表面又はプラスチック又は布地の表面である。
【0085】
表面が布地である場合、化粧品組成物が布地に染みを付ける可能性があるので、化粧品組成物の布地への、特に衣類への望ましくない移動を回避することは極めて有利である。
【0086】
特に、接触面(即ち、第2物体の表面)は、ガラス表面である。
【0087】
最も好ましくは、接触面(即ち、第2物体の表面)は、例えば老眼鏡若しくはサングラス等の又は携帯電話のスマートフォンディスプレイ、コンピューターデバイス又はタブレットのスクリーンのディスプレイのために使用される光学ガラスである。
【0088】
化粧品組成物の物質移動を減少させることによって、前記ガラス表面が指と接触したときに機器の光学ガラス若しくはビジュアルガラス等のガラス上に残される跡、特に指紋の問題は、減少させるか、又は回避することさえできる。特に、これは、表面上に残された前記物質による前記ガラスを通して伝送される光線上への何らかの望ましくない作用を大いに減少、又は回避することさえできる。
【0089】
更に、鏡等の審美的表面、又は車のトップコート若しくは家具若しくは美術品のトップコート等の、高度に光沢があるか又は高度にマットな表面上に残された跡を、強度に減少させることができる。これは、化粧品組成物が塗布されている皮膚とそれらが接触させられた場合、特に、化粧品組成物と以前に接触していた指でそれらが触れられた場合、そのような表面は大量の洗浄メンテナンスを必要とするので、極めて有利である。
【0090】
携帯電話、スクリーンのディスプレイ又はモニター、ラップトップ、携帯電話若しくはタブレットのタッチスクリーン等のディスプレイ装置の表面上に残された跡は、強度に減らすことができる。この結果として、可読性を改善することができる。タッチスクリーンの機能性は表面態様に左右されるので、本発明は、前記ガラス表面を洗浄する過度の必要を伴わずに、タッチスクリーンの一定の機能性を改善するのに更に役立つ。
【0091】
物質移動の減少は更に、それらが皮膚と接触させられた場合に、前記表面の洗浄に関係する労力及びコストを大いに減少させる。
【0092】
[実施例]
本発明について下記の実験によって詳細に例示する。これらの実施例は、例としてのみ提供されるものであり、決して本発明の範囲を限定することは意図していない。
【0093】
[超分岐コポリマー(HBC1)の調製]
モノマーであるドデセニルコハク酸無水物及びジイソプロパノールアミン及びビス-ジメチルアミノプロピルアミンの超分岐コポリマーHBC1は、欧州特許第2794729(B1)号明細書に記載の実施例3に従って、237.59gのN,N-ビス(N’N’-ジメチルアミノプロピル)アミン及び112.6gのジイソプロパノールアミン及び426.89gのドデセニルコハク酸無水物を用いて調製されている。加熱及び真空を加えた後、<0.3meq/g(tritrimetrical分析)AV=9.8mgのKOH/gの残留カルボン酸含量及び2.99meq/g(tritrimetrical分析)のアミン含量及びMn=2240の分子量を得た。この生成物をクロロ酢酸ナトリウム水溶液と反応させ、式:
【化9】

の末端基を有する、及び2.3kDaの分子量Mnを有する超分岐コポリマーHBC1を得るために、H-NMR分析がクロロ酢酸塩の完全な転換を示すまで、80℃で撹拌した。
【0094】
下記の実験において、この超分岐コポリマーHBC1を45%水溶液として使用した。
【0095】
[物質移動]
物質移動は、下記に略述したスポンジ試験を用いて決定された。
- スポンジクロス(Weitawip Claire、Weita AG製:セルロース/綿繊維混合物、200g/m、厚さ5mm)を76mm×26mmの断片にカットする
- スポンジサンプルの風袋を量る
- 350mgの各サンプル(=化粧品組成物)を塗布し、76mm×26mmのスポンジ表面全体に均質に分布させる
- 塗布したサンプルを含むスポンジを計量する
- 顕微鏡スライド(ガラス板:76mm×26mm×1mm)の風袋を量る
- スポンジの上に顕微鏡スライド(ガラス板)を置き、その上にサンプルに特定圧力を印加するために、500gのバランスウェイト(高さ:6.3cm、接触領域の直径:3.7cm)を10秒間置く
- 顕微鏡スライドを注意深く垂直方向に取り除く
- 取り除いた顕微鏡スライドを計量し、ガラス板に移動したサンプルの量をそれに応じて決定する
- 各サンプルについて平均値(average value)(平均値(mean value))を入手するために各組成物について試験を10回繰り返す。
【0096】
[化粧品組成物の調製]
表1による油相の成分(単位:重量%)は結合され、85℃に加熱される。表1による水相の成分(単位:重量%)は結合され、キサンタンガムが完全に溶解されるまで撹拌され、その後80℃に加熱される。これら2相が結合され、10’000rpmで1分間ホモジナイズされている。中等度の攪拌下で、エマルションは35℃に冷却される。実施例で超分岐コポリマーが使用される場合には、今度は各超分岐ポリマー(単位:重量%)が攪拌下でエマルションに添加される。撹拌は、エマルションが室温に達するまで継続されている。使用された組成物の成分の量(100重量%までの合計)は、各組成物が70gの総重量を有するように選択される。
【0097】
【表1】
【0098】
表1の結果は、特異的超分岐コポリマーを備えるサンプルが、前記コポリマーを備えていない各参照(比較)例(「Ref.」)よりも物質移動の有意に大きな減少を有することを明確に示している(1対Ref.1、2対Ref.2、Ref.3対Ref.4)。更にその上、表1の結果は、更に非イオン性乳化剤の影響を明確に証明している。表1は、(ポリ)エチレングリコールのエーテル又はエステルである非イオン性乳化剤が、様々な非イオン性乳化剤(Ref.3、Ref.4)と比較して物質移動の有意に大きな減少を示すことを証明している。
【0099】
上記の実験の、本発明による組成物による肯定的な結果及び物質移動の減少の影響は、更に上記の組成物が指先に塗布され、そしてサムスン(Samsung)S9ディスプレイのタッチスクリーンがそのような指でタッチされた場合にも見いだすことができ、スクリーン上のマーキングの量は視覚的に評価される。