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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】BAFF-R抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240305BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240305BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
A61K39/395 N
A61P7/06
A61P13/12
A61P35/00
A61P37/02
A61P35/02
A61P29/00 101
A61P25/00
A61P21/00
C12P21/08
【請求項の数】 41
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017156
(22)【出願日】2022-02-07
(62)【分割の表示】P 2019516100の分割
【原出願日】2017-06-06
(65)【公開番号】P2022070921
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】62/346,324
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598004424
【氏名又は名称】シティ・オブ・ホープ
【氏名又は名称原語表記】City of Hope
(73)【特許権者】
【識別番号】507410113
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ, ザ ユニヴァーシティー オブ テキサス システム
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チン, ホン
(72)【発明者】
【氏名】クワック, ラリー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, チンシン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ケシン
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-526205(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009030(WO,A2)
【文献】特表2015-525204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/
C12N 15/
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む、B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)抗体であって、
前記軽鎖可変領域が、
配列番号1に記載のCDR L1、配列番号2に記載のCDR L2、及び配列番号3に記載のCDR L3を含み;
前記重鎖可変領域が、
配列番号4に記載のCDR H1、配列番号5に記載のCDR H2、及び配列番号6に記載のCDR H3を含む、
前記抗体。
【請求項2】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域が、配列番号18、配列番号20または配列番号22の配列を含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記重鎖可変領域が、配列番号24、配列番号26または配列番号28の配列を含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体がキメラ抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
前記軽鎖可変領域が配列番号14の配列を含む、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
前記重鎖可変領域が配列番号16の配列を含む、請求項5に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体がIgGである、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体がIgG1である、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体がFab’断片である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体が一本鎖抗体(scFv)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体が、約5nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が、約4nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体がBAFF-Rタンパク質に結合している、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
前記BAFF-Rタンパク質がヒトBAFF-Rタンパク質である、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
前記BAFF-Rタンパク質が細胞の一部を形成する、請求項13または14に記載の抗体。
【請求項17】
前記BAFF-Rタンパク質が前記細胞の表面上で発現される、請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
前記細胞がリンパ球様細胞である、請求項16または17に記載の抗体。
【請求項19】
前記細胞がB細胞である、請求項16~18のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項20】
前記細胞ががん細胞である、請求項16~19のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項21】
前記がん細胞がリンパ腫細胞である、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項23】
治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体またはその機能的断片を含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項25】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための医薬組成物であって、治療有効量の請求項24に記載のキメラ抗原受容体を含む、前記医薬組成物。
【請求項26】
がんの治療を必要とする対象においてがんを治療するための医薬組成物であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項27】
前記がんが、リンパ腫、白血病、または骨髄腫である、請求項25または26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記リンパ腫が、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、またはバーキットリンパ腫である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記白血病が、リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、または有毛細胞白血病である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記骨髄腫が多発性骨髄腫である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
第2の治療剤をさらに含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記治療剤がCD20抗原と結合することができるキメラモノクローナル抗体である、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記治療剤がリツキシマブである、請求項31または32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
自己免疫疾患の治療を必要とする対象において自己免疫疾患の治療をするための医薬組成物であって、治療有効量の請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項35】
前記自己免疫疾患が、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、糸球体腎炎、シェーグレン症候群、または自己免疫性溶血性貧血である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
第2の治療剤をさらに含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
細胞の分裂増殖を阻害するインビトロの方法であって、
(i)請求項1~21のいずれか一項に記載のBAFF-R抗体と細胞を接触させ、それによって接触させた細胞を形成することと;
(ii)前記BAFF-R抗体が、前記接触させた細胞上のBAFF-Rタンパク質を結合するようにし、それによって前記細胞の分裂増殖を阻害することと、
を含む、前記方法。
【請求項38】
前記細胞がリンパ球様細胞である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記細胞がB細胞である、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞ががん細胞である、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞がリンパ腫細胞である、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月6日に出願された米国仮特許出願第62/346,324号の優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
抗体療法は、血液学的悪性腫瘍を治療するクリニックにおいて利用可能な最も成功した免疫療法のうちの1つである。例示的な事例はリツキシマブであり、それはCD20を標的とし、B細胞リンパ腫に対して細胞毒性効果を誘発する。しかしながら、リツキシマブに関する主な関心事はリツキシマブ耐性の出現であり、それは、CD20がダウンレギュレーションされ、したがって抗体が標的細胞と結合することを妨害するためであると考えられる。
【発明の概要】
【0003】
軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む、B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)抗体が本明細書において提供される。軽鎖可変領域は、配列番号1中で明記される通りのCDR L1、配列番号2中で明記される通りのCDR L2、及び配列番号3中で明記される通りのCDR L3を含む。重鎖可変領域は、配列番号4中で明記される通りのCDR H1、配列番号5中で明記される通りのCDR H2、及び配列番号6中で明記される通りのCDR H3を含む。別の態様において、軽鎖可変領域は、配列番号7中で明記される通りのCDR L1、配列番号8中で明記される通りのCDR L2、及び配列番号9中で明記される通りのCDR L3を含む。重鎖可変領域は、配列番号10中で明記される通りのCDR H1、配列番号11中で明記される通りのCDR H2、及び配列番号12中で明記される通りのCDR H3を含む。随意に、抗体はヒト化抗体である。開示される抗体の機能的断片も提供される。
【0004】
BAFF-Rと約4nMよりも低いKで結合することができるヒト化B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)抗体またはその機能的断片が、提供される。
【0005】
BAFF-Rと約4nMよりも低いKで結合するヒト化B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)抗体も、提供される。
【0006】
本明細書において提供される抗体またはその機能的断片を含むキメラ抗原受容体(CAR)も、提供される。
【0007】
BAFF-R抗体または抗体の機能的断片をコードする単離された核酸が、本明細書において提供される。
【0008】
治療有効量の本明細書において開示されるようなBAFF-R抗体またはその機能的断片及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も提供される。
【0009】
ヒトBAFF-Rタンパク質またはその機能的断片を発現するマウス線維芽細胞が提供され、ヒトBAFF-Rタンパク質またはその機能的断片は細胞の細胞表面上で発現される。
【0010】
それを必要とする対象においてがんを治療する方法が提供される。方法は、治療有効量の本明細書において提供されるキメラ抗原受容体を対象へ投与し、それによって対象におけるがんを治療することを含む。
【0011】
それを必要とする対象におけるがんを治療する方法は、治療有効量の本明細書において開示される抗体またはその機能的断片を対象へ投与し、それによって対象におけるがんを治療することを含んでさらに提供される。
【0012】
それを必要とする対象において自己免疫疾患を治療する方法が提供される。方法は、治療有効量の対象を本明細書において開示されるような抗体またはその機能的断片を投与し、それによって対象における自己免疫疾患を治療することを含む。
【0013】
細胞の分裂増殖を阻害する方法も提供される。方法は、本明細書において開示されるようなBAFF-R抗体またはその機能的断片と細胞を接触させ、それによって接触させた細胞を形成することを含む。BAFF-R抗体またはその機能的断片が、接触させた細胞上のBAFF-Rタンパク質と結合するようにし、それによって細胞の分裂増殖を阻害する。随意に、細胞はリンパ球様細胞である。
【0014】
抗ヒトBAFF-R抗体またはその機能的断片を産生する方法が提供される。方法は、本明細書において提供されるようなBAFF-Rタンパク質またはその断片を発現するマウス線維芽細胞をマウスへ投与し、それによって免疫付与されたBAFF-Rマウスを形成することを含む。免疫付与されたBAFF-Rマウスからの脾細胞をヒトミエローマ細胞と融合し、それによってBAFF-Rハイブリドーマ細胞を形成する。次いでBAFF-Rハイブリドーマ細胞が、BAFF-R抗体を発現するようにし、それによって抗BAFF-R抗体を産生する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1-1】図1A、1B、1C、1D及び1Eは、ヒトBAFF-Rに対する新規のモノクローナル抗体の生成及び特異性を示す、FACS画像である。図1Aは、マウス線維芽細胞(L細胞)におけるhBAFF-R-GFP融合タンパク質の細胞表面発現のFACS分析である。GFP陽性細胞についてゲートして、操作されたL細胞クローン(右側プロット)を親L細胞(左側プロット)に比較する。クローンD2Cをさらなる研究のために選択した。図1B、1C、1D及び1Eは、細胞株及び患者サンプルと結合する抗BAFF-R抗体の蛍光カウントのFACSトレースである。図1Bは、0.05μg mAb/10細胞の濃度でBAFF-R陽性のヒトMCL株(Mino、JeKo-1、REC-1、JVM-13及びZ-138が含まれる)と結合する、親和性精製されたハイブリドーマmAb(C90、C67、C55及びC53)を示す。BAFF-R陰性293T胚腎臓細胞株を対照として使用した。図1Cは、hBAFF-R発現L細胞と高濃度及び低濃度で結合する、キメラ抗体C55及びC90を示す。親L細胞及び二次抗hIgG-APC抗体のみを対照として使用した。図1Dは、alexa fluor 488コンジュゲートキメラ抗体結合NHL細胞株のパネルを示す。図1Eは、3つのタイプのNHL原発性患者サンプルと結合するキメラ抗体を示す。データは3つの独立した実験の代表である。図1B~1Eのすべてについて、図中で示されるような上から下へのトレースは、図の下にまたは図の隣りに示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の上から下と相関する。
図1-2】図1A、1B、1C、1D及び1Eは、ヒトBAFF-Rに対する新規のモノクローナル抗体の生成及び特異性を示す、FACS画像である。図1Aは、マウス線維芽細胞(L細胞)におけるhBAFF-R-GFP融合タンパク質の細胞表面発現のFACS分析である。GFP陽性細胞についてゲートして、操作されたL細胞クローン(右側プロット)を親L細胞(左側プロット)に比較する。クローンD2Cをさらなる研究のために選択した。図1B、1C、1D及び1Eは、細胞株及び患者サンプルと結合する抗BAFF-R抗体の蛍光カウントのFACSトレースである。図1Bは、0.05μg mAb/10細胞の濃度でBAFF-R陽性のヒトMCL株(Mino、JeKo-1、REC-1、JVM-13及びZ-138が含まれる)と結合する、親和性精製されたハイブリドーマmAb(C90、C67、C55及びC53)を示す。BAFF-R陰性293T胚腎臓細胞株を対照として使用した。図1Cは、hBAFF-R発現L細胞と高濃度及び低濃度で結合する、キメラ抗体C55及びC90を示す。親L細胞及び二次抗hIgG-APC抗体のみを対照として使用した。図1Dは、alexa fluor 488コンジュゲートキメラ抗体結合NHL細胞株のパネルを示す。図1Eは、3つのタイプのNHL原発性患者サンプルと結合するキメラ抗体を示す。データは3つの独立した実験の代表である。図1B~1Eのすべてについて、図中で示されるような上から下へのトレースは、図の下にまたは図の隣りに示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の上から下と相関する。
図1-3】図1A、1B、1C、1D及び1Eは、ヒトBAFF-Rに対する新規のモノクローナル抗体の生成及び特異性を示す、FACS画像である。図1Aは、マウス線維芽細胞(L細胞)におけるhBAFF-R-GFP融合タンパク質の細胞表面発現のFACS分析である。GFP陽性細胞についてゲートして、操作されたL細胞クローン(右側プロット)を親L細胞(左側プロット)に比較する。クローンD2Cをさらなる研究のために選択した。図1B、1C、1D及び1Eは、細胞株及び患者サンプルと結合する抗BAFF-R抗体の蛍光カウントのFACSトレースである。図1Bは、0.05μg mAb/10細胞の濃度でBAFF-R陽性のヒトMCL株(Mino、JeKo-1、REC-1、JVM-13及びZ-138が含まれる)と結合する、親和性精製されたハイブリドーマmAb(C90、C67、C55及びC53)を示す。BAFF-R陰性293T胚腎臓細胞株を対照として使用した。図1Cは、hBAFF-R発現L細胞と高濃度及び低濃度で結合する、キメラ抗体C55及びC90を示す。親L細胞及び二次抗hIgG-APC抗体のみを対照として使用した。図1Dは、alexa fluor 488コンジュゲートキメラ抗体結合NHL細胞株のパネルを示す。図1Eは、3つのタイプのNHL原発性患者サンプルと結合するキメラ抗体を示す。データは3つの独立した実験の代表である。図1B~1Eのすべてについて、図中で示されるような上から下へのトレースは、図の下にまたは図の隣りに示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の上から下と相関する。
図1-4】図1A、1B、1C、1D及び1Eは、ヒトBAFF-Rに対する新規のモノクローナル抗体の生成及び特異性を示す、FACS画像である。図1Aは、マウス線維芽細胞(L細胞)におけるhBAFF-R-GFP融合タンパク質の細胞表面発現のFACS分析である。GFP陽性細胞についてゲートして、操作されたL細胞クローン(右側プロット)を親L細胞(左側プロット)に比較する。クローンD2Cをさらなる研究のために選択した。図1B、1C、1D及び1Eは、細胞株及び患者サンプルと結合する抗BAFF-R抗体の蛍光カウントのFACSトレースである。図1Bは、0.05μg mAb/10細胞の濃度でBAFF-R陽性のヒトMCL株(Mino、JeKo-1、REC-1、JVM-13及びZ-138が含まれる)と結合する、親和性精製されたハイブリドーマmAb(C90、C67、C55及びC53)を示す。BAFF-R陰性293T胚腎臓細胞株を対照として使用した。図1Cは、hBAFF-R発現L細胞と高濃度及び低濃度で結合する、キメラ抗体C55及びC90を示す。親L細胞及び二次抗hIgG-APC抗体のみを対照として使用した。図1Dは、alexa fluor 488コンジュゲートキメラ抗体結合NHL細胞株のパネルを示す。図1Eは、3つのタイプのNHL原発性患者サンプルと結合するキメラ抗体を示す。データは3つの独立した実験の代表である。図1B~1Eのすべてについて、図中で示されるような上から下へのトレースは、図の下にまたは図の隣りに示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の上から下と相関する。
図1-5】図1A、1B、1C、1D及び1Eは、ヒトBAFF-Rに対する新規のモノクローナル抗体の生成及び特異性を示す、FACS画像である。図1Aは、マウス線維芽細胞(L細胞)におけるhBAFF-R-GFP融合タンパク質の細胞表面発現のFACS分析である。GFP陽性細胞についてゲートして、操作されたL細胞クローン(右側プロット)を親L細胞(左側プロット)に比較する。クローンD2Cをさらなる研究のために選択した。図1B、1C、1D及び1Eは、細胞株及び患者サンプルと結合する抗BAFF-R抗体の蛍光カウントのFACSトレースである。図1Bは、0.05μg mAb/10細胞の濃度でBAFF-R陽性のヒトMCL株(Mino、JeKo-1、REC-1、JVM-13及びZ-138が含まれる)と結合する、親和性精製されたハイブリドーマmAb(C90、C67、C55及びC53)を示す。BAFF-R陰性293T胚腎臓細胞株を対照として使用した。図1Cは、hBAFF-R発現L細胞と高濃度及び低濃度で結合する、キメラ抗体C55及びC90を示す。親L細胞及び二次抗hIgG-APC抗体のみを対照として使用した。図1Dは、alexa fluor 488コンジュゲートキメラ抗体結合NHL細胞株のパネルを示す。図1Eは、3つのタイプのNHL原発性患者サンプルと結合するキメラ抗体を示す。データは3つの独立した実験の代表である。図1B~1Eのすべてについて、図中で示されるような上から下へのトレースは、図の下にまたは図の隣りに示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の上から下と相関する。
図2-1】図2A、2B及び2Cは、BAFF-Rモノクローナル抗体がB細胞腫瘍株に対して特異的なインビトロの細胞毒性を表わしたことを示す、グラフである。抗体誘導性細胞毒性を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクター(NK細胞または補体含有血清)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。20:1のNKエフェクター細胞:標的の比(E:T)。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。第1のパネルは、BAFF-R発現L細胞または対照の親L細胞を示し;第2及び第3のパネルは、BAFF-R陽性JeKo-1 MCLまたはBAFF-R陰性U266多発性骨髄腫細胞を示し、変動する抗体濃度による用量応答曲線として示される。図2Bは、活性のある補体含有ヒト血清と混合された抗体(1:3希釈)の、CDC感受性(Raji)及びCDC耐性(Raji-2P)に対する特異的溶解を示す。図2Cは、NHL株JeKo-1、SU-DHL-6、Raji及びRLに対する、NKエフェクター細胞(E:T=20:1)有りまたは無しのBAFF-Rキメラ抗体によるADCC効果を示す。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図2-2】図2A、2B及び2Cは、BAFF-Rモノクローナル抗体がB細胞腫瘍株に対して特異的なインビトロの細胞毒性を表わしたことを示す、グラフである。抗体誘導性細胞毒性を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクター(NK細胞または補体含有血清)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。20:1のNKエフェクター細胞:標的の比(E:T)。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。第1のパネルは、BAFF-R発現L細胞または対照の親L細胞を示し;第2及び第3のパネルは、BAFF-R陽性JeKo-1 MCLまたはBAFF-R陰性U266多発性骨髄腫細胞を示し、変動する抗体濃度による用量応答曲線として示される。図2Bは、活性のある補体含有ヒト血清と混合された抗体(1:3希釈)の、CDC感受性(Raji)及びCDC耐性(Raji-2P)に対する特異的溶解を示す。図2Cは、NHL株JeKo-1、SU-DHL-6、Raji及びRLに対する、NKエフェクター細胞(E:T=20:1)有りまたは無しのBAFF-Rキメラ抗体によるADCC効果を示す。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図2-3】図2A、2B及び2Cは、BAFF-Rモノクローナル抗体がB細胞腫瘍株に対して特異的なインビトロの細胞毒性を表わしたことを示す、グラフである。抗体誘導性細胞毒性を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクター(NK細胞または補体含有血清)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。20:1のNKエフェクター細胞:標的の比(E:T)。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。第1のパネルは、BAFF-R発現L細胞または対照の親L細胞を示し;第2及び第3のパネルは、BAFF-R陽性JeKo-1 MCLまたはBAFF-R陰性U266多発性骨髄腫細胞を示し、変動する抗体濃度による用量応答曲線として示される。図2Bは、活性のある補体含有ヒト血清と混合された抗体(1:3希釈)の、CDC感受性(Raji)及びCDC耐性(Raji-2P)に対する特異的溶解を示す。図2Cは、NHL株JeKo-1、SU-DHL-6、Raji及びRLに対する、NKエフェクター細胞(E:T=20:1)有りまたは無しのBAFF-Rキメラ抗体によるADCC効果を示す。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図3-1】図3A及び3Bは、BAFF-Rモノクローナル抗体が原発性B細胞腫瘍に対してインビトロの抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を誘導することを示す、グラフである。抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)効果を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクター(NK細胞)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。図3Aは、NHL患者サンプル(E:T=20:1または10:1)を示し;図3Bは、リツキシマブ治療不応性患者からの原発性MCL及びCLLサンプル(E:T=20:1)を示す。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図3-2】図3A及び3Bは、BAFF-Rモノクローナル抗体が原発性B細胞腫瘍に対してインビトロの抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を誘導することを示す、グラフである。抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)効果を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクター(NK細胞)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。図3Aは、NHL患者サンプル(E:T=20:1または10:1)を示し;図3Bは、リツキシマブ治療不応性患者からの原発性MCL及びCLLサンプル(E:T=20:1)を示す。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図4-1】図4Aは、腫瘍の最小致死用量による0日目腫瘍の攻撃投与に後続する治療スケジュールを示す、概略図である。治療はIV尾静脈注射から与えられた。図4B及び4Cは、B細胞腫瘍に対する、ヒトBAFF-Rを標的とするキメラ抗体誘発インビボ治療有効性を示す、画像である。ルシフェラーゼ発現腫瘍:JeKo-1(MCL)(図4B)またはRS4;11(ALL)(図4C)により攻撃投与されたマウスの生物発光画像。実験群に、キメラBAFF-R mAb(示されるようにC55またはC90)の治療を投与した。対照群マウスに、同じスケジュールでPBS、NK細胞単独、またはリツキシマブを投与した。データは3つの独立した実験の代表である。
図4-2】図4Aは、腫瘍の最小致死用量による0日目腫瘍の攻撃投与に後続する治療スケジュールを示す、概略図である。治療はIV尾静脈注射から与えられた。図4B及び4Cは、B細胞腫瘍に対する、ヒトBAFF-Rを標的とするキメラ抗体誘発インビボ治療有効性を示す、画像である。ルシフェラーゼ発現腫瘍:JeKo-1(MCL)(図4B)またはRS4;11(ALL)(図4C)により攻撃投与されたマウスの生物発光画像。実験群に、キメラBAFF-R mAb(示されるようにC55またはC90)の治療を投与した。対照群マウスに、同じスケジュールでPBS、NK細胞単独、またはリツキシマブを投与した。データは3つの独立した実験の代表である。
図4-3】図4Aは、腫瘍の最小致死用量による0日目腫瘍の攻撃投与に後続する治療スケジュールを示す、概略図である。治療はIV尾静脈注射から与えられた。図4B及び4Cは、B細胞腫瘍に対する、ヒトBAFF-Rを標的とするキメラ抗体誘発インビボ治療有効性を示す、画像である。ルシフェラーゼ発現腫瘍:JeKo-1(MCL)(図4B)またはRS4;11(ALL)(図4C)により攻撃投与されたマウスの生物発光画像。実験群に、キメラBAFF-R mAb(示されるようにC55またはC90)の治療を投与した。対照群マウスに、同じスケジュールでPBS、NK細胞単独、またはリツキシマブを投与した。データは3つの独立した実験の代表である。
図5-1】図5A、5B及び5Cは、キメラBAFF-R抗体が薬物耐性リンパ腫モデル上でADCCをインビトロで誘導することを示す、画像またはグラフである。図5Aは、CD20遺伝子のCRISPR/HDRノックアウトに後続するJeKo-1細胞上で結合するCD20を示す、FACS分析のスキャッタープロットである。選択されたCD20-/-クローン番号25についてのCD20発現を、野生型JeKo-1に比較した。ADCC効果を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクターNK細胞(E:T=20:1)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。リツキシマブ耐性JeKo-1-CD20-KO(図5B)及びイブルチニブ耐性Z-138及びSP49-IR(図5C)。すべてのデータは2つ以上の同一実験の代表である。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図5-2】図5A、5B及び5Cは、キメラBAFF-R抗体が薬物耐性リンパ腫モデル上でADCCをインビトロで誘導することを示す、画像またはグラフである。図5Aは、CD20遺伝子のCRISPR/HDRノックアウトに後続するJeKo-1細胞上で結合するCD20を示す、FACS分析のスキャッタープロットである。選択されたCD20-/-クローン番号25についてのCD20発現を、野生型JeKo-1に比較した。ADCC効果を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクターNK細胞(E:T=20:1)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。リツキシマブ耐性JeKo-1-CD20-KO(図5B)及びイブルチニブ耐性Z-138及びSP49-IR(図5C)。すべてのデータは2つ以上の同一実験の代表である。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図5-3】図5A、5B及び5Cは、キメラBAFF-R抗体が薬物耐性リンパ腫モデル上でADCCをインビトロで誘導することを示す、画像またはグラフである。図5Aは、CD20遺伝子のCRISPR/HDRノックアウトに後続するJeKo-1細胞上で結合するCD20を示す、FACS分析のスキャッタープロットである。選択されたCD20-/-クローン番号25についてのCD20発現を、野生型JeKo-1に比較した。ADCC効果を、C55、C90またはリツキシマブ及びエフェクターNK細胞(E:T=20:1)によるインキュベーション後の、クロム-51放出によって測定した。標的細胞の細胞特異的溶解のパーセンテージは以下の通りである。リツキシマブ耐性JeKo-1-CD20-KO(図5B)及びイブルチニブ耐性Z-138及びSP49-IR(図5C)。すべてのデータは2つ以上の同一実験の代表である。データは三重サンプルの平均±標準偏差として示される。両側スチューデントのt検定によってNK細胞と比較して、P<0.05。
図6-1】薬物耐性B細胞腫瘍に対する、ヒトBAFF-Rを標的とするキメラ抗体誘発インビボ治療有効性を示す、画像(図6A及び6B)及びグラフ(図6C)である。ルシフェラーゼ発現腫瘍のJeKo-1-CD20-KO細胞(図6A)またはイブルチニブ耐性Z-138細胞(図6B)により攻撃投与され、図4中でのような抗体治療が後続した、マウスの生物発光画像。対照群マウスに、同じスケジュールでPBS、NK細胞単独、またはリツキシマブを投与した。図6Cは、(A)及び(B)中で示されるマウスの80日の無腫瘍曲線及び全生存曲線をそれぞれ示す。実験群とすべての対照群との間の無腫瘍率及び生存の差を、ログランク検定によって分析した(**P<0.001)。データは3つの独立した実験の代表である。
図6-2】薬物耐性B細胞腫瘍に対する、ヒトBAFF-Rを標的とするキメラ抗体誘発インビボ治療有効性を示す、画像(図6A及び6B)及びグラフ(図6C)である。ルシフェラーゼ発現腫瘍のJeKo-1-CD20-KO細胞(図6A)またはイブルチニブ耐性Z-138細胞(図6B)により攻撃投与され、図4中でのような抗体治療が後続した、マウスの生物発光画像。対照群マウスに、同じスケジュールでPBS、NK細胞単独、またはリツキシマブを投与した。図6Cは、(A)及び(B)中で示されるマウスの80日の無腫瘍曲線及び全生存曲線をそれぞれ示す。実験群とすべての対照群との間の無腫瘍率及び生存の差を、ログランク検定によって分析した(**P<0.001)。データは3つの独立した実験の代表である。
図6-3】薬物耐性B細胞腫瘍に対する、ヒトBAFF-Rを標的とするキメラ抗体誘発インビボ治療有効性を示す、画像(図6A及び6B)及びグラフ(図6C)である。ルシフェラーゼ発現腫瘍のJeKo-1-CD20-KO細胞(図6A)またはイブルチニブ耐性Z-138細胞(図6B)により攻撃投与され、図4中でのような抗体治療が後続した、マウスの生物発光画像。対照群マウスに、同じスケジュールでPBS、NK細胞単独、またはリツキシマブを投与した。図6Cは、(A)及び(B)中で示されるマウスの80日の無腫瘍曲線及び全生存曲線をそれぞれ示す。実験群とすべての対照群との間の無腫瘍率及び生存の差を、ログランク検定によって分析した(**P<0.001)。データは3つの独立した実験の代表である。
図7-1】図7A及び7Bは抗ヒトBAFF-Rモノクローナル抗体の生成及びクローン選択を示す。図7Aは、L細胞クローンD2C(それは細胞内ドメイン上のC末端GFPタグを備えたヒトhBAFF-Rを安定的に発現する)を使用して、示されたスケジュールに従ってBALB/cマウスを免疫付与したことを示す、概略図である。脾臓組織を20日目に収穫し、B細胞ハイブリドーマクローンを確立した。図7Bは、抗マウスIgG-HRPを使用する、5つのハイブリドーマ上清からのELISA結果を示す、表である。クローン53、55、67及び90はBAFF-R特異的mAbを産生したが、クローン37は産生しなかった(他の陰性クローンの代表)。
図7-2】図7A及び7Bは抗ヒトBAFF-Rモノクローナル抗体の生成及びクローン選択を示す。図7Aは、L細胞クローンD2C(それは細胞内ドメイン上のC末端GFPタグを備えたヒトhBAFF-Rを安定的に発現する)を使用して、示されたスケジュールに従ってBALB/cマウスを免疫付与したことを示す、概略図である。脾臓組織を20日目に収穫し、B細胞ハイブリドーマクローンを確立した。図7Bは、抗マウスIgG-HRPを使用する、5つのハイブリドーマ上清からのELISA結果を示す、表である。クローン53、55、67及び90はBAFF-R特異的mAbを産生したが、クローン37は産生しなかった(他の陰性クローンの代表)。
図8】選択されたハイブリドーマクローンがMCL細胞と結合するという確認を示す、フローサイトメトリーの結果である。Mino(マントル細胞リンパ腫)細胞株及び293T(陰性対照)細胞株へのハイブリドーマクローン53、55、67及び90の上清(1/10、1/50及び1/200の希釈)の結合を、抗マウスIgG-APCにより遂行されるフローサイトメトリーによって査定した。
図9】精製されたmAbのヒトBAFF-Rへの用量依存的結合を示す、グラフである。ハイブリドーマクローン53、55、67、90からのマウスmAbを、プロテインA親和性クロマトグラフィーによって精製した。連続的に希釈された(1μg/10細胞~1.6ng/10細胞)精製マウスmAbのMino細胞への結合を、抗マウスIgG-APC二次抗体によるフローサイトメトリーによって査定した。
図10】hBAFF-R mAbがインビトロで非ホジキンリンパ腫細胞株を認識したことを示す、FACSスクリーニング分析の結果である。マウスmAbクローン55及び90は、高用量(2μg mAb/10細胞)及び低用量(0.05μg mAb/10細胞)で、追加の細胞株:JeKo-1(マントル細胞リンパ腫)、SU-DHL-6(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、Raji(バーキットリンパ腫)及びRL(濾胞性リンパ腫)を結合した。フローサイトメトリー分析を抗マウスIgG-APCにより遂行した。図中で示されるような上から下へのトレースは、図の隣りに示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の上から下と相関する。
図11】hBAFF-R mAbがリンパ腫患者サンプルを認識したことを示す、グラフである。マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫の患者サンプルを、高用量(2μg/10細胞)及び低用量(0.05μg/10細胞)で、マウスmAb C55及びC90により染色した。フローサイトメトリー分析を抗マウスIgG-APCにより遂行した。図中で示されるような上から下へのトレースは、図の下に示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の左から右と相関する。
図12】キメラ抗体がBAFF-R発現L細胞に対してADCCを誘導したことを示す、グラフである。BAFF-R発現D2C L細胞(標的)をクロム-51により標識し、後続して、キメラmAb+NK細胞(エフェクター対標的の比、20:1)により一晩インキュベーションした。培養上清を放出されたクロムについて分析した。
図13】腫瘍細胞に対する細胞毒性のためにNK細胞に要求されるキメラ抗体を示す、グラフである。JeKo-1細胞(標的)をクロム-51により標識した。細胞を、キメラmAb(C55、C90またはリツキシマブ)により、及び20:1のエフェクター対標的の比で、NK細胞(エフェクター)有りまたは無しでインキュベーションした。キメラ抗体を50~0.005μg/mLの濃度で添加した。培養上清を放出されたクロムについて分析した。
図14】hBAFF-R mAbがBAFF/BAFF-R相互作用をブロックしたことを示す、FACSの結果である。BAFF-R発現D2C L細胞クローンをC90(0~1000ng/10細胞)により4℃で45分間インキュベーションし、後続して、組み換えBAFFリガンド(0.5μg/10細胞)により4℃で90分間インキュベーションした。フローサイトメトリーを遂行し、抗BAFF-PEについてゲートした。シグナルプロットは、各々のmAb濃度の存在下におけるBAFF/BAFF-Rの結合シグナルを示す。シグナルプロットにおいて示される濃度は、FACSの結果の各々の上部に示される。
図15】限定的な内部移行がBAFF-R mAbにより観察されたことを示す、FACSの結果である。Mino細胞をmAb C90(0.05μg/10細胞)により4℃で20分間インキュベーションし、後続して、37℃で1時間インキュベーションした。フローサイトメトリー分析を抗マウスIgG-APCにより遂行した。細胞を、表面局在化抗体(アウト)及び細胞表面染色の喪失(イン)についてゲートした。
図16-1】CD20ノックアウトクローンがCRISPRにより生成されたことを示す、FACSの結果(図16A)及びゲル画像(16B)である。JeKo-1のCD20ノックアウトクローンは、CD20遺伝子座でRFPを置換する商業的CRISPR/HDRシステムにより生成した。図16Aでは、クローンを、CD20-/RFP+発現についてフローサイトメトリーによってスクリーニングし選別した。図16Bでは、抗CD20抗体によるウエスタンブロットを、CD20-/RFP+クローンからの全細胞溶解物について遂行した。β-アクチンをローディング対照としてブロットした。図16Cは、BAFF-R/RFP+発現についてスクリーニングして、BAFF-Rの発現がCD20のCRISPR/HDR操作によって影響を受けていなかったことを確認した、図16A中と同じクローンについてのFACSの結果を示す。
図16-2】CD20ノックアウトクローンがCRISPRにより生成されたことを示す、FACSの結果(図16A)及びゲル画像(16B)である。JeKo-1のCD20ノックアウトクローンは、CD20遺伝子座でRFPを置換する商業的CRISPR/HDRシステムにより生成した。図16Aでは、クローンを、CD20-/RFP+発現についてフローサイトメトリーによってスクリーニングし選別した。図16Bでは、抗CD20抗体によるウエスタンブロットを、CD20-/RFP+クローンからの全細胞溶解物について遂行した。β-アクチンをローディング対照としてブロットした。図16Cは、BAFF-R/RFP+発現についてスクリーニングして、BAFF-Rの発現がCD20のCRISPR/HDR操作によって影響を受けていなかったことを確認した、図16A中と同じクローンについてのFACSの結果を示す。
図16-3】CD20ノックアウトクローンがCRISPRにより生成されたことを示す、FACSの結果(図16A)及びゲル画像(16B)である。JeKo-1のCD20ノックアウトクローンは、CD20遺伝子座でRFPを置換する商業的CRISPR/HDRシステムにより生成した。図16Aでは、クローンを、CD20-/RFP+発現についてフローサイトメトリーによってスクリーニングし選別した。図16Bでは、抗CD20抗体によるウエスタンブロットを、CD20-/RFP+クローンからの全細胞溶解物について遂行した。β-アクチンをローディング対照としてブロットした。図16Cは、BAFF-R/RFP+発現についてスクリーニングして、BAFF-Rの発現がCD20のCRISPR/HDR操作によって影響を受けていなかったことを確認した、図16A中と同じクローンについてのFACSの結果を示す。
図17-1】正常なB細胞に対するBAFF-R結合の特徴評価を示す、FACSの結果である。健康なドナーからのPBMCを、APCコンジュゲートC90キメラ抗体、及び(A)リンパ球マーカーパネル(抗CD20-PE、抗CD3-PacificBlue、及び抗CD56-FITC)または(B)骨髄系細胞マーカーパネル(抗CD45-PE、抗CD15-PerCP-Cy5.5、及び抗CD14-PacificBlue)により共染色した。各々の特異的免疫細胞亜集団を、BAFF-R抗体との結合についてゲートし分析した。
図17-2】正常なB細胞に対するBAFF-R結合の特徴評価を示す、FACSの結果である。健康なドナーからのPBMCを、APCコンジュゲートC90キメラ抗体、及び(A)リンパ球マーカーパネル(抗CD20-PE、抗CD3-PacificBlue、及び抗CD56-FITC)または(B)骨髄系細胞マーカーパネル(抗CD45-PE、抗CD15-PerCP-Cy5.5、及び抗CD14-PacificBlue)により共染色した。各々の特異的免疫細胞亜集団を、BAFF-R抗体との結合についてゲートし分析した。
図18図18A及び18Bは、末梢血からの正常な免疫細胞におけるhBAFF-R mAbの特徴評価を示す、FACSの結果である。マウスmAbクローン55及び90を、単離されたヒト免疫細胞亜集団への結合について試験した。B細胞、T細胞及びNK細胞を、商業的な特異的細胞タイプ単離キットにより単離し、C55及びC90(0.05μg mAb/10細胞)により染色した。フローサイトメトリー分析を抗マウスIgGにより遂行した。PBMCからの骨髄系細胞をCD66b+についてゲートし、mAbC55及びC90についての染色を分析した。図中で示されるような上から下へのトレースは、図の隣りに示された使用される変数(例えば抗体タイプまたは細胞タイプ)の上から下と相関する。
図19-1】図19A及び19Bは免疫組織化学画像である。図19Aでは、免疫組織化学を遂行して、抗BAFF-R抗体の組織特異性を同定した。1mg/mLの抗体の1:150希釈を使用して、組織サンプルを染色した。ヒトBAFF-Rに対するC55 mAbの組織特異性(20×対物レンズ):1mg/mlのストックの1:150希釈。図19Bでは、免疫組織化学を追加で扁桃腺組織及び乳房組織で遂行して、抗BAFF-R抗体の組織特異性を同定した。1mg/mLの抗体の1:150希釈を使用して、組織サンプルを染色した。ヒトBAFF-Rに対するmAbの組織特異性(上部パネル:扁桃腺組織;下部パネル:乳房組織;20×対物レンズ)。
図19-2】図19A及び19Bは免疫組織化学画像である。図19Aでは、免疫組織化学を遂行して、抗BAFF-R抗体の組織特異性を同定した。1mg/mLの抗体の1:150希釈を使用して、組織サンプルを染色した。ヒトBAFF-Rに対するC55 mAbの組織特異性(20×対物レンズ):1mg/mlのストックの1:150希釈。図19Bでは、免疫組織化学を追加で扁桃腺組織及び乳房組織で遂行して、抗BAFF-R抗体の組織特異性を同定した。1mg/mLの抗体の1:150希釈を使用して、組織サンプルを染色した。ヒトBAFF-Rに対するmAbの組織特異性(上部パネル:扁桃腺組織;下部パネル:乳房組織;20×対物レンズ)。
図20-1】図20A及び20Bは、ヒト化バリアントに対して遂行された機能的なインビトロのアッセイを示す、グラフである。図20Aでは、ELISAアッセイをC90の9つのヒト化バリアントに対して遂行した。ヒトBAFF-Rの組み換え細胞外ドメインを抗原として使用した。抗体を0.78~100ng/mLの変動濃度で投与し、それらの吸光度を450nmで採取した。図20Bでは、ヒト化バリアントをクロム放出アッセイにおいてJeKo-1細胞に対して試験した。細胞にクロムを取込ませ、後続して、ヒト化C90バリアント及びエフェクターNK細胞により処理した。細胞を6時間インキュベーションし、上清をクロム量のためにサンプリングした。
図20-2】図20A及び20Bは、ヒト化バリアントに対して遂行された機能的なインビトロのアッセイを示す、グラフである。図20Aでは、ELISAアッセイをC90の9つのヒト化バリアントに対して遂行した。ヒトBAFF-Rの組み換え細胞外ドメインを抗原として使用した。抗体を0.78~100ng/mLの変動濃度で投与し、それらの吸光度を450nmで採取した。図20Bでは、ヒト化バリアントをクロム放出アッセイにおいてJeKo-1細胞に対して試験した。細胞にクロムを取込ませ、後続して、ヒト化C90バリアント及びエフェクターNK細胞により処理した。細胞を6時間インキュベーションし、上清をクロム量のためにサンプリングした。
図21-1】図21A及び21Bは、様々なリンパ腫株の特異的細胞毒性についてのヒト化抗体C90-4及びC90-5の分析を示す、グラフである。図21Aでは、JeKo-1、Z138及びRS4に、ヒト化抗体C90-4及びC90-5によるクロム放出アッセイを行った。0~5μg/mLの間の濃度で抗体を細胞株へ投与し、20:1のE:T比でNK細胞により6時間インキュベーションした。細胞上清をクロム含有量について分析した。図21Bでは、LY-10、MEC-2、RL及びRajiリンパ腫株に、ヒト化抗体C90-4及びC90-5によるクロム放出アッセイを行った。5μg/mLで抗体を細胞株へ投与し、20:1のE:T比でNK細胞により6時間インキュベーションした。細胞上清をクロム含有量について分析した。
図21-2】図21A及び21Bは、様々なリンパ腫株の特異的細胞毒性についてのヒト化抗体C90-4及びC90-5の分析を示す、グラフである。図21Aでは、JeKo-1、Z138及びRS4に、ヒト化抗体C90-4及びC90-5によるクロム放出アッセイを行った。0~5μg/mLの間の濃度で抗体を細胞株へ投与し、20:1のE:T比でNK細胞により6時間インキュベーションした。細胞上清をクロム含有量について分析した。図21Bでは、LY-10、MEC-2、RL及びRajiリンパ腫株に、ヒト化抗体C90-4及びC90-5によるクロム放出アッセイを行った。5μg/mLで抗体を細胞株へ投与し、20:1のE:T比でNK細胞により6時間インキュベーションした。細胞上清をクロム含有量について分析した。
図22-1】図22A及び22Bは、原発性MCLサンプルに対する結合及び細胞毒性について試験されたヒト化C90抗体最有力候補を示す、FACSの結果及びグラフである。図22Aでは、3つの原発性MCL腫瘍サンプルをCD20-APC及びビオチン化ヒト化C90により共染色し、後続して、PEコンジュゲートストレプトアビジンを使用してシグナルを検出した。図22Bでは、原発性腫瘍サンプルに対するヒト化C90の細胞毒性を、クロム放出アッセイにより評価した。細胞をクロム-51によりインキュベーションし、後続して、抗体及びエフェクターNK細胞により処理した。一晩のインキュベーションに後続して、上清をサンプリングし、クロム含有量を決定した。
図22-2】図22A及び22Bは、原発性MCLサンプルに対する結合及び細胞毒性について試験されたヒト化C90抗体最有力候補を示す、FACSの結果及びグラフである。図22Aでは、3つの原発性MCL腫瘍サンプルをCD20-APC及びビオチン化ヒト化C90により共染色し、後続して、PEコンジュゲートストレプトアビジンを使用してシグナルを検出した。図22Bでは、原発性腫瘍サンプルに対するヒト化C90の細胞毒性を、クロム放出アッセイにより評価した。細胞をクロム-51によりインキュベーションし、後続して、抗体及びエフェクターNK細胞により処理した。一晩のインキュベーションに後続して、上清をサンプリングし、クロム含有量を決定した。
図23】ビオチン化ヒト化C90-4及びC90-5のフローサイトメトリー分析を示す、FACSの結果である。抗体を使用してPBMCを染色し、後続して、蛍光PEストレプトアビジンプローブにより検出した。PBMCを、顆粒球マーカーCD66b-PerCP-Cy5.5、単球マーカーCD14-PE-Cy7、B細胞マーカーCD20-APC、T細胞マーカーCD3-PE-Cy5、及びNK細胞マーカーCD56-FITCでも標識した。PBMCをフローサイトメトリーによって分析した。
図24】BAFF-Rキメラ抗原受容体(CAR)のT細胞のインビボの腫瘍治療を示す、画像である。ドナーT細胞を、4-1BBモチーフを備えたT細胞受容体シグナル伝達ドメインの上にキメラC55抗BAFF-R一本鎖(sFv)を発現するように操作した。NSGマウスを、最小致死用量(1×10細胞)のNHL JeKo-1-Luci細胞により攻撃投与した。腫瘍が生物発光画像化によって検出可能であるまで、腫瘍細胞を生着させた(9日目)。腫瘍攻撃投与の9及び15日後に、T細胞療法(5×10CAR-T細胞)または対照のいずれかをマウスに投与した。マウスを3日ごとに厳密にモニタリング及び画像化して腫瘍発達を追跡した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
とりわけ、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含むBAFF-R抗体が本明細書において提供される。抗体の機能的断片も提供される。本明細書において提供されるBAFF-R抗体及びその機能的断片は、ヒトBAFF-Rタンパク質へ結合することができ、BAFF-R発現する細胞(例えばB細胞)に抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘導する。随意に、本明細書において提供される抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、キメラ抗原受容体(CAR)の一部を形成する。したがって、本明細書において提供される組成物及び方法は、とりわけ、がん(例えばB細胞悪性腫瘍)または自己免疫疾患の治療のために使用され得る。
【0017】
本明細書において参照される時、BAFF-R、BAFF受容体またはBAFF-Rタンパク質としては、B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)の組み換え形態または天然に存在する形態のうちの任意のものが挙げられ、それらは、BAFF-R活性を維持する(例えばBAFF-Rに比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%内の活性)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13C(TNFRSF13C)またはそのバリアントもしくはホモログとしても公知である。随意に、バリアントまたはホモログは、天然に存在するBAFF-Rに比較して、全体の配列または配列の部分(例えば50、100、150または200の連続的なアミノ酸部分)にわたって、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する。随意に、BAFF-Rは、UniProt参照番号Q96RJ3またはそれへの実質的な同一性を有するバリアントもしくはホモログによって同定されるタンパク質に実質的に同一である。随意に、BAFF-Rは、UniProt参照番号Q9D8D0またはそれへの実質的な同一性を有するバリアントもしくはホモログによって同定されるタンパク質に実質的に同一である。随意に、BAFF-Rは、NCBI参照番号GI:16445027またはそれへの実質的な同一性を有するバリアントもしくはホモログによって同定されるタンパク質に実質的に同一である。随意に、BAFF-Rは、NCBI参照番号GI:16306481またはそれへの実質的な同一性を有するバリアントもしくはホモログによって同定されるタンパク質に実質的に同一である。
【0018】
軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含むB細胞活性化因子受容体(BAFF-R)抗体が提供される。軽鎖可変領域は、配列番号1中で明記される通りのCDR L1、配列番号2中で明記される通りのCDR L2、及び配列番号3中で明記される通りのCDR L3を含む。そして、重鎖可変領域は、配列番号4中で明記される通りのCDR H1、配列番号5中で明記される通りのCDR H2、及び配列番号6中で明記される通りのCDR H3を含む。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号7中で明記される通りのCDR L1、配列番号8中で明記される通りのCDR L2、及び配列番号9中で明記される通りのCDR L3を含む。そして、重鎖可変領域は、配列番号10中で明記される通りのCDR H1、配列番号11中で明記される通りのCDR H2、及び配列番号12中で明記される通りのCDR H3を含む。随意に、抗体はヒト化抗体である。開示される抗体の機能的断片も提供される。
【0019】
本明細書において提供されるようなヒト化抗体は、BAFF-Rタンパク質と結合することができ、本明細書において提供されるBAFF-R抗体の少なくとも1つのマウスCDRまたはその機能的断片もしくはバリアント(例えば配列番号1または7のCDR L1、配列番号2または8のCDR L2、配列番号3または9のCDR L3、配列番号4または10のCDR H1、配列番号5または11のCDR H2、配列番号7または13のCDR H3)を含む。CDRの機能的断片は完全なCDRアミノ酸配列の部分であるが、機能的断片を含有する抗体またはその断片は、抗原(例えばBAFF-R)へそれでもまだ結合することができる。CDRの機能的なバリアントは、CDR配列への1つまたは複数の変化を備えたCDRであるが、機能的なバリアントを含有する抗体またはその機能的断片は、抗原(例えばBAFF-R)へそれでもまだ結合することができる。例えば、CDRをコードする核酸配列の機能的なバリアントは、1つまたは複数の変化を含み得るが、それでもまだCDRの同じアミノ酸配列をコードする。さらに、抗体またはその機能的断片が抗原へ結合する限り、CDRのポリペプチド配列の機能的なバリアントは1つまたは複数のアミノ酸変化を含むことができる。したがって、CDRの機能的断片またはバリアントは、典型的には、抗原(例えばBAFF-R)への抗体結合のために要求されるアミノ酸残基を含む。ヒト化抗体が少なくとも1つのCDRを含む場合に、少なくとも1つのCDRまたはその機能的断片は、ドナー抗体に由来する。随意に、ドナー抗体はマウス抗体である。当業者は、少なくとも1つのマウスCDRを含むヒト化抗体がドナー抗体に由来する少なくとも1つのマウスCDRを備えたヒト化抗体であり、追加のCDRがアクセプター抗体に由来することを直ちに認識するだろう(例えば軽鎖が合計3つのCDRを含み、重鎖が合計3つのCDRを含む場合)。
【0020】
本明細書において提供されるBAFF-R抗体がヒト化抗体である場合に、抗体は、ヒト化重鎖可変領域及び/またはヒト化軽鎖可変領域を含み得る。随意に、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域は、組み合わせられた1つのマウスCDRまたはマウスCDRの機能的断片もしくはバリアントを含む。したがって、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域は、6つのCDRのうちの少なくとも1つがマウスCDRである、6つの組み合わせられたCDRを含み得る。ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域が、組み合わせられた1つのマウスCDRを含む場合に、ヒト化軽鎖可変領域またはヒト化重鎖可変領域は1つのマウスCDRを含む。例えば、ヒト化抗体は、ドナー抗体に由来するCDR L3(例えばマウス、本明細書においてマウスCDR L3とも称される)、ならびにアクセプター抗体に由来するCDR L1、CDR L2、CDR H1、CDR H2及びCDR H3(すなわちヒト)を含み得る。
【0021】
随意に、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域は、2つの組み合わせられたマウスCDRを含む。ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域が、組み合わせられた2つのマウスCDRを含む場合に、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域は各々1つのマウスCDRを含む(i)か、ヒト化軽鎖可変領域は2つのマウスCDRを含む(ii)か、または、ヒト化重鎖可変領域は2つのマウスCDRを含む(iii)。例えば、ヒト化抗体は、ドナー抗体に由来するCDR L3及びCDR H3(例えばマウス、本明細書においてそれぞれマウスCDR L3及びマウスCDR H3とも称される)、ならびにアクセプター抗体に由来するCDR L1、CDR L2、CDR H1、及びCDR H2(すなわちヒト)を含み得る。
【0022】
随意に、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域は、3つの組み合わせられたマウスCDRを含む。ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域が、組み合わせられた3つのマウスCDRを含む場合に、ヒト化軽鎖可変領域は1つのマウスCDRを含み、ヒト化重鎖可変領域は2つのマウスCDRを含み得る(i)か、ヒト化軽鎖可変領域は2つのマウスCDRを含み、ヒト化重鎖可変領域は1つのマウスCDRを含む(ii)か、ヒト化軽鎖可変領域は3つのマウスCDRを含む(iii)か、または、ヒト化重鎖可変領域は3つのマウスCDRを含む(iv)。例えば、ヒト化抗体は、ドナー抗体に由来するCDR L3、CDR H3及びCDR L2(例えばマウス、本明細書においてそれぞれマウスCDR L3、マウスCDR H3及びマウスCDR L2とも称される)、ならびにアクセプター抗体に由来するCDR L1、CDR H1、及びCDR H2(すなわちヒト)を含み得る。
【0023】
ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域は、4つの組み合わせられたマウスCDRを含み得る。ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域が、組み合わせられた4つのマウスCDRを含む場合に、ヒト化軽鎖可変領域は1つのマウスCDRを含み、ヒト化重鎖可変領域は3つのマウスCDRを含む(i)か、ヒト化軽鎖可変領域は3つのマウスCDRを含み、ヒト化重鎖可変領域は1つのマウスCDRを含む(ii)か、または、ヒト化軽鎖可変領域は2つのマウスCDRを含み、ヒト化重鎖可変領域は2つのマウスCDRを含む(iii)。例えば、ヒト化抗体は、ドナー抗体に由来するCDR L3、CDR H3、CDR L2及びCDR L1(例えばマウス、本明細書においてそれぞれマウスCDR L3、マウスCDR H3、マウスCDR L2及びマウスCDR L1とも称される)、ならびにアクセプター抗体に由来するCDR H1、及びCDR H2(すなわちヒト)を含み得る。
【0024】
ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域は各々、少なくとも1つのマウスCDRを含み得る。ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域が各々、少なくとも1つのマウスCDRを含む場合に、ヒト化軽鎖可変領域は少なくとも1つのマウスCDRを含み、ヒト化重鎖可変領域は少なくとも1つのマウスCDRを含む。したがって、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L1を含み、ヒト化重鎖はマウスCDR H1を含み得る。随意に、マウスCDR L1は配列番号1のアミノ酸配列を含み、マウスCDR H1は配列番号4のアミノ酸配列を含む。随意に、マウスCDR L1は配列番号1のアミノ酸配列であり、マウスCDR H1は配列番号4のアミノ酸配列である。随意に、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L2を含み、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H2を含む。随意に、マウスCDR L2は配列番号2のアミノ酸配列を含み、マウスCDR H2は配列番号5のアミノ酸配列を含む。随意に、マウスCDR L2は配列番号2のアミノ酸配列であり、マウスCDR H2は配列番号5のアミノ酸配列である。随意に、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L3を含み、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H3を含む。随意に、マウスCDR L3は配列番号3のアミノ酸配列を含み、マウスCDR H3は配列番号6のアミノ酸配列を含む。随意に、CDR L3は配列番号3のアミノ酸配列であり、マウスCDR H3は配列番号6のアミノ酸配列である。
【0025】
随意に、マウスCDR L1は配列番号7のアミノ酸配列を含み、マウスCDR H1は配列番号10のアミノ酸配列を含む。随意に、マウスCDR L1は配列番号7のアミノ酸配列であり、マウスCDR H1は配列番号10のアミノ酸配列である。随意に、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L2を含み、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H2を含む。随意に、マウスCDR L2は配列番号8のアミノ酸配列を含み、マウスCDR H2は配列番号11のアミノ酸配列を含む。随意に、マウスCDR L2は配列番号8のアミノ酸配列であり、マウスCDR H2は配列番号11のアミノ酸配列である。随意に、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L3を含み、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H3を含む。随意に、マウスCDR L3は配列番号9のアミノ酸配列を含み、マウスCDR H3は配列番号12のアミノ酸配列を含む。随意に、CDR L3は配列番号9のアミノ酸配列であり、マウスCDR H3は配列番号12のアミノ酸配列である。
【0026】
マウスCDR L3及びマウスCDR H3の存在は、ヒト化抗体のBAFF-Rへの結合のために十分であり得る。したがって、ヒト化抗体は、マウスCDR L1、マウスCDR L2、CDR H1またはマウスCDR H2を含まなくてもよい。ヒト化抗体がマウスCDR L1、マウスCDR L2、マウスCDR H1またはマウスCDR H2を含まない場合に、ヒト化抗体は、アクセプター抗体(すなわちヒト)に由来するCDR L1、CDR L2、CDR H1またはCDR H2を含む。したがって、マウスCDR L1、マウスCDR L2、マウスCDR H1またはマウスCDR H2を含まないヒト化抗体は、ドナー抗体(例えばマウス、ラット、ウサギ)からのCDR L1、CDR L2、CDR H1またはCDR H2を含まないが、アクセプター抗体(すなわちヒト)からのCDR L1、CDR L2、CDR H1またはCDR H2を含む。したがって、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L1またはマウスCDR L2を含まなくてもよく、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H1またはマウスCDR H2を含まない。随意に、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L1及びマウスCDR L2を含まず、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H1及びマウスCDR H2を含まない。
【0027】
随意に、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L2及びマウスCDR L3を含み、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H2及びマウスCDR H3を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域はマウスCDR L1、マウスCDR L2及びマウスCDR L3を含み、ヒト化重鎖可変領域はマウスCDR H1、マウスCDR H2及びマウスCDR H3を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号1中で明記される通りのマウスCDR L1、配列番号2中で明記される通りのマウスCDR L2、及び配列番号3中で明記される通りのマウスCDR L3を含み、ヒト化重鎖可変領域は、配列番号4中で明記される通りのマウスCDR H1、配列番号5中で明記される通りのマウスCDR H2、及び配列番号6中で明記される通りのマウスCDR H3を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号7中で明記される通りのマウスCDR L1、配列番号8中で明記される通りのマウスCDR L2、及び配列番号9中で明記される通りのマウスCDR L3を含み、ヒト化重鎖可変領域は、配列番号10中で明記される通りのマウスCDR H1、配列番号11中で明記される通りのマウスCDR H2、及び配列番号12中で明記される通りのマウスCDR H3を含む。
【0028】
CDR及びFRの位置はKabatナンバリングシステムによって定義され得る(Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、U.S.Government Printing Office(1991))。同様に、抗体の軽鎖または重鎖内の個別の残基によって占められる位置は、Kabatナンバリングシステムによって定義され得る。したがって、ヒト化抗体のヒト化軽鎖及びヒト化重鎖内での結合のために要求される残基の所在位置は、当該技術分野において周知であるように、Kabatナンバリングシステムに従った残基の位置によって定義され得る。上記のように、ヒト化抗体は、ドナー抗体(例えばマウス)からのCDR及びヒト抗体からの可変領域フレームワーク(FR)を有する抗体であり得る。フレームワーク領域(FR)は、ヒト化抗体中で正しい場所にCDRを保持するとされる。アミノ末端から進行して、これらの領域は、軽鎖についてFR L1、FR L2、FR L3及びFR L4ならびに重鎖についてFR H1、FR H2、FR H3及びFR H4と、それぞれ表記される。フレームワーク領域内の1つまたは複数の残基を含む、ヒト化抗体が本明細書において提供される。随意に、これらの残基は、ヒト化抗体のエピトープ結合のために重要である。エピトープ結合(例えばBAFF-R結合)に関与(または重要)であるフレームワーク領域残基は、本明細書において結合フレームワーク領域残基と称される。結合フレームワーク領域残基は、ヒト化軽鎖可変領域のフレームワーク領域(すなわちFR L1、FR L2、FR L3、FR L4)中に存在し得るか、または、それらは、ヒト化重鎖可変領域のフレームワーク(すなわちFR H1、FR H2、FR H3、FR H4)中に存在し得る。ヒト化軽鎖のFR L3領域中に存在する結合フレームワーク残基は、FR L3結合フレームワーク領域残基と本明細書において称される。したがって、ヒト化重鎖のFR H3領域中に存在する結合フレームワーク領域残基は、FR H3結合フレームワーク領域残基と本明細書において称される。
【0029】
随意に、ヒト化抗体は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は、1つまたは複数のFR L1、FR L2、FR L3またはFR L4結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は1つまたは複数のFR L1結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は1つまたは複数のFR L2結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は1つまたは複数のFR L3結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は1つまたは複数のFR L4結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は、1つまたは複数のFR H1、FR H2、FR H3またはFR H4結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は1つまたは複数のFR H1結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は1つまたは複数のFR H2結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は1つまたは複数のFR H3結合フレームワーク領域残基を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は1つまたは複数のFR H4結合フレームワーク領域残基を含む。
【0030】
ヒト化軽鎖可変領域は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50以上の残基)を含み、ヒト化重鎖可変領域は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50以上の残基)を含み得る。ヒト化抗体内の結合フレームワーク領域残基の位置は、CDR残基の位置に類似するKabatナンバリングシステムによって定義され得る。
【0031】
随意に、軽鎖可変領域はKabat位置7に対応する位置でセリンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置8に対応する位置でプロリンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置15に対応する位置でバリンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置22に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置24に対応する位置でグルタミンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置41に対応する位置でグリシンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置42に対応する位置でリジンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置43に対応する位置でアラニンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置44に対応する位置でプロリンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置56に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置72に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置73に対応する位置でフェニルアラニンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置79に対応する位置でグルタミンを含む。随意に、軽鎖可変領域はKabat位置104に対応する位置でバリンを含む。
【0032】
随意に、軽鎖可変領域は、Kabat位置7に対応する位置でセリン、Kabat位置8に対応する位置でプロリン、Kabat位置15に対応する位置でバリン、Kabat位置22に対応する位置でスレオニン、Kabat位置24に対応する位置でグルタミンもしくはセリン、Kabat位置41に対応する位置でグリシン、Kabat位置42に対応する位置でリジン、Kabat位置43に対応する位置でアラニンもしくはスレオニン、Kabat位置44に対応する位置でプロリン、Kabat位置56に対応する位置でスレオニン、Kabat位置72に対応する位置でスレオニン、Kabat位置73に対応する位置でフェニルアラニンもしくはリジン、Kabat位置79に対応する位置でグルタミン、またはKabat位置104に対応する位置でバリンを含む。
【0033】
随意に、軽鎖可変領域は、Kabat位置7に対応する位置でセリン、Kabat位置8に対応する位置でプロリン、Kabat位置15に対応する位置でバリン、Kabat位置22に対応する位置でスレオニン、Kabat位置24に対応する位置でグルタミンまたはセリン、Kabat位置41に対応する位置でグリシン、Kabat位置42に対応する位置でリジン、Kabat位置43に対応する位置でアラニンまたはスレオニン、Kabat位置44に対応する位置でプロリン、Kabat位置56に対応する位置でスレオニン、Kabat位置72に対応する位置でスレオニン、Kabat位置73に対応する位置でフェニルアラニンまたはリジン、Kabat位置79に対応する位置でグルタミン、及びKabat位置104に対応する位置でバリンを含む。
【0034】
随意に、軽鎖可変領域は、Kabat位置7に対応する位置でセリン、Kabat位置8に対応する位置でプロリン、Kabat位置15に対応する位置でバリン、Kabat位置22に対応する位置でスレオニン、Kabat位置24に対応する位置でグルタミンもしくはセリン、Kabat位置41に対応する位置でグリシン、Kabat位置42に対応する位置でリジン、Kabat位置43に対応する位置でアラニンもしくはスレオニン、Kabat位置44に対応する位置でプロリン、Kabat位置56に対応する位置でスレオニン、Kabat位置72に対応する位置でスレオニン、Kabat位置73に対応する位置でフェニルアラニンもしくはリジン、Kabat位置79に対応する位置でグルタミン、またはKabat位置104に対応する位置でバリンである、結合フレームワーク領域残基を含む。
【0035】
随意に、重鎖可変領域はKabat位置10に対応する位置でスレオニンまたはアラニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置11に対応する位置でリジンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置12に対応する位置でバリンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置15に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置19に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置23に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置41に対応する位置でプロリンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置44に対応する位置でアラニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置61に対応する位置でプロリンまたはスレオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置66に対応する位置でアルギニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置70に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置75に対応する位置でリジンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置79に対応する位置でバリンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置81に対応する位置でスレオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置82に対応する位置でメチオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置82Bに対応する位置でアスパラギンを含む。随意に、重鎖可変領域は、Kabat位置82Cに対応する位置でメチオニンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置84に対応する位置でプロリンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置85に対応する位置でバリンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置108に対応する位置でリジンを含む。随意に、重鎖可変領域はKabat位置109に対応する位置でバリンを含む。
【0036】
随意に、重鎖可変領域は、Kabat位置10に対応する位置でスレオニンもしくはアラニン、Kabat位置11に対応する位置でリジン、Kabat位置12に対応する位置でバリン、Kabat位置15に対応する位置でスレオニン、Kabat位置19に対応する位置でスレオニン、Kabat位置23に対応する位置でスレオニン、Kabat位置41に対応する位置でプロリン、Kabat位置44に対応する位置でアラニン、プロリン、Kabat位置61に対応する位置でセリンもしくはスレオニン、Kabat位置66に対応する位置でアルギニン、Kabat位置70に対応する位置でスレオニン、Kabat位置75に対応する位置でリジン、Kabat位置79に対応する位置でバリン、Kabat位置81に対応する位置でスレオニンもしくはリジン、Kabat位置82に対応する位置でメチオニン、Kabat位置82Bに対応する位置でアスパラギン、Kabat位置82Cに対応する位置でメチオニン、Kabat位置84に対応する位置でプロリン、Kabat位置85に対応する位置でバリン、Kabat位置108に対応する位置でリジン、またはKabat位置109に対応する位置でバリンを含む。
【0037】
随意に、重鎖可変領域は、Kabat位置10に対応する位置でスレオニンもしくはアラニン、Kabat位置11に対応する位置でリジン、Kabat位置12に対応する位置でバリン、Kabat位置15に対応する位置でスレオニン、Kabat位置19に対応する位置でスレオニン、Kabat位置23に対応する位置でスレオニン、Kabat位置41に対応する位置でプロリン、Kabat位置44に対応する位置でアラニン、プロリン、Kabat位置61に対応する位置でセリンもしくはスレオニン、Kabat位置66に対応する位置でアルギニン、Kabat位置70に対応する位置でスレオニン、Kabat位置75に対応する位置でリジン、Kabat位置79に対応する位置でバリン、Kabat位置81に対応する位置でスレオニンもしくはリジン、Kabat位置82に対応する位置でメチオニン、Kabat位置82Bに対応する位置でアスパラギン、Kabat位置82Cに対応する位置でメチオニン、Kabat位置84に対応する位置でプロリン、Kabat位置85に対応する位置でバリン、Kabat位置108に対応する位置でリジン、及びKabat位置109に対応する位置でバリンを含む。
【0038】
随意に、重鎖可変領域は、Kabat位置10に対応する位置でスレオニンもしくはアラニン、Kabat位置11に対応する位置でリジン、Kabat位置12に対応する位置でバリン、Kabat位置15に対応する位置でスレオニン、Kabat位置19に対応する位置でスレオニン、Kabat位置23に対応する位置でスレオニン、Kabat位置41に対応する位置でプロリン、Kabat位置44に対応する位置でアラニン、プロリン、Kabat位置61に対応する位置でセリンもしくはスレオニン、Kabat位置66に対応する位置でアルギニン、Kabat位置70に対応する位置でスレオニン、Kabat位置75に対応する位置でリジン、Kabat位置79に対応する位置でバリン、Kabat位置81に対応する位置でスレオニンもしくはリジン、Kabat位置82に対応する位置でメチオニン、Kabat位置82Bに対応する位置でアスパラギン、Kabat位置82Cに対応する位置でメチオニン、Kabat位置84に対応する位置でプロリン、Kabat位置85に対応する位置でバリン、Kabat位置108に対応する位置でリジン、またはKabat位置109に対応する位置でバリンである、結合フレームワーク領域残基を含む。
【0039】
マウスCDR L1、マウスCDR L2またはマウスCDR L3を含むヒト化軽鎖可変領域、及びマウスCDR H1またはマウスCDR H2またはマウスCDR H3を含むヒト化重鎖可変領域を含む、ヒト化BAFF-R抗体が提供される。ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号1中で明記される通りのマウスCDR L1、配列番号2中で明記される通りのマウスCDR L2、または配列番号3中で明記される通りのマウスCDR L3を含み得る。ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号1中で明記される通りのマウスCDR L1、配列番号2中で明記される通りのマウスCDR L2、及び配列番号3中で明記される通りのマウスCDR L3を含み得る。ヒト化重鎖可変領域は、配列番号4中で明記される通りのマウスCDR H1、配列番号5中で明記される通りのマウスCDR H2、または配列番号6中で明記される通りのマウスCDR H3を含み得る。ヒト化重鎖可変領域は、配列番号4中で明記される通りのマウスCDR H1、配列番号5中で明記される通りのマウスCDR H2、及び配列番号6中で明記される通りのマウスCDR H3を含み得る。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号1中で明記される通りのマウスCDR L1を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号2中で明記される通りのマウスCDR L2を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号3中で明記される通りのマウスCDR L3を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は配列番号4中で明記される通りのマウスCDR H1を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は配列番号5中で明記される通りのマウスCDR H2を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号6中で明記される通りのマウスCDR H3を含む。さらなる実施形態において、ヒト化軽鎖可変領域は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基を含む。他のさらなる実施形態において、ヒト化重鎖可変領域は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基を含む。
【0040】
マウスCDR L1、マウスCDR L2またはマウスCDR L3を含むヒト化軽鎖可変領域、及びマウスCDR H1またはマウスCDR H2またはマウスCDR H3を含むヒト化重鎖可変領域を含む、ヒト化BAFF-R抗体が提供される。ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号7中で明記される通りのマウスCDR L1、配列番号8中で明記される通りのマウスCDR L2、または配列番号9中で明記される通りのマウスCDR L3を含み得る。ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号7中で明記される通りのマウスCDR L1、配列番号8中で明記される通りのマウスCDR L2、及び配列番号9中で明記される通りのマウスCDR L3を含み得る。ヒト化重鎖可変領域は、配列番号10中で明記される通りのマウスCDR H1、配列番号11中で明記される通りのマウスCDR H2、または配列番号12中で明記される通りのマウスCDR H3を含み得る。ヒト化重鎖可変領域は、配列番号10中で明記される通りのマウスCDR H1、配列番号11中で明記される通りのマウスCDR H2、及び配列番号12中で明記される通りのマウスCDR H3を含み得る。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号7中で明記される通りのマウスCDR L1を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号8中で明記される通りのマウスCDR L2を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号9中で明記される通りのマウスCDR L3を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は配列番号10中で明記される通りのマウスCDR H1を含む。随意に、ヒト化重鎖可変領域は配列番号11中で明記される通りのマウスCDR H2を含む。随意に、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号12中で明記される通りのマウスCDR H3を含む。さらなる実施形態において、ヒト化軽鎖可変領域は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基を含む。他のさらなる実施形態において、ヒト化重鎖可変領域は少なくとも1つの結合フレームワーク領域残基を含む。
【0041】
随意に、軽鎖可変領域は、配列番号18、配列番号20、または配列番号22の配列を含む。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号18の配列を含む。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号20の配列を含む。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号22の配列を含む。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号18の配列である。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号20の配列である。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号22の配列である。随意に、重鎖可変領域は、配列番号24、配列番号26、または配列番号28の配列を含む。随意に、重鎖可変領域は、配列番号24の配列を含む。随意に、重鎖可変領域は、配列番号26の配列を含む。随意に、重鎖可変領域は、配列番号28の配列を含む。随意に、重鎖可変領域は、配列番号24の配列である。随意に、重鎖可変領域は、配列番号26の配列である。随意に、重鎖可変領域は、配列番号28の配列である。したがって、別の態様において、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域を含むヒト化BAFF-R抗体が提供され、そこで、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号18の配列を含み、重鎖可変領域は配列番号24の配列を含む。別の態様において、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域を含むヒト化BAFF-R抗体が提供され、そこで、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号20の配列を含み、重鎖可変領域は配列番号26の配列を含む。別の態様において、ヒト化軽鎖可変領域及びヒト化重鎖可変領域を含むヒト化BAFF-R抗体が提供され、そこで、ヒト化軽鎖可変領域は配列番号22の配列を含み、重鎖可変領域は配列番号28の配列を含む。
【0042】
随意に、抗体はキメラ抗体である。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号14の配列を含む。随意に、重鎖可変領域は、配列番号16の配列を含む。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号14の配列である。随意に、重鎖可変領域は、配列番号16の配列である。したがって、別の態様において、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含むキメラBAFF-R抗体が提供され、そこで、軽鎖可変領域は配列番号14の配列を含み、重鎖可変領域は配列番号16の配列を含む。
【0043】
随意に、軽鎖可変領域は、配列番号30の配列を含む。随意に、重鎖可変領域は、配列番号32の配列を含む。随意に、軽鎖可変領域は、配列番号30の配列である。随意に、重鎖可変領域は、配列番号32の配列である。したがって、別の態様において、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含むキメラBAFF-R抗体が提供され、そこで、軽鎖可変領域は配列番号30の配列を含み、重鎖可変領域は配列番号32の配列を含む。
【0044】
抗体が本明細書において列挙される各々の事例において、機能的断片は使用され得る。したがって、例えば、重鎖(例えば定常領域及び可変領域を含む)及び軽鎖(例えば定常領域及び可変領域を含む)を含み得る、Fab’断片が提供される。随意に、Fab’断片は、ヒト化重鎖(例えば定常領域及び可変領域を含む)及びヒト化軽鎖(例えば、定常領域及び可変領域を含む)を含む。
【0045】
随意に、BAFF-R抗体またはその断片はヒト定常領域を含む。随意に、BAFF-R抗体またはその断片はIgGである。随意に、BAFF-R抗体またはその断片はIgG1である。随意に、BAFF-R抗体またはその断片はIgG2である。随意に、BAFF-R抗体またはその断片はIgG3である。随意に、BAFF-R抗体またはその断片はIgG4である。随意に、BAFF-R抗体またはその断片はIgAである。随意に、BAFF-R抗体またはその断片はIgMである。
【0046】
随意に、BAFF-R抗体またはその断片は一本鎖抗体である。一本鎖抗体は可変軽鎖及び可変重鎖を含む。当業者は、免疫グロブリン抗体(それは2つの同一ペアのポリペプチド鎖を含み、各々のペアは1つの軽鎖及び1つの重鎖を有する)とは対照的に、一本鎖抗体が単一軽鎖及び単一重鎖を含むことを、直ちに認識するだろう。そして各々の軽鎖及び重鎖は、2つの領域:標的抗原の結合に関与する可変(「V」)領域(すなわち可変軽鎖及び可変重鎖)、及び免疫系の他の構成要素と相互作用する定常(「C」)領域からなる。一本鎖抗体中の可変軽鎖及び可変重鎖は、リンカーペプチドを介して連結され得る。一本鎖抗体のリンカーペプチドについての例は、Bird,R.E.,et al.,Science.242(4877):423-6(1988)中で記載される。scFv抗体を作製する方法が記載されている。Huse et al.,Science 246:1275-1281(1989);Ward et al.,Nature 341:544-546(1989);及びVaughan et al.,Nature Biotech.14:309-314(1996)を参照されたい。簡潔には、免疫付与された動物からのB細胞からのmRNAを単離し、cDNAを調製する。免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域についての特異的プライマーを使用して、cDNAを増幅する。PCR産物を精製し、核酸配列を連結する。リンカーペプチドが所望されるならば、ペプチドをコードする核酸配列を重鎖核酸配列と軽鎖核酸配列との間に挿入する。scFvをコードする核酸はベクターの中へ挿入され、適切な宿主細胞中で発現される。
【0047】
抗体またはその機能的断片が特異的エピトープ(例えばBAFF-R)と結合する能力は、平衡解離定数(K)によって記載され得る。本明細書において定義されるような平衡解離定数(K)は、BAFF-Rタンパク質へのBAFF-R抗体の解離速度(K-オフ)及び会合速度(K-オン)の比である。それは以下の式:K=K-オフ/K-オン、によって記載される。随意に、BAFF-R抗体は、約5nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約4.5nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約4nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約3.5nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約3nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約2.5nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約2nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約1.5nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約1nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体は、約0.5nMよりも低い平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。
【0048】
随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約0.5nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約1nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約1.5nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約2nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約2.5nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約3nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約3.5nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約4nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約4.5nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約5nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5nMの平衡解離定数(K)でBAFF-Rタンパク質と結合することができる。
【0049】
随意に、BAFF-Rと約4nMよりも低いKで結合することができる提供されるヒト化B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)抗体が、提供される。随意に、BAFF-Rと約4nMよりも低いKで結合するヒト化B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)抗体が、提供される。随意に、抗体はBAFF-R活性を誘導しない。
【0050】
随意に、BAFF-R抗体はBAFF-Rタンパク質へ結合される。随意に、BAFF-Rタンパク質はヒトBAFF-Rタンパク質である。随意に、BAFF-Rタンパク質は、NCBI遺伝子識別番号115650によって同定される核酸配列によってコードされる。随意に、BAFF-Rタンパク質は細胞の一部を形成する。随意に、BAFF-Rタンパク質は前記細胞の表面上に発現される。随意に、細胞はリンパ球様細胞である。随意に、細胞はB細胞である。随意に、細胞はがん細胞である。随意に、がん細胞はリンパ腫細胞である。
【0051】
様々な診断用部分及び治療用部分ならびにその組み合わせは、本明細書において提供されるBAFF-R抗体またはその機能的断片(その実施形態を含む)へコンジュゲートされ得、それによって、高度に安定的及び/もしくは多用性のある薬物送達ならびに/または診断組成物を提供する。随意に、BAFF-R抗体またはその機能的断片は治療用部分または診断用部分を含む。随意に、治療用部分または診断用部分は、化学的リンカーを介してBAFF-R抗体またはその機能的断片へ結合される。随意に、化学的リンカーは共有結合リンカーまたは非共有結合リンカーである。抗体への治療用部分のコンジュゲートのための技法は周知である(例えばArnon et al.、Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeld et al.(編)中のページ243-56(Alan R.Liss,Inc.1985));Hellstrom et al.、Antibodies For Drug Delivery in Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinson et al.(編)、ページ623-53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe,Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review in Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(編)、ページ475-506(1985);及びThorpe et al.,The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates,Immunol.Rev.,62:119-58(1982)を参照)。本明細書において使用される時、抗体医薬コンジュゲートまたはADCという用語は、抗体またはその機能的断片へコンジュゲートされた治療用部分、またはそうでなければ共有結合された治療用部分を指す。
【0052】
本明細書において提供されるような治療用部分という用語は、その平易な通常の意味に従って使用され、それを必要とする対象へ与えられた場合に治療利益(例えば治療されている根底にある障害の予防、根絶、改善)を有する一価化合物を指す。本明細書において提供されるような治療用部分としては、ペプチド、タンパク質、核酸、核酸類似体、小分子、抗体、酵素、プロドラッグ、細胞毒性剤(例えば毒素)が限定されずに挙げられ、これらには、リシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素(PE)A、PE40、アブリン、及びグルココルチコイドが含まれるがこれらに限定されない。随意に、治療用部分は、本明細書において記載されるような抗がん剤または化学療法剤である。随意に、治療用部分は、核酸部分、ペプチド部分または小分子薬物部分である。随意に、治療用部分は核酸部分である。随意に、治療用部分は抗体部分である。随意に、治療用部分はペプチド部分である。随意に、治療用部分は小分子薬物部分である。随意に、治療用部分はヌクレアーゼである。随意に、治療用部分は免疫促進物質である。随意に、治療用部分は毒素である。随意に、治療用部分はヌクレアーゼである。
【0053】
本明細書において提供される抗体またはその機能的断片を含むキメラ抗原受容体(CAR)も、本明細書において提供される。
【0054】
本明細書において提供されるBAFF-R抗体またはその機能的断片(その実施形態を含む)をコードする単離された核酸が、提供される。単離された核酸によってコードされるBAFF-R抗体またはその機能的断片は、本出願(上の記載及び実施例切片を含む)を通して詳細に記載される。例えば、核酸は、少なくとも1つのCDR、エピトープの結合に関与する特異的残基、または結合フレームワーク残基をコードし得る。例えば、核酸は、配列番号1の配列を含む軽鎖をコードし得る。
【0055】
随意に、単離された核酸は、配列番号13、配列番号15、配列番号29、または配列番号31の配列を含む。随意に、単離された核酸は、配列番号13の配列及び配列番号15の配列を含む。随意に、単離された核酸は、配列番号29の配列及び配列番号31の配列を含む。
【0056】
随意に、単離された核酸は、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、または配列番号27の配列を含む。随意に、単離された核酸は、配列番号17の配列及び配列番号23の配列を含む。随意に、単離された核酸は、配列番号19の配列及び配列番号25の配列を含む。随意に、単離された核酸は、配列番号21の配列及び配列番号27の配列を含む。
【0057】
治療有効量の本明細書において提供されるBAFF-R抗体またはその機能的断片及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0058】
本明細書において提供されるような治療有効量は、その意図された目的を達成するのに有効な量を指す。特定の適用のために有効な実際の量は、とりわけ治療されている病態に依存するだろう。疾患を治療する方法において投与される場合に、本明細書において記載される医薬組成物は、所望される結果(例えば標的分子(例えばBAFF-R)の活性を修飾すること、及び/または、疾患症状(例えばがん、自己免疫疾患)の進行を低減、消失もしくは減速すること)を達成するのに有効な活性のあるヒト化抗体の量を含有するだろう。本明細書において提供されるBAFF-R抗体の治療有効量の決定は、特に本明細書における詳細な開示に照らして、当業者の能力内で十分に行われる。
【0059】
許容される担体、賦形剤または安定化物質は用いられる投薬量及び濃度でレシピエントへ非毒性であり、典型的には、5.0~8.0(随意に6.0~7.0)のpHでバッファー(リン酸塩、クエン酸塩または酢酸塩等);等張にするための塩(塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び同種のもの等);抗酸化物質;防腐物質;低分子量ポリペプチド;タンパク質;親水性ポリマー(ポリソルベート80等);アミノ酸(グリシン等);炭水化物;キレート剤;糖;及び当業者に公知の他の標準的な成分(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Loyd V.Allen et al.編、Pharmaceutical Press(2012))を含む。mAbは、0.1~100mg/ml(例えば1~10mg/mlまたは10~50mg/ml、例えば5、10、20、30、40、50または60mg/ml)の濃度で存在し得る。
【0060】
抗体(例えばヒト化抗体)または本明細書において記載されるようなその機能的断片を含む、医薬組成物は、当技術分野において公知の多様な方法によって投与され得る。経路及び/または投与モードは、所望される結果に依存して変動する。随意に、投与は、静脈内、筋肉内、腹腔内もしくは皮下であるか、または標的の部位に近位に投与される。薬学的に許容される賦形剤は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊柱、表皮の投与(例えば注射または点滴によって)に好適であり得る。
【0061】
抗体またはその機能的断片の医薬組成物は、周知のルーチンに当技術分野において実践された方法に従って調製され得る。例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Loyd V.Allen et al.編、Pharmaceutical Press(2012);及びSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc.、New York、1978を参照されたい。医薬組成物は、好ましくはGMP条件下で製造される。典型的には、治療有効用量または有効用量のヒト化抗体は、医薬組成物中で用いられる。提供されるヒト化抗体は、当業者に公知の従来の方法によって薬学的に許容される投薬形態へと製剤化され得る。投薬量レジメンは、至適の所望の応答(例えば治療応答)を提供するように調整される。例えば、単一ボーラスは投与され得るか、複数の分割用量は経時的に投与され得るか、または、用量は治療状況の要件によって指摘されるように比例して低減もしくは増加され得る。他の治療法または薬剤と組み合わせてヒト化抗体を製剤化することは有利であり得る。投与の容易性及び投薬量の均一性のために、非経口組成物を投薬量単位形態で製剤化することは有利であり得る。投薬量単位形態は、本明細書において使用される時、治療される対象のための一体型投薬量として適した物理的に分離した単位を指し;各々の単位は、要求される医薬賦形剤と共同して、所望される治療上の効果を産生することが意図される既定の量のヒト化抗体を含有する。
【0062】
医薬組成物中の実際の投薬量レベルの活性成分は、患者への毒性無しに、特定の患者、組成物及び投与モードについて所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るように、変動され得る。選択される投薬レベルは、様々な薬物動態因子に依存し、それらには、用いられる特定の組成物の活性、投与経路、投与の時間、用いられる特定の抗体の排泄の率、治療の継続期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/または材料、治療される患者の年齢、性別、体重、病態、全体的な健康及び従来の病歴、ならびに同種の因子が含まれる。
【0063】
医師または獣医師は、医薬組成物中で用いられる抗体またはその機能断片の用量を、所望される治療効果の達成に要求されるものよりも低いレベルで開始し、所望される効果が達成されるまで徐々に投薬量を増加させることができる。一般に、組成物の有効用量は、異なる因子(治療される具体的な疾患または病態、投与の手段、標的部位、患者の生理的状態、患者がヒトまたは動物であるか、投与される他の医薬物、及び処置が予防または治療であるか、が挙げられる)に依存して、変動し得る。治療投薬量は、安全性及び有効性を至適化するように力価測定する必要がある。抗体による投与のために、投薬量は、宿主体重について約0.0001~100mg/kg(通常は0.01~5mg/kg)の範囲である。例えば、投薬量は、1mg/kgの体重もしくは10mg/kgの体重であり得るか、または1~10mg/kgの範囲内であり得る。例示的な治療レジームは、2もしくは3週間ごとに1回、または月に1回、または3~6か月ごとに1回の投与を伴う。
【0064】
本明細書において提供されるBAFF-R抗体またはその機能的断片は、複数の機会で投与され得る。単一投薬量の間の間隔は、週1回、月1回または年1回であり得る。間隔は、患者中のヒト化抗体の血中レベルを測定することによって指摘されるように、不規則でもあり得る。いくつかの方法において、投薬量は、1~1000μg/ml、及びいくつかの方法において、25~300μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整される。あるいは、抗体は持続放出製剤として投与され得、その場合には、よりそれほど頻繁でない投与が要求される。投薬量及び頻度は患者中での抗体の半減期に依存して変動する。一般に、ヒト化抗体は、キメラ抗体及び非ヒト抗体よりも長い半減期を示す。投与の投薬量及び頻度は、処置が予防または治療であるかどうかに依存して変動し得る。予防上の適用において、比較的低い投薬量が、比較的頻繁でない間隔で長い期間にわたって投与される。ある患者は、人生の残りの間治療を受け続ける。治療上の適用において、疾患の進行が低減または終了するまで、及び好ましくは患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、時には比較的高い投薬量が比較的短い間隔で要求される。その後は、患者は予防レジームを投与され得る。
【0065】
ヒトBAFF-Rタンパク質またはその断片を発現するマウス線維芽細胞が提供され、ヒトBAFF-Rタンパク質またはその断片は細胞の細胞表面上で発現される。随意に、ヒトBAFF-Rタンパク質またはその断片は検出可能な部分を含む。随意に、検出可能な部分は蛍光部分である。随意に、検出可能な部分は増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)である。
【0066】
それを必要とする対象においてがんを治療する方法が提供される。方法は、治療有効量の本明細書において提供されるキメラ抗原受容体を対象へ投与し、それによって対象におけるがんを治療することを含む。
【0067】
別の態様において、それを必要とする対象におけるがんを治療する方法は、治療有効量の本明細書において提供される抗体またはその機能的断片を対象へ投与し、それによって対象におけるがんを治療することを含んで提供される。随意に、がんは、リンパ腫、白血病、または骨髄腫である。随意に、がんはリンパ腫である。随意に、リンパ腫は、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、またはバーキットリンパ腫である。随意に、リンパ腫はマントル細胞リンパ腫である。随意に、リンパ腫は濾胞性リンパ腫である。随意に、リンパ腫はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。随意に、リンパ腫は辺縁帯リンパ腫である。随意に、リンパ腫はバーキットリンパ腫である。
【0068】
随意に、がんは白血病である。随意に、白血病は、リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、または有毛細胞白血病である。随意に、白血病はリンパ芽球性白血病である。随意に、白血病は慢性リンパ球性白血病である。随意に、白血病は有毛細胞白血病である。
【0069】
随意に、がんは骨髄腫である。随意に、骨髄腫は多発性骨髄腫である。
【0070】
随意に、方法は、第2の治療剤を対象へ投与することをさらに含む。随意に、治療剤は、CD20抗原と結合することができるキメラモノクローナル抗体である。随意に、治療剤はリツキシマブである。「リツキシマブ」という用語は、ATCコードL01XC02によって同定される、タンパク質CD20に対するモノクローナル抗体を、通常の意味で指す。
【0071】
それを必要とする対象における自己免疫疾患を治療する方法も提供される。方法は、治療有効量の対象を本明細書において提供されるような抗体またはその機能的断片を投与し、それによって対象における自己免疫疾患を治療することを含む。随意に、自己免疫疾患は、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、糸球体腎炎、シェーグレン症候群、または自己免疫性溶血性貧血である。随意に、自己免疫疾患は関節リウマチである。随意に、自己免疫疾患は全身性紅斑性狼瘡である。随意に、自己免疫疾患は多発性硬化症である。随意に、自己免疫疾患は糸球体腎炎である。随意に、自己免疫疾患はシェーグレン症候群である。随意に、自己免疫疾患は自己免疫性溶血性貧血である。随意に、方法は、第2の治療剤を対象へ投与することをさらに含む。
【0072】
別の態様において、細胞の分裂増殖を阻害する方法が提供される。方法は、本明細書において提供されるようなBAFF-R抗体またはその機能的断片(その実施形態を含む)と細胞を接触させ、それによって接触させた細胞を形成することを含む。BAFF-R抗体またはその機能的断片が、接触させた細胞上のBAFF-Rタンパク質と結合するようにし、それによって細胞の分裂増殖を阻害する。随意に、細胞はリンパ球様細胞である。随意に、細胞はB細胞である。随意に、細胞はがん細胞である。随意に、細胞はリンパ腫細胞である。
【0073】
別の態様において、抗ヒトBAFF-R抗体を産生する方法が提供される。方法は、本明細書において提供されるようなマウス線維芽細胞をマウスへ投与し、それによって免疫付与されたBAFF-Rマウスを形成することを含む。免疫付与されたBAFF-Rマウスからの脾細胞をヒトミエローマ細胞と融合し、それによってBAFF-Rハイブリドーマ細胞を形成する。次いでBAFF-Rハイブリドーマ細胞が、BAFF-R抗体を発現するようにし、それによって抗BAFF-R抗体を産生する。随意に、抗BAFF-R抗体は、本明細書において提供されるような抗体である。
【0074】
様々な実施形態及び態様が本明細書において示され記載されるが、かかる実施形態及び態様が単なる例として提供されることは当業者へ明らかだろう。多数の変動、変化及び置換がここで当業者に思い浮かぶだろう。本明細書において記載される実施形態への様々な代替が用いられ得ることが理解されるべきである。
【0075】
抗体は、複雑な内部構造を備えた大きな複合体分子(約150,000Daの分子量または約1320アミノ酸)である。天然の抗体分子は2つの同一ペアのポリペプチド鎖を含有し、各々のペアは1つの軽鎖及び1つの重鎖を有する。そして各々の軽鎖及び重鎖は、2つの領域:標的抗原の結合に関与する可変(「V」)領域、及び免疫系の他の構成要素と相互作用する定常(「C」)領域からなる。抗原(例えば細胞の表面上の受容体)を結合する可変領域を形成するように、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、三次元空間において一緒になる。各々の軽鎖可変領域または重鎖可変領域内に、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる3つの短いセグメント(長さで平均10のアミノ酸)がある。抗体可変ドメイン中の6つのCDR(軽鎖から3つ及び重鎖から3つ)は、実際の抗体結合部位(パラトープ)を形成するように三次元空間において一緒に折り畳まれ、それは標的抗原(エピトープ)の上にドッキングする。CDRの位置及び長さは、Kabat,E.et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、U.S.Department of Health and Human Services、1983、1987によって正確に定義された。CDR中に含有されない可変領域のパーツはフレームワーク(「FR」)と呼ばれ、それは、CDRのための環境を形成する。
【0076】
抗体という用語は、当技術分野における通常の公知の意味に従って使用される。抗体は例えばインタクトな免疫グロブリンとして存在する。しかしながら、抗体(複数可)という用語が本明細書において列挙される場合は常に、機能的抗体断片(複数可)が使用され得る。例えば、多くの十分に特徴づけられた機能的抗体断片は、様々なペプチダーゼによる消化によって産生することができる。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域中のジスルフィド結合の下で抗体を消化して、F(ab)’(Fab(軽鎖がジスルフィド結合によってV-CH1へ連結されたもの自体)の二量体)を産生する。F(ab)’はヒンジ領域中のジスルフィド結合を破壊する穏やかな条件下で還元され、それによってF(ab)’二量体をFab’単量体に変換することができる。Fab’単量体は本質的にヒンジ領域の一部を備えたFabである(Fundamental Immunology(Paul編、第3版(1993))を参照)。様々な抗体断片がインタクトな抗体の消化の面から定義されるが、当業者は、かかる断片が化学的にまたは組み換えDNA方法論を用いることによってのいずれかで、デノボに合成され得ることを認識するだろう。したがって、抗体という用語は本明細書において使用される時例示的であり、全体の抗体の修飾によって産生される抗体断片、または組み換えDNA方法論を用いてデノボに合成されるもの(例えば一本鎖Fv)またはファージディスプレイライブラリーを使用して同定されたもの(例えばMcCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)を参照)が、抗体についての記載として使用され得る。
【0077】
モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の調製のために、当技術分野において公知の任意の技法が使用され得る(例えばKohler & Milstein,Nature 256:495-497(1975);Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983);Cole et al.(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(1985)中でページ77-96)を参照)。モノクローナル抗体(mAb)は、単一クローンに由来する抗体を指す。一本鎖抗体の産生のための技法(米国特許第4,946,778号)は、本明細書において記載されるポリペプチドへの抗体を産生するように適合され得る。遺伝子導入マウスまたは他の生物体(他の哺乳動物等)も使用して、ヒト化抗体を発現することができる。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して、選択された抗原へ特異的に結合する抗体及びヘテロマーのFab断片を同定することができる(例えばMcCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990);Marks et al.,Biotechnology 10:779-783(1992)を参照)。
【0078】
mAbのエピトープは、mAbが結合するその抗原の領域である。各々が他のものの抗原への結合を競合的に阻害する(ブロックする)ならば、2つの抗体が同じまたはオーバーラップするエピトープへ結合する。すなわち、競合結合アッセイにおいて測定されるように、1×、5×、10×、20×または100×過剰量の1つの抗体は、少なくとも30%だが、好ましくは50%、75%、90%または場合によっては99%まで、他のものの結合を阻害する(例えばJunghans et al.,Cancer Res.50:1495,1990を参照)。あるいは、1つの抗体の結合を低減または消失させる抗原中の本質的にすべてのアミノ酸突然変異が、他のものの結合を低減または消失させるならば、2つの抗体は同じエピトープを有する。1つの抗体の結合を低減または消失させるいくつかのアミノ酸突然変異が、他のものの結合を低減または消失させるならば、2つの抗体はオーバーラップするエピトープを有する。
【0079】
リガンドは、受容体分子(例えば抗体)へ結合することができる薬剤(例えばポリペプチドまたは他の分子)を指す。
【0080】
標識または検出可能な部分は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段、または他の物理的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、高電子密度の試薬、酵素(例えば通常はELISAにおいて使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、または例えば標的ペプチドと特異的な反応性のあるペプチドもしくは抗体の中へ放射性同位体標識を援用することによって検出可能にすることができる、ハプテン及びタンパク質もしくは他の実体が挙げられる。標識への抗体のコンジュゲートのために当技術分野において公知の任意の適切な方法が用いられ得る(例えばHermanson,Bioconjugate Techniques 1996,Academic Press,Inc.,San Diego中に記載される方法を使用して)。
【0081】
接触することは、その平易な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの別種のもの(例えば生体分子または細胞を含む、化学化合物)が、反応するか、相互作用するか、または物理的に接するために十分に近くなることを可能にするプロセスを指す。しかしながら、もたらされる反応産物は、添加された試薬間の反応から、または反応混合物中で産生され得る添加された試薬のうちの1つもしくは複数からの中間体から、直接産生され得ることは認識すべきである。
【0082】
接触することという用語は、2つの種が反応するか、相互作用するか、または物理的に接することを可能にすることを含み、そこで、2つの種は、例えば本明細書において記載されるような抗体及びBAFF-Rタンパク質であり得る。接触することは、例えば本明細書において記載されるようなヒト化抗体がBAFF-Rと相互作用することを可能にすることを含む。
【0083】
本明細書において使用される時、病態、疾患もしくは障害、または病態、疾患もしくは障害と関連する症状を治療することまたはそれらの治療は、有益または所望の結果(臨床結果を含む)を得るためのアプローチを指す。有益または所望の臨床結果としては、1つまたは複数の症状または病態の緩和または改善、病態、障害または疾患の程度の縮小、病態、障害または疾患の状態の安定化、病態、障害または疾患の発生の予防、病態、障害または疾患の伝播の予防、病態、障害または疾患の進行の遅延または減速、病態、障害または疾患の開始の遅延または減速、病態、障害または疾患の状態の寛解または緩和、及び寛解(部分的または全体的であるかにかかわらず)が挙げられ得るがこれらに限定されない。治療は、治療の非存在下において予想されるものを超える対象の長期生存も意味し得る。治療は、いくつかの事例において、病態、障害または疾患の進行を恒久的に停止させることを包含するが、病態、障害または疾患の進行の阻害、病態、障害または疾患の進行の一時的な減速も意味し得る。本明細書において使用される時、治療、治療する、または治療することという用語は、プロテアーゼの発現によって特徴づけられる疾患もしくは病態の1つまたは複数の症状の影響、またはプロテアーゼの発現によって特徴づけられる疾患もしくは病態の症状を低減させる方法を指す。したがって、開示した方法において、治療は、確立された疾患、病態、または疾患もしくは病態の症状の重症度における10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の低減を指し得る。例えば、疾患を治療する方法は、対照と比較して、対象における疾患の1つまたは複数の症状に10%の低減があるならば、治療であると判断される。したがって、低減は、ネイティブのレベルまたは対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または10%~100%の間の任意のパーセント低減であり得る。治療は、疾患、病態、または疾患もしくは病態の症状の治癒または完全な除去を必ずしも指さないことが理解される。さらに、本明細書において使用される時、減少、低減または阻害への参照には、対照レベルに比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上の変化が含まれ、かかる用語には完全な消失が含まれ得るが、必ず含まれるわけではない。
【0084】
ポリペプチド、ペプチド及びタンパク質という用語はアミノ酸残基のポリマーを指すように本明細書において互換的に使用され、そこで、ポリマーはアミノ酸からならない部分へコンジュゲートされ得る。この用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに加えて、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣物である、アミノ酸ポリマーへ適用される。融合タンパク質は、単一部分として組み換えにより発現される、2つ以上の分離したタンパク質配列をコードするキメラのタンパク質を指す。ペプチジル及びペプチジル部分という用語は一価ペプチドを意味する。
【0085】
アミノ酸という用語は、本明細書において使用される時、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸に加えて、天然に存在するアミノ酸に類似する様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされたものに加えて、後に修飾されるそれらのアミノ酸(例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸及びO-フォスフォセリン)である。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造(すなわち水素へ結合されたα炭素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基)を有する化合物(例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を指す。かかる類似体は、修飾されたR基(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なるが、天然に存在するアミノ酸に類似する様式で機能する構造を有する化学化合物を指す。天然に存在しないアミノ酸及び非天然アミノ酸という用語は、天然で見出されないアミノ酸類似体、合成アミノ酸、及びアミノ酸模倣物を指す。
【0086】
アミノ酸は、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨された、それらの一般的に公知である3文字記号または1文字記号のいずれかによって本明細書において参照され得る。ヌクレオチドは、同様にそれらの一般的に認められる1文字コードによって参照され得る。
【0087】
「保存的に修飾されたバリアント」は、アミノ酸及び核酸配列の両方へ適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾されたバリアントは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指す。遺伝コードの縮重があるので、多くの核酸配列が任意の与えられたタンパク質をコードするだろう。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUはすべてアミノ酸アラニンをコードする。したがって、コドンによってアラニンが規定されるすべての位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを変更せずに、記載された対応するコドンのうちの任意のものへ変更され得る。かかる核酸バリエーションはサイレントバリエーションであり、それは保存的に修飾されたバリエーションの一種である。ポリペプチドをコードする本明細書におけるすべての核酸配列は、核酸のすべての可能なサイレントバリエーションも記述する。当業者は、核酸中の各々のコドン(通常メチオニンについてのただ一つのコドンであるAUG及び通常トリプトファンについてのただ一つのコドンであるTGG以外)が、機能的に同一の分子をもたらすように修飾され得ることを認識するだろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各々のサイレントバリエーションは、各々の記載された配列において黙示的である。
【0088】
アミノ酸配列に関して、当業者は、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列への個別の置換、欠失または添加(それはコードされた配列中の単一アミノ酸またはアミノ酸のわずかなパーセンテージを変更、添加または欠失させる)は、改変が化学的に類似するアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす場合に、保存的に修飾されたバリアントであると認識するだろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換の目録は、当技術分野において周知である。かかる保存的に修飾されたバリアントは、多型バリアント、異種間のホモログ、及び対立遺伝子に加えられ、これらを除外しない。
【0089】
以下の8群:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);及び
8)システイン(C)、メチオニン(M)
は各々、互いについて保存的置換であるアミノ酸を含有する(例えばCreighton,Proteins(1984)を参照)。
【0090】
配列同一性のパーセンテージは比較ウィンドウにわたって2つの至適にアライメントさせた配列の比較によって決定され、そこで、2つの配列の至適のアライメントのために、参照配列(それは追加または欠失を含まない)に比較して、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の部分は、追加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中で生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得ること、比較のウィンドウ中の位置の合計数によって一致した位置の数を割ること、及び結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0091】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、同一であるまたはパーセント同一性という用語は、比較ウィンドウ、または以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用してもしくは手動アライメント及び視覚的検査によって測定されるような指定の領域にわたって、最大の対応のために比較及びアライメントさせた場合に、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの規定のパーセンテージ(すなわち、例えばポリペプチドの全体のポリペプチド配列または個別のドメインの規定の領域にわたって、60%の同一性、随意に65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性)を有する、2つ以上の配列またはサブ配列を指す。次いで、かかる配列は実質的に同一であると言える。この定義は試験配列の相補物も指す。随意に、同一性は、長さで少なくとも約50のヌクレオチドである領域にわたって、より好ましくは長さで100~500または1000以上のヌクレオチドである領域にわたって、存在する。本記載は、配列番号30~51のうちの任意のものに実質的に同一のポリペプチドを含む。
【0092】
配列比較のために、典型的には、1つの配列が参照配列として働き、それへ試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列はコンピューターへと入力され、必要であるならばサブ配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターが使用され得るか、または、代替パラメーターが指定され得る。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメーターに基づいて、参照配列に比べた試験配列についてのパーセント配列同一性を計算する。
【0093】
比較ウィンドウは、本明細書において使用される時、例えば全長配列、または20~600、約50~約200もしくは約100~約150のアミノ酸もしくはヌクレオチドからなる群から選択される連続した位置の数のうちの任意の1つのセグメントへの参照を含み、そこで、配列は、2つの配列が至適にアライメントされた後に、連続した位置の同じ数の参照配列へ比較され得る。比較のための配列のアライメントの方法は当技術分野において周知である。比較のための配列の至適のアライメントは、例えばSmith and Waterman(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの局部的相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アライメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性のためのサーチ方法によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化実装(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)中の、GAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)によって、または手動アライメント及び視覚的検査(例えばAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995 supplement)を参照)によって、遂行され得る。
【0094】
パーセント配列同一性及び配列類似性の決定のために好適なアルゴリズムの例は、BLASTアルゴリズム及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、それらは、それぞれ、Altschul et al.(1977)Nuc.Acids Res.25:3389-3402及びAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410中で記載される。BLASTリアルタイム分析の遂行のためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に利用可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の長さWのワードとアライメントさせた場合に、クエリ配列中の同じ長さのショートワード(一致するかまたはいくつかの正値閾値スコアTを満たすかのいずれかである)の同定によって、高スコア配列ペア(HSP)を最初に同定することを包含する。Tは近隣ワードスコア閾値と称される(Altschul et al.、前出)。これらの最初の近隣ワードヒットはサーチを開始するためのシードとして働いて、シードを含有するより長いHSPが見出される。ワードヒットは、累積アライメントスコアが増加し得る限り、各々の配列に沿って両方向で伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメーターM(一致する残基のペアのための報酬スコア;常に>0)及びN(残基のミスマッチのためのペナルティスコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを使用して、累積スコアを計算する。各々の方向でのワードヒットの伸長は、累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ落ちるか;累積スコアが1つもしくは複数の負スコアの残基アライメントの蓄積に起因して0以下になるか;または、いずれかの配列の末端に到達する場合に、停止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T及びXは、アライメントの感度及びスピードを決定する。BLASTNプログラムは、ヌクレオチド配列に関して、デフォルトとして11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長、及び10の期待値(E)、及びBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照)、50のアライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、及び両鎖の比較を使用する。
【0095】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列の間の類似性の統計解析も遂行する。(例えばKarlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5787参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定値は、最小和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸の配列の間の一致が偶然によって起こる確率の指標を提供する。例えば、参照核酸への試験核酸の比較において、最小和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、及び最も好ましくは約0.001未満ならば、核酸は参照配列に類似すると判断される。
【0096】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であるという指標は、以下に記載されるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して作製された抗体と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、ポリペプチドは、例えば2つのペプチドが保存的置換でのみ異なる場合に、第2のポリペプチドへ典型的には実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるという別の指標は、以下に記載されるように、2つの分子またはそれらの相補物がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらに別の指標は、同じプライマーを使用して配列を増幅するできることである。
【0097】
与えられた残基と抗体内の同じ必須の構造的位置を占める場合に、抗体中のアミノ酸残基は与えられた残基に対応する。例えば、比較抗体中の選択された残基は、選択された残基が、当技術分野において適用可能な方法を使用して査定されるようなKabat位置48に同じ必須の空間的関係または構造的関係を占める場合に、本明細書において提供される抗体中の位置48(本明細書において記載されるようなKabatナンバリングシステムに従って)に対応する。例えば、比較抗体は本明細書において提供された抗体と最大の配列相同性でアライメントされ、Kabat位置48とアライメントするアライメント比較抗体中の位置は、それに対応すると決定され得る。あるいは、上記のような一次配列アライメントの代わりに(またはそれに加えて)、例えば比較抗体の構造が本明細書において提供される抗体と最大の対応でアライメントされ、全体構造が比較された場合に、三次元の構造的アライメントも使用され得る。この事例において、構造モデル中のKabat位置48と同じ必須の位置を占めるアミノ酸は、対応すると言える。
【0098】
単離されたという用語は、タンパク質に適用される場合に、タンパク質が天然状態において結び付いている他の細胞構成要素が、本質的にないことを表わす。それは乾燥または水溶液のいずれかであり得るが、好ましくは均一の状態である。純度及び均一性は、典型的にはポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィー等の分析化学技法を使用して決定される。調製物中に存在する優勢種のタンパク質が、実質的に精製される。単離されたという用語は、タンパク質が電気泳動ゲル中で本質的に1つのバンドを生じることを表わす。特に、それは、タンパク質が少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、及び最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。
【0099】
特異的に(または選択的に)抗体へ結合する、または特異的に(または選択的に)~と免疫反応性である、という語句は、タンパク質またはペプチドを参照する場合に、タンパク質及び他の生物製剤の不均一集団中でのタンパク質の存在の決定要因である、結合反応を指す。したがって、指定の免疫アッセイ条件下で、規定の抗体はバックグラウンドの少なくとも2倍で特定のタンパク質へ結合し、サンプル中に存在する他のタンパク質へ有意な量で実質的に結合しない。典型的には、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、及びより典型的にはバックグラウンドの10~100倍以上であるだろう。
【0100】
細胞は、本明細書において使用される時、ゲノムDNAを維持または複製するのに十分な代謝機能または他の機能を実行する細胞を指す。細胞は当技術分野において周知の方法(例えばインタクトな膜の存在、特定の色素による染色、子孫を産生する能力、または配偶子の事例において、第2の配偶子と合体して生存可能な子を産生する能力が挙げられる)によって同定され得る。細胞としては原核生物及び真核生物細胞が挙げられ得る。原核生物細胞としては細菌が挙げられるがこれらに限定されない。真核生物細胞としては、酵母細胞ならびに植物及び動物に由来する細胞(例えば哺乳動物細胞、昆虫(例えばspodoptera属)細胞及びヒト細胞)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0101】
本明細書において定義される時、阻害、阻害する、阻害することという用語、及び同種のものは、タンパク質阻害物質(例えば本明細書において提供されるBAFF-R抗体)相互作用に関して、阻害物質(例えばBAFF-R抗体)の非存在下におけるタンパク質の活性または機能と比べて、タンパク質の活性または機能に負に影響する(例えば減少させる)(例えばBAFF-Rの活性を減少させる)ことを意味する。阻害は、疾患、または疾患(例えばがんまたは自己免疫疾患)の症状の低減を含む。したがって、阻害は、少なくとも一部分、部分的にもしくは完全に、刺激をブロックすること、シグナル伝達または酵素活性またはタンパク質の量を減少すること、防止すること、活性化を遅延すること、不活性化すること、脱感作すること、またはダウンレギュレートすることを含む。同様に、阻害物質は、例えば結合すること、部分的もしくは完全にブロックすること、減少させること、防止すること、遅延すること、不活性化すること、脱感作すること、または活性(例えばBAFF-Rシグナル伝達活性)をダウンレギュレートすることによって、BAFF-R活性を阻害する化合物またはタンパク質である。
【0102】
本明細書において提供される薬剤(例えば抗体)は、活性のある治療剤及び多様な他の薬学的に許容される構成要素を含む、医薬組成物として多くの場合投与される。Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Loyd V.Allen et al.編、Pharmaceutical Press(2012)を参照されたい。好ましい形態は意図される投与モード及び治療上の適用に依存する。組成物は、所望される製剤に依存して、薬学的に許容される非毒性の担体または希釈物質(通常は動物またはヒト投与のための医薬組成物の製剤化に使用されるベヒクルとして定義される)も含み得る。希釈物質は、組み合わせたものの生物学的活性に影響を与えないように選択される。かかる希釈物質の例は、蒸留水、生理的リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス液である。加えて、医薬組成物または製剤としては、他の担体、アジュバント、または非毒性の非治療用の非免疫原性の安定物質及び同種のものも挙げられる。
【0103】
組成物は、治療的処置または予防的処置のために投与され得る。治療上の適用において、組成物は、治療有効用量で疾患(例えばがん)を患う患者へ投与される。この使用のために有効な量は、疾患の重症度及び患者の健康の一般的な状態に依存するだろう。組成物の単回投与または複数回投与は、必要に応じて投薬量及び頻度に依存して投与され、患者に忍容され得る。患者または対象としては、ヒト及び他の動物(特に哺乳動物)の両方が挙げられる。したがって、方法は、ヒト治療及び動物への適用の両方へ適用可能である。随意に、患者は、哺乳動物、霊長動物またはヒトである。
【0104】
経口投与のために好適な製剤は、(a)溶液(水または食塩水またはPEG 400等の希釈物質中で懸濁された、有効量の本明細書において提供される抗体等);(b)カプセル、分包または錠剤(各々は、液体、固体、顆粒またはゼラチンとして、活性成分の所定量を含有する);(c)適切な液体中の懸濁物;及び(d)好適なエマルションからなり得る。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及び他の賦形剤、着色物質、充填物質、結合物質、希釈物質、緩衝剤、湿潤剤、防腐物質、着香剤、色素、崩壊剤、ならびに薬学的適合性のある担体のうちの1つまたは複数を含み得る。ロゼンジ形態は、香料(例えばスクロース)中で活性成分を含み、同様に、トローチは、不活性基剤(ゼラチン及びグリセリンまたはスクロース及びアカシアエマルション、ゲル等)中で活性成分を含み、同種のものは、活性成分に加えて当技術分野において公知の担体を含有し得る。
【0105】
医薬組成物は、大きな緩慢に代謝されるマクロ分子、例えばタンパク質、多糖(キトサン等)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びコポリマー(ラテックス、官能化セファロース(TM)、アガロース、セルロース及び同種のもの等)、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、ならびに脂質凝集物(油滴またはリポソーム等)も含み得る。加えて、これらの担体は免疫刺激剤(すなわちアジュバント)として機能し得る。
【0106】
直腸投与のために好適な製剤としては、例えば坐剤(坐剤基剤によりパッケージングされた核酸からなる)が挙げられる。好適な坐剤基剤としては、天然または合成のトリグリセリドまたはパラフィン炭化水素が挙げられる。加えて、基剤(例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール及びパラフィン炭化水素が挙げられる)と選択化合物の組み合わせからなる、ゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。
【0107】
非経口投与(例えば関節内(関節中)、静脈内、筋肉内、腫瘍内、皮内、腹腔内及び皮下の経路によって等)のために好適な製剤としては、水性及び非水性の等張滅菌済み注射液(抗酸化物質、バッファー、静菌物質、及び製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る)、ならびに水性及び非水性の滅菌済み懸濁物(懸濁化剤、可溶化物質、増粘剤、安定化物質、及び防腐物質を含み得る)が挙げられる。組成物は、例えば静脈内点滴によって、経口、局所、腹腔内、膀胱内、または鞘内に投与され得る。非経口投与、経口投与及び静脈内投与は、投与の好ましい方法である。化合物の製剤は、単位用量または複数用量の密封容器(アンプル及びバイアル等)で提供され得る。
【0108】
注射溶液及び懸濁物は、これまでに記載された種類の滅菌済み粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。エクスビボの治療法のための核酸が形質導入された細胞も、静脈内または非経口的に上記のように投与され得る。
【0109】
医薬調製物は単位投薬形態であり得る。かかる形態において、調製物は、適切な量の活性のある構成要素を含有する単位用量へと細分される。単位投薬形態はパッケージングされた調製物であり得、パッケージは離散量の調製物(バイアルまたはアンプル中で小分けした錠剤、カプセル剤及び粉末等)を含有する。さらに、単位投薬形態はカプセル、錠剤、カシェー、もしくはロゼンジそれ自体であり得るか、または、それはパッケージングされた形態でのこれらのうちの任意のものの適切な数であり得る。組成物は、所望されるならば、他の適合性のある治療剤も含有し得る。
【0110】
組み合わせ投与は、分離した製剤または単一医薬製剤を使用する共投与、及びいずれかの順序での一続きの投与を企図し、そこで、好ましくは、両方(またはすべて)の活性薬剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮する期間がある。
【0111】
本明細書において提供される組成物の有効用量は、異なる因子(投与の手段、標的部位、患者の生理的状態、患者がヒトまたは動物であるか、投与される他の医薬物、及び処置が予防または治療であるかが挙げられる)に依存して、変動し得る。しかしながら、当業者は、ガイダンスのための、がんを治療及び予防するために認可された組成物の投薬量を考慮して、適切な及び/または等価な用量を直ちに認識するだろう。
【0112】
疾患または病態という用語は、本明細書において提供される化合物、医薬組成物もしくは方法により治療されている状態、または、そのように治療することができるな患者または対象の健康状況を指す。随意に、疾患は、がん(例えば肺癌、卵巣癌、骨肉腫、膀胱癌、子宮頸癌、肝臓癌、腎臓癌、皮膚癌(例えばメルケル細胞癌)、精巣癌、白血病、リンパ腫、頭頸部癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、神経芽細胞腫)である。疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、がん性疾患、感染性疾患、代謝疾患、発育性疾患、心血管性疾患、肝疾患、消化管疾患、内分泌疾患、神経系疾患、または他の疾患であり得る。
【0113】
本明細書において使用される時、がんという用語は、哺乳動物において見出されるすべてのタイプのがん、新生物または悪性腫瘍を指し、白血病、リンパ腫、メラノーマ、神経内分泌腫瘍、癌腫及び肉腫が挙げられる。本明細書において提供される化合物、医薬組成物または方法により治療され得る例示的ながんとしては、リンパ腫、肉腫、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、子宮頸癌、結腸癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、腎臓癌、骨髄腫、甲状腺癌、白血病、前立腺癌、乳癌(例えばトリプルネガティブ、ER陽性、ER陰性、化学療法耐性、ハーセプチン耐性、HER2陽性、ドキソルビシン耐性、タモキシフェン耐性、腺管癌、小葉癌、原発性、転移性)、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌(例えば肝細胞癌)、肺癌(例えば非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌、腺癌、大細胞肺癌、小細胞肺癌、カルチノイド、肉腫)、多形性神経膠芽腫、神経膠腫、メラノーマ、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、神経膠芽細胞腫、卵巣癌、肺癌、扁平上皮細胞癌(例えば頭部、頸部または食道)、結腸直腸癌、白血病、急性骨髄白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫、または多発性骨髄腫が挙げられる。追加の例としては、甲状腺癌、内分泌系癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、大腸、頭頚部癌、食道癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、メラノーマ、中皮腫、卵巣癌、肉腫、胃癌、子宮癌もしくは髄芽細胞腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形性神経膠芽腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚損傷、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖器癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵臓内分泌腺もしくは膵臓外分泌腺の新生物、甲状腺髄様癌、甲状腺髄様癌、メラノーマ、結腸直腸癌、甲状腺乳頭癌、肝細胞癌、乳房パジェット病、葉状腫瘍、小葉癌、腺管癌、膵星細胞の癌、肝星細胞の癌、または前立腺癌が挙げられる。
【0114】
白血病という用語は造血臓器の進行性の悪性疾患を広く指し、血液及び骨髄中の白血球及びそれらの前駆体の歪んだ分裂増殖及び発生によって一般的には特徴づけられる。白血病は、一般的には、(1)疾患の継続期間及び特徴(急性または慢性);(2)関与する細胞のタイプ;骨髄性(骨髄原性)、リンパ性(リンパ原性)、または単球性;(3)血液中の異常細胞数の増加または非増加(白血性または非白血性(亜白血性))、に基づいて臨床的に分類される。本明細書において提供される化合物、医薬組成物または方法により治療され得る例示的な白血病は、例えば急性非リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病(leukocythemic leukemia)、好塩基球性白血病、芽細胞白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、幹細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、有毛細胞白血病、血芽球性白血病、血球芽細胞性白血病、組織球白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ性白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血病、または未分化細胞性白血病が挙げられる。
【0115】
本明細書において使用される時、転移及び転移がんという用語は互換的に使用され、1つの器官または別の非隣接器官または身体部分からの分裂増殖性疾患または障害(例えばがん)の伝播を指し得る。がんは起源の部位(例えば乳房)で起こり、その部位は原発性腫瘍(例えば原発性乳癌)と称される。原発性腫瘍または起源の部位中のいくつかのがん細胞は、局部領域中の周囲の正常な組織を透過及び浸潤する能力、ならびに/または、身体中の他の部位及び組織へ系を介して循環リンパ系もしくは血管系の壁を透過する能力を取得する。原発性腫瘍のがん細胞から形成された第2の臨床的に検出可能な腫瘍は、転移性腫瘍または二次腫瘍と称される。がん細胞が転移する場合に、転移性腫瘍及びその細胞はもとの腫瘍のものに類似することが推定される。したがって、肺癌が乳房へ転移するならば、乳房の部位での二次腫瘍は異常な乳腺細胞ではなく異常な肺細胞からなる。乳房中の二次腫瘍は転移性肺癌と称される。したがって、転移がんという語句は、対象が原発性腫瘍を有するかまたは有していた、そして1つまたは複数の二次腫瘍を有する疾患を指す。非転移がん、または転移性でないがんに罹患する対象、という語句は、対象が原発性腫瘍を有するが1つまたは複数の二次腫瘍を有していない疾患を指す。例えば、転移性肺癌は、原発性肺腫瘍に罹患するかまたはその病歴があり、第2の所在位置または複数の所在位置での(例えば乳房中での)1つまたは複数の二次腫瘍に罹患する、対象中の疾患を指す。
【0116】
関連する、または、~と関連する、という用語は、疾患(例えばがん(例えば白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫または多発性骨髄腫))と関連する物質または物質の活性もしくは機能の文脈において、物質または物質の活性もしくは機能によって、その疾患(例えばがん(例えば白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫または多発性骨髄腫))が(全部または部分的に)もたらされるか、または、その疾患の症状が(全部または部分的に)もたらされることを意味する。
【0117】
本明細書において使用される時、自己免疫疾患は、例えば対象の身体中に通常は存在する物質組織及び/または細胞に対する対象の免疫系による免疫反応の変更から生じる疾患または障害を指す。自己免疫疾患としては、関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、硬皮症、全身性強皮症、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、重症筋無力症、若年型糖尿病、1型糖尿病、ギラン-バレー症候群、橋本の脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性大腸疾患、アジソン病、白斑、喘息、及びアレルギー喘息が挙げられるがこれらに限定されない。
【0118】
本明細書において使用される時、炎症性疾患は、炎症の異常または変更と関連する疾患または障害を指す。炎症は、病原体、損傷した細胞もしくは組織または刺激物に応答する治癒プロセスの一部として免疫系によって開始される生物学的応答である。慢性炎症は多様な疾患を導き得る。炎症性疾患としては、アテローム性動脈硬化症、アレルギー、喘息、関節リウマチ、移植拒絶、セリアック病、慢性前立腺炎、炎症性大腸疾患、骨盤内炎症性疾患、及び炎症性筋疾患が挙げられるがこれらに限定されない。
【0119】
ヒト化抗体は遺伝子操作抗体であり、そこで、マウス抗体(「ドナー抗体」、それはラット、ハムスターまたは他の非ヒト種でもあり得る)からの少なくとも1つのCDR(またはその機能的断片またはバリアント)が、ヒト抗体フレームワーク(「アクセプター抗体」)の上へグラフトされる。随意に、2つ以上のマウスCDRがグラフトされる(例えばすべての6つのマウスCDRがグラフトされる)。アクセプター抗体の配列は、例えば成熟ヒト抗体配列(またはその断片)、ヒト抗体配列のコンセンサス配列(またはその断片)、または生殖細胞系列領域配列(またはその断片)であり得る。したがって、ヒト化抗体は、ドナー抗体からの1つまたは複数のCDR、及び可変領域フレームワーク(FR)を有する抗体であり得る。FRは、ヒト抗体内の定常領域及び/または可変領域の一部を形成し得る。加えて、高い結合親和性を保持するために、ヒトアクセプター配列中のアミノ酸は、例えば(1)アミノ酸がCDR中にある、または(2)アミノ酸がヒトフレームワーク領域中にある(例えばアミノ酸がCDRのうちの1つにじかに隣接する)、ドナー配列からの対応するアミノ酸によって、置き換えられ得る。ヒト化抗体の構築のための詳細なインストラクションを提供する、米国特許第5,530,101号及び同第5,585,089号(参照により本明細書に援用される)を参照されたい。ヒト化抗体は、多くの場合マウス抗体からすべての6つのCDR(例えばKabatによって定義されるように、しかし多くの場合Chothiaによって定義されるとように超可変ループH1も含む)を取込むが、それらは、より少ない数のマウスCDR及び/または完全なマウスCDR配列よりも小さなもの(例えばCDRの機能的断片)によっても作製することができる(例えばPascalis et al.,J.Immunol.169:3076,2002;Vajdos et al.,Journal of Molecular Biology,320:415-428,2002;Iwahashi et al.,Mol.Immunol.36:1079-1091,1999;Tamura et al,Journal of Immunology,164:1432-1441,2000)。
【0120】
典型的には、本明細書において提供されるようなヒト化抗体は、(i)マウス抗体からの少なくとも1つのCDR(多くの場合3つのCDR)(本明細書においてマウスCDRとも称される)及びヒト可変領域フレームワークを含む軽鎖可変領域;ならびに(ii)マウス抗体から少なくとも1つのCDR(多くの場合3つのCDR)及びヒト可変領域フレームワーク(FR)を含む重鎖可変領域を含み得る。軽鎖及び重鎖の可変領域フレームワーク(FR)は各々、成熟ヒト抗体可変領域フレームワーク配列(またはその断片)、生殖細胞系列可変領域フレームワーク配列(J領域配列と組み合わせて)(またはその断片)、またはヒト抗体可変領域フレームワーク配列のコンセンサス配列(またはその断片)であり得る。随意に、ヒト化抗体は、(i)中で記載されるような軽鎖可変領域、(ii)中で記載されるような重鎖可変領域を、軽鎖ヒト定常領域及び重鎖ヒト定常領域と一緒に、含む。
【0121】
キメラ抗体は、マウス(または他の齧歯動物)抗体の可変領域がヒト抗体の定常領域と組み合わせられる抗体であり;遺伝子操作を用いたキメラ抗体の構築は周知である。かかる抗体はマウス抗体の結合特異性を保持する一方で、約3分の2はヒトである。マウス抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体中に存在する非ヒト配列の比率は、キメラ抗体の免疫原性がマウス抗体とヒト化抗体との間の中間であることを示唆する。マウス抗体に比べて低減された免疫原性を有し得る他のタイプの遺伝子操作抗体としては、ファージディスプレイ法を使用して(Dower et al.,WO91/17271;McCafferty et al.,WO92/001047;Winter,WO92/20791;及びWinter,FEBS Lett.23:92,1998、その各々は参照により本明細書に援用される)、または遺伝子導入動物を使用して(Lonberg et al.,WO93/12227;Kucherlapati WO91/10741、その各々は参照により本明細書に援用される)、作製されたヒト抗体が挙げられる。
【0122】
ヒト化抗体をデザインする他のアプローチを使用しても、米国特許第5,530,101号及び同第5,585,089号中の方法と同じ結果を達成することができる。例えば、Tan et al.J.Immunol.169:1119,2002及び米国特許第6,881,557号またはStudnicak et al.,Protein Eng.7:805,1994の方法中で記載されるような超ヒト化である。さらに、遺伝子操作された低減された免疫原性のmAbを産生する他のアプローチとしては、例えばVaswami et al.,Annals of Allergy,Asthma and Immunology 81:105,1998;Roguska et al.Protein Eng.9:895,1996;ならびに米国特許第6,072,035号及び同第5,639,641号中で記載されるような、再成形(reshaping)、超キメラ化、及びベニヤ化(veneering)/表面再建(resurfacing)が挙げられる。
【0123】
開示される方法及び組成物のために使用され得るか、それらと併用して使用され得るか、それらの調製において使用され得るか、またはそれらの産物である、材料、組成物及び構成要素が開示される。これら及び他の材料は本明細書において開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用及び群などが開示される場合に、これらの化合物の各々の様々な個別の及び集合的な組み合わせ及び順列の具体的な参照が明示的に開示されなくてもよいが、各々は本明細書において具体的に企図及び記載されることが理解される。例えば、方法が開示及び検討され、多くの分子へ行われ得る多くの修飾(方法を含む)が検討されるならば、各々及びすべての方法の組み合わせ及び順列ならびに可能な修飾は、相反することが具体的に指摘されない限り、具体的に企図される。同様に、任意のサブセットまたはこれらの組み合わせも具体的に企図及び開示される。この概念は、本開示のすべての態様(開示される組成物を使用する方法におけるステップが挙げられるがこれらに限定されない)へ適用される。したがって、遂行され得る多様な追加のステップがあるならば、任意の具体的な方法ステップまたは開示される方法の方法ステップの組み合わせにより、これらの追加のステップのうちの各々が遂行され得ること、及び、かかる組み合わせまたは組み合わせのサブセットは各々具体的に企図及び開示されたと判断されるべきであることが理解される。
【0124】
以下の実施例は、本明細書において記載される方法及び組成物の特定の態様をさらに例示することが意図され、特許請求の範囲を限定するようには意図されない。
【実施例
【0125】
実施例1。ネイティブに折り畳まれた組み換えタンパク質への新規のBAFF受容体抗体は、薬剤耐性のヒトB細胞悪性腫瘍をインビボで消失させる。
mAbの開発のために細菌において産生された従来の組み換え免疫原タンパク質は翻訳後修飾を欠如し、原核生物は真核生物と比較してシャペロンタンパク質及び酸化環境を欠如するので、単純化して折り畳まれる。結果として、かかるタンパク質は、対応する原形質膜にアンカーされた天然タンパク質とは立体配座的構造で異なり得る。さらに、抗体は、標的外のドメイン(標的タンパク質の膜貫通ドメインまたは細胞内ドメイン等)に対して作製され得る。本明細書において記載されるように、真核生物細胞上で発現されるネイティブに折り畳まれ糖鎖付加された免疫原に対するmAbを生成するストラテジーが適用された。特に、ヒトBAFF-Rはマウス線維芽細胞上でネイティブタンパク質としてあり、マウスにおける免疫原として操作された細胞クローンを使用した。ヒト悪性B細胞株及び原発性リンパ腫をインビトロで特異的に結合及び溶解し、異種の腫瘍モデルにおいて薬剤耐性リンパ腫細胞株の増殖をインビボで阻害する、新規のmAbの生成が本明細書において記載される。
【0126】
材料及び方法
動物、細胞株及び原発性ヒト腫瘍サンプル。抗体開発のためにBALB/cマウス及びNOD scidγ(NSG)繁殖ペアを、Jackson Laboratory(Bar Harbor、ME)から購入した。NSG繁殖コロニーはCity of HopeのAnimal Resource Centerによって維持された。マウスは、施設のガイドラインに従って病原体除去動物施設中で飼育した。すべての動物研究は、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC:15020)によって承認された。JeKo-1、SU-DHL-6、Raji、U266及びRLは、ATCC(Manassas(VA))から購入した。Z-138株は、Dr.Michael Wang(MD Anderson Cancer Center)によって提供された。イブルチニブ耐性SP49-IR株は、Dr.Jianguo Tao(University of South Florida)によって開発され提供された。イブルチニブ耐性SP49細胞株(SP49-IR)は、漸増用量のイブルチニブにより細胞を処理することによって確立した。IC50は、SP49-IRについての>100nMに比較して、親SP49では5nMであった。100nMのイブルチニブで、SP49-IR細胞の>90%と比較して、SP49細胞の約5%が生存可能であった。ヒトNK-92 176V細胞は、Conkwest Inc.(San Diego、CA)から得た。ヒト血液及び腫瘍のサンプルのために、培養していない原発性ヒトリンパ腫を、10%のDMSO中で冷凍保存された生存可能な単一細胞懸濁液として、施設内審査委員会に認可されたプロトコール(IRB:2005-0656)下で、MD Anderson Cancer CenterのLymphoma Satellite Tissue Bankから得た。原発性患者サンプルは、マントル細胞リンパ腫(MCL)または慢性リンパ球性白血病(CLL)に罹患する患者からの白血球除去血輸血または血液、ならびにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または濾胞性リンパ腫(FL)に罹患する患者から切除されたリンパ節を含んでいた。各々のサンプル中の腫瘍細胞は、白血球除去血輸血または血液について80%~98%及びリンパ節生検について50%~60の範囲であった。末梢血単核細胞(PBMC)は、City of HopeのMichael Amini Transfusion Medicine Centerによって提供された(IRB:15283)。
【0127】
ヒトBAFF-R発現マウス線維芽細胞の生成。ヒトBAFF-R(hBAFF-R)cDNAはヒトB細胞からのものであり、pEGFP-N1ベクター(Takara/Clotech、Mountain View、CA)上のGFP遺伝子とインフレームでクローン化した。hBAFF-R cDNA配列をNCBI遺伝子配列データベース(遺伝子識別番号:115650)に対して確認した。hBAFF-R-GFP融合物をコードするcDNAを、続いてレンチウイルス遺伝子送達系(pLenti6/V5-DEST Gateway Vector kit、Life Technologies、Grand Island、NY)の中へクローン化して、マウス線維芽細胞(L)細胞の中へ形質導入された場合にhBAFF-R-GFP融合タンパク質を産生させる。単一細胞クローンを、選別したGFP陽性のL細胞から確立し、(h)BAFF-R-GFP発現L細胞クローンD2Cをさらなる研究において使用した。
【0128】
抗体産生ハイブリドーマ。2匹の6週齢のBALB/cマウスを、D2C細胞の5回の脚パッドの皮下注射によって3日ごとに1回で免疫付与した。血液サンプルを両方のマウスから得て、D2Cに対する血清抗体をELISAによって測定した。脾臓組織を20日目に収穫した。収穫した脾細胞をSp2/0骨髄腫と融合してハイブリドーマを確立し、D2Cまたは親L細胞をコーティングしたプレートを使用して、抗体についてELISAスクリーニングをした。免疫付与及びハイブリドーマの手順は、MD Anderson Cancer CenterのAntibody Core Facilityで遂行した。
【0129】
キメラ抗体産生。抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域をコードする、選択されたハイブリドーマからのcDNAを、それぞれのヒトIgG1定常領域を含有する発現ベクターの上へ操作した。ベクターを、製造者の指示に従って、FreeStyle 293発現系(Life Technologies、Carlsbad、CA)の中へ共トランスフェクションした。培養上清中の抗体を、製造者の指示に従って、HiTrapプロテインA親和性クロマトグラフィーカラム(GE Healthcare、Marlborough、MA)によって精製した。
【0130】
細胞毒性アッセイ。標的細胞(L細胞、ヒト腫瘍株、原発性患者サンプル)を、51Cr放出アッセイのためにクロム-51(51Cr、Perkin Elmer、Waltham、MA)により標識した。簡潔には、抗体及びエフェクター(NK細胞または補体血清スタンダード[Sigma Aldrich(St.Louis)、MO])を、標識された標的細胞へ添加し、18時間までインキュベーションした。NK細胞をPBMCからエンリッチした(NK cell enrichment kit、Stemcell Technologies、Vancouver、カナダ)。上清の中へ放出された51Crを、Wizard Automatic Gamma Counter(Perkin Elmer)により検出した。
【0131】
JeKo-1-CD20-KOの生成。FACS選別された安定的なJeKo-1-CD20-KOを、製造者の指示に従って、CD20-CRISPR/Cas9及びHDR Plasmid Systems(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)を使用して生成した。CD20ノックアウトは、フローサイトメトリー及びウエスタンブロットによって検証した。
【0132】
インビボの研究。腫瘍モデルのために、安定的なルシフェラーゼ発現腫瘍株をマウスモデルにおける生物発光画像化のために確立した。簡潔には、ルシフェラーゼ遺伝子を、レンチウイルス遺伝子送達系(pLenti7.3/V5-DEST Gateway Vector Kit、Life Technologies、Carlsbad、CA)によって腫瘍株の中へ導入した。1マウスあたりの最小致死用量を、用量力価測定によって各々の腫瘍細胞株について決定した。腫瘍細胞を静脈内(IV)注射し、インビボの生物発光画像化によってマウスをモニタリングして最小腫瘍用量の生着を確実にした。最小致死腫瘍用量は、1×10のJeKo-1細胞、5×10のRS4;11細胞、5×10のJeKo-1-CD20-KO細胞、または2.5×10のZ-138細胞であった。
【0133】
生物発光画像化:イソフルランによりマウスに麻酔をかけ、画像化の10分前に腹腔内(IP)注射経由で150mg/kgのD-ルシフェリン(Life Technologies、Carlsbad、CA)を投与した。画像化は、AmiX imaging system(Spectral Instruments Imaging、Tucson、AZ)上で遂行した。
【0134】
抗体研究:マウス(1群あたりn=5)に、5日ごとに1回の4回の治療の3日前に、IVで腫瘍を攻撃投与した。治療は、300μLのIV注射(200μgの治療抗体、10×10のエフェクターヒトNK-92-176V細胞、及び5×10IUのIL-2(Prometheus Laboratories、San Diego、CA))であった。対照群は、対照抗体有り、または抗体及び/もしくはNK細胞無しで、同じ体積の注射を受けた。生物発光画像化は毎週で80日目まで遂行した。生存は腫瘍攻撃投与100日後まで追跡した。
【0135】
結果
ヒトBAFF-Rに対するモノクローナル抗体の生成。BAFF-Rの生物学的に意義のあるエピトープへの治療抗体を生成するために、真核生物細胞表面発現系が使用され、そこで、内在性細胞表面タンパク質は、適切な翻訳後修飾によりそれらのネイティブな立体配座で提供される。マウス線維芽細胞(L)細胞クローンを、細胞表面GFPタグ付加されたヒトBAFF-Rを発現するように操作した。BAFF-R発現L細胞クローンを生成し、GFP発現について特徴づけた(図1A)。クローンD2Cを増やし、これを使用して、方法及び図7A中で免疫付与スケジュールに従ってBALB/cマウスに成功裡に免疫付与した。
【0136】
ハイブリドーマクローンを生成及びスクリーニングした後に、4つのクローン(53、55、67及び90)が、BAFF-Rを発現するL細胞と特異的に結合するが親L細胞を結合しない抗体を産生すると同定された(図7B)。すべての4つのクローンの上清は、BAFF-R発現Mino細胞株(MCL)と用量依存的様式で結合する抗体を含有した。抗体結合はBAFF-R陰性対照細胞株(293T)において検出されなかった(図8)。
【0137】
4つのハイブリドーマ上清からの抗体をプロテインA親和性クロマトグラフィーによって精製した。精製された抗体は、Mino細胞(図9)に加えて、他のヒトMCL株(JeKo-1、REC-1、ならびにイブルチニブ耐性JVM-13及びZ-138が挙げられる)(図1B)を用量依存的様式で結合した。
【0138】
4つの抗体上の相補性決定領域(CDR)の分析から、クローン53、55及び67はほぼ同一の配列を有するが、クローン90がユニークであることが明らかにされた。したがって、クローン55及び90をさらなる調査のために選択した。両方のクローン55及び90は、高濃度(2μg/10細胞)及び低濃度(0.05μg/10細胞)で、JeKo-1(MCL)、SU-DHL-6(DLBCL)、Raji(バーキットリンパ腫)、及びRL(FL)を有効に結合した(図10)。
【0139】
ヒトBAFF-Rに対するキメラmAbは、インビトロ及びインビボで抗腫瘍効果を誘導した。クローン55及び90を、ヒトIgG1定常領域を含有するそれぞれのキメラmAbへとさらに発展させた(C55及びC90と称される)。キメラ抗体は、BAFF-R発現L細胞への特異的な用量依存的結合を保持した(図1C)。C55及びC90はAlexa Fluor 488へコンジュゲートされ、非ホジキンリンパ腫(NHL)株のJeKo-1、SU-DHL-6、Raji、及びRLへの直接結合を表わした(図1D)。重要なことには、キメラmAbは、MCL、DLBCL、及びFLの患者原発性腫瘍サンプルを容易に結合した(図1E及び図11)。
【0140】
C55及びC90は、特異的にBAFF-R発現L細胞及びJeKo-1に対する抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を誘発したが、BAFF-R陰性L細胞及びBAFF-R陰性ヒト多発性骨髄腫株(U266)では誘発しない(図2A及び 図12)。これとは対照的に、抗体はインビトロで補体依存性細胞傷害(CDC)を誘発しなかった(図2B)。SU-DHL-6、Raji及びRLリンパ腫細胞株について示されるように、細胞毒性にはNK細胞の添加が要求され(図2C及び図13)、抗体媒介性細胞毒性の主要なメカニズムとしてADCCが示唆された。重要なことには、キメラ抗体は原発性患者腫瘍サンプルに対してADCCを誘発した(図3A)。
【0141】
抗体はBAFF/BAFF-R結合を用量依存的様式で阻害し(図14)、腫瘍細胞におけるBAFF/BAFF-R生存シグナリングの破壊の可能性が示唆された。さらに、C55及びC90は、BAFF-Rの結合に際して限定的なインターナリゼーションを示した(図15)。
【0142】
インビボで、NSGマウスにルシフェラーゼノックインJeKo-1 MCL細胞株を攻撃投与し、後続して、抗体による治療を行った。治療は、図4A中のスケジュールに従った。PBSまたはNK細胞単独の対照群と比較して、C55またはC90のいずれかを投与したマウスは、腫瘍増殖の有意な遅れを実証した(図4B)。同様に、C55及びC90は、リツキシマブまたは対照による阻害がないことと比較して、RS4;11(急性リンパ芽球性白血病(ALL))を攻撃投与したNSGマウスにおいても腫瘍増殖を著しく遅らせた(図4C)。
【0143】
キメラmAbは、薬剤耐性リンパ腫に対して強力な抗腫瘍効果をインビトロ及びインビボで誘導した。以前にリツキシマブにより治療された患者からの原発性のCLL(n=3)及びMCL(n=2)サンプルに対して、抗体をさらに試験した。5つの原発性サンプルはすべてC55及びC90によるADCCによる殺傷に感受性があり、リツキシマブへの曝露後の臨床的に進行した腫瘍に対するそれらの有効性を示唆した(図3B)。
【0144】
薬剤耐性のリンパ腫のモデルを作成するために、JeKo-1の安定的なCD20ノックアウト(KO)クローンをCRISPR/HDR系を使用して生成した。CD20-KOクローンは、フローサイトメトリー及びウエスタンブロットによるCD20表面発現の非存在(図5Aならびに図16A及び16B)及びフローサイトメトリーによるBAFF-R表面発現の存在(図16C)について確認した。さらなる研究のために選択されたJeKo-1-CD20-KOクローン25は、C55及びC90に媒介されるADCCへの感受性を保持したが、抗CD20リツキシマブによって媒介される細胞毒性へ非感受性になった(図5B)。
【0145】
薬剤耐性リンパ腫の第2のモデルとして、キメラBAFF-R mAbを、天然のイブルチニブ耐性ヒトMCL株(Z-138)、及び誘導されイブルチニブ耐性MCL株(SP49-IR、イブルチニブへの耐性をインビトロで誘導された(方法を参照))に対するADCCについて試験した。有意なインビトロのADCCが、両方のイブルチニブ耐性株に対して、抗体により観察された(図5C)。
【0146】
最終的に、JeKo-1-CD20-KO腫瘍細胞のIVによるインビボの攻撃投与の3日後に、NSGマウス(1群あたりn=5)に、方法中で記載されるように、及び図4A中のスケジュールに従って、BAFF-R抗体治療(C55またはC90)またはリツキシマブを投与した。20日目の生物発光画像化は、対照マウス及びリツキシマブ治療マウスにおいて実質的な腫瘍量があるが、BAFF-R抗体治療群において目視可能な腫瘍はないことを明らかにした(図6A)。無腫瘍モニタリング及び長期的な全生存により、両方のBAFF-R抗体の有意な抗腫瘍効果が確認されたが、リツキシマブではなかった(図6C)。同様に、対照(PBSまたはNKのみ)と比較して、いずれかのBAFF-R抗体によるイブルチニブ耐性Z-138担腫瘍マウスの治療に後続して、有意な効果が観察された(図6B~C)。
【0147】
BAFF-R mAbは正常なB細胞とも結合する。正常なPBMCに対して試験された場合に、抗BAFF-R抗体C90は、任意のT細胞、NK細胞、顆粒球または単球を染色せずに、予想されるようにB細胞に対する特異的結合を示した(図17)。陽性染色結果を精製B細胞で検証した(図18)。さらに、精製されたT細胞、NK細胞及びゲートされた骨髄系細胞は結合しないことを示した。
【0148】
本研究の範囲を拡大すると、免疫組織化学研究は、扁桃腺及び脾臓のサンプルでの本発明の抗体の陽性染色を示し、心臓、肺、腎臓及び脳を含む他のすべての重要臓器は染色されなかった(図19A及び19B)。
【0149】
考察
提供されたBAFF-R mAbは、NHL、CLL及びALLを含む複数のB細胞腫瘍タイプに対する単一剤として着実なインビボの抗腫瘍効果を誘発した。さらに、抗体は確立された腫瘍を根絶し、それはインビボで長期の無腫瘍生存を導いた。
【0150】
BAFF-R mAbの差異的な特性は、それらの生成に使用されるアプローチに起因し得る。提供されるアプローチは、免疫付与のためにマウス線維芽細胞上のネイティブの表面タンパク質としてヒトBAFFF-Rを発現させ、ネイティブに折り畳まれ糖鎖付加された免疫原を提示する可能性を増加させることである。したがって、抗体が、記載される他の抗体とは異なる接近可能なヒトBAFF-Rエピトープを結合している可能性は非常に高い。したがって、技術的ストラテジーは、ネイティブに折り畳まれて真核生物的に糖鎖付加されたヒトBAFF-Rに対するモノクローナル抗体(それはインビボでB細胞腫瘍を特異的に結合、溶解及び阻害する)の生成について実証された。これらの結果から、インビトロの活性のためにmAbに加えてNK細胞が要求されたので、本発明のmAbの主要な抗腫瘍メカニズムはADCCであることが示唆され(図2);CDCの証拠は観察されなかった。両方の抗体は、BAFFリガンドがBAFF-Rへ結合することを競合的に阻害することができた(図14)。
【0151】
リツキシマブへの耐性の1つの臨床的に意義のあるメカニズムは、CD20のダウンレギュレーションである。薬物耐性のこの現象は、CRISPR編集MCL株(JeKo-1、それはCD20を欠損する)によりモデル化された。この株に対して、及び同様に天然のイブルチニブ耐性Z-138 MCLに対しての、C55またはC90の有意なインビボの抗腫瘍効果(しかしリツキシマブ治療ではその効果はない)は、薬物耐性リンパ腫に対する有効性を示唆する(図5)。以前にリツキシマブにより治療され、それへの応答が進行したリンパ腫患者からの原発性腫瘍に対するこれらの抗体のインビトロの細胞毒性を総合すると、これらのデータは、薬物耐性を克服する治療ストラテジーとしてのC55及びC90の可能性を示唆する(図3)。
【0152】
実施例2。BAFF-R mAbのヒト化。
キメラ抗体(クローン90)は、その結合特異性及び細胞毒性効果を保持しながらヒト化された。CDRのコンピューター分析及び予測された構造を介して、重鎖の3つのバリアント及び軽鎖の3つのバリアントを、変動するヒト抗体への類似度により産生した。合計9つの組み合わせのバリアントを、ヒト化された重鎖及び軽鎖から構築した。これらのバリアントはすべて、2.6~5.0nMの範囲のK値であり、結合親和性において親キメラ抗体に匹敵することが証明された(表1)。
【表1】
【0153】
9つの候補抗体をさらに査定し、最有力候補を決定した。ヒト化抗体の結合はBAFF-Rへの特異性を有し、すべてのものは用量依存的様式の類似の相対的結合を有することが観察された(図20A)。加えて、ヒト化抗体のADCC効果を査定した。この場合もやはり、ヒト化候補は特異的な細胞毒性を維持し、キメラ対照及びリツキシマブに比較して、同じように良好に動作したことが見出された(図20B)。
【0154】
ヒト化クローン90バリアント4及び5をさらなるインビトロ試験のために選択した。ヒト化抗体バリアントをビオチン化し、蛍光ストレプトアビジンプローブにより可視化した。様々な非ホジキンリンパ腫株、リンパ芽球性白血病株、及び多発性骨髄腫株(JeKo-1、Ly-10、MEC-2、RL、RS4、Raji、Z138及びU266が含まれる)に対するそれらの結合を査定した(図22A)。フローサイトメトリーの結果から、これらの細胞株の各々への有意な結合が明らかにされる。正常なPBMCに対するヒト化バリアントによるさらなるフロー分析から、結合における特異性が示される。正常で健康なPBMC中の顆粒球、単球、B細胞、T細胞及びNK細胞の結合について査定した場合に、抗体はB細胞集団のみと結合する(図22B)。
【0155】
2つのバリアントを、ADCCを開始する能力についてさらに査定した。クロム取込みの期間後に、JeKo-1株、Z138株及びRS4株へ、濃度を変動させて抗体を投与した。細胞及び抗体をエフェクターNK細胞と共にインキュベーションした。上清を治療の6時間後に分析した(図21A)。抗体は、腫瘍株に対する明らかな細胞毒性効果を有し、各々の10倍希釈による用量依存性を実証する。結果はリツキシマブのものに匹敵するが、リツキシマブが活性のないRS4急性リンパ芽球性リンパ腫においても観察することができる。LY-10、MEC-2、RL及びRajiによるさらなるアッセイ(図21B)を継続して、ヒト化抗体治療の効力を実証した。見出されたすべての結果は、リツキシマブによる現行の従来の治療のものに匹敵した。
【0156】
実施例3。キメラ抗原受容体T細胞。
高い結合親和性及び生物活性を備えた抗体を使用して、インビボの研究のためのキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を構築した。重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのためのDNA配列を一本鎖(sFv)フォーマットへとアレンジし、4-1BBモチーフと一緒にT細胞シグナル伝達ドメイン(δ鎖)へ操作した。操作されたCAR遺伝子を共発現GFPと一緒に、精製された健康なドナー由来のCD8+ T細胞の中へレンチウイルス経由で導入した。CAR-T細胞をGFPの発現について細胞選別し、動物研究のためにCD3及びCD28のビーズによりインビトロで増やした。NSGマウスに、ルシフェラーゼを発現するJeKo-1 MCL株(JeKo-1-luci)を攻撃投与した。腫瘍を発達させ、腫瘍細胞の目視可能な集団が観察されるまで、生物発光画像化によってモニタリングし、それはおよそ腫瘍攻撃投与の9日後であった。マウスに、腫瘍攻撃投与の9及び15日後に、5×10のCAR-T細胞(抗BAFF-R及び抗CD19)の2回の用量を投与した。対照群に、無処理のT細胞または食塩水(PBS)を投与した。CAR-T療法の治療的抗腫瘍効果を評価するために、マウスを3日ごとに厳密にモニタリング及び画像化して腫瘍発達を追跡した。
【0157】
ヒト化抗BAFF-R mAbを、それらの結合及び細胞毒性について原発性患者腫瘍サンプルに対してさらに査定した。3つのマントル細胞リンパ腫の患者サンプルは、腫瘍細胞の大多数がBAFF-Rを発現することにより特徴づけられた。フローサイトメトリーの結果から、本発明のヒト化抗体によって結合されるこれらの原発性腫瘍細胞の別個の集団が明らかになる(図22A)。さらに、同じ原発性腫瘍サンプルに対するクロム放出細胞毒性アッセイから、対照に比較して、高い特異性の殺傷が明らかにされた。結果はリツキシマブの効果に匹敵し、以前に開発されていたキメラ抗体と一致していた(図22B)。ヒト化抗体の細胞タイプ特異性を、正常なPBMCへのそれらの結合の査定によって決定した。感知可能な結合は、PBMCの主な群(顆粒球、単球、T細胞及びNK細胞が挙げられる)について指摘されなかった。B細胞集団は抗体によって結合される唯一の検出可能な集団であった(図23)。このアッセイの結果も、以前に特徴づけられたキメラ抗体と一致している。
【0158】
抗BAFF-R mAbをさらに使用して、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞を作成する。実験は、一本鎖(sFv)フォーマットへと操作されたキメラC55可変領域を利用した。抗BAFF-R C55 sFvを4-1BBモチーフを含有するT細胞受容体シグナル伝達ドメインへ添付し、PBMCから単離された健康な正常なヒトドナーCD8+ T細胞の中へ成功裡に導入した。CAR-T細胞を、感知できる腫瘍量を持った担腫瘍マウスへ投与した(図24)。食塩水または非操作T細胞の対照群のいずれかに比較した場合に、抗BAFF-R CAR-T細胞により治療されたマウスは有意な腫瘍クリアランスを有していた。加えて、本発明のCAR-T細胞の抗腫瘍効果は、抗CD-19 CAR-T治療群のものに匹敵する。
【0159】
キメラ抗BAFF-R抗体C90を複数のバリアントによりヒト化した。ヒト化プロセスは、キメラ抗体の可変領域及び特にCDRの分析を考慮に入れた。そこから、各々の重鎖及び軽鎖について3つのバリアントを、1(最もヒト)から3(キメラに対して最も保存的)の範囲で変動するヒトへの類似度で開発した。バリアントを組み合わせて9つのバリアントを産生した。Biacore分析を、各々のバリアントに加えてキメラの親C90で遂行して、それらの平衡解離定数Kを決定した。抗原は、商業的な組み換えヒトBAFF-Rの細胞外ドメインであった。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
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図2-1】
図2-2】
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図8
図9
図10
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図18
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図20-1】
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図24
【配列表】
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