(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ヒュージブルリンクユニット
(51)【国際特許分類】
H01H 85/20 20060101AFI20240305BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01H85/20 B
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2020085859
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松村 記夫
(72)【発明者】
【氏名】滝井 健弥
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190643(JP,A)
【文献】特開2009-110843(JP,A)
【文献】特開2014-220932(JP,A)
【文献】特開2009-070653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/20
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子の先端部が設置され、前記先端部が設置されたときに、前記先端部の周りに空間が形成されるように構成されている先端部設置部と、
前記端子の電線カシメ部が当接することで、前記端子を前記先端部設置部に設置するときの、前記端子の回り止めをする回転規制部と、
を有
し、
前記電線カシメ部は少なくとも一部が円筒状に形成されており、前記回転規制部の前記電線カシメ部の円弧に当接する部位が、前記電線カシメ部の円筒の中心軸の延伸方向で見て、凹状もしくは凸状の円弧状に形成されているヒュージブルリンクユニット。
【請求項2】
バッテリ端子を介してバッテリに設置するときに前記バッテリ端子に係合するバッテリ端子設置部を有し、
前記バッテリ端子設置部を用いて前記バッテリに設置されるときに、前記回転規制部が前記バッテリの側面に当接することで、回り止めがされるように構成されている請求項1に記載のヒュージブルリンクユニット。
【請求項3】
前記回転規制部の前記バッテリの側面に当接する部位を上下方向で見ると、鈍角の角部で形成されているかもしくは円弧状に形成されている請求項2に記載のヒュージブルリンクユニット。
【請求項4】
前記端子を前記先端部設置部に設置するときには、前記端子の電線カシメ部が前記回転規制部に当接する態様のみで、前記端子の回り止めがされるように構成されている請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のヒュージブルリンクユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒュージブルリンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリ端子を介してバッテリのバッテリポストに設置されるヒューズユニット(ヒュージブルリンクユニット)であって、電線付き端子が設置されるものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来のヒューズユニットでは、このヒューズユニットから突出しているオスネジとこのオスネジに螺合しているナットをと用いて、端子が設置されている。この設置のときのナットの締め付けによって端子が回転してしまうことを防止するために、端子の側面をヒューズユニットの側面(頭)に当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のヒューズユニットでは、端子の側面(頭)をヒューズユニットの側面に当接させることで端子が回転しないようにしているので、端子の側面の形状に変更が生じた場合に、端子の回転を抑えることができない場合があるという問題がある。さらには、端子の側面の形状に変更が生じた場合、端子を設置することができなくなるという問題がある。なお、端子の先端部の形状が変わった場合も、同様の問題が発生する。
【0006】
本発明は、設置される端子の先端部の形状が変わった場合であっても、端子を設置し、また、端子を設置するときの回り止めをすることができるヒュージブルリンクユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るヒュージブルリンクユニットは、端子の先端部が設置され前記先端部が設置されたときに前記先端部の周りに空間が形成されるように構成されている先端部設置部と、前記端子の電線カシメ部が当接することで前記端子を前記先端部設置部に設置するときの前記端子の回り止めをする回転規制部とを有するヒュージブルリンクユニットである。
【0008】
また、本発明の態様に係るヒュージブルリンクユニットは、バッテリ端子を介してバッテリに設置するときに前記バッテリ端子に係合するバッテリ端子設置部を有し、前記バッテリ端子設置部を用いて前記バッテリに設置されるときに前記回転規制部が前記バッテリの側面に当接することで回り止めがされるように構成されているヒュージブルリンクユニットである。
【0009】
また、本発明の態様に係るヒュージブルリンクユニットは、前記回転規制部の前記バッテリの側面に当接する部位を上下方向で見ると、鈍角の角部で形成されているかもしくは円弧状に形成されているヒュージブルリンクユニットである。
【0010】
また、本発明の態様に係るヒュージブルリンクユニットは、前記電線カシメ部は少なくとも一部が円筒状に形成されており、前記回転規制部の前記電線カシメ部が当接する部位は、平面状に形成されており、前記電線カシメ部の円筒がこの母線で、前記回転規制部の平面に当接するように構成されているヒュージブルリンクユニットである。
【0011】
また、本発明の態様に係るヒュージブルリンクユニットは、前記端子を前記先端部設置部に設置するときには、前記端子の電線カシメ部が前記回転規制部に当接する態様のみで、前記端子の回り止めがされるように構成されているヒュージブルリンクユニットである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設置される端子の先端部の形状が変わった場合であっても、端子を設置し、また、端子を設置するときの回り止めをすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】端子付き電線とバッテリ端子とが設置されている本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの4面図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニットに設置される端子付き電線の斜視図である。
【
図7】(a)(b)は本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの回転規制部を概略的に示す図である。(c)(d)は(a)に対応して図であって変形例に係るヒュージブルリンクユニットの回転規制部を示す図である。
【
図8】端子付き電線とバッテリ端子とが設置されている比較例に係るヒュージブルリンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニット(ヒューズユニット)1は、
図2で示すように、たとえば、バッテリ端子3を介して車両のバッテリ5(バッテリポスト6)に一体的に設置されて使用されるものである。
【0015】
ヒュージブルリンクユニット1は、
図1~
図5で示すように、バスバー7と絶縁性を備えた樹脂部9とを備えて構成されている。樹脂部9は、バスバー7の一部が露出するようにバスバー7を覆っているとともにバスバー7に一体的に設けられている。なお、バスバー7には、ヒューズ部(図示せず)等が形成されている。
【0016】
また、ヒュージブルリンクユニット1は、ヒュージブルリンクユニット本体部11とバッテリ端子設置部13と先端部設置部15と回転規制部(回動規制部)17とを備えて構成されている。なお、バッテリ端子設置部13をバッテリ係合部と呼んでもよいし、先端部設置部を先端平板部設置部もしくは端子先端部設置部と呼んでもよい。バッテリ端子設置部13、先端部設置部15、回転規制部17は、ヒュージブルリンクユニット本体部11に設けられている。
【0017】
ここで説明の便宜のために、水平な所定の一方向を縦方向とし、水平な所定の他の一方向であって縦方向に対して直交する方向を横方向とし、縦方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向(高さ方向)とする。
【0018】
先端部設置部15には、電線付き端子19の先端部21が設置されるようになっている。先端部設置部15に端子19の先端部21が設置されたときには、先端部21の周りに空間(先端部周辺空間;先端部周辺余剰空間)23が形成されるようになっている。
【0019】
端子19の先端部21はたとえば平板状に形成されている。また、先端部21はたとえばネジ25を用いて先端部設置部15に設置されるようになっている。先端部設置部15ではバスバー7が露出し、先端部設置部15に設置された端子19は、バスバー7と導通するようになっている。
【0020】
回転規制部17には、端子19の電線カシメ部27が当接するようになっている。そして、端子19を先端部設置部15に設置するときにおける端子19の回り止めがされるようになっている。なお、回転規制部17は、樹脂部9の一部で構成されている。
【0021】
電線29(
図6等参照)は、たとえば可撓性を備えており、金属等の導電体で構成されている複数本の素線で構成されている導体31と、樹脂等の絶縁体で構成されており導体31を覆っている被覆33とを備えて構成されている。なお、導体31が1本の素線もしくは数本の素線で構成されている場合もある。
【0022】
電線29の長手方向の一方の端部(第1の端部;上端部)では、被覆33が除去されており、導体31が所定の長さにわたって露出している。電線29は、ほぼ上下方向に延びている。これにより、電線29の上端部で導体31が露出している。
【0023】
端子19は、平板状で所定形状に形成されている材料を適宜曲げて塑性変形させた状態の立体的な形状に形成されている。また、端子19は、上述した先端部21と電線カシメ部(導体カシメ部)27とに加えて連結部35を備えて構成されている。
【0024】
先端部21は、厚さ方向が上下方向と一致している。上下方向で見ると、たとえば円形状に形成されている貫通孔37が先端部21の中央部に設けられている。ヒュージブルリンクユニット1の先端部設置部15は、平面状部39とスタッドボルト(オスネジ)41とを備えて構成されており、平面状部39の平面は、上下方向に対して直交しているとともに上側を向いている。スタッドボルト41は、平面状部39の上面の中央で、平面状部39から上側に直立している。
【0025】
端子19をヒュージブルリンクユニット1に設置するときには、端子19の先端部21の下面が平面状部39の上面に面接触するとともに、ヒュージブルリンクユニット1のスタッドボルト41が、先端部21の貫通孔37を通り抜けるようになっている。
【0026】
この状態で、スタッドボルト41にナット43を螺合させ、平面状部39とナット43とで端子19の先端部21を締め付けることで、端子19がヒュージブルリンクユニット1に一体的に設置されるようになっている。なお、スタッドボルト41とナット43とは、上述したネジ25に該当する。
【0027】
また、端子19を先端部設置部15に設置する途中の状態(ナット43を締め付けている状態)では、端子19に回転モーメントがかかり、この回転モーメントによって、端子19の電線カシメ部27が回転規制部17に当接するようになっている。
【0028】
端子19をヒュージブルリンクユニット1に一体的に設置し終えた状態を、上下方向で見ると、平面状部39の内側に端子19の先端部21が入っている。これにより、端子19の先端部21の周りに先端部周辺空間(先端部周りの空間)23が形成されている。
【0029】
先端部周辺空間23についてさらに説明する。平面状部39の外周の一部からは、壁部(平面状部周辺壁部)45が上側に起立している。平面状部39の外周の一部とは、端子19をヒュージブルリンクユニット1に設置し終えた状態で、端子19の連結部35とつながっていない先端部21の外周の部位に対向している部位である。
【0030】
先端部周辺空間23は、平面状部周辺壁部45と連結部35とつながっていない先端部21の外周の部位との間に形成されている。先端部周辺空間23が形成されることで、端子19の先端部21の形状(平面の大きさ)を変えても、端子19の先端部21を先端部設置部15に設置することができる。すなわち、先端部21と平面状部周辺壁部45との干渉を避け、端子19をヒュージブルリンクユニット1に設置することができる。
【0031】
端子19の連結部35は、先端部21と導体カシメ部27との間にあって、先端部21と導体カシメ部27とをつないでいる。横方向で見ると連結部35は、中間部が折れ曲がっていることで「L」字状に形成されている。
【0032】
端子19の先端部21が先端部設置部15に設置された状態、すなわち、端子19がヒュージブルリンクユニット1に設置された状態では、連結部35の周りにも空間(連結部周辺空間)47が形成されるようになっている。連結部周辺空間47が形成されることで、端子19の連結部35の形状を変えても、端子19の連結部35がヒュージブルリンクユニット1に干渉することを避け、端子19をヒュージブルリンクユニット1に設置することができる。
【0033】
導体カシメ部27は、たとえば2つの円筒状部位で形成されており、内側に電線29の導体31が入り込んでおり、付勢力をもって導体31を保持している。これにより、端子19と電線29とが一体化している。また、導体カシメ部27の2つの円筒の中心軸はお互いが平行になって、概ね上下方向に延びている。
【0034】
なお、導体カシメ部27が、1つの円筒状部位で形成されていてもよいし、その他の形状になっていてもよい。たとえば円筒以外の筒状になっていてもよい。さらに、導体カシメ部27がたとえば平板状の部位を備えた形状に形成されており、上記平板状の部位に電線29の導体31がハンダもしくは超音波接合等によって接合されていてもよい。この場合には、導体カシメ部27を導体接合部と呼ぶべきであろう。
【0035】
さらに、導体カシメ部27が平板状の部位を備えた形状に形成されている場合、上下方向で見て、導体カシメ部27が「L」字状等も形状に形成されているものとする。そして、「L」字の一方の直線部に電線29の導体31が接合されており、「L」字の他方の直線部(ある程度の広さをもった平面状の部位)が、回転規制部17に当接するようにしてもよい。さらに、「L」字の直線部が円弧状に形成されていてもよい。
【0036】
また、導体カシメ部27の下端部には、ベルマウス部49が設けられている。さらに説明すると、導体カシメ部27の上側の大部分は、円筒状になっている導体カシメ部本体部51になっており、導体カシメ部27の下側の僅かな部位が、ベルマウス部49になっている。さらに、横方向で見ると、連結部35が「L」字状に形成されていることで、端子19も、「L」字状に形成されており、端子19の導体カシメ部27の下端から電線29が下側に向かって延びている。端子19の下端と電線29の被覆33の上端とは僅かに離れている。
【0037】
なお、電線付き端子19では、導体31のみを導体カシメ部27で保持しているが、導体31に加えて電線29の被覆33を電線カシメ部27の例である被覆カシメ部で保持していてもよい。この場合、被覆カシメ部は、導体カシメ部の下側に設けられる。また、被覆カシメ部は、1つの円筒状部位で形成されており、内側に被覆33が備わっている電線29が入り込んでおり、付勢力をもって電線29の被覆33を保持している。
【0038】
ヒュージブルリンクユニット1には、上述したように、バッテリ端子設置部(バッテリ端子係合部)13が設けられている。バッテリ端子設置部13は、バッテリ端子3を介してバッテリ5にヒュージブルリンクユニット1を設置するときにバッテリ端子3に係合するようになっている。バッテリ端子設置部13は、ヒュージブルリンクユニット本体部11に設けられており、バッテリ端子設置部13には、バッテリ端子3が設置されるようになっている。
【0039】
なお、バッテリ端子3を用いることなく、ヒュージブルリンクユニット1がバッテリポスト6に直接設置されるようにしてもよい。この場合、バッテリ端子設置部13に代えてバッテリポスト係合部(バッテリポスト設置部)が設けられることになる。
【0040】
ヒュージブルリンクユニット1は、たとえばネジ55を用いてバッテリ端子3に一体的に設置されるようになっている。したがって、ヒュージブルリンクユニット1をバッテリ端子3に設置する途中の状態では、ヒュージブルリンクユニット1に回転モーメントがかかってしまう。
【0041】
そこで、バッテリ端子3を用いてヒュージブルリンクユニット1をバッテリ5に設置するときに、回転規制部17がバッテリ5の側面70に当接するようになっている。そして、バッテリ端子設置部13回りでの、ヒュージブルリンクユニット1の回り止めがされるように構成されている。同様にして、バッテリポスト6回りでの、ヒュージブルリンクユニット1の回り止めがされるように構成されている。
【0042】
バッテリ5は、直方体状のバッテリ本体部56と、円柱状に形成されておりバッテリ本体部56の上面から上側に突出している一対のバッテリポスト6とを備えて構成されている。バッテリ5の側面70とは、バッテリ本体部56の側面である。
【0043】
バッテリ端子3は、バッテリ端子本体部57と、バッテリポスト6と係合するバッテリポスト係合部59と、ヒュージブルリンクユニット1と係合するヒュージブルリンクユニット係合部61とを備えて構成されている。
【0044】
バッテリポスト係合部59は、バッテリ端子本体部57の一方の端部である第1の端部に設けられており、ヒュージブルリンクユニット係合部61は、バッテリ端子本体部57の他方の端部である第2の端部に設けられている。
【0045】
バッテリ端子3は、
図2で示すように、ボルトとナットとを用いてバッテリポスト6を締め付けるようになっている。これにより、バッテリ端子3がバッテリ5に一体的に設置されるようになっている。
【0046】
バッテリ端子3のヒュージブルリンクユニット係合部61は、バッテリ端子本体部57から突出しているオスネジ部63とこのオスネジ部に螺合するナット65とを備えて構成されている。なお、上述したネジ55は、オスネジ部63とナット65とで構成されている。
【0047】
ヒュージブルリンクユニット1のバッテリ端子設置部13は、ヒュージブルリンクユニット本体部11に設けられた円柱状の貫通孔67を備えて構成されている。バッテリ端子3のオスネジ部63を、ヒュージブルリンクユニット1の貫通孔67に通し、ヒュージブルリンクユニット本体部11から突出しているオスネジ部63に螺合しているナット65を締める。これにより、ヒュージブルリンクユニット1がバッテリ端子3に一体的に設置されるようになっている。
【0048】
ヒュージブルリンクユニット1の回転規制部17のバッテリ5の側面70に当接する部位を上下方向で見ると、
図7(a)(b)で示すように、鈍角の角部69で形成されている。なお、角部69が
図7(c)で示すように、円弧状に形成されていてもよい。
【0049】
電線カシメ部27は少なくとも一部が円筒状に形成されており、回転規制部17の電線カシメ部27が当接する部位71が、平面状に形成されている。そして、電線カシメ部27の円筒がこの母線で、回転規制部17の平面71に当接するように構成されている。
【0050】
さらに説明すると、電線カシメ部27の少なくとも一部が円筒状に形成されていることで、この円筒の中心軸の延伸方向で見ると、電線カシメ部27の回転規制部17の平面71に当接する部位が円弧状に形成されている。
【0051】
なお、回転規制部17の電線カシメ部27の円弧に当接する部位71が、
図7(d)で示すように、電線カシメ部27の円筒の中心軸の延伸方向で見て、凹状もしくは凸状の円弧状に形成されていてもよい。
図7(d)は、凹状円弧状に形成されている態様を示している。回転規制部17の電線カシメ部27の円弧に当接する部位71凸状の円弧状に形成されている態様では、円弧が
図7(d)の右側に突出している形態になる。
【0052】
また、端子19をヒュージブルリンクユニット1の先端部設置部15に設置するときに、先端部周辺空間23と連結部周辺空間47が形成されていることで、端子19の電線カシメ部27が回転規制部17に当接する態様のみで、端子19の回り止めがされるように構成されている。
【0053】
すなわち、
図3で示す寸法L3aの値が、寸法L3bの値よりも小さくなっている。また、連結部35の左側には、大きな空間47が形成されており、
図3で示す状態で連結部35が左側に移動しても、連結部35の左端がヒュージブルリンクユニット1にぶつからないようになっている。
【0054】
ヒュージブルリンクユニット1についてさらに詳しく説明すると、ヒュージブルリンクユニット本体部11は、板状の第1の部位73と板状の第2の部位75とを備えて構成されている。第1の部位73は、この厚さ方向が上下方向になっており、第2の部位75はこの厚さ方向が横方向になっている。縦方向で見ると、
図4(c)(d)で示すように、ヒュージブルリンクユニット本体部11は「L」字状になっている。
【0055】
ヒュージブルリンクユニット1がバッテリ5に設置された状態では、第1の部位73がバッテリ5の上側でバッテリ5の上面から僅かに離れている。また、ヒュージブルリンクユニット1がバッテリ5に設置された状態では、第2の部位75がバッテリ5の側方でバッテリ5の側面70から僅かに離れている。
【0056】
バッテリ端子設置部13は、第1の部位73の、第2の部位75とは反対側の端部に設けられている。先端部設置部15は、横方向では、第1の部位73の、第2の部位75側の端部に設けられており、縦方向では、第1の部位73の端部に設けられている。
【0057】
回転規制部17は、横方向では、先端部設置部15に隣接して先端部設置部15よりも、第1の部位73の中央側に位置しており、縦方向では、先端部設置部15側の端で、第1の部位73から突出している。
【0058】
また、回転規制部17は、上下方向では、ヒュージブルリンクユニット本体部11から下側に突出している。なお、導体カシメ部本体部51の上下方向の寸法L3cの値は、回転規制部17の電線カシメ部27が当接する部位71を構成する平面の上下方向の寸法L3dの値よりも大きくなっている。また、バッテリ5に設置されているヒュージブルリンクユニット1に端子19が設置されている状態では、上下方向で、導体カシメ部本体部51の内側に電線カシメ部27が当接する部位71を構成する平面が収まっている。
【0059】
次に、ヒュージブルリンクユニット1のバッテリ端子3への設置について説明する。初期状態として、バッテリ5にバッテリ端子3が設置されているものとする。
【0060】
上記初期状態で、ヒュージブルリンクユニット1に端子19を設置する。このときに、端子19が、上下方向に延びているスタッドボルト41の中心軸まわりの回転モーメントを受け、たとえば、
図2、
図7(a)で示す状態からヒュージブルリンクユニット本体部11に対して時計まわりに回ろうとする。
【0061】
しかし、端子19の電線カシメ部27が、
図7(b)で示すように回転規制部17に当接するので、端子19の回転が規制される。
【0062】
続いて、端子19が設置されているヒュージブルリンクユニット1を、バッテリ5に設置されているバッテリ端子3に設置する。このときに、ヒュージブルリンクユニット1が、上下方向に延びているスタッドボルト(オスネジ部)63の中心軸まわりの回転モーメントを受け、たとえば、
図2で示す状態からバッテリ5に対して時計まわりに回ろうとする。
【0063】
しかし、ヒュージブルリンクユニットの角部69が、バッテリ5の側面70に当接するので、ヒュージブルリンクユニット1の回転が規制される。
【0064】
ヒュージブルリンクユニット1は、端子19の先端部21の周りに先端部周辺空間23が形成されるように構成されている先端部設置部15を備えている。また、ヒュージブルリンクユニット1は、端子19の電線カシメ部27が当接することで端子19を先端部設置部15に設置するときの端子の回り止めをする回転規制部17を備えている。これにより、設置される端子19の先端部21の形状が変わった場合であっても、端子19を設置することができ、また、端子19を設置するときの回り止めをすることができる。
【0065】
すなわち、たとえば、ヒュージブルリンクユニット1の樹脂部(ハウジング)9の形状を端子19の形状に合致させたものにすることなく、様々な形状の端子19を、ヒュージブルリンクユニット1に設置することができる。つまり、端子19の種類に対するヒュージブルリンクユニット1のフレキシビリティが向上する。
【0066】
これに対して比較例に係るヒュージブルリンクユニット301では、
図8、
図9で示すように、端子303の側面(頭)305をヒュージブルリンクユニット301の側面に当接させることで端子303が回転しないようにしている。したがって、端子303の側面305の形状に変更が生じた場合に、端子303の回転を抑えることができないおそれがある。さらには、端子303を設置することができない事態が多く発生する。
【0067】
また、ヒュージブルリンクユニット1では、バッテリ端子3を用いてバッテリ5に設置されるときに、回転規制部17がバッテリ5の側面70に当接することで、回り止めがされるように構成されている。これにより、ヒュージブルリンクユニット1のバッテリ5への設置がしやすくなる。
【0068】
また、ヒュージブルリンクユニット1では、回転規制部17のバッテリ5の側面70に当接する部位を上下方向で見ると、この部位が鈍角の角部69で形成されている。これにより、回転規制部17のバッテリ5の側面70に当接する部位とヒュージブルリンクユニット本体部11との間の距離が小さくなっている。これにより、片持ち梁状の回転規制部17の強度が高まっている。
【0069】
また、回転規制部17のバッテリ5の側面70に当接する部位が鈍角の角部69で形成されているので、バッテリ5の側面70に当接したときに回転規制部17に発生する圧力(単位面積あたりの力)の値を小さくすることができる。そして、回転規制部17が変形等することを防止することができる。
【0070】
また、鈍角の角部69で形成されていることで、大きなC面が形成されている状態になっており、樹脂部9を構成する材料の使用量を少なくすることができる。
【0071】
また、ヒュージブルリンクユニット1では、電線カシメ部27の円筒がこの母線で回転規制部17の平面に当接するようになっている。これにより、電線カシメ部27が回転規制部17に当接したときに回転規制部17に発生する圧力の値を小さくし、電線カシメ部27が回転規制部17にめり込む等の不具合の発生を防止することができる。
【0072】
また、ヒュージブルリンクユニット1では、端子19を先端部設置部15に設置するときに、端子19の電線カシメ部27が回転規制部17に当接する態様のみで端子19の回り止めがされるように構成されているので、端子19を先端部設置部15に設置するときにおける樹脂部9への端子19のめり込みの発生等を防止することができる。
【0073】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 ヒュージブルリンクユニット
3 バッテリ端子
5 バッテリ
13 バッテリ端子設置部
15 先端部設置部
17 回転規制部
19 端子
21 端子の先端部
23 先端部の周りの空間
27 電線カシメ部
69 鈍角の角部
70 バッテリの側面
71 電線カシメ部が当接する部位