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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ターボ機械用熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20240305BHJP
   F28D 1/04 20060101ALI20240305BHJP
   F02C 7/14 20060101ALI20240305BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20240305BHJP
   F02K 3/115 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F28F9/00 321
F28D1/04 Z
F02C7/14
F01D25/12 Z
F02K3/115
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021505297
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 FR2019051870
(87)【国際公開番号】W WO2020025894
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】1857153
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリュム,エルベ・ウジェーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ギユ,ランスロ
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0198974(US,A1)
【文献】実開昭60-182105(JP,U)
【文献】特開2016-145524(JP,A)
【文献】特開2015-175562(JP,A)
【文献】特開2007-071432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00
F28D 1/04
F02C 7/14
F01D 25/12
F02K 3/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線(14)を備え、例えばターボ機械のケーシングの環状シェル(16)によって支持されることを意図された、ターボ機械用の環状熱交換器(12a)であって、環状に延びる少なくとも1つの第1の導管(38)および少なくとも1つの第2の導管(40)を備える第1の流体回路(37)と、環状に延び、かつ第1の回路(37)の第1の導管(38)および第2の導管(40)のいずれかの側に、長手方向(14)に垂直な方向に配置された少なくとも1つの第1の導管(44)および少なくとも1つの第2の導管(46)を備える第2の流体回路(42)と、を具備する一体型の環状部分(48)を備え、第1の回路(37)の第1の導管(38)および第2の導管(40)、ならびに第2の回路(42)の第1の導管(44)および第2の導管(46)は、それ自体が円周方向に開口する空洞(50)内に、前記環状部分(48)の第1の端部(13)で開口しており、かつ、
第1の回路(37)の第1の導管(38)と第1の回路(37)の第2の導管(40)との流体接続のための少なくとも1つの第1のチャネル(55)を環状部分(48)で区切り、また、
第2の回路(42)の第1の導管(44)と第2の回路(42)の第2の導管(46)との流体接続のための少なくとも1つの第2のチャネル(56、58)を環状部分(48)で区切り、第2の接続チャネル(56、58)は、第1の接続チャネル(55)から流体的に独立しているように成形された第1の密封部材(52)がそこに挿入されることを特徴とする、環状熱交換器。
【請求項2】
第1の密封部材(52)は、密封ガスケット(64)が係合する外側の溝(62)を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
第1の密封部材(52)は、長手方向に垂直な前記方向に延在しかつ2つの実質的に平行な第2の接続チャネル(56、58)を環状部分(48)で区切る壁(52c)を備える、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
2つの第2のチャネル(56、58)の内の1つは、2つの第2のチャネルの他方の半径方向外側に配置され、第1の密封部材(52)の壁(52c)によって互いに流体的に隔てられている、請求項3に記載の交換器。
【請求項5】
第1の部材(52)は、前記環状部分(48)の円周方向端部に取り付けられたプレート(70)によって、空洞(50)内の所定の位置に固定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の交換器。
【請求項6】
第2の回路(42)の第1および第2のダクトは、環状部分(48)の第1の端部で円周方向に開口しているその端部において第2の部材(66)によって閉鎖されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、より詳細には航空機エンジンにおける油の冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、他の可動部品または固定部品と擦れ合う可動部品を備えるダブルフローターボ機械10を示しており、これらの接続は、例えば軸受である。摩擦による加熱によって破損しないように、部品には油が噴霧され、この油は、一方では加熱を制限し(または封じ込め)、他方では部品を潤滑して互いの頂部での部品の摺動をし易くする。
【0003】
油は、熱交換器、特に、図2に示されるように、熱の交換を実行するように成形された、カーブしたパイプの形態の基盤を有する油/空気交換器12を備えた回路の中を循環し、その中で、前記部品からの油が取り込まれ、その後冷却されてから、前記部品に再び注入される。図2に示される熱交換器12は、二次空気流の流れのための環状の流路を半径方向外向きまたは内側に境界を区切る環状フェルール16の、半径方向の内面または外面(ターボ機械の長手方向軸線14に対して)に取り付けられる環状熱交換器12である。
【0004】
図3は、図2に示されるように、熱交換器12内で冷却される流体、特に油の循環の原理を概略的に示している。熱交換器12は環状部分18を備え、環状部分は、冷却すべき油の循環のための、第1の導管22および第2の導管24から形成される第1の回路20と、第1の回路20の第1の導管22および第2の導管24を解凍する油の循環のための、第1の導管28および第2の導管30から形成される第2の回路26とを具備する。交換器12は、ターボ機械の軸線14の周りに延在する環状交換器である。図3には、方向Lにおける交換器12の長手方向の寸法および、方向Cにおける交換器12の円周方向の寸法が示されている。
【0005】
そこに見ることができるように、第1の回路20の第1の導管22は、流体入口32と第1の流体接続部材34aとの間に延在する第1の部分22aと、第2の流体接続部材34bと出口36との間に延在する第2の部分22bとを含む。第1の回路20の第2の導管24は、第1の流体接続部材34aと第2の流体接続部材34bとの間に延在する。このようにして、油は、流体入口32から、第1の導管22の第1の部分22aの中、第1の流体接続部材34aの中、第1の回路20の第2の導管24の中、流体接続用の第2の部材34bの中、第1の導管22の第2の部分22bの中を流れ、その後、油の出口36に向かって流れる。
【0006】
第2の回路26の第1の導管28は、流体接続用の流体入口32と第1の部材34aとの間に延在する第1の部分28aと、流体接続の第2の部材34bと流体の出口36との間に延在する第2の部分28bとを備える。
【0007】
第2の回路26の第2の導管30は、第1の流体接続部材34aと第2の流体接続部材34bとの間に延在する。このようにして、油は、流体入口32から、第1の導管28の第1の部分28aに、第1の流体接続部材34aに、第2の導管30に、第2の流体接続部材34bに、第2の回路26の第1の導管28の第2の部分28bに流れ、その後油の出口36へと流れる。このように形成された第2の回路26の油は、必要に応じて第1の回路20の解凍を可能にすることができる。
【0008】
そこに見ることができるように、接続部材34a、34bがこのように使用されて、第1の回路20の第1の導管22と第2の導管24との間、および第2の回路26の第1の導管28と第2の導管30との間の流体接続を行う。しかしながら、これらの部品には油再循環チャネルを含まれなければならないため、実現するのが難しくなっている。さらに、これらの接続部材34a、34bの構造的独立性のために、環状部分に溶接またはろう付けによってそれらを固定する必要があり、溶接またはろう付けは、第1の回路20または第2の回路26における油の流れを、たとえ部分的にでも阻止しないことが不可欠であるため、特に注意が必要である。したがって、時間と費用のかかる品質管理作業を設定する必要がある。さらに、これらの接続部材34a、34bを固定することで、それらを取り外すことができなくなり、これは、第1の回路20および第2の回路26を簡単に検査できることが望まれる場合には実用的ではない。最後に、環状空気流路の熱交換器12の位置を考えると、シェルの直径を変更する必要がないように、その半径方向の寸法を制限することが不可欠であり、このことは、それに固定される他の部品に必然的に影響を与えることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
提案された発明の目的は、特に、先行技術の前述の問題に対する簡素で効果的な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
例えば、ターボ機械のケーシングの環状シェルによって支持されることが意図された、ターボ機械の長手方向軸線の環状熱交換器が提案されており、それは、環状に延びる少なくとも1つの第1の導管および少なくとも1つの第2の導管を備える第1の流体回路と、環状方向に延び、かつ第1の回路の第1の導管および第2の導管のいずれかの側に、長手方向に垂直な方向に配置された少なくとも1つの第1の導管および少なくとも1つの第2の導管を備える第2の流体回路と、を具備する一体構造の環状部分を備え、第1の回路の第1および第2の導管ならびに第2の回路の第1および第2の導管は、それ自体が円周方向に開口する空洞内に、前記環状部分の第1の端部で開口しており、かつ、
第1の回路の第1の導管を第1の回路の第2の導管に接続する少なくとも1つの第1の流体接続チャネルを環状部分で区切り、また、
第2の回路の第1の導管を第2の回路の第2の導管に接続する少なくとも1つの第2の流体接続チャネルを環状部分で区切り、第2の接続チャネルは、第1の接続チャネルから流体的に独立しているように成形された第1の密封部材がそこに挿入されることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、交換器の一端での流体接続は、第1の回路および第2の回路がその中に形成されるため、環状部分の内部で直接行われる。これまでの手法とは対照的に、溶接またはろう付けされた接続部品は必要無い。さらに、第1の回路および第2の回路内で流体の連続性を可能にするための第1の密封部材の構造は、この点において1つの部材しか必要としないため、組立作業を簡素化する。このアセンブリは非常にコンパクトでもある。
【0012】
別の可能な特性によれば、第1の密封部材は、シールが係合する外側の溝を有する。
【0013】
さらに、第1の密封部材は、長手方向に垂直な前記方向に延在し、かつ2つの実質的に平行な第2の接続チャネルを環状部分で区切る壁を備えてよい。
【0014】
さらに、2つの第2のチャネルの内の1つは、2つの第2のチャネルの他方の半径方向外側に配置されることができ、第1の密封部材の壁によって互いに流体的に隔てられている。
【0015】
また、第1の部材は、前記リング部分の円周方向端部に適用されたプレートによって、空洞内の所定の位置に固定されることができる。このプレートは、例えばねじ込みによって、環状部分と一体にされることができる。
【0016】
最後に、第2の回路の第1および第2の導管は、環状部分の第1の端部で円周方向に開口しているその端部で、第2の器官によって閉鎖されることができる。これらの第2の器官は、上記のプレートによって所定の位置に保持されることができる。
【0017】
本発明は、添付の図面を参照して非限定的な例としてなされた以下の説明を読むときによりよく理解され、本発明の他の詳細、特徴および利点が見えてくるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】既知の技術によるターボ機械の概略斜視図である。
図2図1のターボ機械に取り付けられた環状熱交換器の一部の概略斜視図である。
図3図2の交換器およびその中の油の流れの概略図である。
図4】本発明による熱交換器の第1の端部の概略斜視図である。
図5A】熱交換器の前記端部に取り付けられる密封部材の概略斜視図である。
図5B】熱交換器の前記端部に取り付けられる密封部材の概略斜視図である。
図6】別の密封プレートが前記端部に取り付けられた交換器の第1の端部の概略斜視図である。
図7】差し込み矢印Aによって示されるように、長手方向軸線に垂直な断面における、本発明による熱交換器の第1の端部の概略図である。
図8】熱交換器の前記第1の端部の概略断面図であり、油の循環が示されている図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明による熱交換器を表す図4図8を参照する。図3を参照して説明したものと同様に、交換器12aもまた、互いに実質的に平行な複数の第1の導管38および第2の導管40を具備する、油の第1の流体回路37を備え、第1の導管38は第1および第2の部分38aを備える。交換器12aはまた、平行である第1の導管44および第2の導管46を具備する第2の流体解凍回路42を備え、第1の導管44は、第1の部分44aおよび第2の部分を備える。
【0020】
第1および第2の回路37、42の第1の導管38、44および第2の導管40、42は、図3を参照して前述したものと非常に類似しており、熱交換器の円周方向端部での互いに対する流体接続のみが異なっている。また、熱交換器12aの第1の円周方向端部13に関して説明することは、第2の反対側の円周方向端部にも有効である。したがって、説明は、第1の回路37の第1の導管38の第2の部分および第1の回路37の第2の導管40を使用して、ならびに第2の回路42の第1の導管38の第2の部分および第2の導管46を使用して、交換器12aの第1の円周方向端部13に関してのみ行われ、示される。
【0021】
したがって、本発明は、熱交換器の環状部分48の構造的に独立した接続部材を使用する必要無しに、第1の回路37の第1の導管38と第2の導管40の流体接続、ならびに第2の回路42の第1の導管44と第2の導管46の流体接続を提供することを提案する。
【0022】
熱交換器を達成するために、まず最初に、例えばアルミニウム合金などの良好な熱伝導体である材料で作られている交換器12aの環状部分48のプリフォームを入手する。このために、第1の回路37の第1の導管38および第2の導管40と、第2の回路42の第1の導管44および第2の導管46を同時に得るためにダイが使用される。この段階の終わりに、第1の回路37および第2の回路42の第1の導管38、44および第2の導管40、46は、環状部分48の第1の端部13から第2の端部まで延在し、前記両端部で円周方向に開口している。別のステップにおいて、空洞が、環状部分48の半径方向の厚みに形成され、空洞は、図8で、参照符号50の点線によって輪郭が描かれている。第1の導管38の第2の部分38aおよび第1の回路37の第2の導管40は、この空洞に通じている。また、第2の回路42の第1の導管44の第1の部分44aおよび第2の回路42の第2の導管46は、環状部分48の円周方向端部面の高さで円周方向のみに開口するため、横方向の穴54が形成され、この穴は、第2の回路42の第1の導管44の第1の部分44a、ならびに第2の回路42の第2の導管46が前述の空洞50と連通することを可能にする。
【0023】
第1の端部13において第1の回路37と第2の回路42との間の独立した油の循環を可能にするために、第1の密封要素52が追加され、この密封要素は特別な方法で成形される、すなわち、
第1の回路37の第1の導管38を第1の回路37の第2の導管40に接続する少なくとも1つの第1の流体接続チャネル55を環状部分48で区切り、かつ、
第2の回路42の第1の導管44を第2の回路42の第2の導管46に接続する少なくとも1つの第2の流体接続チャネル56、58を環状部分48で区切り、第2の接続チャネル56、58は、第1の接続チャネル55と流体的に独立するように成形される。
【0024】
第1の密封部材52が第1の接続チャネル55および第2の接続チャネル56、58を部分的に区切る方法を理解するために、次にそれを説明する。特に、図5Aに示されるものは、長手方向に細長形状を有する。円周方向において、それは、第1の部分52aおよび第2の部分52bを備え、これらはターボ機械の半径方向の平面内に位置する正中面に関して互いに実質的に同一であり、互いに対称である。第1の部分52aおよび第2の部分52bは、長手方向に垂直な方向に延在する実質的に平坦な接続壁52cによって互いに接続されている。第1の部分52aおよび第2の部分52bはそれぞれ、環状シール64が取り付けられる環状溝62を備える(図5Aおよび図7)。
【0025】
第1の密封部材52は、リングシール64が溝62に取り付けられた状態で、環状部分の空洞50にシールとして取り付けられる。第1のダクト38の第1の区域38aの出口および第2のダクト40の出口に面しており、それらから一定の距離にある第1の器官52の第1の区域52aの端面は、第1の接続チャネル55内に油の流れ面を形成する。また、第1の密封部材52は、第1の導管44の第2の部分44aの穴54および第2の導管46の穴54が第2の接続チャネル56、58に開口するように寸法が定められ、穴54は環状部分48上に位置決めされる。具体的には、各穴54は、2つの実質的に平行な第2の接続チャネル56、58に流体接続され、第1の密封部材52の接続壁52cは、2つの第2の接続チャネル56、58を半径方向に隔てているのを理解することができる。シール64が、第1の回路37と第2の回路42との間に流体シールを提供することも理解することができる。
【0026】
第2の密封要素66が、第1の端部13において、第2の回路42の第1の導管44の第2の部分44aの出口および第2の回路42の第2の導管46の出口に挿入される。第2の密封要素66のそれぞれは、環状溝68を備え、その中にシール68が第1の器官52に関して説明したのと同様の方法で取り付けられ、その機能は全く同じである。
【0027】
油圧にかかわらず、第1の密封要素52および第2の密封要素66を所定の位置に維持するために、プレート70が円周方向端部面でこれらの要素に適用される。このプレートは、ネジ72でリング区域にねじ止めされる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8