(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0583 20100101AFI20240305BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240305BHJP
H01M 50/409 20210101ALI20240305BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20240305BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240305BHJP
【FI】
H01M10/0583
H01M10/04 Z
H01M50/409
H01M50/463
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2019544260
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(86)【国際出願番号】 JP2018023510
(87)【国際公開番号】W WO2019064740
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2017190513
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】座間 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松丸 康浩
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 良太
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】小池 秀介
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103425(JP,A)
【文献】特開2016-143550(JP,A)
【文献】特開2016-173923(JP,A)
【文献】特開2015-8164(JP,A)
【文献】特開2008-282739(JP,A)
【文献】特開2002-198099(JP,A)
【文献】特開2004-22534(JP,A)
【文献】特開2016-76475(JP,A)
【文献】特開2004-22449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00-10/34
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扁平形状の正極と、
複数の扁平形状の負極と、
前記正極と前記負極との間に設けられた帯状のセパレータと、
積層された前記正極と前記負極と前記セパレータとを収容する外装材と、
前記セパレータの帯の始端又は終端を固定する粘着テープとを有し、
前記正極及び前記負極は、前記セパレータを間に介在させた状態で交互に積層され、
前記セパレータは、前記正極と前記負極との間に介在するようにつづら折りにされており、
前記セパレータのつづら折りの折り目部分は、前記折り目部分から前記負極の端部までが少なくとも予め定められた長さだけ離れるように、設けられており、
前記セパレータは、積層された前記正極及び前記負極のうち、積層方向の最上層に位置する電極の上面の少なくとも一部又は積層方向の最下層に位置する電極の下面の少なくとも一部を、前記セパレータの帯の始端側の部分又は終端側の部分により覆い、
積層方向の最外層に位置する電極を覆
う前記セパレータ
の全体が、前記粘着テープに覆われて
おり、積層方向の最外層に位置する電極を覆う前記セパレータは、前記セパレータの帯の始端側の部分又は終端側の部分である
二次電池。
【請求項2】
前記セパレータは、積層された前記正極及び前記負極である電極群の全周を、前記セパレータの帯の始端側の部分又は終端側の部分を前記電極群に巻き付けることにより覆う
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記セパレータは、つづら折りの折り目の方向の長さが、前記負極より長い
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記セパレータは、前記正極及び前記負極の短手方向に往復するように、つづら折りされている
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記セパレータは、第1の面と、前記第1の面の裏側の面でありセラミックにより覆われた第2の面を有し、
前記セパレータは、前記セパレータの帯の始端及び終端において、前記第1の面が外側に向いており、前記第2の面が内側に向いている
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記セパレータは、第1の面と、前記第1の面の裏側の面である第2の面を有し、
前記第2の面は、予め定められた粘着テープに対する粘着力が前記第1の面よりも低く、
前記セパレータは、前記セパレータの帯の始端及び終端において、前記第1の面が外側に向いており、前記第2の面が内側に向いている
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記セパレータは、積層された前記正極及び前記負極のうち、積層方向の最上層に位置する電極の上面の中央部分、又は、積層方向の最下層に位置する電極の下面の中央部分を、覆わない
請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関し、特に正極及び負極がセパレータを間に介在させた状態で交互に積層された二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池などの二次電池の需要が高まっている。二次電池の一種として、積層型の二次電池が知られている。この積層型の二次電池では、正極と負極がセパレータを間に介在させた状態で交互に積層されている。
【0003】
例えば、特許文献1~4は、帯状のセパレータを、つづら折りにして、正極と負極との間に挟んだ構成を開示している。特許文献1~4に記載された構成では、セパレータは、電極の端部で折り返されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-329530号公報
【文献】特開2007-305464号公報
【文献】特開2010-199281号公報
【文献】特開2014-67619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セパレータは、熱により収縮することがある。また、セパレータをつづら折りした場合、折り返しの復元力が働く。このようなことに起因して、セパレータの折り返し位置が電極の端部である場合には、次のような悪影響が発生することを発明者は見出した。すなわち、セパレータの収縮によりセパレータの折り目部分が電極を押すこととなり、電極の変形を招くとともに、折り目部分の復元力により積層体が積層方向に膨らんでしまう。
【0006】
特許文献1~4に記載された構成では、セパレータが電極の端部で折り返されているため、折り目部分に起因する上記悪影響が発生してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、つづら折りされたセパレータの折り目部分に起因する悪影響の発生を抑制することができる二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる二次電池は、複数の扁平形状の正極と、複数の扁平形状の負極と、前記正極と前記負極との間に設けられた帯状のセパレータとを有し、前記正極及び前記負極は、前記セパレータを間に介在させた状態で交互に積層され、前記セパレータは、前記正極と前記負極との間に介在するようにつづら折りにされており、前記セパレータのつづら折りの折り目部分は、前記折り目部分から前記負極の端部までが少なくとも予め定められた長さだけ離れるように、設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、つづら折りされたセパレータの折り目部分に起因する悪影響の発生を抑制することができる二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかる二次電池の概要を示す図である。
【
図2】実施の形態にかかる二次電池の主面を上方から見た平面図である。
【
図3】実施の形態にかかる二次電池の断面図である。
【
図4】実施の形態にかかる二次電池の積層体の上面を上方から見た平面図である。
【
図5】実施の形態の応用例1にかかる二次電池の断面図である。
【
図6】実施の形態の応用例2にかかる二次電池の断面図である。
【
図7】実施の形態の応用例2にかかる積層体の上面を上方から見た平面図である。
【
図8】実施の形態の応用例3にかかる積層体の上面を上方から見た平面図である。
【
図9】実施の形態の応用例3にかかる二次電池の断面図である。
【
図10】実施の形態の応用例3にかかる二次電池の断面図である。
【
図11】実施の形態の応用例4にかかる積層体の上面を上方から見た平面図である。
【
図12】実施の形態の応用例4にかかる二次電池の断面図である。
【
図13】実施の形態の応用例4にかかる二次電池の断面図である。
【
図14】実施の形態の応用例5にかかる積層体の上面を上方から見た平面図である。
【
図15】実施の形態の応用例5にかかる二次電池の断面図である。
【
図16】実施の形態の応用例5にかかる積層体の上面を上方から見た平面図である。
【
図17】実施の形態の応用例6にかかる積層体の上面を上方から見た平面図である。
【
図18】実施の形態の応用例6にかかる二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態の概要)
実施の形態の説明に先立って、本発明にかかる実施の形態の概要を説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる二次電池1の概要を示す図である。二次電池1は、複数の扁平形状の正極100と、複数の扁平形状の負極200と、正極100と負極200との間に設けられた帯状のセパレータ300とを有する。なお、
図1は、積層された正極100、負極200、及びセパレータ300の断面を示している。
【0012】
図1に示すように、正極100及び負極200は、セパレータ300を間に介在させた状態で交互に積層されている。また、セパレータ300は、正極100と負極200との間に介在するようにつづら折りにされている。ここで、セパレータ300のつづら折りの折り目部分は、折り目部分から正極100の端部まで及び折り目部分から負極200の端部までが少なくとも予め定められた長さLだけ離れるように、設けられている。
【0013】
なお、
図1に示した例では、正極100と負極200は、幅が同じであるが、一般的には負極200の幅が正極100の幅よりも長い構成となる。この場合、幅が長い電極(負極200)の端部からセパレータ300の折り目部分までの距離がLだけ離れることとなり、幅が短い電極(正極100)の端部からセパレータ300の折り目部分までの距離がL’(ただし、L’>L)だけ離れることとなる。また、
図1に示した例では、2枚の正極100と3枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数は一例であることは言うまでもない。
【0014】
セパレータ300は、使用環境の気温による熱、及び放電や充電に伴う発熱などにより、加熱される。このため、セパレータ300は、熱による収縮が発生することがある。このため、セパレータ300の折り目部分が電極の端部にある場合、すなわち、電極の幅に合わせて折り目が形成されている場合、セパレータ300の収縮によりセパレータ300の折り目部分が電極を押すこととなり、電極が変形してしまう。これに対し、二次電池1では、折り目部分が電極から少なくとも距離Lだけ離れている。このため、セパレータ300が収縮しても、距離Lだけの余裕があるため、セパレータ300の折り目部分による電極の圧迫が抑制される。
【0015】
また、帯状のセパレータ300を折り目部分で折り曲げているため、折り目部分の復元力が発生する。すなわち、折り重なったセパレータ300が積層方向(
図1の上下方向)の外側に広がるよう作用する力がセパレータ300に働く。このため、セパレータ300の折り目部分が電極の端部にある場合、折り目部分の復元力により、正極100、負極200、及びセパレータ300からなる積層体が積層方向に膨らんでしまう。これに対し、二次電池1では、折り目部分が電極から少なくとも距離Lだけ離れている。このため、正極100及び負極200にかかる復元力が低減し、積層体の積層方向の膨らみを抑制することができる。
【0016】
したがって、以上説明したとおり、二次電池1によれば、つづら折りされたセパレータ300の折り目部分に起因する悪影響の発生を抑制することができる。
【0017】
(実施の形態の詳細)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図2及び
図3は、実施の形態にかかる二次電池1の構成を示す模式図である。
図2は、二次電池1の主面(扁平な面)を上方から見た平面図である。また、
図3は、
図2におけるIII-III切断線による断面図である。ただし、
図3では、二次電池1の積層体10の断面を示し、外装材20の図示は省略している。また、
図3に示した例では、2枚の正極100と3枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数はこれに限られない。
【0018】
実施の形態では、二次電池1は、積層型のリチウムイオン二次電池である。二次電池1は、正極100と負極200とがセパレータ300を介して交互に積層された積層体10と、外装材20とを備えている。積層体10は電解液(図示せず)と共に、外装材20に収納されている。積層体10及び外装材20の上面から見た形状は、実施の形態では、
図2に示されるように長辺及び短辺を有する略矩形である。
【0019】
また、正極群100には正極端子101の一端が接続され、負極群200には負極端子201の一端が接続されている。正極端子101の他端側および負極端子201の他端側は、
図2に示すようにそれぞれが外装材20の外部に引き出されている。詳細には、正極端子101及び負極端子201は、いずれも外装材20の同一の短辺から外側に突出している。正極端子101として、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金を用いることができる。また、負極端子201として、例えば、銅や銅合金あるいはそれらにニッケルメッキを施したものなどを用いることができる。
【0020】
外装材20は、積層された正極100と負極200とセパレータ300、すなわち積層体10を収容する。外装材20は例えばラミネートシートであるが、缶ケースであってもよい。外装材20は、基材となる金属層の表裏面に樹脂層が設けられている。金属層には、例えば、アルミニウムなどの金属箔が用いられる。外装材20の内側、すなわち積層体10側の面には、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂層が設けられている。この外装材20の内側の樹脂層は、外装材20の金属層と積層体10の電極とを電気的に絶縁する。また、外装材20の外側には、例えば、ナイロンなどの樹脂層が設けられている。なお、外装材20の金属層及び樹脂層の上述の素材は、一例であり、他の素材が用いられてもよい。
【0021】
次に、積層体10の詳細について、
図3を参照しつつ説明する。なお、
図3は、積層体10について模式的に示しているため、
図3に示される正極100、負極200、及びセパレータ300の厚さ(すなわち、積層方向(
図3の上下方向)の長さ)は、これらの実際の厚さについての関係を示すものではない。
【0022】
上述の通り、積層体10は、電解液とともに、外装材20内に収容される。なお、実施の形態では、この電解液は、非水電解液である。電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類や、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類や、脂肪族カルボン酸エステル類や、γ-ブチロラクトン等のγ-ラクトン類や、鎖状エーテル類、環状エーテル類、などの有機溶媒のうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができる。さらに、これらの有機溶媒にリチウム塩を溶解させることができる。
【0023】
積層体10は、正極群100と負極群200と帯状の1つのセパレータ300とを有する。正極100及び負極200は、それぞれ略矩形の扁平形状をしており、セパレータ300を間に介在させた状態で交互に繰り返し積層されている。
【0024】
シート状の複数の正極100のそれぞれは、正極用の活物質(正極活物質)の層が両面に形成された正極用の集電体(正極集電体)により構成されている。また、シート状の複数の負極200のそれぞれは、負極用の活物質(負極活物質)の層が両面に形成された負極用の集電体(負極集電体)により構成されている。なお、正極100及び負極200は、矩形形状から突出したリード部を備えており、このリード部が正極端子101又は負極端子201と接続する。なお、このリード部には、活物質が形成されていない。
【0025】
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等を用いることができる。負極集電体としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金を用いることができる。
【0026】
正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiNi(1-x)CoO2、LiNix(CoAl)(1-x)O2、Li2MO3-LiMO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2などの層状酸化物系材料や、LiMn2O4、LiMn1.5Ni0.5O4、LiMn(2-x)MxO4などのスピネル系材料、LiMPO4などのオリビン系材料、Li2MPO4F、Li2MSiO4Fなどのフッ化オリビン系材料、V2O5などの酸化バナジウム系材料などが挙げられ、これらのうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができる。
【0027】
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどの炭素材料や、リチウム金属材料、シリコンやスズなどの合金系材料、Nb2O5やTiO2などの酸化物系材料、あるいはこれらの複合物を用いることができる。
【0028】
なお、実施の形態では、積層ずれによる負極200の表面や端面へのLi析出を抑制するため、負極200は正極100よりも面が広い。すなわち、
図3に示すように、負極200は正極100よりも幅が、両端においてそれぞれLdだけ長い。
【0029】
正極100と負極200との間には、帯状のセパレータ300が設けられている。したがって、正極100と負極200は、セパレータ300を挟むようにして積層されている。なお、帯状のセパレータ300の長手方向の両端のうち一端については始端と称されることがあり、その場合に、セパレータ300の長手方向の両端のうち他端については終端と称されることがある。また、帯状のセパレータ300の長手方向の両端のうち一端については終端と称されてもよく、その場合には、セパレータ300の長手方向の両端のうち他端については始端と称されることがある。
【0030】
セパレータ300は主に樹脂製の多孔膜、織布、又は不織布等により形成されている。セパレータ300に用いられる樹脂材料として、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、またはナイロン樹脂等を用いることができる。また、実施の形態では、セパレータ300の一方の面は、TiO2やAl2O3などの絶縁性のセラミックを含む層が形成されている。セパレータ300は、正極100と負極200との間のイオン伝導性を確保しつつ、正極100と負極200とを分離している。実施の形態では、上述の通り、セパレータ300の一方の面がセラミックに覆われているため、二次電池1の異常な発熱などによりセパレータ300の樹脂層が溶けたとしても、セラミック層により正極100と負極200との短絡を抑制することができる。
【0031】
セパレータ300は、
図3に示すように、正極100と負極200との間に介在するようにつづら折りにされている。つまり、セパレータ300は、正極100と負極200との間を縫うように、ジグザグに折れ曲がって配置されている。実施の形態では、より詳細には、積層体10の電極群の最下層に位置する電極(
図3に示した例では最下層に位置する負極200)の下面において、帯状のセパレータ300の始端が粘着テープ401により、この下面に固定されている。そして、セパレータ300は、最下層から順に、上位の層に向けて、つづら折りになっている。このようにして、積層体10の各層の電極の上面及び下面が覆われている。
【0032】
また、セパレータ300の終端側の部分は、積層体10の第1の側面、積層体10の下面、積層体10の第2の側面、及び、積層体10の上面を覆う。なお、第1の側面とは、セパレータ300の一方の折り目部分側の側面であり、
図3における左側の側面である。より詳細には、第1の側面とは、最上層から数えて偶数番目に位置する電極(
図3に示した例では上から2番目、4番目の電極である正極100)の上面及び下面を覆うための折り目が存在する側面である。また、第2の側面とは、セパレータ300の他方の折り目部分側の側面であり、
図3における右側の側面である。より詳細には、第2の側面とは、最上層から数えて奇数番目に位置する電極(
図3に示した例では上から1番目、3番目、5番目の電極である負極200)の上面及び下面を覆うための折り目が存在する側面である。つまり、
図3に示すように、セパレータ300を始端側から終端側へと順に見た場合に、セパレータ300は、つづら折りにより各電極を覆った後、積層体10(電極群)の第1の側面、積層体10(電極群)の下面、積層体10(電極群)の第2の側面、積層体10(電極群)の上面の順に、積層体(電極群)を覆う。また、セパレータ300の終端が粘着テープ402により、積層体10の上面でセパレータ300に固定されている。このように、実施の形態では、セパレータ300は、積層された正極100及び負極200である電極群の全周を、セパレータ300の帯の終端側の部分を電極群に巻き付けることにより覆っている。
【0033】
ここで、セパレータ300の帯の始端及び終端において、セラミックに覆われていない面(すなわち、表面が樹脂である面)が積層体10の外側に向いており、セラミックに覆われている面が積層体10の内側に向いている。セラミックに覆われた面は、所定の粘着テープ401、402に対する粘着力が、セラミックに覆われていない面よりも低い。実施の形態では、セラミックに覆われていない面が積層体10の外側に向いているため、セパレータ300の端部の外側の面に粘着テープ401、402を貼り付けてセパレータ300の端部を固定する場合に、より確実に固定することができる。
【0034】
なお、粘着テープ401、402としては、任意の素材のテープを用いることができるが、絶縁性及び電解液に対する耐性を備えた素材が好ましい。例えば、粘着テープ401、402として、ポリプロピレンなどの樹脂製のテープを用いることができる。
【0035】
また、セパレータ300のつづら折りの第1の側面側の折り目部分は、折り目部分から負極200の端部までが予め定められた長さL1だけ離れるように設けられている。言い換えると、セパレータ300の第1の側面側の折り目部分は、負極200の端部から予め定められた長さL1だけ離されている。すなわち、セパレータ300のつづら折りの第1の側面側の折り目部分は、折り目部分から正極100の端部までがL1+Ldだけ離れるように設けられている。
【0036】
同様に、セパレータ300のつづら折りの第2の側面側の折り目部分は、折り目部分から負極200の端部までが予め定められた長さL2だけ離れるように設けられている。言い換えると、セパレータ300の第2の側面側の折り目部分は、負極200の端部から予め定められた長さL2だけ離されている。すなわち、セパレータ300のつづら折りの第2の側面側の折り目部分は、折り目部分から正極100の端部までがL2+Ldだけ離れるように設けられている。
【0037】
なお、長さL1とL2は同じであってもよいし、異なっていてもよい。このように、セパレータ300のつづら折りの折り目部分は、折り目部分から電極の端部までが少なくとも予め定められた長さ(L1又はL2)だけ離れるように、設けられている。
【0038】
図4は、積層体10の上面を上方から見た模式的な平面図である。なお、
図4においては、図を見やすくするために、正極100については図示を省略している。帯状のセパレータ300は、正極100及び負極200の短手方向(
図4における上下方向)に往復するように、つづら折りされている。そして、帯状のセパレータ300は、折り畳まれた状態において、電極と同様、矩形となっている。また、セパレータ300は、折り畳まれた状態において、電極の長辺と略同じ長さの長辺と、電極の短辺と略同じ長さの短辺とを有する。ただし、より詳細には、上述の通り、折り畳まれた状態のセパレータ300の短辺の長さは、負極200の短辺の長さ、すなわち負極200の幅よりも、予め定められた長さ(=L1+L2)だけ長い。
【0039】
また、実施の形態では、
図4に示されるように、セパレータ300は、つづら折りの折り目の方向(すなわち、
図4における左右方向であり、折り畳まれた状態のセパレータ300の長手方向)の長さが、正極100及び負極200の当該方向の長さより長い。詳細には、セパレータ300の折り目の方向の一端側(
図4において、セパレータ300の左端側)は、負極200よりも予め定められた長さL3だけ長い。また、セパレータ300の折り目の方向の他端側(
図4において、セパレータ300の右端側)は、負極200よりも予め定められた長さL4だけ長い。なお、正極100の当該方向の長さは、負極200の当該方向の長さよりも短い。長さL3とL4は同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、セパレータ300は、つづら折りの折り目の方向の長さが、負極200よりも長いことが好ましいが、負極200と同じ長さであってもよい。また、折り目の方向の両端のうち片方だけにおいて、セパレータ300が負極200より長くてもよい。
【0040】
以上、二次電池1の構成について説明した。上述の通り、セパレータ300のつづら折りの折り目部分と、負極200の端部とは、予め定められた長さ(L1又はL2)だけ離れている。このため、セパレータ300の収縮による電極の圧迫、又は電極群にかかる復元力といった、折り目部分に起因する悪影響の発生を抑制することができる。特に、実施の形態では、セパレータ300の折り目付近の部分は、積層方向に接合されない状態で、外装材20に封入されている。すなわち、セパレータ300の往復方向(すなわち、つづら折りの方向)の外側へ、負極200から突出したセパレータ300の部分は、積層方向に接合されない状態で、外装材20に封入されている。このため、積層方向に接合することによる復元力の抑制は期待できない。これに対し、実施の形態では、折り目部分と、電極の端部とを離すことにより、復元力による影響を低減させている。
【0041】
また、上述の通り、セパレータ300は、積層された電極群の全周を覆っている。このため、以下に説明するような効果を奏する。上述の通り、外装材20には樹脂層が設けられており、外装材20の金属層と積層体10の電極とは電気的に絶縁されている。しかしながら、例えば、二次電池1の製造段階等において金属粉が混入した場合、この金属粉が外装材20の樹脂層に突き刺さり、この金属粉を介して、電極と外装材20の金属層とが短絡する恐れがある。また、さらに、正極100及び負極200の製造過程において、集電体を所定の形状に裁断する際、バリが発生することが考えられる。このバリが、外装材20の樹脂層に突き刺さり、電極と外装材20の金属層とが短絡する恐れもある。これに対し、実施の形態では、セパレータ300により電極群が覆われている。すなわち、外装材20と電極群との間にセパレータ300が存在する。このため、金属粉及びバリによる、外装材20と電極との短絡を抑制することができる。
【0042】
また、実施の形態のように電極の形状が矩形である場合、矩形の角部が、外装材20の樹脂層に突き刺さり、電極と外装材20の金属層とが短絡する恐れもある。しかしながら、実施の形態では、上述の通り、セパレータ300は、つづら折りの折り目の方向の長さが、正極100及び負極200の当該方向の長さより長い。このため、正極100及び負極200の角部が、外装材20の樹脂層に突き刺さることが抑制される。
【0043】
ところで、セパレータ300が長ければ長いほど、収縮による影響が大きくなる。すなわち、セパレータ300の一方の折り目部分から他方の折り目部分までの長さをXとして、ある温度環境下において、長さXのセパレータが、長さXdだけ縮むとする。この場合、Xが大きいほど、Xdも大きくなる。実施の形態では、上述の通り、セパレータ300は、電極群の短手方向に往復するように、つづら折りされている。したがって、電極群の長手方向に往復するように、つづら折りする場合に比べ、収縮による影響を小さくすることができる。すなわち、折り目部分と電極端部との距離(つまり、L1又はL2)をより短くすることができる。したがって、帯状のセパレータ300の全長を短くすることができ、セパレータ300のコストを抑制することができる。
【0044】
また、上述の通り、実施の形態では、セパレータ300は、第1の面と、この第1の面の裏側の面である第2の面を有している。そして、第2の面はセラミックにより覆われており、そのため、予め定められた粘着テープ401、402に対する粘着力が第1の面よりも低い。そして、セパレータ300は、セパレータ300の帯の始端及び終端において、第1の面が外側に向いており、第2の面が内側に向いている。このため、セパレータ300の端部を粘着テープ401、402により確実に固定することができる。
【0045】
次に、上記実施の形態の応用例について説明する。なお、以下の説明では、上記実施の形態と同様の構成については説明を省略し、応用例として、上記実施の形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0046】
(応用例1)
つづら折りされたセパレータ300を用いて電極群の全周を覆う際のセパレータ300の巻き方として、任意の巻き方を採用することができる。
図5は、実施の形態の応用例1にかかる二次電池1の断面図である。ただし、
図5では、
図3と同様、二次電池1の積層体10の断面を示し、外装材20の図示は省略している。また、
図5に示した例では、2枚の正極100と3枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数はこれに限られない。
【0047】
応用例1では、積層体10の電極群の最下層に位置する電極(
図5に示した例では最下層に位置する負極200)の下面において、帯状のセパレータ300の始端が粘着テープ401により、この下面に固定されている。そして、セパレータ300は、最下層から順に、上位の層に向けて、つづら折りになっている。ただし、
図5に示した例では、
図3に示した例とは異なり、最上層の電極(
図5に示した例では最上層に位置する負極200)を覆うためのつづら折りはされていない。すなわち、
図5に示した例では、セパレータ300は、最下層の電極から順に、最上層から数えて2番目に位置する電極までをつづら折りにより覆っている。
【0048】
そして、セパレータ300の終端側の部分は、積層体10の第1の側面、積層体10の下面、積層体10の第2の側面、及び、積層体10の上面を覆う。なお、ここで言う第1の側面とは、セパレータ300の一方の折り目部分側の側面であり、
図5における右側の側面である。より詳細には、ここで言う第1の側面とは、最下層から数えて奇数番目に位置する電極(
図5に示した例では下から1番目、3番目の電極である負極200)の上面及び下面を覆うための折り目が存在する側面である。また、ここで言う第2の側面とは、セパレータ300の他方の折り目部分側の側面であり、
図5における左側の側面である。より詳細には、ここで言う第2の側面とは、最下層から数えて偶数番目に位置する電極(
図5に示した例では下から2番目、4番目の電極である正極100)の上面及び下面を覆うための折り目が存在する側面である。つまり、
図5に示すように、セパレータ300を始端側から終端側へと順に見た場合に、セパレータ300は、つづら折りにより各電極(ただし、最上層に位置する電極の上面を除く)を覆った後、積層体10(電極群)の第1の側面、積層体10(電極群)の下面、積層体10(電極群)の第2の側面、積層体10(電極群)の上面、積層体10(電極群)の第1の側面、積層体10(電極群)の下面の順に、積層体(電極群)を覆う。また、セパレータ300の終端が粘着テープ402により、積層体10の下面においてセパレータ300に固定されている。なお、
図5に示した例では、セパレータ300の終端は、積層体10の下面まで巻かれているが、積層体10の第1の側面までにとどめてもよい。
【0049】
このように、セパレータ300により電極群の全周を覆う巻き方としては、種々の巻き方が可能である。
【0050】
(応用例2)
上述した実施の形態及びその応用例では、セパレータ300により電極群の全周を覆ったが、セパレータ300は、電極群の外周の一部のみを覆ってもよい。外装材20と電極とが短絡することを抑制するためには、電極群の外周全体を覆うことが好ましいが、製造の容易性等の観点から、必ずしも電極群の外周全体がセパレータ300に覆われなくてもよい。
【0051】
図6は、実施の形態の応用例2にかかる二次電池1の断面図である。ただし、
図6では、
図3と同様、二次電池1の積層体10の断面を示し、外装材20の図示は省略している。また、
図6に示した例では、2枚の正極100と3枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数はこれに限られない。
【0052】
応用例2では、積層体10の電極群の最下層に位置する電極(
図6に示した例では最下層に位置する負極200)の下面において、帯状のセパレータ300の始端が粘着テープ401により、この下面に固定されている。なお、
図6に示した例では、セパレータ300の始端は、最下層に位置する電極の幅方向の途中部分に粘着テープ401により固定されている。すなわち、セパレータ300の帯の始端側の部分は、積層された正極100及び負極200のうち積層方向の最下層に位置する電極の下面の一部を、覆っている。
【0053】
そして、セパレータ300は、最下層から順に、上位の層に向けて、つづら折りになっている。ここで、応用例2では、上述した実施の形態及びその応用例1とは異なり、セパレータ300の終端側の部分は、積層体10に巻き付けられていない。すなわち、応用例2では、
図6に示すように、セパレータ300の終端は、最上層に位置する電極(
図6に示した例では最上層に位置する負極200)の上面に、粘着テープ402により固定されている。より詳細には、セパレータ300の終端は、最上層に位置する電極の幅方向の途中部分に固定されている。すなわち、セパレータ300の帯の終端側の部分は、積層された正極100及び負極200のうち積層方向の最上層に位置する電極の上面の一部を、覆っている。なお、応用例2においても、セパレータ300の帯の始端及び終端において、セラミックに覆われていない面が積層体10の外側に向いており、セラミックに覆われている面が積層体10の内側に向いている。
【0054】
応用例2では、このように、最上層の電極の上面の一部及び最下層の電極の下面の一部がセパレータ300により覆われている。そして、セパレータ300に覆われた面は、外装材20の金属層との短絡が抑制される。このため、最上層の電極の上面の全体及び最下層の電極の下面の全体がセパレータ300に覆われていない場合に比較して、外装材20と電極との短絡を抑制することができる。
【0055】
なお、
図6に示した例では、最上層の電極の上面の一部及び最下層の電極の下面の一部がセパレータ300により覆われているが、最上層の電極の上面の一部がセパレータ300に覆われ、最下層の電極の下面がセパレータ300に覆われていなくてもよい。同様に、最上層の電極の上面がセパレータ300に覆われず、最下層の電極の下面の一部がセパレータ300に覆われていてもよい。また、最上層の電極の上面の全部が覆われていてもよく、最下層の電極の下面の全部が覆われていてもよい。
【0056】
(応用例3)
発明者等は、電極、電解液、及びセパレータの材料の組み合わせによっては、最上層の電極の上面又は最下層の電極の下面を覆うセパレータ300にダメージが生じるという事象が発生する場合があることを見出した。ここで、セパレータ300のダメージについて図を参照して説明する。
【0057】
図7は、
図6に示した応用例2にかかる積層体10の上面を上方から見た模式的な平面図である。上述の通り、応用例2では、セパレータ300は、最上層の負極200の一部を覆っており、粘着テープ402により固定されている。なお、
図7に示す四方の粘着テープ410は、積層体10がばらけるのを防ぐために、積層方向に積層体10を覆う粘着テープである。ここで、
図7において、セパレータ300の領域Rが、上述のダメージの発生範囲を模式的に示している。すなわち、最外層に位置する電極の中央部分を覆うセパレータ300の領域においてダメージが発生することを発明者等は発見した。なお、
図7では、最上層に位置するセパレータ300のダメージ範囲について示しているが、最下層に位置するセパレータ300のダメージ範囲についても、同様に電極の中央部分を覆うセパレータ300の領域においてダメージが発生する。
【0058】
このようなダメージの発生を防ぐために、応用例3では、セパレータ300を粘着テープ411で保護する構成を示す。
図8は、実施の形態の応用例3にかかる積層体10の上面を上方から見た模式的な平面図である。また、
図9は、実施の形態の応用例3にかかる二次電池1の断面図である。具体的には、
図9は、
図8におけるIX-IX切断線による断面図である。
ただし、
図8及び
図9では、外装材20の図示は省略している。また、
図9に示した例では、3枚の正極100と4枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数はこれに限られない。
【0059】
図8及び
図9に示すように、応用例3にかかる積層体10は、セパレータ300の帯の端部(すなわち、始端又は終端)を固定する粘着テープ411を有している。そして、積層方向の最外層に位置する電極の外側面を覆うセパレータ300の帯の端部側(すなわち、始端側又は終端側)の部分の全体が、粘着テープ411に覆われている。発明者等は、粘着テープ411に覆われている場合、ダメージの発生が抑制されることを見出した。これは、最外層に位置するセパレータ300が粘着テープ411により保護されるためと考えられる。
【0060】
また、
図8及び
図9に示すように、応用例3にかかる積層体10では、最外層に位置する電極の一方(具体的には最下層の負極200)は、外側面がセパレータ300に覆われていない。このため、最下層側においては、上述のダメージが発生しない。
【0061】
なお、
図8及び
図9に示した応用例3にかかる積層体10は具体的には次のような構成となっている。応用例3では、積層体10の電極群の最上層に位置する電極(
図9に示した例では最上層に位置する負極200)の上面において、帯状のセパレータ300の始端が粘着テープ411により、この上面に固定されている。そして、セパレータ300は、最上層から順に、下位の層に向けて、つづら折りになっている。ただし、
図7に示した例では、最下層の電極(
図9に示した例では最下層に位置する負極200)を覆うためのつづら折りはされていない。すなわち、
図9に示した例では、セパレータ300は、最上層の電極から順に、最下層から数えて2番目に位置する電極までをつづら折りにより覆っている。
【0062】
そして、セパレータ300の終端側の部分は、積層体10の側面と積層体10の上面の一部を覆う。なお、ここで言う側面とは、セパレータ300の一方の折り目部分側の側面であり、
図9における右側の側面である。つまり、
図9に示すように、セパレータ300を始端側から終端側へと順に見た場合に、セパレータ300は、つづら折りにより各電極(ただし、最下層に位置する電極の下面を除く)を覆った後、積層体10(電極群)の側面、積層体10(電極群)の上面の順に、積層体(電極群)を覆う。また、セパレータ300の終端は、セパレータ300の始端を固定するテープと同じ粘着テープ411により、積層体10の上面においてセパレータ300に固定されている。なお、
図9に示した例では、セパレータ300の終端は、積層体10の上面まで巻かれているが、
図10に示すように、積層体10の側面までにとどめてもよい。なお、
図10に示した構成では、粘着テープ411は、セパレータ300における、最上層に位置する電極の外側面を覆う始端と、側面を覆う終端の両方を固定している。
【0063】
また、
図9及び
図10に示した構成では、最外層に位置する2つの電極のうちの一方(具体的には最下層の負極200)の外側面がセパレータ300に覆われていないが、この外側面がセパレータ300に覆われていてもよい。
【0064】
(応用例4)
セパレータ300のダメージを防ぐために、最上層の電極の上面及び最下層の電極の下面の両方をセパレータ300で覆わないように積層体10を構成してもよい。
図11は、実施の形態の応用例4にかかる積層体10の上面を上方から見た模式的な平面図である。また、
図12は、実施の形態の応用例4にかかる二次電池1の断面図である。具体的には、
図12は、
図11におけるXII-XII切断線による断面図である。ただし、
図11及び
図12では、外装材20の図示は省略している。また、
図12に示した例では、3枚の正極100と4枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数はこれに限られない。
【0065】
図11及び
図12に示すように、応用例4では、最外層の電極の外側の面(具体的には、最上層の負極200の上面と最下層の負極200の下面)がセパレータ300に覆われていない。このため、上述のセパレータ300のダメージが発生しない。
【0066】
なお、
図11及び
図12に示した応用例4にかかる積層体10は具体的には次のような構成となっている。応用例4では、セパレータ300は、積層体10の電極群の最上層から数えて2番目に位置する電極(
図12に示した例では上から2番目の電極である正極100)の上面から、積層体10の電極群の最下層から数えて2番目に位置する電極(
図12に示した例では下から2番目の電極である正極100)の下面までを、つづら折りにより覆っている。また、積層体10がばらけるのを防ぐために、積層体10は、積層方向に積層体10を覆う粘着テープ410により、四方が固定されている。
【0067】
なお、
図12に示す例では、セパレータ300の両端部は、いずれもセパレータ300の折り目部分に位置しているが、
図13に示すように、積層体10の側面に延在していてもよい。すなわち、セパレータ300の端部が、積層体10の側面を覆ってもよい。なお、ここで言う側面とは、セパレータ300の一方の折り目部分側の側面であり、
図13における右側の側面である。
【0068】
(応用例5)
上述の応用例4では、セパレータ300が、積層方向の最上層に位置する電極の上面の全体、及び積層方向の最下層に位置する電極の下面の全体を、覆わない構成例を示した。しかしながら、上述の通り、セパレータ300のダメージは、電極の中央部分で発生する。したがって、最外層の電極の外側面の中央部分以外の領域をセパレータ300が覆ってもよい。すなわち、セパレータ300が、積層された正極100及び負極200のうち、積層方向の最上層に位置する電極の上面の中央部分、又は、積層方向の最下層に位置する電極の下面の中央部分を、覆わないよう積層体10が構成されてもよい。応用例5では、最外層の電極の中央部分以外の領域が覆われた積層体10の構成例について示す。
【0069】
図14は、実施の形態の応用例5にかかる積層体10の上面を上方から見た模式的な平面図である。また、
図15は、実施の形態の応用例5にかかる二次電池1の断面図である。具体的には、
図15は、
図14におけるXV-XV切断線による断面図である。ただし、
図14及び
図15では、外装材20の図示は省略している。また、
図15に示した例では、3枚の正極100と4枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数はこれに限られない。
【0070】
図15に示されるように、応用例5は、セパレータ300の両端部が最外層の電極の外側面に折り返されている点で、
図12に示した構成と異なっている。最外層の電極の外側面に折り返されたセパレータ300は、最外層の電極の外側面の一部を覆う。すなわち、セパレータ300は、電極の縁部分を覆うに過ぎず、電極の中央部分は覆わない。
【0071】
なお、最外層の電極の外側面に折り返されたセパレータ300の端部は、積層方向に積層体10を覆う粘着テープ413により最外層の電極の外側面に固定される。このため、
図14に示されるように、積層体10は、最外層の電極の外側面へのセパレータ300への折り返しが行われる側面を除く三方が粘着テープ410により固定されるとともに、当該側面が粘着テープ413により固定される。
【0072】
なお、
図14に示した構成では、積層方向に積層体10を覆う3つの粘着テープ413により、セパレータ300の折り返しを電極の外側面に固定しているが、例えば、
図16に示すようにして、セパレータ300の折り返しを電極の外側面に固定してもよい。
図16に示した構成では、セパレータ300の端部を全体的に電極の外側面に固定する粘着テープ414が設けられている。
図16に示す構成では、応用例3と同様、積層方向の最外層に位置する電極の外側面を覆うセパレータ300の帯の端部側の部分の全体が、粘着テープ414に覆われている。このため、最外層に位置するセパレータ300が粘着テープ414により保護される。
【0073】
(応用例6)
応用例5では、セパレータ300の両端部が最外層の電極の外側面に折り返された構成を示したが、セパレータ300の一方の端部のみが最外層の電極の外側面に折り返されてもよい。
図17は、実施の形態の応用例6にかかる積層体10の上面を上方から見た模式的な平面図である。また、
図18は、実施の形態の応用例6にかかる二次電池1の断面図である。具体的には、
図18は、
図17におけるXVIII-XVIII切断線による断面図である。ただし、
図17及び
図18では、外装材20の図示は省略している。また、
図18に示した例では、3枚の正極100と4枚の負極200が積層されているが、正極100及び負極200の枚数はこれに限られない。
【0074】
図18に示すように、応用例6にかかる積層体10では、セパレータ300の一方の端部が、最外層の電極の外側面に折り返されている。すなわち、セパレータ300の一方の端部が、最上層に位置する電極の外側面の一部を覆っている。セパレータ300の他方の端部が、積層体10の側面に延在している。すなわち、セパレータ300の他方の端部は、積層体10の側面の一部を覆っている。なお、ここで言う側面とは、セパレータ300の一方の折り目部分側の側面であり、
図18における右側の側面である。また、粘着テープ415が、セパレータ300における、最上層に位置する電極の外側面を覆う始端と、側面を覆う終端の両方を固定している。なお、粘着テープ415は、積層方向の最外層に位置する一方の電極の外側面を覆うセパレータ300の帯の端部側の部分の全体を覆っている。このため、最外層に位置するセパレータ300が粘着テープ411により保護される。さらに、
図18に示すように、応用例6にかかる積層体10では、最外層に位置する他方の電極(
図18における最下層の負極200)の外側面がセパレータ300に覆われていない。このため、最下層側においては、上述のダメージが発生しない
【0075】
以上、応用例3から応用例6において、セパレータのダメージを抑制するための構成として、最外層のセパレータの全体を粘着テープにより覆う構成、最外層の電極の外面をセパレータで覆わない構成、最外層の電極の中央部分以外の領域をセパレータで覆う構成について述べた。積層体の最上層と最下層の両方で、これらの構成のうち同じ構成を採用してもよいし、
図9及び
図10に示したように異なる構成を採用してもよい。また、これらの構成のいずれかを実施の形態又は応用例1又は応用例2の構成と組み合わせてもよい。
【0076】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、二次電池1は、リチウムイオン二次電池を例に説明したが、本発明は、他の種類の二次電池に適用されてもよい。また、上記の実施の形態及びその応用例では、積層方向の最外層の電極は負極200であったが、正極100が最外層の電極となってもよい。
【0077】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0078】
この出願は、2017年9月29日に出願された日本出願特願2017-190513を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0079】
1 二次電池
10 積層体
20 外装材
100 正極
101 正極端子
200 負極
201 負極端子
300 セパレータ
401、402、410、411、413、414、415 粘着テープ