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特許7448275オービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレット、その調製方法及び使用
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  • 特許-オービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレット、その調製方法及び使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】オービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレット、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/551 20060101AFI20240305BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240305BHJP
【FI】
A61K31/551
A61K47/38
A61P35/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/20
A61K47/04
A61K47/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023532638
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2021108360
(87)【国際公開番号】W WO2022028264
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】202010789585.5
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519460960
【氏名又は名称】シェンチェン チェンシン メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リーレン チョン
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】XU Peng-fei et al.,Preparation and in vitro evaluation of SM-1 enteric-coated pellets,Central South Pharmacy,中国,2013年05月,Vol.11, No.5,328-331
【文献】高橋 彰ら,腸溶性被覆剤ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシナートの溶解機構,高分子論文集,日本,公益社団法人高分子学会,1985年11月,Vol.42, No.11,803-808
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オービットアジンフマル酸塩を含む芯材と、b)バリア層と、c)腸溶性層と、を含み、
前記腸溶性層は、(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はヒプロメロースフタル酸エステルからなる腸溶性材料を含む腸溶性ペレット。
【請求項2】
前記芯材は希釈剤、崩壊剤及び助溶剤を含む請求項1に記載の腸溶性ペレット。
【請求項3】
前記希釈剤は微結晶セルロース、ラクトース、α-澱粉から選択される1種又は複数種である請求項に記載の腸溶性ペレット。
【請求項4】
前記崩壊剤はカルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポビドンから選択される1種又は複数種である請求項に記載の腸溶性ペレット。
【請求項5】
前記助溶剤はポリビニルピロリドン、トウェン-20、トウェン-60、トウェン-80、ラウリル硫酸ナトリウムから選択される1種又は複数種である請求項2に記載の腸溶性ペレット。
【請求項6】
前記崩壊剤は、カルボキシメチルデンプンナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルデンプンナトリウムとの組み合わせ、低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとの組み合わせ、又は低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋ポビドンとの組み合わせである請求項に記載の腸溶性ペレット。
【請求項7】
前記低置換ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルデンプンナトリウムとの質量比が、0.1~3.5:であり、
低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとの質量比が、0.1~3.5:であり、
低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋ポビドンとの質量比が、0.1~3.5:である請求項に記載の腸溶性ペレット。
【請求項8】
前記芯材は、
オービットアジンフマル酸塩10~30重量と、
微結晶セルロース4~12重量と、
カルボキシメチルデンプンナトリウム0~5重量と、
低置換ヒドロキシプロピルセルロース2~8重量と、
トウェン0~4重量と、
ポリビニルピロリドン0~3重量と、を含む請求項に記載の腸溶性ペレット。
【請求項9】
前記バリア層にはバリア材料が含まれてる請求項に記載の腸溶性ペレット。
【請求項10】
前記バリア材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択される1種又は2種である請求項9に記載の腸溶性ペレット。
【請求項11】
記腸溶性層は可塑剤及び/又は粘着防止剤をさらに含む請求項1に記載の腸溶性ペレット。
【請求項12】
オービットアジンフマル酸塩10~30重量と、
微結晶セルロース4~12重量と、
カルボキシメチルデンプンナトリウム0~5重量と、
低置換ヒドロキシプロピルセルロース2~8重量と、
トウェン0~4重量と、
ポリビニルピロリドン0~3重量と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1~5重量と、
(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1~5重量と、
クエン酸トリエチル0~3重量と、
モノステアリン酸グリセリド0~0.5重量と、
タルク0~5重量と、を含む請求項に記載の腸溶性ペレット。
【請求項13】
a)前記オービットアジンフマル酸塩を含む芯材、b)前記バリア層、及び、c)前記腸溶性層の質量%が以下の通りである、請求項1に記載の腸溶性ペレット。
a)前記芯材60%~78%、
b)前記バリア層10%~20%、
c)前記腸溶性層 12%~20%。
【請求項14】
オービットアジンフマル酸塩を希釈剤、崩壊剤と混合し、プレミックスを得るステップaと、
プレミックスと、助溶剤と濃度50%~70%のエタノール水溶液とを混合して得た助溶剤溶液とを混合し、軟材を得るステップbと、
得た軟材を押し出して球状化してペレットにし、乾燥させるステップcと、
バリアコートをコーティングするステップdと、
腸溶性コートをコーティングするステップeと、を含む請求項に記載の腸溶性ペレットを調製する腸溶性ペレットの調製方法。
【請求項15】
腫瘍の予防及び/又は治療に用いられる請求項1~13のいずれか1項に記載の腸溶性ペレット
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は中国特許番号が202010789585.5、出願日が2020年8月7日である出願に基づいて、その優先権を主張しており、この特許出願の開示内容はここで全体として本願に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は医薬化学工業の分野に属し、具体的には、オービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレット、その調製方法、及び予防及び/又は治療用の抗腫瘍薬の調製における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
オービットアジンフマル酸塩は、化学名が(4-ベンジル-[1,4]ジアザシクロヘプタン-1-イル)-アセチル(3-アリル-2-ヒドロキシ-メチレンベンゼン)ヒドラジドフマル酸塩であり、化学構造式が以下のとおりである。
【化1】
【0004】
文献WO2010102513A1では、オービットアジンフマル酸塩及びその誘導体の構造、調製方法及び使用を報告しており、このような化合物は腫瘍細胞内のprocaspase-3を活性なcaspase-3として特異的に活性化し、それによって腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することができる。文献では、また、このような化合物が多種の癌細胞株の成長に対して明らかな阻害作用があり、例えばHL-60細胞、NCI-H460細胞、HepG2細胞、A549細胞などに対して明らかな阻害作用があることを報告した。Procaspase-3は正常細胞よりも腫瘍細胞で有意に発現していることから、オービットアジンフマル酸塩はアポトーシスシグナル伝達経路を調整する新規抗腫瘍薬として期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2010/102513号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の発明者らはオービットアジンフマル酸塩の製剤処方、製剤プロセスについて大量の実験研究を行った結果、オービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレット製剤を開発しており、この製剤は、使用する補助材料のオービットアジンフマル酸塩との相溶性が良く、安定性に優れ、安全性が高く、腸液中で迅速に崩壊して穏やかに放出することができ、それによって、オービットアジンフマル酸塩のバイオアベイラビリティを高める。この腸溶性ペレットは、押出球状化法を用いて薬物含有ペレットを調製したものであり、ペレットの薬物担持量の範囲を拡大するのに有利であり、臨床のニーズに応じてペレットの用量の規格を調整しやすく、工業化生産を実現し、また必要な時間が短く、効果が高い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、オービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレットを提供し、本発明の第2態様は、前記腸溶性ペレットを含有するカプセル剤又は錠剤を提供し、本発明の第3態様は、前記腸溶性ペレットの調製方法を提供し、本発明の第4態様は、前記腸溶性ペレット又は前記カプセル剤又は錠剤の、腫瘍を予防及び/又は治療する薬物の調製における使用を提供する。本発明の第5態様は、腫瘍を予防及び/又は治療するための、前記腸溶性ペレット又は前記カプセル剤又は錠剤を提供する。本発明の第6態様は、これを必要とする被検者に治療及び/又は予防有効量の前記腸溶性ペレット又は前記カプセル剤又は錠剤を投与することを含む腫瘍治療方法を提供する。
【0008】
具体的には、本発明の第1態様は、a)オービットアジンフマル酸塩を含む芯材と、b)バリア層と、c)腸溶性層と、を含む腸溶性ペレットを提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記芯材は希釈剤、崩壊剤及び助溶剤をさらに含む。
【0010】
別のいくつかの実施形態では、前記希釈剤は微結晶セルロース、ラクトース、α-澱粉から選択される1種又は複数種である。
【0011】
別のいくつかの実施形態では、前記希釈剤は微結晶セルロースである。
【0012】
別のいくつかの実施形態では、前記希釈剤はラクトースである。
【0013】
別のいくつかの実施形態では、前記希釈剤はα-澱粉である。
【0014】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤はカルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポビドンから選択される1種又は複数種である。
【0015】
別のいくつかの実施形態では、前記助溶剤はポリビニルピロリドン、トウェン-20、トウェン-60、トウェン-80、ラウリル硫酸ナトリウムなどの表面活性剤から選択される1種又は複数種である。
【0016】
別のいくつかの実施形態では、前記助溶剤はポリビニルピロリドンである。
【0017】
別のいくつかの実施形態では、前記助溶剤はトウェン-20である。
【0018】
別のいくつかの実施形態では、前記助溶剤はトウェン-60である。
【0019】
別のいくつかの実施形態では、前記助溶剤はトウェン-80である。
【0020】
別のいくつかの実施形態では、前記助溶剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0021】
別のいくつかの実施形態では、前記助溶剤はポリビニルピロリドンとトウェン-20との組み合わせである。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記芯材において、希釈剤は微結晶セルロース、ラクトース及びα-澱粉から選択される1種又は複数種であり、崩壊剤はカルボキシメチルデンプンナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポビドンから選択される1種又は複数種であり、助溶剤はポリビニルピロリドン、トウェン-20、トウェン-60、トウェン-80、ラウリル硫酸ナトリウムから選択される1種又は複数種である。
【0023】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤は、カルボキシメチルデンプンナトリウム、
架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルデンプンナトリウムとの組み合わせ、低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとの組み合わせ、又は低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋ポビドンとの組み合わせである。
【0024】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤はカルボキシメチルデンプンナトリウムである。
【0025】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0026】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤は架橋ポビドンである。
【0027】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤は低置換ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルデンプンナトリウムとの組み合わせである。
【0028】
別のいくつかの実施形態では、低置換ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルデンプンナトリウムとの組み合わせにおいて、前記低置換ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルデンプンナトリウムとの質量比が、0.1~3.5:1、例えば0.5:1、1:1、1.4:1、1.5:1、1.75:1、2:1、2.3:1、2.5:1又は3:1である。
【0029】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤は、低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとの組み合わせである。
【0030】
別のいくつかの実施形態では、低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとの組み合わせにおいて、前記低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとの質量比が、0.1~3.5:1、例えば0.5:1、1:1、1.4:1、1.5:1、1.75:1、2:1、2.3:1、2.5:1又は3:1である。
【0031】
別のいくつかの実施形態では、前記崩壊剤は、低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋ポビドンとの組み合わせである。
【0032】
別のいくつかの実施形態では、低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋ポビドンとの組み合わせにおいて、前記低置換ヒドロキシプロピルセルロースと架橋ポビドンとの質量比が、0.1~3.5:1、例えば0.5:1、1:1、1.4:1、1.5:1、1.75:1、2:1、2.3:1、2.5:1又は3:1である。
【0033】
別のいくつかの実施形態では、前記芯材は、
オービットアジンフマル酸塩10~30重量部と、
微結晶セルロース4~12重量部と、
カルボキシメチルデンプンナトリウム0~5重量部と、
低置換ヒドロキシプロピルセルロース2~8重量部と、
トウェン0~4重量部と、
ポリビニルピロリドン0~3重量部と、を含む。
【0034】
別のいくつかの実施形態では、前記芯材は、
オービットアジンフマル酸塩12~18重量部と、
微結晶セルロース6~10重量部と、
カルボキシメチルデンプンナトリウム1~4重量部と、
低置換ヒドロキシプロピルセルロース3~5重量部と、
トウェン0.5~3重量部と、
ポリビニルピロリドン0.5~2重量部と、を含む。
別のいくつかの実施形態では、前記芯材は、
オービットアジンフマル酸塩14~16重量部と、
微結晶セルロース8~9重量部と、
カルボキシメチルデンプンナトリウム2~3重量部と、
低置換ヒドロキシプロピルセルロース4~5重量部と、
トウェン1~2重量部と、
ポリビニルピロリドン0.8~1.5重量部と、を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記バリア層にはバリア材料が含まれており、
任意選択的に、前記バリア層は粘着防止剤をさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記バリア材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択される1種又は2種である。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記バリア材料はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記バリア材料はヒドロキシプロピルセルロースから選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記バリア材料はヒドロキシプロピルメチルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースとの組み合わせである。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記バリア層中の粘着防止剤はタルクである。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性層には腸溶性材料が含まれており、
任意選択的に、前記腸溶性層は可塑剤及び/又は粘着防止剤をさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性材料はアクリル樹脂、(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、セルロースアセテートフタレートから選択される1種又は複数種である。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性材料はアクリル樹脂である。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性材料は(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性材料はヒプロメロースフタル酸エステルである。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性材料はセルロースアセテートフタレートである。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記可塑剤はクエン酸トリエチルである。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性層中の粘着防止剤はタルク又はモノステアリン酸グリセリド又は両方の組み合わせである。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性層中の粘着防止剤はタルクである。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性層中の粘着防止剤はモノステアリン酸グリセリドである。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性層中の粘着防止剤はタルクとモノステアリン酸グリセリドとの組み合わせである。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、a)オービットアジンフマル酸塩を含む芯材、b)バリア層及びc)腸溶性層は、
a)芯材 60%~78%、
b)バリア層 10%~20%、及び
c)腸溶性層 12%~20%である。
【0053】
別のいくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、a)オービットアジンフマル酸塩を含む芯材、b)バリア層及びc)腸溶性層は、
a)芯材 62%~72%、
b)バリア層 14%~20%、及び
c)腸溶性層 14%~18%である。
【0054】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、バリア層の重量がオービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の10%~20%である。
【0055】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、バリア層の重量が、オービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の14%~20%である。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、バリア層の重量が、オービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の14%~18%である。
【0057】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、バリア層の重量が、オービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の14%~16%である。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、腸溶性層の重量が、オービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の16%~26%である。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、腸溶性層の重量が、オービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の16%~20%である。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、腸溶性層の重量が、オービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の17%~20%である。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、腸溶性層の重量が、オービットアジンフマル酸塩を含む芯材の重量の18%~20%である。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットは、
オービットアジンフマル酸塩10~30重量部と、
微結晶セルロース4~12重量部と、
カルボキシメチルデンプンナトリウム0~5重量部と、
低置換ヒドロキシプロピルセルロース2~8重量部と、
トウェン0~4重量部と、
ポリビニルピロリドン0~3重量部と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース1~5重量部と、
(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1~5重量部と、
クエン酸トリエチル0~3重量部と、
モノステアリン酸グリセリド0~0.5重量部と、
タルク0~5重量部と、を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットは、
オービットアジンフマル酸塩14~16重量部と、
微結晶セルロース8~9重量部と、
カルボキシメチルデンプンナトリウム2~3重量部と、
低置換ヒドロキシプロピルセルロース4~5重量部と、
トウェン1~2重量部と、
ポリビニルピロリドン0.8~1.5重量部と、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2.5~3.5重量部と、
(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2.5~3.5重量部と、
クエン酸トリエチル0.5~1.5重量部と、
モノステアリン酸グリセリド0.08~0.15重量部と、
タルク1.5~2重量部と、を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットのペレット径が0.3~1.5mmである。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレットにおいて、前記オービットアジンフマル酸塩はアモルファス、結晶形A又は結晶形Bである。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレット中のオービットアジンフマル酸塩顆粒の粒子径D90が50μm以下である。
【0067】
別のいくつかの実施形態では、前記腸溶性ペレット中のオービットアジンフマル酸塩顆粒の粒子径D90が30μm以下である。
【0068】
本発明の第2態様は、本発明の前述のいずれか1項に記載の腸溶性ペレットをカプセルに充填する又は打錠することにより得られるカプセル剤又は錠剤を提供する。
【0069】
別のいくつかの実施形態では、前記カプセル剤又は錠剤中のオービットアジンフマル酸塩の含有量が0~200mgである。
【0070】
別のいくつかの実施形態では、前記カプセル剤又は錠剤中のオービットアジンフマル酸塩の含有量が5mg、10mg、25mg、50mg、100mg又は200mgである。
【0071】
本発明の第3態様は、
オービットアジンフマル酸塩を希釈剤、崩壊剤と混合し、プレミックスを得るステップa)と、
プレミックスと、助溶剤と濃度50%~70%(好ましくは55%~65%、例えば60%)のエタノール水溶液とを混合した助溶剤溶液とを混合し、軟材を得るステップb)と、
得た軟材を押し出して球状化してペレットにし、乾燥させるステップc)と、
バリアコートをコーティングするステップd)と、
腸溶性コートをコーティングするステップe)と、を含む腸溶性ペレットの調製方法を提供する。
【0072】
本発明の第4態様は、前記腸溶性ペレット又は前記カプセル剤又は錠剤の、腫瘍を予防及び/又は治療する薬物の調製における使用を提供する。
【0073】
本発明の第5態様は、腫瘍を予防及び/又は治療するための、前記腸溶性ペレット又は前記カプセル剤又は錠剤を提供する。
【0074】
本発明の第6態様は、これを必要とする被検者に治療及び/又は予防有効量の前記腸溶性ペレット又は前記カプセル剤又は錠剤を投与することを含む腫瘍治療方法を提供する。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記腫瘍は急性前骨髄球性白血病、大細胞肺癌、肝癌又は非小細胞肺癌である。
【0076】
発明の詳細
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されないと理解されるべきであり、そのような実施形態は変更可能であるからである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけに使用され、用語は限定するために使用されないと理解されるべきである。別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で参照されているすべての出版物及び特許は、援用によって本明細書に組み込まれている。
【0077】
「質量百分率」、「重量百分率」、又は「重量での百分率」、又は「wt%」という用語は、製剤中の個々の成分の重量を製剤中の全成分の総重量で除算した後、100%を掛けたものとして定義されている。本発明における「%」とは、別段の記載がない限り、質量百分率を意味する。
【0078】
本発明の前文において、本明細書に開示されるすべての数字は、「程度」又は「約」のような用語が使用されるか否かにかかわらず、近似値である。各数字の数値は、10%以下の差、又は1%、2%、3%、4%又は5%のように当業者が合理的と考える差が生じる可能性がある。
【0079】
用語「D90」とは、サンプルの累積粒度分布数が90%に達したときの粒子径のことで、物理的には、それよりも小さい粒子径の粒子が90%を占めることを意味し、例えば「D90が50μm以下」とは、「粒子径が50μm以下の粒子が90%を占める」ことを意味する。
【0080】
用語「AUC0-∞」とは、無限大に外挿したときの濃度時間曲線下面積(AUC)、又は最終測定時点までのAUC+(最終測定濃度/除去速度定数)である。
【0081】
用語「Cmax」は測定された活性成分の最大血漿中薬物濃度と定義される。
【0082】
本発明に係る製剤は、患者に単独で投与することも、他の活性製剤と共同投与するか併用することもできる。用語「共同投与」及び「併用」は、特定の期限なしに2つ以上の治療薬を同時に又は順次投与することを含む。1つの実施形態において、試薬は、細胞内又は個体内に同時に存在するか、又は生物学的又は治療的効果を同時に発揮する。1つの実施形態において、各治療薬は同一の組成物又は単位剤形に存在する。他の実施形態において、各治療薬は異なる組成物又は単位剤形に存在する。いくつかの実施形態において、第2の治療薬を投与する前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間又は12週間前)、投与すると同時に、又は投与した後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間又は12週間後)に第1の試薬を投与する。
【0083】
用語「希釈剤」は、微結晶セルロース、ラクトース、圧縮糖、右旋性グルコース、マンニトール、デキストリン、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、カオリン、粉末セルロース、α-デンプン、デンプン、硫酸バリウム、三ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、本発明の前記希釈剤は、微結晶セルロースを少なくとも含む。別の実施例では、本発明の前記希釈剤は、微結晶セルロースと、マンニトール、ラクトース、ラクトース一水和物、α-デンプン、ソルビトール、リン酸水素カルシウム、デンプン、スクロースから選択される1種又は複数種と、を含む。
【0084】
用語「崩壊剤」は、コーンデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(架橋ポビドン、PVP)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、及びグアーガムなどを含むが、これらに限定されない。
【0085】
用語「助溶剤」は、安息香酸ナトリウム、クエン酸、乳酸カルシウム、エタノール、イソオクチルアルコール、ポリビニルピロリドン、トウェン-20、トウェン-60、トウェン-80、ラウリル硫酸ナトリウムなどを含むが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0086】
発明の有益な効果
本発明に係るオービットアジンフマル酸塩の腸溶性ペレット製剤は、使用する補助材料のオービットアジンフマル酸塩との相溶性が良く、製剤の安定性に優れ、安全性が高く、腸液中で迅速に崩壊して穏やかに放出することができ、それによって、オービットアジンフマル酸塩のバイオアベイラビリティを高める。
この腸溶性ペレットは、押出球状化法を用いて薬物含有ペレットを調製したものであり、ペレットの薬物担持量の範囲を拡大するのに有利であり、臨床のニーズに応じてペレットの用量の規格を調整しやすく、工業化生産を実現し、また必要な時間が短く、効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】ビーグル犬へのオービットアジンの単独投与の場合の濃度-時間曲線(C-T曲線)である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下では、本発明の具体的な実施例を参照しつつ本発明の本質的な内容をさらに説明するが、以下の実施例は本発明を説明するためにのみ使用されるが、本発明の特許範囲はそれに限定されるものではないと理解されるべきである。以下の実施例では、具体的な条件が記載されていない場合、通常の条件又は製造元が推奨する条件に従って行われる。使用する原料はメーカーが明記されていない場合は、いずれも市販品で入手できる通常製品である。
【0089】
以下の実施例で使用される材料及び操作方法の多くは当業者に知られているが、本発明は、本明細書で可能な限り詳細に説明する。特に断らない限り、以下の実施例で使用される材料及び操作方法が当業者に知られていることは当業者には明らかである。
以下の実施例では、rpmは回転/分、RRTは相対保持時間、minは分、NDは未検出、DCPAは無水リン酸水素カルシウム、MCC PH200は微結晶セルロースPH200、SDSはラウリル硫酸ナトリウム、HPMC-ASは(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMCPはヒプロメロースフタル酸エステル、APIはオービットアジンフマル酸塩を指し、SDは標準偏差を表す。
【0090】
本発明に使用される試薬は、市場から入手することができるか、又は本発明に記載された方法によって調製することができる。オービットアジンフマル酸塩は東莞市長安東陽光薬物研発有限公司から購入し、微結晶セルロースは日本旭化成社から購入し、カルボキシメチルデンプンナトリウムは安徽山河補料股▲分▼有限公司から購入し、低置換ヒドロキシプロピルセルロースは安徽山河補料股▲分▼有限公司から購入し、トウェン20/トウェン80は南京威爾化工から購入し、ポリビニルピロリドン(k30)はアシュランド社から購入し、α-デンプンは羅蓋特社から購入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E3)は安徽山河補料股▲分▼有限公司から購入し、タルクは広西龍勝華美滑石開発有限公司から購入し、(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(LG)はアシュランド社/日本信越社から購入し、クエン酸トリエチルは蚌埠豊源塗山製薬有限公司から購入し、モノステアリン酸グリセリドは湖南爾康製薬社から購入した。
【0091】
実施例1:腸溶性ペレット製剤の調製及び安定性試験
【表1】
【0092】
1.腸溶性ペレット製剤の調製
ステップ1、前処理:オービットアジンフマル酸塩原薬をYK-60設備である揺動式造粒機(長沙益制薬機械有限公司)で24メッシュにかけて前処理しておく。
【0093】
ステップ2、混合して軟材を製造し、すなわち、前処理した原薬1125.10g、微結晶セルロース625.12g、カルボキシメチルデンプンナトリウム200.20g、低置換ヒドロキシプロピルセルロース350.32gを秤量して、湿式造粒機(シンセン信宜特科技有限公司)に入れて、撹拌パドル回転数1~3rps、カッター回転数10~40rpsの条件で、5分混合した。ポリビニルピロリドン(k30)75.12g、トウェン20 125.37gのエタノール(60%、900ml)溶液を加え、撹拌パドル回転数を1~3rps、カッター回転数を20~60rpsに設定し、添加終了後、撹拌と切断を停止した。
【0094】
ステップ3、押出球状化:ステップ2で調製した軟材を押出球状化機(シンセン信宜特科技有限公司)で0.3~1.5mmの孔付き板により押し出し、その後、高速(600~1600rpm)、次に低速(100~500rpm)の方式で球状化した。高速球状化時間と低速球状化時間は特定の状况によって調整された。ペレットの成形を促進するために、球状化過程においては60%~95%エタノールを適量で吹き付けてもよい。
【0095】
ステップ4、乾燥:球状化したペレット(湿潤材料)を流動層(シンセン信宜特科技有限公司)で乾燥させ、吸気温度45℃、材料温度35~45℃、乾燥時間約30minとした。
【0096】
ステップ5、バリアコートをコーティングした。
コート液の調製:処方量の約1/2の純水を約60℃に加熱し、渦状に撹拌してヒドロキシプロピルメチルセルロース241.12gをゆっくりと加えて分散させた後、残りの純水(室温)を加えて、溶液が清澄になるまで撹拌し、タルクを加えて30min撹拌しておく。
コーティング:ペレット生地を流動層に投入し、ファン回転数を1750~2000rpm、吸気温度を40~50℃に設定して(実際の状况に応じて調整可能)、ペレットを予熱し、材料の温度を37~39℃に制御した後に霧化圧力を0.13~0.18Mpaにして、蠕動ポンプを起動させて液体を噴射し、液体の噴射速度を徐々に速め、蠕動ポンプの回転数を8~12rpm(管内径5mm)に制御し、コーティング中の材料の温度及び流動状態を監視し、実際の状况に応じてパラメータを調整して、ペレット粘着を防止することができる。
【0097】
ステップ6、腸溶性コートをコーティングした。
コート液の調製:秤量した無水エタノールを渦状に撹拌して(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース227.02gをゆっくりと加えて膨潤させた後、純水(冷水)をゆっくりと加えて、溶液が清澄になるまで撹拌し、タルク、クエン酸トリエチル及びモノステアリン酸グリセリドを順次加え、30min撹拌しておく。
コーティング:バリアコート付きペレットを流動層に投入し(シンセン信宜特科技有限公司)、ファン回転数を1850~2200rpm、吸気温度を42~49℃に設定し、ペレットを予熱し、材料の温度を36~41℃に制御した後に霧化圧力を0.11~0.18Mpaにして、蠕動ポンプを起動させて液体を噴射し、液体の噴射速度を徐々に速め、蠕動ポンプの回転数を8~12rpm(管内径5mm)に制御し、コーティング中の材料の温度及び流動化の状況を監視し、実際の状况に応じてパラメータを調整して、ペレット粘着を防止することができる。
【0098】
ステップ7、カプセルに充填した。
カプセル充填は、腸溶性ペレットの含有量に基づいてカプセルへの充填量を決定した後に行われた。充填量:理論値±5%、充填量の差:±7.5%。
【0099】
2.安定性の検討
安定性の検討方法:40±2℃、75±5%RHの条件で、0、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月目にサンプリングして関連物質、耐酸性及び放出度を検出した。具体的な検出方法は以下のとおりである。
【0100】
2.1 関連物質
本実施例で調製した腸溶性ペレット製剤を適量(オービットアジンフマル酸塩65mgに相当)採取し、精密に計量し、25mlのメスフラスコに入れ、適量の希釈液(DMSO-メタノール(1:4v/v))を加えて15min超音波処理してオービットアジンフマル酸塩を溶解し、放冷し、希釈液を所定の目盛りまで定容し、均一に振とうさせ、12000rpmで10min遠心分離し、上清を試料溶液とした。試料溶液1mlを精密に計量して100mlのメスフラスコに入れ、希釈液で所定の目盛りまで希釈し、均一に振とうさせて対照溶液とした。また、それぞれオービットアジンフマル酸塩コントロール、不純物Aコントロール、不純物Cコントロール及びクエン酸トリエチル(TEC)を適量取って、希釈液で希釈して1mlあたりそれぞれ約オービットアジンフマル酸塩、不純物A、不純物C及びクエン酸トリエチル25μgを含む混合溶液を調製した。
【0101】
高速液体クロマトグラフィー(中国薬局方2015年版四部通則0512)により測定し、オクタデシルシラン結合シリカゲルを充填剤(推奨カラム:YMC-PACK Pro C18、4.6mm×100mm、3μm)、メタノール-アセトニトリル(1:3)を移動相Bとし、pH2.2の過塩素酸塩緩衝液(過塩素酸ナトリウム7.0gを秤量し、水1000mlを加えて溶解し、過塩素酸でpHを2.2に調整し、濾過する)-移動相B(82:18)を移動相Aとし、次の表2に従って勾配溶出を行った。カラム温度は下記の表3に従って勾配制御を行った。検出波長は210nm、流速は毎分1.0mlとした。
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
混合溶液3μlを液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、ピークはフマル酸、不純物A、クエン酸トリエチル、オービットアジン、及び不純物Cの順で出現した。対照溶液3μlを別に取り、液体クロマトグラフに注入し、オービットアジンのピーク高さがフルスケールの約20~30%になるように検出感度を調整した。ブランク溶液と試料溶液をそれぞれ3μl精密に秤量し、液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録した。試料溶液のクロマトグラムに不純物ピークがあれば、ブランク溶液のクロマトグラフィーピーク及び混合溶液中のフマル酸ピーク、クエン酸トリエチルのクロマトグラフィーピーク及び不純物Cのクロマトグラフィーピークを差し引いて補正係数を掛けたところ、不純物A(RRTは約0.22、補正係数(1.88)法で計算)のピーク面積は対照溶液の主ピーク面積の0.5倍(0.5%)、その他の個々の不純物のピーク面積は対照溶液の主ピーク面積の0.2倍(0.20%)を超えてはならない。試料溶液のクロマトグラムにおいて、対照溶液の主ピーク面積の0.05倍(0.05%)未満のピークは全て無視されてもよい。
【0105】
2.2 放出度
本実施例で調製した腸溶性ペレット製剤について、溶出度及び放出度測定法(中国薬局方2015年版四部通則0931第1法 方法2)により測定し、塩酸溶液(9→1000)900mlを溶出媒体として、回転数を毎分100回転とし、所定の方法に従って操作し、120分後、直ちにバスケットを液面の上に上昇させ、塩酸溶液を捨て、37℃に予熱したリン酸塩緩衝液(リン酸二水素カリウム68.05gを取り、1mol/L水酸化ナトリウム152mlを加え、水で10000mlに希釈し、均一に振とうさせ、pH値を6.0にする)900mlを直ちに加え、所定の方法に従って操作を続け、45分を経ると、溶液を濾過して、試料溶液とした。また、オービットアジンフマル酸塩コントロール10mgを精密に計量し、100mlメスフラスコに入れ、エタノールを加えて溶解し、所定の目盛りまで希釈し、均一に振とうさせ、対照溶液とした。試料溶液と対照溶液を取り、含有量測定項の方法で測定し、一粒あたりの溶出量を計算した。
【0106】
2.3 耐酸性
本実施例で調製した腸溶性ペレット製剤を試料とし、溶出度及び放出度測定法(通則0931第1法)により、塩酸溶液(9→1000)900mlを溶出媒体とし、回転数を毎分100回転とし、所定の方法に従って操作し、120分後、試料を取り出し、表面の塩酸溶液を水で洗い、適量の無水エタノールを用いて100mlのメスフラスコに移して、15分超音波処理してオービットアジンフマル酸塩を溶解し、放冷し、無水エタノールで所定の目盛りまで希釈し、均一に振とうさせ、濾過(又は遠心)して、濾液(又は上清)1mlを10mlのメスフラスコに取り、無水エタノールで所定の目盛りまで定容し、均一に振とうさせ、試料溶液として、含有量測定項の方法で測定し、一粒あたりの含有量を計算した。1粒当たりの溶出量が全て標示量の10%以下である。
安定性試験結果を表4に示す。
【0107】
【表4】
【0108】
結論:以上の表のデータから、3ヶ月の加速実験を経たところ、1)測定した不純物はオービットアジン分解不純物1のみであり、しかも含有量は非常に低く、この腸溶性ペレット製剤が非常に良い安定性と薬物安全性を持っていることを示した。2)腸溶性ペレットカプセルの耐酸性と放出度は3ヶ月加速に有意な変化がなく、さらにこの製剤の安定性を示した。
【0109】
実施例2:薬物動態実験
2周期を交互にし、自身対照実験設計を採用し、ビーグル犬8匹を4匹ずつ2群に分けた。カプセルT(内容物は実施例1で調製されたオービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレット製剤、100mg)又はR(オービットアジンヒドロキシプロピル-βシクロデキストリン包接化合物溶液)を1周期当たり10mL(100mg)ずつ投与した。投与前に12h断食させ、投与前及び投与後4h以内に飲水を制御した。投与後5hに統一して摂食させ、溶出期は7日であった(注:R薬の調製方法:純水100mLにヒドロキシプロピル-βシクロデキストリンを適量加えて溶解し、オービットアジンフマル酸塩原薬1gを水に加えて撹拌して溶解し、包接化合物10mg/mLを得て、10mLずつ10つに個包装する)。
【0110】
血液サンプル採取:投与前(0h)及び投与後0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、2、3、4、6、8、10、12、24hに前肢静脈から3mLから5mLヘパリン化採血管に採血した。採血後15min以内に3000r/minの条件下で10min遠心分離し、血漿を分離し、血漿をクリーンな2mL EP管に移し、血漿中のオービットアジン含有量を検出した。
【0111】
血漿中のオービットアジンの検出方法は以下の通りである。
【0112】
【表4-2】
【0113】
ビーグル犬の単回投与後の各時点における血漿中のオービットアジン濃度測定データ、各時点の平均濃度(Mean)を算出し、各ビーグル犬へのオービットアジンの単回投与における濃度-時間曲線(C-T曲線)、平均C-T曲線、及びC-T曲線の各時点における標準偏差を提供した。結果を表5と図1に示す。
【0114】
【表5】
【0115】
結果の分析:
(1)T薬は、ビーグル犬の体内でその血中濃度がピークに達するまでの時点Tmax=1.563hがR薬のピーク時点(Tmax=0.906)よりも遅かった。T薬のAUC0-∞(7977.234ug/L*h)はR薬(4182.582μg/L*h)よりも明らかに高く、本発明の実施例1で調製された腸溶性ペレットカプセルは体内放出が穏やかであり、かつバイオアベイラビリティが高いことを示している。
(2)ビーグル犬におけるT薬の血中濃度ピークCmax(1288.408μg/L)はR薬と有意差がなかった。このデータは、オービットアジン腸溶性ペレット製剤がバイオアベイラビリティ(有効性)を高めながらも、主薬の毒性は増加せず、投薬の安全性を確保していることを示した。
【0116】
実施例3:腸溶性材料の相溶性実験
本実施例では、腸溶性材料のオービットアジンフマル酸塩との相溶性を検討した。本発明に係る製剤は腸溶性ペレットカプセルであり、十二指腸で良好に吸収され、製剤は腸管に入った後に速やかに放出される必要がある。腸溶性材料は、酸性が強く、溶解pHが低いほど、アルカリ性条件での溶解性が良く、放出に有利である。しかし、腸溶性材料は、酸性が強いほど、本発明の腸溶性ペレット製剤の安定性に不利であり、バリアコートの厚さを大きくする必要がある。そのため、腸溶性材料が比較的に低いpH条件で溶解できることを確保すると同時に、製剤の安定性に対する影響のリスクを可能な限り下げるべきである。
【0117】
本実施例では、十二指腸のpH範囲に可能な限り近い溶解pHを有する腸溶性材料を候補材料とした。アクリル樹脂(EUDRAGIT L100-55)、HPMC-AS(LG)、OPADRY(腸溶性91シリーズPVAP)、及びヒプロメロースフタル酸エステルHPMCP(HP-55)は、いずれもpH5.5以上で溶解可能であり、上記要件を満たしている。
【0118】
実験方法:約5mgの腸溶性材料2部、APIオービットアジンフマル酸塩1部を秤量し、1部腸溶性材料をビーカー(1)に入れ、もう1部をビーカー(2)に入れ、調製したpH=6.0のリン酸緩衝塩媒体100mlずつを2つのビーカーに同時に加え、2つのビーカーを37℃のウォーターバスに同時に入れて撹拌し、腸溶性材料を溶解した後、ビーカー(2)に原薬APIを加えて現象を観察し、ビーカー(2)サンプルをとってAPI濃度を検出し、その溶解量及び相互作用量の総量に対する割合を計算した。結果を表6に示す。
【0119】
【表6】
【0120】
結果の分析:
群1のビーカー(1)では完全に溶解できることから、EUDRAGIT L100-55 5mgが放出媒体100mlに完全に溶解できることを示したが、ビーカー(2)には沈殿が発生し、しかも溶液中で測定したオービットアジンフマル酸塩の量は極めて少なく、それが相互作用を発生したと合理的に推定でき、しかも作用が強い。同様に、群2、3、4でも、程度の異なる相互作用が見られ、その強さは、OPADRY(PVAP)>アクリル樹脂(EUDRAGIT L100-55)>HPMCP(HP-55)>HPMC-AS(LG)の順であった。安定性及び製剤放出リスクの観点から評価すると、HPMC-ASは本発明の腸溶性ペレット製剤に適しており、HPMCPはそれに次ぐものである。
【0121】
実施例4:湿潤剤エタノール濃度のスクリーニング
湿潤剤エタノール濃度を50%~95%の間で変化させるように設計し、ペレットを調製した。真円度、崩壊時間を検討対象として、より優れたエタノール濃度をスクリーニングした。表7に従って処方中の材料を投入して、それぞれ濃度75%、60%及び50%エタノールを使用して軟材を手動で調製して、孔径0.9mmの押出板を使用して、押出速度を30rpmとし、押出材料を球状化ディスクで球状化して、材料の状况に応じて球状化パラメータを調整してペレットを調製し、調製したペレットを流動層で乾燥させ(吸気温度と材料温度は35℃~45℃)、ペレット生地を調製した。ペレット生地の真円度を観察し、崩壊時間を測定し、結果を表7に示す。
【0122】
【表7】
【0123】
その結果、エタノール濃度が60%の場合、ペレットの真円度は比較的に良く、ペレットの崩壊速度は速い(30s)。真円度を確保しつつ、ペレット生地を迅速に崩壊させ、迅速に放出するために、湿潤剤として濃度60%のエタノールを選択した。
【0124】
実施例5:崩壊剤のスクリーニング
検討の対象として、架橋ポビドン(XL-10)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウムを選択し、いずれも通常の最大使用量を使用し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと併用し、処方に含まれる他の補助材料の使用量を一定に保ち、希釈剤の使用量を微調整して、ペレットの薬物担持量が一致するようにした。湿潤剤として60%エタノールを使用し、手動で軟材を製造し、押出板の孔径0.9mm、押出速度30rpmで、押出材料を球状化ディスクで球状化し、材料の形状に応じて球状化パラメータを調整してペレットを調製し、調製したペレットを流動層で乾燥させ(吸気温度は45℃、材料温度は35℃~45℃)、ペレット生地を調製した。その後、HPMCを使用してバリアコートをコーティングし、流動層の吸気ファンの回転数1200rpm、蠕動ポンプの回転数6~12rpmで計算したところ、液体の噴射速度を約0.5~1.4g/minとし、噴霧圧約0.04Mpaに制御してコート液を十分に噴霧し、材料の温度を35~45℃に制御して3%増量した。さらにHPMC-ASを使用して腸溶性コートをコーティングし、流動層の吸気ファンの回転数1200rpm、蠕動ポンプの回転数6~12rpmで計算したところ、液体の噴射速度を約1.1g~1.7g/minとし、噴霧圧約0.04Mpaに制御してコート液を十分に噴霧し、材料の温度を35℃~45℃に制御して18%(理論投入)増量し、コーティング処方とプロセスは同じであった。カプセルにペレットを充填した後、放出度と耐酸性をテストし、結果を表8に示す。
【0125】
【表8】
【0126】
その結果、処方割合はいずれも従来の最大用量(架橋ポビドン10%(単位処方量22.22mg)、カルボキシメチルデンプンナトリウム8%(単位処方量17.78mg)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム6%(単位処方量13.33mg)であり、ペレットの放出効果は降順でカルボキシメチルデンプンナトリウム(急速崩壊)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム及び架橋ポビドン(XL-10)であり、カルボキシメチルデンプンナトリウム(急速崩壊)を崩壊剤として使用した場合、カルボキシメチルデンプンナトリウムの膨張力が最大であるので、腸溶性ペレットは崩壊が最も良く、放出が最も速かった。従って、カルボキシメチルデンプンナトリウム(急速崩壊)を本品の崩壊剤とした。このため、C20161108ロッドの処方をペレット生地の目的の処方として判定した。
【0127】
実施例9:腸溶性ペレットの放出と安定性に対するバリアコートの増量の影響
バリアコートは、APIと腸溶性コート材の(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-AS)との直接的な接触により相互作用が生じて、製剤の放出と安定性に影響を与えることを防止するものである。バリアコートが完全にペレット生地を被覆して、一定の厚さを有するしか、APIとHPMC-ASの直接接触又は浸透後の接触を防止することができなかった。バリアコートの被覆が不完全であったり薄すぎたりすると、APIとHPMC-ASが媒体中で局所的に高濃度の状態で接触して、相互作用し、放出を遅らせることになる。この相互作用は、バリアコートが厚いほど(増量が大きいほど)弱くなり、HPMC自体は、製剤の放出に有利な非イオン性の表面活性化特性も有する。また、腸溶性コート材の酸性の特徴は、APIの不安定要素(分解)であるため、バリアコートの増量は製剤関連物質の安定性に有利である。
【0128】
ペレット生地はペレット径が約0.6~1.2mmであり、表面積が大きく、ペレット生地の表面を完全に被覆するにはコートの所定の増量が必要とされる。ペレット生地の直径から計算した結果、コートの増量が6.8%になった場合にのみ、ペレットの表面が完全にバリアコートで覆われることが確保された。本実施例では、増量を7%、15%、及び19%に設計し、コートの効果について検討した。バリアコートの材料としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用し、タルクを粘着防止剤(使用量比は4:1)とし、流動層の吸気ファンの回転数をロットによって1200~1800rpmに調整し、蠕動ポンプの回転数を6~8として計算した結果、液体の噴射速度を約0.7~1.5g/minとし、噴霧圧を約0.04~0.12Mpaに制御してコート液を十分に噴霧し、材料の温度を35~45℃に制御した。腸溶性材料として(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC-AS)を使用し、タルクを粘着防止剤、クエン酸トリエチルを可塑剤、モノステアリン酸グリセリドを帯電防止材料として、使用量比(11.4:3.8:2.8:0.4)とし、流動層の吸気ファンの回転数を1200~1400rpm、蠕動ポンプの回転数を6~12、液体の噴射速度を約0.8~1.3g/min、霧化圧力を約0.04~0.06MPaに制御してコート液を十分に噴霧し、実際の材料の温度を35℃~42℃に制御し、18%増量させた。腸溶性ペレットをカプセルに充填した後、放出と耐酸性をテストし、結果を表9に示す。
【0129】
【表9】
【0130】
オービットアジンフマル酸塩は酸性条件では不安定で、腸溶性材料は酸性が強く、バリアコートの増量はバリアコートの完全性と厚さに影響する。本実施例では、バリアコートの増量について検討し、オービットアジンフマル酸塩と腸溶性材料を効果的に遮断することができるバリアコートの増量をスクリーニングし、主な検討項目は含有量、関連物質、耐酸性及び放出である。結果の詳細は表10に示す。
【0131】
【表10】
【0132】
その結果、次のことが明らかとなっている。
(1)バリアコートの増量が6.5%の場合、加速実験では、腸溶性ペレットカプセルの放出低下が深刻になった。主な原因としては、増量が6.5%の場合、バリアコートは完全にペレット生地を被覆することができるためであり、よって、0日の品質は合格であるが、次の増量でバリアコートの厚さが足りず、放置過程において分子運動によりAPIや腸溶性材料がバリアコートを浸透して互いに接触し、相互作用により放出の低下を招く。バリアコートの増量が14.1%と19.5%に増加した場合、腸溶性ペレットカプセルの耐酸性と放出度は3ヶ月加速では有意な変化がなく、比較的に安定していた。前段階の実験により、コートの増量が6.5%の場合、製剤の0日の放出度は開発の目的を達成させたが、安定性から考えると、バリアコートの増量は14.1%以上で無ければならない。
【0133】
(2)バリアコートの増量が14.1%と19.5%の腸溶性ペレットカプセルでは、関連物質のうち不純物Cはいずれも増加し、0日で検出されておらず、3ヶ月加速では、不純物Cは0.19%増加し、増加幅は同じで、安定性の要件を満たしている。したがって、関連物質から考えると、バリアコート14.1%(投入量は15%)以上では、腸溶性コートを効果的に遮断し、オービットアジンフマル酸塩を保護することができる。
【0134】
実施例10:腸溶性コートの増量の検討
ペレット生地の真円度、ペレット径の分布が同じ場合、コートの増量が大きいほど、コート層が厚く、耐酸性が強く、腸溶性膜が厚いほど、溶解が遅くなり、腸溶性ペレットカプセルの放出が遅くなった。耐酸性に合格することを確保するために、コート増量を可能な限り低くし、これによって、放出と製剤の安定性の両方を確保することができる。本実施例では、腸溶性コートの増量をそれぞれ18%、22%、26%とするという3つの実験を設計し、同じ処方及びプロセスで調製されたバリアコートのペレットを被覆した。流動層の吸気ファンの回転数1200~1400rpm、蠕動ポンプの回転数6~12rpm、液体の噴射速度約0.8~1.2g/min、噴霧圧約0.03~0.04MPaに制御してコート液を十分に噴霧し、実際の材料温度を35~40℃に制御した。腸溶性ペレットカプセルの耐酸性と放出を検出し、結果の詳細を表11に示す。
【0135】
【表11】
注:腸溶性コートの増量が18%の場合、耐酸性を確保できたため、22%、26%の場合の耐酸性は検出されなかった。
【0136】
その結果、次のことが明らかとなっている。
(1)腸溶性コートの増量が18%の場合、オービットアジンフマル酸塩腸溶性ペレットカプセルの放出は開発の目的を達成させる。
(2)腸溶性コートの増量が18%から26%に増加する場合、腸溶性ペレットカプセルの放出速度が遅くなり、腸溶性コートの増量が過度に高いものであってはならず、そうすると、製剤の放出に不利であることを示している。耐酸性と組み合わせると、腸溶性コートが18%である場合は最適であった。
【0137】
本発明の方法は好適な実施例によって説明されたが、当業者であれば、本発明の技術を実施して適用するために、本発明の内容、趣旨及び範囲内で本明細書に記載された方法及び使用を変更したり、適切に変化したり、組み合わせたりすることができる。当業者は本明細書の内容に基づいてプロセスパラメータを適切に改良することができる。なお、類似した置換や変更はすべて当業者にとって自明であり、それらはすべて本発明に含まれるものとみなされる。
図1