(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】車両用の燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20240305BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60K15/03 B
F02M37/00 301J
(21)【出願番号】P 2019226102
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一星 博紀
(72)【発明者】
【氏名】西本 将
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-007069(JP,U)
【文献】特開2016-002858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0035120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
F02M 37/00
F02M 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアを構成するフロアパネルの下側に前記フロアパネルから離隔して配置され、上部に開口部を有する燃料タンクと、
前記開口部に取付けられる蓋と、
前記燃料タンクの前記開口部以外の外面を覆う断熱材と、
前記開口部の周縁の断熱材の外面に取付けられて前記蓋の外面を覆うカバー部材と、
を備え
、
前記断熱材は、前記開口部の周囲に複数の凹部を有し、
前記カバー部材は、円板部と、円筒部と、前記円筒部の下端から外側に突出した複数の固定部とを有し、
前記複数の固定部が前記複数の凹部に嵌め込まれていること、
を特徴とする車両用の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用の燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の燃料タンクの上部に設けられた開口部に取付けられる蓋にポンプユニットが一体的に取付けられた燃料供給装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、燃料タンクの蓋が取付けられている開口部以外の外面を断熱材により覆い、開口部の周囲の断熱材を車体のフロアパネルに接触させることで開口部に取付けられた蓋の周囲の空間を閉塞して断熱効果の向上を図る構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-56820号公報
【文献】特開2010-221777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の構造によっては、燃料タンクを車体のフロアパネルから離して配置する場合がある。この場合、特許文献2に記載されているように、開口部の周囲の断熱材を車体のフロアパネルに接触させることができず、開口部が開放状態となってしまう。このため、開口部に取付けられている蓋が熱気又は液体に接触して、当該蓋の劣化が進んでしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、燃料タンクの開口部に取付けられた蓋の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用の燃料供給装置は、車両のフロアを構成するフロアパネルの下側に前記フロアパネルから離隔して配置され、上部に開口部を有する燃料タンクと、前記開口部に取付けられる蓋と、前記燃料タンクの前記開口部以外の外面を覆う断熱材と、前記開口部の周縁の断熱材の外面に取付けられて前記蓋の外面を覆うカバー部材と、を備え、前記断熱材は、前記開口部の周囲に複数の凹部を有し、前記カバー部材は、円板部と、円筒部と、前記円筒部の下端から外側に突出した複数の固定部とを有し、前記複数の固定部が前記複数の凹部に嵌め込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用の燃料供給装置によれば、カバー部材により、熱気又は液体が、燃料タンクの開口部に取付けられた蓋に接触するのを抑制でき、蓋の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る燃料供給装置の蓋の近傍の概略平面図である。
【
図2】
図1のA-A断面をフロアパネルとともに描いた燃料タンクの断面図であって、ポンプモジュールについては後方から見た側面図とした図である。
【
図3】
図1のB-B断面をフロアパネルとともに描いた燃料タンク上部の断面図であって、ポンプモジュールについては左方から見た側面図とした図である。
【
図4】
図1からカバー部材及びホースを除いた概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る燃料供給装置100を、図面を参照しながら説明する。各図に示す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、燃料供給装置100が搭載された車両の進行方向である前方向、上方向、右方向をそれぞれ示している。また、各矢印FR、UP、RHの反対方向は、車両の後方向、下方向、左方向を示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両の前後方向の前後、車両の左右方向の左右、車両の上下方向の上下を示すものとする。左右方向は、車両の幅方向ともいう。
【0011】
(燃料供給装置100の構成)
燃料供給装置100は、
図1~4に示すように、燃料タンク110と、蓋131を含むポンプモジュール130と、断熱材140と、カバー部材150と、を備える。
【0012】
燃料タンク110は、車両エンジンの燃料を貯留する。
図2及び
図3に示すように、燃料タンク110は、その上部に、開口111Aを形成している開口部111と、開口部111の外側に位置する傾斜部112と、傾斜部112の外側に位置する平坦部113と、を備える。燃料タンク110は、その下部に底114を備える。
【0013】
開口部111は、円環形状であり、傾斜部112は、円錐台の側面の形状である。傾斜部112は、開口部111と繋がっている。平坦部113は、傾斜部112と繋がっている。開口部111は、その上面に、平面視において円環状の凹部111Bを有する。当該凹部111Bには、Oリング等のシール部材120が収容されている。
【0014】
ポンプモジュール130は、
図2~
図4に示すように、蓋131と、蓋131の下側にシャフト134A,134Bを介して取付けられたサブタンク133と、サブタンク133の中に設けられた燃料ポンプ136と、蓋131の燃料供給部131Cとサブタンク133とを接続する燃料パイプ137と、蓋131のコネクタ部131Dと燃料ポンプ136とを接続するリード線138と、を備える。ポンプモジュール130は、蓋131に、サブタンク133、燃料ポンプ136、燃料パイプ137、リード線138が一体的に取付けられた装置である。
【0015】
以下、
図2~
図4を参照しながら、ポンプモジュール130を構成する蓋131、サブタンク133、燃料ポンプ136、燃料パイプ137、及び、リード線138について説明する。
【0016】
蓋131は、複数のボルト171により燃料タンク110の開口部111に着脱可能に取付けられており、開口111Aを塞ぐことで当該開口111Aをフタしている。蓋131は、円柱部131Aと、フランジ131Bと、燃料供給部131Cと、コネクタ131Dと、を備える。
【0017】
蓋131の円柱部131Aは、蓋131における円柱形状の部分であり、その上部からフランジ131Bが外側に向けて張り出している。蓋131の下部は、開口111A内に入り込んでいる。円柱部131Aの下部の外周面は、開口111Aの内壁つまり開口部111の内周壁に当接している。
【0018】
蓋131のフランジ131Bは、ドーナツ板形状に形成されている。フランジ131Bは、開口部111の上面を上から覆った状態で、複数のボルト171により開口部111に締め付け固定される。具体的に、フランジ131Bは、各ボルト171のネジ部が通る貫通孔を有し、各ボルト171のネジ部は、当該貫通孔を通って、燃料タンク110の開口部111に設けられた螺合孔と螺合する。この螺合により、フランジ131Bが開口部111に締め付け固定される。この締め付け固定により、蓋131が開口部111に取り付けられ、燃料タンク110の凹部111B内のシール部材120が弾性変形する。この弾性変形により、燃料タンク110と蓋131との間がシールされる。
【0019】
蓋131の燃料供給部131Cは、中空管であり、燃料タンク110に貯留されている燃料が中を通る。燃料供給部131Cは、上下方向に延びて円柱部131Aを貫いている第1部分131CAと、第1部分131CAから左右方向に延びている第2部分131CBと、を備える。第1部分131CAには、ホースHの一端が接続される。ホースHの他端は、エンジンに接続されている。第2部分131CBの下端部には、燃料パイプ137の一端が接続されている。
【0020】
蓋131のコネクタ131Dは、上下方向に延びて円柱部131Aを貫いている。コネクタ131Dの上部は、雌型のコネクタとなっており不図示の雄型のコネクタと接続される。当該雄型のコネクタは、不図示の電源及びECU(Electronic Control Unit)とリード線を介して電気的に接続されている。コネクタ131Dの下端には、可撓性を有する複数のリード線138それぞれの一端が接続されている。複数のリード線138それぞれの他端は、燃料ポンプ136に接続されている。これにより、燃料ポンプ136は、リード線138、コネクタ131Dなどを介して電源及びECUに電気的に接続される。燃料ポンプ136は、電源から電力の供給を受け、ECUにより制御される。
【0021】
蓋131の円柱部131Aと、フランジ131Bと、燃料供給部131Cと、コネクタ131Dのうちのターミナル等の導電部以外の部分と、は、合成樹脂等を材料として一体成型される。例えば、蓋131は、コネクタ131Dの導電部を構成する部品を金型にインサートするインサート成型により、一体的に形成される。前記の材料としては、費用対効果に優れたPOM(ポリアセタール)などが挙げられる。
【0022】
サブタンク133は、燃料タンク110の底114に配置され、内部において燃料ポンプ136を支持しているタンクである。サブタンク133には、燃料タンク110内の燃料をサブタンク133の内部に流入させる孔133Aが形成されている。
【0023】
サブタンク133は、シャフト134A,134Bの下部に所定範囲で上下方向に移動可能に取付けられている。シャフト134A,134Bの上端は、蓋131の下側に固定されている。シャフト134A,134Bの外側には、バネ135A,135Bがそれぞれ配置されている。バネ135A,135Bは、蓋131の円柱部131Aとサブタンク133とにより挟まれている。サブタンク133はシャフト134A,134Bに沿って所定範囲で上下方向に移動可能であるので、バネ135A,135Bは、サブタンク133を下方に押す。
【0024】
サブタンク133は、蓋131を開口部111に取付ける際に開口111Aから燃料タンク110の内部に入り込み、燃料タンク110の底114に接する。そして、ボルト171を締め付けて蓋131を開口部111に組み付けるとバネ135A,135Bは、サブタンク133を燃料タンク110の底114に押し付ける。これにより、燃料タンク110が外部の熱等で変形しても、サブタンク133は燃料タンク110の底114に常に位置する。
【0025】
燃料パイプ137は、蓋131の燃料供給部131Cと燃料ポンプ136とを接続している。燃料パイプ137は、蛇腹パイプ等から構成され、サブタンク133と蓋131との距離の変化に追従して伸縮可能である。燃料パイプ137は、前記距離の変化に追従して撓んだり伸びたりする可撓性パイプであってもよい。また、リード線138は、可撓性を有するので、サブタンク133と蓋131との距離の変化に追従して撓んだり伸びたりすることができる。
【0026】
燃料ポンプ136は、サブタンク133の内部において当該サブタンク133により支持されており、燃料タンク110内の燃料つまりサブタンク133内の燃料を、燃料パイプ137、燃料供給部131C、及び、ホースHを介して、エンジンに供給する。燃料ポンプ136は、燃料タンク110内に混入した異物を取り除くフィルタなどを備えてもよい。
【0027】
上記のように、蓋131には、サブタンク133、及び、燃料ポンプ136が一体的に取り付けられているが、当該一体的な取付けの具体的態様は任意である。燃料ポンプ136等が蓋131に一体的に取り付けられるとは、蓋131を移動させたときに燃料ポンプ等も蓋131と一体で移動するように、例えば、蓋131を燃料タンク110から取り外したときに燃料ポンプ136等も一緒に取り外されるように、燃料ポンプ136等が蓋131に取り付けられることであればよい。
【0028】
断熱材140は、
図2~
図4に示すように開口部111以外の燃料タンク110の外面を覆っており、外部の熱が燃料タンク110に伝わることを抑制することで、燃料の温度変化を抑制する。断熱材140は、例えば、発泡ポリエチレン、発泡ウレタンなどの熱可塑性発泡樹脂により形成されている。断熱材140は、燃料タンク110の傾斜部112の外面を覆う断熱傾斜部141と、燃料タンク110の平坦部113の外面を覆う断熱平坦部142と、燃料タンク110の底114の外面を覆う断熱底部143と、を備える。
【0029】
断熱傾斜部141は、燃料タンク110の開口部111の周囲の傾斜部112を覆う円錐台の側面形状を有している。断熱傾斜部141の内周縁は、開口141Aを形成し、開口141Aは燃料タンク110の開口部111の外周面に接している。開口141Aは、燃料タンク110の開口部111の外面の上部とポンプモジュール130の蓋131とを断熱材140から露出させている。換言すると、断熱材140は、開口部111と蓋131とを上から覆っていない。断熱傾斜部141の外面は、
図4に示す複数の凹部141Bを有する。凹部141Bには、カバー部材150の後述の固定部153が入り込んで固定されている。
【0030】
断熱平坦部142は、断熱傾斜部141の外側に配置され、断熱傾斜部141と繋がっている。断熱平坦部142は、燃料タンク110の平坦部113の外面を上から覆っている。断熱底部143は、燃料タンク110の底114の外面を下から覆っている。
【0031】
カバー部材150は、開口部111の周縁に配置された断熱傾斜部141の外面に取付けられて、蓋131の外面を上から覆っている。カバー部材150は、蓋131を熱気及び液体から保護するため断熱性及び耐酸性を有するとよい。例えば、カバー部材150は、熱可塑性発泡樹脂製のカバー部材本体に耐酸性塗膜を形成したものであるとよい。カバー部材150は、耐酸性の熱可塑性発泡樹脂等により形成されてもよい。このようなカバー部材150は、蓋131を、熱気から保護するとともに、液体特に酸性の液体から保護する。
【0032】
カバー部材150は、
図1~
図3に示すように、円板部151と、円筒部152と、複数の固定部153と、収容部154と、を備える。カバー部材150は、
図2及び
図3に示すように、蓋131と接触しないで、空間を開けて配置されるとよい。
【0033】
円板部151は、収容部154が設けられている部分を切り欠いた円板形状に形成されている。円筒部152は、円板部151の外周縁から下方に延びている。
【0034】
複数の固定部153それぞれは、円筒部152の下端から当該円筒部152の外側に突出している突出板により形成されている。各固定部153は、断熱傾斜部141の各凹部141Bに合わせて傾斜しており、各凹部141B内に嵌め込まれている。各固定部153は、ボルト172のネジ部が通る貫通孔を有する。ボルト172のネジ部は、固定部153の前記貫通孔を通り、断熱傾斜部141を貫通して、燃料タンク110の傾斜部112に形成されている螺合孔と螺合している。これにより、各固定部153、つまり、カバー部材150は、開口部111の周縁に配置された断熱材である断熱傾斜部141の外面に取付けられている。円板部151は、蓋131のコネクタ131Dに対応する位置に貫通孔151Aを有する。貫通孔151Aには、コネクタ131Dが通っている。
【0035】
収容部154は、燃料供給部131Cと、当該燃料供給部131Cの第2部分131CBに接続されたホースHの一端部と、を上方から覆うことで収容している。収容部154は、円板部151から上に凸で下が開口している箱状の形状を有する。収容部154は、平面視において円板部151の中央から外周に向かって当該円板部151の径方向に沿って直線状に延びている。収容部154における円板部151の外周側の端部154Aは開口している一方、円筒部152における端部154Aの下の部分152Aは開口していない。ホースHは、端部154Aの開口を通り、カバー部材150の外側に引き回されている。
【0036】
カバー部材150を、断熱傾斜部141に取付ける際には、当該取付け前に、カバー部材150の端部154Aの開口に、燃料供給部131Cに接続されたホースHを通しておくとよい。
【0037】
図2に示すように、燃料供給装置100は、車両のフロアを構成するフロアパネル11の下側に、フロアパネル11と離隔してつまり間隔を開けて配置されている。例えば、燃料供給装置100は、不図示の吊り下げ部材等によって、フロアパネル11から吊り下げられている。フロアパネル11は、円形のサービスホール11Aを有しており、当該サービスホール11Aは、当該フロアパネル11にボルト13により取付けられるサービスホールカバー12により覆われて塞がれる。燃料タンク110、蓋131、及び、断熱傾斜部141などは、フロアパネル11、サービスホール11A、及び、サービスホールカバー12よりも下方かつこれらと上下方向において間隔を開けて配置されている。さらに、カバー部材150も、フロアパネル11よりも下方の位置で断熱材140に取付けられている。
【0038】
(燃料供給装置100におけるカバー部材150の作用効果)
以上のように、この実施形態の燃料供給装置100は、フロアパネル11及びサービスホールカバー12の下側に当該フロアパネル11及びサービスホールカバー12から離隔して配置され、上部に開口部111を有する燃料タンク110と、燃料ポンプ136等が一体的に取り付けられた蓋131であって、開口部111に取付けられて開口111Aを塞ぐ蓋131と、を備える。燃料供給装置100は、さらに、燃料タンク110の開口部111以外の外面を覆う断熱材140と、フロアパネル11の下側で開口部111の周縁の断熱材である断熱傾斜部141の外面に取付けられて蓋131の外面を覆うカバー部材150と、を備える。従って、蓋131が車両内の熱気及び液体に接触するのを、当該蓋131を覆っているカバー部材150により抑制でき、これにより、熱気又は液体との接触による蓋131の劣化を抑制できる。
【0039】
具体的に、
図2のように、燃料供給装置100では、断熱材140の断熱傾斜部141とフロアパネル11及びサービスホールカバー12との間には間隔があり、両者は接触していない。このため、例えば、
図2に示すように、断熱材140とフロアパネル11との間或いはサービスホールカバー12との間から侵入してくる熱気又は液体(矢印R参照)が、蓋131の位置にまで侵入してくるおそれがある。熱気としては、例えば、エンジン、触媒装置、又は路面等からの熱により加熱された空気が挙げられる。液体としては、例えば、車両外部又は車室から侵入する酸性の液体、特に、強酸性の液体が挙げられる。カバー部材150がない場合、上記熱気又は液体に蓋131に接触し、蓋131の劣化が進んでしまう可能性がある。特に、熱気が高温の場合、蓋131の劣化が進んでしまう可能性がある。また、蓋131が上記のようにPOMにより形成されている場合であって前記の液体が強酸性を有する場合、当該劣化が進みやすい。この実施の形態の燃料供給装置100では、フロアパネル11及びサービスホールカバー12とは異なるカバー部材150が断熱傾斜部141に取付けられて蓋131を覆っているので、蓋131の露出が極力抑えられており、熱気又は液体が蓋131に接触することが抑制される。これにより、蓋131の劣化が抑制される。なお、熱気が蓋131に接触すると、当該熱気により当該蓋131を介して燃料タンク110内の燃料が加熱されることがあるが、カバー部材150により蓋131と熱気との接触を遮断するので、前記のような燃料の加熱も抑制される。
【0040】
また、カバー部材150が、
図2及び
図3に示すように、蓋131と接触しないで、空間を開けて配置されることにより、カバー部材150と蓋131との間に空気層が介在することになり、熱気に対する高い断熱効果が得られる。
【0041】
(変形例)
上記で説明した各部材の形状等は任意であり、適宜変更できる。例えば、カバー部材150の貫通孔151A及び端部154Aの開口は極力小さくするとよい。これにより、熱気及び液体がカバー部材150の内側に侵入することを極力抑制でき、蓋131に熱気及び液体が接触することをより抑制できる。
【0042】
燃料タンク110の開口部111への蓋131の取付け方法は任意である。蓋131は、ボルト171ではなく、他の部材、例えば、中央が貫通孔となっており、燃料タンク110の開口部111の外周壁と螺合するキャップ部材により固定されてもよい。
【0043】
カバー部材150の断熱材140への取付け方法も任意である。例えば、両面テープ等によりカバー部材150を断熱傾斜部141ないし凹部141Bに接着することでカバー部材150を断熱材140に取付けてもよい。カバー部材150を断熱材140に取付ける態様は、カバー部材150を断熱材140に直接固定する態様の他、上記実施の形態のように、カバー部材150を、断熱材140に接触させた状態で、当該断熱材140以外の部材である燃料タンク110などに固定することで、当該カバー部材150が断熱材140に対して相対的に移動しないようにする態様を含む。
【0044】
カバー部材150の材料も任意である。カバー部材150が蓋131を覆う限り、熱気及び液体は蓋131と直接接触しにくいため、蓋131の劣化は抑制される。
【0045】
断熱材140の断熱傾斜部141の内周壁、つまり、開口141Aの内壁と、開口部111の外周面との間に隙間を設けてもよい。隙間があってもなくても、断熱傾斜部141は、開口111の周縁の断熱材といえる。断熱材140は、燃料タンク110における、開口部111以外の全部、又は、開口部111及び前記の隙間の部分以外の全部を覆うことが望ましい。これにより、断熱効果が効果的に得られる。
【0046】
カバー部材150は、断熱材140に隙間なく接触していることが望ましい。具体的に、カバー部材150の下端すべて、例えば円筒部152の下端すべてが、断熱傾斜部141に接触していることが望ましい。これにより、熱気及び液体がカバー部材150と断熱材140との隙間から侵入して蓋131に接触することを抑制できる。特に、断熱傾斜部141が燃料タンク110の開口部111を全周にわたって囲んでおり、カバー部材150の下端が全周にわたって断熱傾斜部141に接触していることで、前記の侵入を効果的に抑制できる。
【0047】
カバー部材150の上端部、例えば、収容部154は、フロアパネル11よりも高くなってサービスホール11A内に入り込んでもよい。例えば、当該上端部の上端がサービスホール11A内に配置されてもよいし、当該上端部がサービスホール11Aを貫通してもよい。この場合には、当該上端部を収容する上に凸の収容部をサービスホールカバー12に設けるか、サービスホールカバー12がカバー部材150の上端部に当たらないように当該サービスホールカバー12全体を上に凸の皿型形状としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
11 フロアパネル、11A サービスホール、12 サービスホールカバー、100 燃料供給装置、110 燃料タンク、111 開口部、111B 凹部、112 傾斜部、113 平坦部、114 底、120 シール部材、130 ポンプモジュール、131 蓋、131A 円柱部、131B フランジ、131C 燃料供給部、131D コネクタ、133 サブタンク、133A 孔、134A,134B シャフト、135A,135B バネ、136 燃料ポンプ、137 燃料パイプ、138 リード線、140 断熱材、141 断熱傾斜部、141B 凹部、142 断熱平坦部、143 断熱底部、150 カバー部材、151 円板部、151A 貫通孔、152 円筒部、152A 部分、153 固定部、154 収容部、154A 端部、13,171,172 ボルト、111A,141A 開口。