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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A61H7/00 323J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020215427
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022101062
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-344316(JP,A)
【文献】特開2010-220701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に枢支された座部と、
前記座部を前記基台に対して前後方向に揺動させるための駆動部と、
制御部と、を有し、
前記座部は、揺動部を有し、
前記基台は、前記駆動部を取り付けるための取付部を有し、
前記取付部は、
板状の第一部材と、
前記第一部材より後方に位置する板状の第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを所定の間隔で保持する保持部材と、で構成され、
前記第一部材及び/又は前記第二部材には、前記駆動部が取り付けられ、
前記駆動部は、
前記座部を前方へ揺動させる前方駆動部と、
前記座部を後方へ揺動させる後方駆動部と、を有し、
前記前方駆動部と前記後方駆動部は、前記取付部と前記揺動部との間に位置するように取り付けられており、
前記揺動部は、前記駆動部の駆動により前記第一部材と前記第二部材の間を揺動することで、前記座部を前記基台に対して前後方向に揺動させることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記駆動部の駆動方向は、前記揺動部の揺動方向と同方向であることを特徴とする請求項に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記揺動部は、左右方向が長寸の長方形の板状の揺動板を有し、
前記駆動部は、エアの給排により膨縮するエアセルであり、前記エアセルの膨張収縮によって前記揺動板を前後方向に揺動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記制御部は、前記前方駆動部と前記後方駆動部の駆動をそれぞれ独立して制御することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記制御部は、前記前方駆動部の駆動と前記後方駆動部の駆動を交互に繰り返し、前記座部を前記基台に対して交互に前後方向に揺動させる制御をすることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部の下方に設けられた補助脚を起伏させることにより、座部全体を傾動させるマッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-220701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のマッサージ機は、座部の下方に設けられた補助脚をエアセルの膨張収縮により起伏させることで、床面に対して座部を揺動させるものであり、座部には使用者からの重量負荷がかかっているため、座部を揺動させる際の応答性が悪いという問題がある。
そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、簡単な構造で応答性よく座部を揺動させることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基台と、前記基台に枢支された座部と、前記座部を前記基台に対して前後方向に揺動させるための駆動部と、制御部と、を有し、前記座部は、揺動部を有し、前記基台は、前記駆動部を取り付けるための取付部を有し、前記駆動部は、前記座部を前方へ揺動させる前方駆動部と、前記座部を後方へ揺動させる後方駆動部と、を有し、前記前方駆動部と前記後方駆動部は、前記取付部と前記揺動部との間に位置するように取り付けられており、前記駆動部の駆動により前記揺動部を前後方向に揺動させることで、前記座部を前記基台に対して前後方向に揺動させることを特徴とする。
このような構成とすることにより、簡単な構造で応答性よく座部を基台に対して前後方向に揺動させることができる。
【0006】
また、前記取付部は、板状の第一部材と、前記第一部材より後方に位置する板状の第二部材と、前記第一部材と前記第二部材とを所定の間隔で保持する保持部材と、で構成され、前記第一部材及び/又は前記第二部材には、前記駆動部が取り付けられ、前記揺動部は、前記第一部材と前記第二部材の間を揺動することが好ましい。
このような構成とすることにより、座部の揺動範囲を決めることができる。
【0007】
また、前記駆動部の駆動方向は、前記揺動部の揺動方向と同方向であることが好ましい。
このような構成とすることにより、駆動部の駆動方向と座部に着座した使用者からの重量負荷の方向とが対向しないため、少ない駆動力で座部を基台に対して前後方向に揺動させることができる。
【0008】
また、前記揺動部は、左右方向が長寸の長方形の板状の揺動板を有し、前記駆動部は、エアの給排により膨縮するエアセルであり、前記エアセルの膨張収縮によって前記揺動板を前後方向に揺動させることが好ましい。
このような構成とすることにより、エアセルの駆動力を揺動板全体で受けることができるため、効率よく揺動板を前後方向に揺動させることができる。
【0009】
また、前記制御部は、前記前方駆動部と前記後方駆動部の駆動をそれぞれ独立して制御することが好ましい。
このような構成とすることにより、座部を基台に対して前方又は後方に独立して揺動させることができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記前方駆動部の駆動と前記後方駆動部の駆動を交互に繰り返し、前記座部を前記基台に対して前後方向に揺動させる制御をすることが好ましい。
このような構成とすることにより、座部を基台に対して前後方向に交互にロッキングさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構造で応答性よく座部を基台に対して前後方向に揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】起立姿勢のマッサージ機の外観を示す斜視図である。
図2】起立姿勢のマッサージ機を左方向から見た側面図である。
図3】基台と揺動部を省略した起立姿勢のマッサージ機の底面図である。
図4】基台を省略した起立姿勢のマッサージ機を左方向から見た側面図である。
図5】マッサージ機のブロック図である。
図6】マッサージユニットを示す正面図である。
図7】マッサージユニットを省略した背凭れ部の正面図である。
図8】(a)は背凭れ部の右側の第1フレームと第1フレームに取り付けられた第1ガイドレールを示す斜視図であり、(b)は(a)の状態から背凭れ部の右側の第1ガイドレールを省略した斜視図であり、(c)は(b)の状態を左方向から見た側面図である。
図9】右側の第1ガイドレールを示す図であり、(a)は左方向から見た側面図であり、(b)は右方向から見た側面図であり、(c)は(b)において矢印V方向から見た図である。
図10】(a)は右側の第1ガイドレールを示す斜視図であり、(b)は(a)のR1、R2の拡大図である。
図11】基台を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は左方向から見た側面図であり、(c)は正面図であり、(d)は背面図である。
図12】取付部を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)の状態から第一部材を省略した図である。
図13】揺動部を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は左方向から見た側面図であり、(c)は正面図である。
図14】起立姿勢のマッサージ機を左方向から見た側面図であり、(a)は後方駆動部を駆動させた状態を示す図であり、(b)は前方駆動部を駆動させた状態を示す図である。
図15】(a)は起立姿勢のマッサージ機を左方向から見た図であり、(b)は(a)の状態から背凭れ部を倒した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[マッサージ機の全体構成]
以下、本発明のマッサージ機1の全体構成について説明する。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、マッサージ機1に着座した使用者から見て、身長方向における頭部側を「上」、身長方向における腰側を「下」、左手側を「左」、右手側を「右」と規定し、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0014】
図1は起立姿勢のマッサージ機1の外観を示す斜視図である。図2は起立姿勢のマッサージ機1を左方向から見た側面図である。図3は基台20と揺動部40を省略した起立姿勢のマッサージ機1の底面図である。図4は基台20を省略した起立姿勢のマッサージ機1を左方向から見た側面図である。図5はマッサージ機1のブロック図である。図6はマッサージユニット6を示す正面図である。図7はマッサージユニット6を省略した背凭れ部2の正面図である。図8(a)は背凭れ部2の右側の第1フレーム2aと第1フレーム2aに取り付けられた第1ガイドレール2bを示す斜視図であり、(b)は(a)の状態から背凭れ部2の右側の第1ガイドレール2bを省略した斜視図であり、(c)は(b)の状態を左方向から見た側面図である。図9は右側の第1ガイドレール2bを示す図であり、(a)は左方向から見た側面図であり、(b)は右方向から見た側面図であり、(c)は(b)において矢印V方向から見た図である。図10(a)は右側の第1ガイドレール2bを示す斜視図であり、(b)は(a)のR1、R2の拡大図である。図11は基台20を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は左方向から見た側面図であり、(c)は正面図であり、(d)は背面図である。図12は取付部30を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)の状態から第一部材31を省略した図である。図13は揺動部40を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は左方向から見た側面図であり、(c)は正面図である。
【0015】
図1図5に示すとおり、本発明のマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部3と、座部3の後部に設けられた使用者が凭れる背凭れ部2と、座部3を支持する基台20と、マッサージ機1の表面を覆うパット部材(図示せず)と、マッサージ機1の各種動作を制御する制御部9と、マッサージ機1の各種操作を行うコントローラ16と、を有している。背凭れ部2には、揉みマッサージ及び/又は叩きマッサージを行うマッサージユニット6が設けられている。
背凭れ部2は、座部3に対して前後方向に揺動することができる(図15参照)。座部3は、基台20に対して前後方向に揺動することができる(図14参照)。なお、座部3の左右両側には、使用者の腕部を載置する肘掛け部(図示せず)を設けてもよく、その場合には、肘掛け部(図示せず)に使用者の腕部をマッサージするマッサージ部(図示せず)を設けてもよい。
【0016】
背凭れ部2と座部3は、左右方向を軸方向とする枢軸B1を介して前後方向に揺動自在に連結されている。背凭れ部2と座部3の間には、背凭れ部2を座部3に対して前後方向に揺動させるためのアクチュエータ12が設けられている。詳細については後述する。
アクチュエータ12は、伸縮動作する直動式のアクチュエータにより構成されている。図15に示すように、アクチュエータ12が駆動することにより、背凭れ部2は座部3に対して前後方向に揺動することができる。具体的には、背凭れ部2を座部3の使用者の着座面に対して、枢軸B1を介して、約90°(起立姿勢)~約180°(背凭れ部2を倒した状態)までの任意の位置で停止できるようになっている。枢軸B1は、座部3に設けられた枢軸A1よりも上下方向の位置が上方に位置している。枢軸B1は、背凭れ部2が前後方向に揺動する際の揺動支点となっている。アクチュエータ12の駆動は制御部9により制御される。
【0017】
[背凭れ部の構成]
図1図7図10に示すとおり、背凭れ部2は、主として、左右で対をなして左右方向に板面を有する板状の金属よりなる第1フレーム2aと、第1フレーム2aに固着され左右方向に所定の厚みを有する樹脂よりなる第1ガイドレール2bと、左右の第1フレーム2aを連結する上下で対をなす第1連結部材2cと、マッサージユニット6を裏側から覆うバックカバー(図示せず)と、マッサージユニット6を表側から覆う伸縮性を有する生地等よりなるパット部材(図示せず)と、を有している。背凭れ部2の内部には、身長方向に移動可能なマッサージユニット6が取り付けられている。
【0018】
[第1フレームの構成]
図7~10に示すとおり、背凭れ部2の第1フレーム2aには、複数の取付部が設けられている。具体的には、左右の第1フレーム2aを連結する上下で対をなす第1連結部材2cを取り付けるための金属製の第1取付部2dが第1フレーム2aの上方と下方にそれぞれ1つずつ設けられている。上方と下方にそれぞれ1つずつ設けられた第1取付部2dの間近には、第1フレーム2aに対して第1ガイドレール2bを取り付けるための樹脂製の第2取付部2hが複数(本実施例においては、間隔をあけて3つ)設けられている。
【0019】
第2取付部2hは、第1フレーム2aから左右方向内側に向かって突出して設けられている。そのため、第1フレーム2aと後述する第1ガイドレール2bとの間には、所定の間隔が設けられている。より詳しくは、左右の第1ガイドレール2bの左右間隔は、左右の第1フレーム2aの左右間隔よりも第2取付部2hの突出量に相当する分だけ狭くなっている。
第1フレーム2aの下方に設けられた第1取付部2d付近には、左右方向を軸方向とする枢軸B1(図2、4参照)を取り付けるための孔B2が設けられている。第1フレーム2aの下方に設けられた孔B2と後述する第2フレーム3aの後方に設けられた孔B2とは、枢軸B1を介して取り付けられている。そうすることで、背凭れ部2は座部3に対して、左右方向を軸方向とする枢軸B1を介して、前後方向に揺動することができる。
【0020】
なお、第1フレーム2aに、側面視で凸部又は凹部よりなるリブ(図示せず)を形成してもよい。第1フレーム2aは金属製の板状の部材で構成されているため、プレス加工などにより、容易にリブ(図示せず)を形成することができる。リブ(図示せず)を形成することで、第1フレーム2aの強度を確保することができる。つまり、使用者の重量が大きく作用する左右方向と直交する方向(表裏方向)の強度を確保することができる。また、第1フレーム2aの周囲に外装を構成する部材(例えば、樹脂等よりなる外装パネル)を別途必要とせず、部品点数を削減でき、マッサージ機1を製造するコストを抑えることができる。なお、第1フレーム2aは、樹脂製や木製の板状の部材で構成されていてもよい。
【0021】
[第1ガイドレールの構成]
図9、10に示すとおり、第1ガイドレール2bは、略コの字状の開口2g(図9(c)、図10(b)参照)と、第1ガイドレール2bを第1フレーム2aの第2取付部2hに対して取り付けるための第2取付部受け部2eと、第1ガイドレール2bを第1連結部材2cに対して取り付けるための切欠き部2iと、を有している。開口2gは、身長方向に直交する断面の左右方向内側(使用者側)が開口している。また、第2取付部受け部2eは、第1ガイドレール2bの左右方向外側に設けられている。
【0022】
切欠き部2iは、第1ガイドレール2bの上方と下方にそれぞれ1つずつ設けられている。第1ガイドレール2bの上方に設けられた切欠き部2iは、側面視でL字状となっている(図9(a)参照)。第1ガイドレール2bの上方は、L字状の切欠き部2iを背凭れ部2の上方に設けられた第1連結部材2cに当接させた状態でねじ止めして固定されている(図7参照)。第1ガイドレール2bの下方に設けられた切欠き部2iは、側面視でコの字状となっている(図9(a)参照)。切欠き部2iを側面視でコの字状とすることで、第1ガイドレール2bを第1連結部材2cに対して取り付けやすくしている。第1ガイドレール2bの下方は、コの字状の切欠き部2iを背凭れ部2の下方に設けられた第1連結部材2cに当接させた状態でねじ止めして固定されている(図7参照)。
つまり、第1ガイドレール2bは、背凭れ部2の上下に設けられた第1連結部材2cに対して固定されている。
【0023】
第1ガイドレール2bの左右方向外側には、第2取付部受け部2eが複数設けられている(図9(b)参照)。具体的には、第2ガイドレール2bの略中央付近に1つと、略中央付近に設けられた第2取付部受け部2eから所定間隔を空けて両側にそれぞれ1つずつ、合計3つ設けられている。
第2取付部受け部2eを所定間隔を空けて設けることにより、第1ガイドレール2bが使用者からの重量負荷を第1連結部材2cだけではなく第1フレーム2aにも逃がすことができるため、第1ガイドレール2bが破損するのを防ぐことができる。第2取付受け部2eには、第2取付部2hが嵌め込まれて固定されている。なお、第2取付受け部2eに第2取付部2hを嵌め込んだ状態で更にねじ止めされていてもよい。
【0024】
第1ガイドレール2bは、第1フレーム2aの側面に対して平行に設けられた第1壁部13aと、第1壁部13aの一端部から左右内側へ立設された第2壁部13bと、第1壁部13aの他端部から左右内側へ立設された第3壁部13cと、を有している。すなわち、第1ガイドール2bは、上下方向と左右方向に所定の厚みを有している。なお、第1壁部13aは、後述するラック2fよりも更に上下方向に伸びており、第1壁部13aの前辺(使用者側の辺)と後辺(背凭れ部2側の辺)が平行となるように形成されている。第1壁部13aの上下両端には、それぞれ形状の異なる切欠き部2iが設けられている。
【0025】
第1ガイドレール2bには、開口2gが形成されている。具体的には、第1壁部13a、第2壁部13b、第3壁部13cによって、コの字型の開口2gが形成されている。開口2gの内側(より具体的には、第3壁部13cの上側)には、後述するマッサージユニット6が有するピニオン63が係合する樹脂製のラック2fが設けられている。マッサージユニット6は、ピニオン63が回転することで、背凭れ部2内を身長方向に沿って移動することができる。マッサージユニット6については後述する。
【0026】
第1ガイドレール2bは樹脂製である。樹脂には、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又はチップウレタン等様々な樹脂材料が含まれる。第1ガイドレール2b(ラック2f)は、側面視において、使用者の肩部に対応する位置から使用者の背部に対応する位置にかけて後方へ湾曲し、使用者の背部に対応する位置から使用者の腰部に対応する位置にかけて前方に湾曲している。つまり、第1ガイドレール2b(ラック2f)は、使用者の背筋のカーブに沿うように湾曲している。従って、マッサージユニット6は、背凭れ部2内を身長方向に第1ガイドレール2b(ラック2f)に沿って移動可能である。
【0027】
上述したとおり、第1ガイドレール2bは、上下方向と左右方向に所定の厚みを有する樹脂により構成されているため、マッサージ機1の上下方向と左右方向の強度を確保することができる。また、樹脂よりなる第1フレーム2aと、板状の金属よりなる上下で対をなす第1連結部材2cと、を組み合わせてマッサージ機1の背凭れ部2を構成しているため、金属のパイプ材を組み合わせた従来のマッサージ機に比べて軽量化することができる。また、第1フレーム2aと第1連結部材2cは、ねじ止めされている。そのため、溶接作業を削減できる。また、本実施例において、第1フレーム2aや第1ガイドレール2b、ラック2fは樹脂により構成されているが、木材や金属であってもよい。なお、第1連結部材2cについては後述する。
【0028】
[座部の構成]
図1図4に示すとおり、座部3は、主として、左右で対をなして左右方向に板面を有する板状の金属よりなる第2フレーム3aと、使用者の脚を載置する第3フレーム3dと、左右の第2フレーム3aを連結する前後で対をなす第2連結部材3cと、マッサージユニット6を裏側から覆うバックカバー(図示せず)と、マッサージユニット6を表側から覆う伸縮性を有する生地等よりなるパット部材(図示せず)と、を有している。第2連結部材3cには、座部3を基台20に対して前後方向に揺動させるための揺動部40が取り付けられている。揺動部40については、後述する。
座部3の表面には、使用者の臀部や太腿をマッサージするためのマッサージ部(図示せず)を設けてもよい。
【0029】
[第2フレームの構成]
図1図3に示すとおり、第2フレーム3aには、左右の第2フレーム3aを連結する前後で対をなす第2連結部材3cを取り付けるための孔C2が設けられている。具体的には、孔C2は、第2フレーム3aの前方と後方にそれぞれ1つずつ設けられている。孔C2に第2連結部材3cを挿通させることで、左右の第2フレーム3aどうしを連結することができる。なお、第2フレーム3aの左右方向内側に取付金具(図示せず)を設けてもよい。第2フレーム3aに設けられた取付金具(図示せず)を介して、第2連結部材3cを固定することで、左右の第2フレーム3aどうしをよりしっかりと固定することができる。
【0030】
第2フレーム3aの後方に設けられた孔C2付近には、左右方向を軸方向とする枢軸A1(図2参照)を取り付けるための孔A2(図1参照)が設けられている。孔A2は、後述する基台20に設けられた孔A2と同じ形状となっている。つまり、枢軸A1は、第2フレーム3aの孔A2と基台20の孔A2とを挿通し、座部3を基台20に対して枢支している。そうすることで、座部3は基台20に対して、左右方向を軸方向とする枢軸A1を介して、前後方向に揺動することができる。枢軸A1は、背凭れ部2に設けられた枢軸B1よりも上下方向の位置が下方に位置している。枢軸A1は、座部3を基台20に対して前後方向に揺動する際の揺動支点となっている。
【0031】
なお、第2フレーム3aに、側面視で凸部又は凹部よりなるリブ(図示せず)を形成してもよい。第2フレーム3aは金属製の板状の部材で構成されているため、プレス加工などにより、容易にリブ(図示せず)を形成することができる。リブ(図示せず)を形成することで、第2フレーム3aの強度を確保することができる。つまり、使用者の重量が大きく作用する左右方向と直交する方向(表裏方向)の強度を確保することができる。また、第2フレーム3aの周囲に外装を構成する部材(例えば、樹脂等よりなる外装パネル)を別途必要とせず、部品点数を削減でき、マッサージ機1を製造するコストを抑えることができる。
なお、第2フレーム3aは、木製又は樹脂製の板状の部材で構成されていてもよい。
【0032】
[連結部材の構成]
図1図3図7に示すとおり、連結部材は、身長方向に複数設けられている。具体的には、背凭れ部2に対応する位置に2つ、座部3に対応する位置に2つ設けられている。背凭れ部2に設けられた上下で対をなす連結部材は、第1連結部材2cである。第1連結部材2cは、背凭れ部2を構成する左側の第1フレーム2aから右側の第1フレーム2aに亘って取り付けられている。座部3に設けられた前後で対をなす連結部材は、第2連結部材3cである。第2連結部材3cは、座部3を構成する左側の第2フレーム3aから右側の第2フレーム3aに亘って取り付けられている。
【0033】
連結部材(第1連結部材2c、第2連結部材3c)は、板状の金属より構成されており、上下で対をなす第1連結部材2cによって左右の第1フレーム2a同士を連結している。また、前後で対をなす第2連結部材3cによって左右の第2フレーム3a同士を連結している。背凭れ部2に設けられた上下で対をなす第1連結部材2cは、それぞれ第1フレーム2aにねじ止めされている。座部3に設けられた前後で対をなす第2連結部材3cは、第2フレーム3aにねじ止めされている。
【0034】
[第1連結部材の構成]
背凭れ部2に設けられた上下で対をなす第1連結部材2cについて、説明する。図1図7に示すとおり、第1連結部材2cは、金属製の板状の部材である。本実施例においては、上方と下方にそれぞれ1つずつ設けられている。
上方に位置する第1連結部材2cの両端は、それぞれ左右の第1フレーム2aの上方に設けられた金属製の第1取付部2dとねじ止めされて固定される。上方に位置する第1連結部材2cの左右両側には、第1ガイドレール2bも取り付けられている。具体的には、第1ガイドレール2bの上方に位置する切欠き2iを上方の第1連結部材2cに嵌め込み、第1ガイドレール2bと第1連結部材2cとをねじ止めして固定する。
【0035】
下方に位置する第1連結部材2cの両端は、それぞれ左右の第1フレーム2aの下方に設けられた金属製の第1取付部2dとねじ止めされて固定される。下方に位置する第1連結部材2cの左右略中央付近には、アクチュエータ12を取り付けるためのブラケット2jが設けられている。下方に位置する第1連結部材2cの左右両側には、第1ガイドレール2bが取り付けられている。具体的には、第1ガイドレール2bの下方に位置する切欠き2iを下方の第1連結部材2cに嵌め込み、第1ガイドレール2bと第1連結部材2cとをねじ止めして固定する。
なお、上下で対をなす第1連結部材2cの裏側には、バックカバー(図示せず)がねじ止めされている。バックカバー(図示せず)により、マッサージユニット6を裏側から覆うことができる。
【0036】
そうすることで、左右方向に離反して配置された左右対の第1フレーム2aが、使用者の重量によって左右内側又は外側へ傾くことを防止できる。すなわち、マッサージ機1の左右方向の強度を確保することができる。また、使用者からの重量負荷を、ラック2fを介して第1連結部材2cで受けることができるため、ラック2fや第1フレーム2aが破損するのを防ぐことができる。
【0037】
マッサージ機1の背凭れ部2は、身長方向に延設された左右で対をなす第1フレーム2aと、左右の第1フレーム2aの間に取り付けられた2つの第1連結部材2cと、により、表裏方向に開口する開口2kが形成されている。そして、マッサージ機1に着座した使用者の上半身の裏側に対して、開口2kを通じてマッサージユニット6によりマッサージを行うことができる。
【0038】
[第2連結部材の構成]
座部3に設けられた前後で対をなす第2連結部材3cについて、説明する。図1図3に示すとおり、第2連結部材3cは、金属製の板状の部材である。本実施例においては、前方と後方にそれぞれ1つずつ設けられている。後方の第2連結部材3cには、座部3を基台20に対して前後方向に揺動させるための揺動部40が取り付けられている。揺動部40については、後述する。
前方に位置する第2連結部材3cの両端は、それぞれ左右の第2フレーム3aの前方に設けられた孔C2に挿通されて固定される。後方に位置する第2連結部材3cの両端は、それぞれ左右の第2フレーム3aの後方に設けられた孔C2に挿通されて固定される。なお、第2フレーム3aの左右方向内側に取付金具(図示せず)を設け、取付金具(図示せず)を介して、第2連結部材3cを固定するようにしてもよい。
【0039】
そうすることで、左右方向に離反して配置された左右対の第2フレーム3aが、使用者の重量によって左右内側又は外側へ傾くことを防止できる。すなわち、マッサージ機1の左右方向の強度を確保することができる。また、座部3が使用者からの重量負荷を第2連結部材3cで受けることができるため、第2フレーム3aが破損するのを防ぐことができる。
【0040】
アクチュエータ12は、座部3と背凭れ部2との間に亘って取り付けられている。具体的には、前方に位置する第2連結部材3cの裏側であって左右略中央付近には、アクチュエータ12の非伸縮部(アクチュエータ本体)が取り付けられている。背凭れ部2の下方に位置する第1連結部材2cの左右略中央付近に設けられたブラケット2jには、アクチュエータ12の伸縮部(アクチュエータ本体に対して伸縮する部分)が取り付けられている。アクチュエータ12を駆動させることにより、背凭れ部2を座部3に対して、左右方向を軸方向とする枢軸B1を介して、前後方向にリクライニングさせることができる。
【0041】
[基台の構成]
図1図2図11図12に示すとおり、基台20は、床面と接する第一台座部20aと、第一台座部20aに取り付けられた第二台座部20bと、で構成されている。第二台座部20bには、駆動部11を取り付けるための取付部30が設けられている。
なお、駆動部11と取付部30の構成については、後述する。
【0042】
[第一台座部の構成]
第一台座部20aは、複数の金属製のパイプ材から構成されている。より具体的には、円形の輪状に構成されたパイプ材と、棒状に構成されたパイプ材と、からなる。円形の輪状に構成されたパイプ材の内側には、外側から中心に向かって、複数(本実施例においては、3本)の棒状のパイプ材が設けられている。棒状のパイプ材は、第一台座部20aの強度確保に寄与している。棒状のパイプ材は、第一台座部20aの中心で互いに接合されている。第一台座部20aの中心(棒状のパイプ材の接合部)には、上方に向かって突出した連結部20cが設けられている。連結部20cの一端側は、第一台座部20aに取り付けられ、連結部20cの他端側には、第二台座部20bが取り付けられている。
なお、第一台座部20aの形状については一例であり、これ以外の形状であってもよい。例えば、第一台座部20aを中心部から外方向に向かって放射線状に伸びる複数(例えば、3~5本)の脚により構成してもよい。また、脚にキャスター(図示せず)を設けてもよい。キャスター(図示せず)を設けることで、マッサージ機1の移動を容易にすることができる。
【0043】
[第二台座部の構成]
第二台座部20bは、棒状の板状の部材から構成されている。第二台座部20bの左右両側は、上方に向かって立設されており、正面視で凹字型になっている。第二台座部20bの下面中央には、第一台座部20aの表面中央から上方に向かって突出して設けられた連結部20cの他端が取り付けられている。第二台座部20bの左右両側から上方に向かって立設された部分の先端付近には、孔A2が設けられている。孔A2は、座部3に設けられた左右方向を軸方向とする枢軸A1を挿通させるためのものである。
第二台座部20bの前側には、駆動部11が取り付けられる取付部30が設けられている。つまり、第二台座部20bは、取付部30の一部を構成している。
取付部30については、後述する。
【0044】
[取付部の構成]
図12は取付部30を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)の状態から第一部材31を省略した図である。
取付部30は、複数の部材から構成されている。具体的には、板状の第一部材31と、第一部材31より後方に位置する板状の第二部材32と、第一部材31と第二部材32とを所定の間隔で保持する保持部材33と、で構成されている。第一部材31と第二部材32には、駆動部11としてのエアセルがそれぞれ取り付けられている(図2参照)。駆動部11は、座部3を前方へ揺動させる前方駆動部11aと、座部3を後方へ揺動させる後方駆動部11bとから構成されている。前方駆動部11aは、第二部材32に取り付けられている。後方駆動部11bは、第1部材31に取り付けられている。
【0045】
第一部材31は、左右方向に長寸の板状の部材である。第一部材31の左右両側には、保持部材33がねじ止めされて固定されている。第一部材31の略中央付近には、後方駆動部11bとしてのエアセルにエアを給排気させるためのホースを通すための孔31aが開けられている。第一部材31に孔31aを開けることでエアセルを第一部材31に対して密着させた状態で取り付けることができる。具体的には、エアセルに取り付けられたホースと、エアセルとホースの接合部を孔31aに通す。ホースとエアセルとホースの接合部を第一部材31の前側(揺動部40に対向する面と反対側)に露出させた状態で、ホースと第一部材31とを固定する。なお、結束バンドやテープなど、ホースと第一部材31とを固定できる方法であれば、どのような方法であってもよい。
そうすることで、エアセルの駆動力を後述する揺動部40の揺動板40a全体で受けることができるため、効率よく揺動板40aを前後方向に揺動させることができる。
【0046】
第一部材31は、第二台座部20bに対して傾斜して取り付けられている。具体的には、前方から後方に向かって約10~20度傾斜して取り付けられている。第一部材31を傾斜して取り付けることで、第一部材31を第二台座部20bと平行に取り付けた場合と比べて、後述する揺動部40が揺動する揺動範囲を広くすることができる。また、駆動部11の駆動方向を揺動部40の揺動方向と同じ方向にすることができるため、駆動部11の駆動方向と座部3に着座した使用者からの重量負荷の方向とが対向しないため、少ない駆動力で座部3を基台20に対して前後方向に揺動させることができる。
【0047】
第二部材32は、左右方向に長寸の板状の部材である。第二部材32は、第一部材31よりも左右方向の寸法が短くなっている。具体的には、第二部材32の左右両側に取り付けられた保持部材33の分だけ左右方向の寸法が短くなっている。第二部材32の略中央付近には、前方駆動部11aとしてのエアセルにエアを給排気させるためのホースを通すための孔32aが開けられている。第二部材32に孔32aを開けることでエアセルを第二部材32に対して密着させた状態で取り付けることができる。具体的には、エアセルに取り付けられたホースと、エアセルとホースの接合部を孔32aに通す。ホースとエアセルとホースの接合部を第二部材32の後側(揺動部40に対向する面と反対側)に露出させた状態で、ホースと第二部材32とを固定する。なお、結束バンドやテープなど、ホースと第二部材32とを固定できる方法であれば、どのような方法であってもよい。
そうすることで、エアセルの駆動力を後述する揺動部40の揺動板40a全体で受けることができるため、効率よく揺動板40aを前後方向に揺動させることができる。
また、第二部材32を第二台座部20bに対して平行に取り付けることで、揺動部40を揺動させる前の状態(図14(a)参照)の時に、座部3を床面と平行にすることができる。
【0048】
保持部材33は、前後方向に長寸の部材である。保持部材33は、一端が第二部材32の左右両側に取り付けられており、他端が第一部材31の左右両側に取り付けられている。保持部材33は、前方から後方に向かって、所定の角度で傾斜して取り付けられている。具体的には、保持部材33は、第一部材31が前方から後方に向かって約10~20度傾斜するように、第二部材32に対して取り付けられている。
そうすることで、第一部材31と第二部材32とを所定の間隔で保持することができる。
【0049】
[揺動部の構成]
図13は揺動部40を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は左方向から見た側面図であり、(c)は正面図である。
揺動部40は、複数の部材から構成されている。具体的には、左右方向に長寸の長方形の板状の揺動板40aと、揺動板40aの左右両側に取り付けられ、揺動板40aを支持する揺動板取付部40cと、揺動板取付部40cが取り付けられた連結部材3cと、から構成されている。連結部材3cは、座部3の後側に設けられた連結部材3cである。つまり、連結部材3cは、揺動部40の一部も兼ねている。
【0050】
揺動板40aは、左右方向に長寸の長方形の板状の部材から構成されている。揺動板40aの左右方向の寸法は、第一部材31の左右方向の寸法よりも短くなっている。具体的には、保持部材33の分だけ短くなっている。そうすることで、エアセルの駆動力を揺動部40の揺動板40a全体で受けることができるため、効率よく揺動板40aを前後方向に揺動させることができる。具体的には、揺動部40は、第一部材31と第二部材32の間を揺動することができる。
揺動板40aの左右両側には、揺動板取付部40cを取り付けるための凸部が設けられている。つまり、揺動板40aは、左右両側が前方に凸の形状となっている。具体的には、揺動板取付部40cの分だけ前方に凸の形状となっている。そうすることで、揺動部40全体が大型化するのを防ぐことができる。
【0051】
揺動板取付部40cは、棒状の部材から構成されている。揺動板取付部40cの一端(下側)には、揺動板40aが取り付けられており、他端(上側)には、連結部材3cが取り付けられている。連結部材3cが揺動板取付部40cの一部を兼ねていることで、駆動部11の駆動により揺動板40aが揺動し、揺動板40aの揺動に追従して、連結部材3cを介して座部3を基台20に対して前後方向に揺動させることができる。
【0052】
[駆動部の構成]
駆動部11は、エアセルにより構成されている。エアセルは、給排気装置10からのエアの給排により膨張収縮する。駆動部11は、取付部30に取り付けられている。駆動部11は、取付部30の第一部材31に取り付けられた後方駆動部11bと取付部30の第二部材32取り付けられた前方駆動部11aと、からなる。
【0053】
図14に示すように、前方駆動部11aの駆動方向は、揺動部40の駆動方向と同じ方向である。後方駆動部11bの駆動方向は、揺動部40の駆動方向と同じ方向である。そうすることで、駆動部11(前方駆動部11a、後方駆動部11b)の駆動方向と座部3に着座した使用者からの重量負荷の方向とが対向しないため、少ない駆動力で座部3を基台20に対して前後方向に揺動させることができる。
また、前方駆動部11aと後方駆動部11bの駆動は、制御部9により、それぞれ独立して制御される。そうすることで、枢軸A1を支点として座部3を基台20に対して前方又は後方に揺動させることができる。
【0054】
[マッサージユニットの構成]
図6は、本発明の一実施形態に係るマッサージユニット6を示す正面図である。
図6に示すとおり、背凭れ部5には、使用者の上半身を後方(背面)からマッサージするためのマッサージユニット6が設けられている。このマッサージユニット6は、左右で対をなすアーム61と、アーム61の上下両端部に設けられた施療子62と、により構成されている。マッサージ用モータM1の駆動により左右の施療子62が近接離反する揉みマッサージ、及びマッサージ用モータM2の駆動により左右の施療子62が交互に使用者側へ進退する叩きマッサージを行わせることができる。また、マッサージユニット6は、昇降用モータM3の駆動により身長方向に沿って上方又は下方へ移動して、身体に対する位置を変更したり、ローリングマッサージを行わせたりすることができる。
背凭れ部5には、身長方向に延設された左右で対をなす第1ガイドレール2b(図1図6参照)が設けられており、マッサージユニット6は第1ガイドレール2bに沿って移動する。マッサージユニット6が身長方向に移動可能であるため、使用者の上半身(首から腰の間)を施療子62でマッサージすることができる。
【0055】
また、マッサージユニット6は、ベースフレーム60aと、ベースフレーム60aに支持された可動フレーム60bと、を有している。ベースフレーム60aは、その左右両側において第1ガイドレール2bに嵌合するピニオン63を有している。そして、昇降用モータM3を駆動させることで、身長方向に沿って移動することができる。可動フレーム60bは、左右方向の揺動軸64を介してベースフレーム60aに支持されている。ベースフレーム60aと可動フレーム60bの間には、エアセル等よりなる進退駆動部65が設けられている。進退駆動部65の駆動により、可動フレーム60bは揺動軸64を中心として使用者に対して進退することができる。なお、可動フレーム60bを進退させる構造でなくてもよく、アーム61に進退駆動部65を設けてアーム61のみを進退させる構造であってもよい。
【0056】
アーム61は、左右方向に延設された揉み軸66及び叩き軸67に連結されている。揉み軸66の左右両側には、傾斜軸部66bを有する傾斜カム66aが設けられており、この傾斜カム66aにアーム61が取り付けられている。左右の傾斜軸部66bは、正面視で略ハの字型となるように揉み軸66の軸心に対して傾斜している。叩き軸67の左右両側には、叩き軸67の軸心に対して偏心した偏心軸部67bを有する偏心カム67aが設けられており、この偏心カム67aにアーム61がコンロッド68を介して取り付けられている。左右の偏心軸部67bは、叩き軸67の軸心に対する位相が互いに異なっており、具体的には180度だけ異なっている。揉み軸66及び叩き軸67は、それぞれマッサージ用モータM1,M2の駆動により回転する。施療子62は、揉み軸66の回転により揉みマッサージを行い、叩き軸67の回転により叩きマッサージを行う。なお、施療子62が設けられたアーム61、揉み軸66、及び叩き軸67は、可動フレーム60bに支持されている。従って、施療子62は、可動フレーム60bの移動を介して使用者に対して進退可能である。
【0057】
アーム61は、前後方向に揺動自在であり、上側の施療子62が前方へ突出するようにバネ等よりなる付勢手段(図示せず)により付勢されている。また、図5に示すとおり、マッサージユニット6は、使用者の身体情報を検出する検出センサ69を有している。この検出センサ69は、アーム61が所定の揺動位置となったことを検出することで身体情報を得ることができる。具体的に説明すると、マッサージユニット6を身長方向に沿って上昇させる過程で、上側の施療子62が肩の上方に到達すると、施療子62に作用する負荷が解除されて、付勢手段(図示せず)の作用によりアーム61が前方へ揺動して所定の揺動位置となる。アーム61が所定の揺動位置となったことを検出センサ69が検出し、その際のマッサージユニット6の上下位置に基づいて肩の位置を検出する。肩の位置を基準として、その他の部位(首、背中、腰等)の位置を計算により求める。検出された身体情報は記憶部15に記憶される。なお、身体情報は使用者自身が入力してもよい。この場合、例えば、コントローラ16を操作して身体情報を入力し、記憶部15に記憶させることができる。記憶部15については、後述する。
【0058】
[制御部の構成]
図5は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1のブロック図である。図5に示すとおり、制御部9は、マッサージユニット6、給排気装置10、記憶部15、コントローラ16と電気的に接続されている。制御部9は、座部3の下部に設けられている。記憶部15とコントローラ16については後述する。制御部9は、マッサージユニット6の動作や駆動部11(前方駆動部11a、後方駆動部11b)とアクチュエータ12の駆動を制御する。使用者がコントローラ16を操作することで、マッサージユニット6の動作を実行させたり、駆動部11(前方駆動部11a、後方駆動部11b)やアクチュエータ12の駆動を実行させたりすることができる。また、前方駆動部11aと後方駆動部11bの駆動をそれぞれ独立して制御することもできる。
【0059】
[記憶部の構成]
記憶部15には、マッサージユニット6が使用者の施療部位を順次施療するマッサージコースCが記憶されている。マッサージコースCは、マッサージユニット6が定められた順序に従って複数の動作を行う動作ブロックが複数種類組み合わされて構成されている。組み合わされた複数の動作ブロックが定められた順序に従って実行することでマッサージコースCが実行される。
マッサージコースCは、マッサージユニット6が使用者の施療部位を順次施療するようにあらかじめプログラムされている。なお、マッサージ機1に通信部(図示せず)を設け、通信部(図示せず)を介して、インターネット上(例えば、サーバ(図示せず))から新たなマッサージコースCをダウンロードし、記憶部15に記憶するように構成してもよい。
【0060】
[ロッキング動作]
制御部9によるロッキング動作について説明する。ロッキング動作とは、座部3を基台20に対して(枢軸A1を揺動支点として)交互に前後方向に揺動させる動作のことである。ロッキング動作は、マッサージコースCとは独立した単独のロッキング動作であってもよいし、所定のマッサージコースCの動作の1つとして組み込まれていてもよい。
例えば、単独のロッキング動作の場合、コントローラ16にロッキングボタンを設ける。使用者がロッキングボタンを押すと、座部3を基台20に対して前方へ揺動させる動作(図14(b)参照)と後方へ揺動させる動作(図14(a)参照)とを交互に繰り返す。具体的には、制御部9が前方駆動部11aと後方駆動部11bをそれぞれ独立して駆動させることで、座部3基台20に対して前方へ揺動させたり、座部3を基台20に対して後方へ揺動させたりすることができる。このとき、交互に繰り返すタイミングは、所定の間隔(例えば、3秒ごと)であってもよいし、いわゆる「1/fゆらぎ」のような感覚であってもよい。
また、マッサージコースCに組み込まれている場合は、ロッキング動作をコースの途中で実行するように組み込んでいてもよいし、コース終了後に実行するように組み込んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、簡単な構造で応答性よく座部を揺動させることができるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
座部 3
制御部 9
駆動部 11
前方駆動部 11a
後方駆動部 11b
基台 20
取付部 30
揺動部 40
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15