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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】通信制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20240305BHJP
   G05B 19/414 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G05B19/18 X
G05B19/414 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019221525
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021092855
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】尾関 真一
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-020921(JP,A)
【文献】特開2002-006912(JP,A)
【文献】特開平09-285983(JP,A)
【文献】特開昭62-203208(JP,A)
【文献】特許第5875737(JP,B1)
【文献】特開2005-267515(JP,A)
【文献】特開2012-079290(JP,A)
【文献】国際公開第2009/113552(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18-19/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の制御装置と通信可能に接続された情報処理装置であって、
前記制御装置に対して処理要求を送信する処理要求送信部と、
前記制御装置から送信される、前記処理要求に係る処理が完了したことを通知する処理完了通知を検出する処理完了通知管理部と、
前記処理完了通知管理部により前記処理完了通知を所定の期間検出しない場合、前記制御装置に対して、前記処理要求を再送信する再送信制御部と、
前記処理要求送信部が前記制御装置に対して送信した処理要求に係る処理が特定の処理である場合に、前記処理完了通知管理部により、前記処理完了通知を検知するまで、前記情報処理装置における前記制御装置に対する次の動作要求としての処理要求動作を制限する動作制限制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記産業機械は工作機械であり、
前記制御装置は、数値制御装置であり、
前記特定の処理は、
工具データの設定、ワーク座標値の設定、加工プログラムの設定、又はカスタムマクロ変数値の設定のいずれか1つ以上を含む、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記産業機械はロボットであり、
前記制御装置は、ロボット制御装置であり、
前記特定の処理は、
前記ロボットの安全速度の制限値の設定、又は前記ロボットの安全位置制限の設定のいずれか1つ以上を含む、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置と通信可能に接続された産業機械の制御装置であって、
前記情報処理装置に対して処理要求を送信する処理要求送信部と、
前記情報処理装置から送信される、前記処理要求に係る処理が完了したことを通知する処理完了通知を検出する処理完了通知管理部と、
前記処理完了通知管理部により前記処理完了通知を所定の期間検出しない場合、前記情報処理装置に対して、前記処理要求を再送信する再送信制御部と、
前記処理要求送信部が前記情報処理装置に対して送信した処理要求に係る処理が特定の処理である場合に、前記処理完了通知管理部により、前記処理完了通知を検知するまで、前記制御装置における前記情報処理装置に対する次の動作要求としての処理要求動作を制限する動作制限制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項5】
前記産業機械は工作機械であり、
前記制御装置は、数値制御装置であり、
前記特定の処理は、
工具オフセット値の出力要求、又はワーク座標値の出力要求のいずれか1つ以上を含む、請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記産業機械はロボットであり、
前記制御装置は、ロボット制御装置であり、
前記特定の処理は、
動作完了後の前記ロボットに係る位置座標値の出力要求を含む、請求項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置等の情報処理装置は、ネットワーク等を介して数値制御装置と接続することにより、数値制御装置のデータの表示、数値制御装置が制御する工作機械の設定の変更、工作機械の自動運転開始やリモート診断等の要求を数値制御装置に出力することができる。それに対して、数値制御装置は各要求に対する応答を情報処理装置に送信する。
【0003】
図7は、クライアントとしての情報処理装置52がWebアプリとしてのCNC用表示アプリを備え、数値制御装置51(以下、「NC装置51」ともいう)がサーバとしてのWebサーバを備える数値制御システム5の一例を示す図である。具体的には、数値制御システム5は、NC装置51と、クライアント52と、工作機械53を備える。
【0004】
工作機械53は、主軸及び複数の駆動軸を有し、これらを駆動することによって被駆動体を移動させる。このような工作機械53としては、特に限定されないが、典型例としてマシニングセンタを挙げることができる。
【0005】
NC装置51は、加工プログラムに従って、工作機械53の主軸及び駆動軸を制御する。このNC装置51は、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェイス等を有するコンピュータ装置に適切な制御プログラムを実行させることによって実現することができる。
【0006】
NC装置51は、サーバ(Webサーバ)511と、NC処理部512と、NCデータ部513とを備える。
【0007】
NC装置51においては、NC処理部512が、加工指令等に基づいて、必要に応じて、NCデータ部513に格納された各種データを作成更新又は参照することによって、工作機械53の主軸及び駆動軸を制御すると共に、当該数値や、工作機械53に係る各種属性値等を、NCデータ部513に格納する。
【0008】
また、情報処理装置(クライアント)52からの要求に応じて、NC処理部512によって処理された結果は、サーバ511に出力され、サーバ511は、表示器、タブレット等の表示部としての情報処理装置(クライアント)52に送信し、例えば情報処理装置(クライアント)52に対して、処理結果の表示を依頼することがある。
【0009】
従来、サーバ511と情報処理装置(クライアント)52との間のデータの通信は、有線又は無線によるネットワークを介して実行されており、例えばイーサネット(登録商標)を用いて実現されている。
【0010】
サーバ511と情報処理装置(クライアント)52との間で、ノイズ等の影響等により、データの送信に失敗する場合がある。このような場合、例えば情報処理装置(クライアント)52からサーバ511に対して、例えば工具オフセット値、ワーク座標値、カスタムマクロ変数の設定等に係るデータの送信が失敗し、NC装置51にこのようなデータが設定できなかった場合に、そのままの状態で、情報処理装置(クライアント)52から次の処理要求をサーバ511に対して送信し、NC装置51を動作させてしまうと、場合によっては干渉等が発生し、予期しない事故が発生することになる。
【0011】
この点、クライアントとサーバ間の通信において、例えばサーバ側に、サーバとクライアントとの間の通信状態を監視する通信状態監視部を設け、通信断が発生した際に、データ送信を廃止し、通信状態が回復した際に、再度データを送信する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平10-161945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1の技術をNC装置の構成に当てはめることを想定すると、送信側となるクライアントが要求した処理に対して受信側となるNC装置が当該処理を完了するまでの間、仮に、再度データを送信する前に、クライアントから次の処理要求をサーバに対して送信し、NC装置を動作させてしまうと、工具の干渉等の事故が発生する恐れがあるという課題がある。
【0014】
また、逆に、送信側となるNC装置が要求した処理要求に対して、受信側となるクライアントが当該処理を完了するまでの間、仮に、クライアントから次の処理要求を受信し、NC装置を動作させてしまうと、工具の干渉等の事故が発生する恐れがあるという課題がある。
【0015】
このため、上記のような数値制御システム5においては、送信側が要求した処理に対して受信側での当該処理が完了するまでの間、送信側の所定の動作を制限することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示の一態様は、産業機械の制御装置と通信可能に接続された情報処理装置であって、前記制御装置に対して処理要求を送信する処理要求送信部と、前記制御装置から送信される、前記処理要求に係る処理が完了したことを通知する処理完了通知を検出する処理完了通知管理部と、処理完了通知管理部により、前記処理完了通知を検知するまで、前記制御装置に対する次の動作としての処理要求動作を制限する動作制限制御部と、を備える、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
一態様によれば、送信側が要求した処理が受信側で完了するまでの間、NC装置の動作を制限することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態の制御システムに係る機能ブロック図である。
図2】一実施形態の制御システムの動作を示すフローチャートである。
図3】一実施形態の制御システムに係る機能ブロック図である。
図4】一実施形態の制御システムの動作を示すフローチャートである。
図5】一実施形態の制御システムに係る機能ブロック図である。
図6】一実施形態の制御システムに係る機能ブロック図である。
図7】従来技術に係るCNC用表示アプリ構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔1 第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、第
1実施形態に係る制御システム1の機能ブロック図である。図2は、第1実施形態に係る制御システム1の動作を示すフローチャートである。
【0020】
図1に示すように、制御システム1は、情報処理装置10と、NC装置11とを備える。
【0021】
情報処理装置10は、NC装置11の有する各種制御データ、及び各種状態データ等の出力要求、NC装置11が制御する工作機械の設定の変更、工作機械の自動運転開始やリモート診断等の要求をNC装置11に出力する装置である。
【0022】
情報処理装置10は、処理要求送信部101と、処理完了通知管理部102と、NC動作制限制御部103とを備える。
【0023】
処理要求送信部101は、NC装置11に対して処理要求を送信する。この処理要求としては、例えば上記のように、NC装置11の有する各種制御データ、及び各種状態データ等の出力要求、NC装置11が制御する工作機械の設定の変更、工作機械の自動運転開始やリモート診断等の要求が挙げられる。
【0024】
処理完了通知管理部102は、NC装置11から送信される、処理要求に係る処理が完了したことを通知する処理完了通知を受信したことを検出する。より詳細には、処理完了通知管理部102は、情報処理装置10側がNC装置11に要求した処理が完了したことをNC装置11から情報処理装置10に通知する、処理完了通知の受信の有無を管理する。
【0025】
NC動作制限制御部103は、処理完了通知管理部102により、処理完了通知を検知するまで、NC装置11に対する次の動作としての処理要求動作を制限する。例えば、NC動作制限制御部103は、NC装置11による加工実行を禁止したり、NC装置11が制御する工作機械上でワークが置かれている座標の値であるワーク座標値の測定や、当該工作機械に設置される工具のオフセット値等の測定を禁止したりする。
【0026】
NC装置11は、サーバ111と、NC処理部112と、NCデータ部113とを備える。なお、サーバ111は、図7におけるサーバ511と同一の機能を有し、NCデータ部113は、図7におけるNCデータ部513と同一の機能を有するため、その説明を省略する。
【0027】
NC処理部112は、図7におけるNC処理部512と同様に、NCデータ部113に格納された各種データを作成更新又は参照することによって、工作機械の主軸及び駆動軸を制御すると共に、当該数値や、工作機械53に係る各種属性値等を、NCデータ部513に格納する。
【0028】
さらに、NC処理部112は、処理完了通知部114を備える。処理完了通知部114は、NCデータ部113に格納された各種データの処理が完了したことを通知する処理完了通知を発行する。
【0029】
以下、図2のフローチャートを参照することにより、制御システム1の動作について説明する。なお、図2のフローチャートでは、情報処理装置10から、NC装置11に対して、NCデータ設定要求を出力する場合について説明するが、本実施形態はこれには限定されない。
【0030】
ステップS1において、処理要求送信部101からサーバ111にNCデータ設定要求を出力する。なお、NCデータ設定要求の具体的な内容としては、各種工具データ、すなわち、ドリル、ミリング、フライス等の工具種類や、工具長、工具径等の工具の寸法等の設定、工作機械内でワークが置かれている座標であるワーク座標値の設定、NC装置11において、これから編集したり、加工実行したりするために選択する加工プログラムの設定、当該加工プログラムから参照されるカスタムマクロ変数値の設定が挙げられる。
【0031】
ステップS2において、処理要求送信部101から処理完了通知管理部102にNCデータ設定要求の出力を通知する。その後、NC動作制限制御部103は、NC動作を制限する。具体的には、情報処理装置10から、NC装置11に対して、次の動作要求を出力させないように制限する。(例えば、処理要求送信部101からの送信を止める等の処理をしてもよい)。
【0032】
ステップS3において、サーバ111からNC処理部112にNCデータ設定要求を出力する。
【0033】
ステップS4において、NC処理部112でデータ処理を実行する。
【0034】
ステップS5において、NC処理部112がNCデータ部113に対してデータのwrite処理を実行する。
【0035】
ステップS6において、NC処理部112が処理完了通知を発行する。
【0036】
ステップS7において、NC処理部112がサーバ111に処理完了通知を出力する。
【0037】
ステップS8において、処理完了通知管理部102は、サーバ111から処理完了通知を取得したことを判定する。
【0038】
ステップS9において、NC動作制限制御部103は、ステップS8において、処理完了通知管理部102により処理完了通知を取得したことを判定することで、NC動作の制限を解除する。具体的には、情報処理装置10から、NC装置11に対して、次の動作要求を出力可能とする。(例えば、処理要求送信部101から送信可能にするようにしてもよい)。
【0039】
〔2 第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、第2実施形態に係る制御システム1Aの機能ブロック図である。図4は、第2実施形態に係る制御システム1Aの動作を示すフローチャートである。
【0040】
図3に示すように、制御システム1Aは、情報処理装置10Aと、NC装置11Aを備える。
【0041】
制御システム1Aにおいて、NC装置11AはNC装置11と同様に、サーバ111とNCデータ部113とを備えると共に、NC処理部112の代わりにNC処理部112Aを備える。また、NC処理部112Aは、処理完了通知部114に加え、処理要求送信部115を備える。さらに、NC装置11Aは、処理完了通知管理部116と、NC動作制限制御部117を備える。
【0042】
ここで、処理要求送信部115は、サーバ111を介して、情報処理装置10Aに対して処理要求を送信する。この処理要求としては、例えば、MDIプログラムによって、自動でワーク座標値や工具オフセット値を測定した後、NC装置11から情報処理装置10Aに対して出力される、この値の表示処理依頼が挙げられる。
【0043】
処理完了通知管理部116は、情報処理装置10Aから送信される、処理要求に係る処理が完了したことを通知する処理完了通知を受信したことを検出する。より詳細には、処理完了通知管理部116は、NC装置11A側が情報処理装置10Aに要求した処理が完了したことを情報処理装置10AからNC装置11Aに通知する、処理完了通知の受信の有無を管理する。
【0044】
NC動作制限制御部117は、処理完了通知管理部116により、処理完了通知を検知するまで、NC装置11Aに対する次の動作としての処理要求動作を制限する。例えば、NC動作制限制御部117は、NC装置11Aによる加工実行を禁止したり、NC装置11Aが制御する工作機械上でワークが置かれている座標の値であるワーク座標値の測定や、当該工作機械に設置される工具のオフセット値等の測定を禁止したりする。
【0045】
以下、図4のフローチャートを参照することにより、制御システム1Aの動作について説明する。なお、図4のフローチャートでは、例えば、MDIプログラムによって、自動でワーク座標値や工具オフセット値を測定した後、NC装置11から、情報処理装置10に対して、この値の表示処理依頼を出力する場合について説明するが、本実施形態はこれには限定されない。
【0046】
ステップS11において、NCデータ部113からNC処理部112Aに対してデータのwrite処理を実行する。より詳細には、NC処理部112Aにおいて、例えば、ワーク座標値や工具オフセット値を測定するためのMDIプログラムを実行することにより、自動でワーク座標値や工具オフセット値を測定する。これらのワーク座標値や工具オフセット値のwrite処理を、NCデータ部113からNC処理部112Aに対して実行する。
【0047】
ステップS12において、NC処理部112Aの処理要求送信部115からサーバ111に、測定されたワーク座標値や工具オフセット値の表示処理依頼を出力する。
【0048】
ステップS13において、サーバ111から情報処理装置10Aに対して表示処理依頼出力を通知する。
その後、NC動作制限制御部117は、NC動作を制限する。
【0049】
ステップS14において、情報処理装置10Aで、ワーク座標値や工具オフセット値の表示をする。
【0050】
ステップS15において、情報処理装置10Aからサーバ111に、ワーク座標値や工具オフセット値の表示の処理完了通知の出力をする。
【0051】
ステップS16において、処理完了通知管理部116は、処理完了通知を取得したことを判定する。
【0052】
ステップS17において,NC動作制限制御部117は、ステップS16において、処理完了通知管理部116により処理完了通知を取得したことを判定することで、NC動作の制限を解除する。
【0053】
〔3 第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について、図5を参照して説明する。図5は、第3実施形態に係る制御システム1Bの機能ブロック図である。
【0054】
制御システム1Bは、制御システム1が備える情報処理装置10の代わりに、情報処理装置10Bを備える。
【0055】
情報処理装置10Bは、情報処理装置10が備える構成要素に加えて、再送信制御部104を備える。本実施形態では、再送信制御部104は、情報処理装置10B側において、処理完了通知管理部102が、処理完了通知を所定の時間検出しない場合、NC装置11側に対して処理要求を再送信する。なお、所定の時間及び再送信回数については、予め情報処理装置10(例えば、処理完了通知管理部102)に設定するようにしてもよい。
【0056】
〔4 第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、第4実施形態に係る制御システム1Cの機能ブロック図である。
【0057】
制御システム1Cは、制御システム1Aが備えるNC装置11の代わりに、NC装置11Bを備える。
【0058】
本実施形態において、再送信制御部118は、処理完了通知管理部116が処理完了通知を所定の時間検出しない場合、情報処理装置10側に対して、処理要求を再送信する。なお、所定の時間及び再送信回数については、予めNC装置11B(例えば、処理完了通知管理部116)に設定するようにしてもよい。
【0059】
〔5 変形例〕
上記の各実施形態においては、NC装置11又は11Aが、工作機械を制御する態様を前提としていたが、これには限定されず、例えば制御装置がロボットを制御するロボット制御装置である態様としてもよい。
【0060】
この場合、情報処理装置からロボット制御装置に出力されるNCデータ設定要求としては、ロボットの安全速度の制限値の設定、すなわちロボットが動作する際の最大速度の設定や、ロボットの安全位置制限の設定、すなわちロボットが動作する際の動ける範囲の設定が挙げられる。
【0061】
一方、ロボット制御装置から情報処理装置に出力される表示処理依頼としては、予め用意しておいた所定の動作をさせるプログラムをロボットに実行させた後、動作完了後のロボットのアーム等の位置座標値を情報処理装置側へ表示依頼を掛ける表示処理依頼が挙げられる。
【0062】
なお、ロボット動作中の座標値は、常に更新され続けるので、表示依頼に失敗したからといって、ロボットの動作を制限しないようにしてもよい。しかし、ロボットの一連の動作完了後の座標値が誤った値だと、次にロボットに指令を出す際に、事故の原因となるため、ロボット動作を制限する必要が発生する。
【0063】
(1) 本発明に係る情報処理装置は、産業機械の制御装置(例えば、上記の「NC装置11」)と通信可能に接続された情報処理装置(例えば、上記の「情報処理装置10」)であって、前記制御装置に対して処理要求を送信する処理要求送信部(例えば、上記の「処理要求送信部101」)と、前記制御装置から送信される、前記処理要求に係る処理が完了したことを通知する処理完了通知を検出する処理完了通知管理部(例えば、上記の「処理完了通知管理部102」)と、処理完了通知管理部により、前記処理完了通知を検知するまで、前記制御装置に対する次の動作としての処理要求動作を制限する動作制限制御部(例えば、上記の「NC動作制限制御部103」)と、を備える。
【0064】
これにより、処理完了通知を受信するまで、NC動作を制限することで、工具の干渉等の事故を防ぐことが可能となる。
【0065】
(2) (1)に記載の情報処理装置において、前記動作制限制御部は、前記処理要求送信部が前記制御装置に対して送信した処理要求に係る処理が所定の処理である場合に、前記処理完了通知を検知するまで、前記制御装置に対する次の動作としての処理要求動作を制限してもよい。
【0066】
これにより、特定の処理を実行する場合に限定して、通信制御装置は、制御装置の動作を制限することが可能となる。
【0067】
(3) (2)に記載の情報処理装置は、さらに、前記処理完了通知管理部により前記処理完了通知を所定の期間検出しない場合、前記制御装置に対して、前記処理要求を再送信する再送信制御部、を備えてもよい。
【0068】
これにより、処理完了通知が受信できず、クライアントとサーバ間の通信が失敗している可能性がある場合に、処理要求の再送信を行うことで、処理が止まってしまうことを回避することが可能となる。
【0069】
(4) (2)又は(3)に記載の情報処理装置において、前記産業機械は工作機械であり、前記制御装置は、数値制御装置であり、前記所定処理は、工具データの設定、ワーク座標値の設定、加工プログラムの設定、又はカスタムマクロ変数値の設定のいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0070】
これにより、数値制御装置で工作機械を制御する場合において、クライアント側が依頼した処理をサーバ側が処理し、その処理完了通知をクライアント側が受け取るまでの間、数値制御装置の動作を制限することが可能となる。
【0071】
(5) (2)又は(3)に記載の情報処理装置において、前記産業機械はロボットであり、前記制御装置は、ロボット制御装置であり、前記所定処理は、前記ロボットの安全速度の制限値の設定、又は前記ロボットの安全位置制限の設定のいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0072】
これにより、制御装置でロボットを制御する場合において、クライアント側が依頼した処理をサーバ側が処理し、その処理完了通知をクライアント側が受け取るまでの間、数値制御装置の動作を制限することが可能となる。
【0073】
(6) 本発明に係る制御装置(例えば、上記の「NC装置11A」)は、情報処理装置(例えば、上記の「情報処理装置10A」)と通信可能に接続された産業機械の制御装置であって、前記情報処理装置に対して処理要求を送信する処理要求送信部(例えば、上記の「処理要求送信部115」)と、前記情報処理装置から送信される、前記処理要求に係る処理が完了したことを通知する処理完了通知を検出する処理完了通知管理部(例えば、上記の「処理完了通知管理部116」)と、処理完了通知管理部により、前記処理完了通知を検知するまで、前記制御装置における次の動作を制限する動作制限制御部(例えば、上記の「NC動作制限制御部117」)と、を備える。
【0074】
これにより、処理完了通知を受信するまで、NC動作を制限することで、工具の干渉等の事故を防ぐことが可能となる。
【0075】
(7) (6)に記載の情報処理装置において、前記動作制限制御部は、前記処理要求送信部が前記制御装置に対して送信した処理要求に係る処理が所定の処理である場合に、前記処理完了通知を検知するまで、前記制御装置に対する次の動作としての処理要求動作を制限してもよい。
【0076】
これにより、特定の処理を実行する場合に限定して、通信制御装置は、制御装置の動作を制限することが可能となる。
【0077】
(8) (7)に記載の制御装置は、さらに、前記処理完了通知管理部により前記処理完了通知を所定の期間検出しない場合、前記情報処理装置に対して、前記処理要求を再送信する再送信制御部(例えば、上記の「再送信制御部118」)、を備えてもよい。
【0078】
これにより、処理完了通知が受信できず、クライアントとサーバ間の通信が失敗している可能性がある場合に、処理要求の再送信を行うことで、処理が止まってしまうことを回避することが可能となる。
【0079】
(9) (7)又は(8)に記載の制御装置において、前記産業機械は工作機械であり、前記制御装置は、数値制御装置であり、前記所定処理は、工具オフセット値の出力要求、又はワーク座標値の出力要求のいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0080】
これにより、数値制御装置で工作機械を制御する場合において、サーバ側が依頼した処理をクライアント側が処理し、その処理完了通知をサーバ側が受け取るまでの間、数値制御装置の動作を制限することが可能となる。
【0081】
(10) (7)又は(8)に記載の制御装置において、前記産業機械はロボットであり、前記制御装置は、ロボット制御装置であり、前記所定処理は、動作完了後の前記ロボットに係る位置座標値の出力要求を含んでもよい。
【0082】
これにより、制御装置でロボットを制御する場合において、サーバ側が依頼した処理をクライアント側が処理し、その処理完了通知をサーバ側が受け取るまでの間、数値制御装置の動作を制限することが可能となる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0084】
制御システム1~1Cによる通信制御方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ(情報処理装置10又は10B、及びNC装置11~11B)にインストールされる。また、これらのプログラムは、リムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。さらに、これらのプログラムは、ダウンロードされることなくネットワークを介したWebサービスとしてユーザのコンピュータ(情報処理装置10又は10B、及びNC装置11~11B)に提供されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B,1C 制御システム
5 数値制御システム
10,10A,10B,52 情報処理装置(クライアント)
11,11A,11B,51 NC装置(数値制御装置)
53 工作機械
101,115 処理要求送信部
102,116 処理完了通知管理部
103,117 NC動作制限制御部
104,118 再送信制御部
111,511 サーバ(Webサーバ)
112,512 NC処理部
113,513 NCデータ部
114 処理完了通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7