(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/042 C
(21)【出願番号】P 2019219235
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢口 翔平
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-313490(JP,A)
【文献】特開2004-084382(JP,A)
【文献】特開2018-145661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長い形状を有するとともに、ハンドルの回動によって操作可能な水栓本体と、
前記水栓本体の外面との間に隙間を有して覆う水栓カバーを備え、
前記水栓本体と前記水栓カバーとの間には、前記水栓本体の外面及び前記水栓カバーの内面に当接する支持部材が設けられ、
前記支持部材の内面及び外面の少なくともいずれか一方には、前記支持部材の移動を規制する規制部が設けられ、
前記規制部は、前記水栓本体の軸方向に対して傾斜するテーパ面として形成され、
前記支持部材の内面に形成された前記テーパ面は、前記水栓本体の外面に面接触し、前記支持部材の外面に形成された前記テーパ面は、前記水栓カバーの内面に面接触していることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記水栓本体の軸方向の両端部のそれぞれには、前記ハンドルが取り付けられ、
前記支持部材は、一方の前記ハンドル側に設けられた第1支持部材と、他方の前記ハンドル側に設けられた第2支持部材を備え、
前記第1支持部材と前記第2支持部材は、互いに兼用可能な同一部材であることを特徴とする請求項
1に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室や洗面台等に設置される水栓として、湯水の混合水を吐出可能なものが知られている。このような水栓では、湯の吐出によって高温になった金属製の水栓本体に直接触れることがないように、水栓本体の周囲を水栓カバーで覆っている。
【0003】
特許文献1に記載される水栓は、水栓カバーを、水栓本体を前方側から覆うトップカバーと後方側から覆うバックカバーで構成している。一方のカバーに設けられた溝と他方のカバーに設けられた突起とにより、両カバーを着脱可能に係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうした水栓カバーは、高温になった水栓本体からの熱の伝達を抑制するために、水栓本体との間に少しの隙間を有するように取り付けられている。そのため、例えば、トップカバーに対して上方から荷重が掛かったような場合に、トップカバーが変形してしまうといった問題があった。これは、湯水の混合水を吐出可能な水栓に限らず、水栓カバーと水栓本体との間に隙間が存在する水栓であれば共通する問題である。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水栓に関して、水栓カバーの変形を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する水栓は、ハンドルの回動によって操作可能な水栓本体と、前記水栓本体の外面との間に隙間を有して覆う水栓カバーを備え、前記水栓本体と前記水栓カバーとの間には、前記水栓本体の外面及び前記水栓カバーの内面に当接する支持部材が設けられている。
【0008】
上記の構成によれば、水栓カバーに対して外力が作用した場合に、水栓本体と水栓カバーの両方に当接する支持部材を介して、水栓カバーが水栓本体に対して支持される。そのため、水栓本体の外面との間に隙間が存在していても、水栓カバーの変形が抑制される。
【0009】
上記の構成において、前記支持部材は、前記水栓本体の外面及び前記水栓カバーの内面の少なくともいずれか一方と面接触していることが好ましい。
上記の構成によれば、支持部材との面接触により、水栓カバーからの荷重が接触面全体に分散し易い。水栓カバーの変形がより抑制される。
【0010】
上記の構成において、前記水栓本体には、一対の前記ハンドルが取り付けられ、前記支持部材は、一方の前記ハンドル側に設けられた第1支持部材と、他方の前記ハンドル側に設けられた第2支持部材を備え、前記第1支持部材と前記第2支持部材は、互いに兼用可能な同一部材であることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、水栓本体と水栓カバーとの間の隙間を複数箇所で支持することができる。水栓カバーの変形がより抑制される。また、複数箇所に設けられる支持部材を共通として兼用することができる。部品点数を少なくできてコスト的に有利であるとともに、支持部材の組付作業の効率を向上させることができる。
【0012】
上記の構成において、前記支持部材の内面及び外面の少なくともいずれか一方には、前記支持部材の移動を規制する規制部が設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、水栓本体及び水栓カバーに対しての、支持部材の移動が規制される。水栓カバーの組付状態が安定するとともに、その変形がより抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水栓に関して、水栓カバーの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】水栓カバー及びハンドルを外した状態の水栓の斜視図。
【
図5】水栓の流量調節ハンドル側の断面図であって、
図1のB‐B線断面図。
【
図7】水栓の温度調節ハンドル側の断面図であって、
図1のC‐C線断面図。
【
図8】(a)は支持部材の斜視図、(b)は支持部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
水栓の実施形態について説明する。
図1に示すように、水栓10は、浴室の壁面Wに設置されている。以下では、壁面Wに向かって水栓10を見た場合における上下方向、左右方向、及び前後方向をそれぞれ、水栓10の上下方向、左右方向、及び前後方向として説明する。
【0016】
図1及び
図2に示すように、水栓10は、水栓本体13、ハンドル17a、17b、水栓カバー15、16、及び支持部材50を備えている。水栓本体13には、カラン用の吐水管11及びシャワーヘッド用のホース12が接続される。水栓本体13の前面には、二つのボタン14が設けられており、水栓本体13は、二つのボタン14を操作することにより、カラン用の吐水管11からの吐止水と、シャワーヘッドからの吐止水とを切り替えることができるように構成されている。水栓本体13を覆う水栓カバー(トップカバー)15の前面には、二つの貫通孔が設けられており、この貫通孔からボタン14が露出している。ハンドル17a、17bは、水栓本体13の右側端部に取り付けられた流量調節ハンドル17aと、左側端部に取り付けられた温度調節ハンドル17bからなる。流量調節ハンドル17aは、吐水管11及びシャワーヘッドからの吐水の流量を調節するハンドルである。温度調節ハンドル17bは、吐水管11及びシャワーヘッドから吐出される混合水の温度を調節するハンドルである。支持部材50は、水栓本体13の左右両端部に取り付けられる。
【0017】
以下、各部材についてより詳細に説明する。
<水栓本体13について>
図2、
図5及び
図7に示すように、水栓本体13は、金属ボディ20、流量調節弁18、温度調節弁19、流調弁側ナット30、温調弁側ナット40を備えている。水栓本体13の外殻は主として金属ボディ20で形成されている。
図2に示すように、金属ボディ20の左右両端部は、円筒状に形成されている。
【0018】
図5に示すように、流量調節弁18は金属ボディ20の右半部の内部に収容され、その先端に回動軸18aが設けられている。回動軸18aには、流量調節ハンドル17aが、一体に回転する状態かつ抜け止め状態にて固定される。
【0019】
図7に示すように、温度調節弁19は金属ボディ20の左半部の内部に収容され、その先端に回動軸19aが設けられている。回動軸19aには、温度調節ハンドル17bが、一体に回転する状態かつ抜け止め状態にて固定される。
【0020】
図4及び
図5に示すように、円筒状の流調弁側ナット30は、金属ボディ20の右端部の円筒状の部分に流量調節弁18を固定する部材である。流調弁側ナット30の左端部側外周面と金属ボディ20の右端部側内周面との螺合により、流量調節弁18は金属ボディ20から抜け止め状態にて固定される。
【0021】
図4及び
図5に示すように、金属ボディ20の右端部の外周面には、軸方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面21が形成されている。当接面21の直径L1は、流調弁側ナット30の最大径と等しいか少し大きく形成されている。当接面21の左側には、当接面21から連続的に拡径する滑らかな面としてのテーパ面22が形成されている。また、テーパ面22の左側には、軸方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面23が形成されている。当接面23の直径L2は、当接面21の直径L1より大きい。
【0022】
図6及び
図7に示すように、円筒状の温調弁側ナット40は、金属ボディ20の左端部の円筒状の部分に温度調節弁19を固定する部材である。温調弁側ナット40の右端部側内周面と金属ボディ20の左端部側外周面との螺合により、温度調節弁19は金属ボディ20から抜け止め状態にて固定される。
【0023】
図6及び
図7に示すように、温調弁側ナット40の左端部の外周面には、軸方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面41が形成されている。当接面41の直径L3は、金属ボディ20の当接面21の直径L1と等しい。当接面41の右側には、当接面41から連続的に拡径する滑らかな面としてのテーパ面42が形成されている。また、テーパ面42の右側であって温調弁側ナット40の右端部の外周面には、軸方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面43が形成されている。当接面43の直径L4は、金属ボディ20の当接面23の直径L2と等しい。
【0024】
<水栓カバー15、16について>
図2に示すように、水栓カバー15、16は、水栓本体13の前方側に取り付けられるトップカバー15と、水栓本体13の後方側に取り付けられるバックカバー16の二つの分割体を組み合わせてなる。なお、トップカバー15及びバックカバー16をまとめて水栓カバー15、16という。
【0025】
トップカバー15は側面視略U字状に形成されており、左右両端には略U字状の開口部15aが開口している。左右両端の開口部15aは、同じ形状で同じ大きさである。開口部15aの前半部は、側面視半円弧状に形成されている。
図2、
図3、
図5、及び
図7に示すように、開口部15aの前半部の内周面には、左右方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面15bが形成されている。また、開口部15aの後半部には、前後方向に延びる被係合部15cが形成されている。
【0026】
図2に示すように、バックカバー16の左右両端には、前後方向に延びる側壁16aが形成されており、側壁16aの前端縁には、後方へ凹む側面視半円弧状の凹部16bが形成されている。側壁16aの上下端縁には、バックカバー16の内方に向けて延出される係合部16cが形成されている。凹部16bの前端縁には、バックカバー16の内方に向けて延出される延出壁16dが形成されている。
【0027】
図3に示すように、トップカバー15とバックカバー16を組み付けた状態では、トップカバー15の後半部の内側にバックカバー16の係合部16cが挿入されるとともに、係合部16cがトップカバー15の被係合部15cに係合する。トップカバー15の当接面15bとバックカバー16の延出壁16dにより、水栓カバー15、16の左右両端には、側面視真円形状で直径L5の開口が形成される。
【0028】
<流量調節ハンドル17a及び温度調節ハンドル17bについて>
図5に示すように、流量調節ハンドル17aは、左側に開口する有底筒状に形成されている。流量調節ハンドル17aの内部には、流量調節弁18の回動軸18aが挿入される被挿入部17cが形成されている。また、流量調節ハンドル17aの開口近傍の内部には、流量調節ハンドル17aの内径が縮径することにより、流量調節ハンドル17aの径方向に延びる平坦面としての端面17dが形成されている。
【0029】
図7に示すように、温度調節ハンドル17bは、右側に開口する有底筒状に形成されている。温度調節ハンドル17bの内部にも、流量調節ハンドル17aと同様に、温度調節弁19の回動軸19aが挿入される被挿入部17c、及び端面17dが形成されている。
【0030】
<支持部材50について>
図2に示すように、水栓本体13の左右両端部のそれぞれには、円筒状の支持部材50が取り付けられている。水栓本体13の右側の支持部材50と左側の支持部材50は同一であり、互いに左右反転した状態で取り付けられている。以下の説明での軸方向、径方向、軸方向基端側、及び軸方向先端側は、水栓本体13に取り付けられた状態の支持部材50について、水栓本体13の回動軸18a、19aを基準として記載する。
【0031】
図5に示すように、水栓本体13の右端部の支持部材50は、金属ボディ20から流調弁側ナット30にかけての外周面に取り付けられている。
図7に示すように、水栓本体13の左端部の支持部材50は、温調弁側ナット40の外周面に取り付けられている。
【0032】
図8(a)及び(b)に示すように、支持部材50の軸方向基端側の外周面には、軸方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面51が形成されている。
図8(b)に示すように、支持部材50の先端側の内周面には、軸方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面52が形成されている。また、支持部材50の内周面には、当接面52より基端側に、軸方向に連続的に径が大きくなる滑らかな面としてのテーパ面53が形成されている。テーパ面53より基端側には、軸方向に径が変化しない滑らかな面としての当接面54が形成されている。さらに、支持部材50の先端縁には、径方向に延びる平坦面としての規制面55が形成されている。
【0033】
図8(b)に示すように、当接面52の直径D1は、金属ボディ20の右端部の外周面に形成された当接面21の直径L1より僅かに大きい。また、温調弁側ナット40の左端部の外周面に形成された当接面41の直径L3より僅かに大きい。当接面54の直径D2は、金属ボディ20の右端部の外周面に形成された当接面23の直径L2より僅かに大きい。また、温調弁側ナット40の右端部の外周面に形成された当接面43の直径L4より僅かに大きい。当接面51の直径D3は、水栓カバー15、16の左右両端に形成された開口の直径L5より僅かに小さい。
【0034】
次に、本実施形態の水栓10の作用について説明する。
図5及び
図7に示すように、水栓カバー15、16は、水栓本体13との間に隙間を形成するように組み付けられている。水栓本体13の左右両端部には、水栓本体13と水栓カバー15、16との間の隙間を埋めるように支持部材50が取り付けられている。
【0035】
支持部材50の当接面51の直径D3は、水栓カバー15、16の左右両端に形成された開口の直径L5より僅かに小さい。また、支持部材50の当接面52の直径D1は、金属ボディ20の右端部の当接面21の直径L1より僅かに大きく、温調弁側ナット40の当接面41の直径L3より僅かに大きい。そのため、
図3及び
図5に示すように、水栓本体13の右端部では、当接面51は、トップカバー15の当接面15bと面接触し、当接面52は、金属ボディ20の当接面21に面接触する。また、
図3及び
図7に示すように、水栓本体13の左端部では、当接面51は、トップカバー15の当接面15bと面接触し、当接面52は、温調弁側ナット40の当接面41に面接触する。これにより、トップカバー15に対して外力が作用した場合に、トップカバー15が支持部材50を介して水栓本体13に支持される。また、支持部材50とトップカバー15及び水栓本体13とが面接触していることにより,トップカバー15に作用した外力が分散し易い。
【0036】
支持部材50の当接面54の直径D2は、金属ボディ20の右端部の当接面23の直径L2より僅かに大きく、温調弁側ナット40の当接面43の直径L4より僅かに大きい。そのため、
図5に示すように、水栓本体13の右端部では、当接面54は、金属ボディ20の当接面23に面接触する。また、
図7に示すように、水栓本体13の左端部では、当接面54は、温調弁側ナット40の当接面43に面接触する。トップカバー15に対して外力が作用した場合に、トップカバー15がより支持され易く、外力がより分散し易い。
【0037】
図8(b)に示すように、支持部材50の内周面にはテーパ面53が形成されている。そして、
図5に示すように、水栓本体13の右端部では、テーパ面53は、金属ボディ20のテーパ面22と面接触する。また、
図7に示すように、水栓本体13の左端部では、テーパ面53は、温調弁側ナット40のテーパ面42と面接触する。これにより、支持部材50の軸方向基端側への移動が規制される。温調弁側ナット40のテーパ面42、支持部材50のテーパ面53は、支持部材50の移動を規制する規制部として作用する。
【0038】
図5に示すように、水栓本体13の右端部では、支持部材50の規制面55は、流量調節ハンドル17aの端面17dに面接触する。また、
図7に示すように、水栓本体13の左端部では、規制面55は、温度調節ハンドル17bの端面17dに面接触する。これにより、支持部材50の軸方向先端側への移動が規制される。
【0039】
次に、本実施形態の水栓10の効果について記載する。
(1)水栓本体13とトップカバー15との間には隙間が形成されており、水栓本体13とトップカバー15との間には、水栓本体13の外面及びトップカバー15の内面に当接する支持部材50が設けられている。
【0040】
上記の構成によれば、トップカバー15に対して、例えば上方から外力が作用した場合に、水栓本体13とトップカバー15の両方に当接する支持部材50を介して、トップカバー15が水栓本体13に対して支持される。トップカバー15に加わった上方からの荷重は支持部材50を介して水栓本体13に逃げるため、トップカバー15の変形が抑制される。トップカバー15の変形が抑制されることにより、バックカバー16の変形も抑制される。また、トップカバー15を変形抑制のために複雑な形状にする必要がない。
【0041】
(2)支持部材50の当接面52は、水栓本体13の右端部では、金属ボディ20の当接面21に面接触し、水栓本体13の左端部では、温調弁側ナット40の当接面41に面接触している。
【0042】
上記の構成によれば、トップカバー15に対して作用した外力は、支持部材50を介して水栓本体13に伝達され、当接面21、41全体に分散する。水栓カバー15、16の変形がより抑制される。
【0043】
(3)支持部材50の当接面51はトップカバー15の当接面15bと面接触している。
上記の構成によれば、トップカバー15に対して作用した外力は、当接面15bに分散して伝達される。トップカバー15の変形がより抑制される。
【0044】
(4)支持部材50の当接面51はバックカバー16の延出壁16dの表面と面接触している。
上記の構成によれば、バックカバー16に対するトップカバー15の組付け状態が、支持部材50を介して安定する。トップカバー15に対して作用した外力による水栓カバー15、16の変形が抑制される。
【0045】
(5)水栓本体13の右端部の支持部材50と、左端部の支持部材50は同一であり、互いに左右反転した状態で取り付けられている。
上記の構成によれば、水栓本体13と水栓カバー15、16との間の隙間を、左右両端部の2箇所で支持することができる。水栓カバーの変形がより抑制される。また、2箇所に設けられる支持部材50を共通とすることで、部品点数(種類)を少なくできてコスト的に有利であるとともに、支持部材50の組付作業の効率を向上させることができる。
【0046】
(6)支持部材50のテーパ面53は、水栓本体13の右端部では金属ボディ20のテーパ面22に面接触し、水栓本体13の左端部では温調弁側ナット40のテーパ面42に面接触している。
【0047】
上記の構成によれば、テーパ面53がテーパ面22、42に面接触することにより、支持部材50の軸方向基端側への移動が規制される。支持部材50の移動規制によって水栓カバー15、16の組付状態が安定し、その変形がより抑制される。
【0048】
(7)支持部材50の先端縁に形成された規制面55は、水栓本体13の右端部では、流量調節ハンドル17aの端面17dに面接触し、水栓本体13の左端部では、温度調節ハンドル17bの端面17dに面接触している。
【0049】
上記の構成によれば、規制面55が端面17dに面接触することにより、支持部材50の軸方向先端側への移動が規制される。支持部材50の移動規制によって水栓カバー15、16の組付状態が安定し、その変形がより抑制される。
【0050】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の支持部材50は円筒状であるがその形状はこれに限定されない。取り付けられた部分において、水栓本体13と水栓カバー15、16の両方に当接していればよい。この場合、外力が掛かり易い部分に当接するように取り付けられる形状であることが好ましい。例えば、半円筒状であってもよく、水栓本体13の周面の一部に取り付けられるような形状であってもよい。
【0051】
・支持部材50の取付け箇所は特に限定されない。水栓本体13と水栓カバー15、16との間に隙間が存在する箇所であればよい。
・支持部材50の取付け箇所は、1箇所でもよく、3箇所以上でもよい。
【0052】
・複数箇所に取り付けられる支持部材50は共通のものでなくてもよい。
・支持部材50と水栓本体13又は水栓カバー15、16とが面接触していなくてもよい。点接触や線接触であっても、水栓カバー15、16の変形は抑制される。
【0053】
・規制部としてのテーパ面53は、支持部材50の内周面ではなく外周面に形成されていてもよい。この場合、トップカバー15或いはバックカバー16に、テーパ面53が当接するテーパ面を形成すればよい。また、内周面と外周面の両方に形成されていてもよい。なお、支持部材50が円筒状でなく、水栓本体13の周面の一部に取り付けられるような形状である場合、規制部としてのテーパ面53は、支持部材の内面に形成されていてもよく、外面に形成されていてもよく、内面と外面の両方に形成されていてもよい。
【0054】
・テーパ面53はテーパ形状でなくてもよい。径方向に延びる平坦面であってもよい。
・水栓本体13の形状は上記実施形態のものに限定されない。水栓本体13の両端部で、金属ボディ20の外周面に支持部材50が取り付けられるような形状であってもよい。また、水栓本体13右端部で、流調弁側ナット30の外周面に支持部材50が取り付けられるような形状であってもよい。
【0055】
・水栓カバー15、16の形状は上記実施形態のものに限定されない。例えば、バックカバー16の上壁及び下壁が前後方向に延びるように形成され、バックカバー16が水栓本体13の上方及び下方から覆うような形状のものであってもよい。この場合、バックカバー16と水栓本体13とに支持部材50が当接していれば、バックカバー16に対して荷重が掛かった場合のバックカバー16の変形が抑制される。
【0056】
・水栓10の種類は上記実施形態のものに限定されない。浴室用ではなく、キッチン用や洗面用の水栓であってもよく、シングルレバー式、サーモスタット式、2ハンドル式の水栓であってもよい。
【0057】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記支持部材の基端側には、前記支持部材の内方への移動を規制する規制部が設けられ、前記支持部材の先端側には、前記支持部材の外方への移動を規制する規制部が設けられている前記水栓。
【符号の説明】
【0058】
10…水栓、13…水栓本体、15…トップカバー(水栓カバー)、16…バックカバー(水栓カバー)、17a…流量調節ハンドル、17b…温度調節ハンドル、50…支持部材、53…テーパ面(規制部)、55…規制面。