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▶ エシーラ ソシエテ アノニムの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ブラキシズム管理用の装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20240305BHJP
   A61C 19/05 20060101ALI20240305BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61C19/00 M
A61C19/05 110
A61B5/00 102A
A61B5/11 300
A61B5/00 101Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020554593
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 IB2018060229
(87)【国際公開番号】W WO2019123232
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/058358
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】520223376
【氏名又は名称】エシーラ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】AESYRA SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】レティジア,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】マオディ,ピエトロ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表平03-501221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0242692(US,A1)
【文献】特表昭62-502665(JP,A)
【文献】国際公開第00/044284(WO,A2)
【文献】特許第3713595(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61C 19/05
A61B 5/00
A61B 5/11
A61B 5/389
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 1つ以上の集積回路(10)及び1本以上の電気配線路(15)を含む1つ以上の電気領域(9)、
- 1つ以上の接地パッド(12)を含む1つ以上の接地領域(11)、
- 1つ以上の感知パッド(14)を含む1つ以上の感知領域(13)
を含む、誘電体基板(8)
を含む、歯科装具(4)において、
- 前記1つ以上の電気領域(9)、前記1つ以上の接地領域(11)、及び前記1つ以上の感知領域(13)は、誘電材料が含まれていて一体形の同一の前記誘電体基板(8)に収納されており;
- 前記誘電体基板の1つ以上のセクションは曲げられ;
- 1つの感知領域は1つの接地領域に対面し;
- 1つの接地領域に対面する前記1つの感知領域は、誘電体である弾性材料(16)を含む層によって分離され、及びセンサー(26)を形成しており、
前記誘電体基板(8)は折り畳み可能であり、且つ外側面(28)、センサー側面(27)及び内側面(29)を有する前記歯科装具に組み込まれ、及び、前記歯科装具が口に配置されると、前記外側面が頬側歯面を覆い、前記センサー側面が咬合又は切歯面を覆い、及び前記内側面が舌側歯面及び/又は口蓋を覆い、
前記1つ以上の電気領域(9)は、前記歯科装具の前記外側面又は前記内側面にあり、及び前記センサーは、前記歯科装具の前記センサー側面にあり、
前記1つ以上の集積回路(10)は、前記1つ以上の感知パッド(14)と前記1つ以上の接地パッド(12)との間の静電容量測定を行うことを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項2】
請求項1に記載の歯科装具(4)において、前記誘電体基板は、表面(8a)と裏面(8b)とを有しており、前記1つ以上の電気領域(9)、接地領域(11)及び感知領域(13)は、前記誘電体基板の前記表面(8a)に収納されていることを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項3】
請求項1~2に記載の歯科装具(4)において、前記1つ以上の接地パッド(12)及び前記1つ以上の感知パッド(14)は、前記電気配線路によって1つ以上の集積回路に電気的に接続されることを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の歯科装具(4)において、2つ以上のセンサー(26)は、前記誘電体基板の一部分によって互いに関連づけられ、前記誘電体基板の前記一部分は、1つ以上の電気領域及び/又は集積回路を含むことを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の歯科装具(4)において、前記歯科装具は下顎歯列弓に適合するか又は上顎歯列弓及び/又は口蓋に適合し、前記センサーは、咬合及び/又は切歯面にあることを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の歯科装具(4)において、さらに、1つ以上の送信及び/又は受信手段(221)、1つ以上のデータ記憶手段(222)、及びバッテリー電源(23)を含むことを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項7】
請求項6に記載の歯科装具(4)において、前記感知パッドに接続された前記集積回路は、前記感知パッドと前記接地パッドとの間の相互容量及び/又は電気抵抗を測定し、信号を生成し、この信号が、前記送信及び/又は受信手段へ及び/又は前記データ記憶手段へ伝えられることを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項8】
請求項7に記載の歯科装具(4)において、圧力又は咬合圧下で、前記センサーの前記弾性材料が圧縮されて、前記感知パッドは前記接地パッドに近づき、前記感知パッドと前記接地パッドとの間の前記相互容量及び/又は電気抵抗が変化し、及び歯の力の信号を生成し、この信号が、前記集積回路によって前記送信及び/又は受信手段へ及び/又は前記データ記憶手段へ伝えられることを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の歯科装具(4)において、歯の接触、歯の力の監視、及び/又は歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせの検出に使用されることを特徴とする、歯科装具(4)。
【請求項10】
歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリにおいて、
- 歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを検出するための感知ユニット(1)、
- バイオフィードバックユニット(2)、
- 少なくとも1つの補助ユニット(3)、及び
- 信号処理手段
を含む、装置アセンブリにおいて、
- 前記感知ユニット、前記バイオフィードバックユニット、前記少なくとも1つの補助ユニット及び前記信号処理手段は、1つの装置に又は2つ以上の装置に含まれ;
- 前記感知ユニット(1)は、請求項1~9のいずれか一項に記載の歯科装具(4)を含み、
- 前記少なくとも1つの補助ユニットは、呼吸気流、いびき、血中酸素飽和度、pH、血圧、心拍数、心電図活動、脳波活動、体温、体位、体の動き、及び眼球の動きから選択される1つ以上のセンサー信号を測定するためのセンサーであり;
- 前記信号処理手段は、1つ以上のセンサー信号及び/又は1つ以上の歯の力の信号を検出するための受信手段、前記信号の強さ及び/又は周波数の変化を検出するための監視手段、及び1つ以上のセンサー信号及び/又は前記歯の力の信号の前記1つ以上の変化に応答して、作用信号を生成するための送信手段を含み;及び
- 前記バイオフィードバックユニットは、前記信号処理手段と通信し且つ前記作用信号に応答する応答手段であり、及び振動式信号、触覚信号、音響信号、電気刺激信号及び/又は光信号を提供する手段から選択されることを特徴とする、装置アセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させ且つブラキシズムを防止するための装置アセンブリにおいて、前記信号処理手段の前記送信手段は、前記歯の力の信号の前記強さ及び/又は周波数の変化を検出する及び/又は歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを検出する前に、センサー信号の前記変化に応答して前記作用信号を生成し、前記バイオフィードバックユニットを作動させることを特徴とする、装置アセンブリ。
【請求項12】
請求項10~11に記載の歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリにおいて、前記バイオフィードバックユニットは、センサー信号の前記強さ及び/又は前記周波数の変化を検出する前記信号処理手段によって提供する、前記作用信号に応答して作動されることを特徴とする装置アセンブリ。
【請求項13】
請求項10~12の何れか1項に記載の歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリにおいて、前記信号処理手段の前記送信手段は、歯の力の信号の前記強さ及び/又は周波数の前記変化に応答して、前記作用信号を生成することを特徴とする、装置アセンブリ。
【請求項14】
請求項10~13の何れか1項に記載の歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリにおいて、前記センサー信号は、脳波活動、心拍数及び血中酸素飽和度から選択されることを特徴とする、装置アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科装置、歯科装具又は歯科スプリント又はマウスガード、スプリントアセンブリ又はスプリントシステム、ブラキシズムすなわち歯ぎしり(bruxism)を監視、防止及び/又は治療するためのそれらの使用、及びブラキシズムを防止及び/又は治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラキシズムは、いまだ完全には解明されていない、歯のクレンチングすなわち噛みしめ(clenching)又はグラインディングすなわち擦り合わせ(grinding)などの無意識の咀嚼活動に関する疾患である。睡眠時、ブラキシズムに悩んでいる人は、一晩に、それぞれ約10~20秒間続く約10~40回の擦り合わせエピソードを示し、その間、100kgを超え得る顎の力が加えられる。この疾患は、健康状態に悪影響を及ぼす。報告されている健康上の合併症は、歯の摩耗、歯の短縮化(shortening)、歯科補綴物の合併症、顎関節の合併症(口を開けるときに顎で鳴る音(clicking、popping))、咬筋肥大、起床時の頭痛、及び顔面痛である。笑顔の美しさも影響を受ける。
【0003】
今までのところ、ブラキシズムを決定的に治し得る治療法はない。現在のブラキシズムの治療は、3つの主要なカテゴリー:歯科装具などの口腔装置、例えばクロニジン、クロナゼパム及びL-ドーパを含む薬物、並びにバイオフィードバック装置に分けられ得る。しかしながら、そのような治療には多くの欠点がある。歯科装具などの口腔装置は、受動的な歯の保護を提供し、及び使用1週目はブラキシズム活動を増加させ得る。さらに、疾患の原因は治療されないため、前記ブラキシズム活動は続く。薬物の使用は、治療を始めたころはブラキシズムを減少させるが、薬物は依存及び眠気を引き起こすことがあり、仕事への悪影響があるため(例えば車両を運転することが不可能である)、長期の治療にはふさわしくない。さらに、薬物の使用は、健康上の及び身体的な合併症を取り除かない。バイオフィードバック装置は、センサーによってブラキシズム活動を検出し(筋電図検査法、音)、音又は振動によって患者に注意喚起することにより、ブラキシズムの減少に適度に有効であるが、そのようなシステムは、歯の擦り合わせを完全には防止しないため、ブラキシズムエピソードは依然として存在する。さらに、そのようなシステムを使用するとき、歯科インプラント及び歯科補綴物は、依然として、著しい機械的過負荷(圧縮荷重)による影響を受ける。
【0004】
ブラキシズム検出用の既存の口腔内センサーは、スプリントに埋め込まれた信号処理用の電子ボードに、機械的に又ははんだ付けによって接続されたアセンブリ(一般にピエゾ抵抗センサー)に基づいている。センサーは、重ね合わせた多くの層を含むため、嵩張ったシステムが口に配置されることとなり、及びブラキシズムを定性的に検出する典型的なスイッチのオン/オフ応答を示す。さらに、そのような電気機械式アセンブリは、機械公差が小さく、電気的雑音レベルが高く、及び測定再現性が低い。これらの欠点は、そのような歯科装置がブラキシズム活動に関する定量的データを提供できず、及びそれらの製作にはいくつかの異なる製造プロセスを伴い、それによりそれらの全体のコストを増加させるため、そのような歯科装置の臨床応用を強力に制限する。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0305671A1号明細書及び米国特許出願公開第2016/0242951A1号明細書には、容量又は抵抗近接測定に基づくセンサーアセンブリが開示されている。パッチによって測定された電場の変化は、電気特性及び外部本体の近さに起因する。外部本体の近さは、パッチから外部本体を分離する材料の圧縮による機械的負荷に関連する。実際、実歯と歯科補綴物は異なる材料で作られており、それらは、電場が存在する際には電気的に異なるふるまいをし、及び加えられる負荷が同じでも、センサーで異なる出力を提供する。この理由から、そのようなセンサーは、歯の負荷の定性的評価を提供できるだけであり、及びブラキシズムは定量的には評価できない。
【0006】
口腔装具、歯科スプリント又はマウスガードに組み込まれた、ブラキシズム検出用の既存のセンサーは、ワイヤレスで再充電可能なバッテリーによって給電される。ワイヤレス電磁誘導充電は、コネクター・インターフェースを回避し且つ絶縁性を高めるため、スマート装具に好ましい。バッテリー充電プロセスは、装置と充電器を互いに近くにするか又は直接接触させる必要がある。歯科スプリントの場合、ユーザは、一般に、スプリントをプラスチック製保管ケースに保管し、ここで、スプリントは充電され得る。ワイヤレス充電は、充電器とスプリントが充電に最適な位置で適切に位置合わせされている場合にのみ行われ、この位置は、ユーザによって簡単に見つけられないことがある。これは、充電プロセスのパフォーマンスを損ない(充電されていないバッテリー又は不完全に充電されたバッテリー)、且つプロセスに伴う過度な電流に起因して装置が熱くなる。融点が約80℃の熱成形プラスチック(例えば、エチレン酢酸ビニル)製であることが多く且つエレクトロニクスを含む歯科装具が熱くなることによって、装具の材料及び形状が変形してしまう。スプリント形状の変化は、伝統的な充電器を効果的に使用することを困難にする。
【0007】
センサーに加えられる力の負荷及び動的ふるまいの値を定量的に及び信頼性高く-及び定性的にだけでなく-測定できるセンサーアセンブリが必要である。
【0008】
副作用がない長期の治療となり得るだけでなく、ブラキシズムのエピソードを防止する、ブラキシズムの治療を受けることが必要である。
【0009】
アセンブリを熱くせず、及びそれを変形させずに、バッテリーの効率的で簡単なワイヤレス充電を提供する、電子歯科装具又はスプリント用の充電装置を有することも必要である。
【0010】
本発明は、上述の問題に対処する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、上述の全ての欠点に対する解決法を提供する。
【0012】
意外にも、本発明人らは、誘電体基板に感知領域を統合し、前記基板は一体形であり、これが、集積回路(IC)ユニットを支持するために使用され、全体が、歯科装具に含まれることによって、口腔内センサーがユーザ咬合パラメータを信頼性高く検出できるようにすることを見出した。センサーの近くに人体又は補綴物などの材料が存在することにより、測定に影響を及ぼし得る。しかしながら、誘電体基板の感覚部は、接地パッド及び/又は能動遮蔽パッドによって電気的に遮蔽されているため、前記衝撃又は影響は、むしろとるに足らないものとなる。感知領域、特にセンサーは、誘電体基板、感知領域及びセンサーを収納する誘電体基板の部分が弾性材料製であるため、ヒトの咬み合わせの力に対して弾性的にふるまう。異なる電気的特徴(電気配線路、パッド、及びセンサー)を収納する誘電体基板は、歯科装具に統合されて、ブラキシズム及び歯の力のパターンを検出し、状況の重症度を評価できるようにする。本発明の歯科装具によって実行される測定の品質(機械公差、電気的雑音レベル及び再現性)、及び既存の解決法に対する結果として生じる臨床成果(歯の力及び顎の動きパターンの定量的検出)が、かなり改善される。
【0013】
歯科装具における力センサーの感知パッドの電気的な遮蔽は、さらに定量的な歯の力の信号の測定及び記録を改善し、アーチファクトへの干渉を大幅に低減する。センサーに遮蔽パッドが存在することによって、負荷の値の信頼性の高い特徴づけ、及びセンサーに加えられる力の動的ふるまいを可能にする。遮蔽パッドがない場合、センサー読み取り値は、加えられた機械的負荷だけでなく、それらの近くにある材料の性質による影響を受け得る。そのような近さは、電荷分布、それゆえ、導電性パッチの周りの電場に影響を及ぼす。それゆえ、1つのセンサーに加えられる同じ歯の負荷では、ブラキシズムの監視及び評価に不適切な信頼性の低い測定をもたらす異なる出力が記録され得る。遮蔽パッドの存在によって、これらのバイアスされた測定のセンサーを保護する。
【0014】
さらに、センサー、感知パッド、接地パッド、及び少なくとも集積回路を収納する誘電体基板は1つの単体で作製されるため、そのような誘電体基板を備える歯科装具を製作するコストは、製作ステップ数を減少させることによって、低く維持され得る。これはまた、異なるタイプの製造プロセスを含まずに、及び咬まれるべき嵩張ったシステムを提供することなく、研究分野においてさらに追加的な信号を記録し、歯の噛みしめ及び擦り合わせ及び/又はブラキシズムを監視及び/又は治療するためのさらなる手段を組み込み得る歯科装具を提供できる。
【0015】
一態様によれば、本発明は、
- 1つ以上の集積回路及び1本以上の電気配線路を含む1つ以上の電気領域、
- 1つ以上の接地パッドを含む1つ以上の接地領域、
- 1つ以上の感知パッドを含む1つ以上の感知領域
を含む、誘電体基板
を含む、歯科装具において、
- 1つ以上の電気領域、1つ以上の接地領域、及び1つ以上の感知領域は、誘電材料が含まれていて一体形の同一の誘電体基板に収納され;
- 誘電体基板の1つ以上のセクションが曲げられ;
- 1つの感知領域は1つの接地領域に対面し;及び
- 1つの接地領域に対面する前記1つの感知領域は、弾性材料を含む層によって分離され、及びセンサーを形成していることを特徴とする、歯科装具に関する。
【0016】
別の態様によれば、本発明はまた、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリであって、
- 歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを検出するための感知ユニット、
- バイオフィードバックユニット、及び
- 少なくとも1つの補助ユニット、
- 信号処理手段
を含む、装置アセンブリにおいて、
- 前記感知ユニット、前記バイオフィードバックユニット、前記少なくとも1つの補助ユニット及び前記信号処理手段は、同じ装置に、又は2つ以上の装置に含まれ;
- 少なくとも1つの補助ユニットは、呼吸気流、いびき、血中酸素飽和度、pH、血圧、心拍数、心電図活動、脳波活動、体温、体位、体の動き、及び眼球の動きから選択される1つ以上のセンサー信号を測定するためのセンサーであり;
- 信号処理手段は、1つ以上のセンサー信号及び/又は1つ以上の歯の力の信号を検出するための受信手段と、前記信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を検出するための監視手段と、1つ以上のセンサー信号及び/又は前記歯の力の信号の前記1つ以上の変化に応答して、作用信号を生成するための送信手段とを含み;及び
- バイオフィードバックユニットは、信号処理手段と通信し且つ作用信号に応答する応答手段であり、及び振動式信号、触覚信号、音響信号、電気刺激信号及び/又は光信号を提供する手段から選択されることを特徴とする、装置アセンブリに関する。
【0017】
さらなる態様によれば、本発明はまた、
- ベース;
- ベースにヒンジで留められたカバー;
- ベースに対して垂直に向けられた2つの付属物
を含む、歯科装具保管ケースにおいて、
- ベースは、電源、データを交換するためのモジュール及び/又は交流を生じる手段を含み;
- 少なくとも1つの付属物は、電源に電気的に接続されるコイルを含み、2つの付属物は、歯科装具の両端部の一方の外縁を他方の外縁と分離する距離よりも短い距離によって分離されており、前記歯科装具は、バッテリーに接続されたコイルを含み且つ軟質であることを特徴とする、歯科装具保管ケースに関する。
【0018】
別の態様では、本発明はまた、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための方法において、
- 補助ユニットによって測定された、呼吸気流、いびき、血中酸素飽和度、pH、血圧、心拍数、心電図活動、脳波活動、体温、体位、体の動き、及び眼球の動きから選択される少なくとも1つのセンサー信号を得るステップ;
- 少なくとも1つのセンサー信号を処理し、且つ少なくとも前記信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を決定するステップ;
- 前記少なくとも1つのセンサー信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化に応答して、振動式信号、触覚信号、音響信号、電気刺激信号及び/又は光信号から選択される刺激を提供するステップ
を含む、方法に関する。
【0019】
本発明のさらなる態様及び好ましい実施形態について、下記及び添付の特許請求の範囲で詳細に説明する。本発明のさらなる特徴及び利点は、下記で与えられる好ましい実施形態の説明から、当業者に明らかになる。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定例として単に示され且つ添付図面に示される本発明の一実施形態の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1A図1B図1C、及び図1Dは、装置アセンブリを示し、感知ユニット1、バイオフィードバックユニット2及び補助ユニットは、同じ装置に又はいくつかの装置に配置され、1つの装置は歯科装具である。
図2図2Aは、ブラキシズムの治療が行われていない、又はバイオフィードバックユニットを使用していない患者の、睡眠中の血中酸素飽和度の百分率及び顎活動(咀嚼筋活動)の測定値並びにブラキシズムのエピソード中の前記測定値のそれらの変化のグラフを示す。図2Bは、咀嚼活動にのみ反応する通常のバイオフィードバックユニットを有する装置アセンブリを用いて治療されている患者における、図2Aと同じパラメータの測定値のグラフを示す。図2Cは、図2Bと同じであるが、患者は、ブラキシズムエピソードを防止するために、血中酸素飽和度の百分率などの1つ以上のパラメータの変化に、又は咀嚼活動に加えて、反応するバイオフィードバックユニットを有する本発明の装置アセンブリを用いて治療されているものを示す。
図3図3Aは、図2Aと同じであるが、身体パラメータ:アルファ波及び心拍数が、血中酸素飽和度の百分率に加えて測定され、且つそれらの変化を使用してバイオフィードバックユニットをトリガするものを示し、図3Bは、図2Bと同じであるが、身体パラメータ:アルファ波及び心拍数が、血中酸素飽和度の百分率に加えて測定され、且つそれらの変化を使用してバイオフィードバックユニットをトリガするものを示し、図3Cは、図2Cと同じであるが、身体パラメータ:アルファ波及び心拍数が、血中酸素飽和度の百分率に加えて測定され、且つそれらの変化を使用してバイオフィードバックユニットをトリガするものを示す。
図4図4Aは、感知領域、接地領域及び電気領域を収納する誘電体基板の詳細の図を示す。図4Bは、図4Aの誘電体基板の詳細の斜視図を示し、ここで、接地領域上に曲げられ且つ弾性材料の層によって前記接地領域から分離される感知領域は、センサーを形成している。
図5図5Aは、図4Aに示すような誘電体基板の詳細の図を示し、図5Bは、図4Bに示すような誘電体基板の詳細の斜視図を示す。図5Cは、誘電体基板の詳細が別の実施形態によることを除いて、図5Aと同じものを示し、図5Dは、誘電体基板の詳細が別の実施形態によることを除いて、図5Bと同じものを示す。
図6図6Aは、誘導体の前側面の詳細の図を示す。図6Bは、遮蔽パッドを収納する誘電体基板の後側面の詳細の図を示す。図6Cは、センサーが遮蔽パッドによって保護されている状態の、誘電体基板の詳細の斜視図を示す。
図7図7Aは、誘電体基板の前側面の図を示す。図7Bは、一実施形態による誘電体基板の斜視図を示す。図7Cは、上顎歯列弓及び/又は口蓋用の歯科装具を対象としているさらなる実施形態による誘電体基板の斜視図を示す。
図8図8Aは、センサーが、圧縮されていない材料を有する誘電体基板の斜視図を示す。図8Bは、圧力下にあるセンサーを備える誘電体基板の斜視図を示す。
図9図9は、歯科用基板(破線)を含む、一実施形態による歯科装具を示す。
図10図10A及び図10Bは、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させるための装置アセンブリを示す。
図11図11Aは、歯科装具保管ケース及び歯科装具を示す。図11B及び図11Cは、歯科装具保管ケース内での、軟質性の歯科装具の位置決めを示す。
図12図12Aは、歯科装具の後側面の図を示し、歯科装具に含まれる誘電体基板は、図示されていない。図12Bは、歯科装具の軟質性を示し、図12Cは、歯科装具保管ケース内での前記歯科装具の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、添付図面に関連して提示される以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得、添付図面は本開示の一部をなす。本開示は、ここで説明及び/又は図示される特定の条件又はパラメータに限定されず、及び本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例として説明するためのものにすぎず、特許請求する開示を限定することを意図するものではないことが理解される。
【0023】
図9及び図12Aは、図7B及び図7Aに示すような誘電体基板を含む歯科装具を示す。図示の歯科装具は、上顎歯列弓及び/又は下顎歯列弓に適合する形状を有するが、歯科装具の形状は、図示の歯科装具の形状に限定されない。
【0024】
本発明は、誘電体基板8を含む歯科装具4において、誘電体基板は、1つ以上の集積回路10及び1本以上の電気配線路15を含む1つ以上の電気領域9と、1つ以上の接地パッド12を含む1つ以上の接地領域11と、1つ以上の感知パッド14を含む1つ以上の感知領域13とを含む、歯科装具において;1つ以上の電気領域、1つ以上の接地領域、及び1つ以上の感知領域は、一体形であり且つ誘電材料を含む同一の誘電体基板に収納され;誘電体基板の1つ以上のセクションは曲げられ;1つの感知領域は1つの接地領域に対面し;及び1つの接地領域に対面する前記1つの感知領域は、弾性材料16を含む層によって分離され、且つセンサー26を形成することを特徴とする、歯科装具を提供する。
【0025】
一実施形態によれば、誘電体基板8は、さらに、1本以上の遮蔽線18;及び1つ以上の遮蔽パッド17を含む。そのため、前記1つ以上の電気領域、1つ以上の接地領域、1つ以上の感知領域及び1つ以上の遮蔽パッドは、一体形であり誘電材料を含む同一の誘電体基板に収納される。誘電体基板の1つ以上のセクションが曲げられる。1つの感知領域は1つの接地領域に対面し、及び1つの接地領域に対面する前記1つの感知領域は、弾性材料16を含む層によって分離され、且つセンサー26を形成する。
【0026】
前記1つ以上の電気領域9、前記1つ以上の接地領域11、前記1つ以上の感知領域13及び前記1つ以上の遮蔽パッド17は、同じ誘電体基板8に収納される。前記誘電体基板8は、一体形であり、誘電材料を含む、すなわち前記誘電体基板は、誘電体基板のいくつかの部片のはんだ付け及び/又は組み立てがなく、及び一体形に作製されている。1つ以上の電気領域、接地領域及び感知領域は、誘電体基板8の同じ側面に収納されており、前記側面は前側面8aである。1つ以上の遮蔽パッドは、存在する場合、感知領域及び/又は接地領域の後側の誘電体基板の後側面8bである、誘電体基板の、前側面に対向する側面に収納される。接地領域11を収納する誘電体基板8は、感知領域13を収納する誘電体基板から延在し、両領域とも、誘電体基板のセクション81によって結合されている。図4A~B、図5A~D、図6A~Cに示すように、誘電体基板8はセクション81の位置レベルで曲げられ、接地領域11は、前記接地領域11から感知領域13を分離する弾性材料16を含む層上に置かれる。感知領域13上に曲げられた接地領域11、感知領域、及び弾性材料16を含む層は、センサー26を形成する。
【0027】
感知領域13を収納する誘電体基板8は、電気領域9を収納する誘電体基板から延在し、両領域とも、誘電体基板のセクション82によって結合されている。図4A~B、図5A~D、図7B~C及び図9に示すように、誘電体基板のセクション82は、誘電体基板が歯科装具4の形状に適合するようにし、及びセンサー26が前記歯科装具のセンサー側面27上にあるようにするために、曲げられる。
【0028】
歯科装具は1つのセンサーを含んでもよく、センサーの形状によって、少なくとも1つ又は2つの歯を覆う。好ましくは、歯科装具は少なくとも2つのセンサーを含み得る。3つ以上のセンサーを含んでもよく、センサーの数は、1つのセンサーのサイズ、及び歯列弓のサイズ又は長さによって決定される。
【0029】
一実施形態によれば、1つ以上の接地パッド12及び1つ以上の感知パッド14は、電気配線路によって1つ以上の集積回路10に電気的に接続される。1つ以上の遮蔽パッドは、存在する場合、遮蔽線18によって1つ以上の集積回路10に電気的に接続される。
【0030】
遮蔽パッドは接地パッドから電気的に分離される。遮蔽パッドは、さらに、感知パッドから電気的に分離される。電気的に分離されるは、2つの導体が、それらの間で測定された抵抗が10オームよりも高い場合に、電気的に分離される状況を指す。2つの導体は、それらが短絡していない場合に電気的に分離される。図6A~Cに示すように、遮蔽パッドは、外部の電気的雑音又は外乱から感知パッドを遮蔽する能動遮蔽導電体である。遮蔽パッドは、集積回路10によって使用されて、外部の電気的雑音から並びに接地パッドから感知パッドを能動的に遮蔽して、感知パッドの近傍での電場を、雑音又は接地パッドへの近さ以外の外部本体への近さなどの外部要因によって変更できないようにする。遮蔽パッドを使用することにより、外乱に起因する影響を減少させることによって、感知パッドの感度を高めることができる。能動遮蔽パッドは、感知パッドに対して並列又は同一平面上に、及び感知パッド又は領域の裏側面にあり、且つ接地パッドから電気的に分離される。能動遮蔽パッドは、前記遮蔽パッドを使用して集積回路に電気的に接続されて、センサーの感度を高め、且つ外乱の影響を減少させる。
【0031】
感知パッド14は、電荷又は電場又は電流又は電圧の変化を感知するために、集積回路10によって使用される導電体である。1つの感知領域は、感知領域当たり、1つ以上の感知パッド14、好ましくは2つの感知パッドを含み得る又は収納し得る。同じ誘電体基板は、1つ以上の感知パッドを収納する1つ以上の感知領域を収納し得る。図7A及び図7Cに示すように、同じ誘電体基板が2つ以上の感知領域を収納する場合、前記感知領域は、連続的な領域ではなく、分離した感知領域である。
【0032】
接地パッド12は、その動作のための基準値として、集積回路10によって使用される導電体である。誘電体基板の材料は、半硬質材料、軟質材料又は弾性材料から選択される。半硬質材料は、FR4などのガラス繊維強化エポキシ積層材料、又はフルオロポリマー、又はTeflonなどのポリテトラフルオロエチレンから選択される。軟質材料は、ポリイミド薄膜、ポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリトイミド(pyromellitimide))薄膜、例えばKapton又はKapton Polyimideから選択される。弾性材料は、ポリウレタン、エチルビニルアセテート、PDMS又はシリコーンから選択される。誘電体基板の材料は、軟質領域及び半硬質領域を備えるプリント回路基板としても、又はフレキシブルプリント回路基板としてもよい。
【0033】
感知パッド、接地パッド及び/又は遮蔽パッドの材料は、半硬質及び軟質又は弾性である。半硬質及び軟質材料は、厚さが1~80μm、1~10μm、2~20μm、5~50μm、4~60μm、好ましくは5μmの範囲の金属から選択される。パッドの弾性材料は、弾性基板に堆積された厚さが1~1800nm、10~1500nm、50~1000nm、100~200nm、500~1200nm、好ましくは1000nmの範囲の導電性ポリマー若しくは金属、導電性インク(導電性銀インク)、又は液体金属(例えばガリウム)から選択される。パッドに使用される材料は、ラミネーション、蒸着、スパッタリング、スクリーン印刷又は電着を含む方法によって、誘電体基板に堆積される。感知パッド及び/又は接地パッドを収納する誘電体基板領域は、フォトリソグラフィ、レーザー切断、エッチングによって、及びパターン化されたマスクを使用することによって、成形される。研磨加工及び仕上げを使用して、生体適合性を高め得る。
【0034】
集積回路10は、誘電体基板に、はんだ付けされても、又は導電性グルーを使用して糊付けされてもよい。
【0035】
感知パッド14と接地パッド12を分離する弾性材料16は、エラストマー(例えばシリコーン)、ポリマー(例えばポリエチレン)、連続気泡フォーム(例えばポリエチレンフォーム)、エラストマー材料製の独立気泡フォーム(例えばシリコーンフォーム)、ポリマー材料、軟質材料、導電性ポリマー(例えば銀インク、カーボンブラック)、誘電材料(例えばポリウレタン、エチルビニルアセテート)又は圧電(例えばポリフッ化ビニリデン、ビスマスチタン酸ナトリウム(Sodium bismuth titanate)、リン酸ガリウム)材料から選択される。材料は、好ましくは、ヒトの咬合負荷(biting load)範囲で、弾性的にふるまうように、又は軟質で弾性のふるまいを示すように、選択される。
【0036】
センサー26は、導電性であり且つ弾性材料によって分離されている、1つ以上の感知パッド14及び1つ以上の接地パッド17を含む。図8Bに示すように、感知パッド及び接地パッドは、ヒトの咬み合わせへと近づく。1つ以上のセンサー26を含む歯科装具が口内に配置されるとき、ヒトの咬み合わせによって、センサーの弾性材料16を圧縮し、且つ接地パッドと感知パッドとの間の距離が変化する。
【0037】
感知パッドと接地パッドとの間の電気容量及び/又は電気抵抗を測定することによって、基板にかかるヒトの咬み合わせに起因する歯の負荷は、本明細書で説明するような装置アセンブリによって、定性的又は定量的に測定及び監視され得る。容量感知アプローチでは、容量増加は、咬合負荷が高くなると、測定される。抵抗感知アプローチでは、オームの法則によって予想されるように、抵抗の減少は、咬合負荷が高くなると、測定される。
【0038】
一実施形態では、センサー内で感知パッドと接地パッドを分離する弾性材料16は、誘電体であり、及び集積回路10は、感知パッドと接地パッドとの間の容量測定を行う。ヒトが咬み合うと、感知パッドと接地パッドは近くなり、誘電材料を圧縮する。それゆえ、集積回路から集められた容量が増加する。歯科装具に加えられた歯の負荷は、フックの法則を使用して、本明細書で説明するような装置アセンブリによって、推定され得る。遮蔽パッドが存在することによって、測定感度を高め、且つ感知パッドに対する外乱の影響を減少させる。
【0039】
さらなる実施形態によれば、圧力又は咬合圧下で、センサーの弾性材料16が圧縮されて、感知パッド14は接地パッド12に近づき、感知パッドと接地パッドとの間の相互容量及び/又は電気抵抗が変化し、且つ歯の力の信号を生成し、それが、集積回路10によって送信及び/又は受信手段及び/又はデータ記憶手段へと伝えられる。
【0040】
誘電体基板8は、単体又は層アセンブリであり、これは、1つ以上の感知パッド14及び1つ以上の接地パッド12であるセンサー26の感知部、1つ以上の集積回路10である信号処理部、及びそれらの電気配線路15である電気接続部を、適所にホスト(hosts)し且つ保つ。エレクトロニクス及び感覚部は、余分なはんだ付けプロセスを用いずに、同じ技術プロセスを使用して同じ誘電体基板に製造され、これは、好都合な製造及び組み立てプロセスを表し、並びに機械公差、電気的雑音レベル及び測定の再現性などの歯科装具の電気機械特性の質を高めることができる。
【0041】
さらに、歯科装具は、誘電体基板の材料ゆえに、全体的に弾性を示す。接地パッドと感知パッドとの間にある材料は弾性であるため、少なくとも生理的及び超生理的なヒトの咬み合わせ負荷の範囲では、圧縮負荷下での基板の変形のふるまいは、再現性のある測定を繰り返し生じるため、既存の口腔内センサーのヒステリシスの上昇に関連する既存の問題を克服する。咬合面間領域にある誘電体基板の構成及び材料の弾性に起因して、ブラキシズムの測定は、静的及び動的な咬合閉鎖(bite closure)の双方に関し、正確で、精密で、定量的で、信頼性が高く、且つ再現性があるとし得る。歯科装具は、エチルビニルアセテート(EVA)とし得る材料で作製される。
【0042】
本明細書では、「ヒトの咬み合わせ」又は「咬合すなわち咬み合わせ」又は「咬合閉鎖」又は「噛み合わせ(bite occlusion)」は、顎を閉じるときに上歯と下歯を合わせる動きを指す。より具体的には、例えば、咀嚼又は休息している間に発生するような、上顎(上)歯と下顎(下)歯が互いに近づくときのそれらの間の静的又は動的な関係である。「静的咬合」は、顎に力が加えられ、且つ顎が閉鎖されて固定されているときの状況を指す一方で、「動的咬合」(咬交(articulation)とも称する)は、顎が動いているときの顎の動きを指す。これらの動きは、咬合面間の材料の存在下並びに咬合面間の材料の不在下を意図する。
【0043】
一実施形態によれば、2つ以上のセンサー26は、誘電体基板の一部分によって互いに関連づけられており、誘電体基板の前記部分は、図7Bに示すように1つ以上の電気領域9及び/又は集積回路10を含む。
【0044】
さらに、誘電体基板の形状は、曲がると及び歯の負荷があると、誘電体基板の材料の機械的応力を減少させるように設計され得る。同じ目的のために、孔及び金属付属物が、基板にパターン化され得る。
【0045】
一実施形態によれば、誘電体基板8は、折り畳み可能であり、且つ外側面28、センサー側面27及び内側面29を有する歯科装具に組み込まれ、及び、前記歯科装具が口内に配置されるとき、外側面は頬側歯面を覆い、センサー側面は咬合又は切歯面を覆い、及び内側面は舌側歯面及び/又は口蓋を覆う。1つ以上の電気領域9は、歯科装具の前記外側面28又は前記内側面29上にあり、及びセンサーは、歯科装具の前記センサー側面27上にある。表現「上に(on)」は、1つ以上の電気領域9の位置を、歯科装具の前記それぞれの外側面、内側面又はセンサー側面の内面又は外面に限定しない。前記1つ以上の電気領域は、歯科装具の材料に埋め込むことができる。そのような実施形態は、図9では、誘電体基板が装具に組み込まれて、並びに図7Bでは、折り畳まれた誘電体基板は、歯科装具に組み込まれても又は含まれてもいない状態で、示されている。
【0046】
さらなる実施形態によれば、歯科装具は、顎弓に適合するか、又は上顎歯列弓及び/又は口蓋に適合し、センサー26は、センサー側面27上にある及び/又は咬合及び/又は切歯面上に向けられている。上顎の歯列弓及び/又は口蓋に合わされた歯科装具は、誘電体基板8を含み得、ここでは、1つ以上の電気領域は、図7Cに示すような口蓋に合わされた誘電体基板の部分30上にあり、少なくとも2つのセンサー26を接続する。上顎用の前記歯科装具は、舌側歯面及び口蓋を全体的に又は舌側歯面及び口蓋を部分的に覆う内側面を有し、歯列弓の一部にのみ適合し得る。それゆえ、歯科装具に含まれる誘電体基板は、歯列弓の形状に、又は歯列弓の形状の一部分に一致して、ユーザの口によりよく適合するようにする。
【0047】
別の実施形態によれば、歯科装具は、さらに、1つ以上の送信及び/又は受信手段221、例えばBluetooth LE、1つ以上のデータ記憶手段222、例えばフラッシュメモリ又はEEPROMメモリ、及びバッテリー電源23、例えばリチウムポリマーバッテリーを含む。そのような歯科装具は、図9に示されている。バッテリーは、好ましくは再充電可能バッテリーである。歯科装具は、さらに、バッテリーを再充電するための回路を含む。バッテリーは、歯科装具を絶縁及び防水状態に維持するために、ワイヤレスで再充電される。
【0048】
一実施形態によれば、感知パッドに接続された集積回路10は、前記感知パッドと接地パッドとの間の相互容量及び/又は電気抵抗を測定し、信号を生成し、その信号が、送信及び/又は受信手段に及び/又はデータ記憶手段に伝えられる。感知パッドによって評価された機械的負荷は、睡眠中又は覚醒状態の間のブラキシズムの状況を決定するために使用される。閾値又は時間隔分又はそれら双方が使用されて、ブラキシズムの状況を特徴づける。
【0049】
複数の感知パッドは、歯列弓の異なる咬合領域を覆うために、同じ基板に設計され得る。異なる感知パッド上に集められた負荷を使用して、顎又は上顎の噛みしめを顎又は上顎の擦り合わせ又はナッシングすなわち部分的なきしませ(gnashing)と区別し得る。咬合閉鎖の動力学、例えば力の強さ、アンバランス、擦り合わせの方向、事象の持続期間、一連の事象、ブラキシズムパターンのタイプが、異なる感知パッドに加わる負荷を経時的に評価することによって、評価される。感知パッドの形状、及び誘電体基板上での異なる感知パッドの相互の配置関係を使用して、咬合閉鎖の動力学をより良好に評価する。
【0050】
さらなる実施形態によれば、圧力又は咬合圧下で、センサーの弾性材料16が圧縮されて、感知パッド14は接地パッド12に近づき、感知パッドと接地パッドとの間の相互容量及び/又は電気抵抗が変化し、及び歯の力の信号を生成し、その信号を、集積回路10によって送信及び/又は受信手段221へ及び/又はデータ記憶手段222へ伝える。そのような実施形態を図8A~8Bに示している。
【0051】
さらなる実施形態によれば、歯科装具は、歯の接触、歯の力を監視する、及び/又は歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを検出するために使用される。
【0052】
本発明はまた、ブラキシズム事象が起こる前にバイオフィードバック応答を予測するために、患者の睡眠及び患者の睡眠状態を正確に評価するための装置及び方法に関する。これは、1つ以上の患者パラメータを記録し、これらのデータを断続的に相関させ、患者の睡眠状態を評価し、及びバイオフィードバック作用をトリガし、それによりブラキシズム事象の時間を予測することによって、得られ得る。さらに、バイオフィードバックは、ブラキシズム検出の結果、起動され得る。バイオフィードバック作用は、決められた時間量後に、又は睡眠パラメータが正常/公称レベルに戻るとすぐに、終了され得る。
【0053】
本発明はまた、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを検出するための感知ユニット1、バイオフィードバックユニット2、少なくとも1つの補助ユニット3、及び信号処理手段を含む、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリにおいて、前記感知ユニット、前記バイオフィードバックユニット、前記少なくとも1つの補助ユニット、及び前記信号処理手段は、1つの装置に又は2つ以上の装置に含まれること;少なくとも1つの補助ユニットは、呼吸気流、いびき、血中酸素飽和度、pH、血圧、心拍数、心電図活動、脳波活動、体温、体位、体の動き、及び眼球の動きから選択される、1つ以上のセンサー信号を測定するためのセンサーであること;信号処理手段は、1つ以上のセンサー信号及び/又は1つ以上の歯の力の信号を検出する受信手段、前記信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を検出するための監視手段、及び1つ以上のセンサー信号及び/又は前記歯の力の信号の前記1つ以上の変化に応答して作用信号を生成するための送信手段を含むこと;及びバイオフィードバックユニットは、信号処理手段と通信し且つ作用信号に応答する応答手段であり、及び振動式信号、触覚信号、音響信号、電気刺激信号及び/又は光信号を提供する手段から選択されることを特徴とする、装置アセンブリに関する。
【0054】
歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリの感知ユニット1は、咀嚼筋活動監視ユニット又は顎活動監視ユニット及び/又は歯の力監視ユニットを含み得る。咀嚼ユニットは、感知ユニット1、バイオフィードバックユニット2、少なくとも1つの補助ユニット3及び/又は信号処理手段に含まれる装置と同じ装置に含まれ得る。咀嚼筋監視ユニットは、1つ以上の電極及び/又は筋電図検査法(EMG)信号を測定する1つ以上の口腔内センサーを含む。
【0055】
装置アセンブリが、咀嚼筋活動監視ユニットを含むとき、信号処理手段は、1つ以上のEMG信号、1つ以上のセンサー信号、及び/又は1つ以上の歯の力の信号を検出するための受信手段、前記信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を検出するための監視手段、及び前記EMG信号、前記センサー信号及び/又は前記歯の力の信号の前記変化に応答して作用信号を生成するための送信手段を含む。
【0056】
バイオフィードバックユニット2は、信号処理手段と通信し且つ作用信号に応答する応答手段を含み、及び振動式信号、触覚信号、音響信号及び/又は光信号を提供する手段から選択される。
【0057】
一実施形態では、感知ユニット1は歯科装具4を含む。歯科装具は、歯の力監視ユニットとして使用され得る。そのため、感知ユニットは、センサー又はブラキシズム検出用センサーを含む歯科装具に統合され得る。バイオフィードバックユニット2及び少なくとも1つの補助ユニット3及び/又は信号処理手段は、歯科装具に又は1つ以上のさらなる装置に統合され得る。そのような実施形態は、図1A~Dによって示されている。
【0058】
さらなる実施形態では、歯科装具4は、さらに、感知ユニット1、バイオフィードバックユニット2、及び/又は着用式装置:バンド、リストバンド及び/又は身体の一部によって装着される捕獲物(captor)又はセンサーから選択される、第2及び/又は第3の装置上にある少なくとも1つの補助ユニットを含む。
【0059】
感知ユニット1、バイオフィードバックユニット2及び補助ユニット3は、歯科装具4内の電子ボードに含まれ得る。感知ユニット1が咀嚼筋活動監視ユニット又は顎活動監視ユニットを含むとき、前記咀嚼筋活動又は顎活動監視ユニットは歯科装具4に含まれ得る一方、バイオフィードバックユニット2及び補助ユニット3は、時計又はブレスレット又はリストバンドに含まれる。別の実施形態では、咀嚼筋活動又は顎活動監視ユニット及び補助ユニット3は、歯科装具4に含まれる一方、バイオフィードバックユニット2は、ブレスレット又は時計又はリストバンドに統合される。さらなる実施形態では、咀嚼筋活動又は顎活動監視ユニットは歯科装具4に含まれ、バイオフィードバックユニット2は、ブレスレット又は時計又はリストバンドに統合され、及び補助ユニット3は、ブレスレット又は時計又はリストバンドにワイヤレス接続される。着用式装置は、限定されるものではないが、ブレスレット、時計、腕時計、バンド、チェストベルト、ヘッドベルト、指輪、チェストストリップ、ヘッドストリップ、リング(rings)、スマートフォン、及び携帯型から選択され得る。さらなる実施形態では、感知ユニット1は、歯の力監視ユニットから分離されているか又は上述のような別の着用式装置に統合されている咀嚼筋活動又は顎活動監視ユニットを含み得、前記歯の力監視ユニットは、歯科装具に統合されているか又は歯科装具であり、及び前記咀嚼筋活動又は顎活動監視ユニットは、歯科装具、バイオフィードバックユニット及び/又は補助ユニットとワイヤレス接続されている。
【0060】
特定の一実施形態によれば、咀嚼筋活動監視ユニットは、歯科装具に含まれる。
【0061】
スマート装具に統合された又は含まれる口腔内センサーは、顎の活動を検出するために使用される。ブラキシズムは、歯科装具4に統合される力センサー又はトランスデューサによって、検出される。
【0062】
感知ユニット1、バイオフィードバックユニット2、信号処理手段、及び少なくとも1つの補助ユニット3は、電線、電気配線路又は導電性トレースによって物理的に接続され得る及び/又は無線手段などのワイヤレス接続とし得る。感知ユニット1は、患者の顎の活動を電子的に測定及び評価する。前記監視ユニット1は、患者が歯を噛みしめる、タッピングするすなわちカチカチ噛み合わせる、又は擦り合わせるとき、EMG測定(筋電図検査法)によって、又は歯科装具4に含まれ且つ歯科咬合力を測定する口腔内センサー若しくは力トランスデューサによって、信号を提供する。顎活動は、定性的又は定量的に測定され得る。
【0063】
バイオフィードバックユニット2は、ブラキシズム事象前及び/又はその期間中、好ましくは前記事象前に、感知ユニット、口腔内センサー、咀嚼筋活動モニター及び/又は補助ユニットからの、又は1つ以上のユニット、センサー若しくはモニターの全てからの信号を受信する信号処理手段からの受信信号に応答して、アラート信号又は刺激を提供する。アラート信号又は刺激は、振動させる及び/又は触覚的に、音響的に、光学的に及び/又は電気的に動作させるための手段に提供される。前記手段は、バイオフィードバックユニットの一部としてもよく、又はバイオフィードバックユニットにワイヤレスで又は電気配線路によって接続される。複数のバイオフィードバック信号(すなわち、音及び振動)が組み合わせられて、同じ事象を注意喚起又は合図し得る。前記信号は、装置アセンブリのユーザに、又はさらなるモニターに提供される。
【0064】
信号処理手段はまた、センサーによって提供されたデータを後処理し得、及びブラキシズムの状況、睡眠の状況及び/又は覚醒の状況の分析に関するレポートを生成するために使用され得る。前記手段は、時間又は対(vs.)時間に応じて、1つ以上のセンサー用の異なる信号を統合し、且つ変化を検出する。前記データは、信号処理手段の監視手段によって処理され得る。
【0065】
補助ユニットは、以下の身体パラメータ:呼吸気流、いびき活動、血中酸素飽和度、血圧、酸濃度、酸の存在、pH、口腔内温度、体温、血圧、心拍数、脳波活動、心電図活動、眼球の動き、及び動きのうちの少なくとも1つを測定するセンサーである。1つの補助ユニット内の単一のセンサーが、複数のパラメータに関する情報を提供し得る。パルスオキシメータ、例えば、センサーが、血中酸素飽和度、血圧及び心拍数に関する情報を提供し得る。これらのパラメータ、及びそれらの統合対時間、ブラキシズムのない条件において決定された閾値と比較したこれらのパラメータ及びそれらの統合のいずれかの変化の記録のうちの1つ以上の測定値の分析が、情報を提供して、特定の瞬間の又はある期間中の患者の状態を決定する。この分析は、システムにデータを提供するために、信号処理手段又はユニットにおいて実行され、これにより、ブラキシズム事象が発生する前にバイオフィードバックユニットに通知し、且つそれを起動する。
【0066】
本明細書では、言い回し「動作可能に接続される」、「動作可能に接続可能」又はさらには「動作可能に接続する」は、装置又はシステムの2つ以上の構成要素間の機能関係を反映する、すなわち、そのような言い回しは、特許請求する構成要素が、指定の機能を実行するように接続されている必要があることを意図する。「指定の機能」は、接続に含まれる異なる構成要素に依存して変化し得る;例えば、表示システムに動作可能に接続されるマイクロコントローラユニットの指定の機能は、センサーから前記表示システムへくる、咬合(dental occlusion)及び/又は噛みしめに関するデータの詳細な(再)作成(elaboration)及びディスパッチである。同様に、容量性パッドをマイクロコントローラユニット(送信ユニット、信号処理ユニット)に動作可能に接続する伝送導電線の指定の機能は、1つの構成要素(センサーパッド)から別の構成要素(マイクロコントローラ)への電気信号の送信である。接続は、物理的又はワイヤレスとし得る;例えば、モバイル装置を着用式装置に動作可能に接続するワイヤレス接続の「指定の機能」は、1つの装置(モバイル装置)から別の構成要素(スマート装具)への電磁信号の送信である(例えばデータ交換するために)。当業者は、本開示に基づいて、本発明の装置又はシステムの1つ1つの構成要素の指定の機能、並びにそれらの相関関係がどのようなものであるかを容易に理解し、且つ解明する。
【0067】
別の実施形態では、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させ且つブラキシズムを防止するための装置アセンブリ内の信号処理手段の送信手段は、歯の力の信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を検出する及び/又は歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを検出する前に、EMG信号及び/又はセンサー信号の変化に応答して作用信号を生成して、バイオフィードバックユニット2を作動させる。
【0068】
さらなる実施形態では、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリ内のバイオフィードバックユニット2は、EMG信号の強さ及び/又は周波数の変化を検出する信号処理手段によって提供する作用信号に応答して、作動される。
【0069】
一実施形態では、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための装置アセンブリ内の信号処理手段の送信手段は、歯の力の信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化に応答して、作用信号を生成する。
【0070】
ブラキシズムを防止する際に装置アセンブリの効率を制御するために、感知ユニットからの歯の力の信号が、EMG信号及び/又はセンサー信号の変化に応答してバイオフィードバックユニット2を作動させた後に、監視される。信号処理ユニットによって歯の力の変化を記録する場合、バイオフィードバックユニットは、歯の力の信号又はブラキシズムのいずれの残留変化も抑止するために、起動される。
【0071】
さらなる実施形態では、センサー信号は、脳波活動、心拍数及び血中酸素飽和度から選択される。
【0072】
本発明はまた、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための方法であって、
- 補助ユニットによって測定される、呼吸気流、いびき、血中酸素飽和度、pH、血圧、心拍数、心電図活動、脳波活動、体温、体位、体の動き、及び眼球の動きから選択される少なくとも1つのセンサー信号を得るステップ;
- 少なくとも1つのセンサー信号を処理し、且つ少なくとも前記信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を決定するステップ;
- 少なくとも1つのセンサー信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化に応答して、振動式信号、触覚信号、音響信号、電気刺激信号及び/又は光信号から選択される刺激を提供するステップ
とを含む方法を提供する。
【0073】
歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止するための方法は、さらに、1つ以上の電極及び/又は1つ以上の口腔内センサーを用いた測定によって、ブラキシズム活動の信号を得るステップ、及び/又は1つ以上の電極及び/又は1つ以上の口腔内センサーを用いた測定によって、咀嚼筋の活動のEMG信号を得るステップを含み得る。前記ステップは、少なくとも1つのセンサー信号を得るステップの前でも又はその後でもよい。それゆえ、ブラキシズム活動の信号及び/又はEMG信号を得るステップを含む方法は、EMG信号及び少なくとも1つのセンサー信号を処理し、且つ少なくとも前記信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を決定するステップ、及び/又は前記EMG信号及び前記少なくとも1つのセンサー信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化に応答して、振動式信号、触覚信号、音響信号及び/又は光信号から選択される刺激を提供するステップを含む。
【0074】
変化は、ブラキシズムのない条件で測定された特定の信号の閾値に従って決定される。方法を適用している間、睡眠中の身体パラメータ(例えば限定されるものではないが、心拍数、血中酸素飽和度)が、監視され且つ分析される。健康的な睡眠段階では、心拍数の時間変化は最小限、1分当たり約2%であり、並びに酸素飽和度は95%超の値となる。ブラキシズム事象前、心拍数が変化する、すなわち、例えば1分当たり55回の拍動(bpm)から1分当たり65bpmへ、1分間に(短い時間間隔)著しく増加する。ブラキシズム事象前、血中酸素飽和度が、例えば1分間に≧95%から≦91%へ、1分間に(短い時間間隔)著しく低下する。前記変化は、ブラキシズム事象前は、8分間の時間窓で起きる。ブラキシズム事象前のこの時間窓を追跡することによって、本明細書で説明する方法を使用して、ブラキシズム事象の発生による、歯の噛みしめ及び/又は擦り合わせを減少させる及び/又はブラキシズムを防止し得る。バイオフィードバックユニットの起動は、ブラキシズムの発生前にトリガされ得る。
【0075】
一実施形態によれば、ブラキシズムを防止するための本発明の方法は、さらに、歯の圧力を測定することによって歯の力の信号を得るステップ、歯の力の信号を処理するステップ、及び前記歯の力の信号の強さ及び/又は周波数対時間の変化を決定するステップを含む。歯の力の信号は、歯科装具4によって得られる。歯の力は、監視している間、又は1つ以上の補助ユニットからEMG信号又は1つ以上の信号を得るステップの間、及び/又は刺激を提供するステップの後、監視され得る。
【0076】
バイオフィードバックユニットからの作用信号又は刺激は、ブラキシズムが始まる又はブラキシズムエピソードの発生前に提供される。バイオフィードバックユニットはまた、感知ユニット及び/又は補助ユニットによって提供される信号によって起動されることなく、顎の活動監視ユニットによって提供される情報を単に受信することによって、起動又は作動され得る。これにより、予期せずに及び予測していないブラキシズム事象が発生して、ユーザの歯を過度に損傷させるのを防止する。予測することができずに発生するブラキシズム事象を減少させるために、装置アセンブリはまた、前記未解決のブラキシズム事象のブラキシズムを検出すると、バイオフィードバックユニットをトリガするために使用され得る。これにより、検出された事象の持続時間を短縮させ、及び連続的な事象の発生を防止する。さらに、ブラキシズムエピソードの発生前の及び/又は予測不可能なブラキシズムエピソードに応答したバイオフィードバックユニットの起動は、歯及び歯科補綴物でのブラキシズムによって誘発される機械的過負荷、及び/又は血圧の上昇、血中酸素飽和度低下及び頻脈などの、ブラキシズムの少し前に直面する二次的影響を減少させることができ、これはまた、ユーザの睡眠の全体的な質を高め得る。
【0077】
本発明はまた、歯科装具のバッテリーをワイヤレスで充電し、且つ図11B~11C及び図12Bに示すように、装具全体又はその複数の部分のうちの1つの部分に弾性変形を加えることによって、歯科装具を充電モードに維持する、歯科装具保管ケース又は収納ピース提供する。
【0078】
歯科装具保管ケースは、ベース19a;ベースにヒンジで留められたカバー19b;ベース19aに対して垂直に向けられた2つの付属物20を含み;
- ベースは、電源24、データを交換するためのモジュール25及び/又は交流を生じる手段を含み;
- 少なくとも1つの付属物は、電源に電気的に接続されるコイル21を含み、2つの付属物は、歯科装具の両端部の一方の外縁を他方の外縁に対して分離する距離32よりも短い距離31だけ分離されており、前記歯科装具4は、バッテリー23に接続されたコイル211を含み且つ軟質であることを特徴とする。ベース19aは、さらに、電源入力ポートを含み得る。歯科装具が軟質であるという事実によって、付属物が前記歯科装具にクランプできるようにする。
【0079】
一実施形態によれば、歯科装具保管ケースでは、歯科装具は、バッテリーの充電及び/又は輸送の間、前記2つの付属物の中間に維持され、歯科装具の端部にあるコイルを含む領域は、付属物のコイルを含む領域に適合する。
【0080】
バッテリーを充電している間、記憶手段22を含む歯科装具は、保管ケースのモジュール25に、及び/又はデータ交換するためのモバイル装置と、動作可能に接続される。
【0081】
保管ケースのベースに対して垂直な付属物は、歯科装具を弾性的に変形させ且つ強制的に付属物の中間に配置することによって、歯科装具を拘束する、位置合わせする又は案内する。そのような位置は充電位置であるため、スプリントを適所に保持し且つ充電モードに安定的に維持することができる。スプリントを保管ケース内のきちんと定められた位置に保つことで、ワイヤレス充電はより効率的になり、スプリント材料は、過熱せず、及び保管ケースの不注意な、不必要な又は望ましくないどんな小さな衝撃又は揺れでも、スプリントの充電プロセスを停止も、中断もさせず、及び充電プロセス自体の効率に影響を及ぼさない。
【0082】
さらなる実施形態によれば、図12Cに示すように、ベースは、ベースに対して垂直な4つの付属物を含み得、2つの付属物は、歯科装具の端部の両側(内側及び外側)に配置されている。歯科装具の両端部の内側及び外側は、それぞれ、前記2つの付属物の間で圧搾される。1つ又は2つの付属物は、データ交換バッテリーを充電するためのコイル21を含み得、前記1つ又は2つの付属物は、ケースの外側面の方に向かうコイル21を含む。
【0083】
保管ケースはプラスチック製である。充電回路は、発振器及びコイルによるDC(直流)電源で構成されている。充電回路は保管ケースに組み込まれている。充電回路とデータ交換するモジュールは、電圧、及びバッテリーを安定化させる。この回路は、歯科装具に組み込まれている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A-2C】
図3A-3C】
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C