(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20240305BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20240305BHJP
G05G 1/10 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60K20/02 A
B60K20/02 D
G05G25/00 C
G05G1/10 B
(21)【出願番号】P 2019135642
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】伏屋 陽介
(72)【発明者】
【氏名】清水 正継
(72)【発明者】
【氏名】小野 宙樹
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136961(JP,A)
【文献】特開2019-006139(JP,A)
【文献】特表2008-526605(JP,A)
【文献】特開2016-136389(JP,A)
【文献】特開2017-190051(JP,A)
【文献】特開2012-136132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
G05G 25/00
G05G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体の回転を案内する案内機構と、
前記シフト体をシフト位置側に付勢する付勢機構と、
前記シフト体のシフト位置を検出する検出機構と、
前記シフト体の回転方向半周未満において前記シフト体から前記シフト体の回転軸方向側に延出されると共に、前記シフト体の回転軸から前記シフト体の回転径方向側にずれて配置され、前記案内機構、前記付勢機構及び前記検出機構の少なくとも2つを構成する延出部と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
回転されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体の回転を案内する案内機構と、
前記シフト体をシフト位置側に付勢する付勢機構と、
前記シフト体のシフト位置を検出する検出機構と、
前記シフト体から前記シフト体の回転軸方向側に延出されると共に、前記シフト体の回転軸から前記シフト体の回転径方向側にずれて配置され、前記案内機構、前記付勢機構及び前記検出機構の少なくとも2つを構成する延出部と、
を備え、前記付勢機構が1つ設けられると共に、前記付勢機構の外周内側に前記シフト体の回転中心軸線が配置される
シフト装置。
【請求項3】
前記シフト体の回転軸方向における範囲に前記案内機構が配置される請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記付勢機構と前記検出機構とが隣設される請求項1~請求項3の何れか1項記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が回転されてシフト体のシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフト装置では、ノブからリンク操作部がノブの回転軸方向に延出されている。
【0003】
ここで、このシフト装置では、リンク操作部が検出機構を構成しており、検出機構がノブのシフト位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト体の回転周方向において機構を集約できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、回転されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記シフト体の回転を案内する案内機構と、前記シフト体をシフト位置側に付勢する付勢機構と、前記シフト体のシフト位置を検出する検出機構と、前記シフト体から前記シフト体の回転軸方向側に延出され、前記案内機構、前記付勢機構及び前記検出機構の少なくとも2つを構成する延出部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記付勢機構が1つ設けられると共に、前記付勢機構の外周内側に前記シフト体の回転中心軸線が配置される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記シフト体の回転軸方向における範囲に前記案内機構が配置される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記付勢機構と前記検出機構とが隣設される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が回転されて、シフト体のシフト位置が変更される。また、案内機構がシフト体の回転を案内し、付勢機構がシフト体をシフト位置側に付勢し、検出機構がシフト体のシフト位置を検出する。さらに、延出部がシフト体からシフト体の回転軸方向側に延出される。
【0011】
ここで、延出部が案内機構、付勢機構及び検出機構の少なくとも2つを構成する。このため、シフト体の回転周方向における延出部の位置に案内機構、付勢機構及び検出機構の少なくとも2つを集約できる。
【0012】
本発明の第2態様のシフト装置では、付勢機構が1つ設けられると共に、付勢機構の外周内側にシフト体の回転中心軸線が配置される。このため、シフト装置をシフト体回転径方向において小型化できる。
【0013】
本発明の第3態様のシフト装置では、シフト体の回転軸方向における範囲に案内機構が配置される。このため、シフト体に案内機構を接近させることができ、案内機構がシフト体の回転を適切に案内できる。
【0014】
本発明の第4態様のシフト装置では、付勢機構と検出機構とが隣設される。このため、付勢機構によりシフト体のシフト位置への配置精度が高くされる部分の位置を検出機構が検出することで、検出機構の検出精度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置を示す図であり、(A)は、左斜め後方から見た斜視図であり、(B)は、上方から見た上面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す左斜め後方から見た分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るシフト装置の下側部分を示す左斜め前方から見た分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す後方から見た断面図(
図1(B)の4-4線断面図)である。
【
図5】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるプレートロアを示す右斜め後方から見た斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるノブベースを示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図6】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるノブベースを示す右斜め前方から見た斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるプレートアッパを示す左斜め前方から見た斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るシフト装置の下側部分を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(A)には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が左斜め後方から見た斜視図にて示されており、
図1(B)には、シフト装置10が上方から見た上面図にて示されている。さらに、
図4には、シフト装置10が後方から見た断面図(
図1(B)の4-4線断面図)にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0017】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のコンソール(図示省略)に設置されて、車両の運転席(図示省略)の車両前側かつ車幅方向内側に配置されており、シフト装置10の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の前方、左方及び上方に向けられている。
【0018】
図1の(A)及び(B)、
図4に示す如く、シフト装置10には、支持体としての樹脂製のプレート12が設けられている。プレート12の下側には、第1部材としてのプレートロア14(
図5(A)参照)が設けられると共に、プレート12の上側には、第2部材としてのプレートアッパ16(
図6(B)参照)が設けられており、プレート12は、プレートロア14にプレートアッパ16が組付けられて構成されている。また、プレート12は、プレートロア14において、コンソール内に固定されている。
【0019】
プレートロア14の下側部分には、略直方体形箱状の下ベース14Aが設けられており、下ベース14A内は、下側に開放されている。下ベース14Aには、左右方向中間部において、略直方体状の収容室18が形成されており、収容室18は、上方及び左方に開放されると共に、前後方向寸法が左端部において前側及び後側から縮小されている。収容室18の右壁には、直方体状の係止孔18Aが形成されており、係止孔18Aは、左方に開放されている。収容室18の前面及び後面には、左端部及び右部において、矩形板状の押圧板18B(
図7参照)が一体形成されており、押圧板18Bは、収容室18内に突出されると共に、前後方向に垂直に配置された状態で上下方向に延伸されている。
【0020】
収容室18の下壁下面には、円状の支持室20(
図3参照)が形成されており、支持室20は、下方に開放されている。
【0021】
プレートロア14の左部には、外支持部としての略直方体状の支持ブロック14Bが設けられており、支持ブロック14Bは、下ベース14Aから上方に突出されると共に、前後方向に延伸されている。支持ブロック14Bの右面には、外支持面22が形成されており、外支持面22は、上面視略半円弧状に湾曲されると共に、内部が右方に開放されている。
【0022】
支持ブロック14Bの前後方向中央部には、移動部としての略矩形板状の案内爪24が形成されており、案内爪24の右面は、外支持面22の僅かに左方に配置されている。案内爪24は、支持ブロック14Bの下部から上方に延出されており、案内爪24は、下端を中心として、左右方向に弾性傾動可能にされている。案内爪24の上端部には、案内機構26を構成する第1案内部としての台形柱状の上突起24Aが一体形成されており、上突起24Aは、右方に突出されると共に、下面が上下方向に垂直に配置されている。
【0023】
支持ブロック14Bには、外支持面22の前端及び後端において、それぞれ規制部としての矩形板状の前規制板22A及び後規制板22Bが一体形成されており、前規制板22A及び後規制板22Bは、上下方向に延伸されると共に、外支持面22の湾曲径方向内方に突出されている。下ベース14Aの上壁には、前規制板22Aと後規制板22Bとの間において、挿通孔28が貫通形成されており、挿通孔28は、外支持面22に沿って湾曲されると共に、外支持面22内及び収容室18に連通されている。
【0024】
プレートアッパ16の下側部分には、略直方体形箱状の上ベース16Aが設けられており、上ベース16Aは、内部が下側に開放されると共に、プレートロア14の下ベース14Aの上側に固定されている。上ベース16Aの左壁は、プレートロア14の挿通孔28の右側において、挿通孔28に沿って配置されており、上ベース16Aの左側は、挿通孔28を上方に開放させている。
【0025】
プレートアッパ16の左側部分には、内支持部としての略円筒状の支持筒16Bが設けられており、支持筒16Bは、軸方向が上下方向に平行にされて、内部が上方及び下方に開放されている。また、支持筒16Bの中心軸線は、プレートロア14(支持ブロック14B)の外支持面22の曲率中心軸線と一致されている。
【0026】
上ベース16Aの上壁の左端部には、案内機構26を構成する第2案内部としての矩形柱状の下突起30が一体形成されており、下突起30は、上方に突出されると共に、支持筒16Bの外周と一体にされている。また、下突起30は、プレートロア14(案内爪24)の上突起24Aの支持筒16B径方向内側(右側)かつ下側に配置されている。
【0027】
プレート12(プレートロア14及びプレートアッパ16)の上側には、矩形箱状のハウジング32(
図2参照)が設けられており、ハウジング32内は、下側に開放されている。ハウジング32は、プレート12の上側を被覆しており、ハウジング32の上壁は、プレートアッパ16の支持筒16Bが貫通されると共に、上面がコンソールから車室内に露出されている。
【0028】
ハウジング32の上壁には、支持筒16Bの右側において、表示部としての板状のインジケータ80が設けられており、インジケータ80には、「N」表示80A、「D」表示80B及び「R」表示80Cが設けられている。インジケータ80には、円状の「N」配置表示80D、「D」配置表示80E及び「R」配置表示80Fが設けられており、「N」配置表示80D、「D」配置表示80E及び「R」配置表示80Fは、それぞれ「N」表示80A、「D」表示80B及び「R」表示80Cの右側に配置されている。
【0029】
プレート12(プレートロア14)の下側には、矩形箱状のケース34(
図3参照)が固定されており、ケース34内は、下側に開放されている。ケース34内には、矩形箱状のカバー36(
図3参照)が固定されており、カバー36は、内部が上側に開放されると共に、ケース34内に嵌合されている。
【0030】
プレートロア14の下ベース14Aの上側には、略矩形板状の機構基板38が固定されており、機構基板38は、プレートアッパ16の上ベース16A内に収容されている。機構基板38の上面の右部には、表示照明部としての表示LED38Aが複数(本実施形態では6個)設けられており、複数の表示LED38Aは、それぞれ、ハウジング32内を介して、「N」表示80A、「D」表示80B及び「R」表示80Cを照明表示すると共に、「N」配置表示80D、「D」配置表示80E及び「R」配置表示80Fを照明表示可能にされている。また、機構基板38の上面の左側部分には、操作照明部としての操作LED38Bが複数(本実施形態では2個)設けられている。
【0031】
機構基板38の左側部分の上側は、略板状のコンタクトラバー40によって被覆されており、コンタクトラバー40は、略ゴム製にされて弾性を有すると共に、プレートアッパ16の支持筒16B内に対向されている。コンタクトラバー40は、機構基板38の複数の操作LED38Bの上側を被覆しており、コンタクトラバー40は、操作LED38Bからの光を上側に透過可能されている。
【0032】
プレートアッパ16の支持筒16B内には、操作部としての略円柱状の「P」スイッチ42が同軸上に嵌合されており、「P」スイッチ42は、車室内に露出されている。「P」スイッチ42は、車両の乗員(特に運転手)により上側から押圧操作可能にされており、「P」スイッチ42は、上側から押圧操作されて、下方に移動される。「P」スイッチ42は、コンタクトラバー40の上側に配置されており、「P」スイッチ42が下方に移動されることで、コンタクトラバー40が弾性変形されて、機構基板38が「P」スイッチ42の下方への移動(「P」スイッチ42の押圧操作)を検出する。
【0033】
「P」スイッチ42の上面には、「P」表示42A及び円状の「P」配置表示42Bが設けられており、「P」配置表示42Bは、「P」表示42Aの右側に配置されている。機構基板38の複数の操作LED38Bは、それぞれ、コンタクトラバー40及び「P」スイッチ42内を介して、「P」表示42Aを照明表示すると共に、「P」配置表示42Bを照明表示可能にされている。
【0034】
プレートアッパ16の支持筒16Bの外周には、シフト体としての樹脂製のノブ44が支持されている。
【0035】
ノブ44には、シフト部材としてのノブベース46(
図5(B)参照)が設けられており、ノブベース46には、回転部としての円筒状の回転筒46Aが設けられている。回転筒46Aは、内部に支持筒16Bが同軸上に嵌合されると共に、ハウジング32の上壁に回転可能かつ上下方向に変位可能に貫通されており、ノブ44は、回転筒46Aの中心軸線周りに一方向(
図1(A)等の矢印Aの方向)及び他方向(
図1(A)等の矢印Bの方向)に回転可能にされると共に、上下方向(回転筒46Aの軸方向)に変位可能にされている。
【0036】
回転筒46Aの上部の外周には、操作部材としての略円筒状のノブアッパ48が同軸上に固定されており、ノブアッパ48は、ノブベース46と一体回転可能にされている。ノブアッパ48は、車室内に露出されており、ノブ44は、ノブアッパ48において乗員が操作可能にされている。ノブ44は、シフト位置としての「H」位置(ホーム位置)に配置されており、ノブ44は、「H」位置から一方向に回転されて、シフト位置としての「N」位置(ニュートラル位置)及び「D」位置(ドライブ位置)にこの順番で配置される。さらに、ノブ44は、「H」位置から下方に変位された後に他方向に回転されて、シフト位置としての「N」位置(ニュートラル位置)及び「R」位置(ドライブ位置)にこの順番で配置される。
【0037】
ノブベース46の回転筒46Aの左部(一部)には、延出部としての湾曲矩形板状の延出板46B(
図5(B)参照)が一体形成されており、延出板46Bは、下方に延出されて、プレートロア14(下ベース14A)の挿通孔28に回転可能かつ上下方向に変位可能に挿通されている。延出板46Bは、回転筒46Aの周方向に湾曲されており、延出板46Bは、回転筒46Aに対し回転筒46Aの径方向外側(左側)にずれた位置に配置されている。延出板46Bの左側面(外周面)は、プレートロア14(支持ブロック14B)の外支持面22に当接されており、ノブ44(回転筒46A及びノブアッパ48)が回転及び上下方向に変位される際には、延出板46Bがノブ44と一体に回転及び上下方向に変位されて、延出板46Bの左側面が外支持面22に摺動される。このため、延出板46Bの左側(ノブ44回転径方向外側)への移動が外支持面22によって規制される。
【0038】
延出板46Bの上端部には、案内機構26を構成する被案内部としてのクッション50がインサート成形により形成されており、クッション50は、軟質樹脂製にされている。
【0039】
クッション50の回転筒46A径方向外側の部分には、第1被案内部としての略長尺板状の外クッション52が設けられており、外クッション52は、回転筒46Aの周方向に延伸されると共に、回転筒46Aの径方向外側(左側)及び上側に露出されている。外クッション52の前側部分(一方向側部分)は、外クッション52の後側部分(他方向側部分)に対し上側に配置されており、外クッション52の前側部分及び後側部分の上面は、それぞれ上前案内面52A及び上後案内面52Bにされている。外クッション52の前側部分の前端面(一方向側端面)及び後端面(他方向側端面)は、それぞれ矩形状の前規制面52C及び上案内面52Dにされており、外クッション52の後側部分の後端面(他方向側端面)には、矩形状の後規制面52Eにされている。
【0040】
クッション50の回転筒46A径方向内側の部分には、第2被案内部としての略長尺矩形柱状の内クッション54(
図6(A)参照)が設けられており、内クッション54は、回転筒46Aの周方向に延伸されると共に、回転筒46Aの径方向内側(右側)及び下側に露出されている。内クッション54の前側部分(一方向側部分)は、内クッション54の後側部分(他方向側部分)に対し上側に配置されており、内クッション54の前側部分及び後側部分の下面は、それぞれ下前案内面54A及び下後案内面54Bにされると共に、内クッション54の後側部分の前端面(一方向側端面)は、矩形状の下案内面54Cにされている。また、内クッション54は、外クッション52の回転筒46A径方向内側(右側)かつ下側に配置されている。
【0041】
クッション50には、連結部としての矩形柱状の連結柱50A(
図6(A)参照)が所定数(本実施形態では2個)設けられており、連結柱50Aは、回転筒46Aの径方向に延伸されて、外クッション52と内クッション54とを連結している。
【0042】
上述の如く、ノブ44は「H」位置に配置されており、外クッション52の上後案内面52Bがプレートロア14(案内爪24)の上突起24Aの下面に当接されて、ノブ44の上方への変位が規制されると共に、外クッション52の上案内面52Dが上突起24Aの前面に当接されて、ノブ44の他方向への回転が規制されている(
図5の(A)及び(B)参照)。
【0043】
ノブ44が「H」位置と「D」位置との間で回転される際には、外クッション52の上後案内面52Bが上突起24Aの下面に当接(摺動)されて、ノブ44の上方への変位が規制される(
図5の(A)及び(B)参照)と共に、内クッション54の下後案内面54Bがプレートアッパ16の下突起30の上面に当接(摺動)されて、ノブ44の下方への変位が規制される(
図6の(A)及び(B)参照)。このため、上後案内面52Bが上突起24Aの下面に案内されると共に、下後案内面54Bが下突起30の上面に案内されて、ノブ44の「H」位置と「D」位置との間での回転が案内される。
【0044】
ノブ44が「D」位置に配置された際には、外クッション52の前規制面52Cがプレートロア14(支持ブロック14B)の前規制板22Aの後面に当接されて、ノブ44の「D」位置から一方向への回転が規制される(
図5の(A)及び(B)参照)。
【0045】
ノブ44が「H」位置と「H」位置の下方との間で変位される際には、外クッション52の上案内面52Dが上突起24Aの前面に当接(摺動)されて、ノブ44の他方向への回転が規制される(
図5の(A)及び(B)参照)と共に、内クッション54の下案内面54Cが下突起30の後面に当接(摺動)されて、ノブ44の一方向への回転が規制される(
図6の(A)及び(B)参照)。このため、上案内面52Dが上突起24Aの前面に案内されると共に、下案内面54Cが下突起30の後面に案内されて、ノブ44の「H」位置と「H」位置の下方との間での変位が案内される。
【0046】
ノブ44が「H」位置から下方に変位された際には、内クッション54の下前案内面54Aが下突起30の上面に当接されて、ノブ44の下方への変位が規制されると共に、内クッション54の下案内面54Cが下突起30の後面に当接されて、ノブ44の一方向への回転が規制される(
図6の(A)及び(B)参照)。
【0047】
ノブ44が「H」位置から下方に変位された後に「H」位置の下方と「R」位置との間で回転される際には、内クッション54の下前案内面54Aが下突起30の上面に当接(摺動)されて、ノブ44の下方への変位が規制される(
図6の(A)及び(B)参照)と共に、外クッション52の上前案内面52Aが上突起24Aの下面に当接(摺動)されて、ノブ44の上方への変位が規制される(
図5の(A)及び(B)参照)。このため、下前案内面54Aが下突起30の上面に案内されると共に、上前案内面52Aが上突起24Aの下面に案内されて、ノブ44の「H」位置の下方と「R」位置との間での回転が案内される。
【0048】
ノブ44が「R」位置に配置された際には、外クッション52の後規制面52Eがプレートロア14(支持ブロック14B)の後規制板22Bの前面に当接されて、ノブ44の「R」位置から他方向への回転が規制される(
図5の(A)及び(B)参照)。
【0049】
上記機構基板38の下側には、付勢機構としての節度機構56(
図2及び
図7参照)が設けられている。
【0050】
節度機構56には、外形略直方体状のホルダ58が設けられており、ホルダ58は、左部において、前後方向寸法が前側及び後側から縮小されている。プレートロア14(下ベース14A)の収容室18に収容されており、ホルダ58の左部は、収容室18の左端部に挿入されている。
【0051】
ホルダ58の右面には、直方体状の係止突起58Bが一体形成されており、係止突起58Bは、右方に突出されている。係止突起58Bは、収容室18の係止孔18Aに挿入されており、係止突起58Bが係止孔18Aの上面に係止されて、ホルダ58の上側への移動が係止されている。ホルダ58の前面には、左部及び右部において、板状の当接リブ(図示省略)が突出形成されており、当接リブは、前後方向に垂直に配置された状態で上下方向に延伸されると共に、収容室18前面の押圧板18Bに当接されている。ホルダ58の後面には、左部及び右部において、柱状の圧縮リブ58C(潰しリブ)が突出形成されており、圧縮リブ58Cは、上下方向に延伸されている。圧縮リブ58Cは、収容室18後面の押圧板18Bに当接されて圧縮されており、ホルダ58は、収容室18に前後方向において圧入されている。
【0052】
ホルダ58の前後方向中央部には、円状の収容孔58Aが形成されており、収容孔58Aは、左右方向に延伸されると共に、左方に開放されている。
【0053】
収容孔58A内には、付勢部としての略円柱状のディテントピン60が嵌合されており、ディテントピン60は、左右方向に移動可能にされると共に、左面が球面状に突出されている。収容孔58Aの右面(底面)とディテントピン60との間には、付勢部材としてのスプリング62(圧縮コイルスプリング)が掛渡されており、スプリング62は、ディテントピン60を左方に付勢している。また、スプリング62は、ホルダ58(収容孔58Aの右面)を右方に付勢しており、これにより、収容室18の係止孔18Aへの係止突起58Bの挿入が解除されることが制限されている。
【0054】
ノブベース46の延出板46Bの右側面(内周面)には、被付勢部としての節度面64(
図6(A)参照)が形成されており、節度面64のノブ44回転方向中央部の下部は、底部64Aにされて、節度面64のノブ44回転径方向外側端部にされている。節度面64の底部64Aには、ディテントピン60の左面がスプリング62の付勢力により当接されており、これにより、ノブ44が、スプリング62により付勢されて、「H」位置に配置されている。
【0055】
節度面64は、ノブ44回転方向の全体において、上側へ向かうに従いノブ44の回転径方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ノブ44は、スプリング62により上側に付勢されている。このため、ノブ44が「H」位置から下方に変位操作される際には、節度面64へのディテントピン60左面の当接位置が底部64Aから上側に移動されることで、ノブ44がスプリング62の付勢力に抗して下方に変位される。節度面64は、底部64Aから他方向側へ向かうに従いノブ44の回転径方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ノブ44が「H」位置から一方向に回転操作される際には、節度面64へのディテントピン60左面の当接位置が底部64Aから他方向側に移動されることで、ノブ44がスプリング62の付勢力に抗して一方向に回転される。節度面64は、底部64Aの上側から一方向側へ向かうに従いノブ44の回転径方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ノブ44が「H」位置の下方から他方向に回転操作される際には、節度面64へのディテントピン60左面の当接位置が底部64Aの上側から一方向側に移動されることで、ノブ44がスプリング62の付勢力に抗して他方向に回転される。
【0056】
一方、ノブ44が「H」位置以外のシフト位置に配置された状態でノブ44への操作力の作用が解除された際には、節度面64へのディテントピン60左面の当接位置が底部64Aに向けて移動されることで、ノブ44がスプリング62の付勢力により回転及び上方に変位されて、ノブ44が「H」位置に復帰される。
【0057】
節度機構56の下側には、検出機構66(
図3参照)が設けられている。
【0058】
検出機構66には、接続部材としての外形略直方体状のリンク68が設けられており、リンク68は、上記ケース34の上壁上面に支持されると共に、左右方向に延伸されている。リンク68の右部には、略有底円筒状の固定筒68Aが設けられており、固定筒68A内は、下側に開放されている。固定筒68Aは、プレートロア14の支持室20に同軸上に嵌合されており、リンク68は、固定筒68Aの中心軸線を中心として、一方向側(前側)及び他方向側(後側)に回動可能にされている。リンク68の左端部には、被接続部としての矩形状の接続孔68Bが形成されており、接続孔68Bは、リンク68を上下方向に貫通している。接続孔68Bは、左側に開放されており、接続孔68Bは、プレートロア14(下ベース14A)の挿通孔28の下側に配置されている。
【0059】
リンク68の固定筒68A内には、被検出部としての略円柱状のマグネット70が同軸上に固定されており、マグネット70は、リンク68の回動(固定筒68Aの回転)と一体に回転可能にされている。
【0060】
ノブベース46の延出板46Bの下端には、接続部としての略矩形板状の接続板72(
図6(A)参照)が一体形成されており、接続板72は、延出板46Bから下方に突出されている。接続板72は、リンク68の接続孔68Bに挿入(係合)されており、これにより、ノブ44がリンク68に接続されている。接続板72は、接続孔68Bに対し上下方向に移動可能にされており、これにより、ノブ44の上下方向への変位が許容されている。接続板72は、接続孔68Bに前後方向において嵌合されており、ノブ44が一方向及び他方向に回転されることで、それぞれ、リンク68がノブ44と一体に一方向側及び他方向側に回動されて、マグネット70がリンク68と一体に一方向側及び他方向側に回転される。
【0061】
リンク68及びマグネット70の下側には、検出部材としての略矩形板状の検出基板74(
図3参照)が設けられており、検出基板74は、上記ケース34の上壁下側に固定されると共に、下側が上記カバー36によって被覆されている。検出基板74の上面には、検出部としてのセンサ74Aが設けられており、センサ74Aは、ケース34の上壁を介して、マグネット70に上下方向において対向されている。センサ74Aは、マグネット70が発生する磁場を検出して、マグネット70の回転位置を検出可能にされており、このため、センサ74Aは、リンク68の回動位置を検出して、ノブ44の回転位置ひいてはシフト位置を検出可能にされている。
【0062】
検出基板74は、上記機構基板38に電気的に接続されると共に、車両の制御装置76に電気的に接続されており、制御装置76には、車両の自動変速機78(変速機)が電気的に接続されている。機構基板38が「P」スイッチ42の押圧操作を検出した際には、制御装置76の制御により、自動変速機78のシフトレンジが「P」レンジ(パーキングレンジ)に変更される。検出基板74のセンサ74Aがノブ44の「N」位置、「D」位置及び「R」位置への配置を検出した際には、それぞれ、制御装置76の制御により、自動変速機78のシフトレンジが「N」レンジ(ニュートラルレンジ)、「D」レンジ(ドライブレンジ)及び「R」レンジ(リバースレンジ)に変更される。
【0063】
自動変速機78のシフトレンジが「P」レンジに変更された際には、制御装置76の制御により、機構基板38の操作LED38Bが「P」スイッチ42の「P」配置表示42Bを照明表示する。自動変速機78のシフトレンジが「N」レンジ、「D」レンジ及び「R」レンジに変更された際には、それぞれ、制御装置76の制御により、機構基板38の表示LED38Aが「N」配置表示80D、「D」配置表示80E及び「R」配置表示80Fを照明表示する。
【0064】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0065】
以上の構成のシフト装置10では、ノブ44の回転筒46Aから延出板46Bが下方(ノブ44の回転軸方向側)に延出されている。
【0066】
案内機構26では、ノブ44(回転筒46A及びノブアッパ48)が回転及び上下方向において変位される際に、プレートロア14の上突起24Aが延出板46Bのクッション50(外クッション52)の上方への変位及び他方向への回転を規制すると共に、プレートアッパ16の下突起30が延出板46Bのクッション50(内クッション54)の下方への変位及び一方向への回転を規制して、ノブ44の回転及び上下方向における変位が案内される。
【0067】
節度機構56では、延出板46Bの節度面64にディテントピン60の左面がスプリング62の付勢力により当接されて、ノブ44がスプリング62により「H」位置側に付勢されている。
【0068】
検出機構66では、ノブ44が回転されて、延出板46Bの接続板72が回転されることで、リンク68が回動されて、マグネット70が回転される。さらに、検出基板74(センサ74A)がマグネット70の回転位置を検出して、ノブ44のシフト位置が検出される。
【0069】
ここで、延出板46Bに案内機構26のクッション50、節度機構56の節度面64及び検出機構66の接続板72が設けられている。このため、ノブ44の回転周方向における延出板46Bの位置に案内機構26、節度機構56及び検出機構66を集約できる。これにより、ノブ44の回転周方向における延出板46B以外(延出板46B回転範囲以外)の位置のスペースの構造自由度を大きくでき、シフト装置10を小型化できる。
【0070】
さらに、延出板46Bでは、案内機構26のクッション50、節度機構56の節度面64及び検出機構66の接続板72がノブ44の回転軸方向(上下方向)に並べられている。このため、延出板46B(延出板46B回転範囲)のノブ44回転周方向における寸法を小さくでき、シフト装置10を一層小型化できる。
【0071】
また、ノブ44(回転筒46A及びノブアッパ48)のノブ44回転軸方向(上下方向)における範囲に案内機構26のクッション50が配置されている。このため、ノブ44にクッション50を接近させることができ、案内機構26がノブ44の回転及び上下方向における変位を適切に案内できる。
【0072】
さらに、節度機構56が1つ設けられると共に、節度機構56のホルダ58、ディテントピン60及びスプリング62の外周内側(中空部分の内側を含む)にノブ44の回転中心軸線(回転筒46Aの中心軸線)が配置されている。このため、節度機構56をノブ44の回転中心軸線側に配置でき、シフト装置10をノブ44回転径方向において小型化できる。
【0073】
また、延出板46Bでは、節度機構56の節度面64と検出機構66の接続板72とが隣設されている。このため、節度機構56によりノブ44のシフト位置への配置精度が高くされる節度面64に隣設される接続板72の回転位置を検出機構66が検出できる。これにより、検出機構66によるノブ44のシフト位置の検出精度を高くできる。
【0074】
さらに、ノブ44(回転筒46A及びノブアッパ48)の下側に案内機構26、節度機構56及び検出機構66が設けられている。このため、ノブ44の近接スペースの構造自由度を大きくでき、ノブ44に近接させてインジケータ80、機構基板38、コンタクトラバー40及び「P」スイッチ42を配置できる。
【0075】
なお、本実施形態では、節度機構56の下側に検出機構66が配置される。しかしながら、節度機構56と検出機構66との配置を上下方向において反対にしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、ノブベース46の延出板46Bに別成形によるクッション50(被案内部)が設けられる。しかしながら、ノブベース46の延出板46Bに同一成形による被案内部が形成されてもよい。
【0077】
さらに、本実施形態では、延出板46Bに案内機構26のクッション50、節度機構56の節度面64及び検出機構66の接続板72が設けられる。しかしながら、延出板46Bに案内機構26のクッション50、節度機構56の節度面64及び検出機構66の接続板72の少なくとも2つが設けられればよい。
【0078】
また、本実施形態において、節度機構56(付勢機構)が案内機構26としても機能してもよい。この場合、例えば、節度機構56において、節度面64に設けられる壁がディテントピン60の案内方向以外への相対移動を規制してディテントピン60の相対移動を案内する。
【0079】
さらに、本実施形態では、節度機構56において、プレート12側にディテントピン60及びスプリング62が設けられると共に、ノブ44側に節度面64が設けられる。しかしながら、節度機構56において、プレート12側に節度面64が設けられると共に、ノブ44側にディテントピン60及びスプリング62が設けられてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、シフト装置10をコンソールに設置した。しかしながら、シフト装置10をインストルメントパネル又はコラムカバーに設置してもよい。
【符号の説明】
【0081】
10・・・シフト装置、26・・・案内機構、44・・・ノブ(シフト体)、46B・・・延出板(延出部)、56・・・節度機構(付勢機構)、66・・・検出機構