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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240305BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20240305BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20240305BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240305BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240305BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 Q
H01L29/78 301B
H01L29/78 301W
H01L29/06 301F
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019080072
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020178068
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩志
(72)【発明者】
【氏名】向井 章
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大望
(72)【発明者】
【氏名】新留 彩
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-179785(JP,A)
【文献】特開2013-179376(JP,A)
【文献】特開2005-129696(JP,A)
【文献】特開2008-227014(JP,A)
【文献】特開2013-247363(JP,A)
【文献】国際公開第2012/172753(WO,A1)
【文献】特開2017-041543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/336
H01L 29/06
H01L 29/778
H01L 29/812
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第2電極から前記第1電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第2電極の位置と、前記第1方向における前記第1電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層であって、前記第1半導体層は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第1部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第2部分領域と前記第3部分領域との間にある、前記第1半導体層と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む第2半導体層であって、前記第2半導体層は、第1半導体領域、第2半導体領域及び第3半導体領域を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体領域への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体領域への方向は前記第2方向に沿い、前記第3半導体領域は、前記第2方向において、前記第1部分領域と前記第1電極との間にある、前記第2半導体層と、
Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1、x2<y1)を含む第1化合物部材であって、前記第1化合物部材は、複数の第1化合物部分を含み、前記複数の第1化合物部分は、前記第3半導体領域と前記第1電極との間にあり、前記複数の第1化合物部分の1つと、前記複数の第1化合物部分の別の1つと、の間に、前記第1電極の一部がある、前記第1化合物部材と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記複数の第1化合物部分の前記1つから、前記複数の第1化合物部分の前記別の1つへの方向は、前記第1方向の成分を有する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1化合物部分の前記1つから、前記複数の第1化合物部分の前記別の1つへの方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向の成分を有する、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の第1化合物部分の前記1つ、及び、前記複数の第1化合物部分の前記別の1つは、前記第3半導体領域と接する、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電極の前記一部は、前記第3半導体領域と接する、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
Aly2Ga1-y2N(0<y2≦1、x2<y2)を含む第2化合物部材をさらに備え、
前記第2半導体層は、第4半導体領域をさらに含み、
前記第4半導体領域は、前記第2方向において、前記第2部分領域と前記第2電極との間にあり、
前記第2化合物部材は、複数の第2化合物部分を含み、前記複数の第2化合物部分は、前記第4半導体領域と前記第2電極との間にあり、前記複数の第2化合物部分の1つと、前記複数の第2化合物部分の別の1つと、の間に、前記第2電極の一部がある、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の第2化合物部分の前記1つから、前記複数の第2化合物部分の前記別の1つへの方向は、前記第1方向の成分を有する、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の第2化合物部分の前記1つから、前記複数の第2化合物部分の前記別の1つへの方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向の成分を有する、請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数の第2化合物部分の前記1つ、及び、前記複数の第2化合物部分の前記別の1つは、前記第4半導体領域と接する、請求項6~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2電極の前記一部は、前記第4半導体領域と接する、請求項6~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
Aly3Ga1-y3N(0<y3≦1、x2<y3)を含む第3化合物部材と、
第1絶縁層と、
をさらに備え、
前記第1半導体層は、第6部分領域をさらに含み、前記第6部分領域は、前記第1方向において、前記第3部分領域と前記第4部分領域との間にあり、
前記第2半導体層は、第5半導体領域をさらに含み、前記第6部分領域から前記第5半導体領域への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1半導体領域は、前記第2方向において前記第4部分領域と前記第3化合物部材との間にあり、
前記第1絶縁層は、第1絶縁領域を含み、
前記第1絶縁領域は、前記第1方向において、前記第3電極の少なくとも一部と、前記第3化合物部材との間にある、請求項1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3化合物部材は、前記第1半導体領域と接する、請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1絶縁領域は、前記第5半導体領域と接する、請求項11または12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第3化合物部材は、複数の第3化合物部分を含み、前記複数の第3化合物部分の1つと、前記複数の第3化合物部分の別の1つと、の間に、前記第1絶縁層の一部がある、請求項11~13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項15】
Aly4Ga1-y4N(0<y4≦1、x2<y4)を含む第4化合物部材をさらに備え、
前記第1半導体層は、第7部分領域をさらに含み、前記第7部分領域は、前記第1方向において、前記第5部分領域と前記第3部分領域との間にあり、
前記第2半導体層は、第6半導体領域をさらに含み、前記第7部分領域から前記第6半導体領域への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2半導体領域は、前記第2方向において前記第5部分領域と前記第4化合物部材との間にあり、
前記第1絶縁層は、第2絶縁領域をさらに含み、
前記第2絶縁領域は、前記第1方向において、前記第4化合物部材と、前記第3電極の少なくとも一部と、の間にある、請求項11~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第4化合物部材は、前記第2半導体領域と接する、請求項15記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2絶縁領域は、前記第6半導体領域と接する、請求項15または16に記載の半導体装置。
【請求項18】
Aly5Ga1-y5N(0<y5≦1、x2<y5)を含む第5化合物部材をさらに備え、
前記第5化合物部材の少なくとも一部と前記第1半導体層との間に、前記第2半導体層の一部がある、請求項1~17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第5化合物部材の別の一部は、前記第3電極と前記第1半導体層との間にある、請求項18記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば窒化物半導体を用いたトランジスタなどの半導体装置がある。半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-229486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第1半導体層、第2半導体層及び第1化合物部材を含む。前記第2電極から前記第1電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第2電極の位置と、前記第1方向における前記第1電極の位置と、の間にある。前記第1半導体層は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1半導体層は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第1部分領域との間にある。前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第2部分領域と前記第3部分領域との間にある。前記第2半導体層は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。前記第2半導体層は、第1半導体領域、第2半導体領域及び第3半導体領域を含む。前記第4部分領域から前記第1半導体領域への方向は前記第2方向に沿う。前記第5部分領域から前記第2半導体領域への方向は前記第2方向に沿う。前記第3半導体領域は、前記第2方向において、前記第1部分領域と前記第1電極との間にある。前記第1化合物部材は、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1、x2<y1)を含む。前記第1化合物部材は、複数の第1化合物部分を含む。前記複数の第1化合物部分は、前記第3半導体領域と前記第1電極との間にある。前記複数の第1化合物部分の1つと、前記複数の第1化合物部分の別の1つと、の間に、前記第1電極の一部がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2(a)~図2(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図3図3は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4図4は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7図7は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8図8は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9図9は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10図10は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11図11は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12図12は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13図13は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図14図14は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図15図15は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図16図16は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図17図17は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図18図18は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図19図19は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図20図20は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図21図21は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図22図22は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図23図23は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図24図24は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図25図25は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図26図26は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図27図27は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図28図28は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図29図29は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図30図30は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層11、第2半導体層12及び第1化合物部材31を含む。
【0009】
第2電極52から第1電極51への第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第1方向(X軸方向)における第3電極53の位置は、第1方向における第2電極52の位置と、第1方向における第1電極51の位置と、の間にある。例えば、X軸方向において、第3電極53は、第2電極52と第1電極51との間にある。
【0011】
第1半導体層11は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体層11は、例えば、GaNを含む。例えば、第1半導体層11は、X-Y平面に対して実質的に平行である。
【0012】
第1半導体層11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b、第3部分領域11c、第4部分領域11d及び第5部分領域11eを含む。
【0013】
第1部分領域11aから第1電極51への第2方向は、第1方向(X軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。
【0014】
第2部分領域11bから第2電極52への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第3部分領域11cから第3電極53への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第4部分領域11dは、第1方向(X軸方向)において、第3部分領域11cと第1部分領域11aとの間にある。第5部分領域11eは、第1方向(X軸方向)において、第2部分領域11bと第3部分領域11cとの間にある。
【0015】
第1部分領域11aは、第1電極51の下の部分である。第2部分領域11bは、第2電極52の下の部分である。第3部分領域11cは、第3電極53の下の部分である。
【0016】
第2半導体層12は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。第2半導体層12は、例えば、AlGaNを含む。第2半導体層12は、例えば、Al0.3Ga0.7Nなどを含む。
【0017】
第2半導体層12は、第1半導体領域12a、第2半導体領域12b及び第3半導体領域12cを含む。第4部分領域11dから第1半導体領域12aへの方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第5部分領域11eから第2半導体領域12bへの方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第3半導体領域12cは、第2方向(例えばZ軸方向)において、第1部分領域11aと第1電極51との間にある。第3半導体領域12cは、第1電極51の下の部分である。
【0018】
この例では、第2半導体層12は、第4半導体領域12dをさらに含む。第4半導体領域12dは、第2方向(例えばZ軸方向)において、第2部分領域11bと第2電極52との間にある。第4半導体領域12dは、第2電極52の下の部分である。
【0019】
第1化合物部材31は、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1、x2<y1)を含む。第1化合物部材31は、例えば、AlNを含む。
【0020】
第1化合物部材31は、複数の第1化合物部分31pを含む。複数の第1化合物部分31pは、第3半導体領域12cと第1電極51との間にある。複数の第1化合物部分31pの1つと、複数の第1化合物部分31pの別の1つと、の間に、第1電極51の一部がある。
【0021】
この例では、基板15、第1中間層13及び第2中間層14が設けられている。基板15と第2半導体層12との間に第1中間層13がある。第1中間層13と第2半導体層12との間に第2中間層14がある。第2中間層14と第2半導体層12との間に第1半導体層11がある。基板15は、例えば、シリコン基板である。第1中間層13は、例えば、バッファ層である。第1中間層13は、例えば、積層された複数の窒化物半導体膜などを含む。第2中間層14は、例えば、p形GaNなどを含む。
【0022】
第1電極51は、第3半導体領域12cと電気的に接続される。第2電極52は、第4半導体領域12dと電気的に接続される。
【0023】
第1電極51と第3電極53との間の距離は、第2電極52と第3電極53との間の距離よりも長い。
【0024】
第1半導体層11の第2半導体層12に対向する領域に、キャリア領域10Eが形成される。キャリア領域10Eは、例えば、2次元電子ガスである。
【0025】
第3電極53に印加される電圧により、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流が制御できる。第1電極51は、例えば、ドレイン電極として機能する。第2電極52は、例えば、ソース電極として機能する。第3電極53は、例えば、ゲート電極として機能する。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)として機能する。
【0026】
この例では、第1絶縁層41が設けられている。第1絶縁層41の一部41pは、第2方向(Z軸方向)において、第3部分領域11cと第3電極53との間にある。第1絶縁層41の一部41pは、ゲート絶縁膜として機能する。
【0027】
上記のように、半導体装置110においては、第3半導体領域12cと第1電極51との間に複数の第1化合物部分31pが設けられ、複数の第1化合物部分31pの間に第1電極51の一部がある。第1半導体層11及び第2半導体層12は、複数の第1化合物部分31pの「下の領域」を含む。AlNなどの複数の第1化合物部分31pにより、「下の領域」におけるキャリアの濃度は、第3電極53と第1電極51との間の領域におけるキャリア濃度よりも高くなる。複数の第1化合物部分31pの「下の領域」において、キャリア濃度を局所的に高くすることができる。第1電極51は、複数の第1化合物部分31pの間の領域において、第2半導体層12と電気的に接続される。これにより、第1電極51と第2半導体層12との間の電気的な接続において、低い抵抗が得られる。これにより、低いオン抵抗が得られる。特性の向上が可能な半導体装置を提供することができる。
【0028】
AlNの電気抵抗は高い。AlNは、実質的に絶縁性である。このため、一般に、半導体層と電極との間に、絶縁性のAlNを設けると、コンタクト面積が小さくなり、抵抗は高くなる。実施形態においては、第1半導体層11及び第2半導体層12の積層体の上に、AlNなどの複数の第1化合物部分31pが設けられる。複数の第1化合物部分31pにより、複数の第1化合物部分31pの下において、キャリア密度を局所的に高くできる。複数の第1化合物部分31pの間の領域下において、電気的な接続を得る。これにより、電気的な接続において低い抵抗が得られる。
【0029】
図1に示すように、例えば、第1電極51の一部(複数の第1化合物部分31pの間の部分)は、第3半導体領域12cと接する。
【0030】
例えば、複数の第1化合物部分31pの上記の1つ、及び、複数の第1化合物部分31pの上記の別の1つは、第3半導体領域12cと接する。
【0031】
図1に示すように、半導体装置110は、第2化合物部材32をさらに含んでも良い。第2化合物部材32は、Aly2Ga1-y2N(0<y2≦1、x2<y2)を含む。第2化合物部材32は、例えば、AlNを含む。第4半導体領域12dは、第2方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第2電極52との間にある。
【0032】
第2化合物部材32は、複数の第2化合物部分32pを含む。複数の第2化合物部分32pは、第4半導体領域12dと第2電極52との間にある。複数の第2化合物部分32pの1つと、複数の第2化合物部分32pの別の1つと、の間に、第2電極52の一部がある。これにより、例えば、複数の第2化合物部分32pの「下の領域」において、キャリア濃度を局所的に高くできる。第2電極52は、複数の第2化合物部分32pの間の領域において、第2半導体層12と電気的に接続される。これにより、第2電極52と第2半導体層12との間の電気的な接続において、低い抵抗が得られる。これにより、低いオン抵抗が得られる。特性の向上が可能な半導体装置を提供することができる。
【0033】
図1に示すように、例えば、第2電極52の一部(複数の第2化合物部分32pの間の部分)は、第4半導体領域12dと接する。
【0034】
例えば、複数の第2化合物部分32pの上記の1つ、及び、複数の第2化合物部分32pの上記の別の1つは、第4半導体領域12dと接する。
【0035】
半導体装置110において、第3電極53の少なくとも一部は、第1方向(X軸方向)において、第1半導体領域12aと第2半導体領域12bとの間にある。ノーマリオフの動作が得やすくなる。
【0036】
実施形態において、複数の第1化合物部分31pの1つと、複数の第1化合物部分31pのその1つの隣の別の1つと、間の距離は、例えば、100nm以上2000nm以下である。この距離が350nm以上であることで、例えば、第1電極51の密着性を向上し易くなる。この距離が700nm以下であることで、例えば、キャリア濃度をより高くできる。
【0037】
複数の第1化合物部分31pの1つから、複数の第1化合物部分31pのその1つの隣の別の1つへの方向に沿う、複数の第1化合物部分31pの1つの幅は、例えば、100nm以上2000nm以下である。この幅が350nm以上であることで、例えば、複数の第1化合物部分31pと、第2半導体層12と、の間において、安定な界面が得易くなる。この幅が700nm以下であることで、例えば、電気的な接続の経路を短くすることができる。
【0038】
以下、第1化合物部材31及び第2化合物部材32のパターンの例について説明する。
【0039】
図2(a)~図2(c)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図2(a)~図2(c)は、図1の矢印AAからみた平面図である。図2(a)のA1-A2線断面が図1に対応する。図2(b)及び図2(c)に例示する半導体装置110a及び110bは、複数の第1化合物部分31pのパターン、及び、複数の第2化合物部分32pのパターンを除いて、半導体装置110と同様の構成を有する。
【0040】
図2(a)に示す例(半導体装置110)においては、複数の第1化合物部分31pの1つから、複数の第1化合物部分31pの別の1つへの方向は、第1方向(X軸方向)の成分を有する。複数の第1化合物部分31pは、例えば、Y軸方向に沿って延びるストライプ状である。
【0041】
図2(a)に示す例(半導体装置110)においては、複数の第2化合物部分32pの1つから、複数の第2化合物部分32pの別の1つへの方向は、第1方向(X軸方向)の成分を有する。複数の第2化合物部分32pは、例えば、Y軸方向に沿って延びるストライプ状である。
【0042】
図2(c)に示す例(半導体装置110b)においては、複数の第1化合物部分31pの1つから、複数の第1化合物部分31pの別の1つへの方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(X-Z平面)と交差する第3方向の成分を有する。第3方向は、例えばY軸方向である。複数の第1化合物部分31pは、例えば、X軸方向に沿って延びるストライプ状である。
【0043】
図2(c)に示す例(半導体装置110b)においては、複数の第2化合物部分32pの1つから、複数の第2化合物部分32pの別の1つへの方向は、第3方向(例えばY軸方向)の成分を有する。複数の第2化合物部分32pは、例えば、X軸方向に沿って延びるストライプ状である。
【0044】
図2(b)に示す例(半導体装置110a)においては、島状の複数の第1化合物部分31pは、X軸方向及びY軸方向に沿って並ぶ。図2(b)に示す例(半導体装置110a)においては、島状の複数の第2化合物部分32pは、X軸方向及びY軸方向に沿って並ぶ。
【0045】
実施形態において、複数の第1化合物部分31pのパターン、及び、複数の第2化合物部分32pのパターンは、種々の変形が可能である。例えば、図2(a)に例示した複数の第1化合物部分31pのパターンと、図2(c)に例示した複数の第2化合物部分32pのパターンと、が組み合わされても良い。
【0046】
複数の第1化合物部分31pの2つは、互いに連続しても良い。例えば、図2(a)に例示した複数の第1化合物部分31pの2つのそれぞれの端部が接続されても良い。複数の第2化合物部分32pの2つは、互いに連続しても良い。例えば、図2(a)に例示した複数の第2化合物部分32pの2つのそれぞれの端部が接続されても良い。
【0047】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態に係る半導体装置120は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層11、第2半導体層12及び第1化合物部材31を含む。半導体装置120は、第3化合物部材33をさらに含む。第1絶縁層41は、第1絶縁領域41aを含む。半導体装置120におけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様である。以下、第3化合物部材33及び第1絶縁領域41aの例について説明する。
【0048】
第3化合物部材33は、Aly3Ga1-y3N(0<y3≦1、x2<y3)を含む。第3化合物部材33は、例えば、AlNを含む。第3化合物部材33は、例えば、第1化合物部材31と同様の構成及び材料を有しても良い。第3化合物部材33は、例えば、第2化合物部材32と同様の構成及び材料を有しても良い。
【0049】
第1半導体層11は、第6部分領域11fをさらに含む。第6部分領域11fは、第1方向(X軸方向)において、第3部分領域11cと第4部分領域11dとの間にある。第2半導体層12は、第5半導体領域12eをさらに含む。第6部分領域11fから第5半導体領域12eへの方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。
【0050】
第1半導体領域12aは、第2方向(Z軸方向)において、第4部分領域11dと第3化合物部材33との間にある。第1絶縁層41の第1絶縁領域41aは、第1方向(X軸方向)において、第3電極53の少なくとも一部と、第3化合物部材33との間にある。
【0051】
第3化合物部材33の下に位置する部分では、キャリア濃度が局所的に高くなる。これにより、第3電極53と第1電極51との間における電界の集中を緩和することができる。これにより、例えば、耐圧を向上できる。第2実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0052】
例えば、第3化合物部材33は、第1半導体領域12aと接する。例えば、第1絶縁領域41aは、第5半導体領域12eと接する。
【0053】
第3化合物部材33は、複数の第1化合物部分31pの1つと連続しても良い。
【0054】
図3に示すように、第3電極53は、端部53eを含む。端部53eは、第1電極51の側の端部である。第3電極53の別の端部53fから端部53eへの方向は、X軸方向に沿う。図3に示す例においては、X軸方向における端部53eの位置と、X軸方向における第1電極51の位置と、の間に、X軸方向における第3化合物部材33の位置がある。
【0055】
図4は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態に係る半導体装置121は、第4化合物部材34をさらに含む。第1絶縁層41は、第2絶縁領域41bを含む。半導体装置121におけるこれ以外の構成は、半導体装置120の構成と同様である。以下、第4化合物部材34及び第2絶縁領域41bの例について説明する。
【0056】
第4化合物部材34は、Aly4Ga1-y4N(0<y4≦1、x2<y4)を含む。第4化合物部材34は、例えば、AlNを含む。第4化合物部材34は、例えば、第1化合物部材31と同様の構成及び材料を有しても良い。第4化合物部材34は、例えば、第2化合物部材32と同様の構成及び材料を有しても良い。
【0057】
第1半導体層11は、第7部分領域11gをさらに含む。第7部分領域11gは、第1方向(X軸方向)において、第5部分領域11eと第3部分領域11cとの間にある。第2半導体層12は、第6半導体領域12fをさらに含む。第7部分領域11gから第6半導体領域12fへの方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。
【0058】
第2半導体領域12bは、第2方向(Z軸方向)において第5部分領域11eと第4化合物部材34との間にある。第1絶縁層41の第2絶縁領域41bは、第1方向(X軸方向)において、第4化合物部材34と、第3電極53の少なくとも一部と、の間にある。
【0059】
第3化合物部材33は、第1化合物部材31と連続しても良い。第3化合物部材33は、複数の第1化合物部分31pの少なくとも1つ連続しても良い。
【0060】
第4化合物部材34の下に位置する部分では、キャリア濃度が局所的に高くなる。これにより、第2電極52と第3電極53との間における電界の集中を緩和することができる。これにより、例えば、耐圧を向上できる。第2実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0061】
例えば、第4化合物部材34は、第2半導体領域12bと接する。例えば、第2絶縁領域41bは、第6半導体領域12fと接する。
【0062】
図3及び図4に示すように、半導体装置120及び121は、第5化合物部材35をさらに含む。第5化合物部材35は、Aly5Ga1-y5N(0<y5≦1、x2<y5)を含む。第5化合物部材35は、例えば、AlNを含む。第5化合物部材35は、例えば、第1化合物部材31と同様の構成及び材料を有しても良い。第5化合物部材35は、例えば、第2化合物部材32と同様の構成及び材料を有しても良い。
【0063】
例えば、第5化合物部材35の少なくとも一部と、第1半導体層11との間に、第2半導体層12の一部がある。第5化合物部材35の少なくとも一部と、第3化合物部材33との間に、第1絶縁層41の第1絶縁領域41aがある。
【0064】
第5化合物部材35の別の一部は、第3電極53と第1半導体層11との間にある。第5化合物部材35の別の一部は、第3電極53と、第1絶縁層41の一部41pと、との間にある。
【0065】
第5化合物部材35は、端部35eを含む。端部35eは、第1電極51の側の端部である。第5化合物部材35の別の端部35fから端部35eへの方向は、X軸方向に沿う。図3及び図4に示す例においては、X軸方向における端部53eの位置と、X軸方向における第3化合物部材33の位置と、の間に、X軸方向における端部35eの位置がある。
【0066】
図5は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る半導体装置122においては、第3化合物部材33は、複数の第3化合物部分33pを含む。半導体装置122におけるこれ以外の構成は、半導体装置120の構成と同様である。以下、複数の第3化合物部分33pの例について説明する。
【0067】
複数の第3化合物部分33pの1つと、複数の第3化合物部分33pの別の1つと、の間に、第1絶縁層41の一部がある。複数の第3化合物部分33pにより、例えば、電界のプロファイルを制御できる。より効果的に、電界の集中を緩和することができる。
【0068】
複数の第3化合物部分33pの2つは、互いに連続しても良い。例えば、複数の第3化合物部分33pの2つのそれぞれの端部が接続されても良い。
【0069】
第4化合物部材34が複数の第4化合物部分を含んでも良い。複数の第4化合物部分の1つと、複数の第4化合物部分の別の1つと、の間に、第1絶縁層41の一部があっても良い。
【0070】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置130は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体層11、第2半導体層12、第3化合物部材33(化合物部材)、及び、第1絶縁層41を含む。
【0071】
第2電極52から第1電極51への第1方向(例えばX軸方向)における第3電極53の位置は、第1方向における第2電極52の位置と、第1方向における第1電極51の位置と、の間にある。
【0072】
第1半導体層11は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体層11は、第1~第6部分領域11a~11fを含む。第1部分領域11aから第1電極51への第2方向(例えばZ軸方向)は、第1方向と交差する。第2部分領域11bから第2電極52への方向は、第2方向に沿う。第3部分領域11cから第3電極53への方向は、第2方向に沿う。第4部分領域11dは、第1方向において第3部分領域11cと第1部分領域11aとの間にある。第5部分領域11eは、第1方向において第2部分領域11bと第3部分領域11cとの間にある。第6部分領域11fは、第1方向において第3部分領域11cと第4部分領域11dとの間にある。
【0073】
第2半導体層12は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含む。第2半導体層12は、第1半導体領域12a及び第2半導体領域12bを含む。第4部分領域11dから第1半導体領域12aへの方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第5部分領域11eから第2半導体領域12bへの方向は、第2方向に沿う。
【0074】
第3化合物部材33(化合物部材)は、Aly3Ga1-y3N(0<y3≦1、x2<y3)を含む。第4部分領域11dから第3化合物部材33への方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。
【0075】
第1絶縁層41は、第1絶縁領域41aを含む。第1半導体領域12aの一部は、第2方向(Z軸方向)において、第4部分領域11dと第3化合物部材33との間にある。第1半導体領域12aの別の一部は、第2方向(Z軸方向)において、第6部分領域11fと第1絶縁領域41aとの間にある。
【0076】
第3化合物部材33の下に位置する部分では、キャリア濃度が局所的に高くなる。これにより、第3電極53と第1電極51との間における電界の集中を緩和することができる。これにより、例えば、耐圧を向上できる。第3実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0077】
例えば、第3化合物部材33は、第1半導体領域12aの一部と接する。例えば、第1絶縁領域41aは、第半導体領域12aの別の一部と接する。
【0078】
半導体装置130において、第1電極51と第1部分領域11aとの間に、第1ドープ領域12Aが設けられても良い。第2電極52と第2部分領域11bとの間に、第2ドープ領域12Bが設けられても良い。これらのドープ領域における不純物の濃度は、第1半導体層11における不純物の濃度よりも高い。不純物は、例えば、Si、Ge、C及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。これらのドープ領域により、半導体層と電極との間の電気的な接続において、低い抵抗が得られる。これらのドープ領域が設けられる場合、第1化合物部材31または第2化合物部材32は省略されても良い。これらのドープ領域は、第2半導体層12の一部でも良い。これらのドープ領域は、実質的に、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)を含んでも良い。ドープ領域の少なくとも一部は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2)と、不純物と、を含む。
【0079】
半導体装置120、121、122及び130において、X軸方向における端部35eの位置は、X軸方向における端部53eの位置と、X軸方向における第3化合物部材33の位置と、の間にある。第3電極53の端部53eが第1電極51から遠いため、例えば、ショートなどが抑制され、高い耐圧が得られる。
【0080】
図7図10は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7図10に示すように、半導体装置120a、121a、122a及び130aにおいて、X軸方向における端部53eの位置は、X軸方向における端部35eの位置と、X軸方向における第3化合物部材33の位置と、の間にある。半導体装置120a、121a、122a及び130aにおけるこれを除く構成は、半導体装置120、121、122及び130における構成と同様である。
【0081】
半導体装置120a、121a、122a及び130aにおいて、第3電極53の端部53eは、例えば、フィールドプレートとして機能しても良い。電界の集中が緩和される。例えば、高い耐圧が得られる。
【0082】
図11図14は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11図14に示すように、半導体装置120b、121b、122b及び130bは、導電部材54を含む。半導体装置120b、121b、122b及び130bにおけるこれを除く構成は、半導体装置120、121、122及び130における構成と同様である。
【0083】
導電部材54は、第3電極53と電気的に接続される。導電部材54は、第1導電部分54A及び第2導電部分54Bを含む。第2方向(Z軸方向)において、第部分領域11cと第1導電部分54Aとの間に、第3電極53がある。第2導電部分54Bは、第1導電部分54Aと接続される。第1導電部分54Aから第2導電部分54Bへの方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。
【0084】
導電部材54は、フィールドプレートとして機能しても良い。導電部材54により、電界の集中が緩和される。例えば、高い耐圧が得られる。
【0085】
導電部材54は、端部54eを含む。端部54eは、第1電極51の側の端部である。導電部材54の別の端部54fから端部54eへの方向は、X軸方向に沿う。
【0086】
X軸方向における端部54eの位置は、X軸方向における第3電極53の位置と、X軸方向における第1電極51の位置との間にある。X軸方向における端部54eの位置は、X軸方向における端部53eの位置と、X軸方向における第1電極51の位置との間にある。
【0087】
半導体装置120b、121b、122b及び130bにおいて、X軸方向における第3化合物部材33の位置は、X軸方向における端部54eの位置と、X軸方向における第1電極51の位置との間にある。
【0088】
図15図18は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図15図18に示すように、半導体装置120c、121c、122c及び130cにおいては、導電部材54の端部54eの位置が、半導体装置120b、121b、122b及び130bにおけるそれとは異なる。半導体装置120c、121c、122c及び130cにおけるこれを除く構成は、半導体装置120b、121b、122b及び130bにおける構成と同様である。
【0089】
半導体装置120c、121c、122c及び130cにおいて、第2方向(Z軸方向)において、端部54eは、第3化合物部材33と重なる。半導体装置120c、121c、122c及び130cにおいて、第2方向(Z軸方向)において、第3化合物部材33の少なくとも一部は、第2導電部分54Bと第2半導体層12との間にある。例えば、第3化合物部材33の少なくとも一部は、第2導電部分54Bに覆われる。例えば、オン抵抗が低くできる。
【0090】
図19図22は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図19図22に示すように、半導体装置120d、121d、122d及び130dにおいては、X軸方向における端部53eの位置は、X軸方向における端部35eの位置と、X軸方向における第3化合物部材33の位置と、の間にある。半導体装置120d、121d、122d及び130dにおけるこれを除く構成は、半導体装置120b、121b、122b及び130bにおける構成と同様である。上記のような、端部53e、端部35e及び第3化合物部材33の位置の関係により、例えば、信頼性をより向上することができる。
【0091】
図23図26は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図23図26に示すように、半導体装置120e、121e、122e及び130eは、第2絶縁層42を含む。半導体装置120e、121e、122e及び130eにおけるこれを除く構成は、半導体装置120d、121d、122d及び130dにおける構成と同様である。
【0092】
第2絶縁層42は、例えば、第1絶縁部分42a及び第2絶縁部分42bを含む。第1絶縁部分42aは、Z軸方向において、第2半導体層12の一部(例えば、第5半導体領域12e)と、第5化合物部材35の一部と、の間にある。第1絶縁部分42aにより、第1絶縁部分42aの下部分において、キャリア領域10Eが形成されにくくなる。例えば、電界の集中をより緩和できる。例えば、しきい値電圧を適度に上昇させることができる。例えば、ノーマリオンの動作が得やすくなる。
【0093】
第2絶縁部分42bは、Z軸方向において、第2半導体層12の一部(例えば、第2半導体領域12b)と、第5化合物部材35の一部と、の間にある。第2絶縁部分42bにより、第2絶縁部分42bの下部分において、キャリア領域10Eが形成されにくくなる。例えば、電界の集中をより緩和できる。例えば、しきい値電圧を適度に上昇させることができる。例えば、ノーマリオンの動作が得やすくなる
【0094】
第2絶縁層42は、例えば、SiNを含む。第2絶縁層42における窒素の濃度は、第1絶縁層41における窒素の濃度よりも高い。第1絶縁層41における酸素の濃度は、第2絶縁層42における酸素の濃度よりも高い。
【0095】
図27図30は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図27図30に示すように、半導体装置120f、121f、122f及び130fは、導電部材55を含む。半導体装置120f、121f、122f及び130fにおけるこれを除く構成は、半導体装置120a、121a、122a及び130aにおける構成と同様である。
【0096】
導電部材55は、第2電極52と電気的に接続される。導電部材55は、第3導電部分55A及び第4導電部分55Bを含む。第2方向(Z軸方向)において、第2部分領域11bと第3導電部分55Aとの間に、第2電極52がある。第4導電部分55Bは、第3導電部分55Aと接続される。第3導電部分55Aから第4導電部分55Bへの方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。
【0097】
導電部材55は、フィールドプレートとして機能しても良い。導電部材55により、電界の集中が緩和される。例えば、高い耐圧が得られる。
【0098】
導電部材55は、端部55eを含む。端部55eは、第1電極51の側の端部である。導電部材55の別の端部55fから端部55eへの方向は、X軸方向に沿う。
【0099】
X軸方向における端部55eの位置は、X軸方向における第3電極53の位置と、X軸方向における第1電極51の位置との間にある。X軸方向における端部55eの位置は、X軸方向における端部53eの位置と、X軸方向における第1電極51の位置との間にある。
【0100】
実施形態において、第1~第3電極51~53は、例えば、Tiなどを含む。導電部材54及び55は、例えば、Ti及びAlよりなる群から選択された少なくとも1つなどを含む。第1絶縁層41は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、及び、酸化アルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2絶縁層42は、例えば、窒化シリコン及び酸窒化シリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0101】
実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0102】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0103】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0104】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体層、電極及び絶縁層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0105】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0106】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0107】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
10E キャリア領域、 11…第1半導体層、 11a~11g…第1~第7部分領域、 12…第2半導体層、 12A、12B…第1、第2ドープ領域、 12a~12f…第1~第6半導体領域、 13…第1中間層、 14…第2中間層、 15…基板、
31~35…第1~第5化合物部材、 31p~33p…第1~第3化合物部分、 35e、35f…端部、 41…第1絶縁層、 41a、41b…第1、第2絶縁領域、 41p…一部、 42…第2絶縁層、 42a、42b…第1、第2絶縁部分、 51~53…第1~第3電極、 53e、53f…端部、 54…導電部材、 54A、54B…第1、第2導電部分、 54e、54f…端部、 55…導電部材、 55A、55B…第3、第4導電部分、 55e、55f…端部、 110、110a、110b、120、120a~120f、121、121a~121f、122、122a~122f、130、130a~130f…半導体装置、 AA…矢印
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