IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イトーキの特許一覧

<>
  • 特許-椅子 図1
  • 特許-椅子 図2
  • 特許-椅子 図3
  • 特許-椅子 図4
  • 特許-椅子 図5
  • 特許-椅子 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/02 20060101AFI20240305BHJP
   A47C 31/02 20060101ALN20240305BHJP
   B68G 7/05 20060101ALN20240305BHJP
   A47C 3/026 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
A47C7/02 A
A47C31/02 D
B68G7/05 A
A47C3/026
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019237248
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104231
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】東田 祐治
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-057761(JP,A)
【文献】特開2014-090991(JP,A)
【文献】特開2007-054239(JP,A)
【文献】特開平02-200216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/023,3/02-3/03,
7/02-7/35,31/02
B68G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚支柱の上端に設けたベースで支持された座受けシェル体と、前記座受けシェル体に前後動自在に装着された座とを備えており、
前記座は、座板とその上面に配置したクッション体と前記クッション体を上から覆う表皮材とを備えている構成であって、
前記座の下面に、前記座受けシェル体が入り込むように上向きに凹んだ凹所が、前記座の前後動を許容するように前記座受けシェル体の前後長さよりも長く形成されており、
更に、前記表皮材は、前記座板の下方に巻き込まれて前記凹所内に至っている、
椅子。
【請求項2】
前記座板の左右両側部のうち一方又は両方に、前記座の前後位置を調節するための操作レバーが、前記表皮材から露出した状態に配置されている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項3】
前記表皮材には、前記操作レバーを露出させるための逃がし部が形成されており、前記逃がし部の周縁部は、前記操作レバーを露出させる穴が空いているカバーで覆われている、
請求項に記載した椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、座の前後位置を調節できる椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィス用回転椅子などの椅子において、使用者の体格や好みに対応できるように、座の前後位置を調節できるようにすることが行われている。この場合、例えば特許文献1では、脚支柱の上端に設けたベースで座受を支持し、座を座受に前後スライド自在に装着し、座の一側部に、前後位置を調節するためのレバーを装着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-254309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1では、座受は座板の下方に突出している。しかし、座受が座の下方に突出していると、例えば、他の椅子に腰掛けた人が見たときに座受が視界に入りやすくなるため、美観を損なうおそれがあった。
【0005】
更に述べると、座は、一般に、座板にクッション体を張って、クッション体を上からクロス等の表皮材で覆った構造になっており、表皮材は下方に巻き込まれていて、座板の下面も表皮材が覆われていることが多いが、座受が座の下方に突出していると、表皮材の色と座受とのコントラストによって座受が目立つため、見た人にデザイン的な違和感を与えるおそれがあった。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、請求項1のとおり、
「脚支柱の上端に設けたベースで支持された座受けシェル体と、前記座受けシェル体に前後動自在に装着された座とを備えており、
前記座は、座板とその上面に配置したクッション体と前記クッション体を上から覆う表皮材とを備えている」
という基本構成において、
「前記座の下面に、前記座受けシェル体が入り込むように上向きに凹んだ凹所が、前記座の前後動を許容するように前記座受けシェル体の前後長さよりも長く形成されており、
更に、前記表皮材は、前記座板の下方に巻き込まれて前記凹所内に至っている」
という特徴を保持させている。
【0008】
本願発明は様々に展開できるが、その例として請求項2では、
「前記座板の左右両側部のうち一方又は両方に、前記座の前後位置を調節するための操作レバーが、前記表皮材から露出した状態に配置されている」
という構成になっている。
【0009】
また、請求項3では、請求項において、
「前記表皮材には、前記操作レバーを露出させるための逃がし部が形成されており、前記逃がし部の周縁部は、前記操作レバーを露出させる穴が空いているカバーで覆われている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、座受けシェル体は座板に形成された下向き開口の凹所に下方から入り込んでいるため、他の椅子に腰掛けた人が見ても座受けシェル体が視界に入ることはない。従って、座の前後位置を調節できる椅子でありながら、座部のデザインをスッキリとさせて美観を向上できる。
【0011】
更に述べると、本願発明では、表皮材が座板の下向き開口の凹所まで巻き込まれているため、座部がクッション体のみで構成されているかのようなスッキリとした外観を実現できるのであり、これにより、座部のデザインをシンプル化して高い美観を確保できる。
【0012】
請求項2では、操作レバーは表皮材から露出しており、操作レバーが椅子の使用者の目に触れるため、座の前後位置を調節できる椅子であることは使用者にとって一目瞭然である。従って、座の前後位置調節機能を使用者に知らしめつつ、シンプルなデザインを実現して商品価値を向上できる。
【0013】
請求項3では、表皮材の逃がし部は、例えばタッカー止めなどで固定することができるが、固定部はカバーで覆われるため、逃がし部を美麗に処理することができる。この面でも優れた美観を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る椅子の外観を示す図で、(A)は前方から見た斜視図、(B)は側面図、(C)は下側方から見た斜視図である。
図2】(A)は分離斜視図、(B)は座受けシェル体と支持機構部との分離斜視図である。
図3】座を裏返した状態の斜視図である。
図4】座と座受けシェル体とを裏返した状態での分離斜視図である。
図5】座と座受けシェル体とを裏返して座受けシェル体を起こした状態での分離斜視図である。
図6】座と座受けシェル体とを裏返して分離すると共にレバー装置を分離した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用しているが、これは、椅子に普通に腰掛けた人から見た状態を基準にしている。正面視方向は、着座した人と対向した方向である。
【0016】
(1).椅子の概略
まず、図1,2を参照して、椅子の概略を説明する。図1のとおり、椅子は、主要要素として、脚装置1、座2、背もたれ3を備えており、背もたれ3の上方にヘッドレスト4を配置している。また、本実施形態の椅子は、肘掛け5を標準品として装備している。脚装置1は、ガスシリンダより成る脚支柱6と放射方向に延びる枝部とを有しており、各枝部の先端にはキャスタを設けている。脚支柱6の上端には、上向きに開口した略箱状のベース7が固定されている。
【0017】
図2(B)に示すように、ベース7の前端部には、左右一対のフロントリンク9がフロント軸8を介して後傾動可能に取り付けられている。
【0018】
同じく図2(B)に明示するように、ベース7の左右両側には、傾動フレーム10の前向きアーム部11が配置されており、前向きアーム部11が中空軸(図示せず)によってベース7に後傾動自在に連結されている。また、傾動フレーム10の後部に左右の支柱部12を設けており、支柱部12に背もたれ3と肘掛け5とが取り付けられている。
【0019】
傾動フレーム10を構成する前向きアーム部11の前端部は、既述のとおり左右長手の中空軸を介してベース7に連結されており、従って、背もたれ3は傾動フレーム10の前端部を中心にして後傾動する。そして、中空軸にはばね手段の一例としてのトーションバー(図示せず)が内蔵されており、傾動フレーム10は、トーションバーの弾性に抗して後傾動する。
【0020】
図2(B)に示すように、傾動フレーム10において、左右の支柱部12には、平面視で後ろに膨らむ(前に凹む)ように緩く湾曲した下ステー13と上ステー14とが一体に繋がっており、左右支柱部12と上下ステー13,14とによって傾動フレーム10の基部が構成されて、基部の左右両端部に、別体の前向きアーム部11が固定されている。背もたれ3は、支柱部12と上ステー14とに取り付けられている。
【0021】
図2(A)に示すように、座2は、合成樹脂製の座板(インナーシェル)15とその上面に配置したクッション体16とを備えており、クッション体16はクロス等の表皮材17で上から覆われている。図2(A)に示すように、座板15の上面には多数の補強リブが形成されている。図6に示すように、クッション体16の下面には座板15が入り込む凹み16aを形成している。従って、クッション体16の外周部は座板15の外側に張り出しており、クッション体16の下面と座板15の下面とが滑らかに連続している。
【0022】
座板15は、その下方に配置された座受けシェル体18に前後位置調節可能に取り付けられている。そして、図2(B)のとおり、座受けシェル体18の前部は既述のフロントリンク9に左右長手のフロントピン19で連結されて、座受けシェル体18の後部は、傾動フレーム10の前向きアーム部11に上向き突設したリアリンク20に左右長手のリアピン21で連結されている。従って、背もたれ3が後傾すると、座2も後退しつつ後傾する。
【0023】
座受けシェル体18の前部には、フロントピン19が嵌まる左右のフロント軸受け23を設けて、座受けシェル体18の後部には、リアピン21が嵌まる左右のリア軸受け24を設けている。なお、左右のリア軸受け24のうち内側に位置したリア軸受けからロッド部25が下向きに突出しているが、この棒状ロッド部25は、ロッキングに際してヘッドレスト4を背もたれ3に対して相対的に前傾させるためのものである。
【0024】
(2).座及び座受けシェル体
図3~6に示すように、座板15及び座受けシェル体18は、コーナーに丸みを持たせた略四角形の形態を成しており、座板15には、座受けシェル体18がすっぽり入り込む下向き開口の(上に凹んだ)凹所27が形成されている。従って、椅子を横から見ても、座受けシェル体18は視認し難い。
【0025】
凹所27は、座板15の前後スライドを許容するために、座受けシェル体18の前後幅よりもかなり長くなっている。凹所27の内部のうち着座者の体圧が最も強く作用する部位には、伸び変形させてクッション性・フィット性を高めるためにスリット28の群を形成している。なお、座板15及び座受けシェル体18は合成樹脂の成型品である。
【0026】
図5に示すように、座受けシェル体18における上面のうち左右両端寄り部位に、前後長手の下フロントレール29と下リアレール30とが形成されている一方、座板15における凹所27の左右両側部には、下フロントレール29に上からスライド自在に載る上フロントレール31と、下リアレール30に上からスライド自在に載る上リアレール32とが形成されている。
【0027】
下リアレール30は、下フロントレール29よりも短い長さであると共に、下フロントレール29よりも高くなっている。これら下レール29,30の高さの違いに対応して、上リアレール32は上フロントレール31よりも低くなっている。
【0028】
また、座受けシェル体18の略前半部の左右中間部に、左右両側に張り出した一対の水平片33を有する前後長手の抜け止め突条34が上向きに突設されている一方、座板15の下面には、抜け止め突条34の水平片33を抱持する鉤状の抱持体35が下向きに突設されており、これら抜け止め突条34と抱持体35とにより、座板15を上向き離脱不能に保持している。
【0029】
更に、座受けシェル体18の前端寄り部位に、正面視で外向き鉤状の抜け止め爪36を上向きに突設している一方、座板15における凹所27のうちスリット28の群よりも前側の部位に、抜け止め爪36が入り込む抜け決め長穴37を形成しており、これら抜け止め爪36と抜け決め長穴37とによっても、座板15は座受けシェル体18から上向き外れ不能に保持されている。
【0030】
また、座受けシェル体18の左右両側部には、図2に示したフロントリンク9の上端が入り込むフロント膨出部38と、リアリンク20の上端が入り込むリア膨出部39とが形成されている。また、座受けシェル体18は下向きに開口した浅いトレー状に形成されており、外周部は周壁40で構成されており、座板15の後部は、周壁40の後部に当接又は近接している。
【0031】
また、座受けシェル体18における前半部の上面と左右両側部の上面とに、互いに交叉した補強縦リブ41と補強横リブ42の群を形成している。更に、座板15における凹所27のうち抜け決め長穴37の箇所は、座受けシェル体18の補強横リブ42にスライド自在に載る前後長手の補助レール43になっている。
【0032】
なお、凹所27の前後長さは、座2の前後移動の最大ストロークよりも少し大きい寸法になっており、座2を前進させきった状態で座板15を座受けシェル体18に上から重ねることにより、抜け止め突条34と抱持体35との嵌め合わせと、抜け止め爪36と抜け決め長穴37との嵌め合わせを許容している。この状態では、レバー装置48のスライダ50は係合部55の群の前方に位置しており、スライダ50を後退させておくことにより、座2を後退させきった状態で座受けシェル体18に装着できる。そして、スライダ50を後退させたままで座板15を少し後退させて、スライダ50を係合部55のあるエリアに位置させると、座板15は前向き離脱不能に保持される。
【0033】
(3).レバー装置
図5及び図6に示すように、座板15の右側部に、座板2の前後位置を調節するためのレバー装置48を取り付けている。図6に示すように、レバー装置48は、座板15の凹所27に形成したランド部49に左右スライド自在に配置されたスライダ50と、スライダ50を前進方向に付勢するばね51と、ロック部54をばね51に抗して後退させる回動式の操作レバー52と、スライダ50及び操作レバー52を座板15に離脱しないように保持するカバー53とを備えている。
【0034】
ランド部49は、下フロントレール29と下リアレール30との間に形成されており、スライダ50が前後にずれないように保持するリブ49aを形成している。従って、ランド部49は溝状になっている。
【0035】
他方、座受けシェル体18における右側の下フロントレール29に、複数の外向きリブを断続的に設けることにより、スライダ50に設けたロック部54が嵌脱する複数の係合部55を前後方向に並べて形成している。従って、ロック部54が嵌合する係合部55の位置が変わることにより、座2の前後位置を複数段階に調節できる。
【0036】
また、スライダ50には左右長手の下向き膨出部57が形成されており、下向き膨出部57にロック部54を下向き突設していると共に、下向き膨出部57の内部にばね51を配置している。ばね51の左端はスライダ50に当接し、ばね51の右端は、ランド部49に設けたばね受け突起58に当接している。これにより、スライダ50は、ロック部54が係合部55に嵌まるように前進方向に付勢されている。また、スライダ50の後端(右端)には、ランド部49の後端(右端)に当たる下向きストッパー片59を設けており、これにより、スライダ50の前進位置を規定している。
【0037】
座板15の右側部には、ランド部49の右側方に位置して凹所27に連通した横向き凹部60が形成されており、この横向き凹部60に、操作レバー52の上向き基部52aが入り込んでいる。操作レバー52の上向き基部52aには、左右に開口した枠部61が形成されている一方、横向き凹部60には、枠部61に嵌入する係止片(図示せず)が形成されており、これにより、操作レバー52を前後長手の軸心回りに回動させ得るようになっている。カバー53は段部67に嵌っている。
【0038】
また、操作レバー52の上向き基部52aには、下向き鉤片62が形成されている一方、スライダ50の右端には、下向き鉤片62が係合する軸部63が形成されており、これら下向き鉤片62と軸部63との係合関係により、操作レバー52を上向きに引き回動するとスライダ50がばね51に抗して後退する。
【0039】
カバー53には、操作レバー52が入り込む逃がし穴64が形成されており、前後一対の係合片65が、座板15の横向き凹部60に形成された係合穴66に嵌合している。従って、カバー53は座板15に外れないように保持されている。また、スライダ50はカバー53によって下向きに落下しないように保持されている(スライダ50は、座受けシェル体18に支持されているため、落下不能に保持されている。従って、カバー53と座板15の側部と同一面状になっている。
【0040】
なお、図4,5に示すように、座板15の凹所27の左側部には、ランド部49と対称状のダミーランド部69を形成している。
【0041】
(4).表皮材・まとめ
図1,3~5において、表皮材17は部分的に網かけ表示しており、かつ、表皮材17の配置エリアは平行斜線で表示している(従って、平行斜線は断面の表示ではない)。そして、図3~5に明示するように、表皮材17の周縁部は、座板15の下方に巻き込まれてから凹所27に至っている。
【0042】
表皮材17の周縁は凹所27の内部で座板15に固定されているが、固定手段として、表皮材17の周縁を凹所27の底面まで延ばして、底面にタッカーや溶着によって固定できる。或いは、周縁部を接着で凹所27の内周面や底面に固定することも可能である。いずれにしても、表皮材17は凹所27に入り込んでいるため、座板15の素材色が外部に露出することはない。
【0043】
操作レバー52は露出させておかねばならないので、表皮材17には、操作レバー52を露出させるための逃がし部68(図3~5参照)が形成されている。逃がし部68は、図3,4では角穴状に形成して、図5ではコ字形の切り開き形成している。いずれにしても、内周縁をタッカーで座受けシェル体18の段部67に固定して、タッカーをカバー53で覆っている。従って、逃がし部68の内周部はカバー53と重なっている。
【0044】
以上の構成において、座受けシェル体18は、その全体が座板15の凹所27に入り込んでいて座板15の下方には突出していないため、例えば他の椅子に腰掛けた人が見ても、座受けシェル体18が視界に入ることは無い。そして、表皮材17は座板15を巻き込んで凹所27に至っているため、座板15も表皮材17によって包まれている。従って、椅子の座部がクッション体のみで形成されているかのような外観を呈して、座2の前後位置を調節できる椅子でありながら、シンプルなデザインになっている。これにより、商品価値を向上できると云える。
【0045】
他方、操作レバー52は表皮材17の外側に露出しているため、座2の前後位置を調節できる椅子であることは一目瞭然であり、座2の前後位置調節機能を認識し損なう問題は皆無である。従って、座2の前後位置調節できる機能を確実化しつつ、デザインをシンプル化することができる。
【0046】
特に、実施形態のように、座受けシェル体18が前後のリンク9,20を介してベース7で支持されていると、座2の下方に大きな空間が空くため、座受けシェル体18が座2の下方に露出していると、座受けシェル体18が視認されやすくなって美観の問題が発生しやすいが、本実施形態では、表皮材17は座板15の内部に隠れていて見えないため、座2の下方に大きな空間が空いていても、座受けシェル体18が露出することによる美観の悪化は生じない。
【0047】
実施形態のように、操作レバー52を出させるための逃がし部68の内周部をタッカー止めしつつカバー53で覆うと、表皮材17を張った状態に保持しつつ、美観を向上できる利点がある。
【0048】
本願発明は、他にも様々に具体化できる。例えば、座受けシェル体は必ずしもリンクで支持する必要はない(座受けシェル体ベースに直接取り付けることも可能である。)。また、座の前後スライド機構やレバー装置は、様々に具体化できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明は椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 脚装置
2 座
6 脚支柱
7 ベース
9 フロントリンク
15 座板
16 クッション体
17 表皮材
18 座受けシェル体
20 リアリンク
27 凹所
48 レバー装置
50 スライダ
52 操作レバー
55 係合部
60 横向き凹部
68 逃がし部
図1
図2
図3
図4
図5
図6