(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】無人飛行体及び燃料タンク
(51)【国際特許分類】
B64D 37/32 20060101AFI20240305BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240305BHJP
B64D 37/06 20060101ALI20240305BHJP
A62C 3/08 20060101ALI20240305BHJP
F23K 5/14 20060101ALI20240305BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20240305BHJP
B64U 50/11 20230101ALI20240305BHJP
【FI】
B64D37/32
B64C39/02
B64D37/06
A62C3/08
F23K5/14 501Z
B64U10/16
B64U50/11
(21)【出願番号】P 2020082193
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】500293434
【氏名又は名称】インダストリーネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】大橋 俊夫
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-066392(JP,A)
【文献】特開2014-051279(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109305373(CN,A)
【文献】特開昭62-043316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/08
B60K 15/00-15/10
B64C 39/02
B64D 37/32
B64U 10/16
B64U 50/11
F23K 5/00- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料をエネルギー源とするエンジンと、前記燃料を収容可能な燃料タンクとを備える無人飛行体であって、
前記燃料タンクの内部には、前記燃料タンクの内部空間を燃料収容室と火災抑制剤収容室とに区分する隔壁が配置されており、
前記無人飛行体は、前記隔壁に衝突させることで前記隔壁を破壊可能な隔壁破壊部材と、前記隔壁を破壊するときに前記隔壁破壊部材を動かす力を発生する破壊用動力発生部材とを有し、所定の条件を満たしたときに作動して前記隔壁の少なくとも一部を破壊する隔壁破壊機構をさらに備え、
前記隔壁破壊部材及び前記破壊用動力発生部材は、前記燃料タンク内に配置され
、
前記破壊用動力発生部材は、前記燃料タンクの内面と前記隔壁破壊部材との間に配置され、かつ、前記隔壁破壊機構が前記隔壁を破壊する動作を開始する前には前記燃料タンクの内面と前記隔壁破壊部材との間で圧縮状態となっている弾性部材からなり、
前記隔壁破壊機構は、
前記破壊用動力発生部材を圧縮状態のまま保持する保持部材をさらに有し、
前記隔壁を破壊する動作を開始するときには、前記保持部材による保持を解除することにより前記破壊用動力発生部材を伸長させ、前記隔壁破壊部材を前記隔壁に衝突させることを特徴とする無人飛行体。
【請求項2】
燃料をエネルギー源とするエンジンと、前記燃料を収容可能な燃料タンクとを備える無人飛行体であって、
前記燃料タンクの内部には、前記燃料タンクの内部空間を燃料収容室と火災抑制剤収容室とに区分する隔壁が配置されており、
前記無人飛行体は、前記隔壁に衝突させることで前記隔壁を破壊可能な隔壁破壊部材と、前記隔壁を破壊するときに前記隔壁破壊部材を動かす力を発生する破壊用動力発生部材とを有し、所定の条件を満たしたときに作動して前記隔壁の少なくとも一部を破壊する隔壁破壊機構をさらに備え、
前記隔壁破壊部材及び前記破壊用動力発生部材は、前記燃料タンク内に配置され、
前記隔壁破壊機構は、それぞれ異なる方向から前記隔壁を破壊する複数の隔壁破壊部材を有し、
前記複数の隔壁破壊部材を構成する前記隔壁破壊部材のうち少なくとも2つの隔壁破壊部材は、前記隔壁を破壊するときに互いに逆の方向に移動することを特徴とする無人飛行体。
【請求項3】
前記隔壁を破壊するときに互いに逆の方向に移動する前記2つの隔壁破壊部材が互いに対向する第1隔壁破壊部材及び第2隔壁破壊部材からなるとき、
前記第1隔壁破壊部材及び前記第2隔壁破壊部材はそれぞれの前記隔壁と対向する面に突出部を有し、
前記第1隔壁破壊部材及び前記第2隔壁破壊部材が移動する方向と平行な軸に沿って見たとき、前記第1隔壁破壊部材における前記突出部と前記第2隔壁破壊部材における前記突出部とが重なっていないことを特徴とする請求項2に記載の無人飛行体。
【請求項4】
燃料をエネルギー源とするエンジンと、前記燃料を収容可能な燃料タンクとを備える無人飛行体であって、
前記燃料タンクの内部には、前記燃料タンクの内部空間を燃料収容室と火災抑制剤収容室とに区分する隔壁が配置されており、
前記無人飛行体は、前記隔壁に衝突させることで前記隔壁を破壊可能な隔壁破壊部材と、前記隔壁を破壊するときに前記隔壁破壊部材を動かす力を発生する破壊用動力発生部材とを有し、所定の条件を満たしたときに作動して前記隔壁の少なくとも一部を破壊する隔壁破壊機構をさらに備え、
前記隔壁破壊部材及び前記破壊用動力発生部材は、前記燃料タンク内に配置され、
前記所定の条件は、機体の落下、墜落の予兆の発生、動作不良及び飛行許可範囲外への離脱であり、
前記無人飛行体は、機体の状況を検知するセンサー、前記センサーが検知した情報を分析する分析装置、及び、前記分析装置からの情報を基に前記隔壁破壊機構の動作を制御する制御装置をさらに備えることを特徴とする無人飛行体。
【請求項5】
前記隔壁破壊部材の前記隔壁と対向する面の投影面積は、前記隔壁破壊部材が前記隔壁を破壊するときの移動方向に沿って前記隔壁を見た場合の投影面積の0.5倍~1.5倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1
~4のいずれかに記載の無人飛行体。
【請求項6】
前記隔壁破壊部材は、前記隔壁と対向する面において突出部を有することを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の無人飛行体。
【請求項7】
前記隔壁破壊部材には、前記隔壁を破壊するときの移動方向前方側に開口している貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の無人飛行体。
【請求項8】
前記隔壁は、樹脂、金属、ガラス又はセラミックからなり、かつ、厚さが0.1mm~0.5mmの範囲内にある部分を有することを特徴とする請求項1~
7のいずれかに記載の無人飛行体。
【請求項9】
前記燃料タンクとして、複数の燃料タンクを備えることを特徴とする請求項1~
8のいずれかに記載の無人飛行体。
【請求項10】
燃料をエネルギー源とするエンジンを備える無人飛行体に搭載するための燃料タンクであって、
前記燃料タンクの内部には、前記燃料タンクの内部空間を燃料収容室と火災抑制剤収容室とに区分する隔壁と、前記隔壁に衝突させることで前記隔壁を破壊可能な隔壁破壊部材と、前記隔壁を破壊するときに前記隔壁破壊部材を動かす力を発生する破壊用動力発生部材とが配置され
、
前記破壊用動力発生部材は、前記燃料タンクの内面と前記隔壁破壊部材との間に配置され、かつ、前記燃料タンクの内面と前記隔壁破壊部材との間で圧縮状態となっている弾性部材からなり、
前記燃料タンクの内部には、前記破壊用動力発生部材を圧縮状態のまま保持する保持部材がさらに配置されていることを特徴とする燃料タンク。
【請求項11】
燃料をエネルギー源とするエンジンを備える無人飛行体に搭載するための燃料タンクであって、
前記燃料タンクの内部には、前記燃料タンクの内部空間を燃料収容室と火災抑制剤収容室とに区分する隔壁と、前記隔壁に衝突させることで前記隔壁を破壊可能な隔壁破壊部材と、前記隔壁を破壊するときに前記隔壁破壊部材を動かす力を発生する破壊用動力発生部材とが配置され、
前記燃料タンクの内部には、それぞれ異なる方向から前記隔壁を破壊する複数の隔壁破壊部材が配置され、
前記複数の隔壁破壊部材を構成する前記隔壁破壊部材のうち少なくとも2つの隔壁破壊部材は、前記隔壁を破壊するときに互いに逆の方向に移動することを特徴とする燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体及び燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の無人飛行体に注目が集まっている。このような無人飛行体としては、複数の回転翼を電気モーターにより回転させて飛行するものがよく知られている(例えば、特許文献1参照。)。これらは、一般的にドローン、マルチコプター、マルチローター等と呼称される。上記のような無人飛行体においては、複数の回転翼と高度な制御系とを組み合わせることで運動性能と姿勢安定性とを両立させることが可能となる。上記のような無人飛行体は、動画や写真の撮影、人間が近づきにくい場所の観察や監視、大型建造物や壁面等の点検、物資輸送、競技等、様々な分野において既に用いられており、又は、将来的に用いることが検討されている。
【0003】
ところで、エネルギー源としてバッテリーのみを用いる場合には、重量を増加させずに無人飛行体の飛行可能時間及び飛行可能距離を延長することは難しい。このため、無人飛行体の飛行可能時間及び飛行可能距離が特に重要となる分野(例えば、点検や物資輸送)においては、ガソリン等の燃料をエネルギー源とするエンジン(以下、単にエンジンということもある)を用いることが検討されている。なお、エンジンを備える無人飛行体自体は新しいものではない(例えば、特許文献2参照。)。しかし、小型の無人飛行体の分野においては、エンジンと複数の回転翼とを組み合わせて実用に至ったものはほとんどない。
【0004】
一方、エンジンを備える無人飛行体は、墜落等により燃料が漏れた場合には火災を発生させてしまう可能性がある。エンジンを備える無人飛行体を本格的に普及させるためには、起きうる事故への対策を厳重におこなう必要がある。
【0005】
火災発生を抑制することが可能なものとして、燃料を収容する空間を囲むように消火剤を配置する燃料タンクが知られている(例えば、特許文献3参照。)。このような燃料タンクによれば、燃料の近くに消火剤が配置されているため、燃料が炎上しても早期の消火を図ることが可能となる。例えば、上記した燃料タンクを無人飛行体に搭載することで、火災発生の抑制を図ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-240242号公報
【文献】特開平10-057636号公報
【文献】特開昭62-43316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような燃料タンク(以下、従来の燃料タンクという。)では、燃料が勢いよく飛散した場合や消火剤が先に漏れた場合には燃料と消火剤とを十分に接触させることができず、火災発生を十分には抑制できない場合がある。特に、無人飛行体が墜落した場合には燃料タンクは非常に大きな衝撃にさらされるため、無人飛行体墜落時の燃料の飛散や消火剤の漏れは当然の結果として予想できる。したがって、従来の燃料タンクを無人飛行体に搭載しても、火災発生を十分に抑制することは困難である。
【0008】
このため、無人飛行体の分野においては、従来の燃料タンクを備える無人飛行体よりも火災が発生する可能性を低減することが可能な無人飛行体が希求されている。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、従来の燃料タンクを備える無人飛行体よりも火災が発生する可能性を低減することが可能な無人飛行体及び従来の燃料タンクよりも火災が発生する可能性を低減することが可能な燃料タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無人飛行体は、燃料をエネルギー源とするエンジンと、前記燃料を収容可能な燃料タンクとを備える無人飛行体であって、前記燃料タンクの内部には、前記燃料タンクの内部空間を燃料収容室と火災抑制剤収容室とに区分する隔壁が配置されており、前記無人飛行体は、前記隔壁に衝突させることで前記隔壁を破壊可能な隔壁破壊部材と、前記隔壁を破壊するときに前記隔壁破壊部材を動かす力を発生する破壊用動力発生部材とを有し、所定の条件を満たしたときに作動して前記隔壁の少なくとも一部を破壊する隔壁破壊機構をさらに備え、前記隔壁破壊部材及び前記破壊用動力発生部材は、前記燃料タンク内に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の燃料タンクは、燃料をエネルギー源とするエンジンを備える無人飛行体に搭載するための燃料タンクであって、前記燃料タンクの内部には、前記燃料タンクの内部空間を燃料収容室と火災抑制剤収容室とに区分する隔壁と、前記隔壁に衝突させることで前記隔壁を破壊可能な隔壁破壊部材と、前記隔壁を破壊するときに前記隔壁破壊部材を動かす力を発生する破壊用動力発生部材とが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の無人飛行体によれば、隔壁破壊機構を備えるため、無人飛行体に異常が発生したとき(例えば、墜落したときや墜落すると予想されるとき)に積極的に隔壁を破壊することで、燃料と火災抑制剤とを迅速に接触させることが可能となる。このため、本発明の無人飛行体は、従来の燃料タンクを備える無人飛行体よりも火災が発生する可能性を低減することが可能な無人飛行体となる。
【0013】
本発明の燃料タンクは、無人飛行体における隔壁破壊機構の一部となる隔壁破壊部材及び破壊用動力発生部材が燃料タンク内に配置されているため、従来の燃料タンクよりも火災が発生する可能性を低減することが可能な燃料タンクとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1に係る無人飛行体1を説明するために示す図。
【
図2】実施形態1に係る燃料タンク100の断面図。
【
図3】実施形態1における隔壁破壊部材130a,130b及び突出部132aを説明するために示す図。
【
図4】実施形態2に係る燃料タンク102の断面図。
【
図6】変形例2における突出部192を説明するために示す図。
【
図7】変形例2における突出部194を説明するために示す図。
【
図8】変形例2における突出部196を説明するために示す図。
【
図9】変形例3に係る無人飛行体2を説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の無人飛行体を図に示す各実施形態に基づいて詳細に説明する。各図面に示す構造は全て模式的なものであり、各構成要素の形状、寸法、配置、数量等は必ずしも現実に即したものとはなっていない。実質的に同一の構成要素については実施形態をまたいで同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0016】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る無人飛行体1を説明するために示す図である。
図1(a)は無人飛行体1の斜視図であり、
図1(b)は無人飛行体1の平面図である。
図2は、実施形態1に係る燃料タンク100の断面図である。
図2(a)は隔壁破壊機構120を作動させる前の燃料タンク100の様子を示す断面図であり、
図2(b)は隔壁破壊機構120を作動させた前の燃料タンク100の様子を示す断面図である。なお、
図2は、隔壁破壊部材130a,130bが移動する方向に対して平行な面による断面図であって、燃料タンク100の中央付近を示すものである。ただし、
図2においては、破壊用動力発生部材140は、イメージを重視して模式的な側面図として表示している。また、
図2においては、図面の複雑化を避けるために、断面よりも奥側に存在する突出部132a,132bを図示していない。これらは、後述する
図4においても同様である。
図2においては、図面の複雑化を避けるために、突出部132a,132b及び貫通孔134a,134bについてはそれぞれ図面最下部の1つにのみ符号を表示している。これは、後述する
図3及び
図4においても同様である。
図3は、実施形態1における隔壁破壊部材130a,130b及び突出部132aを説明するために示す図である。
図3(a)は隔壁破壊部材130aを隔壁110と面する側から見た図であり、
図3(b)は隔壁破壊部材130bを隔壁110と面する側から見た図であり、
図3(c)は突出部132aの側面図であり、
図3(d)は突出部132aを隔壁110と面する側から見た図である。なお、突出部132bは突出部132aと同じ形状からなるため、
図3(c)及び
図3(d)のような図示は省略する。隔壁破壊部材130a,130bは、
図2においては、
図3(a)及び
図3(b)のA-A断面図として表示されている。
【0017】
実施形態1に係る無人飛行体1は、小型のマルチコプター(いわゆるドローン)である。なお、本明細書における「無人飛行体」は、人間が搭乗して操縦する必要がない(無人での運用が可能な)飛行体のことをいう。無人飛行体1は、無線操縦により飛行するものであってもよく、自動操縦により飛行するものであってもよい。
【0018】
本明細書における「小型の無人飛行体」とは、(1)平面視したときに直径3mの円内に収まる、(2)重量(燃料含まず)が100kg以下である、(3)ペイロードが100kg以下である、(4)エンジン排気量が500cc以下である、という条件のいずれかを満たす飛行体のことをいう。
【0019】
実施形態1に係る無人飛行体1は、
図1に示すように、燃料をエネルギー源とするエンジン10と、燃料を収容可能な燃料タンク100とを備える。また、無人飛行体1は、
図1においては図示しない隔壁破壊機構120を備えるが、これについては後述する。さらに、無人飛行体1は、上記した構成要素の他に、フレームやマウンター等からなる基礎構造体20、燃料タンク100の燃料をエンジン10に供給する燃料供給装置30、制御回路や電気系統等からなる制御装置40、揚力及び推力を発生させる回転翼50、着地時に接地する脚部60を備える。
【0020】
上記構成要素のうち、本発明と密接な関係を有するエンジン10、燃料タンク100及び隔壁破壊機構120以外のものについては、それぞれ公知の相応物を用いることができるため、詳しい説明は省略する。上記した構成要素の位置、数、形状等は、
図1に記載したものに限定されず、用途等に応じて決定することができる。無人飛行体1は、上記したもの以外の構成要素(例えば、センサー、カメラ、バッテリー、貨物固定具、作業用アーム)をさらに備えていてもよいし、上記したものであっても用途上不要な構成要素は備えていなくてもよい。
【0021】
実施形態1におけるエンジン10の形式及び使用する燃料は特に限定されないが、例えば、ガソリンを燃料として用いるレシプロエンジンを特に好適に用いることができる。なお、無人飛行体1は、回転翼50を回転させるための動力源としてエンジン10を用いるものであってもよいし、電気モーター(図示せず。)を用いるものであってもよい。上記動力源として電気モーターを用いる場合には、エンジン10も動力源として電気モーターと併用する構成としてもよいし、エンジン10で発電機を駆動して電気モーターを回転させる構成としてもよい。
【0022】
次に、燃料タンク100について説明する。燃料タンク100は、エンジン10を備える無人飛行体1に搭載するための燃料タンクである。
図2に示すように、燃料タンク100の内部には、燃料タンク100の内部空間を燃料収容室R1と火災抑制剤収容室R2とに区分する隔壁110と、隔壁110に衝突させることで隔壁110を破壊可能な隔壁破壊部材130a,130bと、隔壁110を破壊するときに隔壁破壊部材130a,130bを動かす力を発生する破壊用動力発生部材140と、破壊用動力発生部材140を圧縮状態のまま保持する保持部材150が配置されている。
【0023】
また、燃料タンク100は、燃料を収容するための内部空間を形成する本体160を備える。本体160には燃料タンク100の内部空間と外部とを繋ぐ孔162が形成されている。孔162は、火災抑制剤収容室R2についての液体注入口や通気口として用いる。燃料タンク100は、孔162を塞ぐためのキャップ(図示せず。)をさらに備えていてもよい。本体160には孔162以外の孔が形成されていてもよい。
図2において符号L1で示すものは燃料であり、符号L2で示すものは火災抑制剤である。
【0024】
本明細書における「火災抑制剤」とは、燃料と接触することで燃料による火災を抑制することが可能な物質のことをいう。火災抑制剤としては、消火を主目的とするもの(消火剤)、燃料の可燃性を低減するもの(不燃化剤又は難燃化剤)、燃料の流動性を変化させることにより燃料の飛散を抑制するもの(ゲル化剤や固化剤)を例示することができる。
【0025】
実施形態1においては、火災抑制剤の成分や形態は特に限定されない。ただし、扱いやすさや隔壁破壊機構120の動作確実性という観点からは、火災抑制剤は液体であることが好ましい。また、複数種類の火災抑制剤を併用してもよい。
【0026】
次に、隔壁110について説明する。実施形態1における隔壁110は、それ自体が容器状の形状からなり、本体160の内部空間とは独立した内部空間を有する。燃料タンク100においては、隔壁110の内部空間が燃料収容室R1であり、その外側が火災抑制剤収容室R2である。隔壁110には隔壁110の内部空間と外部とを繋ぐ孔112が形成されている。孔112は、液体注入口や通気口として用いることができる。また、孔112を介して燃料収容室R1にチューブ等を差し込むことにより、燃料収容室R1内の燃料をエンジン10に移送することができる。燃料タンク100は、孔112を塞ぐためのキャップ(図示せず。)をさらに備えていてもよい。
【0027】
隔壁110は、燃料や火災抑制剤を区分することが可能な強度及び安定性を有する材質からなるものを用いることができる。また、隔壁110は、隔壁破壊部材130a,130bにより破壊可能である必要がある。このような観点からは、隔壁110は、樹脂、金属、ガラス又はセラミックからなり、かつ、厚さが0.1mm~0.5mmの範囲内にある部分を有することが好ましい。上記した厚さ及び材質からなる部分は、隔壁110における隔壁破壊部材130a,130bで破壊されるべき部分であることが好ましい。
【0028】
上記した厚さ及び材質からなる部分には、強度を補うための部材が配置されていてもよい。強度を補うための部材としては、例えば、後述する突出部132a,132bを通すための孔が形成されているものや、金網状のものを用いることができる。
【0029】
隔壁110のうち樹脂又は金属からなり、厚さが0.1mm~0.5mmの範囲内にある部分は、隔壁破壊部材130a,130bが衝突したときには、変形しながら破けるようにして破壊される。なお、
図2においては、隔壁110が樹脂からなる場合を念頭に図示をおこなっているが、これはあくまで一例である。
【0030】
また、隔壁110のうちガラス又はセラミックからなり、かつ、厚さが0.1mm~0.5mmの範囲内にある部分は、隔壁破壊部材130a,130bが衝突したときには、割れが生じて砕けながら破壊される。
【0031】
次に、隔壁破壊機構120及びその構成要素について説明する。隔壁破壊部材130a,130b、破壊用動力発生部材140及び保持部材150は、所定の条件を満たしたときに作動して隔壁110の少なくとも一部を破壊する隔壁破壊機構120を構成する部材である。
図2においては2か所に符号120を表示しているが、これは2つの隔壁破壊機構120が存在することを意味するものではなく、隔壁破壊部材130a,130bは両方とも同一の隔壁破壊機構120に属する。図示による説明は省略するが、隔壁破壊機構120は、燃料タンク100の外部に配置されている構成要素を有していてもよい。このような構成要素としては、外部からの指令等に応じて保持部材150を動作させるための機構を例示することができる。
【0032】
所定の条件とは、隔壁破壊機構120が隔壁110を破壊する動作を開始するトリガーとなる条件のことである。具体的な図示は省略するが、無人飛行体1は、所定の条件として設定した事項に応じて対応する装置等(例えば、機体の状況を検知するセンサー、センサーが検知した情報を分析する分析装置、分析装置からの情報を基に隔壁破壊機構120の動作を制御する制御装置)を備えている必要がある。所定の条件としては、機体の落下、墜落の予兆の発生(例えば、異常な振動パターンの発生)、構成要素の破損、動作不良、飛行許可範囲外への離脱等、必要に応じて様々な条件を採用することができる。なお、所定の条件を満たしたかどうかの判定及びそれに伴う隔壁破壊機構120の動作開始は、非電子的な機構(例えば、ばねやリンク機構等を利用した機械的な機構)により実現してもよい。
【0033】
次に、隔壁破壊部材130a,130bについて説明する。隔壁破壊部材130a,130bの隔壁110と対向する面の投影面積(
図3(a)及び
図3(b)のように見た場合の投影面積)は、隔壁破壊部材130a,130bが隔壁を破壊するときの移動方向(
図2の紙面左右方向)に沿って隔壁110を見た場合の投影面積の0.5倍~1.5倍の範囲内にある。上記投影面積を算出する際には、隔壁破壊部材130a,130bにおける貫通孔134a,134bは無視し(貫通孔がないものとして扱い)、隔壁破壊部材130a,130bの外形形状から投影面積を算出する。
【0034】
隔壁破壊部材130a,130bは、隔壁110を破壊するときに互いに逆の方向に移動する(
図2(b)参照。)。また、実施形態1においては、隔壁110を破壊するときに互いに逆の方向に移動する2つの隔壁破壊部材が互いに対向する隔壁破壊部材130a(第1隔壁破壊部材)及び隔壁破壊部材130b(第2隔壁破壊部材)からなる(
図2参照。)。このため、隔壁破壊機構120は、それぞれ異なる方向から隔壁110を破壊する複数の隔壁破壊部材を有するといえる。
【0035】
隔壁破壊部材130a,130bは、隔壁110と対向する面において突出部132a,132bを有する(
図3参照。)。突出部132a,132bは、隔壁破壊部材130a,130bの本体部分に突出部132a,132bとなる部材を固定したものであってもよいし、隔壁破壊部材130a,130bの本体部分に対する機械加工(例えば、切削や曲げ)等によって形成したものであってもよい。
【0036】
隔壁破壊部材130a及び隔壁破壊部材130bが移動する方向と平行な軸に沿って見たとき、隔壁破壊部材130aにおける突出部132aと隔壁破壊部材130bにおける突出部132bとは、重なっていない。また、隔壁破壊部材130a,130bには、隔壁110を破壊するときの移動方向(
図2の紙面左右方向)前方側に開口している貫通孔134a,134bが形成されている。
【0037】
燃料タンク100においては、隔壁破壊部材130aと隔壁破壊部材130bとが接近した場合には、突出部132aが貫通孔134bに、突出部132bが貫通孔134aに、それぞれ入り込むように配置されている。なお、貫通孔134a,134bは突出部132a,132bよりも大きく形成されているため、突出部132a,132bが貫通孔134a,134bに入り込んでも、突出部132a,132bによっては貫通孔134a,134bが閉塞してしまうことはない。
【0038】
次に、破壊用動力発生部材140について説明する。破壊用動力発生部材140は、燃料タンク100の内面と隔壁破壊部材130a,130bとの間に配置されている。破壊用動力発生部材140は、隔壁破壊機構120が隔壁110を破壊する動作を開始する前には燃料タンク100の内面と隔壁破壊部材130a,130bとの間で圧縮状態となっている弾性部材(例えば、コイルばね)からなる。破壊用動力発生部材140は、1つの隔壁破壊部材に対して複数個配置されていることが好ましいが、1つの隔壁破壊部材に対して1つのみ配置されていてもよい。
【0039】
次に、保持部材150について説明する。燃料タンク100における保持部材150は、燃料タンク100の内面及び隔壁破壊部材130a,130bにそれぞれ取り付けられたフック状の部材を有する。隔壁破壊機構120が隔壁110を破壊する動作を開始する前においてはフック状の部材同士が引っ掛かりとなって破壊用動力発生部材140の圧縮状態を保持する。
図2に示す保持部材150においては、フック状の部材のうち少なくとも片方の部材は、保持を解除するために必要な動き(例えば、回動)が可能であるように構成されている。
【0040】
保持部材150による保持を解除するための動力は、保持部材150と燃料タンク100外の動力源とを機械的に接続することで得てもよいし、燃料タンク100内に動力源を置くことで得てもよい。
【0041】
隔壁破壊機構120が隔壁110を破壊する動作を開始するときには、保持部材150による保持を解除することにより破壊用動力発生部材140を伸長させ、隔壁破壊部材130a,130bを隔壁110に衝突させる(
図2(b)参照。)。燃料タンク100における燃料収容室R1は隔壁110により規定される内部空間であるため、燃料収容室R1は隔壁110ごと潰されるようにして破壊される。その結果、燃料は火災抑制剤収容室R2に急速に放出され、燃料と火災抑制剤とが速やかに接触する。なお、
図2(b)において符号L3で模式的に示すものは、燃料と火災抑制剤とが混合又は反応したものである。
【0042】
以下、実施形態1に係る無人飛行体1及び燃料タンク100の効果を説明する。
【0043】
実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊機構120を備えるため、無人飛行体1に異常が発生したとき(例えば、墜落したときや墜落すると予想されるとき)に積極的に隔壁110を破壊することで、燃料と火災抑制剤とを迅速に接触及び混合させることが可能となる。このため、実施形態1に係る無人飛行体1は、従来の燃料タンクを備える無人飛行体よりも火災が発生する可能性を低減することが可能な無人飛行体となる。
【0044】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊部材130a,130b及び破壊用動力発生部材140が燃料タンク100内に配置されているため、隔壁破壊機構120が存在することに起因する体積の増加を抑制することが可能となる。
【0045】
なお、隔壁破壊機構120は、燃料タンク100が小さい場合でも構成することが比較的容易であり、かつ、構成をシンプルにすることが可能である。このため、実施形態1に記載の構成は、小型の無人飛行体に特に適した構成となる。
【0046】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊機構120は弾性部材からなる破壊用動力発生部材140及び破壊用動力発生部材140を圧縮状態のまま保持する保持部材150を有し、隔壁110を破壊する動作を開始するときには、保持部材150による保持を解除することにより破壊用動力発生部材140を伸長させて隔壁破壊部材130a,130bを隔壁110に衝突させるため、シンプルかつ動作安定性の高い構成とすることが可能となる。
【0047】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊部材130a,130bの隔壁110と対向する面の投影面積は、隔壁破壊部材130a,130bが隔壁110を破壊するときの移動方向に沿って隔壁110を見た場合の投影面積の0.5倍以上であるため、隔壁110を同時に破壊できる範囲を十分に大きくすることが可能となり、その結果、燃料及び火災抑制剤の接触及び混合を促進することが可能となる。また、上記投影面積の比率が1.5倍以下であるため、隔壁破壊部材130a,130bや燃料タンク100の体積増加や重量増加を抑制することが可能となる。
【0048】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊部材130a,130bは突出部132a,132bを有するため、衝突時において隔壁110に局所的な圧力をかけることで、隔壁110を確実に破壊するとともに燃料及び火災抑制剤の接触及び混合を促進することが可能となる。また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁110の一部に強度を確保するための部材が用いられていたとしても、当該部材と干渉しない位置に突出部132a,132bを配置することで、隔壁110の強度の確保と隔壁110の確実な破壊とを両立することが可能となる。
【0049】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊部材130a,130bには貫通孔134a,134bが形成されているため、隔壁破壊部材130a,130bが燃料又は火災抑制剤の中を移動するときにおける抵抗の低減並びに燃料及び火災抑制剤の混合の促進を図ることが可能となる。
【0050】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊機構120は、それぞれ異なる方向から隔壁110を破壊する隔壁破壊部材130a,130bを有するため、隔壁破壊部材が1つだけである場合と比較して燃料及び火災抑制剤を迅速に混合させることが可能となる。
【0051】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊部材130a,130bは隔壁110を破壊するときに互いに逆の方向に移動するため、隔壁破壊部材130a,130bに挟まれる部分にある燃料及び火災抑制剤を一層迅速に混合させることが可能となる。
【0052】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁破壊部材130a,130bが移動する方向と平行な軸に沿って見たとき、隔壁破壊部材130aにおける突出部132aと隔壁破壊部材130bにおける突出部132bとが重なっていないため、隔壁110を破壊するときにおける隔壁破壊部材130a,130bの衝突を抑制することが可能なる。
【0053】
また、実施形態1に係る無人飛行体1によれば、隔壁110は、樹脂、金属、ガラス又はセラミックからなり、かつ、厚さが0.5mm以下の部分を有するため、このような部分に隔壁破壊部材130a,130bを衝突させることで、隔壁110の破壊を容易なものとすることが可能となる。なお、上記のような部分において厚さを0.1mm以上確保することで、通常使用時における隔壁110の強度を維持することが可能となる。
【0054】
実施形態1に係る燃料タンク100は、無人飛行体1における隔壁破壊機構120の一部である隔壁破壊部材130a,130b及び破壊用動力発生部材140が燃料タンク100内に配置されているため、対応する無人飛行体1に搭載することで、従来の燃料タンクよりも火災が発生する可能性を低減することが可能な燃料タンクとなる。
【0055】
また、実施形態1に係る燃料タンク100によれば、隔壁破壊部材130a,130b及び破壊用動力発生部材140は燃料タンク100内に配置されているため、隔壁破壊部材130a,130b及び破壊用動力発生部材140が存在することに起因する体積の増加を抑制することが可能となる。
【0056】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る燃料タンク102の断面図である。
図4(a)は隔壁破壊機構120を作動させる前の燃料タンク102の様子を示す断面図であり、
図4(b)は隔壁破壊機構120を作動させた後の燃料タンク102の様子を示す断面図である。
【0057】
実施形態2に係る燃料タンク102は、基本的には実施形態1に係る燃料タンク100と同様の構成を有するが、隔壁の構成が実施形態1に係る燃料タンク100とは異なる。
図4に示すように、実施形態2における隔壁170は、独立した内部空間を有しない平板状の形状からなり、その端部が燃料タンク102の本体160の内面と接触している。燃料タンク102の内部空間は、隔壁110を仕切りとして燃料収容室R1と火災抑制剤収容室R2とに区分される。燃料タンク102の本体160には、火災抑制剤収容室R2と外部とを繋ぐ孔162の他に、燃料収容室R1と外部とを繋ぐ孔164が形成されている。
【0058】
実施形態1に係る無人飛行体1の燃料タンク100を実施形態2に係る燃料タンク102と交換することで、実施形態2に係る無人飛行体(図示せず。)を構成することが可能である。
【0059】
実施形態2においては隔壁170により規定される内部空間は存在しないが、隔壁破壊機構120が動作した後、破壊された隔壁170に空いた孔を介して燃料と火災抑制剤とが接触する(
図4(b)参照。)。
【0060】
実施形態2に係る無人飛行体及び燃料タンク102は、実施形態1に係る無人飛行体1及び燃料タンク100が有する効果と同様の効果を有する。
【0061】
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0062】
(1)上記各実施形態において説明した構成要素の数、形状、位置、大きさ、角度等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0063】
(2)上記各実施形態における燃料収容室R1と火災抑制剤収容室R2との配置は、互いに逆であってもよい。
【0064】
(3)本発明に係る無人飛行体及び燃料タンクは、燃料収容室R1及び火災抑制剤収容室R2を複数有していてもよい。
【0065】
(4)隔壁が樹脂のような可撓性に富む材質からなる場合には、隔壁と隔壁破壊部材とが衝突したときに隔壁と突出部との間に隙間が生じにくくなる場合がある。特に、隔壁が内部空間を有しない場合(上記実施形態2のような場合)には、燃料と火災抑制剤との接触及び混合が進みにくくなる可能性がある。
図5は、変形例1に係る燃料タンク104の断面図である。
図5に示すように、変形例1に係る燃料タンク104における隔壁破壊部材180a,180bの突出部182a,182bは、実施形態2に係る燃料タンク102における突出部132a,132bよりも大きく突出している。例えば、
図5に示すように、突出部を大きく突出させることで隔壁と突出部とが衝突した後の突出部の移動距離が大きくなるため、隔壁と突出部との間に隙間を生じやすくすることができる。また、2つの隔壁破壊部材を対向させ、突出部を対向する隔壁破壊部材の貫通孔に深く突き込むことで、隔壁を剪断力で引きちぎるように破壊することが可能となる。
【0066】
(5)また、隔壁と突出部との間に隙間ができにくくなるという問題は、突出部の全体的な形状を工夫することにより解決することもできる。
図6~
図8は、それぞれ変形例2における突出部192,194,196を説明するために示す図である。例えば、平板を平面視放射状に組み合わせた突出部、又は、側面に溝を形成した突出部(変形例2における突出部192。
図6参照。)を用いることにより、凹みとなる部分(溝)には隔壁が引っ掛かりにくいため、隔壁と突出部との間の隙間の形成を促進することが可能となる。また、基端側が先端側よりも細くなっている突出部(変形例2における突出部194。
図7参照。)を用いることによっても、突出部の細くなっている部分と隔壁との間には隙間ができるため、隔壁と突出部との間の隙間の形成を促進することが可能となる。また、上記2つの特徴を併せ持つ突出部(変形例2における突出部196。
図8参照。)を用いることで、隔壁と突出部との間の隙間の形成を一層促進することが可能となる。
【0067】
(6)上記実施形態1においては、無人飛行体1は1つの燃料タンク100を備えるが、本発明はこれに限定されるものではない。
図9は、変形例3に係る無人飛行体2を説明するために示す図である。
図9に示すように、変形例3に係る無人飛行体2における燃料タンク200は、4つの小型の燃料タンク202からなる。4つの燃料タンク202は、固定具204により一つにまとめられている。燃料タンク202は、それぞれ火災が発生する可能性を低減することが可能な本発明の燃料タンクである。
図9に示すように、本発明に係る無人飛行体は、燃料タンクとして複数の燃料タンクを備えていてもよい。この場合、搭載する燃料タンクの数を調整することにより、機体の構成(例えば、エンジンの大きさ)や用途等に応じて適切な燃料タンクの容量を得ることが可能となる。また、破損や故障に対する冗長性の確保や、個々の燃料タンクの内容量が少なくなることに伴う燃料及び火災抑制剤の混合の迅速化を図ることができるという効果も得られる。
【符号の説明】
【0068】
1,2…無人飛行体、10…エンジン、20…基礎構造体、30…燃料供給装置、40…制御装置、50…回転翼、60…脚部、100,102,104,200,202…燃料タンク、110,170…隔壁、112,162,164…孔、120…隔壁破壊機構、130a,130b,180a,180b…隔壁破壊部材、132a,132b,182a,182b,192,194,196…突出部、134a,134b…貫通孔、140…破壊用動力発生部材、150…保持部材、160…本体、204…固定具、R1…燃料収容室、R2…火災抑制剤収容室