(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】配管固定具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/12 20060101AFI20240305BHJP
F16L 3/123 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F16L3/12 A
F16L3/123
(21)【出願番号】P 2020103845
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000226507
【氏名又は名称】株式会社ニックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 高雅
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-12998(JP,U)
【文献】特開平10-122436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0047495(US,A1)
【文献】特開2011-137490(JP,A)
【文献】実開昭54-181024(JP,U)
【文献】特開平10-61829(JP,A)
【文献】特開2017-145896(JP,A)
【文献】特許第4805744(JP,B2)
【文献】特許第4956498(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/12
F16L 3/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に離間した位置に第1貫通孔及び第2貫通孔が形成されたベースプレートと、
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の間で前記ベースプレートの上面から突出して、前記第1方向に直交する第2方向に延設された配管に巻回される帯状のベルトと、
前記ベルトの先端に設けられて、前記ベルトが配管に巻回されたときに前記第2貫通孔に連通し得る固定用貫通孔が形成された固定片とを備え、
前記ベースプレートの側面には、前記ベルトが巻回された配管の中心位置を示す配管目印が形成されていることを特徴とする配管固定具。
【請求項2】
請求項1に記載の配管固定具において、
前記配管目印は、前記ベースプレートの側面から外方に突出する突起であることを特徴とする配管固定具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配管固定具において、
前記ベースプレートの側面には、前記ベースプレートに設けられた貫通孔それぞれを通り且つ前記第2方向に延びる仮想線との交点にボルト穴目印が形成されていることを特徴とする配管固定具。
【請求項4】
請求項3に記載の配管固定具において、
前記ボルト穴目印は、前記ベースプレートの側面から外方に突出し且つ中央部がボルト穴の外縁に沿う円弧形状に抉れた突起であることを特徴とする配管固定具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の配管固定具において、
前記ベースプレートには、前記第1方向において、前記第2貫通孔より前記ベルトの基端部から離れた位置に第3貫通孔が形成され、
前記ベースプレートの側面には、前記配管目印として、
第1配管に前記ベルトが巻回され且つ前記第2貫通孔及び前記固定用貫通孔にボルトが挿通されたときに、当該第1配管の中心位置を示す第1目印と、
前記第1配管より直径が大きい第2配管に前記ベルトが巻回され且つ前記第3貫通孔及び前記固定用貫通孔にボルトが挿通されたときに、当該第2配管の中心位置を示す第2目印とが形成されていることを特徴とする配管固定具。
【請求項6】
請求項5に記載の配管固定具において、
前記第2目印は、前記第1目印より大きいことを特徴とする配管固定具。
【請求項7】
請求項5または6に記載の配管固定具において、
前記ベルトは、前記ベースプレートの上面から前記第1貫通孔側に傾斜して突出し、湾曲しながら前記第2貫通孔側に延設されていることを特徴とする配管固定具。
【請求項8】
請求項7に記載の配管固定具において、
前記固定片の先端から突出し、前記ベースプレートとの間隔が先端に向かって徐々に広がる案内片をさらに備えることを特徴とする配管固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に配管を固定する配管固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配管を壁面(例えば、床面、天井面、側壁面)に固定するための配管固定具が知られている。配管固定具は、例えば、ベースプレートと、ベースプレートから突出する帯状のベルトとを主に備える(例えば、特許文献1、2を参照)。このような配管固定具は、例えば以下の手順で壁面に設置される。
【0003】
まず、配管の中心位置を示すレーザ光を壁面に照射して、配管固定具の設置位置を決定する。次に、配管固定具を固定するためのボルト穴を壁面に形成する。次に、設置した配管にベルトを巻回し、ベースプレート及びベルトに設けられた貫通孔に挿通したボルトをボルト穴に螺合する。これにより、配管を保持した配管固定具が壁面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4805744号公報
【文献】特許第4956498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の設置手順において、配管固定具の設置位置を決定するには、配管の中心(すなわち、レーザ光)が配管固定具のどこを通るかを知る必要がある。しかしながら、この情報は、配管固定具のカタログや取扱説明書にスペックとして記載されているので、作業者は、これらの書類と現実の設置場所とを見比べながら、配管固定具の設置位置を決定する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設置作業を簡単且つ正確に行うことができる配管固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような技術的課題を解決するため、第1方向に離間した位置に第1貫通孔及び第2貫通孔が形成されたベースプレートと、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の間で前記ベースプレートの上面から突出して、前記第1方向に直交する第2方向に延設された配管に巻回される帯状のベルトと、前記ベルトの先端に設けられて、前記ベルトが配管に巻回されたときに前記第2貫通孔に連通し得る固定用貫通孔が形成された固定片とを備え、前記ベースプレートの側面には、前記ベルトが巻回された配管の中心位置を示す配管目印が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設置作業を簡単且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】配管固定具で小径配管を壁面に固定する手順を説明する図であって、(A)は配管固定具を位置決めした状態を示し、(B)は小径配管にベルトが巻回された状態を示す。
【
図6】配管固定具で大径配管を壁面に固定する手順を説明する図であって、(A)は配管固定具を位置決めした状態を示し、(B)は大径配管にベルトが巻回された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る配管固定具1を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0011】
図1は、配管固定具1を前方側から見た斜視図である。
図2は、配管固定具1を後方側から見た斜視図である。
図3は、配管固定具1の左側面図である。
図4は、配管固定具1の下面図である。
【0012】
本明細書では、後述する傾斜面19及び案内片40が設けられた側を配管固定具1の「前方」、後述する貫通孔11が設けられた側を配管固定具1の「後方」と定義し、配管固定具1を前方側から見て左右方向を定義する。前後方向は「第1方向」の一例であり、左右方向は「第2方向」の一例である。但し、前後左右上下と第1方向及び第2方向との関係は相対的であって、前述の例に限定されない。
【0013】
配管固定具1は、壁面に対して配管を固定するものである。なお、「壁面」とは、側壁面のみならず、床面、天井面など、空間を画定するあらゆる面を指す。また、「配管」とは、液体(例えば、冷水、温水)または気体(例えば、空気、ガス)を通過させる管状の部材である。
【0014】
図1~
図3に示すように、配管固定具1は、ベースプレート10と、ベルト20と、固定片30と、案内片40とを主に備える。配管固定具1は、例えば、樹脂材料を射出成形することによって一体成形される。配管固定具1を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。
【0015】
ベースプレート10は、壁面と配管との間に位置する部材である。本実施形態に係るベースプレート10は、平面視したときに、各頂点が面取りされた丸角四角形である。より詳細には、ベースプレート10は、前後方向の長さが左右方向より長い長方形である。また、ベースプレート10は、上下方向の厚さが前後方向の及び左右方向より薄い扁平形状である。ベースプレート10は、貫通孔11、12、13と、配管目印14a、14b、15a、15bと、ボルト穴目印16、17、18と、傾斜面19とを有する。
【0016】
貫通孔11、12、13は、ベースプレート10を厚み方向に貫通している。また、貫通孔11、12、13は、前後方向に所定の間隔を隔てて形成されている。貫通孔11、12、13には、配管固定具1を壁面に固定するためのボルト51、52、53(
図5(B)及び
図6(B)参照)が挿通される。
【0017】
貫通孔11(第1貫通孔)は、ベルト20の基端部(すなわち、ベースプレート10との接続部分)より後方に配置されている。貫通孔12(第2貫通孔)は、ベルト20の基端部より前方に配置されている。すなわち、貫通孔11、12は、ベルト20の基端部を挟んで反対側に配置されている。貫通孔13(第3貫通孔)は、貫通孔12より前方に配置されている。すなわち、貫通孔13は、貫通孔12よりベルト20の基端部から離れた位置に配置されている。
【0018】
配管目印14a、14b(第1目印)は、配管固定具1によって保持される小径配管P
1(
図5(B)参照)の中心位置を示す目印である。配管目印14a、14bは、前後方向の同じ位置において、ベースプレート10の左右の側面に分かれて設けられている。より詳細には、配管目印14a、14bは、配管固定具1に保持される小径配管P
1の延設方向(すなわち、左右方向)に平行な仮想線上に配置されている。但し、配管目印14a、14bの一方は省略可能である。
【0019】
配管目印15a、15b(第2目印)は、配管固定具1によって保持される大径配管P
2(
図6(B)参照)の中心位置を示す目印である。配管目印15a、15bは、前後方向の同じ位置において、ベースプレート10の左右の側面に分かれて設けられている。より詳細には、配管目印15a、15bは、配管固定具1に保持される大径配管P
2の延設方向(すなわち、左右方向)に平行な仮想線上に配置されている。但し、配管目印15a、15bの一方は省略可能である。
【0020】
配管目印14a、14b、15a、15bは、前後方向に離間して設けられている。より詳細には、配管目印15a、15bは、配管目印14a、14bより前方に配置されている。また、配管目印14a、14b、15a、15bは、ベースプレート10の側面から外方(すなわち、左右方向)に突出する突起である。また、配管目印14a、14b、15a、15bは、平面視したときに、円弧形状の外形を呈する。
【0021】
但し、配管目印14a、14b、15a、15bの形状は円弧形状に限定されず、四角形、三角形など、配管固定具1を上から見て視認できる突起であれば、どのような形状であってもよい。また、配管目印14a、14b、15a、15bは、突起に限定されず、ベースプレート10の側面に設けられた溝、ベースプレート10の側面に印刷された図柄、ベースプレート10の側面に貼付されたシールなど、作業者が位置を視認可能なあらゆる形態であってもよい。
【0022】
さらに、配管目印15a、15bは、配管目印14a、14bより大きい。より詳細には、配管固定具1を平面視した場合に、配管目印15a、15bの投影面積は、配管目印14a、14bより大きい。但し、配管目印14a、14bと、配管目印15a、15bとを区別する方法は、大きさ(投影面積)を異ならせることに限定されず、色、形などを異ならせてもよい。
【0023】
ボルト穴目印16、17、18は、貫通孔11、12、13に挿入されるボルト51、52、53を受け入れるボルト穴(下穴)の位置を示す目印である。ボルト穴目印16、17、18は、ベースプレート10の左側面において、前後方向に離間して設けられている。但し、ボルト穴目印16、17、18は、ベースプレート10の右側面に設けられていてもよいし、ベースプレート10の左右の側面それぞれに設けられていてもよい。
【0024】
図4に示すように、ボルト穴目印16、17、18は、貫通孔11、12、13を通り且つ左右方向に延びる仮想線l1、l2、l3と、ベースプレート10の左側面との交点に形成されている。また、ボルト穴目印16、17、18は、ベースプレート10の左側面から外方(より詳細には、左方向)に突出している。さらに、ボルト穴目印16、17、18の先端の中央部は、壁面に形成するボルト穴の外縁に沿う円弧形状に抉れている。
【0025】
但し、ボルト穴目印16、17、18の形状は前述の例に限定されず、配管固定具1を上から見てボルト穴を形成すべき位置が視認できれば、どのような形状であってもよい。また、ボルト穴目印16、17、18は、突起に限定されず、ベースプレート10の側面に設けられた溝、ベースプレート10の側面に印刷された図柄、ベースプレート10の側面に貼付されたシールなど、作業者が位置を視認可能なあらゆる形態であってもよい。
【0026】
傾斜面19は、ベースプレート10の上面の前端部に設けられている。傾斜面19は、ベースプレート10前端に向かって下り傾斜となる面である。傾斜面19は、後述する案内片40と共に、ベルト20の内側に進入する配管を案内する役割を担う。
【0027】
ベルト20は、配管に巻回される帯状の部分であって、円弧形状の外形を呈する。また、ベルト20は、配管に沿う形状に弾性変形可能に構成されている。ベルト20は、左右方向に所定の幅(ベースプレート10の左右方向の幅と概ね同じ幅)を有する。また、ベルト20は、上下方向及び前後方向を含む平面(換言すれば、左右方向に直交する平面)上において、円弧形状に湾曲している。
【0028】
より詳細には、ベルト20は、前後方向における貫通孔11、12の間において、ベースプレート10の上面から突出している。また、ベルト20は、後上方(すなわち、貫通孔11側)に傾斜して突出している。さらに、ベルト20は、湾曲しながら前方(すなわち、貫通孔12、13側)に延設されている。そして、ベルト20の先端は、自由端となっている。
【0029】
さらに、
図2及び
図3に示すように、ベルト20は、突条21を有する。突条21は、ベルト20の先端部において、ベルト20の湾曲内側に向けて突出すると共に、左右方向に延設されている。この突条21は、ベルト20の内側に進入する配管を案内すると共に、配管がベルト20の内側から飛び出すのを規制する役割を担う。
【0030】
固定片30は、ベルト20の先端に設けられている。固定片30は、概ね平板状の外形を呈する。ベルト20の自然状態(重力以外の外力が負荷されていない状態)において、固定片30は、ベルト20の先端から前上方に延設されている。一方、
図5(B)及び
図6(B)に示すように、ベルト20を配管に巻回すると、固定片30はベースプレート10の上面に面接触する。
【0031】
さらに、固定片30には、厚み方向に貫通する貫通孔31(固定用貫通孔)が形成されている。貫通孔31は、ベルト20を弾性変形(より詳細には、ベルト20を配管に巻回)させることによって、貫通孔12、13の一方に連通し得る位置に形成されている。
【0032】
案内片40は、固定片30の先端に設けられている。固定片30は、先端に向かって徐々に薄肉になる先細り形状である。また、案内片40は、固定片30の先端から前上方に延設されている。すなわち、ベースプレート10の上面と、案内片40の下面との間隔は、前方(すなわち、案内片40の先端)に向かって徐々に広がっている。
【0033】
次に、
図5を参照して、配管固定具1で小径配管P
1(第1配管)を壁面Gに固定する手順を説明する。
図5は、配管固定具1で小径配管P
1を壁面Gに固定する手順を説明する図であって、(A)は配管固定具1を位置決めした状態を示し、(B)は小径配管P
1にベルト20が巻回された状態を示す。
【0034】
まず
図5(A)に示すように、作業者は、小径配管P
1を敷設する位置を示す直線状のレーザ光Lを壁面Gに照射する。次に、作業者は、配管目印14a、14bがレーザ光Lに重なるように、配管固定具1を壁面G上に設置する。これにより、配管固定具1の第1方向の位置が確定する。そして、作業者は、ボルト穴目印16、17の抉れた部分に沿って、ペンなどで印M
1、M
2を描く。
【0035】
次に、作業者は、配管固定具1を壁面Gから除去し、印M1、M2の位置にドリルなどでボルト穴を形成する。次に、作業者は、印M1、M2の位置に形成したボルト穴に貫通孔11、12が重なるように、配管固定具1を壁面Gに設置する。これにより、配管固定具1の設置位置が確定する。なお、作業者は、印M1、M2を描くことに代えて、ボルト穴目印16、17の抉れた部分に沿ってボルト穴を直接形成してもよい。
【0036】
次に、作業者は、貫通孔11にボルト51を挿入し、貫通孔11に重なるボルト穴に当該ボルト51を螺合させる。次に
図5(B)に示すように、作業者は、壁面Gに固定された配管固定具1に、小径配管P
1を保持させる。より詳細には、作業者は、傾斜面19及び案内片40の間からベルト20の内側に向けて、小径配管P
1を第1方向に挿入する。次に、作業者は、ベルト20を弾性変形させて貫通孔12、31を連通させ、連通した貫通孔12、31にボルト52を挿入し、貫通孔12に重なるボルト穴に当該ボルト52を螺合させる。
【0037】
なお、作業者は、小径配管P1の延設方向に離間した複数の位置において、前述の作業を行う。これにより、第2方向に離間した複数の配管固定具1によって、小径配管P1が壁面Gに固定される。
【0038】
次に
図6を参照して、配管固定具1で大径配管P
2(第2配管)を壁面Gに固定する手順を説明する。
図6は、配管固定具1で大径配管P
2を壁面Gに固定する手順を説明する図であって、(A)は配管固定具1を位置決めした状態を示し、(B)は大径配管P
2にベルト20が巻回された状態を示す。なお、小径配管P
1を固定する手順と共通する部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0039】
まず
図6(A)に示すように、作業者は、配管目印15a、15bがレーザ光Lに重なるように、配管固定具1を壁面G上に設置する。次に、作業者は、ボルト穴目印16、18の抉れた部分に沿って、ペンなどで印M
1、M
3を描く。次に、作業者は、印M
1、M
3の位置にドリルなどでボルト穴を形成する。そして、作業者は、印M
1、M
3の位置に形成したボルト穴に貫通孔11、13が重なるように、配管固定具1を壁面Gに設置する。
【0040】
次に、作業者は、貫通孔11にボルト51を挿入し、貫通孔11に重なるボルト穴に当該ボルト51を螺合させる。次に
図6(B)に示すように、作業者は、壁面Gに固定された配管固定具1に、大径配管P
2を保持させる。次に、作業者は、ベルト20を弾性変形させて貫通孔13、31を連通させ、連通した貫通孔13、31にボルト53を挿入し、貫通孔13に重なるボルト穴に当該ボルト53を螺合させる。
【0041】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0042】
上記の実施形態によれば、各目印14a、14b、15a、15b、16、17、18を基準にして上記の手順で作業を行うだけで、配管固定具1を簡単且つ正確に設置することができる。その結果、壁面Gに配管を敷設する作業を効率的に行うことができる。
【0043】
また、上記の実施形態によれば、配管目印14a、14b、15a、15bをベースプレート10の側面から突出させたので、配管固定具1を上からみたときの視認性が向上する。その結果、配管固定具1の設置作業がさらに簡単になる。ボルト穴目印16、17、18についても同様である。
【0044】
また、上記の実施形態に係る配管固定具1は、直径の異なる2種類の配管P1、P2を選択的に保持することができる。このような構成を採用することによって、配管P1、P2の中心位置が配管固定具1のどこを通るかを、作業者が把握するのが難しい。そこで、上記の実施形態のように、各目印14a、14b、15a、15b、16、17、18を設けることによって、作業効率の低下を抑えることができる。但し、配管固定具1が保持できる配管の直径のバリエーションは、2つ限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0045】
また、上記の実施形態によれば、配管P1、P2の直径に対応付けて、配管目印14a、14bと、配管目印15a、15bとの大きさを異ならせることによって、どちらの配管目印をレーザ光に重ねるべきかを、作業員が直感的に理解できる。
【0046】
また、上記の実施形態によれば、ベルト20の形状を工夫することによって、直径の異なる配管P1、P2を適切に保持することができる。
【0047】
さらに、上記の実施形態によれば、傾斜面19及び案内片40を設けることによって、配管P1、P2をベルト20の内側にスムーズに進入させることができる。
【0048】
なお、配管固定具1で配管P1、P2を壁面Gに固定する手順は、前述の例に限定されず、本発明の主旨から逸脱しない範囲で変更することが可能である。例えば、貫通孔11に挿入したボルト51で配管固定具1を壁面Gに固定する前に、ベルト20に配管P1、P2を保持させてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…配管固定具、10…ベースプレート、11,12,13,31…貫通孔、14a,14b,15a,15b…配管目印、16,17,18…ボルト穴目印、19…傾斜面、20…ベルト、21…突条、30…固定片、40…案内片、51,52,53…ボルト