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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】板材カバー
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/04 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
E04F19/04 101D
E04F19/04 102D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020176986
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2021095837
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2019225303
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592062725
【氏名又は名称】株式会社システックキョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】足立 昌巳
(72)【発明者】
【氏名】辻野 淳市
(72)【発明者】
【氏名】中津 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-208468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0186156(US,A1)
【文献】特開2001-012070(JP,A)
【文献】実開昭58-057225(JP,U)
【文献】実開昭52-152545(JP,U)
【文献】特開平10-280665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/02、19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の長手方向に沿って凹溝が形成され、裏面を壁面に添わせるように、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーであって、
前記一対の板材の高さ方向に沿うように基端部から先端部まで延在され、該先端部を床又は天井に対向配置することにより、前記一対の板材の双方の突合せ部の表面を被覆する表面被覆部と、
前記表面被覆部の前記基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材の双方の突合せ部の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置され、前記表面被覆部とともに前記一対の板材の双方の突合せ部を挟持する背板部と、
前記一対の板材の双方の突合せ部の隙間に配置され、前記表面被覆部と前記背板部とを連結する連結部とを有してなる板材カバー。
【請求項2】
前記表面被覆部の前記基端部と前記先端部の間に形成されて前記一対の板材の双方の凹溝に係合する係合凸部を有し、
前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿って、前記表面被覆部のうち前記連結部により連結されている部分の範囲は、前記係合凸部と完全には重ならない範囲である、請求項1に記載の板材カバー。
【請求項3】
前記連結部が、前記表面被覆部における前記係合凸部よりも前記先端部の側に位置する部分と、前記背板部とを連結する、請求項2に記載の板材カバー。
【請求項4】
前記連結部が、前記表面被覆部の前記先端部に前記背板部を連結してなる、請求項3に記載の板材カバー。
【請求項5】
前記連結部が棒状をなす、請求項3又は4に記載の板材カバー。
【請求項6】
前記連結部が、前記表面被覆部における前記係合凸部よりも前記基端部の側に位置する部分と、前記背板部とを連結する、請求項2に記載の板材カバー。
【請求項7】
前記係合凸部は、
最も前記背板部の側に後退している部分であって、前記背板部と平行な底部と、
前記底部に対し前記基端部の側から繋がっている部分であって、前記背板部に対して傾斜している側壁部と、を有しており、
前記連結部のうち最も前記先端部の側における端部は、
前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿って、前記底部と前記側壁部との境界と同じ位置、もしくは当該位置よりも前記基端部の側となる位置に配置されている、請求項6に記載の板材カバー。
【請求項8】
前記連結部のうち最も前記先端部の側における端部は、
前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿って、前記側壁部のうち最も前記基端部の側における端部と同じ位置、もしくは当該位置よりも前記基端部の側となる位置に配置されている、請求項7に記載の板材カバー。
【請求項9】
前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿った、前記表面被覆部の長さは、同方向に沿った前記背板部の長さよりも長い、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の板材カバー。
【請求項10】
前記背板部が、前記壁面に対する挿入方向と逆向きの引き抜け方向に関して、該壁面への引掛かり部を備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の板材カバー。
【請求項11】
前記背板部の先端部分が先細り形状をなす、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の板材カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面の長手方向に沿って凹溝が形成され、裏面を壁面に添わせるように、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の幅木又は回り縁等の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
建物では、壁面の床面近傍に幅木が設けられ、壁面の天井近傍に廻り縁が設けられている。幅木又は廻り縁等の板材は、壁面の見栄えを良くし、壁面を保護している。この板材は、直線状に形成されているので、出隅、入隅等の壁面で突き合わされる一対の板材の突合せ部が、それらの突合せ面(木口)の間に隙間を生ずる。板材カバーは上述の一対の板材の双方の突合せ部をカバーし、上述の隙間を隠すものである。
【0003】
特許文献1に記載の板材カバーは、天井又は床に先端部を対向配置することにより、板材を被覆する表面被覆部と、表面被覆部の背面側に延在され、板材の裏面と壁面との間に配置することにより、表面被覆部とともに板材を挟持する板状の羽根部と、一対の板材の双方の突合せ端面を仕切るように鉛直方向に沿って延在し、羽根部に接合することにより羽根部を支持する羽根支持部とを備える。更に、表面被覆部には、板材の表面の長手方向に形成されている凹溝に係合する係合凸部が形成され、羽根部と羽根支持部との接合部分は、鉛直方向において係合凸部よりも先端部側にあるようにしたものである。この結果、一対の板材の双方の突合せ部に板材カバーを取着したとき、表面被覆部と羽根部との間において板材が挟持されるので、板材カバーの水平方向の移動を拘束することができ、更に、板材の表面に形成された凹溝と、表面被覆部に形成された係合凸部とが係合するので、板材カバーの鉛直方向の移動を拘束することができる。従って、板材カバーを板材に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、板材カバーを板材から脱落し難くできるとしている。
【0004】
更に、特許文献1に記載の板材カバーにあっては、羽根部とこれを支持する羽根支持部との接合部分が、鉛直方向において係合凸部よりも先端部側にあり、係合凸部に対向する位置には、羽根支持部に接合された羽根部の接合部分が存在しない。これにより、板材カバーを鉛直方向から板材に取付ける際に、表面被覆部に形成された係合凸部が、板材の凹溝に係合する前に、板材の表面に乗り上げたとしても、係合凸部に対向する位置に羽根部が存在しないので、過度の力が作用することによる表面被覆部や羽根部の破損はなく、スムーズに板材カバーを壁隅に配置することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5391128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の板材カバーにあっては、一対の板材の双方の突合せ部に取付けられたとき、表面被覆部において係合凸部が形成された部位より基端部の側の部分の背面側に、板材を挟持する羽根部の存在がない。即ち、板材カバーの表面被覆部における基端部から少なくとも係合凸部にまでの範囲は、板材の表面を覆うのみで、板材を挟持していない。
【0007】
従って、板材カバーは、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けたりしとき、表面被覆部の基端部から係合凸部までの範囲が板材の表面から容易にめくられ、一対の板材の双方の突合せ部から脱落してしまうおそれがある。このため、板材カバーの上記の脱落を確実に回避するためには、両面テープや接着剤を併用することが必要になっている。
【0008】
本発明の課題は、両面テープや接着剤を用いることなく、一対の板材の突合せ部に容易に取付けでき、しかも脱落し難い板材カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、表面の長手方向に沿って凹溝が形成され、裏面を壁面に添わせるように、該壁面の床寄り又は天井寄りの両側に配置された一対の板材の双方の突合せ部をカバーする板材カバーであって、前記一対の板材の高さ方向に沿うように基端部から先端部まで延在され、該先端部を床又は天井に対向配置することにより、前記一対の板材の双方の突合せ部の表面を被覆する表面被覆部と、前記表面被覆部の前記基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材の双方の突合せ部の裏面と前記壁面との間に挿入されて配置され、前記表面被覆部とともに前記一対の板材の双方の突合せ部を挟持する背板部と、前記一対の板材の双方の突合せ部の隙間に配置され、前記表面被覆部と前記背板部とを連結する連結部とを有してなるようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記表面被覆部の前記基端部と前記先端部の間に形成されて前記一対の板材の双方の凹溝に係合する係合凸部を有し、前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿って、前記表面被覆部のうち前記連結部により連結されている部分の範囲を、前記係合凸部と完全には重ならない範囲となるようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において更に、前記連結部が、前記表面被覆部における前記係合凸部よりも前記先端部の側に位置する部分と、前記背板部とを連結するようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において更に、前記連結部が、前記表面被覆部の前記先端部に前記背板部を連結してなるようにしたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に係る発明において更に、前記連結部が棒状をなすようにしたものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項2に係る発明において更に、前記連結部が、前記表面被覆部における前記係合凸部よりも前記基端部の側に位置する部分と、前記背板部とを連結するようにしたものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において更に、前記係合凸部が、最も前記背板部の側に後退している部分であって、前記背板部と平行な底部と、前記底部に対し前記基端部の側から繋がっている部分であって、前記背板部に対して傾斜している側壁部と、を有しており、前記連結部のうち最も前記先端部の側における端部が、前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿って、前記底部と前記側壁部との境界と同じ位置、もしくは当該位置よりも前記基端部の側となる位置に配置されているようにしたものである。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明において更に、前記連結部のうち最も前記先端部の側における端部が、前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿って、前記側壁部のうち最も前記基端部の側における端部と同じ位置、もしくは当該位置よりも前記基端部の側となる位置に配置されているようにしたものである。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項6乃至8のいずれか1項に係る発明において更に、前記先端部の側から前記基端部の側に向かう方向に沿った、前記表面被覆部の長さが、同方向に沿った前記背板部の長さよりも長くなるようにしたものである。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに係る発明において更に、前記背板部が、前記壁面に対する挿入方向と逆向きの引き抜け方向に関して、該壁面への引掛かり部を備えるようにしたものである。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかに係る発明において更に、前記背板部の先端部分が先細り形状をなすようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
(請求項1)
(a)板材カバーは、一対の板材の突合せ部に取付けられたとき、表面被覆部が板材の表面を覆い、表面被覆部の基端部から該表面被覆部の背面側に延在された背板部が、板材の裏面と壁面との間に挿入されて該表面被覆部とともに該板材を挟持し、更には、表面被覆部が連結部により背板部に連結される。
【0021】
(b)i.上述(a)により、板材カバーは、表面被覆部と背板部との間において板材を挟持することで、水平方向の移動が拘束される。
【0022】
ii.上述(a)により、板材カバーは、表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に延在される背板部が、該表面被覆部と連結部を介して連結される。即ち、板材カバーは、表面被覆部、該表面被覆部の基端部、背板部、及び連結部の閉じ断面状につながった無端周回状部分が、板材における表面乃至裏面に渡る部分を包み込むように該板材に添設されて取付けられる。従って、板材カバーは、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けたりしても、板材の周囲を包み込むように取付けられていて、該板材からめくれることなく安定的に該板材に被着される。
【0023】
上述i、iiにより、板材カバーを板材に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、板材カバーの板材からの脱落を安定的に防止できる。
【0024】
(請求項2)
(c)板材カバーは、一対の板材の突合せ部に取付けられたとき、表面被覆部における係合凸部が板材の表面に形成された凹溝に係合した状態で、該表面被覆部が板材の表面を覆い、表面被覆部の基端部から該表面被覆部の背面側に延在された背板部が、板材の裏面と壁面との間に挿入されて該表面被覆部とともに該板材を挟持し、更には、表面被覆部における係合凸部と完全には重ならない範囲の部分が、連結部により背板部に連結される。
【0025】
(d)i.上述(c)により、板材カバーは、表面被覆部と背板部との間において板材を挟持することで、水平方向の移動が拘束され、更に、板材の表面に形成された凹溝と、表面被覆部に形成された係合凸部とが係合することで、鉛直方向の移動が拘束される。
【0026】
ii.上述(c)により、板材カバーは、表面被覆部の基端部と先端部の間に形成してある係合凸部を板材の凹溝に係合させた状態で、表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に延在される背板部が、該表面被覆部の上記係合凸部と完全には重ならない範囲の部分に対し、連結部を介して連結される。このような構成においては、板材カバーが取り付けられる際において、表面被覆部と背板部との間が離間する方向の弾性変形が、連結部によって過度に妨げられてしまうことがない。これにより、板材カバーの取付け容易性を一層向上できる。
【0027】
(請求項3)
(e)表面被覆部における係合凸部よりも先端部の側に位置する部分が連結部により背板部に連結される。
【0028】
上述(e)により、板材カバーは、表面被覆部の基端部と先端部の間に形成してある係合凸部を板材の凹溝に係合させた状態で、表面被覆部の基端部に接合されて該表面被覆部の背面側に延在される背板部が、該表面被覆部の上記係合凸部よりも先端部の側に位置する部分と連結部を介して連結される。即ち、板材カバーは、表面被覆部が係合凸部を板材の表面の凹溝に係合させた状態で、表面被覆部、該表面被覆部の基端部、背板部、及び連結部の閉じ断面状につながった無端周回状部分が、板材における凹溝を含んだ表面乃至裏面に渡る部分を包み込むように該板材に添設されて取付けられる。従って、板材カバーは、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けたりしても、板材の凹溝まわりの周囲を包み込むように取付けられていて、該板材からめくれることなく安定的に該板材に被着される。
【0029】
上述(e)により、板材カバーを板材に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、板材カバーの板材からの脱落を安定的に防止できる。
【0030】
(f)板材カバーは、表面被覆部と背板部とを、該表面被覆部における係合凸部よりも先端部の側に位置する部分に設けた連結部によって連結している。従って、連結部は、表面被覆部における係合凸部が位置する部分に設けられるものに比して、該係合凸部を背板部の側から離隔させようとする該表面被覆部の弾性的な変形を積極的に阻止するものにならない。即ち、板材カバーを鉛直方向から板材に取付ける過程で、表面被覆部に形成された係合凸部が、板材の凹溝に係合する前に、板材の表面に乗り上げたとき、該係合凸部に対向する位置に連結部の存在がないから、表面被覆部における係合凸部の周辺部分は、弾性的に膨らみ変形して、該係合凸部を背板部の側から容易に離隔させるように変位し、その後直ちに弾性的に復元することにて該係合凸部をスムーズに凹溝に係入させ得る。即ち、表面被覆部における係合凸部の周辺部分は、上記の取付けに際して過度の力を受けることによる破損等を生ずることがなく、板材カバーを一対の板材の突合せ部に容易に取付けできる。
【0031】
(請求項4)
(g)前記連結部が前記表面被覆部の先端部に前記背板部を連結してなることにより、連結部が表面被覆部における係合凸部の周辺部分に及ぼす上述(f)の変形阻止機能を一層低減し、上述(f)の板材カバーの取付け容易性を一層向上できる。
【0032】
(請求項5)
(h)前記連結部が棒状をなすことにより、連結部が表面被覆部における係合凸部の周辺部分に及ぼす上述(f)の変形阻止機能を一層低減し、上述(f)の板材カバーの取付け容易性を一層向上できる。
【0033】
(請求項6)
(i)板材カバーを取り付ける際には、板材カバーのうち基端部の側の端部に、例えば木材を当接させた状態としてから、当該木材を介して板材カバーをハンマーで叩き込むのが一般的となっている。請求項6に係る発明では、連結部が、表面被覆部における係合凸部よりも基端部の側に位置する部分と、背板部との間を連結している。ハンマーの衝撃が加わる部分が、連結部の存在によって補強されているので、当該部分の破損が防止される。また、例えば施工現場において板材カバーの長さを調整する必要が生じた場合には、表面被覆部もしくは背板部のうち先端部の側の部分、すなわち連結部が形成されていない部分を切断して、長さを調整することができる。
【0034】
(請求項7)
(j)連結部のうち最も先端部の側における端部が、底部と側壁部との境界と同じ位置、もしくは当該位置よりも基端部の側となる位置に配置されている。係合凸部が凹溝に嵌まり込む際において生じる板材カバーの弾性変形が、連結部により妨げられにくくなるので、板材カバーを従来よりも容易に取り付けることが可能となる。
【0035】
(請求項8)
(k)連結部のうち最も先端部の側における端部が、側壁部のうち最も基端部の側における端部と同じ位置、もしくは当該位置よりも基端部の側となる位置に配置されている。つまり、先端部の側から基端部の側に向かう方向に沿って、係合凸部と全く重ならない位置に連結部が形成されている。このような構成においては、係合凸部が凹溝に嵌まり込む際において生じる板材カバーの変形が、連結部により更に妨げられにくくなるので、板材カバーを従来よりも更に容易に取り付けることが可能となる。
【0036】
(請求項9)
(l)表面被覆部のうち最も先端部の側の端部が、背板部のうち最も先端部の側の端部よりも更に先まで突出するように伸びている。このような構成において、板材カバーを取り付ける際には、先ず、表面被覆部の先端部近傍のみを一対の板材の表面に当接させ、当該表面に沿って板材カバーをスライドさせることができる。このように板材カバーをスライドさせて行くと、背板部の先端が、板材と壁面との間に向かってスムーズに案内される。このため、表面被覆部の先端位置と背板部の先端位置とが揃っている場合に比べて、板材カバーを更に容易に取り付けることが可能となる。
【0037】
(請求項10)
(m)前記背板部が、前記壁面に対する挿入方向と逆向きの引き抜け方向に関し、該壁面への引掛かり部を備えることにより、板材の裏面と壁面との間に挿入されて該板材に取付けられた板材カバーの該板材からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0038】
(請求項11)
(n)前記背板部の先端部分が先細り形状をなすことにより、該背板部の板材の裏面と壁面との間への挿入性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は第1実施形態に係る出隅板材カバーを示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図、(C)は正面上向き斜視図、(D)は背面上向き斜視図である。
図2図2は出隅板材カバーを示し、(A)は右側正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は左側正面図、(E)は上面図、(F)は下面図、(G)は(E)のG-G線に沿う断面図である。
図3図3は第2実施形態に係る入隅板材カバーを示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図4図4は入隅板材カバーを示し、(A)は右側面図、(B)は上面図、(C)は下面図、(D)は(B)のD-D線に沿う断面図である。
図5図5は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図、(C)は板材を透視した背面下向き斜視図、(D)は板材を透視した背面上向き斜視図である。
図6図6は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、(A)は断面図、(B)は要部拡大断面図である。
図7図7は出隅板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示し、図6(B)のVIIB-VIIB線に沿う断面図である。
図8図8は第3実施形態に係るジョイント板材カバーを示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図9図9はジョイント板材カバーを示し、(A)は右側面図、(B)は上面図、(C)は下面図、(D)は(B)のD-D線に沿う断面図である。
図10図10はジョイント板材カバーの使用状態を示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図、(C)は板材を透視した背面下向き斜視図、(D)は板材を透視した背面上向き斜視図である。
図11図11はジョイント板材カバーの使用状態を示す断面図である。
図12図12はジョイント板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示す断面図である。
図13図13は第1実施形態に係る出隅板材カバーの第1変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図14図14は第1実施形態に係る出隅板材カバーの第2変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図15図15は第1実施形態に係る出隅板材カバーの第3変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図16図16は第2実施形態に係る入隅板材カバーの第1変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図17図17は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図18図18は出隅板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示す断面図、(C)は(B)の要部拡大図である。
図19図19は第3実施形態に係るジョイント板材カバーの第1変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図20図20はジョイント板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図21図21はジョイント板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示す断面図、(C)は(B)の要部拡大図である。
図22図22は第1実施形態に係る出隅板材カバーの第4変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図23図23は第2実施形態に係る入隅板材カバーの第2変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図24図24は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図25図25は第3実施形態に係るジョイント板材カバーの第2変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図26図26はジョイント板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図27図27は第1実施形態に係る出隅板材カバーの第5変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図28図28は出隅板材カバーを示し、(A)は右側面図、(B)は上面図、(C)は下面図である。
図29図29は第2実施形態に係る入隅板材カバーの第3変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図30図30は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図31図31は出隅板材カバーの取着状態を示し、(A)は取着過程を示す断面図、(B)は取着完了状態を示す断面図である。
図32図32は第3実施形態に係るジョイント板材カバーの第3変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図33図33はジョイント板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図34図34は第1実施形態に係る出隅板材カバーの第6変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図35図35は第2実施形態に係る入隅板材カバーの第4変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図36図36は出隅板材カバーと入隅板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図37図37は第3実施形態に係るジョイント板材カバーの第4変形例を示し、(A)は正面上向き斜視図、(B)は背面上向き斜視図である。
図38図38はジョイント板材カバーの使用状態を示し、板材を透視した背面下向き斜視図である。
図39図39は第4実施形態に係る出隅板材カバーを示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図である。
図40図40は第4実施形態に係る出隅板材カバーを示し、(A)は右側正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は左側正面図、(E)は上面図、(F)は下面図である。
図41図41は、連結部が形成されている範囲について説明するための図である。
図42図42は、板材に取り付けられる際において出隅板材カバーが変形する様子を示す図である。
図43図43は、出隅板材カバーを板材に取り付ける作業について説明するための図である。
図44図44は、出隅板材カバーを板材に取り付ける作業について説明するための図である。
図45図45は第5実施形態に係る入隅板材カバーを示し、(A)は正面下向き斜視図、(B)は背面下向き斜視図である。
図46図46は第5実施形態に係る入隅板材カバーを示し、(A)は右側正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は左側正面図、(E)は上面図、(F)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0041】
図1図2に示した第1実施形態に係る出隅板材カバー10は、図5図6に示した壁面Wの出隅WAに配置された一対の板材1、1の双方の突合せ部2をカバーする。尚、各板材1の突合せ端面(木口)は互いに向かい合い、一定の隙間G(図6)を形成するものとされている。
【0042】
図5図6において、出隅板材カバー10が適用される一対の板材1、1は、壁面Wの床寄りの両側に配置された一対の幅木を構成するものとされている。但し、この出隅板材カバー10が適用される一対の板材1、1は、壁面Wの天井寄りの両側に配置された一対の回り縁(不図示)を構成するものでも良い。ここで、各板材1は、表面1Aの長手方向に沿って凹溝1K(図5)が形成され、裏面1Bを壁面Wに添わせるように配置される。
【0043】
出隅板材カバー10は、射出成形により一体成形された樹脂製であり、表面被覆部11、係合凸部12、背板部13、及び連結部14を有している。
【0044】
表面被覆部11は、壁面Wの出隅WAの形状に合わせて水平方向に沿った断面をL字状とされるとともに、前記一対の板材1、1の高さH(図5)と略同一長さの高さを備え、その高さ方向に沿うように基端部11Aから先端部11Bまで延在され、該先端部11Bを床(又は天井)に対向配置することにより、一対の板材1、1の双方の突合せ部2の表面1Aを被覆する。尚、表面被覆部11の基端部11Aは各板材1の上端面1Cを被覆する部分を構成している。
【0045】
係合凸部12は、表面被覆部11の基端部11Aと先端部11Bの間、本実施形態ではその高さ方向の中間部における、水平方向に沿ったL字断面の全域に渡り、正面から背面に向けて突出形成されて前記一対の板材1、1の双方の凹溝1Kに係合する。
【0046】
背板部13は、表面被覆部11の基端部11Aに接合された基端側から先端側に向けて該表面被覆部11の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の裏面1Bと前記壁面Wとの間に先端側から鉛直方向に挿入されて配置され、該表面被覆部11とともに前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2を挟持する。尚、背板部13は、表面被覆部11と同様に、壁面Wの出隅WAの形状に合わせて水平方向に沿った断面をL字状とし、L字断面の中心線13Hを挟む左右の背板13A、13Bからなるとともに、前記一対の板材1、1の高さHと略同一長さの高さを備える。
【0047】
連結部14は、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2が形成する隙間Gにおける水平方向に沿う奥行き長さと略同一長さをなしてその隙間G内に配置され、板材1の高さ方向で係合凸部12よりも先端部11Bの側に位置する部分(本実施形態では表面被覆部11の先端L字コーナー部11V)と前記背板部13(本実施形態では背板部13の先端のL字コーナー部13V)とを連結する。本実施形態では、先端部11Bの側から基端部11Aの側に向かう方向、即ち上下方向に沿って、表面被覆部11のうち連結部14により連結されている部分の範囲が、係合凸部12とは全く重ならない範囲となっている。
【0048】
即ち、本実施形態では、連結部14は、表面被覆部11の先端部11Bに背板部13を連結している。このとき、背板部13は表面被覆部11の基端部11Aに接合され、板材1、1の高さ方向の下端部にまで延在されている。
【0049】
また、本実施形態では、図1図2に示す如く、連結部14が表面被覆部11から背板部13に向かう方向に直交する断面形状を角棒又は丸棒等とする棒状をなすものとされている。
【0050】
これにより、前記一対の板材1、1の突合せ部2に出隅板材カバー10を取付けるとき、図7に示す如く、背板部13が両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に先端部分から鉛直方向に差し込まれ、表面被覆部11に形成された係合凸部12が各板材1の凹溝1Kに係合する前に、板材1の表面1Aに乗り上げたとき、該係合凸部12に対向する部位に連結部14の存在がなく、表面被覆部11における係合凸部12の周辺部分が弾性的に膨らみ変形して、該係合凸部12がスムーズに凹溝1Kに係入し得るものになる。
【0051】
従って、本実施形態の出隅板材カバー10によれば、以下の作用効果を奏する。
【0052】
(a)出隅板材カバー10は、一対の板材1、1の突合せ部2に取付けられたとき、表面被覆部11が板材1の表面1Aを覆い、表面被覆部11の基端部11Aから該表面被覆部11の背面側に延在された背板部13が、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて該表面被覆部11とともに該板材1を挟持し、更には、表面被覆部11が連結部14により背板部13に連結される。
【0053】
(b)i.上述(a)により、出隅板材カバー10は、表面被覆部11と背板部13との間において板材1を挟持することで、水平方向の移動が拘束される。
【0054】
ii.上述(a)により、出隅板材カバー10は、表面被覆部11の基端部11Aに接合されて該表面被覆部11の背面側に延在される背板部13が、該表面被覆部11と連結部14を介して連結される。即ち、出隅板材カバー10は、表面被覆部11、該表面被覆部11の基端部11A、背板部13、及び連結部14の閉じ断面状につながった無端周回状部分が、板材1における表面乃至裏面に渡る部分を包み込むように該板材1に添設されて取付けられる。従って、出隅板材カバー10は、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けても、板材1の周囲を包み込むように取付けられていて、該板材1からめくれることなく安定的に該板材1に被着される。
【0055】
上述i、iiにより、出隅板材カバー10を板材1に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、出隅板材カバー10の板材1からの脱落を安定的に防止できる。
【0056】
(c)出隅板材カバー10は、一対の板材1、1の突合せ部2に取付けられたとき、表面被覆部11における係合凸部12が板材1の表面1Aに形成された凹溝1Kに係合した状態で、該表面被覆部11が板材1の表面1Aを覆い、表面被覆部11の基端部11Aから該表面被覆部11の背面側に延在された背板部13が、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて該表面被覆部11とともに該板材1を挟持し、更には、表面被覆部11における係合凸部12よりも先端部11Bの側に位置する部分が連結部14により背板部13に連結される。
【0057】
(d)i.上述(c)により、出隅板材カバー10は、表面被覆部11と背板部13との間において板材1を挟持することで、水平方向の移動が拘束され、更に、板材1の表面1Aに形成された凹溝1Kと、表面被覆部11に形成された係合凸部12とが係合することで、鉛直方向の移動が拘束される。
【0058】
ii.上述(c)により、出隅板材カバー10は、表面被覆部11の基端部11Aと先端部11Bの間に形成してある係合凸部12を板材1の凹溝1Kに係合させた状態で、表面被覆部11の基端部11Aに接合されて該表面被覆部11の背面側に延在される背板部13が、該表面被覆部11の上記係合凸部12よりも先端部11Bの側に位置する部分と連結部14を介して連結される。即ち、出隅板材カバー10は、表面被覆部11が係合凸部12を板材1の表面1Aの凹溝1Kに係合させた状態で、表面被覆部11、該表面被覆部11の基端部11A、背板部13、及び連結部14の閉じ断面状につながった無端周回状部分が、板材1における凹溝1Kを含んだ表面乃至裏面に渡る部分を包み込むように該板材1に添設されて取付けられる。従って、出隅板材カバー10は、足で蹴られたり、掃除機等の打撃を受けても、板材1の凹溝1Kまわりの周囲を包み込むように取付けられていて、該板材1からめくれることなく安定的に該板材1に被着される。
【0059】
上述i、iiにより、出隅板材カバー10を板材1に固定するための両面テープや接着剤を用いることなく、出隅板材カバー10の板材1からの脱落を安定的に防止できる。
【0060】
(e)出隅板材カバー10は、表面被覆部11と背板部13とを、該表面被覆部11における係合凸部12よりも先端部11Bの側に位置する部分に設けた連結部14によって連結している。従って、連結部14は、表面被覆部11における係合凸部12が位置する部分に設けられるものに比して、該係合凸部12を背板部13の側から離隔させようとする該表面被覆部11の弾性的な変形を積極的に阻止するものにならない。即ち、出隅板材カバー10を鉛直方向から板材1に取付ける過程で、表面被覆部11に形成された係合凸部12が、板材1の凹溝1Kに係合する前に、板材1の表面1Aに乗り上げたとき、該係合凸部12に対向する位置に連結部14の存在がないから、表面被覆部11における係合凸部12の周辺部分は、弾性的に膨らみ変形して、該係合凸部12を背板部13の側から容易に離隔させるように変位し、その後直ちに弾性的に復元することにて該係合凸部12をスムーズに凹溝1Kに係入させ得る。即ち、表面被覆部11における係合凸部12の周辺部分は、上記の取付けに際して過度の力を受けることによる破損等を生ずることがなく、出隅板材カバー10を一対の板材1、1の突合せ部2に容易に取付けできる。
【0061】
(f)前記連結部14が前記表面被覆部11の先端部11Bに前記背板部13を連結してなることにより、連結部14が表面被覆部11における係合凸部12の周辺部分に及ぼす上述(e)の変形阻止機能を一層低減し、上述(e)の出隅板材カバー10の取付け容易性を一層向上できる。
【0062】
(g)前記連結部14が棒状をなすことにより、連結部14が表面被覆部11における係合凸部12の周辺部分に及ぼす上述(e)の変形阻止機能を一層低減し、上述(e)の出隅板材カバー10の取付け容易性を一層向上できる。
【0063】
図3図4に示した第2実施形態に係る入隅板材カバー20は、図5図6に示した壁面Wの入隅WBに配置された一対の幅木(回り縁でも可)を構成する板材1、1の双方の突合せ部2をカバーするものである。
【0064】
入隅板材カバー20は、図1図2に示した出隅板材カバー10の各部の形状を入隅WBの形状に合わせて変形したものであり、出隅板材カバー10の表面被覆部11(基端部11A、先端部11B、L字コーナー部11V)、係合凸部12、背板部13(各背板13A、13B、中心線13H、L字コーナー部13V)、連結部14と同様に機能する表面被覆部21(基端部21A、先端部21B、L字コーナー部21V)、係合凸部22、背板部23(各背板23A、23B、中心線23H、L字コーナー部23V)、連結部24を備える。
【0065】
即ち、入隅板材カバー20は、一対の板材1、1の高さ方向に沿うように基端部21Aから先端部21Bまで延在され、該先端部21Bを床(又は天井)に対向配置することにより、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の表面1Aを被覆する表面被覆部21を有する。
【0066】
また、入隅板材カバー20は、表面被覆部21に形成されて前記一対の板材1、1の双方の凹溝1Kに係合する係合凸部22を有する。
【0067】
また、入隅板材カバー20は、表面被覆部21の基端部21Aに接合されて該表面被覆部21の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の裏面1Bと前記壁面Wとの間に挿入されて配置され、該表面被覆部21とともに前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2を挟持する背板部23を有する。
【0068】
また、入隅板材カバー20は、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の隙間Gに配置され、表面被覆部21における係合凸部22よりも先端部21Bの側に位置する部分と背板部23とを連結する連結部24を有する。本実施形態の入隅板材カバー20は、連結部24が表面被覆部21の先端部21Bに背板部23を連結している。また、本実施形態の入隅板材カバー20は、連結部24が棒状をなすものとされている。
【0069】
これにより、前記一対の板材1、1の突合せ部2に入隅板材カバー20を取付けるとき、背板部23が両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に先端部分から鉛直方向に差し込まれ、表面被覆部21に形成された係合凸部22が各板材1の凹溝1Kに係合する前に、板材1の表面1Aに乗り上げたとき、該係合凸部22に対向する部位に連結部24の存在がなく、表面被覆部21における係合凸部22の周辺部分が弾性的に膨らみ変形して、該係合凸部22がスムーズに凹溝1Kに係入し得るものになる。
【0070】
従って、本実施形態の入隅板材カバー20にあっても、出隅板材カバー10において前述したと同様の作用効果を奏する。
【0071】
図8図9に示した第3実施形態に係るジョイント板材カバー30は、図10図11に示した壁面Wの直線状中間部WCに配置された一対の幅木(回り縁でも可)を構成するように、水平方向に並んだ板材1、1の双方の突合せ部2をカバーするものである。
【0072】
ジョイント板材カバー30は、図1図2に示した出隅板材カバー10の各部の形状を直線状中間部WCの形状に合わせて変形したものであり、出隅板材カバー10の表面被覆部11(基端部11A、先端部11B、L字コーナー部11V)、係合凸部12、背板部13(各背板13A、13B、中心線13H、L字コーナー部13V)、連結部14と同様に機能する表面被覆部31(基端部31A、先端部31B、中央部31V)、係合凸部32、背板部33(各背板33A、33B、中心線33H、中央部33V)、連結部34を備える。
【0073】
即ち、ジョイント板材カバー30は、一対の板材1、1の高さ方向に沿うように基端部31Aから先端部31Bまで延在され、該先端部31Bを床(又は天井)に対向配置することにより、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の表面1Aを被覆する表面被覆部31を有する。
【0074】
また、ジョイント板材カバー30は、表面被覆部31に形成されて前記一対の板材1、1の双方の凹溝1Kに係合する係合凸部32を有する。
【0075】
また、ジョイント板材カバー30は、表面被覆部31の基端部31Aに接合されて該表面被覆部31の背面側に沿うように延在され、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の裏面1Bと前記壁面Wとの間に挿入されて配置され、該表面被覆部31とともに前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2を挟持する背板部33を有する。尚、背板部33は、表面被覆部31と同様に、壁面Wの直線状中間部WCの形状に合わせて水平方向に沿った断面を平板状とし、平板断面の中心線33Hを挟む左右の背板33A、33Bからなるとともに、前記一対の板材1、1の高さHと略同一長さの高さを備える。
【0076】
また、ジョイント板材カバー30は、前記一対の板材1、1の双方の突合せ部2の隙間Gに配置され、表面被覆部31における係合凸部32よりも先端部31Bの側に位置する部分(本実施形態では表面被覆部31の先端中央部31V)と背板部33(本実施形態では背板部33の先端中央部33V)とを連結する連結部34を有する。本実施形態のジョイント板材カバー30は、連結部34が表面被覆部31の先端部31Bに背板部33を連結している。また、本実施形態のジョイント板材カバー30は、連結部34が棒状をなすものとされている。
【0077】
これにより、前記一対の板材1、1の突合せ部2にジョイント板材カバー30を取付けるとき、図12に示す如く、背板部33が両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に先端部分から鉛直方向から差し込まれ、表面被覆部31に形成された係合凸部32が各板材1の凹溝1Kに係合する前に、板材1の表面1Aに乗り上げたとき、該係合凸部32に対向する部位に連結部34の存在がなく、表面被覆部31における係合凸部32の周辺部分が弾性的に膨らみ変形して、該係合凸部32がスムーズに凹溝1Kに係入し得るものになる。
【0078】
従って、本実施形態のジョイント板材カバー30にあっても、出隅板材カバー10において前述したと同様の作用効果を奏する。尚、ジョイント板材カバー30は、水平方向に並んだ板材1、1の間に取付けられるので、連結部34が各板材1の突合せ端面に当たるまで該板材1、1同士の隙間G内で水平方向に一定量動く。但し、ジョイント板材カバー30は、連結部34の存在により各板材1の表裏面に直交する水平方向の移動が拘束される。
【0079】
図13乃至図15は、それぞれ第1実施形態に係る出隅板材カバー10の第1乃至第3変形例に係る出隅板材カバー10A乃至10Cを示すものである。各出隅板材カバー10A乃至10Cにおいて、出隅板材カバー10におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
出隅板材カバー10A乃至10Cは、それぞれ背板部13が石膏ボード等の軟質壁材等からなる前記壁面Wに対する挿入方向Kと逆向きの引き抜け方向Rに関して、該壁面Wへの引掛かり部15を備えたものである。
【0081】
図13に示した出隅板材カバー10Aは、図17図18に示す如く、一対の板材1、1の双方の突合せ部2を構成する各板材1の裏面1Bと、壁面Wとの間に挿入されたとき、L字断面をなしてその壁面Wに接する背板部13の各背板13A、13Bのそれぞれに、1個又は複数個(本実施形態では3個)の角孔状の引掛かり孔部15Aを穿設して備えるものとした。各引掛かり孔部15Aは、図18(C)において出隅板材カバー10Aの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該引掛かり孔部15Aの下側縁部のエッジeが上向きにナイフ状をなして、その引き抜け方向Rで壁面Wに引掛かる引掛かり部15を構成する。
【0082】
図14に示した出隅板材カバー10Bは、背板部13の各背板13A、13Bのそれぞれにおける壁面Wに接する面に、出隅板材カバー10Aの引掛かり孔部15Aに代えて、それらの背板13A、13Bを貫通しない引掛かり凹部15Bを備えるものとした。各引掛かり凹部15Bは、各背板13A、13Bの面内に凹設され、出隅板材カバー10Bの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該引掛かり部15Bの下側縁部のエッジeが上向きにナイフ状をなして、その引き抜け方向Rで壁面Wに引掛かる引掛かり部15を構成する。
【0083】
図15に示した出隅板材カバー10Cは、背板部13の各背板13A、13Bのそれぞれにおける壁面Wに接する面に、出隅板材カバー10Aの引掛かり孔部15Aに代わる引掛かり凸部15Cを備えたものである。各引掛かり凸部15Cは、各背板13A、13Bの面上に凸設され、出隅板材カバー10Cの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該引掛かり凸部15Cの上側縁部のエッジeが上向きナイフ状をなして、その引き抜け方向Rで壁面Wに引掛かる引掛かり部15を構成する。
【0084】
これにより、出隅板材カバー10A乃至10Cによれば、背板部13が、壁面Wに対する挿入方向Kと逆向きの引き抜け方向Rに関し、該壁面Wへの引掛かり部15を備えることにより、板材1の裏面1Bと壁面Wとの間に挿入されて該板材1に取付けられた板材カバー10A乃至10Cの該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0085】
図16は第2実施形態に係る入隅板材カバー20の第1変形例である入隅板材カバー20Aを示すものである。入隅板材カバー20Aにおいて、入隅板材カバー20におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
入隅板材カバー20Aは、背板部23が石膏ボード等の軟質壁材等からなる前記壁面Wに対する挿入方向Kと逆向きの引き抜け方向Rに関して、該壁面Wへの引掛かり部25を備えたものである。
【0087】
図16に示した引掛かり部25は、出隅板材カバー10Aにおける引掛かり孔部15Aと同様に、背板部23の各背板23A、23Bのそれぞれに設けた引掛かり孔部25Aからなるものとした。但し、引掛かり部25は、出隅板材カバー10B、10Cにおける引掛かり凹部15B、引掛かり凸部15Cと同様の引掛かり凹部、引掛かり凸部からなるものに代えても良い。
【0088】
入隅板材カバー20Aにあっても、出隅板材カバー10A乃至10Cにおけると同様の作用効果を奏する。
【0089】
図19は、第3実施形態に係るジョイント板材カバー30の第1変形例に係るジョイント板材カバー30Aを示すものである。ジョイント板材カバー30Aにおいて、ジョイント板材カバー30におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0090】
ジョイント板材カバー30Aは、背板部33が石膏ボード等の軟質壁材等からなる前記壁面Wに対する挿入方向Kと逆向きの引き抜け方向Rに関して、該壁面Wへの引掛かり部35を備えたものである。
【0091】
図19に示した引掛かり部35は、図20図21に示す如く、一対の板材1、1の双方の突合せ部2を構成する各板材1の裏面1Bと、壁面Wとの間に挿入されたとき、直線状をなしてその壁面Wに接する背板部33の各背板33A、33Bにまたがる中央部に、1個又は複数個(本実施形態では3個)の角孔状の引掛かり孔部35Aを穿設して備えるものとした。各引掛かり孔部35Aは、図21(C)においてジョイント板材カバー30Aの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該引掛かり孔部35Aの下側縁部のエッジeが上向きにナイフ状をなして、その引き抜け方向Rで壁面Wに引掛かる引掛かり部35を構成する。
【0092】
図19に示した引掛かり部35は、出隅板材カバー10Aにおける引掛かり孔部15Aと同様の引掛かり孔部35Aからなるものとした。但し、引掛かり部35は、出隅板材カバー10B、10Cにおける引掛かり凹部15B、引掛かり凸部15Cと同様の引掛かり凹部、引掛かり凸部からなるものに代えても良い。
【0093】
ジョイント板材カバー30Aにあっても、出隅板材カバー10A乃至10Cにおけると同様の作用効果を奏する。
【0094】
図22は、第1実施形態に係る出隅板材カバー10の第4変形例に係る出隅板材カバー10Dを示したものである。出隅板材カバー10Dにおいて、出隅板材カバー10におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
出隅板材カバー10Dは、背板部13の先端部分が先細り形状をなす先細り部16とされたものである。具体的には、背板部13の各背板13A、13Bの外縁が、中心線13Hに平行をなす基端側の真直縁部13Jと、真直縁部13Jに斜交して先端側に伸びる傾斜縁部13Kとを有するものにし、左右の傾斜縁部13K、13Kによって先細り部16を形成するものにした。
【0096】
出隅板材カバー10Dによれば、図24に示す如くに前記一対の板材1、1の突合せ部2に取付けるとき、背板部13が先端部分の先細り部16から両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に差し込まれるものになり、その板材1と壁面Wとの間への挿入性を向上できる。
【0097】
図23は、第2実施形態に係る入隅板材カバー20の第2変形例に係る入隅板材カバー20Bを示すものである。入隅板材カバー20Bにおいて、入隅板材カバー20におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
入隅板材カバー20Bは、出隅板材カバー10Dと同様に、背板部23の先端部分が先細り形状をなす先細り部26とされたものである。このとき、背板部23は、出隅板材カバー10Dの背板部13における中心線13H、真直縁部13J、傾斜縁部13Kに対応する中心線23H、真直縁部23J、傾斜縁部23Kを有する。
【0099】
入隅板材カバー20Bによれば、図24に示す如くに前記一対の板材1、1の突合せ部2に取付けるとき、背板部23が先端部分の先細り部26から両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に差し込まれるものになり、その板材1と壁面Wとの間への挿入性を向上できる。
【0100】
図25は、第3実施形態に係るジョイント板材カバー30の第2変形例に係るジョイント板材カバー30Bを示すものである。ジョイント板材カバー30Bにおいて、ジョイント板材カバー30におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0101】
ジョイント板材カバー30Bは、出隅板材カバー10Dと同様に、背板部33の先端部分が先細り形状をなす先細り部36とされたものである。このとき、背板部33は、出隅板材カバー10Dの背板部13における中心線13H、真直縁部13J、傾斜縁部13Kに対応する中心線33H、真直縁部33J、傾斜縁部33Kを有する。
【0102】
ジョイント板材カバー30Bによれば、図26に示す如くに前記一対の板材1、1の突合せ部2に取付けるとき、背板部33が先端部分の先細り部36から両板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間に差し込まれるものになり、その板材1と壁面Wとの間への挿入性を向上できる。
【0103】
図27図28は、第1実施形態に係る出隅板材カバー10の第5変形例に係る出隅板材カバー10Eを示すものである。出隅板材カバー10Eにおいて、出隅板材カバー10におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
出隅板材カバー10Eは、背板部13の先端部分に出隅板材カバー10Dにおけると同様の先細り部16を備えるとともに、先細り部16の基端側に引掛かり部17を備えたものである。引掛かり部17は、出隅板材カバー10Eが図30図31に示す如くに前記一対の板材1、1に取付けられる状態下で、背板部13が石膏ボード等の軟質壁材等からなる前記壁面Wに対する挿入方向Kと逆向きの引き抜け方向Rに関して、該壁面Wへの引掛かり機能を備える。
【0105】
即ち、出隅板材カバー10Eにおける背板部13は、出隅板材カバー10Dにおけると同様に中心線13H、真直縁部13J、傾斜縁部13Kを備えて先細り部16を形成するとともに、左右の真直縁部13Jと傾斜縁部13Kの間で各背板13A、13Bの板面に沿う外方へ張り出る張り出し縁部13Mを有するものとし、この張り出し縁部13Mにより引掛かり部17を形成した。背板部13の左右の張り出し縁部13Mは、図31において、出隅板材カバー10Eの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該張り出し縁部13Mの上部エッジeがその引き抜け方向Rで壁面Wに引っ掛かる引掛かり部17を構成する。
【0106】
従って、出隅板材カバー10Eによれば、先細り部16を備えることによって板材1と壁面Wとの間への背板部13の挿入性を向上できるとともに、引掛かり部17を備えることによって該板材1に取付けられた状態下での該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0107】
尚、出隅板材カバー10Eは、背板部13において、引掛かり部17を形成する左右の張り出し縁部13Mが、該出隅板材カバー10Eの正面視で表面被覆部11の左右の外縁部から外方に突出されている。これにより、一対の板材1、1と壁面Wとの間への背板部13の挿入時に、各板材1に対する背板部13の位置関係が容易に分かり、施工容易になる。この点は、後述する入隅板材カバー20C、ジョイント板材カバー30Cの引掛かり部27(張り出し縁部23M)、引掛かり部37(張り出し縁部33M)、出隅板材カバー10F、入隅板材カバー20D、ジョイント板材カバー30Dの引掛かり部18(張り出し凸部13R)、引掛かり部28(張り出し凸部23R)、引掛かり部38(張り出し凸部33R)も同様になる。
【0108】
図29は、第2実施形態に係る入隅板材カバー20の第3変形例に係る入隅板材カバー20Cを示すものである。入隅板材カバー20Cにおいて、入隅板材カバー20におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0109】
入隅板材カバー20Cは、背板部23の先端部分に入隅板材カバー20Bにおける先細り部26を備えるとともに、先細り部26の基端側に出隅板材カバー10Eにおける引掛かり部17と同様の引掛かり部27を備えたものである。このとき、入隅板材カバー20Cは、入隅板材カバー20Bにおける中心線23H、真直縁部23J、傾斜縁部23Kを有するとともに、左右の真直縁部23Jと傾斜縁部23Kの間で各背板23A、23Bの板面に沿って外方へ張り出る張り出し縁部23Mを有するものにし、図30において、入隅板材カバー20Cの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、張り出し縁部23Mの上部エッジeがその引き抜け方向Rで壁面Wに引っ掛かる引掛かり部27を構成する。
【0110】
従って、入隅板材カバー20Cによれば、先細り部26を備えることによって板材1と壁面Wとの間への背板部13の挿入性を向上できるとともに、引掛かり部27を備えることによって該板材1に取付けられた状態下での該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0111】
図32は、第3実施形態に係るジョイント板材カバー30の第3変形例に係るジョイント板材カバー30Cを示すものである。ジョイント板材カバー30Cにおいて、ジョイント板材カバー30におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0112】
ジョイント板材カバー30Cは、背板部33の先端部分にジョイント板材カバー30Bにおける先細り部36を備えるとともに、先細り部36の基端側に出隅板材カバー10Eにおける引掛かり部17と同様の引掛かり部37を備えたものである。このとき、ジョイント板材カバー30Cは、ジョイント板材カバー30Bにおける中心線33H、真直縁部33J、傾斜縁部33Kを有するとともに、左右の真直縁部33Jと傾斜縁部33Kの間で各背板33A、33Bの板面に沿って外方へ張り出る張り出し縁部33Mを有するものにし、図33において、ジョイント板材カバー30Cの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、張り出し縁部33Mの上部エッジeがその引き抜け方向Rで壁面Wに引っ掛かる引掛かり部37を構成する。
【0113】
従って、ジョイント板材カバー30Cによれば、先細り部36を備えることによって板材1と壁面Wとの間への背板部33の挿入性を向上できるとともに、引掛かり部37を備えることによって該板材1に取付けられた状態下での該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0114】
図34は、第1実施形態に係る出隅板材カバー10の第6変形例に係る出隅板材カバー10Fを示すものである。出隅板材カバー10Fにおいて、出隅板材カバー10におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0115】
出隅板材カバー10Fは、背板部13の先端部分に出隅板材カバー10Dにおける先細り部16を備えるとともに、先細り部16の基端側に引掛かり部18を備えたものである。引掛かり部18は、出隅板材カバー10Fが図36に示す如くに前記一対の板材1、1に取付けられた状態下で、背板部13が石膏ボード等の軟質壁材等からなる前記壁面Wに対する挿入方向Kと逆向きの引き抜け方向Rに関して、該壁面Wへの引掛かり機能を備える。
【0116】
即ち、出隅板材カバー10Fにおける背板部13は、出隅板材カバー10Dにおけると同様に中心線13H、真直縁部13J、傾斜縁部13Kを備えて先細り部16を形成するとともに、左右の真直縁部13Jの外縁に沿う1カ所又は複数カ所(本実施形態では5カ所)から各背板13A、13Bの板面に沿う外方へ張り出る張り出し凸部13Rを有するものにし、この張り出し凸部13Rにより引掛かり部18を形成した。背板部13の左右の張り出し凸部13Rは、図36において、出隅板材カバー10Fの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該張り出し凸部13Rの上部エッジeがその引き抜け方向Rで壁面Wに引っ掛かる引掛かり部18を構成する。
【0117】
従って、出隅板材カバー10Fによれば、先細り部16を備えることによって板材1と壁面Wとの間への背板部13の挿入性を向上できるとともに、引掛かり部18を備えることによって該板材1に取付けられた状態下での該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0118】
図35は、第2実施形態に係る入隅板材カバー20の第4変形例に係る入隅板材カバー20Dを示すものである。入隅板材カバー20Dにおいて、入隅板材カバー20におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0119】
入隅板材カバー20Dは、背板部23の先端部分に入隅板材カバー20Bにおける先細り部26を備えるとともに、先細り部26の基端側に出隅板材カバー10Fにおける引掛かり部18と同様の引掛かり部28を備えたものである。このとき、入隅板材カバー20Dは、入隅板材カバー20Bにおける中心線23H、真直縁部23J、傾斜縁部23Kを有するとともに、左右の真直縁部23Jの外縁に沿う1カ所は複数カ所(本実施形態では5カ所)から各背板13A、13Bの板面に沿う外方へ張り出る張り出し凸部23Rを有するものにし、この張り出し凸部23Rにより引掛かり部28を形成した。背板部23の左右の張り出し凸部23Rは、入隅板材カバー20Dが図36に示す如くに板材1、1に取付けられた状態下で、入隅板材カバー20Dの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該張り出し凸部23Rの上部エッジeがその引き抜け方向Rで壁面Wに引っ掛かる引掛かり部28を構成する。
【0120】
従って、入隅板材カバー20Dによれば、先細り部26を備えることによって板材1と壁面Wとの間への背板部23の挿入性を向上できるとともに、引掛かり部28を備えることによって該板材1に取付けられた状態下での該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0121】
図37は、第3実施形態に係るジョイント板材カバー30の第4変形例に係るジョイント板材カバー30Dを示すものである。ジョイント板材カバー30Dにおいて、ジョイント板材カバー30におけると同一機能をなす部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0122】
ジョイント板材カバー30Dは、背板部33の先端部分にジョイント板材カバー30Bにおける先細り部36を備えるとともに、先細り部36の基端側に出隅板材カバー10Fにおける引掛かり部18と同様の引掛かり部38を備えたものである。このとき、ジョイント板材カバー30Dは、ジョイント板材カバー30Bにおける中心線33H、真直縁部33J、傾斜縁部33Kを有するとともに、左右の真直縁部33Jの外縁に沿う1カ所は複数カ所(本実施形態では5カ所)から各背板33A、33Bの板面に沿う外方へ張り出る張り出し凸部33Rを有するものにし、この張り出し凸部33Rにより引掛かり部38を形成した。図38において、背板部33の左右の張り出し凸部33Rは、ジョイント板材カバー30Dの引き抜け方向Rが上向きをなすとき、該張り出し凸部33Rの上部エッジeがその引き抜け方向Rで壁面Wに引っ掛かる引掛かり部38を構成する。
【0123】
従って、ジョイント板材カバー30Dによれば、先細り部36を備えることによって板材1と壁面Wとの間への背板部33の挿入性を向上できるとともに、引掛かり部38を備えることによって該板材1に取付けられた状態下での該板材1からの脱落防止性能を一層向上できる。
【0124】
連結部は、図7(A)に2点鎖線で示す如く、表面被覆部における係合凸部と先端部の間に位置する中間部と背板部とを連結するものでも良い。このとき、背板部は表面被覆部の基端部に接合されるものであれば、板材の高さ方向の下端部にまで延在されることを要しない。
【0125】
また、板材カバーは、一対の板材の双方の突合せ部の隙間に配置される複数個の連結部を有するものでも良い。
【0126】
第4実施形態について説明する。本実施形態に係る出隅板材カバー100は、第1実施形態に係る出隅板材カバー10と同様に、図5の出隅WAに配置された板材1、1の双方の突合せ部2をカバーするものである。図39及び図40を参照しながら、出隅板材カバー100の構成について説明する。出隅板材カバー100は、表面被覆部110と、背板部130と、連結部140と、を備えている。
【0127】
表面被覆部110は、第1実施形態における表面被覆部11と同様に、一対の板材1、1の双方の突合せ部2の表面1A(図5を参照)を被覆する部分である。表面被覆部110は、第1被覆部111と、第2被覆部112とを有している。第1被覆部111は、図5に示される一対の板材1のうち、一方の板材1の表面1Aを被覆する部分であり、第2被覆部112は、他方の板材1の表面1Aを被覆する部分である。第1被覆部111及び第2被覆部112は、それぞれの法線方向が互いに直行するように配置されている。
【0128】
第1実施形態と同様に、表面被覆部110のうち一方側の端部が基端部110Aとなっており、他方側の端部が先端部110Bとなっている。出隅板材カバー100が取り付けられた一対の板材1、1が、天井近傍に設けられた廻り縁である場合には、基端部110Aのある「一方側の端部」とは、上下方向に沿った下方側の端部ということになり、先端部110Bのある「他方側の端部」とは、上下方向に沿った上方側の端部ということになる。
【0129】
また、出隅板材カバー100が取り付けられた一対の板材1、1が、床近傍に設けられた幅木である場合には、基端部110Aのある「一方側の端部」とは、上下方向に沿った上方側の端部ということになり、先端部110Bのある「他方側の端部」とは、上下方向に沿った下方側の端部ということになる。
【0130】
いずれの場合においても、出隅板材カバー100が一対の板材1、1に取り付けられた状態においては、先端部110Bの側から基端部110Aの側に向かう方向は、上下方向に沿った方向となる。このため、「先端部110Bの側から基端部110Aの側に向かう方向」のことを示す語として、以下の説明においては「上下方向」の語を用いることがある。
【0131】
第1実施形態における基端部11Aと同様に、表面被覆部110の基端部110Aは壁面W側に向かって伸びており、その先端には後述の背板部130が繋がっている。
【0132】
表面被覆部110には、係合凸部120が形成されている。係合凸部120は、第1実施形態における係合凸部12と同様に、一対の板材1、1の凹溝1K(図5を参照)に係合するよう、背板部130側に向かって突出する部分である。係合凸部120が伸びる方向は、出隅板材カバー100が一対の板材1、1に取り付けられた状態において、水平面に沿う方向である。係合凸部120は、基端部110Aと先端部110Bとの間となる高さ位置において、第1被覆部111と第2被覆部112との両方に跨って伸びるように形成されている。
【0133】
背板部130は、第1実施形態における背板部13と同様に、板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間(図5を参照)に差し込まれ、表面被覆部110と共に板材1、1を両側から挟み込む部分である。
【0134】
背板部130は、第1背板部131と、第2背板部132とを有している。第1背板部131は、図5に示される一対の板材1のうち、一方の板材1の裏面1Bを被覆する部分であって、表面被覆部110の第1被覆部111と対向する部分である。第2背板部132は、他方の板材1の裏面1Bを被覆する部分であって、表面被覆部110の第2被覆部112と対向する部分である。第1背板部131及び第2背板部132は、それぞれの法線方向が互いに直行するように配置されている。
【0135】
背板部130のうち基端部110A側の端部(図39においては上方側の端部)のことを、以下では「端部130A」とも称する。端部130Aは、表面被覆部110の基端部110Aに接続されている。背板部130のうち先端部110B側の端部(図39においては下方側の端部)のことを、以下では「端部130B」とも称する。
【0136】
図39(B)に示されるように、先端部110Bの側から基端部110Aの側に向かう方向(つまり上下方向)に沿った表面被覆部110の長さは、同方向に沿った背板部130の長さよりも長くなっている。このため、上下方向に沿った端部130Bの位置は、基端部110Aと先端部110Bとの間の位置となっている。
【0137】
連結部140は、第1実施形態における連結部14と同様に、表面被覆部110と背板部130との間を連結するように設けられた部分である。図40(B)、図40(C)、及び図40(F)に示されるように、本実施形態の連結部140は板状に形成されている。また、図40(F)に示されるように、連結部140の一部は、表面被覆部110のうち第1被覆部111と第2被覆部112との境界であるコーナー部分に接続されている。また、連結部140の他の一部は、背板部130のうち第1背板部131と第2背板部132との境界であるコーナー部分に接続されている。つまり、連結部140は、表面被覆部110と背板部130との間において、それぞれのコーナー部同士を連結するように設けられている。
【0138】
上下方向における連結部140の位置について、図41を参照しながら説明する。図41には、出隅板材カバー100を、連結部140と平行な面に沿って切断した状態が模式的に示されている。同図に示されるように、係合凸部120は、底部122と、側壁部121と、側壁部123と、を有している。
【0139】
底部122は、最も背板部130の側に後退している部分であって、背板部130と平行となっている部分である。図41に示される点線DL2は、底部122のうち最も基端部110A側となる端部の位置を示している。また、図41に示される点線DL3は、底部122のうち最も先端部110B側となる端部の位置を示している。
【0140】
側壁部121は、底部122に対し基端部110Aの側から繋がっている部分であって、背板部130に対して傾斜している部分である。図41に示される点線DL1は、側壁部121のうち最も基端部110A側となる端部の位置を示している。また、先に述べた点線DL2で示される位置は、側壁部121のうち最も先端部110B側となる端部の位置、すなわち、底部122と側壁部121との境界の位置ということもできる。
【0141】
側壁部123は、底部122に対し先端部110Bの側から繋がっている部分であって、背板部130に対して傾斜している部分である。図41に示される点線DL4は、側壁部123のうち最も先端部110B側となる端部の位置を示している。また、先に述べた点線DL3で示される位置は、側壁部123のうち最も基端部110A側となる端部の位置、すなわち、底部122と側壁部123との境界の位置ということもできる。
【0142】
図41に示されるように、連結部140のうち最も基端部110Aの側における端部は、基端部110Aに対して内側から接続されている。このため、連結部140は、表面被覆部110のうち背板部130と対向する部分、表面被覆部110の基端部110A、及び背板部130、からなる3つの部分を連結するように設けられている。
【0143】
連結部140のうち最も先端部11Bの側(図41では下方側)における端部141は、先端部110Bの側から基端部110Aの側に向かう方向(つまり上下方向)に沿って、側壁部121のうち最も基端部110Aの側における端部と同じ位置、すなわち図41の点線DL1で示される位置に配置されている。つまり、本実施形態の連結部140は、表面被覆部110における係合凸部120よりも基端部110Aの側に位置する部分と、背板部130とを連結している。
【0144】
このような構成としたことの効果について説明する。図42には、出隅板材カバー100を板材1に取り付ける作業が行われている途中の時点において、出隅板材カバー100が弾性変形している様子が模式的に示されている。同図に示されるように、出隅板材カバー100が下方側へとスライドされて行き、係合凸部120が板材1の上端を乗り越え始めた時点以降においては、出隅板材カバー100には、表面被覆部110と背板部130との間を押し拡げようとする力が加えられる。
【0145】
仮に、連結部140が係合凸部120の全体に対して連結されていた場合、すなわち、端部141が、図41の点線DL4よりも先端部110B側の位置となるように連結部140が形成されていた場合には、図42に示されるような出隅板材カバー100の弾性変形が生じにくくなる。その結果、係合凸部120が、板材1の上端を乗り越えて凹溝1Kに嵌まり込みにくくなるので、出隅板材カバー100の施工性が悪化してしまう。
【0146】
これに対し、本実施形態では、表面被覆部110における係合凸部120よりも基端部110Aの側に位置する部分、に連結部140が設けられているので、少なくとも係合凸部120の部分においては、図42に示されるような弾性変形が過度に妨げられてしまうことはない。上記のように出隅板材カバー100の施工性が悪化してしまうことがないので、出隅板材カバー100の取付け容易性を向上できる。
【0147】
尚、仮に、出隅板材カバー100に連結部140が設けられていない場合には、表面被覆部110と背板部130とが互いに離間するような弾性変形が更に生じやすくなるので、やはり出隅板材カバー100の施工性が悪化してしまうことはない。しかしながら、この場合には、出隅板材カバー100が板材1に取り付けられた後の状態においても、上記の弾性変形が生じやすい状態のままとなる。このため、表面被覆部110の先端部110B側が、板材1の表面1Aから離れるようなバタつきが生じてしまう可能性が高くなる。
【0148】
これに対し、本実施形態では、表面被覆部110と背板部130との間が連結部140によって連結されており、両者が離間するような弾性変形が適度に抑制されている。このため、出隅板材カバー100の施工性を確保しながらも、施工完了後において、表面被覆部110の先端部110B側がバタついてしまうような現象を防止することができる。
【0149】
尚、「表面被覆部110における係合凸部120よりも基端部110Aの側に位置する部分、に連結部140が設けられている」という構成の具体的な態様は、図41に示される本実施形態の態様に限定されない。例えば、連結部140の端部141の位置が、図41の点線DL1よりも基端部110A側となっている態様としてもよく、図41の点線DL1から点線DL2までの範囲におけるいずれかの位置となっている態様としてもよい。つまり、先端部110Bの側から基端部110Aの側に向かう方向(つまり上下方向)に沿って、表面被覆部110のうち連結部140により連結されている部分の範囲は、係合凸部120と完全には重ならない範囲であればよい。
【0150】
換言すれば、連結部140のうち最も先端部110Bの側における端部141が、上下方向に沿って、底部122と側壁部121との境界と同じ位置(図41の点線DL2)、もしくは当該位置よりも基端部110Aの側となる位置に配置されていればよい。ただし、図42に示される弾性変形を生じやすくするという観点からは、端部141が、上下方向に沿って、側壁部121のうち最も基端部110Aの側における端部と同じ位置(図41の点線DL1)、もしくは当該位置よりも基端部110Aの側となる位置に配置されていることが好ましい。すなわち、上下方向に沿って係合凸部120と全く重ならない位置に連結部140が形成されていることが好ましい。更に、表面被覆部110と背板部130との間が離間するような弾性変形を適度に抑制する、という観点からは、本実施形態のように、端部141が図41の点線DL1の位置に配置されていることが好ましい。
【0151】
図43には、出隅板材カバー100を板材1に取り付ける作業が行われている様子が模式的に示されている。同図に示されるように、出隅板材カバー100を板材1に取り付ける際には、出隅板材カバー100のうち基端部110Aの側の端部に、例えば木材202を当接させた状態としてから、木材202を介して出隅板材カバー100をハンマー201で叩き込む作業が行われる。出隅板材カバー100のうち基端部110A及びその近傍部分には、ハンマー201からの強い衝撃が加えられるので、当該部分が破損してしまうことが懸念される。しかしながら、本実施形態に係る出隅板材カバー100では、連結部140が、表面被覆部110における係合凸部120よりも基端部110Aの側に位置する部分と、背板部130との間を連結している。ハンマー201の衝撃が加わる部分が、連結部140の存在によって補強されているので、本実施形態では当該部分の破損が防止されている。このように、本実施形態の構成によれば、出隅板材カバー100の破損が防止されるという効果も得られる。
【0152】
ところで、図43のような作業が行われる施工現場においては、板材1の上下方向に沿った寸法が、出隅板材カバー100の同方向に沿った寸法よりも短くなっており、出隅板材カバー100の長さを調整する必要が生じることがある。本実施形態では、係合凸部120よりも先端部110B側の部分に連結部140が設けられていない。このため、上記のように出隅板材カバー100の長さを調整する必要が生じた場合には、例えば、表面被覆部110のうち先端部110B側の部分を切断し、長さを容易に調整することが可能である。
【0153】
図39(B)を参照しながら先に説明したように、先端部110Bの側から基端部110Aの側に向かう方向(つまり上下方向)に沿った表面被覆部110の長さは、同方向に沿った背板部130の長さよりも長くなっている。つまり、表面被覆部110のうち最も先端側の先端部110Bが、背板部130のうち最も先端側の端部130Bよりも更に先まで突出するように伸びている。
【0154】
このような構成において、出隅板材カバー100を板材1に取り付ける際には、図44に示されるように、表面被覆部110の先端部110Bの近傍のみを一対の板材1、1の表面1Aに当接させ、表面1Aに沿って出隅板材カバー100をスライドさせることができる。このように出隅板材カバー100をスライドさせて行くと、背板部130の端部130Bが、板材1と壁面Wとの間に向かってスムーズに案内される。このため、本実施形態では、表面被覆部の110先端位置と背板部130の先端位置とが揃っている場合に比べて、出隅板材カバー100を更に容易に取り付けることが可能となっている。
【0155】
第5実施形態について説明する。本実施形態に係る入隅板材カバー200は、第2実施形態に係る入隅板材カバー20と同様に、図5の入隅WBに配置された板材1、1の双方の突合せ部2をカバーするものである。入隅板材カバー200は、第4実施形態における連結部140と同様の構成を、入隅板材カバーに適用したものである。
【0156】
図45及び図46を参照しながら、入隅板材カバー200の構成について説明する。入隅板材カバー200は、表面被覆部210と、背板部230と、連結部240と、を備えている。
【0157】
表面被覆部210は、第4実施形態における表面被覆部110と同様に、一対の板材1、1の双方の突合せ部2の表面1A(図5を参照)を被覆する部分である。表面被覆部210は、第1被覆部211と、第2被覆部212とを有している。第1被覆部211は、図5に示される一対の板材1のうち、一方の板材1の表面1Aを被覆する部分であり、第2被覆部212は、他方の板材1の表面1Aを被覆する部分である。第1被覆部211及び第2被覆部212は、それぞれの法線方向が互いに直行するように配置されている。
【0158】
第4実施形態と同様に、表面被覆部210のうち一方側の端部が基端部210Aとなっており、他方側の端部が先端部210Bとなっている。入隅板材カバー200が取り付けられた一対の板材1、1が、天井近傍に設けられた廻り縁である場合には、基端部210Aのある「一方側の端部」とは、上下方向に沿った下方側の端部ということになり、先端部210Bのある「他方側の端部」とは、上下方向に沿った上方側の端部ということになる。
【0159】
また、入隅板材カバー200が取り付けられた一対の板材1、1が、床近傍に設けられた幅木である場合には、基端部210Aのある「一方側の端部」とは、上下方向に沿った上方側の端部ということになり、先端部210Bのある「他方側の端部」とは、上下方向に沿った下方側の端部ということになる。
【0160】
いずれの場合においても、入隅板材カバー200が一対の板材1、1に取り付けられた状態においては、先端部210Bの側から基端部210Aの側に向かう方向は、上下方向に沿った方向となる。このため、「先端部210Bの側から基端部210Aの側に向かう方向」のことを示す語として、以下の説明においては「上下方向」の語を用いることがある。
【0161】
第4実施形態における基端部110Aと同様に、表面被覆部210の基端部210Aは壁面W側に向かって伸びており、その先端には後述の背板部230が繋がっている。
【0162】
表面被覆部210には、係合凸部220が形成されている。係合凸部220は、第4実施形態における係合凸部120と同様に、一対の板材1、1の凹溝1K(図5を参照)に係合するよう、背板部230側に向かって突出する部分である。係合凸部220が伸びる方向は、入隅板材カバー200が一対の板材1、1に取り付けられた状態において、水平面に沿う方向である。係合凸部220は、基端部210Aと先端部210Bとの間となる高さ位置において、第1被覆部211と第2被覆部212との両方に跨って伸びるように形成されている。
【0163】
背板部230は、第4実施形態における背板部130と同様に、板材1、1の双方の裏面1Bと壁面Wとの間(図5を参照)に差し込まれ、表面被覆部210と共に板材1、1を両側から挟み込む部分である。
【0164】
背板部230は、第1背板部231と、第2背板部232とを有している。第1背板部231は、図5に示される一対の板材1のうち、一方の板材1の裏面1Bを被覆する部分であって、表面被覆部210の第1被覆部211と対向する部分である。第2背板部232は、他方の板材1の裏面1Bを被覆する部分であって、表面被覆部210の第2被覆部212と対向する部分である。第1背板部231及び第2背板部232は、それぞれの法線方向が互いに直行するように配置されている。
【0165】
背板部230のうち基端部210A側の端部(図45においては上方側の端部)のことを、以下では「端部230A」とも称する。端部230Aは、表面被覆部210の基端部210Aに接続されている。背板部230のうち先端部210B側の端部(図45においては下方側の端部)のことを、以下では「端部230B」とも称する。
【0166】
図45(B)に示されるように、先端部210Bの側から基端部210Aの側に向かう方向(つまり上下方向)に沿った表面被覆部210の長さは、同方向に沿った背板部230の長さよりも長くなっている。このため、上下方向に沿った端部230Bの位置は、基端部210Aと先端部210Bとの間の位置となっている。
【0167】
連結部240は、第4実施形態における連結部140と同様に、表面被覆部210と背板部230との間を連結するように設けられた部分である。図46(A)、図46(C)、及び図46(F)に示されるように、本実施形態の連結部240も板状に形成されている。
【0168】
また、図46(F)に示されるように、連結部240は、表面被覆部210のうち第1被覆部211と第2被覆部212との境界であるコーナー部分の近傍において、第1背板部231と平行となるように配置されている。尚、図45(B)や図46(A)等に示されるように、背板部230には矩形の貫通穴250が形成されている。貫通穴250は、入隅板材カバー200を樹脂の射出成型で形成する際に、アンダーカットとならないように形成された型抜き用の穴である。
【0169】
上下方向における連結部240と係合凸部220との位置関係は、図41を参照しながら説明したような、第4実施形態における連結部140と係合凸部120との位置関係と同じである。
【0170】
図示は省略するが、本実施形態でも、係合凸部220は、最も背板部230の側に後退している部分であって、背板部230と平行な底部と、当該底部に対し基端部210Aの側から繋がっている部分であって、背板部230に対して傾斜している側壁部と、を有している。連結部240のうち最も先端部210Bの側における端部241は、上下方向に沿って、上記の底部と側壁部との境界と同じ位置(図41の点線DL2に相当する位置)、もしくは当該位置よりも基端部210Aの側となる位置に配置されていればよい。ただし、図42に示されるものと同様の弾性変形を生じやすくするという観点からは、端部241が、上下方向に沿って、上記の側壁部のうち最も基端部210Aの側における端部と同じ位置(図41の点線DL1に相当する位置)、もしくは当該位置よりも基端部210Aの側となる位置に配置されていることが好ましい。すなわち、上下方向に沿って係合凸部220と全く重ならない位置に連結部240が形成されていることが好ましい。更に、表面被覆部210と背板部230との間が離間するような弾性変形を適度に抑制する、という観点からは、端部241が、図41の点線DL1に相当する位置に配置されていることが好ましい。
【0171】
以上のような位置に連結部240を配置することで、入隅板材カバー200でも、第4実施形態で説明したものと同様の効果を奏することができる。尚、第3実施形態のようなジョイント板材カバーにおいても、連結部140や連結部240と同様の板状の連結部を設けることで、やはり同様の効果を奏することができる。
【0172】
尚、第4実施形態に係る出隅板材カバー100、第5実施形態に係る入隅板材カバー200、及び上記のようなジョイント板材カバーについては、第1実施形態乃至第3実施形態における各変形例の構成、例えば、背板部の先端部分を先細り形状とした構成や、背板部に引掛かり部を備える構成等を適用することが可能である。
【0173】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明によれば、両面テープや接着剤を用いることなく、一対の板材の突合せ部に容易に取付けでき、しかも脱落し難い板材カバーを提供することができる。
【符号の説明】
【0175】
1 板材
2 突合せ部
1A 表面
1B 裏面
1K 凹溝
10、10A乃至10F、100 出隅板材カバー
11、110 表面被覆部
11A、110A 基端部
11B、110B 先端部
12、120 係合凸部
121 側壁部
122 底部
13、130 背板部
14、140 連結部
15、17、18 引掛かり部
16 先細り部
20、20A乃至20D、200 入隅板材カバー
21、210 表面被覆部
21A、210A 基端部
21B、210B 先端部
22、220 係合凸部
23、230 背板部
24、240 連結部
25、27、28 引掛かり部
26 先細り部
30、30A乃至30D ジョイント板材カバー
31 表面被覆部
31A 基端部
31B 先端部
32 係合凸部
33 背板部
34 連結部
35、37、38 引掛かり部
36 先細り部
G 隙間
K 挿入方向
R 引き抜け方向
W 壁面
図1
図2
図3
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