(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】結合具及びこれを用いた結合方法
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20240305BHJP
F16B 23/00 20060101ALI20240305BHJP
F16B 25/00 20060101ALI20240305BHJP
F16B 35/00 20060101ALI20240305BHJP
F16B 37/14 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F16B5/02 V
F16B23/00 B
F16B25/00 A
F16B25/00 J
F16B35/00 J
F16B37/14 C
(21)【出願番号】P 2019216321
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】509191780
【氏名又は名称】浅川組運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】南出 好宣
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特許第5337602(JP,B2)
【文献】実用新案登録第2533340(JP,Y2)
【文献】実開昭60-129513(JP,U)
【文献】特表平06-503149(JP,A)
【文献】特開2007-187189(JP,A)
【文献】特表2012-509095(JP,A)
【文献】実開平07-025327(JP,U)
【文献】特開2013-166594(JP,A)
【文献】特開2014-145427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00- 5/12
F16B 25/00
F16B 23/00
F16B 35/00
F16B 37/14
B65D 6/00- 13/02
B23B 1/00- 43/00
B23B 23/00- 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のライナー同士の間に中空を形成する中芯を備えたダンボールにより梱包部材を組み立てる際に、前記ダンボール同士が互いに重なり合う重合部を結合するように当該重合部に対し差し込まれる結合具であって、
軸体の基端に位置決めフランジが突設されているとともに前記軸体の先端部にその先端から基端側へ向かうに従い拡径する螺旋突条が突設され、かつ前記軸体の軸心に沿って当該軸体を貫通する貫通孔が設けられた合成樹脂製の結合部材と、
この結合部材の前記貫通孔に対し前記軸体の基端側から先端が挿通される挿入棒体を有し、かつ前記挿入棒体の基端に一体的に設けられた回転軸部を有する金属製のビットと、を備え、
前記貫通孔及び前記挿入棒体は、当該貫通孔に対し当該挿入棒体を挿通した状態で一体回転可能に係合するようにそれぞれ
断面略十字形状に形成され、
前記挿入棒体は、前記貫通孔に挿通した際に先端が前記軸体の先端よりも突出する長さに設定されているとともに、その突出する最先端が先細刃先に形成されて
おり、
前記螺旋突条における前記軸体の先端側の始端は、前記挿入棒体の断面略十字形状の4つの突片のうちの1つの突片に連続するように配置されていて、
前記結合部材の貫通孔に前記挿入棒体を挿通した状態で前記重合部に対する前記回転軸部の回転により前記
螺旋突条を前記挿入棒体の最先端の螺入に伴い前記重合部の表裏方向一側から表裏方向他側に露出するまで螺入させた状態で前記挿入棒体を抜き取るようにしていることを特徴とする結合具。
【請求項2】
前記結合部材の軸体における前記位置決めフランジと前記螺旋突条との間の長さは、前記複数のダンボールの重合部の厚さよりも短く設定され、
前記複数のダンボールの重合部は、前記螺旋突条を前記重合部の表裏方向他側に露出するまで螺入した際に前記位置決めフランジと前記螺旋突条との間で圧縮された状態で挟持されている請求項1に記載の結合具。
【請求項3】
前記結合部材は、前記重合部の表裏方向他側から露出する前記螺旋突条を係合した状態で覆う蓋部材を備えている請求項1又は請求項2に記載の結合具。
【請求項4】
複数枚のライナー同士の間に中空を形成する中芯を備えたダンボールにより梱包部材を組み立てる際に、前記ダンボール同士が互いに重なり合う重合部を結合するように当該重合部に対し差し込まれる結合具を用いた結合方法であって、
軸体の基端に位置決めフランジが突設されているとともに前記軸体の先端部にその先端から基端側へ向かうに従い拡径する螺旋突条が突設され、かつ前記軸体の軸心に沿って当該軸体を貫通する貫通孔が設けられた結合部材と、
この結合部材の前記貫通孔に対し前記軸体の基端側から先端が挿通される挿入棒体を有し、かつ前記挿入棒体の基端に一体的に設けられた回転軸部を有するビットと、を具備し、
前記貫通孔に対し一体回転可能に係合するようにそれぞれ
断面略十字形状に形成された前記挿入棒体を挿通して、当該挿入棒体の先端を前記軸体の先端より突出させてから、
前記重合部に対し前記挿入棒体の先細刃先に形成した最先端を前記回転軸部の回転により前記重合部の表裏方向一側から螺入させ、
その後、前記挿入棒体の最先端の螺入に伴い
、当該挿入棒体の4つの突片のうちの1つの突片に連続するように軸体の先端側の始端が配置された前記螺旋突条を前記重合部の表裏方向他側に露出するまで螺入させてから、
前記結合部材の貫通孔から前記挿入棒体を抜き取るようにしていることを特徴とする結合具を用いた結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚紙やプラスチックよりなる複数枚のライナー同士の間に中空を形成する中芯を備えたダンボールにより梱包部材を組み立てる際に、ダンボール同士が互いに重なり合う重合部を結合する結合具及びこれを用いた結合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ダンボールから箱型の梱包部材を組み立てる際には、ステッチングマシン(ステッチャー)を用いて、ダンボール同士が互いに重なり合う重合部を結合するようにしている。
【0003】
しかしながら、ダンボールの組立てに用いられるステッチングマシンは大型の特殊な装置であるため、ダンボールから梱包部材を組み立てるには、ステッチングマシンが備えられた特定の場所でしか行なえない。
【0004】
そのため、ステッチングマシンが備えられた場所にて梱包部材を組み立てた上で、その梱包部材を商品の梱包場所まで配送する必要があった。
【0005】
従って、ステッチングマシンにより梱包部材を組み立てる場合には、多大な手間を要する上、箱型に組まれた梱包部材を梱包場所で保管するに際して保管場所を確保する必要がある。しかも、保管場所で梱包部材が組み立てられていると、保管場所から梱包する現地まで搬送する際に梱包部材が嵩張ってしまい、運送効率が非常に悪化する。
【0006】
かかる点から、従来より、ダンボールから梱包部材を組み立てる際に、ダンボール同士を重ね合わせた重合部に表裏方向に貫通する貫通孔を開設し、重合部の表裏方向一側から基端に位置決めフランジが突設されかつ軸体の内側に雌螺子部を有する雌締結具を挿通する一方、重合部の表裏方向一側から基端に位置決めフランジが突設されかつ軸体の外側に雄螺子部を有する雄締結具を挿通し、互いのフランジにより重合部を表裏方向両側から押圧して結合するまで雌締結具の雌螺子部に対し雄締結具の雄螺子部を螺着するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。このものによれば、ステッチングマシンを用いることなく、梱包場所において梱包部材を組み立てることが可能となり、組み立てた梱包部材による保管場所の確保や運送効率の悪化も解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のものでは、ダンボールから梱包部材を組み立てる際に、雄締結具に加えて雌締結具を必要とする上、重合部に表裏方向に貫通する貫通孔を予め開設しておかなければならない。そのため、貫通孔の開設作業が必要となる上、雌締結具の雌螺子部に対し雄締結具の雄螺子部を螺着しなければならず、梱包部材の組立てに手間を要し、組立作業自体が非常に煩雑なものとなる。
【0009】
そこで、軸体の基端に位置決めフランジが突設されているとともに軸体の先端部にその先端から基端側へ向かうに従い拡径する螺旋突条が突設された合成樹脂製の結合部材を用いて、ダンボール同士の重合部に対し表裏方向一側から結合部材の軸体の螺旋突条をフランジが当接するまで螺入させてダンボール同士を重合部にて結合することが考えられる。
【0010】
このような提案のものによれば、ダンボール同士の重合部に対し表裏方向一側から結合部材の軸体が先端部の螺旋突条により螺入してダンボール同士を重合部にて結合し、貫通孔の開設作業及び雌締結具を不要にして雄状の結合部材による梱包部材の組立ての簡略化を可能にして、組立作業自体の簡単化を図ることが可能となる。
【0011】
しかし、この提案のものにおいても、以下に述べるような課題が存在する。すなわち、提案のものでは、結合部材が合成樹脂により成形されているため、ダンボール同士の重合部に対し表裏方向一側から差し込まれる螺旋突条の先端が材質ゆえに脆く、表裏方向一側から円滑に差し込めない事態が発生するおそれがある。しかも、螺旋突条の先端が表裏方向一側から差し込めたとしても、複数のライナーを貫通する度の磨耗によって先端が変形したり丸くなったりして、新たなライナーを貫通するのが困難となり、ダンボール同士の重合部を円滑に結合できないおそれもある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、合成樹脂製の結合部材故に材質的に脆い螺旋突条の先端を効果的に保護し得る改良を加え、ダンボール同士の重合部に対し表裏方向一側から円滑に差し込めて重合部を確実に結合することができる結合具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明では、複数枚のライナー同士の間に中空を形成する中芯を備えたダンボールにより梱包部材を組み立てる際に、前記ダンボール同士が互いに重なり合う重合部を結合するように当該重合部に対し差し込まれる結合具を前提とする。更に、軸体の基端に位置決めフランジが突設されているとともに前記軸体の先端部にその先端から基端側へ向かうに従い拡径する螺旋突条が突設され、かつ前記軸体の軸心に沿って当該軸体を貫通する貫通孔が設けられた合成樹脂製の結合部材と、この結合部材の前記貫通孔に対し前記軸体の基端側から先端が挿通される挿入棒体を有し、かつ前記挿入棒体の基端に一体的に設けられた回転軸部を有する金属製のビットと、を備える。また、前記貫通孔及び前記挿入棒体を、当該貫通孔に対し当該挿入棒体を挿通した状態で一体回転可能に係合するようにそれぞれ断面略十字形状に形成し、前記挿入棒体を、前記貫通孔に挿通した際に先端が前記軸体の先端よりも突出する長さに設定するとともに、その突出する最先端を先細刃先に形成する。更に、前記螺旋突条における前記軸体の先端側の始端を、前記挿入棒体の断面略十字形状の4つの突片のうちの1つの突片に連続するように配置する。そして、前記結合部材の貫通孔に前記挿入棒体を挿通した状態で前記重合部に対する前記回転軸部の回転により前記螺旋突条を前記挿入棒体の最先端の螺入に伴い前記重合部の表裏方向一側から表裏方向他側に露出するまで螺入させた状態で前記挿入棒体を抜き取るようにしたことを特徴としている。
【0015】
また、前記結合部材の軸体における前記位置決めフランジと前記螺旋突条との間の長さを、前記複数のダンボールの重合部の厚さよりも短く設定し、前記複数のダンボールの重合部を、前記螺旋突条を前記重合部の表裏方向他側に露出するまで螺入した際に前記位置決めフランジと前記螺旋突条との間で圧縮した状態で挟持していてもよい。
【0016】
更に、前記結合部材に、前記重合部の表裏方向他側から露出する前記螺旋突条を係合した状態で覆う蓋部材を設けていてもよい。
【0017】
これに対し、前記目的を達成するため、本発明では、複数枚のライナー同士の間に中空を形成する中芯を備えたダンボールにより梱包部材を組み立てる際に、前記ダンボール同士が互いに重なり合う重合部を結合するように当該重合部に対し差し込まれる結合具を用いた結合方法を前提とする。更に、軸体の基端に位置決めフランジが突設されているとともに前記軸体の先端部にその先端から基端側へ向かうに従い拡径する螺旋突条が突設され、かつ前記軸体の軸心に沿って当該軸体を貫通する貫通孔が設けられた合成樹脂製の結合部材と、この結合部材の前記貫通孔に対し前記軸体の基端側から先端が挿通される挿入棒体を有し、かつ前記挿入棒体の基端に一体的に設けられた回転軸部を有する金属製のビットと、を具備する。そして、前記貫通孔に対し一体回転可能に係合するようにそれぞれ断面略十字形状に形成された前記挿入棒体を挿通して、当該挿入棒体の先端を前記軸体の先端よりも突出させてから、前記重合部に対し前記挿入棒体の先細刃先に形成した最先端を前記回転軸部の回転により前記重合部の表裏方向一側から螺入させる。その後、前記挿入棒体の最先端の螺入に伴い、当該挿入棒体の4つの突片のうちの1つの突片に連続するように軸体の先端側の始端が配置された前記螺旋突条を前記重合部の表裏方向他側に露出するまで螺入させてから、前記結合部材の貫通孔から前記挿入棒体を抜き取るようにすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
以上、要するに、結合部材の貫通孔にビットの挿入棒体を挿通してその先端を軸体の先端よりも突出させ、重合部に対する回転軸部(ビット)の回転により螺旋突条を挿入棒体の最先端の螺入に伴い重合部の表裏方向一側から表裏方向他側まで螺入させた状態で挿入棒体を抜き取ることで、合成樹脂製の結合部材の材質的に脆い螺旋突条の先端がそれよりも突出するビットの挿入棒体の先端により穿設した穿設孔に導かれて保護される。このため、螺旋突条の先端が重合部の表裏方向一側から円滑に差し込めない事態が発生したり、複数のライナーを貫通する度の磨耗によって先端が変形したり丸くなったりすることを効果的に防止できる。これにより、ダンボール同士の重合部に対し螺旋突条の先端が挿入棒体の先端の螺入に伴い重合部の表裏方向一側から表裏方向他側に露出するまで円滑に差し込めて重合部を結合部材によって確実に結合することができる。このとき、表裏方向他側に露出する螺旋突条の先端は、重合部の表裏方向一側に対し直接差し込まれずにビットの挿入棒体の先端により穿設した穿設孔に導かれて螺入することから、尖らせる必要がなく安全である。
【0019】
また、貫通孔及び挿入棒体をそれぞれ断面略十字形状に形成し、螺旋突条における軸体の先端側の始端を挿入棒体の断面略十字形状の4つの突片のうちの1つの突片に連続するように配置することで、螺旋突条の始端を挿入棒体の1つの突片によって重合部の表裏方向一側に対しスムーズに案内することができる。
【0020】
また、位置決めフランジと螺旋突条との間の長さを重合部の厚さよりも短く設定し、複数のダンボールの重合部を、螺旋突条を重合部の表裏方向他側に露出するまで螺入した際に位置決めフランジと螺旋突条との間で圧縮した状態で挟持することで、螺旋突条と位置決めフランジとの間で作用する圧縮時の反力によってダンボール同士の重合部を強固に結合することができる。
【0021】
更に、重合部の表裏方向他側から露出する螺旋突条を係合した状態で覆う蓋部材を結合部材に設けることで、螺旋突条を蓋部材によって覆うことができ、重合部の表裏方向他側が梱包部材の内側となる場合に内部の収容物を螺旋突条の先端から効果的に保護することができる一方、重合部の表裏方向他側が梱包部材の外側となる場合に外方に接する接触物を螺旋突条の先端から効果的に保護することができる。
【0022】
しかも、結合部材の貫通孔に挿通した際に軸体の先端よりも突出するビットの挿入棒体の先端を重合部に対する回転軸部の回転により螺入させ、この螺入に伴い螺旋突条を重合部の表裏方向一側から表裏方向他側に露出するまで螺入させてから挿入棒体を抜き取ることで、合成樹脂製の結合部材の材質的に脆い螺旋突条の先端をそれよりも突出するビットの挿入棒体の先端により穿設した穿設孔により導いて効果的に保護し、これによってダンボール同士の重合部に対し表裏方向一側から表裏方向他側に露出するまで螺旋突条を円滑に差し込んで重合部を確実に結合することが可能な結合具を用いた結合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明にかかる結合具により組み立てられた梱包部材の概略斜視図である。
【
図2】
図1の梱包部材を構成する蓋のダンボール同士の重合部付近を示す斜視図である。
【
図3】
図1の梱包部材を構成する箱本体のダンボール同士の重合部付近を示す斜視図である。
【
図4】
図1の梱包部材の箱本体のその他のダンボール同士の重合部付近を示す斜視図である。
【
図5】
図1の結合具の結合部材による重合部での結合状態を示す断面図である。
【
図9】
図5の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通される前の状態を軸線方向一側から見た結合具の斜視図である。
【
図10】
図5の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通される前の状態を軸線方向他側から見た結合具の斜視図である。
【
図11】
図5の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通された状態を軸線方向一側から見た結合具の斜視図である。
【
図12】
図5の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通された状態を軸線方向他側から見た結合具の斜視図である。
【
図14】
図13の結合具による重合部での結合状態を示す断面図である。
【
図15】
図14の結合部材の貫通孔からビットの挿入棒体を抜き取った状態を示す結合具の縦断正面図である。
【
図16】
図15の結合部材の螺旋突条を覆う蓋部材の斜視図である。
【
図17】
図16の螺旋突条を覆った状態を示す結合部材及び蓋部材の縦断正面図である。
【
図18】本発明の変形例に係る結合部材の螺旋突条を覆う蓋部材の斜視図である。
【
図19】
図18の螺旋突条を覆った状態を示す結合部材及び蓋部材の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る結合具を図面に基づいて説明する。裏
【0025】
図1は本発明にかかる結合具により組み立てられた梱包部材の概略斜視図、
図2は
図1の梱包部材を構成する蓋のダンボール同士の重合部付近を示す斜視図を示している。また、
図3は
図1の梱包部材を構成する箱本体のダンボール同士の重合部付近を示す斜視図、
図4は
図1の梱包部材の箱本体のその他のダンボール同士の重合部付近を示す斜視図をそれぞれ示している。更に、
図5は、
図1の結合具の結合部材による重合部での結合状態を示す断面図を示している。
【0026】
図1~
図4に示すように、符号Xで示す梱包部材は、直方体に組まれた箱本体X1(ス
リーブ)と、この箱本体X1の底側開口を閉鎖するパレットX2(スキッド)と、箱本体X1の上部開口を閉鎖する蓋体X3とから構成され、これら各構成部材X1~X3は、二層構造のダンボールD(
図5に表れる)によってそれぞれ形成されている。
【0027】
ダンボールDは、紙により形成され、
図5に示すように、表ライナーD1と中ライナーD2との間及び中ライナーD2と裏ライナーD3との間にそれぞれ中空を形成する中芯D4,D5を介在させた既知の二層構造のものが用いられている。このとき、表ライナーD1と中ライナーD2との間隔よりも中ライナーD2と裏ライナーD3との間隔が狭く設定されているため、表ライナーD1と中ライナーD2との間の中芯D4のスパンが中ライナーD2と裏ライナーD3との間の中芯D5のスパンよりも密となっている。
【0028】
また、ダンボールDの表ライナーD1と中ライナーD2との間は略3mmに設定され、中ライナーD2と裏ライナーD3との間は略5mmにそれぞれ設定されている。これにより、ダンボールDの厚さは、合わせて略8mmとなっている。
【0029】
箱本体X1は、断面略矩形状の2面を構成する平面視でL字状に折り曲げられた2枚の側板部X11,X11の一端にそれぞれフラップX12を設けて、当該各フラップX12と、この各フラップX12が各側板部X11の他端と重なり合う重合部Zを結合部材2により結合することで断面略矩形状に組み立てられる。このとき、重合部Zの厚さは、2枚のダンボールDの厚さの2倍となり、合わせて略16mmとなる。
【0030】
パレットX2は、箱本体X1の底側開口を閉鎖する平面視矩形状のパレット本体X21と、このパレット本体X21の両端部に設けられたフラップX22とからなる。このフラップX22は、パレット本体X21に対して略90度折り曲げられ、箱本体X1の側板部X11と重なり合う重合部Zに結合部材2によって結合することで、箱本体X1の下面に組み付けられるようになっている。
【0031】
蓋X3は、箱本体X1の上部開口を閉鎖する平面視矩形状の蓋本体X31と、この蓋本体X31の4方端縁から略90度屈曲させた側板部X32と、この側板部X32の長さ方向一端に設けたフラップX33を備えている。そして、フラップX33は、これと隣接する側板部X32と重なり合う重合部Zに対し結合部材2により結合され、これによって蓋X3が組み立てられるようになっている。
【0032】
以上のダンボールDから形成される梱包部材Xの各構成部材X1~X3を組み立てるための結合部材2は、ダンボールDを立体的に組み立てて梱包部材Xを作成する際に、2枚のダンボールD,D同士が互いに重なり合う重合部Zに対し差し込んで結合するために供される。
【0033】
図6は
図5の結合部材の縦断正面図、
図7は
図5の結合部材の背面図、
図8は
図5の結合部材の平面図をそれぞれ示している。また、
図9は
図5の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通される前の状態を軸線方向一側から見た結合具の斜視図、
図10は
図9の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通される前の状態を軸線方向他側から見た結合具の斜視図をそれぞれ示している。更に、
図11は
図5の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通された状態を軸線方向一側から見た結合具の斜視図、
図12は
図11の結合部材の貫通孔に対しビットが挿通された状態を軸線方向他側から見た結合具の斜視図をそれぞれ示している。このとき、軸線方向一側は結合部材2の螺旋突条側及びビットの挿入棒体側のことであり、軸線方向他側は結合部材2の位置決めフランジ側及びビットの回転軸部側のことである。
【0034】
図6~
図12に示すように、結合部材2は、PP(ポリプロピレン)やPA(ポリアミド)などのプラスチックから形成された合成樹脂製のものであって、特殊合金鋼などから形成された金属製の専用ビット3とを合わせて、結合具1を構成している。
【0035】
結合部材2は、軸体21の基端に突設された円板状の位置決めフランジ22を備えているとともに、軸体21の先端部に突設された螺旋突条23を備えている。この螺旋突条23は、軸体21の先端から基端側へ向かうに従い螺旋を描きながら拡径している。また、結合部材2は、軸体21の軸心に沿って当該軸体21を貫通する貫通孔24を備えている。
【0036】
一方、専用ビット3は、結合部材2の貫通孔24に対し軸体21の基端側となる位置決めフランジ22側から先端が挿通される挿入棒体31を備えている。また、専用ビット3は、挿入棒体31の基端に一体的に設けられた回転軸部32を備えている。この回転軸部32は、断面六角形状に形成され、図示しない電動ドライバのチャックに装着されて専用ビット3を軸回りに電動で回転させる。なお、回転軸部32は、手動式のドライバのチャックにも装着可能である。
【0037】
結合部材2の貫通孔24及び専用ビット3の挿入棒体31は、貫通孔24に対し挿入棒体31を挿通した状態で一体回転可能に係合するようにそれぞれ断面非真円形状、具体的には断面略十字形状に形成されている。
【0038】
挿入棒体31は、その軸芯に対し直交する十字方向にそれぞれ突出する4つの突片33,33,…を備えている。また、挿入棒体31は、結合部材2の貫通孔24に挿通した際に先端が軸体21の先端よりも突出して露出するような長さに設定されている。この挿入棒体31の最先端は尖った形状に形成されている。この場合、挿入棒体31の最先端は尖ってはいるものの、回転によってダンボールDに差し込まれる程度に尖っているにすぎない。
【0039】
また、挿入棒体31の径は、回転軸部32よりも小径に形成され、各突片33の基端より回転軸部32の先端に向かって延びる斜面34がそれぞれ形成されている。この各斜面34は、回転軸部32の先端部付近においてその六角形状の断面に収束するように折曲している。
【0040】
図13は
図11及び
図12の結合部材2を切り欠いた状態での結合具1の縦断正面図を示している。この
図13に示すように、結合部材2の貫通孔24は、挿入棒体31の各突片33を挿通する4つの突片挿通孔部25,25,…を備えている。各突片挿通孔部25は、軸体21の軸と平行に延びたのちに挿入棒体31の径と略一致する径に縮径する斜面26を備えている。また、
図8及び
図11に示すように、螺旋突条23における軸体21の先端側(
図5では上端側)の始端20は、挿入棒体31の4つの突片33,33,…のうちの1つの突片33に連続するように配置されている。この場合、螺旋突条23の始端20は、挿入棒体31は、貫通孔24に挿通した際に先端が軸体21の先端よりも露出する挿入棒体31の最先端が尖った形状となっていることから、さほど先端を尖らせる必要がない。
【0041】
この各突片挿通孔部25の斜面26は、挿入棒体31の各突片33の斜面34と略一致する角度に設定され、結合部材2の貫通孔24に挿入棒体31が挿通された際に各突片33の斜面34と当接することで、専用ビット3のそれ以上の挿通を規制するストッパとしての機能を有している。この場合、挿入棒体31の先端は、各突片33の斜面34が各突片挿通孔部25の斜面26と当接した際に、結合部材2の軸体21よりも略4~5mm程度突出している。
【0042】
結合部材2の貫通孔24には、専用ビット3の挿入棒体31の各突片33の斜面34が各突片挿通孔部25の斜面26に当接するまで挿通され、この状態で、挿入棒体31の先端が挿入棒体31の軸体21よりも突出している。そして、専用ビット3の回転軸部32が電動ドライバのチャックに装着されると、専用ビット3が軸回りに電動で回転し、この専用ビット3の回転に伴い結合部材2を回転させるようにしている。
【0043】
図14は
図13の結合具1による重合部Zでの結合状態を示す断面図を示している。この
図14に示すように、結合部材2は、専用ビット3の軸回りの回転により重合部Zの表裏方向一側となる表側(
図14及び
図15では下面)に対し
螺旋突条23を挿入棒体31の最先端の螺入に伴い螺入させて重合部Zの表裏方向他側となる裏側(
図14及び
図15では上面)から露出させるまで螺入されることで、ダンボールD,D同士を重合部Zにおいて結合するようにしている。
【0044】
また、螺旋突条23の終端29は、結合部材2の軸線に沿うように軸体21の先端(
図5では下端)側へ折曲している。この螺旋突条23の終端29は、
螺旋突条23を重合部Zの裏側から露出するまでの螺入により重合部Zの裏側に露出した際には、重合部Zの裏側を抑え込む機能を有し、これによって結合部材2を回り止めして重合部Zからの離脱を抑制している。
【0045】
また、結合部材2の軸体21における位置決めフランジ22と螺旋突条23との間の距離は、重合部Zの厚さ(略16mm)よりも所定量(例えば3mm程度)だけ短い略13mmに設定されている。このため、ダンボールD,D同士の重合部Zは、螺旋突条23を重合部Zの裏側から露出するまで螺入した際に、位置決めフランジ22と螺旋突条23との間で圧縮された状態で挟持、具体的には重合部Zの裏側のダンボールDが圧縮された状態で挟持される。このとき、螺旋突条23は、圧縮された重合部Zの裏側のダンボールDの圧縮部分の内方に埋まっている。
【0046】
図16は
図15の結合部材2の螺旋突条23を覆う蓋部材の斜視図、
図17は
図16の螺旋突条23を覆った状態を示す結合部材2及び蓋部材の縦断正面図をそれぞれ示している。この
図16及び
図17に示すように、結合部材2は、重合部Zの裏側から露出する螺旋突条23を係合した状態で覆う蓋部材4を備えている。
【0047】
蓋部材4は、PP又はPAなどのプラスチックから形成された合成樹脂製のものであって、断面略コの字状の蓋体41を備えている。この蓋体41は、ほぼ真円形状の蓋本体42と、この蓋本体42の周囲より結合部材2の軸線方向に延び、重合部Zの裏側に当接する環状の縁部43とを備えている。
【0048】
また、蓋部材4は、蓋本体42の裏面の中心より突出する突出部44を備えている。この突出部44は、その軸芯に対し直交する十字方向にそれぞれ突出する4つの突片45,45,…を備えている。そして、突出部44は、結合部材2の貫通孔24に挿通可能とされ、貫通孔24の各突片挿通孔部25に対する各突片45の挿通により蓋部材4を結合部材2に係合するようにしている。このとき、貫通孔24の各突片挿通孔部25に対し突出部44の各突片45は圧入され、重合部Zの裏側に蓋部材4の縁部43を当接させている。
【0049】
なお、ダンボールD,D同士の重合部Zに螺入された結合部材2は、通常のプラスのドライバを備えた通常ビットを貫通孔24に差し込んで戻し回りさせることで簡単に離脱し、再利用又は廃棄時のダンボールDとの分別が容易に行える。この場合、重合部Zの裏側より挿入棒体31の各突片33を結合部材2の螺旋突条23の先端から貫通孔24の各突片挿通孔部25に挿通した状態で回転軸部32を螺入時と同じ方向に回転させることで、戻し回り方向へ回転する結合部材2を重合部Zの裏側から表側への押し出し操作と相俟って効率よく離脱させることが可能である。このとき、結合部材2の螺旋突条23の先端から貫通孔24の各突片挿通孔部25に螺合する通常のプラスのドライバを備えたその他の通常ビットを用いても、結合部材2を重合部Zの裏側から表側への押し出し操作と相俟って効率よく離脱できる。
【0050】
次に、結合具1を用いてダンボールD,D同士を重合した重合部Zを結合する結合方法の一例について説明する。
【0051】
先ず、
図9及び
図10に示すように、合成樹脂製の結合部材2の貫通孔24に対し軸体21の位置決めフランジ22側から金属製の専用ビット3の挿入棒体31の先端を挿通する。この貫通孔24及び挿入棒体31は、貫通孔24に対し挿入棒体31を挿通した際に各突片挿通孔部25と各突片33とが一体回転可能な状態で係合する。このとき、専用ビット3の回転軸部32は、電動ドライバのチャックに装着されているものとする。
【0052】
そして、
図11及び
図12に示すように、結合部材2の貫通孔24に対し専用ビット3の挿入棒体31を挿通すると、
図13に示すように、貫通孔24の各突片挿通孔部25に挿通された挿入棒体31の各突片33の斜面34が各突片挿通孔部25の斜面26に当接し、専用ビット3のそれ以上の挿通を規制する。このとき、挿入棒体31の先端は結合部材2の軸体21よりも略4~5mm程度突出した状態で露出している。
【0053】
その後、ダンボールD,D同士の重合部Zの表側に挿入棒体31の先端を近付け、電動ドライバにより専用ビット3を軸回りに電動で回転させると、この専用ビット3の回転に伴い結合部材2が回転する。すると、挿入棒体31の先端が重合部Zの表側から螺入し、これに伴い螺旋突条23を重合部Zの表側から螺入させている。このとき、
図11に示すように、螺旋突条23における軸体21の先端側の始端20が挿入棒体31の4つの突片33,33,…のうちの1つの突片33に連続するように配置されているので、挿入棒体31の先端の螺入により穿設された穿設孔に道案内されて螺旋突条23の始端20を重合部Zの表側からスムーズに螺入させている。このとき、重合部Zの裏側に露出する螺旋突条23の先端は、重合部Zの表側に対し直接差し込まれずに専用ビット3の挿入棒体31の先端により穿設した穿設孔に導かれて螺入することから、尖らせる必要がなく安全である。
【0054】
しかる後、重合部Zの表側に結合部材2の位置決めフランジ22が当接し、この状態で、更なる結合部材2が回転すると、螺旋突条23が重合部Zの裏側から露出するまで螺入される。その後、専用ビット3の回転を停止し、結合部材2の回転を停止する。このとき、重合部Zの裏側のダンボールDが位置決めフランジ22と螺旋突条23との間で圧縮され、ダンボールD,D同士が重合部Zにおいて結合される。また、螺旋突条23の終端29が重合部Zの裏側に露出していると、重合部Zの裏側が抑え込まれ、結合部材2を回り止めして重合部Zからの離脱を抑制する。
【0055】
それから、
図15に示すように、結合部材2の貫通孔24から専用ビット3の挿入棒体31を抜き取り、残った結合部材2によってダンボールD,D同士の重合部Zを結合している。
【0056】
その後、
図17に示すように、蓋部材4の突出部44を結合部材2の貫通孔24に対し軸体21の螺旋突条23側から挿通し、貫通孔24の各突片挿通孔部25に対する各突片45の圧入により蓋部材4を結合部材2に係合する。このとき、蓋部材4の縁部43が重合部Zの裏側に当接している。
【0057】
したがって、本実施の形態では、結合部材2の貫通孔24に専用ビット3の挿入棒体31を挿通してその先端を軸体21の先端よりも突出させ、ダンボールD,D同士の重合部Zに対する回転軸部32の回転により螺旋突条23を挿入棒体31の最先端の螺入に伴い重合部Zの表側から裏側まで螺入させた状態で挿入棒体31が抜き取られるので、合成樹脂製の結合部材2の材質的に脆い螺旋突条23の先端がそれよりも突出する専用ビット3の挿入棒体31の先端により穿設した穿設孔に導かれて保護される。このため、螺旋突条23の先端が重合部Zの表側から円滑に差し込めない事態が発生したり、複数のライナーD1~D3を貫通する度の磨耗によって先端が変形したり丸くなったりすることを効果的に防止できる。これにより、ダンボールD,D同士の重合部Zに対し螺旋突条23の先端が挿入棒体31の先端の螺入に伴い重合部Zの表側から裏側に露出するまで円滑に差し込めて重合部Zを結合部材2によって確実に結合することができる。
【0058】
また、断面略十字形状の螺旋突条23における軸体21の先端側の始端20が挿入棒体31の4つの突片33,33,…のうちの1つの突片33に連続するように配置されているので、螺旋突条23の始端20を挿入棒体31の1つの突片33によって重合部Zの表側に対しスムーズに案内することができる。
【0059】
また、位置決めフランジ22と螺旋突条23との間の長さが重合部Zの厚さよりも短く設定され、ダンボールD,D同士の重合部Zが、螺旋突条23を重合部Zの裏側に露出するまで螺入した際に位置決めフランジ22と螺旋突条23との間で重合部Zの裏側のダンボールDを圧縮した状態で挟持されているので、位置決めフランジ22と螺旋突条23との間で作用する圧縮時の反力によってダンボールD,D同士の重合部Zを強固に結合することができる。
【0060】
更に、重合部Zの裏側から露出する螺旋突条23を係合した状態で覆う蓋部材4が結合部材2に設けられているので、螺旋突条23を蓋部材4によって覆うことができ、重合部Zの裏側が梱包部材Xの内側となる場合には梱包部材Xの内部の収容物を螺旋突条23の先端から効果的に保護することができる。一方、重合部Zの裏側が梱包部材Xの外側となる場合には梱包部材Xの外方に接する接触物を螺旋突条23の先端から効果的に保護することができる。
【0061】
しかも、結合部材2の貫通孔24に挿通した際に軸体21の先端よりも突出する専用ビット3の挿入棒体31の先端を重合部Zに対する回転軸部32の回転により螺入させ、この螺入に伴い螺旋突条23を重合部Zの表側から裏側に露出するまで螺入させてから挿入棒体31が抜き取られるので、合成樹脂製の結合部材2の材質的に脆い螺旋突条23の先端をそれよりも突出する専用ビット3の挿入棒体31の先端により穿設した穿設孔により導いて効果的に保護し、これによってダンボールD,D同士の重合部Zに対し表側から裏側に露出するまで螺旋突条23を円滑に差し込んで重合部Zを確実に結合することが可能な結合具1を用いた結合方法を提供することができる。
【0062】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、前記実施の形態では、蓋部材4の突出部44を結合部材2の貫通孔24に挿通した際に、貫通孔24の各突片挿通孔部25に対する各突片45の圧入により蓋部材4を結合部材2に係合させた状態で蓋部材4の縁部43を重合部Zの裏側に当接させたが、
図18及び
図19に示すように、強化プラスチックよりなる合成樹脂製の蓋部材5に断面略コの字状の蓋体51を設け、この蓋体51に、ほぼ真円形状の蓋本体52と、この蓋本体52の周囲より結合部材2の軸線方向に延び、重合部Zの表側に圧接する環状の縁部53と、この縁部53の周方向1箇所より半径方向内方へ延び、その延出端に螺旋突条23の螺旋溝に嵌合した状態で螺合する円弧状の螺合部54とを備えたものが適用されていてもよい。この場合、蓋部材5は、螺旋突条23の螺旋溝に対する螺合部54の螺合により結合部材2に係合し、その係合時に重合部Zの裏側に対し押し潰しながら蓋部材5の縁部53を圧接させている。この蓋部材5においても、梱包部材Xの内部の収容物及び梱包部材Xの外方の接触物を螺旋突条23の先端から効果的に保護している。
【0063】
また、前記実施の形態では、重合部Zの裏側から露出する螺旋突条23を蓋部材4により係合した状態で覆うようにしたが、螺旋突条が必ずしも蓋部材によって覆われていなくてもよい。つまり、螺旋突条が最先端をさほど尖らせていないことと、螺旋突条が重合部Zの裏側に露出した際にその裏側のダンボールDが位置決めフランジ22と螺旋突条23との間で圧縮されて螺旋突条23が埋まっていることと相俟って、梱包部材Xの内部の収容物又は梱包部材Xの外方の接触物が螺旋突条23の先端によって傷付くこともないからである。
【0064】
また、本実施の形態では、二層構造のダンボールDを用いたが、一層構造又は三層以上の構造のダンボールであってもよい。その場合には、一層構造又は三層以上の構造のダンボール同士の重合部の厚さに応じた結合部材を用意する必要がある。具体的には、一層構造又は三層以上の構造のダンボール同士の重合部の厚さと同等又は8割程度の長さの軸部を備えた結合部材であればよい。
【0065】
また、本実施の形態では、表ライナーD1と中ライナーD2との間隔よりも中ライナーD2と裏ライナーD3との間隔を広く設定したが、表ライナーと中ライナーとの間隔が中ライナーと裏ライナーとの間隔と同じに設定されていたり、表ライナーと中ライナーとの間隔よりも中ライナーと裏ライナーとの間隔が狭く設定されていてもよい。
【0066】
また、前記実施の形態では、紙製のダンボールDを用いたが、プラスチック製のダンボールが用いられていてもよい。
【0067】
また、前記実施の形態では、結合部材2の貫通孔24及び専用ビット3の挿入棒体31をそれぞれ断面略十字形状に形成したが、これに限定されるものではなく、貫通孔に対し挿入棒体を挿通した状態で一体回転可能に係合するような断面非真円形状、たとえば断面略I字状、断面略星形形状や、断面多角形状、断面略楕円形状などであってもよい。
【0068】
更に、前記実施の形態では、重合部Zの表側から結合部材2の螺旋突条23を螺入させたが、重合部の裏側から結合部材の螺旋突条が螺入されるようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施の形態では、挿入棒体31の先端を結合部材2の軸体21よりも略4~5mm程度突出させたが、これに限定されるものではなく、挿入棒体の先端が結合部材の軸体よりも略10mm以内の範囲で突出した状態で露出していてもよい。
【0070】
また、前記実施の形態では、箱本体X1を、断面略矩形状の2面を構成する2枚の側板部X11,X11の一端にそれぞれフラップX12を設けて、当該各フラップX12と各側板部X11の他端との重合部Zを結合部材2により結合したが、箱本体は、断面略矩形状の4面をそれぞれ構成する4枚の側板部の一端にそれぞれフラップを設けたり、断面略矩形状の4面を構成する平面視でロの字状に折り曲げられた1枚の側板部の一端にフラップを設けたりして、当該フラップと側板部との重合部を結合部材により結合することで断面略矩形状の箱本体が組み立てられていてもよい。一方、箱本体の大きさによっては、断面略矩形状の1面を構成する側板部が複数枚の側板片を繋ぎ合わせて構成されることがあり、この場合においては、互いに相隣る側板片の端部同士が重なり合う重合部に結合部材による結合が行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 結合具
2 結合部材
21 軸体
22 位置決めフランジ
23 螺旋突条
24 貫通孔
3 専用ビット(ビット)
31 挿入棒体
32 回転軸部
33 突片
4,5 蓋部材
D ダンボール
D1 表ライナー(ライナー)
D2 中ライナー(ライナー)
D3 裏ライナー(ライナー)
D4 中芯
D5 中芯
X 梱包部材
Z 重合部