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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/215 20160101AFI20240305BHJP
   H02K 5/18 20060101ALI20240305BHJP
   H02K 5/10 20060101ALI20240305BHJP
   H02K 9/02 20060101ALI20240305BHJP
   H02K 9/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K5/18
H02K5/10 Z
H02K9/02 Z
H02K9/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020017685
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021125960
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀太
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-022055(JP,U)
【文献】特開平11-243658(JP,A)
【文献】特開2002-095217(JP,A)
【文献】実開昭63-179764(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00- 11/40
H02K 5/18
H02K 5/10
H02K 9/02
H02K 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータの内周側に配置されるロータと、
前記ロータに接続されるシャフトと、
軸受を介して前記シャフトを回転可能に支持するエンドブラケットと、
前記シャフトの一端側に配置され、前記シャフトを覆うカバーと、
前記カバー内において、前記エンドブラケットに固定して設けられ、前記シャフトの回転を検出する回転検出器と、
前記カバー内において、前記シャフトの、前記シャフトの回転力を外部に伝達する出力側の反対側である非出力側に設けられ、前記シャフトと一体的に回転可能なギアと、
前記カバー内に設けられ、前記シャフトの前記非出力側における一端部に接続され前記シャフトと一体的に回転する平板状の放熱部材と、
を備え、
前記ギアは、磁性材料からなり、前記シャフトの外周に沿って配置される複数の歯部を有し、
前記シャフトの回転によって、前記回転検出器は、前記ギアの複数の前記歯部と順次対向し、
前記カバーは、前記シャフトの周方向を覆う側壁部と、前記シャフトの一端側を覆う底壁部とを有し、
前記放熱部材と前記底壁部との間には隙間が形成されている、電動機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機であって、
前記底壁部の内面は、凹凸形状を有し、
前記放熱部材のうち、前記底壁部の内面と対向する面は、凹凸形状を有する、電動機。
【請求項3】
請求項1に記載の電動機であって、
前記底壁部の内面には、前記シャフトの中心軸を中心として同心円状に形成された複数の突出部が設けられ、
前記放熱部材のうち、前記底壁部の内面と対向する面には、前記複数の突出部に対応して前記シャフトの前記中心軸を中心として同心円状に形成される複数の凹部が設けられている、電動機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動機であって、
前記カバーを冷却するファンをさらに備える、電動機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電動機であって、
前記隙間が、0.005~5mmである、電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等、種々の機械に電動機が用いられる。電動機は、その回転状態を検出するセンサを備えることがある。このセンサは、電動機からの発熱および外部からの異物の双方から保護されることが望ましい。センサは、コイルなどのモータの他部材と比べて耐熱温度が低く、これがネックとなって電動機の出力を上げられないおそれがある。また、センサは外部からの異物(粉塵や切削液の飛沫)によって劣化するおそれもある。
【0003】
しかしながら、センサを電動機からの発熱および外部からの異物の双方から適切に保護することは容易でない。例えば、カバーによって、センサを外部からの異物浸入から保護すると、カバー内に熱が籠りやすくなる。また、放熱板を付加してセンサの温度低下を図ると、外部から異物が浸入しやすくなる。特許文献1では、ロータ2で発生した熱を放熱するための放熱円盤9を冷却ファン6によって外気で強制的に冷却する。しかし、放熱円盤9をカバー30よりも外側に配置するため、放熱円盤9とカバー30間に隙間が必要となり、異物が浸入し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-101549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、内部での発熱および外部からの異物の双方からセンサの保護を図った電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る電動機は、ステータと、前記ステータの内周側に配置されるロータと、前記ロータに接続されるシャフトと、前記シャフトの一端側に配置され、前記シャフトを覆うカバーと、前記カバー内に設けられ、前記シャフトの回転を検出する回転検出器と、前記カバー内に設けられ、前記シャフトの一端部に接続され前記シャフトと一体的に回転する平板状の放熱部材と、を備える。前記カバーは、前記シャフトの周方向を覆う側壁部と、前記シャフトの一端側を覆う底壁部とを有する。前記放熱部材と前記底壁部との間には隙間が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内部での発熱および外部からの異物の双方からセンサの保護を図った電動機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る電動機を表す一部断面図である。
図2】第2の実施形態に係る電動機を表す一部断面図である。
図3】第3の実施形態に係る電動機を表す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電動機について、詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る電動機10を表す一部断面図である。電動機10は、ステータ11、ロータ12、シャフト13、回転軸14、エンドブラケット15a、15b、軸受16a、16b、センサギア21、センサ22、カバー23、放熱部材24を有する。
【0011】
ステータ11は、略円筒形状を有する。ロータ12は、ステータ11の内周側に配置され、ステータ11に対して回転する。シャフト13は、ロータ12と同軸に接続され、ロータ12と一体に回転する。回転軸14は、シャフト13の出力側に接続され、回転力を外部に伝達する。エンドブラケット15a、15bは、軸受16a、16bを介して、シャフト13を回転可能に支持する。
【0012】
センサギア21は、シャフト13の非出力側(回転軸14とは反対側)に設けられ、シャフト13と一体的に回転する。センサギア21は、磁性材料からなり、外周に沿って、円弧上に配置される複数の歯部を有する。
【0013】
センサ22は、例えば、磁気センサであり、カバー23内に設けられ、シャフト13の回転を検出する回転検出器として機能する。センサ22は、シャフト13の非出力側のエンドブラケット15bに、センサギア21と対向するように固定される。シャフト13(センサギア21)の回転によって、センサギア21の複数の歯部がセンサ22に順次に対向する。この結果、センサ22は、磁場の変化として、シャフト13(センサギア21)の回転を検出する。
【0014】
カバー23は、シャフト13の一端側(非出力側)、詳しくは、エンドブラケット15bに配置され、シャフト13、センサギア21、センサ22、放熱部材24を覆い、外部からセンサ22への異物の付着を防止する。カバー23は、略有底円筒形状であり、シャフト13の周方向を覆う側壁部231と、シャフト13の一端側を覆う底壁部232とを有する。底壁部232と放熱部材24との間に隙間dが形成されている。
【0015】
放熱部材24は、平板状(より詳細には、略円板形状)であり、カバー23内に設けられ、シャフト13の一端部(非出力側端部)に接続され、シャフト13と一体的に回転する。放熱部材24は、既述のように、カバー23の底壁部232との間に隙間dを有し、カバー23を通じて、センサ22付近の熱を外部に放出する。
【0016】
隙間dは、放熱部材24とカバー23間の熱伝導が良好となり、かつ放熱部材24の回転を実質的に妨げない範囲、例えば、0.005~5mmである。
【0017】
[第2の実施形態]
図2は、第2の実施形態に係る電動機10aを表す一部断面図である。本実施形態では、カバー23の底壁部232内面、および放熱部材24の底壁部232の内面と対向する面は、凹凸を有する。カバー23と放熱部材24が、互いに対向する凹凸を有することで、これらの表面積が増大し、カバー23と放熱部材24間の熱伝導の促進が図られる。
【0018】
カバー23の底壁部232の内面に、複数の突出部233(結果として、凹凸)が設けられる。また、放熱部材24の底壁部232の内面と対向する面に、複数の凹部241(結果として、凹凸)が設けられる。
【0019】
ここでは、複数の突出部233および複数の凹部241は、互いに対応して配置され、かつ、シャフト13の中心軸を中心として同心円状に形成されている。カバー23の底壁部232の複数の突出部233と、放熱部材24の複数の凹部241とが、同心円状であり、シャフト13の回転を阻害しない。このため、突出部233と凹部241とをより近接し、カバー23と放熱部材24間の熱伝導をより促進できる。
【0020】
第2の実施形態は、カバー23、放熱部材24を除き、第1の実施形態と変わるところがないので、これら以外の記載を省略する。
【0021】
[第3の実施形態]
図3は、第3の実施形態に係る電動機10bを表す一部断面図である。電動機10bは、カバー23の底壁部232外側にファン31、モータ32、保持部材33を備える。
【0022】
ファン31は、モータ32によって回転され、カバー23(の底壁部232の外側)に風を当てて、カバー23、ひいては、センサ22をさらに冷却することが可能となる。
【0023】
保持部材33は、ファン31、モータ32を保持し、流入口34、流出口35を有する。流入口34は、保持部材33の底部に、流出口35は保持部材33の側面に配置される。流入口34から入った空気は、カバー23の底壁部232外面に当たった後、流出口35から流出する。
【0024】
第3の実施形態は、ファン31、モータ32、保持部材33を追加したことを除き、第1の実施形態と変わるところがないので、これら以外の記載を省略する。
【0025】
なお、第2の実施形態の電動機10aにファン31、モータ32、保持部材33を追加することも可能である。これにより、放熱部材24とカバー23間の熱伝導の向上およびカバー23の冷却性向上の双方により、センサ22のさらなる冷却が可能となる。
【0026】
〔実施形態から得られる技術的思想〕
上記各実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0027】
〔1〕実施形態に係る電動機10、10a、10bは、ステータ11と、前記ステータの内周側に配置されるロータ12と、前記ロータに接続されるシャフト13と、前記シャフトの一端側に配置され、前記シャフトを覆うカバー23と、前記カバー内に設けられ、前記シャフトの回転を検出する回転検出器(センサ22)と、前記カバー内に設けられ、前記シャフトの一端部に接続され前記シャフトと一体的に回転する平板状の放熱部材24と、を備える。前記カバーは、前記シャフトの周方向を覆う側壁部231と、前記シャフトの一端側を覆う底壁部232とを有する。前記放熱部材と前記底壁部との間には隙間dが形成されている。
【0028】
これにより、カバー23によって外部の異物から回転検出器22を保護しつつ、放熱部材24と底壁部232との間の隙間dを介して、回転検出器22を冷却することが可能となる。
【0029】
〔2〕前記底壁部232の内面は、凹凸形状を有し、前記放熱部材24のうち、前記底壁部232の内面と対向する面は、凹凸形状を有する。これにより、カバー23の底壁部232および放熱部材24の対向する面それぞれが、互いに対向する凹凸を有することで、表面積の増大により、カバー23と放熱部材24間の熱伝導の促進が図られる。
【0030】
〔3〕前記底壁部232の内面には、前記シャフト13の中心軸を中心として同心円状に形成された複数の突出部233が設けられ、前記放熱部材24のうち、前記底壁部232の内面と対向する面には、前記複数の突出部233に対応して前記シャフト13の中心軸を中心として同心円状に形成される複数の凹部241が設けられている。これにより、カバー23の底壁部232の複数の突出部233と、放熱部材24の複数の凹部241とが、同心円状であり、シャフト13の回転を阻害しないことから、突出部233と凹部241とをより近接し、カバー23と放熱部材24間の熱伝導をより促進できる。
【0031】
〔4〕電動機は、前記カバー23を冷却するファン31をさらに備える。これにより、カバー23に風を当て、回転検出器22をさらに冷却することが可能となる。
【0032】
〔5〕前記隙間が、0.005~5mmである。これにより、シャフト13の回転を阻害せず、カバー23と放熱部材24間での熱伝導を促進できる。
【符号の説明】
【0033】
10…電動機 21…センサギア
22…センサ 23…カバー
24…放熱部材 231…側壁部
232…底壁部 233…突出部
241…凹部
図1
図2
図3