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  • 特許-製袋充填機におけるシール装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】製袋充填機におけるシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20240305BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20240305BHJP
   B65B 51/16 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B65B51/10 M
B65B51/14
B65B51/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021078089
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022171442
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】二村 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】冨田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】川井 香華
(72)【発明者】
【氏名】杉本 博史
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-091726(JP,A)
【文献】特開2014-105007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 51/14
B65B 51/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が収容された筒状フィルムの移送路を挟んで対向し、前記筒状フィルムを挟持して該筒状フィルムの移送と共にその移送向きへ移動する一対のシール体により、筒状フィルムの前記物品を挟む前後にシールを施す製袋充填機におけるシール装置において、
前記筒状フィルムの移送路を挟んで対向し、各シール体を、一対のシール体の対向方向に移動可能に支持する一対の保持部材と、
前記各シール体を、該シール体を支持する前記保持部材に対して常に他方のシール体側に付勢する付勢手段と、
装置本体に支持され、駆動手段によって作動して前記一対の保持部材を、シール体の姿勢を維持したまま相反する向きに円運動するように移動する作動機構と、
前記一対のシール体の夫々に配設されて一体で移動する支持体と、
前記装置本体に配設され、前記保持部材と共に移動する前記各支持体に設けたフォロワを係合案内するカム面を有するカム部材と、を備え、
前記一対の保持部材は、一方の保持部材に配設したスライドシャフトに他方の保持部材が摺動可能に支持されて、一対の保持部材はスライドシャフトに沿って相対的に接近・離間し得るよう構成され、
前記作動機構は、
前記装置本体に回転可能に支持されて、一方の保持部材が偏心位置に回転可能に支持された第1歯車と、
該第1歯車に噛合するよう前記装置本体に回転可能に支持され、他方の保持部材が偏心位置に回転可能に支持された第2歯車と、を備え、
前記第1歯車および第2歯車の一方に噛合する駆動歯車を、前記駆動手段によって回転駆動して第1歯車と第2歯車とを互いに反対方向に回転することで、前記一対の保持部材を相反する向きに円運動するよう構成され、
一方の前記支持体のフォロワを係合案内する一方の前記カム部材と、他方の前記支持体のフォロワを係合案内する他方の前記カム部材とは、前記装置本体における第1歯車および第2歯車の支持位置を挟む位置に配設され、
前記一対の保持部材の円運動に伴う一対のシール体における対向端の移動軌跡が、一部で重なるよう構成され、
前記カム面は、前記シール体の移動軌跡が重なる区間に対応する位置に設けられて筒状フィルムの移送方向に沿う直線状に延在する第1カム面部と、該第1カム面部の始端に連続する弧状の第2カム面部と、を有し、
前記作動機構による前記一対の保持部材の円運動に伴い前記フォロワが第2カム面部から第1カム面部に移行することで、前記一対のシール体が筒状フィルムを挟持すると共に、該シール体に対して前記保持部材が前記付勢手段の付勢力に抗して前記対向方向に移動して、一対のシール体が筒状フィルムの挟持状態を維持して前記移送向きへ移動し得るよう構成した
ことを特徴とする製袋充填機におけるシール装置。
【請求項2】
前記一対のシール体の一方に、前記筒状フィルムを切断する切断刃を、サーボモータにより前記対向方向に進退移動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の製袋充填機におけるシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルムに対し接近・離間する対向配置された一対のシール体によって、筒状フィルムを挟持しながら筒状フィルムと共に筒状フィルムの移送向きへ移動してシールする製袋充填機におけるシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、横形製袋充填機に配設され、筒状フィルムにエンドシール・切断を施すエンドシール装置は、筒状フィルムの移送路を挟んで上下に対向する一対のシール体を備え、両シール体を互いに対向した状態で円運動させる構成を採用すると共に、両シール体の移動軌跡が重なるように設定している。そして、エンドシール装置では、前記移動軌跡の重合区間で両シール体を当接して筒状フィルムを挟持した状態で、該両シール体を筒状フィルムの移送方向に沿って移動してエンドシールを施すと共に該フィルムを切断した後、相互に離間して後退し、再び相互に当接して移動する運動を繰返す、所謂ボックスモーションを行うよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-202220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記エンドシール装置では、一方のシール体を、一対のシール体の対向方向に移動可能に支持すると共にバネによって他方のシール体に向けて付勢するよう構成し、円運動する一対のシール体が当接した際に、一方のシール体を他方のシール体で押して移動軌跡を変えることで、両シール体が当接した状態でフィルム移送方向に沿う動きを行わせている。このように、相互に円運動する一対のシール体が当接する従来の構成では、該一対のシール体が当接する際の垂直方向(シール体のシール面が対向する方向)の速度成分が大きいため、一対のシール体のシール面同士が突き当たる瞬間には、大きな金属音が発生して騒音となる。そして、シール体の回転速度を上げて包装能力を高めようとすると、シール体の高速化に伴い騒音が増大して作業環境が悪化することから、包装能力の上限値が制約されていた。
【0005】
本発明の目的は、一対のシール体がフィルムを挟持しながらフィルムの移送向きへ移動するシール装置において、シール体の作動時に発生する騒音を低減し、包装能力の限界値を高めることができる製袋充填機におけるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の製袋充填機におけるシール装置は、
物品(33)が収容された筒状フィルム(10)の移送路を挟んで対向し、前記筒状フィルム(10)を挟持して該筒状フィルム(10)の移送と共にその移送向きへ移動する一対のシール体(11,12)により、筒状フィルム(10)の前記物品(33)を挟む前後にシールを施す製袋充填機におけるシール装置において、
前記筒状フィルム(10)の移送路を挟んで対向し、各シール体(11,12)を、一対のシール体(11,12)の対向方向に移動可能に支持する一対の保持部材(13,14)と、
前記各シール体(11,12)を、該シール体(11,12)を支持する前記保持部材(13,14)に対して常に他方のシール体(11,12)側に付勢する付勢手段(27)と、
装置本体(15)に支持され、駆動手段(46)によって作動して前記一対の保持部材(13,14)を、シール体(11,12)の姿勢を維持したまま相反する向きに円運動するように移動する作動機構(16)と、
前記一対のシール体(11,12)の夫々に配設されて一体で移動する支持体(17,18)と、
前記装置本体(15)に配設され、前記保持部材(13,14)と共に移動する前記各支持体(17,18)に設けたフォロワ(19)を係合案内するカム面(20)を有するカム部材(21,22)と、を備え、
前記一対の保持部材(13,14)は、一方の保持部材(13)に配設したスライドシャフト(24)に他方の保持部材(14)が摺動可能に支持されて、一対の保持部材(13,14)はスライドシャフト(24)に沿って相対的に接近・離間し得るよう構成され、
前記作動機構(16)は、
前記装置本体(15)に回転可能に支持されて、一方の保持部材(13)が偏心位置に回転可能に支持された第1歯車(38)と、
該第1歯車(38)に噛合するよう前記装置本体(15)に回転可能に支持され、他方の保持部材(14)が偏心位置に回転可能に支持された第2歯車(42)と、を備え、
前記第1歯車(38)および第2歯車(42)の一方に噛合する駆動歯車(45)を、前記駆動手段(46)によって回転駆動して第1歯車(38)と第2歯車(42)とを互いに反対方向に回転することで、前記一対の保持部材(13,14)を相反する向きに円運動するよう構成され、
一方の前記支持体(17)のフォロワ(19)を係合案内する一方の前記カム部材(21)と、他方の前記支持体(18)のフォロワ(19)を係合案内する他方の前記カム部材(22)とは、前記装置本体(15)における第1歯車(38)および第2歯車(42)の支持位置を挟む位置に配設され、
前記一対の保持部材(13,14)の円運動に伴う一対のシール体(11,12)における対向端の移動軌跡が、一部で重なるよう構成され、
前記カム面(20)は、前記シール体(11)の移動軌跡が重なる区間に対応する位置に設けられて筒状フィルム(10)の移送方向に沿う直線状に延在する第1カム面部(20a)と、該第1カム面部(20a)の始端に連続する弧状の第2カム面部(20b)と、を有し、
前記作動機構(16)による前記一対の保持部材(13,14)の円運動に伴い前記フォロワ(19)が第2カム面部(20b)から第1カム面部(20a)に移行することで、前記一対のシール体(11,12)が筒状フィルム(10)を挟持すると共に、該シール体(11,12)に対して前記保持部材(13,14)が前記付勢手段(27)の付勢力に抗して前記対向方向に移動して、一対のシール体(11,12)が筒状フィルム(10)の挟持状態を維持して前記移送向きへ移動し得るよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、一対のシール体が筒状フィルムを挟んで当接する際の位置をカム部材で制御して、当接時に大きな衝撃が発生するのを防止して騒音の発生を抑止することができ、作業環境を悪化させることなく包装能力の限界値を高めることができる。また、一対のシール体が当接する際の衝撃を付勢手段で吸収することができ、騒音の発生をより抑止することができる。更に、一対のシール体が当接する際に加わる力をカム部材で受けることができるので、保持部材を円運動する作動機構に衝撃が加わるのを抑制でき、該作動機構の長寿命化を図ることができる。また、一対の保持部材を、噛合する歯車によって円運動するよう構成したので、包装処理速度の高速化に容易に対応することができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記一対のシール体(11,12)の一方に、前記筒状フィルム(10)を切断する切断刃(28)を、サーボモータ(31)により前記対向方向に進退移動可能に支持したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、包装処理速度の高速化に対応して筒状フィルムを良好に切断することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シール体の作動時に発生する騒音を低減して包装能力の限界値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一対のシール体が離間した状態のエンドシール装置を縦断して示す要部概略側面図である。
図2図1のA-A線で縦断した概略図である。
図3】一対のシール体が当接した状態のエンドシール装置を縦断して示す要部概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る製袋充填機におけるシール装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、製袋充填機を横形製袋充填機で説明すると共に、シール装置をエンドシール装置で説明する。
【実施例
【0012】
横形製袋充填機は、フィルムロールから引き出した帯状フィルムを、その長手方向両端縁部を合掌状に重合して筒状フィルムとして成形する製袋手段と、筒状フィルムに向けて物品を所定間隔毎に供給する供給コンベヤと、前記合掌状に重合した筒状フィルムの重合部にセンターシール部を形成するセンターシール装置と、前記筒状フィルムの重合部を挟持してセンターシール装置に向けて筒状フィルムを移送するフィルム移送手段と、筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された物品の前後位置で筒状フィルムを挟み、筒状フィルムの移送方向と交差する方向(幅方向)にエンドシール・切断を施すエンドシール装置と、の夫々を備える。
【0013】
図1に示す如く、前記エンドシール装置は、筒状フィルム10の移送路を挟んで対向する一対のシール体11,12と、前記移送路を挟んで対向し、各シール体11,12を支持する一対の保持部材13,14と、各シール体11,12を、該シール体11,12を支持する保持部材13,14に対して常に他方のシール体11,12側に付勢する付勢手段27と、装置本体15に支持されて一対の保持部材13,14を、シール体11,12の姿勢を維持したまま相反する向きに円運動するように移動する作動機構16と、シール体11,12の夫々に配設されて一体で移動する支持体17,18と、装置本体15に配設され、保持部材13,14と共に移動する各支持体17,18に設けたフォロワ19を係合案内するカム面20を有するカム部材21,22と、を備える。カム部材21,22のカム面20は、一対のシール体11,12を、前記移送路を挟んで相互に離間する初期位置から相互に接近して筒状フィルム10を挟持し、その挟持状態で筒状フィルム10の移送向き(以後、フィルム移送向きと称す)に移動した後に、相互に離間して初期位置に復帰するボックスモーションを行わせる形状に形成される。
【0014】
図1図3に示す如く、前記エンドシール装置の装置本体としての機枠15は、筒状フィルム10の移送方向(以後、フィルム移送方向と称す)と交差する幅方向に離間する一対の側板23,23を備え、該一対の側板23,23の間に、前記一対の保持部材13,14が支持される。一対の保持部材13,14は、筒状フィルム10の移送路より上方に臨む第1保持部材(一方の保持部材)13および移送路より下方に臨む第2保持部材(他方の保持部材)14からなり、両保持部材13,14は、フィルム移送方向の前後および上下に移動可能に支持される。第1保持部材13には、幅方向に離間して上下方向に所定長さで延在する一対のスライドシャフト24,24が配設され、該スライドシャフト24,24の下端部が連結部材25で連結されている。スライドシャフト24,24の第1保持部材13から下方に延出する部分に、第2保持部材14が摺動可能に支持され、第1保持部材13および第2保持部材14は、スライドシャフト24,24に沿って姿勢を維持したまま相対的に接近・離間し得るように構成される。
【0015】
図1図3に示す如く、前記第1保持部材13の下側に、シール面が筒状フィルム10の移送路を指向する姿勢で、前記一対のシール体11,12の一方である第1シール体11が、上下方向(一対のシール体11,12の対向方向)に移動可能に支持される。すなわち、第1シール体11に、一対の第1連結シャフト26,26が幅方向に離間して配設され、該一対の第1連結シャフト26,26が、第1保持部材13に摺動可能に挿通されている。第1保持部材13の上方に延出する第1連結シャフト26,26は、幅方向に延在する第1支持体(支持体)17に連結されており、該第1支持体17は、第1保持部材13に対して第1シール体11と一体で上下方向に移動するよう構成される。また、第1保持部材13と第1シール体11との間の各第1連結シャフト26の外周に、前記付勢手段としてのバネ27が配置され、第1シール体11は、バネ27,27によって第1保持部材13に対して下方(後述する第2シール体12側)に向けて付勢されている。なお、第1連結シャフト26には、第1保持部材13より上側にストッパ26aが設けられ、バネ27,27によって付勢されている第1シール体11の下方への移動は、ストッパ26aが第1保持部材13に当接することで規制される。第1シール体11に、切断刃28が上下方向に進退移動可能に支持されると共に、該切断刃28を進退移動する切断機構29が第1保持部材13に配設されており、第1シール体11と第2シール体12とで筒状フィルム10を挟持した際に、切断機構29により切断刃28を進退移動して筒状フィルム10を切断するよう構成される。切断機構29は、切断刃28に連繋する進退動手段30を、駆動源としてのサーボモータ31によって作動することで、切断刃28を進退移動して筒状フィルム10を切断する。なお、第1シール体11に対して切断刃28は、常には収容されており、切断機構29によって切断刃28を下降させると、第1シール体11のシール面から切断刃28が突出し、その刃先が、第2シール体12の受け溝に進入することで、挟持している筒状フィルム10が切断される。
【0016】
図1図3に示す如く、前記第2保持部材14の上側に、シール面が筒状フィルム10の移送路を指向する姿勢で、前記一対のシール体11,12の他方である第2シール体12が、上下方向に移動可能に支持される。第2保持部材14に対する第2シール体12の支持構造は、前記第1保持部材13に対する前記第1シール体11の支持構造と、上下対称となっている。すなわち、第2シール体12は、第2保持部材14の上側に、第1シール体11と筒状フィルム10の移送路を挟んで平行に対向するよう支持される。第2シール体12に、一対の第2連結シャフト32,32が幅方向に離間して配設され、該一対の第2連結シャフト32,32が、第2保持部材14に摺動可能に挿通されている。第2保持部材14の下方に延出する第2連結シャフト32,32は、幅方向に延在する第2支持体(支持体)18に連結されており、該第2支持体18は、第2保持部材14に対して第2シール体12と一体で上下方向に移動するよう構成される。また、第2保持部材14と第2シール体12との間の各第2連結シャフト32の外周に、前記付勢手段としてのバネ27が配置されて、第2シール体12は、バネ27,27によって第2保持部材14に対して上方(第1シール体11側)に向けて付勢されている。なお、第2連結シャフト32には、第2保持部材14より下側にストッパ32aが設けられ、バネ27,27によって付勢されている第2シール体12の上方への移動は、ストッパ32aが第2保持部材14に当接することで規制される。
【0017】
前記一対のシール体11,12による筒状フィルム10の挟持位置(エンドシール位置)の上流側および下流側には、図2に示す如く、ベルトなどの搬送面で搬送路を構成した搬入コンベヤ34および搬出コンベヤ35が配設され、シール体11,12で筒状フィルム10にエンドシール・切断を施す際には、両コンベヤ34,35によってフィルムを介して物品33を支持すると共に搬送する。上流側に配設される搬入コンベヤ34の搬送路および下流側に配設される搬出コンベヤ35の搬送路の対向端部は、一対のシール体11,12が相互に接近する際には、相互に離間移動して下側の第2シール体12の上昇時の通過を許容すると共に、一対のシール体11,12が相互に離間する際には、相互に接近するよう移動して筒状フィルム10中の物品33のコンベヤ間の受け渡しを円滑になし得るよう構成される。そして、エンドシール装置でエンドシール・切断されて筒状フィルム10から切り離されたピロー包装品が、搬出コンベヤ35で搬出される。
【0018】
図1図3に示す如く、前記機枠15には、前記第1シール体11を備える前記第1保持部材13を支持する第1回転支持部材36が回転可能に支持される。第1回転支持部材36は、前記両側板23,23に、回転中心(回転軸心)C1を幅方向に整列して回転可能に支持される一対の第1作動軸体37,37から構成される。各第1作動軸体37は、側板23の内側(他方の側板23と対向する側)の端部に、第1歯車38を同軸で備えている。そして、幅方向に対向する一対の第1歯車38,38間には、該第1歯車38,38の回転中心C1から偏心した位置(偏心位置)に、前記第1保持部材13が第1枢着部材39,39を介して回転可能に支持される。また、機枠15には、前記第2シール体12を備える前記第2保持部材14を支持する第2回転支持部材40が、前記第1回転支持部材36の配設位置より下側に回転可能に支持される。第2回転支持部材40は、第1回転支持部材36と同様に、両側板23,23に、回転中心(回転軸心)C2を幅方向に整列して回転可能に支持される一対の第2作動軸体41,41から構成される。各第2作動軸体41は、側板23の内側の端部に、前記第1歯車38に噛合する第2歯車42を同軸で備えている。そして、幅方向に対向する一対の第2歯車42,42間には、該第2歯車42,42の回転中心C2から偏心した位置(偏心位置)に、前記第2保持部材14が第2枢着部材43,43を介して回転可能に支持される。
【0019】
前記機枠15の両側板23,23間に、図2に示す如く、前記第2作動軸体41の配設位置より下側に駆動軸44が回転可能に支持されると共に、該駆動軸44には、前記両第2歯車42,42に噛合する駆動歯車45,45が一体的に回転するように配設される。また、一方の側板23に、駆動軸44に接続したサーボモータなどの駆動手段46が配設されており、該駆動手段46により駆動軸44を回転駆動することで、前記第1歯車38と第2歯車42とが互いに反対方向に回転するよう構成される。
【0020】
図2に示す如く、前記第1歯車38と第2歯車42は、同径で、外周に設けられた歯数は同じとされており、前記第1作動軸体37の回転中心C1と、第2作動軸体41の回転中心C2とは同一鉛直面上にあって、第2作動軸体37と第2作動軸体41との回転軸は互いに平行となるよう設定される。すなわち、噛合している第1歯車38および第2歯車42は、互いに反対方向に同一周期で回転するよう構成される。また、第1歯車38に対して第1保持部材13の第1枢着部材39が支持される偏心位置から回転中心C1までの偏心量と、第2歯車42に対して第2保持部材14の第2枢着部材43が支持される偏心位置から回転中心C2まで偏心量は同じで、両枢着部材39,43は、上下対称に位置するよう構成される。すなわち、前記スライドシャフト24,24を介して相互に接近・離間可能に支持されている第1保持部材13および第2保持部材14は、第1歯車38と第2歯車42とが互いに反対方向に回転することで、第1保持部材13は姿勢を維持したまま回転中心C1を中心とする円運動を行い、第2保持部材14は姿勢を維持したまま回転中心C2を中心とする円運動を行う。実施例では、駆動手段46によって作動して一対の保持部材13,14を、シール体11,12の姿勢を維持したまま相反する向きに円運動するように移動する前記作動機構16は、第1および第2保持部材13,14を連繋して各保持部材13,14が自転するのを規制するスライドシャフト24,24と、第1歯車38,38と、第2歯車42,42と、を備える。
【0021】
図1図3に示す如く、前記第1支持体17および第2支持体18の長手方向(機枠15の幅方向)の両端に、ローラからなる前記フォロワ19が夫々回転可能に支持される。また、前記側板23,23の内側には、前記作動機構16の支持位置(歯車38,42の支持位置)とは別位置であって、該作動機構16の支持位置を挟む上下方向の一方の位置に、第1支持体17のフォロワ19を係合案内するカム面20を有する第1カム部材(カム部材)21が夫々配設されると共に、他方の位置に、第2支持体18のフォロワ19を係合案内するカム面20を有する第2カム部材(カム部材)22が夫々配設される。第1カム部材21および第2カム部材22は、側板23の内側に開口する凹部の内周面にカム面20が形成された部材であって、該カム面20に沿ってフォロワ19が転動するよう構成される。図2に示す如く、第1カム部材21および第2カム部材22の各カム面20は、フィルム移送方向に沿う直線状に延在する第1カム面部20aと、該第1カム面部20aの始端および終端に連続する円弧状の第2カム面部20bとを有し、第1カム面部20aおよび第2カム面部20bは、第1カム部材21と第2カム部材22とでは、第1カム面部20a,20a同士が対向する関係で上下対称となる位置に形成されている。そして、第1カム部材21および第2カム部材22の各カム面20,20に沿ってフォロワ19,19が移動することで、一対のシール体11,12にボックスモーションの動きを与えるよう構成される。
【0022】
前記一対の保持部材13,14の円運動に伴う一対のシール体11,12における対向端の移動軌跡は、該シール体11,12に負荷が加わっていない状態では一部が重なるよう構成されており、前記第1および第2カム部材21,22の第1カム面部20a,20aは、シール体11,12の移動軌跡が重なる区間に対応する位置に設けられている。そして、前記フォロワ19が第2カム面部20bから第1カム面部20aに移行することで、一対のシール体11,12が筒状フィルム10を挟持すると共に、該筒状フィルム10を挟持したシール体11,12に対して保持部材13,14が、前記バネ27,27の付勢力に抗して前記対向方向に移動することで、一対のシール体11,12が筒状フィルム10の挟持状態を維持したまま前記移送向きへ移動し得るよう構成されている。第1および第2カム部材21,22において上下に対向する第1カム面部20a,20aの位置は、各シール体11,12のフォロワ19,19が対応する第1カム面部20a,20aを転動する際に、筒状フィルム10を一対のシール体11,12によって適正圧力で挟持し得る位置に設定される。また、カム面20における第1カム面部20aと第2カム面部20bとは滑らかに連続し、第2カム面部20bから第1カム面部20aおよび第1カム面部20aから第2カム面部20bへフォロワ19を滑らから導き得るよう構成される。なお、図2において、一対のシール体11,12がボックスモーションする際のフォロワ19の回転中心の移動軌跡Nを、一点鎖線で示している。
【0023】
次に、実施例に係る横形製袋充填機におけるエンドシール装置の作用について説明する。
図1に示す如く、前記一対の保持部材13,14および前記一対のシール体11,12が相互に離間した初期位置において、前記駆動手段46によって前記第1歯車38と第2歯車42とを互いに反対方向に回転すると、第1保持部材13および第2保持部材14は円運動を開始し、第1シール体11と第2シール体12とは上流側へ移動すると共に相互に接近する。すなわち、第1歯車38に対して第1保持部材13を介して偏心位置に支持されている第1シール体11は、第1支持体17のフォロワ19,19が第1カム部材21,21の第2カム面部20b,20bに案内されつつシール面を下向きとした姿勢を維持して円運動すると共に、第2歯車42に対して第2保持部材14を介して偏心位置に支持されている第2シール体12は、第2支持体18のフォロワ19,19が第2カム部材22,22の第2カム面部20b,20bに案内されつつシール面を上向きとした姿勢を維持して円運動する。そして、各支持体17,18のフォロワ19が対応するカム部材21,22の第2カム面部20bから第1カム面部20aに移行することで、図3に示す如く、一対のシール体11,12により筒状フィルム10が挟持される。筒状フィルム10を挟持した一対のシール体11,12に対し、円運動を行う保持部材13,14が前記バネ27,27の付勢力に抗して相対的に前記対向方向に移動し、各支持体17,18のフォロワ19が対応するカム部材21,22の第1カム面部20aを移動する際には、一対のシール体11,12は、筒状フィルム10を挟持した状態を維持したままフィルム移送向き(下流側)に移動し、これにより筒状フィルム10にエンドシールが施される。なお、一対のシール体11,12は、バネ27,27の付勢力によって筒状フィルム10を所定圧で挟持する。また、一対のシール体11,12が筒状フィルム10を挟持している間に、前記進退動手段30により前記切断刃28が作動され、エンドシールが施された筒状フィルム10は幅方向に切断される。
【0024】
前記一対の保持部材13,14の円運動に伴い、前記各支持体17,18のフォロワ19が対応するカム部材21,22の第1カム面部20aから第2カム面部20bに移行すると、第1シール体11および第2シール体12は、前記バネ27,27の付勢力によって前記ストッパ26a,32aが対応する保持部材13,14に当接する位置まで移動し、その後は保持部材13,14と一体で円運動を行って初期位置に復帰する。エンドシール装置は、保持部材13,14を1回転する前述した1包装サイクルの動きを繰り返すことで連続包装する。
【0025】
実施例のエンドシール装置は、円運動する保持部材13,14に対してシール体11,12を前記対向方向に移動可能に支持し、該シール体11,12と一体で移動する支持体17,18に設けたフォロワ19,19をカム部材21,22のカム面20で案内してボックスモーションを行わせるよう構成した。すなわち、一対のシール体11,12が筒状フィルム10を挟んで当接する位置をカム部材21,22で適正に制御して、一対のシール体11,12が当接する際の垂直方向(シール体11,12のシール面が対向する方向)の速度成分を小さくすることができ、一対のシール体11,12が筒状フィルム10を挟んで当接する際に大きな衝撃が発生するのを防止して、騒音を低減することができる。また、カム面20における第1カム面部20aと第2カム面部20bとは、滑らかに連続するよう形成してあるので、フォロワ19が両カム面部20a,20b間を移行する際に該フォロワ19がカム面部20a,20bに衝突することなく滑らかに移行して大きな騒音が発生するのを抑制できる。すなわち、包装処理速度を高速化しても発生する騒音を抑えることができるので、作業環境を悪化させることなく高速化を図って包装能力の限界値を高めることができる。また、一対のシール体11,12が当接する際に加わる力をカム部材21,22で受けることができるので、前記作動機構16に大きな衝撃が加わるのを防いで、該作動機構16の長寿命化を図ることができる。
【0026】
実施例のエンドシール装置では、前記カム部材21,22を、前記機枠15における保持部材13,14を円運動させる作動機構16の支持位置とは別位置に配設したので、機枠15における作動機構16の支持部位の機械構成はシンプルとなり、メンテナンス性が向上する。また、作動機構16との関係でカム部材21,22の大きさ等が制約されることがないので、カム部材21,22を大型化して剛性や耐久性を高めることができる。
【0027】
実施例のエンドシール装置では、一対のシール体11,12の夫々を、対応する保持部材13,14に対してバネ27,27によって他方のシール体11,12側に向けて付勢するよう構成したので、一対のシール体11,12が当接する際の衝撃をバネ27,27によって吸収することができ、当接時の衝撃音を小さく抑えることができる。また、前記切断刃28をサーボモータ31で作動するよう構成したので、包装処理速度の高速化に対応して筒状フィルム10を適正に切断することができる。更に、一対の保持部材13,14を円運動させる作動機構16として、歯車38,42を用いるようにしたので、リンク機構等を用いる場合に比べて包装処理速度の高速化に容易に対応することができる。
【0028】
ここで、実施例の構成により試験を行った結果において、従来のエンドシール装置では、作動時の衝撃音に起因する作業環境の悪化によって200回/分の包装処理能力が限界であったのに対し、実施例のエンドシール装置は、作動時における衝撃音が大幅に低減され、作業環境を悪化することなく400回/分まで包装処理能力を高めることができることが確認された。
【0029】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例では、カム部材21,22の内周面に形成したカム面20でフォロワ19を案内するよう構成したが、カム部材21,22に形成した溝(カム面)に沿ってフォロワ19を案内するカム部材を採用することができる。
(2) 実施例では、フォロワ19としてローラを用いたが、球状のボールを採用することができ、該ボールであればカム面20を転動する際の接触抵抗を小さくして、騒音や摩耗を抑制することができる。
(3) 実施例では、横形製袋充填機のエンドシール装置の場合で説明したが、縦形製袋充填機のエンドシール装置としても採用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 筒状フィルム,11 第1シール体(シール体),12 第2シール体(シール体)
13 第1保持部材(保持部材),14 第2保持部材(保持部材)
15 機枠(装置本体),16 作動機構,17 第1支持体(支持体)
18 第2支持体(支持体),19 フォロワ,20 カム面,20a 第1カム面部
20b 第2カム面部,21 第1カム部材(カム部材)
22 第2カム部材(カム部材),24 スライドシャフト,27 バネ(付勢手段)
28 切断刃,31 サーボモータ,33 物品,38 第1歯車,42 第2歯車
45 駆動歯車,46 駆動手段

図1
図2
図3