(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B66F9/24 P
(21)【出願番号】P 2022051213
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 明彦
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-228096(JP,A)
【文献】特開平04-094399(JP,A)
【文献】特表2020-500798(JP,A)
【文献】特開昭61-257897(JP,A)
【文献】特開2020-193061(JP,A)
【文献】特開昭61-257895(JP,A)
【文献】特表2022-514240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を持ち上げるためのフォークを備えたフォークリフトにおいて、
前記フォークは、前後方向に延びるフォーク本体と、前記フォーク本体の上面および少なくとも一側面を覆うフォークカバーと、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーを支持する支持機構とを備えており、
前記支持機構は、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーが水平方向に変位可能に支持するよう構成され、
前記フォークリフトは、前記フォーク本体と前記フォークカバーとの間を通して前記フォークの前方に向けてレーザー光を投光するレーザー式の測距センサを備え、
前記測距センサは、前記フォーク本体に対する前記フォークカバーの少なくとも左右方向の変位を検出可能に構成されるとともに、前記フォークの前方に位置する物体を検出可能に構成されている
ことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記フォーク本体および前記フォークカバーの一方には、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーが左右方向の少なくとも一方に所定量以上変位したときに前記レーザー光を遮る測距対象部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記フォーク本体および前記フォークカバーの一方には、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーが上下方向の少なくとも一方に所定量以上変位したときに前記レーザー光を遮る測距対象部が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記測距対象部は、前記フォークに外力が作用していないときに前記レーザー光が通過する開口部を有し、前記レーザー光が前記開口部を通過している状態を通常状態として、当該通常状態から前記フォークカバーが変位したときに前記レーザー光を遮る
ことを特徴とする請求項2または3に記載のフォークリフト。
【請求項5】
前記支持機構は、前記フォーク本体および前記フォークカバーを接続する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、前記フォーク本体の上部に設けられた上側凹部に設けられ、フォーク本体とフォークカバーとが上下方向に間隔を空けて設けられるように前記フォークカバーを支持する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項6】
前記フォークは、前記支持機構として、前後方向に間隔を空けて設けられた複数の支持機構を備えている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークにパレットが接触したことを検知するためのセンサを備えたフォークリフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、オペレータが操作することなく荷役および走行を行うフォークリフト(いわゆる無人フォークリフト)は、フォークに物体が接触したことを検知するためのセンサを備えている(例えば特許文献1および2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のフォークリフトは、全体外形のより小さな断面視矩形状を有する直方体状の先端部が設けられたフォークと、フォークの先端部の外周に嵌められた接触部材と、接触部材の前後方向への移動を検知することによりフォークとパレットとの接触を検知する接触検知センサとを備えている。
【0004】
また、特許文献2に記載のフォークリフトは、上面および下面および両側面に前後方向に延びる溝が形成されたフォークと、各溝の内部に当該溝に沿って設けられた当接位置検出部とを備えている。当接位置検出部は、レーザー光を投受光する光軸センサを備えており、フォークにフォーク当接物が当接すると、当接した位置に対応する光軸センサがレーザー光の反射光を受光することで、フォーク当接物の当接を検出する。
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、フォークにパレットが接触したことを検知する際には、フォークの先端部に設けられた接触部材が前後方向に動くことが必要であるため、フォークに対してパレットが側方から接触したことを検知することは難しいという問題があった。
【0006】
また、特許文献2の構成では、光軸センサが荷役の支障とならない雨や雪等を検知することがあるため、フォークに対してパレットが接触したことを精確に検知できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-63793号公報
【文献】特開2018-177514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、フォークに対してパレットが側方から接触したことを精確に検知できるフォークリフトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のフォークリフトは、荷物を持ち上げるためのフォークを備えたフォークリフトにおいて、前記フォークは、前後方向に延びるフォーク本体と、前記フォーク本体の上面および少なくとも一側面を覆うフォークカバーと、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーを支持する支持機構とを備えており、前記支持機構は、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーが水平方向に変位可能に支持するよう構成され、前記フォークリフトは、前記フォーク本体と前記フォークカバーとの間を通して前記フォークの前方に向けてレーザー光を投光するレーザー式の測距センサを備え、前記測距センサは、前記フォーク本体に対する前記フォークカバーの少なくとも左右方向の変位を検出可能に構成されるとともに、前記フォークの前方に位置する物体を検出可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記フォーク本体および前記フォークカバーの一方には、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーが左右方向の少なくとも一方に所定量以上変位したときに前記レーザー光を遮る測距対象部が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、前記フォーク本体および前記フォークカバーの一方には、前記フォーク本体に対して前記フォークカバーが上下方向の少なくとも一方に所定量以上変位したときに前記レーザー光を遮る測距対象部が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記測距対象部は、前記フォークに外力が作用していないときに前記レーザー光が通過する開口部を有し、前記レーザー光が前記開口部を通過している状態を通常状態として、当該通常状態から前記フォークカバーが変位したときに前記レーザー光を遮ることが好ましい。
【0013】
また、前記支持機構は、前記フォーク本体および前記フォークカバーを接続する弾性部材を備え、前記弾性部材は、前記フォーク本体の上部に設けられた上側凹部に設けられ、フォーク本体とフォークカバーとが上下方向に間隔を空けて設けられるように前記フォークカバーを支持することが好ましい。
【0014】
また、前記フォークは、前記支持機構として、前後方向に間隔を空けて設けられた複数の支持機構を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フォークに対してパレットが側方から接触したことを精確に検知できるフォークリフトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
【
図2】同実施形態に係るフォークリフトが備えるフォークの全体図である。
【
図3】(A)は同実施形態に係るフォークの断面図であり、(B)および(C)は一部拡大図である。
【
図5】(A)~(D)は、同実施形態に係るフォークの一部拡大断面図である。
【
図6】同実施形態に係るフォークリフトの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明を具体化した一実施形態に係るフォークリフトFを説明する。なお、図中の矢印で示す前後方向X、左右方向Y、および上下方向Zは、互いに直交する直線方向である。
【0018】
図1に示すように、フォークリフトFは、走行および荷役を自律的に行う無人フォークリフトである。フォークリフトFは、路面上を走行する車両本体1Aと、フォーク2を含む荷役装置1Bとを備えている。フォーク2は、荷物(図示略)を持ち上げるための爪であって、昇降可能(すなわち上下方向Zに移動可能)に構成されている。
【0019】
図2に示すように、フォークリフトFは、フォーク2として、左右方向Yに間隔を空けて設けられた左右一対のフォーク2R,2Lを備えている。以下、フォーク2R,2Lは同様の構成を有しているため、フォーク2R,2Lで共通する構成の説明を簡略化する。
【0020】
フォーク2は、前後方向Xに延びるフォーク本体10と、フォーク本体10の上面11T(
図3参照)、右側面11R(
図4参照)、および、左側面11L(
図4参照)を覆うフォークカバー20と、フォーク本体10に対してフォークカバー20を支持する支持機構30(
図3参照)とを備えている。
【0021】
図3(A)は、フォーク2の断面図であり、
図4は、フォーク2の下面図である。
図3(A)は、
図4中のS1-S1部分の断面図であり、
図3(B)および(C)は、
図3(A)の一部拡大図である。
【0022】
また、
図5(A)は、
図4中のS2-S2部分の断面図であり、
図5(B)は、
図4中のS3-S3部分の断面図であり、
図5(C)は、
図4中のS4-S4部分の断面図であり、
図5(D)は、
図4中のS5-S5部分の断面図である。
【0023】
図3(A)に示すように、フォーク本体10は、前後方向Xに延びたブレード10Aと、上下方向Zに延びたシャンク10Bとを有している。ブレード10Aは、シャンク10Bの下端部から前方に向けて延びている。
【0024】
図3(A)および
図4に示すように、フォーク本体10のブレード10Aは、フォーク本体10の外面として、上面11Tと、右側面11Rと、左側面11Lと、下面11Bとを有している。また、
図3(B)および(C)に示すように、フォーク本体10は、ブレード10Aの上部に設けられた上側凹部12Tと、ブレード10Aの下部に設けられた下側凹部12Bと、上側凹部12Tと下側凹部12Bとが連通する貫通孔13とを有している。上側凹部12T、下側凹部12B、および、貫通孔13は、それぞれ、前後方向Xに間隔を空けて2箇所に設けられている。
【0025】
図3(A)および
図4に示すように、フォークカバー20は、フォーク本体10の上面11Tと対向する上板部21Tと、フォーク本体10の右側面11Rと対向する右側板部21Rと、フォーク本体10の左側面11Lと対向する左側板部21Lとを有している。上板部21Tの下面、右側板部21Rの左側面、および、左側板部21Lの右側面は、フォークカバー20の内面を構成している。また、
図3(B)および(C)に示すように、フォークカバー20は、上板部21Tに設けられた貫通孔22を有している。貫通孔22は、フォーク本体10の貫通孔13と同様に、前後方向Xに間隔を空けて2箇所に設けられている。
【0026】
図3(A)~(C)に示すように、フォーク2は、支持機構30として、前後方向Xに間隔を空けて設けられた前後一対の支持機構30F,30Rを備えている。以下、支持機構30F,30Rは同様の構成を有しているため、支持機構30F,30Rで共通する構成の説明を簡略化する。
【0027】
支持機構30は、フォーク本体10に対してフォークカバー20を水平方向に変位可能に支持するよう構成されている。支持機構30は、弾性部材31と、ボルト32と、ナット33と、おねじ34とを備えている。本実施形態では、弾性部材31およびボルト32は、クッションゴム付きボルトにより構成されている。
【0028】
弾性部材31は、フォーク本体10の上側凹部12Tに設けられるとともに、フォーク本体10の上面11Tから上方に突出させて設けられている。弾性部材31は、ボルト32の上部に固定されており、フォーク本体10に対してフォークカバー20が水平方向に変位可能となるようにフォーク本体10およびフォークカバー20を接続する。こうして、弾性部材31は、フォーク本体10とフォークカバー20とが上下方向Zに間隔を空けて設けられるようにフォークカバー20を支持している。
【0029】
ボルト32は、フォーク本体10の貫通孔13に差し込まれており、ナット33に嵌め込まれている。ナット33は、フォーク本体10の下側凹部12Bに設けられており、クッションゴム付きボルト(弾性部材31およびボルト32)とフォーク本体10とを締結することで、弾性部材31をフォーク本体10に固定している。
【0030】
おねじ34は、フォークカバー20の貫通孔22に差し込まれており、弾性部材31にねじ込まれている。おねじ34は、クッションゴム付きボルト(弾性部材31およびボルト32)とフォークカバー20とを締結することで、弾性部材31をフォークカバー20に固定している。
【0031】
以上の構成により、
図3(A)~(C)に示すように、フォーク本体10の上面11Tとフォークカバー20の上板部21Tとは、上下方向Zに間隔を空けて設けられている。また、
図4に示すように、フォーク本体10の右側面11Rとフォークカバー20の右側板部21Rとは、左右方向Yに間隔を空けて設けられている。同様に、フォーク本体10の左側面11Lとフォークカバー20の左側板部21Lとは、左右方向Yに間隔を空けて設けられている。
【0032】
そして、フォーク2を構成するフォークカバー20に外力が作用することで、弾性部材31が変形し、フォーク本体10に対してフォークカバー20が変位するように構成されている。具体的には、フォーク2に対してパレットが左右方向Yの一方から接触したときは、フォーク本体10に対してフォークカバー20が左右方向Yの他方に変位し、フォーク2に対してパレットが上下方向Zの一方から接触したときは、フォーク本体10に対してフォークカバー20が上下方向Zの他方に変位するように構成されている。
【0033】
また、
図2および
図4に示すように、フォークリフトFは、フォーク2R,2Lの各々に設けられる構成として、フォーク本体10とフォークカバー20との間を通してフォーク2の前方に向けてレーザー光を投光するレーザー式の測距センサ4を備えている。
【0034】
測距センサ4は、レーザー光の光軸C上に位置する物体で反射したレーザー光を受光することで、レーザー光を反射した物体を検知するとともに物体までの距離を計測する。測距センサ4は、フォーク本体10に対するフォークカバー20の左右方向Yおよび上下方向Zの変位を検出可能に構成されるとともに、フォーク2の前方に位置するパレットやラック等の物体を検出可能に構成されている。具体的には、
図4および
図5(A)~(D)に示すように、測距センサ4は、フォーク2にパレット等の物体が接触していない状態(以下「非接触状態」という)ではレーザー光の光軸Cが測距対象部5に重ならず、フォーク本体10に対してフォークカバー20が非接触状態から変位したときにレーザー光の光軸Cが測距対象部5に重なるように設けられている。
【0035】
本実施形態では、フォーク2Lに設けられた測距センサ4は、フォーク本体10の左側面11Lに設けられ、測距対象部5は、フォーク2Lのフォークカバー20の左側板部21Lに設けられている。また、フォーク2Rに設けられた測距センサ4は、フォーク本体10の右側面11Rに設けられ、測距対象部5は、フォーク2Rのフォークカバー20の右側板部21Rに設けられている。
【0036】
図5(A)~(D)に示すように、測距対象部5は、フォークカバー20と一体に設けられており、フォーク2に外力が作用していないときに(すなわち非接触状態において)レーザー光が通過する開口部51を有している。測距対象部5は、レーザー光が開口部51を通過する状態を通常状態として、通常状態からフォーク本体10に対してフォークカバー20が左右方向Yおよび上下方向Zの少なくとも一方に所定量以上変位したときにレーザー光を遮る。
【0037】
本実施形態では、フォークカバー20には、測距対象部5として、前後方向Xに間隔を空けて4つの測距対象部5A,5B,5C,5Dが設けられている。測距対象部5A,5B,5C,5Dは、それぞれ、例えば測距センサ4から200mm、1000mm、1020mm、1040mm離れた位置に設けられている。
【0038】
フォーク2Lに設けられた測距対象部5A,5Bは、フォーク2Lのフォーク本体10に対して、フォーク2Lのフォークカバー20が非接触状態から右方に所定量以上変位したときに、レーザー光を遮る。また、フォーク2Rに設けられた測距対象部5A,5B(図示略)は、フォーク2Rのフォーク本体10に対して、フォーク2Rのフォークカバー20が非接触状態から左方に所定量以上変位したときに、レーザー光を遮る。
【0039】
フォーク2R,2Lに設けられた測距対象部5Cは、フォーク本体10に対してフォークカバー20が非接触状態から上方に所定量以上変位したときに、レーザー光を遮る。また、フォーク2R,2Lに設けられた測距対象部5Dは、フォーク本体10に対してフォークカバー20が非接触状態から下方に所定量以上変位したときに、レーザー光を遮る。
【0040】
以上の構成により、フォーク2Lに対してパレットが左方から接触することでフォークカバー20が右方に所定量以上変位したときは、フォーク2Lに設けられた測距センサ4は、その測距センサ4から測距対象部5A,5Bのいずれかまでの距離を距離計測結果として出力する。また、フォーク2Rに対してパレットが右方から接触することでフォークカバー20が左方に所定量以上変位したときは、フォーク2Rに設けられた測距センサ4は、その測距センサ4から測距対象部5A,5Bのいずれかまでの距離を距離計測結果として出力する。
【0041】
また、フォーク2R,2Lに対してパレットが下方から接触することでフォークカバー20が上方に所定量以上変位したときは、フォーク2R,2Lに設けられた測距センサ4は、その測距センサ4から測距対象部5Cまでの距離を距離計測結果として出力する。また、フォーク2R,2Lに対してパレットが上方から接触することでフォークカバー20が下方に所定量以上変位したときは、フォーク2R,2Lに設けられた測距センサ4は、その測距センサ4から測距対象部5Dまでの距離を距離計測結果として出力する。
【0042】
また、フォーク2R,2Lに対してパレット等が接触していない非接触状態であるときは、フォーク2R,2Lに設けられた測距センサ4は、フォーク2の前方に位置するパレットやラック等を検出し、そのパレットやラック等までの距離を距離計測結果として出力する。測距センサ4により計測されたパレットやラック等までの距離は、パレットに対するフォーク2の位置決めに利用される。具体的には、例えば、パレットと同じ高さに位置するようにフォーク2を昇降させる際に、測距センサ4による距離計測結果が、測距センサ4からフォーク2の先端部までの距離よりも長い1120~1470mmの範囲に含まれる場合に、フォーク2の前方にパレットが位置すると判定して、フォーク2の昇降が停止するように構成されている。
【0043】
また、
図6に示すように、フォークリフトFは、サイドシフト装置6Aと、チルト装置6Bと、リフト装置6Cと、接触箇所判定部7と、制御部8とを備えている。接触箇所判定部7および制御部8は、1つ以上の集積回路により構成されている。
【0044】
サイドシフト装置6Aは、フォーク2を左右方向Yに移動させる。サイドシフト装置6Aは、フォーク2R,2Lの間隔を変えることなくフォーク2R,2Lを移動させることで、車両本体1Aの走行停止時にパレットに対するフォーク2の位置を調整する。
【0045】
チルト装置6Bは、フォーク2を前後方向Xに傾動させる。チルト装置6Bは、フォーク2R,2Lの上面を前方および後方に傾動させることで、水平方向に対するフォーク2の傾斜度合いを調整する。
【0046】
リフト装置6Cは、フォーク2を上下方向Zに移動させる。リフト装置6Cは、フォーク2R,2Lを上方および下方に移動させることで、パレットに対するフォーク2の高さを調整する。
【0047】
接触箇所判定部7は、測距センサ4の出力に基づいてフォーク2に対するパレットの接触箇所を判定する。具体的には、接触箇所判定部7は、例えば、フォーク2Lに設けられた測距センサ4による距離計測結果が、測距センサ4から測距対象部5Aまでの距離を含む195~205mmの範囲に含まれる場合は、フォーク2Lの左側板部21Lに対して左方からパレットが接触していると判定し、測距センサ4から測距対象部5Bまでの距離を含む995~1005mmの範囲に含まれる場合は、フォーク2Lの左側板部21Lの前端部に対して左方からパレットが接触していると判定する。また、フォーク2Rに設けられた測距センサ4による距離計測結果が、195~205mmの範囲に含まれる場合は、フォーク2Rの右側板部21Rに対して右方からパレットが接触していると判定し、995~1005mmの範囲に含まれる場合は、フォーク2Rの右側板部21Rの前端部に対してパレットが接触していると判定する。
【0048】
また、接触箇所判定部7は、例えば、フォーク2R,2Lに設けられた測距センサ4による距離計測結果が、測距センサ4から測距対象部5Cまでの距離を含む1015~1025mmの範囲に含まれる場合は、フォーク2R,2Lの右側板部21Rおよび左側板部21Lの少なくとも一方に対して下方からパレットが接触していると判定する。さらに、接触箇所判定部7は、例えば、フォーク2R,2Lに設けられた測距センサ4による距離計測結果が、測距センサ4から測距対象部5Dまでの距離を含む1035~1045mmの範囲に含まれる場合は、フォーク2R,2Lの上板部21Tに対して上方からパレットが接触していると判定する。
【0049】
制御部8は、フォーク2がパレットに差し込まれる際に、接触箇所判定部7による判定結果に基づいて、サイドシフト装置6A、チルト装置6B、およびリフト装置6Cを制御する。具体的には、制御部8は、フォーク2Lに対してパレットが左方から接触していると接触箇所判定部7が判定した場合は、フォーク2R,2Lを右方に移動させるようにサイドシフト装置6Aを制御し、フォーク2Rに対してパレットが右方から接触していると接触箇所判定部7が判定した場合は、フォーク2R,2Lを左方に移動させるようにサイドシフト装置6Aを制御する。
【0050】
また、制御部8は、フォーク2R,2Lに対してパレットが下方から接触していると接触箇所判定部7が判定した場合は、フォーク2R,2Lの上面を後方に傾動させてパレットと接触させないようにチルト装置6Bおよびリフト装置6Cを制御し、フォーク2R,2Lに対してパレットが上方から接触していると接触箇所判定部7が判定した場合は、フォーク2R,2Lの上面を前方に傾動させてパレットと接触させないようにチルト装置6Bおよびリフト装置6Cを制御する。
【0051】
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)測距センサ4が、フォーク本体10に対するフォークカバー20の少なくとも左右方向Yの変位を検出することで、フォーク2に対してパレットが右方または左方(側方)から接触したことを検知できる。フォーク本体10に対するフォークカバー20の変位は、フォーク本体10の外面とフォークカバー20の内面とが向かい合う閉鎖的な空間で検出できるため、雨や雪等に起因する誤検出を抑止できる。したがって、フォーク2に対してパレットが側方から接触したことを精確に検知できる。さらに、測距センサ4が、フォーク2の前方に位置する物体を検出することで、フォーク2から離れて位置するパレットやラックも検出できるため、フォークリフトFの構成の簡略化を図ることができる。
【0052】
(2)フォーク2Lのフォークカバー20には、フォーク本体10に対してフォークカバー20が左右方向Yのうち右方(一方)に所定量以上変位したときにレーザー光を遮る測距対象部5A,5Bが設けられている。この構成によれば、フォーク2Lに設けられた測距センサ4により測距対象部5A,5Bまでの距離が計測されたときに、フォーク2Lに対して左方からパレットが接触していると判定できる。
【0053】
(3)フォーク2Rのフォークカバー20には、フォーク本体10に対してフォークカバー20が左右方向Yのうち左方(他方)に所定量以上変位したときにレーザー光を遮る測距対象部5A,5Bが設けられている。この構成によれば、フォーク2Rに設けられた測距センサ4により測距対象部5A,5Bまでの距離が計測されたときに、フォーク2Rに対して右方からパレットが接触していると判定できる。
【0054】
(4)フォーク2R,2Lのフォークカバー20には、フォーク本体10に対してフォークカバー20が上下方向Zのうち上方に所定量以上変位したときにレーザー光を遮る測距対象部5Cが設けられている。この構成によれば、測距センサ4により測距対象部5Cまでの距離が計測されたときに、フォーク2R,2Lに対して下方からパレットが接触していると判定できる。
【0055】
(5)フォーク2R,2Lのフォークカバー20には、フォーク本体10に対してフォークカバー20が上下方向Zのうち下方に所定量以上変位したときにレーザー光を遮る測距対象部5Dが設けられている。この構成によれば、測距センサ4により測距対象部5Dまでの距離が計測されたときに、フォーク2R,2Lに対して上方からパレットが接触していると判定できる。
【0056】
(6)フォーク2は、支持機構30として、前後方向Xに間隔を空けて設けられた複数の支持機構30F,30Rを備えている。この構成によれば、フォーク本体10がフォークカバー20から受ける荷重を分散できる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0058】
・
図7に示すように、1つのフォーク2の左側面11Lおよび右側面11Rの双方に、測距センサ4を設けてもよい(変形例1)。この変形例1に係る測距対象部5は、1つのフォーク2の左側板部21Lおよび右側板部21Rの双方に設けられている。左側板部21Lに設けられた測距対象部5は、上記実施形態で説明したフォーク2Lに設けられた測距対象部5と同じ構成を有しており、右側板部21Rに設けられた測距対象部5は、上記実施形態で説明したフォーク2Rに設けられた測距対象部5と同じ構成を有している。
【0059】
変形例1に係る構成によれば、1本のフォーク2に設けられた複数の測距センサ4により、フォーク2に対して左方からパレットが接触しているか否か、フォーク2に対して右方からパレットが接触しているか否かを判定できる。また、フォーク2に対してパレットが接触していることをより精確に検知できる。
【0060】
・測距対象部5A,5Bのうち、一方が、フォークカバー20が非接触状態から右方に所定量以上変位したときにレーザー光を遮り、他方が、フォークカバー20が非接触状態から左方に所定量以上変位したときにレーザー光を遮るように構成してもよい。この構成によれば、1つの測距センサ4により、フォーク2に対して左方からパレットが接触しているか否か、フォーク2に対して右方からパレットが接触しているか否かを判定できる。
【0061】
・フォーク2に対してパレットが側方から接触したことを検知できるのであれば、測距対象部5の構成を適宜変更してもよい。また、測距対象部5の配置および数量を適宜変更してもよい。
【0062】
・フォーク本体10に対するフォークカバー20の変位を検出できるのであれば、測距センサ4を適宜変更してもよい。具体的には、例えば、フォークカバー20に測距センサ4が設けられ、フォーク本体10に測距対象部5が設けられてもよい。また、測距センサ4が、フォーク2の後方に位置するリフトブラケットに設けられ、フォーク本体10とともに昇降するように構成されていてもよい。すなわち、測距対象部5は、フォーク本体10およびフォークカバー20の一方に設けられていればよい。
【0063】
・フォーク本体10に対してフォークカバー20を支持できるのであれば、支持機構30の構成を適宜変更してもよい。また、支持機構30の配置および数量を適宜変更してもよい。
【0064】
・フォークリフトFは、オペレータの操作により走行および荷役可能に構成された有人フォークリフトであっても、動作モードを切り替えることで有人フォークリフトとしても無人フォークリフトとしても動作する有人無人兼用フォークリフトであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1A 車両本体
1B 荷役装置
2,2R,2L フォーク
4 測距センサ
5,5A,5B,5C,5D 測距対象部
10 フォーク本体
11T 上面
11R 右側面
11L 左側面
11B 下面
12T 上側凹部
12B 下側凹部
13 貫通孔
20 フォークカバー
21T 上板部
21R 右側板部
21L 左側板部
22 貫通孔
30,30R,30L 支持機構
31 弾性部材
32 ボルト
33 ナット
34 おねじ
51開口部
C 光軸
F フォークリフト
X 前後方向
Y 左右方向
Z 上下方向