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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ウォーターサーバ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020105221
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021195171
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】守谷 和行
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-013633(JP,A)
【文献】特開2016-124617(JP,A)
【文献】特開2020-083395(JP,A)
【文献】特開2020-059552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0031654(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を貯留する飲料水タンクと、
前記飲料水タンク内の飲料水をユーザに供給可能な出水ノズルを含む飲料水流路と、
前記飲料水流路のうち前記出水ノズルよりも上流側に設けられ開閉動作可能な第1弁機構と、
前記出水ノズルに設けられ開閉動作可能な第2弁機構と、
前記飲料水流路における前記第1弁機構と前記第2弁機構との間の弁機構間領域の飲料水を検知可能な検知部と、
前記第1弁機構及び前記第2弁機構の双方について弁を閉じる弁閉制御を行った後に、前記検知部の検知結果に基づいて、前記第1弁機構及び前記第2弁機構のいずれかで飲料水の漏れが発生していると判断する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記第1弁機構を閉じた後に前記第2弁機構を閉じる制御を行った後に、前記検知部により前記弁機構間領域内に溜まる飲料水を検知していない状態から検知している状態に変化した場合に、前記第1弁機構で飲料水の漏れが発生していると判断することを特徴とするウォーターサーバ。
【請求項2】
前記飲料水流路は、前記弁機構間領域の一部に、飲料水の流れ方向に対して別の方向に分岐する分岐流路を有し、
前記検知部は、前記分岐流路の壁の外側位置に配置されている、ことを特徴とする請求項に記載のウォーターサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水ボトルからの飲料水を冷水タンクや温水タンクに供給して冷却や加熱を行うと共に、冷却又は加熱された飲料水を筐体前方の出水口から出水するウォーターサーバが知られている。このウォーターサーバは、冷水タンク及び温水タンクから出水口まで飲料水を誘導する流路が形成されると共に、流路上に弁機構が設けられており、弁機構の開閉によってユーザに飲料水を提供したり飲料水の提供を停止したりする(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-178360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなウォーターサーバの構成において、弁機構の弁体に異物等が噛み込むと、飲料水の漏れが発生する場合がある。
特に、飲料水の漏れが微少な場合には、そのように漏れた飲料水は、ユーザに気づかれることなく長時間放置され、最終的にはトレーからあふれて床を濡らす可能性もある。
また、トレーにセンサを設け、水が溜まると警報を発する装置が知られているが、ユーザ不在時には同様にユーザに気づかれることなく、最終的にはトレーからあふれて床を濡らす可能性がある。
従って、トレーに飲料水が漏れる現象を低減させることができ、またトレーに飲料水が漏れる程の飲料水の漏れが発生する前に弁機構の故障が判断できる構成が望ましい。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、飲料水流路の上流側と下流側とで第1弁機構及び第2弁機構といった2段階の弁機構を有する構成において、制御部が、第1弁機構及び第2弁機構のいずれが故障しているのかをより早く認識することができるウォーターサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るウォーターサーバは、飲料水を貯留する飲料水タンクと、前記飲料水タンク内の飲料水をユーザに供給可能な出水ノズルを含む飲料水流路と、前記飲料水流路のうち前記出水ノズルよりも上流側に設けられ開閉動作可能な第1弁機構と、前記出水ノズルに設けられ開閉動作可能な第2弁機構と、前記飲料水流路における前記第1弁機構と前記第2弁機構との間の弁機構間領域の外形を形成する壁の外側位置、又は前記弁機構間領域の前記壁の内側位置に配置され、前記弁機構間領域内の飲料水を検知可能な検知部と、前記第1弁機構及び前記第2弁機構の双方について弁を閉じる弁閉制御を行った後に、前記検知部の検知結果に基づいて、前記第1弁機構及び前記第2弁機構のいずれかで飲料水の漏れが発生していると判断する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1弁機構を閉じた後に前記第2弁機構を閉じる制御を行った後に、前記検知部により前記弁機構間領域内に溜まる飲料水を検知していない状態から検知している状態に変化した場合に、前記第1弁機構で飲料水の漏れが発生していると判断することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、制御部は、第1弁機構及び第2弁機構を弁閉制御して、検知部により弁機構間領域内に溜まる飲料水を検知していない状態から検知している状態に変化した場合に、第1弁機構で飲料水の漏れが発生していると判断することができる。また、制御部は、第1弁機構及び第2弁機構を弁閉制御して、検知部により弁機構間領域内に溜まる飲料水を検知している状態から検知していない状態に変化した場合に、第2弁機構で飲料水の漏れが発生していると判断することができる。その結果、飲料水流路の上流側と下流側とで第1弁機構及び第2弁機構といった2段階の弁機構を有する構成において、制御部は、第1弁機構及び第2弁機構のいずれが故障しているのかをより早く認識することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲料水流路の上流側と下流側とで第1弁機構及び第2弁機構といった2段階の弁機構を有する構成において、制御部は、第1弁機構及び第2弁機構のいずれが故障しているのかをより早く認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るウォーターサーバを示す斜視図である。
図2】ウォーターサーバの内部の概要を示す構成図である。
図3】(a)は、ウォーターサーバの一部を示す構成図である。(b)は、ウォーターサーバの一部の内部構造を示す概略断面図である。
図4】(a)は、第1電磁弁の閉動作に遅れて第2電磁弁を閉動作させる様子を示すタイミングチャートである。(b)は、第1電磁弁が飲料水を漏洩させている状況を示す図である。
図5】(a)は、第2電磁弁の閉動作に遅れて第1電磁弁を閉動作させる様子を示すタイミングチャートである。(b)は、第2電磁弁が飲料水を漏洩させている状況を示す図である。
図6】(a)は、一の変形例に係るウォーターサーバの一部の内部構造を示す概略断面図である。(b)は、他の変形例に係るウォーターサーバの一部の内部構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るウォーターサーバ1を示す斜視図である。図1に示すウォーターサーバ1は、外観視して略四角柱形状となる筐体10を基本構成とし、この筐体10の前面側に出水口21を有する出水ノズルR43、操作パネル30、及び容器載置部35が設けられて構成されている。このようなウォーターサーバ1は、筐体10の上部に飲料水ボトルB(飲料水タンク)が載置されている。なお、飲料水ボトルBは、筐体10の上部に限らず、下部に内蔵されるようになっていても良い。
【0012】
出水ノズルR43は、飲料水を出水する流路として機能する筒状部材であって、出水口21を有するものである。この出水ノズルR43は、筐体10の前面から後方に向けて奥まるように形成された凹部11に少なくとも一部が収納された状態で形成されている。操作パネル30は、ユーザからの操作を受け付ける操作部であって、例えば冷水(第1所定温度(例えば20℃)未満の温度の水)の出水操作、温水(第2所定温度(例えば40℃)以上の温度の水)の出水操作、温水の加熱操作等、種々の操作が可能となっている。
【0013】
容器載置部35は、出水ノズルR43から供給される飲料水を受ける飲料容器が載置されるものであって、出水ノズルR43の下側の所定高さ箇所に設けられている。このような容器載置部35はその一部が凹部11内に収まっており、他の部分が筐体10の前方に突出した状態で設置されている。なお、本実施形態において飲料容器とは、コップやグラス等の飲料を飲むための容器の他、炊飯釜、鍋、急須、水筒及びペットボトル等も含まれる。
【0014】
図2は、図1に示したウォーターサーバ1の内部の概要を示す構成図である。図2に示すように、ウォーターサーバ1は、筐体10(図1参照)の内部に、冷水タンクT1(飲料水タンク)と、フロート弁Fと、温水タンクT2(飲料水タンク)と、個別流路R1~R3(飲料水流路)と、電磁弁機構40と、制御部50(図3参照)と、報知部60(図3参照)と、を備えている。
【0015】
冷水タンクT1は、飲料水ボトルBから飲料水を導入して貯留するタンクである。冷水タンクT1には、熱交換部(不図示)が設けられており、冷水タンクT1内に導入された常温の飲料水が熱交換部によって冷却されて冷水化される。
【0016】
フロート弁Fは、冷水タンクT1内に設けられている。フロート弁Fは、冷水タンクT1内の飲料水量が所定量未満となると導水路Cを開放して飲料水ボトルBからの飲料水を冷水タンクT1内に導入する。一方、フロート弁Fは、冷水タンクT1内の飲料水量が所定量に達すると導水路Cを閉塞して飲料水ボトルBからの飲料水の導入を禁止する。この結果、冷水タンクT1内は、飲料水が所定の水面高さで維持されることとなる。
【0017】
温水タンクT2は、配管を通じて冷水タンクT1の下方に接続されており、冷水タンクT1からの飲料水を導入して貯留するものである。この温水タンクT2の周囲にはヒータH等の加熱機構が設けられており、温水タンクT2内の飲料水はヒータHによって加熱されて温水化される。なお、冷水タンクT1は、内部の飲料水について熱交換部によって冷却され難い上層と、熱交換部によって冷却される下層とに分ける板部材(不図示)を有し、温水タンクT2は、冷水タンクT1の上層からの飲料水を導入することが好ましい。
【0018】
[個別流路]
飲料水流路の一部としての個別流路R1~R3は、冷水タンクT1及び温水タンクT2内の飲料水をユーザに供給可能な流路である。このうち個別流路R1は、冷水タンクT1内の冷水を出水流路R4(飲料水流路)まで導くための流路である。個別流路R1は、例えば一端が冷水タンクT1に接続され、他端が出水流路R4に接続されている。
【0019】
個別流路R2は、温水タンクT2内の温水を出水流路R4まで導くための流路である。個別流路R2は、例えば一端が温水タンクT2に接続され、他端が出水流路R4に接続されている。
【0020】
個別流路R3は、常温水を出水流路R4まで導くための流路である。個別流路R3は、例えば一端が飲料水ボトルBからの飲料水を冷水タンクT1に導入するための導水路Cに接続され、他端が出水流路R4に接続されている。なお、個別流路R3は、冷水タンクT1の板部材よりも上側部分(すなわち上層の水を導入可能)につながっていても良い。
【0021】
[電磁弁機構]
図3(a)は、ウォーターサーバ1の一部を示す構成図である。図3(b)は、ウォーターサーバ1の一部の内部構造を示す概略断面図である。図3(a)及び図3(b)に示されるように、電磁弁機構40は、3つの第1電磁弁V11~V13(第1弁機構)と、出水流路R4と、分岐流路R5(飲料水流路)と、1つの第2電磁弁V2(第2弁機構)と、静電容量センサS(検知部)と、を備えている。
【0022】
[第1電磁弁]
第1電磁弁V11~V13は、出水流路R4のうち出水ノズルR43よりも上流側に設けられて開閉動作可能な弁である。第1電磁弁V11は、横並びとなる3つの第1電磁弁V11~V13のうち一方側に配置されると共に、個別流路R1上に設けられている。第1電磁弁V12は、横並びとなる3つの第1電磁弁V11~V13のうち他方側に配置されると共に、個別流路R2上に設けられている。第1電磁弁V13は、横並びとなる3つの第1電磁弁V11~V13のうち中央に配置されると共に、個別流路R3上に設けられている。
【0023】
各々の第1電磁弁V11~V13は、図示しない弁体及び弁座を有する。その弁体が弁座に接触した状態で飲料水の出水が停止される。これとは反対に、その弁体が弁座から離間した状態で飲料水の出水が許容される。
【0024】
この第1電磁弁V11~V13があるため、冷水は、第1電磁弁V11が開放されたとき個別流路R1を通じて出水流路R4の第1傾斜流路R41に至り、第1傾斜流路R41及び出水ノズルR43を通じて出水口21から出水される。温水は、第1電磁弁V12が開放されたとき個別流路R2を通じて出水流路R4の第2傾斜流路R42に至り、第2傾斜流路R42及び出水ノズルR43を通じて出水口21から出水される。常温水は、第1電磁弁V13が開放されたとき個別流路R3を通じて出水流路R4の出水ノズルR43に至り、出水ノズルR43を通じて出水口21から出水される。
【0025】
[出水流路]
飲料水流路の一部としての出水流路R4は、冷水タンクT1及び温水タンクT2内の飲料水をユーザに供給可能な出水ノズルR43を含む流路である。また、出水流路R4は、正面視で略T字形状で形成される。
【0026】
出水流路R4は、第1傾斜流路R41、第2傾斜流路R42、及び出水ノズルR43を有している。第1傾斜流路R41は、一方端よりも他方端がやや下方となるように水平よりも僅かに傾斜した流路であり、個別流路R1に接続されている。第2傾斜流路R42は、他方端よりも一方端がやや下方となるように水平よりも僅かに傾斜した流路であって、個別流路R2に接続されている。第1傾斜流路R41の他方端と第2傾斜流路R42の一方端とは接続されており、この接続部に個別流路R3が接続されている。出水ノズルR43は、垂直方向に延びる流路である。この出水ノズルR43は、上方端が上記接続部に接続され、下方端が出水口21となっている。
【0027】
[分岐流路]
飲料水領域の一部としての分岐流路R5は、冷水タンクT1及び温水タンクT2内の飲料水をユーザに供給可能な流路である。分岐流路R5は、飲料水の流れ方向に沿って形成される出水流路R4に対して飲料水の流れ方向と別の方向に分岐する。なお、分岐流路R5は、ユーザに飲料水を供給可能といっても、通常の飲料水の給水では、飲料水が流れないが、第2電磁弁V2を閉動作した後に第1電磁弁V11~V13を閉動作したときに、飲料水が溜まる領域であっても良いと言える。
【0028】
[第2電磁弁]
第2電磁弁V2は、出水ノズルR43に設けられて開閉動作可能な弁である。第2電磁弁V2は、第1電磁弁V11~V13と同様に、不図示の弁体を動作させることで開閉制御可能なものである。このように、第1電磁弁V11~V13の他に第2電磁弁V2が設けられることにより、飲料水の漏れの発生の可能性が従来よりも低減する。
【0029】
[静電容量センサ]
静電容量センサSは、飲料水流路(個別流路R1~R3、出水流路R4、及び分岐流路R5)における第1電磁弁V11~V13と第2電磁弁V2との間の弁機構間領域Wの飲料水を検知可能なものである。ここで、弁機構間領域Wは、個別流路R1~R3のうち第1電磁弁V11~V13よりも下流の領域と、出水流路R4のうち第2電磁弁V2よりも上流の領域と、分岐流路R5の領域と、を有する。そして、本実施形態では、静電容量センサSは、具体的には、弁機構間領域Wの壁のうち分岐流路R5の分岐先の端にある壁70の外側位置に配置されている。なお、弁機構間領域Wの概念は、飲料水流路(R1~R5の符号で表した流路)の中で弁機構により挟まれる領域を示すための概念である。
【0030】
また、静電容量センサSは、水平方向では、第1電磁弁V11~V13と第2電磁弁V2が配置される領域A1と、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2が配置される領域よりも外側に位置する外側領域A2と、に区分けした場合に、静電容量センサSは、外側領域A2に配置されている。
【0031】
[制御部]
制御部50は、ウォーターサーバ1の全体を制御するものであって、特に操作パネル30に対する操作に応じて、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2の開閉制御を行うものである。
また、制御部50は、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2の双方について弁を閉じる弁閉制御を行った後に、静電容量センサSの検知結果に基づいて、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2のいずれかで飲料水の漏れが発生していると判断する。
【0032】
具体的には、制御部50は、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2を弁閉制御して、静電容量センサSにより出水流路R4内に溜まる飲料水を検知していない状態から検知している状態に変化した場合に(検知状態が変化した場合)、第1電磁弁V11~V13で飲料水の漏れが発生していると判断する。これとは反対に、制御部50は、第2電磁弁V2及び第1電磁弁V11~V13を弁閉制御して、静電容量センサSにより出水流路R4内に溜まる飲料水を検知している状態から検知していない状態に変化した場合に(検知状態が変化した場合)、第2電磁弁V2で飲料水の漏れが発生していると判断する。この制御部50の判断に関しては、後述するウォーターサーバ1の制御工程の説明の中で更に詳述する。なお、静電容量センサSの場合、所定の静電容量以上の静電容量により飲料水があると検知し、所定の静電容量未満の静電容量により飲料水がないと検知する。
【0033】
報知部60は、制御部50が第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2のいずれかが飲料水を漏らしていると判断した場合に、ユーザに対して警告するための部分である。報知部60は、例えば、操作パネル30に設けられ、不図示のランプによる表示や不図示のスピーカによる音声の発生によりユーザに警告する。
【0034】
次に、図4(a)及び図4(b)を参照しつつ、本実施形態に係るウォーターサーバ1の出水時の動作を説明する。温水、冷水及び常温水のいずれか1つの出水操作が操作パネル30に対して行われた場合、制御部50は、まず該当する第1電磁弁V11~V13を時間t1において開動作させる。これと同時に、制御部50は、第2電磁弁V2を開動作させる。
【0035】
図4(a)は、第1電磁弁V11~V13の閉動作に遅れて第2電磁弁V2を閉動作させる様子を示すタイミングチャートである。図4(b)は、第1電磁弁V11が飲料水を漏洩させている状況を示す図である。図4(a)に示すように、制御部50は、出水終了時において、第1電磁弁V11~V13を時間t2に閉動作(開状態(ON状態)から閉状態(OFF状態)に移行)させる。次いで、制御部50は、第2電磁弁V2を時間t2から△t10遅れた時間t3に閉動作(開状態(ON状態)から閉状態(OFF状態)に移行)させる。
【0036】
このように、本実施形態に係るウォーターサーバ1は、出水終了時において第1電磁弁V11~V13を閉動作させた後に、第2電磁弁V2を閉動作させる。このような第1電磁弁V11~V13が先で第2電磁弁V2が後の閉動作であれば、出水流路R4の内部には、飲料水がないはずである。
【0037】
しかしながら、図4(b)に示されるように、例えば、第1電磁弁V11が異物を噛み込んで故障した状態(閉動作が不十分な状態)(NG状態)、かつ第1電磁弁V12,V13及び第2電磁弁V2が正常状態(OK状態)である場合には、出水流路R4の内部では、第2電磁弁V2で飲料水の流れが止められている一方で、第1電磁弁V11から矢印L1のように飲料水が流入してくる。そのため、出水流路R4の内部では、飲料水の量は矢印M1のように増加し、飲料水がない状態からある状態に移行する。そして、静電容量センサSは、この出水流路R4の内部に飲料水があることを検知することになる。
【0038】
このことから、制御部50は、第1電磁弁V11~V13を閉動作させた後に第2電磁弁V2を閉動作させた場合に、静電容量センサSが出水流路R4において飲料水を検知したときには、正常の場合には出水流路R4には飲料水がないはずであるにもかかわらず飲料水があると検知するので、第1電磁弁V11~V13のいずれかが飲料水を漏洩していると判断する。
【0039】
図5(a)は、第2電磁弁V2の閉動作に遅れて第1電磁弁V11~V13を閉動作させる様子を示すタイミングチャートである。図5(b)は、第2電磁弁V2が飲料水を漏洩させている状況を示す図である。図5(a)に示すように、制御部50は、出水終了時において、第2電磁弁V2を時間t12に閉動作(開状態(ON状態)から閉状態(OFF状態)に移行)させる。次いで、制御部50は、該当する第1電磁弁V11~V13を時間t12より△t20遅れた時間t13に閉動作(開状態(ON状態)から閉状態(OFF状態)に移行)させる。
【0040】
このように、本実施形態に係るウォーターサーバ1は、出水終了時において第2電磁弁V2を閉動作させた後に、第1電磁弁V11~V13を閉動作させる。このような第1電磁弁V11~V13が先で第2電磁弁V2が後の閉動作であれば、出水流路R4の内部には、飲料水があるはずである。
【0041】
しかしながら、図5(b)に示されるように、例えば、第2電磁弁V2が異物を噛み込んで故障した状態(閉状態が不十分な状態)(NG状態)、かつ第1電磁弁V11,V12,V13が正常状態(OK状態)である場合には、出水流路R4の内部では、第2電磁弁V2から矢印L2のように飲料水が流出して出水ノズルR43を通過していく一方で、第1電磁弁V11,V12,V13で飲料水の流れが止められている。そのため、出水流路R4の内部では、飲料水の量は矢印M2のように減少し、飲料水がある状態からない状態に移行する。そして、静電容量センサSは、この出水流路R4の内部の飲料水がないことを検知することになる。
【0042】
このことから、制御部50は、第2電磁弁V2を閉動作させた後に第1電磁弁V11~V13を閉動作させた場合に、静電容量センサSが出水流路R4において飲料水を検知しないときには、正常の場合には出水流路R4には飲料水があるはずであるにもかかわらず飲料水がないと検知するので、第2電磁弁V2が飲料水を漏洩していると判断する。
【0043】
前述したように、本実施形態に係るウォーターサーバ1は、飲料水を貯留する飲料水ボトルB、冷水タンクT1、及び温水タンクT2と、これらの内部の飲料水をユーザに供給可能な出水ノズルR43を含む飲料水流路と、飲料水流路のうち出水ノズルR43よりも上流側に設けられ開閉動作可能な第1電磁弁V11~V13と、出水ノズルR43に設けられ開閉動作可能な第2電磁弁V2と、飲料水流路Rにおける第1電磁弁V11~V13と第2電磁弁V2との間の弁機構間領域Wの飲料水を検知可能な静電容量センサSと、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2の双方について弁を閉じる弁閉制御を行った後に、静電容量センサSの検知結果に基づいて、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2のいずれかで飲料水の漏れが発生していると判断する制御部50と、を備える。
【0044】
こうした構成によれば、制御部50は、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2を弁閉制御して、静電容量センサSにより分岐流路R5内に溜まる飲料水を検知していない状態から検知している状態に変化した場合に、第1電磁弁V11~V13で飲料水の漏れが発生していると判断することができる。また、制御部50は、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2を弁閉制御して、静電容量センサSにより弁機構間領域W内に溜まる飲料水を検知している状態から検知していない状態に変化した場合に、第2電磁弁V2で飲料水の漏れが発生していると判断することができる。その結果、飲料水流路Rの上流側と下流側とで第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2といった2段階の弁機構を有する構成において、制御部50は、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2のいずれが故障しているかをより早く認識することができる。
【0045】
また、本実施形態の構成によれば、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2が同時に故障しない限り、飲料水が外部に漏洩することがなく、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2が同時に故障する前に、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2のいずれかの故障が警告される。また、第1電磁弁V11~V13及び第2電磁弁V2の2段階で飲料水の漏洩が抑制されるので、製品の信頼性は向上する。
【0046】
また、制御部50は、第1電磁弁V11~V13を閉じた後に第2電磁弁V2を閉じる制御を行った後、静電容量センサSにより分岐流路R5内に溜まる飲料水を検知していない状態から検知している状態に変化した場合に、第1電磁弁V11~V13で飲料水の漏れが発生していると判断する。こうした判断によれば、第1電磁弁V11~V13と第2電磁弁V2との閉動作のタイミングの差によって、静電容量センサSが分岐流路R5の飲料水を検知しないはずの状況であるにも関わらず、静電容量センサSが第1電磁弁V11~V13の飲料水の漏洩によって分岐流路R5の飲料水があるものと検知するという状況(すなわち、出水流路R4の内部に空間を残しておくという状況)を作り出すことができる。
【0047】
また、飲料水流路は、弁機構間領域Wの一部に、飲料水の流れ方向に対して別の方向に分岐する分岐流路R5を有し、静電容量センサSは、分岐流路R5の壁70の外側位置に配置されている。こうした構成によれば、静電容量センサSは、壁70の外側に配置されるために飲料水に浸ることがない。その結果、静電容量センサSの経年劣化が抑制される。
【0048】
また、制御部50は、第2電磁弁V2を閉じた後に第1電磁弁V11~V13を閉じる制御を行った後に、静電容量センサSにより分岐流路R5内に溜まる飲料水を検知している状態から検知していない状態に変化した場合に、第2電磁弁V2で飲料水の漏れが発生していると判断する。こうした判断によれば、第1電磁弁V11~V13と第2電磁弁V2との閉動作のタイミングの差によって、静電容量センサSが分岐流路R5の飲料水を所定量検知するはずの状況であるにも関わらず、静電容量センサSが第2電磁弁V2の飲料水の漏洩によって分岐流路R5の飲料水がないものと検知するという状況(すなわち、出水流路R4の内部に飲料水で満杯にしておくという状況)を作り出すことができる。
【0049】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えても良いし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせても良い。
【0050】
本実施形態では、制御部50が、第1電磁弁V11~V13の閉動作の後に第2電磁弁V2の閉動作をする制御と、第2電磁弁V2の閉動作の後に第1電磁弁V11~V13の閉動作をする制御と、を説明したが、これらの制御を交互等に(適宜組み合わせて)行うように制御しても良い。
【0051】
また、図4(b)では、第1電磁弁V11を閉動作したがNG状態であると共に第1電磁弁V12,V13を閉動作してOK状態であった後に、第2電磁弁V2を閉動作する構成を例示したが、これに限定されなくても良い。例えば、それらの第1電磁弁V11~V13の閉動作と同時に第2電磁弁V2を閉動作した場合にも、仮に出水流路R4の中に空間が残っているのであれば(例えば飲料水がない状態)、飲料水が図4(b)の矢印M1のように増加して飲料水を検知しない状態から検知する状態に移行する状況を作り出せる可能性はあり、本発明はこのような状況にも適用可能である。
【0052】
また、図5(b)では、第2電磁弁V2を閉動作したがNG状態であった後に、第1電磁弁V11~V13を閉動作する構成を例示したが、第2電磁弁V2の閉動作と同時に第1電磁弁V11~V13を閉動作した場合にも、仮に出水流路R4の中に飲料水が残っているのであれば(例えば飲料水が満杯である状態)、飲料水が図5(b)の矢印M2のように減少して飲料水を検知する状態から検知しない状態に移行する状況を作り出せる可能性はあり、本発明はこのような状況にも適用可能である。
【0053】
また、本実施形態では、静電容量センサSは、弁機構間領域Wにある分岐流路R5の分岐先の壁70の外側位置に配置されていたが、上記実施形態に限定されず、図6(a)に示されるように、静電容量センサS1は、弁機構間領域Wにある分岐流路R5の分岐先の壁70の内側位置に配置されていても良い。この構成であっても、分岐流路R5が分岐されているので、第1電磁弁V11~V13が故障しない限りは飲料水が分岐流路R5に到達する機会は低減され、静電容量センサSの経年劣化が抑制される。
【0054】
また、本実施形態では、静電容量センサSは、弁機構間領域Wにある分岐流路R5の分岐先の壁70の外側位置に配置されていたが、上記実施形態に限定されず、図6(b)に示されるように、静電容量センサS2は、弁機構間領域Wにある出水流路R4の壁71の外側位置に配置されても良く、静電容量センサS3は、弁機構間領域Wにある出水流路R4の壁71の内側位置に配置されても良い。また、出水流路R4の内側位置に配置される場合には、図6(b)に示されるように、出水流路R4の天井部分に配置されても良い。天井部分の方が床部分よりも飲料水に浸る可能性が少ないからである。
【符号の説明】
【0055】
1 :ウォーターサーバ
10 :筐体
11 :凹部
21 :出水口
30 :操作パネル
35 :容器載置部
40 :電磁弁機構
50 :制御部
60 :報知部
70,71 :壁
A1 :領域
A2 :外側領域
B :飲料水ボトル(飲料水タンク)
C :導水路
F :フロート弁
H :ヒータ
L1,L2 :矢印
M1,M2 :矢印
R1,R2,R3 :個別流路(飲料水流路)
R4 :出水流路(飲料水流路)
R41 :第1傾斜流路
R42 :第2傾斜流路
R43 :出水ノズル
R5 :分岐流路(飲料水流路)
S,S1,S2,S3 :静電容量センサ(検知部)
T1 :冷水タンク(飲料水タンク)
T2 :温水タンク(飲料水タンク)
V11,V12,V13 :第1電磁弁(第1弁機構)
V2 :第2電磁弁(第2弁機構)
W :弁機構間領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6