(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】固定補助具及び釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/04 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
(21)【出願番号】P 2020030236
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】神納 芳行
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄己
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-178132(JP,A)
【文献】実公昭38-021272(JP,Y1)
【文献】米国特許第05361529(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿本体の長手方向に延びる脚部を有するガイド部材を、前記釣竿本体の外周面に固定するための固定補助具であって、
前記脚部と共に装着用糸の巻付けによって前記釣竿本体の外周面に固定される補助具本体を備え、
前記補助具本体は、前記脚部に沿って前記長手方向に延びるように形成されると共に、前記脚部に対して前記釣竿本体の周方向に並ぶように配置され、且つ前記周方向への前記補助具本体に対する前記脚部の移動を規制し、前記長手方向の竿尻側である後方に向かうにしたがって前記補助具本体の厚みが薄くなるように、上面が漸次傾斜する傾斜面とされていることを特徴とする固定補助具。
【請求項2】
請求項1に記載の固定補助具において、
前記補助具本体は、前記脚部の前記周方向の移動を規制する規制壁を有する、固定補助具。
【請求項3】
請求項2に記載の固定補助具において、
前記規制壁は、前記補助具本体の上面の傾斜に沿って、前記後方に向かうにしたがって前記釣竿本体の外周面からの高さが低くなる、固定補助具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の固定補助具において、
前記補助具本体は、前記脚部に対して前記周方向に並んだ状態で、前記長手方向に間隔をあけて複数配置されている、固定補助具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の固定補助具において、
前記釣竿本体の外周面と前記脚部との間に配置されると共に、前記補助具本体に一体に形成された下方ガイド部を備え、
前記下方ガイド部は、前記脚部に沿って前記後方に向けて延びるように形成され、前記脚部を下方からガイドし、
前記補助具本体は、前記下方ガイド部の上面よりも上方に向けて突出するように形成され、
前記下方ガイド部は、前記周方向の幅が前端部から後端部に向かうにしたがって狭くなるように形成されている、固定補助具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の固定補助具において、
前記補助具本体は、前記釣竿本体の外周面からの高さが、前記脚部のうち前記装着用糸が巻付けられる部分と前記釣竿本体の外周面との間の高さよりも低く形成されている、固定補助具。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の固定補助具において、
前記補助具本体は、前記脚部を挟んで前記周方向の両側に配置されている、固定補助具。
【請求項8】
請求項5に記載の固定補助具において、
前記下方ガイド部は、前記長手方向に沿って前記脚部から離間するように、前記脚部の後端部を超えて延びる、固定補助具。
【請求項9】
請求項8に記載の固定補助具において、
前記下方ガイド部のうち、少なくとも前記脚部の後端部を超えて延びる部分は、前記補助具本体の上面の傾斜に対応して、前記後方に向かうにしたがって厚みが漸次薄くなるように形成されることで、前記釣竿本体の径方向への曲げ剛性が前記脚部から離間するにしたがって小さくなるように形成されている、固定補助具。
【請求項10】
請求項5に記載の固定補助具において、
前記下方ガイド部には、前記長手方向に沿って前記下方ガイド部とは逆方向に延びる延長部が形成されている、固定補助具。
【請求項11】
請求項
10に記載の固定補助具において、
前記延長部は、前記釣竿本体の径方向への曲げ剛性が前記下方ガイド部から離間するにしたがって小さくなるように形成されている、固定補助具。
【請求項12】
釣竿本体と、
前記釣竿本体の長手方向に延びる脚部を有するガイド部材と、
請求項1から11のいずれか1項に記載の固定補助具と、を備えることを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定補助具及び釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣竿の1つとして、釣竿本体の外周面に釣糸ガイドが装着されるタイプの釣竿、いわゆる外通し竿が知られている。
この種の外通し竿では、魚信(魚の当たり)によって釣糸が引かれた際、釣糸に加わった力を釣糸ガイドが受け止めると共に、その力を釣竿本体側に伝える構造とされている。そのため、外通し竿は、釣糸ガイドが装着されている装着箇所毎に釣糸からの力を受けることによって、全体的に弧を描くように滑らかに湾曲する。
【0003】
一般的に、釣糸ガイドは、巻糸等と称される装着用糸の巻付けによって、釣竿本体の外周面に装着される。具体的には、釣糸ガイドにおける装着脚部を釣竿本体の外周面に載置した状態で、装着脚部ごと装着用糸を釣竿本体に巻き付けることで、釣糸ガイドの装着を行う場合が多い。なお、釣糸ガイドの装着の際、必要に応じて合成樹脂(エポキシ系の合成樹脂等)を利用して装着用糸の巻付け部分を被覆している。
【0004】
釣糸ガイドの装着に関し、例えば下記特許文献1には、釣竿本体の外周面にパイプ等の下体層を形成し、この下体層上に装着脚部を載置した状態で、釣糸ガイドを装着用糸の巻付けによって釣竿本体に装着した釣竿が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
釣糸ガイドは、釣糸を単に案内する役割だけでなく、先に述べたように魚信によって釣糸に力が加わった際に、その力を受け止めて釣竿本体に伝える役割を担っている。そのため、釣糸ガイドは、釣竿本体の外周面に適切に固定されていることが必要とされている。
【0007】
特に、対象魚の動きによって釣糸が釣竿本体の左右方向に引っ張られた場合には、釣糸ガイドに対して、釣竿本体の周方向側に捩じれるような横向きの力が作用する。そのため、従来の釣糸ガイドでは、上述の横向きの力の影響によって釣竿本体の周方向に捩じれるような挙動が釣糸ガイドに生じ易く、がたつき、緩み等を招いてしまう可能性があった。さらには、釣行時に釣糸ガイドが釣竿本体から外れてしまう等の懸念も考えられる。
【0008】
なお、対象魚の動きによって釣糸が左右方向に引っ張られた際、竿先側に配置される釣糸ガイドほど、上述の横向きの力が集中して作用し易い。そのため、上述した不都合は、竿先側に配置される釣糸ガイドに生じ易い。
【0009】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、釣竿本体の周方向に捩じれるようなガイド部材の挙動を抑制することができる固定補助具、及び釣竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る固定補助具は、釣竿本体の長手方向に延びる脚部を有するガイド部材を、前記釣竿本体の外周面に固定するための固定補助具であって、前記脚部と共に装着用糸の巻付けによって前記釣竿本体の外周面に固定される補助具本体を備え、前記補助具本体は、前記釣竿本体の周方向への前記補助具本体に対する前記脚部の移動を規制することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、補助具本体が、釣竿本体の周方向への補助具本体に対する脚部の移動を規制するので、例えば魚信等に起因してガイド部材に外力が加わった際に、釣竿本体の周方向にガイド部材が捩じれてしまう(すなわち釣竿本体の長手方向に対してガイド部材が曲がってしまう)等の挙動を抑制することができる。従って、ガイド部材にがたつきや緩み等が生じ難く、例えば釣行時にガイド部材が外れる等の不都合を生じさせ難くすることができると共に、釣竿としての信頼性の向上化に貢献することができる。
【0012】
(2)前記補助具本体は、前記脚部に沿って前記長手方向に延びるように形成されると共に、前記脚部に対して前記周方向に並ぶように配置されても良い。
【0013】
この場合には、魚信等に起因する外力によって、例えばガイド部材が釣竿本体の周方向に移動しようとしても、補助具本体が脚部の全長に亘ってガイド部材の挙動を抑制することが可能である。従って、ガイド部材の周方向への捩じれをより効果的に抑制することができる。
【0014】
(3)前記補助具本体は、前記脚部に対して前記周方向に並んだ状態で、前記長手方向に間隔をあけて複数配置されても良い。
【0015】
この場合には、魚信等に起因する外力によって、例えばガイド部材が釣竿本体の周方向に移動しようとしても、脚部に沿って並んだ複数の補助具本体によってガイド部材の挙動を抑制することが可能である。従って、ガイド部材の周方向への捩じれをより効果的に抑制することができる。
【0016】
(4)前記補助具本体は、前記釣竿本体の外周面からの高さが、前記脚部のうち前記装着用糸が巻付けられる部分と前記釣竿本体の外周面との間の高さよりも低く形成されても良い。
【0017】
この場合には、脚部に対して装着用糸をより確実に接触させることができ、脚部を十分に押さえ付けながら装着用糸の巻付けを行うことができる。従って、ガイド部材を釣竿本体に対してより強固に固定することができる。
【0018】
(5)前記補助具本体は、前記脚部を挟んで前記周方向の両側に配置されても良い。
【0019】
この場合には、脚部を間に挟み込むように補助具本体を配置できるので、釣竿本体の周方向へのガイド部材の捩じれをさらに効果的に抑制することができる。
【0020】
(6)前記釣竿本体の外周面と前記脚部との間に配置されると共に、前記補助具本体に一体に形成された下方ガイド部を備え、前記下方ガイド部は、前記脚部に沿って前記長手方向に延びるように形成され、前記脚部を下方からガイドしても良い。
【0021】
この場合には、釣竿本体の外周面と脚部との間に下方ガイド部を介在させることができるので、ガイド部材と釣竿本体との直接的な接触を防止することができ、釣竿本体に傷等をつき難くすることができる。さらに、下方ガイド部を利用して例えば接着剤等を保持することができ、接着剤等を利用して下方ガイド部とガイド部材との間を強固に繋ぎとめることが可能となる。
【0022】
(7)前記下方ガイド部は、前記長手方向に沿って前記脚部から離間するように、前記脚部の先端部を超えて延びても良い。
【0023】
この場合には、下方ガイド部と釣竿本体の外周面との接触面積を増やすことができるので、釣竿本体の外周面に固定補助具をより安定して固定することができる。従って、固定補助具を利用してガイド部材をさらに安定して固定することができると共に、釣竿本体の周方向へのガイド部材の捩じれを効果的に抑制することができる。
【0024】
(8)前記下方ガイド部のうち、少なくとも前記脚部の先端部を超えて延びる部分は、前記釣竿本体の径方向への曲げ剛性が前記脚部から離間するにしたがって小さくなるように形成されても良い。
【0025】
この場合には、下方ガイド部のうち、少なくとも脚部の先端部を超えて延びる部分の曲げ剛性が、脚部から離間するにしたがって小さくなるので、例えば魚信によって釣竿本体が曲がった場合であっても、釣竿本体の曲がりに応じて下方ガイド部を曲げ変形させることが可能となる。そのため、固定補助具を有しない従来の釣竿本体と比べても、曲がりに影響を与え難く、釣竿本体が有する曲がり特性を維持することができる。
【0026】
(9)前記下方ガイド部には、前記長手方向に沿って前記下方ガイド部とは逆方向に延びる延長部が形成されても良い。
【0027】
この場合には、下方ガイド部に延長部が形成されているので、釣竿本体の外周面との接触面積をさらに増やすことができ、釣竿本体の外周面に固定補助具をさらに安定して固定することができる。従って、固定補助具を利用してガイド部材を一層安定して固定することができると共に、釣竿本体の周方向へのガイド部材の捩じれを効果的に抑制することができる。
【0028】
(10)前記延長部は、前記釣竿本体の径方向への曲げ剛性が前記下方ガイド部から離間するにしたがって小さくなるように形成されても良い。
【0029】
この場合には、延長部の曲げ剛性が下方ガイド部から離間するにしたがって小さくなるので、例えば魚信によって釣竿本体が曲がった場合であっても、釣竿本体の曲がりに応じて延長部を曲げ変形させることが可能となる。そのため、釣竿本体が有する曲がり特性を維持することができる。
【0030】
(11)本発明に係る釣竿は、釣竿本体と、前記釣竿本体の長手方向に延びる脚部を有するガイド部材と、前記固定補助具と、を備えることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、上述した固定補助具を利用して、釣竿本体の外周面にガイド部材を固定できるので、ガイド部材にがたつきや緩み等が生じ難く、例えば釣行時にガイド部材が外れる等の不都合を生じさせ難くすることができる。従って、高品質且つ信頼性の高い釣竿とすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、魚信等に起因してガイド部材に外力が加わった際に、釣竿本体の周方向にガイド部材が捩じれてしまう等の挙動を抑制することができる。従って、ガイド部材にがたつきや緩み等が生じ難く、例えば釣行時にガイド部材が外れる等の不都合を生じさせ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態を示す図であって、釣竿の竿先側の側面図である。
【
図2】
図1に示す釣糸ガイド及び固定補助具の周辺を拡大した斜視図である。
【
図3】
図2に示す釣竿本体、釣糸ガイド及び固定補助具の縦断面図である。
【
図4】
図2に示す状態から被覆層及び装着用糸を外した状態を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態における固定補助具の変形例を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態における固定補助具の別の変形例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第2実施形態を示す図であって、釣糸ガイド及び固定補助具の周辺を拡大した斜視図である。
【
図9】第2実施形態における固定補助具の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態の釣竿1は、竿軸線Oに沿って配置される釣竿本体2と、釣糸5をガイド(案内)する釣糸ガイド(本発明に係るガイド部材)3と、釣糸ガイド3を釣竿本体2の外周面に固定するための固定補助具4と、を備えている。
なお、本実施形態の釣竿1は、例えば磯竿、船竿、投竿、バスロッド、ソルトウォータロッド等として好適な、いわゆる外通し竿とされている。
【0035】
(釣竿本体)
釣竿本体2は、例えば竿軸線Oに沿って配置された複数の竿体が継ぎ合わされた、いわゆる並継式とされている。ただし、複数の竿体の継形式は、並継式に限定されるものではなく、振出形式等、公知の継式であっても構わない。さらには、釣竿本体2は、複数の竿体で構成される場合に限定されるものではなく、例えば継ぎ目のない、いわゆるワンピースロッドタイプであっても構わない。
なお、釣竿本体2を複数の竿体で構成する場合には、例えば2本の竿体で構成される、いわゆる2ピースロッドの釣竿、3本の竿体で構成される、いわゆる3ピースロッドの釣竿としても構わないし、さらには4本以上の竿体で構成される釣竿としても構わない。
【0036】
釣竿本体2の尻手側には、両軸受リール等の図示しない魚釣用リールがリールシートを利用して装着されている。魚釣用リールから繰り出された釣糸5の先端には、魚種に対応した図示しない仕掛けがセットされている。
【0037】
本実施形態では、釣竿本体2の無負荷状態(すなわち湾曲せずに真直している状態)において、竿軸線Oに沿う方向を前後方向L1と定義する。また、前後方向L1において、魚釣用リールから釣糸5が繰り出される方向を前方といい、その反対方向を後方という。
さらに竿軸線O方向から見て、竿軸線Oに交差する方向を径方向といい、径方向のうち竿軸線Oから魚釣用リールに向かう方向を上方、その反対方向を下方という。さらに、前後方向L1及び上下方向L2の2方向に対して略直交するように交差する方向を左右方向L3という。
【0038】
(釣糸ガイド)
図1に示すように、釣糸ガイド3は、釣竿本体2の全長に亘って前後方向L1に間隔をあけて複数配置されている。複数の釣糸ガイド3のうち、最も竿先側に位置する釣糸ガイド3は、いわゆるトップガイド3aとされている。
本実施形態では、複数の釣糸ガイド3のうち、トップガイド3aを除く、残りの釣糸ガイド3が固定補助具4を利用して釣竿本体2の外周面に固定されている。
【0039】
ただし、トップガイド3aを除く残りの釣糸ガイド3の全てについて、固定補助具4を利用して釣竿本体2の外周面に固定する必要はなく、トップガイド3aを除く少なくとも1つの釣糸ガイド3について、固定補助具4を利用して釣竿本体2の外周面に固定すれば良い。
具体的に本実施形態では、
図1に示すように、竿先側から尻手側に向けて2番目~6番目に位置する、合計5つの釣糸ガイド3が、固定補助具4を利用して釣竿本体2の外周面に固定される場合を例に挙げて説明する。
【0040】
図2~
図4に示すように、釣糸ガイド3は、該釣糸ガイド3を釣竿本体2に取り付けるための固定脚部(本発明に係る脚部)10と、固定脚部10の前端部10aに一体に形成されたリング保持部11と、を備えている。
なお、釣糸ガイド3の材質は特に限定されるものではない。例えばチタン合金等の金属製としても構わないし、合成樹脂材料(熱可塑性樹脂等)による射出成形によって形成された合成樹脂製としても構わない。合成樹脂製の釣糸ガイド3とする場合には、例えば合成樹脂材料にカーボン繊維等の強化繊維を含有させても構わない。
【0041】
固定脚部10は、釣竿本体2の長手方向、すなわち前後方向L1に沿って延びるように形成されている。固定脚部10は、左右方向L3に沿った横幅W1が前後方向L1に一定幅となるように形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、固定脚部10は、リング保持部11との接続部分である前端部10aから後端部10bに向かって、横幅W1が漸次幅狭、或いは段階的に幅狭となるように形成されても構わない。
【0042】
さらに固定脚部10は、上下方向L2に沿った厚みが左右方向L3に沿った横幅W1よりも小さく、且つ前後方向L1に一定厚みとされた薄板状に形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、固定脚部10は、リング保持部11との接続部分である前端部10aから後端部10bに向かって、厚みが漸次薄く或いは段階的に薄くなるように形成されても構わない。
【0043】
リング保持部11は、固定脚部10の前端部10aから上方に向けて所定角度で立ち上がるように形成されている。具体的には、リング保持部11は前方側を向いた前端面と釣竿本体2の外周面との間の角度θが鋭角となるように形成され(
図3参照)、これによって前方側に向けて倒れ込んだ姿勢となるように形成されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、リング保持部11は固定脚部10に対して直角、すなわち釣竿本体2の径方向に沿って立ち上がるように形成されていても構わない。
【0044】
リング保持部11には、該リング保持部11を前後方向L1に貫通するリング装着孔11aが形成されている。リング装着孔11aの内側には、釣糸5を案内するためのガイドリング12が固定されている。
ガイドリング12は、例えば耐摩耗性に優れた硬質材料によって環状に形成され、リング装着孔11aの内側に例えば圧入等によって強固に組み合わされている。図示の例では、ガイドリング12を円環状に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば楕円状や長円形状の外形形状を有するガイドリング12としても構わない。
なお、硬質材料としては、特に限定されるものではないが、例えばシリコンカーバイト(SiC)等のセラミック、或いはチタン合金等の金属材料等を利用することが可能である。
【0045】
上述のように構成された釣糸ガイド3は、
図2に示すように、固定脚部10が固定補助具4と共に、装着用糸6によって釣竿本体2の外周面に巻き付けられることで、釣竿本体2の外周面に固定される。これについては、後に説明する。
【0046】
(固定補助具)
図2~
図5に示すように、固定補助具4は、固定脚部10と共に装着用糸6の巻付けによって、釣竿本体2の外周面に固定される。
固定補助具4は、釣竿本体2の外周面と固定脚部10との間に配置されたベース部(本発明に係る下方ガイド部)20と、釣竿本体2の周方向への固定脚部10の移動を規制する補助具本体21と、ベース部20から竿先側に向かう前方に向けて延びた前方延長部(本発明に係る延長部)22と、を備えている。
【0047】
ベース部20は、固定脚部10に沿って前後方向L1に延びるように形成され、且つ所定の厚みを有する薄板状に形成されている。具体的にベース部20は、前端部20aが固定脚部10における前端部10aの下方に位置し、該前端部20aから釣竿本体2の竿尻側に向かう後方に向けて延びるように形成されている。
さらにベース部20は、固定脚部10から離間するように、固定脚部10の後端部10bを超えて後方側に向けて延びるように形成されている。従って、ベース部20の後端部20bは、固定脚部10の後端部10bよりも後方側に位置している。これにより、ベース部20は、固定脚部10の全体を下方からガイドしている。
【0048】
さらにベース部20は、全長に亘って、左右方向L3に沿った横幅W2(
図5参照)が固定脚部10の横幅W1よりも幅広に形成されている。またベース部20の横幅W2は、該ベース部20の前端部20aにおいて最も大きく形成されていると共に、前端部20aから後端部20bに向かうにしたがって漸次幅狭となるように形成されている。
従って、ベース部20の全体は、前端部20aから後端部20bに向かうにしたがって、釣竿本体2の径方向への曲げ剛性が小さくなるように形成されている。なお、ベース部20の後端部20bは、後方側に向けて凸となる半円形状に形成されている。
【0049】
補助具本体21は、固定脚部10に沿って前後方向L1に長く形成されると共に、固定脚部10に対して釣竿本体2の周方向に並ぶように隣接配置されている。
具体的に補助具本体21は、固定脚部10を挟んで周方向の両側にそれぞれ配置されるように、2つ設けられている。これにより、2つの補助具本体21は、固定脚部10を間にして左右方向L3に平行に並ぶように配置されている。
【0050】
さらに2つの補助具本体21は、ベース部20のうち固定脚部10よりも左右方向L3の外側に位置する側縁部上に重なるように一体に形成されている。そのため、補助具本体21は、ベース部20の上面よりも上方に向けて突出している。従って、補助具本体21は、ベース部20上に載置される固定脚部10の周方向への移動を規制することが可能とされている。
【0051】
補助具本体21は、固定脚部10側を向くと共に前後方向L1に延びた平坦な規制壁21aを有している。これにより、外力等によって釣糸ガイド3が釣竿本体2の周方向に移動しようとしても、規制壁21aに対して固定脚部10を接触させることができ、釣糸ガイド3の周方向への移動を規制することが可能とされている。
【0052】
なお、釣糸ガイド3の装着時、規制壁21aと固定脚部10とが互いに接触していても構わないし、規制壁21aと固定脚部10との間に若干の隙間があいていても構わない。
【0053】
さらに補助具本体21は、
図2に示すように、釣竿本体2の外周面からの高さが、固定脚部10において装着用糸6が巻き付けられる部分と釣竿本体2の外周面との間の高さよりも低く形成されている。
なお、本実施形態では、補助具本体21の上面は、後方に向かうにしたがって漸次傾斜した傾斜面とされている。また、
図3に示すように補助具本体21は、全長に亘って、釣竿本体2の外周面からの高さが、固定脚部10において装着用糸6が巻き付けられる部分と釣竿本体2の外周面との間の高さよりも低く形成されている。なお、補助具本体21の少なくとも一部における釣竿本体2の外周面からの高さが、固定脚部10において装着用糸6が巻き付けられる部分の少なくとも一部と釣竿本体2の外周面との間の高さよりも低く形成されていれば構わない。
【0054】
図2~
図5に示すように、ベース部20のうち固定脚部10よりも後方側に位置する後端部20bは、補助具本体21の上記傾斜に対応して、後方側に向かうにしたがって厚みが漸次薄くなるように形成されている。この点においてもベース部20は、後端部20bに向かうにしたがって、釣竿本体2の径方向への曲げ剛性が小さくなるように形成されている。
【0055】
上述のように、ベース部20上に固定脚部10を間にして2つの補助具本体21が形成されているので、ベース部20上には各固定脚部10の規制壁21aによって囲まれた凹部23が形成されている。釣糸ガイド3は、この凹部23内に配置された状態でベース部20上に載置される。
【0056】
前方延長部22は、ベース部20における前端部20aから前後方向L1に沿ってさらに前方に向けて延びるように形成されている。つまり、前方延長部22は、ベース部20とは逆方向に向けて延びるように形成されている。
【0057】
前方延長部22は、全長に亘って、左右方向L3に沿った横幅W3が固定脚部10の横幅W1よりも幅広に形成されている(
図5参照)。そのうえで、前方延長部22の横幅W3は、ベース部20との接続部分である後端部22bにおいて最も大きく形成されていると共に、後端部22bから前端部22aに向かうにしたがって漸次幅狭となるように形成されている。それに加え、前方延長部22は、前端部22aに向かうにしたがって厚みが漸次薄くなるように形成されている。
【0058】
従って、前方延長部22の全体は、後端部22bから前端部22aに向かうにしたがって、釣竿本体2の径方向への曲げ剛性が小さくなるように形成されている。なお、前方延長部22の前端部22aは、前方側に向けて凸となる半円形状に形成されている。
【0059】
上述のように構成された固定補助具4の材料としては、特に限定されるものではないが、釣竿本体2の曲がり特性に影響を与え難い特性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、釣竿本体2よりも曲がり易い軟質な(柔軟性を有する)材料、例えば合成樹脂材料(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等が挙げられる。この際、耐食性、耐水性、耐摩耗性等を考慮して、合成樹脂材料を選択すれば良い。
また、合成樹脂製の固定補助具4とする場合には、例えば合成樹脂材料にカーボン繊維等の強化繊維を含有させても構わない。
【0060】
(釣糸ガイドの固定)
次に、上述のように構成された固定補助具4を利用して、釣竿本体2の外周面に釣糸ガイド3を固定する場合について、簡単に説明する。
【0061】
はじめに、釣竿本体2の外周面のうち、釣糸ガイド3の装着予定位置に固定補助具4をセットすると共に仮固定しておく。例えば釣竿本体2の外周面に、合成樹脂(エポキシ系の合成樹脂等)を塗布しておき、この合成樹脂を利用して固定補助具4を釣竿本体2の外周面に仮固定しても構わない。
【0062】
次いで、
図4に示すように固定補助具4に対して釣糸ガイド3を仮組みする。具体的には、固定補助具4におけるベース部20上の凹部23内に固定脚部10を載置することで、釣糸ガイド3を固定補助具4にセットする。この際、例えば上述した合成樹脂を利用して、固定補助具4に対して釣糸ガイド3を仮組みすることが可能である。
【0063】
次いで、
図2及び
図3に示すように、釣糸ガイド3の固定脚部10及び固定補助具4の補助具本体21を径方向の外側から巻回するように、固定脚部10及び補助具本体21ごと釣竿本体2に装着用糸6を巻き付ける。具体的には、少なくとも固定脚部10を全長に亘って囲むように、装着用糸6を螺旋状に密巻きする。
さらに、釣糸ガイド3の前方延長部22を径方向の外側から巻回するように釣竿本体2に装着用糸6を巻き付ける。具体的には、前方延長部22を全長に亘って囲むように、装着用糸6を螺旋状に密巻きする。
【0064】
なお、装着用糸6の巻付けの際、固定脚部10及び固定補助具4側を先に巻き付けた後に前方延長部22側を巻き付けても構わないし、その逆に前方延長部22側を先に巻き付けた後に固定脚部10及び固定補助具4側を巻き付けても構わない。さらには、固定脚部10及び固定補助具4側の巻き付けと、前方延長部22側の巻き付けとを、バランスよく同時に行っても構わない。
なお、装着用糸6としては、例えば綿糸、麻等の植物繊維糸、ナイロン糸等、公知のものを利用することが可能である。
【0065】
最後に、少なくとも装着用糸6の巻付け部分に上述した合成樹脂を塗布することで、巻付け部分を保護する被覆層7を形成する。その結果、
図1に示すように、釣竿本体2の外周面に、固定補助具4を利用して複数の釣糸ガイド3を固定することができる。
【0066】
(釣竿の作用)
次に、上述のように構成された釣竿1を使用する場合について説明する。
この釣竿1によれば、例えば魚信等に起因して釣糸5から釣糸ガイド3に外力が加わり、それによって釣糸ガイド3が釣竿本体2の周方向に捩じれるような動きをしようとしても、補助具本体21が、釣竿本体2の周方向への該補助具本体21に対する固定脚部10の移動を規制することができる。これにより、釣糸ガイド3に外力が加わった場合であっても、釣竿本体2の周方向に釣糸ガイド3が捩じれてしまう(すなわち釣竿本体2の長手方向に対して釣糸ガイド3が曲がってしまう)等の挙動を抑制することができる。
【0067】
従って、釣糸ガイド3にがたつきや緩み等が生じ難く、例えば釣行時に釣糸ガイド3が外れる等の不都合を生じさせ難くすることができると共に、釣竿1としての信頼性の向上化に貢献することができる。その結果、高品質且つ信頼性の高い釣竿1とすることができる。
【0068】
特に本実施形態では、
図1に示すように、竿先側から尻手側に向けて2番目~6番目に位置する、合計5つの釣糸ガイド3について固定補助具4を利用して固定している。そのため、竿先側に位置する釣糸ガイド3についての捩じれ等を効果的に抑制することができる。
従って、竿先側が曲がり易い、いわゆる先調子の釣竿1として好適に利用することができ、例えばイカ専用ロッド或いはカワハギ専用ロッド等として用いることができる。
【0069】
さらに補助具本体21は、固定脚部10に沿って前後方向L1に延びた状態で固定脚部10に対して周方向に並ぶように配置されている。そのため、魚信等に起因する外力によって釣糸ガイド3が釣竿本体2の周方向に移動しようとしても、補助具本体21の規制壁21aが固定脚部10の全長に亘って接触することで、釣糸ガイド3の挙動を抑制することが可能である。従って、釣糸ガイド3の周方向への捩じれを効果的に抑制することができる。しかも、補助具本体21が固定脚部10を挟んで周方向の両側に配置されているので、釣糸ガイド3の周方向への捩じれをより一層効果的に抑制することができる。
【0070】
さらに補助具本体21は、全長に亘って釣竿本体2の外周面からの高さが、固定脚部10のうち装着用糸6が巻付けられる部分と釣竿本体2の外周面との高さよりも低く形成されている。そのため、装着用糸6の巻付けの際、固定脚部10に対して装着用糸6をより確実に接触させることができ、固定脚部10を十分に押さえ付けながら巻付けを行うことができる。従って、釣糸ガイド3を釣竿本体2に対して強固に固定することができる。
【0071】
さらに固定補助具4は、釣竿本体2の外周面と固定脚部10との間に配置され、固定脚部10を下方からガイドするベース部20を備えている。従って、釣糸ガイド3における固定脚部10と釣竿本体2との直接的な接触を防止することができ、釣竿本体2に傷等をつき難くすることができる。さらに、ベース部20における凹部23を利用して例えば被覆層7を構成する合成樹脂を保持することができ、合成樹脂を利用してベース部20と固定脚部10との間を強固に繋ぎとめることが可能となる。
【0072】
さらに、ベース部20は固定脚部10よりも長く形成され、その後端部20bは固定脚部10の後端部10bよりも後方側に位置している。それに加え、ベース部20には前方に向かって前方延長部22が形成されている。
従って、固定補助具4と釣竿本体2の外周面との接触面積を十分に確保することができるので、釣竿本体2の外周面に固定補助具4をより安定して固定することができる。従って、固定補助具4を利用して釣糸ガイド3をより一層安定に固定することができると共に、釣竿本体2の周方向への釣糸ガイド3の捩じれを効果的に抑制することができる。
【0073】
しかもベース部20の後端部20bは、後方に向かうにしたがって釣竿本体2の径方向への曲げ剛性が漸次小さくなるように形成されている。同様に、前方延長部22は、前方に向かうにしたがって釣竿本体2の径方向への曲げ剛性が漸次小さくなるように形成されている。
従って、例えば魚信によって釣竿本体2が曲がった場合であっても、釣竿本体2の曲がりに応じてベース部20の後端部20b及び前方延長部22をそれぞれ曲げ変形させることが可能となる。そのため、固定補助具4を有しない従来の釣竿本体2と比べても、曲がりに影響を与え難く、釣竿本体2が有する曲がり特性を維持することができる。
【0074】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、固定脚部10に沿って補助具本体21を前後方向L1に長く形成し、固定脚部10の全長に亘って規制壁21aが周方向に向かい合うように構成したが、この場合に限定されるものではない。例えば、補助具本体21の前後方向L1に沿った長さを、固定脚部10の半分程度の長さとなるように形成しても構わない。
【0075】
また、補助具本体21は前後方向L1に長く形成される場合に限定されるものではない。例えば
図6に示すように、補助具本体21を固定脚部10に対して周方向に並んだ状態で、前後方向L1に間隔をあけて複数形成しても構わない。図示の例では、補助具本体21を凸の円柱状に形成すると共に、前後方向L1に間隔をあけて2つ配置した場合を例に挙げている。なお、
図6では装着用糸6及び被覆層7の図示を省略している。
【0076】
ただし、補助具本体21の形状は円柱状に限定されるものではなく、例えば上方に向かって半球状に膨らむように形成しても構わないし、四角柱等の多角柱状に形成しても構わない。また、補助具本体21の数は2つに限定されるものではなく、前後方向L1に間隔をあけて3つ以上形成しても構わない。
このように構成した場合であっても、釣竿本体2の周方向に釣糸ガイド3が捩じれるような挙動を抑制することが可能である。
【0077】
さらに上記第1実施形態では、固定脚部10を間に挟んで周方向の両側に2つの補助具本体21を配置した構成としたが、補助具本体21の数は2つに限定されるものではない。例えば、
図7に示すように、1つの補助具本体21を具備する固定補助具4としても構わない。この場合であっても、釣竿本体2の周方向に釣糸ガイド3が捩じれるような挙動を抑制することが可能である。ただし、
図2に示すように、固定脚部10を間に挟んで周方向の両側に2つの補助具本体21を配置することがより好ましい。なお、
図7では装着用糸6及び被覆層7の図示を省略している。
【0078】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、固定補助具4がベース部20及び前方延長部22を有していたが、本実施形態の固定補助具はベース部20及び前方延長部22を具備せず、補助具本体のみを備えている。
【0079】
図8に示すように、本実施形態の固定補助具30は、固定脚部10に沿って前後方向L1に長く形成されると共に、固定脚部10に対して周方向に並ぶように隣接配置された補助具本体31を備えている。従って、固定補助具30は、上述したように第1実施形態におけるベース部20及び前方延長部22を具備していない。そのため、本実施形態の釣糸ガイド3は、固定脚部10が釣竿本体2の外周面上に直接的に載置されている。なお、
図8では被覆層7の図示を省略している。
【0080】
補助具本体31は、固定脚部10に対して周方向の一方向側に配置されていると共に、第1実施形態と同様に、固定脚部10側を向くと共に前後方向L1に延びた平坦な規制壁31aを有している。これにより、外力によって釣糸ガイド3が釣竿本体2の周方向に移動しようとしたとしても、規制壁31aに対して固定脚部10を接触させることができ、釣糸ガイド3の周方向への移動を規制することが可能とされている。
【0081】
さらに補助具本体31は、全長に亘って、釣竿本体2の外周面からの高さが、固定脚部10において装着用糸6が巻き付けられる部分と釣竿本体2の外周面との間の高さよりも低く形成されている。なお、補助具本体31の上面は、後方に向かうにしたがって漸次傾斜した傾斜面とされている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、補助具本体31の少なくとも一部における釣竿本体2の外周面からの高さが、固定脚部10において装着用糸6が巻き付けられる部分の少なくとも一部と釣竿本体2の外周面との間の高さよりも低く形成されていれば構わない。
【0082】
このように構成された本実施形態の固定補助具30の場合であっても、魚信等に起因して釣糸5から釣糸ガイド3に外力が加わり、それによって釣糸ガイド3が釣竿本体2の周方向に捩じれるような動きをしようとしても、補助具本体31の規制壁31aが、釣竿本体2の周方向への該補助具本体31に対する固定脚部10の移動を規制することができる。従って、第1実施形態と同様に、釣糸ガイド3に外力が加わった場合であっても、釣竿本体2の周方向に釣糸ガイド3が捩じれてしまう等の挙動を抑制することができる。
【0083】
さらに本実施形態の場合であっても、補助具本体31は、釣竿本体2の外周面からの高さが、固定脚部10のうち装着用糸6が巻付けられる部分と釣竿本体2の外周面との高さよりも低く形成されている。従って、装着用糸6の巻付けの際、固定脚部10に対して装着用糸6をより確実に接触させることができ、固定脚部10を十分に押さえ付けながら巻付けを行うことができる。従って、釣糸ガイド3を釣竿本体2に対して強固に固定することができる。
【0084】
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態において、第1実施形態と同様に、固定脚部10を間に挟んで周方向の両側に並ぶように2つの補助具本体31を配置しても構わない。
さらには
図9に示すように、補助具本体31を、釣竿本体2を径方向の外側から囲むC形状の筒状(すなわち、周方向に分断された筒状)に形成し、その周端壁を固定脚部10に対して周方向から向かい合うように構成しても構わない。なお、
図9では装着用糸6及び被覆層7の図示を省略している。
【0085】
この場合には、周端壁を規制壁31aとして利用することができる。そのため、1つの補助具本体31でありながら、固定脚部10を間に挟んで周方向の両側に規制壁31aを配置することができ、釣竿本体2の周方向に釣糸ガイド3が捩じれてしまう等の挙動を、より効果的に抑制することが可能である。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0087】
例えば、上記各実施形態において、固定補助具を釣竿本体とは別体構成としたが、別体ではなく、釣竿本体と固定補助具とを一体構成としても構わない。すなわち、釣竿本体の外周面に補助具本体が予め一体的に形成されていても構わない。
【0088】
さらに、上記各実施形態では、竿先側から尻手側に向けて延びる1本の固定脚部を有する釣糸ガイドを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば固定脚部を前後に2つ有する釣糸ガイドの場合であっても、本発明に係る固定補助具を用いることができる。例えば、この場合にはそれぞれの固定脚部に対して、
図5に示す固定補助具4をそれぞれ用いても構わないし、
図5に示す固定補助具4を互いに逆向きに2つ連結した状態で用いても構わない。
【符号の説明】
【0089】
1…釣竿
2…釣竿本体
3…釣糸ガイド(ガイド部材)
4、30…固定補助具
6…装着用糸
10…固定脚部(脚部)
20…ベース部(下方ガイド部)
22…前方延長部(延長部)