IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特許7448528カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ
<>
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図1
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図2
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図3
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図4
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図5
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図6
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図7
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図8
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図9
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図10
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図11
  • 特許-カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/203 20060101AFI20240305BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01P1/203 ZAA
H01P11/00 102
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021512894
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019073842
(87)【国際公開番号】W WO2020058002
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】16/136,956
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】グマン、パトリク
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァデーセ、サルヴァトーレ、ベルナルド
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-028836(JP,A)
【文献】特開昭62-123776(JP,A)
【文献】特開昭63-312694(JP,A)
【文献】特開昭63-060604(JP,A)
【文献】特開2003-179512(JP,A)
【文献】特表2007-518953(JP,A)
【文献】特開平05-335725(JP,A)
【文献】特開2008-295024(JP,A)
【文献】特開2006-262396(JP,A)
【文献】特開2016-089191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/203
H01P 11/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温マイクロ波フィルタ・デバイスであって、
77度ケルビン(K)の温度において200ワット毎メートル-ケルビン(W/m-K)を超える熱伝導率を有するように決定された材料で形成された基材と、
前記基材の凹部内に形成された導電ラインであって、温度が約77K未満である極低温環境内で伝播するマイクロ波信号に対するフィルタ作用を促進する、前記導電ラインと
熱エネルギーの移動を促進する冷却機プレートに結合されるハウジングと、
を備え、
前記基材に形成された凹部は、300メガヘルツ(MHz)から300ギガヘルツ(GHz)の間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて決定される幾何形状を有する、
前記ハウジングは、量子計算アーキテクチャの一部であるキュービット制御ラインに接続されるコネクタを両端に有し、当該コネクタの形状は両端とも雌または雄の形状である、
極低温マイクロ波フィルタ・デバイス。
【請求項2】
前記材料はサファイアである、請求項1に記載の極低温マイクロ波フィルタ・デバイス。
【請求項3】
前記材料はダイヤモンドである、請求項1に記載の極低温マイクロ波フィルタ・デバイス。
【請求項4】
前記導電ラインは前記凹部内に焼結されている導電性材料を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の極低温マイクロ波フィルタ・デバイス。
【請求項5】
前記フィルタ作用はバンドパス・フィルタ作用を含み、定められた周波数範囲内にある前記マイクロ波信号の第1の周波数は前記バンドパス・フィルタ作用によって通過され、前記定められた周波数範囲を超える第2の周波数は前記バンドパス・フィルタ作用によって減衰される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の極低温マイクロ波フィルタ・デバイス。
【請求項6】
前記定められた周波数範囲は、約1GHzから約10GHzの間の範囲内の周波数の部分を包含する約1ギガヘルツ(GHz)の帯域幅を有する、請求項5に記載の極低温マイクロ波フィルタ・デバイス。
【請求項7】
方法であって、
製造デバイスによって、基材に凹部を形成することであって、前記凹部は、300メガヘルツ(MHz)から300ギガヘルツ(GHz)の間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて決定される幾何形状を有する、前記形成することと、
前記製造デバイスによって、前記凹部内に導電性材料を焼結し、この結果、前記基材の前記凹部内に設置された導電ラインを得ることと
前記製造デバイスによって、前記基材を形成することを更に含み、前記基材は、77度ケルビン(K)の温度において200ワット毎メートル-ケルビン(W/mK)を超える熱伝導率として特徴付けられる高い熱伝導率を維持しながら電気絶縁体として機能する誘電性材料を備え、
前記製造デバイスによって、ハウジングを形成することを更に含み、前記ハウジングは、量子計算アーキテクチャの一部であるキュービット制御ラインに接続されるコネクタを両端に有し、当該コネクタの形状は両端とも雌または雄の形状である、
方法。
【請求項8】
前記導電性材料を前記焼結することは、
前記製造デバイスによって、前記凹部内に粉末形態の前記導電性材料を堆積させることと、
前記製造デバイスによって、前記導電性材料を液化させることなく前記粉末形態の前記導電性材料を融合させて前記導電ラインにするように選択される、定められた温度および定められた圧力よって特徴付けられる焼結環境に、前記粉末形態の前記導電性材料を曝露することと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記粉末形態の前記導電性材料を前記堆積させることは、前記凹部内に、粉末にした金、粉末にした銅、粉末にした銀、および粉末にしたアルミニウムから成る群のうちの1つを堆積させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記熱伝導率は、77Kの温度において1000W/m-Kを超え、20Kの温度において1000W/m-Kを超え、10Kの温度において20W/m-Kを超え、4Kの温度において10W/m-Kを超える、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記誘電性材料はサファイア材料およびダイヤモンド材料から成る群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記製造デバイスによって、極低温マイクロ波フィルタ用のハウジングを形成することを更に含み、前記ハウジングは熱シンクとして動作する冷却機プレートに結合している、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、温度が非常に低い極低温環境において低減されたカピッツァ抵抗を呈するマイクロ波フィルタ・デバイスに関し、より詳細には、直流(DC)測定に対応したフィルタ・デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
量子計算とは一般に、計算および情報処理の機能を実施する目的で量子力学的現象を使用することである。量子計算は、トランジスタを用いて一般に二値で演算する古典的計算と対比して考えられ得る。すなわち、古典的計算は0または1のいずれかであるビット値の演算を行うことができるが、量子コンピュータでは、0および1の両方の重ね合わせを有する量子ビットの演算が行われ、複数の量子ビットを量子もつれ状態にすることができ、干渉が使用される。
【0003】
したがって、量子計算の基本要素は量子ビット(キュービット)である。キュービットは、情報をコード化し操作できる量子力学系を表す。キュービットの重要な側面は、キュービットの量子状態を維持できる時間の長さを表す、コヒーレンス時間である。
【0004】
量子計算の実装が成功すれば、現在の計算システムの計算力がおそらく指数関数的に拡張されて、多数の技術分野で革命的変化を起こす可能性がある。今日、量子計算デバイスを実装するための多数の手法が提案されている。量子計算アーキテクチャの実装に対する最も見込みのある手法のうちの1つは、通常は極低温環境で実装される、超伝導デバイスに基づくものである。極低温環境とは、圧力が非常に低く(例えば真空またはほぼ真空)かつ温度が非常に低い環境であり得る。例えば、極低温環境は約100度ケルビン(K)未満の温度を呈する場合があり、超伝導ベースの量子計算環境における場合などは、約10ミリケルビン(mK)以下もの低さになる可能性がある。
【0005】
超伝導ベースのどのような量子計算アーキテクチャの性能も、超伝導量子ビット(例えばキュービット)の品質に大きく依存し、この品質は、測定コヒーレンス時間およびキュービット誤りによって直接的に特徴付けることができる。これらのコヒーレンス時間およびキュービット誤りは、低温におけるマイクロ波ハードウェア(例えば、フィルタ・デバイス)の性能に強く依存する。
【0006】
マイクロ波フィルタは既に存在しており、極低温環境に適していると市場で宣伝されているものすらあるが、既存のマイクロ波フィルタは77K未満の温度で動作するように設計または試験されている様子はなく、超伝導ベースの量子計算実装に伴い得る温度(例えば10mKに近いかまたはそれ未満)については言うまでもない。
【0007】
したがって、量子計算の分野では、特定の極低温(例えば、約77K未満)において、既存のマイクロ波周波数フィルタまたは減衰器が、予期しない挙動をし得るという技術的問題が生じる。例えば、マイクロ波フィルタまたは減衰器の要素は、極低温環境下では超伝導状態になって、もはや周波数に基づいて信号を通過させる、フィルタリングする、または減衰させるようには機能しない場合がある。本発明者らは、この技術的問題が、フィルタ・デバイスを実装するために使用される様々な材料が不十分な熱伝導率を呈することに、少なくとも部分的に起因して生じることを確認した。従来、誘電性材料および導電性材料は電気特性およびコストに基づいて選択され、熱的特性はほとんどまたは全く考慮されない。
【0008】
関連する技術的問題が、室温または極低温よりも高温では無視できる場合が多いが、極低温では非常に大きな影響を与える可能性のある、カピッツァ抵抗として知られる現象に起因して生じる。カピッツァ抵抗とは、熱流束の存在下での、異なる材料同士の間の境界における熱抵抗効果を指す。言い換えれば、カピッツァ抵抗は、低温環境内にある様々な材料が均一な温度に落ち着くのを妨げ得る。
【0009】
例えば、極低温冷却機において、周囲温度または2つの材料の間の界面に跨がる温度フラックスあるいはその両方が10mKであるとする。この環境内にあるマイクロ波ハードウェアは、誘電体に形成される導電ラインを備えることができ、この導電性のラインは、例えば、周波数に基づいてマイクロ波信号を通過または減衰させることによって、フィルタリングを実現できる。誘電体は10mKまで冷却してもよい。しかしながら導電ラインは、動作時には熱源となり得るが、カピッツァ抵抗現象に一部起因して、導電ラインから誘電体へと熱を効果的に伝達しない場合がある。この場合、導電ラインは、周囲環境または導電ラインが設置されている誘電体あるいはその両方よりも、顕著に高い温度に留まる場合がある。本発明者らは、誘電体と導電ラインの間の温度差が、低周波ノイズ、予期しない挙動、その他などの様々な問題を引き起こす可能性があり、これらのうちのどの1つでも、マイクロ波ハードウェアを利用する量子計算デバイスのキュービットの品質(例えば、コヒーレンス時間およびキュービット誤り)に悪影響を与え得ることを確認した。
【発明の概要】
【0010】
以下に本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を得るための概要を提示する。この概要は、主要なもしくは決定的な要素を特定すること、または本発明の何らかの範囲を規定することを意図していない。その唯一の目的は、後から提示するより詳細な説明への導入部として、単純化した形態で概念を提示することである。本明細書に記載する本発明の実施形態では、低温におけるカピッツァ抵抗の低減を促進するシステム、方法、装置、または製品、あるいはその組合せについて記載する。
【0011】
本発明の実施形態によれば、極低温マイクロ波フィルタが提供され得る。極低温マイクロ波フィルタは、77度ケルビン(K)の温度において200ワット毎メートル-ケルビン(W/m-K)を超える熱伝導率を有するように決定された材料で形成された基材を備え得る。極低温マイクロ波フィルタは、基材の凹部内に形成された導電ラインを更に備えることができ、導電ラインは、温度が77K未満である極低温環境内で伝播するマイクロ波信号に対するフィルタ作用を促進する。この極低温マイクロ波フィルタによって得られる利点は、量子計算アーキテクチャを実装可能な極低温環境と関連付けられる温度などの、非常に低い温度での性能の改善であり得る。いくつかの実施形態では、基材の材料はサファイアであり得る。いくつかの実施形態では、材料はダイヤモンドであり得る。これよりも従来型の基材材料は、77Kにおいて200W/m-K未満の熱伝導率を呈するが、サファイアおよびダイヤモンドはいずれも77Kにおいて、200W/m-Kを優に超える熱伝導率を呈する。基材にサファイアまたはダイヤモンドを採用することによって得られる利点は、基材の境界界面におけるカピッツァ抵抗を低減できることである。これにより、基材と基材と接触している他の材料との間の熱交換が改善され得る。
【0012】
本発明の実施形態によれば、方法が提供され得る。方法は、製造デバイスによって、基材に凹部を形成することを含み得る。凹部は、300メガヘルツ(MHz)から300GHzの間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて決定される幾何形状を有し得る。方法は、製造デバイスによって、凹部内に導電性材料を焼結することを更に含むことができ、この結果、基材の凹部内に設置された導電ラインが得られる。この方法によって得られる利点は、量子計算アーキテクチャを実装可能な極低温環境と関連付けられる温度などの、非常に低い温度での性能の改善であり得る。例えば、導電ラインを焼結することによって、導電ラインと基材の間の表面接触面積の増大に起因して、導電ラインと基材の間のカピッツァ抵抗を低減することができる。基材は、77Kにおいて200W/m-Kを超える熱伝導率を維持しながら電気絶縁体として機能する誘電性材料で形成することができる。この材料の熱伝導率は、20Kにおいて1000W/m-Kを超える。これらの逐次高くなる熱伝導率閾値によって得られる利点は、基材の境界界面におけるカピッツァ抵抗を多様な度合で低減することができ、この結果、基材と基材と接触している他の材料との間の熱交換が様々に増大し、それが用途特定的であり得ることである。
【0013】
本発明の実施形態によれば、極低温マイクロ波フィルタを製造するための方法が提供され得る。方法は、製造デバイスによって、4K未満の極低温において電気絶縁体および熱導体として動作する誘電体を形成することを含み得る。誘電体は、4Kにおいて50W/m-Kを超える熱伝導率を有する材料を備え得る。方法は、製造デバイスによって、誘電体に凹部のパターンを形成することを更に含み得る。凹部のパターンは、300MHzから300GHzの間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて決定され得る。また更に、方法は、製造デバイスによって、凹部のパターンの凹部内に導電性材料を焼結することを含むことができ、この結果、誘電体の凹部内に形成された凹部のパターンを有する導電ラインが得られる。この方法によって得られる利点は、量子計算アーキテクチャを実装可能な極低温環境と関連付けられる温度などの、非常に低い温度での性能の改善であり得る。例えば、カピッツァ抵抗を複数の方法で低減することができる。例えば、非常に高い熱伝導率を有するように誘電性材料を選択することによって、およびまた、導電ラインと基材の間の表面接触面積の増大を生じ得る導電ラインの焼結によって、カピッツァ抵抗を低減することができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、フィルタ・デバイスが提供され得る。フィルタ・デバイスは、77度ケルビン(K)の温度において200ワット毎メートル-ケルビン(W/m-K)を超える熱伝導率を有するように決定された誘電性材料で形成された誘電体を備え得る。誘電体は、約300MHzから約300GHzの間の範囲内の周波数を有するマイクロ波信号に関連するDC対応型のフィルタリング作用を提供するように決定されるパターンの、凹部を備え得る。フィルタ・デバイスは、基材の凹部内に形成された導電ラインを更に備え得る。導電ラインはフィルタリング作用を促進することができ、焼結された導電性材料を備え得る。この極低温マイクロ波フィルタによって得られる利点は、量子計算アーキテクチャを実装可能な極低温環境と関連付けられる温度などの、非常に低い温度での性能の改善であり得る。例えば、カピッツァ抵抗を複数の方法で低減することができる。例えば、非常に高い熱伝導率を有するように誘電性材料を選択することによって、およびまた、導電ラインと基材の間の表面接触面積の増大を生じ得る、導電ラインの焼結によって、カピッツァ抵抗を低減することができる。誘電体の材料はサファイアであり得る。材料はダイヤモンドであり得る。これよりも従来型の誘電性材料は、77Kにおいて200W/m-K未満の熱伝導率を呈するが、サファイアおよびダイヤモンドはいずれも77Kにおいて、200W/m-Kを優に超える熱伝導率を呈する。基材にサファイアまたはダイヤモンドを利用することによって得られる利点は、基材の境界界面におけるカピッツァ抵抗を顕著に低減することができ、この結果、基材と基材と接触している他の材料との間の熱交換が大きく改善されることである。
【0015】
本発明の実施形態によれば、あるプロセスによって形成される極低温マイクロ波フィルタ製品が提供され得る。プロセスは、製造デバイスによって、77K未満の極低温において電気絶縁体および熱導体として動作する誘電体を形成することを含み得る。誘電体は、77Kにおいて200W/m-Kを超える熱伝導率を有する材料を備え得る。プロセスは、製造デバイスによって、誘電体に凹部のパターンを形成することを更に含み得る。凹部のパターンは、300MHzから300GHzの間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて構成され得る。また更に、プロセスは、製造デバイスによって、凹部内に導電性材料を焼結することを含むことができ、この結果、凹部のパターンに従って誘電体内に設置された焼結された導電ラインが得られる。この方法によって得られる利点は、量子計算アーキテクチャを実装可能な極低温環境と関連付けられる温度などの、非常に低い温度での性能の改善であり得る。例えば、カピッツァ抵抗を複数の方法で低減させることができる。例えば、非常に高い熱伝導率を有するように誘電性材料を選択することによって、およびまた、導電ラインと基材の間の表面接触面積の増大を生じ得る、導電ラインの焼結によって、カピッツァ抵抗を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る、システムのブロック図およびこれに重ね合わせたカピッツァ抵抗の効果を説明する温度グラフである。
図2】本発明の実施形態に係る、問題のあるカピッツァ抵抗の結果を説明する極低温環境のブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る、カピッツァ抵抗を低減させたDC対応型極低温マイクロ波フィルタの写実的な図である。
図4】本発明の実施形態に係る、極低温マイクロ波フィルタ用のハウジングのブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る、好適な極低温マイクロ波フィルタ製品を生産できるプロセスを示す。
図6】本発明の実施形態に係る、好適な極低温マイクロ波フィルタ製品を生産できるプロセスを示す。
図7】本発明の実施形態に係る、好適な極低温マイクロ波フィルタ製品を生産できるプロセスを示す。
図8】本発明の実施形態に係る、極低温マイクロ波フィルタを製造するための第1の方法のフロー図である。
図9】本発明の実施形態に係る、極低温マイクロ波フィルタを製造するための第2の方法のフロー図である。
図10】本発明の実施形態に係る、導電性材料を焼結するための方法のフロー図である。
図11】本発明の実施形態に係る、極低温マイクロ波フィルタ用のハウジングを製造するための方法のフロー図である。
図12】本明細書に記載する本発明の実施形態が容易になり得る動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明は例示的なものに過ぎず、本発明またはその用途もしくは使用あるいはその両方を限定することは意図していない。また更に、先行する技術分野もしくは発明の概要の項に、または発明を実施するための形態の項に提示される、何らかの明示または暗示された情報に縛られることは意図していない。
【0018】
ここで図1に目を向けると、システム100は境界界面102を共有する2つの異なる材料を備えることができ、一方の材料が他方の材料と接触している。したがって、この例では、材料Aは材料Bと境界界面102において接触している。この例では、両方の材料もしくは2つの材料の間の界面が共通の温度フラックスに曝される、または、両者の周囲温度が同じである、あるいはその両方であり、これをT0と呼ぶこととする。更に、材料Aは初期温度T1を有し、材料BはT1よりも低い初期温度T2を有するものとする。
【0019】
室温においては、カピッツァ抵抗の効果を無視できる傾向があり、境界界面102を通って材料Aから材料Bへと熱が流れるにつれ、材料Aおよび材料Bが共通の温度に落ち着く可能性がある。しかしながら、極低温ではカピッツァ抵抗の効果の影響が遥かに大きくなる可能性があり、熱境界抵抗Rが、境界界面102を跨いだ温度降下ΔTを生む。言い換えれば、熱境界抵抗は、材料Aおよび材料Bが共通の温度に落ち着かないように、材料Aと材料Bの間の何らかの熱交換を妨げる。
【0020】
この温度不整合は、境界界面102におけるフォノンまたは電子などのエネルギー担体の散乱に起因して生じると考えられている。エネルギー担体が境界を介して熱を伝達する代わりに境界界面102で散乱する確率は、境界界面102の両面での材料のエネルギー状態に応じて変わる。極低温ではこれらのエネルギー状態はより低く、このことにより、散乱する確率は遥かに高くなる。極低温などの低温では、熱境界抵抗としても知られるカピッツァ抵抗の現象によって、2つの異なる材料の間の境界の役割を果たす境界界面102において、大きな温度降下ΔTが生じることが観察されている。この温度降下ΔTは図2に関連して更に詳述される技術的問題に繋がり得ることが、更に観察されている。
【0021】
ここで図2を参照すると、極低温環境200は非常に低い圧力を呈し得るか、または真空であり得る。極低温環境200は約77K未満などの非常に低い温度まで冷却される場合があり、実際には1K未満、場合によっては10ミリケルビン以下となり得る。極低温環境200内には、量子計算アーキテクチャ202の何らかの部分が存在し得る。
【0022】
量子計算アーキテクチャ202は、例えばマイクロ波周波数フィルタまたは減衰器などの、様々なマイクロ波ハードウェア204を備え得る。例えば、マイクロ波周波数フィルタを利用して、量子計算アーキテクチャ202の超伝導キュービットを制御することができる。マイクロ波周波数フィルタの内部構造は、誘電体内に設置された導電ラインを備え得る。したがって、導電ラインは境界界面206の様々な実例を誘電体と共有するが、これは図1の材料Aおよび材料Bと関連して記載したものと同様であり得る。境界界面206に跨がる温度フラックスがT0であり、導電ラインがT1であり、誘電体がT2であるとすると、その場合カピッツァ抵抗は、境界界面206を跨いだ温度降下ΔTを引き起こし得る。言い方を変えれば、導電ラインは熱平衡化されず、誘電体よりもΔTだけ高い温度を維持する。導電ラインと誘電体の間の温度差によって、マイクロ波ハードウェア204が予期しない挙動を見せる可能性のあることが観察されている。例えば、この温度差によって、低周波ノイズまたはマイクロ波ハードウェア204の他の性能劣化が生じる可能性がある。このことは、量子計算アーキテクチャ202のコヒーレンス時間の縮小、キュービット誤りの増加、または他の性能劣化に繋がり得る。いくつかの実例では、マイクロ波ハードウェア204の要素(例えば導電ライン)が非常に低い温度で超伝導状態になる場合があり、この場合、マイクロ波ハードウェア204は意図したように機能しない可能性がある。
【0023】
境界界面206におけるカピッツァ抵抗(熱境界抵抗とも呼ばれる)によって引き起こされる上述した技術的問題に対する可能な解決法は、境界界面206におけるカピッツァ抵抗を低減させるための様々な技法によって実現できる。そのような熱境界抵抗の低減によって、ΔTの値が小さくなり得、このことにより、非常に低い温度でのマイクロ波ハードウェア204の性能の劣化を回避できる。
【0024】
図3は、カピッツァ抵抗を低減させた例示の非限定的な極低温マイクロ波フィルタ300の、写実的な図である。極低温マイクロ波フィルタ300を利用して、超伝導量子計算アーキテクチャのキュービットを制御できる。
【0025】
極低温マイクロ波フィルタ300は、基材302を備え得る。基材302は、望ましい熱的特性を有するように決定される材料で形成され得る。例えば、材料は、77度ケルビン(K)の温度において200ワット毎メートル-ケルビン(W/m-K)を超える熱伝導率を有するように決定することができる。材料は電気絶縁体として機能する誘電性材料であり得る。従来の基材または誘電体用の材料は、価格と電気絶縁性であるなどの所望の電気特性との、何らかの相関関係に基づいて選択される傾向があることが諒解される。極低温において高まるカピッツァ抵抗の重要性および前記カピッツァ抵抗が引き起こし得る技術的問題を認識しなければ、特に所与の熱伝導率特性によって電気特性の改善が得られないのに誘電体または基材のコストが上昇し得る場合、フィルタ設計者が誘電体または基材の熱伝導率特性を考慮する明白な理由は存在しない。
【0026】
しかしながら、この例では77Kにおいて200W/m-Kを超える、高い熱伝導率を有するように決定される材料を選択することによって、カピッツァ抵抗を低減できる、または(例えば図2の境界界面206によって例示される)境界界面におけるΔTを大きく低減できる、あるいはその両方である。ここでもやはり、ΔTを短くすることによって、極低温マイクロ波フィルタ300が予期しない挙動をする可能性が低くなり、性能の改善が見られる可能性が高くなる。例えば、既存のマイクロ波フィルタの代わりに極低温マイクロ波フィルタ300を利用するとき、関連する量子計算システムは、コヒーレンス時間の改善およびキュービット誤りの減少を実現できる。
【0027】
基材302用に選択される材料は、サファイアであり得る。いくつかの実施形態では、基材302用に選択される材料は、ダイヤモンドであり得る。十分な熱伝導率を呈するのであれば、他の材料が可能である。サファイアおよびダイヤモンドはいずれも、アルミナなどの典型的なセラミック基材と比較しても、極めて高い熱伝導率を有する。例えば、アルミナは、高い熱伝導率を有することが知られているが、そのコストの低さおよび導電率の低さに起因してセラミック基材または誘電体あるいはその両方として最も一般的に選択される材料のうちの1つであって、77Kにおいて157W/m-Kの熱伝導率を有する。対照的に、サファイアおよびダイヤモンドなどの他の材料は、極低温において顕著により良好な熱伝導率を有しており、このことが表Iに示されている。
【0028】
【表1】
【0029】
アルミナは他の多くの材料と比較して高い熱伝導率を有することが知られているが、これは用途によっては通常は十分な高さではない。表Iに示すように、サファイアおよびダイヤモンドは、77Kにおいて、10倍近く大きい(サファイアの場合)、または20倍よりも大きい(ダイヤモンドの場合)熱伝導率を呈する。更に低い温度において、例えば4Kにおいて、サファイアおよびダイヤモンドは、アルミナの熱伝導率よりも2桁を超えて高い熱伝導率を呈し得る。したがって、極低温では、基材と異なる材料との間の境界界面が、低減されたカピッツァ抵抗、および基材がアルミナなどのより一般的な材料で構成されている場合よりも、例えばサファイアまたはダイヤモンドから構成されている場合により小さいΔTを有することが期待できる。
【0030】
極低温マイクロ波フィルタ300は、導電ライン304を更に備え得る。導電ライン304は、基材302の1つの凹部または複数の凹部内に形成され得る。導電ライン304は、温度が77K未満である極低温環境内で伝播するマイクロ波信号に対するフィルタ作用を促進することができる。
【0031】
導電ライン304によって促進されるフィルタ作用は、基材302の凹部の幾何形状に応じて変わり得る。例えば、導電ライン304はこれらの凹部内に形成され得る、または、導電ライン304は凹部のある程度の部分を満たすことができるので、凹部のパターンによって、所望のフィルタリング作用を提供または促進することができる。この例では、凹部のパターン306は、好適な幾何形状の一例を示す。いくつかの実施形態では、凹部のパターン306によって促進されるフィルタ作用はバンドパス・フィルタ作用であり得、この場合、バンドパス・フィルタ作用は、定められた範囲内にあるマイクロ波信号の周波数を通過させ、またバンドパス・フィルタ作用は、定められた範囲を超える他の周波数をフィルタリングまたは減衰させることができる。
【0032】
一例として、凹部のパターン306は、5.5ギガヘルツ(GHz)から6.5GHzの間の周波数の通過を促進し、同時に、許可された周波数の帯域を超える周波数、例えば5.5GHz未満または6.5GHz超の周波数を、フィルタリングまたは減衰することができる。通過される定められた周波数範囲は、約1GHzまたは凹部のパターン306の幾何形状に応じた何らかの他の値の帯域幅を有し得ることが、諒解される。1GHzの幅または何らかの他の幅を有する、通過される定められた周波数のこの帯域は、マイクロ波スペクトル内の実質的に任意の場所に設定することができ、これは典型的には300メガヘルツ(MHz)から300GHzの間である。しかしながら、量子計算アーキテクチャと連携して使用される特定のアプリケーションでは、1GHzから10GHzの間の範囲内の周波数のフィルタリングまたは減衰が、より高い重要性を持ち得る。例えば、4.5GHzから5.5GHzの間、5.5GHzから6.5GHzの間、約6.5GHzから約7.5GHzの間などの定められた範囲内の周波数を(範囲外の周波数を減衰させながら)通過させるのが、典型的なマイクロ波フィルタの代表的なものであり得る。
【0033】
既に検討したように、極低温マイクロ波フィルタ300は、特に極低温におけるカピッツァ抵抗の低減に関し、他のフィルタ・デバイスよりも顕著な利点を有し得る。本発明者らは、いくつかの異なる方法でカピッツァ抵抗を低減できることを確認した。例えば、カピッツァ抵抗を低減するための第1の技法は、非常に高い熱伝導率を有する極低温マイクロ波フィルタ300用の材料を選択することによって、実現され得る。上で詳述したように、これは基材302用に選択される材料と接続していてもよく、この場合、選択される材料は約200(または何らかの他の好適な値)W/m-Kを超える熱伝導率を有し、サファイアおよびダイヤモンドなどの材料が代表的な例となる。導電ライン304用の材料は高い熱伝導率特性に従って同様に選択できることが更に諒解されるが、以下にいくつかの例を示す。
【0034】
極低温マイクロ波フィルタ300で使用される材料の熱伝導率を上げることに加えて、他の方法でもカピッツァ抵抗を低減できることが観察されている。例えば、基材302と導電ライン304の間に1つまたは複数の同様の境界界面が存在し得ることに留意して、再び図2の境界界面206を検討されたい。2つの異なる材料の間の界面は平滑な界面として表される場合があるが、顕微鏡的なスケールではこれら2つの材料は界面全体にわたって面一ではない場合があり、この結果、境界界面における2つの異なる材料の間の表面接触面積が小さくなる。この表面接触面積の減少は、その結果、カピッツァ抵抗がより高くなるかまたはΔTがより大きくなることから、技術的問題を示している。
【0035】
本発明者らは、導電ライン304と基材302の間の表面接触面積を大きくすることによって、ΔTおよびカピッツァ抵抗の両方を低減できることを観察しており、更に、そのことが別々の方法で達成できることを確認した。例えば、導電ライン304を、境界界面における接触がより面一になるように構築または形成できる。別の例として、境界界面における圧力を増大させることができ、この結果、表面接触面積をより大きくする。
【0036】
両方の技法を有利に活用するために採用できる技法は、導電ライン304を焼結することであり得る。言い換えれば、導電ライン304は、基材302の凹部内で焼結された導電性材料を備え得る。焼結技法に関する追加の情報は、図10を参照して見出すことができる。しかしながら、導電ライン304を焼結することによって2つの材料の間の境界界面における表面接触面積を大きくでき、このことが、基材302の表面とのより良好な「フィット」を生むこと、および、普通であれば接触が存在しない可能性のある顕微鏡的な欠陥を平滑化しようとする増大した圧力を界面において呈すること、の両方に、一部起因していることが、理解される。
【0037】
導電ライン304のパターンを代表する凹部のパターン306から更に観察できるように、直流(DC)信号または無線周波数(RF)信号の一方または両方を測定することによって、フィルタの様々な作用を実現することができる。この場合、極低温マイクロ波フィルタ300はDCに対応可能であり得、または、ハイブリッドRF-DCフィルタとして特徴付けることができる。
【0038】
ここで図4を参照すると、極低温マイクロ波フィルタ300用のハウジング400は、極低温マイクロ波フィルタの他の構成要素の全部または一部を収容できる。ハウジング400は、様々な有利な特性を有し得るハウジング材料402を備え得る。ハウジング材料402は無酸素材料で形成され得る。ハウジング材料402は電解銅または類似のものであり得る。ハウジング材料402はマイクロ波ノイズから極低温マイクロ波フィルタ(例えば、極低温マイクロ波フィルタ300)の要素を遮断することができ、このことにより性能の更なる改善が実現できる。
【0039】
溝404が示すように、ハウジング400は、冷却機プレート、または、ハウジング400からの熱エネルギーの移動を促進するかもしくは熱シンクとして動作する他の極低温要素に結合するように、構成され得る。ハウジング400は、参照符号406で示すように、電気グランドに結合され得る。また更に、ハウジング400は、キュービット・ハウジングに組み込むなど、好適な量子計算アーキテクチャに組み込むことができる。コネクタ408は、例えばSMP、SMA、Ardent社のものなどのような、単極または高密度マイクロ波コネクタであり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング400または極低温マイクロ波フィルタ300の両端のコネクタ408は、雄雌が同じ(例えばいずれも雄またはいずれも雌)であり得る。そのような構成によってキュービット制御ライン上での接続の数を減らすことができ、この結果、反射箇所の数を減らし、したがって性能が改善される。
【0040】
図5図7は、好適な極低温マイクロ波フィルタ製品を生産できるプロセスを示す。極低温マイクロ波フィルタ製品は図3の極低温マイクロ波フィルタ300の代表的なものであり得、示されているプロセスの様々な段階における断面図が描かれている。
【0041】
この関連において、図5は、例えば製造デバイスによって、誘電体500を形成することを示す。製造デバイスは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると動作の実行を促進する実行可能命令を記憶するメモリと、を備える、コンピューティング要素によって制御可能である。図12を参照すれば、前記プロセッサおよびメモリならびに他の好適なコンピュータまたはコンピューティング・ベースの要素の例を見出すことができる。
【0042】
誘電体500は基材、例えば基材302であり得る。例えば、誘電体500は、77K未満の極低温では電気絶縁体および熱導体として動作し得る。誘電体500は、77Kにおいて200W/m-Kを超える熱伝導率を有する材料を備え得る。特定の用途を満足するように選択される熱伝導率はその用途に依存し得るので、用途または実装に応じて他の熱伝導率の値を選択できることが理解される。例えば、異なる用途に対して、誘電体500の材料は例えば、77Kの温度において1000W/m-Kを超える、20Kの温度において1000W/m-Kを超える、10Kの温度において20W/m-Kを超える、および5Kの温度において10W/m-Kを超える熱伝導率を、または任意の極低温において任意の好適な熱伝導率の値を有するように、選択することができる。上の表Iは、様々な温度におけるこれらの例示の熱伝導率の値が、アルミナなどの一般的に使用される誘電体とは明らかに異なっていることを示している。検討したように、適度に高い熱伝導率を有する材料を選択することによって、カピッツァ抵抗を大きく低減することおよび境界界面における温度降下ΔTを大きく低減することができる。
【0043】
図6は、例えば製造デバイスによって、誘電体500に凹部のパターンを形成することを示す。この凹部のパターンは、あるマイクロ波スペクトル内、例えば300MHzから300GHzの間の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて、構成され得る。そのような挙動を実現できる凹部のパターンの代表例(上面視して示す)は、凹部のパターン306であり得る。図6は凹部600を示しており、凹部のパターンの断面が描かれている。凹部600は、パターンおよびエッチング技法または任意の他の好適な技法によって作り出すことができる。
【0044】
図7は、凹部600内に形成された焼結された導電性材料700を示す。焼結された導電性材料700は、例えば製造デバイスによって、凹部600内に導電性材料を焼結して得ることができる。焼結された導電性材料700と誘電体500の間に、様々な境界界面702が存在し得ることが理解される。既に記載したように、誘電体500は、非常に高い熱伝導率を有するように選択される材料を備え得る。同様に、焼結された導電性材料700に関連して高い熱伝導率を有する導電性材料を選択できるが、このことを図10と関連させて更に詳述する。高い熱伝導率を有する材料の使用によって境界界面702におけるカピッツァ抵抗を低減することができ、このことにより、低温環境における極低温マイクロ波フィルタ製品の性能が改善される。また更に、導電性材料を焼結することによって、境界界面702における表面接触面積を大きくすることができ、このことにより、カピッツァ抵抗を更に低減し、極低温環境における性能を更に改善することができる。
【0045】
図8図11は、開示される主題に係る様々な手法を示す。説明を簡潔にする目的で、手法は一連の動作として示され記載されているが、動作によっては本明細書に示され記載される順序とは異なる順序でまたは他の動作と同時にあるいはその両方で行うことができるので、開示される主題は動作の順序によって限定されないことが、理解され諒解されるべきである。例えば、手法はその代わりに、状態図におけるように、一連の相互に関連する状態または事象として表してもよいことを、当業者は理解し諒解するであろう。また更に、開示される主題に係る所与の手法を実施するために、示されている全ての動作を実施する必要はない。更に、以降でおよび本明細書の全体を通して開示する手法は、かかる手法の輸送およびコンピュータへの伝送を容易にするために、製品に保存できることが、更に諒解されるべきである。
【0046】
図8は、極低温マイクロ波フィルタを製造するための第1の方法のフロー図800である。参照符号802において、製造デバイスは、基材にまたは誘電体に凹部を形成することができる。形成された凹部は、マイクロ波信号に対するフィルタ作用に応じて決定される幾何形状を有し得る。マイクロ波信号は、300メガヘルツ(MHz)から300GHzの間の周波数を有する電磁放射の特定のスペクトルを表し得る。幾何形状の代表例は、図3の凹部のパターン306であり得る。
【0047】
参照符号804において、製造デバイスは凹部内に導電性材料を焼結することができ、この結果、基材の凹部内に設置された導電ラインが得られる。指摘したように、この導電ラインは幾何形状に基づくマイクロ波フィルタとして動作することができ、有利には、RF測定だけでなくDC測定も利用できるように、DC対応型であり得る。導電性材料を焼結することによって、結果的な焼結された導電ラインは、導電ラインと基材の間の境界界面において低減されたカピッツァ抵抗を有し得ることが、更に留意される。このカピッツァ抵抗の低減は、焼結処理によって生じる境界界面における表面接触面積の増大に、一部起因し得る。
【0048】
図9は、極低温マイクロ波フィルタを製造するための第2の方法のフロー図900である。参照符号902において、製造デバイスは、77K未満の極低温において電気絶縁体および熱導体として動作する誘電体を形成できる。この関連において、誘電体は、77Kにおいて500W/m-Kを超える熱伝導率を有する材料を備え得る。指定された閾値を超える(この場合、77Kにおいて500W/m-Kを超える)熱伝導率を有するように材料を選択することによって、導電ラインと誘電体の間の熱交換を改善でき、このことにより、非常に低い温度環境で動作するときの極低温マイクロ波フィルタの性能を改善できる。材料の好適な例としては、サファイア材料、ダイヤモンド材料、または他のものを挙げることができる。
【0049】
参照符号904において、製造デバイスは、誘電体に凹部のパターンを形成することができる。凹部のパターンは、300MHzから300GHzの間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて決定され得る。幾何形状の代表例は、図3の凹部のパターン306であり得る。
【0050】
参照符号906において、製造デバイスは凹部のパターンの凹部内に導電性材料を焼結することができ、この結果、誘電体の凹部内に形成された凹部のパターンを有する導電ラインが得られる。指摘したように、この導電ラインは凹部のパターンの幾何形状に基づくマイクロ波フィルタとして動作することができ、有利には、RF測定だけでなくDC測定も利用できるように、DC対応型であり得る。導電性材料を焼結することによって、結果的な焼結された導電ラインは、導電ラインと誘電体の間の境界界面において低減されたカピッツァ抵抗を有し得ることが、更に留意される。このカピッツァ抵抗の低減は、焼結処理によって生じる境界界面における表面接触面積の増大に、一部起因し得る。
【0051】
図10は、導電性材料を焼結するための方法のフロー図1000である。参照符号1002において、製造デバイスは、基材の凹部内に粉末形態の導電性材料を堆積させることができる。粉末形態の導電性材料は、特に優れた熱伝導率特性の故に選択される材料とすることができ、この材料は、基材の材料と関連して詳述されるように、導電ラインおよび基材の境界における温度降下を低減することによって、低温におけるフィルタの性能を改善できる。粉末形態の導電性材料は、粉末にした金、粉末にした銅、粉末にした銀、および粉末にしたアルミニウムのうちの1つであり得る。
【0052】
参照符号1004において、製造デバイスは粉末形態の導電性材料を、焼結環境または焼結条件に曝露することができる。焼結環境または条件は、導電性材料を液化させることなく粉末形態の導電性材料を融合させて導電ラインにするように選択される、定められた温度および定められた圧力よって特徴付けることができる。導電ラインに関連して焼結技法を利用することによって誘電体と導電ラインの間でより大きい表面接触面積を達成できるが、このことは、低温におけるカピッツァ抵抗を低減し、そのため低温における極低温マイクロ波フィルタの性能を改善するように作用し得る。
【0053】
ここで図11に目を向けると、極低温マイクロ波フィルタ用のハウジングを製造するための方法のフロー図1100が示されている。参照符号1102において、製造デバイスは、極低温マイクロ波フィルタ用のハウジングを形成するかまたは組み立てることができる。ハウジングは、熱シンクとして動作する冷却機プレートに結合するように構成され得る。
【0054】
参照符号1104において、製造デバイスは、コネクタを形成するまたは組み立てることができる。コネクタは極低温マイクロ波フィルタの両端において導電ラインに結合し得る。コネクタは共通の雄雌の型を共有し得る。例えば、フィルタの両端のコネクタはいずれも雄型コネクタであってもよく、またはいずれも雌型コネクタであってもよい。そのような構成によって実現され得る利点は、キュービット制御ライン上での接続の数を減らすことができ、これにより、反射箇所の数を減らし得る。この場合、よりきれいなマイクロ波制御パルスを提供でき、フィルタの性能を改善できる。
【0055】
参照符号1106において、製造デバイスは、熱化を改善するようにおよびノイズからフィルタ要素を遮断する可能性を有するように選択されるハウジング材料で、ハウジングを形成することができる。ハウジング材料は無酸素材料であり得る。ハウジング材料は電解銅であり得る。
【0056】
本発明の実施形態では、製造デバイスによって、約4度ケルビン(K)未満の極低温において電気絶縁体および熱導体として動作する誘電体を形成することであって、誘電体は、4Kにおいて約50ワット毎メートル-ケルビン(W/m-K)を超える熱伝導率を有する材料を備える、形成することと、製造デバイスによって、誘電体に凹部のパターンを形成することであって、凹部のパターンは、300メガヘルツ(MHz)から300ギガヘルツ(GHz)の間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて変わる、形成することと、製造デバイスによって、凹部のパターンの凹部内に導電性材料を焼結し、この結果、誘電体の凹部内に形成された凹部のパターンを有する導電ラインを得ることとを含む方法が提供される。
【0057】
方法は好ましくは、製造デバイスによって、極低温マイクロ波フィルタ用のハウジングを組み立てることを更に含み、ハウジングは、ハウジングからの熱エネルギーの移動を促進する冷却機プレートに結合するように構成されている。
【0058】
本発明の実施形態では、77度ケルビン(K)の温度において200ワット毎メートル-ケルビン(W/m-K)を超える熱伝導率を有するように決定された誘電性材料で形成された誘電体であって、約300メガヘルツ(MHz)から約300ギガヘルツ(GHz)の間の範囲内の周波数を有するマイクロ波信号に関連するDC対応型のフィルタリング作用を提供するように決定されるパターンの、凹部を備える、誘電体と、基材の凹部内に形成された導電ラインであって、DC対応型のフィルタリング作用を促進する、焼結された導電性材料を備える、導電ラインとを備える、フィルタ・デバイスが提供される。
【0059】
誘電性材料はサファイアであってもよい。
【0060】
誘電性材料はダイヤモンドであってもよい。
【0061】
フィルタ・デバイスは、ハウジング材料で形成されかつハウジングからの熱エネルギーの移動を促進する冷却機プレートに結合されるように構成された、ハウジングを更に備えてもよく、ハウジング材料は無酸素銅または電解銅である。
【0062】
ハウジングは好ましくは電気グランドに結合する。
【0063】
本発明の実施形態では、製造デバイスによって、約77度ケルビン(K)未満の極低温において電気絶縁体および熱導体として動作する誘電体を形成することであって、誘電体は、77Kにおいて約200ワット毎メートル-ケルビン(W/m-K)を超える熱伝導率を有する材料を備える、形成することと、製造デバイスによって、誘電体に凹部のパターンを形成することであって、凹部のパターンは、300メガヘルツ(MHz)から300ギガヘルツ(GHz)の間のマイクロ波スペクトル内の周波数を有する電磁放射に対するフィルタ作用に応じて構成される、形成することと、製造デバイスによって、凹部内に導電性材料を焼結し、この結果、凹部のパターンに従って誘電体内に設置された焼結された導電ラインを得ることとを含むプロセスによって形成される、極低温マイクロ波フィルタ製品が提供される。
【0064】
本発明は、システム、方法、または指定されるプロセスによって形成される製品あるいはその組合せであり得ることが理解される。本発明の特定の技術的応用を、統合の任意の可能な技術的詳細レベルでコンピュータ・プログラム製品によって実現することができる。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有する、コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0065】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持および記憶できる有形のデバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁気ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、または前出したものの任意の好適な組合せであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには、以下、すなわち、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチ・カードもしくはその上に命令が記録されている溝の中の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、および前出したものの任意の好適な組合せが含まれる。本明細書において使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通じて伝播する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、または配線を介して伝送される電気信号などの、それ自体が一過性信号であると解釈されるべきではない。
【0066】
本明細書に記載するコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、あるいは、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、もしくはワイヤレス・ネットワーク、またはその組合せを経由して、外部のコンピュータもしくは外部ストレージ・デバイスに、ダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組合せを含み得る。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0067】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存型命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路用の構成データ、または、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれた、ソース・コードもしくはオブジェクト・コードのいずれか、であり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、専らユーザのコンピュータ上で、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的に遠隔のコンピュータ上で、または専ら遠隔のコンピュータもしくはサーバ上で、実行することができる。後者のシナリオでは、遠隔のコンピュータを、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができるか、または、外部のコンピュータへの接続を(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを利用してインターネットを介して)行うことができる。いくつかの実施形態では、例えばプログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を行うために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行して電子回路を個人化することができる。
【0068】
本明細書には、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して、本発明の態様が記載されている。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せを、コンピュータ可読プログラム命令によって実施できることが、理解されるであろう。
【0069】
このようなコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施する方法を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すものであり得る。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含む製品を備えるように、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組合せに、特定の方式で機能するように指示できるものであり得る。
【0070】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/動作を実施するように、コンピュータによって実行されるプロセスを作り出すべく、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるものであり得る。
【0071】
図中のフローチャートおよびブロック図には、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の、可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性、および動作が説明されている。この点において、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を備える、モジュール、セグメント、または命令の部分を表すことができる。いくつかの代替的な実装形態において、ブロック内に記された機能は、図面に記されたものとは異なる順序で行われ得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際は実質的に並行して実行され得、またはこれらのブロックは時には関わる機能に応じて、逆の順序で実行され得る。また、ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能もしくは動作を行う、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せを実行する、専用ハードウェア・ベースのシステムによって実施され得ることも、留意されるであろう。
【0072】
図12と関連して、以下に記載するシステムおよびプロセスは、例えば単一の集積回路(IC)チップ、複数のIC、特定用途向け集積回路(ASIC)などのハードウェア内に具現化され得る。更に、各プロセスにおいてプロセス・ブロックのうちのいくつかまたは全てが現れる順序は、限定的なものと見なすべきではない。そうではなく、プロセス・ブロックのうちのいくつかを、本明細書でその全てを明示的に示すことはできないが、様々な順序で実行できることが理解されるべきである。
【0073】
図12を参照すると、特許請求される主題の様々な態様を実装するための例示の環境1200は、コンピュータ1202を含む。コンピュータ1202は、処理ユニット1204と、システム・メモリ1206と、コーデック1235と、システム・バス1208と、を含む。システム・バス1208は、限定するものではないがシステム・メモリ1206を含むシステム構成要素を、処理ユニット1204に結合する。処理ユニット1204は、様々な利用可能なプロセッサのいずれかであり得る。処理ユニット1204としてはデュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャを利用することもできる。
【0074】
システム・バス1208は、インダストリ・スタンダード・アーキテクチ(ISA)、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカル・バス(VLB)、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィックス・ポート(AGP)、パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード国際協会バス(PCMCIA)、Firewire(IEEE1394)、およびスモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)を含むがこれらに限定されない、様々な利用可能なバス・アーキテクチャのいずれかを使用する、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺バスもしくは外部バス、またはローカル・バスを含む、いくつかの種類のバス構造のうちのいずれかであり得る。
【0075】
システム・メモリ1206は、様々な実施形態において、開示されるメモリ・アーキテクチャのうちの1つまたは複数を利用できる、揮発性メモリ1210と不揮発性メモリ1212とを含む。不揮発性メモリ1212には、起動中などにコンピュータ1202内の要素間で情報を伝達するための基本ルーチンを含む、基本入力/出力システム(BIOS)が保存されている。更に、現在の新技術によれば、コーデック1235はエンコーダまたはデコーダの少なくとも一方を含むことができ、エンコーダまたはデコーダの少なくとも一方は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組合せから成ることができる。コーデック1235は別個の構成要素として描かれているが、コーデック1235は不揮発性メモリ1212内に含まれてもよい。例示であり限定ではないが、不揮発性メモリ1212としては、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、3Dフラッシュ・メモリ、または抵抗性ランダム・アクセス・メモリ(RRAM)などの抵抗性メモリを挙げることができる。不揮発性メモリ1212は、少なくともいくつかの実施形態において、開示されるメモリ・デバイスのうちの1つまたは複数を利用することができる。また更に、不揮発性メモリ1212は、(例えばコンピュータ1202もしくはそのメインボードと物理的に一体化された)コンピュータ・メモリ、または取り外し可能なメモリであり得る。開示する実施形態を実装できる好適な取り外し可能なメモリの例としては、セキュア・デジタル(SD)カード、コンパクト・フラッシュ(CF)カード、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)メモリ・スティック、などを挙げることができる。揮発性メモリ1210は、外部キャッシュ・メモリとして機能するランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含み、様々な実施形態において開示される1つまたは複数のメモリ・デバイスを利用することもできる。例示であり限定ではないが、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、2倍データレートSDRAM(DDR SDRAM)、および拡張SDRAM(ESDRAM)、その他などの、多くの形態のRAMが利用可能である。
【0076】
コンピュータ1202はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体も含み得る。例えば、図12はディスク・ストレージ1214を示す。ディスク・ストレージ1214としては、磁気ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ディスク(SSD)、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティックのようなデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。更に、ディスク・ストレージ1214は、記憶媒体を別個に、または他の記憶媒体と組み合わせて含むことができ、他の記憶媒体としては、コンパクト・ディスクROMデバイス(CD-ROM)、CD記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、またはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光学ディスク・ドライブが挙げられるが、これらに限定されない。システム・バス1208へのディスク・ストレージ・デバイス1214の接続を容易にするために、取り外し可能または取り外し不可能なインターフェース、例えばインターフェース1216が典型的には使用される。ストレージ・デバイス1214はユーザに関連する情報を記憶できることが諒解される。そのような情報はサーバに、またはユーザ・デバイス上で実行されるアプリケーションに、記憶または提供されてもよい。一実施形態では、ユーザは、ディスク・ストレージ1214に記憶されるまたはサーバもしくはアプリケーションに送信される情報の種類についての通知を(例えば出力デバイス1236を介して)受けることができる。ユーザには、(例えば、入力デバイス1228からの入力を介して)収集またはサーバもしくはアプリケーションと共有されたそのような情報を有することを、オプトインまたはオプトアウトする機会を与えることができる。
【0077】
図12には、ユーザと、好適な動作環境1200内に描写されている基本的なコンピュータ・リソースとの間を媒介するものとして機能するソフトウェアが描写されていることが、諒解されるべきである。そのようなソフトウェアは、オペレーティング・システム1218を含む。ディスク・ストレージ1214に保存可能なオペレーティング・システム1218は、コンピュータ・システム1202のリソースの制御および割り当てを行うように機能する。アプリケーション1220は、システム・メモリ1206またはディスク・ストレージ1214のいずれかに保存されている、プログラム・モジュール1224と、ブート/シャットダウン・トランザクション・テーブルなどのプログラム・データ1226とを介して、オペレーティング・システム1218によるリソースの管理を利用する。特許請求される主題は、様々なオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組合せを用いて実装され得ることが、諒解されるべきである。
【0078】
ユーザは入力デバイス1228を介してコンピュータ1202にコマンドまたは情報を入力する。入力デバイス1228としては、マウスなどのポインティング・デバイス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイク、ジョイスティック、ゲーム・パッド、衛星放送受信用アンテナ、スキャナ、TVチューナー・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラ、などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのおよび他の入力デバイスは、インターフェース・ポート1230を経由しシステム・バス1208を介して、処理ユニット1204に接続される。インターフェース・ポート1230としては、例えば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)が挙げられる。出力デバイス1236は、入力デバイス1228と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータ1202への入力を行うことおよびコンピュータ1202から出力デバイス1236へと情報を出力することができる。出力アダプタ1234が設けられており、他の出力デバイス1236の中でもとりわけモニタ、スピーカ、およびプリンタなど、特別なアダプタを必要とするいくつかの出力デバイス1236が存在することが示されている。出力アダプタ1234としては、例示であり限定ではないが、出力デバイス1236とシステム・バス1208の間の接続の方法を提供する、ビデオ・カードおよびサウンド・カードが挙げられる。遠隔のコンピュータ1238などの他のデバイスまたはデバイスのシステムが、入力および出力の両方の能力を提供することに留意すべきである。
【0079】
コンピュータ1202は、ネットワーク化された環境内で、遠隔のコンピュータ1238などの1つまたは複数の遠隔のコンピュータへの論理接続を使用して動作し得る。遠隔のコンピュータ1238は、パーソナル・コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースの機器、ピア・デバイス、スマート・フォン、タブレット、または他のネットワーク・ノードとすることができ、通常は、コンピュータ1202に関連して記載される要素のうちの多くを含む。簡潔にするために、メモリ・ストレージ・デバイス1240だけが遠隔のコンピュータ1238と一緒に示されている。遠隔のコンピュータ1238は、ネットワーク・インターフェース1242を通してコンピュータ1202に論理接続され、その後通信接続1244を介して接続される。ネットワーク・インターフェース1242には、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)およびワイド・エリア・ネットワーク(WAN)およびセルラ・ネットワークなどの、有線またはワイヤレスの通信ネットワークが含まれる。LAN技術は、光ファイバ分散型データ・インターフェース(FDDI)、銅線分散型データ・インターフェース(CDDI)、イーサネット(R)、トークン・リングなど含む。WAN技術としては、ポイント・ツー・ポイント・リンク、統合デジタルサービス網(ISDN)およびその変形などの回線交換網、パケット交換網、ならびにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
通信接続1244は、ネットワーク・インターフェース1242をバス1208に接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。通信接続1244は説明を明確にするためにコンピュータ1202の内部に示されているが、コンピュータ1202の外部にあってもよい。ネットワーク・インターフェース1242への接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、一般的な電話グレードのモデム、ケーブル・モデム、およびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、ならびに有線およびワイヤレスのイーサネット(R)カード、ハブ、ならびにルータなどの、内的および外的技術が挙げられるが、これらは単に例示を目的としたものである。
【0081】
本主題について、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータあるいはその両方で実行されるコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的文脈で上述してきたが、本開示は他のプログラム・モジュールと組み合わせて実装することも可能であることを、当業者は認識するであろう。一般に、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行するまたは特定の抽象データ型を実装するあるいはその両方である、ルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造、等を含む。また更に、本発明のコンピュータ実装方法を、シングル・プロセッサまたはマルチプロセッサのコンピュータ・システムを含む他のコンピュータ・システム構成、ミニ・コンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、および、コンピュータ、手持ち型コンピューティング・デバイス(例えば、PDA、電話機)、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能な消費者用または産業用電子機器などを用いて実施できることを、当業者は諒解するであろう。図示した態様はまた、通信ネットワークを介してリンクされているリモート処理デバイスによってタスクが実行される、分散型コンピューティング環境において実施することもできる。しかしながら、本開示の態様の全てではなくともいくつかは、スタンドアロンのコンピュータ上で実装され得る。分散型の計算環境では、プログラム・モジュールを、ローカルおよびリモートの両方のメモリ・ストレージ・デバイス内に配置することができる。
【0082】
本願で使用される場合、用語「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェース」などは、コンピュータ関連エンティティまたは1つもしくは複数の特定の機能性を有する動作マシンに関連するエンティティを指し得る、または含み得る、あるいはその両方である。本明細書で開示するエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかであり得る。例えば、コンポーネントは、プロセッサで実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、またはコンピュータ、あるいはその組合せであり得るが、これらに限定されない。例示として、サーバで実行されるアプリケーションとサーバの両方が、コンポーネントであり得る。1つのプロセスまたは1つの実行スレッドあるいはその両方の中に1つまたは複数のコンポーネントが存在してもよく、コンポーネントは、1つのコンピュータに局在させるまたは2つ以上のコンピュータの間に分散させるあるいはその両方とすることができる。別の例では、それぞれのコンポーネントを、様々なデータ構造が保存されている様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、例えば1つまたは複数のデータ・パケットを有する信号に従って、ローカルのまたはリモートのあるいはその両方のプロセスを介して通信することができる(例えば、1つのコンポーネントからのデータが、信号を介して、ローカルのシステム、分散型システム内で、またはインターネットなどの他のシステムとのネットワークを介して、あるいはその組合せで、もう1つのコンポーネントと相互作用する)。別の例として、コンポーネントは、プロセッサによって実行されるソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションによって動作する、電気的または電子的回路によって動作する機械的部品によって提供される、特定の機能性を有する装置であり得る。そのような場合、プロセッサは装置の内部にあっても外部にあってもよく、ソフトウェアまたはファームウェアのアプリケーションの少なくとも一部を実行できる。更に別の例として、コンポーネントは、機械的部品を有さずに電子コンポーネントを通して特定の機能性を提供する装置とすることができ、この場合電子コンポーネントは、電子コンポーネントの機能性を少なくとも部分的に付与するソフトウェアまたはファームウェアを実行するための、プロセッサまたは他の実施形態を含み得る。ある態様では、コンポーネントは仮想マシンを介して、例えばクラウド・コンピューティング・システム内で、電子コンポーネントをエミュレートできる。
【0083】
更に、用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、別に規定されていないかまたは文脈から明らかでない限りは、「XはAまたはBを利用する」は、無理のない包括的な順列の全てを意味することが意図されている。すなわち、XがAを利用する、XがBを利用する、またはXがAおよびBの両方を利用する場合、前出の例のいずれにおいても、「XがAまたはBを利用する」が満たされている。また更に、本明細書および付属の図面で使用される冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は一般に、別に規定されていないかまたは文脈から単数形を指すものであると明らかでない限りは、「1つまたは複数の」を意味するものと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「例」または「例示的な」あるいはその両方は、例、実例、または例示の役割を果たすことを意味するように利用され、非限定的であることが意図されている。疑義を生じさせないために言うが、本明細書で開示する主題は、そのような例によって限定されない。更に、本明細書に「例」または「例示的な」あるいはその両方として記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではなく、また当業者に知られている例示的な等価な技法および構造を排除するものでもない。
【0084】
本明細書において用いられる場合、用語「プロセッサ」は、シングル・コア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するシングル・プロセッサ、マルチ・コア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するマルチ・コア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術を用いるマルチ・コア・プロセッサ、並列プラットフォーム、および分散共有メモリを有する並列プラットフォームを含むがこれらに限定されない、実質的に任意の計算処理ユニットまたはデバイスを指し得る。更に、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル論理制御装置(PLC)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、個別のゲート・ロジックもしくはトランジスタ・ロジック、個別のハードウェア構成要素、または本明細書に記載する機能を実施するように設計されたこれらの任意の組合せを指す場合がある。更に、プロセッサは、空間利用の最適化またはユーザ装置の性能の向上のために、限定するものではないが、分子および量子ドット・ベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートなどの、ナノ・スケール・アーキテクチャを活用することができる。プロセッサはまた、計算処理ユニットの組合せとしても実装可能である。本開示では、「ストア」、「ストレージ」、「データ・ストア」、「データ・ストレージ」、「データベース」などの用語、ならびに構成要素の動作および機能性に関連する他の実質的に全ての情報格納構成要素は、「メモリ構成要素」、「メモリ」において具現化されるエンティティ、またはメモリを備える構成要素を指すものとして用いられる。本明細書に記載するメモリもしくはメモリ構成要素またはその組合せは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリのいずれかであり得るか、あるいは、揮発性および不揮発性の両方のメモリを含み得ることが、諒解されるべきである。例示であり限定ではないが、不揮発性メモリとしては、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性のランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば強誘電性RAM(FeRAM))を挙げることができる。揮発性メモリとしては、例えば、外部キャッシュ・メモリとして機能し得る、RAMを挙げることができる。例示であり限定ではないが、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、2倍データレートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM)、およびラムバス・ダイナミックRAM(RDRAM)などの、多くの形態のRAMが利用可能である。更に、本明細書において開示されるシステムのメモリ構成要素またはコンピュータ実装方法は、これらのおよび任意の他の好適なタイプのメモリを含むことが意図されているが、これらを含むことに限定されない。
【0085】
上述した内容は、システムおよびコンピュータ実装方法の例を含むに過ぎない。当然ながら、本開示を説明する目的で構成要素またはコンピュータ実装方法の考えられる全ての組合せを記載することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くの更なる組合せおよび順列が可能であることを認識できる。また更に、用語「含む(includes)」、「有する(has)」、「保有する(possesses)」などが詳細な説明、特許請求の範囲、付録、および図面で使用される範囲において、かかる用語は、用語「備える(comprising)」を請求項で移行句として用いるときに解釈される場合の「備える」と同様、包括的であることが意図されている。例示の目的で様々な実施形態の説明を提示してきたが、それらは網羅的であること、または開示される実施形態に限定されることは意図していない。当業者には記載される実施形態の範囲から逸脱することなく多くの修正および変更が明らかであろう。本明細書で用いられる専門用語は、実施形態の原理、実際の用途、もしくは市場で見られる技術に対する技術的な改善を最もよく説明するように、または、他の当業者が本明細書において開示される実施形態を理解できるように、選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12