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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/02 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
F04B49/02 331B
F04B49/02 331F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020019587
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021124090
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】後藤 翔
(72)【発明者】
【氏名】梅田 憲
(72)【発明者】
【氏名】成澤 伸之
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-004382(JP,U)
【文献】特開2007-170216(JP,A)
【文献】特開2000-028090(JP,A)
【文献】特開2010-275979(JP,A)
【文献】特開平11-218294(JP,A)
【文献】実開昭57-074188(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/02
F04B 49/06
F04B 39/16
F04B 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータによって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体で圧縮された空気を貯留するタンクと、
前記タンクで貯留された圧縮空気を外部へ供給する圧縮空気配管と、
前記タンク内の圧力を検出する圧力センサと、
前記タンク内のドレンを外部へ排出するドレン排出装置と、
前記圧力センサで検出された圧力が作動圧力まで上昇したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を停止させる待機状態に切替え、その後、前記圧力センサで検出された圧力が復帰圧力まで下降したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を復帰させる負荷運転状態に切替える機能、及び前記ドレン排出装置を制御する機能を有する制御装置と、を備えた圧縮機において、
前記制御装置は、前記作動圧力の設定変更に応じて、前記ドレン排出装置のドレン排出時間及びドレン排出間隔のうちの少なくとも一方を設定変更することを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記制御装置は、前記作動圧力の減少に従って前記ドレン排出時間を減少することを特徴とする圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記制御装置は、前記作動圧力の減少に従って前記ドレン排出間隔を増加することを特徴とする圧縮機。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記制御装置は、前記負荷運転状態の累積時間又は負荷率の累積値がドレン排出間隔の設定値に達したときに、前記圧力センサで検出された圧力が前記作動圧力と前記復帰圧力の間で設定された所定圧力より低ければ、前記タンク内のドレンを排出しないように、前記ドレン排出装置を制御し、その後、前記圧力センサで検出された圧力が前記所定圧力以上となってから、前記タンク内のドレンを排出するように、前記ドレン排出装置を制御することを特徴とする圧縮機。
【請求項5】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記モータの回転数を可変制御するインバータを備え、
前記制御装置は、前記負荷運転状態の累積時間又は負荷率の積算値がドレン排出間隔の設定値に達したときに、前記圧力センサで検出された圧力が前記作動圧力と前記復帰圧力の間で設定された所定圧力より低ければ、前記タンク内のドレンを排出しないように、前記ドレン排出装置を制御し、その後、前記インバータを介し前記モータの回転数を増加して、前記圧力センサで検出された圧力が前記所定圧力以上となってから、前記タンク内のドレンを排出するように、前記ドレン排出装置を制御することを特徴とする圧縮機。
【請求項6】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記制御装置は、前記待機状態の継続時間がドレン排出間隔の設定値に達した場合に、前記タンク内のドレンを排出するように、前記ドレン排出装置を制御し、前記待機状態の継続時間が前記ドレン排出間隔の設定値に達しない場合でも、前記待機状態の継続時間のうちの予め設定された所定時間の経過後の残り時間を累積した累積時間が前記ドレン排出間隔の設定値に達した場合に、前記タンク内のドレンを排出するように、前記ドレン排出装置を制御することを特徴とする圧縮機。
【請求項7】
請求項1に記載の圧縮機において、
前記ドレン排出装置は、前記制御装置によって制御される電磁開閉弁と、前記電磁開閉弁の上流側に設けられたストレーナとを有し、
前記ストレーナは、鉛直方向から見て前記電磁開閉弁と重ならないように配置されたことを特徴とする圧縮機。
【請求項8】
請求項7に記載の圧縮機において、
前記ドレン排出装置は、前記ストレーナの上流側に接続され、前記ストレーナと共に鉛直方向に延在するストレート継手を有することを特徴とする圧縮機。
【請求項9】
請求項7に記載の圧縮機において、
前記ドレン排出装置は、前記ストレーナの上流側に接続され、前記ストレーナと共に鉛直方向に延在するチーズ継手と、前記チーズ継手に接続された手動開閉弁とを有することを特徴とする圧縮機。
【請求項10】
請求項7に記載の圧縮機において、
前記ドレン排出装置は、前記ストレーナの下流側に設けられた手動開閉弁を有することを特徴とする圧縮機。
【請求項11】
モータと、
前記モータによって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体で圧縮された空気を貯留するタンクと、
前記タンクで貯留された圧縮空気を外部へ供給する圧縮空気配管と、
前記タンク内の圧力を検出する圧力センサと、
前記タンク内のドレンを外部へ排出するドレン排出装置と、
前記圧力センサで検出された圧力が作動圧力まで上昇したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を停止させる待機状態に切替え、その後、前記圧力センサで検出された圧力が復帰圧力まで下降したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を復帰させる負荷運転状態に切替える機能、及び前記ドレン排出装置を制御する機能を有する制御装置と、を備えた圧縮機において、
前記ドレン排出装置は、前記制御装置によって制御される電磁開閉弁と、前記電磁開閉弁の上流側に設けられたストレーナと、前記ストレーナの上側に接続されたストレート継手又はチーズ継手とを有し、
前記ストレーナと前記ストレート継手又は前記チーズ継手は、前記タンクの底より上側に位置するものの鉛直方向に延在し、且つ、鉛直方向から見て前記電磁開閉弁と重ならないように配置されたことを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機本体で圧縮された空気を貯留するタンクを備えた圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の圧縮機は、モータと、モータによって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体と、圧縮機本体で圧縮された空気を貯留するタンクと、タンクで貯留された圧縮空気を外部へ供給する圧縮空気配管と、タンク内の圧力を検出する圧力センサと、制御装置とを備える。制御装置は、圧力センサで検出された圧力が作動圧力まで上昇したときに、圧縮機本体からタンクへの圧縮空気の供給を停止させる待機状態(詳細には、停止状態または無負荷運転状態)に切替え、その後、圧力センサで検出された圧力が復帰圧力まで下降したときに、圧縮機本体からタンクへの圧縮空気の供給を復帰させる負荷運転状態に切替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平01-104990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンクの内表面にてドレンが結露し、タンクの底部にドレンが溜まる。このドレンは、タンクの腐食の要因となる。そのため、制御装置によって制御され、タンク内のドレンを外部へ排出するドレン排出装置を設けることが考えられる。この場合に、タンク内のドレンの発生量を推定して、ドレンの排出時間や排出間隔を固定することが考えられる。
【0005】
しかし、上述した作動圧力は、ユーザーの要望や省エネ等の観点から設定変更可能にしている。そして、作動圧力が減少すれば、タンク内のドレンの発生量も減少する。そのため、ドレンの排出時間や排出間隔が固定されたままであれば、ドレンの排出時間が必要以上に長くなるか、若しくは、ドレンの排出間隔が必要以上に短くなってしまう。したがって、ドレンの排出に伴う、タンクからの無駄な放気が多くなる。
【0006】
第1の発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、タンクからの無駄な放気を抑えることを課題の一つとするものである。第2の発明は、ドレン排出装置を構成する電磁開閉弁が連通状態から遮断状態に切替えられたときにドレンが残留してタンクへ戻らないようにし、且つ、結露した水が電磁開閉弁に滴って電磁開閉弁の不具合が起きるのを防ぐことを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、特許請求の範囲に記載の構成を適用する。第1の発明は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、モータと、前記モータによって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体で圧縮された空気を貯留するタンクと、前記タンクで貯留された圧縮空気を外部へ供給する圧縮空気配管と、前記タンク内の圧力を検出する圧力センサと、前記タンク内のドレンを外部へ排出するドレン排出装置と、前記圧力センサで検出された圧力が作動圧力まで上昇したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を停止させる待機状態に切替え、その後、前記圧力センサで検出された圧力が復帰圧力まで下降したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を復帰させる負荷運転状態に切替える機能、及び前記ドレン排出装置を制御する機能を有する制御装置と、を備えた圧縮機において、前記制御装置は、前記作動圧力の設定変更に応じて、前記ドレン排出装置のドレン排出時間及びドレン排出間隔のうちの少なくとも一方を設定変更する。
第2の発明は、モータと、前記モータによって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体で圧縮された空気を貯留するタンクと、前記タンクで貯留された圧縮空気を外部へ供給する圧縮空気配管と、前記タンク内の圧力を検出する圧力センサと、前記タンク内のドレンを外部へ排出するドレン排出装置と、前記圧力センサで検出された圧力が作動圧力まで上昇したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を停止させる待機状態に切替え、その後、前記圧力センサで検出された圧力が復帰圧力まで下降したときに、前記圧縮機本体から前記タンクへの圧縮空気の供給を復帰させる負荷運転状態に切替える機能、及び前記ドレン排出装置を制御する機能を有する制御装置と、を備えた圧縮機において、前記ドレン排出装置は、前記制御装置によって制御される電磁開閉弁と、前記電磁開閉弁の上流側に設けられたストレーナと、前記ストレーナの上側に接続されたストレート継手又はチーズ継手とを有し、前記ストレーナと前記ストレート継手又は前記チーズ継手は、前記タンクの底より上側に位置するものの鉛直方向に延在し、且つ、鉛直方向から見て前記電磁開閉弁と重ならないように配置される。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明によれば、タンクからの無駄な放気を抑えることができる。第2の発明によれば、電磁開閉弁が連通状態から遮断状態に切替えられたときにドレンが残留してタンクへ戻らないようにし、且つ、結露した水が電磁開閉弁に滴って電磁開閉弁の不具合が起きるのを防ぐことができる。
【0009】
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用した第1の実施形態における圧縮機の構造を表す前面図である。
図2】本発明を適用した第1の実施形態におけるタンクの周辺構造を表す後面図及び左側面図である。
図3図1の部分IIIを拡大した前面図であって、本発明を適用した第1の実施形態におけるドレン排出装置の要部構造を表す。
図4】本発明を適用した第1の実施形態における制御装置の機能的構成を関連機器と共に表すブロック図である。
図5】本発明を適用した第1の実施形態における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートであり、作動圧力及び復帰圧力が初期値である場合を示す。
図6】本発明を適用した第1の実施形態における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートであり、作動圧力及び復帰圧力が初期値より低い変更値である場合を示す。
図7】本発明を適用した第2の実施形態における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートであり、作動圧力及び復帰圧力が初期値より低い変更値である場合を示す。
図8】本発明を適用した第1の変形例における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートである。
図9】本発明を適用した第2の変形例における制御装置の機能的構成を関連機器と共に表すブロック図である。
図10】本発明を適用した第3の変形例における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートである。
図11】本発明を適用した第4の変形例におけるドレン排出装置の要部構造を表す前面図である。
図12】本発明を適用した第5の変形例におけるドレン排出装置の要部構造を表す前面図である。
図13】本発明を適用した第6の変形例におけるドレン排出装置の要部構造を表す前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を適用した第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における圧縮機の構造を表す前面図であり、前面パネルの大部分を透視した状態で示す。図2(a)は、本実施形態におけるタンクの周辺構造を表す後面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印B方向から見た左側面図である。図3は、図1の部分IIIを拡大した前面図であって、本実施形態におけるドレン排出装置の要部構造を表す。
【0013】
本実施形態の圧縮機1は、モータ2と、モータ2によって駆動され、空気を圧縮する圧縮機本体3と、圧縮機本体3で圧縮された空気を貯留するタンク4と、タンク4内のドレンを外部へ排出するドレン排出装置5と、モータ2及びドレン排出装置5を制御する制御装置6(後述の図4参照)とを備える。
【0014】
また、圧縮機1は、上述した機器を収納する筐体7を備える。筐体7は、ベース8、前面パネル9、左側面パネル10、右側面パネル11、後面パネル12、及び上面パネル13を有する。ベース8上には、防振ゴムを介し架台14が固定されている。架台14上には、ブラケット15を介しタンク4が横置き状態で固定されている。タンク4の上側には取付台16が溶接されている。取付台16上には、モータ2及び圧縮機本体3が配置されている。前面パネル9にはユーザーインターフェース17が設けられている。ユーザーインターフェース17は、複数の操作スイッチ及びモニタを有する。
【0015】
圧縮機本体3は、例えばレシプロ型であり、シリンダ、ピストン、吸込み弁、及び吐出し弁を有する。モータ2の回転運動は、プーリ及びベルト等を介し伝達され、更に、クランク軸等を介し往復運動に変換されてピストンに伝達される。これにより、シリンダ内のピストンが往復して、シリンダ内の作動室の容積が変化する。吸込み弁が開き状態、吐出し弁が閉じ状態になり、作動室の容積が増加することにより、作動室に空気を吸込む(吸込み過程)。その後、吸込み弁が閉じ状態、吐出し弁が閉じ状態になり、作動室の容積が減少することにより、作動室内の空気を圧縮する(圧縮過程)。その後、吸込み弁が閉じ状態、吐出し弁が開き状態になり、作動室から圧縮空気を吐出す(吐出し過程)。
【0016】
圧縮機本体3から吐出された圧縮空気は、吐出配管18を介しタンク4に流入する。タンク4で貯留された圧縮空気は、圧縮空気配管19を介し圧縮機1の外部へ供給される。タンク4には圧力センサ20が設けられている。圧力センサ20は、タンク4内の圧力を検出して制御装置6へ出力する。
【0017】
ドレン排出装置5は、タンク4の内側に配置された吸上げ管21と、タンク4の外側に配置され、エルボ継手22Aを介し吸上げ管21に接続された案内管23と、エルボ継手22Bを介し案内管23に接続されて鉛直方向に延在するストレート継手24と、ストレート継手24の下側に接続されて鉛直方向に延在するストレーナ25と、ベース8に固定され、エルボ継手22Cを介しストレーナ25に接続された電磁開閉弁26と、電磁開閉弁26に接続されて左右方向に延在する排出管27とを有する。なお、案内管23及び排出管27は、メンテナンス性等の観点から、樹脂製で柔軟性を有するものが好ましい。
【0018】
電磁開閉弁26は、制御装置6によって制御される二方弁であって、右側ポートと左側ポートを遮断する遮断状態から、右側ポートと左側ポートを連通する連通状態に切替え可能である。そして、電磁開閉弁26が連通状態に切替えられたときに、吸上げ管21の入口側(すなわち、タンク4の内部)の圧力と排出管27の出口側の圧力との差により、タンク4の底部に溜められたドレンが吸上げ管21、案内管23、ストレート継手24、ストレーナ25、電磁開閉弁26、及び排出管27にその順序で流れて圧縮機1の外部へ排出される。ストレーナ25は、ドレン中の異物を除去する。
【0019】
タンク4内のドレンの発生量が何らかの理由で予想を超えれば、電磁開閉弁26が連通状態から遮断状態に切替えられたときに、ドレン排出装置5にドレンが残留する可能性がある。本実施形態のドレン排出装置5では、ストレート継手24の容量により、ストレーナ25の容量を補っている。これにより、ストレーナ25及びストレート継手24にドレンを残留させて、タンク4へドレンが戻らないようにしている。
【0020】
電磁開閉弁26の上流側に設けられたストレーナ25及びストレート継手24は、鉛直方向から見て電磁開閉弁26と重ならないように配置されている。ここで、ストレーナ25及びストレート継手24が鉛直方向から見て電磁開閉弁26と重なるように配置されている場合を仮想する。この場合、ストレーナ25及びストレート継手24の外表面で結露した水が電磁開閉弁26に滴り、電磁開閉弁26の不具合を起こす可能性がある。本実施形態では、前述したストレーナ25及びストレート継手24の配置により、電磁開閉弁26の不具合を防ぐようになっている。
【0021】
電磁開閉弁26の下流側に設けられた排出管27は、入口側が出口側より高くなるように配置されている。ここで、排出管27の入口側が出口より低くなっている場合を仮想する。この場合、排出管27の外表面で結露した水が電磁開閉弁26に滴り、電磁開閉弁26の不具合を起こす可能性がある。本実施形態では、前述した排出管27の配置により、電磁開閉弁26の不具合を防ぐようになっている。
【0022】
次に、本実施形態の要部である制御装置6を、図4図6を用いて説明する。図4は、本実施形態における制御装置の機能的構成を関連機器と共に表すブロック図である。図5及び図6は、本実施形態における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートである。図5は、作動圧力及び復帰圧力が初期値である場合を示し、図6は、作動圧力及び復帰圧力が初期値より低い変更値である場合を示す。
【0023】
制御装置6は、プログラムに基づいて演算処理や制御処理を実行する演算制御部(例えばCPU)と、プログラムや演算処理の結果を記憶する記憶部(例えばROM、RAM)等を有するものである。制御装置6は、機能的構成として、運転制御部28及びドレン制御部29を有する。
【0024】
モータ2は、電磁接触器30を介し商用電源31に接続されている。制御装置6の運転制御部28は、ユーザーインターフェース17のスイッチの操作に応じて、電磁接触器30を制御してモータ2の駆動と停止を切替える。また、制御装置6の運転制御部28は、圧力センサ20で検出された圧力に応じて、電磁接触器30を制御してモータ2の駆動と停止を切替える断続運転制御モードを実行する。断続運転制御モードについて詳述する。
【0025】
制御装置6の運転制御部28は、予め設定された作動圧力の初期値PA1及び復帰圧力の初期値PB1を記憶する。そして、作動圧力及び復帰圧力が初期値のまま設定されていれば、図5で示すように、圧力センサ20で検出された圧力が作動圧力PA1まで上昇したときに、電磁接触器30の接点を開いてモータ2を停止して、圧縮機本体3からタンク4への圧縮空気の供給を停止させる待機状態に切替える。その後、圧力センサ20で検出された圧力が復帰圧力PB1まで下降したときに、電磁接触器30の接点を閉じてモータ2を駆動して、圧縮機本体3からタンク4への圧縮空気の供給を復帰させる負荷運転状態に切替える。
【0026】
制御装置6の運転制御部28は、ユーザーインターフェース17からの入力に応じて、例えば作動圧力PA2(但し、PA2<PA1)及び復帰圧力PB2(但し、PB2<PB1)に設定変更する。この場合、図6で示すように、圧力センサ20で検出された圧力が作動圧力PA2まで上昇したときに、電磁接触器30の接点を開いてモータ2を停止し、待機状態に切替える。その後、圧力センサ20で検出された圧力が復帰圧力PB2まで下降したときに、電磁接触器30の接点を閉じてモータ2を駆動し、負荷運転状態に切替える。
【0027】
制御装置6のドレン制御部29は、作動圧力の初期値PA1及び復帰圧力の初期値PB1に対応するドレン排出時間の設定値D及びドレン排出間隔の設定値Iを記憶する。そして、制御装置6のドレン制御部29は、タイマを用いて負荷運転状態の累積時間を演算する。そして、作動圧力及び復帰圧力が初期値のまま設定されていれば、図5で示すように、負荷運転状態の累積時間がドレン排出間隔の設定値Iに達したときに、電磁開閉弁26を連通状態に切替えてドレン排出を開始する。ドレン排出を開始してからドレン排出時間の設定値Dが経過したら、電磁開閉弁26を遮断状態に切替えてドレン排出を終了する。そして、負荷運転状態の累積時間をリセットし、あらためて演算する。
【0028】
制御装置6のドレン制御部29は、上述した作動圧力及び復帰圧力の設定変更に応じて、ドレン排出時間の設定値を変更する。詳細には、例えば作動圧力PA1からPA2への減少と復帰圧力PB1からPB2への減少により、タンク4内のドレン発生量が減少することから、ドレン排出時間の設定値DからDへ減少する。この場合、図6で示すように、ドレン排出を開始してからドレン排出時間の設定値Dが経過したら、電磁開閉弁26を遮断状態に切替えてドレン排出を終了する。
【0029】
以上のように本実施形態では、制御装置6は、作動圧力及び復帰圧力の設定変更に応じて、ドレン排出時間を設定変更する。これにより、タンク4からの無駄な放気を抑えることができる。
【0030】
なお、第1の実施形態において、制御装置6は、ユーザーインターフェース17からの入力に応じて作動圧力及び復帰圧力を設定変更し、その設定変更に応じてドレン排出時間を設定変更する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、制御装置6は、ユーザーインターフェース17からの入力に応じて作動圧力のみを設定変更し、その設定変更に応じてドレン排出時間を設定変更してもよい。また、制御装置6は、圧力センサ20の検出結果を用いて圧縮機の負荷率(詳細には、負荷運転状態の継続時間/(負荷運転状態の継続時間+待機状態の継続時間))を演算し、これに基づいて作動圧力のみか若しくは作動圧力及び復帰圧力の両方を設定変更し、その設定変更に応じてドレン排出時間を設定変更してもよい。
【0031】
本発明の第2の実施形態を、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートであり、作動圧力及び復帰圧力が初期値より低い変更値である場合を示す。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0032】
本実施形態の制御装置6のドレン制御部29は、上述した作動圧力及び復帰圧力の設定変更に応じて、ドレン排出間隔の設定値を変更する。詳細には、例えば作動圧力PA1からPA2への減少と復帰圧力PB1からPB2への減少により、タンク4内のドレン発生量が減少することから、ドレン排出間隔の設定値IからIへ増加する。この場合、図7で示すように、ドレン排出を終了してから負荷運転状態の累積時間がドレン排出間隔の設定値Iに達したら、電磁開閉弁26を連通状態に切替えてドレン排出を開始する。
【0033】
以上のように本実施形態では、制御装置6は、作動圧力及び復帰圧力の設定変更に応じて、ドレン排出間隔を設定変更する。これにより、タンク4からの無駄な放気を抑えることができる。
【0034】
なお、第2の実施形態において、制御装置6は、ユーザーインターフェース17からの入力に応じて作動圧力及び復帰圧力を設定変更し、その設定変更に応じてドレン排出間隔を設定変更する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、制御装置6は、ユーザーインターフェース17からの入力に応じて作動圧力のみを設定変更し、その設定変更に応じてドレン排出間隔を設定変更してもよい。また、制御装置6は、圧力センサ20の検出結果を用いて圧縮機の負荷率を演算し、これに基づいて作動圧力のみか若しくは作動圧力及び復帰圧力の両方を設定変更し、その設定変更に応じてドレン排出間隔を設定変更してもよい。
【0035】
また、第1の実施形態又はその変形例において、制御装置6は、作動圧力及び復帰圧力の設定変更又は作動圧力のみの設定変更に応じて、ドレンの排出時間を設定変更する場合を、第2の実施形態又はその変形例において、制御装置6は、作動圧力及び復帰圧力の設定変更又は作動圧力のみの設定変更に応じて、ドレンの排出間隔を設定変更する場合を例にとって説明したが、これに限られない。制御装置6は、作動圧力及び復帰圧力の設定変更又は作動圧力のみの設定変更に応じて、ドレンの排出時間及び排出間隔の両方を設定変更してもよい。
【0036】
また、第1及び第2の実施形態において、特に説明しなかったが、制御装置6は、圧力センサ20で検出された圧力に応じて、ドレン排出の開始タイミングを調整してもよい。このような変形例を、図8を用いて説明する。図8は、第1の変形例における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートである。制御装置6は、負荷運転状態の累積時間がドレン排出間隔の設定値に達したときに(時刻t1)、圧力センサ20で検出された圧力が所定圧力(詳細には、作動圧力と復帰圧力の間であって、例えばドレン排出に伴うタンク4内の圧力の降下幅ΔPだけ、復帰圧力より高くなるように設定された圧力)以上であるかどうかを判定する。圧力センサ20で検出された圧力が所定圧力より低ければ、電磁開閉弁26を連通状態に切替えず、タンク4内のドレンを排出しない。その後、圧力センサ20で検出された圧力が所定圧力以上となってから(時刻t2)、電磁開閉弁26を連通状態に切替え、タンク4内のドレンを排出する。本変形例では、ドレン排出時にタンク4内の圧力が復帰圧力より低くなるのを抑えることができる。
【0037】
また、第1及び第2の実施形態などにおいて、圧縮機1は、モータ2の回転数を固定する一定速機である場合を例にとって説明したが、これに限られず、モータ2の回転数を可変する可変速機であってもよい。このような変形例を、図9を用いて説明する。図9は、第2の変形例における制御装置の機能的構成を関連機器と共に表すブロック図である。本変形例の制御装置6は、圧力センサ20で検出された圧力が制御圧力(詳細には、作動圧力より低く且つ復帰圧力より高いか若しくは同じとなるように設定された圧力)となるように、インバータ32を介しモータ2の回転数を可変制御する。そして、モータ2の回転数が下限値に達し且つ圧力センサ20で検出された圧力が作動圧力まで上昇したときに、インバータ32を介しモータ2を停止し、待機状態に切替える。その後、圧力センサ20で検出された圧力が復帰圧力まで下降したときに、インバータ32を介しモータ2を駆動し、負荷運転状態に切替える。
【0038】
更に、制御装置6は、負荷運転状態の累積時間がドレン排出間隔の設定値に達したときに、圧力センサ20で検出された圧力が所定圧力(詳細には、作動圧力と復帰圧力の間であって、例えばドレン排出に伴うタンク4内の圧力の降下幅ΔPだけ、復帰圧力より高くなるように設定された圧力)以上であるかどうかを判定する。圧力センサ20で検出された圧力が所定圧力より低ければ、電磁開閉弁26を連通状態に切替えず、タンク4内のドレンを排出しない。その後、インバータ32を介しモータ2の回転数を増加し、圧力センサ20で検出された圧力が所定圧力以上となってから、電磁開閉弁26を連通状態に切替え、タンク4内のドレンを排出する。この場合、タンク4内の圧力が復帰圧力より低くなるのを抑えることができる。
【0039】
また、第1及び第2の実施形態などにおいて、制御装置6は、負荷運転状態の累積時間を演算し、負荷運転状態の累積時間がドレン排出間隔の設定値に達したときに、電磁開閉弁26を連通状態に切替え、タンク4内のドレンを排出する場合を例にとって説明したが、これに限られない。制御装置6は、圧力センサ20の検出結果を用いて圧縮機の負荷率を演算し、負荷率の累積値がドレン排出間隔の設定値に達したときに、電磁開閉弁26を連通状態に切替え、タンク4内のドレンを排出してもよい。
【0040】
別の変形例を、図10を用いて説明する。図10は、第3の変形例における制御装置の処理内容を説明するためのタイムチャートである。本変形例の制御装置6は、待機状態の継続時間がドレン排出間隔の設定値Iに達したときに(時刻t3)、電磁開閉弁26を連通状態に切替え、タンク4内のドレンを排出する。また、待機状態の継続時間がドレン排出間隔の設定値Iに達しない場合でも、待機状態の継続時間のうちの予め設定された所定時間T(詳細には、例えば、待機状態に切替えられてからタンク4の内部温度が外気温度まで低下するのに要する時間の半分)の経過後の残り時間を累積した累積時間がドレン排出間隔の設定値Iに達したときに(時刻t4)、電磁開閉弁26を連通状態に切替え、タンク4内のドレンを排出する。ドレン排出の終了時、前述した累積時間をリセットし、あらためて演算する。本変形例では、タンク4内のドレンの貯留量を抑えることができる。
【0041】
また、第1及び第2の実施形態などにおいて、制御装置6は、モータ2の停止と駆動の切替えにより、待機状態と負荷運転状態に切替える断続運転制御モードを実行する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、制御装置6は、モータ2を駆動させたまま、待機状態と負荷運転状態を切替える連続運転制御モードを実行してもよい。この連続運転制御モードでは、制御装置6は、アンローダ機構を駆動させて吸込み弁を開き状態に固定することにより、待機状態に切替え、アンロード機構を停止させて吸込み弁を開閉可能な状態とすることにより、負荷運転状態に切替える。制御装置6は、圧力センサ20の検出結果を用いて圧縮機の負荷率を演算し、これに基づいて断続運転制御モードと連続運転制御モードのうちの一方を選択して実行してもよい。
【0042】
ところで、上述したドレン排出装置5では、電磁開閉弁26の不具合が発生した場合に、ドレンを排出することが困難になる。そのため、ドレン排出装置5は、手動開閉弁を更に有してもよい。このような変形例を、図11図13を用いて詳述する。なお、各変形例において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0043】
図11は、第4の変形例におけるドレン排出装置の要部構造を表す前面図である。本変形例のドレン排出装置5は、ストレート継手24の代わりに、ストレーナ25の上流側に接続され、ストレーナ25と共に鉛直方向に延在するチーズ継手33を有しており、チーズ継手33の容量により、ストレーナ25の容量を補うようになっている。チーズ継手33の上側ポート及び下側ポートには、エルボ継手22B及びストレーナ25がそれぞれ接続され、チーズ継手33の右側ポートには手動開閉弁34が接続されている。電磁開閉弁26の不具合が発生した場合、ユーザー又はサービスマンが手動開閉弁34を操作することにより、ドレンを排出することが可能である。
【0044】
図12は、第5の変形例におけるドレン排出装置の要部構造を表す前面図である。本変形例のドレン排出装置5は、ストレート継手24を介さず、エルボ継手22Bとストレーナ25が互いに接続されている。また、ドレン排出装置5は、エルボ継手22Cの代わりに、ストレーナ25と電磁開閉弁26の間に設けられたチーズ継手35を有する。チーズ継手35の上側ポート及び左側ポートには、ストレーナ25及び電磁開閉弁26がそれぞれ接続され、チーズ継手33の右側ポートには手動開閉弁34が接続されている。電磁開閉弁26の不具合が発生した場合、ユーザー又はサービスマンが手動開閉弁34を操作することにより、ドレンを排出することが可能である。また、手動開閉弁34がストレーナ25の下流側に配置されているため、ドレン中の異物による手動開閉弁34の不具合の発生を抑えることが可能である。
【0045】
図13は、第6の変形例におけるドレン排出装置の要部構造を表す前面図である。本変形例のドレン排出装置5は、ストレート継手24を介さず、エルボ継手22Bとストレーナ25が互いに接続されている。また、ドレン排出装置5は、二方弁である電磁開閉弁26の代わりに、三方弁である電磁開閉弁26Aを有する。電磁開閉弁26Aは、左側ポートと下側ポートのうちの一方を選択して右側ポートと連通状態にする。電磁開閉弁26Aの右側ポート及び左側ポートにはエルボ継手22C及び排出27管がそれぞれ接続され、電磁開閉弁26Aの下側ポートには手動開閉弁34が接続されている。電磁開閉弁26Aの不具合が発生した場合、ユーザー又はサービスマンが手動開閉弁34を操作することにより、ドレンを排出することが可能である。また、手動開閉弁34がストレーナ25の下流側に配置されているため、ドレン中の異物による手動開閉弁34の不具合の発生を抑えることが可能である。なお、図示しないものの、ドレン排出装置5は、二方弁である電磁開閉弁26の代わりに、四方弁である電磁開閉弁を有してもよく、この電磁開閉弁の空きポートに栓プラグを取り付ければよい。
【0046】
なお、第1及び第2の実施形態などにおいて、圧縮機本体3は、レシプロ型(詳細には、ピストンの往復運動によって圧縮を行うもの)である場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えばスクロール型(詳細には、スクロールの旋回運動によって圧縮を行うもの)又はスクリュー型(詳細には、スクリューの回転運動によって圧縮を行うもの)であってもよい。また、第1及び第2の実施形態などにおいて、圧縮機1は、機器を収納する筐体7を備えたパッケージ形である場合を例にとって説明したが、これに限られず、パッケージ形でなくてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…圧縮機、2…モータ、3…圧縮機本体、4…タンク、5…ドレン排出装置、6…制御装置、19…圧縮空気配管、20…圧力センサ、24…ストレート継手、25…ストレーナ、26,26A…電磁開閉弁、32…インバータ、33…チーズ継手、34…手動開閉弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13