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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】眼血流を調整するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240305BHJP
   A61F 9/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61F 9/02 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61F9/007 160
A61F9/00
A61F9/02 350
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021505948
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019045767
(87)【国際公開番号】W WO2020033736
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/716,669
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523406196
【氏名又は名称】バランス オフサルミックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BALANCE OPHTHALMICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バーダール、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルブリンク、ハル
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、バンス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブランビッラ、エンリコ
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/035406(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/156050(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0275935(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0238015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0378789(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0270711(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0087086(US,A1)
【文献】国際公開第2009/111726(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00-9/08
A61B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼の眼灌流圧(以下OPPとする)の指標を調整するための装置であって、前記OPPの指標は、患者の全身血圧の指標と患者眼の眼内圧(以下IOPとする)の指標との間の関係を含んでおり、
カバーであって、前記カバーと眼の前面との間にキャビティを画定するために眼の上に適合するようなサイズおよび形状を有する前記カバーと、
前記キャビティと連通し、前記OPPの指標に影響を与えるために前記キャビティ内の流体圧を調整するように構成された圧力源と、
前記圧力源と通信し、前記全身血圧の指標および前記IOPの指標を受信し、前記OPPの指標を計算して、前記圧力源を調整して前記キャビティ内の流体圧を患者眼の目標OPPに向けて変更するように構成された制御回路と、を備える装置。
【請求項2】
前記制御回路は、患者の前記全身血圧の指標または患者眼の前記IOPの指標のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて前記キャビティ内の流体圧を患者眼の前記目標OPPに向けて変更するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御回路は、患者の前記全身血圧と前記IOPの指標との間の差に基づいて前記キャビティ内の流体圧を患者眼の前記目標OPPに向けて変更するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記キャビティ内の流体圧を目標IOPレベルに向けて調整するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記IOPの指標または前記OPPの指標のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて前記キャビティ内の流体圧を目標IOPレベルに向けて調整するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記OPPの指標に関連する患者眼の血流の指標を受信して、眼の自己調節(以下OAとする)値を形成するように構成され、
前記OA値は、独立変数および従属変数を含む指標の順序付けられたペアであり、
前記順序付けられたペアの前記独立変数は、前記OPPの指標であり、前記順序付けられたペアの前記従属変数は、前記OPPの指標に関連する受信した前記血流の指標である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記圧力源を調整して、前記キャビティ内の流体圧を患者の第1の目標OPPに向けて変更し、
患者の全身血圧の第1の指標および眼のIOPの第1の指標を受信し、
OPPの第1の指標を計算し、かつ前記OPPの第1の指標に関連する眼の血流の第1の指標を受信して第1のOA値を形成し、
前記圧力源を調節して、前記キャビティ内の流体圧を、前記第1の目標OPPとは異なる患者の第2の目標OPPに向けて変更し、
前記全身血圧の第1の指標とは別の患者の全身血圧の第2の指標、および眼の前記IOPの第1の指標とは別の眼のIOPの第2の指標を受信し、
前記OPPの第1の指標とは別のOPPの第2の指標を計算し、前記OPPの第2の指標に関連する眼の血流の第2の指標を受信して第2のOA値を形成し、
前記第1のOA値および前記第2のOA値を使用して、眼のOA指数を決定するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1のOA値と前記第2のOA値との間に延びる直線セグメントの勾配を使用して、前記OA指数を決定するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記第1のOA値と前記第2のOA値との間に延びる直線セグメントの長さを使用して、前記OA指数を決定するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記制御回路は、患者のCSFPレベルを推定するために、前記キャビティ内の流体圧を遷移SVP状態を含む目標SVP状態に向けて調整するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記制御回路は、収縮期血圧レベルまたは拡張期血圧レベルのうちの少なくとも1つの指標を含む全身血圧の指標を受信するように構成され、
前記制御回路は、前記収縮期血圧レベルに対応する血管パラメータの第1の画像または前記拡張期血圧レベルに対応する前記血管パラメータの第2の画像のうちの少なくとも1つをキャプチャするように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記制御回路は、平均眼灌流圧(MOPP)に基づいて前記キャビティ内の流体圧を前記目標OPPに向けて調整するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記目標OPPは、約30mmHg~約70mmHgの範囲の目標OPPを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記目標OPPは、約40mmHg~約60mmHgの範囲の目標OPPを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記目標OPPは、約45mmHg~約55mmHgの範囲の目標OPPを含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
眼内圧(intraocular pressure:IOP)は、眼科の分野における重要な生理学的パラメータである。IOPの制御された変動を使用して、眼疾患を評価および治療することができる。
【0002】
モリス(Morris)の特許文献1は、ガスポンプ、液体注入液リザーバー、および眼の外科的注入器具を含む、閉鎖創の眼内手術中にIOPを制御するための装置について説明している。
【0003】
デニングホフ(Denninghoff)の特許文献2は、網膜血管の第1の測定値を取得すること、事前に選択された刺激を投与すること、刺激に応答した血管の第2の測定値を取得すること、および比率を決定することを含む、眼の自己調節状態を決定する方法について説明している。
【0004】
クエン(Kuenen)の特許文献3は、SVPを検出すること、SVPが発生し始めるか、または発生を停止する頭部の向きを特定すること、特定された頭部の向きを用いて被験者のICPを決定することを含む頭蓋内圧(intracranial pressure:ICP)を測定する方法について説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5032111号明細書
【文献】米国特許第6701169号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0128587号明細書
【発明の概要】
【0006】
緑内障は、今日の世界における失明の主な原因である。眼内圧上昇(IOP)等の力学的原因は、緑内障の重要なリスク因子として広く認識されている。しかしながら、正常眼内圧緑内障に見られるように、過剰なIOPがなくても病状は進行することがある。眼組織への血流不足等の血管障害は、緑内障とは根本的に異なる原因であり、疾患の病因および病態、ならびに他の眼疾患において重要な要因となる可能性がある。
【0007】
本発明者らは、とりわけ、当技術分野において、患者眼の血流量等の血流を調整するための装置および方法の必要性があることを認識している。本明細書に記載されている装置および方法は、眼の血流を調整して、眼の灌流を高めることにより、緑内障を含む眼疾患を治療、抑制、および予防することができる。さらに、装置および方法は、眼の自己調節能(autoregulation capability)の評価および脳脊髄液圧の非侵襲性推定等の患者評価の目的のためにさらに使用することができる。
【0008】
装置は、カバーであって、カバーと眼の前面との間のキャビティを画定するために患者眼の上に適合するようなサイズおよび形状を有するカバーを含むことができる。装置は、キャビティと連通し、キャビティ内の流体圧を調整するように構成された圧力源を含むことができる。装置は、圧力源と通信して、眼の血管から血管パラメータの指標を受信し、受信した指標を処理して、受信した指標に基づいてキャビティ内の流体圧を調整するように構成された制御回路を含むことができる。
【0009】
本主題のいくつかの非限定的な態様の概要を以下に示す。
態様1は、患者眼の眼血流を調整するための装置を含むか、または使用することができる等、主題(例えば、装置、システム、デバイス、方法、複数の動作を実行するための手段、またはデバイスによる実行時に、デバイスに複数の動作を実行させることができる命令を含むデバイス可読媒体、または製造品)を含むか、または使用することができる。装置は、カバーであって、カバーと眼の前面との間にキャビティを画定するために眼の上に適合するサイズおよび形状を有するカバーと、キャビティと連通し、キャビティ内の流体圧を調整するように構成された圧力源と、圧力源と通信し、キャビティ内の流体圧を調整して、眼血流を目標レベルに向けて調節するように構成された制御回路とを含むことができる。
【0010】
態様2は、態様1の主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が眼の血管に関連する血管パラメータの指標を受信して、受信した指標に少なくとも部分的に基づいてキャビティ内の流体圧を調整するように構成される、装置を任意選択的に含むかまたは使用することができる。
【0011】
態様3は、態様1または2のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が受信した指標を処理するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0012】
態様4は、態様1から3のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、血管パラメータの指標が眼内血管の眼血流の指標を含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0013】
態様5は、態様1から4のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、眼の血管から血流の指標を検知するように構成された血流センサを含む装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0014】
態様6は、態様1から5のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が眼内のIOPの指標および血流の指標を受信して、受信した指標に少なくとも部分的に基づいてキャビティ内の流体圧を調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0015】
態様7は、態様1から6のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、眼内のIOPの指標を検知するように構成されたIOPセンサを含む装置を任意選択に含むか、または使用することができる。
【0016】
態様8は、態様1から7のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が患者の全身血圧の指標および血流およびIOPの指標を受信し、受信した指標に少なくとも部分的に基づいてキャビティ内の流体圧を調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0017】
態様9は、態様1から8のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、患者の全身血圧の指標を検知するように構成された血圧センサを含む装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0018】
態様10は、態様1から9のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が受信した指標間の関係に基づいて目標血流レベルに向けてキャビティ内の流体圧を調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0019】
態様11は、態様1から10のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が受信した指標間の関係に基づいて患者眼の目標血流レベルに向けて血流を調整するためにキャビティ圧力を調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0020】
態様12は、態様1から11のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標間の関係が眼灌流圧(OPP)レベルを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0021】
態様13は、態様1から12のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が血流の指標を処理して、眼の自己調節(OA)値を提供するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0022】
態様14は、態様1から13のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、目標レベルが目標OPPグラフ点レベルを含み、制御回路がOA値を、目標OPPグラフ点レベルおよび目標OPPグラフ点レベルに対応する血流の指標を含むOAの順序対として提供するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0023】
態様15は、態様1から14のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が少なくとも2つのOAの順序対を処理して、OA指数を計算するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0024】
態様16は、態様1から15のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、OA指数が少なくとも2つのOAの順序対間の最適な当てはめ線の勾配を含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0025】
態様17は、態様1から16のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が、患者のCSFPレベルを推定するために、受信した血流の指標に少なくとも部分的に基づいて目標SVP状態に影響を与えるようにキャビティ内の圧力を調整するように構成される、装置を含むか、または使用することができる。
【0026】
態様18は、態様1から17のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、眼の血管から血管径の指標を検知するように構成された画像センサを含む装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0027】
態様19は、態様1から18のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、眼の血管から血管径の指標を検知するように構成されたSVPセンサを含む装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0028】
態様20は、態様1から19のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が収縮期血圧レベルおよび拡張期血圧レベルを含む全身血圧の指標を受信するように構成され、かつ制御回路が収縮期血圧レベルに対応する血管パラメータの第1の画像および拡張期血圧レベルに対応する血管パラメータの第2の画像をキャプチャするように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0029】
態様21は、態様1から20のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が血流の指標に関連するIOPの指標を受信して、目標SVP状態でのCSFPの指標を提供するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0030】
態様22は、態様1から21のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標に関連するIOPの指標を検知するように構成された圧力センサを含む装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0031】
態様23は、態様1から22のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、圧力センサがIOPの指標を検知するためのIOPセンサを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0032】
態様24は、態様1から23のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、圧力センサがIOPの指標の推定値を検知するためのキャビティ圧力センサを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0033】
態様25は、態様1から24のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、血管パラメータの指標が血管径を含み、制御回路が血管径係数に少なくとも部分的に基づいて患者のCSFPレベルを推定するために、血管径係数を計算して、関連する目標SVP状態に影響を与えるようにキャビティ内の流体圧を調整するように構成され、血管径係数が患者の心周期における第1の圧力での第1の画像に対応する第1の血管径値と、患者の心周期における第2の圧力での第2の画像に対応する第2の血管径値との比として定義される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0034】
態様26は、態様1から25のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、患者の心周期の第1の圧力が収縮期血圧レベルを含み、患者の心周期の第2の圧力が拡張期血圧レベルを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0035】
態様27は、態様1から26のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、血管パラメータの指標が血管断面に対する血管形状特性を含み、血管形状特性が、血管の長軸と血管の短軸との間の関係を示し、制御回路が血管特性係数に少なくとも部分的に基づいて患者のCSFPレベルを推定するために、血管特性係数を計算して、関連する目標SVP状態に影響を与えるようにキャビティ内の流体圧を調整するように構成され、血管特性係数は、患者の心周期における第1の圧力での第1の画像に対応する第1の血管形状特性と、患者の心周期における第2の圧力での第2の画像に対応する第2の血管形状特性との関係を示す、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0036】
態様28は、態様1から27のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、患者の心周期の第1の圧力が収縮期血圧レベルを含み、患者の心周期の第2の圧力が拡張期血圧レベルを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0037】
態様29は、主題(例えば、装置、システム、デバイス、方法、複数の動作を実行するための手段、またはデバイスによる実行時に、デバイスに実行させることができる命令を含むデバイス可読媒体、または製造品)を含むか、または使用することができるか、または態様1から28のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題と任意選択的に組み合わせて、装置を使用する方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。装置は、カバーであって、カバーと眼の前面との間にキャビティを画定するために眼の上に適合するサイズおよび形状を有するカバーと、キャビティと連通し、キャビティ内の流体圧を調整するように構成された圧力源と、圧力源と通信し、キャビティ内の流体圧を調整して、眼血流を目標レベルに向けて調節するように構成された制御回路とを含むことができる。方法は、制御回路を用いて患者眼の血管パラメータの指標を受信するステップを含むことができる。方法は、制御回路を使用して、受信した指標に基づいてカバーと眼の前面との間に画定されたキャビティ内の流体圧を調整するステップを含むことができる。
【0038】
態様30は、態様1から29のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、血管パラメータの指標を受信することが、血管内の血流の指標を受信することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0039】
態様31は、態様1から30のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標をGUIを介してユーザに表示して、ユーザが血管パラメータの指標に基づいてキャビティ内の流体圧を調整することができるようにするステップを含む方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0040】
態様32は、態様1から31のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標を処理することが、受信した指標と目標血管パラメータ値との間の差を計算することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0041】
態様33は、態様1から32のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意に組み合わせて、処理が受信した指標に基づいて圧力源を調整するように構成されたフィードバック信号を生成するステップを含む方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0042】
態様34は、態様1から33のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、フィードバック信号を生成することが、患者眼の目標血流レベルに向けて圧力源を調整するように構成されたフィードバック信号を生成することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0043】
態様35は、態様1から34のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路を用いて眼内の眼内圧(IOP)の指標および患者の全身血圧の指標を受信するステップを含む方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0044】
態様36は、態様1から35のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標を処理することが、受信したIOPの指標および全身血圧の指標に基づいて眼灌流圧(OPP)の指標を計算することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0045】
態様37は、態様1から36のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路がユーザにOPPの指標を伝達するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含み、かつ処理がGUIを介してユーザに指標OPPを表示して、ユーザがOPPの指標に基づいてキャビティ内の流体圧を手動で調整することができるようにすることを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0046】
態様38は、態様1から37のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標を処理することがOPPの指標に基づいて圧力源を調整するように構成されたフィードバック信号を生成することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0047】
態様39は、態様1から38のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標を処理することが自己調節(OA)の順序対を含む眼のOA値を形成することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0048】
態様40は、態様1から39のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標を処理することが少なくとも2つのOA値に基づいて眼の自己調節(OA)指数を計算することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0049】
態様41は、態様1から40のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、OA指数を計算することが、少なくとも2つのOA値間の最適な当てはめ線の勾配を計算することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0050】
態様42は、態様1から41のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧または眼のIOPの指標の少なくとも1つを含む患者眼に関連する圧力の指標を受信するステップを含む方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0051】
態様43は、態様1から42のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意に組み合わせて、血管パラメータの指標を受信することが血管径の指標を受信することを含み、受信した指標を処理することがSVP状態の指標を決定することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0052】
態様44は、態様1から43のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路がユーザにSVP状態の指標を伝達するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含み、かつ処理がGUIを介してユーザにSVP状態の指標を表示して、ユーザがSVP状態の指標に基づいてキャビティ内の流体圧を手動で調整するごとができるようにすることを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0053】
態様45は、態様1から44のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標を処理することがSVP状態の指標に基づいて圧力源を調整するように構成されたフィードバック信号を生成することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0054】
態様46は、態様1から45のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、フィードバック信号を生成することが目標SVP状態に向けて圧力源を調整するように構成されたフィードバック信号を生成することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0055】
態様47は、態様1から46のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、フィードバック信号を生成することがSVPオン状態からSVPオフ状態に圧力源を調整するためのフィードバック信号を生成することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0056】
態様48は、態様1から47のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、フィードバック信号を生成することがSVPオフ状態からSVPオン状態に圧力源を調整するためのフィードバック信号を生成することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0057】
態様49は、態様1から48のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、受信した指標を処理することが、目標SVP状態における患者眼に関連する圧力の指標を患者のCSFPレベルの推定値として表示することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0058】
態様50は、態様1から49のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、血管パラメータの指標を受信することが血管特性を視覚化することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0059】
態様51は、態様1から50のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、血管パラメータを視覚化することが画像センサを用いて血管パラメータを撮像することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0060】
態様52は、態様1から51のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、血管パラメータを視覚化することがSVPセンサを用いてSVPの指標を検知することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0061】
態様53は、態様1から52のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路を使用することがキャビティ圧力を目標SVP状態に向けて大気圧を超えて増加させて、患者のCSFPを推定することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0062】
態様54は、態様1から53のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路を使用することがキャビティ圧力を目標SVP状態に向けて大気圧未満に低下させて、患者のCSFPを推定することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0063】
態様55は、主題(例えば、装置、システム、デバイス、方法、複数の動作を実行するための手段、またはデバイスによる実行時に、デバイスに複数の動作を実行させることができる命令を含むデバイス可読媒体、または製造品)を含むか、または使用することができるか、または態様1から54のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題と任意選択的に組み合わせて、装置を使用する方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。装置は、カバーであって、カバーと眼の前面との間にキャビティを画定するために眼の上に適合するサイズおよび形状を有するカバーと、キャビティと連通し、キャビティ内の流体圧を調整するように構成された圧力源と、圧力源と通信し、キャビティ内の流体圧を調整して、眼血流を目標レベルに向けて調節するように構成された制御回路とを含むことができる。方法は、患者眼とカバーとの間にキャビティを形成するステップを含むことができ、カバーは、眼の上に適合するようなサイズおよび形状を有する。方法は、目標SVP状態に影響を与えるようにキャビティ内の流体圧を調整して、患者のCSFPを推定するステップを含むことができる。
【0064】
態様56は、態様1から55のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが初期SVP状態から目標SVP状態への遷移に影響を与えるようにキャビティ内の流体圧を増加させることを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0065】
態様57は、態様1から56のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが初期SVP状態から目標SVP状態への遷移に影響を与えるようにキャビティ内の流体圧を増加させることを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0066】
態様58は、態様1から57のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが初期SVP状態から目標SVP状態への遷移に影響を与えるようにキャビティ内の流体圧を減少させることを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0067】
態様59は、態様1から58のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが画像センサを用いて眼血管のSVP状態を視覚化することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0068】
態様60は、態様1から59のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが初期SVPから目標SVP状態への遷移に対応する患者眼のIOPを検出して、患者のCSFPを推定することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0069】
態様61は、態様1から60のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが初期SVP状態から目標SVP状態への遷移に影響を与えるようにキャビティ内の流体圧を低下させることを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0070】
態様62は、態様1から61のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが画像センサを用いて眼血管のSVP状態を視覚化することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0071】
態様63は、態様1から62のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、キャビティ内の流体圧を調整することが初期SVPから目標SVP状態への遷移に対応する患者眼のIOPを検出して、患者のCSFPを推定することを含む、方法を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0072】
態様64は、患者眼の眼血流を調整するための装置を含むか、または使用することができる等、主題(例えば、装置、システム、デバイス、方法、複数の動作を実行するための手段、またはデバイスによる実行時に、デバイスに複数の動作を実行させることができる命令を含むデバイス可読媒体、または製造品)を含むか、または使用することができる。装置は、カバーであって、カバーと眼の前面との間にキャビティを画定するために眼の上に適合するサイズおよび形状を有するカバーと、キャビティと連通し、キャビティ内の流体圧を調整するように構成された圧力源と、圧力源と通信し、患者眼に関連する圧力の指標および全身血圧(BP)の指標を受信し、受信した指標の少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて受信した指標を処理して、キャビティ内の流体圧を調整するように構成された制御回路とを含むことができる。
【0073】
態様65は、態様1から64のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、眼に関連する圧力の指標が流体の指標のキャビティ内の圧力の指標または眼内の眼内圧(IOP)の指標のうちの少なくとも一方を含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0074】
態様66は、態様1から65のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、流体圧の指標が圧力センサにより検知され、IOPの指標がIOPセンサにより検知される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0075】
態様67は、態様1から66のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、全身BPの指標がBPセンサにより検知される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0076】
態様68は、態様1から67のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路がユーザに眼に関連する圧力の指標を伝達するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含み、処理がGUIを介してユーザに圧力の指標を表示して、ユーザが圧力の指標に基づいてキャビティ内の流体圧を手動で調整することができるようにすることを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0077】
態様69は、態様1から68のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路がユーザへの眼に関連する圧力の指標を伝達するように構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含み、処理がGUIを介してユーザにIOPの指標を表示して、ユーザがIOPの指標に基づいてキャビティ内の流体圧を手動で調整することができるようにすることを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0078】
態様70は、態様1から69のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、処理がGUIを介してユーザに全身BPレベルの第1の指標におけるIOPレベルの第1の指標と、全身BPレベルの第2の指標におけるIOPレベルの第2の指標とを表示して、ユーザがIOPの第1または第2の指標のうちの少なくとも一方に基づいてキャビティ内の流体圧を手動で調整することができるようにすることを含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0079】
態様71は、態様1から70のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、全身BPレベルの第1の指標が患者の心周期における収縮期BPの指標を含み、全身BPレベルの第2の指標が患者の心周期における拡張期BPの指標を含む、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0080】
態様72は、態様1から71のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路がキャビティ内の流体圧を目標レベルに向けて調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0081】
態様73は、態様1から72のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路がキャビティ内の流体圧を眼の目標IOPレベルに向けて調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0082】
態様74は、態様1から73のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が受信した指標間の関係に基づいてキャビティ内の流体圧を目標レベルに向けて調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0083】
態様75は、態様1から74のうちの1つまたは任意の組み合わせの主題を含むか、または使用するか、または任意選択的に組み合わせて、制御回路が患者眼の眼灌流圧(OPP)レベルの指標を処理して、OPPの指標に基づいてキャビティ内の液圧を目標眼灌流圧(OPP)レベルに向けて調整するように構成される、装置を任意選択的に含むか、または使用することができる。
【0084】
これらの非限定的な例の各々は、それ自体で成立することができるか、または他の例の1つまたは複数との様々な置換または組み合わせで組み合わせることができる。
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供するように意図されている。これは、本発明の排他的な又は網羅的な説明を提供するようには意図されていない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
必ずしも正確な尺度で描かれていない図面において、同様の数字は異なる図における同様の構成要素を記載する場合がある。異なる文字接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表す場合がある。図面は、本明細書で考察するさまざまな実施形態を限定としてではなく例として、概略的に示す。
図1】患者眼の上の環境を制御する装置の一例を示す。
図1A】手動圧力源を含む装置の一例を示す。
図2A】開放位置にある正圧キャビティ逆止弁の一例の側面図を示す。
図2B】閉鎖位置にある正圧キャビティ逆止弁の一例の側面図を示す。
図3A】閉鎖位置にある負圧キャビティ逆止弁の一例の側面図を示す。
図3B】開放位置にある負圧キャビティ逆止弁の一例の側面図を示す。
図4】逆止弁アセンブリの一例の側面図を示す。
図5A】第1の二重内腔導管の一例の断面を示す。
図5B】第2の二重内腔導管の一例の断面を示す。
図5C】第3の二重内腔導管の一例の断面を示す。
図6】装置を使用して患者眼の眼血管内の血流を調整するための一例の方法を示す。
図7A】眼のAR機能の第1の例を示すグラフを示す。
図7B】眼のAR機能の第2の例を示すグラフを示す。
図8】装置を使用して患者眼のOA能を定量化するための一例の方法を示す。
図9】装置を使用して患者のCSFPレベルを非侵襲的に検出するための一例の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1は、患者眼の上の環境を制御するような装置100の一例を示す。少なくとも1つの例では、患者眼は、患者眼の前面等の視覚系の器官を含むことができる。装置100は、カバー110、流体レギュレータ(fluid regulator)120、センサ130、制御回路140、及び圧力源(pressure source)150を含むことができる。
【0087】
カバー110は、患者眼の前面を含む眼と接触すること等なく、眼を包囲するとともに眼から間隔を空けて配置されるようなサイズ及び形状とすることができる。カバー110は、患者の左眼及び右眼等の両患者眼を包囲し且つ覆うようなサイズ及び形状とすることができる。一例では、カバー110は、ダイビング又はシュノーケリングマスクと形状及び機能が同様のカバー110等のマスクを含むことができる。カバー110は、患者がカバー110を通して外側を見るのを可能にするか、又は、カバー110を通して内側の、角膜を含む眼の外部構造若しくは網膜を含む眼の眼内構造等の眼の観察を可能にするために、レンズ部分182を含むことができる。レンズ部分182は、眼の乱視を矯正する等のために、患者に対して矯正レンズとしての役割を果たすことができる。レンズ部分182は、眼の屈折異常を矯正するなど、患者に対して処方レンズとしての形状を有することができる、A8レンズブランク等のレンズブランクを含むことができる。レンズ部分182は、交換可能レンズ部分182を含むことができ、例えば、装置100の第1レンズ部分は、患者に提示されるレンズ倍率を変更する等のために、第2レンズ部分と交換することができる。一例では、レンズ倍率は、診断目的または治療目的の少なくとも1つの目的等のために、網膜および脈絡膜の評価を含む眼の眼内空間の検査を可能にするように選択することができる。レンズ倍率は、眼の一部の視覚化を強化するためにレンズ部分182に焦点を合わせるなど、眼の検査を強化するために選択することができる。レンズ部分182の内面は、結露が患者の視界を不明瞭にするのを防止する曇り止めコーティング等によって処理することができる。
【0088】
カバー110は、カバー110が眼の上に且つ患者に接して配置されたとき等、密閉キャビティ112を画定することができる。キャビティ112は、カバー110が患者左眼及び患者右眼の上に位置するマスクを含む場合等、両眼の上に密閉キャビティ112を画定することができる。一例では、カバー110の周辺エッジは、周辺エッジが眼窩(例えば、眼孔(eye socket)の少なくとも一部に接触することができるように、眼の上に配置することができる。キャビティ112は、カバー110の内面188と患者眼の前面との間に画定された空間容積等の空間容積部を含むことができる。キャビティ112は、患者眼と接触する眼環境を形成することができる、液体又はガス状流体等の作動流体を収容することができる。一例では、眼環境は、患者眼の生理学的状態を特徴付けるために使用することができ、例えば、眼環境は、眼から放出されるバイオマーカーを含む生理学的成分を含むことができる。キャビティ112内の作動流体から検知されるバイオマーカー等の装置100によって検知される情報は、患者眼に関する眼疾患を診断する等のために、医療専門家に患者情報を提供することができる。一例では、眼環境は患者眼を治療するために使用することができ、例えば、装置100は、眼疾患を治療するためにキャビティ112内の圧力又は作動流体組成のうちの少なくとも一方を変化させるように眼環境を調整することができる。
【0089】
眼疾患は、患者の視力に影響を与える可能性がある眼の生理学的状態等の眼疾患を表すことができる。眼疾患は、秒、分、若しくは日で測定される期間にわたって持続する可能性がある眼疾患等の急性眼疾患、又は、日、週、月、若しくは年で測定される期間にわたって持続する可能性がある眼疾患等の慢性眼疾患のうちの少なくとも1つを含むことができる。一例では、眼疾患は、病態である眼等の異常な眼疾患を含み得る。眼の病態としては、緑内障、視神経乳頭浮腫等のうっ血乳頭、フックスジストロフィ(Fuchs dystrophy)、糖尿病網膜症、滲出型又は委縮型黄斑変性等の黄斑変性、白内障、ドライアイ、角膜感染、マイボーム腺機能不全(meibomian gland disease)、ニキビダニ、角膜拡張又は眼周囲皮膚弛緩のうちの少なくとも1つを挙げることができる。
【0090】
眼の前部分を含む患者眼をキャビティ112内の眼環境にさらすこと等により、装置100によって眼疾患に作用することができる。一例では、負のゲージ圧を含む眼環境に眼をさらすこと等により、装置100によって緑内障を治療、抑制又は予防することができる。一例では、正のゲージ圧(gauge pressure)を含む眼環境に眼をさらすこと等により、装置100によって視神経乳頭浮腫を治療、抑制又は予防することができる。一例では、好気性眼感染の根底にある原因に対処する等のために、好気性環境(例えば、酸素のない環境)に眼をさらすこと等により、装置100によって好気性眼感染を治療、抑制又は予防することができる。
【0091】
キャビティ112内の環境に眼をさらすことにより、装置100によって1つ又は複数の眼疾患に作用する、例えば同時に作用することができる。一例では、患者が、緑内障及び視神経乳頭浮腫等の1つ又は複数の眼疾患を患っている可能性がある場合、緑内障を治療するための負圧環境及び好気性眼感染を治療するための好気性環境等の負のゲージ圧の好気性眼環境を含む眼環境に患者眼をさらすこと等により、装置100によって、複数の眼疾患を治療、抑制又は予防することができる。
【0092】
眼環境は、キャビティ112内の作動流体の特性等の環境パラメータによって定義することができる。環境パラメータとしては、キャビティ112に出入する作動流体の体積流量等のキャビティ112内の作動流体流、キャビティ112内の作動流体の相対湿度等のキャビティ112内の作動流体湿度、キャビティ112内の作動流体温度、キャビティ112内の作動流体ゲージ圧およびキャビティを包囲する環境の大気圧等のキャビティ112内の作動流体圧(例えば、キャビティ圧力)、又は、構成流体濃度若しくは部分流体圧のうちの少なくとも一方によって測定される作動流体組成等のキャビティ112内の作動流体組成のうちの少なくとも1つを挙げることができる。
【0093】
眼環境に眼をさらすことにより、眼への作動流体の吸収が眼に関連する生理学的パラメータの変化を引き起こす可能性があるなど、眼の変化を引き起こす可能性がある。生理学的パラメータとしては、眼内圧(IOP)、脳脊髄液圧(cerebrospinal fluid pressure:CSFP)等の頭蓋内圧(intracranial pressure:ICP)、または網膜静脈拍動(spontaneous venous pulsation:SVP)(例えば、SVP状態)の少なくとも1つが含まれる。
【0094】
カバー110は、患者眼の前部分と接触する等、患者に対して作動流体を保持してキャビティ112内に眼環境を形成することができる。眼環境に患者眼をさらすことにより、眼の診断検査または、眼に関連する眼疾患を治療、抑制、または予防する等のなど眼の治療処置のうちの少なくとも一方等の眼の処置に作用することができる。眼の処置としては、眼の眼内圧(IOP)レベルを調整するために眼の前部分に力を加える等のために、キャビティ112内の作動流体圧の少なくとも1つに眼をさらすこと、または、眼の前部分を通過することを含んで眼への作動流体の吸収を促進にする等のために、キャビティ112内の作動流体組成物に眼をさらすことを含むことができる。
【0095】
カバー110は、キャビティ112内の作動流体のゲージ圧等の流体圧差を患者眼と接触した状態で維持することができる。一例では、ゲージ圧は、キャビティ112内の作動流体圧とカバー110を包囲する大気圧との間の圧力の差として定義することができる。キャビティ112内の作動流体圧が大気圧より高い場合等、正のゲージ圧により、眼の中の眼内圧(IOP)を上昇させる等のために、眼の前面に対する圧縮作動流体力をもたらすことができる。キャビティ112内の作動流体圧が大気圧より低い場合等、負のゲージ圧により、眼の中のIOPを低下させる等のために、眼の前面に対する負の(即ち「真空」)作動流体力をもたらすことができる。少なくとも1つの例では、キャビティ112内の作動流体は、周囲空気と同じ組成を有するガス状流体等の容易に圧縮可能な流体を含むことができる。
【0096】
眼の前面に加えられる作動流体力は、診断検査用の力等の擾乱力(perturbation force)を含むことができる。擾乱力は、第1位置から第2位置へのたわみ等、眼のたわみの測定を可能にするのに十分な期間にわたって眼の前面に加えることができる。一例では、秒又は分で測定される期間にわたって擾乱力を加えることは、たわみ測定に十分であり得る。擾乱力は、診断測定を含む診断検査のために眼の曲率を減少させる等のために、眼に正の擾乱力をかけるように、キャビティ112内の正のゲージ圧によって発生させることができる。擾乱力は、診断測定を含む診断検査のために眼の曲率を増加させる等のために、眼に負の擾乱力をかけるように、キャビティ112内の負のゲージ圧によって発生させることができる。
【0097】
眼の前面に加えられる力は、急性眼疾患又は慢性眼疾患を含む眼疾患を治療するのに十分な期間にわたって眼の前面に治療レジメン(therapy regimen)を適用する力等の治療力を含むことができる。一例では、日、週、月、又は年で測定される期間にわたって治療力を加えることは、治療される眼疾患に応じて適用することができる。治療力は、視神経乳頭浮腫を含む眼疾患を抑制、治療又は予防するために眼の眼内圧(即ちIOP)を上昇させる等のために、眼に正の治療圧縮力をかけるように、正のゲージ圧によって発生させることができる。治療力は、緑内障を含む眼疾患を抑制、治療又は予防するために眼のIOPを低下させる等のために、眼に負の治療力をかけることができる負のゲージ圧によって発生させることができる。
【0098】
眼疾患は、秒、分、若しくは日で測定される期間にわたって持続する可能性がある眼疾患等の急性眼疾患、または日、週、月若しくは年で測定される期間にわたって持続する可能性がある眼疾患等の慢性眼疾患のうちの少なくとも1つを含むことができる。少なくとも1つの例では、眼疾患は、緑内障、視神経乳頭浮腫等の浮腫、フックスジストロフィ、糖尿病網膜症、滲出型又は委縮型黄斑変性等の黄斑変性、白内障、ドライアイ、角膜感染、メモビアン(memobian)(マイボーム)腺機能不全、ニキビダニ、角膜拡張又は眼周囲皮膚弛緩のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0099】
作動流体は、1種又は複数種の液体又は気体の組合せ等の1種又は複数種の構成流体から構成することができる。作動流体は、ガス状一酸化窒素又はガス状二酸化炭素の組合せ等の2種の構成流体の組合せを含むことができる。構成流体は治療流体を含むことができ、例えば、構成流体の成分は、眼疾患を抑制、治療又は予防するために眼を通して吸収され得る。例えば、作動流体は、窒素と一酸化窒素との組合せを含むことができ、例えば、一酸化窒素成分は、緑内障を含む眼疾患を治療するために眼の中の血管の血管拡張を促進するために、眼の表面を通して吸収され得る。
【0100】
治療流体は、二酸化炭素(CO)、酸素(O)、一酸化窒素(NO)、オゾン(O)、窒素(N)、ヘリウム(He)、フルオロカーボン及びパーフルオロカーボンを含む炭化水素、六フッ化硫黄、テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)を含むカンナビノイド、2種以上のガス状治療流体の組合せ等のガス状治療流体を含むことができる。一例では、治療ガスは、眼疾患を治療する等のために、二酸化炭素、酸素又は一酸化窒素のうちの少なくとも1種の混合物を含むことができる。一例では、治療ガスは、眼疾患を治療する等のために、50%一酸化窒素と50%酸素との混合物を含む一酸化窒素と酸素との混合物、ヘリウムと酸素との混合物(ヘリオックス(heliox)としても知られる)、並びにメディカルグレードエアーUSP(Medical Grade Air USP)を含むメディカルエアー(Medical Air)を含むことができる。一例では、治療ガスの混合物は、眼疾患を治療する等のために、エントノックス(ENTONOX)という商品名でのビーオーシー・グループ社(The BOC Group plc)のガスを含む、50%一酸化窒素と50%酸素との混合物等の一酸化窒素と酸素との混合物を含むことができる。一例では、治療ガスの組合せは、眼疾患を治療する等のために、ヘリオックスとしても知られる、21%酸素と79%ヘリウムとの混合物等のヘリウムと酸素との混合物を含むことができる。一例では、治療ガスの組合せは、眼感染を含む眼疾患を治療する等のために、フッ素又は塩素のうちの少なくとも一方の混合物を含むことができる。一例では、治療ガスの組合せは、好気性眼感染を治療する等のために、約21%未満の体積分率のOを含む混合物等の周囲空気より低い体積分率の酸素を含む混合物、又は、好気性眼感染を治療する等のために、約21%を超える体積分率のOを含む混合物等の周囲空気より高い体積分率の酸素を含む混合物のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0101】
治療流体は、治療溶液等の液体治療流体を含むことができる。治療溶液は、水(HO)等の溶媒と治療溶質等の溶質とを含むことができる。治療溶質は、ビタミンA、リボフラビン(ビタミンB2)等のビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ベータカロチン、亜鉛、ルテイン、または葉酸のうちの少なくとも1つを含むことができる。治療溶液は、キャビティ112に送達し患者眼と接触するように、治療ミスト又は霧を形成するネブライザ(nebulizer)又はアトマイザ(atomizer)等により、液体治療流体からガス状治療流体に変換することができる。一例では、患者眼は、角膜潰瘍の治療等の第1治療結果を達成するために、ビタミンAを含む治療ミスト等のガス状治療流体にさらすことができる。一例では、患者眼は、円錐角膜を治療するための角膜架橋の促進等の第2治療結果を達成するために、リボフラビンを含む治療ミスト等のガス状治療流体にさらし、その後、紫外線光等の増強エネルギーにさらすことができる。
【0102】
カバー110は、第1ポート114を含むことができる。第1ポート114は、カバー110の表面に位置することができ、例えば、第1ポート114は、カバー110の外面187からカバー110の内面188まで延在して、キャビティ112内の眼環境へのアクセスを可能にすることができる。第1ポート114は、周囲環境からキャビティ112を隔離するように第1ポート114の上に位置する可撓性隔膜(flexible septum)等の隔膜を含むことができる。可撓性隔膜は、キャビティ112内で、正のゲージ圧又は負のゲージ圧のうちの少なくとも一方等のゲージ圧を維持することができる。
【0103】
可撓性隔膜は、キャビティ112内のゲージ圧を維持しながら、隔膜を通るキャビティ112内への機器の挿入及び引抜きを可能にすることができる自己封止ポリマー材料を含む自己封止材料から形成された隔膜等の再封止可能隔膜を含むことができる。一例では、再封止可能隔膜により、キャビティ112内のゲージ圧(例えば、正のゲージ圧又は負のゲージ圧)を維持しながら、再封止可能隔膜を通して皮下注射針を挿入し且つ引き抜くことができる。例えば、再封止可能隔膜により、キャビティ112内のゲージ圧を維持しながら、治療流体を眼と接触させる等のために、皮下注射針を眼に近接して配置することができる。
【0104】
可撓性隔膜は、センサ130等のセンサが、眼環境に接触することなくキャビティ112内の眼環境の指標を検知することができるようにする隔膜等の測定隔膜を含むことができる。一例では、圧力センサが、圧力測定隔膜を通してキャビティ112内の作動流体圧の指標を検知する等のために、カバー110の第1ポート114を覆う測定隔膜と接触するように位置することができる。
【0105】
カバー110は、カバー110の外面187からカバー110の内面188まで延在する第2ポート116を含むことができる。一例では、第2ポート116は、導管117等により、キャビティ112を圧力源150と連通させることができる。
【0106】
カバー110は、装置100を装着したときに患者の快適さを向上させるように、カバー110と患者とのカバー-患者接触面を含む接触面を提供する等のために、シール119を含むことができる。シールは、周囲環境からキャビティ112内の眼環境を分離する等のために、バリアとしての機能も果たすことができる。シール119は、カバー110の周囲の少なくとも一部等、カバー110の周囲に取り付けることができる。一例では、シール119は、周囲環境からキャビティ112の容積部を分離するようにカバー110と患者との間に封止面を形成する等のために、カバーの周囲に連続して延在することができる。
【0107】
装置100は、キャビティ逆止弁189を含むことができる。キャビティ逆止弁189は、カバー110の任意の面を含むカバー110、導管117、制御回路140又は圧力源150のうちの少なくとも1つ等において、キャビティ112と連通するように装置100に位置することができる。一例では、キャビティ逆止弁189は、第1ポート114の中、上又は上方等、第1ポート114に近接して配置することができる。
【0108】
キャビティ逆止弁189は、キャビティ112に加えられる作動流体圧を制限することができる。一例では、キャビティ逆止弁189は、キャビティ112内の圧力が眼に損傷を与える可能性があるキャビティ圧力レベルを超えないことを確実にする等のために、安全弁として使用することができる。一例では、キャビティ逆止弁189は、キャビティ112内の圧力を目標キャビティ圧力レベルに制限することができる。
【0109】
キャビティ逆止弁189は、弁を通る流体流の開始を制御することができるキャビティ逆止弁189の特性のようなクラッキング圧力(cracking pressure)を含むことができる。一例では、クラッキング圧力は、流体がキャビティ逆止弁189を通る流れを開始することができる、キャビティ逆止弁189の入口圧力レベルを示すことができる。キャビティ112内の作動流体圧は、キャビティ逆止弁189のクラッキング圧力を目標キャビティ圧力レベルに等しいように選択又は設定すること等により、キャビティ逆止弁189のクラッキング圧力を選択又は設定することによって目標キャビティ圧力レベルに制限することができる。例えば、キャビティ112内の作動流体圧がキャビティ逆止弁189のクラッキング圧力よりも低い場合、キャビティ逆止弁189は、キャビティから周囲大気への作動流体の流れを防止する等のために、閉鎖状態をとることができる。キャビティ112内の作動流体圧がキャビティ逆止弁189のクラッキング圧力以上である場合、キャビティ逆止弁189は、キャビティ112から周囲大気への作動流体の流れを可能にする等のために、開放状態をとることができる。
【0110】
キャビティ逆止弁189は、フラッパー弁(flapper valve)又はポペット弁(poppet valve)等の受動キャビティ逆止弁を含むことができる。受動キャビティ逆止弁のクラッキング圧力は、受動キャビティ逆止弁の寸法又は受動キャビティ逆止弁の構成要素を変更すること等により、調整することができる。一例では、フラッパーキャビティ逆止弁のクラッキング圧力は、フラッパー逆止弁寸法(例えば、長さ、幅、厚さ)、フラッパー逆止弁構成材料(例えば、材料のタイプ、材料のデュロメータ(durometer)、単層又は多層材料、弁の剛性)又はフラッパー逆止弁ヒンジのうちの少なくとも1つを変更すること等により、調整することができる。一例では、ポペットキャビティ逆止弁のクラッキング圧力は、ポペット弁寸法(例えば、ばね剛性、ポペット径)のうちの少なくとも1つを変更すること等により、調整することができる。
【0111】
図2A及び図2Bは、キャビティ112内の圧力を正の目標キャビティ圧力レベルに制御するように構成されたフラッパー弁等の正圧キャビティ逆止弁の一例の側面図を示す。正の目標キャビティ圧力レベルは、医療専門家により眼疾患を治療、抑制又は予防する等のために、指定することができる。正圧キャビティ逆止弁は、キャビティ112内の正圧作動流体が逆止弁のクラッキング圧力よりも大きな圧力でキャビティ112から周囲環境に流れるのを可能にするようにカバー110の外面187等、カバー110の上に位置することができる。
【0112】
図2Aに示されるように、キャビティ逆止弁189は、閉鎖位置をとることができ、例えば、作動流体がキャビティ112からキャビティ逆止弁189を通って周囲環境に通過することができない。閉鎖位置では、装置100は、正の目標キャビティ圧力レベルより低い正のゲージ圧レベル等、キャビティ112内の正のゲージ圧環境を維持することができる。正の目標キャビティ圧力レベルは、正圧キャビティ逆止弁のクラッキング圧力を正の目標キャビティ圧力レベルに等しいように設定すること等により、制御することができる。
【0113】
図2Bに示すように、キャビティ逆止弁189は開放位置をとることができ、例えば、キャビティ112内の正のゲージ圧が正の目標キャビティ圧力レベル以上であるとき等、作動流体は、キャビティ112からキャビティ逆止弁189を通って周囲環境に出ることができる。開放位置では、装置100は、キャビティ112内の正のゲージ圧環境を、過度の作動流体圧から眼を保護する等のために、正の目標キャビティ圧力レベルにおよそ等しい圧力レベルに制限することができる。
【0114】
図3A及び図3Bは、キャビティ112内の圧力を負の目標キャビティ圧力レベルに制御するように構成されたフラッパー弁等の負圧キャビティ逆止弁の一例の側面図を示す。負の目標キャビティ圧力レベルは、医療専門家により眼疾患を治療、抑制又は予防する等のために、指定することができる。負圧キャビティ逆止弁は、周囲環境からの流体が周囲環境からキャビティ112内に流れ込むのを可能にするようにカバー110の内面188等、カバー110の上に位置することができる。
【0115】
図3Aに示すように、キャビティ逆止弁189は閉鎖位置をとることができ、例えば、周囲流体は、周囲環境からキャビティ逆止弁189を通ってキャビティ112内に入ることができない。閉鎖位置では、装置110は、負の目標キャビティ圧力レベルより高い負のゲージ圧レベル等、キャビティ112内の負のゲージ圧環境を維持することができる。負の目標キャビティ圧力レベルは、負圧キャビティ逆止弁のクラッキング圧力を負の目標キャビティ圧力レベルに等しいように設定すること等により、制御することができる。
【0116】
図3Bに示すように、キャビティ逆止弁189は開放位置をとることができ、例えば、キャビティ112内の負のゲージ圧が負の目標キャビティ圧力レベル以下であるとき等、周囲流体は、周囲環境からキャビティ逆止弁189を通ってキャビティ112内に入ることができる。開放位置では、装置100は、キャビティ112内の負のゲージ圧環境を、過度の作動流体圧による眼に対するあり得る損傷を防止する等のために、負の目標キャビティ圧力レベルにおよそ等しい圧力レベルに制限することができる。
【0117】
患者眼疾患が、改善又は悪化する等、変化すると、医療専門家は、正の目標キャビティ圧力レベル又は負の目標キャビティ圧力レベルのうちの少なくとも一方を変更する等のために、指示された治療レジメンを調整することができる。目標圧力レベルを調整するために、アセンブリ100は、調整可能な弁を含むことができる。一例では、調整可能な弁は、交換可能な逆止弁アセンブリ等の交換可能な弁を含むことができる。
【0118】
図4は、開放位置にあるフラッパー逆止弁アセンブリ等の逆止弁アセンブリ190の一例の側面図を示す。装置100は、キャビティ112内の目標キャビティ圧力レベルを調整する交換可能な逆止弁アセンブリ190等の逆止弁アセンブリ190を含むことができる。一例では、第1クラッキング圧力が第1目標圧力レベルに設定されている第1キャビティ逆止弁を含む第1逆止弁アセンブリを備えた装置100を、目標キャビティ圧力レベルの変更を含む処方された患者治療レジメンにおいて指定された眼にかけられる圧力の変更を具現化する等のために、第2クラッキング圧力が第2目標圧力レベルに設定されている第2キャビティ逆止弁を含む第2逆止弁アセンブリと交換することができる。
【0119】
キャビティ逆止弁アセンブリ190は、第1面193、第1面193に対して平行な第2面194、第1面193から第2面194まで延在する基部周辺部195、基部192を通って第1面193から第2面194まで延在する基部ポート196を有する基部192と、基部ポート196の少なくとも一部等、基部ポート196の上方で第1面193上に位置するキャビティ逆止弁189とを含むことができる。キャビティ逆止弁アセンブリ190は、基部周辺部195がポート114の表面の少なくとも一部等のカバー110と接触することができるように、カバー110等の装置100内に配置することができる。
【0120】
逆止弁アセンブリ190は、カバー110の任意の面を含むカバー110、導管117、制御回路140又は圧力源150のうちの少なくとも1つの上等、キャビティ112と連通して装置100に位置することができる。キャビティ逆止弁アセンブリ190は、カバー110と接触して位置することができ、例えば、基部周辺部195は、ポート114の面、外面187又は内面188のうちの少なくとも1つ等、カバー110の少なくとも一部と接触することができる。正圧逆止弁アセンブリ等のキャビティ逆止弁アセンブリ190は、キャビティ112内の圧力を正の目標キャビティ圧力レベルに制御するように構成することができ、例えば、逆止弁アセンブリ190は、キャビティ逆止弁189がキャビティ112の外側に位置することができるようにポート114内に位置することができる。負圧逆止弁アセンブリ等のキャビティ逆止弁アセンブリ190は、キャビティ112内の圧力を負の目標キャビティ圧力レベルに制御するように構成することができ、例えば、逆止弁アセンブリ190は、キャビティ逆止弁189がキャビティ112の内側に位置することができるようにポート114内に位置することができる。
【0121】
再び図1を参照すると、流体レギュレータ120は、キャビティ112と加圧ガスシリンダ等の流体源170との間の流体流量等の2つのリザーバー(reservoir)の間の流体の流量を調節することができる。流体レギュレータ120は、第1リザーバーと第2リザーバーとの間の流量を調節するような、レギュレータ弁を含むことができる。レギュレータ弁は、圧力が臨界値を超えると閉鎖する逆止弁等の受動弁を含むことができる。一例では、逆止弁を備える流体レギュレータ120は、カバー110と流体源170との間に位置することができ、例えば、流体源170の圧力が、患者眼に損傷をもたらす可能性がある圧力等の臨界値を超えた場合、逆止弁は、過度の力から患者眼を保護する等のために、患者眼から流体源170の圧力を隔離するように閉鎖することができる。レギュレータ弁は、サーボ弁を含む電気操作弁等の能動弁、又は圧電作動式比例弁等の比例弁を含むことができる。一例では、レギュレータ弁は、電気操作弁を通して流体流量を調節する等のために、弁箱に対する電気操作スプール(electrically-modulated spool)の位置を調整するように、制御回路140等から、制御信号を受信することができる。
【0122】
流体レギュレータ120は、流体源170からキャビティ112への流体の流量を調節する等のために、流体源170に取り付けることができる。流体源170は、加圧ガス状流体の貯蔵容器等の流体容器を含むことができる。流体源170は、別の流体から構成流体を濃縮又は蒸留する装置等の発生装置を含むことができる。一例では、発生装置は、酸素濃縮装置又は二酸化炭素濃縮装置等の濃縮装置を含むことができる。一例では、発生装置は、混和性溶液又はコロイド状懸濁液等の液体治療流体を、治療ミスト又は霧等のガス状作動流体に変換する、超音波加湿器又はエアロゾル化装置等のアトマイザを含むことができる。
【0123】
流体レギュレータ120は装置100と連通することができ、例えば、流体レギュレータ120はキャビティ112と連通することができる。一例では、流体レギュレータ120は、第2ポート116を通してカバー110と直接連通する導管117等により、カバー110に接続することができる。一例では、流体レギュレータ120は、Yコネクタ等のチューブコネクタ118により、カバー110と連通する導管117に接続することができる。一例では、流体レギュレータ120は、サーボ弁の位置を調整する制御信号を制御回路140から受信する等のために、制御回路140に接続することができる。
【0124】
センサ130は、キャビティ112内の作動流体の特性の指標、又は患者の生理学的パラメータの指標のうちの少なくとも1つ等のキャビティ112内の眼環境の指標を検知することができる。センサ130は、センサ130によって検知された物理的パラメータの指標を受信し、受信した指標を処理して、制御回路140又は圧力源150のうちの少なくとも一方によって受信されるのに好適な電気信号を含む指標等にするようなセンサ回路等のセンサ回路を含むことができる。
【0125】
センサ130は、キャビティ112と連通するか又は少なくとも部分的に患者に取り付けられる等、装置100に近接して配置することができる。一例では、センサ130は、装置100とは別個であり得る。例えば、センサ130は、キャビティ112内の作動流体圧の指標を検知するようにポート114の上に位置する測定隔膜に押し付けられる等、手持ち式圧力ゲージを含むことができる。一例では、センサ130は、キャビティ112と流体連通することができ、例えば、センサ130は、キャビティ112内に位置するか、又はキャビティ112と流体連通して制御回路140上に位置することができる。一例では、センサ130は、眼の前面を含む眼の表面、又は、前頭骨、頭頂骨、蝶形骨、側頭骨、頬骨、上顎骨、後頭骨及び下顎骨の上の組織を含む、頭蓋骨を覆う患者組織等、患者に少なくとも部分的に取り付けることができる。例えば、センサ130は、網膜電図装置を含むことができ、例えば、その一部は、パターン網膜電図(pattern electroretinography)(即ちPERG)検査に関連する電気的活動を含む、患者内の電気的活動の指標を検知するように、患者組織に取り付けられた電極を含むことができる。センサ130は、制御回路140又は圧力源150のうちの少なくとも一方等、装置と電気通信することができる。センサ130は、センサ130による眼環境の指標、又はIOP若しくはCSFP等、患者に関連する生理学的パラメータの指標を監視する等のために、作動流体の連続的又は周期的(例えば、断続的)検知のうちの少なくとも1つを提供することができる。
【0126】
センサ130は、眼の眼内圧(IOP)レベルの指標を検知するためのデバイス等のIOPセンサを含むことができる。IOPセンサは、インプランダータ・オフサルミック・プロダクツ社(Implandata Oftalmic Products GmbH)(独国、ハノーバー)からのアイメイト(EYEMATE(登録商標))の商標で販売されているセンサを含む、IOPを検知するために眼の眼内空間に移植可能なIOPセンサ等の侵襲性IOPセンサ、またはセンシムド社(SensimedAG)(スイス国、ローザンヌ)からセンシムドトリガフィッシュ(SENSIMEDTRIGGERFISH(登録商標))の商標で販売されているコンタクトレンズベースのセンサを含む、体内に移植されずにIOPを検知するためのIOPセンサ等の非侵襲性IOPセンサのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0127】
IOPセンサは、患者眼のIOPレベルを連続的に検知することが可能なIOPセンサ等の連続IOPセンサ、または周期的または非周期的な間隔で患者眼のIOPレベルを検知することが可能なIOPセンサ等の周期的IOPセンサのうちの少なくとも1つを含むことができる。一例では、周期的IOPセンサは、IOPの患者自己監視のために設計された手持ち式眼圧計等の眼圧計を含むことができる。IOPセンサによって検知されたデータは、装置100の使用を容易にする等のために、制御回路140によって受信することができる。
【0128】
センサ130は、患者の心臓活動の指標を検出する等のために、心臓センサを含むことができる。心臓活動の指標は、収縮期血圧の指標および拡張期血圧の指標等の全身血圧(systemic blood pressure)の指標、または心拍数の指標のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0129】
心臓センサは、患者における全身血圧レベルを含む血圧レベルの指標を検知するためのデバイス等の血圧(BP)センサを含むことができる。BPセンサは、患者内に移植可能なBPセンサ等の侵襲性BPセンサ、および患者の体内に移植せずにBPを検知することができるBPセンサ等の非侵襲性BPセンサのうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0130】
センサ130は、キャビティ112に出入りする体積流量または質量流量のうちの少なくとも1つを含む作動流体の流れの指標を検知するためのデバイス等の作動流体流量センサを含むことができる。センサ130は、キャビティ112内の作動流体の相対湿度の指標を検知するデバイス等の湿度センサを含むことができる。センサ130は、キャビティ112内の作動流体の温度の指標を検知するデバイス等の温度計を含むことができる。センサ130は、患者眼に関連する構造の変位を検知するように構成された光干渉断層法装置を含む変位の指標を検知するデバイス等の変位センサを含むことができる。
【0131】
センサ130は、キャビティ112内の作動流体圧の指標を検知するデバイス等の圧力センサを含むことができる。圧力センサは、キャビティ112と連通する等、キャビティ112と近接して配置することができる。一例では、圧力センサは、キャビティ112内に配置された圧力センサ等のキャビティ圧力センサを含むことができる。
【0132】
一例では、いくつかの場合では、キャビティ112内の作動流体圧は、眼内の眼内圧(IOP)の推定値(例えば、近似値)として機能することができる。しかしながら、角膜の厚さや角膜の硬さ等の眼の特性により、キャビティ圧力は眼のIOPの代用として機能しない場合がある。
【0133】
圧力源150がキャビティ112内の作動流体圧を調整していないときに圧力センサによって検知される圧力レベル等のキャビティ112内の静的キャビティ圧力レベルは、キャビティ112内の任意の場所で同じにすることができる。圧力源150がキャビティ112内の作動流体圧を調整しているときに圧力センサによって検知される圧力レベル等の動的キャビティ圧力レベルは、キャビティ112と連通する圧力センサの位置に応じて変更することができる。
【0134】
センサ130は、キャビティ112内の静的キャビティ圧力レベルを推定するように、圧力源150の動作状態の指標等の別の指標と組み合わされた圧力センサを含むことができる。一例では、圧力センサの場所において動的圧力の指標を検知するとともに、流量の指標を含む圧力源150の動作状態の指標(例えば、ポンプ速度は流量に比例し得る)を受信するセンサ回路等の回路を含むように、圧力源150の入口ポート又は出口ポート等、圧力源150に近接して、測定場所で作動流体圧(静的及び動的)と作動流体流量との両方を測定することができるセンサを含む圧力-流量センサ等の圧力センサを配置することができる。圧力-流量センサは、キャビティ112内で、目標圧力レベル等の静的キャビティ圧力を達成するように圧力源150が受信することができる制御信号を生成する等のために、動的圧力の指標又は流量の指標のうちの少なくとも一方を処理することができる。制御信号は、圧力源150の動作特性を考慮することができるp-Q(例えば、圧力-流量)チャートによって記述される関係を含む圧力と流量との関係等の動的圧力の指標と指標流量との関係に基づくことができる。
【0135】
一例では、圧力センサは、圧力源150に近接して配置することができる。制御回路140は、圧力センサからの動的圧力の指標と、ポンプ速度の指標を含む圧力源150の動作状態の指標とを受信するように構成することができる。制御回路140は、キャビティ112内の、目標圧力レベル等の静的キャビティ圧力レベルを達成するように圧力源150が受信することができる制御信号を形成する等のために、動的圧力の指標又は圧力源150動作状態の指標のうちの少なくとも一方を処理することができる。
【0136】
センサ130は、作動流体中の化学成分の指標を検知するためのデバイス等の濃度センサまたは作動流体組成センサを含むことができる。一例では、濃度センサは、作動流体中の成分等の作動流体の指標を検知するように構成することができる。キャビティ112に送達される作動流体中の成分等の作動流体中の成分は、治療流体を含むことができる。少なくとも1つの例では、作動流体組成センサは、(CO)、酸素(O)、一酸化窒素(NO)、オゾン(O)、窒素、ヘリウム(He)、フルオロカーボンおよびパーフルオロカーボンを含む炭化水素、六フッ化硫黄、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)を含むカンナビノイド、または治療ガスの組み合わせのうちの少なくとも1つ等の治療流体を検知することができる。
【0137】
センサ130は、化学成分を含むバイオマーカーの指標を検知するためのデバイス等のバイオマーカーセンサを含むことができる。作動流体中の化学成分は、患者眼から放出されるか、または患者眼内で検知されるバイオマーカー等のバイオマーカーを含むことができる。バイオマーカーは、医学的介入が必要である可能性がある場所の苦痛の状態等、眼の生理学的状態を示唆することができる。バイオマーカーセンサは、石英結晶ナノバランス(quartz crystal nanobalance:QCN)センサを含む揮発性ガスセンサにより検出することができるようなケトン、OCT撮像システムを含む光学グルコースセンサにより検出することができるようなグルコース、非侵襲性光学酸素センサにより検出することができるような酸素レベル、塩分センサにより検出することができるような溶解塩、および2012年2月に発行され、かつその全体が参照により本明細書に組み込まれるクウォン(Kwon)他による刊行物「導電性ポリマーから変換された窒素ドープグラフェンに基づくフレキシブルFET型VEGFアプタセンサ(Flexible FET-Type VEGF Aptasensor Based on Nitrogen-Doped Graphene Converted from Conducting Polymer)」、エーシーエス・ナノ(ACS Nano)、第6巻、第2号、1486-1493頁に記載されているセンサおよび方法を含むアプタマーに基づくセンサにより検出することができるような血管内皮増殖因子(即ちVEGF)等を含むことができる。バイオマーカーは、酵素センサにより検出することができるマトリックスメタロペプチダーゼ9(matrix metallopeptidase 9:MPP-9)等の酵素、またはタンパク質センサにより検出することができる脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor:BDNF)等のタンパク質のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0138】
センサ130は、患者に関連する生理学的パラメータの指標を検知するように構成されたセンサ等のバイオセンサを含むことができる。生理学的パラメータは、患者眼に関連する過程又は患者眼の生理学的活動に関連する過程等の患者に関連する生理学的過程の指標を含むことができる。一例では、生理学的パラメータは、患者眼内の眼内圧(IOP)の指標(IOPレベル等)、患者に関連する脳脊髄液圧(CSFP)の指標(CSFPレベル等)、全身血圧又は心拍数のうちの少なくとも一方等の心臓活動の指標のうちの少なくとも1つを含むことができる。生理学的パラメータは、パターン網膜電図(即ちPERG)装置を含む網膜電図装置によって測定されるような、網膜活動の指標を含むことができる。
【0139】
センサ130は、眼の眼内部分等の眼の指標を検知するための画像センサを含むことができる。画像センサは、カバー110を含む装置100に取り付けられる等、眼に近接して配置することができるか、または独立デバイスとして含むように装置とは別に存在することができる。一例では、画像センサは、1つまたは複数のキャプチャされた画像が画像処理のために装置100に転送され得るような、単一の画像キャプチャカメラ等のカメラ、またはビデオカメラを含むマルチ画像キャプチャカメラを含むことができる。一例では、画像センサは、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)装置を含むことができる。
【0140】
センサ130は、眼血流センサ等の血流センサを含むことができる。血流センサは、システムの少なくとも一部の構成要素を患者に挿入する必要がある血流センサの撮像システム等の侵襲性血流センサの眼用撮像システムを含むことができる。一例では、侵襲性血流センサの侵襲性眼用撮像システムは、フルオレセイン血管造影システムを含むことができる。
【0141】
血流センサは、センサ画像システムの構成要素を患者に挿入する必要がない眼血流センサの撮像システム等の非侵襲性眼血流センサの眼用撮像システムを含むことができる。非侵襲性眼血流センサの眼用撮像システムは、患者からの眼血流の指標を検知するシステム、または患者からの情報を処理して眼血流の指標を生成する回路を含むことができる。眼血流の指標は、収縮期最高血流速度(peak systolic blood velocity:PSV)、拡張末期血流速度(end diastolic blood velocity:EDV)、平均血流速度(mean blood velocity:MV)、RI=(PSV-EDV)/PSV等の抵抗指数(resistivity index:RI)、またはPI=(PSV-EDV)/MV等の拍動指数(pulsatility index:PI)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0142】
非侵襲性眼血流センサの眼用撮像システムは、眼組織を含む組織にエネルギーを照射して、センサで検知できるような組織からの応答を引き出す等のために、眼用エネルギー源を含むことができる。眼組織は、眼用エネルギー源によって生成される電磁(EM)エネルギー、例えば、約3ヘルツ(Hz)から約300エクサヘルツ(EHz)までの周波数範囲のEMエネルギーが照射されることができる。一例では、眼用エネルギー源は、電球によって生成される等の拡散光源、およびレーザーダイオードによって生成される等のコリメートされた光源を含むことができる。
【0143】
非侵襲性眼血流センサの眼用撮像システムは、眼組織をエネルギー源によって照射することによって眼組織から誘発されるエネルギーを含む、眼組織から放射されるエネルギーを検知する等のために、眼血流センサを含むことができる。眼血流センサは、約3ヘルツ(Hz)から約300ヘルツ(EHz)までの周波数範囲のEMエネルギー等のEMエネルギーを検知するように構成することができる。
【0144】
一例では、眼血流センサは、約20キロヘルツ(kHz)から約400kHzまでの周波数範囲、および約1メガヘルツ(MHz)から約18MHzまでの周波数範囲を含む約3Hzから約300ギガヘルツ(GHz)までの周波数範囲においてEMエネルギーを検知するように構成された超音波センサ等の超音波センサを含むことができる。
【0145】
眼血流センサは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサを含む電荷結合デバイス(CCD)センサを含むことができる。CCDセンサは、約300GHzから約400テトラヘルツ(即ちTHz)の周波数範囲を含む、約300GHzから約300EHzまでの周波数範囲(赤外線放射、約1,000マイクロメートルから約750ナノメートル(即ちnm)の波長に対応する)、約400THzから約800THzまでの周波数範囲(可視光、約750nmから約375nmの波長に対応)、および約800THzから約30ペタヘルツ(即ちPHZ)までの周波数範囲(紫外線放射、約375nmから約10nmの波長に対応する)におけるEMエネルギーを検知するように構成することができる。
【0146】
非侵襲性眼血流センサの眼用撮像システムは、超音波トランスデューサー等の眼エネルギー源、超音波レシーバー等の眼血流センサ、超音波トランシーバ等の眼用エネルギー源と眼血流センサの組み合わせの少なくとも1つを備えた医療用超音波撮像システム等のカラードップラー撮像(color doppler imaging:CDI)システムを含むことができる。一例では、CDIシステムは、約6.5mLの周波数でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。
【0147】
非侵襲性眼血流センサシステムの眼の撮像は、レーザースペックルフローグラフィー(laser speckle flowgraphy:LSF)システムまたはレーザースペックルコントラスト撮像(laser speckle contrast imaging:LSCI)システムを含むことができる。一例では、LSFシステムは、約361THzの周波数(約830nmの波長に対応する)でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。一例では、LSFシステムは、ニデック社(日本、愛知県)からLSFG-Retflowというの商品名で販売されているシステムを含むことができる。
【0148】
非侵襲性眼血流センサシステムは、共焦点スキャン型レーザードップラー流速計(confocal scanning laser Doppler flowmetry:CSLDF)システム等のレーザードップラー流速計(LDF)を含むことができる。一例では、LDFシステムは、約384THzの周波数(約780nmの波長に対応する)でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。一例では、CSLDFシステムは、ハイデルベルク・エンジニアリング社(Heidelberg Engineering GmbH)(独国、ハイデルベルク)からハイデルベルク網膜流量計(Heidelberg Retina Flowmeter)という商品名で販売されているシステムを含むことができる。
【0149】
非侵襲性眼血流センサシステムは、眼用コヒーレンストモグラフィー血管造影(OCTA)システムを含むことができる。一例では、OCTAモジュールをOCTシステムと通信するように配置する等によって、眼コヒーレンストモグラフィー(OCT)システムの機能を強化することができる。OCTAモジュールは、コード化された命令を実行して、眼血流の指標を生成する等のために、OCTシステムに、眼組織の断面を繰り返しスキャンさせ、眼組織の各スキャンをメモリに保存させ、スキャン間の差異を識別するために保存されたスキャンを処理させることができる制御回路を含むことができる。一例では、OCTAシステムは、ハイデルベルク・エンジニアリング社(Heidelberg Engineering GmbH)(独国、ハイデルベルク)からスペクトラリス(Spectralis(登録商標))という商品名で販売されているOCTシステム、またはハイデルベルク・エンジニアリング社(Heidelberg Engineering GmbH)(独国、ハイデルベルク)からスペクトラリスOCT血管造影モジュール(Spectralis OCT Angiography Module)という商品名で販売されているOCTAモジュールのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0150】
非侵襲性眼血流センサシステムは、レーザードップラー速度計(laser doppler velocimetry:LDV)システムを含むことができる。一例では、LDVシステムは、約444THzの周波数(約675nmの波長に対応する)でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。
【0151】
非侵襲性眼血流センサシステムは、網膜血管分析器(retinal vessel analyzer:RVA)システムを含むことができる。RVAシステムは、眼の血管を照明して、光反射係数または光吸収係数のうちの少なくとも1つを検知するシステムを含むことができる。
【0152】
非侵襲性眼血流センサシステムは、眼組織を照明するように構成されたコリメート光源等のコリメート光源と、眼組織から反射したコリメート光を受信するように構成されたCCDセンサとを備えたドップラー光コヒーレンストモグラフィー(doppler optical coherence tomography:DOCT)システムを含むことができる。一例では、DOCTシステムは、約356THzの周波数(約841nmの波長に対応する)でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。一例では、DOCTシステムは、オプトビュー社(Optovue、Inc)(カリフォルニア州、フリモント)からRTVueという商品名で販売されているDOCTシステムを含むことができる。
【0153】
非侵襲性眼血流センサシステムは、網膜機能イメージャ(retinal functional imager:RFI)システム、脈動性眼血流(pulsatile ocular blood flow:POBF)システム、眼底脈動振幅(fundus pulsation amplitude:FPA)システム、フルオレセインおよびインドシアニン血管造影(FA、ICG)システム、カラードップラー撮像(color doppler imaging:CDI)システム、網膜酸素飽和度測定システム(retinal oximetry system)、磁気共鳴撮像(magnetic resonance imaging:MRI)システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、青色光干渉断層計システム、周波数領域光コヒーレンストモグラフィー(frequency domain optical coherence tomography:FD-OCT)システム、血管造影システム、または光コヒーレンストモグラフィーを使用したスプリットスペクトル振幅非相関血管造影(Spectrum Amplitude Decorrelation Angiography with Optical Coherence Tomography:SSADA-OCT)システムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0154】
非侵襲性眼用撮像システムは、全視野、多焦点、パターン、または視覚誘発電位(visual evoked potential:VEP)網膜電図システムのうちの少なくとも1つ等の網膜電図(electroretinography:ERG)システムを含むことができる。一例では、ERGシステムは、約440THzの周波数(約680nm以上の波長に対応する)でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。一例では、ERGシステムは、ディオプシス社(Diopsys、Inc)(ニュージャージー州、パインブルック)からディオプシスノバ-ERG(DiopsysNova-ERG)という商品名で販売されているシステムを含むことができる。
【0155】
ERGシステムは、可視光等のEMエネルギーを含む眼に加えられた刺激から、網膜内の神経細胞および非神経細胞のうちの少なくとも1つを含む眼の電気的活動の指標を検知する等のために、記録電極を含むことができる。一例では、記録電極をERGシステムと共に使用して、眼血流の指標としてのパターン網膜電図(PERG)試験等の、眼の電気的活動の指標を測定することができる。記録電極は、コンタクトレンズに取り付けられ、かつ眼の表面と接触するように構成された電極等の眼と接触することができる電極、または眼の下眼瞼に配置することができる電極等の眼に近接した電極のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0156】
非侵襲性眼用撮像システムは、網膜機能撮像(retinal functional imaging:RFI)システムを含むことができる。RFIシステムは、約547THzの周波数(約548nmの波長に対応する)でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。一例では、RFIシステムは、オプティカル・イメージング社(Optical Imaging,Ltd.)(イスラエル国、レホヴォト)からRFI3000という商品名で販売されているシステムを含むことができる。RFIシステムは、約666THzの周波数(少なくとも450nmの波長に対応する)でEMエネルギーを生成することが可能なエネルギー源を用いて構成することができる。一例では、RFIシステムは、オキュサイエンス社(OcuScience Inc)(ミシガン州、アナーバー)からオキュメット・ビーコン(OcuMet Beacon)という商品名で販売されているシステムを含むことができる。
【0157】
制御回路140は、装置100の動作を可能にするとともに調整することができる。一例では、制御回路140は、流体レギュレータ120、センサ130、圧力源150、又は流体源170のうちの少なくとも1つに、通信する等、結合することができる。
【0158】
制御回路140は、センサ130によって検知される眼環境の指標のうちの少なくとも1つ等の信号を受信するように構成されたデータインタフェースを含むことができる。一例では、検知された指標は、センサ130からの検知された指標等の眼環境の指標、又は、左眼環境の指標と右眼環境の指標との関係の指標のうちの少なくとも一方を含むことができる。制御回路140は、受信信号を処理して、処理済み信号等にし、その処理済み信号を装置100の1つ又は複数の構成要素に送信することができる。
【0159】
制御回路140は、作動流体組成を制御するようにレギュレータ弁の位置を調整する等のために、流体レギュレータ120と通信することができる。制御回路140は、センサ130からの検知データを含む眼環境の指標を受信及び処理する等のために、センサ130と通信することができる。制御回路140は、装置100における作動流体圧または作動流体流量のうちの少なくとも一方を調整するための圧力源制御信号を生成する等のために、圧力源150と通信することができる。
【0160】
制御回路140は、ユーザが装置100を操作し且つ装置100と対話するのを可能にする等のために、通信インタフェースを提供することができる。通信インタフェースは、装置100に関する情報(例えば、検知された指標の読取値、障害ステータス等)を含む情報をユーザに伝えるか又はユーザから情報を受け取る等、グラフィカルユーザインタフェース(即ちGUI)を含むことができる。ユーザから受け取られる情報は、装置100に電力を循環させる等、装置100の基本機能を管理するための情報、又は、治療プロトコルを規定する目標レベルを含む動作パラメータ並びに最大限度及び最小限度等の安全パラメータ等のユーザ選好の指標のうちの少なくとも1つを含むことができる。一例では、通信インタフェースは、患者眼への損傷を防止するためにユーザによって選択されたキャビティ112内の最大圧力レベルまたは最小圧力レベルのうちの少なくとも1つ等の安全圧力レベルを受け取り、キャビティ112に送出される作動流体圧を調整するか、またはキャビティ112内の目標圧力レベルを設定することができる。
【0161】
制御回路140は、環境パラメータまたは生理学的パラメータのうちの少なくとも1つ等の、センサ130によって検知された眼環境の指標を含む指標を受信および記録する等のために、デジタル信号処理(DSP)回路を含むことができる。眼環境の指標は、秒、分、時間、日、年の期間、または患者の寿命のある期間等の期間にわたって、制御回路140によって監視および記録することができる。
【0162】
制御回路140は、プログラム可能な中央処理装置(CPU)等の処理ユニットを含むことができる。CPUは、患者眼疾患を治療、抑制又は予防する等のために、装置100を使用する方法を実施する複数の命令を実行することができる。一例では、CPUは、計算機1500等の計算機の構成要素であり得る。
【0163】
CPUは、フィードバック制御回路等の制御回路として構成することができる。フィードバック制御回路は、センサ130によって検知される指標、通信インタフェースからのユーザ選好の指標、又はCPUによって処理された信号を含む処理済み信号の指標のうちの少なくとも1つ等の情報を受信し、制御信号を形成する等のために、検知した指標を処理することができる。
【0164】
CPUは、キャビティ112と連通する圧力センサからのキャビティ圧力レベルの指標等に基づき、キャビティ112内の圧力レベルを調整するように圧力源150に対する制御信号(例えば、圧力源制御信号)を生成する等、圧力フィードバック制御回路として構成することができる。
【0165】
一例では、圧力源制御信号は、キャビティ112内の目標圧力レベルを達成するように、キャビティ112内の圧力等のキャビティ圧力の指標に基づくことができる。圧力フィードバック制御回路は、キャビティ112と連通する圧力センサを含むセンサ130によって検知されたキャビティ圧力レベルの指標等のキャビティ112内の作動流体圧の指標を受信することができる。圧力フィードバック制御回路は、受信した圧力レベルの指標を処理して、キャビティ112内の目標圧力レベルを達成するように圧力源150を調整する制御信号等の制御信号を形成することができる。
【0166】
受信した圧力の指標の処理は、キャビティ圧力差値の指標を形成するために通信インタフェースから受信したキャビティ圧力設定値レベルを含む、キャビティ圧力レベルの指標とユーザ選好の指標との差の指標を計算すること等の指標を計算することを含むことができる。受信した指標の処理は、圧力源150を調整するように、CPUで実行している比例積分微分(proportional-integral-derivative:PID)制御アルゴリズムにより、キャビティ圧力差値の指標に基づいて制御信号を生成することを含むことができる。制御信号の生成は、受信した圧力レベルの指標とキャビティ圧力設定値レベルとの差を最小化する制御信号を生成することを含むことができる。
【0167】
一例では、圧力源制御信号は、患者眼内の目標IOPレベルを達成するために、患者眼内のIOPの指標等、患者に関連する生理学的パラメータの指標に少なくとも部分的に基づくことができる。圧力フィードバック制御回路は、IOPを検知するように構成されたバイオセンサを含むセンサ130によって検知されたIOPレベルの指標等の患者眼内のIOPレベルの指標を受信することができる。圧力フィードバック制御回路は、受信したIOPレベルの指標を処理して、患者眼内の目標IOPレベルを達成するのに十分な目標キャビティ圧力レベル等のキャビティ112内の目標キャビティ圧力レベルを達成するように、圧力源150を調整する制御信号等の制御信号を形成することができる。
【0168】
受信したIOPの指標の処理は、IOPレベルの指標と、通信インタフェースから受信したIOP設定値レベルを含む、ユーザ選好の指標との差分を計算して、IOP差分値(difference value)を生成することを含むことができる。受信した指標の処理は、圧力源150を調整するように、CPUで実行している比例積分微分(PID)制御アルゴリズムにより、IOP差分値に基づいて制御信号を生成することを含むことができる。制御信号の生成は、受信した圧力レベルの指標とキャビティ圧力設定値レベルとの差を最小化する制御信号を生成することを含むことができる。
【0169】
CPUは、キャビティ112内の化学成分レベルを調整するレギュレータ制御信号を生成する等のための、濃度フィードバック制御回路として構成することができる。
一例では、レギュレータ制御信号は、作動流体における目標NO濃度レベルを達成するように、一酸化窒素(NO)濃度の指標等の作動流体に関連する化学成分の指標に基づくことができる。濃度フィードバック制御回路は、NOを検知するように構成された濃度センサを含むセンサ130によって検知されたNOレベルの指標等の作動流体におけるNO濃度レベルの指標を受信することができる。濃度フィードバック制御回路は、受信したNOレベルの指標を処理して、キャビティ112内の目標NO濃度レベルを達成するようにレギュレータ120を調整する制御信号等の制御信号を形成することができる。
【0170】
受信したNO濃度の指標の処理は、NO濃度の指標と、通信インタフェースから受信したNO設定値レベルを含む、ユーザ選好の指標との差分を計算して、NO差分値を生成することを含むことができる。受信した指標の処理は、NO差分値に基づいて制御信号を生成することを含むことができる。受信した指標の処理は、レギュレータ120を調整するように、CPUで実行している比例積分微分(PID)制御アルゴリズムにより、NO差分値に基づいて制御信号を生成することを含むことができる。制御信号の生成は、受信したNO濃度の指標とNO設定値レベルとの差分を最小化する制御信号を生成することを含むことができる。
【0171】
制御回路140は、センサ130によって検知された指標のうちの少なくとも1つに基づき圧力源150の動作を調整するように構成された圧力源回路等の圧力源回路を含むことができる。圧力源回路は、データインタフェースにおいて受信された検知された指標、又は、通信インタフェースを通して受信したユーザ選好の指標のうちの少なくとも一方に基づいてシステム障害(system fault)を発生させるように構成された圧力源論理回路等の圧力源論理回路を含むことができる。一例では、圧力源論理回路は、キャビティ112内のキャビティ圧力の指標が、通信インタフェースを通してユーザによって設定された圧力安全レベル等の圧力安全レベルを超えたとき等の障害事象の発生時に、システム障害を発生させることができる。
【0172】
制御回路140は、装置100に電気エネルギーを供給する等のための電源152を含むことができる。一例では、電源152は、リチウムイオン電池等の電池と、指定された電圧および電流にて装置100で使用するために壁コンセントから電力を受け取る等のための変圧器とを含むことができる。制御回路140は、治療流体の温度を上昇させるために、カバー110の内面188を含むカバー110の表面上またはカバー110の近傍または流体レギュレータ120に配置された加熱要素を含む、治療流体と連通する加熱要素等の加熱要素を含むことができる。
【0173】
圧力源150は、作動流体を圧力源150からキャビティ112まで移動させるか、または作動流体をキャビティ112から圧力源150または周囲環境のうちの少なくとも一方まで移動させる等のために、装置100内に作動流体の体積流を発生させることができる。圧力源150は、キャビティ112内の圧力レベルの指標を含む流体圧の指標を、第1圧力レベルから第1圧力レベルとは異なる第2圧力レベルまで調整する等のために、キャビティ112に非大気圧を加えるように構成することができる。
【0174】
圧力源150は、正のゲージ圧又は負のゲージ圧のうちの少なくとも一方を発生させることができるポンプ等のポンプを含むことができる。圧力源150は、容積式ポンプ又は遠心ポンプを含むポンプ等の電動圧力源を含むことができる。例えば、圧力源150は、ダイアフラム真空ポンプ等のダイアフラムポンプを含むことができる。圧力源150は、ベローズ型ポンプ(bellows-style pump)を含むハンドポンプ等の手動圧力源を含むことができる。一例では、圧力源150は、カバー110等の装置100の構成要素に組み込むことができる。
【0175】
図1Aは、手動圧力源の例を含む装置101の一例を示す。一例では、装置101は、装置100のすべての構成要素を含むことができる。装置101は、左ベローズカバー111A又は右ベローズカバー111Bのうちの少なくとも一方等のベローズカバー111と、左キャビティ逆止弁189A又は右キャビティ逆止弁189Bのうちの少なくとも一方等のキャビティ逆止弁189と、左シール119A又は右シール119Bのうちの少なくとも一方等のシール119とを含むことができる。
【0176】
ベローズカバー111は、眼の前面を含む眼と接触すること等なく、患者眼を包囲するとともに、眼から間隔を空けて配置されるようなサイズおよび形状とすることができる。ベローズカバー111は、患者の左眼及び右眼等、両方の患者眼を包囲するとともに覆うようなサイズ及び形状とすることができる。一例では、ベローズカバー111は、ダイビング又はシュノーケリングマスクと形状及び機能が同様のベローズカバー111等のマスクを含むことができる。
【0177】
ベローズカバー111は、レンズ182とシール119との間のベローズカバー111の一部等のベローズ部分を含むことができる。ベローズ部分は、レンズ182とシール119との間の第1ベローズ距離によって画定されるような、第1ベローズ位置をとることができる。ベローズ部分は、第1ベローズ位置から変位した位置等の第2ベローズ位置をとることができる。ベローズ部分は、動きに対する抵抗を示すことができ、例えば、ベローズ部分を第1ベローズ位置から第2ベローズ位置まで変位させるために、外力を必要とすることができる。動きに対する抵抗のレベルは、ベローズ材料の選択及びベローズ折目の数を含むベローズ部分の設計等を通して、制御することができる。ベローズ部分は、弾性、例えば、外力を取り除いた後の力平衡位置を含む平衡位置に回復するベローズ部分の傾向を示すことができる。
【0178】
第2ベローズ位置は、患者眼の上に負のゲージ圧(例えば、真空)を発生させるような、圧縮ベローズ位置を含むことができる。一例では、レンズ182とシール119との間の距離は、圧縮ベローズ位置等の、ベローズカバー111に圧縮力が加えられたときの第1ベローズ位置から、圧縮ベローズ位置まで低減することができる。ベローズカバー111が第1ベローズ位置から圧縮ベローズ位置まで移動すると、キャビティ112内の作動流体圧を上昇させる等のように、キャビティ112の容積を低減させることができ、その後、キャビティ112は、逆止弁189等を通して、キャビティ112からある体積の作動流体を排出することができる。圧縮力が取り除かれると、ベローズ部分は、患者眼の上に「吸引」又は負のゲージ圧をもたらす等のために、ベローズ部分の弾性により、第1ベローズ位置と圧縮ベローズ位置との間の位置等の第3ベローズ位置まで回復することができる。
【0179】
第2ベローズ位置は、患者眼の上に正のゲージ圧(例えば、大気圧と比較した圧力の上昇)を発生させるような、拡張ベローズ位置を含むことができる。一例では、レンズ182とシール119との間の距離は、ベローズカバー111に拡張力が加えられると、第1ベローズ位置から、拡張ベローズ位置等まで、増大することができる。ベローズカバー111が第1ベローズ位置から拡張ベローズ位置まで移動すると、キャビティ112の容積は、キャビティ112内の作動流体圧を低下させる等のように、増加することができ、その後、キャビティ112は、逆止弁189等を通して、周囲環境からある体積の周囲空気を受け取ることができる。外力が取り除かれると、ベローズ部分は、患者眼の上に「加圧」又は正のゲージ圧をもたらす等のために、ベローズ部分の弾性により、第1ベローズ位置と拡張ベローズ位置の間の位置等の第3ベローズ位置に回復することができる。
【0180】
圧力源150は、加圧ガスシリンダ、又はキャビティ112内の作動流体圧を調整するために使用することができる装置100とは別個の加圧流体源等の圧力源を含むことができる。圧力源150は、キャビティ内の圧力を調整する補助装置と組み合わせて使用される圧力源を含むことができる。一例では、圧力源150は、キャビティ112内の流体圧を調整する圧力源を組み合わせて、ベンチュリジェットポンプ等のベンチュリ型ポンプを含むことができる。
【0181】
圧力源150は、物理的特性の間の関係等の物理的特性によって特徴付けることができる。いくつかの流れ源(sources of flow)の性能を比較する有用な基準としては、流れ源からの作動流体流の体積と、流体流に起因してもたらされる、静圧等の圧力との関係等の体積-圧力特性が挙げられる。一例では、圧力源150は、p-Qチャート等、体積-圧力特性によって特徴付けることができる。
【0182】
圧力源150は、キャビティ112内の目標キャビティ圧力に向かうか又はそれを達成するようにキャビティ112内の圧力を調整する等のために、キャビティ112内に圧力を発生させることができる。目標キャビティ圧力は、患者眼に対する診断処置を含む測定処置に作用するキャビティ圧力を含むことができる。一例では、キャビティ112内の圧力は、患者眼の前面の第1変位に作用する第1目標キャビティ圧力等の目標キャビティ圧力に向かって、圧力源150によって調整することができる。第1変位の指標は、変位センサを含むセンサ130によって検知することができる。続いて、第2目標キャビティ圧力が、変位センサによって検知することができる第2変位の指標等、患者眼の前面の第2変位に作用することができる。第1目標圧力と第2目標圧力との変位の指標の差により、患者眼内のIOPの指標の推定等、生理学的パラメータを推定することができる。
【0183】
目標キャビティ圧力は、眼疾患を治療、抑制又は予防するために医療専門家によって指示されたキャビティ圧力等、患者眼の治療に作用するキャビティ圧力を含むことができる。一例では、キャビティ112内の圧力は、IOPの指標を検知するように構成されたバイオセンサを含むセンサ130によって検知することができる患者眼内のIOPレベルの指標を含む患者眼の生理学的パラメータの指標に作用する目標キャビティ圧力等の目標キャビティ圧力に向かって圧力源150によって調整することができる。患者眼の治療は、患者眼内のIOPレベルの所望の指標に作用するキャビティ112内の目標キャビティ圧力を達成するように圧力源を調整すること等により、圧力源150によって作用することができる。
【0184】
目標キャビティ圧力は、患者眼内の目標IOPレベルを達成するようにキャビティ112に加えられる圧力等の目標IOPキャビティ圧力を含むことができる。目標IOPキャビティ圧力は、患者眼内のIOPレベルを増減させる等のために、患者眼内のIOPレベルを調整又は達成することができるキャビティ圧力を含むことができる。目標IOPレベルは、約5mmHg~約30mmHgの範囲のIOPレベルと、約10mmHg~約21mmHgの範囲のIOPレベルと、約12mmHg~約18mmHgの範囲のIOPレベルとを含むことができる。
【0185】
経篩状板圧(translaminar pressure)は、篩状板(lamina cribrosa)の前後の圧力差を述べる。経篩状板圧差(translaminar pressure difference:TPD)は、患者眼内の眼内圧と患者体内の脳脊髄流体圧との差として定義することができる。経篩状板圧勾配(translaminar pressure gradient:TPG)は、TPDに関連し、篩状板の単位厚さごとのIOPとCSFPとの差として定義することができる。TPDレベル等のTPDの指標は、眼疾患の存在又は不在等の患者眼の生理学的健康を示すことができる。眼疾患のない患者眼等の生理学的に正常な眼は、約-4mHg~約4mmHgの範囲または約-6mHg~約6mmHgの範囲のうちの少なくとも一方の正常TPDレベル等の正常TPDレベルによって特徴づけることができる。対照的に、緑内障を含む眼疾患のある患者眼等の非正常眼は、正常TPDレベルの範囲外にあるTPDレベルによって特徴付けることができ、例えば、そうしたTPDレベルは、約-4mmHg未満であるか又は約4mmHgを超える可能性がある。
【0186】
目標キャビティ圧力は、眼内のTPDレベルを等化する(equalize)ことができるキャビティ112に加えられる圧力等の目標等化キャビティ圧力を含むことができる。眼内のTPDレベルを等化することができるキャビティ圧力は、第2のTPDレベルの絶対値が第1のTPDレベルの絶対値未満であり得る場合を含む第1のTPDレベルから第2のTPDレベルへ等、眼内のTPDレベルを低下させることができるキャビティ112に加えられる任意の圧力を含むことができる。
【0187】
目標キャビティ圧力は、患者眼内で目標TPDレベルを達成することができるキャビティ112に加えられる圧力等の目標経篩状板圧差(TPD)キャビティ圧力を含むことができる。目標TPDキャビティ圧力は、患者眼のTPDレベルを、目標TPDレベル範囲等、ある範囲に調整するのに十分な、キャビティ112に加えられる圧力レベルを含むことができる。目標TPDレベル範囲は、約-4mmHg~約4mmHg、約-6mmHg~約6mmHg、約-7mmHg~約7mmHg、または約-10mmHg~約10mmHgのうちの少なくとも1つの範囲のTPDレベルを含むことができる。一例では、通常のTPDレベル範囲は、約-4mmHg~約4mmHgまたは約-6mmHg~約6mmHgのうちの少なくとも一方の範囲のTPDレベルを含むことができる。
【0188】
患者眼内のTPDを第1のTPDレベルから第1のTPDレベルより低い第2のTPDレベルまで調整する等、TPDの調整により、患者眼の健康を向上させる等のために、患者眼内の生理学的過程を改善することができる。患者視神経における細胞生存能力を維持する役割を担う細胞過程の集まり(collection of cellular processes)等の軸索輸送(axonal transport)は、患者眼内のTPDの指標が正常なTPDレベル範囲内にない場合等、上昇したTPDの存在によって悪影響を受ける可能性がある。視神経等における軸索輸送レベルの指標は、軸索輸送センサを含むセンサ130によって検知することができる。一例では、軸索輸送センサは、光干渉断層法(OCT)撮像システム又は共焦点スキャンレーザ検眼鏡(confocal scanning laser ophthalmoscope:CSLO)システムのうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0189】
目標キャビティ圧力は、患者眼内で目標軸索輸送レベルを達成するようにキャビティ112に加えられるキャビティ圧力等の目標軸索輸送キャビティ圧力を含むことができる。目標軸索輸送キャビティ圧力は、第2軸索輸送レベルの指標が第1軸索輸送レベルの指標より高いものであり得る場合の軸索輸送レベルの第1指標から軸索輸送レベルの第2指標まで等、眼内の軸索輸送レベルの指標を向上させる(又は上昇させる)ことができるキャビティ圧力を含むことができる。
【0190】
軸索輸送の速度は、輸送される生理学的成分等に基づいて変化する可能性がある。一例では、「遅い」軸索輸送は、例えば、中間代謝の細胞骨格及び溶性酵素を含む細胞質成分の軸索に沿った移動を表す可能性がある。低速な軸索輸送成分等の場合の目標軸索輸送レベルは、約0.2mm/日~約2mm/日の範囲の軸索輸送レベルを含み得る。一例では、「速い」軸索輸送は、軸索に沿った、シナプス小胞ポリペプチド等のミトコンドリアポリペプチド及びニューロペプチドの移動を表す可能性がある。速い軸索輸送成分等の場合の目標軸索輸送レベルは、ミトコンドリアポリペプチド等の場合の約50mm/日~約100mm/日の範囲の軸索輸送レベルと、ニューロペプチド等の場合の約100mm/日~約200mm/日の範囲の軸索輸送レベルとを含み得る。
【0191】
目標キャビティ圧力は、患者眼内の眼疾患を治療、抑制又は予防する目標治療キャビティ圧力を含むことができる。
眼疾患を治療するための目標治療キャビティ圧力は、センサ130によって検知された生理学的パラメータ等の生理学的パラメータの指標を調整するように選択されたキャビティ圧力を含むことができる。一例では、生理学的パラメータの指標の調整は、患者不快感を緩和する等、患者自覚症状を緩和すること、又は、眼疾患若しくは病態によって低下した患者機能等の患者機能を向上させることを含むことができる。
【0192】
眼疾患を抑制するための目標治療キャビティ圧力は、診断された眼疾患による患者機能のさらなる低下を停止させるか又は遅らせる等のために、患者機能を維持するように選択されたキャビティ圧力を含むことができる。一例では、患者機能の指標の維持は、患者眼の生理学的パラメータの指標の変動を最小化することを含むことができる。例えば、眼疾患を抑制するための目標治療キャビティ圧力は、ある期間にわたるIOPの指標の変動を最小化するように選択されたキャビティ圧力を含むことができる。
【0193】
眼疾患を予防するための目標治療キャビティ圧力は、眼疾患が出現する前に患者眼に適用される予防措置として選択されたキャビティ圧力を含むことができる。一例では、緑内障の潜在的な指標としての異常な陥凹乳頭径比(cup-to-disc ratio)等、眼疾患に対する前兆特性を示す患者の場合、生理学的過程が臨床的な眼疾患診断まで進行しないように、患者生理機能に好適な圧力レベル等で、装置100により患者眼にキャビティ圧力を加えることができる。したがって、目標キャビティ圧力レベルは、患者眼内の陥凹乳頭径比を低下させる等のために、患者眼内の陥凹乳頭径比を第1陥凹乳頭径比から第1陥凹乳頭径比より低い第2陥凹乳頭径比に調整するのに十分なキャビティ圧力レベルを含むことができる。
【0194】
導管117は、キャビティ112とセンサ130との間又はキャビティ112と圧力源150との間のうちの少なくとも一方の連続的に開存している流体伝送路等、装置100の1つ又は複数の構成要素の間の患者流体伝送路を提供することができる。導管117は、1つ又は複数の内腔等の内腔を含むことができる。
【0195】
図5Aは、第1二重内腔導管等の導管117の一例の断面を示す。第1二重内腔導管は、第1内腔壁115Aによって画定された第1内腔113Aと、第2内腔壁115Bによって画定された第2内腔113Bとを含むことができ、例えば、第1内腔115Aは、第2内腔115Bに隣接して位置することができる。一例では、第1内腔113Aは、圧力源150とキャビティ112との間の流体連通路を提供することができ、例えば、圧力源150は、目標キャビティ圧力レベルを達成するために、作動流体を、内腔113Aを通してキャビティ112まで移送することができる。一例では、第2内腔113Bは、圧力源150の動作を制御するフィードバック信号として使用される等のために、センサ130がキャビティ112内のキャビティ圧力レベルの指標を検知することができるように、キャビティ112と、制御回路140に位置する作動流体圧センサ等のセンサ130との間の流体連通路を提供することができる。
【0196】
装置100の潜在的な動作上の危険性としては、導管117のキンク(kink)を含む開存した流体伝送路が中断される可能性がある導管117の状態等の導管117の閉塞を挙げることができる。一例では、キンクは、第1内腔113A又は第2内腔113Bのうちの少なくとも一方が折れ曲がってつぶれる可能性がある導管117に加えられる曲げ力による閉塞等の閉塞を含む可能性があり、例えば、内腔の内面の第1部分が内腔の内面の第2部分と接触して、内腔を通る流体伝送を阻止する可能性がある。キャビティ112と、制御回路140に位置する作動流体圧センサ等のセンサ130との間の導管117におけるキンクにより、圧力源150が制御できなくなる可能性がもたらされる場合があり、例えば、制御回路140は、センサ130からのキャビティ圧力レベルの間違った指標に基づいてキャビティ圧力レベルを発生させるように、圧力源150に命令する可能性がある。
【0197】
一例では、第1内腔113Aにおけるキンクが、キャビティ112と作動流体圧センサとの間の流体連通を停止する可能性があり、例えば、作動流体圧センサが、キャビティ圧力レベルのない状態を含むキャビティ圧力レベルの間違った指標(例えば、約0mmHgゲージというキャビティ圧力レベルの指標)を検知することになる。キャビティ圧力レベルの間違った指標により、制御回路140は、目標キャビティ圧力レベルを達成又は維持する等のために、キャビティ112内のキャビティ圧力レベルを補償するように圧力源150を動作させる等のように、キャビティ112への流体移送を、増減させる等、調整するように圧力源150に命令することになる可能性がある。キャビティ圧力レベルの間違った指標の連続した検知により、圧力源150は、患者眼に損傷を与える可能性があるキャビティ圧力レベルを発生させる可能性がある等、「暴走」(即ち非制御)状態で動作する可能性がある。暴走状態を回避するために、導管117は、導管117におけるキンクを含む閉塞に起因する装置100の動作上の安全性等の装置100の安全性を向上させるように設計された1つ又は複数の特徴等の特徴を含むことができる。
【0198】
図5Bは、第1内腔壁115Aが、第2内腔壁115B内に第1内腔113A及び第2内腔113Bを形成する等のために、第2内腔壁115Bと接触することができる導管117等の第2二重内腔導管の一例の断面を示す。
【0199】
図5Cは、第1内腔113Aが第2内腔113B内に完全に位置することができ、例えば、第1内腔壁115Aが第2内腔壁115Bから別個であり得る導管117等の第3二重内腔導管の一例を示す。
【0200】
導管117の開存性(Patency)は、第2内腔113Bに対する第1内腔113Aの向き等により、制御することができる。一例では、図5B又は図5Cに示す導管例117のうちの少なくとも1つ等の導管117におけるキンクは、圧力源150からキャビティ112への流体移送を阻止する等のように、第1内腔113Aを閉塞する可能性があるが、第2内腔113Bは開放したままにすることができ、例えば、第1内腔壁115Aの外面が、第2内腔113Bの内面の第1部分が第2内腔113Bの内面の第2部分と接触するのを防止すること等により、第2内腔113Bがつぶれるのを防止することができる。
【0201】
導管117の開存性は、第1内腔113A又は第2内腔113Bのうちの少なくとも一方の設計を含む導管117の設計等により、制御することができる。導管117の寸法は、第2内腔113Bの開存性を維持する等のように、選択することができる。一例では、導管117が曲げ力を受けているとき等、第2内腔113Bの第1部分がつぶれるのを防止する等のように、第1内腔壁115Aの厚さが、第2内腔壁115Bの厚さとは異なり得る。導管117を構成するために使用される材料は、第2内腔113Bの開存性を維持するように選択することができる。一例では、導管117が曲げ力を受けているとき等、第2内腔113Bの第1部分がつぶれるのを防止する等のように、第1内腔壁115Aを形成するために使用される材料のタイプ又はデュロメータ堅さは、第2内腔壁115Bを形成するために使用される材料のタイプ又はデュロメータ堅さとは異なり得る。
【0202】
導管117は、第1内腔113A又は第2内腔113Bのうちの少なくとも一方の閉塞を防止する等のために、補強構造を含むことができる。補強構造は、第1内腔壁115A又は第2内腔壁115Bに位置するとともに、第1内腔壁115A又は第2内腔壁115Bのうちの少なくとも一方の周囲に延在するワイヤコイル等のワイヤのコイルを含むことができる。
【0203】
導管117の断面形状は、導管117の機能に影響を与えない任意の形状等の形状をとることができる。第1内腔113Aの断面形状及び第2内腔113Bの断面形状等の導管117の断面形状は、円形、楕円形、三日月形、三角形、矩形又は任意の多角形断面形状のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0204】
第1内腔壁115A及び第2内腔壁115Bの剛性に起因する導管117の全体的な剛性等の導管117の可撓性を制御することができる。一例では、導管117の断面形状に関連する慣性モーメントを最小化する構造的構成等の導管117の構造的構成により、導管117の剛性を低下させることができる。例えば、第1慣性モーメントが第2慣性モーメント又は第3慣性モーメントより大きいものであり得る場合等、第1慣性モーメント等を有する第1二重内腔導管は、第2慣性モーメントを有する第2二重内腔導管又は第3慣性モーメントを有する第3二重内腔導管のうちの少なくとも一方と比較した場合に、曲げ又はねじり等における、より高い全体的な剛性を実証することができる。一例では、第2二重内腔導管又は第3二重内腔導管は、第1二重内腔導管と比較して、接着又は押出しのうちの少なくとも一方からもたらされる可能性があるねじり付勢等のねじり付勢を最小化することができる。
【0205】
装置100は、患者眼の前面と接触する眼環境を調整すること等によって、眼の眼内構造に影響を与えることができる。一例では、眼の前面に非大気圧を加えることによって、眼内のIOPを調整することができ、例えば、眼の眼内構造によって反応することができる力を発生させることができる。眼内構造は、網膜、脈絡膜、または眼内構造を灌流することができる1つまたは複数の眼内血管を含む血管のうちの少なくとも1つを含むことができる。加えられた力に反応する際に、血管パラメータ等の眼内血管の特性は、加えられた力に応じて調整またはそれ以外に変更されることができる。
【0206】
血管パラメータは、血管に関連する特性を表すものであり、かつ動的血管径変化を含む網膜静脈拍動(SVP)に関連する血管径の変化等の血管径(例えば、血管の直径)、断面の形状等の血管の形状、血管色、または血流量または血流速度のうちの少なくとも一方等の血管内の血流の少なくとも1つを含むことができる。眼の前面に加えられる非大気圧を調整すること等によって、眼内構造に加えられる力を調整することによって、装置100は、1つまたは複数の血管パラメータを調整することができる。
【0207】
装置100は、患者眼の血流を調整する等のために、血流装置(blood flow apparatus)(即ちBFA)を含むことができる。BFAは、カバー110、流体レギュレータ120、センサ130、制御回路140、および圧力源150を含むことができる。
【0208】
制御回路140は、患者眼の血流を調整するように構成することができる。例えば、制御回路140は、圧力源150と通信して、血流の目標レベルを含む目標レベルに向かって等、眼血流を調節するためにキャビティ内の流体圧を調整するように構成することができる。制御回路140は、眼内の血管から血管パラメータの指標を受信し、受信した指標に少なくとも部分的に基づいて、キャビティ112内の作動流体圧(例えば、キャビティ圧力)を調整して、患者眼内の血流を調整する等のために、受信した指標を処理することができる。
【0209】
制御回路140は、圧力源150用の制御信号(例えば、圧力源制御信号)を生成する等のために、フィードバック制御回路として構成することができる中央処理装置(CPU)を含むことができる。圧力源制御信号は、血管パラメータを含む受信した指標に少なくとも部分的に基づいて、圧力源150にキャビティ112内の作動流体圧レベルを調整させることができる。
【0210】
圧力源制御信号は、血流センサによって検知することができる血管内の血流の指標等、血管パラメータの指標に少なくとも部分的に基づくことができる。CPUは、以下のステップで説明するように、眼の前面に加えられるキャビティ圧力を調整する一連の動作等、圧力源調整サイクルを実行することができる。
【0211】
圧力源調整サイクルの例では、CPUは、血流の第1の指標等の検知された血流の指標を受信することができる。CPUは、血流を調整する等のために、例えば、血流の指標に少なくとも部分的に基づいて圧力源150を調整して、キャビティ112に加えられる非大気圧を増分的(incrementally)に調整するように圧力源制御信号を生成することができる。CPUは、キャビティ112への非大気圧の増分印加の結果として生じる血流の指標等の血流の第2の指標を受信することができる。CPUは、受信した第1および第2の指標等の受信した指標を比較し、受信した第1および第2の指標間の差に基づいて、非大気圧を増減する等のために、印加される非大気圧を調整することができる。圧力源調整サイクルは、目標基準が満たされるまで複数回実行することができる。
【0212】
目標基準は、眼の灌流を「正常な」血流レベルに回復する等のために、眼疾患を治療するために選択された血流レベル等の目標血流レベルを含むことができる。一例では、正常な血流レベルは、総網膜血流速度(total retinal blood flow rate)(TRBFR)、例えば、約68μl/分~約92μl/分の範囲(例えば、80μl/分+/-12μl/分)内のTRBFRによって特徴付けることができる。CPUは、血流の検知された指標等の受信した指標を目標血流レベルと比較し、目標血流レベルに向かって眼内の血液に影響を与えるように眼内のIOPを調整する等のために、圧力源150を調整してキャビティ112に非大気圧を加えることができる。
【0213】
目標血流レベルは、目標IOPレベルの対象となる患者眼の血流レベルを最大化するように選択された血流レベルを含むことができる。一例では、目標IOPレベルは、約5mmHg~約30mmHgの範囲、約10mmHg~約21mmHgの範囲、および約12mmHg~約18mmHgの範囲のうちの少なくとも1つにおけるIOPレベルを含むことができる。CPUは、ある範囲の試験非大気圧レベルを増分的にキャビティ112に加える等のために、試験圧力源信号を生成することができ、同時に、各増分試験圧力レベルに対して付随する血流レベルを監視することができる。CPUは、その後、最大血流レベルに関連する目標IOP範囲内の圧力レベルを達成する等のために、圧力源制御信号を選択して圧力源150に印加することができる。
【0214】
細胞の生存率を維持するのに十分な血流の供給等の臓器の灌流は、組織の健康と一般的な健康の状態のために必要である。灌流は、動静脈の圧力差等、灌流される臓器全体の圧力差に依存し得る。眼灌流圧(ocular perfusion pressure)(即ちOPP)は、患者の全身血圧等の血圧(BP)と、患者眼の眼内圧(IOP)との関係として特徴付けることができる。一例では、OPPレベルは、OPP=BP-IOP等、BPレベルとIOPレベルとの間の差として定義することができる。一例では、平均OPPレベルを含むOPPレベルは、MOPP=2/3*(MAP-IOP)として定義することができ、例えば、MAP=平均動脈圧=DBP+1/3*(SBP-DBP)であり、SBPは収縮期血圧であり、DBPは拡張期血圧である。
【0215】
患者の全身血圧は、患者の活動レベルによって大きく変動して、患者眼のOPPレベル等に影響を与え得る。不十分なOPPは、代謝活性の低下等の異常な眼の代謝活性、または緑内障を含む慢性の眼疾患を誘発または悪化させる等の網膜細胞のアポトーシスをもたらし得る虚血性損傷を生じさせる可能性がある。
【0216】
目標血流レベルは、目標OPPレベルの対象となる患者眼の血流レベルを最大化するように選択された血流レベルを含むことができる。一例では、目標OPPレベルは、約30mmHg~約70mmHgの範囲、約40mmHg~約60mmHgの範囲、および約45mmHg~約55mmHgの範囲のうちの少なくとも1つを含むことができる。CPUは、ある範囲の試験非大気圧レベルを増分的にキャビティ112に加える等のために、試験圧力源信号を生成することができ、同時に、各増分試験圧力レベルに対して付随する血流レベルを監視することができる。CPUは、その後、最大血流レベルに関連する目標OPP範囲内の圧力レベルを達成する等のために、圧力源制御信号を選択して圧力源150に印加することができる。
【0217】
目標血流レベルは、目標眼灌流圧(OPP)レベル等、患者の活動レベルとは無関係に眼組織を適切に灌流するように選択された血流レベルを含むことができる。目標血流レベルを実施する際に、制御回路140は、血流の指標、全身BPの指標、およびIOPの指標を受信し、受信した指標の少なくとも1つに基づいてキャビティ内の流体圧を調整する等のために、受信した指標を処理することができる。
【0218】
一例では、OPPの指標に基づく圧力源調整サイクルを実行することができる。CPUは、IOPおよび血圧の検知された指標を受信して、OPPの第1の指標等のOPPの指標を形成することができる。CPUは、血管内の血流を調整する等のために、例えば、血流の指標に基づいて圧力源150を調整して、非大気圧をキャビティ112に加えるように圧力源制御信号を生成することができる。CPUは、キャビティ112への非大気圧の印加の結果として生じる血流の指標等の血流の第2の指標を受信することができる。CPUは、受信した第1および第2の指標等の受信した指標を比較して、印加される非大気圧を調整することができる。圧力源調整サイクルは、目標基準が満たされるまで複数回実行することができる。
【0219】
図6は、装置100を使用して患者眼の眼血管内の血流を調整するための例示的な方法600を示す。制御回路140は、眼の血管から血管パラメータの指標を受信し、受信した指標を処理して、受信した指標に少なくとも部分的に基づいてキャビティ112内の流体圧を調整するように構成することができる。一例では、制御回路140は、眼組織の灌流を改善する等のために、眼の血流を、血流の第1の指標から血流の第2の指標に調整することができる。
【0220】
610において、制御回路140を用いる等により、血管パラメータの指標を受信することができる。指標を受信することは、眼の血管内の血流量または血流速度のうちの少なくとも一方等の血流の指標を受信することを含み得る。
【0221】
指標を受信することは、眼に関連する環境パラメータまたは生理学的パラメータのうちの少なくとも一方の指標を受信することを含み得る。指標を受信することは、圧力センサを用いる等により、キャビティ112内の流体圧の指標を受信することを含み得る。指標を受信することは、IOPセンサを用いる等により、眼の眼内圧(IOP)の指標を受信することを含み得る。指標を受信することは、BPセンサを用いる等により、患者の全身血圧(BP)の指標を受信することを含み得る。
【0222】
指標を受信することは、装置100とインタラクションする人または機械等のユーザから指標を受信することを含み得る。ユーザからの指標を受信することは、制御回路140と通信するGUIを介する等により、ユーザ入力を受信することを含み得る。一例では、ユーザ入力は、目標血流レベルおよび目標OPPレベルを含む目標基準のうちの少なくとも1つ等の目標レベル、または装置100の動作に関連する他の入力を含むことができる。
【0223】
指標を受信することは、患者の眼組織灌流を調整するために医療専門家によって指定されたOPPレベル等の目標OPPレベルを受信することを含み得る。目標OPPレベルは、眼疾患を抑制、治療、または予防する等のために、眼内の十分な血流を維持するための目標OPPレベルを含むことができる。
【0224】
620において、制御回路140を用いる等により、受信した血管パラメータの指標が処理されて、受信した指標に少なくとも部分的に基づいて、キャビティ112内の流体圧を調整することができる。
【0225】
受信した指標を処理することは、血管パラメータの指標等の受信した指標の指標をユーザに表示することを含み得る。表示は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して行うことができ、例えば、制御回路140と通信するGUIを介して行うことができる。一例では、ユーザは、GUI上に受信した指標の表現を視覚化し、受信した血管パラメータの指標に基づいて目標基準に向かって圧力源150を手動で調整すること等によって、装置100を手動で調整することができる。
【0226】
受信した指標を処理することは、例えば、受信した指標の少なくとも1つに基づいて指標を計算することを含み得る。指標の計算は、例えば、受信したIOPレベルの指標および受信した全身BPレベルの指標に少なくとも部分的に基づいて、眼灌流圧(OPP)の指標を計算することを含み得る。全身BPレベルの指標は、収縮期BPレベルの指標および拡張期BPレベルの指標を含み得る。
【0227】
受信した指標を処理することは、圧力源150を調整するように構成されたフィードバック信号等のフィードバック信号を形成することを含み得る。一例では、フィードバック信号は、圧力源制御信号を含み得る。フィードバック信号は、受信した指標または計算された指標のうちの少なくとも一方に少なくとも部分的に基づくことができる。一例では、制御回路140は、制御回路140上で実行されるフィードバックループを介する等により、受信した血管パラメータの指標に少なくとも部分的に基づいて目標基準に向けて、圧力源150を自動的に調整することができる。
【0228】
630において、制御回路140を用いる等により、目標基準の達成を識別することができる。目標基準は、受信した指標間の関係等の関係によって定義することができる。一例では、関係は、センサ130によって検知されたパラメータの指標とユーザによって指定された目標レベルとの間の差等の目標差分値を含むことができる。
【0229】
目標基準は、目標基準が目標範囲内にある場合に達成することができる。目標基準が目標範囲内にある場合、制御回路140は、圧力源150の調整を停止する等のために、ヌル(例えば、ゼロ)の圧力源制御信号を生成することができる。目標基準が目標範囲内にない場合、制御回路140は、圧力源150を調整してキャビティ112内の流体圧を変更して目標範囲内の目標レベルを達成する等のために、非ゼロの圧力源制御信号を生成することができる。
【0230】
一例では、目標血流レベルの達成を識別することは、目標血流差分値を計算することを含み得る。目標血流差分値は、目標血流レベルと眼流量センサから受信した血流の指標との間の差として定義することができる。目標血流レベルは、目標血流差分値が、目標血流範囲内にある場合に達成することができ、例えば、約68μl/分~約92μl/分の範囲(例えば、80μl/min+/-12μl/min)内にある総網膜血流速度(TRBFR)の場合である。
【0231】
一例では、目標OPPレベルの達成を識別することは、目標OPP値を計算することを含み得る。目標OPP値は、目標OPPレベルと計算されたOPPレベルの指標との間の差として定義することができる。目標OPPレベルは、目標OPP値が、目標OPP値を中心としたOPPレベルの範囲等、目標OPP値の範囲内にあるときに達成することができる。一例では、目標OPP値の範囲は、約-15mmHg~約15mmHgの範囲、約-10mmHg~約10mmHgの範囲、および約-51mmHg~約5mmHgの範囲のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0232】
640において、キャビティ112に加えられる非大気圧レベルを調整することができる。キャビティ112内の非大気圧レベルを調整することは、圧力源150を用いたキャビティ112内の作動流体圧等の環境パラメータを調整することを含み得る。非大気圧レベルを調整することは、制御回路140を用いて圧力源制御信号を生成することを含み得る。圧力源制御信号は、受信した指標または計算された指標のうちの少なくとも一方等の、制御回路140に関連する指標に少なくとも部分的に基づくことができる。非大気圧調整のレベルは、患者のIOPまたはCSFPの少なくとも一方を含む患者の生理学的パラメータを調整すること等によって変更することができる。生理学的パラメータは、患者のIOPまたはCSFPのうちの少なくとも一方を増加または減少させることができる薬剤を投与すること等によって調整することができる。
【0233】
650において、制御回路140を用いる等により、目標基準の維持を識別することができる。目標基準を維持することは、目標差分値が一定期間にわたって目標範囲内にある時期を識別することを含み得る。持続期間は、装置100をユーザが使用できる期間を含むことができる。目標基準が目標範囲内にある場合、制御回路140は、圧力源150の調整を停止する等のために、ヌル(例えば、ゼロ)の圧力源制御信号を生成することができる。目標基準が目標範囲内にない場合、制御回路140は、圧力源150を調整してキャビティ112内の流体圧を変更して目標範囲内の目標レベルを達成する等のために、非ゼロの圧力源制御信号を生成することができる。目標基準を維持することは、目標OPP値を計算すること、および目標OPP値が目標OPP範囲内にある時期を識別することを含み得る。
【0234】
自己調節(autoregulation)は、動脈圧および静脈圧の変動にもかかわらず、代謝要求を満たすために臓器内の一定の血流を維持する臓器の固有の機構として定義することができる。眼の自己調節(ocular autoregulation)(OA)能等の自己調節能は、OPPの変動を含む眼全体の圧力の変動を受ける等があっても、眼内の一定の血流を維持する眼の能力を指すことができる。
【0235】
図7Aは、生理学的に正常な眼等の眼におけるOA能の第1の例を示すグラフを示す。眼の自己調節(OA)プラトーは、眼を適切に灌流するために、各患者の固有の生理機能に依存し得る範囲等のOPPレベルの範囲に対して、眼が一定の体積(即ち「定常状態」)の血流等の一定の血流を維持することができることを示す。一例では、OAプラトーは、眼組織を適切に灌流するのに最適なレベルの血流と見なすことができる。対照的に、領域1または領域2のOPPレベル等のOAプラトーの外側にあるOPPレベルに対して、眼は眼内の血流を一定に維持することができず、例えば、眼内の血流は眼が経験するOPPレベルに依存することになる。領域1で経験するような低OPPレベル等の、眼組織を適切に灌流するために必要な血流の閾値レベルを下回る血流レベルの低下は、緑内障を含む眼疾患の発生または進行の原因となる可能性のある虚血性の損傷等の眼への損傷を引き起こす可能性がある。
【0236】
OAプラトーを定義するOPPレベルの範囲等のOAプラトーのサイズは、眼疾患の素因を予測するか、または眼疾患の存在を示し得る。一例では、「小さな」OAプラトー(生理学的に正常な眼のOAプラトーと比較して)、またはOAプラトーの欠如は、患者が症状を呈する前等の眼疾患の存在を示し得る。従って、眼のOA能の評価は、眼疾患の診断および治療のための有用な臨床ツールとなり得る。
【0237】
図7Bは、生理学的に機能不全の眼を示し得るOAプラトーの欠如を表示する等、眼におけるOA能の第2の例を示すグラフを示す。眼疾患を経験している眼では、OA能グラフは、眼のOPPレベルに依存する血流を示すことができ、例えば、OPPレベルの範囲にわたってOPPレベルに線形依存する血流を示すことができ、結果として、眼組織を適切に灌流するために最適な血流レベルを維持するためのOPPレベルの範囲は、図7Aに示される生理学的に正常な眼のOA能と比較して、大幅に減少し得る。
【0238】
OAプラトーの欠如は、患者眼の健康にとって大きな懸念事項となり得る。システム血圧およびIOP等の生理学的圧力レベルの自然な変動により、患者眼のOPPレベルは、毎日24時間周期で変動し得る。例えば、体位により患者の全身BPが低下してIOPが上昇する睡眠時等の夜間におけるOPPレベルの低下は、患者眼への血流を低下させ、虚血状態を引き起こし、潜在的に眼疾患を発生または悪化させる可能性がある。
【0239】
無症候性の患者の異常なOA能を特定する等の診断目的でOPPを調整する機能により、医療専門家は、眼疾患を特定し、眼組織の最適な灌流を維持するための治療レジメンを処方する等の予防措置を講じることができる。眼疾患のある眼の閾値血液灌流を維持するためのOPPレベルの範囲は、生理学的に正常な眼のOPPレベルの範囲よりもはるかに小さくなり得るため、OA能の特定は、眼疾患の特定および治療において非常に重要である。
【0240】
装置100は、患者眼における眼の自己調節(OA)能の指標を識別する等のために、眼の自己調節装置(即ちOAA)を含むことができる。OAAは、カバー110、流体レギュレータ120、センサ130、制御回路140、および圧力源150を含むことができる。
【0241】
制御回路140は、眼の自己調節(OA)指数(index)を含むOA能の指標を処理するように構成することができる。制御回路140は、眼の自己調節(OA)値を形成する等のために、眼の血管から血管パラメータの指標を受信し、受信した指標を処理することができる。
【0242】
制御回路140は、受信した指標間の関係の指標を提供する等のために、装置100に関連する1つまたは複数のセンサ130からの1つまたは複数の指標を含む指標を受信し、受信した指標を処理する等を行うデータ処理回路として構成されたCPUを含むことができる。この関係は、OA値を形成する等のために、独立変数および関連する従属変数によって特徴付けることができる。
【0243】
OA値は、受信した指標の順序対(ordered pair)を形成する等のために、独立変数と関連する従属変数との間の関係として定義することができる。一例では、OA値は、OPPレベル(独立変数)と、OPPレベルに関連する患者眼の血流レベル(従属変数)とを含むことができる。OA値は、第1のOPPレベルと第1のOPPレベルに関連する第1の血流レベルの第1の順序対等の第1のOA値、および第2のOPPレベルと第2のOPPレベルに関連する第2の血流レベルの第2の順序対等の第2のOA値を含むことができる。
【0244】
制御回路140は、キャビティ内の圧力を、目標OAマークレベルに向けて等、目標レベルに向けて調整するように構成することができる。目標OAマークレベルは、装置100のユーザによって指定された独立変数等の、OA値の独立変数を含むことができる。目標OAマークレベルは、OA能グラフで使用するためのOA値を形成するための基準としてユーザによって選択されたOPPレベル等の、目標OPPグラフ点レベルを含むことができる。一例では、同じ目標OAマークレベルを有するOA能グラフ等の、1つまたは複数のOA能グラフを経時的に生成して、経時的なOA能の変化を識別する等のために、ユーザが1つまたは複数のOA能グラフを点ごとの検査で比較することができるようにする。一例では、2つ以上のOA値は、独立変数間の均一な増分(例えば、均一な目標OAマークレベル)等により、OA能グラフを形成することができる。
【0245】
制御回路140は、眼の自己調節(OA)指数を処理するように構成することができる。2つ以上のOA値の収集は、OPPレベルの範囲にわたる眼のOA能を特徴付ける線等のOA能線を定義することができる。OA能線は、OA能線の特性等のOA指数によって特徴付けることができる。OA指数は、OA能線の勾配、または特定の勾配を有するOA能線の一部の長さ等のOA能線の長さのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0246】
一例では、制御回路140は、OA値に基づいて患者眼のOA指数を形成する等のために、少なくとも2つのOA値の間の最適な当てはめ線(best-fit line)の勾配を計算するように構成することができる。一例では、最適な当てはめ線は、残差の二乗和を最小化する等、最小平均二乗法(LMS)で誤差を最小化するように選択された線形回帰を含むことができる。患者眼からのOA指数を、疫学的データから収集された複合OA指数、または眼疾患に関連する一連のOA指数等の複合OA指数と比較して、無症候性の患者等の眼疾患を特定することができる。
【0247】
図8は、装置100を使用して患者眼のOA能を定量化するための一例の方法800を示す。一例では、制御回路140は、OA指数を推定する等のために、OA値データを収集して、OA能線を形成することができる。
【0248】
610において、指標を受信することは、眼の血管内の血流の指標等の血管パラメータの指標を受信することを含み得る。指標を受信することは、患者眼におけるIOPの指標および患者における全身血圧の指標を受信することを含み得る。
【0249】
620において、受信した指標を処理することは、受信または計算された指標データを含む、指標データの順序対等のOA値を形成することを含み得る。OA値は、OPPレベルの指標等の独立変数、およびOPPの指標に関連する眼の血管内の血流レベルの指標等の従属変数を含むことができる。
【0250】
指標を処理することは、OA能線のパラメータを計算することを含み得る。OA能線のパラメータは、少なくとも2つのOA値の間の最適な当てはめ線の勾配等、OA能線の勾配を含むことができる。OA能線のパラメータは、指定された勾配を有するOA能線の長さ等、OA能線の長さとすることができる。OA能線の長さは、第1の独立値と第2の独立値との間のOA能線上のOAプラトーの長さを含むことができる。一例では、OA能線の長さは、OA能グラフの第1の独立値と第2の独立値との間等、OA能線の勾配に基づいて変化し得る。
【0251】
OA能線の勾配を計算することは、例えば、2つ以上のOA値に基づいてスプラインを計算することを含み得る。一例では、第1のOA値および第2のOA値は、第1および第2のOA値を結ぶ直線等の2点スプラインを定義することができる。2点スプラインの勾配は、眼のOA能を定量化するためのOA指数を定義することができる。第3のOA値等の追加のOA値を、第1および第2のOA値と組み合わせて、第1、第2、および第3のOA値の間の区分的に滑らかな曲線(piecewise smooth curve)を表す数式等の3点スプラインを定義することができる。3点スプラインの勾配は、区分的に滑らかな曲線の勾配の算術平均、または最小平均二乗法(LMS)で定義された第1、第2、および第3のOA値を通る最適な当てはめ線の勾配のうちの少なくとも一方として定義することができる。
【0252】
830において、制御回路140は、OAデータ収集の十分性を決定することができる。OAデータの十分性を決定することは、OA指数を推定するのに十分なOA値が制御回路140により収集されたかどうかを決定することを含み得る。一例では、OA指数を定義するために勾配を計算することができる線を定義する等のために、少なくとも2つのOA値を収集することができる。例では、ユーザはOA指数を計算するために収集するOA値の数を指定することができる。
【0253】
OAデータの十分性を決定することは、指定された独立変数に関連する2つ以上の従属変数を平均化することを含み得る。一例では、結果として得られるOA値の精度を高める等のために、OPPの特定された指標に関連する血流の2つ以上の指標の算術平均を決定することができる。
【0254】
840において、制御回路140は、第1の非大気圧から第2の非大気圧に等、キャビティ112に加えられる非大気圧を調整することができる。キャビティに加えられる非大気圧を調整することは、キャビティ112内の圧力レベルの指標(例えば、キャビティ圧力)または眼のIOPレベルの指標等、眼に関連する受信した圧力レベルの指標に基づいて、キャビティに加えられる非大気圧を増分的に調整することを含むことができる。第1の非大気圧レベルを調整するための増分圧力レベル等の、キャビティ112に加えられる第2の非大気圧レベルは、受信した第1の非大気圧レベルに基づくことができ、例えば、第2の非大気圧レベルは、受信した第1の圧力レベルの関数とすることができる。例えば、キャビティ112に加えられる第2の非大気圧レベルは、第1の非大気圧レベルと目標レベルとの間の差の関数、または第1の非大気圧レベルのパーセンテージとすることができる。
【0255】
キャビティに加えられる非大気圧を調整することは、受信した圧力レベルの指標のパーセンテージ倍数(percentage multiple)に基づいて、キャビティに加えられる非大気圧を調整することを含み得る。パーセンテージ倍数は、受信した圧力レベルの指標の1%、2%、3%、5%、10%、20%、30%等の所定のパーセンテージ倍数を含むことができる。キャビティ112に加えられる第2の非大気圧は、受信した第1の圧力レベルのパーセンテージ倍数に基づくことができる。一例では、所定のパーセンテージ倍数が約25%であり得る場合、第2の非大気圧は、第1のIOPレベル等の受信した第1の圧力レベルの指標の約75%~約125%であり得る。一例では、所定のパーセンテージ倍数が約10%であり得る場合、第2の非大気圧は、第1のIOPレベル等の受信した第1の圧力レベルの指標の約90%~約110%であり得る。
【0256】
850において、計算されたOA指数がデータの品質および一貫性を確保するための一組のメトリックを満たすことができるかどうかを決定する等のために、制御回路140は、収集された順序対を目標基準と比較することができる。例えば、受信した圧力レベルの指標は、検知された圧力レベルの真の性質を反映していないデータ等の無関係なデータを含み得る。一例では、IOPレベルデータ等の圧力レベルデータの検知は、装置100の動作中に患者が眼をこする等、検知されるデータとは無関係の事象によって交絡が生じる(confounded)可能性がある。交絡事象の影響を軽減するために、装置100は、制御回路140を用いる等により、圧力レベルデータおよびOA指数データのうちの少なくとも1つ等の順序対データを品質基準と比較することができる。
【0257】
順序対データを基準と比較することは、2点スプラインの勾配等の計算されたOA指数の指標を所定の勾配値と比較することを含み得る。一例では、2点スプラインの勾配を、デカルト座標系の正の水平軸を含む所定の基準点からの勾配の指標等の所定の勾配値と比較することができる。
【0258】
脳脊髄液圧(CSFP)レベルを含む頭蓋内圧レベル等の体内の圧力に関する知識は、眼疾患の診断または治療に大きな関心をもたらす。患者のCSFPレベルは、頭蓋内圧モニタリングを実行するために針を患者の脊柱管に挿入する医療処置等の腰椎穿刺によって測定することができる。しかしながら、腰椎穿刺は、頭痛、吐き気、麻痺等の合併症を引き起こす可能性のある侵襲的な処置である。
【0259】
網膜静脈拍動(SVP)は、眼内の網膜静脈と網膜中心静脈の篩板後部(retrolaminar portion)との間の圧力勾配に起因する等、患者の眼に発生する可能性のある網膜血管の口径の微妙な周期的な変動である。網膜血管は、静脈管腔内圧が患者のIOPおよびCSFPを超える場合等において、開存したままである可能性がある。眼の脈圧(ocular pulse pressure)(例えば、収縮期眼内静脈圧と拡張期眼内静脈圧との間の変動)は、通常、脳脊髄液(CSF)の脈圧よりも高くなり得、例えば、眼からの眼血流は、収縮期に増加し、拡張期に減少または逆流を経験し得る。患者眼のIOPが静脈管腔内圧と平衡化する状態等、眼の脈圧がCSFの脈圧と平衡化すると、SVPが消滅する等、網膜血管が虚脱する(collapse)可能性がある。SVPを消滅させるキャビティ圧力レベルまたはIOPレベルのうちの少なくとも一方等のSVPの消滅時の圧力レベルは、IOP、静脈管腔内圧、およびCSFPの間の平衡を示すことができ、例えば、平衡時のIOPレベルは、患者におけるCSFPに近似することができるか、またはCSFPの代わりとなる。
【0260】
眼内のSVPは、バイナリSVP状態を含むSVP状態パラメータ(またはSVP状態)等のパラメータによって記述することができる。バイナリSVP状態は、センサ130が、患者の心周期の持続時間等のある期間にわたる血管パラメータの変化の指標を検出することができるような場合等のSVPオン状態を含むことができる。心周期は、体を灌流するために必要な心筋の弛緩(拡張期)および収縮(収縮期)の過程を含む。血管パラメータの変化は、血管径の変化または血管内の血流の変化のうちの少なくとも一方を含み得る。バイナリSVP状態は、センサが患者の心周期の期間にわたって血管パラメータの変化がないことを検出できるような場合等のSVPオフ状態を含むことができる。目標SVP状態は、SVPオン状態からSVPオフ状態への、またはSVPオフ状態からSVPオン状態への少なくとも一方を含む第1のSVP状態から第2のSVP状態への遷移状態等の遷移状態を含むことができる。遷移状態は、IOPが患者のCSFPとほぼ等しい(または、それ以外に平衡化されている)状態を含むことができる。
【0261】
目標SVP状態は、血管内の血流等の血管パラメータの状態によって定義することができる。一例では、SVPオン状態は、約0ml/秒を超える血管内の血流等の血流が血管内で発生している血管を含み、SVPオフ状態は、約0ml/秒の血管内の血流等の血流が血管内で発生していない血管を含むことができる。
【0262】
患者眼のSVP状態は、患者眼の前面に加えられる非大気圧を調整することによって、遷移SVP状態を含む目標SVP状態等に調整することができる。眼に加えられる非大気圧を調整する際に、患者眼のIOPを調整して(例えば、増加または減少して)、患者のIOPをCSFPと平衡化することができる。目標SVP状態に達すると、患者眼のIOPは、患者のCSFPの代わりとして機能する。
【0263】
装置100は、患者のCSFPレベルを含む患者の生理学的圧力レベルを非侵襲性に測定する等のために、CSFP装置(即ち、CFSPA)を含むことができる。CSFPAは、カバー110、流体レギュレータ120、センサ130、制御回路140、および圧力源150を含むことができる。
【0264】
センサ130は、血管パラメータの指標を検知するように構成されたセンサ等のSVPセンサを含むことができる。血管パラメータは、眼の血管における動的な血管径の変動の指標等の、血管径の変化を含むことができる。動的な血管径の変動は、眼の脈圧等の生理学的パラメータに関連し得る。SVPセンサは、キャビティ112と流体通信するように配置され、かつキャビティ圧力の動的変動を検知するように構成された圧力センサ等の圧力ベースのセンサを含むことができ、例えば、圧力センサは、眼の脈圧と相関する動きを含む眼の血管の脈動に応答した角膜の動きに起因する等のキャビティ圧力の動的変動を検知するように構成されている。SVPセンサは、眼のコンタクトレンズに組み込まれたひずみセンサ等のひずみベースのセンサを含むことができ、ひずみセンサは、眼の脈圧と相関する眼内容積の変化に起因する等の角膜の変位または強膜の変位のうちの少なくとも一方の動的変動を検知するように構成されている。一例では、ひずみベースのSVPセンサは、センシムド社(Sensimed AG)(スイス国、ローザンヌ)からセンシムドトリガフィッシュ(SENSIMED TRIGGERFISH(登録商標))の商標で販売されているコンタクトレンズベースのセンサを含むことができる。
【0265】
制御回路140は、SVPを含む血管径の指標等の血管パラメータに基づいて脳脊髄液圧の推定値を処理するように構成することができる。制御回路140は、眼の血管から血管パラメータの指標を受信し、受信した指標に基づいてキャビティ112内の流体圧を調整する等のために、受信した指標を処理することができる。
【0266】
制御回路140は、例えば、受信した血管パラメータの指標に基づいて、キャビティ112内の圧力レベルを調整するために、圧力源150の制御信号(例えば、圧力源制御信号)を生成する等のためのフィードバック制御回路として構成されたCPUを含むことができる。受信した指標は、血流センサによって検知されるような血管内の血流の指標、または画像センサまたはSVPセンサによって検知されるような血管径の指標のうちの少なくとも一方を含むことができる。画像センサは、患者の心周期等のある期間にわたって、1つまたは複数の網膜血管を含む1つまたは複数の網膜画像を検知およびキャプチャすることができる。一例では、制御回路140は、患者眼の目標IOPレベル等の目標レベルを達成するために、患者眼のIOPレベルを変更することに向けてキャビティ112内の圧力を調整するように構成することができる。一例では、制御回路140は、眼の目標状態を変更することに向けてキャビティ112内の圧力を調整するように構成することができ、例えば、遷移状態を含む目標SVP状態に向けて眼内のIOPレベルを調整するようにキャビティ112内の圧力を調整するように構成することができる。
【0267】
CPUは、眼のSVP状態を調整するための一連の動作等の、CSFPの圧力源調整サイクルを実行することができる。CSFPの圧力源調整サイクルの一例では、眼の前面は、非大気圧等の、キャビティ112に加えられる初期圧力を経験し得る。制御回路140は、患者の心周期における拡張期BPを含む第1のBPに関連するような血管パラメータの第1の指標と、患者の心周期における付随する収縮期BPを含む第2のBPに関連するような血管パラメータの第2の指標とを受信することができる。CPUは、目標基準が達成されたかどうかを判定する等のために、第1の指標を第2の指標と比較することができる。目標基準が達成された場合、CPUは、患者のCSFPの推定値等として、キャビティ112に加えられた初期圧力を表示することができる。目標基準が達成されていない場合、制御回路140は、キャビティ112に加えられる圧力を増減する等のために、目標基準の達成に向けてキャビティ112に加えられる初期圧力を増分的に調整することができる。圧力源調整サイクルは、目標基準が達成されるまでキャビティ112内の圧力を増分的に調整する等のために、複数回実行することができる。
【0268】
目標基準は、患者のIOP、管腔内圧、およびCSFPの間の平衡を示すために選択された眼血流レベル等の目標CSFP血流レベルを含むことができる。眼の血管内の目標CSFP血流レベルは、血管の直径等に応じて変化し得る。一例では、目標CSFP血流レベルは、眼の血管内の約5μl/分から約ゼロ(またはヌル)までの血流の範囲等の血流の範囲を含むことができる。
【0269】
目標基準は、目標CSFP血管係数を含むことができる。目標CSFP血管係数は、血管径係数または血管特性係数のうちの少なくとも一方を含むことができる。血管係数は、血管の流れ、血管径、または血管の形状のうちの少なくとも1つ等の血管パラメータの指標の関数とすることができる。血管パラメータは、画像センサ等のセンサ130によって検知され、続いて、制御回路140で処理する等のためにキャプチャされ得る。
【0270】
血管径係数は、患者眼の前面に加えられた特定の圧力での第1の画像と第2の画像との間の血管径の変化等の血管パラメータの変化を定量化することができる。血管径係数は、眼の前面に加えられた特定の圧力を受けた血管の虚脱の状態を表すことができる。一例では、目標血管径係数は、約0.6~約0.7の範囲、約0.7~約0.8の範囲、または約0.8~約0.9の範囲のうちの少なくとも1つ等の値の範囲を含むことができる。約0.63の目標血管径係数は、血管内膜の少なくとも一部が血管内膜の別の部分と接触し得るなど、血管の完全な虚脱を示し得る。
【0271】
血管径係数は、眼の前面に特定の圧力が加えられた血管等の血管の第1の血管径値と第2の血管径値との比として定義することができる。一例では、第1の血管径値は、特定の印加圧力における第1の血圧レベルに対応する第1の画像における血管径の長軸を含むことができ、第2の血管径値は、特定の印加圧力における第2の血圧レベルに対応する第2の画像における血管径の長軸を含むことができる。一例では、第1の血圧レベルは、患者の収縮期血圧レベルに対応することができ、第2の血圧レベルは、付随する拡張期血圧レベルに対応することができる。
【0272】
患者眼の前面に加えられた特定の圧力における第1の画像と第2の画像との間の血管断面形状の変化等の、血管パラメータにおける変化を定量化するための血管特性係数。血管特性係数は、眼の前面に加えられた特定の圧力を受けた血管の円形変形の状態を表すことができる。一例では、目標血管特性係数は、約100~約1,000の範囲、約1,000~約10,000の範囲、または約10,000~約100,000の範囲のうちの少なくとも1つ等の値の範囲を含むことができる。
【0273】
血管特性係数は、第1の血圧レベルに対応する第1の画像における血管の長軸と血管の短軸との比率等の第1の血管形状特性と、第1の血圧レベルに対応する第1の画像における血管の長軸と血管の短軸との比率等の第2の血管形状特性との比率として定義することができる。一例では、第1の血圧レベルは、患者の収縮期血圧レベルに対応することができ、第2の血圧レベルは、付随する拡張期血圧レベルに対応することができる。
【0274】
図9は、装置100を使用して患者のCSFPレベルを非侵襲性に検出するための一例の方法900を示す。制御回路140は、眼の血管からSVPの指標を受信し、受信した指標を処理して、受信した指標に基づいてキャビティ112内の流体圧を調整するように構成することができる。一例では、制御回路140は、患者のCSFPレベルを推定するために、第1のSVP状態から第2のSVP状態に等、SVP状態を調整することができる。
【0275】
610において、血管パラメータの指標は、制御回路140によって受信することができる。指標を受信することは、眼の血管から等、SVP状態の指標を含むSVPの指標を受信することを含み得る。一例では、指標を受信することは、単一の心周期にわたって、1つまたは複数の網膜画像等の網膜画像をキャプチャすることを含み得る。指標を受信することは、患者眼におけるIOPの指標および患者における全身血圧の指標を受信することを含み得る。
【0276】
620において、受信した血管の指標を処理することは、制御回路140により処理することができる。受信した指標を処理することは、SVPオンまたはSVPオフのうちの少なくとも1つを含むバイナリSVP状態等のSVP状態を決定することを含むことができる。SVP状態は、本明細書で説明されているCSFPの圧力源調整サイクルに関連するステップを使用する等により決定することができる。眼の血管パラメータは、血管径、血管の形状、血管色、または体積または速度のうちの少なくとも1つ等の血管の血流のうちの少なくとも1つを含むことができる。患者の心周期中の血管パラメータの変化は、SVPオン状態を特徴付けることができる。血管パラメータに変化がないことは、SVPオフ状態を特徴付けることができる。
【0277】
930において、目標SVP基準を含む目標基準の達成を識別することができる。目標SVP基準は、IOPの指標がCSFPの指標に近似できることをユーザに通知するために、第1のバイナリSVP状態から第2のバイナリSVP状態への遷移等の遷移SVP基準を含むことができる。遷移SVP状態は、SVPオン状態からSVPオフ状態への変化、またはSVPオフ状態からSVPオン状態への変化のうちの少なくとも1つを含むことができる。目標SVP基準の達成を識別することは、SVP状態の同等性を決定する等のために、第1のSVP状態を第2のSVP状態と比較することを含むことができる。一例では、第1のバイナリSVP状態が第2のバイナリSVP状態と同等でない場合等に、遷移SVP基準を満たすことができる。
【0278】
940において、キャビティ112に加えられる非大気圧レベルを調整することができる。非大気圧レベルを調整することは、非大気圧レベルを増分的に調整することを含み得る。増分調整は、ユーザによって定義されたような固定増分の圧力調整、または血管パラメータの指標に基づく固定増分の圧力調整のパーセンテージのうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0279】
増分的に調整することは、第1および第2の受信した血管パラメータ間の差を計算すること、および計算された差のパーセンテージに基づいて圧力源制御信号を生成することを含み得る。実例として、第1の受信した血管パラメータと第2の受信した血管パラメータとの間の小さな差は、IOPとCSFPとの間の大きな差を意味し得、例えば、遷移SVP状態をより迅速に達成する等のために、キャビティ112に加えられる非大気圧の調整増分を比較的大きくすることができる。一例では、第1および第2の血管パラメータの差が第1の血管パラメータ値の約0%~約25%の範囲に存在する場合、固定増分の圧力調整は、約1倍~約5倍の範囲の乗数によって修正することができる。
【0280】
第1の受信した血管パラメータと第2の受信した血管パラメータとの間の大きな差は、IOPとCSFPとの間の小さな差を意味し得、例えば、遷移SVP状態の達成に基づいてCSFPをより正確に推定する等のために、キャビティ112に加えられる非大気圧の調整増分を比較的小さくすることができる。一例では、第1および第2の血管パラメータの差が第1の受信した血管パラメータの約25%~約99%の範囲に存在する場合、固定増分の圧力調整は、約0.01倍~約1倍の範囲の乗数によって修正することができる。
【0281】
950において、目標SVP基準を含む目標基準の維持を識別することができる。目標SVP基準の維持を識別することは、SVP状態の同等性を決定する等のために、第1のSVP状態を第2のSVP状態と比較することを含むことができる。一例では、第1のバイナリSVP状態が第2のバイナリSVP状態と同等である場合等に、遷移SVP基準を維持することができる。
【0282】
様々な注記
上記の説明には、詳細な説明の一部を構成する添付の図面への参照が含まれている。図面は、本発明を実施することができる所定の実施形態を例示として示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ぶ。こうした例は、図示又は記載したものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示又は記載した要素のみが提供される例も企図する。さらに、本発明者らは、本明細書に図示若しくは記載した特定の例(又は、その1つ若しくは複数の態様)に関して、又は他の例(又は、その1つ若しくは複数の態様)に関して、図示若しくは記載した要素(又は、その1つ若しくは複数の態様)の任意の組合せ又は置換を用いる例も企図する。
【0283】
本明細書と参照により本明細書に援用される任意の文献との間に矛盾する使用法がある場合、本明細書における使用法を優先する。
本明細書において、「1つの(a、an)」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」という他のいかなる例又は使用法とも無関係に、1つ又は2つ以上を含むように使用している。本明細書において、「又は」という用語は、排他的論理和を指すように使用しており、「A又はB」は、別段の指示がない限り、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」及び「Aであり且つBである」を含む。本明細書において、「含む(including)」及び「その中で(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の同義語として使用している。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語は、限定的ではなく(open-ended)、即ち、ある請求項において、そうした用語の後に記載されるものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、配合物又はプロセスは、依然として、その請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」及び「第3」等の用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象物に対して数値的な要件を課すようには意図されていない。
【0284】
「平行」、「垂直」、「円形」、「四角」等の幾何学的用語は、文脈で別段の指示がない限り、絶対的な数学的精度を要求することを意図していない。代わりに、そのような幾何学的用語は、製造または同等の機能による変動を許容する。例えば、ある要素が「丸い」または「おおむね丸い」と表現されている場合、正確に円形ではない構成要素(例えば、わずかに楕円形または多辺形であったりするもの)であっても、この表現に含まれる。
【0285】
本明細書に記載する方法例は、少なくとも一部には機械又はコンピュータによって実装され得る。いくつかの例は、上記例に記載したような方法を実行するように電子装置を構成するように動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。こうした方法の実装は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高水準の言語コード等のコードを含むことができる。こうしたコードは、さまざまな方法を実行するコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成することができる。さらに、一例では、コードは、実行中又は他の時点等で、1つ又は複数の揮発性、非一時的又は不揮発性の有形コンピュータ可読媒体に有形に格納することができる。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、限定されないが、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)等を挙げることができる。
【0286】
上記説明は、限定的ではなく例示的なものであるように意図されている。例えば、上述した例(又は、その1つ若しくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。上記説明を検討した当業者等により、他の実施形態を使用することができる。要約書は、読者が本技術的開示の性質を迅速に確認することができるように、米国特許法施行規則第1.72(b)に準拠して提供される。要約書は、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないと理解した上で提出される。また、上記詳細な説明において、本開示を簡素化するためにさまざまな特徴を併せてグループ化している場合がある。これは、請求項に係らない開示した特徴がいかなる請求項にも必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示した実施形態のすべてには満たない特徴にあり得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、例又は実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として自立し、こうした実施形態がさまざまな組合せ又は置換で互いに組み合わせることができることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、こうした特許請求の範囲に権利が与えられる均等物の完全な範囲とともに参照することにより、決定されるべきである。
図1
図1A
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9