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特許7448210直方体の直角通過シミュレーションシステム及び直方体の直角通過シミュレーションアプリ
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  • 特許-直方体の直角通過シミュレーションシステム及び直方体の直角通過シミュレーションアプリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】直方体の直角通過シミュレーションシステム及び直方体の直角通過シミュレーションアプリ
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G06T11/80 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020169743
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061670
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】520271746
【氏名又は名称】合同会社ELGO
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】露木 司
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114218(JP,A)
【文献】特開2002-225741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末を利用してコンピュータグラフィックスにより直方体の直角搬送通過の可否をシミュレーションする直方体の直角通過シミュレーションシステムであって、
実際の現場を利用者が計測した搬入物である直方体の長さ、横幅、直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅の各数値をパラメータとして入力する入力部と、
前記パラメータを基に直角搬送路及び前記搬入物の縮小画像を画面表示する表示部と、
前記画面表示される前記搬入物を手動又は自動にて画面表示される直角搬送路に沿って移動させる搬入物移動処理部と、
前記画面表示における前記搬入物の移動段階で、前記搬入物における搬入後端部の一方の角と進入側の一方の通路壁、直角搬送路の内側直角角と前記搬入物の前記内側直角角側の壁、直角搬送路の脱出側壁と前記搬入物における搬入先端部の一方の角との3点の組み合わせ接触が同時に生じたか否かを判定する接触判定部と、
前記接触判定部により前記3点の組み合わせ接触が同時に生じたと判定された場合に前記直角搬送路に対する前記搬入物の通過不可情報を、それ以外は通過可能情報を生成する判定結果生成部と、
を有することを特徴とする直方体の直角通過シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅領域には、オペレータ入力によるパラメータとしてのクリアランス値を考慮した猶予幅であるクリアランスラインが表示され各通路幅領域における搬入物の通過余裕が図られることを特徴とする請求項1記載の直方体の直角通過シミュレーションシステム。
【請求項3】
実際の現場を利用者が計測した搬入物である直方体の長さ、横幅、直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅の各数値をパラメータとして反映させた画像を生成して情報処理端末の画面内においてコンピュータグラフィックスで縮小表示し、
縮小表示された画像における前記搬入物を手動又は自動にて直角搬送路に沿って移動させて、
縮小表示された画像において前記搬入物における搬入後端部の一方の角と進入側の一方の通路壁、直角搬送路の内側直角角と前記搬入物の前記内側直角角側の壁、直角搬送路の脱出側壁と前記搬入物における搬入先端部の一方の角との3点の組み合わせ接触が同時に生じた場合に、前記直角搬送路に対する前記搬入物の通過不可とし、それ以外は通過可能と判定する処理を、
コンピュータに実行させることを特徴とする直方体の直角通過シミュレーションアプリ。
【請求項4】
前記直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅領域には、オペレータ入力によるクリアランス値を考慮した猶予幅であるクリアランスラインが表示され各通路幅領域における搬入物の通過余裕が図られることを特徴とする請求項3記載の直方体の直角通過シミュレーションアプリ。
【請求項5】
前記情報処理端末の画面内には、縮小表示された搬入物の位置をリセットする位置リセットボタン、シミュレーションの再試行を促す再試行ボタン、オペレータ入力によるパラメータ変更を促すパラメータ変更ボタンが表示されることを特徴とする請求項3又は4に記載の直方体の直角通過シミュレーションアプリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末を利用してコンピュータグラフィックスにより直方体の直角通過シミュレーションシステム及び直方体の直角通過シミュレーションアプリに関するものであり、詳しくは、経験の有無を問わず直方体の直角搬送路に関する通過可否のシミュレーションを現場で根拠を持って実行し得る直方体の直角通過シミュレーションシステム及び直方体の直角通過シミュレーションアプリ(シミュレーションアプリケーション)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物流の分野において、大型の物品の屋内搬入等の際にしばしば問題となるのが、搬入物が角を曲がり切れるか、通過可能かという問題があり、従来では図面があればCAD上でオブジェクトをあてがう、現場では型紙(模型)等で検証してみる等の対策が講じられている。
【0003】
このような場合、計算式での判定は複雑で誰しもができるものでもなく、まして現場での計算等などできるようなものではない。
【0004】
そして、大まかで根拠に乏しい判断をする他なかったので、搬入物の現物の搬入時にやはり通過できなくトラブルとなることも少なくない。
【0005】
このようなトラブルは、ビジネス分野だけではなく家庭への家具類、家電製品類の搬入時も含め日本国内はもとより世界中すべての人々に起こり得ることである。
【0006】
しかしながら、それらを防ぐためにと事前下見にて判断を仰がれても物流のプロとしても過去の経験に頼るのみである。
【0007】
現在、日本国内において人手不足が物流業界、建設業界では非常に深刻で状況は悪化の一途をたどっているのが現状である。
【0008】
特許文献1には、作業者に対して不必要な作業負荷を負わせることなく、所定スペース内に荷物を効率よく格納する物流倉庫管理システムが開示されている。
【0009】
この物流倉庫管理システムは、いくつかの格納スペースなどに区分された倉庫内の棚の各格納スペース毎の格納可能容積、重量、寸法などの情報を管理するロケーション管理テーブル、倉庫内へ格納可能な全ての荷物を品目名で管理する品目管理テーブルなどを有するメモリと、倉庫内へ格納する新たな荷物の品目名を入力する入力装置と、この入力装置により入力された品目名から荷物の容積、重量、寸法を割り出し、メモリに記憶されている格納可能容積、重量、寸法に基づき、新たな荷物を格納する格納スペースを指示するCPUと、このCPUの指示を出力する出力装置と、を具備するものである。
【0010】
しかし、特許文献1の物流倉庫管理システムを含み、搬入物である直方体の直角搬送路に関する通過可否のシミュレーションを現場で根拠を持って実行し得るような技術は見当たらないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平10-139116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来の事情に鑑みて開発されたものであり、経験の有無を問わず直方体の直角通過可否のシミュレーションを現場で根拠を持って実行し得る直方体の直角通過シミュレーションシステム及び当該システムを実現する直方体の直角通過シミュレーションアプリを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、情報処理端末を利用してコンピュータグラフィックスにより直方体の直角搬送通過の可否をシミュレーションする直方体の直角通過シミュレーションシステムであって、実際の現場を利用者が計測した搬入物である直方体の長さ、横幅、直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅の各数値をパラメータとして入力する入力部と、前記パラメータを基に直角搬送路及び前記搬入物の縮小画像を画面表示する表示部と、前記画面表示される前記搬入物を手動又は自動にて画面表示される直角搬送路に沿って移動させる搬入物移動処理部と、前記画面表示における前記搬入物の移動段階で、前記搬入物における搬入後端部の一方の角と進入側の一方の通路壁、直角搬送路の内側直角角と前記搬入物の前記内側直角角側の壁、直角搬送路の脱出側壁と前記搬入物における搬入先端部の一方の角との3点の組み合わせ接触が同時に生じたか否かを判定する接触判定部と、前記接触判定部により前記3点の組み合わせ接触が同時に生じたと判定された場合に前記直角搬送路に対する前記搬入物の通過不可情報を、それ以外は通過可能情報を生成する判定結果生成部と、を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、経験の有無を問わず実際の現場を利用者が計測した搬入物である直方体の直角通過可否のシミュレーションを現場で根拠を持って実行し得る直方体の直角通過シミュレーションシステムを実現し提供することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏するとともに、前記直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅領域には、オペレータ入力によるパラメータとしてのクリアランス値を考慮した猶予幅であるクリアランスラインが表示されるので、各通路幅領域における搬入物の通過余裕を図ることができ、搬入物の外傷発生防止に貢献可能な直方体の直角通過シミュレーションシステムを実現し提供することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の直角通過シミュレーションシステムを実現可能な直方体の直角通過シミュレーションアプリを実現し提供することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果を奏するとともに、前記直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅領域には、オペレータ入力によるパラメータとしてのクリアランス値を考慮した猶予幅であるクリアランスラインが表示されるので、各通路幅領域における搬入物の通過余裕を図ることができ、搬入物の外傷発生防止に貢献可能な直方体の直角通過シミュレーションアプリを実現し提供することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項3又は4記載の発明の効果を奏するとともに、シミュレーションのやり直しや、パラメータの再設定等に関する自由度が高まり、異なるシミュレーション箇所への適用の可能性を高めることができる直方体の直角通過シミュレーションアプリを実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションシステムの構成を示す概略ブロック図である。
図2図2は本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションシステムにおいて、スマートフォン等の情報処理端末の表示部の画面に、表示直角搬送路画像、表示搬入物画像を表示した例を示す説明図である。
図3図3は本発明の実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリのシミュレーション処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は本発明の実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリによる表示搬入物画像の表示直角搬送路画像に対する通過可能シミュレーションの処理例を示す説明図である。
図5図5は本発明の実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリによる表示搬入物画像の表示直角搬送路画像に対する通過不可シミュレーションの処理例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、経験の有無を問わず直方体の直角通過可否のシミュレーションを現場で根拠を持って実行し得る直方体の直角通過シミュレーションシステムを実現し提供するという目的を、実際の現場を利用者が計測した搬入物である直方体の長さ、横幅、直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅の各数値をパラメータとして入力する入力部と、前記パラメータを基に直角搬送路及び前記搬入物の縮小画像を画面表示する表示部と、前記画面表示される前記搬入物を手動又は自動にて画面表示される直角搬送路に沿って移動させる搬入物移動処理部と、前記画面表示における前記搬入物の移動段階で、搬入物における搬入後端部の一方の角と進入側の一方の通路壁、直角搬送路の内側直角角と前記搬入物の前記内側直角角側の壁、直角搬送路の脱出側壁と前記搬入物における搬入先端部の一方の角との3点の組み合わせ接触が同時に生じたか否かを判定する接触判定部と、前記接触判定部により前記3点の組み合わせ接触が同時に生じたと判定された場合に前記直角搬送路に対する前記搬入物の通過不可情報を、それ以外は通過可能情報を生成する判定結果生成部と、を有し、前記直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅領域には、オペレータ入力によるパラメータとしてのクリアランス値を考慮した猶予幅であるクリアランスラインが表示され各通路幅領域における搬入物の通過余裕が図られる構成により実現した。
【実施例
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションシステム及び直方体の直角通過シミュレーションアプリについて詳細に説明する。
【0022】
本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションシステム1は、例えばスマートフォン,PC等の情報処理端末10を利用してコンピュータグラフィックスにより直方体の直角搬送通過の可否をシミュレーション可能とするシステムである。
また、本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリは、前記直方体のシミュレーション動作を実現するものである。
【0023】
本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションシステム1は、図1に示すように、全体の動作を実行させる動作プログラムを格納したプログラムメモリ11と、前記動作プログラムに基に全体の動作制御を行う制御部12と、実際の現場を利用者が計測した搬入物である直方体の長さ、横幅、直角搬送路の進入側の通路幅、脱出側の通路幅の各数値をパラメータとして、更には、パラメータとしてのクリアランス値を入力する入力部13と、前記パラメータを基に直角搬送路及び前記搬入物の縮小画像を画面表示する表示部14と、前記画面表示される前記搬入物を手動又は自動にて画面表示される直角搬送路に沿って移動させる搬入物移動処理部15と、前記搬入物の移動段階で、前記搬入物における搬入後端部の一方の角と進入側の一方の通路壁、直角搬送路の内側直角角と前記搬入物の前記内側直角角側の壁、直角搬送路の脱出側壁と前記搬入物における搬入先端部の一方の角との3点の組み合わせ接触が同時に生じたか否かを判定する接触判定部16と、前記接触判定部により前記3点の組み合わせ接触が同時に生じたと判定された場合に前記直角搬送路に対する前記搬入物の通過不可情報を、それ以外は通過可能情報を生成する判定結果生成部17と、前記動作プログラムを始動させて、シミュレーション処理を開始させるスタートボタン18と、前記搬入物移動処理部15による前記搬入物の移動操作を手動又自動にて実行させるかを切り替える手動・自動切り替え部19と、を有している。
【0024】
図2は、スマートフォン等の情報処理端末10の表示部14の画面に、オペレータの入力部13への入力に対応する前記各パラメータ値に基づいて、直角搬送路及び前記搬入物の縮小画像(表示直角搬送路画像)21、表示搬入物画像31を表示した例を示すものである。
【0025】
具体的には、CG(コンピュータグラフィックス)で構成される情報処理端末10の表示部14の画面内の空間について、実際の現場を利用者が計測した搬入物である直方体の長さA、横幅B、進入側の通路幅C、脱出側の通路幅D、更には、クリアランス値E(例えば10mm)の各数値を入力し、それぞれの対比A:B:C:D:Eを維持し、かつ、クリアランス値を考慮した逆L状のクリアランスラインL1(内)、逆L状のクリアランスラインL2(外)を考慮した表示直角搬送路画像21、表示搬入物画像31を表示した例を示している。
【0026】
ここに、本実施例においては、前記逆L状のクリアランスラインL1(内)における水平垂直の交差点(角)に計測点αを設け、また、表示搬入物画像31における一方の長辺31aを計測線として設定する。
【0027】
そして、表示搬入物画像31の移動中に計測点αと計測線が接触した時点(クリアランスラインL1(内)考慮)で通過不可と判定される可能性が生じる。
【0028】
また、逆L状のクリアランスラインL2(外)に沿って表示搬入物画像31における他方の長辺31bが移動する。
【0029】
すなわち、表示搬入物画像31における他方の長辺31bの両端の角β1、β2を各々移動点とし、これらが逆L状のクリアランスラインL2(外)に沿って移動する。
【0030】
そして、前記表示搬入物画像31の移動中に計測点αと計測線が接触し、かつ、両角β1、β2が前記逆L状のクリアランスラインL2(外)に接触した時点で通過不可と判定される。この状態を図2下欄、及び、図5左下欄、若しくは図5右上欄に示す。
【0031】
以上説明した本実施例の直角通過シミュレーションシステムによれば、経験の有無を問わず直方体の直角通過可否のシミュレーションを現場で根拠を持って実行し得る直方体の直角通過シミュレーションシステムを提供することができる。
【0032】
次に、上述した直方体の直角通過シミュレーションシステム1を実現するための直方体の直角通過シミュレーションアプリ(シミュレーションアプリケーション)について、図3乃至図5を参照して説明する。
【0033】
図3は本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリのシミュレーション処理の流れを示すものである。
【0034】
図4は本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリによる表示搬入物画像31の表示直角搬送路画像21に対する通過可能シミュレーションの処理例を示すものである。
【0035】
また、図5は本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリによる前記表示搬入物画像31の表示直角搬送路画像21に対する通過不可シミュレーションの処理例を示すものである。
【0036】
本実施例の直方体の直角通過シミュレーションアプリは、具体的には、CG(コンピュータグラフィックス)で構成される情報処理端末10の表示部14の画面内の空間について、実際の現場を利用者が計測した前記搬入物21の長さA、横幅B、進入側の通路幅C、脱出側の通路幅Dの各数値を入力し、それぞれの対比A:B:C:Dを維持して、表示直角搬送路画像21、表示搬入物画像31を情報処理端末10の画面内の空間に縮小して再現し、表示搬入物画像31前記搬入物移動処理部15の処理で、画面内で表示直角搬送路画像21内を移動し、この表示直角搬送路画像21を通過させることで表示直角搬送路画像21に対する表示搬入物画像31の通過の可否を理論上で判別し、これにより、実際の前記搬入物の実際の直角搬送路に対する通過の可否をシミュレーションするものである。
【0037】
なお、既述したクリアランス値(直接壁面に接触させないための猶予値)は、実際に使用目的が直方体の搬入なので、直角搬送路の壁と完全接触させないための判別上の余裕を得るためにオペレータの所望の都合で入力するものである。
【0038】
また、今回のアプリ作成に於いては、ゲーム制作エンジンのUnity(登録商標)を用いて製作したが、概念そのものを表現できる環境であれば他の制作環境、ソフトであっても作成可能である。
【0039】
更に、直方体の通過の可否の判定について言及すると、図2に示すように構成された縮小画面内の表示直角搬送路21の空間にて、計測点αと計測線が接触し、かつ、両角β1、β2が前記逆L状のクリアランスラインL2(外)に接触した時点、すなわち、これら3つの組み合わせが、通過中に同時に生じた時点で通過不可と判定されるものである。
【0040】
他方、図4に示すように上述した3つの組み合わせが、通過中に同時に生じない場合には不可判定が出ずに通過することができ、通過可能と判定される。
【0041】
本実施例に係る直方体の直角通過シミュレーションアプリの具体的処理の流れは、図3に示す通りである。
【0042】
すなわち、まず、直方体の長さ、幅、直角搬送路の入口と出口の幅等の測定値等からなる各パラメータ値を入力(単位mm、又はcm)し、更に、必要に応じてクリアランス値(直接壁面に接触させないための猶予値)も入力する。
【0043】
この場合、本実施例では、前提として今回のアプリでは入力可能な通路幅が最大で5000mmに設定してある。
【0044】
設定としてのクリアランス値の入力可能範囲は、通過物+両側合計のクリアランス値が通路幅を超えない範囲で、最低値片側10mm~最大値(2500-通過物の幅の2分の1)mmとなる。
【0045】
次に、各パラメータ値入力後スタートボタンを押す。
【0046】
なお、クリアランス値の説明から分かるように設定上の最大値最小値の入力値を超える数値の入力や、通路幅に対して通過物の幅+クリアランス値が超えてしまうといったようなシミュレーションに支障をきたすような矛盾がある値の入力があると、動作プログラムに基づき入力が不備とされ、その旨のガイダンスが表示される。
【0047】
次に、手動操作、若しくは自動操作を選択後、前記搬入物移動処理部15の処理にて表示搬入物画像31を動かし、シミュレーションを開始し、前記接触判定部により既述した3点の組み合わせ接触が同時に生じたか否か公知の画像処理技術で判定する。
【0048】
なお、図4図5において、移動させる表示搬入物画像31の前後に表示した二重丸印は、手動操作時の表示搬入物画像31の操作用の搬入物移動処理部15を構成するマーカーである。
【0049】
また、通過物自体+人間が実際の通過物となることも多いので実際に通過は可能だけど人がついていた場合はどうかといったイメージの確認作業に使用するため或いは通過物が角を通過する様子を観察することが手動の選択肢を設けた理由である。
【0050】
そして、最終的にシミュレーションの結果(通過可能又は通過不可)を確認する。
【0051】
今回のアプリでは入力可能な通路幅が最大で5000mmに設定してあり、設定としてのクリアランス値の入力可能範囲は、通過物+両側合計のクリアランス値が通路幅を超えない範囲で最低値片側10mm~最大値(2500-通過物の幅の2分の1)mmの例を挙げることができる。
【0052】
本実施例において、前記情報処理端末10のシミュレーション処理時の画面内には、図4図5に示すように、縮小表示された搬入物の位置をリセットする位置リセットボタン、シミュレーションの再試行を促す再試行ボタン、オペレータ入力によるパラメータ変更を促すパラメータ変更ボタンが表示される。
【0053】
これらにより、シミュレーションのやり直しや、パラメータの再設定等に関する自由度が高まり、異なるシミュレーション箇所への適用の可能性を高めることができる。
【0054】
既述した場合の他、本実施例は、通過物が直方体以外の形状の場合にも応用可能である。
【0055】
但し、通過物のモデルの作成方法や判定方法の条件等をその都度変える必要があるので操作が複雑化していくことに留意する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の直方体の直角通過シミュレーションシステム及び直方体の直角通過シミュレーションアプリは、家具類、冷蔵庫類等の日常品用の引っ越し業界、箱物等の運送業界等々において広範に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 直角通過シミュレーションシステム
10 情報処理端末
11 プログラムメモリ
12 制御部
13 入力部
14 表示部
15 搬入物移動処理部
16 接触判定部
17 判定結果生成部
18 スタートボタン
19 手動・自動切り替え部
21 表示直角搬送路画像
31 表示搬入物画像
31a 長辺
31b 長辺
A 長さ
B 横幅
C 通路幅
D 通路幅
E クリアランス値
L1 クリアランスライン(内)
L2 クリアランスライン(外)
α 計測点
β1 角
β2 角
図1
図2
図3
図4
図5