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特許7448155カテーテル、ガイドワイヤ、孔位置特定装置、孔位置特定方法、体内における物体存否判断支援装置、診断支援装置および治療支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】カテーテル、ガイドワイヤ、孔位置特定装置、孔位置特定方法、体内における物体存否判断支援装置、診断支援装置および治療支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/095 20060101AFI20240305BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20240305BHJP
【FI】
A61M25/095
A61M25/00 534
A61B34/20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020210900
(22)【出願日】2020-12-21
(62)【分割の表示】P 2020523828の分割
【原出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2021045625
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2018246344
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519000205
【氏名又は名称】間藤 卓
(73)【特許権者】
【識別番号】519000249
【氏名又は名称】玉田 親造
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】間藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】玉田 親造
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-518738(JP,A)
【文献】特表2013-544112(JP,A)
【文献】米国特許第04248214(US,A)
【文献】特開2014-209930(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207753(WO,A1)
【文献】特開2014-188176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/095
A61M 25/00
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルに挿入されるガイドワイヤであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が前記孔の位置に対応するように一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、膀胱に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように設けられ、かつ、前記光源が膀胱の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるガイドワイヤ。
【請求項2】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルに挿入されるガイドワイヤであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が前記孔の位置に対応するように一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、血管に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように設けられ、かつ、前記光源が血管の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるガイドワイヤ。
【請求項3】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルに挿入されるガイドワイヤであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が前記孔の位置に対応するように一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、気管支または肺に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように設けられ、かつ、前記光源が気管支または肺の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるガイドワイヤ。
【請求項4】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルに挿入されるガイドワイヤであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が前記孔の位置に対応するように一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、食道に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように設けられ、かつ、前記光源が食道の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるガイドワイヤ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のガイドワイヤが挿入されたカテーテル。
【請求項6】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、膀胱に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように前記カテーテルの側部に設けられ、かつ、前記光源が膀胱の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるカテーテル。
【請求項7】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、血管に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように前記カテーテルの側部に設けられ、かつ、前記光源が血管の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるカテーテル。
【請求項8】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、気管支または肺に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように前記カテーテルの側部に設けられ、かつ、前記光源が気管支または肺の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるカテーテル。
【請求項9】
流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルであって、
前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が一つ又は複数設けられ、
前記孔は、少なくとも前記カテーテルの側部に設けられ、
前記カテーテルは、食道に挿入するためのものであり、
前記光源は、前記光源の光の出射方向が前記カテーテルの側方となるように前記カテーテルの側部に設けられ、かつ、前記光源が食道の内部にある状態で直接光を出射したときに体外に光が放出されるものであるカテーテル。
【請求項10】
請求項5~9のいずれかにおいて、
前記光源から出射された光は、カメラにより撮影され、前記カメラに接続された表示装置に前記光源が移動した軌跡が表示されるカテーテル。
【請求項11】
請求項10において、
前記カテーテルは、複数の光源を含み、
前記表示装置に、複数の光源が位置する状態が表示されるカテーテル。
【請求項12】
請求項5~11のいずれかに記載のカテーテルと、
前記カテーテルが体内にある場合に、前記カテーテルの光源を撮影するための撮影手段とを含むカテーテルの孔の位置を特定するための孔位置特定装置。
【請求項13】
請求項5~11のいずれかに記載のカテーテルを人以外の動物の体内に挿入する工程と、
前記カテーテルの光源を発光させる工程と、
前記光源の光を撮影手段で撮影する工程とを含むカテーテルの孔の位置を特定する方法。
【請求項14】
請求項5~11のいずれかに記載のカテーテルを人以外の動物の体内に挿入する工程と、
前記カテーテルの光源を発光させる工程と、
前記光源の光を受光部で受光する工程とを含むカテーテルの孔の位置を特定する方法。
【請求項15】
請求項12に記載の孔位置特定装置を含む、診断支援装置。
【請求項16】
請求項12に記載の孔位置特定装置を含む、治療支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、ガイドワイヤ、孔位置特定装置、孔位置特定方法、体内における物体存否判断支援装置、診断支援装置および治療支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルの位置を特定する方法として、カテーテル上に電極を設け、その電極のインピーダンスにより位置を特定する方法や、磁気位置センサーにより位置特定する方法などが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-519046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、体内にあるカテーテルの孔の位置を容易に特定することができるカテーテル、ガイドワイヤ、孔位置特定装置、孔位置特定方法、体内における物体存否判断支援装置、診断支援装置および治療支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従前、カテーテルの孔の位置を特定しようとする課題認識さえなかったところ、本願発明者らは、カテーテルの孔の位置を特定することで、種々の課題解決を行うことができることを見出した。
【0006】
また、本願発明者らは、カテーテルの孔の位置の把握を容易することができる発明を見出した。具体的には、本願発明者らは、カメラなどの撮影手段により、体内にあるカテーテルに設けられた光源の位置を特定するという発想がなかった中、撮影手段によりその光源の位置を把握することを見出すと共に、その光源の位置を通じて、カテーテルの孔の位置を特定することができることを見出した。
【0007】
さらに、本願発明者らは、体外にある光源からカテーテルまたは光ファイバーを通じて光を導入した場合に、光の損失が大きいこと、光の散光性が低いこと、および、光量が足りないことを見出した。
【0008】
本発明のガイドワイヤの一態様は、流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルに挿入されるガイドワイヤであって、 前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が一つ又は複数設けられたものであることができる。
【0009】
本発明のカテーテルの一態様は、本発明のガイドワイヤが挿入されたものとすることができる。
【0010】
本発明のカテーテルの一態様は、流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔を有するカテーテルであって、前記カテーテルの孔の位置を特定するための光源が一つ又は複数設けられたものであることができる。
【0011】
本発明のカテーテルの一態様は、前記カテーテルの先端の端面が開放されている場合に、その開放された先端の端面から光を発しないものとすることができる。
【0012】
本発明の孔位置特定装置の一態様は、本発明のカテーテルと、前記カテーテルが体内にある場合に、前記カテーテルの光源を撮影するための撮影手段とを含むことができる。
【0013】
本発明の孔位置特定装置の一態様は、前記撮影手段が撮影した画像情報または映像情報に基づく情報を表示する表示装置を含むことができる。
【0014】
本発明の孔位置特定装置の一態様は、前記カテーテルが体内にある場合に、前記カテーテルの光源の光を受光する受光部を含むことができる。
【0015】
本発明の孔位置特定装置の一態様は、第1の情報処理部を含み、前記第1の情報処理部は、前記カテーテルの所定の孔が肺に入っているかどうかを特定する機能を有することができる。
【0016】
本発明の孔位置特定装置の一態様は、第2の情報処理部を含み、前記第2の情報処理部は、前記カテーテルの所定の孔が横隔膜より下にあるかどうか特定することができる。
【0017】
本発明の孔位置特定装置の一態様は、第3の情報処理部を含み、前記第3の情報処理部は、前記カテーテルの所定の孔が消化管の所定の位置または領域にあるかどうかを特定する機能を有することができる。
本発明の孔位置特定装置の一態様は、第4の情報処理部を含み、前記第4の情報処理部は、前記カテーテルの所定の孔が尿管から膀胱までの間の所定の位置または領域にあるかどうかを特定する機能を有することができる。
【0018】
本発明のカテーテルの孔の位置を特定する方法の一態様は、本発明に記載のカテーテルを体内に挿入する工程と、前記カテーテルの光源を発光させる工程と、前記光源の光を撮影手段で撮影する工程とを含むことができる。
【0019】
本発明のカテーテルの孔の位置を特定する方法の一態様として、本発明に記載のカテーテルを体内に挿入する工程と、前記カテーテルの光源を発光させる工程と、前記光源の光を受光部で受光する工程とを含むことができる。
【0020】
本発明の物体存否判断支援装置は、体内の所定の部位または器官において物体が存在するかどうかの判断を支援するためのものであり、本発明に記載の孔位置特定装置を含む。
【0021】
本発明の診断支援装置は、本発明に記載の孔位置特定装置を含む。
【0022】
本発明の治療支援装置は、本発明に記載の孔位置特定装置を含む。
【0023】
ここで、流動性物質とは、流動性があるものをいい、液体、液体と固体との混合物を含む概念である。体内とは、人間または動物の体内を意味するものとする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、カテーテルの孔の絶対位置を容易に特定することができる。
カテーテルの孔から流動性物質を排出または吸引するに当たって、所定位置にあるかどうか重要である。カテーテルの孔が適切な位置になく、たとえば、肺に入ってしまい、栄養剤や液状物が孔を通じて肺に流れ込んでしまった場合には、誤嚥性肺炎などの問題も生じるところ、本発明によれば、そのような問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態に係るガイドワイヤを模式的に示す図である。
図2図2(A)は、ガイドワイヤが挿入されるカテーテルの一例を模式的に示す図である。図2(B)は、ガイドワイヤがカテーテルに挿入されたときの状態を模式的に示す図である。
図3図3(A)は、カテーテルの一例を模式的に示す図である。図3(B)は、ガイドワイヤがカテーテルに挿入されたときの状態を模式的に示す図である。
図4図4(A)および(B)は、カテーテルの一例を模式的に示すである。
図5】実施の形態に係るカテーテルを模式的に示す図である。
図6図6(A)は光源のカテーテルへの実装例を模式的に示す図である。図6(B)は図6(A)のA1-A1線に沿った断面を模式的に示す図である。
図7】光源のカテーテルへの実装例を模式的に示す図である。
図8図8(A)はカテーテルの挿入促進部材に光源を実装した例を模式的に示す図である。図8(B)は図8(A)のA2-A2線に沿った断面を模式的に示す図である。
図9】光源の光出射方向を説明するための図である。
図10】カテーテルの孔の位置を特定するための孔位置特定装置を模式的に示す図である。
図11】カテーテルの孔の位置を特定するための孔位置特定装置の撮影手段により光源を撮影した場合における、光源の撮影画像を模式的に示す図である。
図12】カテーテルの孔の位置を特定するための孔位置特定装置を模式的に示す図である。
図13】カテーテルの孔の位置を特定する意義を説明するための図である。
図14】カテーテルの孔の位置を特定する意義を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
1.ガイドワイヤ
実施の形態に係るガイドワイヤ20は、カテーテル30に挿入されるものであり、図1に示すように、光源10が設けられている。
【0028】
カテーテル30は、図2(A)、図3(A)または図4に示すような態様とすることができる。カテーテル30には、流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔32が少なくとも一つ設けられている。体内に入れる流動性物質としては、たとえば、栄養剤や薬剤などが挙げられる。体内から吸引する流動性物質としては、たとえば、胃液などが挙げられる。カテーテル30の孔32は、側面に設けてもよいし、先端を開放端にして設けてもよい。
【0029】
ガイドワイヤ20に設けられる光源10は、一つ又は複数とすることができる。ガイドワイヤ20をカテーテル30に挿入したときに、光源10が孔32の位置に対応するように設けられている。つまり、光源10の光が孔32を通じて外部に放出されるような位置に、ガイドワイヤ20に光源10が設定されている。ガイドワイヤ20には配線(導線)36が束ねられるようにして設けられることができる。その配線36を通じて光源10に電気を供給することができる。
【0030】
図2(A)に示されるカテーテル30は、先端にガイドワイヤ20のストッパー機能を有する挿入促進部材(オリーブ)34が設けられている。挿入促進部材34にも孔32を設けてもよい。図3(A)に示されるカテーテル30は、先端にガイドワイヤ20の挿入促進部材34がない態様のものである。図3(B)に、図3(A)のカテーテル30にガイドワイヤ20を挿入したときの状態を模式的に示す。図4(A)に示されるカテーテル30は、先端側に重りを保持する重り保持部38を有する態様のものである。なお、図4(B)に示すように、孔32が一つであってもよい。図2図4に示されるカテーテル30に光源10を設けてもよい。
【0031】
2.カテーテル
実施の形態に係るカテーテル30は、流動性物質を体内に入れるため、または、体内の流動性物質を吸引するための孔32を有する。カテーテル30の孔32の位置を特定するための光源10が一つ又は複数設けられている。具体的には、光源10は、図5に示すように、カテーテル30の孔32に対応する位置に設けられている。光源10は、孔32との関係において軸方向で隣り合う位置に設けられてもよいし、カテーテル30の孔32の横方向に位置するカテーテル30の部位に設けられてもよい。カテーテル30には配線(導線)36が設けられ、その配線36は光源10に電気的に接続されている。カテーテル30に配線36を設けることで、カテーテル30の弾力性を保ちつつ、折れにくくすることで、カテーテル30を所定の位置に挿入しやすくする、という副次的効果が得られる。
【0032】
3.光源および光源の実装態様
光源10は、公知のものを適用することができ、LED電球などのLED光源とすることができる。光源10の光は、体を容易に通過しやすい光であることが好ましく、たとえば、近赤外線とすることができる。
【0033】
図5では、光源10はカテーテル30の上に載置されている態様が示されている。図6では、光源10がカテーテル30に埋め込まれる形態が示されている。図6(B)は、図6(A)のA1-A1線に沿った断面を模式的に示すである。図6(B)に示されるように、カテーテル30の孔32の横方向に位置するカテーテル30の部位であって、カテーテル30にはめ込むように設けてもよい。
【0034】
図7に示すように、カテーテル30の孔32の横方向に位置するカテーテル30の部位ではなく、軸方向で隣り合う位置のカテーテル30の周囲に複数(たとえば、3つまたは4つ)の光源10を設けてもよい。このように光源10を複数設けることで、軸方向を中心として、光源10の光をより広い範囲に確実に行き渡ることになる。
【0035】
図8に示すように、カテーテル30の挿入促進部材34に光源10を設けてもよい。第1の光源10aは、たとえば、カテーテル30の軸方向に対して横方向に光を出射するものとすることができる。第2の光源10bは、カテーテル30の軸方向に光を出射するものとすることができる。これにより、体位や姿勢が変化しても、撮影手段42が光源10の光をより確実に撮影することができる。
【0036】
図9に示すように、光源10は、複数の発光素子を含んで構成されることもできる。具体的には、光源10は、軸方向に光を発する発光素子10cと、軸方向に交差する方向(たとえば横方向)に発する発光素子10dとを含むことができる。また、軸方向に発する光源10と、軸方向に交差する方向(たとえば横方向)に発する光源10とを複数設けてもよい。これにより、体位や姿勢が変化しても、撮影手段42が光源の光をより確実に撮影することができる。
【0037】
同じ孔32を特定するための光源10を複数設け、複数の光源10の各波長を変えることで、その孔32がどの方向を向いているかを特定することができる。
【0038】
カテーテル30に複数の孔32があり、複数の孔32ごとに光源10を設ける場合を考える。その場合には、特定する孔32が異なる光源10同士の光の波長を変えることで、どの孔32がどの位置にあるかを特定することができる。
【0039】
4.カテーテルの適用例
実施の形態に係るカテーテル30としては、たとえば、口から肛門までの管内、脳血管を含む血管内、尿管および膀胱への適用例が考えられる。
【0040】
5.孔位置特定装置および孔位置特定方法
カテーテル30の孔32の位置を特定するための孔位置特定装置40は、図10に示すように、実施の形態に係るカテーテル30と、カテーテル30が体内にある場合に、カテーテル30の光源10を撮影するための撮影手段42とを含むことができる。ここで、実施の形態に係るカテーテル30とは、光源10が設けられたガイドワイヤ20をカテーテル30に挿入したもの、および、光源10がカテーテル30に設けられたものを含むものとする。
【0041】
撮影手段42は、光源10の光を撮影することができるものであれば特に限定されず、たとえば、CCDカメラ、天体観測用のカメラなどのカメラを適用することができる。撮影手段42は、光源10が近赤外線を発光するものであれば、近赤外線を遮断するフィルタを取り外したカメラ(デジタルカメラを含む)とすることができる。撮影手段42により撮影すると、図11に示すように、光源10の部分が光った撮影画像また撮影映像を取得できる。
【0042】
孔位置特定装置40は、撮影手段42が撮影した画像情報または映像情報に基づく情報を表示する表示装置を含むことができる。
【0043】
孔位置特定装置40は、図12に示すように、実施の形態に係るカテーテル30が体内にある場合に、カテーテル30の光源10の光を受光する受光部46を含むことができる。受光部46は、光源10との関係で決まるが、光源10がLED光源の場合には、たとえばダイオードにより構成することができる。受光部46の受光状態を表示装置に表示してもよい。
【0044】
複数の光源10により複数の孔32の位置を特定することの意義の一例を図13および図14を用いて説明する。カテーテル30が胃に入っている場合を例にとると、カテーテル30において複数の孔32を有する場合に、後端側から先端側にいくにしたがって、孔32の位置が上から下に順次向かうとは限らない。つまり、途中の孔32は胃内にあるものの、先端が噴門よりも上にきている場合や、2つの孔32が胃内の位置にあっても、その2つの孔32の間の孔32が噴門の上にあったりする場合などがある。このような場合に、光源10を撮影手段42により撮影し、孔32の位置を特定することで、カテーテル30がどのような形態で胃内にあるかどうかを知ることができる。
【0045】
表示装置は、表示できるものあれば特に限定されず、たとえば、公知のディスプレイなどを適用することができる。
【0046】
表示装置に表示される撮影画像または映像内に、横隔膜や肺などの所定の部分や器官の位置が表示されるようにしてもよい。横隔膜や肺などの位置は、撮影手段42により捉えるようにしてもよいし、別の検査装置、たとえばX線装置などにより把握してもよい。
【0047】
撮影手段42により複数の光源10からの光を撮影し、その撮影画像を表示装置に表示することで、カテーテル30の体内における姿を捉えることも可能である。また、一つの光源10に着目し、その撮影情報または受光情報から、表示装置にその光源10が移動した軌跡を表示することもできる。カテーテル30に複数の孔32があり、複数の孔32ごとに光源10を設け、特定する孔32が異なる光源10同士の光の波長を変えた場合には、撮影手段42または受光部46により、光の波長を捉えることで、どの孔32がどの位置にあるかを特定することができる。
【0048】
孔位置特定装置40は、情報処理部を含むことができる。情報処理部は、たとえば、次の第1~第4の情報処理部を有することができる。
【0049】
第1の情報処理部は、カテーテル30の所定の孔32が肺に入っているかどうかを特定する機能を有する。
【0050】
第2の情報処理部は、カテーテル30の所定の孔32が横隔膜より下にあるかどうか特定する機能を有する。
【0051】
第3の情報処理部は、カテーテル30の所定の孔32が消化管の所定の位置または領域にあるかどうかを特定する機能を有する。消化管の所定の位置とは、たとえば、胃、十二指腸、大腸、小腸の所定の位置を挙げることができる。消化管の所定の領域とは、胃、十二指腸、大腸、小腸などの器官の領域またはその一部の領域などを挙げることができる。
【0052】
第4の情報処理部は、カテーテル30の所定の孔32が尿管から膀胱までの間の所定の位置または領域にあるかどうかを特定する機能を有する。
【0053】
情報処理部の処理は、電子計算機により行うことができる。電子計算機と撮影手段42とが接続され、情報処理部が撮影手段42により撮影した撮影情報を処理し、処理した情報を表示装置に表示してもよい。
【0054】
カテーテル30の孔32の位置を特定する方法の第1の態様としては、実施の形態に係るカテーテル30を体内に挿入する工程と、そのカテーテル30の光源10を発光させる工程と、光源10の光を撮影手段42で撮影する工程とを含むものがある。
【0055】
カテーテル30の孔32の位置を特定する方法の第2の態様としては、実施の形態に係るカテーテル30を体内に挿入する工程と、そのカテーテル30の光源10を発光させる工程と、光源10の光を受光部46で受光する工程とを含むものがある。
【0056】
この第1の態様および第2の態様を組み合わせてもよい。
【0057】
光源10は制御装置48により制御することができる。制御装置48は、配線36を介して、光源10に電気的に接続されていることができる。
【0058】
6.体内における物体存否判断支援装置
実施の形態に係る孔位置特定装置40は、カテーテル30が存在する器官、たとえば、胃や腸などに、液状物や固形物が存在しているかどうかを判断するための物体存否判断支援装置として適用することができる。体内にある光源10の光を撮影し、その撮影画像の色相、明度および彩度の少なくとも一種の違い、または受光部46の光量の違い、もしくは、照度の違いなどから、カテーテル30が存在する器官に物体が存在するかどうかを判断することができる。光の波長の透過により、体内に存在する内容物を把握してもよい。
【0059】
7.診断支援装置
実施の形態に係る孔位置特定装置40は、カテーテル30が存在する体内の器官、たとえば、胃や腸などの表面や、その表面と皮膚との間の体の部分の状態の診断を支援する装置として使用することができる。体内にある光源10の光を撮影し、その撮影画像の色相、明度および彩度の少なくとも一種の違い、または受光部46の光量の違い、もしくは、照度の違いなどから、カテーテル30が存在する体内の器官、たとえば、胃や腸などの表面や、その表面と皮膚との間の体の部分の状態を把握することができる。
【0060】
光源10が近赤外線を発する光の場合には、オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンを計測して、受光素子などの検知装置により体内を通過した近赤外線を検知し、その透過波長の強度により酸素濃度を導出してもよい。
【0061】
診断支援装置は、種々の診断装置に適用することができる。
【0062】
8.治療支援装置
実施の形態に係る孔位置特定装置40は、体内にあるカテーテル30の光源(ガイドワイヤ20の光源10を含む)10を撮影手段42で撮影し、その光源10により孔32の位置を認識しながら、この光を通じて、がん細胞を死滅またはがん細胞の活性を低減させるための治療支援装置として、適用することができる。
【0063】
治療支援装置は、種々の治療装置に適用することができる。
【0064】
9.作用効果
電極のインピーダンスでカテーテル30の位置を特定することが考えられるが、そのカテーテル30の位置は相対位置としてしか把握ができない。また、磁気センサーの場合には、磁気センサーがずれると、正確な位置を把握できない。
【0065】
本実施の形態によれば、カテーテル30の光源10に基づいて、位置を特定することができるため、孔32の位置を的確に特定することができる。また、表示装置に光源10の光を撮影した画像または映像を表示することで、孔32の位置を視覚的に容易に把握することができる。
【0066】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、カテーテルおよびカテーテルを利用した種々の物に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 光源
20 ガイドワイヤ
30 カテーテル
32 孔
34 挿入促進部材
36 配線
40 孔位置特定装置
42 撮影手段
44 表示装置
46 受光部
48 制御装置
図1
図2
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