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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】業務用貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240305BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20240305BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F25D23/00 305J
F25D19/00 510A
F25D23/00 305K
F25D11/00 101A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020028542
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021134929
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日(納品日),販売した場所 1.令和2年 2月 6日,株式会社林商運 福井県福井市西開発4-905 2.令和2年 2月 6日,福山通運 延岡営業所 延岡市石田町4857 3.令和2年 2月 6日,株式会社 テンポスバスターズ 川口 埼玉県川口市東本郷139
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 真吾
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓真
(72)【発明者】
【氏名】大林 奨
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-009376(JP,A)
【文献】特開2013-113531(JP,A)
【文献】特開2016-028222(JP,A)
【文献】特開2004-044815(JP,A)
【文献】特開昭60-169073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 19/00
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室(1)と、個別に温度帯を制御できる2つの貯蔵室(2・3)が横並び状に配置されており、
前記機械室(1)に隣接する前記貯蔵室(2)は、後壁(31)と該壁(31)の四周縁に連続する上下壁(32a・32b)および左右壁(32c・32d)で区画されており、
前記上下壁(32a・32b)のいずれかひとつからなる隅周壁(32)と前記後壁(31)に臨む左右方向に走る後隅部(25)に、前記機械室(1)から連出した冷媒配管(22)と電気配線(28)を含む配線配管(45)が配置されて、これら配線配管(45)の外面が配線配管カバー(30)で覆われており、
前記配線配管カバー(30)は、前記後壁(31)および前記隅周壁(32)と協同して前記配線配管(45)の外面を覆うカバー壁(33)と、カバー壁(33)の中途部から後向きに連出されて前記後壁(31)で接当支持される中間区分壁(35)を備えた左右方向に長い長尺のプラスチック成形品からなり、
前記中間区分壁(35)の左右方向の長さ寸法は、前記カバー壁(33)の左右方向の長さ寸法と同一であり、
前記カバー壁(33)の前記隅周壁(32)側の端部には、該隅周壁(32)で受止め支持される端部接当座(36)が形成されており、
前記カバー壁(33)の前記後壁(31)側の端部には、該後壁(31)に接合される締結座(37)が形成されており、
前記中間区分壁(35)の突端には、前記後壁(31)で受止め支持される中間接当座(39)が形成されており、
前記締結座(37)をビス(40)で前記後壁(31)に締結して前記配線配管カバー(30)が前記後隅部(25)に固定された状態において、前記端部接当座(36)が前記隅周壁(32)で受止め支持され、前記中間接当座(39)が前記後壁(31)で受止め支持されており、
前記後壁(31)と前記カバー壁(33)の間が、前記中間区分壁(35)で配管室(42)と配線室(43)に区分されており、
前記配管室(42)に前記冷媒配管(22)が収容され、前記配線室(43)に前記電気配線(28)が収容されていることを特徴とする業務用貯蔵庫。
【請求項2】
前記端部接当座(36)の前後方向の長さ(L1)が、前記中間区分壁(35)と前記中間接当座(39)の前後方向の合計長さ(L2)の半分以上に設定されている請求項1に記載の業務用貯蔵庫。
【請求項3】
前記カバー壁(33)が、一端に前記端部接当座(36)を有し、前記後壁(31)と対向する断面視が直線壁状の第1カバー壁(33a)と、該第1カバー壁(33a)の他端に連続し、断面視が4分円状の湾曲壁からなる第2カバー壁(33b)とで構成されている請求項1または2に記載の業務用貯蔵庫。
【請求項4】
前記中間接当座(39)が前記中間区分壁(35)と交差する状態で形成されており、
前記中間接当座(39)の一端が前記第2カバー壁(33b)の側へ向かって突出されている請求項3に記載の業務用貯蔵庫
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機器を収容する機械室と、個別に温度帯を制御できる2つの貯蔵室(冷凍庫と冷蔵庫)が横並び状に配置してある業務用貯蔵庫に関し、機械室と隣り合う貯蔵室(冷凍庫または冷蔵庫)に配置される冷媒配管および電気配線の外面を覆う配線配管カバーの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、機械室と隣り合う冷凍室の後上隅に配置した冷媒配管および電気配線の外面を、断面がL字状の金属板製の配線配管カバーで覆い、配線配管カバーの上縁および後縁に設けた締結座を、4個のビスで冷凍室の天壁と後壁に締結固定する形態の業務用貯蔵庫を販売している。こうした配線配管カバーでは、配線配管カバーを冷凍室の後上隅において仮組みし、片手で仮組み姿勢を保持した状態のままでビスを締結操作する必要があるため、配線配管カバーを固定するのに手間が掛かっていた。また、配線配管カバーの前壁や下壁に金属製やガラス製などの硬質の食品容器が押付けられるような場合には、カバー壁が塑性変形してカバーの外観が損なわれることがあった。
【0003】
本発明の配線配管カバーはプラスチック材で形成するが、この種の配線配管カバーは、例えば特許文献1の貯蔵庫の配管構造に公知である。特許文献1の配管構造においては、貯蔵室の後横隅に管部材(冷媒配管)を配置し、管部材の外面を配管カバー部材で覆っている。配管カバー部材は、前壁部と側壁部を備えた断面がL字状のプラスチック成形品からなり、側壁部の後縁に沿って第1当接片が外向きに形成され、前壁部の側縁に沿って第2当接片が内向きに形成してある。第1当接片を貯蔵室の後板に接合し、さらに第2当接片を貯蔵室の側板に接合して管部材の外面を配管カバー部材で覆い、この状態で第1当接片に挿通したビスを貯蔵室の後板にねじ込むことにより、配管カバー部材を貯蔵室の後横隅に固定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-9376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の配管構造によれば、貯蔵室に収容した食品や食品容器が管部材に押付けられて食品が損傷し、あるいは管部材が硬質の食品容器で傷つけられるのを配管カバー部材で防止できる。しかし、断面L字状のプラスチック材で形成してある配管カバー部材は、L字状の前壁部と側壁部を備えているだけの簡単な断面構造であるため、カバーの構造強度に限界がある。また、上下の棚網の間においては配管カバー部材の前壁部および側壁部が庫内空間に露出しているので、硬質の食品容器などが配管カバー部材に衝突するような場合に、前壁部や側壁部が傷つくおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、構造強度に優れていて硬質の食品容器などとの衝突や接触で傷つくことがない配線配管カバーを備えた業務用貯蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る業務用貯蔵庫は、機械室1と、個別に温度帯を制御できる2つの貯蔵室2・3が横並び状に配置されている。機械室1に隣接する貯蔵室2は、後壁31と該壁31の四周縁に連続する上下壁32a・32bおよび左右壁32c・32dで区画されている。上下壁32a・32bのいずれかひとつからなる隅周壁32と後壁31に臨む左右方向に走る後隅部25に、機械室1から連出した冷媒配管22と電気配線28を含む配線配管45が配置されて、これら配線配管45の外面が配線配管カバー30で覆われている。配線配管カバー30は、後壁31および隅周壁32と協同して配線配管45の外面を覆うカバー壁33と、カバー壁33の中途部から後向きに連出されて後壁31で接当支持される中間区分壁35を備えた左右方向に長い長尺のプラスチック成形品からなる。中間区分壁35の左右方向の長さ寸法は、カバー壁33の左右方向の長さ寸法と同一である。カバー壁33の隅周壁32側の端部には、該隅周壁32で受止め支持される端部接当座36が形成されている。カバー壁33の後壁31側の端部には、該後壁31に接合される締結座37が形成されている。中間区分壁35の突端には、後壁31で受止め支持される中間接当座39が形成されている。締結座37をビス40で後壁31に締結して配線配管カバー30が後隅部25に固定された状態において、端部接当座36が隅周壁32で受止め支持され、中間接当座39が後壁31で受止め支持されている。後壁31とカバー壁33の間は、中間区分壁35で配管室42と配線室43に区分されており、配管室42に冷媒配管22が収容され、配線室43に電気配線28が収容されていることを特徴とする。
【0009】
端部接当座36の長さL1は、中間区分壁35と中間接当座39の合計長さL2の半分以上に設定されている。
【0010】
カバー壁33が、一端に端部接当座36を有し、後壁31と対向する断面視が直線壁状の第1カバー壁33aと、第1カバー壁33aの他端に連続し、断面視が4分円状の湾曲壁からなる第2カバー壁33bで構成されている。
【0011】
中間接当座39は中間区分壁35と交差する状態で形成されており、中間接当座39の一端が第2カバー壁33bの側へ向かって突出されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の業務用貯蔵庫においては、貯蔵室2の後隅部25に配置した冷媒配管22および電気配線28を含む配線配管45の外面を配線配管カバー30で覆うようにした。また、配線配管カバー30は、配線配管45の外面を覆うカバー壁33と、カバー壁33の中途部から連出される中間区分壁35とを備えたプラスチック成形品で構成するようにした。さらに、カバー壁33の隅周壁32側の端部に端部接当座36を形成し、カバー壁33の後壁31側の端部に締結座37を形成し、中間区分壁35の突端に中間接当座39を形成するようにした。このように、カバー壁33の中途部から中間区分壁35を連出し、その突端に中間接当座39が形成されていると、中間区分壁35および中間接当座39を設けた分だけ断面係数を増強して配線配管カバー30の曲げ強度を増強できる。また、配線配管カバー30を貯蔵室2の後隅部25に装着した状態においては、端部接当座36が隅周壁32で受止め支持され、中間接当座39と締結座37が後壁31で受止め支持されるので、カバー壁33が外力を受けて撓むのを阻止して、使用時における配線配管カバー30の構造強度を向上できる。従って、本発明によれば、構造強度に優れていて硬質の食品容器などとの衝突や接触で傷つくことのない配線配管カバー30を備えた業務用貯蔵庫を提供できる。
【0013】
後壁31とカバー壁33の間を、中間区分壁35で配管室42と配線室43に区分し、配管室42に冷媒配管22を収容し、配線室43に電気配線28を収容するようにした。こうした配線配管カバー30によれば、外部振動を受けた電気配線28が冷媒配管22の表面に接触して絡まるのを防止でき、さらに、冷媒配管22の表面で結露した水滴が電気配線28に付着して流下するのを確実に防止できる。
【0014】
端部接当座36の長さL1は、中間区分壁35と中間接当座39の合計長さL2の半分以上に設定するようにした。こうした配線配管カバー30によれば、配線配管カバー30を貯蔵室2の後隅部25に装着した状態では、端部接当座36と隅周壁32の接触面積が大きい分だけ、端部接当座36がずれ動くときの摩擦抵抗を大きく出来るので、カバー壁33に壁厚み方向の外力が作用したとしても、カバー壁33が壁厚み方向へたわみ変形するのを阻止できる。
【0015】
一端に端部接当座36を有し、後壁31と対向する第1カバー壁33aと、第1カバー壁33aの他端に連続し、断面視が4分円状の湾曲壁からなる第2カバー壁33bでカバー壁33を構成するようにした。こうした配線配管カバー30によれば、第2カバー壁33bが、第1カバー壁33aと直交する壁で形成されている場合に比べて、貯蔵室2において配管室42が占める空間量を小さくし、第2カバー壁33bが冷凍室2に収納した食品や食品容器の邪魔になるのを極力避けることができる。また、金属製やガラス製の食品容器の縁が第2カバー壁33bに衝突した場合の衝撃力を湾曲壁で分散させることができるので、第2カバー壁33bが衝撃を受けて破損し、あるいは変形するのをよく防止できる。
【0016】
中間区分壁35と交差する中間接当座39の一端を第2カバー壁33bの側へ向かって突出させるようにした。こうした配線配管カバー30によれば、中間区分壁35を冷媒配管22の上に引っ掛けた状態で仮組みし、その状態を手放しで保持できるので、配線配管カバー30から手を離してインパクトレンチにビス40をセットするなどの締結準備作業を行うことができる。また、仮組みした配線配管カバー30を片手で保持して隅周壁32に押し付け、さらに後壁31に向って押し付けることで、配線配管カバー30が正しく位置決めされるので、仮組みから位置決め後のビス40のねじ込み作業に至る一連の締結作業をより簡便に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る貯蔵庫の配線配管カバーの使用状態を示す縦断側面図である。
図2】貯蔵庫の揺動ドアを省略した正面図である。
図3】貯蔵庫における冷凍機器の配置構造を示す縦断正面図である。
図4図2におけるA-A線断面図である。
図5図5(a)は冷凍機器の配置構造を示す横断平面図、図5(b)は冷凍機器の配置構造を示す縦断正面図である。
図6】配線配管カバーの組付け手順を示す縦断側面図、および斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例) 本発明に係る貯蔵庫の実施例を図1から図6に示す。本発明における上下、左右、前後とは、図2および図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍の上下、左右、前後の各表記に従うものとする。図2ないし図4において貯蔵庫は、冷凍機器を収容する機械室1と、冷凍室(貯蔵室)2と、冷蔵室(貯蔵室)3を横並び状に配置して構成されている。冷凍室2および冷蔵室3は、前面が開口する横長直方体状の断熱箱体4の内部を区分壁5で区分して形成されており、各室2・3の前面開口はそれぞれ左右一対の揺動ドア6・7で開閉できる。冷凍室2および冷蔵室3の内奥および左右周壁には、網棚8を支持する棚柱9が配置されている。
【0019】
図3および図5に示すように、機械室1の内部には、圧縮機11、凝縮器12、送風ファン13、および分配弁14などが収容されており、冷凍室2および冷蔵室3には、それぞれ蒸発器15・16と循環ファン17・18とが収容されている。冷凍室2用の蒸発器15および循環ファン17は、冷凍室2から機械室1の上半側へ出っ張る冷却室19の内部に収容されており、冷蔵室3用の蒸発器16および循環ファン18は、区分壁5に沿って区画された冷却室20の内部に収容されている。凝縮器12で液化された冷媒を各蒸発器15・16に送給し、さらに各蒸発器15・16で気化された冷媒ガスを圧縮機11へ帰還させるために、分配弁14と各蒸発器15・16、および各蒸発器15・16と圧縮機11を冷媒配管21・22で接続している。冷媒配管21・22は断熱チューブで覆われることもある。
【0020】
上記の冷媒配管21・22のうち、冷蔵室3用の蒸発器16に接続される冷媒配管22は、冷凍室2の後上隅部(後隅部)25を左右に横断する状態で配置されている。また、図3に示すように、冷却室20の内部に配置した温度センサー26およびヒーター27と、循環ファン18に接続されるセンサーコードや給電コードなどの電気配線28が冷媒配管22の上方に配置されている。同様に冷却室19の内部にも温度センサー26およびヒーター27が配置されている。機械室1から導出された冷媒配管22および電気配線28を含む配線配管45は、図4に示すように冷凍室2と機械室1を区分する壁の後左隅部に沿って上向きに配置されたのち、冷凍室2の後上隅部25に沿って配置されている。冷凍室2は、後述する後壁31と隅周壁32で中空箱状に区画されており、隅周壁32は、後壁31の四周縁に連続する上壁32a、下壁32b、左壁32c、右壁32dからなる。冷蔵室3も冷凍室2と同様に後壁と隅周壁で中空箱状に区画されている。
【0021】
冷凍室2に収容した冷凍食品や、食材を収容する金属容器などが、冷媒配管22や電気配線28などの配線配管45と接触するのを防ぐために、配線配管45の外面を配線配管カバー30で覆っている。図1および図6において、配線配管カバー30は、後上隅部25の後壁31および上壁(隅周壁)32aと協同して配線配管45の外面を覆うカバー壁33と、カバー壁33の中途部から後向きに連出される中間区分壁35を一体に備えたプラスチック条材(成形品)からなる。カバー壁33は、後壁31と対向する状態で平行に形成される第1カバー壁33aと、第1カバー壁33aの下部に連続する4分円状の湾曲壁からなる第2カバー壁33bで形成されている。
【0022】
第1カバー壁33aの上端部には、上壁32aで受止め支持される端部接当座36が後向きに連出されており、第2カバー壁33bの下端部には、後壁31に接合される締結座37が下向きに形成されている。締結座37の左右2個所にはビス挿通穴38が形成されている。中間区分壁35の後端には、後壁31で受止め支持される中間接当座39が形成されている。先の端部接当座36と中間区分壁35は上壁32aと平行に形成されている。中間区分壁35に形成した中間接当座39は、中間区分壁35と交差する状態で形成されており、その下端が第2カバー壁33bの側へ向かって突出されている。図1に示すように、端部接当座36の長さL1は、中間区分壁35と中間接当座39の合計長さL2の半分以上に設定されている。
【0023】
以上のように構成した配線配管カバー30は、冷媒配管22を利用して仮組し、位置決めした状態で締結座37を後壁31に締結固定する。詳しくは図6に想像線で示すように、中間区分壁35が冷媒配管22の上に引っ掛かるように配線配管カバー30を仮組みし、端部接当座36を上壁32aに押し付け、さらに中間接当座39を後壁31に押し付けて配線配管カバー30を位置決めする。位置決めされた配線配管カバー30を押え保持した状態のままで、ビス挿通穴38に挿通したビス40を後壁31にねじ込んで締結座37を締結固定する。
【0024】
配線配管カバー30を後上隅部25に固定した状態では、第1カバー壁33aと後壁31との間が中間区分壁35で下側の配管室42と上側の配線室43に区分されており、配管室42に冷媒配管22が収容され、配線室43に電気配線28が収容される。配管室42に収容された冷媒配管22は、自身の剛性で第2カバー壁33bから浮き離れた状態を維持している。また、配線室43に収容された電気配線28は自重で撓むので、その中途部が中間区分壁35で支持される。このように、冷媒配管22と電気配線28を個別に収容すると、外部振動を受けた電気配線28が冷媒配管22の表面に接触して絡まるのを防止できる。また、冷媒配管22の表面で結露した水滴が電気配線28に付着して流下するのを確実に防止できる。
【0025】
以上のように、本実施例では、第1カバー壁33aと第2カバー壁33b、および中間区分壁35を備えたプラスチック成形品で配線配管カバー30を構成し、各カバー壁33a・33bの端部に端部接当座36と締結座37を設け、中間区分壁35の突端に中間接当座39を形成した。このように、第1カバー壁33aの中途部から中間区分壁35を連出し、その突端に中間接当座39が形成されていると、中間区分壁35および中間接当座39を設けた分だけ配線配管カバー30の断面係数を増強して曲げ強度を増強できる。また、配線配管カバー30を冷凍室2の後上隅部25に装着した状態においては、端部接当座36が上壁32aで受止め支持され、中間接当座39と締結座37が後壁31で受止め支持されるので、第1カバー壁33aや第2カバー壁33bが外力を受けて撓むのを阻止して、使用時における配線配管カバー30の構造強度を向上できる。従って、構造強度に優れていて硬質の食品容器などとの衝突や接触で傷つくことのない配線配管カバー30を備えた業務用貯蔵庫を提供できる。
【0026】
端部接当座36の長さL1を、中間区分壁35と中間接当座39の合計長さL2の半分以上に設定したので、配線配管カバー30を冷凍室2の後上隅部25に装着した状態では、端部接当座36と上壁32aの接触面積が大きい分だけ、端部接当座36がずれ動くときの摩擦抵抗を大きくでき、第1カバー壁33aに壁厚み方向(前向きあるいは後向き)の外力が作用したとしても、第1カバー壁33aが壁厚み方向(前後いずれか)へたわみ変形するのをさらに確実に阻止できる。
【0027】
第2カバー壁33bを第1カバー壁33aに連続する4分円状の湾曲壁で形成したので、第2カバー壁33bを第1カバー壁33aと直交する壁で形成した場合に比べて、冷凍室2において配管室42が占める空間量を小さくできる。従って、第2カバー壁33bが冷凍室2に収納した冷凍食品や食品容器の邪魔になることを抑えることができる。また、金属製やガラス製の食品容器の縁が第2カバー壁33bに衝突した場合の衝撃力を湾曲壁で分散させることができるので、第2カバー壁33bが衝撃を受けて破損し、あるいは変形するのをよく防止できる。
【0028】
中間区分壁35と交差する中間接当座39の一端を第2カバー壁33bの側へ向かって突出させたので、中間区分壁35を冷媒配管22の上に引っ掛けた状態で仮組みし、その状態を手放しで保持することが可能となり、配線配管カバー30から手を離してインパクトレンチにビス40をセットするなどの締結準備作業を行うことができる。また、仮組みした配線配管カバー30を片手で保持して上壁32aに押し付け、さらに後壁31に向って押し付けることで、配線配管カバー30が正しく位置決めされるので、仮組みから位置決め後のビス40のねじ込み作業に至る一連の締結作業をより簡便に行える。
【0029】
上記の実施例以外に、冷媒配管22は冷凍室2の後下隅部(後隅部)や後横隅部(後隅部)に沿って配置することができる。冷媒配管22および電気配線28の配置位置の違いに応じて配線配管カバー30の構造や締結位置は変更することができる。冷凍室2と冷蔵室3と機械室1とが記載順に横並び状に配置されており、冷凍室2に設けた蒸発器15用の冷媒配管21が冷蔵室(貯蔵室)3の後隅部25に配置されている場合には、冷媒配管21の周囲を配線配管カバー30で覆うようにするとよい。第2カバー壁33bは4分円状の湾曲壁で形成したが、その必要はなく、第2カバー壁33bは後下がり傾斜する壁や、第1カバー壁33aと直交する壁で形成してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 機械室
2 冷凍室(貯蔵室)
3 冷蔵室(貯蔵室)
21・22 冷媒配管
25 後上隅部(後隅部)
28 電気配線
30 配線配管カバー
31 後壁
32 隅周壁
32a 上壁
33 カバー壁
33a 第1カバー壁
32b 第2カバー壁
35 中間区分壁
36 端部接当座
37 締結座
39 中間接当座
42 配管室
43 配線室
45 配線配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6